JP5358501B2 - 面材 - Google Patents

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本発明は、フラッシュ構造のパネル体に用いられる面材に関する。
従来より、住居の内装建材などに使用されるフラッシュ構造のパネル体に用いられる面材としては、合板、パーティクルボード、中密度繊維板(MDF)、単板積層基材(LVL)などを基材としたものが知られている。
近年は、インテリアのシンプル化が進んでいる等の背景から、フラッシュ構造のパネル体で構成された引戸や扉などにおいて、その高さが天井近くまであるものや幅広に形成されたものがみられるようになった。
しかしこのように引戸や扉などの建具が大型化すると、これに伴い重量が増えるため、現場での吊込作業等の作業負荷が増えてしまう。また大型化によって、物流における配送費も増えてしまう。
そこで下記特許文献1に例示されているようなケナフ繊維をボード化したケナフボードは、剛性が高いので薄状に形成して軽量化しやすいという特性を備えており、また環境問題を配慮したエコロジー建材としても知られている。したがって、これを上述のような面材の基材としてケナフボードが用いられることが好ましく選択される。
またこの種の面材には表面硬度において優れていることを望まれており、例えば下記特許文献2には、合板などの木質系基材にジアリルフタレート系含浸紙を介してコート紙が接着された化粧材が開示されている。
これによれば、ジアリルフタレート系含浸紙を接着剤層に使用することにより、接着剤層の硬度が高くなり、表面硬度(鉛筆硬度)が高い化粧材を得ることができるとされている。
特開2002−248610号公報 特開2008−201008号公報
しかしながら、上記特許文献1に記載されているようなケナフボードは、原料であるケナフ繊維の直径が太く、特にケナフの根の部分の繊維が混入すると硬くて太いため、解繊が十分に行えず、ケナフ繊維に由来する凹凸が表面に現れ易いので、表面を平滑に仕上げるのが難しいという問題がある。
また上記特許文献2に開示されているジアリルフタレート系含浸紙は、所定の含浸率に調整しておかなければ、コート紙との接着性が低くなって、コート紙(化粧シート)の表面に樹脂ムラが発生することがある。
本発明は、上記実情に鑑みなされたものであり、フラッシュ構造のパネル体に用いられる面材において、ケナフボートを基材とし、表面の平滑性及び化粧シートとの接着性に優れた面材を提供することを目的とする。
本発明に係る面材は、フラッシュ構造のパネル体に用いられる面材であって、ケナフ繊維をボード化した基材の一方の表面に、ジアリルフタレート系樹脂を含浸させた樹脂含浸紙が貼着され、該貼着された樹脂含浸紙の厚みを薄くするようにサンダー処理が施され、サンダー処理が施された樹脂含浸紙上に、化粧シートが貼着されていることを特徴とする。
本発明に係る面材において、前記樹脂含浸紙は、当初の厚みの50〜75%になるようにサンダー処理が施されているものとしてもよい。
また本発明に係る面材において、前記基材の他方の表面に、紙シートが貼着されているものとしてもよく、この場合、紙シートは、防湿紙としてもよい。
本発明に係る面材によれば、フラッシュ構造のパネル体に用いられる面材において、ケナフボートを基材とし、表面の平滑性及び化粧シートとの接着性に優れたものとすることができる。
(a)は、本発明の一実施形態に係る面材が用いられるフラッシュ構造のパネル体の一例を示す概念的な分解斜視図、(b)は同パネル体の層構造を示す概略的な側面図である。 同面材の製造方法の一例について説明するための概略的な斜視図である。 同面材の製造方法の一例について説明するための概略フローチャートである。 同製造方法により製造された面材の実施例の一例と比較例とを評価試験Aの結果とともに示す表である。 同製造方法により製造された面材の実施例の一例と比較例とを評価試験Bの結果とともに示す表である。
以下に本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。
図1〜図3は、本実施形態に係る面材及びその面材が用いられるパネル体について説明するための概念的な説明図であり、図4、図5は面材の評価試験の結果を示す表である。なお、図1(a)は、基材2の一方の表面に貼着される樹脂含浸紙3を示すため化粧シート4の一部を破断した状態を示している。
本実施形態に係る面材10は、フラッシュ構造のパネル体1に用いられ、ケナフ繊維をボード化したケナフボードからなる基材2の一方の表面に、ジアリルフタレート系樹脂を含浸させた樹脂含浸紙3が貼着され、該貼着された樹脂含浸紙3の厚みを薄くするようにサンダー処理が施され、サンダー処理が施された樹脂含浸紙3上に、化粧シート4が貼着されている。
パネル体1は、図1(a)及び(b)に示すように略角柱形状に加工された芯材60を複数用いて形成された長方形状のパネル状の枠体6と、その表裏両面に貼着された面材10,10とで構成されている。
面材10の基材2として用いられるケナフボードは、例えば、以下のように製造される。
アオイ科の1年生草本であるケナフの靭皮を、繊維径が20μm〜500μm、好ましくは、50μm〜100μm程度となるように解繊し、繊維長が6mm以上となるように切断して堆積、積層し、長繊維マット体とする。長繊維マット体とする際、ケナフ長繊維のそれぞれが、ほぼ一方向に配向するようにしたり、ほぼ直交する二方向に配向するようにしたりしてもよい。
次いで、上記長繊維マット体に、接着剤を均一に分散させて熱プレス機に導入し、熱プレス(加熱圧縮)を行い、密度が0.35g/cm〜1.20g/cm程度、好ましくは、0.50g/cm〜1.00g/cm程度となるようにして製造したケナフ長繊維ボードを得、ケナフボードとすることができる。
なお、長繊維マット体に接着剤を分散させる方法は、液状の接着剤に上記長繊維マット体を浸漬させ、ローラ等で絞って混合量を調整して混合させたり、粉末状の接着剤を混合して分散させたり、スプレー塗布により混合、分散させたりしてもよい。
バインダとなる接着剤の混合量は、ケナフボードの総重量に対して、5重量%〜30重量%程度、好ましくは10重量%〜25重量%とする。またここに用いられる接着剤としては、ユリア樹脂系、ユリア・メラミン共縮合樹脂系、フェノール樹脂系及びイソシアネート樹脂系等の熱硬化性タイプの樹脂接着剤としてもよい。
熱圧成形の条件は、特に限定されないが、例えば、温度120℃〜190℃程度、プレス圧が1.0〜4.0MPa程度の条件下で、所定時間、プレスするようにしてもよい。プレス時間は、板厚や成型後のケナフボードの密度等に応じて、適宜、設定される。
ケナフボードとしては、上述のケナフ長繊維ボードに代えて、ケナフの芯部をハンマーミルなどで小片に粉砕し、該小片に接着剤を均一に分散させて熱圧成形したケナフパーティクルボードとしてもよい。或いは、このようなケナフパーティクルボードの表裏面に、ケナフ長繊維ボードを貼着一体化してケナフボードを構成するようにしてもよい。
基材2の一方の表面、すなわち表面側には、樹脂含浸紙3が貼着されており、ここで用いられる樹脂含浸紙3としてはジアリルフタレート系樹脂を含浸させたクラフト紙が好適に使用される。樹脂含浸紙3の構成としては、例えば樹脂含浸率は30重量%〜60重量%、好ましくは40重量%〜50重量%とする。さらにサンダー処理後の樹脂含浸紙3の厚みは、0.1mm〜0.15mm程度が望ましい。その理由については後述する。ジアリルフタレート系樹脂のクラフト紙への含浸方法は、ディッピング法、ロールコーター法など特に限定されるものではない。
クラフト紙に含浸させるジアリルフタレート系樹脂としては、ジアリルテレフタレートモノマー、ジアリルオルソフタレートモノマー、ジアリルテレフタレートプレポリマー、ジアリルオルソフタレートプレポリマー等が挙げられ、これらから1種ないし2種以上を選んで混合した混合物を用いてもよい。また、これらに必要に応じて硬化促進剤等を添加したものを用いてもよい。
樹脂含浸紙3の上には、化粧シート4が貼着され、化粧シート4としては、特に限定されるものではないが、オレフィン系樹脂化粧シートなどが好ましい。なお、後記する図2(e)では化粧シート4の一例として木目調柄のものを示しているが、これに限定されず石目調柄でもよいし、柄が無いものであってもよいことはいうまでもない。
基材2の他方の表面、すなわち裏面側には、紙シート5が貼着されていることが望ましい。紙シート5として、防湿紙を用いた場合は、基材2の裏面側から湿気が侵入することを効果的に防ぐことができるので、湿気を吸放湿しても伸縮が少なく反りにくいというケナフボードが有する特性との相乗効果で、より一層面材10の伸縮及び反りを効果的に抑制することができる。
また紙シート5としては、防カビ性、消臭性など各種機能性を有した紙シートとすれば、各種機能を備えた面材10とすることができる。
さらにこのように面材10の裏面側に、紙シート5を貼着することにより、フラッシュ構造のパネル体1を製造する際の基材2との接着性を向上させることができる。
基材2の表裏面に貼着される樹脂含浸紙3、化粧シート4及び紙シート5の接着に用いられる接着剤としては、酢酸ビニル系樹脂、変成ゴム系樹脂、メラミン系樹脂、ポリウレタン系樹脂などが挙げられる。接着剤の塗布方法は、ロールスプレッダー、フローコーター、スプレー塗布、ディッピング塗布、スクリーン塗布など、公知の塗布方法を採用することができる。
次に本実施形態に係る面材10の製造方法の一例について、図2(a)〜(e)及び図3を参照しながら、説明する。
以下の製造方法によって作製される面材10は、平面視して長方形状とされ、例えばその寸法は、背の高い引戸とする場合は800mm×2400mm程度の長尺板状体としてもよい。基材2となるケナフボードは、面材10と同じく平面視して長方形状とされ、所定の寸法に切り出される。以下ではその厚みを1.5mm、密度700kg/mとした例について説明するが、これに限定されるものではない。
また樹脂含浸紙3の表面に施すサンダー処理は、例えば240番手のワイドベルトサンダーを用いて3回処理を施すようにしてもよく、樹脂含浸紙3の厚みが、当初の厚み(処理前の厚み)の50〜75%になるようにサンダー処理が施されたものが好ましい。その理由については評価試験を参照しながら、後述する。
化粧シート4及び紙シート5の厚みは特に限定されるものではないが、例えば0.05mm〜0.15mmのものを用いることができる。
まず、基材2となるケナフボードを所定寸法に切り出す(図2(a)、図3・S100)。このときには、まだ基材2はケナフボードの素地のままなので、表面にはケナフ繊維に由来する凹凸が存在した状態にある。
基材2の一方の表面に接着剤を塗布し、樹脂含浸紙3を基材2の上に積層し貼着する(図2(b)、図3・S101)。以下のプレス条件としたプレス装置(不図示)で基材2と樹脂含浸紙3とを熱プレスすれば、良好な状態で基材2に樹脂含浸紙3を貼着することができる(図3・S102)。
〈プレス条件〉
(1)プレス温度:145℃ (2)プレス圧:10kg/m (3)プレス時間:3〜5分
プレス装置から樹脂含浸紙3が貼着された基材2を取り出し、これを裏返して水打ちを行う(図2(c)、図3・S103)。これにより、樹脂含浸紙3が貼着された面(表面側)が凹状に反ることを防ぐことができる。
そして再び樹脂含浸紙3が貼着された面を表側にして、貼着された樹脂含浸紙3の表面にサンダー処理を施す(図2(d)、図3・S104)。
ここでサンダー処理は、に例えば240番手のワイドベルトサンダーを用いて3回処理を施すようにしてもよい。
そして、サンダー処理が施された樹脂含浸紙3の上(表面側)に、化粧シート4を貼着し、基材2の他方の表面(裏面側)に紙シート5を貼着する(図2(e)、図3・S105)。
こうして基材2の表面側には樹脂含浸紙3を介して化粧シート4が貼着されているとともに、基材2の裏面側には紙シート5が貼着された面材10を得ることができる。
なお、この製造方法は一例であって、これに限定されるものではなく、プレス装置によるプレスの条件もこれに限定されるものではない。
このように製造された面材10をフラッシュ構造のパネル体1に用い、引戸や扉などの高さが天井近くまであるものや幅広に形成された大型の建具に適用した場合には、従来のものに比べ約20%の軽量化を実現することができる。
またこのようにパネル体1の軽量化により、物流における配送費の削減、現場作業時の作業負荷低減などを図ることができる。
さらにケナフ繊維に由来する凹凸が表面に現れやすいケナフボードを基材2とし、この表面に樹脂含浸紙3を貼着することで、平滑性に優れた面材10を得ることができる。しかも樹脂含浸紙3には、ジアリルフタレート系樹脂が含浸されているので、表面硬度に優れたものとすることができる。
そして、ジアリルフタレート系樹脂を含浸させた樹脂含浸紙3の表面には適度にサンダー処理が施されているため、その表面に貼着される化粧シート4とのなじみ性がよく接着性がよいものとすることができる。
また基材2の裏面側には紙シート5が貼着されているので、この面材10をフラッシュ構造のパネル体1とする際に枠体6との接着力を確保することができる。すなわち、基材2がケナフボードからなるので、基材2の裏面側がケナフボードの素地のままだと、基材2が多孔質のため、接着剤が浸透しやすく接着力を確保することが難しい。そこで裏面側を紙シート5でラミネートすることにより、接着剤が基材2に染み込んでしまうことがなく、良好に接着することができる。
次に、図4を参照しながら、面材の表面の平滑性及び反り量を評価した試験(以下、評価試験Aという)について説明する。
ここで説明する評価試験Aでは、ケナフボードからなる基材に樹脂含有率や含浸させる樹脂材が異なる各種樹脂含浸紙を貼着し、ピーリング強度、表面粗さ、反り量を測定した。基材としては、いずれも密度が700kg/m、厚みが1.5mmからなるケナフボードを用いた。
ピーリング強度の試験では、幅25mmの化粧シートをサンダー処理が施された樹脂含浸紙の上に貼り、化粧シートと樹脂含浸紙の界面の剥離強度を測定した。
表面粗さは、樹脂含浸紙の上に貼着した化粧シートの表面を表面粗さ計にて最大表面粗さ(Ry)を測定した値である。
図4の表において、反り量(面材)として記載されている数値は、面材を平置きしたときの長手方向の最大反り量を測定した数値である。また、反り量(引戸)として記載されている数位は、室温40℃湿度20%の部屋と室温25℃湿度50%の部屋との間を仕切るフラッシュ構造の引戸として、3日間設置したときの長手方向の最大反り量を測定した数値である。
[実施例A−1]
ケナフボードからなる基材の上にジアリルフタレート系樹脂が含浸された樹脂含浸紙(以下、DAP含浸紙という)を貼着し、さらにその上に化粧シートを貼着したものを作製して各種評価試験を行った。クラフト紙(80g/m)への樹脂含有率は50重量%とした。
[実施例A−2]
ケナフボードからなる基材の上にDAP含浸紙を貼着し、さらにその上に化粧シートを貼着したものを作製して各種評価試験を行った。クラフト紙(80g/m)への樹脂含有率は40重量%とした。
[比較例A−1]
ケナフボードからなる基材の上にメラミン系樹脂が含浸された樹脂含浸紙を貼着し、さらにその上に化粧シートを貼着したものを作製して各種評価試験を行った。クラフト紙(80g/m)への樹脂含有率は50重量%とした。
[結果]
ピーリング強度は、実施例A−1、A−2ともに比較例A−1と比べて高いピーリング強度を示した。
表面粗さ(Ry)は、実施例A−1、A−2ともに比較例A−1と比べて平滑性に優れた数値を示した。
反り量(面材)については、実施例A−1及びA−2は同じ測定結果を示し、反り量の少ない結果がでた。また比較例A−1と比べると約半分の反り量であった。
反り量(引戸)については、面材が芯材に組み付けられていることもあり、面材ほどの反り量の差ではないものの、実施例A−1及びA−2の方が比較例A−1よりも少ない反り量であった。
[評価試験Aまとめ]
以上より、基材の表面にDAP含浸紙が貼着された面材は、非常に平滑性に優れているといえる。基材としてケナフボードを用いる場合、直接その表面に化粧シートを貼着した際の表面粗さはRy100μmという測定データがあることから、これと比較しても平滑性に優れているといえる。また樹脂含浸紙にサンダー処理を施し化粧シートを貼着すれば、化粧シートとの接着性に優れたものとすることができることもわかった。
さらにこの評価試験Aから、単に樹脂含浸紙をケナフボードに貼着しただけでは、優れた平滑性を実現することはできず、樹脂含浸紙として用いられる樹脂材としてはジアリルフタレート系樹脂が好適といえる。さらに樹脂含浸率によってピーリング強度及び表面粗さが異なることがわかった。これより、DAP含浸紙の樹脂含浸率は、35重量%〜60重量%、好ましくは40重量%〜50重量%に設定することがよいといえる。樹脂含浸率が35重量%より小さい場合は、ピーリング強度が劣る傾向となり、また表面粗さの数値が高くなり平滑性を確保しにくい傾向となる。また樹脂含浸率が60重量%より大きい場合は、ピーリング強度も表面粗さもよい傾向となるが、ジアリルフタレート系樹脂材料の使用量が増え、コスト高となる懸念がある。
そして反り量の測定結果から、樹脂含浸紙を貼着しても、ケナフボードが持つ特性を活かすことができるといえる。特に引戸として間仕切られた2つの空間に温度差、湿度差のある場合でも、反り量が非常に小さく、引戸用の面材として好適であるといえる。
続いて、図5を参照しながら、面材の化粧シートとの接着性及び平滑性について、上述の評価試験Aとは異なる評価試験(以下、評価試験Bという)について説明する。
ここで説明する評価試験Bでは、DAP含浸紙に施すサンダー処理とDAP含浸紙の厚みに着目して、面材の化粧シートとの接着性及び平滑性について評価を行った。
DAP含浸紙としては、クラフト紙80g/m、樹脂含有率50重量%のものを用いた。
基材としては、密度が700kg/m、厚みが1.5mmからなるケナフボードを用いた。
DAP含浸紙の厚みは、0.2mmの厚みのDAP含浸紙をサンダー処理を施すことによって変え、サンダー処理は240番手のワイドベルトサンダーを用いて行った。
[実施例B−1]
DAP含浸紙の厚みをサンダー処理によって、厚み0.2mmから厚み0.1mm〜0.15mmとした。
[比較例B−1]
DAP含浸紙の厚みをサンダー処理を行うことなく、0.2mmとした。
[比較例B−2]
DAP含浸紙の厚みをサンダー処理によって、厚み0.2mmから厚み0.1mm以下とした。
[結果]
(化粧シートとの接着性について)
実施例B−1及び比較例B−2は良好な接着性を備えたものとなった。これはサンダー処理を施すことにより、化粧シートを接着するための接着剤の溶液分の逃げ代が確保されたことによって、接着性が向上したと考えられる。
比較例B−1は、サンダー処理を施していないので、接着剤の溶液分の逃げ代がなく、またDAP含浸紙の表面が撥水するために接着剤の付着力が低下し接着性に劣る結果となったことが考えられる。
(平滑性について)
実施例B−1及び比較例B−1は良好な平滑性を備えたものとなった。これは基材のケナフ繊維に由来する凹凸が現れている表面をDAP含浸紙によって被覆することにより、凹凸面が覆われて平滑性を得ることができたと考えられる。
比較例B−2は当初の厚みの50%より小さい厚みにまでサンダー処理を施したので、DAP含浸紙の厚みが薄くなりすぎて、ケナフ繊維に由来する凹凸面を覆ってもその凹凸面が表面に転写されてしまい平滑性を得ることができなかったと考えられる。
[評価試験Bまとめ]
以上より、比較例B−2のようにDAP含浸紙の厚みが、当初の厚みの50%より薄い厚みにまでサンダー処理を施すと、化粧シートとの接着性に問題はないが、平滑性を得ることが難しい。また比較例B−1のようにサンダー処理を施さない場合は、平滑性を得ることはできても、化粧シートとの接着性がよいを得ることは難しいことがわかった。したがって、樹脂含浸紙3の当初の厚みが、0.2mmのものの場合は、0.1mm〜0.15mm程度になるように、すなわち、DAP含浸紙は当初の厚みの50〜75%になるようにサンダー処理を行うと化粧シートとの接着性が良く、平滑性を向上させることができるといえる。
またこの評価試験BからDAP含浸紙の厚みが、当初の厚みの75%より厚い厚みにサンダー処理を施した場合は、平滑性を得ることはできても、サンダー処理が接着剤の溶液分の逃げ代を確保できず、化粧シートとの接着性に劣ることが示された。
なお、この面材10を用いたパネル体1は、引戸、折戸を構成する戸板や、開閉扉等の扉パネルに適用されるものとしてもよく、その他、内壁パネルや天井パネル、或いは腰壁等の造作部材等の内装パネルとしてもよい。さらには、家具材等のパネル材として用いられるものとしてもよい。また面材10の形状や積層構造などは、上述の例、図例に限定されるものではない。
1 パネル体
2 基材
3 樹脂含浸紙
4 化粧シート
5 紙シート
6 芯材

Claims (4)

  1. フラッシュ構造のパネル体に用いられる面材であって、
    ケナフ繊維をボード化した基材の一方の表面に、ジアリルフタレート系樹脂を含浸させた樹脂含浸紙が貼着され、該貼着された樹脂含浸紙の厚みを薄くするようにサンダー処理が施され、サンダー処理が施された樹脂含浸紙上に、化粧シートが貼着されていることを特徴とする面材。
  2. 請求項1において、
    前記樹脂含浸紙は、当初の厚みの50〜75%になるようにサンダー処理が施されていることを特徴とする面材。
  3. 請求項1または請求項2において、
    前記基材の他方の表面に、紙シートが貼着されていることを特徴とする面材。
  4. 請求項3において、
    前記紙シートは、防湿紙であることを特徴とする面材。
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