本発明の一実施形態を図面により説明すると、1はコンバインの機体フレームであり、コンバインは、走行しながら農作物の刈取りと脱穀を行う移動式農業機械である。図中、2は機体フレーム1の下方に設けた走行装置、3は機体フレーム1の上方に設けた脱穀装置、4は脱穀装置3の前側に設けた刈取装置、5はグレンタンク、6は操縦部である。
なお、理解を容易にするため、説明の便宜上、前後・左右等の方向を示しているがこれらの方向によって本発明が限定されるものではない。
8はエンジンであり、エンジン8はコンバインで用いる駆動力の発生源であり、燃焼室で燃料を燃焼させることにより燃料のエネルギーを機械的仕事に変換して回転力として出力する熱機関である。エンジン8は、機体フレーム1の前後方向の前方で、操縦部6の鉛直方向の下側に形成されたエンジンルーム(図示省略)内に搭載されている。
グレンタンク5は、箱状に形成され、脱穀装置3により選別された穀粒を一時的に貯留する穀粒貯留装置である。グレンタンク5は、操縦部6の前後方向の後方で、機体フレーム1の左右方向の右側上に配設されている。本実施形態では、グレンタンク5は、左右方向において、脱穀装置3と併設されている。
グレンタンク5は、グレンタンク5の後端部外側である右後端部に設けられたヒンジ部10(回動中心に相当)を中心に、機体フレーム1から離間するメンテナンス位置(図3中に実線で示す)と、機体フレーム1上に位置する作業位置(図3中に二点鎖線で示す)との間回動自在に設けられている。
グレンタンク5は、作業位置からメンテナンス位置に向かって車両外側に回動されることで、グレンタンク5の左方に配設された脱穀装置3等のメンテナンス等を行うことができる。グレンタンク5内には、グレンタンク5内の穀粒を排出するタンク内螺旋式排出装置11(図8〜図12)を設け、螺旋式排出装置11の終端(後端)はグレンタンク5の機外に設けた接続メタル12内に臨ませる。螺旋式排出装置11には縦排出装置13の下部を接続し、縦排出装置13の上部には横排出オーガ14の基部を接続する。
螺旋式排出装置11は、グレンタンク5の底部に前後方向と平行に設けられ、螺旋式排出装置11は、グレンタンク5の前後方向の略全長に亘って設けられ、前後方向と平行な軸心回りに回転自在に設けられている。螺旋式排出装置11は、エンジン8からの駆動力により軸心回りに回転されて、グレンタンク5のグレンタンク5内の穀粒を後方の接続メタル12(図13)に向けて搬送し、縦排出装置13と横排出オーガ14を介して機外に穀粒を排出する。
グレンタンク5には、脱穀装置3の供給装置16からグレンタンク5内に排出される穀粒の一部をサンプリングして、穀粒の含有する水分の平均値及び標準偏差(ばらつき、水分ムラともいう)を測定する水分計17を設ける。水分計17は、グレンタンク5の後面の後面(後板)18の上部に取り付ける。
グレンタンク5の天板20は、前側部分を水平状に形成し、少なくとも、供給装置16の上部の供給口21をグレンタンク5の内側側板22に開口させた部分より後側の所定位置からの天板20を、後方に至るに従い低く傾斜させた傾斜部(後側傾斜部)23に形成し、傾斜部23の後端を後面18の上端に接続する(図13)。
したがって、供給装置16の供給口21よりも低位置に水分計17を設け、供給装置16の供給口21に臨ませた跳ね出し体25(図14)により跳ね出し穀粒が、天板20の傾斜部23より水分計17に誘導する構成としている。
即ち、水分計17は、後ろ側の後面18の上部に取り付けられることで、脱穀装置3の供給装置16から排出される穀粒の飛散軌跡上に配設されている(図14、なお、図14では飛散量を斜線で表示している)。
そのため、水分計17は、供給装置16により跳ね出される量の多いグレンタンク5の後側に設けられていること、水分計17を供給装置16の供給口21より低位置に配置したことにより、供給装置16から跳ね出された穀粒を水分計17は確実に回収でき、穀粒の水分の平均値及び標準偏差を正確に測定することができる。
それゆえ、水分計17の計測精度を向上させられる。
換言すると、供給装置16は、グレンタンク5の前側上部に形成された供給口21からグレンタンク5内の後部に配置した水分計17へ向って穀粒を放出する構成としている。
そのため、供給装置16の跳ね出し体25の回転方向の上手側が穀粒放出が多くなり、後側に多く飛散するので、供給口21の前側に設けた水分計に比し、本願の水分計17は充分な穀粒を回収できる。
図中、16Aは揚穀螺旋、16Bは揚穀筒である。
また、グレンタンク5の天板20は、後面18の上端部から前上がりに傾斜する傾斜部23を備え、供給口21を後面18の上端部よりも高い位置に配置し、水分計17を前記後面18の上端部近傍に配置する。
グレンタンク5内の穀粒を排出する縦排出装置13を前記後面18の後側に設け、水分計17を、背面視において、グレンタンク5の後面18における縦排出装置13と前後に重ならない部位に配置する。
このために、水分計17は、縦排出装置13により異物から保護されている。
即ち、水分計17は、縦排出装置13の左右方向に並ぶ位置に設けられている。
この場合、水分計17は、縦排出装置13に対して機体内側となる部位に配置する。
そのため、一層、縦排出装置13により異物から保護されている。
具体的には、傾斜部23に後端と後面18の上端との合わせ部26の近傍に水分計17を設置する。
そのため、供給装置16により跳ね出された穀粒が傾斜部23に当たり、水分計17への採取を効果的に行うことが可能になる。
水分計17の構成は、供給装置16から跳ね出された穀粒を回収して測定できればよく、構成は任意であるが、一例を示すと、水分計17は水分計17内に穀粒を取り込む取込部27を備え、取込部27の近傍に穀粒を取込部27へ案内する案内部材28を設けて構成すればよい。
具体的には、グレンタンク5の後面18に水分計17内に穀粒の一部を取り込むための開口30と、開口30の前側に取り付けられ、穀粒を水分計17に取り込みやすくする案内部材28が設けられている。開口30は、後面18を貫通している。案内部材28は、グレンタンク5の内側に取り付けられている。案内部材28は、上方が開口した断面樋状に形成され、かつ穀粒を内側に収容することで、穀粒を水分計17に取り込みやすくしている。このために、水分計17の精度向上を図ることができる。
前記案内部材28の上側開口部31には、網状の進入防止体32を設ける(図17)。進入防止体32は穀粒より大きな目合で形成し、案内部材28が穀粒の回収を可能としながら、案内部材28に藁屑等の異物の侵入を防止する。
そのため、異物の侵入を防止することにより、水分計17の破損を防止する。
前記進入防止体32は、案内部材28の上側開口部31の上方に上端をグレンタンク5の後面18側に当接させ、進入防止体32の下端は案内部材28の上側開口部31の前端に位置するように、側面視、上側開口部31の水平面に対して前下がりに傾斜させて設けてもよい。
そのため、進入防止体32上に異物が堆積するのを抑制する。
前記進入防止体32は、所謂目抜き板により網状に形成してもよい。
そのため、穀粒の枝梗や異物の引っ掛かりを抑制する。
水分計17は、図7、図16に示すように、開口30を通して穀粒を一粒ずつ取り込む円柱状の取込部27と、取込部27における水分計17の本体内に延伸した部分の下方に設けられた一対の電極ローラ35などを備えている。
取込部27は、軸棒形状で、外周面に穀粒を一粒ずつ収容する図示しない間欠螺旋溝が設けられ、軸心回りに回転されることで、穀粒を一粒ずつ一対の電極ローラ35間に供給する。36は取込部27の側方に設けた誘導部材であり、誘導部材36と間欠螺旋溝との間に穀粒が嵌合した状態で取込部27の回転により一対の電極ローラ35に移送する。
電極ローラ35は、一粒ずつ穀粒を互いの間で押しつぶして、一対の電極ローラ35間の電気的な抵抗値を測定する。水分計17は、一対の電極ローラ35間で一粒ずつ穀粒を押しつぶして、一対の電極ローラ35間の電気的な抵抗値を測定することで、一粒ずつ穀粒の含有する水分を測定する。水分計17は、複数の穀粒の水分を測定して、穀粒の水分の平均値及び標準偏差を測定する。
水分計17は、図7に示すように、カバー部材40により覆っている。
水分計17を覆ってグレンタンク5の後面18に取り付けられたカバー部材40は、この後ろ側の後面18にボルトなどにより取り付けられることで、着脱自在となっている。カバー部材40を設けることで、水分計17を保護することができ、カバー部材40を着脱自在とすることで水分計17のメンテナンス性を向上することができる。
水分計17は、取込部27および電極ローラ35をモータ(図示省略)により駆動する構成とし、モータの回転負荷が所定以上に大きくなると、駆動を停止する。
即ち、取込部27が異物を水分計17に取り込んだような場合では、モータの回転負荷が増加するので、モータの駆動を停止させて、水分計17の破損を防止する。
また、モータの停止を音声やモニタ(図示省略)にて報知する。
水分計17のモータは、螺旋式排出装置11と縦排出装置13と横排出オーガ14によるグレンタンク5内の穀粒排出中も駆動を続行する。
そのため、水分計17内に残った穀粒を排出し、次工程の穀粒の測定を正確に行える。
図示は省略するが、水分計17を設置するステー(図示省略)に、水分計17を駆動するモータとは別に振動用モータ(図示省略)を設け、この振動用モータの回転軸(図示省略)に荷重の偏心した錘(図示省略)を設け、振動用モータの駆動により振動が発生する構成とすると、水分計17が振動し、水分計17の平面部に載った穀粒や塵埃等を振動により落下させられる。
しかして、図18、19の水分計17は、水分計17全体またはその一部をグレンタンク5の後面18の内側に設けた例を示し、水分計17の取込部27や電極ローラ35を収納したケース45の前面に案内部材28を設け、案内部材28内に前記開口30を設けている。
そのため、水分計17がグレンタンク5内に充満した穀粒により圧迫されて破損するのを防止する。
また、グレンタンク5内に水分計17を入り込ませたことにより、グレンタンク5外への水分計17のはみ出し量を小さくすることができ、グレンタンク5のメンテナンス位置へのオープンの際の縦排出装置13との間の隙間を確保できる。
また、水分計17の全体またはその一部をグレンタンク5の後面18の内側に設けた例では、ケース45の前側上面と後面18の内面との間に斜めの遮蔽板46を設ける。
そのため、水分計17となるケース45の上面への穀粒等の堆積を抑制する。
また、グレンタンク5は、その重心の左右方向の位置が螺旋式排出装置11と上下方向に重なる位置となるように、各部品が配設されている。望ましくは、グレンタンク5は、その重心の左右方向の位置が螺旋式排出装置11の軸心と上下方向に重なる位置に配設される。
しかして、コンバインは、グレンタンク5の重量、即ち、グレンタンク5が貯留した穀粒の重量を検出するロードセル47(図11及び図12に示し、重量検出手段に相当)と、グレンタンク5の前端部をロードセル47上に案内する案内手段48(図9及び図10に示す)とを備えている。
ロードセル47は、機体フレーム1上に取り付けられて、機体フレーム1上と作業位置のグレンタンク5の前端部との間に配設されるとともに、グレンタンク5が作業位置に位置づけられた状態において螺旋式排出装置11の下方に配設される。ロードセル47は、図11に示すように、機体フレーム1のフレーム部材49と、フレーム部材49と第2フレーム部材50とに掛け渡された補強板51(補強部材に相当)上に取り付けられている。即ち、ロードセル47は、フレーム部材49と補強板51上に取り付けられて、少なくとも一部がフレーム部材49上に取り付けられ、補強板51上にも取り付けられている。
フレーム部材49と第2フレーム部材50は、前後方向と平行な直線状に形成され、断面形が四角形の四角筒状に形成されている。フレーム部材49は、機体フレーム1の左右方向の外縁部に設けている。第2フレーム部材50は、フレーム部材49よりも左右方向の内側に配設されている。補強板51は、ステンレス鋼で構成され、平板状に形成されている。
前述した構成のロードセル47は、グレンタンク5が作業位置に位置付けられると、その上にタンク側補強部材52の平坦面53が重なって、グレンタンク5即ちグレンタンク5が貯留した穀粒の重量を検出する。
なお、グレンタンク5は、作業位置では、上下方向にはロードセル47のみにより支持され、ヒンジ部10と係止アームと位置決めピン54などにより前後方向及び左右方向に位置決めされる。また、フレーム部材49と第2フレーム部材50を表面上に固定する板状部材55(図5)などで機体フレーム1が構成されている。
案内手段48は、グレンタンク5がメンテナンス位置から作業位置に向かって回動する際に、グレンタンク5の前端部をロードセル47上に案内するものである。案内手段48は、図9及び図10に示すように、機体フレーム1に取り付けられた機体側案内部材56と、グレンタンク5の前端部に設けられたタンク側案内部材57とを備える。
機体側案内部材56は、メンテナンス位置から作業位置に向かって回動するグレンタンク5の前端部を、作業位置に向かうにしたがって徐々に上昇させた後に、グレンタンク5の前端部の少なくとも一部がロードセル47の上方を通過するように案内した後、ロードセル47上にグレンタンク5のタンク側補強部材52の平坦面53の前端部を案内するものである。機体側案内部材56は、ロードセル47と前後方向に並び、ロードセル47の前側に設けられている。
機体側案内部材56は、図4及び図5に示すように、第1上昇傾斜部58(上昇傾斜部に相当)と、第2上昇傾斜部59(上昇傾斜部に相当)と、水平部60と、凹部61とを備えている。第1上昇傾斜部58と第2上昇傾斜部59と水平部60と凹部61とは、左右方向に機体フレーム1の外側から順に並べられている。
第1上昇傾斜部58と第2上昇傾斜部59とは、機体フレーム1よりも左右方向の外側に配設され、メンテナンス位置から作業位置に向かって回動するグレンタンク5の前端部を乗り上げさせて、グレンタンク5の前端部を徐々に上昇させるものである。第1上昇傾斜部58及び第2上昇傾斜部59は、左右方向に機体フレーム1の内側に向かうにしたがい徐々に上方に向かうように傾斜している。
第2上昇傾斜部59の左右方向の外側の端は、第1上昇傾斜部58の左右方向の内側の端よりも下方に位置し、第2上昇傾斜部59の左右方向の内側の端は、第1上昇傾斜部58の左右方向の内側の端よりも上方に位置している。
水平部60は、第2上昇傾斜部59の左右方向の内側の端に連なり、メンテナンス位置から作業位置に向かって回動するグレンタンク5の前端部を水平に移動させるものである。水平部60は、第2上昇傾斜部59の左右方向の内側の端から左右方向の内側に向かって左右方向に延びている。水平部60は、機体フレーム1上に配設されている。また、水平部60は、位置決めピン54が係止する係止孔63が設けられている。
凹部61は、水平部60の左右方向の内側の端に連なり、かつロードセル47上に位置するグレンタンク5の前端部の少なくとも一部が侵入するものである。凹部61は、水平部60よりも下方に凹に形成されている。凹部61は、水平部60の左右方向の内側の端から左右方向の内側に向かって左右方向に延びている。凹部61は、ロードセル47と前後方向に並ぶ位置に配設されている。また、凹部61の深さは、作業位置のグレンタンク5のタンク側補強部材52の平坦面53が水平部60上に重なると、タンク側案内部材57が内側に侵入して、タンク側案内部材57が凹部61の底面に当接しない程度の深さに形成されている。
これにより、ロードセル47のみがグレンタンク5の重量を支持し、案内部材48は荷重を支持しないように構成でき、ロードセル47の計測精度を担保している。
なお、タンク側水平部67の外側のタンク側案内部材57には、切欠部71を設け、切欠部71によりタンク側案内部材57の重量を機体側案内部材56の水平部60が支持しない構成とし、ロードセル47の計測精度を担保している。
また、機体側案内部材56は、凹部61と水平部60との左右方向の間に配設された傾斜部64を備えている。傾斜部64は、水平部60の表面と凹部61の底面とに連なり、機体フレーム1の左右方向の外側に向かうにしたがって徐々に上方に向かうように、水平方向と上下方向との双方に対して傾斜している。また、機体側案内部材56は、水平部60と傾斜部64と凹部61とが一体に構成され、かつ凹部61の底面がボルト(固定手段に相当)などにより機体フレーム1に取り付けられている。
タンク側案内部材57は、グレンタンク5がメンテナンス位置から作業位置に向かって回動する際に、機体側案内部材56上に乗り上げ、グレンタンク5が作業位置に位置付けられると、一部が機体側案内部材56の凹部61内に侵入するものである。タンク側案内部材57は、図8に示すように、下方延在部材65と、タンク側上昇傾斜部66と、タンク側水平部67と、ピン案内部材68とを備えている。下方延在部材65は、グレンタンク5の幅減少部69の底部の前端部に取り付けられ、かつグレンタンク5の幅減少部69の底部の前端部から下方に延在している。
タンク側上昇傾斜部66とタンク側水平部67とピン案内部材68とは、左右方向に機体フレーム1の内側から順に並べられ、機体側案内部材56上に重なる位置に配設されている。タンク側上昇傾斜部66は、グレンタンク5がメンテナンス位置から作業位置に向かって回動する際に、第1上昇傾斜部58及び第2上昇傾斜部59上に乗り上げるとともに、左右方向の内側に向かうにしたがって徐々に上方に傾斜している。タンク側上昇傾斜部66は、下方延在部材65の左右方向の内側の端部に設けられている。
タンク側水平部67は、タンク側上昇傾斜部66に連なりかつ水平方向と平行である。タンク側水平部67は、下方延在部材65の左右方向の中央部に設けられている。タンク側上昇傾斜部66とタンク側水平部67とは、グレンタンク5が作業位置に位置付けられると、機体側案内部材56の凹部61内に侵入する位置に配設されている。タンク側上昇傾斜部66とタンク側水平部67とは、タンク側案内部材57の一部に相当する。
ピン案内部材68は、位置決めピン54を上下方向にスライド自在に支持している。ピン案内部材68は、下方延在部材65の左右方向の外側の端部に設けられている。ピン案内部材68は、グレンタンク5が作業位置に位置付けられると、機体側案内部材56の水平部60上に重なる位置に配設されている。
図示は省略するが、グレンタンク5の内側側板22の後部下方位置には加振装置を設ける。
即ち、加振装置は前側に設けたロードセル47に対して反対側の後側に設けている。
加振装置はグレンタンク5の内側側板22に振動を付与してグレンタンク5内の穀粒の排出を円滑にさせるものであり、ロードセル47の反対側に設けてロードセル47の計測に振動(ノイズ)が影響しないようにしている。
また、水分計17に近いグレンタンク5の後部に加振装置が振動を付与するので、水分計17も振動して水分計17の案内部材28に不必要に入った穀粒を振り出して、水分計17の計測精度を低下さないという作用効果も期待する。
また、加振装置の振動体(振動子)は、グレンタンク5側に設けたバネ材に当接させる。
そのため、振動体の振動をバネ材を介してグレンタンク5の内側側板22に伝達し、内側側板22の摩耗等を抑制している。
また、加振装置の設置位置は任意であるが、水分計17と加振装置を隣接する面に配置すると、加振装置の振動を水分計17が利用することができ、好適である。
即ち、水分計17を加振装置と同一面に設置すると、振動が強すぎて水分計17の機器に悪影響を与え、遠すぎると、振動が作用しないが、水分計17と加振装置を隣接する面に配置することにより、水分計17に適度な振動を付与し、穀粒や塵埃の体積を抑制し、水分計17の計測精度を維持する。
しかして、グレンタンク5は、位置決めピン54の他に、グレンタンク5に設けた係合フック77を、脱穀装置3側に設けた係合ピン78に係合させて、グレンタンク5のオープン回動をロックするロック機構Lを設けている。
しかし、係合ピン78に係合フック77が係合しているときに、係合ピン78が上下方向の荷重を支持してしまうと、グレンタンク5内の収量をロードセル47が計測する際に、誤差が生じる。
そこで、本願では、係合フック77と係合ピン78の係合高さ位置を調節自在とし、係合フック77はグレンタンク5のオープン回動は阻止するが、グレンタンク5の重量を支持しないようにした。
グレンタンク5の内側側板22の前側上部にベース板80を固定し、ベース板80に調節板81を上下摺動自在に当接させ、調節板81は螺子82によりベース板80に取付ける。螺子82は調節板81に設けた縦長孔83内を上下移動自在とする。ベース板80の下部には調節軸84を螺合させ、調節軸84の上端を調節板81の下部に当接させる。
調節板81には係合フック77を軸85により回動自在に取付ける。
そのため、調節軸84を正逆回転させると、調節板81はベース板80に対して上下し、調節板81の上下により係合フック77の係合ピン78の係合高さを変更する。
この場合、調節軸84の螺子ピッチを1.5ミリメートル程度とすると、調節軸84の回転量と調節板81の上下量とを容易に理解でき、微調節が容易になって好適である。
しかして、図23の操縦部6は運転座席(図示省略)と操作パネル(図示省略)の周囲をキャビン86により包囲している。キャビン86の左前縦フレーム87にはタブレット88を装着しうるホルダ89を有するステー90を設ける。
ステー90は、左前縦フレーム87に対して着脱自在に取付け、タブレット88を不使用のときはステー90を左前縦フレーム87から取り外す。
ステー90は、基部側ステー91をボルト92により左前縦フレーム87に取付け、基部側ステー91に第二ステー93をボルト92により取付け、第二ステー93にスタンド94を取付け、スタンド94にタブレット88のホルダ89を取付けて構成している。
(実施形態の作用)
本発明は、上記構成であり、エンジン8が発生させる駆動力によって走行装置2が駆動して走行しながら、刈取装置4によって穀稈を刈り取る。刈取装置4により刈り取られた穀稈は、脱穀装置3に搬送供給され、脱穀装置3により穀稈が後方に搬送される過程で、穀稈から穀粒を切り離し(脱粒)し、藁等の夾雑物と穀粒とを選別分離され、脱穀装置3にて分離回収された穀粒は、供給装置16により揚穀され、供給口21から排出されてグレンタンク5内に貯留される。
グレンタンク5には、脱穀装置3の供給装置16からグレンタンク5内に排出される穀粒の一部をサンプリングして、穀粒の含有する水分の平均値及び標準偏差(ばらつき、水分ムラともいう)を測定する水分計17を設け、水分計17は、グレンタンク5の内側側板22の供給装置16の排出口供給口21よりも後側位置となる後面18の上部に設けているので、供給装置16の供給口21からより多く排出される穀粒の飛散軌跡上に水分計17が位置して、水分計17の穀粒の回収効率を向上させ、それゆえ、水分計17の測定精度を向上させられる。
グレンタンク5の天板20は、内側側板22の供給口21よりも後側の所定位置から後方に至るに従い低く傾斜させた傾斜部23に形成し、傾斜部23の後端を後面18の上端に接続しているので、供給装置16の供給口21に臨ませた跳ね出し体25により跳ね出された穀粒は、供給装置16の供給口21よりも低位置に位置する水分計17に向けて、傾斜部23により案内されて水分計17に回収される。
この点でも、水分計17への穀粒採取を効果的に行うことが可能になる。
即ち、水分計17は、供給装置16により跳ね出される量の多いグレンタンク5の後側に設けられていること、水分計17の案内部材28を供給装置16の供給口21より低位置に配置したことにより、供給装置16から跳ね出された穀粒は傾斜部23により案内されて水分計17に確実に回収され、穀粒の水分の平均値及び標準偏差を正確に測定することができる。
また、換言すると、水分計17は、天板20の傾斜部23に後端と後面18の上端との合わせ部26の近傍に設置しているので、供給装置16により跳ね出された穀粒が傾斜部23に当たり、案内部材28への採取を効果的に行うことが可能になる。
水分計17は、縦排出装置13の左右方向に並ぶ位置でかつ縦排出装置13の左右方向の内側に設けられているので、水分計17は、縦排出装置13により異物から保護されている。
水分計17の構成は、供給装置16から跳ね出された穀粒を回収して測定できればよく、構成は任意であり、案内部材28に回収された穀粒は、開口30を通して穀粒を取込部27により一粒ずつ取り込んで、取り込んだ穀粒は取込部27の下方の一対の電極ローラ35間に落下し、電極ローラ35は、一粒ずつ穀粒を互いの間で押しつぶして、一対の電極ローラ35間の電気的な抵抗値を測定することで、一粒ずつ穀粒の含有する水分を測定し、複数の穀粒の水分を測定して、穀粒の水分の平均値及び標準偏差を測定する。
水分計17の穀粒の一部を受け止め回収する案内部材28は上方が開口した断面樋状に形成し、前記案内部材28の上側開口部31には、網状の進入防止体32を設け、進入防止体32は穀粒より大きな目合で形成しているので、進入防止体32は、案内部材28の穀粒の回収と案内部材28への藁屑等の異物の侵入防止とを両立させられる。
また、異物の侵入を防止することにより、水分計17の破損を防止する。
進入防止体32は、案内部材28の上側開口部31の上方に上端をグレンタンク5の後面18側に当接させ、進入防止体32の下端は案内部材28の上側開口部31の前端に位置するように、側面視、上側開口部31の水平面に対して前下がりに傾斜させて設けると、進入防止体32上に異物が堆積するのを抑制する。
進入防止体32は、所謂目抜き板により網状に形成すると、穀粒の枝梗や異物の引っ掛かりを抑制する。
水分計17の後側はカバー部材40により覆っているので、水分計17を保護することができる。
カバー部材40は、後面18にボルトなどにより着脱自在に取り付けているので、カバー部材40を設けることで、水分計17を保護することができるだけでなく、カバー部材40を着脱自在とすることで水分計17のメンテナンス性を向上させることができる。
水分計17は、取込部27および電極ローラ35をモータ(図示省略)により駆動する構成とし、モータの回転負荷が所定以上に大きくなると、駆動を停止するように構成しているので、取込部27が異物を水分計17に取り込んだような場合では、モータの回転負荷が増加するので、モータの駆動を停止させて、水分計17の破損を防止する。
水分計17のモータは、螺旋式排出装置11と縦排出装置13と横排出オーガ14によるグレンタンク5内の穀粒排出中も駆動を続行する構成としているので、水分計17内に残った穀粒を排出し、次工程の穀粒の測定を正確に行える。
また、水分計17を設置するステーまたは前記ケース45にモータとは他に振動用モータを別途設け、振動用モータの回転軸に荷重の偏心した錘を設け、モータが駆動すると振動が発生する構成としているので、水分計17の振動により、水分計17の平面部に載った穀粒や塵埃等を落下させられる。
しかして、コンバインは、グレンタンク5の重量、即ち、グレンタンク5が貯留した穀粒の重量を検出するロードセル47と、グレンタンク5の前端部をロードセル47上に案内する案内手段48とを備えているので、グレンタンク5が作業位置にあるとき、ロードセル47が作動してグレンタンク5の収量を測定し、作業終了後にグレンタンク5をメンテナンス位置にオープン回動させてメンテナンスを行った後に、案内手段48により作業位置にグレンタンク5を復帰させる。
グレンタンク5をメンテナンス位置から作業位置に向かって回動していくと、タンク側案内部材57のタンク側上昇傾斜部66の脱穀装置3寄りの先端が機体側案内部材56の第1上昇傾斜部58に接触する。そして、さらに、グレンタンク5を作業位置に向かって回動すると、タンク側案内部材57のタンク側上昇傾斜部66の脱穀装置3寄りの先端が、機体側案内部材56の第1上昇傾斜部58上に乗り上げて、第1上昇傾斜部58に沿って徐々に上昇した後、機体側案内部材56の第2上昇傾斜部59上に乗り上げて、第2上昇傾斜部59に沿って徐々に上昇する。そして、タンク側案内部材57のタンク側水平部67が機体側案内部材56の水平部60上に乗り上げる。すると、グレンタンク5の幅減少部69の前端部がロードセル47から間隔をあけてロードセル47の上方に位置する。
そして、さらに、グレンタンク5を作業位置に向かって回動すると、タンク側案内部材57のタンク側水平部67が機体側案内部材56の水平部60上を摺勤した後、タンク側案内部材57の下方延在部材65が機体側案内部材56の水平部60上に重なり、タンク側案内部材57のタンク側上昇傾斜部66及びタンク側水平部67が凹部61内に侵入する。
そして、係止アームがグレンタンク5に係止し、位置決めピン54が係止孔63に係止して、グレンタンク5は、作業位置で機体フレーム1などに固定される。
すると、グレンタンク5の幅減少部69の前端部がロードセル47上に重なり、ロードセル47がグレンタンク5の重量を検出可能になる。
また、機体側案内部材56が傾斜部64と水平部60とを備えるので、グレンタンク5をメンテナンス位置から作業位置に回動させる際に、グレンタンク5を一旦持ち上げてからロードセル47の上方を水平方向に移動させることができる。
したがって、作業位置で、グレンタンク5をロードセル47上に確実に配設することができる。
機体側案内部材56が作業位置のグレンタンク5の前端部が侵入する凹部61を備えているので、作業位置において、グレンタンク5を機体フレーム1に干渉させることなくロードセル47上に配設することができる。
機体側案内部材56が凹部61と水平部60との間に傾斜部64を設けているので、作業位置からメンテナンス位置にグレンタンク5を容易に回動することができる。
機体側案内部材56が水平部60と凹部61とを一体に構成し、凹部61をボルトなどにより機体フレーム1に固定しているので、作業位置において、グレンタンク5とボルトなどとの干渉を抑制することができる。
ロードセル47の一部を機体フレーム1のフレーム部材49上に配設しているので、グレンタンク5の重量によリロードセル47を支持する箇所が変形することを抑制でき、グレンタンク5の重量を正確に測定することができる。
ロードセル47の一部を配設したフレーム部材49を機体フレーム1の左右方向の外側の外縁部に配設しているので、機体側案内部材56がグレンタンク5を案内する経路の長さを抑制することができ、機体側案内部材56の小型化を図ることができる。
ロードセル47をフレーム部材49と第2フレーム部材50との間に掛け渡された補強板51上にも配設しているので、グレンタンク5の重量により機体フレーム1が変形することを抑制でき、グレンタンク5の重量を正確に測定することができる。
グレンタンク5の幅減少部69の底部にタンク側補強部材52を設けているので、グレンタンク5の機械的な強度を向上することができ、グレンタンク5の重量を確実にロードセル47に作用させることができる。
グレンタンク5にタンク側案内部材57を設けているので、グレンタンク5をメンテナンス位置と作業位置とに亘って確実に回動させることができる。
グレンタンク5の内側側板22の後部下方位置には加振装置を設けているので、加振装置によりグレンタンク5の内側側板22に振動を付与してグレンタンク5内の穀粒の排出を円滑にさせ、また、ロードセル47の反対側に設けた加振装置の振動(ノイズ)がロードセル47の計測に与える影響を抑制できる。
また、水分計17に近いグレンタンク5の後部に加振装置が振動を付与するので、水分計17も振動して水分計17の案内部材28に不必要に入った穀粒を振り出して、水分計17の計測精度を低下さないという作用効果も期待する。
加振装置の振動体(振動子)74は、グレンタンク5側に設けたバネ材に当接させているので、振動体の振動をバネ材を介してグレンタンク5の内側側板22に伝達し、内側側板22の摩耗等を抑制している。
また、加振装置の設置位置は任意であるが、水分計17と加振装置を隣接する面に配置すると、加振装置の振動を水分計17が利用することができ、好適である。
しかして、グレンタンク5は、位置決めピン54の他に、グレンタンク5に設けた係合フック77を、脱穀装置3側に設けた係合ピン78に係合させて、グレンタンク5のオープン回動をロックする構成であり、係合フック77と係合ピン78の係合高さ位置を調節自在としているので、係合フック77はグレンタンク5のオープン回動は阻止するが、グレンタンク5の重量を支持しない。
それゆえ、係合ピン78に係合フック77が係合しているときに、係合ピン78が上下方向の荷重を支持しないので、グレンタンク5のオープン回動のロック機構の存在を理由とする、グレンタンク5内の収量をロードセル47が計測する際の誤差発生を防止する。
グレンタンク5側に固定のベース板80に調節板81を上下摺動自在に当接させ、調節板81はベース板80の縦長孔83に螺子82を挿入して取付けるので、調節板81は螺子82を弛めるとベース板80に対して上下動自在になる。
ベース板80の下部に螺合させた調節軸84の上端を調節板81の下部に当接させているので、調節軸84を正逆回転させると、係合フック77を設けた調節板81はベース板80に対して上下し、調節板81の上下により係合ピン78に対する係合フック77の係合高さを変更し、係合時の係合フック77が下降しようとする荷重を「零」とするように調節する。