JP2018132123A - 免震機構 - Google Patents

免震機構 Download PDF

Info

Publication number
JP2018132123A
JP2018132123A JP2017026072A JP2017026072A JP2018132123A JP 2018132123 A JP2018132123 A JP 2018132123A JP 2017026072 A JP2017026072 A JP 2017026072A JP 2017026072 A JP2017026072 A JP 2017026072A JP 2018132123 A JP2018132123 A JP 2018132123A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
sliding surface
laminated rubber
slider
sliding
horizontal direction
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2017026072A
Other languages
English (en)
Inventor
磯田 和彦
Kazuhiko Isoda
和彦 磯田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Shimizu Construction Co Ltd
Shimizu Corp
Original Assignee
Shimizu Construction Co Ltd
Shimizu Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Shimizu Construction Co Ltd, Shimizu Corp filed Critical Shimizu Construction Co Ltd
Priority to JP2017026072A priority Critical patent/JP2018132123A/ja
Publication of JP2018132123A publication Critical patent/JP2018132123A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Abstract

【課題】摺動子が摺動面(すべり面)に対して動き出す際の摩擦抵抗力の増大を抑制することができる免震機構を提供とする。【解決手段】摺動子4は、下部摺動面21を摺動可能な下部摺動部42と、下部摺動部42の上側に配置されて上部摺動面31を摺動可能な上部摺動部44と、下部摺動部42と上部摺動部44との間に配置され下部摺動部42と上部摺動部44とを水平方向に相対移動可能に支持する積層ゴム45と、を有し、下部構造体と上部構造体とが水平方向に相対変位すると、該相対変位に追従して積層ゴム45が水平方向に変形し、積層ゴム45の原位置に対する水平変位が所定の水平変位設定値δBを超えた後に、摺動子4が下部摺動面21および上部摺動面31の少なくとも一方で摺動する。【選択図】図1

Description

本発明は、免震機構に関する。
免震構造における自重を支持する支承として、積層ゴム支承やすべり支承が一般的に用いられている。しかしながら、積層ゴム支承は、高性能だがコストが高く過大な変位には対処しにくいという問題がある。また、すべり支承は、ローコストで過大な変形にも対処しやすいが地震後に残留変形が生じるという問題がある。積層ゴム支承およびすべり支承の両者を併用することで免震層の変位や残留変位を抑制する方法もあるが、両者のクリープや軸伸縮量の違いが問題となることがある。
一方、ローコストなすべり支承に復元機能を加えたFPS(Friction Pendulum System)が実用化されている。FPSは、上下の構造体それぞれに固定されたすべり面(摺動面)を球面とし、これら上下のすべり面で摺動子となる部材を挟んでいる。FPSでは、免震層の固有周期が上下の構造体の重量に関係なく球面の半径を振り子長さとした周期となっている。FPSは、摺動子が球面状のすべり面を摺動する構成であるため、地震後には摺動子が球面に沿って摺動することで原位置へ復元されるように構成されている。
しかしながら、原位置の近傍では、すべり面の球面の勾配がほとんどないため復元力が小さく、ある程度の残留変位が生じることがある。また、FPSは、比較的軸力が小さい小規模な建物に採用されているが、所望の大きさのすべり面を形成するために、摺動子の上下に大きな球面板が必要となり設置面積が大きくなる特徴がある。
これに対し、すべり面に平坦な傾斜面を利用した「傾斜すべり支承」を有する免震機構が知られている(例えば、特許文献1および2参照)。このような免震機構は、ローコストであるとともに、FPSよりも設置面積が小さく、残留変位がほとんど生じないという利点を有している。
特開2013−130216号公報 特開2015−230033号公報
しかしながら、このような免震機構は、傾斜面における摺動摩擦抵抗を利用しているため、一般的に用いられている剛すべり機構と同様に免震層が動き出す際に傾斜面と摺動子との間の摩擦抵抗力が増大し、加速度が増大するという問題がある。
そこで、本発明は、摺動子が摺動面(すべり面)に対して動き出す際の摩擦抵抗力の増大を抑制することができる免震機構を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明に係る免震機構は、水平方向に相対変位可能な下部構造体と上部構造体との間に設けられる免震機構において、前記下部構造体の上部に設けられ、一の水平方向に沿って下側に凸となるV字形状に傾斜した平面状の下部摺動面を有する下部案内部と、前記上部構造体の底部に設けられ、前記一の水平方向に直交する他の水平方向に沿って上側に凸となる逆V字形状に傾斜した平面状の下部摺動面を有する上部案内部と、前記下部摺動面と前記上部摺動面との間に配置され、前記下部摺動面に沿って前記下部案内部と前記一の水平方向に相対変位可能であるともに、前記上部摺動面に沿って前記上部案内部と前記他の水平方向に相対変位可能な摺動子と、を有し、前記摺動子は、前記下部摺動面を摺動可能な下部摺動部と、前記下部摺動部の上側に配置されて前記上部摺動面を摺動可能な上部摺動部と、前記下部摺動部と前記上部摺動部との間に配置され前記下部摺動部と前記上部摺動部とを水平方向に相対移動可能に支持する積層ゴムと、を有し、前記下部構造体と前記上部構造体とが水平方向に相対変位すると、該相対変位に追従して前記積層ゴムが水平方向に変形し、前記積層ゴムの原位置に対する水平変位が所定の水平変位設定値δを超えた後に、前記摺動子が前記下部摺動面および前記上部摺動面の少なくとも一方で摺動することを特徴とする。
また、本発明に係る免震機構では、前記下部摺動面の水平面に対する傾斜角と、前記上部摺動面の水平面に対する傾斜角とは、それぞれ同じ傾斜角θであり、前記下部摺動面と前記下部摺動部との摩擦係数と、前記上部摺動面と前記上部摺動部との摩擦係数とは、それぞれ同じ摩擦係数μであり、前記積層ゴムにおけるゴム部分の初期剛性kは、前記積層ゴムのせん断剛性G、前記積層ゴムの水平断面積A、および前記ゴム部分の厚さ寸法tから下式(1)によって計算され、前記積層ゴムの水平変位設定値δは、前記摺動子が前記下部摺動面および前記上部摺動面の少なくとも一方に対して摺動を開始する際の水平せん断力Q、前記上部案内部に作用する鉛直荷重W、前記傾斜角θ、前記摩擦係数μ、前記積層ゴムの最大せん断ひずみγmax、および前記ゴム部分の厚さ寸法tから下式(2)によって計算されてもよい。
Figure 2018132123
本発明では、地震が生じ、下部構造体と上部構造体とが水平方向に相対変位すると、まず、摺動子は上部摺動面および下部摺動面に対して摺動せずに、積層ゴムのみが変形する。ここから更に下部構造体と上部構造体とが水平方向に相対変位して、積層ゴムの原位置に対する水平変位が水平変位設定値δを超えると、摺動子が上部摺動面および下部摺動面に対して摺動し始める。
このため、摺動子に積層ゴムが設けられていない従来の免震機構と比べると、摺動子が上部摺動面および下部摺動面に対して摺動し始める際の免震機構の剛性変化が緩和され、摺動子が上部摺動面および下部摺動面に対して動き出す際の摩擦抵抗力の増大を抑制することができる。
また、下部構造体と上部構造体との水平方向の相対変位が微小な場合は、摺動子が上部摺動面および下部摺動面に対して摺動しないため、残留変位が生じること防止することができる。
本発明によれば、摺動子が上部摺動面および下部摺動面に対して動き出す際の剛性変化が緩和されるため摩擦抵抗力の増大を抑制することができ、加速度の増大を抑制することができる。
本発明の実施形態による免震機構の一例を示す分解斜視図である。 (a)は本発明の実施形態による免震機構をY方向から見た図、(b)は本発明の実施形態による免震機構をX方向から見た図である。 (a)は下部構造体と上部構造体とがX方向に相対変位し始めた状態を説明する図、(b)は(a)よりも多く下部構造体と上部構造体とがX方向に相対変位した状態を説明する図である。 (a)は下部構造体と上部構造体とがY方向に相対変位し始めた状態を説明する図、(b)は(a)よりも多く下部構造体と上部構造体とがY方向に相対変位した状態を説明する図である。 本実施形態による免震機構の復元特性を説明する図である。 従来の免震機構の復元特性を説明する図である。 水平変位設定値δの異なる2種類の免震機構(傾斜弾性滑り支承)と、従来の免震機構(傾斜すべり支承)とを混在させた場合の復元特性を説明する図である。 本実施形態による下部案内部の変形例を説明する図である。
以下、本発明の実施形態による免震機構について、図1乃至図6に基づいて説明する。
図1および図2に示すように、本実施形態による免震機構1は、下部構造体11(図2参照)と上部構造体12(図2参照)との間の免震層13に複数設けられている。免震層13に設けられた複数の免震機構1は、それぞれ同じ形態としている。
免震機構1は、下部構造体11の上部に固定された下部案内部2と、上部構造体12の底部に固定された上部案内部3と、下部案内部2と上部案内部3との間に配置された摺動子4と、を有している。
下部案内部2は、摺動子4が摺動する下部摺動面21を有する本体部22と、本体部22の下部に連結されて下部構造体11に固定される固定部23と、を有している。
本体部22は、長尺の略直方体となるブロック状に形成され、一の水平方向に延びる向きに配置されている。一の水平方向をX方向とし、一の水平方向に直交する他の水平方向をY方向とする。本体部22の上面は、X方向に沿ってX方向の略中央部が下側に凸となる略V字形状の傾斜面に形成されている。この本体部22の上面が下部摺動面21となっている。下部摺動面21の略中央部の屈曲している部分を下部屈曲部211とする。また、下部摺動面21のうち、下部屈曲部211からX方向の一方側を第1下部摺動面212とし、下部屈曲部211からX方向の他方側を第2下部摺動面213とする。
第1下部摺動面212および第2下部摺動面213は、それぞれ平面となる傾斜面に形成されている。第1下部摺動面212および第2下部摺動面213の水平面に対する傾斜角は、互いに同じ値(傾斜角θ)に設定されている。
第1下部摺動面212および第2下部摺動面213には、摺動子4との摩擦を低減させるようにステンレスやメッキ鋼板あるいはテフロン(登録商標)などの滑り材がそれぞれ設けられている。
本体部22のY方向の両側の端面221,221は、それぞれY方向を向く略垂直面となるように形成されている。
固定部23は、板状に形成され、板面が水平面となる向きで本体部22の下面と接合されている。固定部23は、本体部22よりもX方向およびY方向に大きい略長方形状に形成され、本体部22よりもX方向およびY方向に突出している。固定部23は、下部構造体11の上面に固定されている。
上部案内部3は、摺動子4が摺動する上部摺動面31を有する本体部32と、本体部32の上部に連結されて上部構造体12に固定される固定部33と、を有している。
本体部32は、長尺の略直方体となるブロック状に形成され、Y方向に延びる向きに配置されている。本体部32の下面は、Y方向に沿ってY方向の略中央部が上側に凸となる略逆V字形状の傾斜面に形成されている。この本体部32の下面が上部摺動面31となっている。上部摺動面31の略中央部の屈曲している部分を上部屈曲部311とする。また、上部摺動面31のうち、上部屈曲部311からY方向の一方側を第1上部摺動面312とし、上部屈曲部311からY方向の他方側を第2上部摺動面313とする。
第1上部摺動面312および第2上部摺動面313は、それぞれ平面となる傾斜面に形成されている。第1上部摺動面312および第2上部摺動面313の水平面に対する傾斜角は、互いに同じ値(傾斜角θ)に設定されている。この傾斜角θは、第1下部摺動面212および第2下部摺動面213の水平面に対する傾斜角θと同じ値となっている。
第1上部摺動面312および第2上部摺動面313には、摺動子4との摩擦を低減させるようにステンレスやメッキ鋼板あるいはテフロン(登録商標)などの滑り材がそれぞれ設けられている。
本体部32のX方向の両側の端面321,321は、それぞれX方向を向く略垂直面となるように形成されている。
固定部33は、板状に形成され、板面が水平面となる向きで本体部32の上面と接合されている。固定部33は、本体部32よりもX方向およびY方向に大きい略長方形状に形成され、本体部32よりもX方向およびY方向に突出している。固定部33は、上部構造体12の下面に固定されている。
このような下部案内部2と上部案内部3とは、上下方向に間をあけて重なるように配置され、下部案内部2と上部案内部3とが上下方向に重なる交差部10に摺動子4が配置されている。
摺動子4は、下部摺動面21と当接する下部当接面41を有する下部摺動部42と、上部摺動面31と当接する上部当接面43を有する上部摺動部44と、下部摺動部42と上部摺動部44との間に配置される積層ゴム45と、を有している。さらに、本実施形態では、下部摺動部42のY方向の両縁部それぞれから下側に突出し下部案内部2の本体部22のY方向の両側にそれぞれ配置される一対の下部ガイド部46,46と、上部摺動部44のX方向の両縁部それぞれから上側に突出し上部案内部3の本体部32のX方向の両側にそれぞれ配置される一対の上部ガイド部47,47と、を有している。
下部摺動部42は、平面視形状(上方から見た形状)が略正方形となるブロック状に形成されている。
一対の下部ガイド部46,46は、互いにY方向に間隔をあけて配置されている。一対の下部ガイド部46,46の間隔は、下部案内部2の本体部22のY方向の寸法よりもやや大きく形成されている。一対の下部ガイド部46,46における互いにY方向に対向する内側面461,461は、鉛直面に形成されている。
下部摺動部42の下面のうちの一対の下部ガイド部46,46の間の領域に下部当接面41が形成されている。
下部摺動部42は、下部案内部2の上側に配置されると、下部当接面41が下部案内部2の下部摺動面21と当接し、一対の下部ガイド部46,46が下部案内部2の本体部22のY方向の両側方に配置される。一対の下部ガイド部46,46それぞれの内側面461,461は、本体部22のY方向の両側の端面221,221と対向している。本実施形態では、一対の下部ガイド部46,46それぞれの内側面461,461に滑り材462,462が設けられていて、滑り材462,462が本体部22の端面221,221と当接している。
下部当接面41は、X方向に沿ってX方向の略中央部が下側に凸となる略V字形状の傾斜面に形成されている。この下部当接面41のX方向の略中央部の屈曲している部分を下部屈曲部411とする。
また、下部当接面41のうち、下部屈曲部411よりもX方向の一方側を第1下部当接面412とし、下部屈曲部411よりもX方向の他方側を第2下部当接面413とする。
第1下部当接面412および第2下部当接面413には、それぞれテフロン(登録商標)などの滑り材がそれぞれ設けられている。
下部摺動部42の上面は略水平面に形成され、積層ゴム45が接続されている。
上部摺動部44は、平面視形状(上方から見た形状)が略正方形となるブロック状に形成されている。
一対の上部ガイド部47,47は、互いにX方向に間隔をあけて配置されている。一対の上部ガイド部47,47の間隔は、上部案内部3の本体部22のX方向の寸法よりもやや大きく形成されている。一対の上部ガイド部47,47における互いにX方向に対向する内側面471,471は、鉛直面に形成されている。
上部摺動部44の下面のうちの一対の上部ガイド部47,47の間の領域に上部当接面43が形成されている。
上部摺動部44は、上部案内部3の下側に配置されると、上部当接面43が上部案内部3の下部摺動面21と当接し、一対の上部ガイド部47,47が上部案内部3の本体部32のX方向の両側方に配置される。一対の上部ガイド部47,47それぞれの内側面471,471は、本体部32のX方向の両側の端面321,321と対向している。本実施形態では、一対の上部ガイド部47,47それぞれの内側面471,471に滑り材472,472が設けられていて、滑り材472,472が本体部32の端面321,321と当接している。
上部当接面43は、Y方向に沿ってX方向の略中央部が上側に凸となる略逆V字形状の傾斜面に形成されている。この上部当接面43のY方向の略中央部の屈曲している部分を上部屈曲部431とする。
また、上部当接面43のうち、上部屈曲部431よりもY方向の一方側を第1上部当接面432とし、上部屈曲部431よりもY方向の他方側を第2上部当接面433とする。
第1上部当接面432および第2上部当接面433には、それぞれテフロン(登録商標)などの滑り材がそれぞれ設けられている。
上部摺動部44の上面は略水平面に形成され、積層ゴム45が接続されている。
積層ゴム45は、ゴムと薄鋼板とを鉛直に積層した公知の構造のもので、水平方向に弾性変形可能に構成され、下部摺動部42と上部摺動部44とを水平方向に相対移動可能に連結している。
積層ゴム45は、下部摺動部42と上部摺動部44とが水平方向に相対変位すると、下部摺動部42と上部摺動部44との相対変位に追従してゴム部分451が弾性変形する。そして、弾性変形したゴム部分451の復元力(弾性すべり復元力)により下部摺動部42と上部摺動部44とが原位置に復元されるように構成されている。
このような構成の免震機構1は、図3および図4に示すように、地震が生じて下部構造体11と上部構造体12とが水平方向に相対変位すると、下部構造体11に設けられた下部案内部と上部構造体12に設けられた上部案内部3との相対変位に追従して積層ゴム45が変形するとともに、摺動子が下部摺動面21および上部摺動面31を摺動する。
図2に示すように免震機構1の初期状態(通常時)では、積層ゴム45は変形せず、摺動子4は下部案内部2および上部案内部3に対して原位置に配置されている。原位置に配置された摺動子4は、第1下部当接面412が下部案内部2の第1下部摺動面212と当接し、第2下部当接面413が下部案内部2の第2下部摺動面213と当接し、第1上部当接面432が上部案内部3の第1上部摺動面312と当接し、第2上部当接面433が上部案内部3の第2上部摺動面313と当接している。
図3(b)に示すように、摺動子4は、下部案内部2に対して原位置からX方向の一方側に移動すると、第1下部当接面412が第1下部摺動面212と当接しているが、第2下部当接面413が第2下部摺動面213から離間した状態で第1下部摺動面212を上るように下部摺動面21を摺動する。摺動子4は、下部案内部2に対して原位置からX方向の他方側に移動すると、第2下部当接面413が第2下部摺動面213と当接しているが、第1下部当接面412が第1下部摺動面212から離間した状態で第2下部摺動面213を上るように下部摺動面21を摺動する。
図4(b)に示すように、摺動子4は、上部案内部3に対して原位置からY方向の一方側に移動すると、第1上部当接面432が第1上部摺動面312と当接しているが、第2上部当接面433が第2上部摺動面313から離間した状態で第1上部摺動面312を下るように上部摺動面31を摺動する。摺動子4は、上部案内部3に対して原位置からY方向の他方側に移動すると、第2上部当接面433が第2上部摺動面313と当接しているが、第1上部当接面432が第1上部摺動面312から離間した状態で第2上部摺動面313を下るように上部摺動面31を摺動する。
このように摺動子4は、下部案内部2および上部案内部3に対して上ったり下ったりすることで高さ寸法が変化することになる。しかしながら、本実施形態では、免震層13に設けられた複数の免震機構1は、それぞれの傾斜角θが同じ値であるため、地震が生じてそれぞれの下部案内部2と上部案内部3とが水平方向に相対変位しても、免震機構1それぞれの上端部は同じ高さとなり、免震機構1それぞれの下端部は同じ高さに配置される。これにより、下部構造体11と上部構造体12とが水平方向に相対変位しても、上部構造体12が水平に維持される。
免震機構1では、摺動子4と下部案内部2とがX方向に相対変位すると、摺動子4が下部案内部2の下部摺動面21を上るように下部案内部2と相対変位するため、摺動子4と下部案内部2との相対変位がポテンシャルエネルギー(位置エネルギー)として蓄積され、摺動子4が原位置に復元するための復元力(傾斜復元力)となる。摺動子4と上部案内部3とがY方向に相対変位すると、上部案内部3が摺動子4の上部当接面43の傾斜面を上るように摺動子4と相対変位するため、摺動子4と上部案内部3との相対変位がポテンシャルエネルギー(位置エネルギー)として蓄積され、摺動子4が原位置に復元するための復元力(傾斜復元力)となる。
上部案内部3に作用する鉛直荷重をWとすると、傾斜復元力(水平力)Fは水平面に対する傾斜角θをとしてF=Wtanθと表される。
本実施形態では、図3(a)および図4(a)に示すような下部構造体11と上部構造体12との相対変位量が微小な場合には、積層ゴム45が変形するのみで、摺動子4は下部摺動面21および上部摺動面31を摺動せず、図3(b)および図4(b)に示すような上部構造体と下部構造体11との相対変位量が大きくなり、積層ゴム45の原位置に対する水平変位が所定の水平変位設定値δを超えた場合には、摺動子4が下部摺動面21および上部摺動面31を摺動するように構成されている。
このような構成とするために、本実施形態による免震機構1の諸元は以下のように設定されている。
積層ゴム45の初期剛性kは、積層ゴム45のせん断剛性G、積層ゴム45のゴム部分451の水平断面積A、積層ゴム45のゴム部分451の厚さ寸法(総厚)tから下式(3)のように求められる。
Figure 2018132123
また、積層ゴム45の水平変位設定値δは、摺動子4が下部摺動面21および上部摺動面31の少なくとも一方に対して摺動を開始する際の水平せん断力Q、上部案内部3に作用する鉛直荷重W、傾斜角θ、摩擦係数μ、積層ゴム45の最大せん断ひずみγmax、およびゴム部分451の厚さ寸法tから下式(4)のように求められる。なお、通常は、γmax=2程度に設定する。
Figure 2018132123
本実施形態による免震機構1(傾斜弾性滑り支承)の復元力特性(荷重−変形関係)を図5に示す。すべりを生じた後の摩擦抵抗力μwは、一般的に傾斜復元力Wtanθより大きく、両者を合成したものが免震機構1の復元力特性となる。
ちなみに、積層ゴム45を用いていない従来の免震機構(傾斜すべり支承)の復元力特性を図6に示す。図5と図6とを比べると、従来の免震機構の復元力特性では、弾性勾配が∞となる点が本実施形態による免震機構1の復元力特性と異なっている。
摺動子4と下部案内部2および上部案内部3との摩擦係数μは、0.01〜0.1程度とし、摩擦係数μおよび傾斜角θは、tanθ=(0.1〜1.0)μを満たすように設定する。
摩擦係数μ=0.01〜0.1のすべり支承は、免震部材として一般的に適用されている。例えばtanθ=0.02(傾斜角:1/50)は、θ=1.1°に相当する。摩擦係数μであるすべり面の勾配は、tanθ≧μであれば残留変位を完全に除去できるが、この0.1〜0.4倍であってもほぼ残留変形をなくせることができる。本実施形態による免震機構1では、これと全く同じ効果を重力を用いてばねなしで実現している。
積層ゴム45は、せん断剛性G=0.58〜0.98N/mm2(G6〜G10)程度で、厚さ3〜6mmのゴムを積層して、ゴム総厚12〜30mm程度としたものである。一般的な免震積層ゴムと比較するとせん断剛性が2倍以上大きく、ゴム総厚が桁違いに小さい特徴がある。これは積層ゴム45の変形が60mm以下と小さく、積層ゴム45の下側の下部摺動部42と積層ゴム45の上側の上部摺動部44とが互いに回転しないようにするためである。
次に、上述した本実施形態に係る免震機構の作用・効果について図面を用いて説明する。
上述した本実施形態に係る免震機構1では、摺動子4が下部案内部2の下部摺動面21および上部案内部3の上部摺動面31を摺動する前に、摺動子4に組込まれた積層ゴム45が変形するため、積層ゴム45が設けられていない免震機構と比べ初期剛性kは小さくなる。これにより、摺動子4が下部案内部2の下部摺動面21および上部案内部3の上部摺動面31を摺動し始める際の剛性変化が緩和されるので、摩擦抵抗力の増大も緩和され応答加速度を抑制できる。
また、本実施形態に係る免震機構1では、下部摺動面21の第1下部摺動面212、第2下部摺動面213、および上部摺動面31の第1上部摺動面312、第2上部摺動面313がそれぞれ平面となる傾斜面であるため、これらを球面等の複雑な形状とする従来の免震機構と比べて容易に構築することができる。また、免震層13の最大変位量(下部構造体11と上部構造体12との最大変位量)は、下部摺動面21および上部摺動面31の長さ寸法で容易に対処できる。
また、本実施形態による免震機構1では、傾斜復元力が変位によらず一定のため、残留変位が生じることを抑制できる。このように、本実施形態による免震機構1では、傾斜復元力があることにより、従来の免震機構のように、残留変位を防止するための復元用のゴム支承を設ける必要がなく、簡便な構造とすることができ、設置工事に際して特別な技量を要しないで、一般的なリニアガイド免震支承と同様、容易に施工できる。
また、本実施形態による免震機構1では、復元用のゴム支承を設けないことにより、大地震時に免震層13が短周期化することはなく、応答加速度を抑制できる。更に、傾斜復元力を風荷重より大きく設定しておくことで、風に対するストッパーが不要となる。
また、摺動子4は、一対の下部ガイド部46,46および一対の上部ガイド部47,47を有し、一対の下部ガイド部46,46が下部案内部2のY方向の両側に配置され、一対の上部ガイド部47,47が上部案内部3のX方向の両側に配置されているため、摺動子4が下部案内部2に対してY方向に外れたり、上部案内部3に対してX方向に外れたりすることを防止できる。
以上、本発明による免震機構の実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、上記の実施形態では、免震機構1は、免震層13に複数設けられているが、1つのみ設けられていてもよい。
また、上記の実施形態では、免震層13に設けられた複数の免震機構1,1…は、それぞれ同じ形態であるが、異なる形態としてもよい。例えば、水平変位設定値δの異なる本実施形態と同様の2種類の免震機構(傾斜弾性滑り支承A,B)と、摺動子に本実施形態のような積層ゴム45が設けられていない従来の免震機構(傾斜すべり支承)とを混在させるようにしてもよい。
傾斜すべり支承の水平変位設定値δB1は0に設定され、傾斜弾性滑り支承Aの水平変位設定値δB2は、傾斜弾性滑り支承Bの水平変位設定値δB3よりも小さく設定されている。このようにすることにより、図7に示すような、複数の折れ点をもつ復元力特性(マルチステップ特性)を得ることができる。この結果、中小地震から大地震まで、地震の規模に合せた効果的な免震性能を発揮することができる。
例えば、微小地震では傾斜すべり支承も傾斜弾性すべり支承もすべらずに、免震層13の変位は0のままとなる。小地震では傾斜すべり支承はすべり、傾斜弾性すべり支承A,Bは積層ゴムだけ変形する。中地震では傾斜すべり支承と傾斜弾性すべり支承Aがすべり、傾斜弾性すべり支承Bはゴム部分だけ変形する。大地震では全ての支承(傾斜すべり支承および傾斜弾性すべり支承A,B)がすべり、免震層の変位が増加する。
また、上記の実施形態では、下部案内部2の本体部22に第1下部摺動面212および第2下部摺動面213が一体に形成されているが、図8に示す下部案内部2Bのように、本体部22Bが2つの部材225,226で構成され、一方の部材225に第1下部摺動面212Bが形成され、他方の部材226に第2下部摺動面213Bが形成されていてもよい。同様に、上部案内部3の本体部32が2つの部材の部材で構成され、一方の部材に第1下部摺動面が形成され、他方の部材に第2下部摺動面が形成されていてもよい。
1 免震機構
2 下部案内部
3 上部案内部
4 摺動子
11 下部構造体
12 上部構造体
13 免震層
21 下部摺動面
31 上部摺動面
41 下部当接面
42 下部摺動部
43 上部当接面
44 上部摺動部
45 積層ゴム

Claims (2)

  1. 水平方向に相対変位可能な下部構造体と上部構造体との間に設けられる免震機構において、
    前記下部構造体の上部に設けられ、一の水平方向に沿って下側に凸となるV字形状に傾斜した平面状の下部摺動面を有する下部案内部と、
    前記上部構造体の底部に設けられ、前記一の水平方向に直交する他の水平方向に沿って上側に凸となる逆V字形状に傾斜した平面状の上部摺動面を有する上部案内部と、
    前記下部摺動面と前記上部摺動面との間に配置され、前記下部摺動面に沿って前記下部案内部と前記一の水平方向に相対変位可能であるともに、前記上部摺動面に沿って前記上部案内部と前記他の水平方向に相対変位可能な摺動子と、を有し、
    前記摺動子は、前記下部摺動面を摺動可能な下部摺動部と、前記下部摺動部の上側に配置されて前記上部摺動面を摺動可能な上部摺動部と、前記下部摺動部と前記上部摺動部との間に配置され前記下部摺動部と前記上部摺動部とを水平方向に相対移動可能に支持する積層ゴムと、を有し、
    前記下部構造体と前記上部構造体とが水平方向に相対変位すると、該相対変位に追従して前記積層ゴムが水平方向に変形し、前記積層ゴムの原位置に対する水平変位が所定の水平変位設定値δを超えた後に、前記摺動子が前記下部摺動面および前記上部摺動面の少なくとも一方で摺動することを特徴とする免震機構。
  2. 前記下部摺動面の水平面に対する傾斜角と、前記上部摺動面の水平面に対する傾斜角とは、それぞれ同じ傾斜角θであり、
    前記下部摺動面と前記下部摺動部との摩擦係数と、前記上部摺動面と前記上部摺動部との摩擦係数とは、それぞれ同じ摩擦係数μであり、
    前記積層ゴムにおけるゴム部分の初期剛性kは、前記積層ゴムのせん断剛性G、前記積層ゴムの水平断面積A、および前記ゴム部分の厚さ寸法tから下式(1)によって計算され、
    前記積層ゴムの水平変位設定値δは、前記摺動子が前記下部摺動面および前記上部摺動面の少なくとも一方に対して摺動を開始する際の水平せん断力Q、前記上部案内部に作用する鉛直荷重W、前記傾斜角θ、前記摩擦係数μ、前記積層ゴムの最大せん断ひずみγmax、および前記ゴム部分の厚さ寸法tから下式(2)によって計算されることを特徴とする請求項1に記載の免震機構。
    Figure 2018132123
JP2017026072A 2017-02-15 2017-02-15 免震機構 Pending JP2018132123A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017026072A JP2018132123A (ja) 2017-02-15 2017-02-15 免震機構

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017026072A JP2018132123A (ja) 2017-02-15 2017-02-15 免震機構

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2018132123A true JP2018132123A (ja) 2018-08-23

Family

ID=63248232

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2017026072A Pending JP2018132123A (ja) 2017-02-15 2017-02-15 免震機構

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2018132123A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN109853769A (zh) * 2019-03-11 2019-06-07 广州大学 轨道式变摩擦摆隔震支座

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002039266A (ja) * 2000-07-25 2002-02-06 Kawaguchi Metal Industries Co Ltd 免震装置
JP2008156945A (ja) * 2006-12-25 2008-07-10 Takenaka Komuten Co Ltd 免震構造、免震構造の設計方法、及び免震建物
JP2013130216A (ja) * 2011-12-20 2013-07-04 Shimizu Corp 滑り免震機構

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002039266A (ja) * 2000-07-25 2002-02-06 Kawaguchi Metal Industries Co Ltd 免震装置
JP2008156945A (ja) * 2006-12-25 2008-07-10 Takenaka Komuten Co Ltd 免震構造、免震構造の設計方法、及び免震建物
JP2013130216A (ja) * 2011-12-20 2013-07-04 Shimizu Corp 滑り免震機構

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN109853769A (zh) * 2019-03-11 2019-06-07 广州大学 轨道式变摩擦摆隔震支座
CN109853769B (zh) * 2019-03-11 2024-02-13 广州大学 轨道式变摩擦摆隔震支座

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR100731210B1 (ko) 형상기억합금을 이용한 교량용 면진교좌장치
JP2009062733A (ja) 上下免震機構
KR20150047754A (ko) 스프링 및 고무 댐퍼를 이용한 폴리우레탄 마찰형 지진 격리받침
JP2006193932A (ja) すべりゴム支承装置
JPH0658009A (ja) 振動減衰装置
JP5901159B2 (ja) 免震構造
JP2018132123A (ja) 免震機構
JP5513956B2 (ja) すべり支承装置
JP4706958B2 (ja) 免震構造
JP6709609B2 (ja) 免震機構
JP6796817B2 (ja) 免震機構
JP6497642B2 (ja) 滑り免震機構
JP2016216919A (ja) 落橋防止構造
JP2019138376A (ja) 免震機構
JP2019070432A (ja) 滑り免震機構
KR101293331B1 (ko) 탄성기구 및 이를 이용한 탄성체의 분력을 이용한 수평변위 조절기구와 교좌장치
JPH11210826A (ja) 免震滑り支承
JP4822132B2 (ja) 上下免震機構
JP6531479B2 (ja) 免震構造
JP2022164203A (ja) 免震機構
JPH11336201A (ja) 支承装置
KR102417871B1 (ko) 면진 테이블
JPS6286265A (ja) 床免震装置
JP6804738B2 (ja) ラック倉庫の免制振システム
JP7272850B2 (ja) 滑り免震機構

Legal Events

Date Code Title Description
RD03 Notification of appointment of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7423

Effective date: 20181005

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20191223

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20201006

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20201013

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20210427

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20210709

C60 Trial request (containing other claim documents, opposition documents)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: C60

Effective date: 20210709

A911 Transfer to examiner for re-examination before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911

Effective date: 20210716

C21 Notice of transfer of a case for reconsideration by examiners before appeal proceedings

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: C21

Effective date: 20210720

A912 Re-examination (zenchi) completed and case transferred to appeal board

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A912

Effective date: 20210827

C211 Notice of termination of reconsideration by examiners before appeal proceedings

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: C211

Effective date: 20210831

C22 Notice of designation (change) of administrative judge

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: C22

Effective date: 20211019

C23 Notice of termination of proceedings

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: C23

Effective date: 20220419

C03 Trial/appeal decision taken

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: C03

Effective date: 20220524

C30A Notification sent

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: C3012

Effective date: 20220524