JP5977602B2 - 白色導電性粉末、その分散液、塗料、及び膜 - Google Patents

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Description

本発明は、導電紙、帯電防止服、導電糸、帯電防止塗料、帯電防止壁、帯電防止ローラー等に応用される白色導電性粉末、その分散液、塗料、及びに関する。
導電性粉末は帯電防止・帯電制御・静電防止・防塵等の用途に現在広く用いられている。従来の白色導電性粉末は、導電性を高めるために、酸化チタン等の白色粉末と、この白色粉末を被覆する酸化錫とからなる。酸化錫のみの被覆では導電性が不足する場合には、白色粉末にアンチモンドープ酸化錫を被覆している。
具体的には、白色度が損なわれないように改良された白色導電性粉末として、酸化アンチモンをドープした酸化錫導電層(被覆層)を有する白色顔料が開示されている。特に、被覆層にさらに、リン、アルミニウム、モリブデンの少なくとも1種を酸化物として少量含有させた白色導電性粉末が開示されている(特許文献1、2)。また、タングステン、ニオブ、タンタル、アンチモン、フッ素及びリンのいずれか1種の元素を含む二酸化スズの被覆層を有する白色導電性粉末、ならびにこの白色導電性粉末の電子写真用トナー外添剤への応用(特許文献3)が開示されている。
また、環境汚染防止等の観点から、アンチモンフリーの導電材料として、二酸化チタン粒子と、二酸化チタン粒子表面の被覆層を具備し、被覆層がリンを0.1〜10重量%含む酸化スズからなり、アンチモンを含有しない白色導電性二酸化チタン粉末(アンチモンフリー白色導電性粉末)(特許文献4)が開示されている。
しかしながら、従来の白色導電性粉末は、いずれも光、特に紫外線を照射されると、白色度が低下する(Lab表色系におけるL値が下がる)欠点があった。
特開平6−183708号公報 特開平6−183733号公報 特開2004−349167号公報 特開平6−207118号公報
本発明は、上記課題を解決するため、紫外線を照射しても、Lab表色系におけるL値の変化が少なく、優れた白色度を維持することができる白色導電性粉末を提供することを目的とする。
本発明の白色導電性粉末は、酸化チタン粒子の表面に、アンチモン、インジウムを含まない酸化錫の被覆層を備えた白色導電性粉末であって、前記酸化チタン粒子が、K又はMgのいずれか又はその両方を、Mgが0.4質量%を超えない範囲で合計0.01質量%〜0.5質量%含有することを特徴とする。
酸化チタンは、酸素欠損型の結晶構造であり、Ti3+が青紫色を呈するため、光(紫外線)照射されると、酸化チタン粉末の白色度(L値)は、低下する現象が見られる(青みがかった灰色になる)。その現象を防止するために、上記の2元素を範囲内で添加することで、酸素欠損部位を無くして、白色度(L値)の低下を防止することができる。
K又はMgは、いずれか一方のみ含有してもよいし、両方を含有してもよい。その場合、K、Mgの単独又は合計の含有量が0.01質量%未満では、光照射による着色を防止する効果に乏しい。また、その合計が0.5質量%を超えると、酸化チタンを分散する工程で、KやMgが溶液に溶出するため、分散不良になって増粘し、酸化錫被覆層が均一にできずに粉体抵抗値の増大を招く。ただし、Mgは単独で0.4質量%含有すると、酸化チタンの分散不良を生じるので、Mgは0.4質量%を上限とした。
本発明の白色導電性粉末において、前記酸化チタン粒子に対する前記酸化錫の質量比が0.5〜1.2であるとよい。
酸化チタン粒子に対する酸化錫の質量比(酸化錫/酸化チタン粒子)が0.5未満であると、導電性粉末の導電性が低くなり、1.2を超えると、導電性粉末のLab表色系におけるL値が低くなり過ぎる場合があり、白色度が求められる場合に好ましくない。
本発明は、上記の白色導電性粉末を分散媒に分散させてなる分散液、その分散液とバインダーとを含有する塗料、その塗料を塗布してなるとすることができる。
本発明によれば、酸化チタンにK、Mgを上記の範囲で含有させたことにより、紫外線を照射しても、Lab表色系におけるL値の変化が少なく、このため、長期使用においても優れた白色度を維持することができる。
以下、本発明を実施形態に基づいて具体的に説明する。なお、含有量を示す単位の“%”は、特に示さない限り、質量%である。
〔白色導電性粉末〕
本実施形態の白色導電性粉末は、酸化チタン粒子と、酸化チタン粒子の表面を被覆する酸化錫被覆層とを具備する。
酸化チタン粒子は、白色度が高く、白色導電性粉末を塗膜等にしたときの隠蔽性に優れる。
この酸化チタン粒子は、K又はMgのいずれか又はその両方を、Mgが0.4質量%を超えない範囲で合計0.01質量%〜0.5質量%含有する。
酸化チタンは、酸素欠損型の結晶構造であり、光(紫外線)が照射されると、結晶中の酸素が、結晶外に離脱することで、Ti4+がTi3+に変化する。Ti4+は無色であるが、Ti3+は、青紫色を呈する。そのため、光照射されると、酸化チタン粉末の白色度(L値)は、低下する現象が見られる(青みがかった灰色になる)。
その現象を防止するために、上記の2元素を範囲内で添加することで、酸素欠損部位を無くすことが可能となる。K、Mgは価電子の数が少ないため、電子を放出してK、Mg2+の陽イオンになり易い。この電子が欠陥にトラップされることにより、Ti4+からTi3+への変化を生じにくくして、白色度(L値)の低下を防止することができる。
K又はMgは、いずれか一方のみ含有してもよいし、両方を含有してもよい。その場合、K、Mgの単独又は合計の含有量が0.01質量%未満では、光照射による着色を防止する効果に乏しい。また、その合計がは0.5質量%を超えると、酸化チタンを分散する工程で、KやMgが溶液に溶出するため、分散不良になって増粘する。そして、次の工程で、塩化錫溶液を滴下して反応する際、KやMgが酸化チタンからさらに溶媒中に溶出し、更なる増粘を起こす。そのため、塩化錫溶液を滴下した際、均一に混ざりにくくなり、酸化錫被覆層が均一に出来ず、粉体抵抗値の増大を招く。ただし、Mgは単独で0.4質量%含有すると、酸化チタンの分散不良を生じるので、Mgは0.4質量%を上限とした。
酸化チタン粒子中のK、Mgの定量は、ICP発光分光分析法によりTiとK、Mgの含有量をそれぞれ測定し、次いで、TiはすべてTiOとして存在すると仮定して、酸化チタン粒子中のK、Mgの含有量(質量%)を算出することにより、行うことができる。
酸化チタン粒子の平均粒子径は特に限定されるものではないが、樹脂などに分散したときに良好な分散性を得るために300nm以下が好ましい。ここで、粒子径は、酸化チタンを分散媒に分散させてレーザー回折/散乱法で測定される分散粒子径であり、平均粒子径はそのメジアン径である。平均粒子径が300nmを超えていると、分散時に沈降等の問題が生じ易くなる。
なお、平均粒子径が100nm未満であると、酸化チタン粒子および/または白色導電性粉末の凝集の問題が生じ、また多量の導電層用材料(すなわち、酸化錫)が必要になってコスト高になるため、100nm以上の平均粒子径が好ましい。
酸化チタンの隠蔽力(hiding power)を最もよく発揮させるために、酸化チタン粒子の平均粒子径は、200〜300nmがより好ましい。隠蔽力とは、ある厚さの塗膜が被覆面を隠し、その被覆面の色を認識できなくする性能を言う。酸化チタン粒子の形状は、特に限定されるものではないが、膜の美観(光沢度)の観点から、鱗片状より、球状、棒状等が好ましい。
酸化チタン粒子の結晶構造は、特に限定されるものではないが、アナターゼ型構造やブルッカイト型構造よりも、ルチル型構造の方が隠蔽力に優れるため好ましい。ルチル型構造の理想化学組成は、TiOであるが、この組成に限定されない。ここで、ルチル型構造であることの確認は、X線回折により行われる。酸化チタン粒子の結晶構造がルチル型構造であると、酸化チタン粒子の表面に、酸化スズ粒子を加水分解法により、析出または形成することが容易である。
酸化錫被覆層は、白色導電性粉末に導電性を付与するもので、酸化チタン粒子の表面に酸化錫粒子が付着して形成されたものである。導電性、白色度の点から、酸化錫粒子は、その一部が還元されて組成式がSnO1.2〜2.0であることが好ましい。また、酸化錫粒子は、リン、フッ素、塩素等でドープされていることがより好ましい。これにより、還元されている酸化錫粒子の導電性等を安定化させることができる。特に酸化錫粒子は、リンでドープされていることが最も好ましい。これにより、優れた光触媒活性が得られる。酸化錫粒子が、酸化錫とリンの合計:100質量部に対して、リンを0.1〜10質量部含むことが好ましく、リンの含有量は1〜10質量部がより好ましい。ここで、リンの定量は、ICP発光分光分析法によりSnとPの含有量を測定し、SnはすべてSnOとして存在すると仮定して酸化錫の含有量を算出し、酸化錫粒子中のPの含有量(質量%)を算出することにより、行うことができる。
上記条件を満たす量のリンを含有することにより、無添加のものに比べ、粉体体積抵抗率を1/10〜1/20程度低くすることができる場合がある。
なお、環境汚染防止の観点から、酸化錫粒子はアンチモン、インジウムを含まないものとする。
また、K、Mgも酸化錫粒子中には含まれない。したがって、白色導電性粉末に対してICP発光分光分析法により金属量を測定し、その測定結果中、K、Mgはすべて酸化チタン粒子中に含まれているとして計算することにより、酸化チタン粒子中のK、Mgの含有量(質量%)を算出することができる。酸化錫粒子中に、K、Mgが含まれていないことは、EPMA(電子線マイクロアナライザー(波長分散型X線分光)JEOL製 JXA−8530F)等を用いて確認することができる。
酸化錫粉末の平均粒子径は、膜の隠蔽力、導電性、膜強度の観点から、5〜100nmが好ましく、10〜30nmがより好ましい。また、酸化チタンと同様に、酸化錫粉末の形状が鱗片状であると、膜の美観(光沢度)が劣るため、酸化錫粉末の形状は、棒状もしくは球状等が好ましい。
白色導電性粉末中の酸化錫と酸化チタンの質量比は、SnO/TiO=0.5〜1.2であることが好ましく、0.60〜0.85がより好ましい。酸化錫の割合が少な過ぎる(SnO/TiOが0.5未満)と、白色導電性粉末の導電性および光触媒活性が低くなる場合がある。酸化錫の割合が多過ぎる(SnO/TiOが1.2超)と、白色導電性粉末のL値が低くなり過ぎる場合があり、白色度が求められる場合に好ましくない。酸化錫と酸化チタンの定量は、以下の方法により行われる。ICP発光分光分析法によりSnとTiの含有量を測定する。次いで、SnはすべてSnOとして存在し、TiはすべてTiOとして存在すると仮定して、酸化錫及び酸化チタンの含有量を算出する。
白色導電性粉末の平均粒子径は、酸化チタン粒子の平均粒子径と酸化錫粒子の被覆量に依存する。白色導電性粉末の平均粒子径は、特に限定されないが、隠蔽力及び導電性の点から、110〜1000nmが好ましく、500〜1000nmがより好ましく、600〜900nmが最も好ましい。白色導電性粉末の形状は、粒状、棒状が好ましい。
なお、白色導電性粉末から透過型電子顕微鏡(TEM)により、酸化チタン粒子及び酸化錫粒子を観察することができ、これらの粒子径を測定することができる。
そして、この白色導電性粉末は、良好な白色度及び適度な導電性を有するので、安全な導電性材料として広く用いることができる。
白色導電性粉末の白色度は、Lab表色系におけるL値を測定することにより評価することができ、白色導電性粉末に、0.25mW/cmの強度の紫外線(UV)を、2J/cmの照射量(すわなち8000秒)まで、室温で照射した後のLab表色系におけるL値と、紫外線照射前のL値との差(ΔL)の絶対値が、1以下であることが好ましい。この場合、白色導電性粉末の白色度の変化が少ない。ここで、白色導電性粉末のL値は、例えば、スガ試験機社製カラーコンピュータ(型番:SM−7)を用いて測定される。
また、白色導電性粉末に、0.25mW/cmの強度の紫外線を、2J/cmの照射量(すわなち8000秒)まで、室温で照射し、次いで白色導電性粉末を60℃で60分間加熱する。この処理を施した後のL値と、紫外線照射前のL値との差(ΔL)の絶対値が、1以下であることが好ましい。このL値の差(ΔL)が1以下であると、紫外線照射によってL値が低くなっても、加熱により、白色導電性粉末の白色度を復元することができる。
例えば、この白色導電性粉末を樹脂に練り込んで塗料として用いる場合に、その樹脂が紫外線硬化型樹脂であると、塗布後に硬化のために紫外線照射され、それにより白色度が低下するおそれがあるが、その場合でも、オーブンに通すなど加熱することにより、白色度を復元することができる。
白色導電性粉末の導電性は、粉体体積抵抗率を測定することにより評価することができ、白色導電性粉末の粉体体積抵抗率は、5×10Ω・cm以下であることが好ましく、5×10Ω・cm以下であることが、より好ましい。本実施形態の白色導電性粉末で想定される用途では、10〜1012Ω/□(Ω/sq)の表面抵抗率を得るために、粉体体積抵抗率は1Ω・cm以上であることが好ましい。ここで、粉体体積抵抗率は以下の方法により測定される。試料粉末を圧力容器に入れて10MPaで圧縮し圧粉体を作製する。次いで、この圧粉体の抵抗率をデジタルマルチメータによって測定する。
なお、本実施形態の白色導電性粉末においては、酸化錫層(酸化錫粒子)がアンチモン及びインジウムを含まないので、環境汚染を生じる懸念がない。また、アンチモン、インジウムを含まないので、白色導電性粉末を低コストで製造できる。なお、本実施形態において、アンチモン及びインジウムを含まないとは、アンチモン及びインジウムの原料を使用せずに製造されたことを意味し、検出限界が500ppmの標準的な分析装置によって、これらの元素が検出されないことをいう。
〔白色導電性粉末の製造方法〕
本実施形態の白色導電性粉末の製造方法の一例を説明する。例えば、K又はMgのいずれか又はその両方を前述した範囲で含有する酸化チタン粒子の表面上に、加水分解法により水酸化錫化合物を析出させる。次いで、水酸化錫化合物を析出させた酸化チタン粒子を乾燥し、不活性ガス雰囲気下で焼成する。以上により、白色導電性粉末を製造することができる。
詳細な製造方法を以下に示す。
K又はMgのいずれか又はその両方をMgが0.4質量%を超えない範囲で合計0.01質量%〜0.5質量%含有する酸化チタン粒子を用意する
酸化チタンにKを含有させるには、KOHの水溶液に、純度99%以上のTiO2(例えば石原産業株式会社製CR−EL)を混合し、120℃にて乾燥後、600℃で焼成することにより行われる。また、酸化チタンにMgを含有させる場合は、MgClの水溶液を用いる他は、K含有の場合と同様である。K及びMgの両方を含有させる場合は、KOHとMgClの両方を溶かした水溶液を使えばよい。K、Mgの含有量は、これらの水溶液の濃度により調整することができる。その場合、前述したように、酸化チタンへのK、Mgの含有量が多くなり過ぎると、後の酸化錫被覆が均一でなくなるため、KとMgの成分調整のため、これらKとMgを中和するNbとして五塩化ニオブを水溶液に加えてもよい。
このようにしてK、Mgを含有した酸化チタンを水に投入し、分散させて、スラリーを得る。このとき、分散剤として、珪酸ソーダ、ヘキサメタリン酸ナトリウム等を添加してもよい。酸化チタン粒子を分散させる程度は、分散機の分散強度、分散時間で調整することができる。
次に、分散させた酸化チタン粒子に水酸化錫を被覆させる。水酸化錫の原料としては、塩化錫などのハロゲン化錫、酸化錫、水酸化錫、錫の硫酸塩、硝酸錫などの錫の無機酸塩(第一錫塩、第二錫塩)などが挙げられ、これらを単独で或いは2種以上混合して用いてもよい。第一錫塩としては、フッ化第一錫、塩化第一錫、ホウフッ化第一錫、硫酸第一錫、酸化第一錫、硝酸第一錫、ピロリン酸錫、スルファミン酸錫、亜錫酸塩などの無機系の塩、アルカノールスルホン酸第一錫、スルホコハク酸第一錫、脂肪族カルボン酸第一錫などの有機系の塩などが挙げられる。第二錫塩としては、上記第一錫塩のそれぞれの第二錫塩が挙げられるが、気体であるもの、難溶性のものなどがある。このため、水酸化錫化合物の原料としては、液体である塩化第二錫または塩化第一錫を用いるのが一般的である。特に、塩化第二錫または塩化第一錫の塩酸水溶液を用いることが、工業的にも望ましい。水酸化錫化合物は、原料を加水分解させることによって得ることができ、この方法は、当業者に公知の方法でよい。具体的には、塩化錫水溶液とアルカリ水溶液を混合して加水分解させることにより、水酸化錫化合物は得られる。このため、以下の方法により、酸化チタン粒子に水酸化錫を被覆させる。分散処理によって得られた酸化チタン粒子スラリーを攪拌しながら、水酸化物の原料となる化合物の溶液とアルカリ溶液をスラリー中に滴下して加水分解させる。これにより、酸化チタン粒子表面上に水酸化錫を析出、被覆させる。反応温度は、析出する水酸化錫を適度の大きさにして良好な導電性を得るために、好ましくは50〜100℃であり、より好ましくは70〜98℃である。
溶液(溶媒)としては、上記第二錫塩や第一錫塩を溶解可能なものであればよく、水、アルコール等が挙げられる。アルコールとしては、メタノール、エタノール等が挙げられる。なお、溶液に水を用いる場合には、第二錫塩や第一錫塩を溶解した後であり、かつ第二錫塩や第一錫塩が自発的に加水分解を始める前に、アルカリ添加により加水分解させることが好ましい。
次に、水酸化錫が被覆された酸化チタン粒子に対して、通常の洗浄、乾燥、粉砕等の処理を行う。
上記処理の後、アルゴンガス、窒素ガス等の不活性ガス雰囲気下で、焼成を行う。焼成の温度は、300℃以上800℃以下が好ましく、400℃以上700℃以下が特に好ましい。焼成温度が300℃以上であると、酸化第二錫が生成し、酸化第二錫に酸素欠陥を形成できる。焼成温度が800℃以下であると、目的の導電性が得られる。また、熱処理(焼成)の時間は、10分以上8時間以下が好ましく、20分以上6時間以下が特に好ましい。ただし、焼成炉により、熱処理時間は適宜変更される。
なお、水酸化錫化合物にリンを含有させる方法としては、例えば、以下の方法が挙げられる。(1)水酸化錫化合物の原料として、リンを含む化合物を用いる方法。(2)予め、リンの原料を、水酸化錫の原料を含有する溶液に溶解しておき、リンを含む水酸化錫を形成する方法。(3)水酸化錫の被膜を形成した後に、リンの原料を添加し、水酸化錫の被膜にリンを含有させる方法。水酸化錫の被覆をより均一に形成するためには、上記(2)の方法がより好ましい。また、焼成前にリンの原料を散布し、焼成中にリンを酸化錫に拡散させる方法でも良い。
リンの原料としては、例えば、オルトリン酸、メタリン酸、ピロリン酸、トリポリリン酸、亜リン酸、次亜リン酸およびこれらのアンモニウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩等を使用することができる。
以上のようにして水酸化錫の被膜を形成した酸化チタン粒子を焼成した後、必要に応じて粉砕等の処理を行うことにより、酸化チタン粒子の表面に酸化錫被覆層を形成した白色導電性粉末が得られる。
本実施形態の白色導電性粉末は、安全な導電性材料として広く用いることができる。また、以下に示すように、分散媒に分散させた分散液、その分散液とバインダーとを含有する塗料、その塗料を塗布してなるとして使用することができる。そして、例えば、導電紙、帯電防止服、導電糸、帯電防止塗料、帯電防止壁、帯電防止ローラーの用途等における導電性材料として好適に使用される。
〔分散液〕
本実施形態の分散液は、分散媒と、前記分散媒に分散された本実施形態の白色導電性粉末を含有する。分散媒としては、水、エタノール、メタノール、イソプロピルアルコール、トルエン、メチルエチルケトン、プロピレングリコールモノメチルエーテルなどが挙げられる。
上記分散液の固形分濃度は、質量基準で1〜70%であり、好ましくは10〜50%である。分散液のpHは4〜12であり、好ましくは5〜10である。ここで、固形分には、白色導電性粉末、無機分散剤及び有機分散剤が含まれる。
〔塗料〕
本実施形態の塗料は、上記分散液と、バインダーを含有する。バインダーとしては、樹脂、シリカゾルゲル、ソーダガラス等が挙げられる。樹脂、シリカゾルゲル、ソーダガラスは、単独で使用できるが、シリカゾルゲル、ソーダガラスを樹脂と共に使用しても良い。シリカゾルゲル又はソーダガラスを含有することによって、白色導電性粉末のパッキング(充填)効果が高められる。このため、塗料を基板に用いる場合、基板上での白色導電性粉末の充填効果が高められ、良好な導電性が得られる。また、シリカゾルゲルやソーダガラスは、耐熱性に優れる。このため、塗料を用いて形成されたが、デバイス化工程などの加熱処理を施される場合、熱による変質を防ぐことができる。樹脂としては、例えば、ポリビニルアルコール樹脂、塩ビ−酢ビ樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、アルキッド樹脂、ポリエステル樹脂、エチレン酢酸ビニル共重合体、アクリル−スチレン共重合体、繊維素樹脂、フェノール樹脂、アミノ樹脂、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、石油樹脂、セラック、ロジン誘導体、ゴム誘導体などの天然系樹脂などが挙げられる。
白色導電性粉末の配合量は、樹脂100質量部に対して、20〜400質量部であり、好ましくは100〜300質量部である。

本実施形態の白色導電性粉末を含有する組成物を用いてなる膜は、本実施形態の白色導電性粉末を含有する。
本実施形態の塗料を導電性が要求される用途に使用する場合には、例えば塗料をプラスチック成形体、紙、高分子フィルムなどの絶縁性基体に塗布する。これにより、基体上に表面平滑性や密着性に優れた導電性のを形成できる。
以下に、実施例により、本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
結晶構造:ルチル型構造、ルチル化度:97%で、表1に示すK含有量、Mg含有量の二酸化チタン粉末を用意した。この二酸化チタン粉末(100g)を、水(400g)に添加して、ビーズミルにて分散処理し、スラリーを作製した。このとき、スラリー中に分散している二酸化チタン粒子の分散粒子径をレーザー回折/散乱式粒度分布測定装置(堀場製作所製、型番:LA−950)で測定し、メジアン径(平均粒子径)を求めた。
次いで、pHを1程度に維持し、かつ温度を90〜100℃に維持しながら、スラリー中に、55%SnCl水溶液(284g)と85%HPO水溶液(6.9g)の混合液と、苛性ソーダ水溶液とを同時に滴下し、中和反応を行った。反応後、得られた結晶物から副生塩および金属不純物を除去するために、結晶物を洗浄し、次いで110℃で乾燥した。乾燥後の粉末を、窒素雰囲気下、650℃で焼成した。ハンマーミルを用いて焼成物を粉砕することで、白色導電性粉末を得た。
得られた白色導電性粉末を圧力容器に入れて10MPaで圧縮することにより圧粉体を作製し、この圧粉体の粉末体積抵抗率をデジタルマルチメータ(横河電機製:DM−7561)で測定した。
また、白色導電粉末のL値をスガ試験機製カラーコンピュータ(型番:SM−7)で測定した。
この白色導電性粉末:10gを、シャーレに均一に充填した。そして、紫外線(UV)照射装置を用いて、強度:0.25mW/cmの紫外線を、UV照射量が2J/cmになるまで(8000秒)、室温で照射した。UV照射後、再度L値を測定し、UV照射後のL値とUV照射前のL値の差(ΔL:〔(UV照射後のL値)−(UV照射前のL値)〕)を求めた。
次に、UV照射した粉末を、大気雰囲気下にて、60℃で1時間加熱した後にさらに160℃で1時間加熱し、加熱後のL値を測定し、加熱後のL値と、UV照射前のL値の差(ΔL60:〔(UV照射して加熱後のL値)−(UV照射前のL)〕)を求めた。
なお、比較例としては、二酸化チタンにK及びMgのいずれも含有しないもの(比較例1)、Kの含有量が0.5質量%を超えているもの(比較例2)、Mgの含有量が0.4質量%を超えているもの(比較例3)、K及びMgの合計の含有量が0.5質量%を超えているもの(比較例4)を試験した。
これらの結果を表1に示す。粉末の体積抵抗値に関して、指数での表示10は、E+nとして表示する。
Figure 0005977602
表1から明らかなように、酸化チタン粒子がK又はMgのいずれか又はその両方をMgが0.4質量%を超えない範囲で合計0.01質量%〜0.5質量%含有した実施例の場合、UV照射によるL値の低下が小さく、UV照射後のL値とUV照射前のL値の差(ΔL)は1以下であった。また、UV照射後、加熱することにより、UV照射前のL値との差がさらに小さくなり、白色度が向上することがわかる。
比較例の場合は、UV照射により白色度が大きく低下している(L値の低下が1より大きい)。酸化チタン粒子にK,Mgのいずれも含有していない比較例1の場合は、UV照射後に加熱してもL値は復元しない。比較例2〜4の場合は、UV照射後の加熱によりL値の低下は小さくなり、白色度が復元することが認められるが、体積抵抗率が大きく、導電性が不足する。

Claims (5)

  1. 酸化チタン粒子の表面に、アンチモン、インジウムを含まない酸化錫の被覆層を備えた白色導電性粉末であって、前記酸化チタン粒子が、K又はMgのいずれか又はその両方を、Mgが0.4質量%を超えない範囲で合計0.01質量%〜0.5質量%含有することを特徴とする白色導電性粉末。
  2. 前記酸化チタン粒子に対する前記酸化錫の質量比が0.5〜1.2であることを特徴とする請求項1記載の白色導電性粉末。
  3. 請求項1又は2記載の白色導電性粉末を分散媒に分散させてなる分散液。
  4. 請求項3記載の分散液とバインダーとを含有する塗料。
  5. 請求項1又は2記載の白色導電性粉末を含有する組成物を用いてなる膜
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