JP2018131367A - 窒化アルミニウム結晶およびその製造方法 - Google Patents

窒化アルミニウム結晶およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】不純物元素であるシリコンおよび炭素が少ない結晶品質の高い窒化アルミニウム結晶およびその製造方法の提供。【解決手段】不純物元素として、1×1019cm-3未満のシリコンと、1×1019cm-3未満の炭素と、1×1016cm-3以上のタンタルと、を含む窒化アルミニウム結晶。窒化アルミニウム原料15および下地基板10を内部に配置するための坩堝23と、坩堝を加熱するための加熱体25と、坩堝および加熱体を内部に配置するための反応容器21と、を備える製造装置20を準備する工程と、坩堝内に窒化アルミニウム原料および下地基板を配置する工程と、窒化アルミニウム原料を昇華させて下地基板上に窒化アルミニウム結晶11を成長させる工程と、を備え、坩堝は、Ta2CおよびTa5Si3の少なくともいずれかにより被覆されており、加熱体および反応容器はシリコンおよび炭素を含有しない窒化アルミニウム結晶の製造方法。【選択図】図2

Description

本発明は、窒化アルミニウム結晶およびその製造方法に関する。
国際公開第2010/084863号(特許文献1)は、耐久性を有しかつ坩堝の外部からの不純物の混入が抑制された窒化物半導体結晶をするために、原料を内部に配置するための坩堝と、坩堝の外周に配置され坩堝の内部を加熱するための加熱部と、坩堝と加熱部との間に配置された被覆部とを備え、被覆部は、坩堝に対向する側に形成され原料の融点よりも高い融点の金属よりなる第1の層と、第1の層の外周部に形成されかつ第1の層を構成する金属の炭化物よりなる第2の層とを含む窒化物半導体結晶の製造装置、それを用いた窒化物半導体結晶の製造方法、およびそれらにより製造された窒化物半導体結晶を開示する。
国際公開第2010/084863号
国際公開第2010/084863号(特許文献1)で開示された窒化物半導体結晶の製造装置および製造方法においては、坩堝と加熱部との間に配置された被覆部が存在するため、製造する窒化物半導体結晶のサイズが大きくなるほど、被覆部の内径が大きくなり、製造装置の大型化による被覆部の自重の増大および繰り返し昇降温による被覆部の劣化が激しく、製造装置の長期安定性および製造する窒化物半導体結晶の再現性に問題があった。
そこで、被覆部などの複雑な構造を有する製造装置を用いることなく製造できる不純物元素であるシリコンおよび炭素が少ない結晶品質の高い窒化アルミニウム結晶およびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明の一態様にかかる窒化アルミニウム結晶は、不純物元素として、1×1019cm-3未満のシリコンと、1×1019cm-3未満の炭素と、1×1016cm-3以上のタンタルと、を含む。
本発明の一態様にかかる窒化アルミニウム結晶の製造方法は、窒化アルミニウム原料および下地基板を内部に配置するための坩堝と、坩堝を加熱するための加熱体と、坩堝および加熱体を内部に配置するための反応容器と、を備える製造装置を準備する工程と、坩堝内に窒化アルミニウム原料および下地基板を配置する工程と、窒化アルミニウム原料を昇華させて下地基板上に窒化アルミニウム結晶を成長させる工程と、を備え、坩堝は、Ta2CおよびTa5Si3の少なくともいずれかにより被覆されており、加熱体および反応容器がシリコンおよび炭素を含有しない。
上記によれば、被覆部などの複雑な構造を有する製造装置を用いることなく製造できる不純物元素であるシリコンおよび炭素が少ない結晶品質の高い窒化アルミニウム結晶およびその製造方法を提供できる。
図1は、本発明の一形態にかかる窒化アルミニウム結晶の製造方法を示すフローチャートである。 図2は、本発明の一態様にかかる窒化アルミニウム結晶の製造に用いられる製造装置の一例を示す概略断面図である。
[本発明の実施形態の説明]
最初に本発明の実施態様を列記して説明する。
[1]本発明の一実施形態にかかる窒化アルミニウム結晶は、不純物元素として、1×1019cm-3未満のシリコンと、1×1019cm-3未満の炭素と、1×1016cm-3以上のタンタルと、を含む。本実施形態の窒化アルミニウム結晶は、シリコンおよび炭素の含有量が少ないため、高い結晶品質を有する。
[2]本実施形態にかかる窒化アルミニウム結晶は、不純物元素として、1×1017cm-3未満の酸素をさらに含むことができる。かかる窒化アルミニウム結晶は、酸素の含有量が少ないため、高い熱伝導率および高いヤング率を有する。
[3]本実施形態にかかる窒化アルミニウム結晶は、X線回折のロッキングカーブ測定における(0002)面についての最大回折ピークの半値幅を100arcsec未満とすることができる。かかる窒化アルミニウム結晶は、最大回折ピークの半値幅が小さいため、高い結晶品質を有する。
[4]本実施形態にかかる窒化アルミニウム結晶は、主表面の算術平均粗さRaを1nm未満とすることができる。かかる窒化アルミニウム結晶は、主表面の算術平均粗さRaが小さいため、かかる主表面を用いることにより、高品質なエピタキシャル膜の形成が可能となり、また、異種材料との接合において強固な接合の形成が可能となる。
[5]本実施形態にかかる窒化アルミニウム結晶は、不純物元素として、1×1019cm-3未満のシリコンと、1×1019cm-3未満の炭素と、1×1017cm-3未満の酸素と、1×1016cm-3以上のタンタルと、を含み、X線回折のロッキングカーブ測定における(0002)面についての最大回折ピークの半値幅を100arcsec未満とし、主表面の算術平均粗さRaが1nm未満とすることができる。かかる窒化アルミニウム結晶は、高い結晶品質を有し、特に高い熱伝導率および高いヤング率を有する。
[6]本発明の一実施形態にかかる窒化アルミニウム結晶の製造方法は、窒化アルミニウム原料および下地基板を内部に配置するための坩堝と、坩堝を加熱するための加熱体と、坩堝および加熱体を内部に配置するための反応容器と、を備える製造装置を準備する工程と、坩堝内に窒化アルミニウム原料および下地基板を配置する工程と、窒化アルミニウム原料を昇華させて下地基板上に窒化アルミニウム結晶を成長させる工程と、を備え、坩堝はTa2CおよびTa5Si3の少なくともいずれかにより被覆されており、加熱体および反応容器はシリコンおよび炭素を含有しない。本実施形態の窒化アルミニウム結晶の製造方法は、シリコンおよび炭素の含有量が少なく結晶品質が高い窒化アルミニウム結晶を安定して再現性よく製造できる。
[本発明の実施形態の詳細]
<窒化アルミニウム結晶>
本実施形態にかかるAlN(窒化アルミニウム)結晶は、不純物元素として、1×1019cm-3未満のSi(シリコン)と、1×1019cm-3未満のC(炭素)と、1×1016cm-3以上のTa(タンタル)を含む。本実施形態のAlN結晶は、SiおよびCの含有量がそれぞれ1×1019cm-3未満と少ないため、高い結晶品質を有する。
(シリコンの含有量)
AlN結晶中のSi(シリコン)の含有量は、結晶品質が高い観点から、1×1019cm-3未満であり、1×1018cm-3以下が好ましく、1×1017cm-3以下がより好ましい。AlN結晶中のSiの含有量は、ダイナミックSIMS(二次イオン質量分析法)により測定する。
(炭素の含有量)
AlN結晶中のC(炭素)の含有量は、結晶品質が高い観点から、1×1019cm-3未満であり、1×1018cm-3以下が好ましく、1×1017cm-3以下がより好ましい。AlN結晶中のCの含有量は、ダイナミックSIMSにより測定する。
(タンタルの含有量)
AlN結晶中のTa(タンタル)の含有量は、後述する製造方法によるものであり、AlN結晶の半導体特性に悪影響をほとんど与えないため、Taの含有量は、1×1016cm-3以上であってもよい。AlN結晶中のTaの含有量は、高い結晶品質を維持する観点から、1×1019cm-3以下が好ましく、1×1018cm-3以下がより好ましい。AlN結晶中のTaの含有量は、ダイナミックSIMSにより測定する。
(酸素の含有量)
AlN結晶中のO(酸素)の含有量は、熱伝導率およびヤング率が高い観点から、1×1017cm-3未満が好ましい。AlN結晶中のOの含有量は、ダイナミックSIMSにより測定する。
(X線回折のロッキングカーブ測定における最大回折ピークの半値幅)
AlN結晶は、結晶品質が高い観点から、X線回折のロッキングカーブ測定における(0002)面についての最大回折ピークの半値幅が、100arcsec未満が好ましく、70arcsec以下がより好ましい。
(主表面の算術平均粗さRa)
AlN結晶は、高品質なエピタキシャル膜を形成する、および/または、異種材料との強固な接合を形成する観点から、主表面の算術平均粗さRaが、1nm未満が好ましく、0.7nm以下がより好ましい。ここで、主表面の算術平均粗さRaは、JIS B0601:2013に規定される算術平均粗さRaをいい、AFM(原子間力顕微鏡)により測定する。
(熱伝導率)
AlN結晶は、これを基板として発光デバイスまたは電子デバイスを作製する際の放熱性を高める観点から、熱伝導率が、150W・m-1・K-1以上が好ましく、160W・m-1・K-1以上がより好ましい。AlN結晶は、Oの含有量を低減することにより、熱伝導率を高めることができる。熱伝導率は、レーザーフラッシュ法により測定する。
(ヤング率)
AlN結晶は、これを基板として発光デバイスまたは電子デバイスを作製する際の堅牢性を高める観点から、ヤング率が、150GPa以上が好ましく、170GPa以上がより好ましい。AlN結晶は、Oの含有量を低減することにより、ヤング率を高めることができる。ヤング率は、共振法により測定する。
<窒化アルミニウム結晶の製造方法>
図1および図2を参照して、本実施形態にかかるAlN(窒化アルミニウム)結晶の製造方法は、AlN原料15および下地基板10を内部に配置するための坩堝23と、坩堝23を加熱するための加熱体25と、坩堝23および加熱体25を内部に配置するための反応容器21と、を備える製造装置20を準備する工程S10と、坩堝23内にAlN原料15および下地基板10を配置する工程S20と、AlN原料15を昇華させて下地基板10上にAlN結晶11を成長させる工程S30と、を備え、坩堝23はTa2CおよびTa5Si3の少なくともいずれかにより被覆されており、加熱体25および反応容器21はSi(シリコン)およびC(炭素)を含有しない。本実施形態の窒化アルミニウム結晶の製造方法は、SiおよびC含有量が少なく結晶品質が高い窒化アルミニウム結晶を安定して再現性よく製造できる。
(製造装置を準備する工程)
製造装置を準備する工程S10において、AlN原料15および下地基板10を内部に配置するための坩堝23と、坩堝23を加熱するための加熱体25と、坩堝23および加熱体25を内部に配置するための反応容器21と、を備える製造装置20を準備する。
坩堝23は、結晶品質の高いAlN結晶を安定して成長させる観点およびAlN結晶の成長の際のOの取り込みを抑制してAlN結晶中のOの含有量を低減する観点から、Ta2CおよびTa5Si3の少なくともいずれかにより被覆されている。かかるTa2C被覆層およびTa5Si3被覆層の厚さは、特に制限はないが、結晶品質の高いAlN結晶を安定して成長させる観点および成長させるAlN結晶中のOの含有量を低減する観点から、100μm以上1000μm以下が好ましく、200μm以上800μm以下がより好ましい。ここで、被覆層を形成する材料がTa2CおよびTa5Si3のいずれであるかは、X線回折法により同定する。また、被覆層の厚さは、X線反射率法により測定する。
坩堝23の表面を被覆するTa2C被覆層の形成方法は、特に制限はなく、たとえば、Ta製またはTa合金製の坩堝に炭素(C)源を導入して0.15Pa以上0.30Pa以下の真空雰囲気中で2050K以上2600K以下の雰囲気温度で熱処理する。ここで、炭素源としては、特に制限はなく、アモルファスカーボン、グラファイトなどが用いられる。このようにして、Ta製またはTa合金製の坩堝の表面上にTa2C被覆層およびTaC被覆層がこの順に形成される。次いで、最表面に位置するTaC被覆層を研削、研磨、および/またはエッチングなどにより除去することにより、Ta2C被覆層が最表面に現れる。
坩堝23の表面を被覆するTa5Si3被覆層の形成方法は、特に制限なく、たとえば、上記の方法によりTa製またはTa合金製の坩堝の表面上にTa2C被覆層およびTaC被覆層をこの順に形成する。次に、Ta2C被覆層およびTaC被覆層をこの順に形成された坩堝にケイ素(Si)源を導入して10Pa以下の真空雰囲気中で2275Kの雰囲気温度で熱処理する。ここで、ケイ素源としては、特に制限はなく、アモルファスシリコン、多結晶シリコン、単結晶シリコンなどが用いられる。これにより、TaC被覆層上にTa5Si3被覆層が形成されて、Ta5Si3被覆層が最表面に現れる。
なお、坩堝23は、排気口23cを有することが好ましい。坩堝23内部の不純物を排気口23cを通じて除去することができ、AlN結晶への不純物の混入を低減できる。
加熱体25および反応容器21は、結晶品質の高いAlN結晶を安定して成長させる観点から、Si(シリコン)およびC(炭素)を含有しない材料で形成されている。SiおよびCを含有しないとは、不可避不純物として含有されるものを除いて実質的にSiおよびCを含有しないことをいい、具体的には、SiおよびCのそれぞれの含有量が1×1017cm-3未満であることをいう。加熱体25および反応容器21中の不可避不純物として含まれるSiおよびCの含有量は、特に制限はないが、ダイナミックSIMSにより測定できる。
加熱体25を形成する材料としては、SiおよびCを含有しない材料としてW(タングステン)、Ta(タンタル)などが挙げられ、Cを含有する材料としてグラファイトなどが挙げられる。また、反応容器21を形成する材料としては、SiおよびCを含有しない材料としてステンレス鋼、アルミナ(Al23)、スピネル(MgAl24)などが挙げられ、Siを含有する材料として石英(SiO2)、ムライト(3Al23・2SiO2〜2Al23・SiO2)などが挙げられる。
反応容器21の端部には、反応容器21の坩堝23の外部にキャリアガスを流すためのキャリアガス導入口21aおよびキャリアガス排出口21bと、坩堝23の下面および上面の温度を測定するための放射温度計29が設けられている。キャリアガスを流すことにより、反応容器21内の不純物を除去して、AlN結晶への不純物の混入を低減できる。キャリアガスとしてはN2(窒素)ガスが好適である。
製造装置20において、坩堝23を加熱するための加熱体25を加熱する方式は、特に制限はなく、高周波誘導加熱コイル(図示せず)を用いる誘導加熱方式、抵抗(図示せず)を用いる抵抗加熱方式などが好適に挙げられる。
(窒化アルミニウム原料および下地基板を配置する工程)
AlN(窒化アルミニウム)原料および下地基板を配置する工程S20において、坩堝23にAlN原料15および下地基板10を配置する。
下地基板10上に成長させるAlN結晶11に不純物が混入するのを低減する観点から、AlN原料15は、特に制限はないが、AlN多結晶であることが好ましく、同じ製造装置20を用いて別の坩堝内にAlN原料のみを配置して、2300K〜2600Kに昇温させることにより、AlN原料を昇華させて得られるAlN多結晶であることがより好ましい。AlN原料15の純度は、特に制限はないが、成長させるAlN結晶11への混入を抑制する観点から、99.99質量%以上が好ましく、99.999質量%以上がより好ましい。AlN原料15の純度は、ICP−MS(結合誘導プラズマ−質量分析法)により測定する。
下地基板10は、特に制限はないが、結晶品質の高いAlN結晶11を成長させる観点から、4H−SiC(炭化ケイ素)基板、6H−SiC基板、Al23基板上AlNテンプレートなどが好適に挙げられる。
AlN原料15および下地基板10の配置構造は、特に制限はなく、坩堝23内の下部にAlN原料15を配置し上部に下地基板10を配置するフェイスダウン構造(図2参照)であってもよく、坩堝内の下部に下地基板を配置し上部にAlN原料を配置するフェイスアップ構造(図示せず)であってもよい。
(窒化アルミニウム結晶を成長させる工程)
AlN(窒化アルミニウム)結晶を成長させる工程S30において、AlN原料15を昇華させて下地基板10上にAlN結晶を成長させる。AlN結晶を成長させる際の温度は、結晶品質の高いAlN結晶を効率よく成長させる観点から、坩堝23のAlN原料15側の温度を2200K〜2500Kとし、坩堝23の下地基板10側の温度をAlN原料15側の温度より1K〜100K低くすることが好ましい。また、AlN結晶への不純物の混入を低減する観点から、AlN結晶の成長の際、反応容器21内の坩堝23の外側にキャリアガスとしてN2ガスを、ガス分圧が101.3hPa〜1013hPa程度になるように流すことが好ましい。
(実施例I)
実施例Iにおいては、結晶品質の高いAlN結晶を安定して再現性よく成長させるために好適な坩堝表面の被覆材料を選定するために、以下の検討を行なった。
まず、2インチ径のウエハを収容できる円筒形状のTa坩堝を3つ準備した。1つめのTa坩堝に、炭素源としてグラファイトを導入して、0.20Paの真空雰囲気中で2300Kの雰囲気温度で熱処理することにより、Ta坩堝の表面を厚さ100μmのTa2C層および厚さ100μmのTaC層でこの順に被覆して、Ta坩堝の最表面が厚さ100μmのTaC層で被覆されたTaC坩堝を形成した(例I−1)。2つめのTa坩堝に、上記と同様にしてTa坩堝の表面が厚さ100μmのTa2C層および厚さ100μmのTaC層でこの順に被覆されたTaC坩堝を形成した後、厚さ100μmのTaC層を研削および研磨により除去して上記厚さ100μmのTa2C層を表面に露出させることにより、Ta坩堝の最表面が厚さ100μmのTa2C層で被覆されたTa2C坩堝を形成した(例I−2)。3つめのTa坩堝に、上記と同様にしてTa坩堝の表面が厚さ100μmのTa2C層および厚さ100μmのTaC層でこの順に被覆されたTaC坩堝を形成した後、ケイ素源としてアモルファスシリコンを導入して、1.0Paの真空雰囲気中で2275Kの雰囲気温度で熱処理することにより、Ta坩堝の最表面が厚さ100μmのTa5Si3層で被覆されたTa5Si3坩堝を形成した(例I−3)。
次に、例I−1〜例I−3で得られた各坩堝の内部において、低温部となる上部に下地基板である2インチ径の4H−SiC基板を配置し、高温部となる下部に純度が99.99質量%のAlN原料粉末を配置した。配置時(初期)の各成分のモル比は、AlN:SiC:α−Al23(AlN原料中の酸化成分):被覆材料=3:1:0.03:10とした。
上記下地基板および上記AlN原料粉末を配置した各坩堝およびW(タングステン)製の加熱体をそれぞれTaC製の反応容器内に配置し、反応容器内にキャリアガスとしてN2ガスを導入して雰囲気圧力を90kPaに保持して、2500Kまで昇温して20時間保持することにより、下地基板上にAlN結晶を成長させた。
その後、被覆材を含む坩堝、残存したAlN原料粉末、下地基板、および成長させたAlN結晶をボールミルで粉砕した。得られた粉末の各成分の種類およびモル分率をXRD(X線回折)により同定および算出した。結果を表1にまとめた。
Figure 2018131367
表1を参照して、例I−1においては、3C−SiCが生成していた。このことから、表面がTaCで被覆されたTaC坩堝では、AlN結晶(六方晶)と結晶系が異なる3C−SiC相(立方晶)が生成したため、AlN結晶の結晶品質が低下するものと考えられた。例I−2においては、TaCが生成していた。このことから、表面がTa2Cで被覆されたTa2C坩堝では、下地基板である4H−SiC基板の一部分解により発生したCを吸収して、Ta2Cの一部がTaCとなったため、結晶品質の高いAlN結晶が安定して再現性よく成長させることができるものと考えられた。さらに、Ta2Cの一部がTaCになるときに発生するTaがAlN原料中の酸化物不純物(たとえばα−Al23など)を還元することにより低減することが期待された。例I−3においては、Ta2CおよびTaSi2が生成していた。このことから、表面がTa5Si3で被覆されたTa5Si3坩堝では、下地基板である4H−SiC基板の一部分解により発生したCを吸収して、Ta5Si3の一部がTa2Cとなったため、結晶品質の高いAlN結晶が安定して再現性よく成長させることができるものと考えられた。さらに、Ta5Si3の一部がTa2CまたはTaSi2になるときに発生するTaがAlN原料中の酸化物不純物(たとえばα−Al23など)を還元することにより低減することが期待された。上記の結果から、結晶品質の高いAlN結晶が安定して再現性よく成長させることができる坩堝の被覆材料は、Ta2CおよびTa5Si3であることが分かった。
(実施例II)
実施例IIおよび次の実施例IIIにおいては、結晶品質の高いAlN結晶を安定して再現性よく成長させるために好適な加熱材および反応容器の材料を選定するために、以下の検討を行なった。
2インチ径のウエハを収容できる円筒形状のTa坩堝を7つ準備した。これらのTa坩堝について、実施例Iの例I−2と同様にして、Ta坩堝の最表面が厚さ100μmのTa2C層で被覆されたTa2C坩堝を形成した。これらのTa2C坩堝について、表2に示す加熱方式、加熱体材料、および反応容器材料で構成される製造装置を用いて、以下の条件で繰り返し昇降温度耐性の評価を行なった(例II−1〜例II−7)。坩堝を、その高温部が2373Kになるまで2時間で昇温させ、10時間保持、室温(300K)になるまで2時間で降温させることを1回の昇降温として、繰り返し昇降温させた。繰り返し昇降温度耐性の評価は、坩堝の劣化(ひび割れおよび/または被覆材剥離)が発生するまでの昇降温回数を調べて、昇降温回数が10回未満であるものを低、昇降温回数が10回以上50回未満であるものを中、昇降温回数が50回以上であるものを高とした。結果を表2にまとめた。
Figure 2018131367
(実施例III)
2インチ径のウエハを収容できる円筒形状のTa坩堝を7つ準備した。これらのTa坩堝について、実施例I−3と同様にして、Ta坩堝の最表面が厚さ100μmのTa5Si3層で被覆されたTa53坩堝を形成した。これらのTa5Si3坩堝について、実施例IIと同様にして繰り返し昇降温度耐性の評価を行なった(例III−1〜例III−7)。結果を表3にまとめた。
Figure 2018131367
表2および表3を参照して、加熱体および反応容器がSiおよびCを含有しない製造装置を用いた例II−6、例II−7、例III−6および例III−7は、Ta2C坩堝およびTa5Si3坩堝の繰り返し昇降温度耐性が高かった。このことから、結晶品質の高いAlN結晶が安定して再現性よく成長させることができる加熱体および反応容器はSiおよびCを含有しないものであることが分かった。
(実施例IV)
表4に示すように、実施例Iにおいて用いたTa2C坩堝およびTaC坩堝、加熱材、および反応容器を用いて、AlN結晶を成長させた。まず、Ta2C坩堝(例IV−8ではTaC坩堝)に純度が99.95質量%のAlN原料粉末のみを配置した。かかるTa2C坩堝を配置した反応容器内にキャリアガスとしてN2ガスを導入して雰囲気圧力を90kPaに保持して、高温部を2500Kまで低温部を2300Kまで昇温して10時間保持することにより、Ta2C坩堝の低温部にAlN多結晶を析出させた。次に、上記のTa2C坩堝(例IV−8ではTaC坩堝)、加熱体および反応容器を配置した製造装置を用いて、反応容器内にキャリアガスとしてN2ガスを導入して雰囲気圧力を90kPaに保持して、高温部で2500Kまで低温部で2300Kまで昇温して20時間保持することにより、下地基板上にAlN結晶を成長させた(例IV−1〜例IV−8)。
得られたAlN結晶について、上述の方法で、X線回折のロッキングカーブ測定における(0002)面の最大回折ピークの半値幅、主表面の算術平均粗さRa、熱伝導率、およびヤング率を測定した(例IV−1〜例IV−8)。結果を表4にまとめた。
Figure 2018131367
表4を参照して、例IV−6および例IV−7に示すように、表面がTa2Cで被覆されたTa2C坩堝、SiおよびCを含有しない加熱材および反応容器を用いることにより、Siの含有量が1×1019cm-3未満、Cの含有量が1×1019cm-3未満、Taの含有量が1×1016cm-3以上である結晶品質が高いAlN結晶が得られた。
(実施例V)
表5に示すように、実施例Iにおいて用いたTa5Si3坩堝およびTaC坩堝、加熱材、および反応容器を用いて、実施例IVと同様にして、AlN結晶を成長させて、得られたAlN結晶のX線回折のロッキングカーブ測定における(0002)面の最大回折ピークの半値幅、主表面の算術平均粗さRa、熱伝導率、およびヤング率を測定した(例V−1〜例V−8)。結果を表5にまとめた。
Figure 2018131367
表5を参照して、例V−6および例V−7に示すように、表面がTa5Si3で被覆されたTa5Si3坩堝、SiおよびCを含有しない加熱材および反応容器を用いることにより、Siの含有量が1×1019cm-3未満、Cの含有量が1×1019cm-3未満、Taの含有量が1×1016cm-3以上である結晶品質が高いAlN結晶が得られた。
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した実施の形態および実施例ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味、および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
10 下地基板
11 AlN結晶
15 AlN原料
20 製造装置
21 反応容器
21a キャリアガス導入口
21b キャリアガス排出口
23 坩堝
23c 排気口
25 加熱体
29 放射温度計
S10 製造装置を準備する工程
S20 窒化アルミニウム原料および下地基板を配置する工程
S30 窒化アルミニウム結晶を成長させる工程

Claims (6)

  1. 不純物元素として、1×1019cm-3未満のシリコンと、1×1019cm-3未満の炭素と、1×1016cm-3以上のタンタルと、を含む窒化アルミニウム結晶。
  2. 前記不純物元素として、1×1017cm-3未満の酸素をさらに含む請求項1に記載の窒化アルミニウム結晶。
  3. X線回折のロッキングカーブ測定における(0002)面についての最大回折ピークの半値幅が100arcsec未満である請求項1または請求項2に記載の窒化アルミニウム結晶。
  4. 主表面の算術平均粗さRaが1nm未満である請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の窒化アルミニウム結晶。
  5. 不純物元素として、1×1019cm-3未満のシリコンと、1×1019cm-3未満の炭素と、1×1017cm-3未満の酸素と、1×1016cm-3以上のタンタルと、を含み、
    X線回折のロッキングカーブ測定における(0002)面についての最大回折ピークの半値幅が100arcsec未満であり、
    主表面の算術平均粗さRaが1nm未満である窒化アルミニウム結晶。
  6. 窒化アルミニウム原料および下地基板を内部に配置するための坩堝と、前記坩堝を加熱するための加熱体と、前記坩堝および前記加熱体を内部に配置するための反応容器と、を備える製造装置を準備する工程と、
    前記坩堝内に前記窒化アルミニウム原料および前記下地基板を配置する工程と、
    前記窒化アルミニウム原料を昇華させて前記下地基板上に窒化アルミニウム結晶を成長させる工程と、を備え、
    前記坩堝は、Ta2CおよびTa5Si3の少なくともいずれかにより被覆されており、
    前記加熱体および前記反応容器はシリコンおよび炭素を含有しない窒化アルミニウム結晶の製造方法。
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