JP2018144107A - 連続鋳造機 - Google Patents
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Abstract
Description
例えば、特許文献3や特許文献4に開示されているように、鋳型短辺のテーパーを適正な範囲に制御する方法である。
また、上記2つ目のポイントに関しては、鋳型短辺テーパーと鋳型長辺テーパーとの関係にまで踏み込んで短辺とりわけ鋳型コーナー近傍の凝固シェル再溶解を防止しようとした事例は乏しく、特許文献3や特許文献4においても、その検討は不十分であった。
また、再溶解性ブレークアウトの防止に対して、上記の電磁ブレーキおよび短辺テーパーの工夫に組み合わせて、上記3つ目のポイントである鋳型短辺銅板材質の重要性に言及した従来技術は存在しない。そのため、再溶解性ブレークアウトを防止するための技術には、さらなる改善の余地が残されていた。
銅は純度が高いほど熱伝導率が高いのであるが、一般に鋳型に用いられる銅板は、強度を高めて変形を防止したり、電気伝導度を下げて電磁撹拌の効率を高めたりする目的で合金成分を添加しており、熱伝導率が低下しがちである。本発明者らは、鋳型短辺に関してはブレークアウト防止を優先して熱伝導率の高い銅板を用いることが有効であることを知見した。その結果、本開示の連続鋳造機では、鋳型長辺の銅板に対して鋳型短辺の銅板の熱伝導率が高くなることを許容する。
以下、本開示の連続鋳造機についてさらに具体的に説明する。本開示の連続鋳造機において、鋳型幅は鋳型厚みの少なくとも3倍以上である。
コイル42aと鋳型30の背面との距離とは、コイル42aの中央の位置(図4において、コイルの紙面上下方向中央の破線で示される位置)と鋳型30の背面との距離をいう。尚、例えば、コイル42aが鋳型30の背面に対して傾いている場合(図4の破線で示されるコイル42aの中央を示す線が、鋳型30の背面と平行となっていない場合)は、平均値でもってコイル42aと鋳型30の背面との距離を特定する。コイル42b〜42dについても同様にして、コイルと鋳型30の背面との距離を特定できる。鋳型30の背面とは、例えば、鋳型30よりも図4の紙面上側に配置されているコイル42aの場合、鋳型30の一対の長辺のうち、図4の紙面上側にある鋳型30の長辺の、鉄心41aに対向する面をいう。また、鉄心41a〜41dの鋳型厚み方向長さとは、図4の紙面上下方向における鉄心41a〜41dの長さをいう。
これにより、電磁石の背面すなわち鋳型から遠い側からの漏洩磁束を減らし、効率良く電磁ブレーキを作用させることができる。電磁石背面からの漏洩磁束が多いと、電磁ブレーキとしての効率が低下するのに加え、周囲の鉄を磁化させたり、計測器に影響を与えたりといった問題を生じる。
ここで、鋳型のテーパー率が一定でない場合には、その平均値をもってテーパー率を特定する。なお、「鋳型のテーパー率が一定である」とは 鋳型の傾きが直線状すなわち鋳型が平面である(曲面ではない)形態を意味する。
1.1.実施例1
図6および表1に示した実施例1は、請求項1で規定した条件をすべて満たす実施例である。
実施例1においては、電磁ブレーキ装置の鉄心およびコイルの配置、電磁ブレーキ装置の最大磁束密度、鋳型テーパー率、ならびに、鋳型短辺銅板の熱伝導率のすべてが請求項1で規定した条件を満たしている。そのため、2孔浸漬ノズルからの吐出流を十分に制動することができ、加えて鋳型に対する凝固シェルの密着を適度に保つことができる。その結果、凝固シェルを健全に成長させることが可能で、ブレークアウトのリスクが小さい安定した連続鋳造操業を実現することができる。
図7および表1に示した実施例2は、請求項1で規定した条件をすべて満たす実施例である。
実施例2においては、電磁ブレーキ装置の鉄心およびコイルの配置、電磁ブレーキ装置の最大磁束密度、鋳型テーパー率、ならびに、鋳型短辺銅板の熱伝導率のすべてが請求項1で規定した条件を満たしている。そのため、2孔浸漬ノズルからの吐出流を十分に制動することができ、加えて鋳型に対する凝固シェルの密着を適度に保つことができる。その結果、凝固シェルを健全に成長させることが可能で、ブレークアウトのリスクが小さい安定した連続鋳造操業を実現することができる。
図8および表1に示した実施例3は、請求項1で規定した条件をすべて満たす実施例である。
実施例3においては、電磁ブレーキ装置の鉄心およびコイルの配置、電磁ブレーキ装置の最大磁束密度、鋳型テーパー率、ならびに、鋳型短辺銅板の熱伝導率のすべてが請求項1で規定した条件を満たしている。そのため、2孔浸漬ノズルからの吐出流を十分に制動することができ、加えて鋳型に対する凝固シェルの密着を適度に保つことができる。その結果、凝固シェルを健全に成長させることが可能で、ブレークアウトのリスクが小さい安定した連続鋳造操業を実現することができる。
2.1.比較例1
図9および表1に示した比較例1は、請求項1で規定した条件を満たさない比較例である。
より具体的には、鋳型幅に対する鉄心両端距離の割合が85%未満であり、さらに、2つの鉄心が鋳型幅に占める割合が65%未満であるため、請求項1で規定した条件を満たさない。比較例1の条件では、電磁ブレーキ域の外側(鋳型短辺近傍)を回避する流動が生じやすく、吐出流の制動効果が不安定になるため、再溶解性のブレークアウトが発生しやすい。
図10および表1に示した比較例2は、請求項1で規定した条件を満たさない比較例である。
より具体的には、左右鉄心間隔が鋳型厚みの60%未満であり、加えて鉄心に巻かれたコイルと鋳型背面との平均距離が鉄心の鋳型厚み方向長さの0.5倍以上である点で、請求項1で規定した条件を満たさない。比較例2の条件では、電磁ブレーキの効率が低く最大磁束密度が小さいので、再溶解性ブレークアウトが発生しやすい。
図11および表1に示した比較例3は、請求項1で規定した条件を満たさない比較例である。
より具体的には、左右鉄心間隔が鋳型幅の30%以上であり、加えて2つの鉄心が鋳型幅に占める割合が65%未満である点で、請求項1で規定した条件を満たさない。比較例3の条件では、左右電磁ブレーキ域の間(鋳型幅中央近傍)を回避する流動が生じやすく、吐出流の制動効果が不安定なので、再溶解性ブレークアウトが発生しやすい。
鋳型のテーパー率に関する条件以外は実施例1と共通する表1に示した比較例4は、請求項1で規定した条件を満たさない比較例である。
より具体的には、鋳型短辺のテーパー率が鋳型幅に対して2.0%/mよりも大きく、加えて鋳型長辺のテーパー率が鋳型厚みに対して1.5%/mよりも大きい点で、請求項1で規定した条件を満たさない。比較例4の条件では、鋳型と凝固シェルとの間の摩擦抵抗が大きくなり、焼き付きが発生しやすい問題がある。加えて、鋳型短辺のテーパー率に対して鋳型長辺のテーパー率が大きすぎるので、鋳型長辺が鋳型短辺に比べて過剰に凝固シェルに密着し、凝固シェルのコーナー部を歪ませてしまう問題がある。凝固シェルコーナー部の歪みは、再溶解性ブレークアウトの起点となる内部割れを発生させるので、再溶解性ブレークアウトが発生しやすい。
鋳型のテーパー率に関する条件以外は実施例1と共通する表1に示した比較例5は、請求項1で規定した条件を満たさない比較例である。
より具体的には、鋳型短辺のテーパー率が鋳型幅に対して0.8%/mよりも小さく、加えて鋳型長辺のテーパー率が鋳型厚みに対して0.4%/mよりも小さい点で、請求項1で規定した条件を満たさない。比較例5の条件では、鋳型と凝固シェルが十分に密着せず、凝固シェルの成長が滞る。その結果、再溶解性のブレークアウトが発生しやすい問題がある。
鋳型短辺銅板の熱伝導率に関する条件以外は実施例1と共通する表1に示した比較例6は、請求項1で規定した条件を満たさない比較例である。
より具体的には、鋳型短辺銅板の熱伝導率が300W/m・K未満である点で、請求項1で規定した条件を満たさない。比較例6の条件では、万一鋳型内で凝固シェルが破断した場合に、漏れ出した溶融金属が迅速に凝固せず、ブレークアウト事故に至る確率が高まることが問題である。
図12および表1に示した比較例7は、請求項1で規定した条件を満たさない比較例である。
より具体的には、鋳型幅全体に同一極性の静磁場を作用させる電磁ブレーキ装置を用いている点で、請求項1で規定した条件を満たさない。この型式の電磁ブレーキ装置は、請求項1で規定した条件を満たす電磁ブレーキ装置に比べ、浸漬ノズルの閉塞によって吐出流の偏りが生じた場合に、その矯正作用に乏しい弱点があり、再溶解性ブレークアウトの防止効果が小さい。請求項1で規定した条件を満たす電磁ブレーキ装置は、浸漬ノズル左右に穿たれた2つの吐出孔からの吐出流それぞれに対し独立した静磁場が作用するので、吐出流が偏った場合にそれぞれの吐出流速に応じた制動力が作用し、偏流を矯正できる。比較例7のように、鋳型幅全体に同一極性の静磁場を作用させる電磁ブレーキ装置では、左右の吐出流に作用する制動力が独立したものとはならないので、偏流の矯正作用が弱いのである。
1…溶融金属
10…タンディッシュ
20…浸漬ノズル
30…鋳型
40…電磁ブレーキ装置
41a、41b、41c、41d…鉄心
42a、42b、42c、42d…コイル
43、44…電源
100…連続鋳造機
Claims (1)
- 溶融金属の連続鋳造機であって、
水平断面が矩形である鋳型と、
前記鋳型の上方に配置されたタンディッシュと、
前記タンディッシュから前記鋳型内へと溶融金属を供給する浸漬ノズルと、
前記浸漬ノズルから前記鋳型の両短辺に向かって吐出される2つの溶融金属流を、静磁場を用いて制動する電磁ブレーキ装置と、を備え、
前記電磁ブレーキ装置は、前記鋳型の幅方向の左右に並べて配置された2つの鉄心と、該2つの鉄心のそれぞれと前記鋳型を挟んで対向するように配置された2つの鉄心と、を有し、
前記鋳型を挟んで対向するように配置された前記2つの鉄心、および、前記鋳型の幅方向に並べて配置された前記2つの鉄心に励磁される電磁石の極性は、互いに逆であり、
前記鋳型の幅方向の左右に並べて配置された前記2つの鉄心は、左側に配置された鉄心の左端と右側に配置された鉄心の右端との距離が前記鋳型の幅の85%よりも大きく、且つ、該2つの鉄心の間隔が前記鋳型の幅の30%よりも小さく、且つ、該2つの鉄心の間隔が前記鋳型の厚みの60%よりも大きく、且つ、該2つの鉄心が前記鋳型の幅に占める割合が65%以上となるように、配置され、
前記鉄心に巻かれたコイルと前記鋳型の背面との平均距離が、前記鉄心の鋳型厚み方向長さの0.5倍よりも小さく、
最大磁束密度が2500gauss以上である前記静磁場を印加可能であり、
前記鋳型の短辺のテーパー率が前記鋳型の幅に対して0.8%/m〜2.0%/mであり、且つ、前記鋳型の長辺のテーパー率が前記鋳型の厚みに対して0.4%/m〜1.5%/mであり、且つ、前記鋳型の短辺のテーパー率が前記鋳型の長辺のテーパー率よりも大きく、
前記鋳型の短辺を構成する銅板の熱伝導率が、300W/m・K以上であることを特徴とする、連続鋳造機。
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