JP2018145350A - 熱可塑性エラストマー組成物、その成形体及びそれらの製造方法 - Google Patents

熱可塑性エラストマー組成物、その成形体及びそれらの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】4−メチル−1−ペンテン系重合体を用いたオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物で、目ヤニ抑制効果、柔軟性(曲げ弾性率)、耐熱性及び離型性のすべての点で優れたオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物を提供する。【解決手段】4−メチル−1−ペンテンに由来する構成単位(P)を90モル%以上100モル%以下含有し、4−メチル−1−ペンテン以外のα−オレフィンに由来する構成単位の全構成単位に対する割合が0モル%以上10モル%以下である重合体(A)30〜90質量部と、前記構成単位(P)を65モル%以上90モル%未満及び4−メチル−1−ペンテン以外の炭素数2以上20以下のα−オレフィンに由来する構成単位を10モル%以上35モル%以下含有する、4−メチル−1−ペンテン・α−オレフィン系共重合体(B)10〜70質量部と(但し、(A)と(B)の合計を100質量部とする)、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(C)1〜250質量部と、フェノール樹脂系架橋剤(D)1〜20質量部とを含む熱可塑性エラストマー組成物、その成形体及びそれらの製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物、更に詳しくは、オレフィン系樹脂として4−メチル−1−ペンテン系重合体を用いたオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物、その成形体及びそれらの製造方法に関する。
オレフィン系熱可塑性エラストマーは、軽量でリサイクルが容易であり、また、焼却時に有毒なガスを発生しないことから、省エネルギー、省資源、更に近年は、地球環境保護の観点から、特に加硫ゴムの代替品として自動車部品、工業機械部品、電気・電子部品、建材等に広く使用されている。
一方、4−メチル−1−ペンテン系重合体は、例えば、曲管ホース作成用のマンドレルの材料として用いられているが、より柔軟な材質が求められている。4−メチル−1−ペンテン系重合体にエチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体等のエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体を配合すると柔軟になることが知られている。
特許文献1には、4−メチル−1−ペンテン系重合体と、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体等の架橋ゴムを必須成分とする熱可塑性エラストマー組成物、及びその用途としてマンドレルが記載されている。
特許文献2には、変性4−メチル−1−ペンテン系重合体及び架橋ゴムを必須成分とする熱可塑性エラストマー組成物が記載されている。
特許文献3には、4−メチル−1−ペンテン系重合体、架橋ゴム及び不飽和カルボン酸を必須成分とする熱可塑性エラストマー組成物が記載されている。
特許文献1〜3において、架橋手段として具体的に用いられているのは、過酸化物架橋である。
しかしながら、4−メチル−1−ペンテン系重合体/過酸化物架橋ゴム系の熱可塑性エラストマー組成物では、押出成形時に目ヤニが発生するという問題があった。
更に、熱可塑性エラストマー組成物は、目ヤニ抑制効果だけでなく、曲げ弾性率、耐熱性及び離型性の点でも優れていることが必要である。
しかしながら、4−メチル−1−ペンテン系重合体を用いたオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物で、目ヤニ抑制効果、柔軟性(曲げ弾性率)、耐熱性及び離型性のすべての点で満足できるものは存在しなかった。
特開平11−269330号公報(請求項1、段落0003、実施例) 特開2002−20562号公報(請求項1) 特開2006−274119号公報(請求項2〜4)
本発明の課題は、4−メチル−1−ペンテン系重合体を用いたオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物で、目ヤニ抑制効果、柔軟性(曲げ弾性率)、耐熱性及び離型性のすべての点で優れたオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物を提供することである。
本発明の要旨は以下のとおりである。
(1)4−メチル−1−ペンテンに由来する構成単位(P)を90モル%以上100モル%以下含有し、4−メチル−1−ペンテン以外のα−オレフィンに由来する構成単位(以下「構成単位(AQ)」と称する場合がある)の全構成単位に対する割合が0モル%以上10モル%以下である重合体(A)30〜90質量部と、
前記構成単位(P)を65モル%以上90モル%未満及び4−メチル−1−ペンテン以外の炭素数2以上20以下のα−オレフィンに由来する構成単位(以下「構成単位(BQ)」と称する場合がある)を10モル%以上35モル%以下含有する、4−メチル−1−ペンテン・α−オレフィン系共重合体(B)10〜70質量部と(但し、(A)と(B)の合計を100質量部とする)、
エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(C)1〜250質量部と、
フェノール樹脂系架橋剤(D)1〜20質量部とを含む熱可塑性エラストマー組成物。
(2)前記重合体(A)50〜90質量部と、前記共重合体(B)10〜50質量部と(但し、(A)と(B)の合計を100質量部とする)、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(C)1〜200質量部と、フェノール樹脂系架橋剤(D)1〜20質量部とを含む前記(1)に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
(3)前記重合体(A)60〜90質量部と、前記共重合体(B)10〜40質量部と(但し、(A)と(B)の合計を100質量部とする)、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(C)1〜200質量部と、フェノール樹脂系架橋剤(D)1〜20質量部とを含む前記(1)に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
(4)動的に熱処理されている前記(1)〜(3)のいずれかに記載の熱可塑性エラストマー組成物。
(5)前記重合体(A)と、前記共重合体(B)と、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(C)と、フェノール樹脂系架橋剤(D)とを、動的に熱処理することを含む、前記(1)〜(4)のいずれかに記載の熱可塑性エラストマー組成物の製造方法。
(6)押出し成形用である前記(1)〜(4)のいずれかに記載の熱可塑性エラストマー組成物。
(7)前記(6)に記載の熱可塑性エラストマー組成物を押出し成形して得られる成形体。
(8)ホース成形用マンドレルである前記(7)に記載の成形体。
(9)前記(6)に記載の熱可塑性エラストマー組成物を押出し成形することを含む、前記(7)又は(8)に記載の成形体の製造方法。
本発明によれば、4−メチル−1−ペンテン系重合体を用いたオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物で、目ヤニ抑制効果、柔軟性(曲げ弾性率)、耐熱性及び離型性のすべての点で優れたオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物を提供することができる。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、フェノール樹脂系架橋剤(D)を含むため、少なくとも一部は架橋されているが、動的に熱処理されているものが好ましい。当該動的に熱処理されている熱可塑性エラストマー組成物は、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(C)を含む混合物をフェノール樹脂系架橋剤(D)の存在下で動的に熱処理して得られる架橋体と前記重合体(A)、前記共重合体(B)とをブレンドしたものは包含しない。前記動的に熱処理されている熱可塑性エラストマー組成物は、前記ブレンド物と、耐油性、ゴム弾性の点で区別できる。
フェノール樹脂系架橋剤は、過酸化物系架橋剤と異なり、架橋反応後も架橋体の一部を構成しており、未反応分も分解等せず、組成物中に残留しているものと考えられる。
したがって、本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、耐油性評価、ゴム弾性評価及び組成分析することにより、過酸化物系架橋剤の存在下で動的に熱処理して得られる熱可塑性エラストマー組成物と区別できる。
[4−メチル−1−ペンテン系重合体(A)]
本発明で用いられる4−メチル−1−ペンテン系重合体(A)は、4−メチル−1−ペンテンの単独重合体、又は4−メチル−1−ペンテンと他のα−オレフィン、例えばエチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセン等の炭素数2〜20のα−オレフィンとのランダム共重合体である。好ましい共重合成分は、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン又は1−エイコセン等の炭素数10〜20のα−オレフィンである。4−メチル−1−ペンテンと共重合するα−オレフィンは二種類以上の混合物であってもよい。
4−メチル−1−ペンテン系重合体(A)が共重合体の場合、4−メチル−1−ペンテンの含有量が90モル%以上100モル%未満、好ましくは92モル%以上100モル%未満、更に好ましくは94モル%以上100モル%未満である4−メチル−1−ペンテンを主体とした共重合体が好ましい。共重合成分の含有量が10モル%以下の範囲にある場合、より耐熱性に優れた組成物が得られる。4−メチル−1−ペンテン系重合体(A)としては4−メチル−1−ペンテンと炭素数10〜20のα−オレフィンとのランダム共重合体が好ましい。
4−メチル−1−ペンテン系重合体(A)は、ASTM D 1238に準じ荷重5.0Kg、温度260℃の条件で測定したメルトフローレート(MFR)が0.1〜200g/10分、好ましくは1〜150g/10分の範囲にあるものが望ましい。
4−メチル−1−ペンテン系重合体(A)としては市販品を使用することもできる。具体的には、三井化学(株)製のTPX MX001、MX002、MX004、MX021、MX321、RT18又はDX845(いずれも商標)などが挙げられる。また、その他のメーカー製でも前記の要件を満たす4−メチル−1−ペンテン系重合体であれば、好ましく使用可能である。4−メチル−1−ペンテン系重合体(A)は1種単独で使用することもできるし、2種以上を組み合せて使用することもできる。
[4−メチル−1−ペンテン・α−オレフィン系共重合体(B)]
本発明で用いられる4−メチル−1−ペンテン・α−オレフィン系共重合体(B)は、4−メチル−1−ペンテンと、他のα−オレフィン、例えばエチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセン等の炭素数2〜20のα−オレフィンとのランダム共重合体である。好ましい共重合成分は、プロピレン、1−ブテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン又は1−エイコセン等の炭素数3〜20のα−オレフィンである。4−メチル−1−ペンテンと共重合するα−オレフィンは二種類以上の混合物であってもよい。
共重合体中の4−メチル−1−ペンテンの含有量が65モル%以上90モル%未満、好ましくは67モル%以上85モル%以下、更に好ましくは69モル%以上83モル%以下、共重合成分の含有量が10モル%以上35モル%以下、好ましくは15モル%以上33モル%以下、更に好ましくは17モル%以上31モル%以下である。共重合成分の含有量が65モル%以上90モル%未満の範囲にある場合、分散性に優れた組成物が得られる。
[エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(C)]
本発明で用いられるエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(C)は、エチレンと、エチレン以外のα−オレフィン、好ましくは炭素数3〜20のα−オレフィンと、非共役ポリエン、好ましくは非共役ジエンとからなる共重合体である。
前記共重合体(C)は、「ポリマー製造プロセス((株)工業調査会、発行p.309〜330)」もしくは本願出願人の出願に係る特開平9−71617号公報、特開平9−71618号公報、特開平9−208615号公報、特開平10−67823号公報、特開平10−67824号公報、特開平10−110054号公報、WO2009/081792号パンフレット、WO2009/081794号パンフレットなどに記載されているような従来公知の方法により製造することができる。
本発明で用いられるエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(C)の製造の際に好ましく用いられるオレフィン重合用触媒としては、例えば、
バナジウム(V)、ジルコニウム(Zr)、チタニウム(Ti)等の遷移金属化合物と、有機アルミニウム化合物(有機アルミニウムオキシ化合物)とからなる公知のチーグラー触媒;
元素の周期律表第4族から選ばれる遷移金属のメタロセン化合物と、有機アルミニウムオキシ化合物又はイオン化イオン性化合物とからなる公知のメタロセン触媒、例えば特開平9−40586号公報に記載されているメタロセン触媒;
特定の遷移金属化合物と、ホウ素化合物等の共触媒とからなる公知のメタロセン触媒、例えばWO2009/072553号パンフレットに記載されているメタロセン触媒;
特定の遷移金属化合物と、有機金属化合物、有機アルミニウムオキシ化合物又は該遷移金属化合物と反応してイオン対を形成する化合物とからなる遷移金属化合物触媒、例えば特開2011−52231号公報に記載されている遷移金属化合物触媒;
が挙げられる。特にメタロセン触媒を用いると、ジエンの分布が均一となってジエンの導入が少なくても高い架橋効率を得ることができ、また触媒活性が高いため触媒由来の塩素含量を低減できるため特に好ましい。
本発明で用いられるエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(C)は、エチレンから導かれる構造単位と、炭素数が3〜20のα−オレフィンから導かれる構造単位との合計100モル%中において、エチレンから導かれる構造単位の含有率(Eaモル%)が通常40〜90モル%、好ましくは40〜80モル%、より好ましくは45〜70モル%であり、更に好ましくは50〜60モル%であり、炭素数が3〜20のα−オレフィンから導かれる構造単位の含有率が通常60〜10モル%、好ましくは60〜20モル%、より好ましくは55〜30モル%、更に好ましくは50〜40モル%である。
エチレンから導かれる構造単位の含有率と、炭素数が3〜20のα−オレフィンから導かれる構造単位の含有率とが前記範囲にあると、機械物性、ゴム弾性、耐寒性及び加工性に優れた熱可塑性エラストマー組成物を得られるという点で優れている。エチレンから導かれる構造単位の含有率が90モル%以下、炭素数が3〜20のαオレフィンから導かれる構造単位の含有率が10モル%以上であると、熱可塑性組成物が柔軟性、低温でのゴム弾性、加工性に優れる。エチレンから導かれる構造単位の含有率が40モル%以上、炭素数が3〜20のαオレフィンから導かれる構造単位の含有率が60モル%以下であると、熱可塑性組成物が機械物性、高温でのゴム弾性に優れる。エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(B)のエチレン構造単位の含有率、及びα−オレフィン構造単位の含有率は、13C−NMR法で測定することができ、例えば後述する方法及び「高分子分析ハンドブック」(朝倉書店 2008年発行 初版 P184〜211)に記載の方法に従ってピークの同定と定量とを行うことができる。
炭素数3〜20のα−オレフィンとしては、具体的には、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチルペンテン−1、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン、1−トリデセン、1−テトラデセン、1−ペンタデセン、1−ヘキサデセン、1−ヘプタデセン、1−ノナデセン、1−エイコセン、9−メチルデセン−1、11−メチルドデセン−1、12−エチルテトラデセン−1などが挙げられる。中でも、プロピレン、1−ブテン、4−メチルペンテン−1、1−ヘキセン、1−オクテンが好ましく、とりわけプロピレンが好ましい。これらのα−オレフィンは、単独で、又は2種以上組み合わせて用いられる。
非共役ポリエンとしては、具体的には、1,4−ヘキサジエン、3−メチル−1,4−ヘキサジエン、4−メチル−1,4−ヘキサジエン、5−メチル−1,4−ヘキサジエン、4,5−ジメチル−1,4−ヘキサジエン、7−メチル−1,6−オクタジエン、8−メチル−4−エチリデン−1,7−ノナジエン、4−エチリデン−1,7−ウンデカジエン等の鎖状非共役ジエン;メチルテトラヒドロインデン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−メチレン−2−ノルボルネン、5−イソプロピリデン−2−ノルボルネン、5−ビニリデン−2−ノルボルネン、6−クロロメチル−5−イソプロペニル−2−ノルボルネン、5−ビニル−2−ノルボルネン、5−イソプロペニル−2−ノルボルネン、5−イソブテニル−2−ノルボルネン、シクロペンタジエン、ノルボルナジエン等の環状非共役ジエン;2,3−ジイソプロピリデン−5−ノルボルネン、2−エチリデン−3−イソプロピリデン−5−ノルボルネン、2−プロペニル−2,2−ノルボルナジエン、4−エチリデン−8−メチル−1,7−ノナジエン等のトリエンなどが挙げられる。中でも、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−ビニル−2−ノルボルネン、シクロペンタジエン、4−エチリデン−8−メチル−1,7−ノナジエンが好ましい。
本発明に係るエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(C)は、135℃のデカリン中で測定した極限粘度[η]が、通常0.6〜6.5dl/g、好ましくは0.8〜6.0dl/g、より好ましくは0.9〜5.5dl/gであることが望ましい。135℃のデカリン中で測定した極限粘度[η]がこの範囲にあると、機械特性、ゴム弾性及び加工性のバランス優れた熱可塑性エラストマーが得られるという点で優れている。
本発明に係るエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(C)のヨウ素価は、通常2〜50g/100g、好ましくは5〜40g/100g、より好ましくは7〜30g/100gであることが望ましい。ヨウ素価がこの範囲を下回ると、熱可塑性エラストマー中での架橋効率が低下し、ゴム弾性が低下する。ヨウ素価がこの範囲を上回ると、架橋密度が高くなりすぎて伸びが低下し、物性バランスが悪化する場合がある。
本発明に係るエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(C)は、GPCにより測定した分子量分布(Mw/Mn)が、通常1.5〜50であり、好ましくは1.8〜30であり、より好ましくは2.0〜6である。分子量分布がこの範囲を下回ると低分子量成分の含有量が少なくなり、加工性が低下する。分子量分布がこの範囲を上回ると、低分子量成分の含有量が多くなり、耐フォギング性が悪化する。
本発明に係るエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(C)のムーニー粘度[ML1+4(100℃)]は、好ましくは15〜400である。ムーニー粘度がこの範囲にあると、機械特性と加工性のバランスに優れる。
[フェノール樹脂系架橋剤(D)]
架橋剤として用いられるフェノール樹脂系架橋剤は、フェノール系加硫剤(phenolic curative)とも呼ばれるものであり、フェノール系硬化性樹脂(phenolic curing resin)を含む加硫剤をいい、好ましくは、米国特許第4311628号明細書に開示されているフェノール系硬化性樹脂(phenolic curing resin)及び加硫活性剤(cure activator)からなるフェノール系加硫剤系(phenolic curative system)が挙げられる。
前記の系の基本成分は、アルカリ媒体中における置換フェノール(例えば、ハロゲン置換フェノール、C−Cアルキル置換フェノール)又は非置換フェノールとアルデヒド、好ましくはホルムアルデヒドとの縮合によるか、あるいは二官能性フェノールジアルコール類(好ましくは、パラ位がC−C10アルキル基で置換されたジメチロールフェノール類)の縮合により製造されるフェノール系硬化性樹脂である。アルキル置換フェノール系硬化性樹脂のハロゲン化により製造されるハロゲン化されたアルキル置換フェノール系硬化性樹脂が特に適している。メチロールフェノール硬化性樹脂、ハロゲン供与体及び金属化合物からなるフェノール系加硫剤系が特に推奨でき、その詳細は米国特許第3287440号及び同第3709840号各明細書に記載されている。非ハロゲン化フェノール系硬化性樹脂は、ハロゲン供与体と同時に、好ましくはハロゲン化水素スカベンジャーとともに使用される。通常、ハロゲン化フェノール系硬化性樹脂、好ましくは、2〜10質量%の臭素を含有している臭素化フェノール系硬化性樹脂はハロゲン供与体を必要としないが、例えば酸化鉄、酸化チタン、酸化マグネシウム、ケイ酸マグネシウム、二酸化ケイ素及び好ましくは酸化亜鉛のような金属酸化物のごときハロゲン化水素スカベンジャーと同時に使用される。このようなスカベンジャーの存在はフェノール系硬化性樹脂の架橋作用を促進するが、フェノール系硬化性樹脂で容易に加硫されないゴムの場合には、ハロゲン供与体及び酸化亜鉛を共用することが望ましい。ハロゲン化フェノール系硬化性樹脂の製法及び酸化亜鉛を使用する加硫剤系におけるこれらの利用は米国特許第2972600号及び同第3093613号各明細書に記載されており、その開示は前記米国特許第3287440号及び同第3709840号明細書の開示とともに参考として本明細書にとり入れるものとする。適当なハロゲン供与体の例としては、例えば、塩化第一錫、塩化第二鉄、又は塩素化パラフィン、塩素化ポリエチレン、クロロスルホン化ポリエチレン及びポリクロロブタジエン(ネオプレンゴム)のようなハロゲン供与性重合体が挙げられる。本明細書で使用されている「活性剤」なる用語はフェノール系硬化性樹脂の架橋効率を実質上増加させるあらゆる物質を意味し、そして金属酸化物及びハロゲン供与体を包含し、これらは単独で、又は組み合わせて使用される。フェノール系加硫剤系のより詳細に関しては、「Vulcanization and Vulcanizing Agents」(W. Hoffman, Palmerton Publishing Company)を参照されたい。適当なフェノール系硬化性樹脂及び臭素化フェノール系硬化性樹脂は商業的に入手することができ、例えばかかる樹脂はSchenectady Chemicals, Inc.から商品名「SP−1045」、「CRJ−352」、「SP−1055」及び「SP−1056」として購入されうる。同様の作用上等価のフェノール系硬化性樹脂は、また他の供給者から得ることができる。
前記フェノール樹脂系架橋剤は、分解物の発生が少ないため、フォギング防止の観点から好適な加硫剤である。
前記フェノール樹脂系架橋剤は、ゴムの本質的に完全な加硫を達成させるに充分な量で使用される。
[熱可塑性エラストマー組成物]
本発明の熱可塑性エラストマー組成物において、4−メチル−1−ペンテン系重合体(A)の配合量は、4−メチル−1−ペンテン系重合体(A)及び4−メチル−1−ペンテン・α−オレフィン系共重合体(B)の合計量100質量部に対して、30〜90質量部、好ましくは35〜90質量部、更に好ましくは40〜90質量部である。4−メチル−1−ペンテン系重合体(A)の前記配合量が30質量部未満であると、耐熱性が低下し、一方、90質量部を超えると、柔軟性が低下する。
エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(C)の配合量は、4−メチル−1−ペンテン系重合体(A)及び4−メチル−1−ペンテン・α−オレフィン系共重合体(B)の合計量100質量部に対して、1〜250質量部、好ましくは10〜230質量部、更に好ましくは20〜210質量部である。エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(C)の前記配合量が1質量部未満であると、柔軟性が低下し、一方、250質量部を超えると、耐熱性が低下する。
フェノール樹脂系架橋剤(D)の使用量は、4−メチル−1−ペンテン系重合体(A)及び4−メチル−1−ペンテン・α−オレフィン系共重合体(B)の合計量100質量部に対して、1〜20質量部、好ましくは1〜15質量部、更に好ましくは1〜12質量部である。フェノール樹脂系架橋剤(D)の前記使用量が1質量部未満であると、オイルブリードが発生し、一方、20質量部を超えると、目ヤニが増加する。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物には、4−メチル−1−ペンテン系重合体(A)、4−メチル−1−ペンテン・α−オレフィン系共重合体(B)、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(C)及びフェノール樹脂系架橋剤(D)以外の成分、例えば、4−メチル−1−ペンテン系重合体(A)又は4−メチル−1−ペンテン・α−オレフィン系共重合体(B)以外のオレフィン系樹脂、軟化剤、耐熱安定剤、帯電防止剤、耐候安定剤、老化防止剤、充填剤、着色剤、滑剤等の添加物を、必要に応じて、本発明の目的を損なわない範囲で配合することができる。
前記4−メチル−1−ペンテン系重合体(A)又は4−メチル−1−ペンテン・α−オレフィン系共重合体(B)以外のオレフィン系樹脂としては、例えば、プロピレン系重合体、具体的には、ホモポリプロピレン、プロピレンとプロピレン以外のα−オレフィンとのランダム共重合体(例えば、プロピレン・エチレンランダム共重合体、プロピレン・エチレン・ブテンランダム共重合体)、及びプロピレンとプロピレン以外のα−オレフィンとのブロック共重合体(例えば、プロピレン・エチレンブロック共重合体)の中から選ばれる1種以上のプロピレン系重合体が挙げられる。
前記4−メチル−1−ペンテン系重合体(A)又は4−メチル−1−ペンテン・α−オレフィン系共重合体(B)以外のオレフィン系樹脂の配合量は、4−メチル−1−ペンテン系重合体(A)及び4−メチル−1−ペンテン・α−オレフィン系共重合体(B)の合計量100質量部に対して、通常20質量部以下、好ましくは15質量部以下である。
軟化剤としては、例えば、プロセスオイル、潤滑油、パラフィン、流動パラフィン、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、石油アスファルト、ワセリン等の石油系軟化剤、コールタール、コールタールピッチ等のコールタール系軟化剤、ヒマシ油、アマニ油、ナタネ油、大豆油、椰子油等の脂肪油系軟化剤、トール油、サブ(ファクチス)、蜜ロウ、カルナウバロウ、ラノリン等のロウ類、リシノール酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸亜鉛等の脂肪酸及び脂肪酸塩、ナフテン酸、パイン油、ロジン又はその誘導体、テルペン樹脂、石油樹脂、クマロンインデン樹脂、アタクチックポリプロピレン等の合成高分子物質、ジオクチルフタレート、ジオクチルアジペート、ジオクチルセバケート等のエステル系軟化剤、マイクロクリスタリンワックス、液状ポリブタジエン、変性液状ポリブタジエン、液状ポリイソプレン、末端変性ポリイソプレン、水添末端変性ポリイソプレン、液状チオコール、炭化水素系合成潤滑油などが挙げられる。中でも、石油系軟化剤、特にプロセスオイルが好ましく用いられる。
4−メチル−1−ペンテン系重合体(A)、4−メチル−1−ペンテン・α−オレフィン系共重合体(B)、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(C)及びフェノール樹脂系架橋剤(D)以外の成分の合計配合量は、4−メチル−1−ペンテン系重合体(A)及び4−メチル−1−ペンテン・α−オレフィン系共重合体(B)の合計量100質量部に対して、通常20質量部以下、好ましくは10質量部以下である。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、好ましくは、4−メチル−1−ペンテン系重合体(A)、4−メチル−1−ペンテン・α−オレフィン系共重合体(B)、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(C)、及び必要に応じて配合される添加物を含む混合物を、フェノール樹脂系架橋剤(D)の存在下で動的に熱処理することにより製造することができる。
前記の「動的に熱処理する」とは、前記のような各成分を融解状態で混練することをいう。
混練装置としては、従来公知の混練装置、例えば開放型のミキシングロール、非開放型のバンバリーミキサー、押出機、ニーダー、連続ミキサー等が用いられる。これらのうちでは、非開放型の混練装置が好ましく、混練は、窒素ガス、炭酸ガス等の不活性ガスの雰囲気下で行うことが好ましい。
混練温度は、通常150〜280℃、好ましくは170〜250℃であり、混練時間は、通常1〜20分間、好ましくは1〜10分間である。また、加えられる剪断力は、剪断速度として10〜50,000sec−1、好ましくは100〜20,000sec−1の範囲内で決定される。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、目ヤニ抑制効果、柔軟性(曲げ弾性率)、耐熱性及び離型性のすべての点で優れており、押出成形性に優れているので、押出成形等において従来使用されている成形装置を用いて成形することができる。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物の目ヤニ抑制効果は、過酸化物架橋に替えてフェノール樹脂架橋にすることで4−メチル−1−ペンテン系重合体の分解を抑制してメルトテンションの低下を防止し、また、組成物中における架橋ゴム(架橋エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体)の分散性が改良されたことによる効果と推測される。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、前記のような特性を必要とするエラストマー素材として利用することができる。例えば、ゴムホースの加硫の際に使用するマンドレルの素材として有用である。
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
なお、以下において各物性は下記の方法により測定又は評価した。
[組成]
重合体における各構成単位の含有率(モル%)は、下記の方法(13C−NMRによる測定法)により測定した。
(条件)
測定装置:核磁気共鳴装置(ECP500型、日本電子(株)製)
観測核:13C(125MHz)
シーケンス:シングルパルスプロトンデカップリング
パルス幅:4.7μ秒(45°パルス)
繰り返し時間:5.5秒 積算回数:1万回以上
溶媒:o−ジクロロベンゼン/重水素化ベンゼン(容量比:80/20)混合溶媒
試料濃度:55mg/0.6ml
測定温度:120℃
ケミカルシフトの基準値:27.50ppm
[引張弾性率(23℃)]
JIS K7127(1999)に準拠し、フィルムについて弾性率を測定した。
[極限粘度[η]]
ウベローデ粘度計を用い、下記の方法により測定した。
20mgの重合体をデカリン25mlに溶解させた後、ウベローデ粘度計を用い、135℃のオイルバス中で比粘度ηspを測定した。このデカリン溶液にデカリンを5ml加えて希釈した後、前記と同様にして比粘度ηspを測定した。この希釈操作を更に2回繰り返し、濃度(C)を0に外挿した時のηsp/Cの値を極限粘度[η](単位:dl/g)として求めた(下記の式参照)。
[η]=lim(ηsp/C) (C→0)・・・式
[重量平均分子量(Mw)及び分子量分布(Mw/Mn)]
重合体の重量平均分子量(Mw)、及び重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比で表される分子量分布(Mw/Mn)は、下記のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いた標準ポリスチレン換算法により算出される値である。
(条件)
測定装置:GPC(ALC/GPC 150−C plus型、示唆屈折計検出器一体型、Waters製)
カラム:GMH6−HT(東ソー(株)製)2本、及びGMH6−HTL(東ソー(株)製)2本を直列に接続
溶離液:o−ジクロロベンゼン
カラム温度:140℃
流量:1.0ml/分
[メルトフローレート(MFR)]
ASTM D1238に準拠して230℃、10kg荷重にて測定されるメルトフローレート(MFR)を求めた。
[密度]
JIS K7112(密度勾配管法)に準拠して密度を求めた。
[融点(Tm)]
JIS K7121に準拠して示差走査熱量計(DSC:Differential scanning calorimetry)を用い、下記の方法により測定した。
約5mgの重合体を、セイコーインスツル(株)製の示差走査熱量計(DSC220C型)の測定用アルミニウムパン中に密封し、室温から10℃/分で200℃まで加熱した。重合体を完全融解させるために、200℃で5分間保持し、次いで、10℃/分で−50℃まで冷却した。−50℃で5分間置いた後、10℃/分で200℃まで2度目の加熱を行い、この2度目の加熱でのピーク温度(℃)を重合体の融点(Tm)とした。なお、複数のピークが検出される場合には、最も高温側で検出されるピークを採用した。
[ショアーA硬度(瞬間値)]
JIS K6253に準拠して、厚さ2mmのプレスシートを2枚重ねにし、ショアーA硬度計により測定した。
[軟化温度]
軟化温度は以下の装置と測定条件により求めた。
装置:熱機械分析装置TMA Q400(TAインスツルメンツ社製)
測定方法:針入法
測定条件:1mmφのプローブ使用
昇温速度:5℃/分
[CS測定]
実施例にて作成した2mmtシートを積層し、JIS K6262に準拠して圧縮永久ひずみ試験を行った。試験条件は、厚み12mm(厚み2mm片の6枚重ね)の積層シートを用いて25%圧縮で、70℃22時間圧縮を行い、歪み除去(圧縮)後、30分経過後に測定した。
[引張特性]
50tプレス機を用いて、熱可塑性エラストマー組成物から調製した(調製条件:予熱230℃、8分間、加圧、6分間)シートサンプル(2mm厚)を被験試料とし、測定温度25℃、引張速度500mm/分の条件で引張試験を行い、引張破断強度(TB)及び引張破断伸び(EB)を測定した。
[引裂試験]
ISO34−1にて測定を行った。試験片は切り込みなしアングル形を使用し、引裂速度500±50mm/分にて切断に至る最大応力を測定した。
[体積変化率]
JIS K6258の条件で測定を行った。温度条件は、125℃×72hで油浸漬前後での体積変化率を測定した。
[重量変化率]
JIS K6258の条件で測定を行った。温度条件は、80℃×24hで油浸漬前後での重量変化率を測定した。
[ヤング率]
ISO 527−1に基づいて測定を行った。伸びが0.25%での引張応力と歪の比によりヤング率を算出した。
[離型性評価]
得られた熱可塑性エラストマーのナイロンからの離型性評価は、以下の構成の試料を用いて行った。
得られた熱可塑性エラストマーの厚さ2mmのシートと、UBEナイロン(登録商標)1030B(宇部興産社製、PA6,M,27−030)製の厚さ100μmフィルムを重ね合わせた後、予熱温度180℃、圧力50kg/cm、時間10分、冷却2分の条件でプレスして重ね合わせフィルムを作成し、離型性を評価した。
比較として、熱可塑性エラストマーに代えてTPX(登録商標)MX002(三井化学製)製の厚さ2mmのシートと、前記のUBEナイロン(登録商標)1030B製フィルム(厚さ100μm)との重ねあわせフィルムを作成し、離型性評価に使用した。
離型性評価は、JIS K6854−2に基づいて180度剥離試験により行った。試験条件は以下の通りである。
・引張速度500mm/分
・試験片は50mm×5mmの重ね合わせフィルムを作成して実施した。
[目ヤニ評価]
幅2mmの口金を取り付けた50mm単軸押出機を使用し、前記の熱可塑性エラストマーを下記条件で押し出した。
押出時間:10分間
バレル回転数:20rpm
バレル温度:C1/C2/C3/C4/C5=160℃/170℃/180℃/190℃/200℃
押出操作の終了後に、口金周辺の目ヤニを採取し、定量した(ここで目ヤニとは口金付近に付着した樹脂組成物の微小な塊を指す)。この時の押出量と目ヤニ量から単位押出量あたりの目ヤニ量を比較した。
<合成例1>
WO2006/054613の比較例9に記載の方法で重合体A−1を合成した。物性を以下に示す。
[組成]
構成単位(P)の含有率:96.0モル%
構成単位(AQ)を形成するモノマーの種類:1−ヘキサデセン/1−オクタデセン
構成単位(AQ)の含有率:4.0モル%
[引張弾性率(23℃)]1200MPa
[極限粘度[η]]2.2dl/g
[重量平均分子量(Mw)]876000
[分子量分布(Mw/Mn)]7.2
[メルトフローレート(MFR)]21g/10分
[密度]833kg/m
[融点(Tm)]224℃
<合成例2>重合体B−1の合成
充分に窒素置換した容量1.5Lの攪拌翼付のSUS製オートクレーブに、300mlのn−ヘキサン(乾燥窒素雰囲気下、活性アルミナ上で乾燥したもの)、及び450mlの4−メチル−1−ペンテンを23℃で装入した後、トリイソブチルアルミニウム(TIBAL)の1.0mmol/mlトルエン溶液を0.75ml装入し、攪拌機を回した。
次に、オートクレーブを内温が60℃になるまで加熱し、全圧(ゲージ圧)が0.40MPaとなるようにプロピレンで加圧した。
続いて、予め調製しておいた、Al換算で1mmolのメチルアルミノキサン、及び0.01mmolのジフェニルメチレン(1−エチル−3−t−ブチル−シクロペンタジエニル)(2,7−ジ−t−ブチル−フルオレニル)ジルコニウムジクロリドを含むトルエン溶液0.34mlをオートクレーブに窒素で圧入し、重合反応を開始させた。重合反応中は、オートクレーブの内温が60℃になるように温度調整した。
重合開始から60分後、オートクレーブにメタノール5mlを窒素で圧入し、重合反応を停止させた後、オートクレーブ内を大気圧まで脱圧した。脱圧後、反応溶液に、該反応溶液を攪拌しながらアセトンを添加し、溶媒を含む重合反応生成物を得た。次いで、得られた溶媒を含む重合反応生成物を減圧下、130℃で12時間乾燥させて、共重合体(B)として、36.9gの粉末状の重合体B−1を得た。物性を以下に示す。
[組成]
構成単位(P)の含有率:72.5モル%
構成単位(BQ)を形成するモノマーの種類:プロピレン
構成単位(BQ)の含有率:27.5モル%
[引張弾性率(23℃)]500MPa
[極限粘度[η]]1.5dl/g
[重量平均分子量(Mw)]337000
[分子量分布(Mw/Mn)]2.1
[メルトフローレート(MFR)]11g/10分
[密度]839kg/m
[融点(Tm)]観察されず
〔実施例1〕
エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体として三井EPT(商標)3072EPM(三井化学社製エチレン・プロピレン・ENB共重合体)(カタログ値:エチレン含量64質量%、ENB含量5.4質量%、モル換算値(エチレンとプロピレンの合計を100モル%とする):エチレン含量75.8モル%、プロピレン含量24.2モル%、油展量40質量部、ヨウ素価11.5)を140質量部、重合体A−1を130質量部、重合体B−1を100質量部、更にフェノール樹脂系架橋剤として臭素化アルキルフェノール・ホルムアルデヒド樹脂(商品名:SP−1055F、Schenectady社製)8.0質量部、酸化防止剤としてフェノール系酸化防止剤(イルガノックス1010、BASFジャパン(株)製)0.20質量部と、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(商品名:Tinuvin 326FL、BASFジャパン(株)社製)0.20質量部、ヒンダードアミン(HALS)系耐候安定剤(商品名:サノールLS−770、三共ライフテック社製)0.10質量部、酸化亜鉛(酸化亜鉛2種、ハクスイテック社製)0.80質量部、カーボンブラックマスターバッチ(PE4993、Cabot社製)4.0質量部と、軟化剤(ダイアナプロセスPW−100、パラフィンオイル)60質量部とを、押出機(品番 KTX−30、神戸製鋼(株)製、シリンダー温度:C1:50℃、C2:90℃、C3:100℃、C4:120℃、C5:180℃、C6:200℃、C7〜C14:200℃、ダイス温度:200℃、スクリュー回転数:500rpm、押出量:40kg/h)を用いて、混練後、動的架橋させ、熱可塑性エラストマー組成物のペレットを得た。
得られた熱可塑性エラストマー組成物を予熱230℃、8分間、加圧、6分間の条件でプレス成形し、2mm厚シート形状の試験片を得た。
得られた2mm厚シートを用いて、以下の各物性を評価した。その結果を表1に記載する。
〔実施例2〜4〕
実施例1において、各成分の配合比率を表1に記載のように変えた以外は、実施例1と同様にして熱可塑性エラストマー組成物のペレットを製造した。
得られたペレットを用いて物性評価を行った。結果を表1に示す。
〔比較例1〕
実施例1においてフェノール樹脂系架橋剤の代わりに有機過酸化物(パーヘキシン25B、日本油脂(株)製)0.2質量部と架橋助剤としてジビニルベンゼン(DVB810、新日鉄住金化学(株)製)0.2質量部を添加した以外は、実施例1と同様にして熱可塑性エラストマー組成物のペレットを製造した。
得られたペレットを用いて物性評価を行った。結果を表1に示す。
Figure 2018145350
実施例1及び2の結果から、本発明の熱可塑性エラストマー組成物は耐熱性、機械特性と押出成形時の目ヤニ抑制効果に優れる特性を示すことが分かる。

Claims (9)

  1. 4−メチル−1−ペンテンに由来する構成単位(P)を90モル%以上100モル%以下含有し、4−メチル−1−ペンテン以外のα−オレフィンに由来する構成単位の全構成単位に対する割合が0モル%以上10モル%以下である重合体(A)30〜90質量部と、
    前記構成単位(P)を65モル%以上90モル%未満及び4−メチル−1−ペンテン以外の炭素数2以上20以下のα−オレフィンに由来する構成単位を10モル%以上35モル%以下含有する、4−メチル−1−ペンテン・α−オレフィン系共重合体(B)10〜70質量部と(但し、(A)と(B)の合計を100質量部とする)、
    エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(C)1〜250質量部と、
    フェノール樹脂系架橋剤(D)1〜20質量部とを含む熱可塑性エラストマー組成物。
  2. 前記重合体(A)50〜90質量部と、前記共重合体(B)10〜50質量部と(但し、(A)と(B)の合計を100質量部とする)、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(C)1〜200質量部と、フェノール樹脂系架橋剤(D)1〜20質量部とを含む請求項1記載の熱可塑性エラストマー組成物。
  3. 前記重合体(A)60〜90質量部と、前記共重合体(B)10〜40質量部と(但し、(A)と(B)の合計を100質量部とする)、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(C)1〜200質量部と、フェノール樹脂系架橋剤(D)1〜20質量部とを含む請求項1記載の熱可塑性エラストマー組成物。
  4. 動的に熱処理されている請求項1〜3のいずれか1項に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
  5. 前記重合体(A)と、前記共重合体(B)と、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(C)と、フェノール樹脂系架橋剤(D)とを、動的に熱処理することを含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の熱可塑性エラストマー組成物の製造方法。
  6. 押出し成形用である請求項1〜4のいずれか1項に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
  7. 請求項6記載の熱可塑性エラストマー組成物を押出し成形して得られる成形体。
  8. ホース成形用マンドレルである請求項7記載の成形体。
  9. 請求項6記載の熱可塑性エラストマー組成物を押出し成形することを含む、請求項7又は8記載の成形体の製造方法。
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