JP2004261254A - 加熱調理器 - Google Patents
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Abstract
【課題】コンパクトで性能の良い製パン機兼用の炊飯器を得る。
【解決手段】本体ケース1と、蓋体6と、本体ケース1に着脱自在に載置した誘導加熱可能な内釜16と、この内釜16の下部外周部に設けた脚17と、内壁2の下部に設けた凹部4と、内釜16の底部を貫通し回転自在に装着した回転軸上22と、内釜16の底部に当接した温度検出装置と、内釜16の下部であって温度検出装置の外側に取り付けられた底容器48と、内釜16を誘導加熱する誘導加熱コイル47と、本体ケース1内の下方に配置したシャーシー37に固定したモーター43と、このモーター43の動力を回転軸上22に伝達し、内釜16の内底部に着脱自在で水密的に載置したパンケース24と、このパンケース24の底部に回転軸上22が貫通してパンケース24内に突出するとともに、この回転軸上22に着脱自在に装着した練り羽根60とを備えた加熱調理器。
【選択図】 図1
【解決手段】本体ケース1と、蓋体6と、本体ケース1に着脱自在に載置した誘導加熱可能な内釜16と、この内釜16の下部外周部に設けた脚17と、内壁2の下部に設けた凹部4と、内釜16の底部を貫通し回転自在に装着した回転軸上22と、内釜16の底部に当接した温度検出装置と、内釜16の下部であって温度検出装置の外側に取り付けられた底容器48と、内釜16を誘導加熱する誘導加熱コイル47と、本体ケース1内の下方に配置したシャーシー37に固定したモーター43と、このモーター43の動力を回転軸上22に伝達し、内釜16の内底部に着脱自在で水密的に載置したパンケース24と、このパンケース24の底部に回転軸上22が貫通してパンケース24内に突出するとともに、この回転軸上22に着脱自在に装着した練り羽根60とを備えた加熱調理器。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ジャー炊飯器と製パン器の両方の機能を兼ね備えた加熱調理器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来のこの種の加熱調理器としては、たとえば誘導加熱調理器であるジャー炊飯器として、例えば特許第3119402号公報が知られている。これは本体内に内鍋を着脱自在に収納する非磁性材料で構成した保護枠を有し、この保護枠底部または外周部に電線をコイル状に成形した誘導加熱コイルを配設し、インバータ回路装置を本体内底部に取り付け、誘導加熱コイルから発生する交番磁界により、調理物を入れた内鍋を加熱調理するものである。
【0003】
また、製パン機であって炊飯もできるものとして、例えば特許第2719802号公報が知られている。これは加熱室内に、パンの焼き型兼用の練り容器を着脱自在に装着し、練り容器に圧接した温度検知用センサーと加熱室を加熱するヒーターとを有し、製パンを行うと共に、焼き型兼用の練り容器に炊飯ふたをかぶせて炊飯兼用の容器とし、パンと炊飯を切替キーにより切替えて使用するものである。
【0004】
さらに、製パン機能付き炊飯器として、特開平9−164074号公報があるが、この炊飯器はガス炊飯器であって、炊飯用の内釜と、この内釜内にパン捏ね機能を有し、パン焼き兼用のパンケースを着脱自在に装着したもので、炊飯、パン焼き時はガスバーナーの火で内釜を加熱し、保温または発酵時はシーズヒーターを使って輻射熱で内釜を加熱するものである。
【0005】
【特許文献1】「特許第3119402号公報」
【特許文献2】「特許第2719802号公報」
【特許文献3】「特開平9−164074号公報」。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
前記従来例の特許第3119402号公報では、誘導加熱により高火力で調理ができるが、あくまでもジャー炊飯器であり、内鍋内で対流を起こしながら均一に炊きあげるような調理、例えば炊飯またはお粥等は上手にできるものである。また、多少制御方法を変えて、例えば練り上がった生地を投入して、内鍋の温度を上げて焼きを行った場合、あまり温度を上げずに短時間で焼けるケーキが焼ける程度で、パンの場合は上手く焼くことができないものであった。
【0007】
また、特許第2719802号公報では、炊飯とパン焼きが共にできるものであるが、加熱手段がシーズヒーターと、ファンによる熱風循環であり、加熱に時間がかかり、加熱が部分加熱であり、パンケース全体を均一に加熱するためには、パンケースとヒーター間のスペースを大きく取る必要があり、本体が大形化するという問題があった。また、パンケースが狭いので、炊飯を行った場合ご飯が取り出しにくい、さらに炊飯ふたをパンケース上に載せて炊飯するため、密閉度が悪く、長時間の保温をすると乾燥してしまう等の不具合があった。また、この機体ででき上がるパンは山形パンであるため、本体の高さを高くする要因となり、頭部の温度を周囲と同様にするためには、内蓋との隙間を十分に取る必要があった。
【0008】
さらに、従来例で記載した特開平9−164074号公報のものは、ガスバーナーの火で内釜を加熱して炊飯やパン焼きを行うものであるため、温度コントロールが難しく、また内ケースより外方への熱の逃げが大きく、熱効率の悪いものであった。また、内釜とパンケース間は、底面部が接触しており、間に断熱材などがないため、間接加熱と称してはいるが、完全な間接加熱とはなっておらず、底部については直接熱伝導している状態であるため、上部に比べると底部はかなり濃い目に焼き上がることになり、均一焼きが困難となるものである。
【0009】
また、パンケースは上部が開放状態であるため、焼き上がったパンは山形となる。そのために、上部のスペースを大きく取る必要があり、小形コンパクトにはなり得ないものである。
【0010】
さらに、内釜とパンケースの嵌合部において、回転防止部材や切欠部などと称される突起などが設けられており、パン生地を練り上げる際パンケースのラジアル方向の回り止めとはなるが、スラスト方向の持ち上がり防止機能はなく、従って練り工程の途中でパンケースが外れ、練り不可状態になる可能性を有するものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本発明は、基本構造は誘導加熱式のジャー炊飯器であり、炊飯、保温ができ、さらに練り、発酵、焼き機能を付加した、炊飯、自動パン焼き兼用機とするものである。
【0012】
具体的な構成としては、本体ケースと、この本体ケースの上部開口を覆い、蓋ヒーターを装着した内蓋とシールパッキンとを備えた開閉自在な蓋体と、前記本体ケースの開口部に着脱自在に載置した誘導加熱可能な内釜と、この内釜の下部外周に設けた脚と、本体ケースと一体または別体に設けた内壁の下部に全周または複数個所設けた凹部と、内釜の底部を貫通し回転自在に装着した回転軸上と、内釜の底部に当接した温度検出装置と、内釜の下部であって温度検出装置の外側に取り付けられた底容器と、この底容器の下面部に取り付けられ内釜の底面部を誘導加熱する誘導加熱コイルと、この誘導加熱コイルの下部で前記本体ケース内の下方に配置したシャーシーと、このシャーシーに取り付け固定したモーターと、このモーターの動力を減速手段と継ぎ手手段により回転軸上に伝達し、前記内釜の内底部に着脱自在でかつ水密的に載置したパンケースと、このパンケースの底部に設けた貫通穴を回転軸上が貫通してパンケース内に突出するとともに、この回転軸上に着脱自在に装着した練り羽根とを備えた構成の加熱調理器としたものである。
【0013】
また、脚は耐熱性の非金属材料で、円筒状または複数の突状に形成されているものであり、また内壁下部に設けた凹部に、脚に対応するようにリブを設け、このリブに脚を載置するようにしたものである。
【0014】
さらに、内釜の底部に装着した回転軸上の下端にはカップリング上が固定されているものであり、このカップリング上の下端の位置は、脚の下端の位置よりも上方に位置するように形成されているものである。
【0015】
本発明はこのような構成としたことにより、炊飯、保温はもちろん、パン焼き時にも誘導加熱コイルと蓋ヒーターを使用して内釜を誘導加熱するため、速熱され、内蓋と内釜で囲まれた内部は均一に加熱されたコンパクトな一種のオーブンとなり、内釜内にセットされたパンケースを均一に加熱するものであり、コンパクトで効率の良い炊飯、製パン兼用の加熱調理器が提供できる。
【0016】
さらに内釜に脚を設けたので、内釜を本体内に載置したときの位置決めとなり、また本体外に取り出した時の転倒防止ができるもので極めて使い勝手の良い加熱調理器とすることができるものである。
【0017】
【実施例】
以下本発明の一実施例を図1〜図8に基づいて詳細に説明する。
【0018】
図において、1は本体ケース、2は本体ケース1と一体または別体で構成した内壁である。この内壁2の外側には胴ヒーター69が巻き付けてある。3はこの内壁2と一体または別体で構成された本体ケース1の内底部である。4は前記内壁2の下部で、前記内底部3の外周部に構成された凹部で、全周または複数箇所構成されている。
【0019】
5は前記本体ケース1の開口部で、この開口部5はヒンジ7を中心にしてヒンジバネ8により、開閉自在に蓋体6で覆われている。9は本体ケース1側に取り付けた蓋体6のロック装置である。10は前記蓋体6の下部開口部に装着した内蓋で、中央部には複数個の蒸気穴68が設けられている。また、この内蓋10の上面側には蓋ヒーター11が装着されている。12は内蓋10の外周部に装着したシールパッキンで、開口部5内に内釜16を載置したとき、内釜16上面のフランジとの間を密閉するものである。
【0020】
13は前記蓋体6の上部開口部に装着した蒸気口ふた14内に載置された圧力調節弁である。15は蒸気口ふた14に設けた蒸気口である。前記内釜16内で発生した蒸気は前記内蓋10の蒸気穴68より蒸気口ふた14内に入り、圧力調節弁13を通り、蒸気口15より外方へ放出される。
【0021】
17は前記内釜16下部外周部に設けた円周状または突状に形成した複数個の脚であり、前記内壁2の下部に設けた凹部4に挿入し、この凹部4に設けた複数のリブ71上に載置される。これは、万一この凹部4内にゴミ等が落下してもこのゴミの上に載置した内釜16の脚17が乗り上げ、内釜16が傾くのを防止するためである。また、脚17は前記凹部4内に挿入したときの位置決め、および本体外に取り出したとき、内釜16底部中央部は突出部18が下方に突出しているため、転倒防止用の支えとなるものである。
【0022】
19は前記した突出部18の下部に圧入固定された軸受上である。20はオイルシールでこのオイルシール20の上面部には断面三角状のラビリンス21がリング状に形成されている。22は軸受上19、オイルシール20を貫通して内釜16内に突出した回転軸上で、下端にはカップリング上35が固定されている。
【0023】
従って、内釜16の下部外周部には脚17が設けられており、また底部の突出部18には、軸受上19、オイルシール20、カップリング上35が各取り付けられている。さらにカップリング上35の下端の位置は、脚17の下端の位置よりも上方に位置するように形成されているものである。これにより、内釜16を本体側から外して床面などに置いたときに一番下に位置するカップリング上35の位置でも、床面に対して所定の隙間が確保され、転倒を防止できる。
【0024】
23は前記突出部18の内面側上部に複数個形成した嵌合突起で、この嵌合突起23に、パンケース24の底部中央部に設けた突出部26の外側に耐熱性の非金属材料で構成した容器台27を装着し、この容器台27の外周部に設けた複数の嵌合突起28をバヨネット式にねじって嵌合固定する。このとき前記回転軸上22は前記パンケース24の突出部26に設けた貫通穴62を貫通してパンケース24内に突出すると共に、前記突出部26の下面は前記オイルシール20に設けたラビリンス21に接触し、水密的に固定される構成をなすものである。さらに、パンケース24の上端開口部は内蓋10の下面側に当接するように構成されているものである。また25は前記パンケース24の側面に複数個設けたリブである。
【0025】
29は前記内釜16の突出部18の外周部に設けた段部で、この段部29にリング状に形成したサーモケース31内に温度検知センサー30を収納した温度検出装置32が当接し、サーモバネ33にて上方に付勢しており、下部の複数の爪34を内底部3の貫通穴70に挿入し、抜け止めとしている。
【0026】
36は前記本体ケース1の内壁2の下部に設けた凹部4の下部に複数箇所設けた取り付け用ボスで、このボス36の下にシャーシー37を取り付け固定している。38はシャーシー37に取り付け固定した受け台で、軸心を前記内釜16の回転軸上22に合せてある。39は前記受け台38に圧入固定した軸受下で、回転軸下40が回転自在に挿入されている。41はこの回転軸下40の上部に挿入載置したプーリーで、このプーリー41の上側にはカップリング下42が取り付け固定されている。43は前記シャーシー37に取り付け固定されたモーターでこのモーター43の動力をモータープーリー44、ベルト45、プーリー41に伝達し、カップリング下42、カップリング上35を介して回転軸上22に伝達する。
【0027】
46は耐熱性、絶縁性の高い材料で形成された巻き枠で、前記内釜16の下部にあって、耐熱性、絶縁性の高い材料で形成された底容器48と共に誘導加熱コイル47を巻くように形成している。49はコイルの下に複数個取り付けられたフェライトで、誘導加熱コイル47による交番磁界が、他の部分へ悪影響を及ぼさないように下方向への磁界を吸収している。50はアルミ等の非磁性材料で構成された遮蔽板で、より確実に誘導加熱コイル47による交番磁界が、他の部分へ悪影響を及ぼさないように側面及び下方向への磁界を遮蔽している。
【0028】
51は底枠で、本体ケース1の底部開口部を覆っている。52は底枠51に一体または別体で形成した複数個の足である。53は電源側制御装置で、インバータ回路を構成し、操作側制御装置54と共に制御装置を構成している。55は操作側制御装置54部を構成する液晶等の表示部である。56は操作側制御装置54部の操作パネルである。57はコードリールである。58は本体を持ち運ぶためのハンドルである。
【0029】
59は内釜16と内蓋10とパンケース24とで囲まれた加熱室(空間部)である。60はパンケース24内に突出した回転軸上22に挿入し、パンケース24とは所定の隙間を保持して、回転軸上22の回転により回転する練り羽根である。61は練り羽根60に設けたブレードである。
【0030】
63は前記本体ケース1の上部の左右に設けた切り欠き部で、前記内釜16上部の鍔部64の左右に設けた内釜トッテ65を持って、内釜16を本体内にセットしたときの、内釜トッテ65の逃げとなる部分である。66は前記パンケース24の上端カール部に、前後または左右に対向して設けたパンケース鍔部で、この鍔部66に設けた穴にパンケーストッテ67を挿入して回転自在に取り付けてある。
【0031】
以下、本実施例の動作について説明する。
【0032】
まず、ジャー炊飯器として使用する場合を説明する。ボタンを押してロック装置9を解除すると、蓋体6がヒンジバネ8の作用によりヒンジ7を中心に回動し開く。次に内釜16内にセットしてあるパンケース24を外す方向にねじると、バヨネット機構部が外れ、引き上げると、練り羽根60と共に外れる。
【0033】
次に内釜16を上方に引き上げると、カップリング上35より上の部分が本体側より切り離され、外れる。このとき内釜16底面より下方に突出部18が出っ張っているが、外周部にリング状または突状に複数本設けた脚17があり、一番下に位置するカップリング上35の位置でも、床面に対して所定の隙間が確保され、転倒を防止できる。
【0034】
次に水洗いした米と所定量の水を内釜16内に入れ、この内釜16を本体ケース1の開口部5にセットし、蓋体6を被せる。次にコードリール57よりコードを引き出して、電源を接続し、操作パネル56部のスタートキーを操作すると、予めプログラムされたシーケンスにより、炊飯を開始する。このとき、電源を入れたときのイニシャルメニューは必ず炊飯メニューとしてある。
【0035】
炊飯中は、内釜16底部の段部29に当接された温度検出装置32からの温度情報等により、制御装置53、54にて、誘導加熱コイル47及び蓋ヒーター11を制御する。また途中でおねばの噴出を防止するよう、蓋ヒーター11の制御も行われる。また、蓋体6にセットされた圧力調節弁13の働きにより、内蓋10、シールパッキン12、内釜16で囲まれた加熱室59内の圧力を所定の圧力に調節し、おいしいご飯に炊き上げる。炊き上がりを検知すると、保温に切り換わり、蓋ヒーター11及び胴ヒーター69に通電され、所定の時間まで所定の温度で保温される。
【0036】
次に、製パン機として使用する場合について説明する。炊飯器の場合と同様にまずボタンを押してロック装置9を解除すると、蓋体6がヒンジバネ8の作用によりヒンジ7を中心に回動し開く。次に内釜16内にセットしてあるパンケース24は外さず、セットしたまま内釜16を上方に引き上げると、カップリング上35より上の部分が本体側より切り離され、外れる。このとき前記炊飯器の場合で説明した通り、外周部にリング状または複数本設けた脚17があり、一番下に位置するカップリング上35の位置でも、床面に対して所定の隙間が確保されるので、転倒を防止できる。
【0037】
次にパンケース24内に突出した回転軸上22に練り羽根60をセットした状態で、パンケース24内に水、小麦粉等のパン材料を所定量ずつ計量して入れ、内釜16とパンケース24に練り羽根60をセットしたままの状態で、本体ケース1の開口部5にセットし、蓋体6を被せる。次にコードリール57よりコードを引き出し、電源を接続し、操作パネル56部のメニューキーを操作して食パンメニューにし、スタートキーを押すと、予めプログラムされたシーケンスにより製パンを開始する。
【0038】
製パン中は、内釜16底部の段部29に当接された温度検出装置32からの温度情報等により、制御装置53、54にて、モーター43、誘導加熱コイル47及び蓋ヒーター11を制御し、所定の温度、時間で動作し、練り、ねかし、一次発酵、ガス抜き、二次発酵、焼き等の一連の工程を経てパンに焼き上げる。
【0039】
またこのとき、例えば特許第2719802号公報に見るように、一般的な製パン機では、パンケースの上方が開放状態であり、そのため膨らみ放題の木目の粗い山形パンとなる。しかしながら、本発明の場合は、パンケース24上面の開口部を内蓋10に当接する位置関係としているため、内蓋10とパンケース24で挟まれ、密閉された状態の中で練り上がり、発酵し、膨らむので、パン生地は乾燥することなく、十分に保湿した柔らかいパン生地となる。
【0040】
また、ガス抜き後の二次発酵で十分に膨らんだパン生地は、頭部が内蓋10に当たり、これ以上は上方には伸びないため、前記内蓋10とパンケース24で構成する焼型内で膨張することになるため、生地内の隙間を埋める如く膨張し、木目が非常に細かくなる。
【0041】
焼き工程に入ると、誘導加熱コイル47と蓋ヒーター11に通電される。誘導加熱コイル47の場合は、内釜16の底部が、発生する交番磁界により加熱される。内釜16は肉厚に成形されているので、非常に熱伝導が良く、短時間のうちに所望の焼き温度に達し、保持される。一方、蓋ヒーター11の場合も同様に通電されると所望の温度に達し、保持される。
【0042】
従って、パンケース24内のパン生地は、高温のオーブンの中に投入された如く、間接的に高温で加熱され、短時間のうちにパンに焼き上がるので、パンの皮は薄く、木目が細かく、柔らかく、おいしいパンに焼き上がるものである。従って、焼き上がったパンは、山形のパンとはならず、頭部が押さえられた、一般的に最も好まれているプルマンタイプ(四角)のパンとなるものである。焼き上がったら、メロディー等の報知手段により知らせ、蓋ヒーター11、胴ヒーター69に通電され、所定の温度で所定の時間保温するものである。
【0043】
焼き上がったパンを取り出すときは、電源を切り、ボタンを押してロック装置9を解除すると、蓋体6はヒンジバネ8の作用によりヒンジ7を中心に回動し開くものである。このときパンの上面はきれいなきつね色に焼き上がっているので、内蓋10にくっ付くことがない。
【0044】
次に、内釜16は本体に挿入したままで、ミトン等を使用してパンケース24を解除方向にねじり、バヨネット機構部を外してパンケーストッテ67を持ち上げると、練り羽根60がパンの中に埋もれたまま取り出される。次にパンケース24を逆さにして振ると、練り羽根60がパンの底部に埋もれたまま、パンが取り出される。練り羽根60はパン底から取り出す。
【0045】
このように、本実施例によるパンは製パン機で一般的に作られる山形パンではなく、一般に売られているプルマンタイプ(四角)の食パンとしたので、パンケース24や加熱室59の高さを低めに押さえることができ、従って本体高さを低く押さえることができ、小型コンパクト化が実現でき、皮は薄く、木目細かな、柔らかい、おいしいパンに仕上げることができるものである。
【0046】
以上のように、本加熱調理器は便利で性能が良く、小形コンパクトな炊飯器兼用製パン機として提供できるものである。
【0047】
【発明の効果】
以上、本発明はこのような構成としたことにより、パンケースや加熱室の高さを低めに押さえることができ、従って、本体高さを低く押さえることが可能となり、小型コンパクト化が実現でき、さらに炊飯器と製パン器とを一台で兼用としたので、狭い台所へ置くことも可能となり、好みによりご飯とパンを使い分けることができ、極めて便利な加熱調理器を提供することができるものである。
【0048】
また、誘導加熱方式としたことで加熱の立ち上がりが早く、効率のよい加熱が行え、高性能の加熱調理器となり、炊飯はもとより、製パンでも皮は薄く、木目細かな、柔らかい、おいしいパンに仕上げることができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す加熱調理器の断面図である。
【図2】同じく断面図であり、内釜などを取り外した状態である。
【図3】同じく分解斜視図である。
【図4】同じく斜視図であり、内釜を挿入した状態である。
【図5】同じく斜視図であり、内釜とパンケースを挿入した状態である。
【図6】同じく要部拡大断面図である。
【図7】同じく断面図であり、炊飯状態を示す図である。
【図8】同じく断面図であり、パン焼き状態を示す図である。
【符号の説明】
1:本体ケース、2:内壁、4:凹部、6:蓋体、10:内蓋、11:蓋ヒーター、12:シールパッキン、16:内釜、17:脚、18:突出部、20:オイルシール、21:ラビリンス、22:回転軸上、24:パンケース、32:温度検出装置、35:カップリング上、37:シャーシー、42:カップリング下、43:モーター、47:誘導加熱コイル、48:底容器、53:電源側制御装置、54:操作側制御装置、60:練り羽根、62:貫通穴、71:リブ。
【発明の属する技術分野】
本発明は、ジャー炊飯器と製パン器の両方の機能を兼ね備えた加熱調理器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来のこの種の加熱調理器としては、たとえば誘導加熱調理器であるジャー炊飯器として、例えば特許第3119402号公報が知られている。これは本体内に内鍋を着脱自在に収納する非磁性材料で構成した保護枠を有し、この保護枠底部または外周部に電線をコイル状に成形した誘導加熱コイルを配設し、インバータ回路装置を本体内底部に取り付け、誘導加熱コイルから発生する交番磁界により、調理物を入れた内鍋を加熱調理するものである。
【0003】
また、製パン機であって炊飯もできるものとして、例えば特許第2719802号公報が知られている。これは加熱室内に、パンの焼き型兼用の練り容器を着脱自在に装着し、練り容器に圧接した温度検知用センサーと加熱室を加熱するヒーターとを有し、製パンを行うと共に、焼き型兼用の練り容器に炊飯ふたをかぶせて炊飯兼用の容器とし、パンと炊飯を切替キーにより切替えて使用するものである。
【0004】
さらに、製パン機能付き炊飯器として、特開平9−164074号公報があるが、この炊飯器はガス炊飯器であって、炊飯用の内釜と、この内釜内にパン捏ね機能を有し、パン焼き兼用のパンケースを着脱自在に装着したもので、炊飯、パン焼き時はガスバーナーの火で内釜を加熱し、保温または発酵時はシーズヒーターを使って輻射熱で内釜を加熱するものである。
【0005】
【特許文献1】「特許第3119402号公報」
【特許文献2】「特許第2719802号公報」
【特許文献3】「特開平9−164074号公報」。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
前記従来例の特許第3119402号公報では、誘導加熱により高火力で調理ができるが、あくまでもジャー炊飯器であり、内鍋内で対流を起こしながら均一に炊きあげるような調理、例えば炊飯またはお粥等は上手にできるものである。また、多少制御方法を変えて、例えば練り上がった生地を投入して、内鍋の温度を上げて焼きを行った場合、あまり温度を上げずに短時間で焼けるケーキが焼ける程度で、パンの場合は上手く焼くことができないものであった。
【0007】
また、特許第2719802号公報では、炊飯とパン焼きが共にできるものであるが、加熱手段がシーズヒーターと、ファンによる熱風循環であり、加熱に時間がかかり、加熱が部分加熱であり、パンケース全体を均一に加熱するためには、パンケースとヒーター間のスペースを大きく取る必要があり、本体が大形化するという問題があった。また、パンケースが狭いので、炊飯を行った場合ご飯が取り出しにくい、さらに炊飯ふたをパンケース上に載せて炊飯するため、密閉度が悪く、長時間の保温をすると乾燥してしまう等の不具合があった。また、この機体ででき上がるパンは山形パンであるため、本体の高さを高くする要因となり、頭部の温度を周囲と同様にするためには、内蓋との隙間を十分に取る必要があった。
【0008】
さらに、従来例で記載した特開平9−164074号公報のものは、ガスバーナーの火で内釜を加熱して炊飯やパン焼きを行うものであるため、温度コントロールが難しく、また内ケースより外方への熱の逃げが大きく、熱効率の悪いものであった。また、内釜とパンケース間は、底面部が接触しており、間に断熱材などがないため、間接加熱と称してはいるが、完全な間接加熱とはなっておらず、底部については直接熱伝導している状態であるため、上部に比べると底部はかなり濃い目に焼き上がることになり、均一焼きが困難となるものである。
【0009】
また、パンケースは上部が開放状態であるため、焼き上がったパンは山形となる。そのために、上部のスペースを大きく取る必要があり、小形コンパクトにはなり得ないものである。
【0010】
さらに、内釜とパンケースの嵌合部において、回転防止部材や切欠部などと称される突起などが設けられており、パン生地を練り上げる際パンケースのラジアル方向の回り止めとはなるが、スラスト方向の持ち上がり防止機能はなく、従って練り工程の途中でパンケースが外れ、練り不可状態になる可能性を有するものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本発明は、基本構造は誘導加熱式のジャー炊飯器であり、炊飯、保温ができ、さらに練り、発酵、焼き機能を付加した、炊飯、自動パン焼き兼用機とするものである。
【0012】
具体的な構成としては、本体ケースと、この本体ケースの上部開口を覆い、蓋ヒーターを装着した内蓋とシールパッキンとを備えた開閉自在な蓋体と、前記本体ケースの開口部に着脱自在に載置した誘導加熱可能な内釜と、この内釜の下部外周に設けた脚と、本体ケースと一体または別体に設けた内壁の下部に全周または複数個所設けた凹部と、内釜の底部を貫通し回転自在に装着した回転軸上と、内釜の底部に当接した温度検出装置と、内釜の下部であって温度検出装置の外側に取り付けられた底容器と、この底容器の下面部に取り付けられ内釜の底面部を誘導加熱する誘導加熱コイルと、この誘導加熱コイルの下部で前記本体ケース内の下方に配置したシャーシーと、このシャーシーに取り付け固定したモーターと、このモーターの動力を減速手段と継ぎ手手段により回転軸上に伝達し、前記内釜の内底部に着脱自在でかつ水密的に載置したパンケースと、このパンケースの底部に設けた貫通穴を回転軸上が貫通してパンケース内に突出するとともに、この回転軸上に着脱自在に装着した練り羽根とを備えた構成の加熱調理器としたものである。
【0013】
また、脚は耐熱性の非金属材料で、円筒状または複数の突状に形成されているものであり、また内壁下部に設けた凹部に、脚に対応するようにリブを設け、このリブに脚を載置するようにしたものである。
【0014】
さらに、内釜の底部に装着した回転軸上の下端にはカップリング上が固定されているものであり、このカップリング上の下端の位置は、脚の下端の位置よりも上方に位置するように形成されているものである。
【0015】
本発明はこのような構成としたことにより、炊飯、保温はもちろん、パン焼き時にも誘導加熱コイルと蓋ヒーターを使用して内釜を誘導加熱するため、速熱され、内蓋と内釜で囲まれた内部は均一に加熱されたコンパクトな一種のオーブンとなり、内釜内にセットされたパンケースを均一に加熱するものであり、コンパクトで効率の良い炊飯、製パン兼用の加熱調理器が提供できる。
【0016】
さらに内釜に脚を設けたので、内釜を本体内に載置したときの位置決めとなり、また本体外に取り出した時の転倒防止ができるもので極めて使い勝手の良い加熱調理器とすることができるものである。
【0017】
【実施例】
以下本発明の一実施例を図1〜図8に基づいて詳細に説明する。
【0018】
図において、1は本体ケース、2は本体ケース1と一体または別体で構成した内壁である。この内壁2の外側には胴ヒーター69が巻き付けてある。3はこの内壁2と一体または別体で構成された本体ケース1の内底部である。4は前記内壁2の下部で、前記内底部3の外周部に構成された凹部で、全周または複数箇所構成されている。
【0019】
5は前記本体ケース1の開口部で、この開口部5はヒンジ7を中心にしてヒンジバネ8により、開閉自在に蓋体6で覆われている。9は本体ケース1側に取り付けた蓋体6のロック装置である。10は前記蓋体6の下部開口部に装着した内蓋で、中央部には複数個の蒸気穴68が設けられている。また、この内蓋10の上面側には蓋ヒーター11が装着されている。12は内蓋10の外周部に装着したシールパッキンで、開口部5内に内釜16を載置したとき、内釜16上面のフランジとの間を密閉するものである。
【0020】
13は前記蓋体6の上部開口部に装着した蒸気口ふた14内に載置された圧力調節弁である。15は蒸気口ふた14に設けた蒸気口である。前記内釜16内で発生した蒸気は前記内蓋10の蒸気穴68より蒸気口ふた14内に入り、圧力調節弁13を通り、蒸気口15より外方へ放出される。
【0021】
17は前記内釜16下部外周部に設けた円周状または突状に形成した複数個の脚であり、前記内壁2の下部に設けた凹部4に挿入し、この凹部4に設けた複数のリブ71上に載置される。これは、万一この凹部4内にゴミ等が落下してもこのゴミの上に載置した内釜16の脚17が乗り上げ、内釜16が傾くのを防止するためである。また、脚17は前記凹部4内に挿入したときの位置決め、および本体外に取り出したとき、内釜16底部中央部は突出部18が下方に突出しているため、転倒防止用の支えとなるものである。
【0022】
19は前記した突出部18の下部に圧入固定された軸受上である。20はオイルシールでこのオイルシール20の上面部には断面三角状のラビリンス21がリング状に形成されている。22は軸受上19、オイルシール20を貫通して内釜16内に突出した回転軸上で、下端にはカップリング上35が固定されている。
【0023】
従って、内釜16の下部外周部には脚17が設けられており、また底部の突出部18には、軸受上19、オイルシール20、カップリング上35が各取り付けられている。さらにカップリング上35の下端の位置は、脚17の下端の位置よりも上方に位置するように形成されているものである。これにより、内釜16を本体側から外して床面などに置いたときに一番下に位置するカップリング上35の位置でも、床面に対して所定の隙間が確保され、転倒を防止できる。
【0024】
23は前記突出部18の内面側上部に複数個形成した嵌合突起で、この嵌合突起23に、パンケース24の底部中央部に設けた突出部26の外側に耐熱性の非金属材料で構成した容器台27を装着し、この容器台27の外周部に設けた複数の嵌合突起28をバヨネット式にねじって嵌合固定する。このとき前記回転軸上22は前記パンケース24の突出部26に設けた貫通穴62を貫通してパンケース24内に突出すると共に、前記突出部26の下面は前記オイルシール20に設けたラビリンス21に接触し、水密的に固定される構成をなすものである。さらに、パンケース24の上端開口部は内蓋10の下面側に当接するように構成されているものである。また25は前記パンケース24の側面に複数個設けたリブである。
【0025】
29は前記内釜16の突出部18の外周部に設けた段部で、この段部29にリング状に形成したサーモケース31内に温度検知センサー30を収納した温度検出装置32が当接し、サーモバネ33にて上方に付勢しており、下部の複数の爪34を内底部3の貫通穴70に挿入し、抜け止めとしている。
【0026】
36は前記本体ケース1の内壁2の下部に設けた凹部4の下部に複数箇所設けた取り付け用ボスで、このボス36の下にシャーシー37を取り付け固定している。38はシャーシー37に取り付け固定した受け台で、軸心を前記内釜16の回転軸上22に合せてある。39は前記受け台38に圧入固定した軸受下で、回転軸下40が回転自在に挿入されている。41はこの回転軸下40の上部に挿入載置したプーリーで、このプーリー41の上側にはカップリング下42が取り付け固定されている。43は前記シャーシー37に取り付け固定されたモーターでこのモーター43の動力をモータープーリー44、ベルト45、プーリー41に伝達し、カップリング下42、カップリング上35を介して回転軸上22に伝達する。
【0027】
46は耐熱性、絶縁性の高い材料で形成された巻き枠で、前記内釜16の下部にあって、耐熱性、絶縁性の高い材料で形成された底容器48と共に誘導加熱コイル47を巻くように形成している。49はコイルの下に複数個取り付けられたフェライトで、誘導加熱コイル47による交番磁界が、他の部分へ悪影響を及ぼさないように下方向への磁界を吸収している。50はアルミ等の非磁性材料で構成された遮蔽板で、より確実に誘導加熱コイル47による交番磁界が、他の部分へ悪影響を及ぼさないように側面及び下方向への磁界を遮蔽している。
【0028】
51は底枠で、本体ケース1の底部開口部を覆っている。52は底枠51に一体または別体で形成した複数個の足である。53は電源側制御装置で、インバータ回路を構成し、操作側制御装置54と共に制御装置を構成している。55は操作側制御装置54部を構成する液晶等の表示部である。56は操作側制御装置54部の操作パネルである。57はコードリールである。58は本体を持ち運ぶためのハンドルである。
【0029】
59は内釜16と内蓋10とパンケース24とで囲まれた加熱室(空間部)である。60はパンケース24内に突出した回転軸上22に挿入し、パンケース24とは所定の隙間を保持して、回転軸上22の回転により回転する練り羽根である。61は練り羽根60に設けたブレードである。
【0030】
63は前記本体ケース1の上部の左右に設けた切り欠き部で、前記内釜16上部の鍔部64の左右に設けた内釜トッテ65を持って、内釜16を本体内にセットしたときの、内釜トッテ65の逃げとなる部分である。66は前記パンケース24の上端カール部に、前後または左右に対向して設けたパンケース鍔部で、この鍔部66に設けた穴にパンケーストッテ67を挿入して回転自在に取り付けてある。
【0031】
以下、本実施例の動作について説明する。
【0032】
まず、ジャー炊飯器として使用する場合を説明する。ボタンを押してロック装置9を解除すると、蓋体6がヒンジバネ8の作用によりヒンジ7を中心に回動し開く。次に内釜16内にセットしてあるパンケース24を外す方向にねじると、バヨネット機構部が外れ、引き上げると、練り羽根60と共に外れる。
【0033】
次に内釜16を上方に引き上げると、カップリング上35より上の部分が本体側より切り離され、外れる。このとき内釜16底面より下方に突出部18が出っ張っているが、外周部にリング状または突状に複数本設けた脚17があり、一番下に位置するカップリング上35の位置でも、床面に対して所定の隙間が確保され、転倒を防止できる。
【0034】
次に水洗いした米と所定量の水を内釜16内に入れ、この内釜16を本体ケース1の開口部5にセットし、蓋体6を被せる。次にコードリール57よりコードを引き出して、電源を接続し、操作パネル56部のスタートキーを操作すると、予めプログラムされたシーケンスにより、炊飯を開始する。このとき、電源を入れたときのイニシャルメニューは必ず炊飯メニューとしてある。
【0035】
炊飯中は、内釜16底部の段部29に当接された温度検出装置32からの温度情報等により、制御装置53、54にて、誘導加熱コイル47及び蓋ヒーター11を制御する。また途中でおねばの噴出を防止するよう、蓋ヒーター11の制御も行われる。また、蓋体6にセットされた圧力調節弁13の働きにより、内蓋10、シールパッキン12、内釜16で囲まれた加熱室59内の圧力を所定の圧力に調節し、おいしいご飯に炊き上げる。炊き上がりを検知すると、保温に切り換わり、蓋ヒーター11及び胴ヒーター69に通電され、所定の時間まで所定の温度で保温される。
【0036】
次に、製パン機として使用する場合について説明する。炊飯器の場合と同様にまずボタンを押してロック装置9を解除すると、蓋体6がヒンジバネ8の作用によりヒンジ7を中心に回動し開く。次に内釜16内にセットしてあるパンケース24は外さず、セットしたまま内釜16を上方に引き上げると、カップリング上35より上の部分が本体側より切り離され、外れる。このとき前記炊飯器の場合で説明した通り、外周部にリング状または複数本設けた脚17があり、一番下に位置するカップリング上35の位置でも、床面に対して所定の隙間が確保されるので、転倒を防止できる。
【0037】
次にパンケース24内に突出した回転軸上22に練り羽根60をセットした状態で、パンケース24内に水、小麦粉等のパン材料を所定量ずつ計量して入れ、内釜16とパンケース24に練り羽根60をセットしたままの状態で、本体ケース1の開口部5にセットし、蓋体6を被せる。次にコードリール57よりコードを引き出し、電源を接続し、操作パネル56部のメニューキーを操作して食パンメニューにし、スタートキーを押すと、予めプログラムされたシーケンスにより製パンを開始する。
【0038】
製パン中は、内釜16底部の段部29に当接された温度検出装置32からの温度情報等により、制御装置53、54にて、モーター43、誘導加熱コイル47及び蓋ヒーター11を制御し、所定の温度、時間で動作し、練り、ねかし、一次発酵、ガス抜き、二次発酵、焼き等の一連の工程を経てパンに焼き上げる。
【0039】
またこのとき、例えば特許第2719802号公報に見るように、一般的な製パン機では、パンケースの上方が開放状態であり、そのため膨らみ放題の木目の粗い山形パンとなる。しかしながら、本発明の場合は、パンケース24上面の開口部を内蓋10に当接する位置関係としているため、内蓋10とパンケース24で挟まれ、密閉された状態の中で練り上がり、発酵し、膨らむので、パン生地は乾燥することなく、十分に保湿した柔らかいパン生地となる。
【0040】
また、ガス抜き後の二次発酵で十分に膨らんだパン生地は、頭部が内蓋10に当たり、これ以上は上方には伸びないため、前記内蓋10とパンケース24で構成する焼型内で膨張することになるため、生地内の隙間を埋める如く膨張し、木目が非常に細かくなる。
【0041】
焼き工程に入ると、誘導加熱コイル47と蓋ヒーター11に通電される。誘導加熱コイル47の場合は、内釜16の底部が、発生する交番磁界により加熱される。内釜16は肉厚に成形されているので、非常に熱伝導が良く、短時間のうちに所望の焼き温度に達し、保持される。一方、蓋ヒーター11の場合も同様に通電されると所望の温度に達し、保持される。
【0042】
従って、パンケース24内のパン生地は、高温のオーブンの中に投入された如く、間接的に高温で加熱され、短時間のうちにパンに焼き上がるので、パンの皮は薄く、木目が細かく、柔らかく、おいしいパンに焼き上がるものである。従って、焼き上がったパンは、山形のパンとはならず、頭部が押さえられた、一般的に最も好まれているプルマンタイプ(四角)のパンとなるものである。焼き上がったら、メロディー等の報知手段により知らせ、蓋ヒーター11、胴ヒーター69に通電され、所定の温度で所定の時間保温するものである。
【0043】
焼き上がったパンを取り出すときは、電源を切り、ボタンを押してロック装置9を解除すると、蓋体6はヒンジバネ8の作用によりヒンジ7を中心に回動し開くものである。このときパンの上面はきれいなきつね色に焼き上がっているので、内蓋10にくっ付くことがない。
【0044】
次に、内釜16は本体に挿入したままで、ミトン等を使用してパンケース24を解除方向にねじり、バヨネット機構部を外してパンケーストッテ67を持ち上げると、練り羽根60がパンの中に埋もれたまま取り出される。次にパンケース24を逆さにして振ると、練り羽根60がパンの底部に埋もれたまま、パンが取り出される。練り羽根60はパン底から取り出す。
【0045】
このように、本実施例によるパンは製パン機で一般的に作られる山形パンではなく、一般に売られているプルマンタイプ(四角)の食パンとしたので、パンケース24や加熱室59の高さを低めに押さえることができ、従って本体高さを低く押さえることができ、小型コンパクト化が実現でき、皮は薄く、木目細かな、柔らかい、おいしいパンに仕上げることができるものである。
【0046】
以上のように、本加熱調理器は便利で性能が良く、小形コンパクトな炊飯器兼用製パン機として提供できるものである。
【0047】
【発明の効果】
以上、本発明はこのような構成としたことにより、パンケースや加熱室の高さを低めに押さえることができ、従って、本体高さを低く押さえることが可能となり、小型コンパクト化が実現でき、さらに炊飯器と製パン器とを一台で兼用としたので、狭い台所へ置くことも可能となり、好みによりご飯とパンを使い分けることができ、極めて便利な加熱調理器を提供することができるものである。
【0048】
また、誘導加熱方式としたことで加熱の立ち上がりが早く、効率のよい加熱が行え、高性能の加熱調理器となり、炊飯はもとより、製パンでも皮は薄く、木目細かな、柔らかい、おいしいパンに仕上げることができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す加熱調理器の断面図である。
【図2】同じく断面図であり、内釜などを取り外した状態である。
【図3】同じく分解斜視図である。
【図4】同じく斜視図であり、内釜を挿入した状態である。
【図5】同じく斜視図であり、内釜とパンケースを挿入した状態である。
【図6】同じく要部拡大断面図である。
【図7】同じく断面図であり、炊飯状態を示す図である。
【図8】同じく断面図であり、パン焼き状態を示す図である。
【符号の説明】
1:本体ケース、2:内壁、4:凹部、6:蓋体、10:内蓋、11:蓋ヒーター、12:シールパッキン、16:内釜、17:脚、18:突出部、20:オイルシール、21:ラビリンス、22:回転軸上、24:パンケース、32:温度検出装置、35:カップリング上、37:シャーシー、42:カップリング下、43:モーター、47:誘導加熱コイル、48:底容器、53:電源側制御装置、54:操作側制御装置、60:練り羽根、62:貫通穴、71:リブ。
Claims (4)
- 本体ケース(1)と、この本体ケース(1)の上部開口部(5)を覆い、蓋ヒーター(11)を装着した内蓋(10)とシールパッキン(12)とを備えた開閉自在な蓋体(6)と、前記本体ケース(1)の開口部(5)に着脱自在に載置した誘導加熱可能な内釜(16)と、この内釜(16)の下部外周に設けた脚(17)と、本体ケース(1)と一体または別体に設けた内壁(2)の下部に全周または複数個所設けた凹部(4)と、内釜(16)の底部を貫通し回転自在に装着した回転軸上(22)と、内釜(16)の底部に当接した温度検出装置(32)と、内釜(16)の下部であって温度検出装置(32)の外側に取り付けられた底容器(48)と、この底容器(48)の下面部に取り付けられ内釜(16)の底面部を誘導加熱する誘導加熱コイル(47)と、この誘導加熱コイル(47)の下部で前記本体ケース(1)内の下方に配置したシャーシー(37)と、このシャーシー(37)に取り付け固定したモーター(43)と、このモーター(43)の動力を減速手段と継ぎ手手段により回転軸上(22)に伝達する構成となし、さらに前記内釜(16)の内底部に着脱自在で、かつ水密的に載置したパンケース(24)と、このパンケース(24)の底部に設けた貫通穴(62)を回転軸上(22)が貫通してパンケース(24)内に突出すると共に、この回転軸上(22)に着脱自在に装着した練り羽根(60)とを備えたことを特徴とする加熱調理器。
- 脚(17)は耐熱性の非金属材料で、円筒状または複数の突状に形成されていることを特徴とする請求項1記載の加熱調理器。
- 内壁(2)下部に設けた凹部(4)に、脚(17)に対応するようにリブ(71)を設けたことを特徴とする請求項1記載の加熱調理器。
- 内釜(16)の底部に装着した回転軸上(22)の下端に固定されたカップリング上(35)の下端の位置は、脚(17)の下端の位置よりも上方にあることを特徴とする請求項1記載の加熱調理器。
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