JP2018134700A - 硬質チップ帯鋸刃 - Google Patents

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Abstract

【課題】硬質チップ帯鋸刃10の耐久性を向上させつつ、硬質チップ帯鋸刃10の製造コストの低減を十分に図ること。【解決手段】右アサリ歯16(20,26)の硬質チップ16T(20T,26T)の左側コーナ部及び左アサリ歯18(24,28)の硬質チップ18T(24T,28T)の右側コーナ部は、直歯14(22)の歯先縁に対して切込み方向へ突出した突縁部Bになっている。直歯14(22)の硬質チップ14T(22T)の歯先、右アサリ歯16(20,26)の硬質チップ16T(20T,26T)の歯先、及び左アサリ歯18(24,28)の硬質チップ18T(24T,28T)の歯先には、歯先面取Cが歯先縁に沿って形成されている。鋸歯グループ12におけるアサリ歯の割合は、71%〜83%に設定されている。【選択図】図1

Description

本発明は、帯鋸盤によってワーク材の切削加工を行う際に用いられ、歯先側に超硬合金、サーメット等の硬質材料からなる硬質チップを有し、歯先の歯振(あさり)出し作業を施したアサリ歯(set teeth)の硬質チップ帯鋸刃に関する。
従来から、強靱性の高い合金鋼からなる胴部と、高速度工具鋼(ハイス又はHSS)からなる刃先部(歯先部)とを有したアサリ歯のハイスバイメタル帯鋸刃(以下、適宜にハイス帯鋸刃という)が広く普及している。ハイス帯鋸刃において、右アサリ歯の左側コーナ部(左側歯縁部)及び左アサリ歯の右側コーナ部(右側歯縁部)は、直歯の歯先縁(歯先稜線)に対して切込み方向へ突出した突縁部にそれぞれなっている。これにより、突縁部が直歯によって生成される切粉を分断して、切削抵抗(直歯の切削抵抗)を低減することができる。
近年、ハイス帯鋸刃よりも切削性能に優れたアサリ歯の硬質チップ帯鋸刃も広く普及している。硬質チップ帯鋸刃において、鋸歯(直歯、右アサリ歯、及び左アサリ歯)は、歯先側に、超硬合金等の硬質材料からなる硬質チップを有している。また、通常、超硬チップの靱性が低いことから、右アサリ歯及び左アサリ歯は、チッピング(歯欠け)の要因になり易い突縁部を有していない。その代わり、直歯の左右の歯先コーナ部には、約45°のコーナ面取がそれぞれ形成されている。換言すれば、硬質チップ帯鋸刃においては、直歯が台形状の歯先を有したベベル歯になっている(特許文献1及び特許文献2等参照)。これにより、直歯(ベベル歯)によって生成される切粉の幅を小さくして、切削抵抗(直歯の切削抵抗)を低減することができる。
特開平6−155158号公報 特許5584046号公報
ところで、ベベル歯の左右の切削抵抗を均等にして、ワーク材(金属ワーク)の切れ曲がりを抑制して、硬質チップ帯鋸刃の耐久性を向上させるには、左右のコーナ面取が鋸刃中心線に対して左右対称になるように、専用の研磨装置によって硬質チップを高精度に研磨する必要がある。そのため、硬質チップ帯鋸刃のベベル歯の枚数が増えると、硬質チップ帯鋸刃の製造時間が長くなって、硬質チップ帯鋸刃の製造コストが増大する。つまり、硬質チップ帯鋸刃の耐久性を向上させつつ、硬質チップ帯鋸刃の製造コストの低減を図ることは容易でないという問題がある。
そこで、本発明は、前述の問題を解決することができる、新規な構成のアサリ歯の硬質チップ帯鋸刃を提供することを目的とする。
本願発明者は、構成の異なる複数種のアサリ歯の硬質チップ帯鋸刃を試作し、複数種の硬質チップ帯鋸刃を用いて、複数の切削試験を行った結果、新規な知見を得ることができ、本発明の完成に至った(後述の実施例参照)。ここで、新規な知見とは、右アサリ歯及び左アサリ歯が突縁部をそれぞれ有してあっても、右アサリ歯の歯先及び左アサリ歯の歯先に歯先面取を歯先縁(歯先稜線)に沿ってそれぞれ形成し、鋸歯グループにおける鋸歯の総枚数に対する右アサリ歯及び左アサリ歯の枚数の割合を適切な範囲内において設定することにより、ワーク材の切れ曲がり及び硬質チップ帯鋸刃のチッピングを十分に抑制できるということである。
本発明の態様は、先行歯(先行する鋸歯)としての直歯と、後続歯(後続する鋸歯)としての右アサリ歯及び左アサリ歯を含む鋸歯組み合わせパターン(blade teeth combination pattern)からなる鋸歯グループを繰り返して備え、前記直歯、前記右アサリ歯、及び前記左アサリ歯は、歯先側に、硬質材料からなる硬質チップをそれぞれ有した硬質チップ帯鋸刃であって、前記右アサリ歯の左側コーナ部(左側歯縁部)及び前記左アサリ歯の右側コーナ部(右側歯縁部)は、前記直歯の歯先縁(歯先稜線)に対して切込み方向(切断方向)へ突出した突縁部にそれぞれなっており、前記右アサリ歯の歯先及び前記左アサリ歯の歯先に、歯先面取(チップ面取)が歯先縁に沿ってそれぞれ形成され、前記鋸歯グループにおける鋸歯の総枚数に対する前記右アサリ歯及び前記左アサリ歯の枚数の割合は、71〜83%に設定されていることである。また、前記直歯の歯先に、歯先面取が歯先縁に沿って形成されていることが望ましい。
本発明の態様によると、前述のように、前記右アサリ歯の歯先及び前記左アサリ歯の歯先に、前記歯先面取が歯先縁に沿ってそれぞれ形成され、前記鋸歯グループにおける鋸歯の総枚数に対する前記右アサリ歯及び前記左アサリ歯の枚数の割合は、71〜83%に設定されている。そのため、前記右アサリ歯及び前記左アサリ歯が前記突縁部を有してあっても、ワーク材(金属ワーク)の切れ曲がり及び前記硬質チップ帯鋸刃のチッピングを十分に抑制することができる。換言すれば、前記直歯をベベル歯にしなくても、ワーク材の切れ曲がり及び前記硬質チップ帯鋸刃のチッピングを十分に抑制することができる。
本発明によれば、前述のように、前記直歯をベベル歯にしなくても、ワーク材の切れ曲がり及び前記硬質チップ帯鋸刃のチッピングを十分に抑制することができる。これにより、本発明によれば、前記硬質チップ帯鋸刃の耐久性を向上させつつ、前記硬質チップ帯鋸刃の製造時間を大幅に短縮して、前記硬質チップ帯鋸刃の製造コストの低減を十分に図ることができる。
図1(a)は、第1実施形態に係る硬質チップ帯鋸刃の一部の左側面部、図1(b)は、第1実施形態に係る硬質チップ帯鋸刃の一部を刃先側(歯先側)から見た図、図1(c)は、第1実施形態に係る硬質チップ帯鋸刃の一部の断面図である。 図2(a)は、図1(c)の拡大図、図2(b)は、硬質チップの歯先に形成された歯先面取を示す拡大図である。 図3(a)は、第2実施形態に係る硬質チップ帯鋸刃の一部の左側面部、図2(b)は、第2実施形態に係る硬質チップ帯鋸刃の一部を刃先側から見た図、図2(c)は、第2実施形態に係る硬質チップ帯鋸刃の一部の断面図である。 図4(a)は、第3実施形態に係る硬質チップ帯鋸刃の一部の左側面部、図4(b)は、第3実施形態に係る硬質チップ帯鋸刃の一部を刃先側から見た図、図4(c)は、第3実施形態に係る硬質チップ帯鋸刃の一部の断面図である。 図5(a)は、第4実施形態に係る硬質チップ帯鋸刃の一部の左側面部、図5(b)は、第4実施形態に係る硬質チップ帯鋸刃の一部を刃先側から見た図、図5(c)は、第4実施形態に係る硬質チップ帯鋸刃の一部の断面図である。 図6は、本発明に適用可能な鋸歯グループの鋸歯組み合わせパターンを説明する図である。 図7(a)は、比較例1に係る硬質チップ帯鋸刃の一部の左側面部、図7(b)は、比較例1に係る硬質チップ帯鋸刃の一部を刃先側から見た図、図7(c)は、比較例1に係る硬質チップ帯鋸刃の一部の断面図である。 図8(a)は、比較例2に係る硬質チップ帯鋸刃の一部の左側面部、図8(b)は、比較例2に係る硬質チップ帯鋸刃の一部を刃先側から見た図、図8(c)は、比較例2に係る硬質チップ帯鋸刃の一部の断面図である。 図9(a)は、比較例3に係る硬質チップ帯鋸刃の一部の左側面部、図9(b)は、比較例3に係る硬質チップ帯鋸刃の一部を歯先側から見た図、図9(c)は、比較例3に係る硬質チップ帯鋸刃の一部の断面図である。 図10(a)は、比較例4に係る硬質チップ帯鋸刃の一部の左側面部、図10(b)は、比較例4に係る硬質チップ帯鋸刃の一部を刃先側から見た図、図10(c)は、比較例4に係る硬質チップ帯鋸刃の一部の断面図である。 図11(a)は、比較例5に係る硬質チップ帯鋸刃の一部の左側面部、図11(bは、比較例5に係る硬質チップ帯鋸刃の一部を刃先側から見た図、図11(c)は、比較例5に係る硬質チップ帯鋸刃の一部の断面図である。 図12は、第1の切削試験の結果として、10カット時における切粉の幅、チッピングの有無、及び切削抵抗の比率を示す表図である。 図13は、第1の切削試験の結果として、カット数とワーク材の切れ曲がり量との関係を示すグラフ図である。 図14は、第2及び第3の切削試験の結果として、32カット時におけるチッピング数を示すグラフ図である。
本発明の実施形態(第1〜第4実施形態)について図面を参照して説明する。
なお、本願の明細書及び特許請求の範囲において、「左右方向」とは、硬質チップ帯鋸刃の刃先(歯先)を下向きにした状態で、鋸刃進行方向(硬質チップ帯鋸刃の進行方向)から見て左右方向のことをいう。「先行する」とは、鋸刃進行方向から見て先行することをいい、「後続する」とは、鋸刃進行方向から見て後続することをいう。「鋸刃中心線」とは、硬質チップ帯鋸刃の左右方向の中心を通る線のことをいう。「ワーク材(金属ワーク)の切れ曲がり」とは、硬質チップ帯鋸刃の撓み等によってワーク材の切断面が球面状又は斜面状等になる現象のことをいう。図面中、「L」は、左方向、「R」は、右方向、「F」は、鋸刃進行方向、「S」は、硬質チップ帯鋸刃の切込み方向、「W」は、硬質チップ帯鋸刃の帯幅方向(鋸幅方向)をそれぞれ指している。
(第1実施形態)
図1(a)(b)(c)に示すように、第1実施形態に係る硬質チップ帯鋸刃10は、帯鋸盤(図示省略)によってワーク材(図示省略)の切削加工を行う際に用いられるものである。また、硬質チップ帯鋸刃10の胴部は、強靱性の高い合金鋼からなるものである。
硬質チップ帯鋸刃10は、所定の第1の鋸歯組み合わせパターン(鋸歯の組み合わせ)からなる鋸歯グループ12を繰り返して備えている。鋸歯グループ12は、先行歯(先行する鋸歯)としての直歯14と、直歯14の後続歯(後続する鋸歯)としての右アサリ歯16及び左アサリ歯18と、左アサリ歯18の後続歯としての右アサリ歯20とを含んでいる。また、鋸歯グループ12は、右アサリ歯20の後続歯としての直歯22と、直歯22の後続歯としての左アサリ歯24及び右アサリ歯26と、右アサリ歯26の後続歯としての左アサリ歯28とを含んでいる。
つまり、鋸歯グループ12は、直歯14、右アサリ歯16、左アサリ歯18、右アサリ歯20、直歯22、左アサリ歯24、右アサリ歯26、及び左アサリ歯28の8枚の鋸歯により構成されている。鋸歯グループ12における右アサリ歯16、左アサリ歯18、右アサリ歯20、左アサリ歯24、右アサリ歯26、及び左アサリ歯28は、鋸刃進行方向に沿って交互に配置されている。鋸歯グループ12における鋸歯の枚数を8枚、換言すれば、5枚以上にしたのは、鋸歯グループ12の枚数が4枚以下であると、鋸歯グループ12の鋸歯組み合わせパターンが単調になり、ビビリ振動が発生することが懸念されるからである。
直歯14(22)は、歯先側に、超硬合金(例えば炭化タングステンやコバルトを含有する超硬合金と呼ばれる硬質材料)からなる硬質チップ14T(22T)を有している。右アサリ歯16(20,26)は、歯先側に、超硬合金からなる硬質チップ16T(20T,26T)を有している。左アサリ歯18(24,28)は、歯先側に、超硬合金からなる硬質チップ18T(24T,28T)を有している。なお、超硬合金を硬質チップ14T等の構成材料にする代わりに、炭化チタン等が添加された超硬合金、又は炭化タングステン等を含有するサーメット等の他の硬質材料を硬質チップ14T等の構成材料にしてもよい。
右アサリ歯16(20)及び左アサリ歯18は、鋸刃中心線Mに対して左右対称になっている。左アサリ歯24(28)及び右アサリ歯26は、鋸刃中心線Mに対して左右対称になっている。また、右アサリ歯16(20,26)の振り出し量(左右方向外側への振り出し量)及び左アサリ歯18(24,28)の振り出し量は、それぞれ同じに設定されている。右アサリ歯16(20,26)のアサリ振り出し位置(アサリ曲げ加工位置)は、右アサリ歯16(20,26)における歯底と硬質チップ16T(20T,26T)の間に位置している。左アサリ歯18(24,28)のアサリ振り出し位置は、左アサリ歯18(24,28)における歯底と硬質チップ18T(24T,28T)の間に位置している。
右アサリ歯16(20,26)のアサリ振り出し及び左アサリ歯18(24,28)のアサリ振り出しは、硬質チップ帯鋸刃10の製造の最終工程で行うようになっている。そして、アサリ振り出しを行う前における右アサリ歯16(20,26)の形状は、直歯14(22)と同形状になっている。アサリ振り出しを行う前における左アサリ歯18(24,28)の形状は、直歯14(22)と同形状になっている。換言すれば、アサリ振り出しを行う前における各鋸歯は、同形状になっている。
図1(c)及び図2(a)に示すように、右アサリ歯16(20,26)の硬質チップ16T(20T,26T)の左側コーナ部(左側歯縁部)は、直歯14(22)の歯先縁(歯先稜線)に対して切込み方向(切断方向)へ突出した突縁部Bになっている。また、左アサリ歯18(24,28)の硬質チップ18T(24T,28T)の右側コーナ部(右側歯縁部)は、直歯14(22)の歯先縁に対して切込み方向へ突出した突縁部Bになっている。
突縁部Bの突出量jは、0.02〜0.10mmに設定されている。突縁部Bの突出量を0.02mm以上に設定したのは、0.02mm未満であると、突縁部Bが直歯14(22)によって生成される切粉を安定的に分断することが困難になるからである。突縁部Bの突出量を0.10mm以下に設定したのは、0.10mmを超えると、突縁部Bに働く切削抵抗(負荷)が大きくなって、チッピングが生じ易くなるからである。
ここで、前述のように、鋸歯グループ12における鋸歯の総枚数に対する右アサリ歯16,20,26及び左アサリ歯18,24,28の枚数の割合(以下、適宜にアサリ歯の割合という)は、75%(6÷8=0.75)に設定されている。鋸歯グループ12におけるアサリ歯の割合を71%以上に設定したのは、71%未満であると、突縁部Bの個数が少なくなって、硬質チップ帯鋸刃10の切削抵抗が高くなるからである。鋸歯グループ12におけるアサリ歯の割合を83%以下に設定したのは、83%を超えると、直歯14(22)の枚数が少なくなって、硬質チップ帯鋸刃10の直進安定性の低下が懸念されるからである。
図1(a)(b)(c)に示すように、直歯14(22)の硬質チップ14T(22T)の歯先には、歯先面取(チップ面取)Cが歯先縁(歯先稜線)に沿って形成されている。また、右アサリ歯16(20,26)の硬質チップ16T(20T,26T)の歯先には、歯先面取Cが歯先縁に沿って形成されている。左アサリ歯18(24,28)の硬質チップ18T(24T,28T)の歯先には、歯先面取Cが歯先縁に沿って形成されている。なお、直歯14(22)の硬質チップ14T(22T)の歯先に歯先面取Cを形成しなくてもよい。
図2(b)に示すように、歯先面取Cの帯幅方向(鋸幅方向)に対する面取角θは、35〜55度に設定されている。歯先面取Cの帯幅方向に対する面取角θを35度以上に設定したのは、35度未満であると、直歯14、右アサリ歯16、及び左アサリ歯18等の鋸歯の歯先強度を十分に確保することができず、チッピングが生じ易くなるからである。歯先面取Cの帯幅方向に対する面取角θを55度以下に設定したのは、55度を超えると、鋸歯の切削抵抗が増大して、ワーク材の切削が困難になるからである。
歯先面取Cの帯幅方向の面取長さkは、0.03〜0.10mmに設定されている。歯先面取Cの帯幅方向の面取長さkを0.03mm以上に設定したのは、0.03mm未満であると、鋸歯の歯先強度を十分に確保することができず、チッピングが生じ易くなるからである。歯先面取Cの帯幅方向の面取長さkを0.10mm以下に設定したのは、0.10mmを超えると、鋸歯の切削抵抗が増大して、ワーク材の切削が困難になるからである。
続いて、第1実施形態の作用及び効果について説明する。
右アサリ歯16(20,26)の硬質チップ16T(20T,26T)の歯先、及び左アサリ歯18(24,28)の硬質チップ18T(24T,28T)の歯先には、歯先面取Cが歯先縁に沿ってそれぞれ形成されている。また、鋸歯グループ12におけるアサリ歯の割合は、71%〜83%に設定されている。そのため、右アサリ歯16(20,26)及び左アサリ歯18(24,28)が突縁部Bを有してあっても、ワーク材の切れ曲がり及び硬質チップ帯鋸刃10のチッピングを十分に抑制することができる。換言すれば、直歯14(22)をベベル歯にしなくても、ワーク材の切れ曲がり及び硬質チップ帯鋸刃10のチッピングを十分に抑制することができる。特に、直歯14(22)の硬質チップ14T(22T)の歯先に歯先面取Cが歯先縁に沿って形成されているため、直歯14(22)の歯先強度を十分に確保して、ワーク材の切れ曲がり及び硬質チップ帯鋸刃10のチッピングをより十分に抑制することができる。
従って、第1実施形態によれば、硬質チップ帯鋸刃10の耐久性を向上させつつ、硬質チップ帯鋸刃10の製造時間を大幅に短縮して、硬質チップ帯鋸刃10の製造コストの低減を十分に図ることができる。特に、アサリ振り出しを行う前における各鋸歯が同形状になっているため、硬質チップ帯鋸刃10の製造の効率化を図って、硬質チップ帯鋸刃10の製造コストの低減をより十分に図ることができる。
(第2実施形態)
図3(a)(b)(c)に示すように、第2実施形態に係る硬質チップ帯鋸刃30は、第1実施形態に係る硬質チップ帯鋸刃10(図1参照)と同様の構成を有している。以下、硬質チップ帯鋸刃30の構成のうち、主として硬質チップ帯鋸刃10と異なる構成について説明する。なお、硬質チップ帯鋸刃30における複数の構成要素のうち、硬質チップ帯鋸刃10における構成要素と対応するものについては、図面中に同一符号を付してある。
硬質チップ帯鋸刃30は、所定の第2の鋸歯組み合わせパターンからなる鋸歯グループ32を繰り返して備えている。鋸歯グループ32は、第1実施形態に係る硬質チップ帯鋸刃10における鋸歯グループ12から直歯22、右アサリ歯26、及び左アサリ歯28を除外している。
つまり、鋸歯グループ32は、直歯14、右アサリ歯16、左アサリ歯18、右アサリ歯20、及び左アサリ歯24の5枚の鋸歯から構成されている。鋸歯グループ32における右アサリ歯16、左アサリ歯18、右アサリ歯20、及び左アサリ歯24は、鋸刃進行方向に沿って交互に配置されている。鋸歯グループ32におけるアサリ歯の割合は、80%(4÷5=0.80)に設定されている。換言すれば、鋸歯グループ32におけるアサリ歯の割合は、71%〜83%に設定されている。
そして、第2実施形態おいても、第1実施形態と同様の作用及び効果を奏するものである。
(第3実施形態)
図4(a)(b)(c)に示すように、第3実施形態に係る硬質チップ帯鋸刃34は、第1実施形態に係る硬質チップ帯鋸刃10(図1参照)と同様の構成を有している。以下、硬質チップ帯鋸刃の構成のうち、主として硬質チップ帯鋸刃10と異なる構成についてのみ説明する。なお、硬質チップ帯鋸刃34における複数の構成要素のうち、硬質チップ帯鋸刃10における構成要素と対応するものについては、図面中に同一符号を付してある。
硬質チップ帯鋸刃34は、所定の第3の鋸歯組み合わせパターンからなる鋸歯グループ36を繰り返して備えている。各鋸歯グループ36は、複数の鋸歯の組み合わせからなる2つの小鋸歯グループ38,40によって構成されている。小鋸歯グループ38は、硬質チップ帯鋸刃10の鋸歯グループ12から左アサリ歯28を除外している。小鋸歯グループ40は、硬質チップ帯鋸刃10の鋸歯グループ12から右アサリ歯20及び左アサリ歯24を除外している。小鋸歯グループ40は、硬質チップ帯鋸刃10の鋸歯グループ12における直歯14と右アサリ歯16の間に左アサリ歯42を追加している。左アサリ歯42は、歯先側に、超硬合金からなる硬質チップ40Tを有しており、左アサリ歯18(24,28)と同様の構成からなっている。
つまり、小鋸歯グループ38は、直歯14、右アサリ歯16、左アサリ歯18、右アサリ歯20、直歯22、左アサリ歯24、及び右アサリ歯26の7枚の鋸歯により構成されている。小鋸歯グループ40は、直歯14、左アサリ歯42、右アサリ歯16、左アサリ歯18、直歯22、右アサリ歯26、及び左アサリ歯28の7枚の鋸歯により構成されている。鋸歯グループ36は、14枚の鋸歯により構成されている。また、小鋸歯グループ38における右アサリ歯16、左アサリ歯18、右アサリ歯20、左アサリ歯24、及び右アサリ歯26は、鋸刃進行方向に沿って交互に配置されている。小鋸歯グループ40における左アサリ歯42、右アサリ歯16、左アサリ歯18、右アサリ歯26、及び左アサリ歯28は、鋸刃進行方向に沿って交互に配置されている。鋸歯グループ36におけるアサリ歯の割合は、71%(10÷14=0.71)に設定されている。換言すれば、鋸歯グループ36におけるアサリ歯の割合は、71%〜83%に設定されている。
そして、第3実施形態おいても、第1実施形態と同様の作用及び効果を奏するものである。
(第4実施形態)
図5(a)(b)(c)に示すように、第4実施形態に係る硬質チップ帯鋸刃44は、第1実施形態に係る硬質チップ帯鋸刃10(図1参照)と同様の構成を有している。以下、硬質チップ帯鋸刃44の構成のうち、主として硬質チップ帯鋸刃10と異なる構成についてのみ説明する。なお、硬質チップ帯鋸刃44における複数の構成要素のうち、硬質チップ帯鋸刃10における構成要素と対応するものについては、図面中に同一符号を付してある。
硬質チップ帯鋸刃44は、所定の第4の鋸歯組み合わせパターンからなる鋸歯グループ46を繰り返して備えている。鋸歯グループ46は、硬質チップ帯鋸刃10の鋸歯グループ12における右アサリ歯20と直歯22の間に、左アサリ歯48及び右アサリ歯50を追加している。左アサリ歯48は、歯先側に、超硬合金からなる硬質チップ48Tを有しており、左アサリ歯18(24,28)と同様の構成からなっている。右アサリ歯50は、歯先側に、超硬合金からなる硬質チップ50Tを有しており、右アサリ歯16(20,26)と同様の構成からなっている。また、鋸歯グループ46は、硬質チップ帯鋸刃10の鋸歯グループ12における左アサリ歯28に後続する右アサリ歯52及び左アサリ歯54を追加している。右アサリ歯52は、歯先側に、超硬合金からなる硬質チップ52Tを有しており、右アサリ歯16(20,26)と同様の構成からなっている。左アサリ歯54は、歯先側に、超硬合金からなる硬質チップ54Tを有しており、左アサリ歯18(24,28)と同様の構成からなっている。
つまり、鋸歯グループ46は、直歯14、右アサリ歯16、左アサリ歯18、右アサリ歯20、左アサリ歯48、右アサリ歯50、直歯22、左アサリ歯24、右アサリ歯26、左アサリ歯28、右アサリ歯52、及び左アサリ歯54の12枚の鋸歯により構成されている。鋸歯グループ46における右アサリ歯16、左アサリ歯18、右アサリ歯20、左アサリ歯48、右アサリ歯50、左アサリ歯24、右アサリ歯26、左アサリ歯28、右アサリ歯52、及び左アサリ歯54は、鋸刃進行方向に沿って交互に配置されている。鋸歯グループ46におけるアサリ歯の割合は、83%(10÷12=0.83)に設定されている。換言すれば、鋸歯グループ46におけるアサリ歯の割合は、71%〜83%に設定されている。
そして、第4実施形態おいても、第1実施形態と同様の作用及び効果を奏するものである。
なお、本発明は、前述の実施形態の説明に限られるものでなく、次のように種々の態様で実施可能である。
即ち、硬質チップ帯鋸刃10等における鋸歯グループ12等の鋸歯組み合わせパターンは前述の所定の第1〜第6の鋸歯組み合わせパターンに代えて、図6に示す複数の鋸歯組み合わせパターンのうちいずれかの鋸歯組み合わせパターンに用いてもよい。また、直歯14を台形状の歯先を有したベベル歯にしてもよい。
そして、本発明に包含される権利範囲は、前述の実施形態に限定されないものである。
本発明の実施例(比較例1〜5、実施品1〜4、比較品1〜5、及び第1〜第3の切削試験)について図面を参照して説明する。
なお、図面中、「L」は、左方向、「R」は、右方向、「F」は、硬質チップ帯鋸刃の進行方向をそれぞれ指している。
(比較例1)
図7(a)(b)(c)に示すように、第5実施形態に係る硬質チップ帯鋸刃56は、第1実施形態に係る硬質チップ帯鋸刃10(図1参照)と同様の構成を有している。以下、硬質チップ帯鋸刃56の構成のうち、硬質チップ帯鋸刃10と異なる構成についてのみ説明する。なお、硬質チップ帯鋸刃56における複数の構成要素のうち、硬質チップ帯鋸刃10における構成要素と対応するものについては、図面中に同一符号を付してある。
硬質チップ帯鋸刃56は、所定の第5の鋸歯組み合わせパターンからなる鋸歯グループ58を繰り返して備えている。鋸歯グループ58は、硬質チップ帯鋸刃10における鋸歯グループ12から右アサリ歯20、直歯22、左アサリ歯24、右アサリ歯26、及び左アサリ歯28を除外している。
つまり、鋸歯グループ58は、直歯14、右アサリ歯16、及び左アサリ歯18の3枚の鋸歯から構成されている。鋸歯グループ58におけるアサリ歯の割合は、67%(2÷3=0.67)に設定されている。換言すれば、鋸歯グループ58におけるアサリ歯の割合は、71%未満に設定されている。
(比較例2)
図8(a)(b)(c)に示すように、比較例2に係る硬質チップ帯鋸刃60は、第1実施形態に係る硬質チップ帯鋸刃10(図1参照)と同様の構成を有している。以下、硬質チップ帯鋸刃60の構成のうち、硬質チップ帯鋸刃10と異なる構成についてのみ説明する。なお、硬質チップ帯鋸刃60における複数の構成要素のうち、硬質チップ帯鋸刃10における構成要素と対応するものについては、図面中に同一符号を付してある。
硬質チップ帯鋸刃60は、所定の第6の鋸歯組み合わせパターンからなる鋸歯グループ62を繰り返して備えている。鋸歯グループ62は、硬質チップ帯鋸刃10における鋸歯グループ12から直歯22を除外している。
つまり、鋸歯グループ62は、直歯14、右アサリ歯16、左アサリ歯18、右アサリ歯20、左アサリ歯24、右アサリ歯26、及び左アサリ歯28の7枚の鋸歯から構成されている。鋸歯グループ62における右アサリ歯16、左アサリ歯18、右アサリ歯20、左アサリ歯24、右アサリ歯26、及び左アサリ歯28は、鋸刃進行方向に沿って交互に配置されている。鋸歯グループ62におけるアサリ歯の割合は、86%(6÷7=0.86)に設定されている。換言すれば、鋸歯グループ58におけるアサリ歯の割合は、83%を越えて設定されている。
(比較例3)
図9(a)(b)(c)に示すように、比較例3に係る硬質チップ帯鋸刃64は、所定の第5の鋸歯組み合わせパターンからなる鋸歯グループ66を繰り返して備えている。以下、硬質チップ帯鋸刃64の構成のうち、比較例1に係る硬質チップ帯鋸刃56(図7参照)と異なる構成についてのみ簡単に説明する。なお、硬質チップ帯鋸刃64における複数の構成要素のうち、硬質チップ帯鋸刃56における構成要素と対応するものについては、図面中に同一符号を付してある。
鋸歯グループ66における右アサリ歯16及び左アサリ歯18は、それぞれ突縁部Bを有していない。鋸歯グループ66における直歯14、右アサリ歯16、及び左アサリ歯18は、それぞれ歯先面取Cを有していない。また、鋸歯グループ66における直歯14の左右の歯先コーナ部には、約45°のコーナ面取Dがそれぞれ形成されている。換言すれば、鋸歯グループ66における直歯14は、直歯が台形状の歯先を有したベベル歯になっている。
(比較例4)
図10(a)(b)(c)に示すように、比較例4に係る硬質チップ帯鋸刃68は、所定の第5の鋸歯組み合わせパターンからなる鋸歯グループ70を繰り返して備えている。以下、硬質チップ帯鋸刃68の構成のうち、比較例1に係る硬質チップ帯鋸刃56(図7参照)と異なる構成についてのみ簡単に説明する。なお、硬質チップ帯鋸刃68における複数の構成要素のうち、硬質チップ帯鋸刃56における構成要素と対応するものについては、図面中に同一符号を付してある。
鋸歯グループ70における右アサリ歯16及び左アサリ歯18は、それぞれ突縁部Bを有していない。鋸歯グループ70における直歯14、右アサリ歯16、及び左アサリ歯18は、それぞれ歯先面取Cを有していない。
(比較例5)
図11(a)(b)(c)に示すように、比較例5に係る硬質チップ帯鋸刃72は、所定の第5の鋸歯組み合わせパターンからなる鋸歯グループ74を繰り返して備えている。以下、硬質チップ帯鋸刃72の構成のうち、比較例1に係る硬質チップ帯鋸刃56(図7参照)と異なる構成についてのみ簡単に説明する。なお、硬質チップ帯鋸刃72における複数の構成要素のうち、硬質チップ帯鋸刃56における構成要素と対応するものについては、図面中に同一符号を付してある。
鋸歯グループ74における直歯14、右アサリ歯16、及び左アサリ歯18は、それぞれ歯先面取Cを有していない。
(実施品1〜4及び比較品1〜5)
第1実施形態に係る硬質チップ帯鋸刃10を実施品1として、第2実施形態に係る硬質チップ帯鋸刃30を実施品2として、第3実施形態に係る硬質チップ帯鋸刃34を実施品3として、第4実施形態に係る硬質チップ帯鋸刃44を実施品4として、それぞれ試作する。比較例1に係る硬質チップ帯鋸刃56を比較品1として、比較例2に係る硬質チップ帯鋸刃60を比較品2として、比較例3に係る硬質チップ帯鋸刃64を比較品3として、比較例4に係る硬質チップ帯鋸刃68を比較品4として、比較例5に係る硬質チップ帯鋸刃72を比較品5として、それぞれ試作する。実施品1〜4及び比較品1〜5は、ベースの歯形の掬い角10度、ベースの歯形の逃げ角20度、帯幅41mm、帯厚(厚み)1.3mm、帯長4570mm、ピッチ1.8/2Pに設定した。実施品1〜6及び比較品3は、突縁部の突出量0.05mmに設定した。実施品1〜6は、歯先面取の面取角45度、歯先面取の面取長さ0.05mmに設定した。
(第1の切削試験)
実施品1〜6及び比較品1〜3を用いて、所定の第1切削条件(鋸速40m/mim、1カットの切断時間8分)の下で、ステンレス鋼(SUS304)からなる直径200mmのワーク材に対して第1の切削試験を行った。
第1の切削試験の結果として、10カット時における切粉の幅、チッピングの有無、及び切削抵抗の比率(切削抵抗比)についてまとめると、図12に示すようになる。
即ち、突縁部及び歯先面取を有した実施品1〜4を用いた場合には、切粉の幅が帯厚の1/2以下になっており、歯先のチッピングが発生しないことが確認された。突縁部及び歯先面取を有した比較品1、2を用いた場合には、歯先のチッピングは発生せずに、切粉の幅が帯厚の1/2以下になっていることが確認された。これに対して、直歯をベベル歯にした比較品3を用いた場合には、切粉の幅が帯厚に比べて僅かに小さくなっていることが確認されたが、歯先面取りを有していないために歯先のチッピングが発生した。また、突縁部および歯先面取りを有していない比較品4を用いた場合には、切粉の幅が帯厚と略同じになっており、歯先のチッピングが発生していることが確認された。更に、突縁部を有しかつ歯先面取を有しない比較品5を用いた場合には、切粉の幅が帯厚の1/2以下になっていることが確認されたが、歯先のチッピングが発生した。
実施品1〜4を用いた場合の10カット時における切削抵抗は、従来品である比較品3を用いた場合の10カット時における切削抵抗と同程度以下であることが確認された。これに対して、比較品1、2、5を用いた場合の10カット目における切削抵抗は、比較品1を用いた場合の10カット目における切削抵抗と同程度以下であって、実施品1〜4を用いた場合の10カット目における切削抵抗と同程度であることが確認された。比較品4を用いた場合の10カット時における切削抵抗は、比較品3を用いた場合の10カット時における切削抵抗に比べて、大きくなっていることが確認された。なお、切削抵抗の比率は、比較品3を用いた場合の10カット時における切削抵抗を基準とする比率である。
第1の切削試験の結果として、カット数とワーク材の切れ曲がり量との関係をまとめると、図13に示すようになる。
即ち、実施品1〜4を用いた場合には、比較品3を用いた場合に比べて、ワーク材の切れ曲がり量を十分に低減して、硬質チップ帯鋸刃の耐久性が向上することが確認できた。これに対して、比較品1、2を用いた場合は、比較品3を用いた場合に比べて、ワーク材の切れ曲がり量がより低減したが、実施品1〜4を用いた場合に比べて、明らかに硬質チップ帯鋸刃の耐久性が低下することが確認できた。比較品4、5を用いた場合は、比較品3を用いた場合に比べて、ワーク材の切れ曲がり量が増大して、硬質チップ帯鋸刃の耐久性が低下することが確認できた。なお、第1の切削試験においては、ワーク材の切れ曲がり量が1.0mm以上になると、硬質チップ帯鋸刃の寿命であるとみなした。
(第2及び第3の切削試験)
実施品1〜4及び比較品1、5を用いて、所定の第2切削条件(鋸速60m/mim、1カットの切断時間2.6分)の下で、炭素鋼(S45C)からなる直径200mmのワーク材に対して第2の切削試験を行った。同様に、所定の第3切削条件(鋸速55m/mim、1カットの切断時間4.6分)の下で、クロムモリブデン鋼(SCM440)からなる直径200mmのワーク材に対して第3の切削試験を行った。
第2及び第3の切削試験の結果として、32カット時におけるチッピング数についてまとめると、図14に示すようになる。
即ち、第2及び第3の切削試験のいずれの場合においても、突縁部及び歯先面取を有した実施品1〜4を用いた場合は、突縁部を有しかつ歯先面取を有していない比較品5を用いた場合に比べて、32カット時におけるチッピング数を大幅に低減できることが確認できた。特に、第2及び第3の切削試験のいずれの場合においても、実施品1〜4を用いた場合は、32カット時におけるチッピング数をゼロに近づけることが確認できた。これに対して、突縁部及び歯先面取を有した比較品1を用いた場合は、比較品5を用いた場合に比べて、明らかにチッピング数は低減しているが、その効果は十分とは言えず、鋸歯グループにおけるアサリ歯の割合がチッピングに影響することが確認できた。
つまり、本願発明者は、第1から第3の切削試験の結果から、右アサリ歯及び左アサリ歯が突縁部をそれぞれ有してあっても、右アサリ歯の歯先及び左アサリ歯の歯先に歯先面取を歯先縁に沿ってそれぞれ形成し、鋸歯グループにおけるアサリ歯の割合を適切な範囲内において設定することにより、硬質チップ帯鋸刃の切れ曲がり及びチッピングを十分に抑制できることが判明した。
M 鋸刃中心線
B 突縁部
C 歯先面取
θ 面取角
10 第1実施形態に係る硬質チップ帯鋸刃
12 鋸歯グループ
14 直歯
14T 硬質チップ
16 右アサリ歯
16T 硬質チップ
18 左アサリ歯
18T 硬質チップ
20 右アサリ歯
20T 硬質チップ
22 直歯
22T 硬質チップ
24 左アサリ歯
24T 硬質チップ
26 右アサリ歯
26T 硬質チップ
28 左アサリ歯
28T 硬質チップ
30 第2実施形態に係る硬質チップ帯鋸刃
32 鋸歯グループ
34 第3実施形態に係る硬質チップ帯鋸刃
36 鋸歯グループ
38 小鋸歯グループ
40 小鋸歯グループ
42 左アサリ歯
42T 硬質チップ
44 第4実施形態に係る硬質チップ帯鋸刃
46 鋸歯グループ
48 左アサリ歯
48T 硬質チップ
50 右アサリ歯
50T 硬質チップ
52 右アサリ歯
52T 硬質チップ
54 左アサリ歯
54T 硬質チップ
56 比較例1に係る硬質チップ帯鋸刃
58 鋸歯グループ
60 比較例2に係る硬質チップ帯鋸刃
62 鋸歯グループ
64 比較例3に係る硬質チップ帯鋸刃
66 鋸歯グループ
68 比較例4に係る硬質チップ帯鋸刃
70 鋸歯グループ
72 比較例5に係る硬質チップ帯鋸刃
74 鋸歯グループ
本願発明者は、構成の異なる複数種のアサリ歯の硬質チップ帯鋸刃を試作し、複数種の硬質チップ帯鋸刃を用いて、複数の切削試験を行った結果、新規な知見を得ることができ、本発明の完成に至った(後述の実施例参照)。ここで、新規な知見とは、右アサリ歯及び左アサリ歯が突縁部をそれぞれ有してあっても、直歯、右アサリ歯の歯先及び左アサリ歯の歯先に歯先面取を歯先縁(歯先稜線)に沿ってそれぞれ形成し、鋸歯グループにおける鋸歯の総枚数に対する右アサリ歯及び左アサリ歯の枚数の割合を適切な範囲内において設定することにより、ワーク材の切れ曲がり及び硬質チップ帯鋸刃のチッピングを十分に抑制できるということである。
本発明の態様は、先行歯(先行する鋸歯)としての直歯と、後続歯(後続する鋸歯)としての右アサリ歯及び左アサリ歯を含む鋸歯組み合わせパターン(blade teeth combination pattern)からなる鋸歯グループを繰り返して備え、前記直歯、前記右アサリ歯、及び前記左アサリ歯は、歯先側に、硬質材料からなる硬質チップをそれぞれ有した硬質チップ帯鋸刃であって、アサリ振り出しを行う前における前記右アサリ歯の形状及び前記左アサリ歯の形状は、それぞれ前記直歯と同形状であって、前記右アサリ歯の左側コーナ部(左側歯縁部)及び前記左アサリ歯の右側コーナ部(右側歯縁部)は、それぞれ前記直歯の歯先縁(歯先稜線)に対して切込み方向(切断方向)へ突出した突縁部なっており、前記直歯の歯先、前記右アサリ歯の歯先及び前記左アサリ歯の歯先に、歯先面取(チップ面取)が歯先縁に沿ってそれぞれ形成され、前記鋸歯グループにおける鋸歯の総枚数に対する前記右アサリ歯及び前記左アサリ歯の枚数の割合は、71〜83%に設定されていることである
本発明の態様によると、前述のように、前記直歯の歯先、前記右アサリ歯の歯先及び前記左アサリ歯の歯先に、前記歯先面取が歯先縁に沿ってそれぞれ形成され、前記鋸歯グループにおける鋸歯の総枚数に対する前記右アサリ歯及び前記左アサリ歯の枚数の割合は、71〜83%に設定されている。そのため、前記右アサリ歯及び前記左アサリ歯が前記突縁部を有してあっても、ワーク材(金属ワーク)の切れ曲がり及び前記硬質チップ帯鋸刃のチッピングを十分に抑制することができる。換言すれば、前記直歯をベベル歯にしなくても、ワーク材の切れ曲がり及び前記硬質チップ帯鋸刃のチッピングを十分に抑制することができる。
(実施品1〜4及び比較品1〜5)
第1実施形態に係る硬質チップ帯鋸刃10を実施品1として、第2実施形態に係る硬質チップ帯鋸刃30を実施品2として、第3実施形態に係る硬質チップ帯鋸刃34を実施品3として、第4実施形態に係る硬質チップ帯鋸刃44を実施品4として、それぞれ試作する。比較例1に係る硬質チップ帯鋸刃56を比較品1として、比較例2に係る硬質チップ帯鋸刃60を比較品2として、比較例3に係る硬質チップ帯鋸刃64を比較品3として、比較例4に係る硬質チップ帯鋸刃68を比較品4として、比較例5に係る硬質チップ帯鋸刃72を比較品5として、それぞれ試作する。実施品1〜4及び比較品1〜5は、ベースの歯形の掬い角10度、ベースの歯形の逃げ角20度、帯幅41mm、帯厚(厚み)1.3mm、帯長4570mm、ピッチ1.8/2Pに設定した。実施品1〜及び比較品3は、突縁部の突出量0.05mmに設定した。実施品1〜は、歯先面取の面取角45度、歯先面取の面取長さ0.05mmに設定した。
(第1の切削試験)
実施品1〜及び比較品1〜3を用いて、所定の第1切削条件(鋸速40m/mim、1カットの切断時間8分)の下で、ステンレス鋼(SUS304)からなる直径200mmのワーク材に対して第1の切削試験を行った。
つまり、本願発明者は、第1から第3の切削試験の結果から、右アサリ歯及び左アサリ歯が突縁部をそれぞれ有してあっても、直歯の歯先、右アサリ歯の歯先及び左アサリ歯の歯先に歯先面取を歯先縁に沿ってそれぞれ形成し、鋸歯グループにおけるアサリ歯の割合を適切な範囲内において設定することにより、硬質チップ帯鋸刃の切れ曲がり及びチッピングを十分に抑制できることが判明した。

Claims (7)

  1. 先行歯としての直歯と、後続歯としての右アサリ歯及び左アサリ歯を含む鋸歯組み合わせパターンからなる鋸歯グループを繰り返して備え、前記直歯、前記右アサリ歯、及び前記左アサリ歯は、歯先側に、硬質材料からなる硬質チップをそれぞれ有した硬質チップ帯鋸刃であって、
    前記右アサリ歯の左側コーナ部及び前記左アサリ歯の右側コーナ部は、前記直歯の歯先縁に対して切込み方向へ突出した突縁部にそれぞれなっており、
    前記右アサリ歯の歯先及び前記左アサリ歯の歯先に、歯先面取が歯先縁に沿ってそれぞれ形成され、前記鋸歯グループにおける鋸歯の総枚数に対する前記右アサリ歯及び前記左アサリ歯の枚数の割合は、71〜83%に設定されていることを特徴とする硬質チップ帯鋸刃。
  2. 前記直歯の歯先に、歯先面取が歯先縁に沿って形成されていることを特徴とする請求項1に記載の硬質チップ帯鋸刃。
  3. 前記鋸歯グループにおける鋸歯の総枚数は、5枚以上であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の硬質チップ帯鋸刃。
  4. 前記右アサリ歯のアサリ振り出し位置は、前記右アサリ歯における歯底と前記硬質チップの間に位置し、前記左アサリ歯のアサリ振り出し位置は、前記左アサリ歯における歯底と前記硬質チップの間に位置していることを特徴とする請求項1から請求項3のうちのいずれか1項に記載の硬質チップ帯鋸刃。
  5. 前記歯先面取の帯幅方向に対する面取角は、35〜55度に設定されていることを特徴とする請求項1から請求項4のうちのいずれか1項に記載の硬質チップ帯鋸刃。
  6. 前記歯先面取の帯幅方向の面取長さは、0.03〜0.10mmに設定されていることを特徴とする請求項1から請求項5のうちのいずれか1項に記載の硬質チップ帯鋸刃。
  7. 前記突縁部の突出量は、0.02〜0.10mmに設定されていることを特徴とする請求項1から請求項6のうちのいずれか1項に記載の硬質チップ帯鋸刃。
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