JP3863800B2 - 鉄損特性の優れた樹脂封止型鉄芯 - Google Patents

鉄損特性の優れた樹脂封止型鉄芯 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、樹脂封止されたモ−ターやトランスなどに用いられる鉄芯に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、省エネルギーの観点から各種電気機器の効率向上が求められている。電機機器の効率は各種要因に影響されるが、モーターやトランスの鉄芯で発生する損失である鉄損は比較的大きな比重を占めており、従って最近ではより鉄損の少ない電磁鋼板が使用される場合が増加している。
【0003】
一方、小型電機機器に対しては小型化、メンテナンスフリー化の要求も強く、積層鉄芯を金型にセットして溶融した有機樹脂を流し込み、一体成型するいわゆる樹脂封止型トランスが実用化されている。
モーターについては騒音や振動を抑制する効果も期待できることから、特にモーターのステーターを樹脂封止する場合が増加している。
【0004】
また自動車用電装品についても、二酸化炭素削減要求から各種効率向上の取組みが為されており、その中の一つとして内燃機関の点火装置の高圧電流発生部をプラグ近傍に設置する、いわゆるダイレクトイグニッションがある。
【0005】
従来、イグニッションはエンジンシャフトに付随して設置された発電機を利用し、高圧電流発生装置で電流を昇圧した後、各プラグまで高圧電流を通電していたが、ダイレクトイグニッションでは高圧電流発生部をプラグ直前に設置することにより高圧電流の通電距離を短くして省エネルギー化を図るものである。
【0006】
そこで、電圧変換、即ちトランスとしての磁気特性は従来と同等以上の機能が要求されることから、その鉄芯材料としては磁気特性に優れた方向性電磁鋼板が使用されている。閉磁路型では通常の電源トランス形状に積層鉄芯を組み合わせ巻き線後樹脂封止し、開放磁路型のいわゆるペンシルタイプでは、シールドと中心電極の間に樹脂を流し込んで樹脂封止し、一体化されている。
【0007】
樹脂封止されたモーターや樹脂封止型トランス、ダイレクトイグニッションいずれの電機機器においても、鉄芯を樹脂封止することにより成形加工されている。電磁鋼板を用いてモーターやトランス等の鉄芯を製造する方法としては、所定の幅にスリットしたフ−プを巻いて溶接止めする他、鋼板を打抜き所定枚数を単位鉄芯として積層し、ボルト締め、カシメ、溶接を用いて固着するのが一般的である。
しかし、樹脂封止した鉄芯の鉄損特性を樹脂封止前の鉄芯のそれと比較した場合、樹脂封止した鉄芯の鉄損特性は劣っている場合があるのが現状である。
【0008】
鉄芯の樹脂封止方法については、これまでに様々述べられている。例えば特開平6−245415号公報、特開平6−327208号公報、特開平10−14145号公報、特開平10−304612号公報、特開2000−41353号公報が挙げられる。
【0009】
しかし、特開平6−245415号、特開平6−327208号、特開2000−41353号の各公報に記載された発明は、鉄芯の剛性、放熱性を向上させる技術である。すなわち、鉄芯の変形による鉄損の増大を防ぐこと、あるいは放熱性向上による大出力化を狙いとしている。したがって、樹脂封止時に生じる大幅な鉄損劣化が課題としてそのまま残り、問題であった。
【0010】
また、特開平10−14145号公報にはコイルの占積率を高くする技術が開示されている。すなわち、コイルの占積率増加による鉄損低減を狙いにしている。したがって、上述と同様に樹脂封止時に生じた大幅な鉄損劣化が課題としてそのまま残り、問題であった。
【0011】
特開平10−304612号公報記載の発明は、鉄損の低減と機械強度を確保する技術に関している。すなわち、2種類の樹脂を用いて、低粘性樹脂で機械強度を確保しつつ高粘性樹脂でコイル端部の凹凸を無くして、鉄損を低減することを狙いとしている。したがって、これについても樹脂封止時に生じた大幅な鉄損劣化は改善されていない。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
これまで述べてきたように、樹脂封止した積層鉄芯は、樹脂が大きな弾性、塑性変形を鉄芯に付与するため、鉄芯自体が有する鉄損特性と比べて大きな劣化があった。
【0013】
本発明は、かかる問題を解決するものであって、樹脂の曲げ弾性率、最大線膨張係数、成形収縮率、硬化温度等を制御することで、鉄芯が樹脂より付与される残留圧縮応力を低減して、樹脂封止後の鉄損特性をさらに改善した、鉄損特性の優れた樹脂封止型鉄芯を提供するものである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記に鑑み本発明の特徴とするところは、以下の通りである。
(1)電磁鋼板を所定の形状に調整後、積層、または巻いて成形し、樹脂により封止された鉄芯において、樹脂封止の曲げ弾性率が10〜15 GPa で、かつ200℃までにおける最大線膨張係数が1.2×10E -5 /℃〜3.0×10E -5 /℃で、かつ成形収縮率が0.05〜0.5%で、かつ比重が1.2〜2.0で、かつ巻き鉄芯の巻き方向、または、モーターコアのコアバック部の円周方向、または、モーターコアのティース部の半径方向、または、積みトランスのヨーク部、レグ部それぞれの長手方向における残留応力が−10MPa (−は圧縮応力、+は引張応力)以上であることを特徴とする鉄損特性の優れた樹脂封止型鉄芯。
ここで、主磁束の流れ方向とは図1(a)に示す巻きコアの巻き方向、(b)のEIコアのヨークとレグ、(c)のモーターステータコアのコアバックとティースに示ような各種積層鉄芯における矢印で示した方向をいう。また残留応力の−は圧縮応力、+は引張応力である。
) 前記鉄芯において、鉄芯の表面を、曲げ弾性率が10〜12GPa で、200℃までにおける最大線膨張係数が1.2×10E -5 /℃以上で、かつ成形収縮率が0.05〜0.1%で、かつ比重が1.2〜1.5として0.1μm以上の厚みに封止した後、曲げ弾性率が13〜15GPa で、かつ200℃までにおける最大線膨張係数が2.7×10E -5 /℃〜3.0×10E -5 /℃で、かつ成形収縮率が0.3〜0.5%で、かつ比重が1.8〜2.0の樹脂で封止することを特徴とする上記(1)記載の鉄損特性の優れた樹脂封止型鉄芯。
)前記鉄芯において、成形温度が140〜200℃の熱硬化型樹脂で封止することを特徴とする上記(1)又は記載の鉄損特性の優れた樹脂封止型鉄芯。
)前記鉄芯において、鉄芯の表面を、成形温度が175℃以下の樹脂で、0.1μm以上の厚みに封止した後、成形温度が200℃以下の樹脂で封止することを特徴とする上記()記載の鉄損特性の優れた樹脂封止型鉄芯。
)前記鉄芯において、鉄芯の表面を封止する樹脂に代えて、紙またはワックスのいずれかを用いることを特徴とする上記()記載の鉄損特性の優れた樹脂封止型鉄芯。
)前記鉄芯において、積層、または巻いて成形した後、歪取焼鈍を施すことを特徴とする上記(1)乃至()のいずれかに記載の鉄損特性の優れた樹脂封止型鉄芯。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明者らは、いわゆる電磁鋼板を所定の形状に調整後、積層、または巻いて成形し、樹脂による封止がされる鉄芯において、種々の研究を鋭意重ねた結果、以下に説明する通り、鉄損特性の優れた樹脂封止型鉄芯を製造することに成功した。
【0016】
本発明者は、先ず樹脂封止の鉄芯の残留応力について着眼した。図2に、鉄損W17/50 とX線による主磁束の流れ方向(図1 (a) に示すような鉄芯において矢印で示した方向)で測定した残留応力との関係を示した。残留応力は、鉄芯のコアバック部及びティース部の適当箇所にX線を照射し、Ψにおける回折ピーク位置2θを放物線ピークトップ法により求め、さらに2θ−Sin2Ψ線図の勾配を最小自乗法で導出して、ヤング率、ポアソン比値を用いて算出した(樹脂がある場合は測定箇所のみ樹脂を除いた)。
用いた鉄芯は樹脂封止前の鉄損W17/50 が1.10W/kg であり、これを積層して、ビスフェノールA型エポキシ樹脂に無水酸化物系エポキシ樹脂硬化剤と繊維状アルミナ充填剤を種々の割合で配合した樹脂で封止した。図2より、主磁束の流れ方向の残留応力が−10MPa 以上であれば磁気特性が優れていることが分かる。
【0017】
本発明でいう樹脂封止型鉄芯とは、射出成形機によって樹脂を封止する方法をいうが、一般に樹脂を塗布し乾燥することにより樹脂を塗布及び封止することも本発明範囲内である。
本発明で使用する有機樹脂としては、ポリウレタン、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、ポリスチレン、アクリル樹脂、ポリイミド、ポリアミドイミド、アクリロニトリル、不飽和ポリエステル、ジアリルフタレート樹脂、AS樹脂、ABS樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、シリコン樹脂、フッ素樹脂の1種又は2種以上の混合あるいは化合物を用いることが可能である。
特に、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル、フェノール樹脂等は耐熱性、作業性に優れており本発明に好適である。
また、樹脂としてワニスを用いることも本発明範囲内である。
【0018】
エポキシ樹脂の具体例としては、ビスフェノールAとエピクロルヒドリンとの縮合生成物であるビスフェノールA型やビスフェノールF型、ビスフェノールAD型、フェノールノボラック型、オルソクレゾールノボラック型、脂環型などがある。
不飽和ポリエステルの具体例としては、無水マレイン酸、フマル酸、アジピン酸、無水フタル酸、イソフタル酸等とエチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ビスフェノールジエチルエーテル等を縮合反応させたものに適宜、スチレン、オルトクロルスチレン、ジアリルフタレート、トリアリルイソシアヌレート、メチルメタクリレート等のビニルモノマーを添加したものがある。
【0019】
本発明では、封止に使用する有機樹脂の曲げ弾性率、最大線膨張係数、成形収縮率、比重、残留応力を調整するために樹脂添加剤を使用することが可能である。樹脂添加剤の具体例としては、マイカ、アルミナ、タルク、アルミ粉末、炭酸カルシウム、シリカ、クレー、酸化チタン、グラファイト、ベントナイト、カーボンブラック、珪藻土、硫酸バリウムなどがあり、特にシリカ、アルミナについては熱膨張係数の観点から好適である。添加剤の形状は、特に限定するわけでは無いが、不定形粒子では不均一になりやすく、球状、繊維状が好適である。
【0020】
2層封止の場合で第1層の樹脂層の厚さを0.1μm未満にすることは工業生生産上困難であるので、その下限を0.1μmとした。上限については特に限定せず、使用する鉄芯の種類に応じて適宜決めればよい。
【0021】
樹脂の曲げ弾性率は、樹脂封止後の鉄芯に付与される応力状態に極めて重要な物性値である。鉄芯に接触する樹脂の曲げ弾性率が12GPa 超では、鉄芯に過大な残留圧縮応力が生じて鉄損特性が著しく劣化する。また鉄芯に接触しない樹脂でも、同様の理由で15GPa 以下にする必要がある。
【0022】
樹脂の200℃までにおける最大線膨張係数も、樹脂封止後の鉄芯に付与される応力状態に極めて重要な物性値である。鉄芯に接触する樹脂の200℃までにおける最大線膨張係数が2.0×10-5/℃超では、鉄芯に過大な残留圧縮応力が生じて、鉄損特性が著しく劣化する。また鉄芯に接触しない樹脂でも、同様の理由で3.0×10-5/℃以下にする必要がある。
【0023】
樹脂の成形収縮率も、樹脂封止後の鉄芯に付与される応力状態に極めて重要な物性値である。鉄芯に接触する樹脂の成形収縮率が0.1%超では、鉄芯に過大な残留圧縮応力が生じて鉄損特性が著しく劣化する。また鉄芯に接触しない樹脂でも、同様の理由で0.5%以下にする必要がある。
【0024】
樹脂の比重度も、樹脂封止後の鉄芯に付与される応力状態に極めて重要な物性値である。比重が1.50超では、冷却時に鉄芯に過大な残留圧縮応力が生じて、鉄損特性が著しく劣化する。また鉄芯に接触しない第2層の樹脂でも、同様の理由で2.00以下にする必要がある。
【0025】
熱硬化性樹脂を使用する場合、樹脂の成形温度も、樹脂封止後の鉄芯に付与される応力状態に極めて重要な物性値である。成形温度が175℃超では、冷却時に鉄芯に過大な残留圧縮応力が生じて鉄損特性が著しく劣化する。
樹脂封止後の鉄芯に生じる残留応力は、鉄損特性を著しく変化させる。特に主磁束の流れ方向に対する−10MPa 未満の残留応力の場合の鉄損特性において著しい。
【0026】
電磁鋼板を所定の形状に調整後、積層、または巻いて成形し、樹脂による封止がされる鉄芯において、樹脂の曲げ弾性率、最大線膨張係数、成形収縮率、硬化温度等を制御することによって、鉄損特性が向上する理由は、以下のように考えている。
【0027】
鉄芯を樹脂で封止した場合、鉄芯を形成する電磁鋼板と樹脂とは物性値が異なるため、樹脂の影響を受けて、鉄芯には何らかの応力が生じる。
電磁鋼板の曲げ弾性係数は130〜290Gpa 程度、線膨張係数は0.8〜1.9×10-5/℃程度である。
これら物性値と比較して、鉄芯に接触する樹脂の物性値が曲げ弾性係数は小さいほど、線膨張係数は、小さいほど、鉄芯に圧縮応力が働かなくなるか、あるいは引張応力が働き、その結果として鉄損特性が向上すると考えられる。
【0028】
樹脂の成形収縮率も同様の考えである。成形温度は温度が低いほど常温との温度差が小さくなるため、熱衝撃量も小さくなると考えられる。
したがって、鉄芯に接触する樹脂の物性値と、その外側に封止する樹脂の物性値とを異なるものにすることも有効な手段であると考えられる。しかし、あまり両者の物性値が異なると成形が困難になり、問題である。
【0029】
次に樹脂封止型鉄芯の製造方法について述べる。電磁鋼板を所定の形状に調整後、積層、または巻いて成形、鉄芯とする。続けて鉄芯にコイルを巻線した後に樹脂で封止するが、この時に樹脂の物性値、封止方法を制御する。
制御する物性としては、曲げ弾性係数、200℃までにおける最大線膨張係数、成形収縮率、成形温度が挙げられる。
【0030】
本発明においては鉄芯に接触する樹脂と、接触しない樹脂の2層で封止する場合、鉄芯に接触する樹脂に代えて、紙或いはワックスを用いることができる。紙或いはワックスを用いることで、絶縁性を維持しながら第2層に樹脂から鉄芯に受ける可能性のある応力を縁切ることができるからである。
【0031】
【実施例】
(実施例1)
0.35mm厚の無方向性電磁鋼板を、外径120mmφ、内径80mmφに打抜いて、カシメにより積層、750℃で2時間、窒素雰囲気中で歪取焼鈍した。その後、巻線を施し、ビスフェノールA型エポキシ樹脂に酸無水物系エポキシ樹脂硬化剤と繊維状アルミナ充填剤を種々の割合で配合した樹脂溶液を加熱混練後、射出成形機にて注入し、160℃で硬化させ、鉄芯の廻りを封止して磁気測定に供した。樹脂層1(鉄芯に接触する側:内側)には上記エポキシ樹脂の合計100重量部に対して繊維状アルミナ充填剤400重量部、樹脂層2(鉄芯に接触しない側:外側)では繊維状アルミナ充填剤を200重量部とし、他の樹脂は樹脂層1と同様に添加した。以下に示す表1中の各々の実施例では、ビスフェノールA型エポキシ樹脂と酸無水物系エポキシ樹脂硬化剤の比率を変更した。なお歪取焼鈍後で樹脂封止前の鉄損はW15/50 は2.30W/kgであった。結果を表1に示す。
【0032】
なお、表1においてNo.15,16においては樹脂層1に代えて紙を用いた。この場合の樹脂層は他の例と同様のものを用いた。また、表中の残留応力は、鉄芯のコアバック部及びティース部の適当箇所にX線を照射し、ψにおける回折ピーク位置2θを放物線ピークトップ法により求め、さらに2θ−Sin2ψ線図の勾配を最小自乗法で導出して、ヤング率、ポアソン比値を用いて算出した。
【0033】
【表1】
Figure 0003863800
【0034】
表1よりわかるように、曲げ弾性率が12GPa 以下の樹脂で封止すること、あるいは鉄芯の表面を、曲げ弾性率が12GPa 以下の樹脂で、0.1μm以上の厚みに封止した後、曲げ弾性率が15GPa 以下の樹脂で封止すること、そして残留応力が−10MPa 以上であることで、鉄損特性が優れていることがわかる。
また、紙を用いたNo,15,16でも優れた鉄損が得られることが分かる。
【0035】
(実施例2)
0.23mm厚の方向性電磁鋼板を60mm幅、300mm長に打抜き後、溶接して積層、800℃で2時間、窒素雰囲気中で歪取焼鈍した。その後巻線を施し、ビスフェノールA型エポキシ樹脂に酸無水物系エポキシ樹脂硬化剤と繊維状アルミナ充填剤を種々の割合で配合した樹脂溶液を加熱混練後、射出成形機にて注入し、160℃で硬化させ、鉄芯の廻りを封止して磁気測定に供した。
樹脂層1(内側)には、上記エポキシ樹脂合計100重量部に対して繊維状アルミナ充填剤400重量部、樹脂層2(外側)では繊維状アルミナ充填剤を200重量部とし他の樹脂は樹脂層1と同様に添加した。表中の各々の実施例では、ビスフェノールA型エポキシ樹脂と酸無水物系エポキシ樹脂硬化剤の比率を変更した。なお歪取焼鈍後で樹脂封止前の鉄損W17/50 は0.87W/kg であった。結果を表2に示す。
【0036】
【表2】
Figure 0003863800
【0037】
表2よりわかるように、200℃までにおける最大線膨張係数が2.0×10-5/℃以下の樹脂で封止すること、あるいは鉄芯の表面を、200℃までにおける最大線膨張係数が2.0×10-5/℃以下の樹脂で、0.1μm以上の厚みに封止した後、200℃までにおける最大線膨張係数が3.0×10-5/℃以下の樹脂で封止することで、鉄損特性が優れていることがわかる。
【0038】
(実施例3)
0.20mm厚の無方向性電磁鋼板を外径120mmφ、内径80mmφのリング形状に打抜き、カシメで固着して積層鉄芯とした。750℃で2時間、窒素雰囲気中で歪取焼鈍を実施した後、一次巻線、二次巻線を施して、ビスフェノールA型エポキシ樹脂に無水酸化物系エポキシ樹脂硬化剤と繊維状アルミナ充填剤を種々の割合で配合した樹脂溶液を加熱混練後、射出成形機にて注入し、160℃で硬化させ、鉄芯の廻りを封止して磁気測定に供した。
樹脂層1(内側)には、前記エポキシ樹脂の合計100重量部に対して繊維状アルミナ充填剤400重量部、樹脂層2(外側)では繊維状アルミナ充填剤を200重量部とし他の樹脂は樹脂層1と同様に添加した。表中の各々の実施例では、ビスフェノールA型エポキシ樹脂と酸無水物系エポキシ樹脂硬化剤の比率を変更した。歪取焼鈍後で樹脂封止前のW10/400 は10.8W/kg であった。結果を表3に示す。
【0039】
【表3】
Figure 0003863800
【0040】
表3よりわかるように、成形収縮率が0.1%以下の樹脂で封止すること、あるいは鉄芯の表面を、成形収縮率が0.1%以下の樹脂で、0.1μm以上の厚みに封止した後、成形収縮率が0.5%以下の樹脂で封止することで、鉄損特性が優れていることがわかる。
【0041】
(実施例4)
0.25mm厚の無方向性電磁鋼板を外径60mmφ、内径35mmφ、コアバック幅6mm、ティ−ス幅3mm、スロット数20のモ−タコア形状に打抜き、溶接で固着して積層鉄芯とした後、750℃で2時間、窒素雰囲気で歪取焼鈍した。その後、ティ−スに巻線を施して、ビスフェノールA型エポキシ樹脂に無水酸化物系エポキシ樹脂硬化剤と繊維状アルミナ充填剤を種々の割合で配合した樹脂溶液を加熱混練後、射出成形機にて注入し、160℃で硬化させ、スロットと鉄芯上下面を封止して回転鉄損測定に供した。
樹脂層1(内側)には、前記エポキシ樹脂に合計100重量部に対して繊維状アルミナ充填剤400重量部、樹脂層2(外側)では繊維状アルミナ充填剤を200重量部とし他の樹脂は樹脂層1と同様に添加した。表中の各々の実施例では、ビスフェノールA型エポキシ樹脂と酸無水物系エポキシ樹脂硬化剤の比率を変更した。なお歪取焼鈍後で樹脂封止前のW10/400 は12.5W/kg であった。結果を表4に示す。
【0042】
【表4】
Figure 0003863800
【0043】
表4よりわかるように、比重が1.50以下の樹脂で封止すること、あるいは鉄芯の表面を、比重が1.50以下の樹脂で、0.1μm以上の厚みに封止した後、比重が2.00以下の樹脂で封止することで、鉄損特性が優れていることがわかる。
【0044】
(実施例5)
0.30mm厚の無方向性電磁鋼板を外径60mmφ、内径35mmφ、コアバック幅6mm、ティ−ス幅3mm、スロット数20のモ−ターコア形状に打抜き、カシメで固着して積層鉄芯とした後、750℃で2時間、窒素雰囲気で歪取焼鈍した。その後ティ−スに巻線を施して、無水マレイン酸系不飽和ポリエステル樹脂に球状シリカ充填剤を配合した樹脂溶液を加熱混練後、射出成形機にて注入し、種々の成形温度で、スロットと鉄芯上下面、外側面を封止、回転鉄損測定に供した。樹脂層1(内側)には、エポキシ樹脂100重量部に対して球状シリカ充填剤200重量部、樹脂層2(外側)ではポリエステル樹脂100重量部に対して球状シリカ充填剤を150重量部添加した。なお歪取焼鈍後で樹脂封止前のW10/400は14.5W/kg であった。結果を表5に示す。
【0045】
【表5】
Figure 0003863800
【0046】
表5よりわかるように、成形温度が175℃以下の樹脂で封止すること、あるいは鉄芯の表面を、成形温度が175℃以下の樹脂で、0.1μm以上の厚みに封止した後、成形温度が200℃以下2.00の樹脂で封止することで、鉄損特性が優れていることがわかる。
【0047】
【発明の効果】
以上の通り本発明は、鉄損特性の優れた樹脂封止型鉄芯を提供するものであり、その工業的効果は甚大である。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)巻き鉄芯、(b)モーターコア、(c)トランスEIコア等における主磁束の流れ方向(矢印)を示す図。
【図2】樹脂封止した鉄芯における主磁束の流れ方向の残留応力と鉄損との関係を示す図。

Claims (6)

  1. 電磁鋼板を所定の形状に調整後、積層、または巻いて成形し、樹脂により封止された鉄芯において、樹脂封止の曲げ弾性率が10〜15 GPa で、かつ200℃までにおける最大線膨張係数が1.2×10E -5 /℃〜3.0×10E -5 /℃で、かつ成形収縮率が0.05〜0.5%で、かつ比重が1.2〜2.0で、かつ巻き鉄芯の巻き方向、または、モーターコアのコアバック部の円周方向、または、モーターコアのティース部の半径方向、または、積みトランスのヨーク部、レグ部それぞれの長手方向における残留応力が−10MPa (−は圧縮応力、+は引張応力)以上であることを特徴とする鉄損特性の優れた樹脂封止型鉄芯。
  2. 前記鉄芯において、鉄芯の表面を、曲げ弾性率が10〜12GPa で、200℃までにおける最大線膨張係数が1.2×10E -5 /℃以上で、かつ成形収縮率が0.05〜0.1%で、かつ比重が1.2〜1.5として0.1μm以上の厚みに封止した後、曲げ弾性率が13〜15GPa で、かつ200℃までにおける最大線膨張係数が2.7×10E -5 /℃〜3.0×10E -5 /℃で、かつ成形収縮率が0.3〜0.5%で、かつ比重が1.8〜2.0の樹脂で封止することを特徴とする請求項1記載の鉄損特性の優れた樹脂封止型鉄芯。
  3. 前記鉄芯において、成形温度が140〜200℃の熱硬化型樹脂で封止することを特徴とする請求項1又は2に記載の鉄損特性の優れた樹脂封止型鉄芯。
  4. 前記鉄芯において、鉄芯の表面を、成形温度が175℃以下の樹脂で、0.1μm以上の厚みに封止した後、成形温度が200℃以下の樹脂で封止することを特徴とする請求項記載の鉄損特性の優れた樹脂封止型鉄芯。
  5. 前記鉄芯において、鉄芯の表面を封止する樹脂に代えて、紙またはワックスのいずれかを用いることを特徴とする請求項2に記載の鉄損特性の優れた樹脂封止型鉄芯。
  6. 前記鉄芯において、積層、または巻いて成形した後、歪取焼鈍を施すことを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載の鉄損特性の優れた樹脂封止型鉄芯。
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