JP2018140592A - 印刷装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】印刷品質に影響を及ぼすことなく、インクリボンの種別を判定することが可能な印刷装置を提供する。
【解決手段】印刷装置1は、インクリボン9が巻回された供給ロール9Aを装着可能なリボン装着部2、リボン装着部2に装着された供給ロール9Aから繰り出されるインクリボン9に接触し、所定の搬送経路Rに沿ってインクリボン9を案内するガイド60、ガイド60のうち加熱ガイド63を介して、加熱ガイド63によって案内されるインクリボン9を加熱する加熱部材6A、搬送経路Rに沿ってインクリボン9を搬送する搬送機構、搬送経路Rに隣接して配置され、温度センサ31を有するサーマルヘッド3を有する。印刷装置1は、加熱部材6Aにより加熱されたインクリボン9の温度を温度センサ31によって検出する。印刷装置1は、検出された温度に基づいて、インクリボン9の種別を判定する。
【選択図】図1

Description

本発明は印刷装置に関する。
熱転写式の印刷装置では、使用されるインクリボンの種別に応じて適切な印刷条件を設定して印刷動作を行うことによって、印刷不良の発生を防止できる。このため、使用されるインクリボンの種別を検出するための様々な技術が提案されている。例えば特許文献1は、用紙の種類を検出する用紙種類検出装置を開示する。用紙種類検出装置は、発熱体及び温度センサが設けられたホルダ、ペーパーガイド、及び、ペーパーガイドにホルダを所定の圧力で当接させる加圧部材を有する。ホルダとペーパーガイドとの間に用紙が挟まれた状態で、発熱体によって用紙が加熱される。温度センサは温度変化を検出する。この温度変化は、用紙の種類毎に異なる特性を示す。このため用紙種類検出装置は、検出される温度変化に基づいて、用紙の種類を検出できる。
特開2001−201473号公報
用紙種類検出装置における上記方法をインクリボンに適用することによって、インクリボンの種類を検出することが可能とも思われる。しかし上記方法がインクリボンの種類検出方法に適用された場合、印刷に関する圧力がかかる位置以外の位置において温度センサをもつホルダによりインクリボンに圧力が付与されてしまうことで、インクリボンの張力が変化する。インクリボンの張力の変化は、印刷品質に悪影響を及ぼす可能性がある。
本発明の目的は、印刷品質に影響を及ぼすことなく、インクリボンの種別を判定することが可能な印刷装置を提供することである。
本発明に係る印刷装置は、インクリボンが巻回されたリボンロールを装着可能な装着部と、前記装着部に装着された前記リボンロールから繰り出される前記インクリボンに接触し、所定の搬送経路に沿って前記インクリボンを案内する少なくとも1つのガイドと、前記少なくとも1つのガイドのうち何れかである加熱ガイドを介して、前記加熱ガイドによって案内される前記インクリボンを加熱する加熱部材と、前記搬送経路に沿って前記インクリボンを搬送する搬送機構と、前記搬送経路に隣接して配置され、温度センサを有するサーマルヘッドと、前記加熱部材により加熱された前記インクリボンの温度を前記温度センサによって検出する検出手段と、前記検出手段によって検出された温度に基づいて、前記インクリボンの種別を判定する判定手段とを備えたことを特徴とする。
印刷装置は、加熱部材が加熱ガイドを介してインクリボンを加熱し、加熱されたインクリボンの温度を、サーマルヘッドに設けられた温度センサによって検出する。なお、インクリボンにおける熱の伝達特性は、インクリボンの種別に応じて異なる。このため、印刷装置は、検出される温度に基づいて、インクリボンの種別を判定できる。従って、印刷装置は、インクリボンの種別に応じた印刷条件を設定して印刷を行うことによって、印刷不良の発生を防止できる。
又、加熱部材は加熱ガイドを介してインクリボンを加熱する。インクリボンの温度は、サーマルヘッドに設けられた温度センサによって検出される。つまり、加熱部材及び温度センサは、何れも、一般的な印刷装置が有する周知の構成(サーマルヘッド及びガイド)に設けられる。このため、加熱部材及び温度センサは、それぞれ、印刷に関する圧力がインクリボンに付与される位置以外の位置において、インクリボンに圧力を付与しない。従って印刷装置は、インクリボンの加熱、及び、インクリボンの温度検出の過程でインクリボンの張力が変化することを抑制できるので、張力の変化が印刷品質に影響を及ぼすことを防止できる。
本発明において、前記インクリボンは、基材で形成された基材層、及び、インクが設けられたインク層が積層される構成であり、前記加熱ガイド及び前記温度センサは、前記インクリボンの2つの露出面のうち前記基材層に対して前記インク層と反対側の露出面に接触してもよい。この場合、印刷装置は、インクリボンのインク層が加熱ガイドによって直接加熱されることを防止できる。このため、印刷装置は、インク層が加熱されることによってインクが溶融又は昇華することを抑制できる。又、印刷装置は、温度センサが設けられたサーマルヘッドを、インク層側と反対側の露出面に接触させることができる。このため、印刷装置は、サーマルヘッドによりインクリボンを加熱することによって、インク層のインクを印刷媒体に適切に転写させることができる。
本発明において、前記加熱部材は、前記加熱ガイドを介して前記インクリボンを第1温度まで上昇させ、前記サーマルヘッドは、前記インクリボンを第2温度まで上昇させ、前記第1温度は前記第2温度よりも小さくてもよい。この場合、印刷装置は、加熱部材が加熱ガイドを介してインクリボンを加熱した場合に、インクリボンのインクが溶融したり昇華したりすることを防止できる。
本発明において、複数の前記ガイドを有し、前記加熱ガイドは、前記複数のガイドのうち、前記搬送経路に沿った方向において前記サーマルヘッドに最も近接する位置に設けられてもよい。この場合、印刷装置は、加熱ガイドにより加熱されたインクリボンの温度を、サーマルヘッドに設けられた温度センサによって効率的に検出できる。
本発明において、前記装着部は、前記サーマルヘッドにより加熱されていない前記インクリボンの前記リボンロールを装着可能な第1スプール、及び、前記リボンロールから繰り出され且つ前記サーマルヘッドにより加熱された前記インクリボンが巻き取られる第2スプールを有し、前記搬送機構は、前記装着部に装着された前記インクリボンを前記第1スプールから前記第2スプールに向けて搬送し、前記加熱ガイドは、前記インクリボンのうち前記サーマルヘッドに隣接する位置と前記第2スプールに巻き取られる位置との間の何れかの部分に接触してもよい。この場合、インクリボンのうちサーマルヘッドに隣接する部分よりも第1スプール側の部分がサーマルヘッドによって加熱され、印刷が行われる。このため、印刷装置は、インクリボンのうちサーマルヘッドに隣接する部分よりも第2スプール側の部分を、加熱ガイドによって加熱する。これによって、印刷装置は、インクリボンのうち加熱ガイドによって加熱された部分が印刷時に使用されることを抑制できるので、印刷品質を維持できる。
本発明において、前記サーマルヘッドは、前記搬送経路に沿って前記加熱ガイドから第1距離離隔した第1位置と、前記搬送経路に沿って前記加熱ガイドから前記第1距離よりも大きい第2距離離隔した第2位置とを経由し、前記搬送経路に沿って往復移動可能であり、前記検出手段は、前記第1位置、又は、前記第1位置よりも前記加熱ガイドに近接する位置に配置された前記サーマルヘッドの前記温度センサにより、前記インクリボンの温度を検出する第1検出手段を備え、前記判定手段は、前記第1検出手段によって検出された第3温度に基づいて、前記インクリボンの種別を判定してもよい。この場合、印刷装置は、加熱ガイドにサーマルヘッドが近接した状態で、サーマルヘッドに設けられた温度センサによってインクリボンの温度を検出できる。従って、印刷装置は、インクリボンの温度を適切に検出できるので、インクリボンの種別を正確に判定できる。
本発明において、前記第1検出手段は、前記第1位置に配置された前記サーマルヘッドの前記温度センサにより前記第3温度を検出し、前記検出手段は、前記第2位置に配置された前記サーマルヘッドの前記温度センサにより前記インクリボンの温度を検出する第2検出手段を更に備え、前記判定手段は、前記第1検出手段によって検出された前記第3温度、及び、前記第2検出手段によって検出された第4温度に基づいて、前記インクリボンの種別を判定してもよい。この場合、印刷装置は、第1位置及び第2位置の2箇所のそれぞれにサーマルヘッドが配置された状態で、インクリボンの温度を検出できる。印刷装置は、2つの検出結果(第3温度及び第4温度)に基づいて、インクリボンの種別をより正確に判定できる。
本発明において、前記搬送機構によって、前記搬送経路に沿って前記加熱ガイドから前記サーマルヘッドに向かう方向に前記インクリボンを搬送する搬送手段を備え、前記検出手段は、前記搬送手段によって前記インクリボンが搬送された後、前記インクリボンの温度を前記サーマルヘッドの温度センサによって検出してもよい。この場合、印刷装置は、インクリボンのうち加熱ガイドによって加熱された位置に近接した部分を、サーマルヘッドに設けられた温度センサによって検出できる。従って、印刷装置は、インクリボンの温度を適切に検出できる。
本発明において、前記搬送手段は、前記インクリボンのうち前記加熱ガイドによる加熱部分が、前記サーマルヘッドに隣接するまで、前記インクリボンを搬送してもよい。この場合、印刷装置は、インクリボンのうち加熱ガイドによる加熱部分を、サーマルヘッドに設けられた温度センサによって検出できる。従って、印刷装置は、インクリボンの温度をより適切に検出できる。
本発明において、前記加熱部材により、前記インクリボンを加熱する加熱手段と、前記加熱手段により加熱された前記インクリボンを、前記搬送機構により搬送する搬送手段とを更に備え、前記検出手段は、前記搬送手段により搬送された前記インクリボンの温度を検出し、前記判定手段は、前記検出手段によって検出された温度に基づいて、前記インクリボンの種別を判定してもよい。この場合、印刷装置は、加熱ガイドによって加熱されたインクリボンを搬送した後、サーマルヘッドに設けられた温度センサによってインクリボンの温度を検出できる。従って、印刷装置は、インクリボンの温度を適切に検出できる。
印刷装置1及びリボンアッセンブリ90の概要を示す図である。 第1距離D11、D12、第2距離D21、D22、第3距離D31、D32の関係を示す図である。 印刷装置1の電気的構成を示すブロック図である。 テーブル71A、71Bを示す図である。 連続モードを説明するための図である。 間欠モードを説明するための図である。 メイン処理のフローチャートである。 第1検出処理のフローチャートである。 第2検出処理のフローチャートである。 連続モードにおけるインクリボン9の種別の判定方法を示す図である。 第3検出処理のフローチャートである。 第4検出処理のフローチャートである。 間欠モードにおけるインクリボン9の種別の判定方法を示す図である。
本発明の一実施形態について、図面を参照して説明する。印刷装置1は、熱転写型の印刷装置である。印刷装置1は、包装材などの印刷媒体へ印刷を行うことを用途とする装置であり、例えば、印刷工場内などの常温の環境下に配置して使用される。図1に示すように、印刷装置1は、箱状の筐体10を有する。筐体10の内部に、基板10Aが固定される。リボン装着部2、サーマルヘッド3、ガイド軸61〜64(総称して「ガイド軸60」という。)、制御部7(図3参照)、及び、第1モータ81〜第4モータ84(図3参照。総称して「モータ80」という。)は、基板10Aに設けられ、筐体10内に収容される。以下、図の説明の理解を助けるため、印刷装置1の上側、下側、左側、右側、前側、及び、後側を定義する。印刷装置1の上側、下側、左側、右側、前側、及び、後側は、図1の上側、下側、左側、右側、手前側、及び、奥側にそれぞれ対応する。基板10Aの表面は前側を向き、基板10Aの裏面は後側を向く。
<リボンアッセンブリ90>
印刷装置1は、筐体10の内部に収容されるリボンアッセンブリ90のインクリボン9をサーマルヘッド3で加熱することによって、印刷媒体P(図5、図6参照)に印刷を行う。リボンアッセンブリ90は、芯軸90A、90B、及び、インクリボン9を有する。芯軸90A、90Bは、それぞれ前後方向に延びる円筒状である。
インクリボン9は、帯状のフィルムである。インクリボン9は、一端部が芯軸90Aの側面に接続され、他端部が芯軸90Bの側面に接続される。インクリボン9は、コーティング層91、基材層92、剥離層93、インク層94、及び、接着層95が順番に積層された構成を有する。基材層92は、例えばポリエチレンテレフタラート(PET)等によって形成される。コーティング層91は、基材層92の一方側の面に積層される。図1では、インクリボン9のコーティング層91は、印刷装置1に装着されたとき、基材層92に対してサーマルヘッド3と対向して設けられる側に積層される。コーティング層91は、サーマルヘッド3(後述)の熱による基材層92の流動を抑え、サーマルヘッド3の印字動作が阻害されないよう、基材層92を保護する。具体的には、基材層92は、サーマルヘッド3の熱が加わることにより軟化して流動してしまう性質がある。このような基材層92であっても、コーティング層91により、サーマルヘッド3がインクリボン9を用いた印字動作を均一に行うことができる。剥離層93は、基材層92の他方側の面、即ち、基材層92のうちコーティング層91が積層される面と反対側の面に積層される。剥離層93は、基材層92に対して印刷媒体Pと対向して設けられる側に積層される。剥離層93は、サーマルヘッド3による加熱時において基材層92からインク層94(後述)を容易に剥離させる。インク層94は、剥離層93のうち基材層92が積層される面と反対側の面に積層される。インク層94はインクを含む。インクは、例えば、カーボンなどの色素成分と、ワックス及び/又はレジンなどのバインダー成分とによって構成される。なお、剥離層93が設けられず、基材層92から剥離する性質を有する成分の剥離材が練りこまれたインクが、インク層94に設けられてもよい。インクの融点は、第2温度T2である。インク層94のインクは、サーマルヘッド3による加熱に応じて溶融し、印刷媒体Pに転写される。以下、インクリボン9のインク層94のインクが加熱され転写されることを、「インクリボン9のインクが転写される」という。接着層95は、インク層94のうち剥離層93が積層される面と反対側の面に積層される。接着層95は、サーマルヘッド3による加熱に応じて溶融したインク層94のインクを、印刷媒体Pに接着させる。また、剥離層93と同様に、接着層95が設けられず、インク層94のインクに、印刷媒体Pに接着する性質を有する接着材が練りこまれたものであってもよい。
以下、インクリボン9の2つの露出面のそれぞれを、露出面91A、95Aという。露出面91Aは、コーティング層91のうち基材層92が積層される面と反対側の面に対応する。露出面95Aは、接着層95のうちインク層94が積層される側と反対側の面に対応する。言い換えれば、露出面91Aは、基材層92に対してインク層94と反対側の露出面に対応し、露出面95Aは、インク層94に対して基材層92と反対側の露出面に対応する。
リボンアッセンブリ90は、芯軸90Aにインクリボン9が巻回された状態で、印刷装置1のリボン装着部2(後述)に装着される。芯軸90Aに巻回されたインクリボン9を、「供給ロール9A」という。インクリボン9は、サーマルヘッド3による印刷の過程で、芯軸90Aの供給ロール9Aから繰り出され、後述するガイド軸60及びサーマルヘッド3によって案内され、芯軸90Bに巻き取られる。芯軸90Bに巻回されたインクリボン9を、「巻取ロール9B」という。インクリボン9が供給ロール9Aから繰り出されて巻取ロール9Bに巻き取られる場合の、芯軸90A及び芯軸90Bのそれぞれの回転方向を、「正転方向」という。本実施形態において、インクリボン9は、芯軸90Aおよび90Bに巻回された状態で、それぞれ内側に接着層95が配置され、外側にコーティング層91が配置される。
なお、インクリボン9は、芯軸90A及び芯軸90Bがそれぞれ正転方向と反対方向(以下、「反転方向」という。)に回転することによって、巻取ロール9Bから繰り出されて供給ロール9Aに巻き取られる場合もある。
<リボン装着部2>
リボン装着部2は、第1スプール21及び第2スプール22を有する。第1スプール21及び第2スプール22は、それぞれ、前後方向に延びる回転軸を中心として回転可能である。第1スプール21は、基板10Aの上下方向略中央、且つ、左右方向中央よりも右側に設けられる。第2スプール22は、基板10Aの上下方向略中央、且つ、左右方向中央よりも左側に設けられる。第1スプール21には、リボンアッセンブリ90の芯軸90Aに巻回された供給ロール9Aが装着される。第2スプール22には、リボンアッセンブリ90の芯軸90Bに巻回された巻取ロール9Bが装着される。第1スプール21は第1モータ81(図3参照、後述)に直結し、第1モータ81によって回転する。第2スプール22は第2モータ82(図3参照、後述)に直結し、第2モータ82によって回転する。第1スプール21及び第2スプール22は、それぞれ異なるモータ80によって回転するので、それぞれ異なる回転速度で回転可能である。
第1スプール21及び第2スプール22が、印刷装置1を前側から見た状態で反時計回りに回転するとき、芯軸90A、90Bは正転方向に回転する。このとき、インクリボン9は、供給ロール9Aから繰り出され、巻取ロール9Bに巻き取られる。第1スプール21及び第2スプール22が、印刷装置1を前側から見た状態で時計回りに回転するとき、芯軸90A、90Bは反転方向に回転する。インクリボン9は、巻取ロール9Bから繰り出され、供給ロール9Aに巻き取られる。
第1スプール21と第2スプール22の回転に応じ、供給ロール9Aと巻取ロール9Bとの間に張り渡されるインクリボン9は、筐体10内で搬送される。インクリボン9が搬送されるときに通過する第1スプール21と第2スプール22との間の経路を、「搬送経路R」という。インクリボン9は、後述するガイド軸60と接触することによって案内される。後述するサーマルヘッド3は、供給ロール9Aと巻取ロール9Bとの間に張り渡されるインクリボン9に隣接する。
<サーマルヘッド3>
サーマルヘッド3は、基板10Aの前面のうち、左右方向略中央、且つ、第1スプール21及び第2スプール22よりも下側に設けられる。サーマルヘッド3は、インクリボン9の幅方向に対応する前後方向に直線状に並んだ複数の発熱素子を有する。サーマルヘッド3は、ヘッド位置3A、3B、3C、3D間を移動可能である。ヘッド位置3A、3Dはそれぞれ、筐体10の下端部よりも上側に配置され、左右方向に並ぶ。ヘッド位置3B、3Cはそれぞれ、筐体10の下端部よりも下側に配置され、左右方向に並ぶ。ヘッド位置3A、3Bはそれぞれ、筐体10の左右方向略中央よりも左側に配置され、上下方向に並ぶ。ヘッド位置3C、3Dはそれぞれ、筐体10の左右方向略中央に配置され、上下方向に並ぶ。第3モータ83(図3参照)は、ヘッド位置3A、3B間、及び、ヘッド位置3C、3D間でサーマルヘッド3を移動させる。第4モータ84(図3参照)は、ヘッド位置3B、3C間、及び、ヘッド位置3D、3A間でサーマルヘッド3を移動させる。サーマルヘッド3は、ヘッド位置3A〜3Dのそれぞれの位置で、インクリボン9のうち基材層92に対してインク層94と反対側の露出面である露出面91Aに接触する。
サーマルヘッド3に温度センサ31が設けられる。温度センサ31は、インクリボン9のうちサーマルヘッド3に接触する部分の温度を検出可能である。
<ガイド軸60>
ガイド軸60は円柱状であり、基板10Aの前面から前側に向けて延びる。ガイド軸60は、前後方向に延びる回転軸を中心として回転可能である。ガイド軸61は、基板10Aの右上の隅近傍に設けられる。ガイド軸62は、基板10Aの右下の隅近傍に設けられる。ガイド軸63は、基板10Aの左下の隅近傍に設けられる。ガイド軸64は、基板10Aの左上の隅近傍に設けられる。ガイド軸60の周面の一部に、インクリボン9の露出面91Aが接触する。ガイド軸60は、搬送経路Rに沿ってインクリボン9を案内する。
詳細は次の通りである。インクリボン9の搬送経路Rは、第1スプール21に装着された供給ロール9Aから右斜め上側に向けて延び、ガイド軸61に接触して方向を変え、ガイド軸62に向けて下側に延び、ガイド軸62に接触して方向を変え、サーマルヘッド3の下端部に向けて延びる。インクリボン9の搬送経路Rは更に、サーマルヘッド3の下端部に接触し、ガイド軸63に向けて左側に延びる。インクリボン9の搬送経路Rは更に、ガイド軸63に接触して方向を変え、ガイド軸64に向けて上側に延び、ガイド軸64に接触して方向を変え、巻取ロール9Bに向けて右斜め下側に延びる。ガイド軸61、62は、インクリボン9のうち、サーマルヘッド3に接触する位置と供給ロール9Aの位置との間の部分に接触する。ガイド軸63、64は、インクリボン9のうち、サーマルヘッド3に接触する位置と巻取ロール9Bの位置との間の部分に接触する。ガイド軸63とサーマルヘッド3との距離は、約30cm程度である。インクリボン9は、第1スプール21および第2スプール22を回転する第1モータ81および第2モータ82により、ガイド軸62とガイド軸63との間を、約10m/分の速さで搬送される。
ガイド軸63に加熱部材6Aが内蔵される。加熱部材6Aは、ガイド軸63を加熱可能なヒータである。加熱部材6Aは、ガイド軸63によって案内されるインクリボン9を、ガイド軸63を介して加熱する。加熱部材6Aは、ガイド軸63の外周が所定の温度を保つように発熱する温度が制御される。ガイド軸63は、加熱部材6Aにより加熱されても溶融しない材質、例えば融点が高い樹脂で形成される。本実施形態では、加熱部材6Aは、ガイド軸63が所定の温度として後述する第1温度T1を保つように制御される。これにより、インクリボン9のうちガイド軸63と接触する領域、すなわちガイド軸63の外周のうち左下側を中心とした約90度分の長さの領域に接触するインクリボン9の領域が、第1温度T1に加熱される。この結果、インクリボン9のガイド軸63と接触する領域の表面温度は、第1温度T1になる。インクリボン9のうち第1温度T1に加熱された領域、すなわち、インクリボン9のガイド軸63と接触する領域は、サーマルヘッド3の直下に位置する距離を、第1モータ81および第2モータ82により搬送される。なお、第1温度T1に加熱されたインクリボン9の領域の表面温度は、サーマルヘッド3の下方まで搬送される過程で、ほとんど低下しない。
以下、図2に示すように、ヘッド位置3Aに配置されたサーマルヘッド3とガイド軸63との間の搬送経路Rに沿った方向の距離を、「第1距離D11」という。ヘッド位置3Bに配置されたサーマルヘッド3とガイド軸63との間の搬送経路Rに沿った方向の距離を、「第1距離D12」という。ヘッド位置3Cに配置されたサーマルヘッド3とガイド軸63との間の搬送経路Rに沿った方向の距離を、「第2距離D21」という。ヘッド位置3Dに配置されたサーマルヘッド3とガイド軸63との間の搬送経路Rに沿った方向の距離を、「第2距離D22」という。ヘッド位置3Dに配置されたサーマルヘッド3とガイド軸62との間の搬送経路Rに沿った方向の距離を、「第3距離D31」という。ヘッド位置3Cに配置されたサーマルヘッド3とガイド軸62との間の搬送経路Rに沿った方向の距離を、「第3距離D32」という。
サーマルヘッド3とガイド軸61との間の搬送経路Rに沿った方向の距離は、サーマルヘッド3とガイド軸62との間の搬送経路Rに沿った方向の距離よりも大きい。サーマルヘッド3とガイド軸64との間の搬送経路Rに沿った方向の距離は、サーマルヘッド3とガイド軸63との間の搬送経路Rに沿った方向の距離よりも大きい。又、第3距離D31、D32は、何れも、第1距離D11、D12よりも大きい(D31、D32<D11、D12)。このため、ガイド軸63は、搬送経路Rに沿った方向の距離がサーマルヘッド3に最も近接する。更に、第2距離D21は第1距離D11よりも大きく(D11<D12)、第2距離D22は第1距離D12よりも大きい(D21<D22)。
<印刷装置1の電気的構成>
図3を参照し、印刷装置1の電気的構成について説明する。印刷装置1は制御部7を備える。制御部7は、印刷装置1を制御するCPU、CPUの指示に応じて動作する各種の駆動回路、及び、アナログ信号をデジタル信号に変換するA/D変換回路等を含む。各種の駆動回路は、例えば、モータ80(第1モータ81、第2モータ82、第3モータ83、第4モータ84)に信号(例えば、駆動電流)を供給するための回路、サーマルヘッド3に信号(例えば、駆動電流)を供給するための回路、加熱部材6Aに信号(例えば、駆動電流)を供給するための回路等を含む。A/D変換回路は、例えば、温度センサ31から出力されるアナログ信号をデジタル信号に変換するA/D変換回路を含む。制御部7は、記憶部71、サーマルヘッド3、温度センサ31、モータ80(第1モータ81、第2モータ82、第3モータ83、第4モータ84)、加熱部材6A、及び、通信インターフェース(通信I/F)72と、非図示のインターフェース回路を介して電気的に接続する。
記憶部71は、ROM、RAM、フラッシュメモリ等の各種記憶媒体を含む。記憶部71には、制御部7が実行する処理のプログラムが記憶される。記憶部71には、後述する印刷データ、設定情報、及び、テーブル71A、71B(図4参照)が記憶される。印刷データ及び設定情報は、外部機器100を介して設定される。サーマルヘッド3及び加熱部材6Aは、制御部7から出力される信号に応じて発熱する。モータ80は、パルス信号に同期して回転するステッピングモータである。第1モータ81は、制御部7から出力されるパルス信号に応じて、第1スプール21を回転させる。第2モータ82は、制御部7から出力されるパルス信号に応じて、第2スプール22を回転させる。第3モータ83は、制御部7から出力されるパルス信号に応じて回転し、サーマルヘッド3を上下方向に移動させる。第4モータ84は、制御部7から出力されるパルス信号に応じて回転し、サーマルヘッド3を左右方向に移動させる。温度センサ31は、インクリボン9のうちサーマルヘッド3に接触する部分の温度を示すアナログ信号を、制御部7に出力する。通信I/F72は、印刷装置1に接続される外部機器100との間で通信を行なうためのインターフェース素子である。外部機器100は、ユーザが印刷装置1に対して印刷データの指定や印刷回数の指定など様々な指示を行うために使用される端末機器である。
制御部7によって実行されるプログラムは、例えば、外部機器100から通信I/F72を介してダウンロードされてもよい。制御部7は、通信I/F72を介して外部機器100から取得したプログラムを、記憶部71に記憶してもよい。
<テーブル71A、71B>
図4に示すテーブル71A、71Bは、それぞれ、リボン装着部2に装着されたリボンアッセンブリ90のインクリボン9の種別が判定される場合において、制御部7によって参照される。テーブル71A、71Bでは、インクリボン9の材料、厚さ、幅、インクの色等がそれぞれ異なる複数の種別A〜Eが判定可能である。
テーブル71Aは、後述する連続モード(図5参照)で印刷装置1が駆動する場合に参照される。テーブル71Aは、後述する検出モード(第1検出モード又は第2検出モード)、温度範囲、及び、インクリボン9の種別が対応付けられる。テーブル71Bは、後述する間欠モード(図6参照)で印刷装置1が駆動する場合に参照される。テーブル71Bは、検出モード(第1検出モード又は第2検出モード)、第3温度範囲、第4温度範囲、及び、インクリボン9の種別が対応付けられる。それぞれを参照してインクリボン9が判定される場合の詳細な方法は後述する。
<印刷装置1による印刷動作の概要>
印刷装置1は、連続モード(図5参照)及び間欠モード(図6参照)の何れかの動作モードによって駆動し、印刷媒体Pに印刷イメージGを形成させる。以下、それぞれについて説明する。
<連続モード>
図5を参照し、連続モードについて説明する。印刷媒体Pは、所定の搬送速度(「媒体速度V」という。)で搬送される。印刷装置1は、印刷媒体Pの印刷面(図5における上側の面)に印刷装置1の下端が対向する状態で、印刷媒体Pに近接して配置される。印刷媒体Pに対して印刷装置1と反対側に、円筒状のプラテンローラQ1が配置される。
印刷装置1による印刷動作が開始される。サーマルヘッド3は、ヘッド位置3Aからヘッド位置3Bに移動することによって、プラテンローラQ1に上側から接する。インクリボン9の露出面95A(図1参照)は、印刷媒体Pの印刷面に接触する。プラテンローラQ1は、印刷媒体Pのうち印刷面と反対側の面である印刷媒体Pの上側の面に接触し、インクリボン9及び印刷媒体Pをサーマルヘッド3に押しつける。
第1モータ81及び第2モータ82が駆動し、第1スプール21及び第2スプール22が回転する。リボンアッセンブリ90の芯軸90A、芯軸90B(図1参照)は、それぞれ正転方向に回転する。インクリボン9は、第1スプール21の供給ロール9Aから繰り出され、第2スプール22の巻取ロール9Bに巻き取られる。インクリボン9は、第1スプール21及び第2スプール22の回転速度に応じた搬送速度(「リボン速度v」という。)で搬送される。インクリボン9と印刷媒体Pとが接触する部分において、印刷媒体Pとインクリボン9とのそれぞれの移動方向は一致する。
以下、インクリボン9及び印刷媒体Pが接触する部分におけるそれぞれの移動方向を、「搬送方向」という。搬送方向は、言い換えれば、インクリボン9の搬送経路Rに沿った方向のうち、インクリボン9がサーマルヘッド3と接触する部分における方向を示す。搬送方向のうち、供給ロール9Aからインクリボン9が繰り出され、巻取ロール9Bに巻き取られる場合にインクリボン9が移動する側を、「下流側」という。搬送方向のうち、巻取ロール9Bからインクリボン9が繰り出され、供給ロール9Aに巻き取られる場合にインクリボン9が移動する側を、「上流側」という。
図5(a)に示すように、インクリボン9は下流側にリボン速度vで搬送される。サーマルヘッド3は、インクリボン9の領域96に接触しながら、インクリボン9に対して上流側に相対移動する。同時に、記憶部71に記憶された印刷データに基づいて、サーマルヘッド3が加熱される。インクリボン9の領域96の温度は、第2温度T2まで上昇する。これによって、インクリボン9の領域96のインクは溶融し、印刷媒体Pの印刷面に転写される。以上によって、1ブロック分の印刷イメージG1が印刷媒体Pに形成される。
なお、理解を容易とするため、図5(a)〜(e)及び後述の図6(a)〜(e)では、インクリボン9及び印刷媒体Pが直線状に示され、且つ、それぞれが互いに離隔する。しかし実際には、インクリボン9及び印刷媒体Pは曲折する場合がある。又、インクリボン9及び印刷媒体Pは、少なくともサーマルヘッド3がインクリボン9に接触する位置で、互いに接触する。更に、図5(a)〜(e)において、サーマルヘッド3は、ヘッド位置3Aに配置された状態でインクリボン9から離隔した状態となっている。しかし実際には、サーマルヘッド3は、ヘッド位置3Aの何れの位置に配置された場合もインクリボン9に接触する(図1参照)。図6(a)〜(e)についても同様である。
図5(a)に示すように印刷イメージG1が形成された後、サーマルヘッド3の加熱は停止される。図5(b)に示すように、サーマルヘッド3は、ヘッド位置3Bからヘッド位置3Aに移動する。第1スプール21及び第2スプール22の回転は停止し、インクリボン9の搬送は停止される。以上によって、印刷イメージG1の印刷動作が完了する。なお、印刷媒体Pは媒体速度Vで継続して搬送される。
印刷媒体Pが所定距離L搬送された後、次の1ブロック分の印刷動作が開始される。図5(c)に示すように、サーマルヘッド3は、ヘッド位置3Aからヘッド位置3Bに移動する。第1スプール21及び第2スプール22が回転し、インクリボン9はリボン速度vで下流側に搬送される。サーマルヘッド3は、インクリボン9の領域97に接触しながら、インクリボン9に対して上流側に相対移動する。同時に、サーマルヘッド3が加熱され、インクリボン9の領域97の温度は第2温度T2まで上昇する。これによって、インクリボン9の領域97のインクは溶融し、印刷媒体Pの印刷面に転写される。以上によって、印刷イメージG2が印刷媒体Pに形成される。印刷イメージG2が形成された後、サーマルヘッド3の加熱は停止される。図5(d)に示すように、サーマルヘッド3は、ヘッド位置3Bからヘッド位置3Aに移動する。インクリボン9の搬送は停止される。以上によって、印刷イメージG2の印刷動作が完了する。次の1ブロック分(印刷イメージG3)の印刷(図5(e)参照)の説明は省略する。
印刷装置1は、上記の1ブロック分ずつの印刷動作を、記憶部71に記憶された設定情報に含まれる規定回数繰り返す。これによって、印刷イメージG1、G2、G3・・・が印刷媒体Pに形成される。つまり、連続モードでは、リボン速度vで下流側に搬送されるインクリボン9に対し、搬送方向の位置が移動しないサーマルヘッド3による加熱が行われる。これによって、媒体速度Vで下流側に搬送される印刷媒体Pに印刷イメージが形成される。
<間欠モード>
図6を参照し、間欠モードについて説明する。印刷装置1が印刷媒体Pに近接して配置される。印刷媒体Pに対して印刷装置1と反対側に、平板状のプラテン台Q2が配置される。連続モードと異なり、印刷媒体Pは停止した状態で維持される。
印刷装置1による印刷動作が開始される。サーマルヘッド3は、ヘッド位置3Aからヘッド位置3Bに移動することによって、プラテン台Q2に上側から接する。インクリボン9の露出面95Aは、印刷媒体Pの印刷面に接触する。プラテン台Q2は、インクリボン9及び印刷媒体Pをサーマルヘッド3に押しつける。サーマルヘッド3は更に、ヘッド位置3Bからヘッド位置3Cに向けて上流側に所定速度(「ヘッド速度h」という。)で移動する。なお、インクリボン9は停止した状態で維持される。
図6(a)に示すように、サーマルヘッド3は、インクリボン9の領域96に接触しながら、インクリボン9に対して上流側に相対移動する。同時に、記憶部71に記憶された印刷データに基づいて、サーマルヘッド3が加熱される。インクリボン9の領域96の温度は第2温度T2まで上昇し、印刷媒体Pの印刷面にインクが転写される。以上によって、1ブロック分の印刷イメージG1が印刷媒体Pに形成される。
印刷イメージG1が形成された後、サーマルヘッド3の加熱は停止される。図6(b)に示すように、サーマルヘッド3は、ヘッド位置3Cからヘッド位置3Dに移動する。以上によって、印刷イメージG1の印刷動作が完了する。印刷動作の実行中、印刷媒体P及びインクリボン9は停止した状態で維持される。
印刷イメージG1の印刷動作の終了後、印刷媒体Pは、媒体速度Vで下流側に搬送される。又、第1スプール21及び第2スプール22が回転することに応じ、インクリボン9もリボン速度vで下流側に搬送される。印刷媒体Pが所定距離L搬送された後、印刷媒体P及びインクリボン9の搬送は停止される。
次の1ブロック分の印刷動作が開始される。図6(c)に示すように、サーマルヘッド3は、ヘッド位置3Dからヘッド位置3Cに移動し、更に、インクリボン9の領域97に接触しながら、ヘッド位置3Cからヘッド位置3Bに向けて下流側にヘッド速度hで移動する。同時に、サーマルヘッド3が加熱され、インクリボン9の領域97の温度は第2温度T2まで上昇し、印刷媒体Pの印刷面にインクが転写される。以上によって、印刷イメージG2が印刷媒体Pに形成される。印刷イメージG2が形成された後、サーマルヘッド3の加熱は停止される。図6(d)に示すように、サーマルヘッド3は、ヘッド位置3Bからヘッド位置3Aに移動する。以上によって、印刷イメージG2の印刷動作が完了する。次の1ブロック分(印刷イメージG3)の印刷(図6(e)参照)の説明は省略する。
印刷装置1は、上記の1ブロック分ずつの印刷動作を、記憶部71に記憶された設定情報に含まれる規定回数繰り返す。これによって、印刷イメージG1、G2、G3・・・が印刷媒体Pに形成される。つまり、間欠モードでは、停止した状態のインクリボン9に対し、ヘッド速度hで搬送経路に沿ってヘッド位置3B、3C間を往復移動するサーマルヘッド3による加熱が行われる。これによって、停止した状態の印刷媒体Pに印刷イメージが形成される。
なお、上記の印刷の過程で、サーマルヘッド3によって加熱されていないインクリボン9が、供給ロール9Aから繰り出される。サーマルヘッド3によって加熱されたインクリボン9は、巻取ロール9Bに巻き取られる。
<メイン処理>
印刷装置1の制御部7は、リボン装着部2に装着されたリボンアッセンブリ90のインクリボン9の種別に応じた印刷条件を設定して印刷動作を実行することが好ましい。印刷条件の具体例として、サーマルヘッド3の加熱条件(加熱温度、加熱時間)、第1モータ81及び第2モータ82の駆動条件(回転速度、トルク)等が挙げられる。このため、制御部7は、リボン装着部2にリボンアッセンブリ90が装着された場合、後述するメイン処理(図7参照)を実行することによって、インクリボン9の種別を判定する。制御部7は、判定された種別のインクリボン9に応じた適切な印刷条件を設定し、印刷動作を行う。
図7を参照し、メイン処理について説明する。使用者は、印刷装置1のリボン装着部2にリボンアッセンブリ90を装着する。このとき、第2スプール22に装着される芯軸90Bに、ガイド軸63とサーマルヘッド3との距離の長さ以上のインクリボン9を含む巻取ロール9Bが巻回されていることを前提とする。なお、リボン装着部2にリボンアッセンブリ90を装着した時点で、ガイド軸63とサーマルヘッド3との距離の長さ以上のインクリボン9が巻取ロール9Bに含まれていない場合、第2スプール22側に、インクリボン9をガイド軸63とサーマルヘッド3との距離の長さ以上インクリボン9を巻き取る動作が実行される。リボンアッセンブリ90が装着されると、印刷装置1のガイド軸60及びサーマルヘッド3は、インクリボン9の露出面91A(図1参照)に接触する。使用者は、リボンアッセンブリ90が装着されたことを印刷装置1に通知するために、外部機器100の入力部に対して装着完了操作を入力する。装着完了操作が入力されると、印刷装置1は、第2スプール22の巻き取り量を調整することにより、インクリボン9の張力を所定の状態に保って待機する。メイン処理は、装着完了操作が、外部機器100の入力部を介して実行された場合、記憶部71に記憶されたプログラムを制御部7が読み出して実行することによって開始される。
はじめに制御部7は、記憶部71に記憶された設定情報を取得する。設定情報には、動作モード(連続モード又は間欠モード)、及び、後述する検出モード(第1検出モード又は第2検出モード)のそれぞれを示す情報が含まれる。制御部7は、動作モードとして連続モードが設定されているか判定する(S11)。制御部7は、連続モードを示す情報が設定情報に含まれている場合、連続モードが設定されていると判定する(S11:YES)。この場合、制御部7は、検出モードとして第1検出モードが設定されているか判定する(S13)。制御部7は、第1検出モードを示す情報が設定情報に含まれている場合、第1検出モードが設定されていると判定する(S13:YES)。この場合、制御部7は、装着されたリボンアッセンブリ90のインクリボン9の種別を判別するために、第1検出処理(図8参照)を実行する(S15)。第1検出処理の詳細は後述する。
一方、制御部7は、第2検出モードを示す情報が設定情報に含まれている場合、第2検出モードが設定されていると判定する(S13:NO)。この場合、制御部7は、装着されたリボンアッセンブリ90のインクリボン9の種別を判別するために、第2検出処理(図9参照)を実行する(S17)。第2検出処理の詳細は後述する。第1検出処理(S15)又は第2検出処理(S17)の終了後、制御部7はメイン処理を終了させる。
図8を参照し、第1検出処理を説明する。制御部7は、第3モータ83を駆動し、サーマルヘッド3をヘッド位置3A(図1参照)からヘッド位置3B(図1参照)まで移動させる(S31)。制御部7は、加熱部材6Aを加熱する(S33)。これによって、ガイド軸63(図10(a)参照)は加熱され、インクリボン9のうちガイド軸63に接触する部分51(図10(a)参照)は、第1温度T1まで上昇する。第1温度T1は、第2温度T2よりも小さい(T1<T2)。第1温度T1は、例えば、インクリボン9のインクの融点より低い温度であり、例えば30℃〜60℃程度である。第2温度T2は、例えば、インクリボン9のインクの融点以上の温度であり、例えば70℃〜200℃程度である。すなわち、第1温度T1は、第2温度T2の温度であるインクリボン9のインクの融点温度より10℃以上低い温度である。図10(a)に示すように、インクリボン9の部分51が加熱された場合、部分51の熱は、インクリボン9に沿って、ガイド軸64(図1参照)側及びサーマルヘッド3側に伝達する。このため、インクリボン9のうちヘッド位置3Bに配置されたサーマルヘッド3と接触する部分52の温度は、部分51が加熱されたことに応じて上昇する。
図8に示すように、制御部7は、S33の処理によって加熱部材6Aが加熱されてから所定時間経過後、サーマルヘッド3の温度センサ31(図1参照)から出力される信号に基づき、インクリボン9の部分52(図10(a)参照)の温度を検出する(S35)。制御部7は、連続モードに対応するテーブル71A(図4参照)を参照する。制御部7は、テーブル71Aにおいて、第1検出モードに対応する温度範囲のうち、S35の処理によって検出された温度を含む温度範囲を特定する。制御部7は更に、テーブル71Aにおいて、特定された温度範囲に対応する種別を特定する。制御部7は、特定された種別を、リボン装着部2に装着されたリボンアッセンブリ90のインクリボン9の種別として判定する(S37)。制御部7は、第1検出処理を終了させ、処理をメイン処理(図7参照)に戻す。
図9を参照し、第2検出処理を説明する。制御部7は、加熱部材6Aを加熱する(S41)。これによって、ガイド軸63(図10(b)参照)は加熱され、インクリボン9のうちガイド軸63に接触する部分51(図10(b)参照)は、第1温度T1まで上昇する。制御部7は、リボンアッセンブリ90の芯軸90A、90Bがそれぞれ反転方向に回転するように、第1モータ81及び第2モータ82を制御する。これによってインクリボン9は、搬送経路Rに沿って上流側に搬送される(S43)。図10(c)に示すように、制御部7は、S41(図9参照)の処理に応じてガイド軸63によって加熱されたインクリボン9の部分51が、ヘッド位置3Aに配置されたサーマルヘッド3に接触するまで、インクリボン9を上流側に搬送する。制御部7は、ヘッド位置3Aに配置されたサーマルヘッド3にインクリボン9の部分51が接触した状態となった場合、インクリボン9の搬送を停止させる。
図9に示すように、制御部7は、第3モータ83を駆動し、サーマルヘッド3をヘッド位置3A(図10(d)参照)からヘッド位置3B(図10(d)参照)まで移動させる(S45)。図10(d)に示すように、サーマルヘッド3がヘッド位置3Aからヘッド位置3Bまで移動する過程で、インクリボン9の部分51がサーマルヘッド3に接触した状態は維持される。
図9に示すように、制御部7は、サーマルヘッド3の温度センサ31(図1参照)から出力される信号に基づき、インクリボン9の部分51(図10(d)参照)の温度を検出する(S47)。制御部7は、連続モードに対応するテーブル71A(図4参照)を参照する。制御部7は、テーブル71Aにおいて、第2検出モードに対応する温度範囲のうち、S47の処理によって検出された温度を含む温度範囲を特定する。制御部7は更に、テーブル71Aにおいて、特定された温度範囲に対応する種別を特定する。制御部7は、特定された種別を、リボン装着部2に装着されたリボンアッセンブリ90のインクリボン9の種別として判定する(S49)。制御部7は、第2検出処理を終了させ、処理をメイン処理(図7参照)に戻す。
図7に示すように、制御部7は、間欠モードを示す情報が設定情報に含まれている場合、間欠モードが設定されていると判定する(S11:NO)。この場合、制御部7は、検出モードとして第1検出モードが設定されているか判定する(S19)。制御部7は、第1検出モードが設定されていると判定した場合(S19:YES)、第3検出処理(図11参照)を実行する(S21)。第3検出処理の詳細は後述する。一方、制御部7は、第2検出モードが設定されていると判定した場合(S19:NO)、第4検出処理(図12参照)を実行する(S23)。第3検出処理(S21)又は第4検出処理(S23)の終了後、制御部7はメイン処理を終了させる。
図11を参照し、第3検出処理を説明する。制御部7は、第3モータ83を駆動し、サーマルヘッド3をヘッド位置3A(図1参照)からヘッド位置3B(図1参照)まで移動させる(S51)。制御部7は、加熱部材6Aを加熱する(S53)。これによって、ガイド軸63(図13(a)参照)は加熱され、インクリボン9のうちガイド軸63に接触する部分51(図13(a)参照)は、第1温度T1まで上昇する。図13(a)に示すように、インクリボン9のうちヘッド位置3Bに配置されたサーマルヘッド3と接触する部分52の温度は、インクリボン9の部分51が加熱されたことに応じて上昇する。図11に示すように、制御部7は、S53の処理によって加熱部材6Aが加熱されてから所定時間経過後、サーマルヘッド3の温度センサ31(図1参照)から出力される信号に基づき、インクリボン9の部分52(図13(a)参照)の温度を検出する(S55)。以下、S55の処理によって検出された温度を、「第3温度」という。
制御部7は、第3モータ83を駆動し、サーマルヘッド3をヘッド位置3B(図10(b)参照)からヘッド位置3C(図10(b)参照)まで移動させる(S57)。図13(b)に示すように、インクリボン9のうちサーマルヘッド3に接触する部分は、ヘッド位置3Bに対応する部分52から、ヘッド位置3Cに対応する部分53に変更される。図11に示すように、制御部7は、サーマルヘッド3の温度センサ31(図1参照)から出力される信号に基づき、インクリボン9の部分53(図13(b)参照)の温度を検出する(S59)。以下、S59の処理によって検出された温度を、「第4温度」という。
制御部7は、間欠モードに対応するテーブル71B(図4参照)を参照する。制御部7は、テーブル71Bにおいて、第1検出モードに対応する第3温度範囲のうち、S55の処理によって検出された第3温度を含む第3温度範囲を特定する。制御部7は更に、テーブル71Bにおいて、特定された第3温度範囲に対応付けられた第4温度範囲のうち、S59の処理によって検出された第4温度を含む第4温度範囲を特定する。制御部7は更に、テーブル71Bにおいて、特定された第4温度範囲に対応する種別を特定する。制御部7は、特定された種別を、リボン装着部2に装着されたリボンアッセンブリ90のインクリボン9の種別として判定する(S61)。制御部7は、第3検出処理を終了させ、処理をメイン処理(図7参照)に戻す。
図12を参照し、第4検出処理を説明する。制御部7は、加熱部材6Aを加熱する(S71)。これによって、ガイド軸63(図13(c)参照)は加熱され、インクリボン9のうちガイド軸63に接触する部分51(図13(c)参照)は、第1温度T1まで上昇する。制御部7は、リボンアッセンブリ90の芯軸90A、90Bがそれぞれ反転方向に回転するように、第1モータ81及び第2モータ82を制御する。これによってインクリボン9は、搬送経路Rに沿って上流側に搬送される(S73)。図13(d)に示すように、制御部7は、加熱されたインクリボン9の部分51が、ヘッド位置3Aに配置されたサーマルヘッド3に接触するまで、インクリボン9を上流側に搬送する。制御部7は、ヘッド位置3Aに配置されたサーマルヘッド3にインクリボン9の部分51が接触した状態となった場合、インクリボン9の搬送を停止させる。
図12に示すように、制御部7は、第3モータ83を駆動し、サーマルヘッド3をヘッド位置3A(図13(e)参照)からヘッド位置3B(図13(e)参照)まで移動させる(S75)。図13(e)に示すように、サーマルヘッド3がヘッド位置3Aからヘッド位置3Bまで移動する過程で、インクリボン9の部分51がサーマルヘッド3に接触した状態は維持される。図12に示すように、制御部7は、サーマルヘッド3の温度センサ31(図1参照)から出力される信号に基づき、インクリボン9の部分51(図13(e)参照)の温度を検出する(S77)。以下、S77の処理によって検出された温度を、第3検出処理(図11参照)の場合と同様、「第3温度」という。
制御部7は、第3モータ83を駆動し、サーマルヘッド3をヘッド位置3B(図13(f)参照)からヘッド位置3C(図13(f)参照)まで移動させる(S79)。図13(f)に示すように、インクリボン9のうちサーマルヘッド3に接触する部分は、ヘッド位置3Bに対応する部分51から、ヘッド位置3Cに対応する部分54に変更される。図12に示すように、制御部7は、サーマルヘッド3の温度センサ31(図1参照)から出力される信号に基づき、インクリボン9の部分54(図13(f)参照)の温度を検出する(S81)。以下、S81の処理によって検出された温度を、第3検出処理(図11参照)の場合と同様、「第4温度」という。
制御部7は、間欠モードに対応するテーブル71B(図4参照)を参照する。制御部7は、テーブル71Bにおいて、第2検出モードに対応する第3温度範囲のうち、S77の処理によって検出された第3温度を含む第3温度範囲を特定する。制御部7は更に、テーブル71Bにおいて、特定された第3温度範囲に対応付けられた第4温度範囲のうち、S81の処理によって検出された第4温度を含む第4温度範囲を特定する。制御部7は更に、テーブル71Bにおいて、特定された第4温度範囲に対応する種別を特定する。制御部7は、特定された種別を、リボン装着部2に装着されたリボンアッセンブリ90のインクリボン9の種別として判定する(S83)。制御部7は、第4検出処理を終了させ、処理をメイン処理(図7参照)に戻す。
制御部7は、メイン処理の終了後、判定されたインクリボン9の種別に応じた印刷条件を決定する。制御部7は、印刷動作を開始する指示が外部機器100を介して入力された場合、決定された印刷条件で駆動することによって、印刷動作を実行する。
<本実施形態の主たる作用、効果>
印刷装置1は、加熱部材6Aがガイド軸63を介してインクリボン9を加熱し(S33、S41、S53、S71)、加熱されたインクリボン9の温度を、サーマルヘッド3に設けられた温度センサ31によって検出する(S35,S47、S55,S59,S77、S81)。なお、インクリボン9における熱の伝達特性や断熱特性は、インクリボン9の種別(材料、厚さ、幅等)に応じて異なる。このため、印刷装置1は、温度センサ31によって検出される温度に基づき、テーブル71A、71Bを参照することによって、インクリボン9の種別を判定できる。印刷装置1は、インクリボン9の種別に応じた印刷条件を設定して印刷動作を行うことによって、印刷不良の発生を防止できる。例えば、判定されたインクリボン9の種別から、材質や厚さが特定可能である場合、材質や厚さに応じて、サーマルヘッド3に設定する加熱温度が変更されてもよい。
印刷装置1において、加熱部材6Aはガイド軸63を介してインクリボン9を加熱する。インクリボン9の温度は、サーマルヘッド3に設けられた温度センサ31によって検出される。つまり、加熱部材6A及び温度センサ31は、何れも、一般的な印刷装置が有する周知の構成(サーマルヘッド及びガイド)に設けられる。このため、加熱部材6A及び温度センサ31は、それぞれ、インクリボン9のうちサーマルヘッド3及びガイド軸60によってインクリボン9の加熱および搬送のために圧力が付与される位置以外の位置で、インクリボン9に新たな圧力を付与しない。従って印刷装置1は、インクリボン9の加熱、及び、インクリボン9の温度検出の過程でインクリボン9の張力が変化することを抑制できるので、張力の変化が印刷品質に影響を及ぼすことを防止できる。
インクリボン9は、コーティング層91、基材層92、剥離層93、インク層94、及び、接着層95が順番に積層された構成を有する。サーマルヘッド3は、インクリボン9の露出面91A、95Aのうち、基材層92に対してインク層94と反対側の露出面91Aに接触する。このため、印刷装置1は、サーマルヘッド3によりインクリボン9を加熱することによって、インク層94のインクを印刷媒体Pに適切に転写させることができる。又、加熱部材6Aによって加熱されるガイド軸63も同様に、インクリボン9の露出面95Aに接触する。つまり、インクリボン9のインク層94は、基材層92を介して加熱されることになる。これによって、印刷装置1は、インクリボン9のインク層94がガイド軸63によって直接的に加熱されることを防止できる。このため、印刷装置1は、インク層94がガイド軸63によって加熱された場合にインク層94のインクが溶融することを抑制できる。
加熱部材6Aは、ガイド軸63を介してインクリボン9を第1温度T1まで加熱させる。又、サーマルヘッド3は、インクリボン9を第2温度T2まで加熱させることによって、インクを溶融させ、印刷媒体Pにインクを転写する。ここで、制御部7は、第1温度T1が第2温度T2よりも小さくなるように、加熱部材6Aの加熱温度を制御する。この場合、印刷装置1は、加熱部材6Aがガイド軸63を介してインクリボン9を加熱した場合に、インクリボン9のインクが溶融することを防止できる。
加熱部材6Aは、ガイド軸60のうちサーマルヘッド3に最も近接するガイド軸63を介してインクリボン9を加熱する。この場合、印刷装置1は、ガイド軸63により加熱されたインクリボン9の温度を、サーマルヘッド3に設けられた温度センサ31によって効率的に検出できる。
印刷装置1において、インクリボン9のうちサーマルヘッド3に接触する部分よりも第1スプール21側の部分が、サーマルヘッド3によって加熱され、印刷が行われる。一方、インクリボン9のうちサーマルヘッド3に接触する部分よりも第2スプール22側の部分は、サーマルヘッド3により加熱されず、印刷時に使用されない。これに対し、加熱部材6Aによって加熱されるガイド軸63は、インクリボン9のうちサーマルヘッド3に接触する部分よりも第2スプール22側の部分に接触し、この部分を加熱する。このため、印刷装置1は、インクリボン9のうちガイド軸63によって加熱された部分がサーマルヘッド3によって加熱されることで印刷が行われることを抑制できる。従って、印刷装置1は、インクリボン9からのインクの転写不良等の発生を抑制できるので、印刷品質を維持できる。
印刷装置1は、連続モードが設定されている場合(S11:YES)、ヘッド位置3Bにサーマルヘッド3が配置された状態で、インクリボン9の温度を検出する(S35、S47)。印刷装置1は、検出された温度に基づき、テーブル71Aを用いてインクリボン9の種別を判定する(S37、S49)。ここで、ヘッド位置3Bは、ヘッド位置3Cよりもガイド軸63に近接する。つまり、インクリボン9の加熱部分により近い位置で、インクリボン9の温度が検出される。従って、印刷装置1は、インクリボン9の温度を適切に検出できるので、インクリボン9の種別を正確に判定できる。
印刷装置1は、間欠モードが設定されている場合(S11:NO)、ヘッド位置3B、3Cにサーマルヘッド3が配置されたそれぞれの状態で、インクリボン9の温度を検出する(S55、S59、S77、S81)。印刷装置1は、2つの検出結果(第3温度及び第4温度)に基づき、テーブル71Bを用いてインクリボン9の種別を判定する(S61、S83)。この場合、印刷装置1は、熱の伝達特性を示す2つのパラメータに基づいてインクリボン9の種別を判定できるので、第1検出モードの場合よりも正確にインクリボン9の種別を判定できる。
印刷装置1は、第1検出モードが設定されている場合(S13:YES、S19:YES)、インクリボン9の部分51をガイド軸63によって加熱する(S33、S53)。この場合、インクリボン9を熱が伝達することによって、インクリボン9の部分52の温度が上昇する。印刷装置1は、インクリボン9の部分52の温度を検出し(S35、S55、S59)、インクリボン9の種別を判定する(S37、S61)。なお、インクリボン9の部分51から部分52まで熱が伝達されるときの伝達特性は、インクリボン9の種別に応じて異なる。このため、印刷装置1は、検出される温度に応じた伝達特性に基づいて、インクリボン9の種別を適切に判定できる。
印刷装置1は、第2検出モードが設定されている場合(S13:NO、S19:NO)、インクリボン9のうちガイド軸63によって加熱された部分51がサーマルヘッド3に接触するまで、インクリボン9を上流側に搬送する(S43、S73)。印刷装置1は、インクリボン9の搬送後、インクリボン9の部分51を、サーマルヘッド3に設けられた温度センサ31によって検出する。従って、印刷装置1は、例えばインクリボン9において熱が伝わり難い環境(例えば低温環境)で印刷装置1が称される場合でも、インクリボン9の温度を適切に検出できる。なお、インクリボン9の断熱特性、言い換えれば、インクリボン9が加熱後に冷却する時の温度特性は、インクリボン9の種別に応じて異なる。このため、印刷装置1は、検出される温度に応じた断熱特性に基づいて、インクリボン9の種別を適切に判定できる。
<変形例>
本発明は上記実施形態に限定されず、種々の変更が可能である。ガイド軸60は、インクリボン9の露出面95A、即ち、インクリボン9のうちインク層94側の露出面に接触してもよい。インクリボン9の構成は、上記実施形態に限定されない。例えば、インクリボン9は、基材層92及びインク層94のみがそれぞれ積層された構成であってもよい。加熱部材6Aによってガイド軸63を介してインクリボン9が加熱されたときのインクリボン9の温度(第1温度T1)は、サーマルヘッド3によってインクリボン9が加熱されたときのインクリボン9の温度(第2温度T2)よりも大きくてもよい。
加熱部材6Aは、ガイド軸63以外の他のガイド軸60(例えば、ガイド軸62、64)に設けられてもよい。加熱部材6Aは、2つ以上のガイド軸60に設けられてもよい。
制御部7は、連続モード且つ第1検出モードが設定された場合において(S13:YES)、サーマルヘッド3がヘッド位置3Bに配置された状態で、温度センサ31によってインクリボン9の温度を検出した(S35)。これに対し、制御部7は、サーマルヘッド3がヘッド位置3A、3C、3Dの何れかに配置された状態で、温度センサ31によってインクリボン9の温度を検出してもよい。制御部7は、ヘッド位置3B、3Cの間の何れかの位置、つまり、ヘッド位置3Bよりも上流側且つヘッド位置3Cよりも下流側の位置にサーマルヘッド3が配置された状態で、温度センサ31によってインクリボン9の温度を検出してもよい。この場合、サーマルヘッド3は、温度が検出される位置よりも下流側のヘッド位置3Bまで移動可能となる。
制御部7は、間欠モード且つ第1検出モードが設定された場合において(S19:YES)、サーマルヘッド3がヘッド位置3B、3Cのそれぞれに配置された状態で、温度センサ31によってインクリボン9の温度を検出した(S55、S59)。これに対し、制御部7は、ヘッド位置3B、3Cの間の2つの位置、つまり、ヘッド位置3Bよりも上流側且つヘッド位置3Cよりも下流側の2つの位置のそれぞれにサーマルヘッド3が配置された状態で、温度センサ31によってインクリボン9の温度を検出してもよい。この場合、サーマルヘッド3は、温度が検出される2つの位置を経由して、ヘッド位置3B、3C間を移動可能となる。
制御部7は、連続モードが設定された場合(S11:YES)において、第1検出処理(S15)の代わりに第3検出処理を実行してもよいし、第2検出処理(S17)の代わりに第4検出処理を実行してもよい。制御部7は、間欠モードが設定された場合(S11:NO)において、第3検出処理(S21)の代わりに第1検出処理を実行してもよいし、第4検出処理(S23)の代わりに第2検出処理を実行してもよい。また、制御部7は、第1検出処理〜第4検出処理のうち、複数種類の検出処理を行ってもよい。制御部7は、複数種類の検出処理により検出された複数の検出結果の中から、検出結果に温度範囲が合致するインクリボン9の種別候補を絞り込み、インクリボン9の種別を特定してもよい。
制御部7は、温度センサ31によって検出された温度に基づき、テーブル71A、71Bを用いずにインクリボン9の種別を判定してもよい。例えば制御部7は、インクリボン9の温度を複数回検出してもよい。制御部7は、複数回検出された温度の変化に基づき、温度の低下速度を算出してもよい。制御部7は、算出された低下速度に基づいて、インクリボン9の種別を判定してもよい。
制御部7は、検出されるインクリボン9の温度と他の要因とに基づき、インクリボン9の種別を判定してもよい。他の要因とは、インクリボン9の種類を絞り込む要因となる少なくとも1つの情報であって、1種のインクリボン9に特定できない情報である。具体的には、インクリボン9の材料、厚さ、幅等に関する少なくとも1つの情報や、インクリボン9の複数種類に共通する型番の一部等であってよい。インクリボン9の材料は、例えば、色や、光沢の有無等である。厚さや幅は、例えば、おおよその数値であってもよい。インクリボン9の種類を絞り込む要因となる情報は、例えば、印刷装置1に対してユーザにより設定される。検出されるインクリボン9の温度と他の要因とを用いれば、制御部7は、多種のインクリボンのうち、2種以上が同様の温度検出の特性を有する場合であっても、インクリボン9の種類を絞り込むことができる。より具体的には、制御部7は、他の要因の情報により絞り込まれた特定の複数種類のインクリボン9の中から、温度センサ31により検出された温度と同様の特性を有するインクリボン9を特定することにより、インクリボン9の種別を特定できる。
制御部7は、第2検出モードが設定された場合において、インクリボン9のうち加熱部材6Aによって加熱された部分51がサーマルヘッド3に接触するまで、インクリボン9を上流側に搬送した(S43、S73)。これに対し、制御部7は、インクリボン9の部分51がサーマルヘッド3に隣接する位置まで、インクリボン9を上流側に搬送してもよい。つまり、インクリボン9が上流側に搬送された後の部分51の位置は、サーマルヘッド3に接触しなくてもよい。
<その他>
供給ロール9Aは、本発明の「リボンロール」の一例である。ガイド軸60は、本発明の「ガイド」の一例である。ガイド軸63は、本発明の「加熱ガイド」の一例である。第1モータ81及び第2モータ82は、本発明の「搬送機構」の一例である。S35、S47、S55、S59、S77、S81の処理を行う制御部7は、本発明の「検出手段」の一例である。S37、S49、S61、S83の処理を行う制御部7は、本発明の「判定手段」の一例である。S35、S47、S55、S77の処理を行う制御部7は、本発明の「第1検出手段」の一例である。S59、S81の処理を行う制御部7は、本発明の「第2検出手段」の一例である。S43、S73の処理を行う制御部7は、本発明の「搬送手段」の一例である。S71の処理を行う制御部7は、本発明の「加熱手段」の一例である。
1 :印刷装置
2 :リボン装着部
3 :サーマルヘッド
3A、3B、3C、3D :ヘッド位置
6A :加熱部材
7 :制御部
9 :インクリボン
9A :供給ロール
9B :巻取ロール
21 :第1スプール
22 :第2スプール
31 :温度センサ
60、61、62、63、64 :ガイド軸
81 :第1モータ
82 :第2モータ
90 :リボンアッセンブリ
91A :露出面
92 :基材層
94 :インク層
95A :露出面
R :搬送経路

Claims (10)

  1. インクリボンが巻回されたリボンロールを装着可能な装着部と、
    前記装着部に装着された前記リボンロールから繰り出される前記インクリボンに接触し、所定の搬送経路に沿って前記インクリボンを案内する少なくとも1つのガイドと、
    前記少なくとも1つのガイドのうち何れかである加熱ガイドを介して、前記加熱ガイドによって案内される前記インクリボンを加熱する加熱部材と、
    前記搬送経路に沿って前記インクリボンを搬送する搬送機構と、
    前記搬送経路に配置され、温度センサを有するサーマルヘッドと、
    前記加熱部材により加熱された前記インクリボンの温度を前記温度センサによって検出する検出手段と、
    前記検出手段によって検出された温度に基づいて、前記インクリボンの種別を判定する判定手段と
    を備えたことを特徴とする印刷装置。
  2. 前記インクリボンは、基材で形成された基材層、及び、インクが設けられたインク層が積層される構成であり、
    前記加熱ガイド及び前記温度センサは、前記インクリボンの2つの露出面のうち前記基材層に対して前記インク層と反対側の露出面に接触することを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
  3. 前記加熱部材は、前記加熱ガイドを介して前記インクリボンを第1温度まで上昇させ、前記サーマルヘッドは、前記インクリボンを第2温度まで上昇させ、
    前記第1温度は前記第2温度よりも小さいことを特徴とする請求項1又は2に記載の印刷装置。
  4. 複数の前記ガイドを有し、
    前記加熱ガイドは、前記複数のガイドのうち、前記搬送経路に沿った方向において前記サーマルヘッドに最も近接する位置に設けられることを特徴とする請求項1から3の何れかに記載の印刷装置。
  5. 前記装着部は、
    前記サーマルヘッドにより加熱されていない前記インクリボンの前記リボンロールを装着可能な第1スプール、及び、前記リボンロールから繰り出され且つ前記サーマルヘッドにより加熱された前記インクリボンが巻き取られる第2スプールを有し、
    前記搬送機構は、前記装着部に装着された前記インクリボンを前記第1スプールから前記第2スプールに向けて搬送し、
    前記加熱ガイドは、
    前記インクリボンのうち前記サーマルヘッドに隣接する位置と前記第2スプールに巻き取られる位置との間の何れかの部分に接触することを特徴とする請求項1から4の何れかに記載の印刷装置。
  6. 前記サーマルヘッドは、前記搬送経路に沿って前記加熱ガイドから第1距離離隔した第1位置と、前記搬送経路に沿って前記加熱ガイドから前記第1距離よりも大きい第2距離離隔した第2位置とを経由し、前記搬送経路に沿って往復移動可能であり、
    前記検出手段は、
    前記第1位置、又は、前記第1位置よりも前記加熱ガイドに近接する位置に配置された前記サーマルヘッドの前記温度センサにより、前記インクリボンの温度を検出する第1検出手段を備え、
    前記判定手段は、前記第1検出手段によって検出された第3温度に基づいて、前記インクリボンの種別を判定することを特徴とする請求項1から5の何れかに記載の印刷装置。
  7. 前記第1検出手段は、前記第1位置に配置された前記サーマルヘッドの前記温度センサにより前記第3温度を検出し、
    前記検出手段は、
    前記第2位置に配置された前記サーマルヘッドの前記温度センサにより前記インクリボンの温度を検出する第2検出手段を更に備え、
    前記判定手段は、前記第1検出手段によって検出された前記第3温度、及び、前記第2検出手段によって検出された第4温度に基づいて、前記インクリボンの種別を判定することを特徴とする請求項6に記載の印刷装置。
  8. 前記搬送機構によって、前記搬送経路に沿って前記加熱ガイドから前記サーマルヘッドに向かう方向に前記インクリボンを搬送する搬送手段を備え、
    前記検出手段は、
    前記搬送手段によって前記インクリボンが搬送された後、前記インクリボンの温度を前記サーマルヘッドの前記温度センサによって検出することを特徴とする請求項1から7の何れかに記載の印刷装置。
  9. 前記搬送手段は、
    前記インクリボンのうち前記加熱ガイドによる加熱部分が、前記サーマルヘッドに隣接するまで、前記インクリボンを搬送することを特徴とする請求項8に記載の印刷装置。
  10. 前記加熱部材により、前記インクリボンを加熱する加熱手段と、
    前記加熱手段により加熱された前記インクリボンを、前記搬送機構により搬送する搬送手段と
    を備え、
    前記検出手段は、前記搬送手段により搬送された前記インクリボンの温度を検出し、
    前記判定手段は、前記検出手段によって検出された温度に基づいて、前記インクリボンの種別を判定することを特徴とする請求項1から7の何れかに記載の印刷装置。
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