JP2018140896A - 灰白色酸窒化ニオブ粉末及びその製造方法 - Google Patents

灰白色酸窒化ニオブ粉末及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】塗膜形成時の表面抵抗のばらつきが少ない、導電性を有する灰白色酸窒化ニオブ粉末及びその製造方法を提供する。【解決手段】ニオブ、酸素、窒素を主成分とし、酸素濃度が15〜25質量%、窒素濃度が2〜10質量%である酸窒化ニオブ粉末であって、L値が14以上であり、b値が−0.5以下であり、粉体体積抵抗率が0.5×102Ω・cm以上1×105Ω・cm以下である灰白色酸窒化ニオブ粉末である。【選択図】なし

Description

本発明は、塗膜形成時の表面抵抗のばらつきが少ない灰白色の導電材を得ることができる、灰白色酸窒化ニオブ粉末及びその製造方法に関する。より詳しくは、灰白色酸窒化ニオブ粉末を分散した分散液、導電塗料、及び導電膜に関する。
導電性粉末は帯電防止、帯電制御、静電防止、防塵等の用途に現在広く用いられている。従来の導電性粉末として、白色導電性粉末が開示されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1の白色導電性粉末は、酸化チタン粒子と、前記酸化チタン粒子の表面を被覆する酸化錫粒子を具備し、前記酸化チタン粒子は、K、Mg、Nb、及びZrを、それぞれ0.01〜0.5質量%含有し、前記酸化チタン粒子の結晶構造がルチル構造であり、前記酸化チタン粒子の平均粒子径が100〜500nmであり、前記酸化錫粒子の平均粒子径が1〜50nmである。即ち、特許文献1の白色導電性粉末は、導電性を高めるために、酸化チタン等の白色粉末と、この白色粉末を被覆する酸化錫からなる。しかしながら、酸化錫を用いた白色導電粉末では、酸化チタンをコアとし、酸化錫系導電材をシェルとするコアシェル粒子であり、このコアシェル粒子では、分散体作製時において、より微粒化しようとして粉砕時に高い負荷をかけると、シェルである酸化錫系導電材が剥離することにより、導電性が低下して、ばらつくという問題が生じる。
このコアシェル粒子の分散体作製時の問題を解決するためには、単一粒子を用いるのが有効であり、単一粒子を得るために酸化チタンを還元する方法が開示されている(例えば、特許文献2参照)。この方法では、硫酸チタニル液を170℃以上の温度下、かつ、該温度の飽和水蒸気圧以上の圧力下に保持して硫酸チタニルを加水分解して球状形状を有する含水二酸化チタンを得た後、焼成し、得られた二酸化チタンの表面に緻密なシリカを被覆し、次いで500〜1200℃の温度で還元する一般式TiO(但し、Xは2未満の正の実数)で表される球状の導電性チタン化合物が得られる。また、還元剤、アルキルアミンやアンモニアを用いる。しかしながら、特許文献2の方法では、酸化チタンは還元すると導電性となるが、光触媒性により樹脂を劣化させるという問題がある。
この光触媒性による問題を解決するために、酸化チタンより光触媒性が低く、かつ着色力を有する白色顔料を使用するという観点から、顔料として酸化ニオブ粉末を用いる方法が開示されている(特許文献3参照)。特許文献3では、第一成分になる酸化チタン粉末に、酸化バナジウム、酸化ニオブ、酸化マンガン、酸化モリブデン、酸化タングステン、酸化クロムの一種または二種以上の第二成分になる酸化物粉末を、第一成分と第二成分の重量比率が2:8〜8:2の範囲になるように混合し、該混合粉末を酸素含有量15%以下および窒素含有量10%以上になるように高温下でアンモニアガスを用いて還元することにより、黒色粉末を製造する。
特開2012−151107号公報(請求項1、段落[0002]) 特開平07−89721号公報(請求項4、段落[0005]、[0013]) 特開2012−96946号公報(請求項7、段落[0021])
しかし、電子機器、家電製品の筐体、クリーンウエア、クリーン紙、医療機関の室内壁材など清潔感を持たせたい場合にその外観を純白色でなく、灰白色化したい要望がある。このため、灰白色の導電性粉末が求められているが、上記従来の特許文献3に示された方法では、得られた酸化ニオブ粉末は還元反応により黒色となると共に絶縁性であり、灰白色の導電材を得ることができないという問題がある。更に、酸化ニオブ粉末の還元反応が進み過ぎると、酸窒化ニオブ粉末の分散液を塗料化した塗料を成膜した塗膜において、表面抵抗のばらつきが多くなるという問題がある。
本発明の目的は、塗膜形成時の表面抵抗のばらつきが少ない灰白色の導電材を得ることができる、灰白色酸窒化ニオブ粉末及びその製造方法を提供することにある。
本発明の第1の観点は、ニオブ、酸素、窒素を主成分とし、酸素濃度が15〜25質量%、窒素濃度が2〜10質量%である灰白色酸窒化ニオブ粉末であって、L値が14以上であり、b値が−0.5以下であり、粉体体積抵抗率が0.5×10Ω・cm以上1×10Ω・cm以下である灰白色酸窒化ニオブ粉末であることを特徴とする。
本発明の第2の観点は、酸化ニオブをアンモニアガスで加熱還元して灰白色酸窒化ニオブ粉末を製造する方法であることを特徴とする。
本発明の第3の観点は、第1の観点の灰白色酸窒化ニオブ粉末又は第2の観点の方法で製造された灰白色酸窒化ニオブ粉末を分散した分散液であることを特徴とする。
本発明の第4の観点は、第3の観点の分散液を塗料化した導電塗料であることを特徴とする。
本発明の第5の観点は、第4の観点の導電塗料を成膜した導電膜であることを特徴とする。
本発明の第1の観点の酸窒化ニオブ粉末では、ニオブ、酸素、窒素を主成分とし、酸素濃度が15〜25質量%、窒素濃度が2〜10質量%であって、L値が14以上であり、b値が−0.5以下であり、粉体体積抵抗率が0.5×10Ω・cm以上1×10Ω・cm以下である。この結果、酸窒化ニオブ粉末はコアシェルではなく単一粒子であるため、粉砕強化時に導電性が低下しない。
本発明の第2の観点の酸窒化ニオブ粉末を製造する方法では、酸化ニオブをアンモニアガスで加熱還元して灰白色酸窒化ニオブ粉末を製造する。この結果、コアシェル粒子におけるような、分散体作製時において、より微粒化しようとして粉砕時に高い負荷をかけると、シェルである酸化錫系導電材が剥離して、導電性が低下する、ばらつくという問題が生じない。
本発明の第3の観点の分散液は、第1の観点の酸窒化ニオブ粉末又は第2の観点の方法で製造された酸窒化ニオブ粉末を分散したものであるから、灰白色を呈した導電膜を作製できる分散液を得ることができる。
本発明の第4の観点の導電塗料は、第3の観点の分散液を塗料化したものであるから、灰白色を呈した導電膜を作成できるとともに、比重が大きいため低粘度の導電塗料を得ることができる。
本発明の第5の観点の導電膜は、第4の観点の導電塗料を成膜したものであるから、表面抵抗のばらつきが少なく、超高精度の塗膜抵抗制御が可能であり、膜厚を薄くすることもできる。
次に本発明を実施するための形態を説明する。本発明の酸窒化ニオブ粉末は、ニオブ、酸素、窒素を主成分とし、酸素濃度が15〜25質量%、窒素濃度が2〜10質量%である酸窒化ニオブ粉末であって、L値が14以上であり、b値が−0.5以下であり、粉体体積抵抗率が0.5×10Ω・cm以上1×10Ω・cm以下である。ここで、酸素濃度を15〜25質量%と限定したのは、15質量%未満ではL値が14未満となり黒色膜となるからであり、25質量%を超えると体積抵抗率が悪くなるからである。また、窒素濃度を2〜10質量%と限定したのは、2質量%未満では体積抵抗率が悪くなるからであり、10質量%を超えるとL値が14未満となり酸窒化ニオブ粉末が黒色となり、灰白色にならないからである。これは、窒化が進むと粒子が硬くなり、分散処理等により結晶構造が破壊されやすいこと、粒子が尖った形状になるため、粒子同士の接触点を増やすことができないため導電性がなくなるからであると考えられる。L値を14以上と限定したのは、14未満では酸窒化ニオブ粉末が黒色となるからである。b値を−0.5以下と限定したのは、−0.5より大きいと塗膜抵抗が絶縁性になるからである。
また灰白色酸窒化ニオブ粉末は、10MPaの圧力で固めた圧粉体の状態での体積抵抗率が0.5×10Ω・cm以上1×10Ω・cm以下、好ましくは1.1×10Ω・cm以上であって0.8×10Ω・cm以下である。また上記体積抵抗率は、例えば、横河電機社製のデジタルマルチメーター(型式:DM7561)を用いて、四端子四探針法により測定される。この四端子四探針法とは、試料(圧粉体)の表面に4本の針状電極を所定の間隔をあけて一直線上に置き、外側の2本の針状電極間に一定の電流を流し、内側の2本の針状電極間に生じる電位差を測定することにより体積抵抗率を求める方法である。また、灰白色酸窒化ニオブ粉末の圧粉体の状態での体積抵抗率を0.5×10Ω・cm以上に限定したのは、0.5×10Ω・cm未満では灰白色酸窒化ニオブの窒化が進行し過ぎ、十分な導電性を得ることができないからである。更に体積抵抗率を1.0×10Ω・cm以下に限定したのは、1.0×10Ω・cmより高いと目的とする導電性が消失してしまうからである。
灰白色酸窒化ニオブ粉末の平均粒径は、50〜200nmの範囲内であることが好ましい。この灰白色酸窒化ニオブ粉末の平均粒径は、動的光散乱法を用いた粒度分布測定装置(堀場製作所社製、動的光散乱式粒子径分布測定装置LB−550)にて測定した体積累積中位径(Median径、D50)をいう。ここで、上記酸窒化ニオブ粉末の平均粒径の好ましい範囲を50nm〜200nmに限定したのは、50nm未満では着色力が落ち、200nmを超えると粒子が大き過ぎて、塗膜の均一性が不足するからである。
灰白色膜形成用混合粉末を作製するために用いられる酸化ニオブ粉末としては、例えば、Nb(三酸化ニオブ)、NbO(二酸化ニオブ)、Nb(五酸化ニオブ)粉末がいずれも使用可能であるが、白色度が高い点、酸窒化ニオブ粉末の生成率が高くなる観点から、斜方晶系五酸化ニオブ粉末が好ましい。この酸化ニオブ粉末は、比表面積の測定値から球形換算した平均一次粒径で300nm以下であることが、BET法により測定される比表面積が2〜20m/gの酸窒化ニオブ粉末を得るために好ましく、粉末の取扱い易さから、平均一次粒径20nm以上250nm以下であることが更に好ましい。
本発明での粉末色調は、ハンターの提唱しているL、a、b指数を用いる。また灰白色酸窒化ニオブ粉末の明度指数L値は、例えば日本分光社製のカラーコンピュータ(型式:SE7700)を用いて求める。ここで、灰白色酸窒化ニオブ粉末の明度指数L値を14以上に限定したのは、14未満では白色度が不足して灰白色顔料が得られないからである。
灰白色導電性粉末に、0.25mW/cmの強度の紫外線(UV)を、2J/cmの照射量(すなわち8000秒)まで、室温で照射した後のLab表色系におけるL値と、紫外線照射前のL値との差(ΔL)の絶対値が、3以下であることが好ましい。この場合、灰白色導電性粉末の白色度の変化が少ない。
このように構成された灰白色酸窒化ニオブ粉末の製造方法を説明する。先ず、平均粒子径100〜300nm、斜方晶構造である五酸化ニオブ粉末(Nb)を用意する。次に、この酸化ニオブ粉末をボールミルにより粉砕、造粒する。ここで、還元はアンモニアガスによるガス還元、金属チタン及びアルキルアミンを使用する方法が可能であるが、アンモニアガスを使用した方が組成を制御し易い。アンモニアガスを用いて還元すると、化学式:NbN(但し、X=0.1〜2.0,Y=0.1〜2.0)で表される灰白色酸窒化ニオブが生成される。上記灰白色酸化ニオブ粉末(NbN)の還元率は、反応温度を高くしたり、アンモニアガス流量を上げたり、或いは反応時間を延ばすことにより、コントロール可能であり、還元率が低いと窒化を進めず組成を制御することができ、粉末の白色度が向上する。即ち、L値が高くなる。ここで、還元反応温度を500〜850℃の範囲とし、還元反応時間(酸化ニオブ粉末のアンモニアガスへの接触時間)を60〜1500分の範囲とする。還元反応温度が500℃より低いと還元反応が進まず導電性が不十分であり850℃より高いと窒化反応が進み過ぎ黒色になるからであり、還元反応時間が60分より短いと反応が不均一となり1500分より長いと粉末が焼結するからである。更に、この酸窒化ニオブの粉末母体を粉砕することで、灰白色導電性粉末を得る。この粉砕は、ハンマーミルにより平均粒子径が50nm〜200nmの範囲内になるまで粉砕することにより行われる。
なお、特許文献3では、酸化ニオブ粉末がアンモニアガスで加熱還元される際に黒色で絶縁性の酸窒化ニオブ粉末しか得られないのに対し、本発明では灰白色で導電性の酸窒化ニオブ粉末が得られるのは次の理由からであると推察される。特許文献3では第1成分である酸化チタンと第2成分である酸化ニオブ粉末をアンモニアガス雰囲気中で加熱還元するのに対し、本発明では酸化ニオブ粉末単体をアンモニアガス雰囲気中で加熱還元するという違いがあるからであると考えられる。第2に、特許文献3では反応温度が950℃であるのに対し、本発明では、反応温度範囲を550〜850℃にすることにより、窒化反応が進まず、黒色化せず灰白色化するからであると考えられる。
〔分散液〕
本実施形態の分散液は、溶媒と、前記溶媒に分散された本実施形態の灰白色導電性粉末を含有する。溶媒としては、水、エタノール、メタノール、イソプロピルアルコール、トルエン、メチルエチルケトン、プロピレングリコールモノメチルエーテルなどが挙げられる。
上記分散液の固形分濃度は、質量基準で10〜70%であり、好ましくは20〜60%である。水分散液のpHは3〜10であり、好ましくは4〜9である。固形分濃度が10%より少ないと塗膜の厚みが不足し十分な着色が得られず、70%より多いと塗料の粘度が高くなり取り扱いが難しくなるからであり、水分散液のpHが3未満だと樹脂や雰囲気が酸化されるからであり、10より高いと増粘して取り扱いが難しくなるからである。ここで、固形分には、灰白色導電性粉末、無機分散剤及び有機分散剤が含まれる。
〔塗料〕
本実施形態の塗料は、上記分散液と、バインダーを含有する。分散液をバインダーと混合して塗料を製造する場合、塗料化の際の分散エネルギーを軽減できる。また、灰白色導電性粉末の製造工程における脱水や乾燥に係るエネルギーを軽減できる。ここで、バインダーとしては、樹脂、シリカゾルゲル、ソーダガラス等が挙げられる。樹脂、シリカゾルゲル、ソーダガラスは、単独で使用できるが、シリカゾルゲル、ソーダガラスを樹脂と共に使用しても良い。シリカゾルゲル又はソーダガラスを含有することによって、灰白色導電性粉末のパッキング(充填)効果が高められる。このため、塗料を基板に用いる場合、基板上での灰白色導電性粉末の充填効果が高められ、良好な導電性が得られる。また、シリカゾルゲルやソーダガラスは、耐熱性に優れる。このため、塗料を用いて形成された膜組成物が、デバイス化工程などの加熱処理を施される場合、熱による変質を防ぐことができる。樹脂としては、例えば、ポリビニルアルコール樹脂、塩ビ−酢ビ樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、アルキッド樹脂、ポリエステル樹脂、エチレン酢酸ビニル共重合体、アクリル−スチレン共重合体、繊維素樹脂、フェノール樹脂、アミノ樹脂、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、石油樹脂、セラック、ロジン誘導体、ゴム誘導体などの天然系樹脂などが挙げられる。
灰白色導電性粉末の配合量は、樹脂100質量部に対して、10〜90質量部であり、好ましくは20〜80質量部である。配合量が10質量部より少ないと着色力が不足するからであり、90質量部より多いと密着性が不足するからである。
〔膜組成物〕
本実施形態の膜組成物は、本実施形態の灰白色導電性粉末を含有する。本実施形態の塗料を導電性が要求される用途に使用する場合には、例えば塗料をプラスチック成形体、紙、高分子フィルムなどの絶縁性基体に塗布する。これにより、基体上に表面平滑性や密着性に優れた導電性の膜組成物を形成できる。
次に本発明の実施例を比較例とともに詳しく説明する。
<実施例1>
まず、平均粒径250nm、斜方晶型構造である原料の五酸化ニオブ粉末を用意した。次に、この五酸化ニオブ粉末をボールミルにより粉砕、造粒した。この造粒粉を、石英製管状炉を用いて、アンモニアガス(還元ガス)雰囲気中で、温度750℃で還元して、灰白色の酸窒化ニオブの粉末母体とした。ここで、還元反応時間(酸化ニオブ粉末のアンモニアガスへの接触時間)を240分とした。更に、ハンマーミルを用いてこの粉末母体を粉砕することで、単一粒子の灰白色導電性粉末を得た。この灰白色酸窒化ニオブ粉末を実施例1とした。
<実施例2>
還元温度を650℃とし、還元時間を480分としたこと以外は、実施例1と同様にして、単一粒子の灰白色酸窒化ニオブ粉末を得た。この灰白色酸窒化ニオブ粉末を実施例2とした。
<実施例3>
還元温度を800℃とし、還元時間を180分としたこと以外は、実施例1と同様にして、単一粒子の灰白色酸窒化ニオブ粉末を得た。この灰白色酸窒化ニオブ粉末を実施例3とした。
<実施例4>
還元温度を850℃とし、還元時間を240分としたこと以外は、実施例1と同様にして、単一粒子の灰白色酸窒化ニオブ粉末を得た。この灰白色酸窒化ニオブ粉末を実施例4とした。
<実施例5>
還元温度を550℃とし、還元時間を1200分としたこと以外は、実施例1と同様にして、単一粒子の灰白色酸窒化ニオブ粉末を得た。この灰白色酸窒化ニオブ粉末を実施例5とした。
<比較例1>
還元温度を950℃とし、還元時間を120分としたこと以外は、実施例1と同様にして、単一粒子の黒色酸窒化ニオブ粉末を得た。この黒色酸窒化ニオブ粉末を比較例1とした。
<比較例2>
特許文献1の実施例に準じた方法により、コアシェル粒子の酸窒化チタン粉末を作製した。即ち、平均粒子径:210nm、結晶構造:ルチル型構造、ルチル化度:97%、Mg含有量:0.06%、K含有量:0.07%、Zr含有量:0.02%、Nb含有量:0.10%である二酸化チタン粉末を用意した。この二酸化チタン粉末(100g)を、水(400g)に添加して、ビーズミルにて分散処理し、スラリーを作製した。次に、pHを1程度に維持し、かつ温度を90〜100℃に維持しながら、スラリー中に、SnCl(142g)とHPO(5.9g)の混合液と、苛性ソーダ水溶液とを同時に滴下し、中和反応を行った。反応後、得られた結晶物から副生塩及び金属不純物を除去するために、結晶物を洗浄し、次いで110℃で乾燥した。乾燥後の粉末を、0.04%のNHと99.96%のNの混合ガス雰囲気下、650℃で焼成した。ハンマーミルを用いて焼成物を粉砕することで、コアシェル構造の白色導電性粉末を得た。この白色酸窒化チタン粉末を比較例2とした。
<比較例3>
還元温度を530℃とし、還元時間を1400分としたこと以外は、実施例1と同様にして、単一粒子の灰白色酸窒化ニオブ粉末を得た。この灰白色酸窒化ニオブ粉末を比較例3とした。
<比較例4>
還元温度を500℃とし、還元時間を1400分としたこと以外は、実施例1と同様にして、単一粒子の灰白色酸窒化ニオブ粉末を得た。この灰白色酸窒化ニオブ粉末を比較例4とした。
<比較例5>
還元温度を860℃とし、還元時間を180分としたこと以外は、実施例1と同様にして、単一粒子の灰白色酸窒化ニオブ粉末を得た。この灰白色酸窒化ニオブ粉末を比較例5とした。
<比較例6>
還元温度を540℃とし、還元時間を1200分としたこと以外は、実施例1と同様にして、単一粒子の灰白色酸窒化ニオブ粉末を得た。この灰白色酸窒化ニオブ粉末を比較例6とした。
<比較試験1及び評価>
実施例1〜5及び比較例1〜6の単一粒子の酸窒化ニオブ粉末又はコアシェル粒子の酸窒化チタン粉末について、酸素濃度、窒素濃度、明度指数L値、b値、体積抵抗率を、以下に示す方法で、それぞれ評価した。これらの結果を表1に示す。
Figure 2018140896
(1)酸素濃度及び窒素濃度
LECO社製酸素・窒素分析装置(型番:ON736)を用いて測定した。
(2)L値
L値は、日本分光社製のカラーコンピューター(型式:SE7700)を用いて測定し、L値が14以上であったものを良好とし、14未満のものを不足とした。
(3)b値
b値は、日本分光社製のカラーコンピューター(型番:SE7700)を用いて測定し、b値が−0.5以下のものを良好とした。
(4)体積抵抗率
体積抵抗率は、酸窒化チタン粉末又はコアシェル粉末を10MPaの圧力で固めた圧粉体の状態で、横河電機製のデジタルマルチメーター(型式:DM7561)を用いて、四端子四探針法により測定し、0.5x10〜1x10Ω・cmの範囲のものを良好とした。
表1から明らかなように、比較例1では、窒素濃度は12質量%、L値は10でb値は10で黒色となった。また、粉末体積抵抗率は1.0x10Ω・cmで低かった。これは、還元反応が進み過ぎて粉末中の窒素濃度が高くなったことによると考えられる。
比較例2では、コアシェル粉末のL値は75でb値は2.6であり白色となった。
比較例3では、窒素濃度は2質量%、粉末体積抵抗率は2.5x10Ω・cmであった。これは、還元温度が低かったため還元反応が進まなかったことによると考えられる。
比較例4では、酸素濃度は26質量%、窒素濃度は1質量%、粉末体積抵抗率は8.0x10Ω・cmであった。これは、還元温度が低かったため還元反応が進まなかったことによると考えられる。
比較例5では、窒素濃度は11質量%、粉末体積抵抗率は2.0x10Ω・cmであった。これは、還元温度が高かったため還元反応が進み過ぎたことによると考えられる。
比較例6では、窒素濃度は1質量%、粉末体積抵抗率は1.5x10Ω・cmであった。これは、還元温度が低かったため還元反応が進まなかったことによると考えられる。
これに対して、実施例1〜5では、適正な処理温度で還元反応を実施したため、粉末中の酸素濃度が15〜25質量%、窒素濃度が2〜10質量%となり、灰白色となった。また、粉末体積抵抗率が0.5x10〜1x10Ω・cmの範囲内の酸窒化ニオブ粉末が得られた。
<比較試験2及び評価>
実施例1〜5及び比較例1〜6の単一粒子の酸窒化ニオブ粉末又はコアシェル粒子の酸窒化チタン粉末について、平均粒径、塗膜表面抵抗のばらつき(振れ幅)、及び紫外線照射前後のL値の変化を測定し、以下に示す方法で、それぞれ評価した。これらの結果を表2に示す。
Figure 2018140896
(1)平均粒径
粉末の平均粒径は、動的光散乱法を用いた粒度分布測定装置(堀場製作所社製、動的光散乱式粒子径分布測定装置LB−550)にて測定した体積累積中位径(Median径、D50)により求めた。上記酸窒化チタン粉末の平均粒径の好ましい範囲を50〜200nmにした。
(2)塗膜表面抵抗のばらつき
塗膜表面抵抗は、酸窒化ニオブ粉末又はコアシェル粉末をビーズミルで30時間分散し、アクリル樹脂を添加し、100μm厚の塗膜を形成し、300x300mmのシートを形成した後、三菱化学アナリテック社製の抵抗率計(ハイレスタ(商標名)、型番MCP−HT450)を用いて30箇所で測定し、そのばらつきを求めた。
(3)紫外線照射前後のL値の変化
紫外線照射前のL値及び紫外線照射後のL値を、日本分光社製のカラーコンピューター(型式:SE7700)を用いて測定し、紫外線照射前と後でのL値の差を求めた。
比較例1では、塗膜表面抵抗の振れ幅は±10%以上であった。これは、比較例1では窒化反応が進みすぎたため抵抗値が不安定になったからであると考えられる。
比較例2では、塗膜表面抵抗の振れ幅は±5%以上であった。これは、比較例1では分散処理によりコーティングしたコアとシェルとが剥離しているからであると考えられる。なお、酸化チタンの変色が観察された。
比較例3では、塗膜表面抵抗の振れ幅は±3%以内であった。
比較例4では、塗膜表面抵抗の振れ幅は±3%以内であった。
比較例5では、塗膜表面抵抗の振れ幅は±5%以上であった。これは、比較例5では窒化が進みすぎたため抵抗値が不安定になったからであると考えられる。
比較例6では、塗膜表面抵抗の振れ幅は±3%以内であった。
これに対して、実施例1〜5では、塗膜表面抵抗のばらつきが±3%以内であり、紫外線照射前後の粉末のL値の変化が3以内である導電膜が得られた。
本発明の灰白酸窒化ニオブ粉末は、導電性及び導電性の高精度なコントロール、並びに塗膜の長期安定性が求められる帯電防止塗料、帯電防止服、帯電防止ローラー等として利用できる。

Claims (5)

  1. ニオブ、酸素、窒素を主成分とし、酸素濃度が15〜25質量%、窒素濃度が2〜10質量%である酸窒化ニオブ粉末であって、L値が14以上であり、b値が−0.5以下であり、粉体体積抵抗率が0.5×10Ω・cm以上1×10Ω・cm以下である灰白色酸窒化ニオブ粉末。
  2. 酸化ニオブをアンモニアガスで加熱還元して灰白色酸窒化ニオブ粉末を製造する方法。
  3. 請求項1記載の酸窒化ニオブ粉末又は請求項2記載の方法で製造された酸窒化ニオブ粉末を分散した分散液。
  4. 請求項3記載の分散液を塗料化した導電塗料。
  5. 請求項4記載の導電塗料を成膜した導電膜。
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