本開示の一態様に係る情報処理装置は、第1の車両に搭載される情報処理装置であって、前記第1の車両の周囲に取り付けられたセンサから得られるセンシング情報に基づいて前記第1の車両の進行方向に存在する第2の車両を認識する認識部と、認識された前記第2の車両を追い越す制御を実行するかを判定する判定部と、前記追い越す制御を実行することが判定されたことに応じて、前記第1の車両が前記第2の車両を追い越すための前記第1の車両の移動方向である第1の方向と反対方向の道路端に向かう第2の方向に前記第1の車両を移動させるための第1の情報を生成する生成部と、生成された前記第1の情報を出力する出力部と、を備える。
この構成により、後続車両である第1の車両は、追い越しのために第2の車両の側方を通過する前に、追い越し中の第2の車両の前方における歩行者等の移動物の有無を確認できるので、より安全に車両の追い越しを行うことができる。
ここで、例えば、前記判定部は、さらに、前記第1の車両における前記第2の方向への移動後に得られるセンシング情報に基づいて、前記追い越す制御の実行を継続するかの第1の継続判定を行い、前記生成部は、前記第1の継続判定において前記追い越す制御の実行を継続すると判定されることに応じて、前記第2の車両を追い越すための第2の情報を生成し、前記出力部は、生成された前記第2の情報を出力してもよい。これにより、追い越し中の第2の車両の前方にいる移動物に基づいて車両の追い越しを追い越し前に中止することができる。したがって、安全性をより向上させることができる。
また、例えば、前記認識部は、さらに、前記移動後に得られるセンシング情報に基づいて、前記進行方向に存在する人を認識し、前記判定部は、前記認識部により認識された前記人と前記第2の車両との位置関係に基づいて前記第1の継続判定を行ってもよい。これにより、当該位置関係から当該人が追い越し車線上へ飛び出す可能性を判定することができる。したがって、追い越し中の安全と走行効率とを両立させることができる。
また、例えば、前記判定部は、さらに、前記認識部により認識された前記人の行動または状態に基づいて前記第1の継続判定を行ってもよい。これにより、当該人が追い越し車線上へ飛び出す可能性をより正確に判定することができる。
また、例えば、前記生成部は、前記第1の継続判定において前記追い越す制御を継続すると判定されることに応じて、前記認識部により認識された前記人の行動または状態に応じた前記第2の車両の追い越しにおける前記第1の車両の挙動を決定し、決定される前記第1の車両の挙動で前記第2の車両を追い越すための前記第2の情報を生成してもよい。これにより、当該人の行動又は状態に応じて追い越しの態様を決定することができる。したがって、追い越し中の安全と走行効率とを両立させることができる。
また、例えば、前記第1の車両の挙動は、車速または走行ルートを含んでもよい。これにより、追い越しの際に徐行又は迂回の程度を当該人の行動又は状態に応じて決定することができる。
また、例えば、前記判定部は、さらに、前記出力部による前記第2の情報の出力後に得られるセンシング情報に基づく、前記進行方向における対向車の有無の判定結果に応じて、前記追い越す制御の実行を継続するかの第2の継続判定を行ってもよい。これにより、移動物の飛び出しだけでなく、対向車の有無を考慮して、第2の車両を追い越すことができる。したがって、追い越しの安全性をより向上させることができる。
また、例えば、前記センシング情報は、カメラの撮像により得られる情報を含み、前記認識部は、さらに、前記第1の情報の出力後、前記センシング情報の提供元を、前記進行方向を撮像可能な前方カメラから前記進行方向と交差する方向を撮像可能な側方カメラに切り替えて、前記側方カメラにより得た画像である前記センシング情報に基づいて、前記進行方向に存在する人を認識してもよい。これにより、第2の車両の周辺に存在する人をより確実に認識することができる。
また、例えば、前記側方カメラは、魚眼カメラであってもよい。これにより、通常のカメラに比べて認識範囲を拡張することができる。
また、例えば、前記認識部は、さらに、前記センシング情報に基づいて前記第2の方向における移動物体を認識し、前記判定部は、前記追い越す制御を実行することが判定されたことに応じて、さらに、前記認識部により前記移動物体が認識されたかを判定し、前記生成部は、前記移動物体が認識されなかったことに応じて、前記第1の情報を生成してもよい。これにより、第1の車両が第2の方向へ移動する際に、第2の方向に存在する移動物体と接触又は衝突することを回避できる。
また、例えば、さらに、前記判定部の判定結果の提示を制御する提示制御部を備えてもよい。これにより、第1の車両の乗員に、第2の方向へ移動することを事前に通知することができる。
また、例えば、前記判定部は、さらに、マップ情報および前記第1の車両または前記第2の車両の位置情報に基づいて前記追い越す制御を実行するかを判定してもよい。これにより、第2の車両の前方から人が飛び出す状況において追い越す制御を実行でき、処理負荷を低減することができる。
また、例えば、前記第1の情報及び前記第2の情報は、前記第1の車両の走行を制御するための車両制御情報を含んでもよい。これにより、第1の車両が自動運転車両である場合に、上述の追い越す制御を自動で実行することができる。
また、例えば、前記第1の情報及び前記第2の情報は、前記第1の車両のドライバへの提示情報を含んでもよい。これにより、第1の車両が手動運転車両である場合に、第1の車両の運転者に注意喚起することができる。
また、例えば、前記第1の方向は、前記第1の車両の進行方向に向かって右であり、前記第2の方向は、前記第1の車両の進行方向に向かって左であってもよい。これにより、通行規則が左側通行である地域において、上述した追い越す制御を実行することができる。
また、例えば、前記第1の方向は、前記第1の車両の進行方向に向かって左であり、前記第2の方向は、前記第1の車両の進行方向に向かって右であってもよい。これにより、通行規則が右側通行である地域において、上述した追い越す制御を実行することができる。
また、例えば、前記第1の車両が走行する地域の通行規則を取得する取得部をさらに備え、前記生成部は、取得された通行規則に基づいて前記第1の方向及び前記第2の方向を決定してもよい。これにより、通行規則が異なる複数の地域のいずれにおいても上述した追い越す制御を実行することができる。
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
以下で説明する実施の形態は、いずれも本開示の一具体例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、構成要素、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本開示を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。また全ての実施の形態において、各々の内容を組み合わせることもできる。
(実施の形態1)
以下、実施の形態1における情報処理装置10について説明する。
[車両1]
図1は、実施の形態1における車両1に搭載されるセンシング機器の一例を示す図である。
車両1は、第1の車両の一例であり、例えば自動車などの車両である。車両1には、実施の形態1における情報処理装置10が搭載される。
図1に示す車両1は、センシング機器として、例えばフロントカメラ11と、サイドカメラ12と、リアカメラ13とを備える。
フロントカメラ11は、車両1の進行方向を撮像可能な前方カメラである。フロントカメラ11は、例えば画角60度以上のカメラであり、車両1のフロントバンパーまたはその周辺に設置され、車両1の進行方向(以下前方とも記載)の所定領域を撮影して得た画像をセンシング情報として出力する。リアカメラ13は、例えば画角60度以上のカメラであり、車両1のリアバンパーまたはその周辺に設置され、車両1の進行方向とは逆方向(以下後方とも記載)の所定領域を撮影して得た画像をセンシング情報として出力する。すなわち、センシング情報は、カメラの撮像により得られる情報を含む。
なお、センシング機器は、車両1の周辺にある他の車両および歩行者などの移動物体をセンシングできれば、カメラに限定されない。例えば、フロントカメラ11およびリアカメラ13に代えて、レーダが搭載されてもよい。レーダが搭載される場合、レーダは、前方または後方の測定対象物である上記移動物体の距離および方向の計測結果をセンシング情報として出力する。
サイドカメラ12は、車両1の進行方向と交差する方向を撮像可能な側方カメラである。サイドカメラ12は、例えば画角180度の魚眼カメラであり、車両1のサイドミラーまたはその周辺に設置され、車両1の側方、前方および後方を撮影する。サイドカメラ12は、例えば画角60度以上のカメラであってもよく、この場合には、撮影方向が進行方向となるように車両1のサイドミラーに設置され、車両1の側方および前方を撮影すればよい。
[情報処理装置10]
次に、情報処理装置10の構成について説明する。
図2は、実施の形態1における情報処理装置10の構成の一例を示す図である。
情報処理装置10は、車両1に搭載され、図2に示すように、認識部101と、判定部102と、生成部103と、出力部104と、提示部105とを備える。なお、情報処理装置10は、提示部105を備えないとしてもよい。
<認識部101>
認識部101は、センシング情報に基づいて車両1の進行方向に存在する車両30を認識する。ここで、センシング情報は、第1の車両の周囲に取り付けられたセンサから得られる。例えば、センシング情報は、車両1に搭載されるセンシング機能により取得された情報であり、車両1の進行方向の物体の存在の有無を計測または判別するために用いられる情報である。
以下、道路が左側通行であるとして説明する。図3は、本実施の形態における車両1の前方のセンシングを示す図である。図3には、歩道40がある道路41の一例が示されており、道路41は、自動車および自動二輪車などの車両が通過できる走行車線43と、走行車線43と白線で区切られた路肩42とを有している。図3に示す車両30は、第2の車両の一例であり、例えばバスである。なお、車両30は、自動車、トラック、または、市街電車などの路面電車であってもよい。また、図3に示す道路41は左側通行であるが、右側通行であってもよい。この場合、図3に示す車両1と車両30とは、道路41の中央線を中心として反対側(右側)に位置することになる。
本実施の形態では、認識部101は、センシング情報に基づいて車両1の進行方向に存在する車両30を認識し、車両30と車両1との距離を算出する。図3に示す例では、センシング情報は、例えばフロントカメラ11が車両1の前方の領域1aを撮影することにより得た画像である。認識部101は、このセンシング情報により、車両30の存在の有無を判別し、車両1および車両30との距離を算出することができる。なお、画像から距離を算出する方法としては、ホモグラフィおよびStructure From Motion等などの手法を
用いるとよい。認識部101は、フロントカメラ11の光学的な構成と、対象物である車両の大きさとがわかっていれば、画像中の車両30の位置に基づき、車両1および車両30との距離を算出することができる。
また、認識部101は、センシング情報に基づいて、車両30が停止している、または、停止しようとしていることを認識してもよい。例えば、認識部101は、センシング情報が画像である場合には、画像に車両30のブレーキランプが点灯しているかを検出することにより、車両30が停止している、または、停止しようとしていることを認識することができる。なお、認識部101は、このセンシング情報と進行方向の道路状況を示すマップ情報とに基づいて、車両30が停止している、または、停止しようとしていることを認識してもよい。ここで、マップ情報は、例えばバス停の位置情報(GPS情報)、道路がカーブしているか否か、または、横断歩道の有無などを示す情報である。
また、認識部101は、さらに、例えば進行方向の左側にあるサイドカメラ12またはフロントカメラ11が車両1の前方を撮影することにより得た画像に基づいて、車両1の前方における歩行者、自転車または自動二輪車などの移動物体の存在の有無を認識してもよい。
<判定部102>
判定部102は、認識部101により認識された車両30を追い越す制御を実行するかを判定する。なお、判定部102は、マップ情報および車両1または車両30の位置情報に基づいて認識された車両30を追い越す制御を実行するかを判定してもよい。
本実施の形態では、判定部102は、認識部101により認識された車両1の進行方向に存在する車両30と車両1との距離が所定の距離以下である場合、車両30を追い越す制御を実行することを判定する。また、判定部102は、認識部101により認識された車両1の進行方向に存在する車両30と車両1との距離が所定の距離より大きい場合、車両30を追い越す制御を実行しないことを判定する。ここで、追い越す制御を実行するかの判定を行うとは、車両30の後続にいる車両1が車両30を実際に追い越せるかどうかの判定は後に行い、車両30を追い越そうとする決定をするかどうかの判定を意味する。
なお、車両30が走行している(停止し切っていない)場合には、判定部102は、車両1の速度および車両30の速度(または車両1に対する車両30の相対速度)、並びに、車両30と車両1との距離が所定の距離以下であるか、に基づいて、車両30を追い越す制御を実行するかを判定すればよい。車両30の速度または相対速度は、センシング情報が画像であれば時系列画像中の車両30の位置変化から推定でき、センシング情報がレーダの計測結果であれば計測結果から推定できる。
<生成部103>
生成部103は、判定部102により追い越す制御を実行することが判定された場合、進行方向と直交する方向のうち、車両30を追い越す際に車両1を旋回させる第1の方向と反対方向の道路端に向かう第2の方向に車両1を旋回させるための第1の情報すなわち走行支援情報を生成する。なお、旋回以外の制御により車両1が移動させられてもよい。例えば、車両1はスライドさせられてもよい。
ここで、走行支援情報は、第1の情報または第2の情報と称する場合がある。また、走行支援情報は、車両1の走行を制御するための車両制御情報を含む。車両制御情報は、車両1を第2の方向に旋回させることを指示するための情報を含んでいてもよいし、車両1のドライバへの提示情報を含んでいてもよい。提示情報は、例えば、車両1のドライバに対して車両1を第2の方向に旋回させるよう指示する情報である。
生成部103は、車両1が自動運転制御される場合には、車両1を第2の方向に旋回させることを指示する車両制御情報を含む走行支援情報を生成すればよい。一方、生成部103は、車両1がドライバにより手動運転制御される場合には、ドライバに対して車両1を第2の方向に旋回させるよう指示する情報を示す提示情報を含む走行支援情報を生成すればよい。なお、車両1の旋回とは、車両1の車体を真上からみたときに(上下を軸とした水平面で)、左右のいずれかに旋回させることであり、回頭方向の回転またはヨーイング(yawing)ともいう。また、第1の方向とは、車両1が車両30を追い越すための車両1の移動方向である。第1の方向とは、例えば道路が左側通行である場合、車両1の進行方向に向かって右に該当し、道路が右側通行である場合、車両1の進行方向に向かって左に該当する。第2の方向とは、例えば道路が左側通行である場合、車両1の進行方向に向かって左に該当し、道路が右側通行である場合、車両1の進行方向に向かって右に該当する。車両1を第2方向に旋回させることは、道路が左側通行である場合、道路の走行車線の左側に寄せることに該当し、道路が右側通行である場合、道路の走行車線の右側に寄せることに該当する。
図4は、本実施の形態における車両1の第2方向への旋回を示す図である。なお、図3と同様の要素には同一の符号を付しており、詳細な説明は省略する。図4には、道路41が左側通行であり、生成部103が生成する走行支援情報に従って車両1が第2方向に旋回される場合の例が示されている。
本実施の形態では、生成部103は、判定部102により車両30を追い越す制御を実行することが判定された場合、例えば図4に示す車両1のように、進行方向の左側に車両1を寄せるための走行支援情報を生成する。ここで、第2の方向とは、図4で示される例では、進行方向の左側に該当し、車両1を第2方向に旋回させることは、走行車線43において道路41を路肩42と区切る白線を超えないように、走行車線43中の左側に寄せることに該当する。
より具体的には、生成部103は、認識部101により認識された車両1の進行方向に存在する車両30と車両1との距離が第2の距離以下である場合、進行方向の左側に車両1を寄せるための走行支援情報を生成する。また、生成部103は、認識部101により認識された車両1の進行方向に存在する車両30と車両1との距離が第2の距離より大きい場合、車両30と車両1との距離が第2の距離以下になるまで、進行方向の左側に車両1を寄せるための走行支援情報を生成しない。ここで、追い越す車両30と車両1との距離が遠い場合には、歩行者等を確認できないおそれがある。しかし、上述のように生成部103が動作することにより、追い越す車両30に近づいてから第2の方向へ車両1を移動させ、車両30の周辺をセンシングすることができる。これにより、車両30の周辺に存在する歩行者等をより確実に確認することができる。なお、第2の距離は、上述の所定の距離よりも短い距離である。
なお、図4において、道路41が右側通行である場合、第2の方向とは、進行方向の右側に該当し、車両1を第2方向に旋回させることは、走行車線において道路を路肩と区切る白線を超えないように、走行車線中の右側に寄せることに該当することになる。
<出力部104>
出力部104は、生成部103により生成された第1の情報を出力する。具体的には、出力部104は、生成部103により生成された走行支援情報を出力する。
本実施の形態では、例えば、出力部104は、車両1が自動運転制御されており、生成部103が車両1を第2の方向に旋回させることを指示する車両制御情報を含む走行支援情報を生成した場合には、この走行支援情報を車両1を自動運転制御する制御部等に出力すればよい。また、例えば、出力部104は、車両1がドライバにより手動運転制御されており、生成部103がドライバに対して車両1を第2の方向に旋回させるよう指示する情報を示す提示情報を含む走行支援情報を生成した場合には、この走行支援情報を提示部105に出力すればよい。
<提示部105>
提示部105は、判定部102の判定結果を提示する。本実施の形態では、提示部105は、出力部104により出力された情報を提示する。例えば、提示部105は、出力部104によりドライバに対して車両1を第2の方向に旋回させるよう指示する情報を示す提示情報を含む走行支援情報が出力された場合には、ドライバに対して車両1を第2の方向に旋回させる旨を示す指示を提示する。
なお、情報処理装置10が提示部105を備えない場合には、判定部102の判定結果の提示を制御する提示制御部を備えてもよい。
[情報処理装置10の動作]
次に、以上のように構成された情報処理装置10の処理方法について説明する。
図5は、実施の形態1における情報処理装置10が行う追い越し判断の処理方法を示すフローチャートである。
まず、情報処理装置10は、図5に示すように、センシング情報に基づいて自車両の進行方向に存在する車両を認識する(S1)。本実施の形態では、情報処理装置10の認識部101が、車両30が映った画像または車両30までの距離および方向の計測結果などのセンシング情報に基づいて、自車両である車両1の進行方向に存在する車両30を認識する。
次に、情報処理装置10は、S1において認識された車両が自車両から所定の距離以内に存在するか判定する(S2)。本実施の形態では、情報処理装置10は、S1において認識された車両30を追い越す制御を実行するかを判定する方法として、S1において認識された車両30と車両1との距離が所定の距離以下であるかを判定する。
S2において、情報処理装置10は、当該車両が自車両から所定の距離以内に存在すると判定した場合(S2でYes)、自車両を第2の方向に旋回させる(S3)。本実施の形態では、情報処理装置10は、車両30と車両1との距離が所定の距離以下であると判定した場合、車両30を追い越す際に車両1を旋回させる第1の方向と反対の方向である第2の方向に車両1を旋回させるための走行支援情報を生成して、車両1の制御部または提示部105に出力する。これにより、車両1が自動運転制御されている場合には、車両1の制御部は走行支援情報に従って車両1を第2の方向に旋回させることができる。また、車両1がドライバにより運転制御されている場合には、提示部105に提示された車両1を第2の方向に旋回させる旨の指示に従ってドライバに車両1を第2の方向に旋回させることができる。
一方、S2において、情報処理装置10は、当該車両が自車両から所定の距離以内に存在しないと判定した場合(S2でNo)、本処理を終了する。本実施の形態では、情報処理装置10は、S1において認識された車両30を追い越す制御を実行しないと判定し、本処理を終了する。
[実施の形態1の効果等]
図6は、実施の形態1における効果を説明するための図である。なお、図3および図4と同様の要素には同一の符号を付しており、詳細な説明は省略する。図6には、生成部103が生成する走行支援情報に従って車両1が第2方向である左方向(進行方向の左側)に旋回させる場合の例が示されている。また、図6には、車両1を第2方向に旋回させたときに、サイドカメラ12が撮影できる車両1の前方の領域1bとフロントカメラ11が撮影できる車両1の前方の領域1cとが示されている。さらに、図6に示す例では、車両30が大型バスなどであり、停止または停止しようとしている車両30の周辺の歩道40に歩行者50および歩行者51が存在している。
図6に示すように、実施の形態1に係る情報処理装置10は、車両1を第2方向に旋回させることで、さらに車両1のセンシング情報である領域1bおよび領域1cを撮影して得た画像により車両30の左側方に存在する歩行者50、51を認識することができる。つまり、情報処理装置10は、車両1が追い越しのために車両30の右側方を通過する前に、車両30の左側方に存在する歩行者50、51を認識することができる。
このようにして、情報処理装置10は、車両1が追い越しのために車両30の右側方を通過する際に、車両30の前方から歩行者50などの飛び出しがある可能性を推定することができるので、当該右側方を通過する際に車両1を徐行または停止する必要性を予め判定できる。
これにより、情報処理装置10は、車両1が追い越しのために車両30の右側方を通過する際に歩行者50等と衝突してしまう危険性を軽減することができ、より安全に車両1に車両30の追い越しをさせることができる。
以上のように、実施の形態1に係る情報処理装置10によれば、車両の後続車両である自車両が車両を追い越すために車両の側方を通過する前に、追い越し中の車両の前方における歩行者等の移動物の有無を確認できるので、より安全に自車両に車両の追い越しをさせることができる。
また、実施の形態1に係る情報処理装置10が提示制御部を備える場合には、自車両の乗員に、第2の方向へ移動することを事前に通知することができる。
また、実施の形態1に係る情報処理装置10によれば、マップ情報および自車両または車両の位置情報に基づいて追い越す制御を実行するかを判定する場合には、車両の前方から人が飛び出す状況において追い越す制御を実行でき、処理負荷を低減することができる。
なお、走行支援情報に車両の走行を制御するための車両制御情報が含まれる場合には、自車両が自動運転車両であるときに、上述の追い越す制御を自動で実行することができる。また、走行支援情報に車両のドライバへの提示情報が含まれる場合には、自車両が手動運転車両であるときに、自車両の運転者に注意喚起することができる。
また、実施の形態1に係る情報処理装置10によれば、通行規則が左側通行または右側通行である地域において、上述した追い越す制御を実行することができる。
(変形例)
なお、情報処理装置10は、追い越す制御を実行することを判定した場合でも、さらに、進行方向とは反対である後方かつ第2の方向における移動物体の存在の有無を確認してから、車両を第2の方向に旋回させてもよい。以下、この場合を変形例として説明する。なお、以下では、実施の形態1と異なるところを中心に説明する。
[構成]
図7は、実施の形態1の変形例における車両1の左後方のセンシングを示す図である。なお、図3、図4および図6と同様の要素には同一の符号を付しており、詳細な説明は省略する。図7には、車両1を第2の方向である左方向すなわち進行方向の左側に旋回させる前に、左側のサイドカメラ12が撮影できる車両1の左後方の領域1dが示されている。
本変形例では、認識部101は、さらに、センシング情報に基づいて車両1の進行方向とは反対である後方かつ第2の方向における移動物体の存在の有無を認識してもよい。ここで移動物体は、例えば自転車または自動二輪車であるが、自転車または走行者などであってもよい。図7に示す例では、認識部101は、進行方向の左側にあるサイドカメラ12(不図示)が領域1dを撮影して得た画像である車両1のセンシング情報に基づいて、車両1の左後方における移動物体の存在の有無を認識している。
また、本変形例では、判定部102は、追い越す制御を実行することを判定した場合、さらに、認識部101により認識された後方かつ第2の方向における移動物体の存在が無いときに、追い越す制御を実行することを判定した結果を生成部103に出力すればよい。図7に示す例では、判定部102は、追い越す制御を実行することを判定後、さらに、認識部101により認識された車両1の左後方に移動物体に存在がないことを確認した場合に、追い越す制御を実行することを判定した結果を生成部103に出力すればよい。
[動作]
次に、以上のように構成された本変形例における情報処理装置10の処理方法について説明する。
図8は、実施の形態1の変形例における情報処理装置10が行う追い越し判断の処理方法を示すフローチャートである。なお、図5と同様の要素には同一の符号を付しており、詳細な説明は省略する。
S2において、本変形例における情報処理装置10は、車両が自車両から所定の距離以内に存在すると判定した場合(S2でYes)、自車両の進行方向とは反対である後方、かつ、第2の方向を確認する(S21)。より具体的には、情報処理装置10は、車両30と車両1との距離が所定の距離以下であると判定した場合、例えば図7に示すように、走行中の車両1の左後方の領域1dを撮影して得た画像である車両1のセンシング情報に基づいて、車両1の左後方における移動物体の存在の有無を認識する。
次に、本変形例における情報処理装置10は、S21において確認した後方かつ第2の方向に移動物体が存在しないかを確認する(S22)。より具体的には、情報処理装置10は、例えば図7に示すように、走行中の車両1の左後方の領域1dに自転車または自動二輪車などの移動物体が存在しないか確認する。
S22において、本変形例における情報処理装置10は、後方かつ第2の方向に移動物体が存在しないことを確認した場合(S22でYes)、S3の処理に進む。より具体的には、情報処理装置10は、例えば図7に示すように、走行中の車両1の左後方の領域1dに自転車または自動二輪車などの移動物体が存在しないことを確認した場合に、車両1を第2の方向である左方向に旋回させる。
[変形例1の効果等]
以上、本変形例1の情報処理装置10によれば、追い越す制御を実行することを判定した場合でも、さらに、進行方向とは反対である後方かつ第2の方向における移動物体の存在の有無を確認してから、車両1を第2の方向に旋回させることができる。これにより、車両1を第2の方向に旋回させる際に、車両1の第2方向側の後方に存在する自動二輪車または自転車などの移動物体に衝突することを防止することができる。
このように、本変形例の情報処理装置10によれば、自車両が第2の方向へ移動する際に、第2の方向に存在する移動物体と接触又は衝突することを回避できるので、安全性をより向上させることができる。
以上のように、本変形例1の情報処理装置10によれば、より安全に自車両に車両の追い越しをさせることができる。
なお、本変形例1では、後方かつ第2の方向における移動物体が認識されなかったことに応じて、車両1を第2の方向に旋回させるとしたがこれに限らない。自車両の進行方向である前方かつ第2の方向における移動物体が認識されなかったことに応じて、車両1を第2の方向に旋回させてもよい。
(実施の形態2)
次に、実施の形態2における情報処理装置20について説明する。なお、以下では実施の形態1と異なるところを中心に説明する。
[情報処理装置10A]
図9は、実施の形態2における情報処理装置10Aの構成の一例を示す図である。
情報処理装置10Aは、実施の形態1における情報処理装置10と同様に、車両1に搭載される。本実施の形態では、情報処理装置10Aは、図9に示すように、認識部101Aと、判定部102Aと、生成部103Aと、出力部104Aと、提示部105Aとを備える。なお、情報処理装置10Aは、情報処理装置10と同様に、提示部105Aを備えないとしてもよい。
<認識部101A>
認識部101Aは、実施の形態1における認識部101と同様に、センシング情報に基づいて車両1の進行方向に存在する車両30を認識する。さらに、認識部101Aは、車両1における第2の方向への移動後に得られるセンシング情報に基づいて車両1の進行方向に存在する人を認識する。認識部101Aは、車両1における第2の方向への移動後に得られるセンシング情報に基づいて当該人の行動または状態を認識してもよい。また、認識部101Aは、車両1の第1の方向への旋回中のセンシング情報に基づいて車両1の進行方向に存在する対向車を認識する。ここで、第2の方向への移動後に得られるセンシング情報は、第2の方向への旋回後または第1の方向への旋回中のセンシング情報であり、車両1に搭載されるフロントカメラ11、サイドカメラ12またはリアカメラ13が撮影して得た画像であるとして以下説明する。
本実施の形態では、認識部101Aは、車両1における第2の方向への旋回後のセンシング情報または車両1の第1の方向への旋回中のセンシング情報に基づいて、車両30の周辺に存在する人を認識する。そして、認識部101Aは、車両1が第1の方向へ旋回している間、当該人を認識し続けることにより、当該人をトラッキングしながら、当該人と車両30との位置関係を認識し続ける。サイドカメラ12が魚眼カメラであれば、車両1が第2の方向へ旋回後から第1の方向に旋回している間においてセンシング情報である魚眼カメラの魚眼画像には当該人が車両30により死角になるまで映っている。このため、認識部101Aは、ホモグラフィおよびStructure From Motion等などの手法を用いるこ
とにより、センシング情報である魚眼カメラの魚眼画像から当該人とその位置とを認識し続けることができる。また、認識部101Aは、認識部101Aは、車両1が第1の方向へ旋回している間、当該人を認識し続けることにより、当該人をトラッキングすることで、当該人の行動または状態を認識してもよい。
なお、認識部101Aは、第1の情報すなわち走行支援情報の出力後、センシング情報の提供元を、車両1の進行方向を撮像可能なフロントカメラ11から車両1の進行方向に交差する方向を撮像可能なサイドカメラ12に切り替えて、サイドカメラ12により得た画像であるセンシング情報に基づいて、進行方向に存在する人を認識してもよい。
また、認識部101Aは、センシング情報の提供元を車両の下部に設置される下部カメラに切り替えてもよい。下部カメラは、車両1の前方かつ下方を撮像する。これにより、下部カメラは、追い越す車両30の先に存在する人の脚を撮像することができる。認識部101Aは、下部カメラから得られる画像に映る人の脚をトラッキングする。これにより、車両30によるフロントカメラ11またはサイドカメラ12の死角に人が入った後も、当該人をトラッキングすることできる。
なお、フロントカメラ11またはサイドカメラ12から得られる画像に映る人の認識結果と、下部カメラから得られる画像に映る人の認識結果と、を対応付けてもよい。この場合、下部カメラから得られる画像に映る脚と当該人とを対応付けることができ、下部カメラから得られる画像に基づく人の認識精度を向上させることができる。また、下部カメラによる撮像は、フロントカメラ11またはサイドカメラ12の撮像と同時に開始されてもよい。
また、認識部101Aは、車両1の第1の方向への旋回中のセンシング情報に基づいて、車両1の周囲に存在する自動車または自動二輪などの車両(以下周囲車両)を認識してもよい。以下、これらについて図を用いてより具体的に説明する。
図10は、本実施の形態における車両1の前方のセンシングを示す図である。図11は、本実施の形態における車両1の周囲のセンシングを示す図である。なお、図3、図4および図6と同様の要素には同一の符号を付しており、詳細な説明は省略する。図10および図11は、いずれも車両1における第2の方向への旋回後のセンシングの一例である。図10および図11には、車両1の第2の方向への旋回後、停止中の車両30の追い越しのため第1方向に旋回中の例が示されている。
認識部101Aは、例えば図6に示すように、車両1が第2方向である左方向に旋回し走行車線43の左側(または左端)に寄った際、サイドカメラ12が領域1bを撮影した画像およびフロントカメラ11が領域1cを撮影して得た画像であるセンシング情報により車両30の第2方向すなわち車両30の左側方に存在する歩行者50、51を認識することができる。
認識部101Aは、車両1が第1方向である右方向に旋回している間、サイドカメラ12が領域1eを撮影して得た画像センシング情報により、車両30の第2方向すなわち車両30の左側方に存在する歩行者50、51を認識し続け、歩行者50、51をトラッキングする。そして、認識部101Aは、車両1が右方向に旋回している間、歩行者50、51と車両30との位置関係または当該人の行動または状態を認識し続ける。なお、認識部101Aは、車両1が第1方向である右方向に旋回し始めると、センシングで用いるカメラを、サイドカメラ12に切り替えてもよいし、すべてのカメラを用いているとしてもよい。
また、認識部101Aは、例えば図11に示すように、車両1が右方向に旋回し、走行車線43の中央線に近づいた場合、さらに、フロントカメラ11が車両1の前方の領域1hを撮影した画像であるセンシング情報により、車両30の前方に人が存在するかを認識してもよい。そして、認識部101Aは、領域1hを撮影した画像、サイドカメラ12が車両1の側方の領域1gを撮影した画像、および、リアカメラ13が車両1の後方の領域1fを撮影した画像であるセンシング情報により、車両1の進行方向に存在する対向車60などの車両1の周囲車両を認識する。なお、認識部101Aが、周囲車両の認識を開始するのは、図10に示す車両1がさらに右方向へ旋回し、進行方向に進んで図11に示すように走行車線43の中央線に近づいてからでなくてもよい。認識部101Aは、図10に示す車両1の位置から周囲車両の認識を開始するとしてもよい。
<判定部102A>
判定部102Aは、実施の形態1における判定部102と同様に、認識部101Aにより認識された車両30を追い越す制御を実行するかを判定する。この判定の詳細は上述したので説明を省略する。
また、判定部102Aは、車両1の第2の方向への移動後に得られるセンシング情報に基づいて、追い越す制御の実行を継続するかの追い越し継続の判定(第1の継続判定)を行う。ここで、得られるセンシング情報は、認識部101Aの認識結果であり、例えば、認識部101Aにより認識された人と車両30と位置関係または当該人の行動または状態である。このセンシング情報は、例えば対向車など周囲車両の存在の有無であってもよい。より具体的には、判定部102Aは、認識部101Aにより認識された人と車両30と位置関係に基づいて追い越し継続の判定(第1の継続判定)を行う。また、認識部101Aにより認識された人の行動または状態に基づいて追い越し継続の判定(第1の継続判定)を行ってもよい。判定部102Aは、さらに、出力部104Aによる第2の情報(すなわち走行支援情報)の出力後に得られるセンシング情報に基づく進行方向における対向車の有無の判定結果に応じて、追い越す制御の実行を継続するかの追い越し継続の判定(第2の継続判定)を行ってもよい。
なお、判定部102Aは、追い越し継続の判定(第1の継続判定)を行う際、認識部101Aにより認識された人と車両30と位置関係または当該人の行動または状態に基づいて危険レベルを判定してもよい。
本実施の形態では、判定部102Aは、認識部101Aの認識結果を用いて車両1が車両30を実際に追い越せるかどうかの判定である追い越し継続の判定(第1の継続判定)を行う。以下、図を用いてより具体的に説明する。
図6および図10に示す例では、判定部102Aは、認識部101Aにより認識され、トラッキングされている歩行者50、51と車両30との関係に基づいて、追い越し継続の判定を行う。なお、判定部102Aは、トラッキングされている歩行者50の位置、体の向きおよび移動方向などの当歩行者50の行動または状態を用いて、追い越し継続の判定を行ってもよい。画像中の歩行者50の体の向きについては、認識部101Aが機械学習されることにより認識結果として判定部102Aが得ることができる。
より具体的には、図10に示す例では、判定部102Aは、歩行者50と車両30との位置関係または歩行者50の行動または状態を判定する。これにより、判定部102Aは、歩道40に存在する歩行者50が歩行者50aの位置に移動し車両30の前方から飛び出す可能性があり、車両1が車両30を追い越す場合に歩行者50と衝突する危険性があると予測できる。図10に示す例では、判定部102Aは、車両1が車両30を追い越す場合に歩行者50と衝突する危険性があると予測できるので、追い越す制御の実行を継続する追い越し継続を行わないと判定すればよい。
また、判定部102Aは、図11に示す例において、車両1の前方の領域1hを撮影した画像であるセンシング情報に基づき認識部101Aが認識した人が車両30の前方に存在していることを判定したとする。この場合、判定部102Aは、車両1が車両30を追い越す場合に当該人と衝突する危険性があると予測できるので、追い越し継続を行わないと判定すればよい。
なお、判定部102Aは、追い越し継続の判定を行う場合、認識部101Aにより認識された歩行者に基づいて、車両1が車両30を追い越す場合に当該歩行者と衝突する危険性を予測して、予測した危険性に応じて危険レベルを判定してもよい。より具体的には、判定部102Aは、認識部101Aにより認識された歩行者に基づき判定した危険レベル3である場合、追い越し継続を行わないと判定すればよい。また、判定部102Aは、認識部101Aにより認識された歩行者に基づき判定した危険レベル1または2である場合、追い越し継続を行うと判定すればよい。
ここで、危険レベルの一例について図10を用いて説明する。すなわち、判定部102Aは、例えば、歩行者50と車両30との位置関係に基づき、歩行者50が車両30の前方を横断しようとしていると判定した場合、車両1が車両30を追い越す場合に歩行者50と衝突する危険性があると予測し、危険レベル2と判定してもよい。また、判定部102Aは、例えば、歩行者51と車両30との位置関係に基づき、歩行者51が停止中の車両30から降りてきたことを判定した場合、車両1が車両30を追い越す場合に歩行者51と衝突する危険性があるが、その危険性は低いと予測し、危険レベル1と判定してもよい。
なお、判定部102Aは、例えば、歩行者と車両30との位置関係に基づき、当該歩行者が、車両30の前方において走行車線43に体を向けていることを判定した場合、車両1が車両30を追い越す場合に当該歩行者と衝突する危険性があると予測し、危険レベル2と判定してもよい。さらに、判定部102Aは、例えば、歩行者と車両30との位置関係に基づき、当該歩行者が車両30の前方を横断し始めているまたは車両30の前方を横断して車両30で隠れたことを判定した場合、車両1が車両30を追い越す場合に当該歩行者と衝突する危険性が高いと予測し、危険レベル3と判定してもよい。
さらに、判定部102Aは、第1方向への車両1の旋回中に認識部101Aにより認識された周囲車両に基づく進行方向に存在する対向車の有無から、追い越し継続の判定を行ってもよい。図11に示す例では、判定部102Aは、認識部101Aにより認識された周囲車両に進行方向に存在する対向車60が含まれており、車両1が車両30を追い越す場合に対向車60と衝突する危険性があることを予測できるので、追い越し継続を行わないことを判定する。
<生成部103A>
生成部103Aは、判定部102Aにより追い越す制御を実行することが判定された場合、第2の方向に車両1を旋回させるための第1の情報すなわち走行支援情報を生成する。なお、この生成の詳細は上述したので説明を省略する。
また、生成部103Aは、判定部102Aにより追い越し継続の判定(第1の継続判定)において追い越す制御の実行を継続すると判定されることに応じて、車両1を追い越すための第2の情報すなわち走行支援情報を生成する。また、生成部103Aは、判定部102Aにより追い越し継続の判定(第1の継続判定)において追い越す制御を継続すると判定されることに応じて、認識部101Aにより認識された人の行動または状態に応じた車両30の追い越しにおける車両1の挙動を決定し、決定される車両1の挙動で車両30を追い越すための第2の情報を生成してもよい。ここで、車両1の挙動は、車速または走行ルートを含む。
具体的には、生成部103Aは、判定部102Aにより追い越す制御の実行を継続すると判定された場合、第1の方向に車両1を旋回させるための走行支援情報を生成する。ここで、例えば、生成部103Aは、車両1が自動運転制御される場合には、車両1を第1の方向に旋回させることを指示する車両制御情報を含む走行支援情報を生成すればよい。一方、生成部103Aは、車両1がドライバにより手動運転制御される場合には、ドライバに対して車両1を第1の方向に旋回させるよう指示する情報を示す提示情報を含む走行支援情報を生成すればよい。
なお、生成部103Aは、判定部102Aにより追い越す制御の実行を継続すると判定された場合、認識部101Aにより認識された人の行動または状態に応じた車両1の挙動を決定し、その挙動を車両1に行わせるための走行支援情報を生成してもよい。また、生成部103Aは、判定部102Aにより判定された危険レベルに応じた車両1の制御を行うため走行支援情報を生成してもよい。
本実施の形態では、生成部103Aは、例えば図6に示すように車両1が第2方向である左に旋回し走行車線43の左側(または左端)に寄った後、図10および図11に示すように車両1を第1方向である右方向に旋回し走行車線43の中央線に向かわせるための走行支援情報を生成する。なお、生成部103Aは、判定部102Aにより追い越す制御を実行することが判定された場合、第2の方向に車両1を旋回させ、かつ、その後車両1を第1方向である右方向に旋回させる走行ルートを車両1に行わせるための走行支援情報を生成してもよい。
また、生成部103Aは、例えば判定部102Aが危険レベル1を判定した場合、車両1を第1方向である右方向に所定の速さで徐行しながら旋回し、走行車線43の中央線に向かわせるための走行支援情報を生成してもよい。なお、生成部103Aは、判定部102Aが危険レベル1を判定した場合、ドライバに対して車両30の前方から歩行者が出現する可能性があり注意する旨を提示情報を含めて、車両1を第1方向である右方向に旋回し走行車線43の中央線に向かわせるための走行支援情報を生成してもよい。
また、生成部103Aは、例えば判定部102Aが危険レベル2を判定した場合、車両1を第1方向である右方向に上記所定の速さよりも遅く徐行しながら旋回し走行車線43の中央線に向かわせるための走行支援情報を生成するとよい。生成部103Aは、例えば判定部102Aが危険レベル3を判定した場合、車両1を第1方向である右方向に旋回させずに、車両1を停止させるための走行支援情報を生成すればよい。
また、生成部103Aは、判定部102Aが車両1が車両30を実際に追い越す、追い越す制御の実行を行うことを判定した場合、車両1が車両30を追い越すための走行支援情報を生成するとよい。図11に示す例で説明すると、生成部103Aは、判定部102Aが追い越す制御の実行を行うことを判定した場合、右方向に車両1を旋回させ、車両1を走行車線43の中央線を越えて進行方向を車両1に進ませて(図11の矢印で示される経路で進ませて)、車両30を追い越すための走行支援情報を生成するとよい。
<出力部104A>
出力部104Aは、生成部103Aにより生成された第1の情報または第2の情報を出力する。具体的には、出力部104Aは、生成部103Aにより生成された走行支援情報を出力する。
本実施の形態では、例えば、出力部104Aは、車両1が自動運転制御されており、生成部103が車両1を第1の方向に車両1を旋回させるまたは車両1を停止させることを指示する車両制御情報を含む走行支援情報を生成した場合には、この走行支援情報を車両1を自動運転制御する制御部等に出力する。また、例えば、出力部104Aは、車両1がドライバにより手動運転制御されており、生成部103Aがドライバに対して車両1を第1の方向に旋回させるまたは車両1を停止させるよう指示する情報を示す提示情報を含む走行支援情報を生成した場合には、この走行支援情報を提示部105Aに出力する。
<提示部105A>
提示部105Aは、出力部104Aにより出力された情報を提示する。例えば、提示部105は、出力部104Aにより、ドライバに対して車両1を第1の方向に旋回させる、または、車両1を停止させるように指示する情報を示す提示情報を含む走行支援情報が出力された場合には、ドライバに対して車両1を第1の方向に旋回させる旨または車両1を停止させる旨を示す指示を提示する。
[情報処理装置20の動作]
次に、以上のように構成された情報処理装置20の処理方法について説明する。
図12は、実施の形態2における情報処理装置10Aが行う追い越し判断の処理方法を示すフローチャートである。なお、図12に示すS101〜S105は、図8に示すS1〜S3と同じ処理であるため、ここでの説明は省略する。
S105の処理に続いて、情報処理装置20は、図12に示すように、センシング情報に基づいて車両の第2の方向に存在する人を認識する(S105)。本実施の形態では、情報処理装置20は、自車両である車両1のフロントカメラ11により得た画像であるセンシング情報に少なくとも基づいて、車両30の第2の方向である左側方に存在する人を認識する。
次に、情報処理装置20は、S106において認識された人とS101で認識された車両との位置関係に基づき追い越し継続は可能かを判定する(S107)。本実施の形態では、情報処理装置20は、106において認識された人とS101で認識された車両30との位置関係等に基づいて、車両1が車両30を追い越す場合に当該人と衝突する危険性があるかの予測し、この予測に応じて追い越し継続は可能かを判定する。
S107において、情報処理装置20は、当該人と衝突する危険性が高いと予測し、追い越し継続は不可能であると判定した場合(S107でNo)、本処理を終了する。
一方、S107において、情報処理装置20が、当該人と衝突する危険性は低いと予測し、追い越し継続は可能であると判定した場合(S107でYes)、追い越しのために自車両を第1の方向へ旋回させる(S108)。本実施の形態では、情報処理装置20は、追い越し継続は可能であると判定した場合、追い越しのために車両1を第1の方向である右方向へ旋回させるための走行支援情報を生成して出力する。これにより、車両1を右方向へ旋回させることができる。
次に、情報処理装置20は、車両の前方に人が存在するかを判定する(S109)。本実施の形態では、情報処理装置20は、車両1のフロントカメラ11等のセンシング機器の出力であるセンシング情報に基づき、車両30の前方に人が存在しているかを判定する。
S109において、情報処理装置20は、車両の前方に人が存在していると判定した場合(S109でYes)、本処理を終了する。本実施の形態では、情報処理装置20は、センシング情報に基づき、車両30の前方に人が存在していることを判定した場合、車両1が車両30を追い越すときに当該人と衝突する危険性があると予測できるので、追い越し継続は不可能であると判定し、本処理を終了し、車両1を停止または徐行させる。
一方、S109において、情報処理装置20は、車両の前方に人が存在しないと判定した場合(S109でNo)、さらに、対向車が存在するかを判定する(S110)。本実施の形態では、情報処理装置20は、センシング情報に基づき、車両30の前方に人が存在していないことを判定した場合、さらに、車両1のフロントカメラ11等のセンシング機器の出力であるセンシング情報に基づき、対向車60の有無を判定する。
S110において、情報処理装置20は、対向車が存在しないと判定した場合には(S110でYes)、追い越す制御を実行する。本実施の形態では、情報処理装置20は、対向車60が無いことを確認した場合、車両1が車両30を追い越すための走行支援情報を生成して出力する。これにより、情報処理装置20は、車両1が車両30を実際に追い越す、追い越す制御の実行を行うことができる。
一方、S110において、情報処理装置20は、対向車が存在すると判定した場合には(S110でNo)、本処理を終了する。本実施の形態では、情報処理装置20は、対向車60があることを確認した場合、対向車60が車両30の追い越しの妨げになるため、追い越し継続は不可能であると判定し、本処理を終了し、車両1を停止または徐行させる。
[実施の形態2の効果等]
図13A〜図13Cは、実施の形態2における効果を説明するための図である。図13Aおよび図13Bは、比較例における追い越す制御を行う場合を示しており、図13Cは、本実施の形態2における追い越す制御を行う場合を示している。なお、図3および図4等と同様の要素には同一の符号を付しており、詳細な説明は省略する。車両70および車両71は、比較例における車両であり、本実施の形態1の車両1に対応するが、本実施の形態の情報処理装置20を搭載していない車両である。なお、車両71は特許文献1に開示される走行支援装置が搭載されているとする。
図13A〜図13Cには、車両70、71または車両1より大型の車両30が停止しており、車両70、71または車両1が車両30を追い越す際に、車両30の前方を移動する歩行者53が存在する場合の例が示されている。
図13Aに示すように、車両70が単に車両30を追い越す際には、車両30が死角となり、車両30の前方を移動する歩行者53が見つけられない。そのため、車両1が単に車両30を追い越す際には、歩行者53と衝突する可能性が高い。これに対して、図13Bに示すように、車両71が車両30を追い越す時に反対車線側(図で走行車線43の右側)に寄る。これにより、車両71の前方の領域71aに示されるような視界が確保できる。しかしながら、図13Bに示す比較例では、車両71が車両30を実際に追い越している際中に、歩行者53を見つける必要があり、地点P1などで車両71を停止させるなど即座に追い越しを中止する判断が必要となる。地点P1などで車両71を停止させる判断が遅れると、車両71の制動距離により歩行者53と衝突してしまう可能性もある。
一方、図13Cに示すように、本実施の形態では、車両30を実際に追い越す前に車両1を走行車線43の左側に寄せることにより、車両1は、車両1の前方の領域1bに示されるような視界を確保できる。したがって、車両1は、車両1の前方の領域1bを撮影して得た画像であるセンシング情報に基づき、歩行者の検出および歩行者が車両30の前方を横断するかの判定を行うことができ、地点P2などで車両1を停止させる判断を行うことができる。このように、本実施の形態の情報処理装置20は、図13Aおよび図13Bに示す比較例よりも余裕を持って追い越しを中止する判定を行うことができるので、歩行者53と衝突してしまう危険性を軽減し、より安全に車両1に車両30の追い越しをさせることができる。
以上のように、実施の形態2に係る情報処理装置20によれば、車両の後続車両である自車両が車両を追い越すために車両の側方を通過する前に、より安全に自車両に車両の追い越しをさせることができる。
また、実施の形態2に係る情報処理装置20によれば、追い越し中の車両の前方にいる移動物に基づいて自車両の追い越しを追い越し前に中止することができるので、安全性をより向上させることができる。
より具体的には、実施の形態2に係る情報処理装置20によれば、認識された人と車両との位置関係から当該人が追い越し車線上へ飛び出す可能性を判定することができるので、追い越し中の安全と走行効率とを両立させることができる。
また、実施の形態2に係る情報処理装置20によれば、当該人が追い越し車線上へ飛び出す可能性をより正確に判定することができるので、安全性をより向上させることができる。
また、実施の形態2に係る情報処理装置20によれば、当該人の行動又は状態に応じて追い越しの態様を決定することができるので、追い越し中の安全と走行効率とを両立させることができる。
また、実施の形態2に係る情報処理装置20によれば、追い越しの際に徐行又は迂回の程度を当該人の行動又は状態に応じて決定することができるので、安全性をより向上させることができる。
また、実施の形態2に係る情報処理装置20によれば、移動物の飛び出しだけでなく、対向車の有無を考慮して、車両を追い越すことができるので、追い越しの安全性をより向上させることができる。
また、実施の形態2に係る情報処理装置20によれば、第2の車両の周辺に存在する人をより確実に認識することができるので、追い越しの安全性をより向上させることができる。
また、実施の形態2に係る情報処理装置20によれば、側方カメラに魚眼カメラを用いる場合には、通常のカメラに比べて認識範囲を拡張することができる。
(その他の実施の形態)
なお、実施の形態1および実施の形態2では、車両30が停止しようとしているまたは停止している場合について例を挙げて説明したが、これに限らない。車両30は走行中であってもよい。
図14は、その他の実施の形態における車両1の前方のセンシングの一例を示す図である。なお、図3と同様の要素には同一の符号を付しており、詳細な説明は省略する。図14には、走行中の車両30の前方に、自動二輪車54が存在する場合の例が示されている。
本実施の形態では、上述した実施の形態1および実施の形態2の歩行者50、51を自動二輪車54にすれば、実施の形態1および実施の形態2と同様のことが言える。すなわち、図14の矢印で示される車両1の経路(走行ルート)のように、走行中の車両30を実際に追い越す前に車両1を走行車線43の左側に寄せることにより、車両1の前方の領域1bを撮影して得た画像であるセンシング情報に基づき、自動二輪車54の検出および自動二輪車54が車両30の前方を横断するかの判定を行うことができる。
したがって、本実施の形態の情報処理装置は、走行中の車両30を実際に追い越す前に車両1を走行車線43の左側に寄せることなどにより余裕を持って追い越しを中止する判定を行うことができるので、自動二輪車54と衝突してしまう危険性を軽減し、より安全に車両1に車両30の追い越しをさせることができる。
以上、本開示の情報処理装置等について、実施の形態に基づいて説明したが、本開示は、この実施の形態に限定されるものではない。本開示の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を本実施の形態に施したもの、または、異なる実施の形態における構成要素を組み合わせて構築される形態も、本開示の一つまたは複数の態様の範囲内に含まれてもよい。例えば、以下のような場合も本開示に含まれる。
(1)上記の各装置は、具体的には、マイクロプロセッサ、ROM、RAM、ハードディスクユニット、ディスプレイユニット、キーボード、マウスなどを備えるコンピュータシステムである。前記RAMまたはハードディスクユニットには、コンピュータプログラムが記憶されている。前記マイクロプロセッサが、前記コンピュータプログラムにしたがって動作することにより、各装置は、その機能を達成する。ここでコンピュータプログラムは、所定の機能を達成するために、コンピュータに対する指令を示す命令コードが複数個組み合わされて構成されたものである。
(2)上記の各装置を構成する構成要素の一部または全部は、1個のシステムLSI(Large Scale Integration:大規模集積回路)を備えるとしてもよい。システムLSIは
、複数の構成部を1個のチップ上に集積して製造された超多機能LSIであり、具体的には、マイクロプロセッサ、ROM、RAMなどを含んで構成されるコンピュータシステムである。前記RAMには、コンピュータプログラムが記憶されている。前記マイクロプロセッサが、前記コンピュータプログラムにしたがって動作することにより、システムLSIは、その機能を達成する。
(3)上記の各装置を構成する構成要素の一部または全部は、各装置に脱着可能なICカードまたは単体のモジュールを備えるとしてもよい。前記ICカードまたは前記モジュールは、マイクロプロセッサ、ROM、RAMなどを備えるコンピュータシステムである。前記ICカードまたは前記モジュールは、上記の超多機能LSIを含むとしてもよい。マイクロプロセッサが、コンピュータプログラムにしたがって動作することにより、前記ICカードまたは前記モジュールは、その機能を達成する。このICカードまたはこのモジュールは、耐タンパ性を有するとしてもよい。
(4)本開示の一態様は、上記に示す方法であるとしてもよい。また、これらの方法をコンピュータにより実現するコンピュータプログラムであるとしてもよいし、前記コンピュータプログラムからなるデジタル信号であるとしてもよい。
(5)また、本開示の一態様は、前記コンピュータプログラムまたは前記デジタル信号をコンピュータで読み取り可能な記録媒体、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、CD−ROM、MO、DVD、DVD−ROM、DVD−RAM、BD(Blu−ray(登録商標) Disc)、半導体メモリなどに記録したものとしてもよい。また、これらの記録媒体に記録されている前記デジタル信号であるとしてもよい。
(6)また、本開示の一態様は、前記コンピュータプログラムまたは前記デジタル信号を、電気通信回線、無線または有線通信回線、インターネットを代表とするネットワーク、データ放送等を経由して伝送するものとしてもよい。
(7)また、本開示の一態様は、マイクロプロセッサとメモリを備えたコンピュータシステムであって、前記メモリは、上記コンピュータプログラムを記憶しており、前記マイクロプロセッサは、前記コンピュータプログラムにしたがって動作するとしてもよい。
(8)また、前記プログラムまたは前記デジタル信号を前記記録媒体に記録して移送することにより、または前記プログラムまたは前記デジタル信号を、前記ネットワーク等を経由して移送することにより、独立した他のコンピュータシステムにより実施するとしてもよい。
(9)また、上記実施形態では、通行規則が右側通行又は左側通行のいずれかに対応する情報処理装置10の例を説明したが、本実施の形態に係る情報処理装置10はこれに限定されない。具体的には、情報処理装置10は、車両1が走行している地域の通行規則を取得し、取得された通行規則に基づいて第1の方向及び第2の方向を決定してよい。例えば、情報処理装置10は、位置情報取得部及び通信部をさらに備える。位置情報取得部は、車両1の位置情報(例えばGPS情報)を取得する。通信部は、車両1の位置情報から特定される地域の通行規則を外部装置(例えばサーバ)から通信を介して取得する。そして、生成部103は、取得された通行規則から第1の方向及び第2の方向を決定し、走行支援情報を生成する。