JP2018148035A - 積鉄心を備える変圧器 - Google Patents

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Abstract

【課題】騒音が低減された積鉄心を備える変圧器を提供する。【解決手段】積鉄心、巻線、及び、固定カバーを備える変圧器であって、前記固定カバーは、前記積鉄心を被覆し、前記固定カバーの素材は、損失係数(tanδ)が0.1〜2.0の範囲内にある粘弾性樹脂である変圧器。【選択図】図1

Description

本発明は、積鉄心を備える変圧器に関する。
変圧器においては、騒音の発生を抑制することがひとつの技術的課題となっている。このような騒音の原因の一つとして、電磁鋼板の磁歪が挙げられる。磁歪とは、電磁鋼板にかかる磁化に応じて電磁鋼板の形状が変化する現象である。変圧器の騒音を抑制する方法については、従来、種々の検討がなされている。
特許文献1には、固定のために鉄心の外周に1本ないし数本のバンドをかけて締める時のバンド張力の合計値を特定の範囲とし、特定の方向性電磁鋼板を巻回して作製される変圧器やリアクトル用の鉄心が開示されている。このよう巻鉄心を用いることで、鉄心が発する騒音を低減させることができる旨記載されている。
特開2005−86143
変圧器に使用される鉄心としては、一般的に積鉄心及び巻鉄心が実用化されているが、特性上、積鉄心は巻鉄心よりも騒音が発生しやすいことが知られている。
そのため、積鉄心を用いた変圧器では、特許文献1に記載された巻鉄心を用いた変圧器のようにバンドの張力を調整するだけでは、充分に、騒音を低減することができなかった。
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、騒音が低減された積鉄心を備える変圧器を提供することを目的とする。
本発明に係る変圧器は、積鉄心、巻線、及び、固定カバーを備える変圧器であって、前記固定カバーは、前記積鉄心を被覆し、前記固定カバーの素材は、損失係数(tanδ)が0.1〜2.0の範囲内にある粘弾性樹脂であることを特徴とする。
本発明の変圧器は、前記固定カバーが、前記積鉄心及び前記巻線を被覆することが好ましい。
本発明によれば、特定の固定カバーで積鉄心を被覆することにより騒音が低減された変圧器を提供することができる。
単相2脚積鉄心及び単相2脚積鉄心用固定カバーの模式図である。 巻線が設置された単相2脚積鉄心及び巻線が設置された単相2脚積鉄心用固定カバーの模式図である。 三相3脚積鉄心及び三相3脚積鉄心用固定カバーの模式図である。 巻線が設置された三相3積鉄心及び巻線が設置された三相3積鉄心用固定カバーの模式図である。 積鉄心接合部の例の模式図である。
以下、本発明に係る変圧器について構成要素ごとに詳細に説明する。
なお、本明細書において用いる、形状や幾何学的条件並びにそれらの程度を特定する、例えば、「平行」、「垂直」、「同一」、「直角」等の用語や長さや角度の値等については、厳密な意味に縛られることなく、同様の機能を期待し得る程度の範囲を含めて解釈することとする。
本発明に係る変圧器は、積鉄心、巻線、及び、固定カバーを備える変圧器であって、前記固定カバーは、前記積鉄心を被覆し、前記固定カバーの素材は、損失係数(tanδ)が0.1〜2.0の範囲内にある粘弾性樹脂であることを特徴とする。
上述のように、巻鉄心よりも積鉄心のほうが、騒音は大きくなることが知られている。このように騒音が大きくなる理由については、主に、以下のように説明することができる。
積鉄心は平らな鋼板を積み重ねることにより製造するため、脚部とヨーク部の結合部では、平らな鋼板を交互に重ね合わせて閉磁路を形成する。この接合部では、電磁鋼板にかかる磁化に応じて電磁鋼板の形状の変化(磁歪)の影響を受けやすく、振動が発生しやすい。そのため、鋼板に曲げ加工を施して製造する巻鉄心よりも接合部分が多い積鉄心では、磁歪が原因である振動が発生しやすい。
また、積鉄心は、鋼板に曲げ加工を施して製造する巻鉄心よりも、積層された電磁鋼板がずれやすく、固定箇所が多く必要になる。このような固定は、一般的に電磁鋼板の圧延長手方向と垂直になるようにスチールバンド等を用いて外周を結束することや、ねじによる点固定により行われる。しかし、固定箇所では、固定されていない箇所よりも鋼板同士にかかる拘束圧が局所的に高くなるため、磁歪の影響を受けやすく、振動が発生しやすい。
以上の理由から、巻鉄心よりも固定箇所の多い積み鉄心では、磁歪が原因である振動が発生しやすい。
変圧器の騒音は、このような鉄心自体の振動が主要因で発生するため、巻鉄心よりも積鉄心では騒音が発生しやすく、また、巻鉄心と同じ原理を用いても、騒音を充分に低減することができなかった。
本発明者らは、損失係数(tanδ)が特定の範囲内にある粘弾性樹脂を素材として使用する固定カバーによって、積鉄心を被覆することによって、騒音が低減された変圧器を得ることができることを知見した。
損失係数(tanδ)が特定の範囲内にある粘弾性樹脂を素材として使用する固定カバーを用いて、積鉄心を被覆することによって、均一かつ充分な拘束圧をかけて積鉄心を固定することができること、騒音の原因となる振動エネルギーを粘性減衰により熱エネルギーに変換すること、及び、騒音源である積鉄心と音を伝える媒体となる空気との接触を遮断すること、が可能となるため、充分に変圧器の騒音を低減することが可能となる。
また、変圧器の騒音の次要因として、変圧器に通電した際に、巻線と鉄心との間に電磁機械力が生じ、巻線が振動する現象が知られている。上記固定カバーは、一般的に使用されているスチールバンドやねじと異なり、積鉄心と巻線を同時に被覆することができる。そのため、巻線の振動が原因となる騒音も低減することが可能である。
1.積鉄心
1−1.構造
本発明の変圧器は積鉄心を備える。以下、本発明の変圧器が備える積鉄心の例について図を参照しながら説明する。
図1の(A)は、単相積鉄心10の模式図である。図1の(A)に示される単相積鉄心10は、二つの脚部2と二つのヨーク部3から構成される。単相積鉄心10では、二つの脚部2と二つのヨーク部3により閉磁路が形成される。
ここで、脚部とは、後述する変圧器の巻線が巻回される部材であり、ヨーク部とは、複数の脚部を並列して固定する部材である。
図3の(A)は、三相積鉄心20の模式図である。図3の(A)に示される三相積鉄心11は、三つ脚部2と二つのヨーク部3からなる。三相積鉄心11では、当該三つの脚部2と二つのヨーク部3により閉磁路が形成される。
本開示の変圧器の使用用途や目的によって、脚部の数を決定するため、脚部は2以上であればよい。
脚部2とヨーク部3は、曲げ加工されていない平らな方向性電磁鋼板1が積み重ねられた積層体である。上述のように、従来技術では、積層された鋼板にずれが生じないように、スチールバンド等によって結束されていた。
脚部2とヨーク部3の接合部4では、例えば、図5の(A)に示すバットラップ接合や図5の(B)に示すステップラップ接合により、脚部2を構成する鋼板とヨーク部3を構成する鋼板とを交互に重ねるように積層する。
上述のように積鉄心では、結束部分や結合部4において磁歪の影響が集中しやすいため騒音が生じやすいが、本発明の変圧器では、損失係数(tanδ)が特定の範囲内にある粘弾性樹脂を素材として使用する固定カバーによって、積鉄心を被覆するため、充分かつ均等な拘束圧によって積鉄心を固定すること、及び、騒音を低減することが可能となる。
1−2.方向性電磁鋼板
本発明において用いられる方向性電磁鋼板1に特に制限はないが、当該鋼板中の結晶粒の方位が{110}<001>方位に高度に集積された鋼板であり、圧延方向に優れた磁気特性を有することが好ましい。方向性電磁鋼板として公知のものの中から、求める性能に従って、適宜選択して用いることができる。上述のように、本発明に用いる方向性電磁鋼板は、曲げ加工が施されていない平らな鋼板である。
鋼板の製造方法は、特に限定されず、従来公知の方向性電磁鋼板の製造方法を適宜選択することができる。製造方法の好ましい具体例としては、例えば、スラブを1000℃以上に加熱して熱間圧延を行った後、必要に応じて熱延板焼鈍を行い、次いで、1回又は中間焼鈍を挟む2回以上の冷延により冷延鋼板とし、当該冷延鋼板を、例えば湿水素−不活性ガス雰囲気中で700〜900℃に加熱して脱炭焼鈍し、必要に応じて更に窒化焼鈍し、1000℃程度で仕上焼鈍する方法などが挙げられる。
本発明において鋼板の厚みは特に限定されないが、0.1mm以上0.5mm以下であることが好ましく、0.15mm以上0.40mm以下であることがより好ましい。
1−3.被膜
本発明において方向性電磁鋼板は、表面に被膜を有していてもよい。このような被膜としては、例えば、鋼板上に形成されるグラス被膜などが挙げられる。グラス被膜としては、例えば、フォルステライト(MgSiO)、スピネル(MgAl)、及びコーディエライト(MgAlSi16)より選択される1種以上の酸化物を有する被膜が挙げられる。
本発明においてグラス被膜の厚みは特に限定されないが、0.5μm以上3μm以下であることが好ましい。
2.巻線
図2の模式図に示すように本発明の変圧器は巻線5を備える。巻線とは、回路に接続され、前記積鉄心の脚部に回巻されて用いられるものをいう。例えば、図2(A)の模式図に示すように、巻線を備える単相積鉄心30では、電源を含む一次回路に接続され一方の脚部に回巻された一次コイルと、取出し用二次回路に接続され他方の脚部に回巻された二次コイルとを有する。
負荷が接続されていない状態で、一次コイルに電圧を印加すると、一次コイルに励磁電流が流れ、積鉄心中に交番磁束が発生する。この磁束が二次コイルに電圧を誘起させる。一次コイルと二次コイルの巻数比が、一次回路と二次回路の電圧の比となる。
なお、図4(A)の模式図に示すように巻線を備える三相積鉄心40では、3つの脚部にそれぞれ巻線5が回巻される。
巻線の材質としては特に限定されないが、銅、アルミニウム等が挙げられる。巻線の構成は、一般的にトランスに用いられる公知の構成とすることができる。
上述のように、変圧器に通電した際に、巻線と鉄心との間に電磁機械力が生じ、巻線が振動するため、騒音が発生する。この騒音も低減することが可能となるため、本発明の変圧器では、損失係数(tanδ)が特定の範囲内にある粘弾性樹脂を素材として使用する固定カバーによって、積鉄心と共に巻線も被覆することが好ましい。
3.固定カバー
本発明の変圧器は、損失係数(tanδ)が0.1〜2.0の範囲内にある粘弾性樹脂素材の固定カバーを備える。
本発明において、粘弾性樹脂とは、粘性減衰により振動を熱エネルギーに変換することができる樹脂をいう。また、本発明においては、粘弾性樹脂素材の粘性減衰により振動を熱エネルギーに変換できる度合いを、損失係数(tanδ)を用いて特定する。
損失係数(tanδ)とは、素材の貯蔵剪断弾性率(G’)と損失剪断弾性率(G”)の比(G”/G’)から求められる値であり、材料が変形する際に材料がどのくらいエネルギーを吸収する(熱に変わる)かを示す値である。tanδの値が大きい粘弾性樹脂ほど、エネルギーを吸収しやすい特性を有するといえる。
本発明では、損失係数(tanδ)が0.1〜2.0の範囲内にある粘弾性樹脂素材の固定カバーを用いて積鉄心を被覆することによって、均一かつ充分な拘束圧をかけて積鉄心を固定すること、騒音の原因となる振動エネルギーを粘性減衰により熱エネルギーに変換すること、が達成され騒音を低減することができる。
損失係数が0.1未満である場合には、騒音の原因となる振動エネルギーを粘性減衰により熱エネルギーに変換することができず、充分に騒音を低減することができない。
また、損失係数が2.0を超える場合には、均一かつ充分な拘束圧をかけて積鉄心を固定することができなくなるため、磁歪による振動が大きくなり、騒音が悪化する。
騒音の低減効果が高いことから、損失係数(tanδ)は0.35〜1.1の範囲内であることが好ましく、0.5〜1.1の範囲内であることが好ましい。
固定カバーに使用される素材は、損失係数(tanδ)が0.1〜2.0の範囲内である粘弾性樹脂であれば、特に制限はないが、例えば、ポリウレタン、ポリイミド、ポリウレタンウレア、ポリウレア、発砲ウレタン樹脂、アクリル樹脂などを用いることができる。これらの粘弾性樹脂は、1種類のみ単独で使用してもよく、2種類以上を併用してもよい。
固定カバーの形状は、積鉄心を被覆できるものであれば特に制限はない。図1(B)に単相積鉄心用の固定カバー11、図3(B)に三相積鉄心用の固定カバーの形状21の模式図を示す。
図1(C)及び図3(C)に、固定カバーで被覆された積鉄心において、固定カバーを透過図として示した模式図を示す。固定カバーを騒音源である積鉄心と音を伝える媒体となる空気との接触を遮断することが可能となるため、通常、図1(C)及び図3(C)に示すように、積鉄心全体を隙間なく被覆できるような形状とする。
図1(C)及び図3(C)に示すように、積鉄心が固定カバーで被覆されている場合には、固定カバーで被覆された脚部に対して前記巻線を設置する。
固定カバーの厚さにも特に制限はなく、0.1mm以上あれば、充分に騒音を低減することができる。変圧器の総重量が増加することに対する影響を考慮すると、固定カバーの厚さは10mm以下であることが好ましい。
上述のように、巻線の振動に起因する騒音も低減できることから、積鉄心に加えて、巻線も固定カバーで被覆することが好ましい。図2(A)に巻線5が設置された単相積鉄心30、図2(B)に固定カバー31の形状、図2(C)に固定カバー31で被覆された巻線5が設置された単相積鉄心30において、固定カバー31を透過図として示した模式図を示す。また、図4(A)に巻線が設置された三相積鉄心40、図4(B)に固定カバー41の形状、図4(C)に固定カバー41で被覆された巻線が設置された三相積鉄心40において、固定カバー41を透過図として示した模式図を示す。
固定カバーにより積鉄心を被覆する方法にも特に制限は無く、積鉄心のサイズを元に成型した固定カバーを製造して積鉄心に装着することで被覆してもよいし、積鉄心に粘弾性樹脂の溶解物を塗布後、乾燥してもよいし、積鉄心に粘弾性樹脂の原料となる重合性単量体のペーストを塗布後、重合してもよい。
ここで、積層された方向性電磁鋼板の間に樹脂が侵入すると、占積率が低下し積鉄心の鉄損が悪化したり、変圧器の総重量が増加するというデメリットがある。
しかし、本発明の固定カバーでは、積鉄心の外側のみを被覆するため、積層された方向性電磁鋼板の間に樹脂が深く侵入することは無い。そのため、上述のような、鉄損の悪化及び必要以上の重量の増加を招くことなく、騒音を低減することができる。
固定カバーにより積鉄心及び巻線を被覆する方法にも特に制限は無く、積鉄心に巻線を設置した状態で、固定カバーで被覆してもよいし、固定カバーで被覆された積鉄心に巻線を設置した状態で、更に固定カバーで被覆してもよい。
4.変圧器
本発明の変圧器は、積鉄心、巻線、及び、固定カバーを備えるものであれば、特に制限はないが、その他の構成として、外装タンク、混触防止板及び接地端子、防振ゴム、吊耳、一次端子及び二次端子、温度計、並びに、変位量抑制装置等を備えるものであってもよい。
本発明の変圧器では、特定の粘弾性樹脂を用いた固定カバーを用いて、積鉄心を被覆することにより、磁歪による振動が減衰されるため、騒音を低減することができる。
以下、本発明の実施例を挙げながら、本発明の技術的内容について更に説明する。なお、以下に示す実施例での条件は、本発明の実施可能性及び効果を確認するために採用した条件例であり、本発明は、この条件例に限定されるものではない。また本発明は、本発明の要旨を逸脱せず、本発明の目的を達成する限りにおいて、種々の条件を採用し得るものである。
1.モデルトランス積鉄心の製造
方向性電磁鋼板を用いて、三相3脚、鉄心の長さ:500mm、幅:500mm、厚み:15mm、ヨーク部および脚部の幅:100mm、重量:20kgとなるように、0.20mmの厚鋼板を80枚積層平積みしたモデルトランス積鉄心(以下、単に積鉄心と称することがある。)を作製した。
2.変圧器の騒音低減効果に対する積鉄心用固定カバーの条件検討用変圧器の作製
[実施例1]
1.で製造したモデルトランス積鉄心のサイズに基づいて設計した厚さ1mmの固定カバーを、損失係数tanδが0.1であるポリウレタンを粘弾性樹脂素材として使用して作製した。当該固定カバーで上記積鉄心を被覆した。
このように製造した固定カバーで被覆された積鉄心の脚部に、巻線を設置することによって、設計磁束密度が1.7Tである実施例1の変圧器を作製した。
[実施例2〜30]
実施例1において、固定カバーの厚さ、損失係数tanδ、弾性樹脂素材を表1−1〜表1−5に示すように変更したこと以外は、実施例1と同様に実施例2〜30の変圧器を作成した。
[比較例1]
1.で製造したモデルトランス積鉄心の脚部に対して3箇所、ヨーク部に対して3箇所、幅10mm、厚さ0.3mmのスチールバンドを用いて、0.1MPaの加重で挟み込むことにより固定した。
当該スチールバンドで固定した積鉄心に、巻線を設置し、設計磁束密度が1.7Tである比較例1の変圧器を作製した。
[比較例2〜11]
実施例1において、固定カバーの厚さ、損失係数δ、弾性樹脂素材を表1−1〜表1−5に示すように変更したこと以外は、実施例1と同様に比較例2〜11の変圧器を作成した。
3.変圧器の騒音低減効果に対する巻線被覆の影響検討用変圧器の作製
[実施例31]
1.で製造したモデルトランス積鉄心の脚部に、巻線を設置した。このように作製した巻線が設置された鉄心のサイズに基づいて設計した厚さ1mmの固定カバーを、損失係数tanδが0.1であるポリウレタンを粘弾性樹脂素材として使用して作製した。当該固定カバーで上記巻線が設置された積鉄心を被覆し、設計磁束密度が1.7Tである実施例31の変圧器を作製した。
[実施例32〜36]
実施例31において、ポリウレタン損失係数δを表2に示すように変更したこと以外は、実施例31と同様に実施例32〜36の変圧器を作製した。
4.騒音の測定
上述のように作製した変圧器に対して、50Hz、磁束密度1.7Tに励磁した状態で、ピーク値0〜12Aのサイン波形状を有し、励磁周波数1〜20kHzで変動する電流を供給し、各励磁周波数に対して発生する騒音値(Aスケール補正、dBA単位)を測定した。なお、騒音値は、固定カバーの表面(比較例1では積鉄心表面)より20cmの位置に2か所マイクを設置して測定した値の平均値を用いた。
5.評価結果
素材がポリウレタンである固定カバーで積鉄心を被覆した変圧器の騒音測定結果を表1−1から表1−3にまとめた。
表1−1に示すように、スチールバンドを用いて、積鉄心を固定した比較例1の変圧器では騒音が44dBと大きかった。
損失係数tanδが0.04であるポリウレタンを素材として用いた厚さ1mmの固定カバーで積鉄心を被覆した比較例2の変圧器では騒音が42dBと騒音低減効果は充分ではなかった。損失係数が低すぎるため、積鉄心の振動を充分に熱エネルギー非変換できないためであると考えられる。
損失係数tanδが3.0であるポリウレタンを素材として用いた固定カバーで積鉄心を被覆した比較例3の変圧器でも、騒音が41dBと騒音低減効果は充分ではなかった。損失係数が高すぎるため、積鉄心を充分に固定できないためであると考えられる。
これらに対し、損失係数tanδが0.1〜2.0であるポリウレタンを素材として用いた厚さ1mmの固定カバーで積鉄心を被覆した実施例1〜6の変圧器では、騒音が39dB以下と充分な騒音低減効果が得られた。特に、損失係数tanδが0.5であるポリウレタンを固定カバーの素材として用いた実施例3の変圧器では、騒音が36dBと極めて低かった。
次に、固定カバーの厚さに注目すると、表1−2に示す厚さ3mmの固定カバーを用いた変圧器、及び、表1−3に示す厚さ0.1mmの固定カバーを用いた変圧器共に、充分な騒音低減効果が得られる損失係数tanδの範囲(0.1〜2.0)が表1−1に示した厚さ1mmの固定カバーを用いた変圧器と一致し、当該範囲での騒音低減効果も同程度であった。
以上より、固定カバーの厚さは、騒音低減効果に影響を与えないと考えられる。
次に、固定カバーの粘弾性樹脂素材に注目すると、下記表1−4に示すポリイミド製の固定カバー、及び、下記表1−5に示すアクリル樹脂製の固定カバーを用いた変圧器は、充分な騒音低減効果が得られる損失係数tanδの範囲(0.1〜2.0)が、表1−1に示したポリウレタン製の固定カバーを用いた変圧器と一致し、当該範囲での騒音削減効果も同程度であった。
以上より、損失係数tanδが0.1〜2.0であれば固定カバーの粘弾性樹脂の素材は、騒音低減効果に影響を与えないと考えられる。
続いて、変圧器の騒音抑制効果に対する巻線被覆の影響の検討結果を表2にまとめた。積鉄心のみを固定カバーで被覆した表1−1の結果と比較して、積鉄心及び巻線を被覆した場合には、変圧器の騒音を更に1〜2dB低減できることが明らかとなった。
以上の結果より、積鉄心、巻線、及び、固定カバーを備える変圧器では、前記固定カバーが、前記積鉄心を被覆し、前記固定カバーの素材を、損失係数(tanδ)が0.1〜2.0の範囲内にある粘弾性樹脂とすることで、騒音が低減された変圧器が得られることが明らかとなった。
1 方向性電磁鋼板
2 脚部
3 ヨーク部
4 接合部
5 巻線
10 単相積鉄心
11 単相積鉄心用固定カバー
20 三相積鉄心
21 三相積鉄心用固定カバー
30 巻線を備える単相積鉄心
31 巻線を備える単相積鉄心用固定カバー
40 巻線を備える三相積鉄心
41 巻線を備える三相積鉄心用固定カバー

Claims (2)

  1. 積鉄心、巻線、及び、固定カバーを備える変圧器であって、
    前記固定カバーは、前記積鉄心を被覆し、
    前記固定カバーの素材は、損失係数(tanδ)が0.1〜2.0の範囲内にある粘弾性樹脂である、変圧器。
  2. 前記固定カバーが、前記積鉄心及び前記巻線を被覆する、請求項1に記載の変圧器。
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