JP2018144324A - ハニカムサンドイッチパネル - Google Patents

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Abstract

【課題】内外圧力差に起因した剥離を防止して、強度低下を抑えることができるハニカムサンドイッチパネルを提供する。【解決手段】中空状をなす複数のセル21が両端面に開口するハニカム構造のハニカムコア11を、一対の板材12,13間に挟み込むようにして構成されるハニカムサンドイッチパネル10において、隣接したセル21同士を連通させる通気孔23と、内面板13をパネル厚さ方向に貫通し、セル21と連通する空気逃げ孔13aと、空気逃げ孔13aをパネル厚さ方向外側から密閉するように内面板13に設けられ、セル21内の圧力と外気の圧力との間における内外圧力差の発生に伴って、パネル厚さ方向に伸縮する材料からなるシール部材14とを備える。【選択図】図2

Description

本発明は、ハニカム構造をなすコア部材を一対の板材間に挟み込むようにして構成されるハニカムサンドイッチパネルに関する。
近年、航空機や宇宙機における外板の補強構造として、ハニカムサンドイッチパネルが使用されている。このハニカムサンドイッチパネルは、軽量でありながら、曲げやせん断等に対して優れた強度を発揮するものであって、芯材となるハニカムコアを、一対の板材間に挟み込むようにして構成されている。
また、ハニカムコアは、中空状をなす複数のセルを蜂の巣状に配置するような、ハニカム構造をなしており、セルの両開口端部は、ハニカムコアの両端面にそれぞれ開口している。これにより、ハニカムコアを一対の板材間に挟み込むように構成すると、セルは、板材によって密閉されることになるが、これと同時に、セル内に空気が残ってしまう。
一方、ハニカムサンドイッチパネルを、高空や宇宙空間のような環境下で使用すると、外部圧力が内部圧力よりも低くなるため、内部圧力と外部圧力との間に、圧力差が生じてしまう。このとき、セル内に空気が残っている状態で、上記内外圧力差が大きくなり過ぎると、セル内に残留した空気の圧力によって、ハニカムコアと板材との間に、剥離が発生するおそれがある。
そこで、従来から、内外圧力差に起因した剥離を防止するようにしたハニカムサンドイッチパネルが、種々提供されている。そして、このような、従来のハニカムサンドイッチパネルについては、例えば、特許文献1に開示されている。
特開2013−132781号公報
上記従来のハニカムサンドイッチパネルにおいては、ハニカムコアの内部とその外部とを連通する空気通路を設けることにより、セル内に残留した空気を、ハニカムコアの外部に逃がすようにしている。これにより、内外圧力差の発生を抑えて、ハニカムコアと板材との間に発生する剥離を防止するようにしている。
しかしながら、上記従来のハニカムサンドイッチパネルにおいては、ハニカムコアの内部とその外部とを連通させているため、セルの内部に異物が侵入してしまう。このように、セルの内部に異物が侵入すると、強度低下を招くおそれがある。
一方、空気通路からの異物の侵入を防止するために、サンドイッチパネルの側面を密閉したり、サンドイッチパネルを他の構造部材に取り付けたりすると、サンドイッチパネルの側端面の通気が妨げられることになり、内外圧力差の発生を抑えることができず、ハニカムコアと板材との間の剥離を防止することができなくなる。
従って、本発明は上記課題を解決するものであって、内外圧力差に起因した剥離を防止して、強度低下を抑えることができるハニカムサンドイッチパネルを提供することを目的とする。
上記課題を解決する第1の発明に係るハニカムサンドイッチパネルは、
中空状をなす複数のセルが両端面に開口するハニカム構造のコア部材を、一対の板材間に挟み込むようにして構成されるハニカムサンドイッチパネルにおいて、
隣接したセル同士を連通させる通気孔と、
前記板材をパネル厚さ方向に貫通し、前記セルの開口端部と連通する空気逃げ孔と、
前記空気逃げ孔をパネル厚さ方向外側から密閉するように前記板材に設けられ、前記セル内の圧力と外気の圧力との内外圧力差を緩和する材料からなるシール部材とを備える
ことを特徴とする。
上記課題を解決する第2の発明に係るハニカムサンドイッチパネルは、
第1の発明に係るハニカムサンドイッチパネルにおいて、
前記シール部材は、前記内外圧力差の発生に伴って、パネル厚さ方向に伸縮する材料からなる
ことを特徴とする。
上記課題を解決する第3の発明に係るハニカムサンドイッチパネルは、
第2の発明に係るハニカムサンドイッチパネルにおいて、
前記シール部材は、防水性を有する
ことを特徴とする。
上記課題を解決する第4の発明に係るハニカムサンドイッチパネルは、
第1の発明に係るハニカムサンドイッチパネルにおいて、
前記シール部材は、気体を通過し、液体を通過しない材料からなる
ことを特徴とする。
上記課題を解決する第5の発明に係る翼部材は、
第1から第3のいずれか1つの発明に係るハニカムサンドイッチパネルを、舵面を形成する外板として使用した翼部材であって、
前記空気逃げ孔が形成された前記板材は、前記舵面を形成する板材とは、前記コア部材を挟んだ反対側に配置され、
前記シール部材は、前記内外圧力差の発生に伴って、前記舵面から遠ざかる方向に膨張する
ことを特徴とする。
上記課題を解決する第6の発明に係る翼部材は、
第4の発明に係るハニカムサンドイッチパネルを、舵面を形成する外板として使用した
ことを特徴とする。
上記課題を解決する第7の発明に係る航空機は、
第5または第6の発明に係る翼部材を備えることを特徴とする。
従って、本発明に係るハニカムサンドイッチパネルによれば、板材に、セルと連通する空気逃げ孔を形成し、その空気逃げ孔を密閉すると共に内外圧力差を緩和する材料からなるシール部材を設け、このシール部材が、セル内の圧力と外気の圧力との内外圧力差を緩和することにより、内外圧力差に起因した剥離を防止して、強度低下を抑えることができる。
本発明の一実施例に係るハニカムサンドイッチパネルが適用される翼部材の断面図である。 本発明の一実施例に係るハニカムサンドイッチパネルの分解斜視図である。 図1の要部拡大図である。 シール部材が内外圧力差の発生に伴って膨張した状態を示した断面図である。 本発明の他の実施例に係るハニカムサンドイッチパネルの断面図である。 シール部材が未装着となるハニカムサンドイッチパネルの断面図である。
以下、本発明に係るハニカムサンドイッチパネルについて、図面を用いて詳細に説明する。
図1に示すように、航空機の翼部材(例えば、ラダー)1には、ハニカムサンドイッチパネル10が、舵面(翼面)を形成する外板の補強構造として、使用されている。
図1乃至図3に示すように、上記ハニカムサンドイッチパネル10は、芯材となるハニカムコア(コア部材)11と、このハニカムコア11の両端面(パネル厚さ方向の外側端面及び内側端面)に接合される一対の外面板(板材)12及び内面板(板材)13とから構成されている。
ハニカムコア11は、例えば、アルミニウム合金や樹脂によって形成されている。また、外面板12及び内面板13は、例えば、繊維強化樹脂によって形成されており、強化繊維としては、炭素繊維やガラス繊維が採用されている。即ち、ハニカムサンドイッチパネル10は、軽量となるハニカムコア11を、高強度となる2枚の板12,13間に挟み込むようにした、積層構造を採用することにより、軽量で、且つ、高強度となるパネル部材となっている。
具体的に、ハニカムコア11は、中空状をなす複数のセル21を蜂の巣状に配置するような、ハニカム構造をなしている。セル21は、断面が六角形をなしており、隔壁22によって仕切られている。つまり、セル21は、ハニカムコア11の両端面をパネル厚さ方向に貫通しており、そのセル21の両開口端部(パネル厚さ方向の外側開口端部及び内側開口端部)は、ハニカムコア11の両端面にそれぞれ開口している。よって、ハニカムコア11は、隔壁22によって区画形成された複数のセル21の平面的な集合体となるため、軽量でありながら、高い剛性を有している。
更に、隔壁22のパネル厚さ方向中間部には、通気孔23が開口されており、これらの通気孔23は、隣接したセル21同士を連通させている。これにより、セル21内に存在する空気は、隣接したセル間21を、通気孔23を介して流通可能となっている。よって、各セル21は、隔壁22によって仕切られていても、当該隔壁22に形成される通気孔23によって、それらの内部の圧力が均一となっている。
そして、外面板12の内側表面は、ハニカムコア11の外側端面に、セル21の外側開口端部を密閉するように接合されている。一方、外面板12の外側表面は、ハニカムサンドイッチパネル10の外側表面、即ち、翼部材1の外側表面となる舵面を形成している。
これに対して、内面板13の内側表面は、ハニカムコア11の内側端面に、セル21の内側開口端部を密閉するように接合されている。一方、内面板13の外側表面は、ハニカムサンドイッチパネル10の内側表面、即ち、翼部材1の内側表面を形成している。
また、内面板13には、矩形をなす空気逃げ孔13aが形成されている。この空気逃げ孔13aは、内面板13をパネル厚さ方向に貫通しており、所定数量のセル21の内側開口端部と連通している。そして、内面板13の外側表面には、シール部材14が空気逃げ孔13aを密閉するように貼り付けられている。これにより、空気逃げ孔13a及び全てのセル21は、外面板12、内面板13、及び、シール部材14によって密閉されることになる。
ここで、シール部材14は、伸縮性及び防水性を有する一方、通気性を有しない材料で形成されており、より詳細には、空気等の気体、水等の液体、小石や塵等の固体、虫等の小動物(以下、全てまとめて、異物と称す)を通過させない特性を有している。
よって、シール部材14は、ハニカムサンドイッチパネル10(セル21)の内部圧力と、その外部圧力(外気の圧力)との間の内外圧力差の大きさに応じて、パネル厚さ方向に伸縮すると共に、ハニカムサンドイッチパネル10の内部とその外部との間を遮断することができる。言い換えれば、シール部材14は、ハニカムサンドイッチパネル10の内外圧力差を、内面板13の外側表面からパネル厚さ方向外側への膨張によって吸収しつつ、空気逃げ孔13aからハニカムサンドイッチパネル10(セル21)内への異物の侵入を防止することができる。
つまり、図3に示すように、セル21内の圧力と外気の圧力との間に、内外圧力差が生じていない場合には、シール部材14は、伸縮することなく、貼り付け当初の平板状態が保持されている。
また、ハニカムサンドイッチパネル10を高空や宇宙空間等の環境下で使用する場合には、ハニカムサンドイッチパネル10の外部圧力は、高度が上昇するのに従って下がっていき、当該ハニカムサンドイッチパネル10の内部圧力よりも低くなる。この結果、ハニカムサンドイッチパネル10の内部圧力とその外部圧力との間には、大きな内外圧力差が生じることになる。
このように、ハニカムサンドイッチパネル10における内外圧力差が発生すると、セル21内に残留した空気の圧力によって、ハニカムコア11の外側端面と外面板12の内側表面との間や、ハニカムコア11の内側端面と内面板13の内側表面との間に、剥離が生じるおそれがある。
これに対して、図4に示すように、本発明に係るハニカムサンドイッチパネル10においては、内面板13に形成した空気逃げ孔13aを、伸縮性を有するシール部材14によって密閉することにより、シール部材14を、内面板13の外側表面からパネル厚さ方向外側に向けて膨張させることができるため、ハニカムサンドイッチパネル10(セル21)の体積を増加させることができる。
これにより、セル21内の圧力と外気の圧力との間における内外圧力差の発生に伴って、セル21内に残留した空気が膨張した場合であっても、その残留空気の膨張に応じて、シール部材14がパネル厚さ方向外側に向けて膨張するため、残留空気の膨張分を、シール部材14の膨張分によって吸収することができる。
即ち、セル21内で膨張した空気の膨張分を、空気逃げ孔13aからシール部材14側に逃がして、シール部材14をパネル厚さ方向外側に向けて膨張させることにより、セル21における内外圧力差を吸収して、内外圧力差を緩和することができる。この結果、ハニカムコア11と外面板12及び内面板13との間に発生する剥離を、防止することができる。
その後、外気の圧力が徐々に上がるのに従って、シール部材14もパネル厚さ方向内側に向けて徐々に収縮することになり、最終的に、セル21内の圧力と外気の圧力とが同じ圧力になれば、シール部材14は、更に収縮して、貼り付け当初の平板状態に戻ることになる。
また、シール部材14は、膨張及び収縮する伸縮性を有するだけでなく、異物の通過を許容しない材料で形成されているため、空気逃げ孔13aを形成しても、セル21の内部への異物の侵入を防止することができる。これにより、ハニカムサンドイッチパネル10の強度低下を抑えることができる。
このとき、隣接したセル21同士は、通気孔23によって連通されているため、全てのセル21間における空気の流動性は向上することになり、全てのセル21内の圧力は、均一となる。このため、内面板13に空気逃げ孔13aを形成する場合には、その空気逃げ孔13aが、少なくとも1つのセル21の内側開口端部と連通していれば良く、空気逃げ孔13aの開口形状、開口面積、開口位置や、空気逃げ孔13aと連通するセル21の数量については、想定される内外圧力差の大きさや、シール部材14を形成する弾性材料の弾性係数等に応じて、適宜、設定可能となっている。
例えば、図5に示すように、内面板13に複数の空気逃げ孔13aを形成し、シール部材14を、それら全ての空気逃げ孔13aを覆うように設けるようにしても構わない。これにより、空気逃げ孔13の開口面積を大きくすると共に、シール部材14が膨張した際におけるハニカムサンドイッチパネル10の体積増加率をより大きくすることができるので、外気の急激な圧力変動(内外圧力差の急激な変化)にも、即座に対応することができる。
更に、パネル製造時やパネル修理時においては、ハニカムサンドイッチパネル10内を乾燥させる必要があるが、図6に示すように、ハニカムサンドイッチパネル10を、シール部材14を内面板13に貼り付けない状態で加熱すれば、その内部から水分を蒸発させて、当該内部を容易に乾燥させることができる。
なお、上述した実施形態においては、本発明に係るハニカムサンドイッチパネル10を、翼部材1の舵面を形成する外板に適用した場合について説明しているため、シール部材14を、外気の抵抗とならないように、舵面を形成する外面板12とはハニカムコア11を挟んだ反対側に配置される内面板13の外側表面に設け、その膨張方向を舵面から遠ざかる方向としている。これに対して、ハニカムサンドイッチパネル10の使用状態によっては、シール部材14を、外面板12の外側表面及び内面板13の外側表面の双方に設けたり、外面板12の外側表面のみに設けたりしても構わない。即ち、シール部材14を、外面板12及び内面板13のうち、少なくとも一方の板に設けるようにしても構わない。
また、空気逃げ孔13aからの異物の侵入を防止するために、ハニカムサンドイッチパネル10の側端面を密閉しても構わない。例えば、ハニカムサンドイッチパネル10の外部に接する隔壁22には空気逃げ孔13aを設けない、あるいは、ハニカムサンドイッチパネル10の側端面に通気性を有しない部材を設けることで、密閉すればよい。ハニカムサンドイッチパネル10の側端面の通気が妨げられても、シール部材14の伸縮により内外圧力差を吸収し、内外圧力差を緩和して、ハニカムコア11と外面板12及び内面板13との間の剥離を防止することができる。
また、上述した通気性のないシール部材14に代えて、気体を通過し、液体を通過しない防水通気性や防水透湿性がある材料、例えば、ゴアテックス(登録商標)などからなるシール部材を使用しても良い。このようなシール部材では、内外圧力差の発生に伴い、セル21内と外気との間を通気することにより内外圧力差を低減し、内外圧力差を緩和して、ハニカムコア11と外面板12及び内面板13との間の剥離を防止することができる。また、このようなシール部材は、液体は通過させないので、液体や固体の異物の侵入を防止することもでき、また、膨張しないので、設置場所の自由度も大きくなる。
1 翼部材
10 ハニカムサンドイッチパネル
11 ハニカムコア
12 外面板
13 内面板
13a 空気逃げ孔
14 シール部材
21 セル
22 隔壁
23 通気孔

Claims (7)

  1. 中空状をなす複数のセルが両端面に開口するハニカム構造のコア部材を、一対の板材間に挟み込むようにして構成されるハニカムサンドイッチパネルにおいて、
    隣接したセル同士を連通させる通気孔と、
    前記板材をパネル厚さ方向に貫通し、前記セルの開口端部と連通する空気逃げ孔と、
    前記空気逃げ孔をパネル厚さ方向外側から密閉するように前記板材に設けられ、前記セル内の圧力と外気の圧力との内外圧力差を緩和する材料からなるシール部材とを備える
    ことを特徴とするハニカムサンドイッチパネル。
  2. 請求項1に記載のハニカムサンドイッチパネルにおいて、
    前記シール部材は、前記内外圧力差の発生に伴って、パネル厚さ方向に伸縮する材料からなる
    ことを特徴とするハニカムサンドイッチパネル。
  3. 請求項2に記載のハニカムサンドイッチパネルにおいて、
    前記シール部材は、防水性を有する
    ことを特徴とするハニカムサンドイッチパネル。
  4. 請求項1に記載のハニカムサンドイッチパネルにおいて、
    前記シール部材は、気体を通過し、液体を通過しない材料からなる
    ことを特徴とするハニカムサンドイッチパネル。
  5. 請求項1から請求項3のいずれか1つに記載のハニカムサンドイッチパネルを、舵面を形成する外板として使用した翼部材であって、
    前記空気逃げ孔が形成された前記板材は、前記舵面を形成する板材とは、前記コア部材を挟んだ反対側に配置され、
    前記シール部材は、前記内外圧力差の発生に伴って、前記舵面から遠ざかる方向に膨張する
    ことを特徴とする翼部材。
  6. 請求項4に記載のハニカムサンドイッチパネルを、舵面を形成する外板として使用した
    ことを特徴とする翼部材。
  7. 請求項5または請求項6に記載の翼部材を備えることを特徴とする航空機。
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