JP2018135056A - 移動体用報知装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】安全性を向上させる。
【解決手段】実施形態の移動体用報知装置は、例えば、第1の音データを記憶する記憶部と、第1の音データに基づいた報知音を、移動体に設けられた音出力部から出力する音出力制御部と、第1の音データに対して、報知音の周期に従わせると共に、音の立ち下がりが生じている箇所に、音の立ち上がりが生じている箇所と異なる所定の加工処理を行って第2の音データを生成する生成部と、第2の音データで表されている音の強弱に従って、移動体に設けられた光源部を発光させる光源駆動制御部と、を備える。
【選択図】図2
【解決手段】実施形態の移動体用報知装置は、例えば、第1の音データを記憶する記憶部と、第1の音データに基づいた報知音を、移動体に設けられた音出力部から出力する音出力制御部と、第1の音データに対して、報知音の周期に従わせると共に、音の立ち下がりが生じている箇所に、音の立ち上がりが生じている箇所と異なる所定の加工処理を行って第2の音データを生成する生成部と、第2の音データで表されている音の強弱に従って、移動体に設けられた光源部を発光させる光源駆動制御部と、を備える。
【選択図】図2
Description
本発明の実施形態は、移動体用報知装置に関する。
従来、電動車椅子や電動車両やハイブリッド車両等の移動体が普及していく傾向にある。このような移動体は、電力を利用するモータを動力源としている。モータはエンジン等と比べて発せられる音が小さいため、移動体が走行しているときに、周囲の人が移動体の存在に気付かない場合もある。
このため、移動体が音を出力することで、移動体が存在することを周囲に認識させる技術が提案されている。しかしながら、移動体が音のみを出力して注意を促す場合、例えば、音を継続的に出力させたり、騒音等に消えないようにある程度大きな音を出力させたりする必要がある。
このため、音のみを出力するのではなく、他の要素と組み合わせて、音の出力をある程度抑止できるよう制御するのが好ましい。他の要素としては、光を用いることが考えられる。しかしながら、単に音と光を同時に出力するだけで、光と音とを一致させない場合には、例えば、音が発する危険度のリスクを、光では認識できない等の状況が生じるため、混乱が生じる可能性がある。他の例としては、音と光が一致していない場合には、人が光を認識しても、当該光の出力元が音の出力元と認識できないことも考えられる。
一方、光の変化を音の強弱と合致させた場合、例えば、人が光の変化を視認した際に、当該光の出力元が音の出力元であることを認識できる。他の例としては、音が断続的にしか聞こえない状況であっても、人が光を視認した際に、光の変化で音の強弱を推測できるので、音の出力を把握できるようになる。
音に合わせて光を出力する技術は、いくつか提案されている。このような技術は、例えば、携帯電話のインジケーター等のエンターテイメント的な要素として用いられる傾向がある。
しかしながら、従来技術においては、エンターテイメント等で利用されるための技術であって、移動体から音に合わせて光を出力するような状況を考慮したものではない。例えば、従来技術では、音が消えた際に、音に同期して光も消える場合が多い。
このような従来技術を移動体に適用した場合、音が消える際には、音と共に光も消えることになる。このような場合、例えば、人が立ち下がっていく音を聞いたため、音の出力元を確認しようとした際には、光も消えているような状況も生じる。このような状況が生じると、音の出力元を確認するのが難しくなる場合がある。
つまり、移動体が音の強弱に従って光を出力する場合であっても、音が立ち下がる期間では、光の出力はある程度維持されるように制御するのが望ましい。そこで、移動体の搭乗者や周囲の歩行者に搭乗者の操作に対する危険度リスクの推移(例えば良化傾向や悪化傾向など)を直感的に伝えることができる報知装置が求められる。
実施形態の移動体用報知装置は、例えば、第1の音データを記憶する記憶部と、第1の音データに基づいた報知音を、移動体に設けられた音出力部から出力する音出力制御部と、第1の音データに対して、報知音の周期に従わせると共に、音の立ち下がりが生じている箇所に、音の立ち上がりが生じている箇所と異なる所定の加工処理を行って第2の音データを生成する生成部と、第2の音データで表されている音の強弱に従って、移動体に設けられた光源部を発光させる光源駆動制御部と、を備える。この構成によれば、例えば、報知音と同期させて、光源部が発光させる際に、立ち下がりが生じている箇所の加工処理を、立ち上がりが生じている箇所と異ならせることで、光と音とが対応していることを人に認識させた上で、音を聞いてから光を認識させるまでのずれを考慮した発光制御ができる。これにより音を聞き取れなかった場合でも、光による報知表現だけで、危険度リスクの時間的な推移を音による報知と同様に直感的に移動体の搭乗者や周囲の歩行者に把握させることができるため、安全性を向上させることができる。
実施形態の移動体用報知装置は、例えば、生成部は、第1の音データから第2の音データを生成する際に、音の立ち下がりが生じている箇所に対して、報知音に含まれている所定の期間の音を繰り返させる加工処理を行う。この構成によれば、例えば、報知音に含まれている所定の期間の音を繰り返させることで、光と音とが対応していることを人に認識させた上で、音を聞いてから光を認識させるまでのずれを考慮した発光制御ができる。これにより、出力された音が移動体から発せられたことを周囲の歩行者に気付かせることができる。
実施形態の移動体用報知装置は、例えば、光源駆動制御部は、第2の音データで表されている音の強弱と同期させて、光源部から発光させる光の彩度及び明度のうちいずれか一つ以上を変化させる。この構成によれば、例えば、光の彩度及び明度のうちいずれか一つ以上を変化させることで、報知音の周期に従った、光源部から発光させる光の変化に気づくことができる。
実施形態の移動体用報知装置は、例えば、生成部は、さらに、前記所定の加工処理として、前記周期に含まれる、音の立ち上がり期間において、時間遷移に応じた音の立ち上がり加工制御が行われる共に、音の立ち下がり期間において、前記音の立ち上がり期間と比べて時間あたりの変化量が小さな、時間遷移に応じた音の立ち下がり加工制御が行われた、前記第2の音データを生成する。この構成によれば、例えば、音を聞いてから光を認識させるまでのずれを考慮した発光制御ができる。
実施形態の移動体用報知装置は、例えば、生成部は、移動体が移動する速度が示された速度情報に基づいて、所定の加工処理が行われた、第2の音データを生成する。この構成によれば、例えば、移動体の速度を、音及び光で周囲に認知させることができるので、安全性を向上させることができる。
実施形態の移動体用報知装置は、移動体の周囲の明るさが示された明るさ情報を取得する取得部を、さらに備え、光源駆動制御部は、取得部が取得した明るさ情報に基づいて、光源部で発光させる光の彩度及び明度のうちいずれか一つ以上を調整する。この構成によれば、例えば、周囲の明るさに応じて光源部の光制御を実現できるので、光源部から出力される光で、移動体の存在を周囲に認知させることが容易になるので、安全性を向上させることができる。
以下、本発明の移動体用報知装置の例示的な実施形態が開示される。以下に示される実施形態の構成、ならびに当該構成によってもたらされる作用、結果、および効果は、一例である。本発明は、以下の実施形態に開示される構成以外によっても実現可能であるとともに、基本的な構成に基づく種々の効果や、派生的な効果のうち、少なくとも一つを得ることが可能である。以下の実施形態においては、移動体用報知装置は、移動体に搭載される光音出力制御装置に適用した例について説明する。
実施形態の光音出力制御装置1は、移動体に搭載される。移動体とは、人が搭乗可能な乗り物であり、本実施形態では電動車椅子100が相当する。以下では、移動体を電動車椅子100として説明する。また、本実施形態は、移動体を、人を搭載可能な乗り物に制限するものはなく、例えば、荷物の運搬に利用可能な移動体等であっても良い。
図1は、実施形態による光音出力制御装置が搭載された移動体の斜視図である。図1に示されるように、電動車椅子100はシート部70、駆動輪20、駆動部30、操作ボックス40、及び光源部50を備えている。
シート部70は、車幅方向に引っ張って設けられる。このようなシート部70は、乗員が腰を掛ける座部71と、当該座部71に乗員が腰を掛けた状態でもたれる背部72とを有して構成される。座部71及び背部72は、車体を構成する車幅方向両外側に設けられたフレーム60に取り付けられる。電動車椅子100は、収納時や持ち運び時を容易に行うことができるように、車幅方向に沿って折り畳むことができる。このようなシート部70は折り畳み可能な布又はビニール等により構成される。
電動車椅子100には、4つの車輪25が設けられる。この4つの車輪25は、2つのキャスター21と2つの駆動輪20とから構成される。キャスター21は電動車椅子100の進行方向前側に設けられる。進行方向とは電動車椅子100が前進走行する際の方向である。キャスター21は車幅方向に沿って対向するように配設された左右一対で設けられる。なお、図1においては左側のキャスター21の図示が省略されている。
駆動輪20は電動車椅子100の進行方向後ろ側に設けられる。駆動輪20は、シート部70の車幅方向外側に沿って対向するように配設された左駆動輪20Lと右駆動輪20Rの一対からなる。以下では、特に区別をする必要がない場合には「駆動輪20」として説明する。駆動輪20は、電動車椅子100を走行させる動力が伝達される車輪である。一方、本実施形態ではキャスター21は動力が伝達されることはなく、電動車椅子100の前部を支持するために設けられる。また、電動車椅子100には、シート部70が進行方向後ろ側に転倒することを防止するために、駆動輪20の後方へ延在する転倒防止バー61L,61Rが設けられる。以下では、特に区別をする必要がない場合には「転倒防止バー61」として説明する。この転倒防止バー61が規制手段となって後方への転倒を防止する。
駆動部30は、バッテリ91から供給される電力により駆動輪20の夫々を駆動する。バッテリ91は、電動車椅子100の動力源となる電気エネルギーが予め蓄電され、背部72の背面に設けられたホルダー92を介して取り付けられる。駆動輪20の夫々とは、左駆動輪20L及び右駆動輪20Rである。このため、駆動部30は、左駆動輪20L及び右駆動輪20Rを独立して駆動することが可能に一対で設けられる。独立して駆動するとは、左駆動輪20Lと右駆動輪20Rとを夫々異なる回転速度及び異なる回転方向で駆動することが可能であることを示す。このため、駆動部30は、左駆動部30L及び右駆動部30Rの一対から構成される。以下では、特に区別をする必要がない場合には「駆動部30」として説明する。
左駆動部30Lには左駆動輪20Lを回転させる回転力を出力するモータ32Lを有して構成される。また、右駆動部30Rには右駆動輪20Rを回転させる回転力を出力するモータ32Rを有して構成される。以下では、特に区別をする必要がない場合には「モータ32」として説明する。左駆動部30L及び右駆動部30Rの夫々には、上述のバッテリ91からの出力される電気エネルギーが伝達され、夫々左駆動輪20L及び右駆動輪20Rを独立して駆動する。
操作ボックス40はジョイスティック41とコントローラ42とを備えて構成される。ジョイスティック41は中立状態が鉛直上方に向かって立設した状態であり、その状態から電動車椅子100の乗員が所定の方向に向けて倒すことにより、当該倒した方向に電動車椅子100を誘導することができる。また、鉛直上方から倒した角度に応じて移動速度が設定される。したがって、ジョイスティック41は乗員の意図を入力する入力デバイスとして機能する。コントローラ42は、ジョイスティック41に対する入力を上述した駆動部30に指示する。したがって、コントローラ42は、設定された移動速度を駆動部30に指示する速度指示部として機能する。駆動部30を構成する左駆動部30L及び右駆動部30Rは、夫々ジョイスティック41を介して入力された走行制御に係る駆動指令に基づいてモータ32L及びモータ32Rを駆動する。
光源部50は、バッテリ91から供給される電力により発光する光源であって、例えば、光源部50内部に複数のLEDを並べることで実現されている。また、光源部50は、光音出力制御装置1からの制御に従って、彩度及び明度のうちいずれか一つ以上を変化させることができる。
次に、光音出力制御装置1について説明する。図2は、実施形態の光音出力制御装置1の構成を模式的に示したブロック図である。光音出力制御装置1は、図示しない記憶装置(例えばSSD)上に、音データ記憶部201を備える。さらに、光音出力制御装置1は、記憶装置に記憶されたプログラムを、図示しないCPUが実行することで、図示しないRAM上に、速度情報取得部202と、人情報入力部203と、歩調演算部204と、報知周期設定部205と、報知音出力制御部206と、ダミー音生成部207と、情報取得部208と、情報変換部209と、光源駆動制御部210と、を備えることとなる。なお、図2には、上述した駆動輪20、駆動部30、モータ32、及びコントローラ42も示されている。
音データ記憶部201は、音データを記憶する。本実施形態の音データは、音を所定の波形で示された波形データとする。本実施形態は、波形の形状を特に制限するものではなく、どのような形状であっても良い。また、音データ記憶部201に記憶される音データは、実際に出力される音と比べて、出力される時間が長めの音データとして記憶する。これにより、ダミー音データをエンベロープ波形で加工処理を行う場合であっても、音データが欠落するのを抑止できる。
速度情報取得部202は、当該電動車椅子100の移動速度を示す速度情報を取得する。移動速度は、駆動輪20の回転数に基づき検出される。上述したように、電動車椅子100は左駆動輪20L及び右駆動輪20Rを備え、夫々独立して駆動される。左駆動輪20L及び右駆動輪20Rは常に同じように回転するとは限らないことから、本実施形態では、左駆動輪20Lの回転数を検出する回転センサ11Lと、右駆動輪20Rの回転数を検出する回転センサ11Rと、が備えられている。
速度情報取得部202は、回転センサ11L、及び回転センサ11Rから、左駆動輪20L及び右駆動輪20Rの回転数の検出結果を取得し、取得した回転数を用いて電動車椅子100の移動速度を検出(演算)する。速度情報取得部202は、検出した移動速度を速度情報として、歩調演算部204に出力する。
なお、速度情報の取得手法は、回転センサ11L、11Rから取得する手法に制限するものではない。例えば、コントローラ42が、ジョイスティック41の操作に応じた移動速度を駆動部30に指示する速度指示部として機能しているので、速度情報取得部202は、コントローラ42による移動速度の指示内容を取得し、当該指示内容に含まれる移動速度を速度情報として、歩調演算部204に出力しても良い。
人情報入力部13は、電動車椅子100に搭乗する人の情報の入力を受け付ける。例えば、人情報入力部13は、搭乗する人の身長の入力を受け付ける。また、人情報入力部13は、必要に応じて、年齢や性別の入力を受け付けてもよい。
歩調演算部204は、速度情報取得部202から入力された速度情報で示される移動速度で、人が周期的動作を伴って移動する場合の歩調を演算する。人が周期的動作を伴って移動する場合の歩調とは、速度情報取得部202が取得した移動速度で、任意の人が移動したと仮定した場合の当該人の歩調とする。歩調とは、人が移動する時の調子を示すものであり、本実施形態では単位時間当たりの歩数からなる。なお、歩調とは人が歩く時の調子のみを意味するのではなく、本実施形態では人が走る時の調子も含んでいる。
人の歩行速度は、歩幅と歩調と積により決定される。歩幅は、一般的に身長から100cmを減じた値であると言われている。歩調とは、上述したように単位時間(例えば1秒)当たりの歩数とする。よって、歩調演算部204は、速度情報取得部202から入力された速度情報で示された移動速度を、(人情報入力部13により入力を受け付けた)電動車椅子100に搭乗する人の身長に応じた歩幅で除算することで、歩調を算出する。なお、歩調を算出する場合には、身長だけでなく、年齢や性別を考慮しても良い。また、本実施形態は、移動速度を表す情報として、歩調を用いる例について説明したが、歩調に制限するものではなく、人が歩いているときに行う周期的動作(例えば、手、顔、腰等の振り)であれば良い。
報知周期設定部205は、歩調演算部204により演算された歩調に基づいて電動車椅子100の存在を周囲に報知する報知周期を設定する。報知周期設定部205は、歩調演算部204により演算された歩数の逆数を、報知周期に設定する。
本実施形態においては、電動車椅子100の存在を周囲に報知させるために、報知周期に従った音及び光を組み合わせて出力する。
報知周期とは、光音出力制御装置1が、周囲に電動車椅子100の存在を報知する周期とする。本実施形態では、報知周期の1周期内において、報知を行う報知期間と、報知を休止する休止期間と、が規定される。報知周期設定部205により設定された報知周期は、報知音出力制御部206に出力される。
報知音出力制御部206は、第1のエンベロープ処理部211を備え、音データ記憶部201から音データを読み出した後、音データから、報知周期設定部205により設定された報知周期に従った報知音データを生成し、生成した報知音データを、電動車椅子100に設けられたスピーカ17から出力する。なお、報知音データは、第1のエンベロープ処理部211により生成される。
第1のエンベロープ処理部211は、音データ記憶部201から読み出された音データに対してエンベロープジェネレータを用いて第1の加工処理を行い、第1のエンベロープ波形で表された報知音データを生成する。本実施形態の第1の加工処理は、第1のエンベロープ波形を表したエンベロープパターンで、音データを切り出す処理とする。
図3は、本実施形態の第1のエンベロープ処理部211で用いる第1のエンベロープ波形の包絡線の形を例示した図である。図3に示される第1のエンベロープ波形の包絡線は、報知周期に従って形成されている。つまり、本実施形態の第1のエンベロープ波形の包絡線は、報知周期の一周期(例えば時刻t10〜時刻t12)毎に、報知期間(例えば時刻t10〜時刻t11)及び休止期間(例えば時刻t11〜時刻t12)が含まれている。
第1のエンベロープ処理部211が、図3に示されるエンベロープ波形の包絡線に従って報知音データを生成することで、光音出力制御装置1は、スピーカ17から報知音の出力を4回繰り返された後(1回目:時刻t10〜時刻t11、2回目:時刻t12〜時刻t13、3回目:時刻t14〜時刻t15、4回目:時刻t16〜時刻t17)、報知音の出力を停止させる制御を行うことになる。
そして、報知音出力制御部206は、第1のエンベロープ処理部211によって生成された報知音データを、スピーカ17から出力する。なお、報知音出力制御部206の報知音データの出力は、後述する光源駆動制御部210による光源部50の駆動制御とタイミングを合わせるものとする。
本実施形態は、報知音のエンベロープ波形を、図3で示した形状に制限するものではなく、他の形状であっても良い。例えば、移動体の状況に応じて、「警報感」をもたらすようなエンベロープ波形を用いても良いし、移動体に搭乗している利用者を考慮して、「高級感」「快適感」をもたらすようなエンベロープ波形を用いても良い。
ところで、報知音は、周囲の騒音状況に影響を受けやすいため、電動車椅子100から出力される報知音を、搭乗者又は周囲の歩行者が常に聞き取れるとは限らない。報知音の音量を上げるか、報知音の出力頻度を上げることで、聞き取りやすさを改善することもできるが、煩さを感じさせてしまうリスクも生じる。そこで、本実施形態においては、報知音を出力する際に、報知音の音の強弱に従って、光源部50の明度及び彩度をのうちいずれか一つ以上を変化させる駆動制御を行うこととした。これにより、電動車椅子100の周囲の歩行者は、光源部50から出力された光の変化を視認した際に、光の変化に同期する、スピーカ17から出力される音を把握できるようになる。
ダミー音生成部207は、第2のエンベロープ処理部212を備え、音データ記憶部201から音データを読み出した後、報知周期設定部205により設定された報知周期に従って音データに対して第2の加工処理を行い、ダミー音データを生成する。
ダミー音データは、スピーカ17から出力される音データではなく、光源部50から出力される光の変化を制御するために用いられる音データとする。つまり、本実施形態においては、光源部50から出力される光の駆動制御を行う際、報知音出力制御部206から出力される報知音データを用いるのではなく、ダミー音生成部207で生成されるダミー音データを用いることとした。なお、ダミー音データは、報知周期に従った音データのため、報知音データとも同期する。
第2のエンベロープ処理部212は、第2の加工処理を行うエンベロープジェネレータを用いて、第2のエンベロープ波形で表されたダミー音データを生成する。
本実施形態の第2のエンベロープ処理部212は、第2の加工処理を行うエンベロープジェネレータにより、第2のエンベロープ波形を表したエンベロープパターンで、音データを切り出す。第2のエンベロープ波形を表したエンベロープパターンにおいては、音の立ち下がりが生じている箇所と、音の立ち上がりが生じている箇所と、は異なる波形となり、換言すれば異なる加工処理が行われている。より詳細には、第2のエンベロープ波形を表したエンベロープパターンとは、音の立ち上がり期間において時間遷移と共に音が大きくなり、音の立ち下がり期間において時間遷移と共に音が小さくなる変化が含まれているパターンとする。また、当該エンベロープパターンは、音の立ち上がり期間の変化量の微分値の絶対値が、音の立ち下がり期間の変化量の微分値の絶対値と比べて大きくなるパターンとする。
第2のエンベロープ波形を表したエンベロープパターンは、報知音の(第1のエンベロープ波形を表した)エンベロープパターンと比べて、時間遷移と共に音の強弱が変化するようなパターンを用いることで、波形が滑らかになっている。このため、ダミー音データに基づいて光源部50の駆動制御を行うことで、視認性を向上させると共に、点滅を軽減して眩しくするのを抑止できるという効果を奏することができる。
図4は、本実施形態の第2のエンベロープ処理部212で用いる第2のエンベロープ波形の包絡線の形を例示した図である。図4に示される第2のエンベロープ波形の包絡線は、第1のエンベロープ波形と同様に、報知周期に従って形成されている。つまり、本実施形態の第2のエンベロープ波形の包絡線は、報知周期の一周期(例えば時刻t10〜時刻t12)毎に、音の立ち上がり期間(例えば時刻t10〜時刻t11)及び音の立ち下がり期間(例えば時刻t11〜時刻t12)が含まれている。また、通常の音の立ち上がり期間(例えば時刻t10〜時刻t11)が、報知期間に対応し、音の立ち下がり期間(例えば時刻t11〜時刻t12)が、休止期間に対応する。
第2のエンベロープ波形は、報知音データの報知期間に対応するように、音が急峻に立ち上がる期間が形成されると共に、休止期間に対応するように、音が緩やかに立ち下がり期間が形成されるような、包絡線を有する。
第2のエンベロープ処理部212は、上述した第2のエンベロープ波形を用いることで、報知周期に含まれる、音の立ち上がり期間(例えば時刻t10〜時刻t11)において、時間遷移に応じた音の立ち上がり加工制御が行われる共に、報知周期に含まれる音の立ち下がり期間(例えば時刻t11〜時刻t12)及び報知が終了した後の音の立ち下がり期間(例えば、時刻t17〜時刻t18)において、音の立ち上がり期間と比べて時間あたりの変化量が小さな、時間遷移に応じた音の立ち下がり加工制御が行われた、ダミー音データを生成する。
このように、第2のエンベロープ波形は、音の立ち上がりが生じている箇所と比べて、音の立ち下がりが生じている箇所は緩やかに変化するように包絡線となる。さらに、第2のエンベロープ波形は、報知音データによる報知が終了した後(例えば時刻t17)の音の立ち下がりが生じている箇所については、通常の音の立ち下がり期間と比べて、さらに緩やかに立ち下がっていくような包絡線となる。これにより、本実施形態では、図4に示される例のように、ダミー音データは、時刻t17〜時刻t18の間の長い期間で、音の立ち下がりが継続する。
第2のエンベロープ処理部212が、図4に示されるエンベロープ波形の包絡線に従って報知音データを生成することで、光音出力制御装置1は、光源部50からの光を明度及び彩度のうちいずれか一つ以上を変化させる処理を4回繰り返された後(1回目:時刻t10〜時刻t11、2回目:時刻t12〜時刻t13、3回目:時刻t14〜時刻t15、4回目:時刻t16〜時刻t17)、光の明度及び彩度のうちいずれか一つ以上を低下させていく制御を所定期間(例えば時刻t17〜時刻t18の期間)行うことになる。
本実施形態においては、報知音と光源部50の光は、報知周期に従って出力される点で一致している。しかしながら、音はオン/オフが明確に切り変わるのに対し、光はオン/オフが明確に切り変わるのではなく、徐々に変化させる点で異なる。
つまり、本実施形態においては、ダミー音データの、音の立ち上げ期間において、光の明度及び彩度のうちいずれか一つ以上を上げる制御が行われ、ダミー音データの、音の立ち下げ期間において、光の明度及び彩度のうちいずれか一つ以上を下げる制御が行われる。
この際に、上述したダミー音データを用いることで、明度及び彩度のうちいずれか一つ以上を下げる制御は、明度及び彩度のうちいずれか一つ以上を上げる制御と比べて、緩やかに変化する。
このため、報知音がオフになった時刻(例えば時刻t17)から、光が完全に消える時刻(例えば時刻t18)まで長い時間を要することになる。本実施形態においては、当該制御を行うことで、電動車椅子100が報知音の出力を停止した後であっても、周囲の人は、消えていく光を確認できるため、報知音を出力していたのが当該電動車椅子100であることを推測できる。
ところで、従来、携帯電話等のインジケーター等で、音のレベルを光でリアルタイムに表示する技術は提案されていた。インジケーターが音のレベルを光でリアルタイムに表示している以上、音が消えた後に光の出力を維持すると、音と光がずれているため、違和感を与えることになる。つまり、従来技術においては、人のラウドネス特性から大幅にずれた過渡応答特性(時定数)で、光の出力を制御することは考慮していない。
これに対して、本実施形態の光音出力制御装置1は、報知音が立ち下がりし続け、報知音が消えた後にも、光源部50からの光の出力を維持することとした。本実施形態は、光は音のレベルのリアルタイムな表示ではなく、報知音の出力元(例えば移動体)の存在を認識させるためである。このため、音が立ち下がりし続け、音が消えた後であっても、光源部50からの光の出力を維持することとした。
情報取得部208は、光センサ18から、電動車椅子100の周囲の明度を示した明度データを取得する。
情報変換部209は、ダミー音生成部207が生成したダミー音データを、光源部50から出力する光の制御データに変換する。
本実施形態の情報変換部209は、ダミー音データの音の強さを、光の明度及び彩度の組み合わせに変換する。本実施形態の情報変換部209は、情報取得部208が取得する明度データに基づいた変換を行うこととする。
図5は、図4のダミー音データの正側の変化を抽出した変化情報を表した図である。図5に示される例では、情報変換部209は、ダミー音データの正側の変化を抽出し、当該性側の変化を変化情報として、光源の光の明度及び彩度の調整に用いることとした。本実施形態の変化情報は、ダミー音データの最小値が0%に設定され、ダミー音データの最大値が100%として設定される。
さらに、情報変換部209は、情報取得部208が取得する明度データに基づいて、明度及び彩度の組み合わせのうち、光源部50で調整可能な範囲を設定する。
本実施形態の情報変換部209は、情報取得部208が取得する明度データに基づいて、光源部50の調整可能な明度の下限値を設定する。本実施形態は、明度データに基づいた周囲の明るさで、電動車椅子100の周囲の人が、光源部50の光を視認可能な最低限度の明るさを、光源部50の明度の下限値として設定する。具体的な明度については実施の態様に応じて設定されるものとする。
図6は、情報変換部209が、変化情報の値から、所定の線形関係に基づいて算出する、明度及び彩度の組み合わせを例示した図である。図6は、情報取得部208が取得する明度データに基づいて、明度の下限値が20%に設定された例とする。そして、情報変換部209は、明度20%及び彩度0%から、明度100%及び彩度100%までの線形関係を表した関数に、(0%〜100%までの)変化情報の値を代入することで、ダミー音データの音の強さに対応した、明度及び彩度の組み合わせを算出する。
図6に示される例では、図5の変化情報の値(45%、70%、90%、100%)に対応する、明度及び彩度の組み合わせを例示している。本実施形態の情報変換部209は、上述した処理を行うことで、報知音データに対応する、明度及び彩度の組み合わせを導出できる。
なお、本実施形態は、明度及び彩度の組み合わせを算出する際に、線形関係に基づいた関数を用いることに制限するものではなく、変化情報の値と、明度及び彩度の組み合わせと、の間に相関関係があれば良い。
図7は、実施形態の変形例の情報変換部209が、変化情報の値から所定の相関関係に基づいて算出する、明度及び彩度の組み合わせを例示した図である。図7で示される例では、対数関数で表される線上における、彩度0%及び明度20%を基点とした長さと、変化情報の値と、を対応付けることで、変化情報の値から、明度及び彩度の組み合わせを算出する。
第1の実施形態に戻り、周囲の明るさが、図6と異なる場合について説明する。図8は、実施形態の情報変換部209が、変化情報の値から、所定の線形関係に基づいて算出する、明度及び彩度の組み合わせを例示した図である。図8は、図6で示した状況と比べて、電動車椅子100の周囲が明るいため、情報取得部208が取得する明度データに基づいて、明度の下限値が60%に設定された例とする。そして、情報変換部209は、明度60%及び彩度0%から、明度100%及び彩度100%までの線形関係を表した関数に、(0%〜100%までの)変化情報の値を代入することで、ダミー音データの音の強さに対応した、明度及び彩度の組み合わせを算出する。
光源駆動制御部210は、情報変換部209が算出した明度及び彩度の組み合わせに従って、電動車椅子100に設けられた光源部50の発光制御を行う。情報変換部209が算出した明度及び彩度の組み合わせとは、ダミー音データで表されている音の強弱から導出されたものである以上、光源駆動制御部210は、ダミー音データで表されている音の強弱と同期させて、光源部50から発光させる光の彩度及び明度のうちいずれか一つ以上を変化させる制御となる。
また、光源駆動制御部210は、情報変換部209が明度に基づいて算出された明度及び彩度の組み合わせで、光源部50の駆動制御を行う以上、情報取得部208が取得した明度データに基づいて、光源部50で発光させる光の彩度及び明度のうちいずれか一つ以上を調整していることとなる。
本実施系形態の光源駆動制御部210は、報知音出力制御部206による報知音データの出力と同期させて、光源部50の発光制御を行う。
図9は、実施形態の光源駆動制御部210が行う光源部50の発光制御を例示した図である。図9に示される例では、図4で示したダミー音データの音の強弱に対応する、光源部50の駆動制御が行われている。例えば、図4で示した、時刻t10〜t11で音の立ち上がりが生じている期間において、図9では、光源部50から発光される光が明るくなるように駆動制御が行われる。そして、図4で示した、時刻t11〜t12で音の立ち下がりが生じている期間において、図9では、光源部50から発光される光が暗くなるように駆動制御が行われる。図9に示されるような、光の駆動制御を行うことで、報知音に光の駆動制御を同期させた上で、報知音が消えた後でも、光は消えずに、光の明度及び彩度が低下していく状態を維持するような駆動制御を実現できる。
次に、本実施形態の光音出力制御装置1における、光源の駆動制御を行うまでの処理について説明する。図10は、本実施形態の光音出力制御装置1における上述した処理の手順を示すフローチャートである。
速度情報取得部202は、当該電動車椅子100の移動速を、速度情報として歩調演算部204に出力する(S1001)。
歩調演算部204は、速度情報取得部202から入力された速度情報に基づいて、人の歩調を算出する(S1002)。
報知周期設定部205は、歩調演算部204により演算された歩調に基づいて、電動車椅子100の存在を周囲に報知する報知周期を設定する(S1003)。
報知音出力制御部206の第1のエンベロープ処理部211は、音データ記憶部201から読み出された音データに対して、報知周期に従った第1のエンベロープ波形で表される報知音データを生成する(S1004)。第1のエンベロープ波形は、上述した波形と同様のため、説明を省略する。
次に、ダミー音生成部207の第2のエンベロープ処理部212は、音データ記憶部201から読み出された音データに対して、報知周期に従った第2のエンベロープ波形で表されるダミー音データを生成する(S1005)。第2のエンベロープ波形、上述した波形と同様のため、説明を省略する。
情報変換部209は、ダミー音生成部207が生成したダミー音データから、ダミー音データの正側の音の強弱の変化を表した変化情報を抽出する(S1006)。
一方、情報取得部208は、光センサ18から、電動車椅子100周囲の明度を示した明度データを取得する(S1007)。
そして、情報変換部209は、抽出された変化情報、及び明度データから、彩度及び明度を組み合わせた、光源部50の光の制御データを生成する(S1008)。
そして、報知音出力制御部206は、S1004で生成した報知音データを、スピーカ17に出力する(S1009)。
一方、光源駆動制御部210は、情報変換部209が算出した、明度及び彩度の組み合わせた制御データに従って、光源部50の駆動制御を行う(S1010)。光源部50の駆動制御を開始するタイミングは、報知音出力制御部206が報知音データの出力を開始するタイミングと一致させる。これにより、光と報知音の出力とを同期させることができる。
本実施形態においては、報知音の強弱に連動して、光源部50の光の彩度及び明度の組み合わせを変化させることとした。本実施形態では、彩度及び明度の組み合わせを、報知音の強弱に連動させることで、音に連動した詳細なパラメータ制御を可能としている。これにより、連続的な変化の視認性を向上させることができる。
しかしながら、本実施形態は、彩度及び明度の組み合わせを用いる例に制限するものではなく、光の連続的な変化であれば良い。例えば、彩度及び明度のうちいずれか一つを用いるようにしても良いし、色相等と組み合わせても良い。また、彩度、明度、及び色相によるHSV色空間で制御を行うのではなく、他の色空間を用いても良い。さらには、色表現として、例えば、ガンマ値や色温度を用いても良い。
本実施形態においては、電動車椅子100が移動する速度が示された速度情報から算出された歩調に基づいて、報知周期を設定し、当該報知周期に基づいて、音の立ち下がり時間が調整されたダミー音データを生成する例について説明した。しかしながら、本実施形態は、歩調に基づいた報知周期に基づいて、ダミー音データを生成する手法に制限するものではなく、電動車椅子100が移動する速度が示された速度情報に基づいて、ダミー音データを生成するものであれば、どのような手法を用いても良い。
本実施形態においては、周囲の明るさを示した明度情報に基づいて、光源部50が出力する明度の下限値(オフセット)を設定する例について説明した。しかしながら、明度情報に基づいて、光源部50が出力する明度の下限値を設定する手法に制限するものではなく、明度情報に基づいて、光源部50で発光させる光の彩度及び明度のうちいずれか一つ以上を調整して、周囲に光源部50の光を認識できるようにする手法であれば、どのような手法を用いても良い。
また、本実施形態は、明度の下限値(オフセット)を、明度情報に基づいて設定する例について説明したが、明度や彩度の下限値(オフセット)を、周囲の明るさに応じて設定する手法に制限するものではなく、他の要素に応じて設定しても良い。例えば電動車椅子100の走行位置や速度に応じて、明度や彩度の下限値(オフセット)を設定しても良い。
(変形例1)
上述した実施形態においては、図4に示されるようなダミー音データを生成する場合について説明した。しかしながら、上述した実施形態は、図4に示されるようなダミー音データの生成に制限するものではない。
上述した実施形態においては、図4に示されるようなダミー音データを生成する場合について説明した。しかしながら、上述した実施形態は、図4に示されるようなダミー音データの生成に制限するものではない。
図11は、変形例1の第2のエンベロープ処理部212で用いる第2のエンベロープ波形の包絡線の形を例示した図である。図11に示される第2のエンベロープ波形の包絡線は、上述した実施形態と同様に、報知周期に従って形成されている。つまり、本実施形態の第2のエンベロープ波形の包絡線は、報知周期の一周期(例えば時刻t10〜時刻t12)毎に、音の立ち上がり期間(例えば時刻t10〜時刻t11)において音の強さが‘0’から増加し、音の立ち下がり期間(例えば時刻t11〜時刻t12)の終了後に、再び音の強さ‘0’から立ち上がるよう形成される。
(変形例2)
上述した実施形態、及び変形例1においては、ダミー音データは、報知音データと比べて、立ち下がり時間が長くなるように加工処理が施されている。しかしながら、実施形態、及び変形例1は、上述した加工処理に制限するものではなく、立ち下がり時間がさらに大幅に増えるような、所謂オーディオエフェクト処理を加えても良い。そこで、変形例2は、ダミー音データを生成する際にディレイを用いた場合について説明する。ディレイは、報知音のコピー音が、一定間隔で減衰させながら繰り返す加工処理とする。
上述した実施形態、及び変形例1においては、ダミー音データは、報知音データと比べて、立ち下がり時間が長くなるように加工処理が施されている。しかしながら、実施形態、及び変形例1は、上述した加工処理に制限するものではなく、立ち下がり時間がさらに大幅に増えるような、所謂オーディオエフェクト処理を加えても良い。そこで、変形例2は、ダミー音データを生成する際にディレイを用いた場合について説明する。ディレイは、報知音のコピー音が、一定間隔で減衰させながら繰り返す加工処理とする。
本変形例の第2のエンベロープ処理部212は、音データ記憶部201に記憶された音データから、ダミー音データを生成する際に、ダミー音データの音の立ち下がりが生じている箇所に対して、報知音データに含まれている所定の期間の音を繰り返させる加工処理を行う。次に、当該加工処理を行うためのエンベロープ波形について説明する。
図12は、変形例2の第2のエンベロープ処理部212で用いる第2のエンベロープ波形の包絡線の形を例示した図である。図11に示される第2のエンベロープ波形の包絡線は、オーディオエフェクト処理の一種であるディレイが行われている。当該ダミー音データに従って、光源部50の駆動制御を行うことで、報知音が終了した後でも、報知音と同様の報知周期で光源部50の光制御が行われることになる。
本変形においては、ディレイによる光源部50の光が変化する周期は、報知音の報知周期と同様となる。このため、電動車椅子100の周囲の人は、光源部50の光を視認した際に、報知音が消えた後でも、報知音の出力元が電動車椅子100であると推測できる。
(変形例3)
上述した変形例2においては、ダミー音データを生成する際にディレイを用いた場合について説明した。しかしながら、オーディオエフェクト処理をディレイに制限するものはない。そこで、変形例3は、ダミー音データを生成する際にリバーブを用いた場合について説明する。リバーブは、報知音の擬似的に再現した残響音を、一定間隔で減衰させながら繰り返す加工処理とする。
上述した変形例2においては、ダミー音データを生成する際にディレイを用いた場合について説明した。しかしながら、オーディオエフェクト処理をディレイに制限するものはない。そこで、変形例3は、ダミー音データを生成する際にリバーブを用いた場合について説明する。リバーブは、報知音の擬似的に再現した残響音を、一定間隔で減衰させながら繰り返す加工処理とする。
図13は、変形例3の第2のエンベロープ処理部212で用いる第2のエンベロープ波形の包絡線の形を例示した図である。図13に示される第2のエンベロープ波形の包絡線は、オーディオエフェクト処理の一種であるリバーブが行われている。当該ダミー音データに従って、光源部50の駆動制御を行うことで、報知音が終了した後でも、報知音と同様の報知周期で光源部50の光制御が行われることになる。これにより変形例2と同様の効果を得ることができる。
変形例2〜3においては、空間系エフェクト(例えば、ディレイやリバーブ)を用いることで、報知音の強弱のパターンを、明度及び彩度の組み合わせの変化で再現された光が繰り返されるので、周囲の人にさっき聞こえていた音の出力元を、光で認識させることができる。また、上述した実施形態と比べて、光の変化が繰り返されるため、周囲の人が気づきやすいという効果を奏することができる。
(変形例4)
上述した変形例2、3においては、ダミー音データを生成する際に空間系エフェクト(例えば、ディレイ、リバーブ)を用いた場合について説明した。しかしながら、オーディオエフェクト処理を空間系エフェクト(ディレイ、リバーブ)に制限するものはない。そこで、変形例4は、ダミー音データを生成する際に、ダイナミックレンジコントロール系エフェクトであるコンプレッサを用いた場合について説明する。コンプレッサは、報知音のうち大きい音と小さい音との差を低減させた上で、一定間隔で減衰させながら繰り返す加工処理とする。
上述した変形例2、3においては、ダミー音データを生成する際に空間系エフェクト(例えば、ディレイ、リバーブ)を用いた場合について説明した。しかしながら、オーディオエフェクト処理を空間系エフェクト(ディレイ、リバーブ)に制限するものはない。そこで、変形例4は、ダミー音データを生成する際に、ダイナミックレンジコントロール系エフェクトであるコンプレッサを用いた場合について説明する。コンプレッサは、報知音のうち大きい音と小さい音との差を低減させた上で、一定間隔で減衰させながら繰り返す加工処理とする。
図14は、変形例4の第2のエンベロープ処理部212で用いる第2のエンベロープ波形の包絡線の形を例示した図である。図14に示される第2のエンベロープ波形の包絡線は、オーディオエフェクト処理の一種であるコンプレッサが行われている。当該ダミー音データに従って、光源部50の駆動制御を行うことで、報知音が終了した後でも、報知音と同様の報知周期で光源部50の光制御が行われることになる。
また、変形例4は、ダイナミックレンジコントロール系エフェクトとして、コンプレッサを用いた場合について説明するが、他のエフェクト(例えばゲート、リミッタ等)を用いても良い。
本変形例では、大きい音と小さい音との差を低減させることで、音と光とのダイナミックレンジの違いを軽減させることができる。光の変化が滑らかに立ち下がる場合と比べて、光の変化が継続的に繰り返されるため、周囲の人が気づきやすいという効果を奏することができる。
(変形例5)
本実施形態及び変形例においては、歩調に基づいた報知周期によるエンベロープパターンを用いて、報知音データ及びダミー音データを生成する例について説明した。しかしながら、報知音データ及びダミー音データを生成する際に、歩調に基づいた報知周期を用いることに制限するものではない。例えば、電動車椅子100の搭乗者の操作に対する危険度リスクを、報知音データで表しても良い。そこで、本変形例においては、危険度リスクを考慮した報知音データの出力する例について説明する。
本実施形態及び変形例においては、歩調に基づいた報知周期によるエンベロープパターンを用いて、報知音データ及びダミー音データを生成する例について説明した。しかしながら、報知音データ及びダミー音データを生成する際に、歩調に基づいた報知周期を用いることに制限するものではない。例えば、電動車椅子100の搭乗者の操作に対する危険度リスクを、報知音データで表しても良い。そこで、本変形例においては、危険度リスクを考慮した報知音データの出力する例について説明する。
本変形例においては、報知音出力制御部206は、電動車椅子100の搭乗者の操作に対する危険度リスクを取得する。そして、報知音出力制御部206は、険度リスクに対応する、報知音データを生成する。危険度リスクに対応する報知音データの生成手法としては、周知の技術を問わず、どのような生成手法を用いても良い。例えば、危険度リスクに対応して、エンベロープ波形の形状を異ならせる等が考えられる。
なお、ダミー音データの生成以降の処理については、実施形態と同様として説明を省略する。
本変形例においては、移動体の搭乗者や周囲の歩行者に対して、搭乗者の操作に対する危険リスクの推移(”良化傾向/悪化傾向”)を、報知音だけでなく光により直感的に伝えることができる。これにより、雑音等で音が聞こえない場合でも、光源部50の光で、危険度リスクを搭乗者や周囲の歩行者が把握できる。これにより、安全性を向上させることができる。
上述した実施形態及び変形例においては、報知音を出力する際に、報知音の音の強弱、又は音のオン/オフに連動して、光源部50の光の彩度及び明度を変化させることとした。報知音の立ち下がりの際に、光源部50の光が維持されるよう制御を行うことで、電動車椅子100の存在を周囲の人に気づかせることができる。
上述した実施形態及び変形例においては、移動体として、電気車椅子を用いた例について説明した。しかしながら、本実施形態は、移動体を電気車椅子に制限するものではなく、他の移動体であっても良い。移動体の例としては、一人乗りが可能なパーソナルモビリティであっても良い。また、パーソナルモビリティは、人が搭乗できるものに制限するものではなく、例えば、荷物等を運搬するためのものであってもよい。
さらに、移動体としては、自動車等であっても良い。移動体が自動車等である場合、報知音の出力先は、自動車等の周囲であっても良いし、自動車等の車内であってもよい。自動車等の車内に設けられた光音出力制御装置が、報知音を出力する際に、スピーカの近傍に設けられた光源部を光らせることで、搭乗者に報知音の出力元を認識させることができる。
上述した実施形態及び変形例においては、報知音に対して光源部50から出力する光の変化を同期させる際に、報知音データではなく、報知音データから立ち下がり時間が長めに設定されたダミー音データを生成し、当該ダミー音データに対応するように、光源部50の光の変化の駆動制御を行うこととした。
上述した実施形態及び変形例においては、電動車椅子100の周囲が、騒音環境や照明環境が多様に変化する環境であっても、音と光を相補的に活用した直感的な出力を行うことで、周囲の人及び操縦者に対して的確な認知を与えることができる。これにより、余裕ある安全行動へと導くことができる。
上述した実施形態及び変形例においては、報知音が聞き取れなかった場合でも、光源部50からの光が、報知音に対応した変化が行われることで、音による報知と同様の内容を直感的に把握できる。
上述した実施形態及び変形例においては、光源部50から出力される光の変化のパターンで、報知音のリズムを知覚できる。このため、光源部50から出力される光の変化のパターンを視認することで、音の強弱の変化にも気づくことができる。このため、報知音の聞き取りやすさを向上させることができる。
上述した実施形態及び変形例においては、光源部50から出力される光で注意喚起を行うのではなく、音と光を相補的に活用すると共に、音と比べて光の立ち下りの時間を長くするよう加工処理を行うこととした。これにより、音が消えた後であっても、光に余韻を残せるため、周囲の人に対して、音を聞いてから光を視認するまでの時間のずれを考慮した制御を実現できる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
1…光音出力制御装置、17…スピーカ、18…光センサ、50…光源部、100…電動車椅子、201…音データ記憶部、202…速度情報取得部、203…人情報入力部、204…歩調演算部、205…報知周期設定部、206…報知音出力制御部、207…ダミー音生成部、208…情報取得部、209…情報変換部、210…光源駆動制御部、211…第1のエンベロープ処理部、212…第2のエンベロープ処理部。
Claims (6)
- 第1の音データを記憶する記憶部と、
前記第1の音データに基づいた報知音を、移動体に設けられた音出力部から出力する音出力制御部と、
前記第1の音データに対して、前記報知音の周期に従わせると共に、音の立ち下がりが生じている箇所に、音の立ち上がりが生じている箇所と異なる所定の加工処理を行って第2の音データを生成する生成部と、
前記第2の音データで表されている音の強弱に従って、前記移動体に設けられた光源部を発光させる光源駆動制御部と、
を備える移動体用報知装置。 - 前記生成部は、前記第1の音データから前記第2の音データを生成する際に、音の立ち下がりが生じている箇所に対して、前記報知音に含まれている所定の期間の音を繰り返させる加工処理を行う、
請求項1に記載の移動体用報知装置。 - 前記光源駆動制御部は、前記第2の音データで表されている音の強弱と同期させて、前記光源部から発光させる光の彩度及び明度のうちいずれか一つ以上を変化させる、
請求項1又は2に記載の移動体用報知装置。 - 前記生成部は、さらに、前記所定の加工処理として、前記周期に含まれる、音の立ち上がり期間において、時間遷移に応じた音の立ち上がり加工制御が行われる共に、音の立ち下がり期間において、前記音の立ち上がり期間と比べて時間あたりの変化量が小さな、時間遷移に応じた音の立ち下がり加工制御が行われた、前記第2の音データを生成する、
請求項1乃至3のいずれか一つに記載の移動体用報知装置。 - 前記生成部は、前記移動体が移動する速度が示された速度情報に基づいて、前記所定の加工処理が行われた、前記第2の音データを生成する、
請求項1乃至4のいずれか一つに記載の移動体用報知装置。 - 前記移動体の周囲の明るさが示された明るさ情報を取得する取得部を、さらに備え、
前記光源駆動制御部は、前記取得部が取得した前記明るさ情報に基づいて、前記光源部で発光させる光の彩度及び明度のうちいずれか一つ以上を調整する、
請求項1乃至5のいずれか一つに記載の移動体用報知装置。
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