JP2018140910A - 種結晶 - Google Patents

種結晶 Download PDF

Info

Publication number
JP2018140910A
JP2018140910A JP2017037189A JP2017037189A JP2018140910A JP 2018140910 A JP2018140910 A JP 2018140910A JP 2017037189 A JP2017037189 A JP 2017037189A JP 2017037189 A JP2017037189 A JP 2017037189A JP 2018140910 A JP2018140910 A JP 2018140910A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
crystal
seed
seed crystal
orientation
growth
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2017037189A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6938961B2 (ja
Inventor
清充 小泉
Kiyomitsu Koizumi
清充 小泉
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Metal Mining Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Metal Mining Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Metal Mining Co Ltd filed Critical Sumitomo Metal Mining Co Ltd
Priority to JP2017037189A priority Critical patent/JP6938961B2/ja
Publication of JP2018140910A publication Critical patent/JP2018140910A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6938961B2 publication Critical patent/JP6938961B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Crystals, And After-Treatments Of Crystals (AREA)

Abstract

【課題】シードピン加工部からのクラック発生を抑制できる種結晶を提供する。【解決手段】種結晶1は、当該種結晶1を保持するシードホルダ17のピンを係止させるためのシードピン加工部としての溝2または貫通孔3を備え、シードピン加工部は、酸化物単結晶の結晶育成方向と垂直、かつ、当該種結晶1のX面と平行な方向を基準として±30°以内の方向に延在するよう設けられる。【選択図】図7

Description

本開示は、高周波誘導加熱炉を用いたチョクラルスキー(以下、Czと略称する)法に代表される引き上げ法による酸化物単結晶の育成に用いられる種結晶に関する。
強誘電体であるタンタル酸リチウム(LiTaO:以下、LTと略称する)やニオブ酸リチウム(LiNbO:以下、LNと略称する)単結晶から加工される酸化物単結晶基板は、主に移動体通信機器において電気信号ノイズを除去する表面弾性波素子(SAWフィルター)の材料として用いられている。
SAWフィルターの材料となるLT、LN単結晶は、産業的には主にCz法によって育成されている。Cz法とは、坩堝内の原料融液表面に種結晶となる単結晶片を接触させ、該種結晶を回転させながら上方に引き上げることにより種結晶と同一方位の円筒状単結晶を育成する方法である。
Cz法に代表される引き上げ法では、種結晶はシードホルダを介して引上軸と連結されている。種結晶の保持は、種結晶側面に半円形の溝を形成し、この溝と対応する位置にシードホルダに設けた穴を通るピンによって行うか、種結晶の側面の中心線上に貫通孔を開けて、この貫通孔と対応する位置にシードホルダに設けた穴を通るピンによって行う(例えば特許文献1参照)。
特開2016−204173号公報
特許文献1に記載される従来の種結晶を用いてLT、LNの単結晶育成を行った場合、しばしば、切り離し後の冷却中に、種結晶に形成した溝または貫通孔(以降、「シードピン加工部」とする)から発生したクラックによって、育成結晶が落下する事態が発生していた。近年のSAWフィルター需要の拡大に伴うコストダウンのために、材料となるLT、LN結晶育成工程の生産性向上を図り、育成結晶の大口径化や長尺化を行い、育成結晶重量が増加するに従って、上記のシードピン加工部からのクラック発生、結晶落下の頻度が高くなった。冷却中の結晶落下が発生すると、落下時の衝撃や急激な温度変化による熱応力起因で、育成結晶本体にもクラックが発生し、育成結晶から製品基板を加工することができなくなり、生産性の低下、コストアップの要因となっていた。
そこで、シードピン加工部からのクラック発生を抑制できる種結晶を提供することが求められている。
本発明の実施形態の一観点に係る種結晶は、酸化物単結晶の育成に用いる種結晶であって、当該種結晶を保持するシードホルダのピンを係止させるためのシードピン加工部を備え、前記シードピン加工部は、前記酸化物単結晶の結晶育成方向と垂直、かつ、当該種結晶のX面と平行な方向を基準として±30°以内の方向に延在するよう設けられる。
本開示によれば、シードピン加工部からのクラック発生を抑制できる種結晶を提供することができる。
単結晶育成装置の概略構成を模式的に示す断面図である。 タンタル酸リチウム基板における主面方位を示す図である。 タンタル酸リチウム結晶におけるX、Y、Z軸を示す図である。 種結晶方位を示す図である。 従来の種結晶加工方法を示す図である。 実施形態に係る種結晶の概略構成を示す図であり、種結晶保持のために種結晶側面にシードピン溝を施す構成を示す図である。 実施形態に係る種結晶の概略構成を示す図であり、種結晶保持のために種結晶の中心線上に貫通孔を施す構成を示す図である。 実施形態に係る種結晶においてX面と平行な方向に貫通孔を形成する構成を示す平面図である。 実施形態に係る種結晶においてX面から+30°傾斜する方向に貫通孔を形成する構成の一例を示す平面図である。 実施形態に係る種結晶においてX面から−30°傾斜する方向に貫通孔を形成する構成の一例を示す平面図である。 種結晶においてX面と垂直な方向に形成された溝と劈開面との関係を示す図である。 実施形態に係る種結晶においてX面と平行な方向に形成された溝と劈開面との関係を示す図である。
以下、添付図面を参照しながら実施形態について説明する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては可能な限り同一の符号を付して、重複する説明は省略する。
[単結晶育成手法の概要]
まずはじめに、図1を参照して、実施形態に係る種結晶1が用いられる、Cz法に代表される引き上げ法による単結晶育成装置10の構成例、及び、単結晶育成方法の概要について説明する。図1は、単結晶育成装置10の概略構成を模式的に示す断面図である。
図1に示すように、単結晶育成装置10は、チャンバー11内に坩堝12を配置する。坩堝12は、坩堝台13上に載置される。チャンバー11内には、坩堝12を囲むように、耐火材14が配置されている。坩堝12と対向するように加熱体としてのワークコイル15が配置されている。チャンバー11の上部にはシード棒16が回転可能かつ上下方向に移動可能に設けられている。シード棒16の下端の先端部には、種結晶1を保持するためのシードホルダ17が取り付けられている。
Cz法に代表される引き上げ法では、坩堝12内の単結晶原料18の融液表面に種結晶1となる単結晶片を接触させ、この種結晶1をシード棒16により回転させながら上方に引き上げることにより、種結晶1と同一方位の円筒状単結晶を育成する。
種結晶1の回転速度や引上速度は、育成する結晶の種類、育成時の温度環境に依存し、これ等の条件に応じて適切に選定する必要がある。また、結晶育成に際しては、成長界面で融液の結晶化によって生じる固化潜熱を、種結晶を通して上方に逃がす必要があるために、成長界面から上方に向って温度が低下する温度勾配下で行う必要がある。加えて、育成結晶の形状が曲がったり、捩れたりしないようにするために、原料融液内においても、成長界面から坩堝壁に向って水平方向に、且つ成長界面から坩堝底に向って垂直方向に温度が高くなる温度勾配下で行う必要がある。
例えば、LT単結晶育成の場合は、LT結晶の融点が1650℃と高温であることから、高融点金属であるイリジウム(Ir)製の坩堝12を用い、高周波誘導加熱式の電気炉(育成炉)を用いて育成されている。また、この場合、シード棒16及びシードホルダ17もIr製であるのが好ましい。育成時の引上速度は、一般的には数mm/H程度、回転速度は数rpm程度で行われる。また、育成時の炉内は、酸素濃度数%程度の窒素−酸素の混合ガス雰囲気とするのが一般的である。このような条件下で、所望の大きさまで結晶を育成した後は、引上速度の変更や融液温度を徐々に高くする等の操作を行うことで、育成結晶を融液から切り離し、その後、育成炉のパワーを所定の速度で低下させることで徐冷し、炉内温度が室温近傍となった後に育成炉内から結晶を取り出す。取り出された結晶は、温度勾配がある育成炉内の環境で結晶育成、冷却がなされたために、結晶内に温度差に起因する熱歪(残留歪)が内在している。その残留歪を取り除くために、均熱炉内でアニール、徐冷を行う。この工程を、アニール処理と呼んでいる。
LT、LN結晶のような強誘電体は、結晶の温度がキュリー温度以下となると自発分極によって結晶内にプラス、マイナスの電気的な極性が発生するが、アニール後の結晶は、その極性の方向が結晶内で揃ってない。従って、アニール後の結晶は、電気的極性を揃えるためにポーリング処理を行う。ポーリング処理とは、結晶の電気的極性方向にプラス、マイナス一対の電極を取り付けて、キュリー温度以上まで昇温した後に、結晶に電圧を印加し、その電圧印加を維持したままで、結晶温度をキュリー温度以下まで低下させる工程である。LT結晶のキュリー温度は約600℃であるので、LT結晶のポーリング処理は、結晶温度を600℃以上とした後に電圧を印加して行う。LN結晶のキュリー温度は約1140℃であるので、結晶温度を1140℃以上としてポーリング処理を行う。
ポーリング処理後の結晶は、育成方位とほぼ垂直にスライスし、その後の研磨工程によって、図2に示すように、厚さ数百ミクロン程度の単結晶基板20に加工され、SAWフィルターの材料として用いられる。
移動体通信機器に用いられるSAWフィルターの大部分は、基板主面方位42°RY前後で加工されたLT基板や主面方位128°RY前後で加工されたLN基板が用いられている。ここで、例えば、42°RYとは、X軸を回転軸として、Y−Z平面においてY軸からZ軸方向に42°回転させた方向である。図2に示すように、このような方位に対して垂直に加工された基板20を、主面方位42°RYの基板20と呼ぶ。LT、LN結晶は三方晶系である。結晶の対称性に対するX、Y、Z方向の定義を図3に示す。三方晶系は、長さの等しい三本の対称軸が互いに120度で交わり、その交点に一本の垂直な軸が交わる結晶軸をもつ結晶系である。図3に示すように、対称軸のうちの一つがX軸であり、垂直軸がZ軸であり、X軸及びZ軸の両方と直交する軸がY軸である。
種結晶方位の定義を図4に示す。種結晶1は、正四角柱状、若しくは円柱状のものが用いられるが、作製の容易さから図4に示した正四角柱状が一般的である。正四角柱状、円柱状どちらの場合においても、図4に矢印Aで示すように、種結晶1の形状の長手方向を種結晶1の方位Aと呼ぶ。この方位Aが結晶育成方位となる。
前記したように、Cz法で育成される結晶は、種結晶1の方位Aと同一方位の円柱状となるので、製品基板20の主面方位と同じ方位で結晶を育成すれば最も数多くの基板を加工することができる。しかし、LT結晶の育成は、育成方位が40°RYよりも高RY側になると、非常に多結晶化の頻度が高くなり単結晶化率が低下する。従って、LT結晶の育成は、36°RYから40°RY付近までの方位Aを持つ種結晶を用いて行われるのが一般的である。LN結晶の場合は、128°RYでの育成が比較的容易なので、主面方位128°RY近傍の基板を作製する場合は、主面方位と同一の育成方位が選定されるのが一般的である。
図1に示すように、種結晶1はシードホルダ17を介してシード棒16と連結されている。シードホルダ17による種結晶1の保持は、例えば種結晶1の側面に半円形のシードピン溝2(以下では単に「溝2」とも表記する)を形成し、シードホルダ17に設けられるピン(図示せず)をこの溝2に係止させて行う(図6参照)。シードホルダ17には、種結晶1に取り付けたときにこの溝2と対応する位置に穴が設けられ、この穴にピンを通すことによってピンと溝2とを係止させることができる。
また、種結晶1の側面の中心線上に貫通孔3を開けて、上記のピンをこの貫通孔3に通して係止させることで、種結晶1を保持することもできる(図7参照)。この場合、シードホルダ17には、種結晶1に取り付けたときに貫通孔3と対応する位置に穴が設けられ、この穴にピンを通すことによってピンと貫通孔3とを係止させることができる。
本実施形態では、これらの溝2及び貫通孔3を纏めて「シードピン加工部」とも表記する。なお、種結晶1とシードホルダ17との接続手法の詳細については特許文献1に記載されている。
[従来の種結晶製造方法]
図4に示す方位の種結晶1を製造する場合、従来は、図5に示すように、まず、作製しようとする種結晶1の方位と同方向で育成した結晶100の上下を成長方向と垂直に切り落として円柱結晶101とする。その後に、結晶101の成長方向と平行に、ワイヤーソーやバンドソー等を用いて正四角柱102を切り出して種結晶1を製造するか、超音波打抜き装置を用いて円柱103を打抜いて種結晶1を製造していた。
最初に結晶100の上下を切り落として現れた面101aが、本結晶101から切り出された種結晶1を用いて育成される結晶の成長方位を決定する基準面となるので、最初に切り落として現れる上下面101aの結晶方位は、X線回折装置を用いて測定を行い、面方位が許容範囲となるように慎重に加工をしていた。また、円柱状種結晶103を作製する場合はもちろんのこと、正四角柱状種結晶102を作製する場合においても、側面は先に加工されている上下面101aに垂直となるように加工することには注力をしたが、特に結晶方位を定めてはいなかった。
従って、上記方法で加工された種結晶1を育成に用いる際に形成するシードピン加工部(溝2または貫通孔3)の方向は、結晶引上方向とは垂直となるように形成されるものの、引上方向と垂直な方向に関しては、特定の結晶方位に対応するものではなかった。
このような種結晶1を用いて結晶育成を行った場合、育成結晶が大型化するに従って、結晶切離し後の冷却中に種結晶1のシードピン加工部から、引上方向とほぼ垂直な面でクラックが発生し、育成結晶が落下する頻度が高くなった。
[従来法に係る種結晶1のクラック発生に関する調査]
クラックによる冷却中の落下が発生したLTやLNの育成結晶、及びその育成に用いた種結晶1を観察すると、種結晶1に発生するクラック面は、結晶の劈開面とほぼ一致していることが判った。更に、正四角柱状種結晶において、冷却中にクラックが発生しなかった種結晶1とクラックが発生した種結晶1の側面の結晶方位をX線回折装置を用いて測定したところ、クラックが発生しなかった種結晶1の側面方位は、向かい合う1対の面方位が、X面に対して、±30°以下の範囲にあることが判った。これらの知見の詳細については図11及び図12を参照して後述する。
また、育成結晶の形状は、種結晶1に対して偏芯が無い円柱状となるのが理想であるが、先に述べたようにLT、LNの結晶育成は、基板20を切り出し、加工する効率から、結晶構造の対称軸であるZ軸から大きく離れた角度で育成されている。従って、育成される結晶の形状は、種結晶1に対する軸対称性が悪く、結晶の重心が種結晶1の延長線上から大きく外れて、種結晶1の一方向に曲げ応力が加わる。
これらのことから、発明者らは、クラックの発生原因は、種結晶1に対する育成結晶形状の軸対称性のズレに起因する偏荷重が、育成結晶を保持しているシードピン加工部(溝2または貫通孔3)に集中し、特定の劈開面に平行にせん断応力が働いたためと考えた。
従って、これらの観察結果から、特定の劈開面に平行にせん断応力が集中しないようにするためには、シードピン加工部を、引上方向に対して垂直に形成することに加えて、X面に対して±30°以下に、望ましくはX面に対して平行に形成することが有効であるという知見を得るに至った。
[実施形態に係る種結晶の構成]
図6〜図10を参照して本実施形態に係る種結晶1の構成について説明する。図6に示すように、シードピン加工部が溝2である構成の場合、種結晶1では、溝2が結晶育成方向と垂直、かつ、種結晶1のX面と平行な方向に延在するよう設けられている。種結晶1が正四角柱状である場合には、例えば図6に示すように、四方の側面のうちの一つの側面1aがX面となるように種結晶1を作れば、この側面1aと平行な方向に溝2を形成することで上記の条件を満たす。
同様に、図7に示すように、シードピン加工部が貫通孔3である構成の場合、種結晶1では、貫通孔3が結晶育成方向と垂直、かつ、種結晶1のX面と平行な方向に延在するよう設けられている。種結晶1が正四角柱状である場合には、例えば図7、図8に示すように、四方の側面のうちの一つの側面1aがX面となるように種結晶1を作れば、この側面1aと平行な方向に貫通孔3を形成することで上記の条件を満たす。
また、貫通孔3(シードピン加工部)の方向は、図8に示す種結晶1のX面と平行な方向を基準として、図9に示す+30°から、図10に示す−30°までの範囲内の方向に延在するよう設けられていればよい。
このように本実施形態に係る種結晶1は、シードピン加工部としての溝2または貫通孔3が、結晶育成方向と垂直、かつ、種結晶1のX面と平行な方向を基準として±30°以内の方向に、好ましくは、結晶育成方向と垂直、かつ、種結晶1のX面と平行な方向に延在するよう設けられる構成とすることにより、シードピン加工部としての溝2または貫通孔3からのクラック発生を抑制できる。図11及び図12を参照して、この効果についてさらに説明する。
図11、図12に示すように、種結晶1の方位が38°RYであり、種結晶1の正四角柱状の四方の側面のうちの一つの側面1aがX面となる場合を考える。この場合、X面(側面1a)上では、結晶の劈開面は種結晶1の方位に対して傾斜しており、33°RYが法線方向となっている。一方、側面1aに対して直交する側面1bでは、結晶の劈開面は種結晶1の方位に対して傾斜していない。
したがって、図11に示すように、側面1b上に、すなわちX面と垂直な方向に延在するようにシードピン加工部(溝2)を設けると、シードピン加工部の延在方向が劈開面と平行となる。このため、シードピン加工部を作ることによって種結晶1にクラックが発生しやすくなる。
一方、図12に示すように、側面1a上に、すなわちX面と平行な方向に延在するようにシードピン加工部を設けると、シードピン加工部の延在方向が劈開面を含む平面と交差する関係となる。このため、シードピン加工部を作っても種結晶1にクラックが発生しにくくなる。すなわち、本実施形態の構成のとおり、シードピン加工部としての溝2または貫通孔3を種結晶1のX面と平行な方向に延在するよう設けることで、シードピン加工部からのクラック発生を抑制できる。
また、シードピン加工部からのクラック発生を抑制できると、育成結晶が大口径化、長尺化し、結晶重量が増大しても、シード破断による冷却中の結晶落下が抑制されるので、特にタンタル酸リチウム(LT)、ニオブ酸リチウム(LN)等の大型酸化物単結晶をCz法等の引き上げ法を用いて生産する場合に有効である。大型酸化物単結晶でも高単結晶化率で得ることが可能となるので、大幅な生産性向上、コストダウンが図れる。
また、本実施形態の種結晶1において、シードピン加工部が貫通孔3の場合には、図7に示すように、種結晶1に貫通孔3が複数設けられるのが好ましい。これにより、種結晶1をシードホルダ17により一層確実に保持できるので、結晶育成方向を安定化させることができる。
なお、本実施形態に係る種結晶1の形状は、図6〜図12に示す正四角柱状以外でもよく、例えば円柱状でもよい。
次に、本発明の実施例について具体的に説明する。
[実施例1]
図6に示したシードピン溝2をX面上に施した種結晶1を用いてLT単結晶育成を行った。種結晶1は正四角柱状であり、種結晶方位は38°RYとした。LT結晶から種結晶1を作製する際に、種結晶1の側面の向き合う1対はX面となるようにした。種結晶1の側面1aに施すシードピン溝2は、プラスX面上に、且つ38°RYと垂直となるように加工した。
上記のように加工した種結晶1を用い、高周波誘導加熱炉内に図1に示す単結晶育成装置10を構築し結晶育成を行った。
Ir製坩堝12内に単結晶原料18としてLT原料をチャージし、原料18の融解後に、種結晶1の先端部を坩堝12内の原料融液に浸し、回転させながら引上げることで、直径6インチ、直胴部長さ120mmのLT単結晶育成を得た。得られた単結晶の重量は約20kgであった。
同様の条件で繰り返し育成を50run(回)行った結果、育成、冷却中の結晶の落下は1runも発生しなかった。落下起因以外の不良の発生があったために、育成50runの内、得られた単結晶本数は47本であり、単結晶化率は94%であった。
[実施例2]
四角柱状の種結晶1の側面中心線上に図7に示した貫通孔3を設けることで、種結晶1をシードホルダ17に保持した以外は、実施例1と同一の条件で結晶育成を行った。このとき、種結晶1に施す貫通孔3の方向はX面に平行で、且つ種結晶方位の38°RYに垂直となるようにした。
同様の条件で、直径6インチ、直胴部長さ120mm、結晶重量約20kgのLT結晶の繰り返し育成を50run行った結果、育成、冷却中の結晶落下は1runも発生しなかった。落下起因以外の不良が発生したために、育成50runの内、得られた単結晶本数は、46本で、単結晶化率92%であった。
[実施例3]
種結晶1の形状を円柱状とし、種結晶1の保持を貫通孔3で行った以外は、実施例1と同一の条件でLT単結晶育成を行った。但し、円柱状の種結晶1を作製する際に、後に開ける貫通孔3の方向が識別できるように、X線回折装置を用いた結晶方位測定によって、円柱側面にX面に平行に方位識別フラットを設けた。
同様の条件で、直径6インチ、直胴部長さ120mm、結晶重量約20kgのLT結晶の繰り返し育成を50run行った結果、育成、冷却中の結晶落下は1runも発生しなかった。落下起因以外の不良が発生したために、育成50runの内、得られた単結晶本数は、実施例1と同様に47本で、単結晶化率94%であった。
[実施例4]
実施例1において、種結晶方位(引上方位)は38°RYで同一としたが、側面1aの方位を、引上方位から見て30°回転させて作製し(図9、図10参照)、シードピン溝2をプラスX面から30°回転した側面1aに形成した以外は、実施例1と同一の条件で50runの結晶育成を行った。
その結果、育成、冷却中の結晶の落下が2run発生した。落下起因以外の不良の発生があったために、育成50runの内、得られた単結晶本数は45本であり、単結晶化率は90%であった。
[実施例5]
実施例2において、種結晶方位(引上方位)は38°RYで同一としたが、側面1aの方位を、引上方位から見て30°回転させて作製し、シードピンの貫通孔3をX面から30°回転した方向で形成した(図9、図10参照)以外は、実施例2と同一の条件で50runの結晶育成を行った。
その結果、育成、冷却中の結晶の落下が3run発生した。落下起因以外の不良の発生があったために、育成50runの内、得られた単結晶本数は43本であり、単結晶化率は86%であった。
[実施例6]
実施例3において、種結晶方位(引上方位)は38°RYで同一としたが、円柱側面に設ける方位識別フラットを敢えてX面から30°回転させた位置として、シードピンの貫通孔3をX面から30°回転した方向で形成した以外は、実施例3と同一の条件で50runの結晶育成を行った。
その結果、育成、冷却中の結晶の落下が4run発生した。落下起因以外の不良の発生があったために、育成50runの内、得られた単結晶本数は42本であり、単結晶化率は84%であった。
[比較例1]
実施例1で使用したものと同一形状、同一方位の種結晶1を用い、シードピン溝2の加工方位のみを実施例1のX面と平行な方向から、X面に対して垂直な方向へ変更した(すなわち図11に示すように側面1bに形成した)以外は、実施例1と同一の条件で重量約20kgのLT単結晶の繰り返し育成を50run行った。
50run中、19runで育成後の冷却中に結晶落下が発生した。冷却終了後に、落下した結晶を観察したところ、全てシードピン溝2が破断し、落下したことが判った。落下した19本の結晶の内、17本でクラックが発生し不良品となった(落下したがクラックが発生無しの2本は良品)。落下起因以外の不良も発生したために、育成50runの内、得られた単結晶本数は30本(落下したがクラックが発生無しの良品2本、落下無しの31本中28本が良品で、計30本が良品)で、単結晶化率60%であった。
[比較例2]
実施例2で使用したものと同一形状、同一方位の種結晶1を用い、貫通孔3の加工方位のみを実施例2のX面と平行な方向から、X面に対して垂直な方向へ変更した以外は、実施例2と同一の条件で重量約20kgのLT単結晶の繰り返し育成を50run行った。
50run中、21runで育成後の冷却中に結晶落下が発生した。冷却終了後に、落下した結晶を観察したところ、全て貫通孔3が破断し、落下したことが判った。落下した21本の結晶の内、18本でクラックが発生し不良品となった(落下したがクラックが発生無しの3本は良品)。落下起因以外の不良も発生したために、育成50runの内、得られた単結晶本数は29本(落下したがクラックが発生無しの良品3本、落下無しの29本中26本が良品で、計29本が良品)で、単結晶化率58%であった。
[比較例3]
実施例3で使用したものと同一形状、同一方位の種結晶1を用い、貫通孔3の加工方位のみを実施例3のX面と平行な方向から、X面に対して垂直な方向へ変更した以外は、実施例3と同一の条件で重量約20kgのLT単結晶の繰り返し育成を50run行った。
50run中、24runで育成後の冷却中に結晶落下が発生した。冷却終了後に、落下した結晶を観察したところ、全て貫通孔3が破断し、落下したことが判った。落下した24本の結晶の内、21本でクラックが発生し不良品となった(落下したがクラックが発生無しの3本は良品)。落下起因以外の不良も発生したために、育成50runの内、得られた単結晶本数は25本(落下したがクラックが発生無しの良品3本、落下無しの26本中22本が良品で、計25本が良品)で、単結晶化率50%であった。
[比較例4]
実施例4で使用したものと同一形状、同一方位の種結晶1を用い、側面1aの方位を、引上方位から見て35°回転させて作製した以外は、実施例4と同一の条件で重量約20kgのLT単結晶の繰り返し育成を50run行った。
50run中、20runで育成後の冷却中に結晶落下が発生した。冷却終了後に、落下した結晶を観察したところ、全て貫通孔3が破断し、落下したことが判った。落下した20本の結晶の内、17本でクラックが発生し不良品となった(落下したがクラックが発生無しの3本は良品)。落下起因以外の不良も発生したために、育成50runの内、得られた単結晶本数は30本(落下したがクラックが発生無しの良品3本、落下無しの30本中27本が良品で、計30本が良品)で、単結晶化率60%であった。
実施例1〜6及び比較例1〜4に示す結果より、本実施形態による、シードピン加工部(溝2または貫通孔3)を酸化物単結晶の結晶育成方向と垂直、かつ、種結晶1のX面と平行な方向を基準として±30°以内の方向に延在するよう設けられた種結晶1は、シードピン加工部からのクラック発生を抑制できる点で極めて有効であることが示された。
以上、具体例を参照しつつ本実施形態について説明した。しかし、本開示はこれらの具体例に限定されるものではない。これら具体例に、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本開示の特徴を備えている限り、本開示の範囲に包含される。前述した各具体例が備える各要素およびその配置、条件、形状などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。前述した各具体例が備える各要素は、技術的な矛盾が生じない限り、適宜組み合わせを変えることができる。
1 種結晶
2 シードピン溝(シードピン加工部)
3 貫通孔(シードピン加工部)

Claims (6)

  1. 酸化物単結晶の育成に用いる種結晶であって、
    当該種結晶を保持するシードホルダのピンを係止させるためのシードピン加工部を備え、
    前記シードピン加工部は、前記酸化物単結晶の結晶育成方向と垂直、かつ、当該種結晶のX面と平行な方向を基準として±30°以内の方向に延在するよう設けられる、
    種結晶。
  2. 前記シードピン加工部は、前記酸化物単結晶の結晶育成方向と垂直、かつ、当該種結晶のX面と平行な方向に延在するよう設けられる、
    請求項1に記載の種結晶。
  3. 前記酸化物単結晶は、タンタル酸リチウムまたはニオブ酸リチウム単結晶である、
    請求項1または2に記載の種結晶。
  4. 前記シードピン加工部は、当該種結晶に設けられる貫通孔である、
    請求項1〜3のいずれか1項に記載の種結晶。
  5. 前記貫通孔は当該種結晶に複数設けられる、
    請求項4に記載の種結晶。
  6. 前記シードピン加工部は、当該種結晶の表面に設けられる溝である、
    請求項1〜3のいずれか1項に記載の種結晶。
JP2017037189A 2017-02-28 2017-02-28 種結晶 Active JP6938961B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017037189A JP6938961B2 (ja) 2017-02-28 2017-02-28 種結晶

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017037189A JP6938961B2 (ja) 2017-02-28 2017-02-28 種結晶

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2018140910A true JP2018140910A (ja) 2018-09-13
JP6938961B2 JP6938961B2 (ja) 2021-09-22

Family

ID=63527482

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2017037189A Active JP6938961B2 (ja) 2017-02-28 2017-02-28 種結晶

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6938961B2 (ja)

Also Published As

Publication number Publication date
JP6938961B2 (ja) 2021-09-22

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US10428440B2 (en) SiC single crystal and production method thereof
JP3881647B2 (ja) 多結晶シリコンロッド及びその製造方法
JP6962092B2 (ja) 酸化物単結晶の育成方法
JP6938961B2 (ja) 種結晶
JP2012017998A (ja) 多結晶シリコン棒および多結晶シリコン棒の検査方法ならびに多結晶シリコン棒の製造方法
JP2013001581A (ja) タンタル酸リチウム単結晶の育成方法
JP2018184325A (ja) 酸化物単結晶の育成方法
JP2019112264A (ja) 単結晶の育成状態の評価方法、評価装置、評価プログラム、単結晶の製造方法、及び、単結晶製造装置
JP7271843B2 (ja) タンタル酸リチウム単結晶の製造方法
JP6172013B2 (ja) Gsgg単結晶の製造方法と酸化物ガーネット単結晶膜の製造方法
JP7271842B2 (ja) タンタル酸リチウム単結晶の製造方法
JP7294063B2 (ja) 酸化物単結晶の育成方法
JP2016222471A (ja) 単結晶の製造方法
JP2018002568A (ja) タンタル酸リチウム単結晶の育成方法
JP2020152628A (ja) ニオブ酸リチウム単結晶の育成方法
JP7236962B2 (ja) タンタル酸リチウム単結晶の製造方法
JP2019089671A (ja) ニオブ酸リチウム単結晶の育成方法
JP7275674B2 (ja) ニオブ酸リチウム単結晶の育成方法
JP6520642B2 (ja) タンタル酸リチウム単結晶の育成方法
JP2018043917A (ja) 酸化物単結晶の育成方法
JP7417501B2 (ja) 酸化物単結晶ウエハの製造方法
JP6842056B2 (ja) 棒状種結晶保持具
JP2018123033A (ja) 多結晶シリコン棒の製造方法および多結晶シリコン棒
JP2007001775A (ja) 強誘電体結晶の製造方法
JP2015205792A (ja) 酸化物ガーネット単結晶の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20190828

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20200529

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20200623

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20200813

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20210119

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20210301

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20210803

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20210816

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6938961

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150