以下、本発明の蒸し調理器に係る好ましい実施例について、添付図面を参照して説明する。
先ず図1に基づいて、蒸し調理器50(図2〜図4を参照)を収容する炊飯器1の全体構成を説明すると、2は有底状の本体、3は本体2の上面開口を開閉自在に覆う蓋体で、これらの本体2と蓋体3とにより、炊飯器1の外郭が形成される。本体2は、上面を形成する上枠5と、側面形成する外枠6と、底面を形成する底板7とによりその外観を構成しており、後述する鍋8を着脱可能に収容するために、上面を開口した鍋収容部9が形成される。内鍋としての鍋8は、蓋体3を開閉することにより鍋収容部9から取り出せるようになっている。
鍋8は、米や水などの被炊飯物を収容するためのもので、熱伝導性の良いアルミニウムを主材11とし、フェライト系ステンレスなどの磁性金属板からなる発熱体12が、主材11の外面の側部下部から底部にかけて接合してある。また鍋8は、鍋8の載置面を形成するのに水平方向に拡がる底部14と、底部14の外周囲から上方に立ち上がる筒状の側壁15と、側壁15の上端周囲から外方に延出する円環状のフランジ部16とにより、全体が有底筒状に形成される。フランジ部16は、鍋収容部9に鍋8を収容したときに上枠5の上面に載置懸架され、鍋8と鍋収容部9との間に隙間を形成した状態で、鍋8が鍋収容部9に吊設されるようになっている。
鍋収容部9は、椀状で樹脂製の内枠18や、金属製の内枠リング19などを組み合わせて構成され、全体が有底筒状に形成される。鍋8の外側面に対向する内枠リング19の外面には、加熱手段の一例としてコードヒータを用いた胴ヒータ20を備えている。また、鍋8の側面下部から底面に対向する内枠18の外面には、鍋8の発熱体12を電磁誘導加熱する加熱手段として、加熱コイル21を備えている。加熱コイル21の外周には、当該加熱コイル21を覆うように椀状のコイルカバー22が設けられている。また本体2の内部には、加熱コイル21に高周波電流を供給する加熱コイル駆動手段としての加熱基板組立23と、加熱基板組立23を冷却するファンモータ24がそれぞれ配設される。
内枠18の底部中央部には、鍋8の外底面と弾発的に接触するように、鍋温度検出手段としての鍋温度センサー25が配設される。鍋温度センサー25は、鍋8の温度を検知するもので、加熱コイル21による鍋8の底部の加熱温度を主に温度管理する構成となっている。
蓋体3の前方上面には、蓋開ボタン26が露出状態で配設されており、この蓋開ボタン26を押すと、本体2と蓋体3との係合が解除され、蓋体3の内部に取付けられたモータ27により、蓋体3の支軸となるヒンジ軸28を回転中心として、蓋体3が自動的に開く構成となっている。
蓋体3は、その上面外殻をなす外観部品としての外蓋31と、外蓋31に収納される表示部や操作部を覆う操作パネル32の他に、蓋体3の下面を形成する放熱板33と、外蓋31および放熱板33を結合させて、蓋体3の骨格を形成する蓋ベース材としての外蓋カバー34とを主たる構成要素としている。また、蓋体3の内部にあって、放熱板33の上面には、蓋加熱手段としての蓋ヒータ36が設けられている。この蓋ヒータ36は、コードヒータなどの電熱式ヒータや、電磁誘導加熱式による加熱コイルでもよい。
蓋体3の上部に設けられている操作パネル32の内側には、時間や選択したメニューなどを表示するLCD(液晶ディスプレイ)や、行程を表示するLED(発光ダイオード)などの表示部の他に、各種スイッチなどの操作体を配置した基板が、表示基板組立37として配設される。
放熱板33の下側には、蓋体3の下部部材としての内蓋組立体38が着脱可能に設けられる。この内蓋組立体38は、鍋8の上方開口部とほぼ同径の円盤状を有し、ステンレスやアルミニウムをアルマイトした金属製の内蓋39と、鍋8と内蓋39との間をシールするために、当該内蓋39の外側全周に設けられ、シリコーンゴムやフッ素ゴムなどの弾性部材からなる蓋パッキン40と、蓋パッキン40を内蓋39の外側全周に装着するための内蓋リング41と、鍋8の内圧力を調整する調圧部42とを備えている。環状に形成された蓋パッキン40は、蓋体3を閉じた時(蓋閉時)に、鍋8のフランジ部16上面に当接して、この鍋8と内蓋39との間の隙間を塞ぎ、鍋8から発生する蒸気を密閉するものである。
前記放熱板33には、蓋体3の特に内蓋39の温度を検知する蓋温度検知手段として、蓋ヒータ36による内蓋39の温度管理を行なうためのサーミスタ式の蓋温度センサ(図示せず)が設けられている。また、蓋体3の上面後方寄り部には、蓋体3の上面側から着脱可能な蒸気口43が設けられる。蒸気口43と調圧部42は蓋体3の内部で連通しており、これらを含めて蓋体3の内部には、鍋8内で発生した蒸気を外部へ放出する通路としての蒸気排出経路44が形成される。
前記調圧部42は、鍋8の内部と蒸気口43との間の蒸気排出経路44を開閉する調圧弁46が設けられる。この調圧弁46はボール状で、蓋体3の内部に設けたソレノイド47と連動し、鍋8内の蒸気を外部へ放出する場合には、ソレノイド47を非通電にして蒸気排出経路44を開放し、鍋8内を加圧または減圧状態にする場合には、ソレノイド47を通電して蒸気排出経路44を閉塞するように、ソレノイド47が調圧弁46を転動させる。そして加圧時には、加熱コイル21への高周波通電により鍋8内の被炊飯物が加熱され、鍋8の内圧が所定値に達すると、調圧弁46の自重に抗して蒸気排出経路44を開放することで、鍋8内の圧力を大気圧以上に維持する構成となっている。また、蓋体3の内部後方には、内蓋組立体38で塞がれた鍋8の内部を、大気圧よりも低い圧力に減圧するために、減圧手段の駆動源となる電動のポンプ48が配設される。ソレノイド47の動作は、炊飯器1に組み込まれた後述の制御手段64により制御される。
次に、図2および図3に基づいて、上記炊飯器1に使用される蒸し調理器50の構成を説明する。これらの各図において、蒸し調理器50は鍋8の上部開口より当該鍋8に着脱自在に収容され、食材Fを収容する上端部を開口した有底円筒状の容器51や、容器51の上端周囲より外方に延出する略円環状のフランジ支持部52を一体的に形成した調理器本体53と、調理器本体53とは別部材で容器51に取付けられる弁体54と、により構成される。これらの調理器本体53や弁体54は何れも樹脂製で、鍋8内の被炊飯物が加熱される炊飯時や保温時に耐え得る耐熱性の材料が選択される。
容器51は、蒸し調理器50の載置面を形成するのに水平方向に拡がる底部57と、この底部57の外周囲から上方に立ち上がる筒状の側壁58とからなる皿状の部材で、底部57には弁体54が装着される底部蒸気口59が開口形成される。底部蒸気口59は、弁体54が水平方向に動作することで開閉する構成となっている。
またフランジ支持部52は、鍋8に蒸し調理器50を収容したときに鍋8のフランジ部16の上面に載置懸架され、鍋8の底部14と容器51の底部57との間に、被炊飯物となる米Rや水Wの収容空間を形成した状態で、蒸し調理器50が鍋8に吊設されるようになっている。フランジ支持部52の下端に連なる容器51の側壁58上部には、前記底部蒸気口59とは別な上部蒸気口60が開口形成されており、鍋8の上部に蒸し調理器50を収容した状態で、鍋8内部の水Wから発生する蒸気が、鍋8の側壁15と蒸し調理器50の側壁58との間の空間から、側壁58の上部に設けた上部蒸気口60を通して、食材Fを収容した調理器本体53の内部に供給される構成となっている。
容器51の底部57は、食材Fを載せる内底面57Aと、この内底面57Aの下側にあって、鍋8に入れた米Rや水Wなどの被炊飯物に対向する外底面57Bと、を備えており、局部的に凹凸の無い平板状に形成される。底部蒸気口59は、底部57の略中央で内底面57Aから外底面57Bを垂直方向に貫通して形成され、底部蒸気口59を通して鍋8の内部と容器51の内部で、液体や気体の行き来ができるようになっている。
容器51の側壁58は、食材Fの側部を囲む内側面58Aと、この内側面58Aの外側にあって、鍋8の側壁15の内側面に隙間を有して対向する外側面58Bと、を備えている。上部蒸気口60は、側壁58の上部で内側面58Aから外側面58Bを斜め方向に貫通して形成され、上部蒸気口60を通して鍋8の内部と容器51の内部で、液体や気体の行き来ができるようになっている。
弁体54は、底部蒸気口59を覆って容器51の底部57に載置可能な截頭円錐状の基部61と、基部51の下面より垂直方向に延び、底部蒸気口59に隙間を有して貫通される軸部62と、軸部62の下端に設けられ、底部57の外底面57Bに当接可能な抜止め部63と、を主な構成要素とする。そして普段の使用では、容器51内部に入れられた食材Fからの水分が、底部蒸気口59を通して鍋8の内部に滴下しないように、弁体54の自重により基部61が底部蒸気口59を塞ぐのに対して、鍋8への加熱に伴い被炊飯物の水Wから蒸気が発生すると、抜止め部63が底部57に突き当たる位置まで弁体54を押し上げて、底部蒸気口59を通して底部57の略中央から容器51の内部四方に蒸気を放散させるようになっている。
次に、上記構成についてその作用を説明する。本体2に対して蓋体3を開けた状態で、被炊飯物となる水Wや米Rを入れた鍋8を鍋収容部9にセットする。このまま炊飯器1により鍋8内の被炊飯物だけを加熱炊飯する場合は、単に蓋体3を閉じ、操作パネル32を介して操作部を押動操作して炊飯開始を指示すると、炊飯器1に組み込まれた制御手段64が、ひたしからむらしに至る一連の炊飯行程と、その後の保温行程を順に実行するために、鍋温度センサー25や蓋温度センサーからの各検知温度に基いて、加熱コイル21や胴ヒータ20や蓋ヒータ36による鍋8への加熱出力と加熱時間を制御し、さらには操作パネル32の内側に搭載した表示部の表示を制御する。これにより、炊飯行程において鍋8内の被炊飯物は、水Wと米Rから炊き上げられてご飯になり、その後の保温行程においてご飯は所定の温度に保温される。
一方、鍋8内の被炊飯物と同時に蒸し調理器50に投入した食材Fを調理するには、前述の蓋3を開けた状態で、被炊飯物を入れた鍋8を鍋収容部9に装着した後、予め食材Fを容器51に入れた蒸し調理器50を、鍋8の上部開口から装着する。その後で蓋体3を閉じ、操作パネル32を介して操作部を押動操作して炊飯開始を指示すると、鍋8内の被炊飯物となる水Wや米Rが炊き上げられるのに伴い、水Wから発生する蒸気が鍋8の側壁15と容器51の側壁58との間の空間から、側壁58の上部に設けた上部蒸気口60を通って、容器51の内部に入り込み、被炊飯物と共に加熱された食材Fを蒸し調理する。ここで上部蒸気口60は、容器51の上面開口を塞ぐ内蓋39に向けて斜め方向に形成されているため、上部蒸気口60を通過した蒸気は内蓋39の下面に当たってから、容器51の底部57全体に降り注ぐように放散して、底部57の内底面57Aに置かれた食材Fに到達し、食材Fに蒸気を万遍なく行き渡らせて蒸し調理を行なうことが可能になる。
また、普段の使用で鍋8内の水Wが沸騰して蒸気が発生するまでは、弁体54の自重を利用して蓋形状の基部61が底部蒸気口59を塞いでおり、容器51内部に入れられた食材Fからの水分が、底部蒸気口59を通して鍋8の内部に滴下するのを防止できる。その後、鍋8の内部は水Wが沸騰して蒸気が発生するが、容器51の内部に水分の少ない食材Fを入れた場合は、弁体54に作用する力がほぼ自重だけとなるため、その自重に抗して弁体54が押し上げられ、底部蒸気口59を通過した蒸気は、底部57の略中央から基部61の下面に当たった後、容器51の内部四方へ放散される。従って、水分の少ない食材Fに対しては、普段の使用で底部蒸気口59から水分が漏れ出すのを防ぎつつ、鍋8内部の蒸気発生時には、弁体54が底部蒸気口59を開いて、容器51の上部からだけでなく、容器51の底部57からも容器51の内部に蒸気を十分に供給することで、食材Fを均一に蒸し調理することが可能となる。
一方、容器51の内部に水分の多い食材Fを入れた場合は、弁体54に作用する力が自重だけでなく、食材Fの重量も加わるため、鍋8の内部で水Wが沸騰して蒸気が発生しても、底部蒸気口59は閉じたままの状態となり、上部蒸気口60を通って容器51の内部に供給される蒸気によって、容器51内部の食材Fが蒸し料理される。従って、水分の少ない食材Fに対しては、普段の使用だけでなく、鍋8内部の蒸気発生時を含めて、底部蒸気口59から水分が漏れ出すのを防ぎつつ、鍋8内部の蒸気発生時には、容器51の上部から容器51の内部に蒸気を供給することで、食材Fに蒸気を万遍なく行き渡らせて蒸し調理することが可能となる。
以上のように本実施例では、炊飯器1の内鍋となる鍋8の上部に収容される蒸し調理器50において、有底状の容器51と、その容器51の上部周囲に形成され、鍋8の上部に形成したフランジ16に設置される支持部となるフランジ支持部52と、を備え、容器51の上部となる側壁58の上部と、容器51の底部57に、何れも蒸気口となる上部蒸気口60と底部蒸気口59をそれぞれ設け、底部57に設けた底部蒸気口59は、容器51の内部の水Wが鍋8の内部に漏れず、容器51の下方からの蒸気を容器51の内部へ通過させる弁体54を備えている。
この場合、鍋8の内部に被炊飯物となる水Wや米Rを入れて煮沸または炊飯を行なうと、容器51の上部に設けた上部蒸気口60を通して、食材Fを入れた容器51の内部に蒸気が供給され、食材Fが蒸気で加熱調理される。容器51の内部に水分を含む食材Fを入れた場合は、弁体54が底部蒸気口59を閉じて、底部蒸気口59から鍋8の内部に水が漏れるのを防止できる。また、容器51の内部に水分の少ない食材Fを入れた場合は、弁体54が底部蒸気口59を開いて、容器51の上部だけでなく底部57からも、上部蒸気口60と底部蒸気口59を通して容器51の内部に蒸気が供給され、食材Fを均一に蒸気で加熱調理することが可能となる。したがって、水分の多い食材Fから鍋8の内部に水が漏れ出さず、水分の少ない食材Fに蒸気を十分に供給できる蒸し調理器50が提供される。
図4は、上記実施例の変形例となる蒸し調理器50の要部構成を示している。同図において、本変形例では調理器本体53とは別体で、容器51の底部57の外底面57B側に蒸気口ケース65が着脱可能に設けられ、底部57と蒸気口ケース65との間に形成された空間66に、凹凸の無い平板状の弁体67が垂直方向に動作可能に収容される。また、弁体67の上平面67Aに対向して、容器51の底部57には複数の底部上蒸気口68が開口形成され、弁体67の下平面67Bに対向して、蒸気口ケース65には複数の底部下蒸気口69が開口形成される。ここでの蒸気口ケース65は、言わば容器51の底部57の一部を形成するもので、底部上蒸気口68や底部下蒸気口69は、何れも容器51の底部57に設けられた蒸気口に相当する。
蒸気口ケース65は、底部57の外底面57B側で、弁体67を収容できる程度の厚みに形成され、底部上蒸気口68や底部下蒸気口69の周辺部70は、蒸気口ケース65の厚み分を除いてほぼ平坦に形成される。また、平板状の弁体67は、容器51の底部57と蒸気口ケース65とにより包囲されており、底部57の外底面57B側で鍋8の内部に向けて弁体67を突出させていない。この点は、底部57の外底面57B側で軸部62や抜け止め部63を突出させた前述の弁体54とは構成が異なる。
一方、底部57の外底面57B側は、蒸気口ケース65や弁体67などの部品が存在せず、底部上蒸気口68や底部下蒸気口69の周辺部70を含めて、外底面57Bによる凹凸の無い平坦な面形状に形成される。
別な例として、蒸気口ケース65と弁体67を、底部57の外底面57B側にではなく、底部57の内底面57A側に設けてもよい。この場合、底部上蒸気口68は蒸気口ケース65に設けられ、底部下蒸気口69は容器51の底部57に設けられるが、底部57の外底面57B側は、蒸気口ケース65や弁体67などの部品が存在しないため、底部上蒸気口68や底部下蒸気口69の周辺部70で、内底面57Aによる凹凸の無い平坦な面形状とすることができる。また、ここでも容器51に対して蒸気口ケース65を着脱可能に構成すれば、必要に応じて蒸気口ケース65や弁体67を蒸し調理器50から取り外して、単体で丸洗いすることができる。
そして本変形例でも、普段は容器51内部に入れられた食材Fからの水分が、底部下蒸気口69を通して鍋8の内部に滴下しないように、空間66の内部で、弁体67の自重によりその下平面67Bが底部下蒸気口69を塞ぐのに対して、鍋8への加熱に伴い被炊飯物の水Wから蒸気が発生すると、弁体67の上平面67Aが底部57の外底面57Bに突き当たる位置まで弁体67を押し上げて、底部上蒸気口68と底部下蒸気口69を通して、底部57の略中央から容器51の四方に蒸気を放散させるようになっている。
以上のような構成の蒸し調理器50で、食材Fを蒸気で加熱調理するには、米Rや水Wを入れた鍋8を鍋収容部9に装着した後、食材Fを容器51に入れた蒸し調理器50を鍋8の上部開口から装着し、その後で蓋体3を閉じて、操作部により炊飯開始を指示する。これにより、前述のように鍋8内の水Wや米Rが炊き上げられるのに伴い、水Wから発生する蒸気が上部蒸気口60を通って容器51の内部に入り込み、被炊飯物と共に加熱された食材Fが蒸し調理される。
また、普段の使用で鍋8内の水Wが沸騰して蒸気が発生するまでは、弁体67の自重を利用して弁体67の下面67Bが底部下蒸気口69を塞いでおり、容器51内部に入れられた食材Fからの水分が、底部下蒸気口69を通して鍋8の内部に滴下するのを防止できる。その後、鍋8の内部は水Wが沸騰して蒸気が発生するが、容器51の内部に水分の少ない食材Fを入れた場合は、弁体67に作用する力がほぼ自重だけとなるため、その自重に抗して弁体67が押し上げられ、底部下蒸気口69を通過した蒸気は、底部57の略中央に位置する底部上蒸気口68から、容器51の内部四方へ放散される。従って、水分の少ない食材Fに対しては、普段の使用で底部下蒸気口69から水分が漏れ出すのを防ぎつつ、鍋8内部の蒸気発生時には、弁体67が底部下蒸気口69を開いて、容器51の上部からだけでなく、容器51の底部57からも容器51の内部に蒸気を十分に供給することで、食材Fを均一に蒸し調理することが可能となる。
一方、容器51の内部に水分の多い食材Fを入れた場合は、弁体67に作用する力が自重だけでなく、食材Fの重量も加わるため、鍋8の内部で水Wが沸騰して蒸気が発生しても、底部下蒸気口69は閉じたままの状態となり、上部蒸気口60を通って容器51の内部に供給される蒸気によって、容器51内部の食材Fが蒸し料理される。従って、水分の少ない食材Fに対しては、普段の使用だけでなく、鍋8内部の蒸気発生時を含めて、底部下蒸気口69から水分が漏れ出すのを防ぎつつ、鍋8内部の蒸気発生時には、容器51の上部から容器51の内部に蒸気を供給することで、食材Fに蒸気を万遍なく行き渡らせて蒸し調理することが可能となる。
以上のように、本変形例の蒸し調理器50は、有底状の容器51と、その容器51の上部周囲に形成され、鍋8の上部に形成したフランジ16に設置される支持部となるフランジ支持部52と、を備え、容器51の上部となる側壁58の上部と、容器51の底部57に、何れも蒸気口となる上部蒸気口60と、底部上蒸気口68および底部下蒸気口69をそれぞれ設け、底部上蒸気口68および底部下蒸気口69には、容器51の内部の水Wが鍋8の内部に漏れず、容器51の下方からの蒸気を容器51の内部へ通過させる弁体67を備えている。
この場合も、鍋8の内部に水Wや米Rを入れて煮沸または炊飯を行なうと、上部蒸気口60を通して容器51の内部に蒸気が供給され、食材Fが蒸気で加熱調理される。容器51の内部に水分を含む食材Fを入れた場合は、弁体57が底部下蒸気口69を閉じて、底部下蒸気口69から鍋8の内部に水が漏れるのを防止できる。また、容器51の内部に水分の少ない食材Fを入れた場合は、弁体67が底部下蒸気口69を開いて、容器51の上部だけでなく底部57からも、上部蒸気口60と、底部上蒸気口68および底部下蒸気口69を通して、容器51の内部に蒸気が供給され、食材Fを均一に蒸気で加熱調理することが可能となる。したがって、水分の多い食材Fから鍋8の内部に水が漏れ出さず、水分の少ない食材Fに蒸気を十分に供給できる蒸し調理器50が提供される。
また本変形例では、容器51の底部57の内底面57A側が、底部57に設けた底部上蒸気口68の周辺部70を含めて、凹凸の無い面に形成される。
この場合、容器51の内底面57Aを局部的に凹凸の無い面形状とすることにより、食材Fをよそう時に掬い具などが当たらず、蒸し調理器50としての使い勝手を向上させることができる。
さらに本変形例では、容器51の底部57の外底面57B側が、弁体67を下方に突出させることなく、底部下蒸気口69の周辺部70で略平坦に形成される。
この場合、容器51の外底面57Bに結露した水Wが、炊飯中の被炊飯物の上面に滴下しにくい構成とすることで、鍋8内部の炊き上がったご飯が水っぽくなるような不具合を防止できる。
次に、上記炊飯器1に備えた種々の技術的特徴を順に説明する。先ず、従来の鍋8と蓋パッキン40との間のエア抜き構造について、図5および図6を参照して説明すると、内蓋組立体38の外周に取付けられる蓋パッキン40は、内蓋39と内蓋リング41との間に挟持固定される断面逆J字形状の嵌合部72と、嵌合部72から径方向外方に延びる水平部73と、水平部73の外周端から径方向外方に延びて、鍋8のフランジ部16の上面に当接する第1シール部74と、水平部73の外周端から下方に延びて、鍋8の側壁15上部の内周面に当接する第2シール部75と、により一体的に形成される。
図5に示すように、本体2の上面開口を蓋体3で完全に閉じたいわゆる蓋閉じ状態では、第1シール部74の外面がフランジ部16の上面に密着し、第2シール部75の外面が側壁15の内周面に密着するが、本体1に対して蓋体3を開く蓋開き時に、内蓋組立体38と鍋8が貼り付かないように、フランジ部16にはエア抜き構造として、蓋パッキン40との間に僅かな隙間を形成するための凹形状部76が設けられている。これにより、図6に示す蓋開きの開始状態では、蓋体3と共に蓋パッキン40が上方向に持ち上がると、第1シール部74の外端から凹形状部76にエアが入り、鍋8に対する蓋パッキン40の吸い付きが無くなって、蓋体3を円滑に開くことができる。
しかし、従来はエア抜き構造として、鍋8に凹形状部76を設ける必要が有り、またその深さによっては、蓋開きの開始時に空気を取り入れることができない問題があった。そこで本実施例では、鍋8に凹形状部76を設けることなく、蓋体3を常時円滑に開けることができるエア抜き構造を提案する。
図7〜図11は、本実施例で提案するエア抜き構造について、蓋パッキン40を下側から見た図である。図7に示す蓋パッキン40は、第1シール部74の外端より切欠いたスリット形状部78Aを、従来の凹形状部76に代わるエア抜き構造として設けている。これにより蓋開きの開始時に、スリット形状部78Aから第1シール部74とフランジ部16との間にエアが取り込まれて、鍋8に対する蓋パッキン40の吸い付きが無くなり、蓋体3を常時円滑に開けることが可能になる。
図8に示す蓋パッキン40は、第1シール部74の外端より切欠いたSR(球R)形状部78Aを、従来の凹形状部76に代わるエア抜き構造として設けている。これにより蓋開きの開始時に、SR形状部78Bから第1シール部74とフランジ部16との間にエアが取り込まれて、鍋8に対する蓋パッキン40の吸い付きが無くなり、蓋体3を常時円滑に開けることが可能になる。
図9に示す蓋パッキン40は、第1シール部74の外端より切欠いた三角溝形状部78Cを、従来の凹形状部76に代わるエア抜き構造として設けている。これにより蓋開きの開始時に、三角溝形状部78Cから第1シール部74とフランジ部16との間にエアが取り込まれて、鍋8に対する蓋パッキン40の吸い付きが無くなり、蓋体3を常時円滑に開けることが可能になる。
図10に示す蓋パッキン40は、第1シール部74の外端より切欠いた多角溝形状部78Dを、従来の凹形状部76に代わるエア抜き構造として設けている。これにより蓋開きの開始時に、多角溝形状部78Dから第1シール部74とフランジ部16との間にエアが取り込まれて、鍋8に対する蓋パッキン40の吸い付きが無くなり、蓋体3を常時円滑に開けることが可能になる。
図11に示す蓋パッキン40は、その一端が第1シール部74の外端に達しており、第1シール部74の下面側に突出させた凸形状部78Eを、従来の凹形状部76に代わるエア抜き構造として設けている。これにより蓋開きの開始時に、第1シール部74の外端から凸形状部78Eにより第1シール部74とフランジ部16との間にエアが取り込まれて、鍋8に対する蓋パッキン40の吸い付きが無くなり、蓋体3を常時円滑に開けることが可能になる。
比較として、従来の蓋パッキン40を図12に示す。第1シール部74には、上述したスリット形状部78Aや、SR形状部78Bや、三角溝形状部78Cや、多角溝形状部78Dや、凸形状部78Eは設けられていない。
以上のように、ここでは蓋パッキン40に、スリット形状部78Aや、SR形状部78Bや、三角溝形状部78Cや、多角溝形状部78Dや、凸形状部78Eの何れかを設けて、鍋8と蓋パッキン40との間に空気を取り入れるための経路を確保することで、鍋8にわざわざ凹形状部76を設けなくても、蓋開きの開始時に蓋パッキン40が鍋8に貼り付くことなく、蓋体3を常時円滑に開けることが可能になる。なお、これらの各形状部78A〜78Eの数や大きさなどは、特に限定されない。
図13および図14は、本実施例で提案する別なエア抜き構造を示している。ここでの鍋8は、側壁15の最上端にではなく、側壁15の外周面から外方に、円環状のフランジ部16が延設される(図16や図17を参照)。その関係で、第1シール部74は側壁15の上端面に当接し、第2シール部75は側壁15上部の内周面に当接する。
側壁15の上端面には、従来のエア抜き構造である凹形状部76は設けられていない。その代りに、第1シール部74の外端には、側壁15の外周面よりも外方に延出した引掛け部81が形成され、蓋開きの開始時に引掛け部81をめくり上げるエア抜き用のフック82が、内蓋リング41と一体的に設けられたつまみ83の内側に突出形成される。フック82は、つまみ83を確実にめくるために、凸形状や三角形状とするのが好ましい。また、つまみ83は、蓋体3に対して内蓋組立体38を着脱する際の把持部として、内蓋リング41の一側から下方に延びて形成される。
そして、図13に示す蓋閉じ状態では、第1シール部74の外面が側壁15の上端面に密着し、第2シール部75の外面が側壁15の内周面に密着して、蓋パッキン40が鍋8の上部開口を塞ぐように吸い付いており、そこから蓋開ボタン26を押して、蓋体3を開けようとすると、図14に示す蓋開きの開始状態で、蓋パッキン40は引き続き鍋8に吸い付いているものの、内蓋リング41と共にフック82が上方に移動して、蓋パッキン40の引掛け部81に引掛かり、当該引掛け部81をめくり上げて、鍋8と蓋パッキン40との間に強制的にエアを入れる。これにより、鍋8に対する蓋パッキン40の吸い付きは無くなって、蓋体3を常時円滑に開けることが可能になる。
以上のように、ここでは蓋パッキン40の近傍に位置して、蓋パッキン40の外周部となる引掛け部81をめくる凸形状または三角形状のフック82が、内蓋枠となる内蓋リング41に設けられている。これにより、鍋8にわざわざ凹形状部76を設けなくても、蓋開きの開始時に内蓋リング41のフック82が蓋パッキン40の引掛け部81を確実にめくって、鍋8と蓋パッキン40との間に空気を強制的に入れることで、蓋パッキン40が鍋8に貼り付くことなく、蓋体3を常時円滑に開けることが可能になる。
また、蓋パッキン40の外周に、フック82に引掛かる形状を有する引掛け部81を設け、内蓋リング41に引掛け部81をめくる形状のフック82を設けることで、蓋体3を開く際に、内蓋リング41のフック82を蓋パッキン40の引掛け部81に引掛けて、そのままめくり上げることが可能になる。
次に、蓋体3の開閉動作に関する技術的特徴を説明する。従来の炊飯器は、蓋体3をヒンジバネの弾性力により自動的に開く構成となっていたが、近年は圧力式炊飯器やスチームレス炊飯器などの開発により、蓋体が重くなった分、バネトルクの強いヒンジバネに変化している。さらに、蓋開きの動作をスムーズにするために、揺動ダンパーを用いた炊飯器も提案されている。しかし、ヒンジバネに加えて揺動ダンパーも配置するためにコストが上昇し、ヒンジバネのトルクと揺動ダンパーのトルクの調節にも時間と費用を要する。
そこで本実施例では、従来のヒンジバネに代えて電動機を用いた蓋体3の開閉機構を提案する。図1で示したように、蓋体3若しくは本体2の内部後方には、本体2に対する蓋体3の回転駆動源となる第1電動機として、ステッピングモータなどのモータ27が配設される。また図15に示すように、蓋体3の内部前方には、クランプ85の回転駆動源となる第2電動機として、ステッピングモータなどのモータ86が配設される。クランプ85は、蓋体3の内部に設けたクランプシャフト87を中心として、外蓋カバー34に対し回転自在に軸支され、外蓋カバー34の下面から下方に突出して、断面略L字状の係合部88が形成される。また、本体1を構成する上枠5の上面前方には、係合受け部に相当するクランプ受け89が配設される。そして、モータ86によりクランプシャフト87を正方向または逆方向に回転させると、クランプシャフト87を中心にクランプ85が回動し、クランプ85の係合部88と上枠5のクランプ受け89とを係合または係合解除する構成となっている。
前述のように、蓋体3の前方上面には、蓋体3を開けるために操作される第1操作部としての蓋開ボタン26が配設される。また図示しないが、本体1の前面には、蓋体3を閉じるために操作される第2操作部としての蓋閉ボタンが配設される。制御手段64は、蓋開ボタン26が操作されると、モータ86により係合部88とクランプ受け89との係合を解除させた後に、モータ27により蓋体3を開くように、また蓋閉ボタンが操作されると、モータ27により蓋体3を閉じた後に、モータ86により係合部88とクランプ受け89とを再係合させるように、モータ27,86の動作をそれぞれ制御する。こうしたクランプ85の回動動作を含む蓋体3の開閉動作は、制御手段64がソレノイド47を非通電にしたとき、つまり鍋8の内部圧力が大気圧のときにのみ、行われる構成となっている。
なお変形例として、蓋開ボタンと蓋閉ボタンを共通の操作部として、例えば本体1の前面に設けてもよい。また、上記モータ86を設けずに、モータ27とクランプシャフト87との間に連結手段を設けることで、単独のモータ27により、クランプ85を係合または係合解除する構成としてもよい。
このように本実施例では、被調理物を入れる内釜としての鍋8と、鍋8を収納する本体2と、本体2に対して開閉する蓋体3とを備えた炊飯器1であって、蓋体3は、本体2との係合手段である係合部88と、本体2に対して回転自在に支持している蓋支軸としてのヒンジ軸28とを備え、ヒンジ軸28ひいては蓋体3を回動させる電動機としてのモータ27と、このモータ27と連動して、蓋体3を開けるときに係合部88の係合を解除させる制御手段64と、をさらに備えている。
この場合、蓋体3の開閉を電動のモータ27で行なうことで、従来のヒンジバネや揺動ダンパーを用いることなく、本体2に対し蓋体3をスムーズに開閉し、それに連動して蓋体3を開けるときに本体2と蓋体3との係合を自動的に解除することが可能になる。
また、上述の連結手段などを用いて、モータ27により係合部88を係合または係合解除する構成とすることにより、共通のモータ27を駆動源として、蓋体3と係合部88を連動させることが可能になる。
さらに、鍋8の内部圧力が大気圧のときに蓋体3の開閉動作が行われるように、制御手段64を構成することにより、鍋8の内部が加圧状態や減圧状態のときに、蓋体3が不意に開いてしまう不具合を防ぐことができる。
ところで従来は、モータ86に代えて、クランプ85の基端部91を蓋開ボタン26側に付勢するバネなどのクランプ付勢手段92が設けられ、これにより蓋開ボタン26を常時上方に押し上げ、且つ係合部88をクランプ受け89に係合させる力をクランプ85に作用させている(図15を参照)。しかし、クランプ85の係合部88とクランプ受け89が完全に係止しておらず、クランプ85の別な部位が本体1に係止する「半掛かり」の状態で、鍋8内の圧力が上昇すると、蓋体3が不意に開く虞れがある。そこで本実施例では、この「半掛かり」の状態でも、鍋8の内部が加圧状態とならない構造を提案する。
図16および図17は、「半掛かり」の状態でのクランプ85と、調圧フレーム94との位置関係を示したものである。これらの各図において、調圧フレーム94は、蓋体3の内部でソレノイド47に連動して移動可能に設けられ、ソレノイド47の非通電時には、蒸気排出経路44を開放するように調圧弁46を動かすと共に、クランプ85から離れるように調圧フレーム94を移動させる。このときの調圧フレーム94の位置を、「第1フレーム位置」とする。図16と図17には、何れも「第1フレーム位置」の調圧フレーム94が実線で示されている。
本実施例では、クランプ85の係合部88とクランプ受け89が完全に係止した状態は勿論、クランプ85の係合部88とクランプ受け89が「半掛かり」の状態であっても、クランプ付勢手段92の付勢に抗して蓋開ボタン26を押したときに、クランプ85が調圧フレーム94に当たることなく、クランプシャフト87を中心にして自由に回動できるように、「半掛かり」でのクランプ85の回転軌跡(図17の符号Rを参照)に合せて、基端部91に臨む調圧フレーム94の端部94Aを円弧状に形成している。これにより蓋開ボタン26を押せば、調圧フレーム94に干渉することなくクランプ85を自由に動かして、「半掛かり」の状態を簡単に解除できる。
一方、ソレノイド47の通電時には、蒸気排出経路44を閉塞するように調圧弁46を動かすと共に、クランプ85の係合部88がクランプ受け89に完全に係止した状態では、クランプ85の基端部91の下方に調圧フレーム94が潜り込むように、調圧フレーム94をクランプ85に向けて移動させる。このときの調圧フレーム94の位置を、「第2フレーム位置」とする。「第2フレーム位置」では、クランプ付勢手段92の付勢に抗して蓋開ボタン26を押し込もうとしても、クランプ85はその動きを規制されて、クランプ受け89との係合を解除できない。したがって、本体2に対し蓋体3が開かないようにロックし、蒸気排出経路44を調圧弁46で塞いだ状態で、鍋8の内部を外気よりも高い圧力の加圧状態にすることができる。
それに対して、クランプ85の係合部88とクランプ受け89が「半掛かり」の状態では、本体3に対し蓋体3が完全にロックされておらず、鍋8の内部が加圧状態になると、蓋体3のロックが不意に解除される虞がある。そこで本実施例では、図16に示すように、クランプ85が「半掛かり」状態の位置にあると、ソレノイド47を通電しても調圧フレーム94が「第2フレーム位置」まで移動せず、途中でクランプ85の基端部91に当接して、それ以上移動できないように構成している。このときの調圧フレーム94の位置、すなわち「第3フレーム位置」は、図16の符号Pで示される。
「第3フレーム位置」では、調圧弁46が蒸気排出経路44を塞いではおらず、鍋8の内部は引き続き外気と同じ圧力に維持される。したがって、「半掛かり」の状態で鍋8の内部が加圧されることはなく、蓋体3のロックが不意に解除される不具合が回避できる。
以上のように、ここでは本体2と、本体2を覆う蓋体3と、蓋体3にクランプシャフト87で軸支され、本体2と蓋体3とを係止する係止手段としてのクランプ85と、本体2に設けられ、クランプ85と係止または係止解除する受け部としてのクランプ受け89とを備え、蓋体3に調圧部42と、その調圧部42の調圧弁46を動作させる可動部としての調圧フレーム94を備えた炊飯器1において、クランプ85の係合部88とクランプ受け89との係合量が不十分な「半掛かり」の状態で、調圧フレーム94がクランプ85に途中で当たることで、調圧部42が鍋の内部を加圧状態にしない構成としている。
そのため、クランプ85の係合部88とクランプ受け89が「半掛かり」の状態となった場合に、調圧フレーム94の動作が規制されて、鍋8の内部が加圧されることはなく、簡単な構成で蓋体3のロックが不意に解除される不具合を回避することができる。
また「半掛かり」の状態では、クランプ85の基端部91の回転軌跡Rに合せて、端部94Aを円弧状に形成した調圧フレーム94を、ソレノイド47で動作させる構成となっている。これにより「半掛かり」の状態で、調圧フレーム94が「第1フレーム位置」にある場合は、円弧状の端部94Aを有することでクランプ85の回転軌跡を回避し、蓋3の開閉を支障なく行って、「半掛かり」の状態を簡単に解除することが可能となる。
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更可能である。例えば、上述した底部蒸気口59、上部蒸気口60、底部上蒸気口68、および底部下蒸気口69の位置や形状や数は、特に限定されない。それに応じて、弁体54,67の位置や形状や数も、適宜変更可能である。