JP2018140565A - 金属板貼り合わせ成形加工用積層フィルム - Google Patents

金属板貼り合わせ成形加工用積層フィルム Download PDF

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直子 吉堂
直希 伊與
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直希 伊與
真哉 渡邊
Shinya Watanabe
真哉 渡邊
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Abstract

【課題】耐レトルトブラシッング性と紋り成形やしごき成形等の厳しい高次加工性と蓋巻き締め部の耐削れ性に優れる金属板貼り合わせ成形加工用二軸延伸ポリエステルフィルムの提供。【解決手段】ポリエステル層Aは融点215〜223℃のポリブチレンテレフタレート(PBT)(a1)24〜35質量%、融点244〜252℃のポリエチレンテレフタレート(PET)(a2)64〜75質量%、ワックス(a3)0.01〜1.0質量%を含み、ポリエステル層Bは融点215〜223℃のPBT(b1)55〜75質量%、融点244〜252℃のPET(b2)30〜45質量%、ワックス0.01質量%未満含み、層Aと層Bの厚み比Ta/Tbが1/20〜2/8、層A樹脂組成物の290℃3分溶融保持、冷却後の昇温時結晶化ピークが112℃以下、融解ピークが236〜245℃である、層Aに層Bを積層した金属板貼り合わせ成形加工用二軸延伸フィルム。【選択図】なし

Description

本発明は、金属板に貼り合わせて成形加工するための積層フィルムに関する。
金属缶には内外面の腐蝕防止として一般に塗装が施されているが、近年、工程簡素化、衛生性向上、公害防止の目的で、有機溶剤を使用せずに防錆性を得る方法の開発が進められ、その一つとして熱可塑性樹脂フィルムによる金属缶の被覆が試みられている。すなわち、ブリキ、ティンフリースチール、アルミニウム等の金属板に熱可塑性樹脂フィルムをラミネートした後、絞り加工等により製缶する方法の検討が進められている。
特に、ポリエチレンテレフタレートフィルムは、バランスのとれた特性を有するフィルムとして注目され、これをベースとした幾つもの提案がなされてきた。
中でも、缶外面用として用いられるフィルムにおいては、製缶後のレトルト殺菌処理(通常120〜130℃のスチーム処理)時にフィルム表面に水滴が付着し、ラミネート時に溶融して非晶状態となったフィルムまたはその表面が該水滴付着部分で結晶化して白斑が発生する、所謂“レトルトブラッシング”により商品の美観が損なわれる現象が非常に嫌われているため、このような現象の起こらないフィルムの開発が強く望まれており、以下の文献1〜6の提案がなされてきた。
絞り成形やしごき成形等の高次加工性に優れる金属ラミネート用ポリエステルフィルムとして、特許文献1には、ポリブチレンテレフタレートを主体とするポリエステルとポリエチレンテレフタレートを主体とするポリエステル、および低分子量ポリマーからなるフィルムが提案されている。また、特許文献2には、融点を規定したポリブチレンテレフタレート、またはこれを主体とするポリエステル(A)とポリエチレンテレフタレート、またはこれを主体とするポリエステル(B)とからなるフィルムのエステル交換指数を特定したもの、特許文献3には、該(A)、(B)のフィルムの非晶状態から昇温結晶化ピーク温度と比熱容量を特定したフィルムが提案されている。
また、金属板との密着性、成形加工性、ラミネート後の光沢感およびレトルト後の外観に優れるものとして、特許文献4では、非球状の粒子を含有した表層Aと金属と接する層Bの2層からなり、下層Bは、特定の融点を有するポリエチレンテレフタレートとポリブチレンテレフタレートであり、表層Aは、特定の融点を有するポリエチレンテレフタレートが提案されている。
さらに、特許文献5および6には、金属板との熱ラミネート性、製缶時の絞り加工性および、保味保香性び白度に優れたフィルムとして、表層Aと金属と接する層Bの2層からなり、表層Aおよび下層Bは、特定の融点を有するポリエチレンテレフタレートとポリブチレンテレフタレートが提案されている。
最近では、缶の小径化や缶体の薄肉化に伴い、金属に貼り合わせた際の成形加工性がより重要視され、特に絞り成形やしごき成形等の厳しい高次加工性や蓋巻き締め加工性を備え、且つラミネート後の耐レトルトブラシング性を両立する積層フィルムが切望されているが、これまでに上記の課題を解決した積層フィルムはまだ得られていない。
特開2003−238780号公報 特開2002−88233号公報 特開2001−335682号公報 特開2007−203569号公報 特開2002−178471号公報 特開2003−231231号公報
本発明の目的は、絞り成形やしごき成形等の厳しい高次加工において、ポリエステル層Aの片面にポリエステル層Bを積層した二軸延伸積層フィルムの耐レトルトブラシッング性を維持し、且つ蓋巻き締め部の加工性にも優れるフィルムを提供することである。
本発明者らはこの目的を達成せんとして鋭意研究を重ねた結果、下記ポリエステル層Aの片面にポリエステル層Bを積層した二軸延伸積層フィルムにおいて、表層Aを高融点のポリエチレンテレフタレートと少量のポリブチレンテレフタレートを用い、他方金属と接する層Bを低融点のポリエチレンテレフタレートと大量のポリブチレンテレフタレートを用いることにより、上記課題を解決できることを見出し本発明に到達した。
すなわち、本発明は、
1.ポリエステル層Aの片面にポリエステル層Bを積層した二軸延伸フィルムであつて、
ポリエステル層Aは、20℃/minで昇温したときの融点が、215〜223℃のポリブチレンテレフタレート(a1)、融点が244〜252℃のポリエチレンテレフタレート(a2)およびワックス(a3)を、それぞれポリブチレンテレフタレート(a1)24〜35質量%、ポリエチレンテレフタレート(a2)64〜75質量%およびワックス(a3)0.01〜1.0質量%の範囲で含有し、
ポリエステル層Bは、20℃/minで昇温したときの融点が215〜223℃のポリブチレンテレフタレート(b1)および融点が244〜252℃のポリエチレンテレフタレート(b2)を該層の質量を基準として、ポリブチレンテレフタレート(b1)が55〜70質量%、ポリエチレンテレフタレート(b2)が30〜45質量%の範囲で含有し、且つワックスの含有量が0.01質量%未満の範囲であること、そして、
ポリエステル層Aの厚みTaとポリエステル層Bの厚みTbの比Ta/Tbが1/20
〜2/8であり、且つフィルムの熱特性が下記(a)の条件を満足することを特徴とする、金属板貼り合わせ成形加工用積層フィルム。
(a)ポリエステル層Aの樹脂組成物を290℃で3分間溶融保持した後に冷却し、その後20℃/minで昇温したときの結晶化ピーク温度が112℃以下で、且つ、236〜245℃の範囲に少なくとも1つの融解ピークが存在する。
2.ポリエステル層Aのガラス転移温度からポリエステル層Bのガラス転移温度を差し引いた温度差が12〜18℃の範囲である前記1記載の金属板貼り合わせ成形加工用積層フィルム。
3.ポリエステル層Aとポリエステル層Bの固有粘度がそれぞれ0.56〜0.66dl/gと0.70〜0.80dl/gの範囲である前記1記載の金属板貼り合わせ成形加工用積層フィルム。
4.ポリエステル層Aとポリエステル層Bの固有粘度の差が、0.2dl/g以下である前記1記載の金属板貼り合わせ成形加工用積層フィルム。
5.融解サブピークが、180〜195℃の範囲にある前記1記載の金属貼り合わせ成形加工用積層フィルム。
6.層B側が金属と接するように貼り合わせて用いられる前記1記載の金属板貼り合わせ成形加工用積層フィルム。
本発明によれば、絞り成形やしごき成形等の厳しい高次加工において、ポリエステル層Aの片面にポリエステル層Bを積層した二軸延伸積層フィルムの耐レトルトブラシッング性を維持し、且つ蓋巻き締め加工性に優れるフィルムを提供することができる。
以下、本発明をさらに詳しく説明する。
[ポリエステル層A]
本発明におけるポリエステル層Aは、フィルムを金属板と貼り合わせた際に非金属側となる層である。ポリエステル層Aを構成するポリエステルは、20℃/minで昇温したときの融点が、215〜223℃のポリブチレンテレフタレート(a1)と融点が、244〜252℃のポリエチレンテレフタレート(a2)およびワックス(a3)を、それぞれポリブチレンテレフタレート(a1)24〜35質量%、ポリエチレンテレフタレート(a2)64〜75質量%およびワックス(a3)0.01〜1.0質量%の範囲で含有するポリエステル組成物である。
ポリブチレンテレフタレート(a1)の20℃/minで昇温したときの融点は、好ましくは、218〜223℃である。融点が215℃未満では、フィルムが結晶性の低いものになり、結果として耐熱性が不足する。
他方、ポリエチレンテレフタレート(a2)の20℃/minで昇温したときの融点は、好ましくは、246〜252℃である。融点が、244℃未満では、フィルムの耐熱性が低下するほか、120〜130℃の殺菌処理工程においてレトルト処理を施した際にフィルムが白化してしまい外観が損なわれる。融点が252℃を越える場合は、フィルムと金属板の密着性が乏しくなり、高度な加工を加えたりその後レトルト処理を施すと、フィルムが金属板から浮いたり剥れたりして好ましくない。
また、ポリエステル層Aの樹脂組成物は、290℃で3分間溶融保持した後に急冷し、その後20℃/minで昇温したときの結晶化ピーク温度が112℃以下で、236〜245℃の範囲に少なくとも1つの融解ピークが存在することが必要である。好ましくは、結晶化ピーク温度が110℃以下、融解ピークの範囲が238〜245℃である。結晶化ピークが、112℃を超える場合は、レトルト処理後にフィルムに白化が発生する。また、融解ピーク温度が236℃未満の場合は、フィルムが耐熱性に劣るものとなってしまい、245℃を超えるとフィルムと金属板の密着性が低下し好ましくない。
層Aのポリエステル組成物は、ポリブチレンテレフタレート(a1)とポリエチレンテレフタレート(a2)とワックス(a3)の配合比が、24〜35質量%と64〜75質量%と0.01〜1質量%である。好ましくは29〜35質量%と65〜71質量%、0.05〜0.3質量%である。ポリブチレンテレフタレート(a1)の配合比が24質量%未満の場合は、フィルムの結晶性が低くレトルト処理後にフィルムが白化してしまう。他方、(a1)の配合比が35質量%を超える場合は、フィルム中の低分子成分がレトルト処理時にポリエステル層Aを通りぬけ、フィルム表面に析出し、缶の外観が悪くなるという問題が生じる。また、ワックス(a3)の配合比が0.01質量%未満の場合は結晶核剤としての効果が不十分であり、フィルムのレトルト処理による白化が起きやすくなる。他方、1質量%を超えると過剰品質になるばかりか、製膜やラミネート、製缶の工程でワックスがブリードアウトし工程を汚染してしまう。
なお、レトルト処理後にフィルムが白化することを防ぐことを目的として、リン化合物に代表される公知の安定剤を添加し、ポリブチレンテレフタレート(a1)とポリエチレンテレフタレート(a2)のエステル交換反応を抑制し、結晶化速度を向上させてもよい。リン化合物としては、例えばトリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリ−n−ブチルホスフェート、正リン酸を挙げることができる。
[ポリエステル層B]
本発明におけるポリエステル層Bは、フィルムを金属板と貼り合わせた際に金属板側になる層である。ポリエステル層Bを構成するポリエステルは、20℃/minで昇温したときの融点が、215〜223℃のポリブチレンテレフタレート(b1)と 20℃/minで昇温したときの融点が244〜252℃のポリエチレンテレフタレート(b2)から成るポリエステル組成物から構成される。
ポリブチレンテレフタレート(b1)の20℃/minで昇温したときの融点は、好ましくは、218〜223℃である。融点が、215℃未満では、フィルムの耐熱性が低下する。
他方、ポリエチレンテレフタレート(b2)の20℃/minで昇温したときの融点は、好ましくは246〜252℃である。融点が244℃未満ではフィルムの耐熱性が低下するほか、殺菌処理工程等において120〜130℃でレトルト処理を施した際にフィルムが白化してしまい外観が損なわれる。融点が252℃を越えるとポリマーの結晶性が大きすぎて金属板への密着性と成形加工性が損なわれる。
層Bのポリエステル組成物は、ポリブチレンテレフタレート(b1)とポリエチレンテレフタレート(b2)の配合比が、55〜70/30〜45質量%である。
好ましくは、60〜65/35〜40質量%である。ポリブチレンテレフタレート(b1)の配合比が55質量%未満の場合は、フィルムの結晶性が低くレトルト処理後にフィルムが白化してしまう。
他方、(b1)の配合比が70質量%を越える場合は、フィルムの結晶化速度が速くなりすぎて安定した製膜が出来ず好ましくない。
層Bのポリエステル組成物中にもワックス成分を含有しても構わないが、その含有量はポリエステル組成物中に0.01質量%未満でなければならない。ワックス含有量が0.01質量%以上の場合、フィルムと金属板との密着性が低下してしまう。
なお、レトルト処理後のフィルム白化抑制の目的として、リン化合物に代表される公知の安定剤を添加し、ポリブチレンテレフタレート(b1)とポリエチレンテレフタレート(b2)のエステル交換反応を抑制し、結晶化速度を向上させてもよい。リン化合物としては、例えばトリメチルホスフェート、トリエチレンホスフェート、トリーnーブチルホスフェート、正リン酸を挙げることができる。
ポリエステル層Bには、本発明の目的を損なわない範囲において、必要に応じ、その他の添加剤、例えば着色剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤を添加してもよい。特に、外観上の高級感を得るためにゴールド色の着色を施す場合があり、この目的のためにフィルムに着色剤、特に黄色着色剤を添加することができる。黄色着色剤としては、アンスラキノン系、イソインドリノン系、ベンズイミダゾロン系、キノフタロン系、縮合アゾ系が好ましい。着色剤としては色調を調整するために、他の成分を併用しても良いが、耐熱性の良好なものが好ましく、またその用途上食品衛生面での安全性が認められているものが好ましい。
各層に添加するワックス成分やその他添加剤は、原料樹脂の重合工程にて含有させてもよく、高濃度のマスターチップを例えば二軸押出機を用いて製造しておき、添加剤未含有のチップで希釈することにより、所望の濃度の添加剤を含有する樹脂組成物を得てもよい。また、例えばスクリューフィーダーを用いて、製膜工程の押出機に添加剤を粉体のままで直接含有させてもよい。
[ポリエチレンテレフタレート]
本発明におけるポリステル層Aのポリエチレンテレフタレート(a2)およびポリエステルB層のポリエチレンテレフタレート(b2)は、テレフタル酸をジカルボン酸成分、エチレングリコールをジオール成分としてなるポリエステルである。これらのポリエステルには、本発明の効果が損なわれない範囲で他の成分を共重合してもよく、共重合成分は酸成分でもジオール成分でもよい。共重合ジカルボン酸成分として、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸の如き芳香族ジカルボン酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸の如き脂肪族ジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸の如き脂環族ジカルボン酸を例示することができる。また共重合ジオール成分として、ブタンジオール、ヘキサンジオールの如き脂肪族ジオール、シクロヘキサンジメタノールの如き脂環族ジオールを例示することができる。これらは単独で用いてもよく、二種以上を用いてもよい。
ポリエチレンテレフタレート(a2)の共重合成分の割合は、結果としてポリマーを20℃/minで昇温したときの融点が244〜252℃の範囲になる割合である。ポリエチレンテレフタレート(b2)の共重合成分の割合も、結果としてポリマーを20℃/minで昇温したときの融点が244〜252℃の範囲になる割合である。
これらの条件を満たすポリエチレンテレフタレート(a2)(b2)を得るためには、いずれも、ジカルボン酸成分としてイソフタル酸成分を0〜3モル%とすることが好ましく例示できる。イソフタル酸を前記範囲で共重合することにより、金属板との密着性を更に良好なものとすることができる。イソフタル酸成分が上限を越えるとレトルト後にフィルムが白化しやすくなり、レトルト後の外観が損なわれる場合があり好ましくない。
ポリエチレンテレフタレート(a2)とポリエチレンテレフタレート(b2)の固有粘度はいずれも0.55〜0.85であることが好ましい。固有粘度が0.55未満ではポリブチレンテレフタレートと均一な混練が難しくなり、均質なフィルムが得られ難くなり、製膜性が低下したり、機械的強度が低下し易く好ましくない。他方、0.85を超えると成形加工性が損なわれ易く好ましくない。
なお、ポリエステル(a1)(a2)および(b1)(b2)の融点は、示差走査熱量計TA Instruments DSC Q100により得られる融点である。また、ポリエステルの固有粘度は、ο−クロロフェノールに溶解後、35℃での測定値から求めた値である。
[ポリブチレンテレフタレート]
本発明におけるポリエステル層Aのポリブチレンテレフタレート(a1)およびポリエステル層Bのポリブチレンテレフタレート(b1)は、テレフタル酸をジカルボン成分、1,4−ブタンジオールをジオール成分としてなるポリエステルである。このポリエステルは、好ましくは溶融重合反応後に固相重縮合反応されたものを用いる。
ポリブチレンテレフタレートには、本発明の効果が損なわれない範囲で他成分を共重合してもよく、共重合成分はジカルボン酸成分でもジオール成分でもよい。共重合ジカルボン酸成分としてはイソフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸の如き芳香族ジカルボン酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸の如き脂肪族ジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸の如き脂環族ジカルボン酸を例示することができる。これらの中、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジガルボン酸、アジピン酸が好ましい。また共重合ジオール成分として、エチレングリコール、ヘキサンジオールの如き脂肪族ジオール、シクロヘキサンジメタノールの如き脂環族ジオールを例示することができる。これらは単独で用いてもよく、二種以上を用いてもよい。
共重合成分の割合は、その種類にもよるが、結果としてポリエステル層Aのポリブチレンテレフタレート(a1)の20℃/minで昇温したときの融点が215〜223℃、好ましくは218〜223℃の範囲になる割合である。(a1)のポリマー融点が215℃未満ではフィルムが結晶性の低いものになり、結果として耐熱性が低下する。また、ポリエステル層Bのポリブチレンテレフタレート(b1)も、20℃/minで昇温したときの融点が215〜223℃、好ましくは218〜223℃の範囲になる割合である。ポリブチレンテレフタレート(b1)のポリマー融点が215℃未満ではポリエステルとしての結晶性が低く、結果としてフィルムの耐熱性が低下するだけでなく、レトルト後にフィルムが白化しやすくなり、レトルト後の外観が損なわれる場合があり好ましくない。
[ワックス]
本発明におけるポリエステル層Aを構成するポリエステル組成物は、ワックスを含有する。また、必要に応じてポリエステル層Bを構成するポリエステル組成物は、ワックスを含有してもよい。ワックスとしては、カルナウバワックス、キャンデリラワックス、ライスワックス、木ロウ、ホホバ油、パームワックス、ロジン変性ワックス、オウリキュリーワックス、サトウキビワックス、エスパルトワックス、バークワックス等の植物系ワックス、ミツロウ、ラノリン、鯨ロウ、イボタロウ、セラックワックス等の動物系ワックス、モンタンワックス、オゾケライト、セレシンワックス等の鉱物系ワックス、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラクタム等の石油系ワックス、フィッシャートロプッシュワックス、ポリエチレンワックス、酸化ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、酸化ポリプロピレンワックス等の合成炭化水素系ワックスを挙げることができる。中でも、軟化点が120℃以上のワックスを用いるとポリエステル樹脂の結晶核剤として機能し、ポリエステル樹脂の結晶化速度を速めるため、レトルト処理後のフィルム白化を抑制する効果がある。また、ポリエステル樹脂に非相溶なワックスを含有させることにより、フィルムの表面を荒らすことができ、缶加工時の滑り性が向上してフィルム削れが起きにくくなるという効果もある。特に、包装食品用途で良好な衛生性を得ることができることから、ポリエチレンワックスが最も好ましい。
層A中のワックスの含有量は、層Aのポリエステル組成物100重量%に対して、0.01〜1.0重量%である。好ましくは、0.05〜0.3重量%である。0.01重量%より少ない場合には、結晶核剤としての効果が不十分であり、フィルムのレトルト処理による白化が起きやすくなるため好ましくない。他方、1.0重量%より多い場合には過剰品質になるばかりか、製膜やラミネート、製缶の工程でワックスがブリードアウトし工程を汚染して好ましくない。
また、層B中のワックスの含有量は、層Bのポリエステル組成物100重量%に対して0.01質量%未満の範囲である。
[粒子]
本発明の金属板貼り合わせ成形加工用積層フィルムは、フィルム製造工程における取扱い性、特に巻取り性を改良するため、好ましくは微粒子を配合する。微粒子は、ポリエステル層A、ポリエステル層Bのどちらか片方に含有してもよいが、好ましくは両方の層に含有する。
この微粒子をポリマー100重量部に対して、好ましくは0.01〜1重量部、さらに好ましくは0.01〜0.5重量部含有させるとよい。
微粒子は無機微粒子、有機微粒子のいずれを用いてもよいが、好ましくは無機微粒子を用いる。無機微粒子としては、シリカ、アルミナ、二酸化チタン、炭酸カルシウム、硫酸バリウムを例示することができる。有機微粒子としては架橋ポリスチレン粒子、架橋シリコーン樹脂粒子が例示できる。中でも、非球状の多孔質シリカは、フィルムの延伸時に粒子周辺にボイドが発生しにくいため、フィルムの透明性と光沢感を向上させる特長を有しており好ましい。
微粒子の平均粒子径は、好ましくは1.0〜3.0μm、さらに好ましくは1.1〜2.5μmの微粒子である。平均粒子径が1.0μm未満であると、フィルムの搬送性、すなわち滑り性を得るために添加量を多くせねばならず、透明性が損なわれて好ましくない。他方、平均粒子径が3.0μmを超えると成形加工により変形した部分の粗大粒子が起点となり、ピンホールを生じたり、場合によっては破断することもあり、好ましくない。
[層構成]
本発明の金属板貼り合わせ成形加工用積層フィルムは、ポリブチレンテレフタレート(a1)およびポリエチレンテレフタレート(a2)からなるポリエステル層Aと、この層Aに接しポリブチレンテレフタレート(b1)およびポリエチレンテレフタレート(b2)からなるポリエステル層Bとから構成される二軸延伸された積層フィルムである。金属板と積層する際には、ポリエステルA層を非金属側に、ポリエステルB層を金属に接する側に配置する。ポリエステル層Aの厚みTaとポリエステル層Bの厚みTbとの比Ta/Tbは、1/20〜2/8である。Ta/Tbが1/20未満であるとポリエステル層Aが薄すぎるため、フィルム中の低分子化合物がポリエステル層Aを通り抜けてフィルム表面に析出し、外観を損ない好ましくない。他方、2/8を超えるとフィルムのカールが強くなりすぎ、製膜工程における取扱性やラミネート工程における密着性が損なわれるほか、製缶工程における成形加工性も損なわれるなどの問題が生じて好ましくない。
[ラミネート]
本発明の金属板貼り合わせ成形加工用積層フィルムは、ポリエステル層Aが最外層になるように、また、ポリエステル層Bが金属と接するように貼り合わせて金属板にラミネートされる。本発明の金属板貼り合わせ成形加工用積層フィルムの厚みは、好ましくは6〜55μm、さらに好ましくは8〜45μm、特に好ましくは10〜30μmである。厚みが6μm未満では成形加工時に破れ等が生じやすくなり、55μmを超えると過剰品質であって不経済となり易い。
本発明の金属板貼り合わせ成形加工用積層フィルムを貼り合わせる対象となる金属板としては、例えば製缶用金属板であり、具体的には、例えばブリキ、ティンフリースチール、ティンニッケルスチール、アルミニウムの板が適切である。金属板へのポリエステルフィルムの貼り合わせは、金属板をフィルムの融点以上に加熱しておいてフィルムを貼り合わせた後冷却し、金属板に接するフィルムの表層部(薄層部)を非晶化して密着させる方法で、また、フィルムにあらかじめ接着剤をプライマーコートしておき、この面と金属板を貼り合わせる方法で行なうことができる。なお、接着剤としては公知の樹脂接着剤、例えばエポキシ系接着剤、エポキシ−エステル系接着剤、アルキッド系接着剤を用いることができる。また、この接着剤に白色顔料や黄色顔料を分散させることにより着色外観を有するフィルムとしてもよい。
[製造方法]
ポリエチレンテレフタレート(a2)および(b2)は、従来公知の方法で製造することができる。例えば、テレフタル酸、エチレングリコールおよび共重合成分をエステル化反応させ、次いで得られる反応生成物を重縮合反応させて共重合ポリエステルとする方法、或いはジメチルテレフタレート、エチレングリコールおよび共重合成分をエステル交換反応させ、次いで得られる反応生成物を重縮合反応させて共重合ポリエステルとする方法で製造することができる。
また、ポリブチレンテレフタレート(a1)および(b1)も従来公知の方法で、テレフタル酸、1,4−ブタンジオールおよび共重合成分のエステル化反応か、ジメチルテレフタレート、1,4−ブタンジオールおよび共重合成分のエステル交換反応で得られた反応生成物を重縮合反応させる方法で製造することができる。
これらは、必要に応じて、他の添加剤、例えば蛍光増白剤、酸化防止剤、熱安定剤、帯電防止剤を配合してもよい。
本発明の金属板貼り合わせ成形加工用積層フィルムは、上記のポリエステルを用い、従来公知の共押出製膜法に準拠して製造することができる。例えば次のようにすればよい。先ず、前述の各ポリエステル原料を必要に応じて乾燥した後、複数台の押出し機、複数層のマルチマニホールドダイまたはフィードブロックを使用し、それぞれのポリエステルを積層してスリット状のダイから溶融シートを押出し、冷却ロールで冷却固化して未延伸シートを得る。この場合、シートの平面性を向上させるため、シートと回転冷却ドラムとの密着性を高める必要があり、静電印加密着法または液体塗布密着法が好ましく採用される。本発明においては必要に応じ両者を併用してもよい。つぎに、得られた未延伸シートを二軸方向に延伸して二軸配向する。すなわち、先ず、ロールまたはテンター方式の延伸機により、前記の未延伸シートを長手方向に延伸する。延伸温度は、好ましくは40〜110℃、より好ましくは50〜100℃であり、延伸倍率は好ましくは2.5〜4.5倍、より好ましくは3.0〜4.0倍である。次いで、テンター方式の延伸機により、幅方向に延伸を行う。延伸温度は好ましくは50〜100℃、より好ましくは60〜90℃であり、延伸倍率は好ましくは2.5〜4.5倍、より好ましくは3.0〜4.0倍である。さらに引続き、好ましくは180〜210℃、より好ましくは190〜200℃の範囲の温度で5%以内の弛緩下で熱処理を行ない、二軸延伸フィルムされた本発明の金属板貼り合わせ成形加工用積層フィルムを得ることができる。
[ガラス転移温度]
本発明の金属板貼り合わせ成形加工用積層フィルムは、ポリエステル層Aを構成する樹脂のガラス転移温度からポリエステル層Bを構成する樹脂のガラス転移温度を差し引いた温度差が12〜18℃の範囲であることが好ましい。この温度差が18℃を超えるとフィルムのカールが強くなりすぎラミネート工程でのフィルムの取り扱いが困難になるだけでなく、ポリエステル層Aとポリエステル層Bの密着性が悪くなり層間剥離等の問題が起こることがある。この温度差は、ポリエステル層Aとポリエステル層Bを構成するポリエチレンテレフタレートとポリブチレンテレフタレートの配合比などで調整することができる。
なお、各層を構成する樹脂組成物のガラス転移温度は、示差走査熱量計TA Instruments製DSC Q100を用いて測定したものであり、290℃3分間溶融保持したあとに急冷しその後再昇温する方法でガラス転移温度を求めた。試料量は1mgとし、フィルムの各層から削って試料とした。
[固有粘度]
本発明のポリエステルフィルムは、ポリエステル層Aの固有粘度の範囲が0.56〜0.66dl/g、ポリエステル層Bの固有粘度の範囲が0.70〜0.80dl/gの範囲であることが好ましい。各層の固有粘度がこれらの範囲を満たさない場合は、フィルムのカールが強くなりすぎる問題が起こり好ましくない。また、ポリエステル層Aの固有粘度が0.56dl/g未満では実用に供することのできる機械的強度を有したフィルムが得られず、ポリエステル層Bの固有粘度が0.80dl/gを超えると成形加工性が損なわれて好ましくない。さらには、ポリエステル層Aとポリエステル層Bの固有粘度の差は0.2dl/g以下が好ましい。層間の粘度差が0.2dl/gを超えるとフィルムカールが強くなりすぎて好ましくない。
なお、金属板貼り合わせ成形加工用積層フィルムのポリエステル層Aとポリエステル層Bの各固有粘度は、フィルムをo−クロロフェノールに溶解後、35℃での測定値から求めた値である。
[融解サブピーク]
本発明のポリエステルフィルムは、DSCで測定した融解サブピークが、好ましくは、180〜195℃の範囲である。融解サブピークが180℃未満の場合は、ラミネート工程におけるフィルムの熱収縮量が大きく、皺が発生したり、ラミネート後のフィルム残留応力が大きくなり、その後レトルト処理を施すとフィルムが剥れやすくなったりして好ましくない。
以下、実施例を掲げて本発明をさらに説明する。なお、フィルムの特性は以下の方法で測定、評価した。
(1)ポリマー融点、および樹脂組成物の融解ピーク温度
示差走査熱量計TA Instruments製 DSC Q100を用いて測定した。昇温速度20℃/分で290℃まで昇温し、290℃で3分間溶融保持した後に急冷し、再度20℃/分で昇温して融解ピーク温度を求めた。なお、サンプル量は約1mgとし、各層の樹脂組成物は積層フィルムの両面からそれぞれ削って採取した。
(2)樹脂組成物のガラス転移温度、および結晶化ピーク温度
上記(1)と同様の手順で、ガラス転移温度、および結晶化ピーク温度を求めた。サンプル量は約1mgとした。なお、ガラス転移温度は、補外開始温度とした。
(3)フィルムの融解サブピーク温度
示差走査熱量計TA Instruments製 DSC Q100を用い、サンプル量は約1mg、昇温速度20℃/分でDSC曲線を描かせ、融解による明瞭な吸熱ピークより低温側の吸熱ピークを融解サブピーク温度とした。
(4)固有粘度
ポリマー、あるいは樹脂組成物をο−クロロフェノールに溶解後、35℃の温度にて測定した。
(5)製膜性
次の基準に従って評価した。
○:問題なく製膜できる
×:フィルムカールが強すぎ、テンタークリップでフィルムを把持できず製膜困難
(6)カール
幅4mm、長さ25mmの短冊を切り出し、曲率半径(mm)を求めた。測定は、短冊の長さ方向がフィルムロールの長手方向の場合と幅方向の2回についておこない、曲率半径の小さい方をカールの評価値として採用した。
尚、評価は以下の通りとした。
◎:曲率半径が18mm以上
○:曲率半径が12mm以上、18mm未満
×:曲率半径が12mm未満
(7)金属との密着性
本発明のフィルムを、230℃に予熱した板厚0.25mmのティンフリースチールの外面となる面に、ニップロールで圧着しラミネートした後、直後に水槽中で急冷し、ラミネート鋼鈑を得た。このラミネート金属板から幅15mmの短冊状試験片を切り出し、10mm/minの速度で180°剥離試験を行い、次の基準に従って評価した。
◎:18N/15mm以上
○:12N/15mm以上、18/N15mm未満
×:12N/15mm未満
(8)深絞り加工性
フィルムをラミネートした金属板を150mm径の円板状に切り取り、絞りダイスとポンチを用いて4段階で深絞り加工し、55mm径の側面無継目容器(以下、缶と略す)を作成した。この缶の加工状況について観察した結果を、以下の基準で目視評価した。
○:フィルムに異常なく加工され、フィルムに白化や破断が認められない。
△:フィルムの缶上部に白化や剥離が認められる。
×:フィルムの一部にフィルム破断が認められる。
(9)巻き締め加工性
フィルムラミネートした金属板を公知のプレス成形工程で円板状に打ち抜くとともに所望の蓋形状に成形した後、巻き締め機を用いて(8)で作製した缶の上部に巻き締めを行った。この蓋材の加工状況について巻き締め部を観察し、以下の基準で目視評価した。
○:フィルムに異常(ひび、破れ、金属板からの剥離)が認められない。
×:フィルムの一部に異常(ひび、破れ、金属板からの剥離)が発生した。
(10)レトルト後外観
前記(9)にて得られた缶をレトルト釜に入れ、スチームが直接サンプルに当らないようにして125℃の加圧水蒸気で30分間レトルト処理を施し、フィルムの外観について目視評価を行った。
○:変化なし。
△:やや白濁した。
×:著しく斑点状に乳白色に変化した。
[実施例1〜5]
表1に示すポリエステル層Aとポリエステル層Bのポリエステル組成物を170℃で3時間乾燥し、ポリエステル層Aを成すポリエステル組成物を280℃、ポリエステル層Bを成すポリエステル組成物を270℃で別々に溶融した後、フィードブロックを使用して二層に積層し、ダイから押出して冷却固化し、未延伸フィルムを作成した。ここで、ポリエステル層A、ポリエステル層Bともに、ポリエステルのジカルボン酸成分100モル%に対してリンの量として0.03モル%となるように正リン酸を添加した。次いで、この未延伸フィルムを68℃で3.2倍に縦延伸した後、78℃で3.8倍に横延伸し、190℃に設定したオーブンで熱固定して二軸配向積層フィルムを得た。得られた二軸配向積層フィルムの厚みは12μmであった。また、二軸配向積層フィルムにおける各層の厚みは、溶融押し出し機の吐出量を調整することで、ポリエステル層Aの厚みが1.1μm、ポリエステル層Bの厚みが10.9μmとなるようにした。
なお、得られた二軸配向積層フィルムの層Aには、軟化点132℃のポリエチレンワックスを層Aの樹脂100質量%に対し0.05質量%添加した。
得られた二軸配向積層フィルムは、表2に示す通り、金属板貼り合わせ成形加工用積層フィルムとして優れた性能を有するものであった。
Figure 2018140565
Figure 2018140565
Figure 2018140565
[実施例6]
ポリエステル層Aの厚みが1.6μm、ポリエステル層Bの厚みが10.4μmとなるように各層の厚みを調整する以外は実施例1と同様にしてポリエステルフィルムを得た。得られた二軸配向積層フィルムは12μmであり、表2に示す通り、金属板貼り合わせ成形加工用積層フィルムとして優れた性能を有するものであった。
[比較例1]
ポリエステル層Aを成すポリエステル組成物を290℃で溶融する以外は実施例1と同様にしてポリエステルフィルムを得た。得られた二軸配向積層フィルムは12μmであり、表2に示す通りフィルムカールが強くラミネート工程においてフィルムの取り扱いが困難な他、レトルト後にフィルムの一部に白化が見られるなど金属板貼り合わせ用成形加工用積層フィルムとしては性能の劣るものであった。
[比較例2〜5]
表1に示した樹脂組成に変更した他は、実施例1と同様にしてポリエステルフィルムを得た。得られた二軸配向積層フィルムは、表2に示す通りレトルト後に白化が発生し外観が好ましくなく、金属板貼り合わせ成形加工用積層フィルムとして性能の劣るものであった。
[比較例6]
表1に示すポリエステル層Bのポリエステル組成物を常法により乾燥し、270℃で溶融した後、ダイから押出して冷却固化し、単層の未延伸フィルムを作成した。ポリエステル層Bの樹脂組成物には、ポリエステルのジカルボン酸成分100モル%に対してリンの量として0.03モル%となるように正リン酸を添加した。次いで、この未延伸フィルムを68℃で3.2倍に縦延伸した後、78℃で3.8倍に横延伸し、190℃に設定したオーブンで熱固定して二軸配向フィルムを得た。得られた二軸配向フィルムの厚みは12μmであった。得られた二軸配向フィルムは、表2に示す通り蓋巻き締め加工においてフィルムにひびが発生し、金属板貼り合わせ用フィルムとして性能の劣るものであった。
[比較例7]
ポリエステル層Aの厚みが3.0μm、ポリエステル層Bの厚みが9.0μmとなるように各層の厚みを調整する以外は実施例1と同様にフィルム製膜を試みたが、フィルムカールが非常に強いため、テンタークリップで安定してフィルムを把持できず、製膜困難であった。
[比較例8]
縦延伸、横延伸した後、170℃に設定したオーブンで熱固定する以外は実施例1と同様にしてポリエステルフィルムを得た。得られた二軸配向積層フィルムは12μmであり、表2に示す通りフィルムカールが強いほか、深絞り加工や蓋巻き締め加工において一部フィルムの剥離が見られた。
本発明の金属板貼り合わせ成形加工用積層フィルムは、飲料や食物を充填するための金属缶の缶胴部や蓋材部、特に缶外面に貼り合わせて用いることができる。
金属容器としては、飲食料を充填して使用に供することができ得る形態にまで加工処理が施された金属容器及びその一部分、例えば巻き締め加工が可能な形状に成形された缶蓋も含まれる。特に、厳しいネックイン加工が施される3ピース缶の缶胴体部材や絞りしごき加工によって製造される2ピース缶の缶胴部材として用いる場合に、本発明のフィルムを用いた金属容器は、その優れた耐レトルトブラッシング性および蓋巻き締め部の耐削れ性から、コーヒー、緑茶、紅茶、ウーロン茶、各種加工食品等の内容物を充填する場合に適している。

Claims (6)

  1. ポリエステル層Aの片面にポリエステル層Bを積層した二軸延伸フィルムであつて、
    ポリエステル層Aは、20℃/minで昇温したときの融点が、215〜223℃のポリブチレンテレフタレート(a1)、融点が244〜252℃のポリエチレンテレフタレート(a2)およびワックス(a3)を、それぞれポリブチレンテレフタレート(a1)24〜35質量%、ポリエチレンテレフタレート(a2)64〜75質量%およびワックス(a3)0.01〜1.0質量%の範囲で含有し、
    ポリエステル層Bは、20℃/minで昇温したときの融点が215〜223℃のポリブチレンテレフタレート(b1)および融点が244〜252℃のポリエチレンテレフタレート(b2)を該層の質量を基準として、ポリブチレンテレフタレート(b1)が55〜75質量%、ポリエチレンテレフタレート(b2)が30〜45質量%の範囲で含有し、且つワックスの含有量が0.01質量%未満の範囲であること、そして、
    ポリエステル層Aの厚みTaとポリエステル層Bの厚みTbの比Ta/Tbが1/20
    〜2/8であり、且つフィルムの熱特性が下記(a)の条件を満足することを特徴とする、金属板貼り合わせ成形加工用積層フィルム。
    (a)ポリエステル層Aの樹脂組成物を290℃で3分間溶融保持した後に急冷し、その後20℃/minで昇温したときの結晶化ピーク温度が112℃以下で、且つ、236〜245℃の範囲に少なくとも1つの融解ピークが存在する。
  2. ポリエステル層Aのガラス転移温度からポリエステル層Bのガラス転移温度を差し引いた温度差が12〜18℃の範囲である請求項1記載の金属板貼り合わせ成形加工用積層フィルム。
  3. ポリエステル層Aとポリエステル層Bの固有粘度がそれぞれ0.56〜0.66dl/gと0.70〜0.80dl/gの範囲である請求項1記載の金属板貼り合わせ成形加工用積層フィルム。
  4. ポリエステル層Aとポリエステル層Bの固有粘度の差が、それぞれ0.2dl/g以下である請求項1記載の金属板貼り合わせ成形加工用積層フィルム。
  5. 融解サブピークが、180〜195℃の範囲にある請求項1記載の金属板貼り合わせ成形加工用積層フィルム。
  6. 層B側が金属と接するように貼り合わせて用いられる請求項1記載の金属板貼り合わせ成形加工用積層フィルム。
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