JP2016155961A - 熱可塑性エラストマー組成物及びその成形体 - Google Patents

熱可塑性エラストマー組成物及びその成形体 Download PDF

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Abstract

【課題】耐フォギング性に優れ、かつ、強度、伸びといった機械物性と、低温及び高温でのゴム弾性(圧縮永久歪)とのバランスに優れる熱可塑性エラストマー組成物を提供する。【解決手段】エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(A)90〜10重量部、オレフィン系樹脂(B)10〜90重量部、及び(A)と(B)の合計量100重量部に対し、特定の物性を有するエチレン・α−オレフィン共重合体(C)を3〜100重量部含む混合物を、架橋剤の存在下で動的に熱処理して得られる熱可塑性エラストマー組成物;並びに前記熱可塑性エラストマー組成物を成形して得られる成形体、特に自動車内装部品。【選択図】なし

Description

本発明は、オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物、更に詳しくは、機械物性とゴム弾性のバランスの良好なオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物及びその成形体に関する。
オレフィン系熱可塑性エラストマーは、軽量でリサイクルが容易であり、また、焼却時に有毒なガスを発生しないことから、省エネルギー、省資源、更に近年は、地球環境保護の観点から、特に加硫ゴムの代替品として自動車部品、工業機械部品、電気・電子部品、建材等に広く使用されている。しかしながら、従来のオレフィン系熱可塑性エラストマーは、一般に加硫ゴムに比べてゴム弾性が劣るという欠点があり、その改良が強く求められていた。特に、低温及び高温でのゴム弾性を両立させることは技術的に困難であった。
この熱可塑性エラストマーには、柔軟性及びゴム弾性を増す目的で鉱物油軟化剤を配合することが知られている。
ところが、鉱物油軟化剤を配合したオレフィン系熱可塑性エラストマーを自動車用内装材料等に使用した場合、長時間の使用において、フォギング現象(ガラスが曇る現象)が起こってしまうという問題点があり、その改良が望まれていた。
耐フォギング性に優れるオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物として、特許文献1には、結晶性ポリオレフィンと、オレフィン系共重合体ゴムと、200℃、常圧、1時間での蒸発減量が0.4重量%以下で、40℃における動粘度が50〜250cStであるパラフィン系の鉱物油軟化剤とからなるオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物が開示されている。
また、特許文献2には、オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物に、軟化剤として精製鉱物油と合成油との混合物を配合することが開示されている。
鉱物油中の揮発分含量はその精製度によっても異なるが、一般に鉱物油の粘度が低いほど低分子量成分は増加するため、揮発分も多くなり、耐フォギング性が悪化する傾向があった。
したがって、特許文献1に記載の組成物では、40℃における動粘度が50cSt以上の鉱物油が用いられている。特許文献2には、鉱物油の40℃における動粘度は400mm/s以下(400cSt以下)であることが好ましいと記載されているが、実施例で用いられている精製鉱物油の40℃における動粘度は99mm/s(99cSt)である。また、特許文献2では、耐フォギング性を特に改良するために、実施例においては、精製度が高い合成油を用い、合成油としてエチレン含量73モル%、数平均分子量7500(ポリスチレン換算)で動粘度が鉱油に比べて絵高いと考えられるエチレン・プロピレンランダム共重合体を用いている。しかし、合成油のエチレン含量、及び数平均分子量と相関する動粘度と、高温及び低温のゴム弾性の関係については何ら言及していない。
欧州特許出願公開第1123946号明細書 国際公開第2007/060843号
本発明の課題は、耐フォギング性に優れ、かつ、強度、伸びといった機械物性と、低温及び高温でのゴム弾性(圧縮永久歪)とのバランスに優れる熱可塑性エラストマー組成物を提供することである。
本発明の要旨は以下のとおりである。
(1)エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(A)90〜10重量部、オレフィン系樹脂(B)10〜90重量部、及び(A)と(B)の合計量100重量部に対し、下記の要件(i)〜(vi)を満たすエチレン・α−オレフィン共重合体(C)を3〜100重量部含む混合物を、架橋剤の存在下で動的に熱処理して得られる熱可塑性エラストマー組成物。
(i)エチレンから導かれる構造単位と、炭素数が3〜20のα−オレフィンから導かれる構造単位とを有する。
(ii)エチレンから導かれる構造単位の含有率が30〜70モル%(但し、エチレンから導かれる構造単位の含有率とα−オレフィンから導かれる構造単位の含有率との合計を100モル%とする)である。
(iii)135℃のデカリン中で測定した極限粘度[η]が0.01〜0.50dl/gである。
(iv)100℃における動粘度が10〜5,000mm/sである。
(v)ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により求められる重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)が1.0〜3.0である。
(vi)示差走査熱量測定(DSC)により求められるガラス転移温度(Tg)が−90〜−65℃である。
(2)エチレン・α−オレフィン共重合体(C)の100℃における動粘度が10〜2,500mm/sである前記(1)に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
(3)オレフィン系樹脂(B)がホモポリプロピレン、プロピレンとプロピレン以外のα−オレフィンとのランダム共重合体、及びプロピレンとプロピレン以外のα−オレフィンとのブロック共重合体の中から選ばれる1種以上のプロピレン系重合体である前記(1)又は(2)に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
(4)前記架橋剤が有機過酸化物である前記(1)〜(3)のいずれかに記載の熱可塑性エラストマー組成物。
(5)前記架橋剤がフェノール樹脂である前記(1)〜(3)のいずれかに記載の熱可塑性エラストマー組成物。
(6)前記(1)〜(5)のいずれかに記載の熱可塑性エラストマー組成物を成形して得られる成形体。
(7)自動車内装部品である前記(6)に記載の成形体。
本発明によれば、耐フォギング性に優れ、かつ、強度、伸びといった機械物性と、低温及び高温でのゴム弾性(圧縮永久歪)とのバランスに優れる熱可塑性エラストマー組成物を提供することができる。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(A)90〜10重量部、オレフィン系樹脂(B)10〜90重量部、及び(A)と(B)の合計量100重量部に対し、特定の物性を有するエチレン・α−オレフィン共重合体(C)を3〜100重量部含む混合物を、架橋剤の存在下で動的に熱処理して得られる。
[エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(A)]
本発明で用いられるエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(A)は、エチレンと、エチレン以外のα−オレフィン、好ましくは炭素数3〜20のα−オレフィンと、非共役ポリエン、好ましくは非共役ジエンとからなる共重合体である。
前記共重合体(A)は、「ポリマー製造プロセス((株)工業調査会、発行p.309〜330)」もしくは本願出願人の出願に係る特開平9−71617号公報、特開平9−71618号公報、特開平9−208615号公報、特開平10−67823号公報、特開平10−67824号公報、特開平10−110054号公報、WO2009/081792号パンフレット、WO2009/081794号パンフレットなどに記載されているような従来公知の方法により製造することができる。
本発明で用いられるエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(A)の製造の際に好ましく用いられるオレフィン重合用触媒としては、例えば、
バナジウム(V)、ジルコニウム(Zr)、チタニウム(Ti)等の遷移金属化合物と、有機アルミニウム化合物(有機アルミニウムオキシ化合物)とからなる公知のチーグラー触媒;
元素の周期律表第4族から選ばれる遷移金属のメタロセン化合物と、有機アルミニウムオキシ化合物又はイオン化イオン性化合物とからなる公知のメタロセン触媒、例えば特開平9−40586号公報に記載されているメタロセン触媒;
特定の遷移金属化合物と、ホウ素化合物等の共触媒とからなる公知のメタロセン触媒、例えばWO2009/072553号パンフレットに記載されているメタロセン触媒;
特定の遷移金属化合物と、有機金属化合物、有機アルミニウムオキシ化合物又は該遷移金属化合物と反応してイオン対を形成する化合物とからなる遷移金属化合物触媒、例えば特開2011−52231号公報に記載されている遷移金属化合物触媒;
が挙げられる。特にメタロセン触媒を用いると、ジエンの分布が均一となってジエンの導入が少なくても高い架橋効率を得ることができ、また触媒活性が高いため触媒由来の塩素含量を低減できるため特に好ましい。
本発明で用いられるエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(A)は、エチレンから導かれる構造単位と、炭素数が3〜20のα−オレフィンから導かれる構造単位との合計100モル%中において、エチレンから導かれる構造単位の含有率(Eaモル%)が通常40〜90モル%、好ましくは40〜80モル%、より好ましくは45〜70モル%であり、更に好ましくは50〜60モル%であり、炭素数が3〜20のα−オレフィンから導かれる構造単位の含有率が通常60〜10モル%、好ましくは60〜20モル%、より好ましくは55〜30モル%、更に好ましくは50〜40モル%である。
エチレンから導かれる構造単位の含有率と、炭素数が3〜20のα−オレフィンから導かれる構造単位の含有率とが前記範囲にあると、機械物性、ゴム弾性、耐寒性及び加工性に優れた熱可塑性エラストマー組成物を得られるという点で優れている。エチレンから導かれる構造単位の含有率が90モル%以下、炭素数が3〜20のαオレフィンから導かれる構造単位の含有率が10モル%以上であると、熱可塑性組成物が柔軟性、低温でのゴム弾性、加工性に優れる。エチレンから導かれる構造単位の含有率が40モル%以上、炭素数が3〜20のαオレフィンから導かれる構造単位の含有率が60モル%以下であると、熱可塑性組成物が機械物性、高温でのゴム弾性に優れる。エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(A)のエチレン構造単位の含有率、及びα−オレフィン構造単位の含有率は、13C−NMR法で測定することができ、例えば後述する方法及び「高分子分析ハンドブック」(朝倉書店 2008年発行 初版 P184〜211)に記載の方法に従ってピークの同定と定量とを行うことができる。
炭素数3〜20のα−オレフィンとしては、具体的には、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチルペンテン−1、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン、1−トリデセン、1−テトラデセン、1−ペンタデセン、1−ヘキサデセン、1−ヘプタデセン、1−ノナデセン、1−エイコセン、9−メチルデセン−1、11−メチルドデセン−1、12−エチルテトラデセン−1などが挙げられる。中でも、プロピレン、1−ブテン、4−メチルペンテン−1、1−ヘキセン、1−オクテンが好ましく、とりわけプロピレンが好ましい。これらのα−オレフィンは、単独で、又は2種以上組み合わせて用いられる。
非共役ポリエンとしては、具体的には、1,4−ヘキサジエン、3−メチル−1,4−ヘキサジエン、4−メチル−1,4−ヘキサジエン、5−メチル−1,4−ヘキサジエン、4,5−ジメチル−1,4−ヘキサジエン、7−メチル−1,6−オクタジエン、8−メチル−4−エチリデン−1,7−ノナジエン、4−エチリデン−1,7−ウンデカジエン等の鎖状非共役ジエン;メチルテトラヒドロインデン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−メチレン−2−ノルボルネン、5−イソプロピリデン−2−ノルボルネン、5−ビニリデン−2−ノルボルネン、6−クロロメチル−5−イソプロペニル−2−ノルボルネン、5−ビニル−2−ノルボルネン、5−イソプロペニル−2−ノルボルネン、5−イソブテニル−2−ノルボルネン、シクロペンタジエン、ノルボルナジエン等の環状非共役ジエン;2,3−ジイソプロピリデン−5−ノルボルネン、2−エチリデン−3−イソプロピリデン−5−ノルボルネン、2−プロペニル−2,2−ノルボルナジエン、4−エチリデン−8−メチル−1,7−ノナジエン等のトリエンなどが挙げられる。中でも、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−ビニル−2−ノルボルネン、シクロペンタジエン、4−エチリデン−8−メチル−1,7−ノナジエンが好ましい。
本発明に係るエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(A)は、135℃のデカリン中で測定した極限粘度[η]が、通常0.6〜5.0dl/g、好ましくは0.8〜4.0dl/g、より好ましくは0.9〜3.5dl/gであることが望ましい。135℃のデカリン中で測定した極限粘度[η]がこの範囲にあると、機械特性、ゴム弾性及び加工性のバランス優れた熱可塑性エラストマーが得られるという点で優れている。
本発明に係るエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(A)のヨウ素価は、通常2〜50g/100g、好ましくは5〜40g/100g、より好ましくは7〜30g/100gであることが望ましい。ヨウ素価がこの範囲を下回ると、熱可塑性エラストマー中での架橋効率が低下し、ゴム弾性が低下する。ヨウ素価がこの範囲を上回ると、架橋密度が高くなりすぎて伸びが低下し、物性バランスが悪化する場合がある。
本発明に係るエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(A)は、GPCにより測定した分子量分布(Mw/Mn)が、通常1.5〜50であり、好ましくは1.8〜30であり、より好ましくは2.0〜6である。分子量分布がこの範囲を下回ると低分子量成分の含有量が少なくなり、加工性が低下する。分子量分布がこの範囲を上回ると、低分子量成分の含有量が多くなり、耐フォギング性が悪化する。
本発明に係るエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(A)のムーニー粘度[ML1+4(100℃)]は、好ましくは15〜150である。ムーニー粘度がこの範囲にあると、機械特性と加工性のバランスに優れる。
本発明に係るエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(A)は、示差走査熱量計(DSC)で後述する方法で測定した融解熱量が、60J/g以下であることが好ましく、40J/g以下であることがより好ましく、20J/g以下であることが特に好ましい。融解熱量が60J/g以下であると、柔軟性、ゴム弾性に優れる。
前記共重合体(A)は、熱可塑性エラストマー中において、未架橋、部分架橋、完全架橋等、すべての架橋状態で存在することができるが、本発明においては、完全又は部分架橋状態で存在していることが必要である。
[オレフィン系樹脂(B)]
本発明で用いられるオレフィン系樹脂(B)は、通常、1種又は2種以上のモノオレフィンを高圧法又は低圧法により重合して得られる高分子量固体生成物からなる。これらの代表的な樹脂は商業的に入手できる。
前記オレフィン系樹脂(B)の適当な原料オレフィンとしては、好ましくは炭素数2〜20のα−オレフィン、具体的には、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、2−メチル−1−プロペン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、5−メチル−1−ヘキセン等が挙げられる。これらのオレフィンは、単独で、又は2種以上混合して用いられる。重合様式は、樹脂状物が得られれば、ランダム型でもブロック型でもよい。また、立体規則性は、アイソタクチック構造でもシンジオタクチック構造でもよい。これらのオレフィン系樹脂は、単独でも、また2種以上組み合わせて用いてもよい。
本発明で用いられるオレフィン系樹脂(B)は、好ましくはプロピレン含量が40モル%以上のプロピレン系重合体で、更に好ましくは、プロピレン含量が60モル%以上、更に好ましくは80モル%以上、特に好ましくは90モル%以上である。
これらのオレフィン系樹脂の中でも、プロピレン系重合体、具体的には、ホモポリプロピレン、プロピレンとプロピレン以外のα−オレフィンとのランダム共重合体(例えば、プロピレン・エチレンランダム共重合体、プロピレン・エチレン・ブテンランダム共重合体)、及びプロピレンとプロピレン以外のα−オレフィンとのブロック共重合体(例えば、プロピレン・エチレンブロック共重合体)の中から選ばれる1種以上のプロピレン系重合体が特に好ましい。
本発明で用いられるオレフィン系樹脂(B)は、135℃のデカリン中で測定した極限粘度[η]が、特に限定されるものではないが、好ましくは0.6dl/g以上5dl/g以下である。135℃のデカリン中で測定した極限粘度[η]が小さくなると、熱可塑性エラストマーの機械強度が低下する。極限粘度[η]が大きくなると成形性が悪化する。
本発明で用いられるオレフィン系樹脂(B)は、MFR(ASTM D1238−65T、230℃、2.16kg)が通常0.01〜100g/10分、特に0.05〜50g/10分の範囲にあることが好ましい。MFRが0.01〜100g/10分のポリオレフィン系樹脂は、100℃における動粘度が20000mm/s以上となり、実質的に100℃における動粘度の測定は困難である。すなわち本発明に係る(c)ポリオレフィン系樹脂は、通常、100℃における動粘度が5000mm/sを超えるものである。
本発明で用いられるオレフィン系樹脂(B)の示差走査熱量計(DSC)で後述する方法で測定した融解熱量で測定される融点が100〜200℃であることが、重合体組成物に機械特性、耐熱性を付与し、かつ成形加工性を確保する点で好ましい。オレフィン系樹脂(B)の前記融点はより好ましくは120〜180℃、更に好ましくは140〜170℃である。
[軟化剤(可塑剤)]
本発明は、軟化剤(可塑剤)として、下記の要件(i)〜(vi)を満たすエチレン・α−オレフィン共重合体(C)を用いる。
(i)エチレンから導かれる構造単位と、炭素数が3〜20のα−オレフィンから導かれる構造単位とを有する。
(ii)エチレンから導かれる構造単位の含有率が30〜70モル%(但し、エチレンから導かれる構造単位の含有率とα−オレフィンから導かれる構造単位の含有率との合計を100モル%とする)である。
(iii)135℃のデカリン中で測定した極限粘度[η]が0.01〜0.50dl/gである。
(iv)100℃における動粘度が10〜5,000mm/sである。
(v)ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により求められる重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)が1.0〜3.0である。
(vi)示差走査熱量測定(DSC)により求められるガラス転移温度(Tg)が−90〜−65℃である。
したがって、本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、鉱物油軟化剤を主たる軟化剤とするオレフィン系熱可塑性エラストマーに比較して、耐フォギング性に優れ、またエチレン含量が70モル%を超えるエチレン・α−オレフィン共重合体を軟化剤とするオレフィン系熱可塑性エラストマーに比較して低温と高温のゴム弾性に優れる。
本発明で用いられるエチレン・α−オレフィン共重合体(C)は、エチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンとからなる共重合体であって、共重合成分にポリエンを含まない。
炭素数3〜20のα−オレフィンとしては、具体的には、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチルペンテン−1、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン、1−トリデセン、1−テトラデセン、1−ペンタデセン、1−ヘキサデセン、1−ヘプタデセン、1−ノナデセン、1−エイコセン、9−メチルデセン−1、11−メチルドデセン−1、12−エチルテトラデセン−1などが挙げられる。中でも、低温と高温でのゴム弾性のバランスの点で、プロピレン、1−ブテン、4−メチルペンテン−1、1−ヘキセン、1−オクテンが好ましく、特にプロピレンが好ましい。これらのα−オレフィンは、単独で、又は2種以上組み合わせて用いられる。
本発明で用いられるエチレン・α−オレフィン共重合体(C)は、エチレンから導かれる構造単位の含有率が30〜70モル%、好ましくは30〜65モル%、更に好ましくは45〜60モル%であり、α−オレフィンから導かれる構造単位の含有率が70〜30モル%、好ましくは70〜35モル%、更に好ましくは55〜40モル%である。但し、エチレンから導かれる構造単位の含有率とα−オレフィンから導かれる構造単位の含有率の合計を100モル%とする。エチレン含量が前記の範囲より多すぎる、又は少なすぎると結晶性が高くなり、熱可塑性エラストマーの低温でのゴム弾性、柔軟性が顕著に悪化する場合がある。
本発明で用いられるエチレン・α−オレフィン共重合体(C)のエチレンから導かれる構造単位の含有率及びα−オレフィンから導かれる構造単位の含有率は、13C−NMR法で測定することができ、例えば後述する方法及び「高分子分析ハンドブック」(朝倉書店 2008年発行 初版 P184〜211)に記載の方法に従ってピークの同定と定量とを行うことができる。
本発明で用いられるエチレン・α−オレフィン共重合体(C)は、135℃のデカリン中で測定した極限粘度[η]が0.01〜0.50dl/g、好ましくは0.01〜0.30dl/g、より好ましくは0.02〜0.22dl/gである。
エチレン・α−オレフィン共重合体(C)の135℃のデカリン中で測定した極限粘度[η]が0.01dl/gを下回ると、揮発しやすい低分子量成分が多くなり、成形時の物性低下や熱可塑性エラストマーの耐熱性、耐フォギンング性の低下を引き起こし、また、耐フォギング性が低下する。0.50dl/gを上回ると、低温及び高温のゴム弾性が低下するほか、エチレン・α−オレフィン共重合体(C)のハンドリング性が悪化する。
本発明の好ましいひとつの態様として、極限粘度[η]が0.02〜0.10dl/gであると低温及び高温のゴム弾性のバランス、及びハンドリング性に優れ、特に好ましい。異なる態様としては、極限粘度[η]が0.11〜0.22dl/gであると耐熱性、耐フォギング性に優れ、特に好ましい。
本発明で用いられるエチレン・α−オレフィン共重合体(C)は、100℃における動粘度10〜5,000mm/sであり、好ましくは10〜3,000mm/sであり、更に好ましくは10〜2,500mm/sである。
エチレン・α−オレフィン共重合体(C)の100℃における動粘度が10mm/sを下回ると揮発しやすい低分子量成分が多くなり、成形時の物性低下や熱可塑性エラストマーの耐熱性の低下を引き起こし、また、耐フォギング性が低下する。5,000mm/sを上回ると、低温及び高温のゴム弾性が低下するほか、エチレン・α−オレフィン共重合体(C)のハンドリング性が悪化する。
本発明の好ましいひとつの態様として、100℃における動粘度が10〜399mm/s、特に10〜200mm/sであると低温及び高温のゴム弾性のバランス、及びハンドリング性に優れ、特に好ましい。異なる態様としては、100℃における動粘度が400〜2,500mm/sであると耐熱性、耐フォギング性に優れ、特に好ましい。
本発明で用いられるエチレン・α−オレフィン共重合体(C)の分子量分布(Mw/Mn)は、1.0〜3.0、好ましくは1.4〜2.5である。分子量分布が広く(Mw/Mnが大きく)なると、滲み出しの起こりやすく、耐フォギング性を悪化させる低分子量成分や、柔軟化効果及び加工性改良効果を低下させる場合のある高分子量成分を多く含むことになるため好ましくない。なお、分子量分布(Mw/Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により求められる重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比として求められる。
本発明で用いられるエチレン・α−オレフィン共重合体(C)は、示差走査熱量測定(DSC)によって測定されるガラス転移温度(Tg)が、−90〜−65℃であり、更に好ましくは−80〜−65℃の範囲にある。示差走査熱量測定(DSC)によって測定されるガラス転移温度(Tg)が−65℃を上回ると、得られる熱可塑性エラストマーのガラス転移温度(Tg)を低温化する効果が低下するため好ましくない。示差走査熱量測定(DSC)によって測定されるガラス転移温度(Tg)が−90℃以上のエチレン・α−オレフィン共重合体(C)を用いると、得られる熱可塑性エラストマーのガラス転移温度(Tg)を低温化する効果は実用上十分であり、一方ガラス転移温度(Tg)が−90℃よりも低い場合には、分子量の低下を引き起こし揮発性が増加し、耐フォギング性が低下するので好ましくない。
本発明において、エチレン・α−オレフィン共重合体(C)のガラス転移温度(Tg)は、示差走査熱量測定(DSC)により測定される。
また本発明で用いられるエチレン・α−オレフィン共重合体(C)は、特に限定されるものではないが、13C−NMRスペクトル及び下記一般式(1)から求められるB値が、通常1.0以上、好ましくは1.0〜1.50、より好ましくは1.1〜1.4である。
B値=[POE]/(2・[PE][PO]) …(1)
(式中、[PE]は共重合体中のエチレンから導かれる構造単位の含有モル分率であり、[PO]は共重合体中のα−オレフィンから導かれる構造単位の含有モル分率であり、[POE]は共重合体中の全ダイアド(dyad)連鎖に対するエチレン・α−オレフィン連鎖数の割合である。)
このB値は、エチレン・α−オレフィン共重合体中のエチレンとα−オレフィンとの分布状態を表す指標であり、J. C. Randall (Macromolecules, 15, 353 (1982))、J. Ray (Macromolecules, 10, 773(1977))らの報告に基づいて求めることができる。
前記B値が大きいほど、エチレン又はα−オレフィンのブロック的連鎖が短くなり、エチレン及びα−オレフィンの分布が一様であり、共重合体の組成分布が狭いことを示している。
本発明で用いられるエチレン・α−オレフィン共重合体(C)のB値が1.06よりも小さくなると、結晶性が高くなり、熱可塑性エラストマーの低温でのゴム弾性、柔軟性が顕著に悪化する場合があり好ましくない。 また本発明で用いられるエチレン・α−オレフィン共重合体(C)は、特に限定されるものではないが、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により求められるポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)が通常1,000〜30,000、より好ましくは2,000〜20,000である。重量平均分子量が1,000を下回ると揮発しやすい低分子量成分が多くなり、成形時の物性低下や熱可塑性エラストマーの耐熱性、耐フォギング性の低下を引き起こし、また、耐フォギング性が低下する。30,000を上回ると、低温及び高温のゴム弾性が低下するほか、エチレン・α−オレフィン共重合体(C)のハンドリング性が悪化する。
本発明の好ましいひとつの態様として、重量平均分子量(Mw)2,000〜7,000であると低温及び高温のゴム弾性のバランス、及びハンドリング性に優れ、特に好ましい。異なる態様としては、重量平均分子量(Mw)が7,000〜20,000であると耐熱性、耐フォギング性に優れ、特に好ましい。
本発明で用いられるエチレン・α−オレフィン共重合体(C)は、特に限定されるものではないが、40℃における動粘度は好ましくは10〜50,000mm/sであり、好ましくは100〜45,000mm/sであり、更に好ましくは390〜40,000mm/sである。
エチレン・α−オレフィン共重合体(C)の40℃における動粘度が10mm/sを下回ると揮発しやすい低分子量成分が多くなり、成形時の物性低下や熱可塑性エラストマーの耐熱性の低下を引き起こし、また、耐フォギング性が低下する。50,000mm/sを上回ると、低温及び高温のゴム弾性が低下するほか、エチレン・α−オレフィン共重合体(C)のハンドリング性が悪化する。
本発明の好ましいひとつの態様として、40℃における動粘度が100〜4,999mm/s、或いは390〜4,999mm/sであると低温及び高温のゴム弾性のバランス、及びハンドリング性に優れ、特に好ましい。異なる態様としては、40℃における動粘度が5,000〜40,000mm/sであると耐熱性、耐フォギング性に優れ、特に好ましい。
本発明で用いられるエチレン・α−オレフィン共重合体(C)は、公知の方法を制限なく用いて製造することができる。例えば、バナジウム、ジルコニウム、チタニウム、ハフニウムなどの遷移金属化合物と、有機アルミニウム化合物(有機アルミニウムオキシ化合物)及び/又はイオン化イオン性化合物とからなる触媒の存在下にエチレンとα−オレフィンとを共重合させる方法が挙げられる。ジルコニウム、チタニウム、ハフニウムなどの遷移金属化合物を使用したメタロセン触媒は、連続した二つ以上のプロピレンモノマーから形成される2,1−結合量(インバージョン)が少なくなり、熱可塑性エラストマーの低温特性が向上するため好ましい。このような方法は、例えば国際公開2000/34420号パンフレット、特開昭62−121710号公報、国際公開2004/29062号パンフレット、特開2004−175707号公報、国際公開2001/27124号パンフレット等に記載されている。
また、エチレン・α−オレフィン共重合体(C)は、従来公知の方法により水素添加(以下「水添」ともいう。)を行ってもよい。水添により得られた重合体の2重結合が低減されれば、酸化安定性及び耐熱性が向上する。
本発明で用いられるエチレン・α−オレフィン共重合体(C)は、エチレン・α−オレフィン共重合体(C)全体として、前記の要件(i)〜(vi)を満たす範囲内において、性状が異なる2種以上のエチレン・α−オレフィン共重合体を併用して調製してもよい。
また、エチレン・α−オレフィン共重合体(C)は、官能基をグラフト変性させてもよく、また、これらを更に2次変性してもよい。例えば、特開昭61−126120号公報や特許第2593264号公報などに記載される方法など、2次変性としては特表2008−508402号公報などに記載される方法などが挙げられる。
エチレン・α−オレフィン共重合体(C)は、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(A)に油展してもよいし、油展せずに後から加えてもよい。
エチレン・α−オレフィン共重合体(C)の配合量は、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(A)及びオレフィン系樹脂(B)の合計量100重量部に対して、3〜100重量部、好ましくは5〜80重量部である。
本発明においては、本発明の効果を損なわない範囲で、エチレン・α−オレフィン共重合体(C)以外の軟化剤(D)を用いてもよい。
具体的には、プロセスオイル、潤滑油、パラフィン、流動パラフィン、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、石油アスファルト、ワセリン等の石油系軟化剤、コールタール、コールタールピッチ等のコールタール系軟化剤、ヒマシ油、アマニ油、ナタネ油、大豆油、椰子油等の脂肪油系軟化剤、トール油、サブ(ファクチス)、蜜ロウ、カルナウバロウ、ラノリン等のロウ類、リシノール酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸亜鉛等の脂肪酸及び脂肪酸塩、ナフテン酸、パイン油、ロジン又はその誘導体、テルペン樹脂、石油樹脂、クマロンインデン樹脂、アタクチックポリプロピレン等の合成高分子物質、ジオクチルフタレート、ジオクチルアジペート、ジオクチルセバケート等のエステル系軟化剤、マイクロクリスタリンワックス、液状ポリブタジエン、変性液状ポリブタジエン、液状ポリイソプレン、末端変性ポリイソプレン、水添末端変性ポリイソプレン、液状チオコール、炭化水素系合成潤滑油などが挙げられる。中でも、石油系軟化剤、特にプロセスオイルが好ましく用いられる。
軟化剤(D)の配合量は、油展分と併せて、エチレン・α−オレフィン共重合体(C)100重量部に対して、通常100部以下、好ましくは50重量部以下、より好ましくは35重量部以下、更に好ましくは10重量部以下である。
[熱可塑性エラストマー組成物]
本発明の熱可塑性エラストマー組成物において、オレフィン系樹脂(B)の配合量は、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(A)及びオレフィン系樹脂(B)の合計量100重量部に対して、10〜90重量部、好ましくは20〜70重量部、更に好ましくは25〜60重量部である。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物において、ゴム成分として、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(A)のほかに、その他のゴムを組み合わせて使用してもよく、その場合、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(A)100重量部に対して、その他のゴムは、50重量部以下で用いることが好ましい。
その他のゴムとしては、例えばスチレン−ブタジエンゴム(SBR)、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、天然ゴム(NR)、ブチルゴム(IIR)等のジエン系ゴム、SEBS、ポリイソブチレン等を用いることができる。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物には、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(A)、オレフィン系樹脂(B)、エチレン・α−オレフィン共重合体(C)、及び必要に応じて配合される前記軟化剤(D)以外の成分、例えば、耐熱安定剤、帯電防止剤、耐候安定剤、老化防止剤、充填剤、着色剤、滑剤等の添加物を、必要に応じて、本発明の目的を損なわない範囲で配合することができる。
好ましい態様の一つとして、本発明のエラストマー組成物100重量部に対して、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(A)、オレフィン系樹脂(B)、エチレン・α−オレフィン共重合体(C)及び前記軟化剤(D)以外の成分を30重量部以下配合することが挙げられるが、本発明はこれに限定されるものではない。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(A)、オレフィン系樹脂(B)、エチレン・α−オレフィン共重合体(C)、及び必要に応じて配合される添加物を含む混合物を、架橋剤、好ましくは有機過酸化物又はフェノール樹脂の存在下で動的に熱処理して得られる熱可塑性エラストマー組成物である。
架橋剤として用いられる有機過酸化物としては、具体的には、ジクミルペルオキシド、ジ−tert−ブチルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(tert−ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(tert−ブチルペルオキシ)ヘキシン−3、1,3−ビス(tert−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、1,1−ビス(tert−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、n−ブチル−4,4−ビス(tert−ブチルペルオキシ)バレレート、ベンゾイルペルオキシド、p−クロロベンゾイルペルオキシド、2,4−ジクロロベンゾイルペルオキシド、tert−ブチルペルオキシベンゾエート、tert−ブチルペルオキシイソプロピルカーボネート、ジアセチルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、tert−ブチルクミルペルオキシド等が挙げられる。
これらのうち、臭気性、スコーチ安定性の点で、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(tert−ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(tert−ブチルペルオキシ)ヘキシン−3、1,3−ビス(tert−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、1,1−ビス(tert−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、n−ブチル−4,4−ビス(tert−ブチルペルオキシ)バレレートが好ましく、なかでも、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(tert−ブチルペルオキシ)ヘキサン、1,3−ビス(tert−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼンが最も好ましい。
本発明においては、有機過酸化物は、オレフィン系樹脂(B)と全ゴム成分とエチレン・α−オレフィン共重合体(C)の合計量100重量部に対して、通常0.05〜3重量部、好ましくは0.1〜1重量部の割合で用いられる。
前記有機過酸化物による架橋処理に際し、イオウ、p−キノンジオキシム、p,p’−ジベンゾイルキノンジオキシム、N−メチル−N−4−ジニトロソアニリン、ニトロソベンゼン、ジフェニルグアニジン、トリメチロールプロパン、N,N’−m−フェニレンジマレイミド、ジビニルベンゼン、トリアリルシアヌレートのような架橋助剤、あるいはエチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、アリルメタクリレートのような多官能性メタクリレートモノマー;ビニルブチラート、ビニルステアレートのような多官能性ビニルモノマーを配合することができる。
前記のような化合物を用いることにより、均一かつ緩和な架橋反応が期待できる。
前記のような架橋助剤又は多官能性ビニルモノマー等の化合物は、得られる熱可塑性エラストマーの流動性を良好なものとし、かつ、加工成形の際に熱履歴による物性の変化が生じることを防ぐ点で、前記被架橋処理物全体100重量部に対して、0.1〜2重量部、特に0.3〜1重量部の割合で用いるのが好ましい。
架橋剤として用いられるフェノール樹脂は、フェノール系加硫剤(phenolic curative)とも呼ばれるものであり、フェノール系硬化性樹脂(phenolic curing resin)を含む加硫剤をいい、好ましくは、米国特許第4311628号明細書に開示されているフェノール系硬化性樹脂(phenolic curing resin)及び加硫活性剤(cure activator)からなるフェノール系加硫剤系(phenolic curative system)が挙げられる。
前記の系の基本成分は、アルカリ媒体中における置換フェノール(例えば、ハロゲン置換フェノール、C−Cアルキル置換フェノール)又は非置換フェノールとアルデヒド、好ましくはホルムアルデヒドとの縮合によるか、あるいは二官能性フェノールジアルコール類(好ましくは、パラ位がC−C10アルキル基で置換されたジメチロールフェノール類)の縮合により製造されるフェノール系硬化性樹脂である。アルキル置換フェノール系硬化性樹脂のハロゲン化により製造されるハロゲン化されたアルキル置換フェノール系硬化性樹脂が特に適している。メチロールフェノール硬化性樹脂、ハロゲン供与体及び金属化合物からなるフェノール系加硫剤系が特に推奨でき、その詳細は米国特許第3287440号及び同第3709840号各明細書に記載されている。非ハロゲン化フェノール系硬化性樹脂は、ハロゲン供与体と同時に、好ましくはハロゲン化水素スカベンジャーとともに使用される。通常、ハロゲン化フェノール系硬化性樹脂、好ましくは、2〜10重量%の臭素を含有している臭素化フェノール系硬化性樹脂はハロゲン供与体を必要としないが、例えば酸化鉄、酸化チタン、酸化マグネシウム、ケイ酸マグネシウム、二酸化ケイ素及び好ましくは酸化亜鉛のような金属酸化物のごときハロゲン化水素スカベンジャーと同時に使用される。このようなスカベンジャーの存在はフェノール系硬化性樹脂の架橋作用を促進するが、フェノール系硬化性樹脂で容易に加硫されないゴムの場合には、ハロゲン供与体及び酸化亜鉛を共用することが望ましい。ハロゲン化フェノール系硬化性樹脂の製法及び酸化亜鉛を使用する加硫剤系におけるこれらの利用は米国特許第2972600号及び同第3093613号各明細書に記載されており、その開示は前記米国特許第3287440号及び同第3709840号明細書の開示とともに参考として本明細書にとり入れるものとする。適当なハロゲン供与体の例としては、例えば、塩化第一錫、塩化第二鉄、又は塩素化パラフィン、塩素化ポリエチレン、クロロスルホン化ポリエチレン及びポリクロロブタジエン(ネオプレンゴム)のようなハロゲン供与性重合体が挙げられる。本明細書で使用されている「活性剤」なる用語はフェノール系硬化性樹脂の架橋効率を実質上増加させるあらゆる物質を意味し、そして金属酸化物及びハロゲン供与体を包含し、これらは単独で、又は組み合わせて使用される。フェノール系加硫剤系のより詳細に関しては、「Vulcanization and Vulcanizing Agents」(W. Hoffman, Palmerton Publishing Company)を参照されたい。適当なフェノール系硬化性樹脂及び臭素化フェノール系硬化性樹脂は商業的に入手することができ、例えばかかる樹脂はSchenectady Chemicals, Inc.から商品名「SP−1045」、「CRJ−352」、「SP−1055」及び「SP−1056」として購入されうる。同様の作用上等価のフェノール系硬化性樹脂は、また他の供給者から得ることができる。
前記フェノール樹脂は、分解物の発生が少ないため、フォギング防止の観点から好適な加硫剤である。
前記フェノール樹脂は、ゴムの本質的に完全な加硫を達成させるに充分な量で使用される。
前記フェノール樹脂の使用量は、オレフィン系樹脂(B)と全ゴム成分とエチレン・α−オレフィン共重合体(C)の合計量100重量部に対して、フェノール系硬化性樹脂の量で、通常0.5〜10重量部、好ましくは0.5〜5重量部、更に好ましくは1〜5重量部である。
前記の「動的に熱処理する」とは、前記のような各成分を融解状態で混練することをいう。
混練装置としては、従来公知の混練装置、例えば開放型のミキシングロール、非開放型のバンバリーミキサー、押出機、ニーダー、連続ミキサー等が用いられる。これらのうちでは、非開放型の混練装置が好ましく、混練は、窒素ガス、炭酸ガス等の不活性ガスの雰囲気下で行うことが好ましい。
また、混練は、使用する有機過酸化物の半減期が1分未満となる温度で行うのが望ましい。混練温度は、通常150〜280℃、好ましくは170〜240℃であり、混練時間は、通常1〜20分間、好ましくは1〜10分間である。また、加えられる剪断力は、剪断速度として10〜50,000sec−1、好ましくは100〜20,000sec−1の範囲内で決定される。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、オレフィン系樹脂(B)とゴムとエチレン・α−オレフィン共重合体(C)とから構成されるため高温流動性及び押出成形性に優れているので、圧縮成形、トランスファー成形、射出成形、押出成形等において従来使用されている成形装置を用いて成形することができる。
[自動車内装部品]
本発明の成形体は、本発明の熱可塑性エラストマー組成物を成形して得られるものであり、自動車内装部品として用いるのに最適である。
本発明の自動車内装部品は、通常、以下の常法に従って製造される。
(1)T-ダイ付き押出成形機、カレンダー成形機等のプラスチック加工機に供給してシート状等の所望の形状に成形する。
(2)射出成形により、所望の形状に成形する。
本発明の自動車内装部品の表皮層には、ポリウレタン、飽和ポリエステル、アクリル酸エステル樹脂、ポリ塩化ビニル及びイソシアネート樹脂から選ばれる少なくとも1つの化合物からなる表面層を設けることができる。
このような表面層を形成するために用いられる飽和ポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート及びその誘導体等が用いられる。また、アクリル酸エステル樹脂としては、ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリイソブチル(メタ)アクリレート、ポリ2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート等が用いられる。更に、イソシアネート樹脂としては、ポリヘキサメチレンジイソシアネート、ポリイソホロンジイソシアネート等が用いられる。
このような表面層は、300μm以下であることが好ましい。表皮層とこのような表面層との間にはプライマー層を介することができる。
更に、本発明の自動車内装部品は、ポリオレフィン発泡体との積層体、或いはポリオレフィン樹脂との積層体を構成することができる。ここで用いられるポリオレフィンとしては、前記オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物の製造で用いられたオレフィン系樹脂が挙げられる。特に、ポリエチレン、ポリプロピレン等が好ましい。
このような積層体は、例えば、オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物をT-ダイ付き押出機によって押出し、押し出された溶融状態にあるシート状の熱可塑性エラストマー組成物をポリオレフィン発泡体シートと積層させた状態で一対のロール間を通したり、或いは、ポリオレフィン樹脂とオレフィン系熱可塑性エラストマーとの逐次射出成形により製造される。
本発明の自動車内装部品は、主にドアトリム、インストゥルメンタルパネル、天井、ハンドル、コンソールボックス、座席シート等の表皮層として用いられる。
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
なお、以下において各物性は下記の方法により測定又は評価した。
〔エチレン含量、B値〕
エチレン・α−オレフィン共重合体のエチレン含量は、下記のようにして測定された13C−NMRスペクトルから、「高分子分析ハンドブック」(朝倉書店 2008年発行 初版 P184〜211)、G.J.Ray(Macromolecules,10,773(1977))、J.C.Randall(Macro−molecules,15,353(1982))、K.Kimura(Polymer,25,4418(1984))らの報告に基づいて求めた。
エチレン・α−オレフィンランダム共重合体のB値は下式により算出した。
B値=POE/(2PO・PE)
(式中、PE及びPOは、それぞれエチレン・α−オレフィン共重合体中に含有される、エチレン成分のモル分率及びα−オレフィン成分のモル分率であり、POEは、全ダイアド(dyad)連鎖数に対するエチレン・α−オレフィン交互連鎖数の割合である。)
PE、PO及びPOE値は、下記のようにして測定された13C−NMRスペクトルから、前述の公知の文献に基づいて求めた。
13C−NMRスペクトルの測定条件
日本電子(株)製ECP500型核磁気共鳴装置を用い、溶媒としてo−ジクロロベンゼン/重ベンゼン(80/20容量%)混合溶媒,試料濃度として55mg/0.6mL、測定温度として120℃、観測核として13C(125MHz)、シーケンスとしてシングルパルスプロトンデカップリング、パルス幅として4.7μ秒(45°パルス)、繰り返し時間として5.5秒、積算回数としては1万回以上、ケミカルシフトの基準値として27.50ppmを用いて測定した。
[135℃のデカリン中で測定した極限粘度[η]]
極限粘度[η]〔dl/g〕は、離合社製の全自動極限粘度計を用いて、135℃のデカリン中で測定した。
[100℃における動粘度]
100℃における動粘度は、JIS K2283に記載の方法により測定した。
[分子量(Mw)及び分子量分布(Mw/Mn)]
(A法):エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(A)における測定
分子量は、液体クロマトグラフ:Waters製ALC/GPC150−C plus型(示唆屈折計検出器一体型)を用い、カラムとして東ソー株式会社製GMH6−HT×2本及びGMH6−HTL×2本を直列接続し、移動相媒体としてo−ジクロロベンゼンを用い、流速1.0ml/分、140℃で測定した。
得られたクロマトグラムを、公知の方法によって、標準ポリスチレンサンプルを使用した検量線を用いて解析することで、Mw/Mn値を算出した。1サンプル当たりの測定時間は60分であった。
(B法):エチレン・α−オレフィン共重合体(C)における測定
分子量分布は、東ソー株式会社HLC−8320GPCを用いて以下のようにして測定した。分離カラムとして、TSKgel SuperMultiporeHZ−M(4本)を用い、カラム温度を40℃とし、移動相にはテトラヒドロフラン(和光純薬社製)を用い、展開速度を0.35ml/分とし、試料濃度を5.5g/Lとし、試料注入量を20マイクロリットルとし、検出器として示差屈折計を用いた。標準ポリスチレンとしては、東ソー社製(PStQuick MP−M)のものを用いた。汎用校正の手順に従い、ポリスチレン分子量換算として重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)を算出し、これらの値から分子量分布(Mw/Mn)を算出した。
[融点・ガラス転移温度(Tg)]
(A法):エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(A)、又はオレフィン系樹脂(B)における測定
セイコーインスツルメント社X−DSC−7000を用い、簡易密閉できるアルミサンプルパンに200℃に設定した油圧式熱プレス成形機を用いてシート状に成形した約5mgのエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(A)、又はオレフィン系樹脂(B)を約5mg入れてDSCセルに配置し、DSCセルを窒素雰囲気下にて室温(23℃)から200℃まで10℃/分で昇温し、次いで、200℃で5分間保持した後、10℃/分で降温し、DSCセルを−100℃まで冷却した(降温過程)。次いで、−100℃で5分間保持した後、10℃/分で昇温した(昇温過程)。
(B法):エチレン・α−オレフィン共重合体(C)における測定
セイコーインスツルメント社X−DSC−7000を用い、簡易密閉できるアルミサンプルパンに約8mgのエチレン・α−オレフィン共重合体を入れてDSCセルに配置し、DSCセルを窒素雰囲気下にて室温(23℃)から150℃まで10℃/分で昇温し、次いで、150℃で5分間保持した後、10℃/分で降温し、DSCセルを−100℃まで冷却した(降温過程)。次いで、−100℃で5分間保持した後、10℃/分で昇温した(昇温過程)。
解析方法:
昇温過程で得られるエンタルピー曲線が極大値を示す温度を融点(Tm)とし、融解に伴う吸熱量の総和を融解熱量(ΔH)とした。ピークが観測されないか、融解熱量(ΔH)の値が1J/g以下の場合、融点(Tm)は観測されないとみなした。また、昇温過程で得られるエンタルピー曲線の変曲点での接線の交点をガラス転移温度(Tg)とした。融点(Tm)、融解熱量(ΔH)、及びガラス転移温度(Tg)の求め方はJIS K7121に基づいて行った。
[ショアーA硬度]
JIS K6253に準拠して、厚さ2mmのプレスシートを2枚重ねにしショアーA硬度計により測定した。
[引張特性]
50tプレス機を用いて、熱可塑性エラストマー組成物のペレットから調製した20cm×20cm×2mmのシートサンプルを被験試料とし、JIS K6251に準拠して、JIS 3号ダンベルを用い、測定温度25℃、引張速度500mm/分の条件で引張り試験を行い、下記の引張特性を測定した。
M100:100%伸び時の応力
TB:引張強さ
EB:引張破断点伸び
[圧縮永久歪(CS)]
下記実施例にて作成した2mmtシートを積層し、JIS K6262に準拠して圧縮永久ひずみ試験を行った。
試験条件は、厚み12mm(厚み2mm片の6枚重ね)の積層されたシートを用い、25%圧縮、各−20℃及び100℃の条件下で24時間圧縮を行い、歪み除去(圧縮)後30分経過後に測定した。
<エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(A)>
[製造例1](エチレン・プロピレン・ジエン共重合体(a−1)の製造)
容積300LのSUS製攪拌機つき反応器を用いて、温度を80℃に保ち、液レベルを100Lとして、ヘキサンを26.8kg/h、エチレン(C2)を3.9kg/h、プロピレン(C3)を5.4kg/h、5−エチリデン−2−ノルボルネン(ENB)を1.1kg/hの速度で、水素を44NL/hの速度で、主触媒として[N−(1,1−ジメチルエチル)−1,1−ジメチル−1−[(1,2,3,3A,8A−η)−1,5,6,7−テトラヒドロ−2−メチル−S−インダセン−1−yl]シランアミネート(2−)−κN][(1,2,3,4−η)−1,3−ペンタジエン]−チタニウムを0.07mmol/h、共触媒として(CCB(Cを0.28mmol/h、有機アルミニウム化合物としてTIBAを1.8mmol/hの速度で連続的に反応器へ供給し、エチレンとプロピレンと5−エチリデン−2−ノルボルネンとの三元共重合体(a−1)の重合液を得た。
重合圧力は2.1MPa(ゲージ圧)とした。
得られた重合液をフラッシュ乾燥により脱溶媒し、エチレン・プロピレン・ジエン共重合体(a−1)を得た。得られたポリマーは以下の物性を示した。エチレン由来の構造単位の含有率57モル%、135℃のデカリン中で測定した極限粘度[η]=1.64dl/g、ヨウ素価=16、Mw/Mn=2.4、ムーニー粘度[ML1+4(100℃)]=45。
<エチレン・プロピレン共重合体(C)>
[製造例2](エチレン・プロピレン共重合体(c−1)の製造)
充分に窒素置換した容積2Lの攪拌翼付き連続重合反応器に、脱水精製したヘキサン1Lを張り、96mmol/Lに調整した、エチルアルミニウムセスキクロリド(Al(C1.5・Cl1.5)のヘキサン溶液を500ml/hの量で連続的に1時間供給した後、更に触媒として16mmol/Lに調整したVO(OC)Clのヘキサン溶液を500ml/hの量で、ヘキサンを500ml/hの量で連続的に供給した。一方、重合器上部から、重合器内の重合液が常に1Lになるように重合液を連続的に抜き出した。次に、バブリング管を用いてエチレンガスを27L/hの量で、プロピレンガスを26L/hの量で、水素ガスを100L/hの量で供給した。共重合反応は、重合器外部に取り付けられたジャケットに冷媒を循環させることにより35℃で行った。
前記条件にて得られたエチレン・プロピレン共重合体を含む重合液を、0.2mol/Lの塩酸100mlで3回、次いで蒸留水100mlで3回洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去した。得られたポリマーを130℃の減圧下で一晩乾燥した。得られたエチレン・プロピレン共重合体の分析結果を表1に示す。
[製造例3](エチレン・プロピレン共重合体(c−2)の製造)
充分に窒素置換した内容積2Lのステンレス製オートクレーブにヘプタン910mL及びプロピレン45gを装入し、系内の温度を130℃に昇温した後、水素2.24MPa、エチレン0.09MPaを供給することにより全圧を3MPaGとした。次にトリイソブチルアルミニウム0.4mmol、[メチルフェニルメチレン(η−シクロペンタジエニル)(η−2,7−ジ−t−ブチルフルオレニル)]ジルコニウムジクロリド 0.0006mmol及びN,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート0.006mmolを窒素で圧入し、攪拌回転数を400rpmにすることにより重合を開始した。その後、エチレンのみを連続的に供給することにより全圧を3MPaGに保ち、130℃で5分間重合を行った。少量のエタノールを系内に添加することにより重合を停止した後、未反応のエチレン、プロピレン、水素をパージした。得られたポリマー溶液を、0.2mol/lの塩酸1000mLで3回、次いで蒸留水1000mLで3回洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去した。得られたポリマーを80℃の減圧下で一晩乾燥した後、更に神鋼パンテック製2−03型薄膜蒸留装置を用いて、減圧度を400Paに保持し、設定温度180℃、流量3.1ml/minにて薄膜蒸留を行い、エチレン・プロピレン共重合体22.2gを得た。更に、このエチレン・プロピレン共重合体に対して水添操作を施した。
<水添操作>
内容積1Lのステンレス製オートクレーブに0.5重量%Pd/アルミナ触媒のヘキサン溶液100mL及びエチレン・α−オレフィン共重合体の30重量%ヘキサン溶液500mLを加え、オートクレーブを密閉した後、窒素置換を行なった。次いで、撹拌をしながら140℃まで昇温し、系内を水素置換した後、水素で1.5MPaまで昇圧して15分間水添反応を実施した。
[製造例4](エチレン・プロピレン共重合体(c−3)の製造)
充分窒素置換した容量2リットルの攪拌翼付連続重合反応器に、脱水精製したヘキサン1リットルを張り、96mmol/Lに調整した、エチルアルミニウムセスキクロリド(Al(C1.5・Cl1.5)のヘキサン溶液を500ml/hの量で連続的に1時間供給した後、更に触媒として16mmol/lに調整したVO(OC)Clのヘキサン溶液を500ml/hの量で、ヘキサンを500ml/hの量で連続的に供給した。一方重合器上部から、重合液器内の重合液が常に1リットルになるように重合液を連続的に抜き出した。次にバブリング管を用いてエチレンガスを35L/hの量で、プロピレンガスを35L/hの量で水素ガスを80L/hの量で供給した。共重合反応は、重合器外部に取り付けられたジャケットに冷媒を循環させることにより35℃で行った。
前記条件にて得られたエチレン・プロピレン共重合体を含む重合溶液を、0.2mol/lの塩酸100mLで3回、次いで蒸留水100mLで3回洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去した。得られたポリマーを130℃の減圧下で一晩乾燥した。
[製造例5](エチレン・プロピレン共重合体(c−4)の製造)
充分窒素置換した容量2リットルの攪拌翼付連続重合反応器に、脱水精製したヘキサン1リットルを張り、96mmol/Lに調整した、エチルアルミニウムセスキクロリド(Al(C1.5・Cl1.5)のヘキサン溶液を500ml/hの量で連続的に1時間供給した後、更に触媒として16mmol/lに調整したVO(OC)Clのヘキサン溶液を500ml/hの量で、ヘキサンを500ml/hの量で連続的に供給した。一方重合器上部から、重合液器内の重合液が常に1リットルになるように重合液を連続的に抜き出した。次にバブリング管を用いてエチレンガスを36L/hの量で、プロピレンガスを36L/hの量で水素ガスを30L/hの量で供給した。共重合反応は、重合器外部に取り付けられたジャケットに冷媒を循環させることにより35℃で行った。
前記条件にて得られたエチレン・プロピレン共重合体を含む重合溶液を、0.2mol/lの塩酸100mLで3回、次いで蒸留水100mLで3回洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去した。得られたポリマーを130℃の減圧下で一晩乾燥した。
[製造例6](エチレン・プロピレン共重合体(c−5)の製造)
充分窒素置換した容量2リットルの攪拌翼付連続重合反応器に、脱水精製したヘキサン1リットルを張り、96mmol/Lに調整した、エチルアルミニウムセスキクロリド(Al(C1.5・Cl1.5)のヘキサン溶液を500ml/hの量で連続的に1時間供給した後、更に触媒として16mmol/lに調整したVO(OC)Clのヘキサン溶液を500ml/hの量で、ヘキサンを500ml/hの量で連続的に供給した。一方重合器上部から、重合液器内の重合液が常に1リットルになるように重合液を連続的に抜き出した。次にバブリング管を用いてエチレンガスを47L/hの量で、プロピレンガスを47L/hの量で水素ガスを20L/hの量で供給した。共重合反応は、重合器外部に取り付けられたジャケットに冷媒を循環させることにより35℃で行った。
前記条件にて得られたエチレン・プロピレン共重合体を含む重合溶液を、0.2mol/lの塩酸100mLで3回、次いで蒸留水100mLで3回洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去した。得られたポリマーを130℃の減圧下で一晩乾燥した。
[製造例7](エチレン・プロピレン共重合体(c−6)の製造)
充分に窒素置換した内容積1Lのガラス製重合器にヘプタン250mLを装入し、系内の温度を50℃に昇温した後、エチレンを25L/h、プロピレンを75L/h、水素を100L/hの流量で連続的に重合器内に供給し、撹拌回転数600rpmで撹拌した。次にトリイソブチルアルミニウム0.2mmolを重合器に装入し、次いでMMAO0.688mmolと[エチレン(η−シクロペンタジエニル)(η−2,7−ジ−t−ブチルフルオレニル)]ジルコニウムジクロリド0.00230mmolをトルエン中で15分以上予備混合したものを重合器に装入することにより重合を開始した。その後、エチレン、プロピレン、水素の連続的供給を継続し、50℃で15分間重合を行った。少量のイソブチルアルコールを系内に添加することにより重合を停止した後、未反応のモノマーをパージした。得られたポリマー溶液を、0.2mol/lの塩酸100mLで3回、次いで蒸留水100mLで3回洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去した。得られたポリマーを80℃の減圧下で一晩乾燥し、エチレン・プロピレン共重合体1.43gを得た。更に、このエチレン・プロピレン共重合体に対して製造例3と同様にして水添操作を施した。
[製造例8](エチレン・プロピレン共重合体(c−7)の製造)
製造例2において、エチレンガスの供給量、プロピレンガスの供給量、水素ガスの供給量を適宜調整することにより、表1に記載のエチレン・プロピレン共重合体(c−7)を得た。
得られた各エチレン・プロピレン共重合体の分析結果を表1に示す。
Figure 2016155961
[実施例1〜6及び比較例]
製造例1で得られたエチレン・プロピレン・ジエン共重合体(a−1)45gと、軟化剤としてダイアナプロセスオイル(PW−380、出光興産製)又は製造例2〜8で得られたエチレン・プロピレン共重合体(c−1)〜(c−7)27gとをラボプラストミル(75C100、東洋精機社製)を用い設定温度100℃にてスクリュー回転数60rpmにて3分間混練した。得られたコンパウンド57.6g(エチレン・プロピレン・ジエン共重合体(a−1)71重量部、軟化剤43重量部)を、ホモプロピレン(PP−1:商品名 プライムポリプロ(商標)J105G(プライムポリマー製)14.4g(29重量部)と、架橋剤として有機過酸化物(パーヘキシン25B、日本油脂(株)製)0.28g(0.5重量部)と、架橋助剤としてジビニルベンゼン0.19g(0.34重量部)を加えて、ラボプラストミル(75C100、東洋精機社製)を用い設定温度200℃、スクリュー回転数60rpmにて3分間溶融混練した。得られた熱可塑性エラストマーを、予熱190℃、6分間、加圧、4分間、冷却10℃、5分間の条件でプレス成形し、2mm厚シート状の熱可塑性エラストマーを得た。
得られた熱可塑性エラストマーについて、物性を評価した。結果を表2に示す。
Figure 2016155961
表2に示された結果から、本発明の熱可塑性エラストマー組成物は機械物性とゴム弾性(圧縮永久歪)とのバランスに優れることがわかる。

Claims (7)

  1. エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(A)90〜10重量部、オレフィン系樹脂(B)10〜90重量部、及び(A)と(B)の合計量100重量部に対し、下記の要件(i)〜(vi)を満たすエチレン・α−オレフィン共重合体(C)を3〜100重量部含む混合物を、架橋剤の存在下で動的に熱処理して得られる熱可塑性エラストマー組成物。
    (i)エチレンから導かれる構造単位と、炭素数が3〜20のα−オレフィンから導かれる構造単位とを有する。
    (ii)エチレンから導かれる構造単位の含有率が30〜70モル%(但し、エチレンから導かれる構造単位の含有率とα−オレフィンから導かれる構造単位の含有率との合計を100モル%とする)である。
    (iii)135℃のデカリン中で測定した極限粘度[η]が0.01〜0.50dl/gである。
    (iv)100℃における動粘度が10〜5,000mm/sである。
    (v)ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により求められる重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)が1.0〜3.0である。
    (vi)示差走査熱量測定(DSC)により求められるガラス転移温度(Tg)が−90〜−65℃である。
  2. エチレン・α−オレフィン共重合体(C)の100℃における動粘度が10〜2,500mm/sである請求項1に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
  3. オレフィン系樹脂(B)がホモポリプロピレン、プロピレンとプロピレン以外のα−オレフィンとのランダム共重合体、及びプロピレンとプロピレン以外のα−オレフィンとのブロック共重合体の中から選ばれる1種以上のプロピレン系重合体である請求項1又は2に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
  4. 前記架橋剤が有機過酸化物である請求項1〜3のいずれか1項に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
  5. 前記架橋剤がフェノール樹脂である請求項1〜3のいずれか1項に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の熱可塑性エラストマー組成物を成形して得られる成形体。
  7. 自動車内装部品である請求項6に記載の成形体。
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