JP5742175B2 - 低鉄損三相積変圧器 - Google Patents

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本発明は、低鉄損の三相積変圧器に関し、特に、Goss方位集積度の高い方向性電磁鋼板を用いた低鉄損の三相積変圧器に関するものである。
変圧器は、鉄心の構造によって、積鉄心と巻鉄心とに大別され、大型の変圧器では、専ら積鉄心構造のものが採用されている。また、その鉄心素材としては、主に方向性電磁鋼板が用いられている。上記方向性電磁鋼板は、結晶方位がGoss方位((110)[001]方位)に高度に配向しているため、鋼板の圧延方向において優れた磁気特性を示すのが特徴である。
方向性電磁鋼板に要求される磁気特性としては、周波数50Hz、磁束密度1.7Tにおける鉄損W17/50(W/kg)が低いことが挙げられ、一般には、Goss方位への集積度が高いほど、鉄損は小さくなる。
また、変圧器における励磁電流を減らして銅損を低減するためには、磁束密度が高いことも必要である。この磁束密度は、磁化力800A/mのときの磁束密度B(T)で評価され、一般に、Goss方位への方位集積度が高いほど、Bは大きくなる。
ところで、日本や欧州における変圧器のトップランナー方式の導入、米国における変圧器規制に象徴されるように、変圧器の鉄損を低減することは、近年、ますます重要になってきており、これに対応するため、鉄心素材となる方向性電磁鋼板の鉄損を低減する努力が綿々となされている。しかし、積鉄心構造の変圧器では、鉄心素材の鉄損低減が、必ずしも変圧器の鉄損低減に結びつかないことが指摘されている(例えば、特許文献1参照)。特に、Bが1.88T以上のGoss方位への集積度が高い素材(方向性電磁鋼板)を用いた積鉄心では、素材の磁気特性が良好であっても、変圧器自体の磁気特性は逆に劣化する場合もあることが知られている。
このことは、磁気特性に優れる方向性電磁鋼板を製造しても、それが変圧器の実機特性に活かしきれていないことを意味している。上記のような変圧器における磁気特性の劣化を表す指標として、変圧器での鉄損を同じ磁化条件における素材の鉄損で割った値であるBF(ビルディングファクター)が一般に用いられている。したがって、変圧器での鉄損を小さくするには、素材の鉄損特性を改善するだけでなく、BFを小さくすることも重要となる。
積鉄心構造の変圧器において、素材のときよりも鉄損が増大する原因は、変圧器の鉄心の局所において磁束波形が歪むことと、圧延方向以外に磁束が生じる磁束回転が起こることによると考えられている。特に、図1のような三相積鉄心構造の変圧器では、図中に斜線で示したT接合部1を有するため、磁束波形の歪みや磁束回転が起こりやすく、BFが大きくなる。
この問題を解決する方法について、これまでに多くの提案がなされている。例えば、特許文献1〜3には、最も磁束波形歪みと磁束回転が起こるT接合部にレーザー照射や溝形成、罫書きなどの表面加工を施す技術が提案されている。これらの方法は、表面加工によって磁区構造を細分化し、鉄損増加の大きな部分を占めるT接合部の鉄損を小さくして、変圧器全体の鉄損を減少させようとするものである。しかし、これらの方法は、鉄心の製作途中で局部的な加工を施す必要があることから、変圧器の製造負荷を増大させることになる。
また、局部的な表面加工を施す以外の方法として、特許文献4には、継鉄部分(図1の符号2)にGoss方位への集積度が低い材料を用いることで、BFの増大を抑制する技術が提案されている。この方法は、集積度が高い材料はBFが大きくなることから、T接合部を含み、磁束波形歪みや磁束回転が生じている継鉄部分にGoss方位集積度が低い材料を用いることで、鉄損増加を低減しようとするものである。しかし、この方法は、BFの増大は抑制できるものの、Goss方位集積度の低い継鉄部分の鉄損が大きくなるため、変圧器全体としての鉄損低減効果は少ない。また、継鉄部分の素材のBも小さくなるため、銅損には不利に働く。
また、特許文献5には、Goss方位集積度が高い素材鋼板の表面に、被膜張力を4MPa以下に小さくした絶縁被膜を形成する技術が提案されている。この方法は、変圧器の鉄心素材として、絶縁被膜張力が小さい材料を用いることでBFを小さくし、変圧器の鉄損増大を抑制しようとするものである。しかし、この方法では、BFは小さくなるものの、被膜張力の低下により素材自体の鉄損が増大するため、やはり、変圧器の鉄損低減効果は小さくなってしまうという問題がある。
特許第3709737号公報 特公昭60−028130号公報 特開昭54−084229号公報 特開昭57−126112号公報 特開2005−317683号公報
本発明は、従来技術が抱える上記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、Goss方位集積度の高い方向性電磁鋼板を用いて変圧器を作製する場合でも、ビルディングファクター(BF)が小さい低鉄損の三相積変圧器を提供することにある。
発明者らは、上記課題の解決に向けて、鉄心素材の被膜張力が変圧器の鉄損に及ぼす影響に着目して鋭意検討を重ねた。その結果、鉄心の脚部と継鉄部に使用する鋼板の被膜張力を適正範囲に制御するとともに、脚部に使用される鋼板の被膜張力を継鉄部に使用する鋼板の被膜張力より大きくすることによって、磁束密度Bが1.88T以上のGoss方位集積度が高い方向性電磁鋼板を鉄心素材に用いたときでも、低鉄損の三相積変圧器を得ることできることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、Bが1.88T以上の方向性電磁鋼板を積層した鉄心を用いた三相積変圧器において、脚部の鋼板に付与された被膜張力が16MPa以上でかつ継鉄部の鋼板に付与された被膜張力より大きいことを特徴とする三相積変圧器である。
本発明の三相積変圧器は、脚部の鋼板に付与された被膜張力が20MPa以上であることを特徴とする。
また、本発明の三相積変圧器は、脚部の鋼板に付与された被膜張力が、継鉄部の鋼板に付与された被膜張力よりMPa以上大きいことを特徴とする。
本発明の三相積変圧器は、継鉄部の鋼板に付与された被膜張力が10MPa以下であることを特徴とする。
本発明によれば、磁束密度Bが1.88T以上のGoss方位集積度が高い方向性電磁鋼板を鉄心素材に用いた場合でも、BFが小さく低鉄損の三相積変圧器を提供することができるので、エネルギー損失の低減に大きく寄与することができる。
三相積変圧器の鉄心構造を説明する図面である。 表1に示した鉄心部位を説明する図面である。 被膜張力と磁束回転による鉄損増加量との関係を示すグラフである。 鉄心脚部の鋼板被膜張力と変圧器鉄心の鉄損との関係を示すグラフである。 鉄心継鉄部の鋼板被膜張力と変圧器鉄心の鉄損との関係を示すグラフである。 歪取焼鈍温度と焼鈍後鋼板の被膜張力との関係を示すグラフである。
先述したように、Goss方位集積度が高い方向性電磁鋼板を素材に用いた変圧器では、鉄心内で不可避に生じる磁束波形歪みや磁束回転によってBFが大きくなり、変圧器の鉄損が増大する。この傾向は、集積度が高いほど顕著になるため、素材の磁気特性の向上が変圧器の実機特性に活かしきれていない。
そこで、発明者らは、先ず、BFを低減する手がかりを探るべく、磁束波形歪や磁束回転が、変圧器内のどこの部位で、どの程度の大きさをもって生じているかを調査した。
調査は、板厚が0.23mmでBが1.92Tの集積度が高い方向性電磁鋼板を用いて三相積変圧器の鉄心を作製し、図2に示した5〜8の各部位における励磁中の鉄心の局所磁束を探針法で測定し、磁束波形歪みの大きさを探針電圧の波形率で、磁束回転の大きさを圧延直交方向の磁束波高値で評価した。なお、上記探針法による測定は、「川崎製鉄技報」、vol.29、1997年、No.3、p.159〜163に記載された方法に準じて行った。
表1に、図2に示した各部位における波形率および磁束波高値の平均値を示した。この結果から、波形率で評価される磁束波形歪みは、脚部ではやや小さいものの、変圧器全体で生じていること、一方、圧延直交方向の磁束波高値で評価される磁束回転は、T接合部で特に大きくなっているのに対して、脚部ではその半分以下になっていることから、磁束回転による鉄損増加は、主にT接合部を含む継鉄の部分で起こっており、脚部の影響は小さいという知見が得られた。
Figure 0005742175
次に、磁束回転による鉄損増加が、方向性電磁鋼板のどの素材因子に支配されるかについての調査を行った。評価には、電気学会マグネティックス研究会資料(「2次元ベクトル磁気測定」、MAG−04−224、2004年、p27〜31)に記載された二軸に励磁して鉄損測定が可能な二次元単板磁気測定装置を用いて、変圧器内の平均的な磁束回転状態である圧延方向に1.7T、圧延直角方向に0.2Tで励磁したときの鉄損を測定し、圧延方向にのみ励磁したときの鉄損と比較することで、磁束回転による鉄損増加を評価した。
その結果、Goss方位への集積度や、溝形成、レーザー照射などの磁区細分化処理は、磁束回転による鉄損増加に及ぼす影響が小さいのに対して、鋼板に付与された被膜張力が大きくなると、図3に示すように、磁束回転による鉄損が増大することがわかった。このことから、鉄心素材となる鋼板の被膜張力が大きくすると、BFが大きくなることが予測される。そして、この知見は、絶縁被膜の張力が小さい範囲でBFが小さくなるという特許文献5の知見と一致している。
以上の知見から、発明者らは、磁束回転による鉄損増加が小さい鉄心の脚部に、継鉄部よりも被膜張力が大きい素材(方向性電磁鋼板)を用いることで、素材の平均鉄損を下げると同時に、BFの増加をも抑止し得るのではないかと考え、以下の確認実験を行った。
まず、鉄心の脚部に用いる鋼板の被膜張力が変圧器の鉄心全体の鉄損およびBFに及ぼす影響を調べるため、板厚が0.23mmでBが1.92Tの方向性電磁鋼板を用いて、継鉄部に用いる鋼板の被膜張力を14MPa(一定)とし、脚部に用いる鋼板の被膜張力を5〜25MPaの範囲で変化させて三相積変圧器の鉄心を作製し、変圧器の鉄損を測定した。因みに、一般的な方向性電磁鋼板の被膜張力は10〜14MPaである。
また、比較例として、上記方向性電磁鋼板の被膜張力を13MPaおよび6MPaとした方向性電磁鋼板のみを用いて、上記と同じ構造の三相積変圧器の鉄心を2台作製し、同様にして変圧器の鉄損を測定した。なお、上記比較例は、被膜張力が13MPaのものは、従来の一般的な変圧器の鉄心に、また、被膜張力が6MPaのものは、特許文献5に開示された変圧器の鉄心に相当するものである。
上記実験の結果、図4に示すように、脚部の被膜張力が大きくなるのに伴って変圧器鉄心の鉄損は減少し、脚部の被膜張力が継鉄部の被膜張力(14MPa)よりも大きくなると、鉄心全体を被膜張力13MPaの鋼板で作製した従来の鉄心より鉄損が小さくなり、さらに、被膜張力が15MPa以上では、鉄心全体を被膜張力6MPaの鋼板で作製した特許文献5に開示された鉄心よりも鉄損が小さくなることが確認された。
そこで、さらに、鉄心の継鉄部に用いる鋼板の被膜張力が、変圧器鉄心の鉄損に及ぼす影響を調べるため、板厚が0.23mmで、Bが1.92Tの方向性電磁鋼板を用いて、脚部に用いる鋼板の被膜張力は、図4で最も鉄損が小さかった25MPa(一定)とし、継鉄部に用いる鋼板の被膜張力を5〜25MPaの範囲で変化させて三相積変圧器の鉄心を作製し、変圧器の鉄損を測定した。また、比較例として、上記実験と同様、被膜張力が13MPaおよび6MPaとした方向性電磁鋼板のみを用いて、上記と同じ構造の三相積変圧器の鉄心を2台作製し、同様にして変圧器の鉄損を測定した。
上記測定の結果を図5に示した。この結果から、脚部に用いる鋼板の被膜張力が25MPaと大きい場合、継鉄部に用いる鋼板の被膜張力にかかわらず、比較例の2台の変圧器より鉄損は小さくなっており、さらに、継鉄部に用いる鋼板の被膜張力を小さくすることによって、変圧器の鉄損をより低減できることがわかる。
上記の実験結果から、磁束密度Bが1.88T以上のGoss方位集積度の高い方向性電磁鋼板を鉄心素材に用いた変圧器においては、鉄心の脚部および継鉄部に使用する方向性電磁鋼板の被膜張力を適正な範囲に制御するとともに、脚部に使用される鋼板の被膜張力を、継鉄部に使用する鋼板の被膜張力よりも大きくすることによって、鉄心の鉄損を効果的に低減することができることが明らかとなった。
本発明は、上記の新規な知見に基づいて完成させたものである。
次に、本発明の三相積変圧器について説明する。
一般に、変圧器は、鉄心構造によって巻鉄心型と積鉄心型に分けられ、また、相数によって単相と三相とに分けられるが、本発明では、三相積鉄心型の変圧器を対象とする。三相積鉄心型以外の変圧器は、鉄心内で生じる磁束回転が小さいため、本発明を適用するメリットが小さいからである。鉄心の積層方式には、ステップラップ方式や交互積み方式など種々の方式があるが、本発明は、いずれの方式にも適用することができる。
また、本発明の上記三相積変圧器は、磁化力800A/mにおける磁束密度Bが1.88T以上のGoss方位集積度が高い方向性電磁鋼板を鉄心素材として用いるものを対象とする。方位集積度が低い方向性電磁鋼板を素材として用いた変圧器は、磁束回転による鉄損増加が小さいためにBFが小さく、素材の鉄損低減がそのまま変圧器での鉄損低減に結びつくので、本発明を適用する必要がないからである。
次に、本発明の上記三相積変圧器は、鉄心の部位(脚部、継鉄部)によって、被膜張力が異なる素材鋼板を使い分けることが重要である。すなわち、磁束回転が生じにくい脚部に、継鉄部の鋼板より大きい被膜張力であるとともに、ある程度以上の被膜張力を有する電磁鋼板を用いることで、磁束回転による鉄損増加を抑えながら、被膜張力による素材鉄損の低減効果を得ることができるからである。上記効果を得るためには、鉄心の脚部に用いる鋼板の被膜張力は、15MPa以上であることが必要である。好ましくは、20MPa以上である。
また、磁束回転が生じる継鉄部には、脚部に用いる鋼板よりも被膜張力が5Mpa以上低い鋼板を用いることが好ましく、被膜張力が10MPa以下のものを用いることがより好ましい。継鉄部に被膜張力が大きい鋼板を用いた場合には、被膜張力のより素材自体の鉄損は減少するものの、磁束回転による鉄損増加が大きくなって鉄心としての鉄損が増大するからである。
次に、本発明の三相積変圧器に用いる方向性電磁鋼板の被膜張力を制御する方法について説明する。
方向性電磁鋼板は、仕上焼鈍時に形成されるフォルステライト(MgSiO)を主体とする被膜の上に、リン酸塩とシリカを主体とするコーティング液を塗布・焼付した絶縁被膜が形成されているのが一般的である。そして、被膜張力を変える方法としては、特許文献5などに開示されるように、被膜の厚みを変える方法と、被膜の成分を変える方法が知られている。しかし、絶縁被膜の厚みを変える方法は、脚部と継鉄部に用いる鋼板の厚さを変えることになるため、脚部と継鉄部とで鋼板占積率に違いが生じる。その結果、脚部と継鉄部の積層にズレが生じて、各部位間を磁束がうまく渡れず、却って変圧器の特性を悪化させることになる。一方、絶縁被膜の成分を変える方法は、コーティング液中のシリカ量を調整することで被膜張力を制御することができる。しかし、そのためには、コーティング液の成分を変えた2種類以上の鋼板を用意し、使い分けなければならないため、製造性やコスト面で問題がある。
そこで、発明者らは、新規な被膜張力制御方法を検討した結果、歪取焼鈍の焼鈍温度を変えることで被膜張力を制御できることを見出した。図6は、フォルステライト被膜と絶縁被膜を有する方向性電磁鋼板を、Ar雰囲気下で、焼鈍温度を700〜950℃の範囲で変化させて3時間の歪取焼鈍を行ったときの、焼鈍後鋼板の被膜張力を測定した結果を示したものであり、歪取焼鈍温度が高いほど被膜張力が大きくなることがわかる。このことは、脚部に用いる鋼板の歪取焼鈍温度を、継鉄部に用いる鋼板のそれよりも高くしてやれば、継鉄部に用いる鋼板より脚部に用いる鋼板の被膜張力を大きくすることができることを意味する。そこで、本発明では、前述の被膜の厚みを変える方法や、被膜の成分を変える方法も適用可能であるが、方向性電磁鋼板の歪取焼鈍温度を変えてやることで、被膜張力を制御することが好ましい。
なお、本発明における被膜張力、すなわち、被膜が鋼板に与える付与張力は、片面のみの被膜を剥離したときに鋼板に生じる圧延方向の反りの曲率半径から、下記式;
被膜張力σ=(ヤング率E)×(板厚d)/2×(曲率半径R)
ここで、ヤング率E:132GPa
を用いて計算したである。
板厚が0.23mmで磁束密度Bが1.93TのGoss方位に高度に集積した、リン酸塩とシリカを主体とする絶縁被膜を有する方向性電磁鋼板に、焼鈍温度を700〜950℃の範囲で変えて歪取焼鈍を施し、被膜張力の異なる鉄心素材となる種々の鋼板を作製した。また、従来技術と比較するために、特許文献5に記載された方法で、有機系成分の絶縁被膜を形成した被膜張力6MPaの方向性電磁鋼板も作製した。
次いで、上記素材鋼板の鉄損W17/50をSST(Single Strip Tester)で測定した後、斜角剪断し、被膜張力が異なる方向性電磁鋼板を、表2に示したように組み合わせて、三相積構造のモデル変圧器の鉄心を作製した。なお、鉄心は、大きさを500mm角とし、鋼板を交互積みで50枚積層して構成した。
次いで、これらのモデル変圧器に、磁束密度1.7Tの交流磁束を各脚の位相を120°ずらして励磁し、このときの無負荷損を、一次側の励磁電流と二次側の電圧からパワーメータを用いて測定し、変圧器の鉄損を評価した。
表2に、上記変圧器の鉄損の測定結果と、その変圧器鉄損を素材鉄損(面積平均)で割ったBFの値を示した。
Figure 0005742175
表2の結果から、本発明に適合する素材を用いて構成した発明例1〜7の変圧器は、従来技術のように被膜張力が12MPaの鋼板のみで鉄心を構成した比較例1の変圧器と比較し、いずれも2.5%以上鉄損が減少している。また、比較例2,3のように継鉄部に脚部よりも被膜張力が大きい鋼板を用いた変圧器は、素材鋼板の鉄損は発明例と同程度に小さくなるものの、変圧器にしたときのBFが大きくなり、結果として変圧器の鉄損が増大している。また、特許文献5の条件で作製した変圧器(比較例4)や、脚部と継鉄部の被膜張力差があるものの、脚部の被膜張力が小さい変圧器(比較例5)は、BFは小さいものの、素材鋼板の鉄損が高いことに起因して、本発明例の変圧器より鉄損が最大で4%程度も劣っている。
1:変圧器鉄心T接合部
2:変圧器鉄心継鉄部
3:変圧器鉄心脚部
4:変圧器鉄心中央脚部
5:脚部
6:継鉄部中央
7:回転接合部
8:T接合部

Claims (4)

  1. が1.88T以上の方向性電磁鋼板を積層した鉄心を用いた三相積変圧器において、脚部の鋼板に付与された被膜張力が16MPa以上でかつ継鉄部の鋼板に付与された被膜張力より大きいことを特徴とする三相積変圧器。
  2. 脚部の鋼板に付与された被膜張力が20MPa以上であることを特徴とする請求項1に記載の三相積変圧器。
  3. 脚部の鋼板に付与された被膜張力が、継鉄部の鋼板に付与された被膜張力よりMPa以上大きいことを特徴とする請求項1または2に記載の三相積変圧器。
  4. 継鉄部の鋼板に付与された被膜張力が10MPa以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の三相積変圧器。
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