JP2018139247A - チップ抵抗器およびその製造方法 - Google Patents

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弘平 太田
Kohei Ota
弘平 太田
泰治 木下
Taiji Kinoshita
泰治 木下
大輔 塩賀
Daisuke Shioga
大輔 塩賀
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Abstract

【課題】本発明は、耐サージ特性を向上させることができるチップ抵抗器およびその製造方法を提供することを目的とするものである。
【解決手段】本発明のチップ抵抗器は、板状の金属で構成された抵抗体11と、抵抗体11の上面11aの両端部に形成された一対の電極12と、抵抗体11の上面11aにおいて一対の電極12間に形成された保護膜13と、一対の電極12および抵抗体11の端面に形成されためっき層15と、抵抗体11に形成された抵抗値調整用のトリミング溝14とを備え、トリミング溝14は抵抗体11を貫通しないように設け、かつ抵抗体11の上面11aから裏面11bに向かってトリミング溝14の長さを段階的に短くなるようにしたものである。
【選択図】図1

Description

本発明は、各種電子機器の電流値検出等に使用される金属板を抵抗体としたチップ抵抗器およびその製造法に関するものである。
従来のこの種のチップ抵抗器は、図5に示すように、板状の金属で構成された抵抗体1と、この抵抗体1の一面の両端部に形成された一対の電極2と、抵抗体1の一面において一対の電極2間に形成された保護膜3と、一対の電極2および抵抗体1の端面に形成されためっき層4と、抵抗体1に形成された抵抗値調整用の一直線状のトリミング溝5とを備えていた。
また、トリミング溝5は抵抗体1を貫通しないようにレーザを照射することによって形成していた。
なお、この出願の発明に関する先行技術文献情報としては、例えば、特許文献1が知られている。
特開2007−27383号公報
上記従来のチップ抵抗器は、電流がトリミング溝5の先端部付近で急激に集中するため、耐サージ特性が悪化するという課題を有していた。
本発明は上記従来の課題を解決するもので、耐サージ特性を向上させることができるチップ抵抗器およびその製造方法を提供することを目的とするものである。
上記目的を達成するために、本発明は、トリミング溝を、抵抗体を貫通しないように設け、かつ抵抗体の一面から対向する面に向かってその長さが段階的に短くなるようにした。
本発明のチップ抵抗器は、電流がトリミング溝の周辺を流れるようになるため、電流がトリミング溝の先端部付近で急激に集中することを避けることができ、これにより、耐サージ特性を向上させることができるという優れた効果を奏するものである。
本発明の一実施の形態におけるチップ抵抗器の断面図 同チップ抵抗器の一部切欠上面図 従来のチップ抵抗器のレーザ出射ごとの切削状態それぞれを示す断面模式図 本発明の一実施の形態におけるチップ抵抗器のレーザ出射ごとの切削状態それぞれを示す断面模式図 従来のチップ抵抗器の断面図
以下、本発明の一実施の形態におけるチップ抵抗器について図面を参照しながら説明する。
図1は本発明の一実施の形態におけるチップ抵抗器の断面図、図2は同チップ抵抗器の一部切欠上面図である。
本発明の一実施の形態におけるチップ抵抗器は、図1、図2に示すように、板状または箔状の抵抗体11と、抵抗体11の一面(上面)11aの両端部に形成された一対の電極12と、一対の電極12間において抵抗体11の一面(上面)11aに形成された保護膜13と、抵抗体11に形成された抵抗値調整用のトリミング溝14とを備えている。また、一対の電極12の上面および抵抗体11の端面11cにめっき層15を形成している。
さらに、トリミング溝14は抵抗体11を貫通しないように設け、抵抗体11の一面(上面)11aから対向する面(裏面)11bに向かってトリミング溝14の長さが段階的に短くなるにようにしている。
ここで、実装用基板への実装は一般的には、一対の電極12が形成された側を下方に向けて行うが、本明細書、図面では、便宜上、一対の電極12が形成された側を上方として説明する。なお、図2では説明を簡単にするために、保護膜13、めっき層15を省略している。
上記構成において、前記板状の抵抗体11は、NiCr、CuNi、CuMn等からなる金属板で構成されている。抵抗体11は、厚み方向に間隔を隔てた上面(一面)11aと裏面(一面と対向する面)11bを有し、長手方向に間隔を隔てた端面11cを有する。抵抗体11を金属で構成することによって1〜10mΩ程度の低抵抗値が得られる。
さらに、前記一対の電極12は、Cuをめっきまたは印刷することによって設けられ、抵抗体11の上面11aの両端部に形成されている。ここで、一対の電極12間の電流が流れる長手方向をX方向とする。
そして、前記保護膜13は、エポキシ樹脂等の絶縁物からなり、抵抗体11の上面11aにおいて、一対の電極12間に形成されている。
さらにまた、前記トリミング溝14は、抵抗体11の上面11aの上方からレーザを照射し、抵抗体11の上面11aから裏面11bに向かって切削することによって形成される。トリミング溝14は抵抗体11の裏面11bまでは貫通せず、その長手方向の長さが抵抗体11の上面11aから裏面11bに向かうにしたがって段階的に短くなっている。
トリミング溝14は、上方から第1トリミング溝14a、第2トリミング溝14b、第3トリミング溝14c、第4トリミング溝14dで構成されている。
X方向の長さは、第1トリミング溝14aが最も長く、第2トリミング溝14bは第1トリミング溝14aより短く、第3トリミング溝14cは第2トリミング溝14bより短く、第4トリミング溝14dは第3トリミング溝14cより短くなっており、すなわち、トリミング溝14は、階段状になっている。
第1〜第4トリミング溝14a〜14dは、図2に示すように、抵抗体11の長手方向(X方向)と直交する幅方向(Y方向)の全面に形成する。トリミング溝14を幅方向(Y方向)の全面に形成することによって、トリミング溝14は側面11dから見ると貫通
している。
ここで、第1〜第4トリミング溝14a〜14dの形成方法は、以下の通りである。
まずは、抵抗体11の上面11aにおいてその幅方向(Y方向)の全面にレーザを複数回照射して、第1トリミング溝14aを形成する。抵抗体11にレーザを1回照射して幅方向全面に走らせて切削した後に、場所を変えて再度抵抗体11の幅方向の全面にレーザを1回照射するということを繰り返す。第2トリミング溝14b、第3トリミング溝14cも同様とする。
次に、第1トリミング溝14aが形成された箇所と同じ位置において、抵抗体11の幅方向の全面にレーザを複数回照射して、第2トリミング溝14bを形成する。
次に、第2トリミング溝14bが形成された箇所と同じ位置において、抵抗体11の幅方向の全面にレーザを複数回照射して、第3トリミング溝14cを形成する。第1トリミング溝14a、第2トリミング溝14b、第3トリミング溝14cの深さ(抵抗体11の厚み方向における切削寸法)は、略等しい。
最後に、第3トリミング溝14cが形成された箇所と同じ位置において、抵抗体11の幅方向の全面にレーザを1回または複数回照射して、第4トリミング溝14dを形成する。
すなわち、第1トリミング溝14a〜第4トリミング溝14dは上方から見て同じ箇所に形成され、その上方から見た中心軸は揃っている。また、第2トリミング溝14bが長手方向(X方向)に第1トリミング溝14aからはみ出すことはなく、第3トリミング溝14cが長手方向に第2トリミング溝14bからはみ出すことはなく、第4トリミング溝14dが長手方向に第3トリミング溝14cからはみ出すことはない。
この第1〜第4トリミング溝14a〜14dの形成過程では、一対の電極12間の抵抗値を測定しながら行う。したがって、所定の抵抗値に達しない場合は、第4トリミング溝14dを深さ方向に複数形成する。したがって、第4トリミング溝14dの形成回数を調整することによって、抵抗値の微調整ができる。
なお、本実施の形態では、トリミング溝14を4つの第1〜第4トリミング溝14a〜14dで構成して4段としたが、抵抗値調整の状態に応じて他の段数としてもよい。
トリミング溝14を形成した後、保護膜13を形成するため、トリミング溝14の内部には保護膜13が充填される。トリミング溝14は、抵抗体11の上面11a側の開口面積が広いため、保護膜13をより確実に充填でき、トリミング溝14内のボイドの発生を抑制できる。
また、前記めっき層15は、Niめっき、Snめっきの順に形成され、抵抗体11の端面11c、および一対の電極12の上面に設けられている。なお、Niめっきの下層にCuめっきをしてもよい。めっき層15は、保護膜13、トリミング溝14の形成後に設ける。
本発明の一実施の形態におけるチップ抵抗器は、トリミング溝14を抵抗体11の裏面11bまで貫通しないように設け、かつ抵抗体11の上面11aから裏面11bに向かってその長さを段階的に短くなるようにしているため、電流がトリミング溝14の周辺を流れるようになり、これにより、電流がトリミング溝14の先端部(最深部)14e付近で
急激に集中することを避けることができ、耐サージ特性を向上させることができるという効果が得られるものである。
すなわち、一対の電極12とトリミング溝14とが抵抗体11の同じ面(上面11a)に形成され、かつ抵抗体11の低い抵抗値によって大きな電流が流れるため、トリミング溝14の先端部14e付近での電流集中が非常に大きくなり、電流集中による発熱が大きくなる。そして、放熱体となる絶縁基板が無いため、この熱が逃げにくく、発熱による影響が大きい。
したがって、本発明のようなトリミング溝14を段階的に短くすることは非常に有効である。
さらに、従来のようにトリミング溝5が一直線状の場合、図3に示すように、トリミング溝5形成時に、レーザ照射によって溶融した抵抗体1の金属(ドロス)5aがトリミング溝5の周囲に発生し、このドロス5aが保護膜3を突き破り露出する場合があり、これにより、めっき層4を形成するときに飛び出したドロス5aにもめっきが付着するため、抵抗値が変動する可能性があった。
これに対し、発明のようにトリミング溝14を段階的に形成すると、図4に示すように、第1〜第4トリミング溝14a〜14dそれぞれの深さは浅くてすむため、レーザ照射によって発生するドロス16の長さは短くなり、これにより、ドロス16が保護膜13を突き破って露出することを防ぐことができるため、ドロス16にめっき層15形成時のめっきが付着し抵抗値が変動する可能性を低減できる。
そして、一般の厚膜抵抗器では抵抗体膜厚が薄いため、ドロスの発生は少ないが、本発明のような金属板を抵抗体11とする抵抗器においてはドロスの発生が多く、その影響が無視できなくなる。
なお、図3、図4は、レーザ出射ごとの切削状態をそれぞれ示す断面模式図である。
ここで、第1トリミング溝14aで発生するドロス16が確実に保護膜13を突き破らないようにするために、切削深さを他のトリミング溝14b〜14dより浅くしてもよい。このとき、他のトリミング溝14b〜14dの切削深さを深くして、所定の抵抗値に近づけるようにする。
そしてまた、従来のようにトリミング溝5が一直線状の場合、上面視で同じ箇所にレーザ照射し続けることになるため、レーザ照射による発熱が一箇所に集中し、これにより、抵抗体1が高温となるため、抵抗値測定しながらレーザ照射をしてトリミング溝5を形成する際、抵抗値が変化して抵抗値精度が悪化する。
これに対し、本発明では、上面視で異なる箇所にレーザ照射することになるため、レーザ照射による発熱が分散し、これにより、抵抗体11が高温とならないため、抵抗値測定しながらレーザ照射をしてトリミング溝14を形成する際でも、抵抗値変化が小さく、抵抗値精度を向上させることができる。
上述したように、本発明の構成によって、トリミング溝14の先端部11eへの負荷集中を緩和して耐サージ特性を向上させるだけでなく、ドロス16へのめっき付着を防止して抵抗値変動を抑制し、抵抗体11が高温になるのを防ぐことにより抵抗値精度を向上させることができる。
本発明に係るチップ抵抗器およびその製造方法は、耐サージ特性を向上させることができるという効果を有するものであり、特に各種電子機器の電流値検出等に使用される金属板を抵抗体としたチップ抵抗器等に適用することにより有用となるものである。
11 抵抗体
12 一対の電極
13 保護膜
14 トリミング溝
14a〜14d 第1〜第4トリミング溝
15 めっき層

Claims (2)

  1. 板状の金属で構成された抵抗体と、前記抵抗体の一面の両端部に形成された一対の電極と、前記抵抗体の一面において前記一対の電極間に形成された保護膜と、前記一対の電極および前記抵抗体の端面に形成されためっき層と、前記抵抗体に形成された抵抗値調整用のトリミング溝とを備え、前記トリミング溝は、前記抵抗体を前記抵抗体の一面と対向する面まで貫通しないようにし、かつ前記抵抗体の一面から対向する面に向かってその長さが段階的に短くなるようにしたチップ抵抗器。
  2. 請求項1に記載のチップ抵抗器の製造方法であって、前記抵抗体に上方からレーザを照射して上下方向に連続する複数の前記トリミング溝を前記抵抗体に形成し、上方のトリミング溝が形成された箇所と同じ位置に、前記上方のトリミング溝より長さが短い他のトリミング溝をその下方に形成するようにしたチップ抵抗器の製造方法。
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