JP2018129045A - タッチパネルペン用筆記性部材の選別方法、タッチパネルシステム、タッチパネルペン用筆記性部材、タッチパネル及び表示装置 - Google Patents

タッチパネルペン用筆記性部材の選別方法、タッチパネルシステム、タッチパネルペン用筆記性部材、タッチパネル及び表示装置 Download PDF

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Abstract

【課題】筆記性部材の製品設計、品質管理を効率良くできるタッチパネルペン用筆記性部材の選別方法を提供する。【解決手段】下記条件1−1及び条件1−2を満たすものをタッチパネルペン用筆記性部材として選別する。<条件1−1>タッチパネルペン用筆記性部材の表面に対してタッチパネルペンを60度の角度で接触させた状態で固定し、タッチパネルペンに垂直荷重100gfをかけながら、タッチパネルペン用筆記性部材を14mm/秒の速度で片道40mmの長さを移動させた際のタッチパネルペンにかかる移動方向の摩擦力を0.001秒間隔で測定し、0.001秒ごとの動摩擦力を算出する。動摩擦力の標準偏差を算出した際に、前記標準偏差が2.0gf以上15.0gf以下である。<条件1−2>動摩擦力の全測定時間において、動摩擦力が3.0gf以下である時間割合が15%以上90%以下である。【選択図】なし

Description

本発明は、タッチパネルペン用筆記性部材の選別方法、タッチパネルシステム、タッチパネルペン用筆記性部材、タッチパネル及び表示装置に関する。
近年、タッチパネルは多くの携帯情報端末に搭載されるようになったこともあり、流通量が増加している。タッチパネルの表面には、種々の目的のために表面保護シートが貼着される場合がある。
従来主流であった抵抗膜式タッチパネルは、指やペンで繰り返し打点するような操作を行うことから、表面保護シートには高度な耐擦傷性が求められていた。
一方、現在の主流である静電容量式タッチパネルの表面保護シートには、指で操作する際の滑り性が求められている。従来の抵抗膜式は、複数個所を同時に検知できないため、画面上で指を動かすことはなかったものの、静電容量式タッチパネルは、複数個所を同時に検知可能であり、画面上で指を動かす操作が多いためである。
また、抵抗膜式及び静電容量式に共通して、タッチパネル用の表面保護シートには、指で操作した際の指紋の付着を防止したり、付着した指紋を拭取りやすくする性能が求められている。
上記のようなタッチパネル用の表面保護シートとしては、例えば、特許文献1〜2が提案されている。
特開2015−114939号公報 特開2014−109712号公報
静電容量式タッチパネルは、静電容量の変化を計測して触れた箇所を認識することから、接触物には一定の導電性が必要である。このため、静電容量式タッチパネルの出現当初は、指での操作性のみが検討されており、タッチパネルペンにより文字や絵を描くなどの筆記性は検討されていなかった。抵抗膜式タッチパネルにおいても、タッチパネルペンを用いた際の操作は打点が主流であり、文字や絵を描く際の筆記性は重視されていなかった。
しかし、近年、静電容量式タッチパネルや電磁誘導型タッチパネルに入力可能なタッチパネルペンが提案され始めたこと、タッチパネルペンによる文字入力や描画に対応したアプリケーションが増加してきたことから、タッチパネル用の表面保護シートには、タッチパネルペンでの良好な筆記感が求められている。
しかしながら、従来提案された特許文献1〜2のタッチパネル用の表面保護シートは、タッチパネルペンでの筆記感について何ら検討していない。
また、一般的に人間が想起する筆記感は、「紙に鉛筆で筆記する際の筆記感」である。表面保護シートにタッチパネルペンで筆記する際の筆記感は、紙に鉛筆で筆記する際の筆記感が目標性能となり、さらには、紙に鉛筆で筆記する際の筆記感を越えることが期待される。しかし、特許文献1〜2等の従来のタッチパネル用の表面保護シートは、紙に鉛筆で筆記する際の筆記感を越える「高レベルの筆記感」について何ら検討していない。
本発明は、紙に鉛筆で筆記する際の筆記感を越える「高レベルの筆記感」を得ることができるタッチパネルペン用筆記性部材の選別方法、タッチパネルシステム、タッチパネルペン用筆記性部材、タッチパネル及び表示装置を提供することを課題とする。
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、タッチパネルペンで操作する際のごく短い周期の動摩擦力が高レベルな筆記感に大きな影響を与えることを見出し、上記課題を解決するに至った。
本発明は、以下[1]〜[5]のタッチパネルペン用筆記性部材の選別方法、タッチパネルシステム、タッチパネルペン用筆記性部材、タッチパネル及び表示装置を提供する。
[1]下記条件1−1及び条件1−2を満たすものをタッチパネルペン用筆記性部材として選別する、タッチパネルペン用筆記性部材の選別方法。
<条件1−1>
タッチパネルペン用筆記性部材の表面に対してタッチパネルペンを60度の角度で接触させた状態で固定し、前記タッチパネルペンに垂直荷重100gfをかけながら、前記タッチパネルペン用筆記性部材を14mm/秒の速度で片道40mmの長さを移動させた際の前記タッチパネルペンにかかる前記移動方向の摩擦力を0.001秒間隔で測定し、0.001秒ごとの動摩擦力を算出する。前記動摩擦力の標準偏差を算出した際に、前記標準偏差が2.0gf以上15.0gf以下。
<条件1−2>
動摩擦力の全測定時間において、動摩擦力が3.0gf以下である時間割合が15%以上90%以下。
[2]表面にタッチパネルペン用筆記性部材を有するタッチパネルと、タッチパネルペンとからなるタッチパネルシステムであって、上記条件1−1及び条件1−2を満たすタッチパネルシステム。
[3]上記条件1−1及び条件1−2を満たす表面を有するタッチパネルペン用筆記性部材。
[4]表面に筆記性部材を有するタッチパネルであって、前記筆記性部材として、上記[3]に記載のタッチパネルペン用筆記性部材の上記条件1−1及び条件1−2を満たす側の面がタッチパネルの表面を向くように配置してなるタッチパネル。
[5]表示素子上にタッチパネルを有する表示装置であって、前記タッチパネルが上記[4]に記載のタッチパネルである、タッチパネル付きの表示装置。
本発明のタッチパネルペン用筆記性部材の選別方法は、紙に鉛筆で筆記する際の筆記感を越える「高レベルの筆記感」が得られる筆記性部材を選別することができ、筆記性部材の製品設計、品質管理を効率よくすることができる。また、本発明のタッチパネルシステム、タッチパネルペン用筆記性部材、タッチパネル及び表示装置は、高レベルな筆記感を付与することができる。
本発明のタッチパネルペン用筆記性部材の一実施形態を示す断面図である。 本発明のタッチパネルペン用筆記性部材の他の実施形態を示す断面図である。 紙に鉛筆で筆記した際の20m秒ごとの摩擦力の変化の一例を示す図である。 紙に鉛筆で筆記した際の1m秒ごとの摩擦力の変化の一例を示す図である。 摩擦力の測定方法を説明する概略図である。 タッチパネルペンの直径Dの算出方法を説明する図である。 平均傾斜角θaの算出方法を説明する図である。 本発明のタッチパネルの一実施形態を示す断面図である。 本発明のタッチパネルの他の実施形態を示す断面図である。
以下、本発明のタッチパネルペン用筆記性部材の選別方法、タッチパネルシステム、タッチパネルペン用筆記性部材、タッチパネル及び表示装置の実施の形態を説明する。
[タッチパネルペン用筆記性部材の選別方法]
本発明のタッチパネルペン用筆記性部材の選別方法は、下記条件1−1及び条件1−2を満たすものをタッチパネルペン用筆記性部材として選別するものである。
<条件1−1>
タッチパネルペン用筆記性部材の表面に対してタッチパネルペンを60度の角度で接触させた状態で固定し、前記タッチパネルペンに垂直荷重100gfをかけながら、前記タッチパネルペン用筆記性部材を14mm/秒の速度で片道40mmの長さを移動させた際の前記タッチパネルペンにかかる前記移動方向の摩擦力を0.001秒間隔で測定し、0.001秒ごとの動摩擦力を算出する。前記動摩擦力の標準偏差を算出した際に、前記標準偏差が2.0gf以上15.0gf以下。
<条件1−2>
動摩擦力の全測定時間において、動摩擦力が3.0gf以下である時間割合が15%以上90%以下。
なお、60度とは、タッチパネルペン用筆記性部材の表面と平行な方向を0度として、表面に対して60度傾いていることを意味する。
図1及び図2は、本発明のタッチパネルペン用筆記性部材10の一実施形態を示す断面図である。図1及び図2のタッチパネルペン用筆記性部材10は、基材1の一方の面に樹脂層2を有している。
本発明のタッチパネルペン用筆記性部材は、一方の表面が条件1−1及び条件1−2を満たしていてもよいし、両方の表面が条件1−1を満たしていてもよい。
以下、タッチパネルペン用筆記性部材のことを「筆記性部材」、条件1−1及び条件1−2を満たす表面のことを「筆記面」と称する場合がある。
<筆記面>
本発明のタッチパネルペン用筆記性部材の選別方法は、上記条件1−1及び条件1−2を満たす表面を有するものをタッチパネルペン用筆記性部材として選別するものである。以下、条件1−1及び条件1−2の設計の技術思想について説明する。
まず、条件1−1の設計の技術思想について説明する。
条件1−1は、動摩擦力に関するパラメータである。動摩擦力が小さい場合、筆記時に滑ったような感触となり、高レベルな筆記感を得ることができない。つまり、高レベルの筆記感を得るためには、所定のレベルの動摩擦力が重要になると考えられる。
本発明者らは、筆記感と動摩擦力との関係についてさらに検討した結果、所定のレベルの動摩擦力があったとしても、時間ごとの動摩擦力の変化がない場合、人間は滑っているような感覚を受けることを見出した。そして、本発明者らはさらに検討した結果、人間は、驚くほど短い間隔において摩擦の変化を感じることを見出した。
図3及び図4は紙に鉛筆で筆記した際の時間ごとの動摩擦力を示した一例であり、図3は動摩擦力を20m秒ごとに測定した図、図4は動摩擦力を1m秒ごとに測定した図である。図3及び図4の縦軸は動摩擦力、横軸は時間(m秒)を示す。また、図3及び図4の動摩擦力の測定条件は、荷重100gfであり、筆記速度14mm/sである。
図3と図4との比較から、測定間隔の違いにより、動摩擦力の振れ幅が大きく異なることが確認できる。この理由は、紙の表面の繊維のピッチが影響していると考えられる。具体的には、1m秒(0.001秒)間隔では、測定回ごとに鉛筆が紙の繊維を乗り越える回数のバラツキが大きい一方で、20m秒(0.02秒)間隔では、測定回ごとに鉛筆が紙の繊維を乗り越える回数のバラツキが小さくなるためと考えられる。言い換えると、1m秒間隔は平均化された値ではないためバラツキが大きい一方で、20m秒間隔は平均化された値のためバラツキが小さくなると考えられる。
本発明者らは、様々な筆記性部材を作製して同様の測定を行い、官能評価(人間が感じる筆記感)と対比したところ、驚くべきことに、人間は1m秒間隔という極めて短い間隔の摩擦力のバラツキを筆記感として認識できることを見出した。
条件1−1は、所定の条件で0.001秒間隔の摩擦力を測定し、測定結果から算出した動摩擦力の標準偏差(σF)が2.0gf以上15.0gf以下であることを要求している。
σFが2.0gf未満の場合、時間ごとの動摩擦力の変化が小さいため人間は滑ったような感触を受けてしまい、高レベルな筆記感を得ることができない。
また、σFが15.0gfを超える場合、タッチパネルペンの動きが重く感じられたり、ペン先が引っかかるように感じられ、高レベルな筆記感を得ることができない。さらに、σFが15.0gfを超える場合、タッチパネルペンのペン先の摩耗が激しくなる傾向にある。
条件1−1において、σFは、2.0gf以上10.0gf以下であることが好ましく、2.1gf以上7.0gf以下であることがより好ましく、2.2gf以上5.0gf以下であることがさらに好ましい。
次に、条件1−2の設計の技術思想について説明する。
上記条件1−1を満たすことにより、紙に鉛筆で筆記する際の筆記感を得やすくできる。しかし、紙に鉛筆で筆記する際の筆記感を越える「高レベルの筆記感」を得るためには、条件1−1のみでは不十分であった。
本発明者らは、筆記感についてさらに検討を行った。その結果、条件1−1を満たす場合でも、長時間筆記した際に手が疲れてしまう事例が散見されることを見出した。そして、本発明者らは、手が疲れやすい筆記性部材と、手が疲れにくい筆記性部材とを対比したところ、両者の時間ごとの動摩擦力の変動パターンに違いがあることを見出した。具体的には、手が疲れやすい筆記性部材の時間ごとの動摩擦力は、図4のように、動摩擦力が0gfに近い値まで下がる前に上昇に転じることを繰り返している一方で、手が疲れにくい筆記性部材の時間ごとの動摩擦力は、動摩擦力が0gfに近い値まで下がった後に上昇に転じることを繰り返していることを見出した。
以上の知見により、本発明者らは、動摩擦力が瞬間的に3.0gf以下まで下がることによって、長時間筆記した際にも手が疲れることがなく、紙に鉛筆で筆記する際の筆記感を越える「高レベルの筆記感」を得ることができることを見出した。
条件1−2は、動摩擦力の全測定時間において、動摩擦力が3.0gf以下である時間割合(T)が15%以上90%以下であることを要求している。
前記時間割合が15%未満であると、筆記中に摩擦を感じる時間割合が多くなり、長時間筆記した際に手が疲れやすくなってしまう。また、前記時間割合が90%超であると、筆記中に滑ったような感触を受けやすくなり、高レベルの筆記感を得ることができない。
条件1−2において、動摩擦力が3.0gf以下である時間割合は、20%以上85%以下であることが好ましく、30%以上80%以下であることがより好ましく、50%以上75%以下であることがさらに好ましい。
本発明の筆記性部材の選別方法は、下記条件1−3を満たすものを選別することが好ましい。条件1−3を満たすことにより、筆記感をより良好にしやすくできるとともに、ペン先の摩耗を抑制しやすくできる。
<条件1−3>
動摩擦力の平均が2.2gf以上20.0gf以下。
動摩擦力の平均(F)は、2.3gf以上10.0gf以下であることがより好ましく、2.5gf以上7.5gf以下であることがさらに好ましい。
本発明の筆記性部材の選別方法は、下記条件1−4を満たすものを選別することが好ましい。条件1−3を満たすことにより、筆記感をより良好にしやすくできる。
<条件1−4>
動摩擦力の最大値が35.0gf以下。
動摩擦力の最大値(Fkmax)は、25.0gf以下であることがより好ましく、20.0gf以下であることがさらに好ましい。
本発明において、前記σF、前記時間割合、F、Fkmax及びその他の摩擦に関するパラメータは、15個の筆記性部材のサンプルから得られた値の平均値とする。
図5は、摩擦力の測定方法を説明する概略図である。
図5では、タッチパネルペン200は筆記性部材10に接触した状態で保持具84によって固定されている。また、保持具84の上部には重り83を乗せるための土台85が付属されている。土台85上には重り83が乗せられており、該重りによってタッチパネルペンに垂直荷重がかけられている。筆記性部材10は可動台82上に固定されている。
摩擦力の測定時には、タッチパネルペンが上記のように固定された状態で、筆記性部材10が固定された可動台82を、筆記性部材とタッチパネルペンとの成す角の鋭角方向側(図5の右側)に所定の速度で移動する。この際、タッチパネルペン200には、可動台82の移動方向に動摩擦力が生じ、各時間の動摩擦力を算出できる。
図5に示す測定が可能な装置としては、新東科学社製の商品名HEIDON−18L、HEIDON−14DRが挙げられる。
なお、本発明において、F、σF等の摩擦力に関するパラメータは、下記(A)〜(D)のように測定することが好ましい。
(A)0点補正
タッチパネルペン用筆記性部材の表面に対してタッチパネルペンを60度の角度で接触させた状態で固定し、タッチパネルペンに垂直荷重100gfをかける。この状態のまま(筆記性部材は動かさない)、100m秒静置し、タッチパネルペンの鋭角方向に生じた摩擦力を0.001秒間隔で測定する。計測時間1m秒〜100m秒の間の摩擦力の最大値を、摩擦力の全計測値(1m秒の摩擦力〜測定終了の摩擦力までの全ての摩擦力の測定値)から引いた値を各時間の摩擦力として、0点補正する。後述の(C)〜(D)は0点補正した摩擦力に基づいて算出している。
(B)実測時間
0点補正する前の計測時間1m秒〜100m秒の摩擦力の標準偏差の3倍を「閾値」とする。上記(A)の100m秒静置の後、さらに500m秒静置した後に、筆記性部材を固定した可動台を14mm/秒の速度で、筆記性部材とタッチパネルペンとの成す角の鋭角方向側に移動させ、タッチパネルペンの鋭角方向の摩擦力を0.001秒間隔で測定する。筆記性部材の移動開始後に閾値を最初に超えた時間を「実測開始」の時間とする。
(C)最大摩擦力Fmax
実測開始から1500m秒以内の最大摩擦力から最大摩擦力Fmaxを算出する。
(D)動摩擦力
最大摩擦力Fmaxが発生した時間を第1ピーク時間とする。
実測を開始した時間から、筆記性部材の40mmの長さの移動が完了する時間までの摩擦力の平均を暫定平均摩擦力とする。第1ピーク時間から30m秒経過後に、[暫定平均摩擦力+(最大摩擦力×0.1)]を超える摩擦力が最初に発生した時間を第2ピーク時間とする。
第2ピーク時間から500m秒経過した時間を動摩擦力の測定開始時間、筆記性部材の40mmの長さの移動が完了する時間を動摩擦力の測定終了時間として、各時間の動摩擦力を測定し、動摩擦力の平均(F)、動摩擦力の最大値(Fkmax)、動摩擦力の標準偏差(σF)、動摩擦力が1.0gf以下である時間割合(T)を算出できる。
なお、筆記性部材の表面及びタッチパネルペンのペン先に油脂(例えば、人間の指から筆記性部材の表面に転写した指紋成分)が付着していると、摩擦力に影響を与える可能性がある。このため、摩擦力の測定は、筆記性部材の表面及びタッチパネルペンのペン先に油脂が付着しないようにして実施することが好ましい。また、筆記性部材の表面及びタッチパネルペンのペン先に油脂が付着した場合には、筆記性部材の表面及びタッチパネルペンのペン先の形状、物性に影響を与えない範囲で脱脂処理を行った後に摩擦力を測定することが好ましい。
条件1−1及び条件1−2、並びにその他の条件の判定に用いるタッチパネルペンは特に限定されず、市販のタッチパネルペンの中から適宜選択できる。
なお、タッチパネルペンの先端領域の材料が硬すぎる場合、筆記時の圧力によって筆記性部材が変形し、より広い範囲のペン先が筆記性部材の凸部に接触しやすくなる。その為、ペンの移動に際して、筆記性部材の変形エネルギー及び、接触する凸部の数の増加により、ペン先に摩擦力が生じる時間割合が増加し、上記条件1−2を満たしにくくなる。一方、タッチパネルペンの先端領域の材料が柔らかすぎる場合、筆記性部材の凸部がペン先に潜りこみ、ペン先の摩耗を誘発し、摩耗寿命が短くなるとともに、ペン先が筆記性部材の凹部に接触し、ペン先に摩擦力が生じる時間割合を増加させ条件1−2を満たせなくなる。
また、タッチパネルペンの先端領域の材料が硬すぎる場合又は柔らかすぎる場合、筆記時にペン先にかかる力と、ペン先が筆記性部材の表面凹凸から離れる際にペン先にかかる力とが大きく異なり、意図しない筆記を誘発する。何よりもこれら一連の現象によりペンの摩擦力が大きく変動し、安定した筆記感とは成り得ない。
このため、タッチパネルペンは、「(A)タッチパネルペンの先端領域を構成する素材の主成分を所定の硬さとする」、あるいは「(B)タッチパネルペンの先端領域を、硬さを付与する領域(i)と、硬さを抑制する領域(ii)とが混在した構成とする」ことが好ましい。
先端領域とは、タッチパネルペンのペン先から1.5mm以内の範囲をいうものとする。
(A)の所定の硬さの素材は、ヤング率が、0.5〜5.0GPaであることが好ましく、0.5〜2.0GPaであることがより好ましく、0.5〜1.0GPaであることがさらに好ましい。また、先端領域を構成する全体積中に、所定の硬さの素材を80体積%以上含むことが好ましく、90体積%以上含むことがより好ましい。
(B)の硬さを付与する領域(i)と、硬さを抑制する領域(ii)とが混在した構成としては、多孔質の構成(空気孔が硬さを抑制する領域(ii)となる)、硬い素材と柔らかい素材とが混在している構成が挙げられる。混在の仕方は、規則的であってもよいし、ランダムであってもよい。
硬さを付与する領域(ii)の素材のヤング率は1.0GPa以上であることが好ましく、1.5GPa以上であることがより好ましい。なお、筆記性部材の摩耗を抑制する観点からは、硬さを付与する領域(ii)の素材のヤング率は5.0GPa以下であることが好ましく、4.0GPa以下であることがより好ましく、3.0GPa以下であることがさらに好ましい。
領域(i)と領域(ii)との体積比は、2:98〜30:70であることが好ましく、5:95〜25:75であることがより好ましく、10:90〜20:80であることがさらに好ましい。
また、タッチパネルペンのペン先の表面形状も条件1−1及び条件1−2に影響を与える。具体的には、タッチパネルペンのペン先の表面形状が粗い場合、筆記性部材の凸部に対してタッチパネルペンのペン先が接触する頻度が減少し、σFが小さくなる傾向があるとともに、時間割合(T)が大きくなる傾向がある。一方、タッチパネルペンのペン先の表面形状が平滑な場合、筆記性部材の凸部に対してタッチパネルペンのペン先が接触する頻度が増加し、σFが大きくなる傾向があるとともに、時間割合(T)が小さくなる傾向がある。
ペン先の粗さの度合いは、例えば、下記(1)〜(4)のように測定できる。下記で算出したσΔhが大きいほど、ペン先の形状が粗いとみなすことができる。
(1)ペン先の表面形状を、急速硬化型シリコンゴム(丸本ストルアス社製、商品名:レプリセット)に転写する。
(2)ペン先の表面形状を転写したシリコンゴム面をデジタルマイクロスコープで撮像する。 デジタルマイクロスコープとしては、例えば、キーエンス社の商品名VHX-5000等を用いることができる。
(3)撮像したシリコンゴム面の輪郭をペン先の表面の断面曲線と擬制し、該断面曲線からペン先の頂点を中心とした幅100μmの区間の断面曲線を抜き取る。
(4)幅100μmの断面曲線の高さデータを1μmごとに算出し、100個の高さデータを得る。n番目の高さデータをhとした場合の、「|h−((hn−1+hn+1)/2)|」で表される高さを、各高さデータの前後からのズレ(Δh)とする。98個のΔhの標準偏差(σΔh)を算出する。
また、条件1−1及び条件1−2等の判定に用いるタッチパネルペンは、ペン先の直径が0.3〜2.5mmであることが好ましく、0.5〜2.0mmであることがより好ましく、0.7〜1.7mmであることがさらに好ましい。ペン先の直径が小さいと、σFが大きくなる傾向があるとともに、時間割合(T)が小さくなる傾向がある。ペン先の直径が大きいと、σFが小さくなる傾向があるとともに、時間割合(T)が小さくなる傾向がある。
ペン先の直径Dは、ペン軸に対して垂直方向側からタッチパネルペンを撮像した写真を基準として算出する。図6は、ペン軸に対して垂直方向側からタッチパネルペンを撮像した際のタッチパネルペンの外形を点線で表示したものである。図6(a)に示すように、該写真に対して、該写真の頂点を通り、かつ該写真からはみ出ない円を重ね合わせた際に、最大となる円の直径をペン先の直径Dとする。ただし、図6(b)に示すように、該写真が斜面を有し、かつ該斜面のペン軸に対する角度が40〜90度であれば、該斜面をはみ出して該円を重ね合わせてもよい。
また、本発明の筆記性部材の選別方法は、下記条件2−1を満たすものをタッチパネルペン用筆記性部材として選別することが好ましい。
<条件2−1>
ヘイズが25.0%以上
ヘイズを25.0%以上とすることにより、ギラツキ(映像光に微細な輝度のばらつきが見える現象)を抑制しやすくできる。
ギラツキ抑制の観点から、ヘイズは35.0%以上であることがより好ましく、45.0%以上であることがさらに好ましい。また、表示素子の解像性の低下の抑制の観点から、ヘイズは90.0%以下であることが好ましく、70.0%以下であることがより好ましく、67.0%以下であることがさらに好ましく、60.0%以下であることがよりさらに好ましい。
ヘイズ及び後述の全光線透過率を測定する際は、筆記性部材の筆記面(上記条件1−1及び条件1−2を満たす面)とは反対側の表面から光を入射するものとする。筆記性部材の両面が筆記面の場合、光入射面はどちらの面であってもよい。なお、ヘイズ及び全光線透過率は、15個の筆記性部材のサンプルから得られた値の平均値とする。
また、本発明の筆記性部材の選別方法は、下記条件2−2を満たすものをタッチパネルペン用筆記性部材として選別することが好ましい。
<条件2−2>
JIS K7361−1:1997の全光線透過率が87.0%以上
全光線透過率を87.0%以上とすることにより、表示素子の輝度の低下を抑制できる。
全光線透過率は88.0%以上であることがより好ましく、89.0%以上であることがさらに好ましい。なお、全光線透過率が高すぎると、条件1−1及び条件1−2等を満たしにくい傾向がある。このため、全光線透過率は92.0%以下であることが好ましく、91.5%以下であることがより好ましく、91.0%以下であることがさらに好ましい。
なお、本発明のタッチパネルペン用筆記性部材の選別方法を応用すれば、任意の筆記性部材に適したタッチパネルペンを選定することもできる。
[タッチパネルペン用筆記性部材]
本発明のタッチパネル用筆記性部材は、下記条件1−1及び条件1−2を満たす表面を有するものである。
<条件1−1>
タッチパネルペン用筆記性部材の表面に対してタッチパネルペンを60度の角度で接触させた状態で固定し、前記タッチパネルペンに垂直荷重100gfをかけながら、前記タッチパネルペン用筆記性部材を14mm/秒の速度で片道40mmの長さを移動させた際の前記タッチパネルペンにかかる前記移動方向の摩擦力を0.001秒間隔で測定し、0.001秒ごとの動摩擦力を算出する。前記動摩擦力の標準偏差を算出した際に、前記標準偏差が3.0gf以上11.0gf以下。
<条件1−2>
動摩擦力の全測定時間において、動摩擦力が3.0gf以下である時間割合が15%以上90%以下。
本発明の筆記性部材は、筆記面に対してタッチパネルペンを60度以外の角度(例えば30〜75度の範囲の何れかの角度)で接触させた状態で固定した際にも、条件1−1及び条件1−2等を満たすことが好ましい。また、条件1−1及び条件1−2等は、移動速度を14mm/秒以外の速度(例えば0.1〜100mm/秒の範囲の何れかの速度)とした際にも、上記範囲であることが好ましい。
本発明の筆記性部材は、さらに下記条件1−3を満たすことが好ましい。条件1−3を満たすことにより、筆記感をより良好にしやすくできるとともに、ペン先の摩耗を抑制しやすくできる。
<条件1−3>
動摩擦力の平均が2.2gf以上20.0gf以下。
本発明の筆記性部材は、さらに下記条件1−4を満たすことが好ましい。条件1−4を満たすことにより、筆記感をより良好にしやすくできる。
<条件1−4>
動摩擦力の最大値が35.0gf以下。
本発明の筆記性部材の条件1−1〜1−4の好適な範囲は、上述したタッチパネルペン用筆記性部材の選別方法の条件1−1〜1−4の好適な範囲と同様である。
また、本発明の筆記性部材は、条件1−1及び条件1−2等を満たしやすくするため、ペンの先端領域の組成が、上記(A)又は(B)であるタッチパネルペン用の筆記性部材として用いることが好ましい。さらに、本発明の筆記性部材は、ペン先の直径が上述した範囲のタッチパネルペン用の筆記性部材として用いることが好ましい。
また、本発明の筆記性部材は、下記条件2−1を満たすことが好ましい。
<条件2−1>
筆記性部材のJIS K7136:2000のヘイズが25.0%以上
また、本発明の筆記性部材は、下記条件2−2を満たすことが好ましい。
<条件2−2>
JIS K7361−1:1997の全光線透過率が87.0%以上
本発明の筆記性部材の条件2−1及び2−2の好適な範囲は、上述したタッチパネルペン用筆記性部材の選別方法の条件2−1及び2−2の好適な範囲と同様である。
<筆記性部材全体の構成>
本発明のタッチパネルペン用筆記性部材は、少なくとも一方の表面が条件1−1及び条件1−2を満たしていれば、その構成は特に限定されない。
例えば、本発明のタッチパネルペン用筆記性部材10の構成としては、図1及び図2のように、基材1上に樹脂層2を有し、該樹脂層2の一方の表面が条件1−1及び条件1−2を満たすものが挙げられる。樹脂層2は、図2のように、第一樹脂層2a、第二樹脂層2bの多層構造であってもよい。
なお、図示しないが、本発明のタッチパネルペン用筆記性部材10の構成は、基材を有さずに樹脂層単層であってもよく、あるいは、基材及び樹脂層以外の他の層を有し、該他の層の表面が条件1−1及び条件1−2を満たしていてもよい。他の層としては、帯電防止層、防汚層等が挙げられる。
タッチパネルペン用筆記性部材は、枚葉状の形態でもよいし、長尺シートをロール状に巻き取ったロール状の形態であってもよい。また、枚葉の大きさは特に限定されないが、一般的には、大きさは対角で2〜500インチ程度である。ロール状の幅及び長さは特に限定されないが、一般的には、幅は500〜3000mm、長さは500〜5000m程度である。
また、枚葉の形状も特に限定されず、例えば、多角形(三角形、四角形、五角形等)や円形であってもよいし、ランダムな不定形であってもよい。
筆記面は、「エンボス、サンドブラスト、エッチング等の物理的又は化学的処理」、「型による成型」、「コーティング」等により形成することができる。これら方法の中では、表面形状の再現性の観点からは「型による成型」が好適であり、生産性及び多品種対応の観点からは「コーティング」が好適である。
筆記性部材が条件1−1及び条件1−2等を満たすためには、筆記性部材の筆記面が以下の物性(a)〜(e)を満たすことが好ましい。物性(a)〜(e)は、15個のサンプルを各1回ずつ測定した際の平均値とする。
なお、後述するRt、θa、λaを算出する際のカットオフ値は何れも0.8mmである。カットオフの値は、想定するペン先の直径が、好ましくは0.3〜2.5mm、より好ましくは0.5〜2.0mm、さらに好ましくは0.7〜1.7mmであることに鑑み、JISに規定されているカットオフ値の中から、前記直径のサイズを網羅するカットオフ値を選択したものである。
(a)筆記面のJIS B0601:2001の粗さ曲線の最大断面高さRtが2.5μm以上8.0μm以下。
(b)筆記面の平均傾斜角θaが2.0度以上10.0度以下。
(c)平均傾斜角θa及びJIS B0601:2001の算術平均粗さRaから、式[λa=2π×(Ra/tan(θa))]に基づき算出される平均波長λaが、10μm以上75μm以下。
(d)筆記面の粒子の面積比率が15.0%以上35.0%以下。
(e)前記λa(μm)と、筆記面の粒子密度(個/100μm平方)との商[λa(μm)÷粒子密度(個/100μm平方)]が、14以上1000以下。
上記物性(a)〜(e)は、筆記面の凹凸に極端に高い山や極端に低い谷が数多く存在せず、適度な大きさの凹凸が存在すること、及び、筆記面の凸部が適度に密集していることを意味している。筆記面が上記物性(a)〜(e)を満たすことにより、ごく短い周期(0.001秒)の動摩擦力の変化が適切となり、条件1−1を満たしやすくすることができる。また、上記物性(a)〜(e)を満たすことにより、条件1−3〜1−4を満たしやすくなる。
また、上記物性(a)〜(e)を満たすこと(筆記面の凹凸に極端に高い山や極端に低い谷が数多く存在せず、適度な大きさの凹凸が存在すること、及び、筆記面の凸部が適度に密集していること)により、ペン先が凹凸の山頂間を滑り摩擦が生じない瞬間を適度に発生させることが可能となり、条件1−2を満たしやすくできる。
また、上記物性(a)〜(e)を満たすこと(筆記面の凹凸に極端に高い山や極端に低い谷が数多く存在せず、適度な大きさの凹凸が存在すること、及び、筆記面の凸部が適度に密集していること)は、ギラツキの抑制につながる点で好ましい。
また、(a)のRtを8.0μm以下とすること、(b)のθaを10.0度以下とすること、(c)のλaを75μm以下とすること、(d)の面積比率を15.0%以上とすること、(e)の商を1000以下とすることは、タッチパネルペンのペン先の摩耗の抑制にもつながる点で好ましい。特に、(c)のλaを75μm以下とすること、(e)の商を1000以下とすることにより、タッチパネルペンのペン先の摩耗を大幅に抑制できる。
上記(a)のRtは、2.8μm以上5.5μm以下であることがより好ましく、3.0μm以上4.5μm以下であることがさらに好ましい。
上記(b)のθaは、2.1度以上6.0度以下であることがより好ましく、2.2度以上4.5度以下であることがより好ましい。
上記(c)のλaは、20μm以上50μm以下であることがより好ましく、24μm以上35μm以下であることがさらに好ましい。
上記(d)の面積比率は、18.0%以上32.0%以下であることがより好ましく、20.0%以上30.0%以下であることがさらに好ましい。
上記(e)の商は、16以上200以下であることがより好ましく、20以上50以下であることがさらに好ましい。
上記(b)の「平均傾斜角θa」は、小坂研究所社製の表面粗さ測定器(商品名:SE−3400)の取り扱い説明書(1995.07.20改訂)に定義されている値であり、図5に示すように、基準長さL内での高さ方向の変化量の総和(h+h+h+・・・+h)を基準長さLで割ったもののアークタンジェントθa=tan−1{(h+h+h+・・・+h)/L}で求めることができる。なお、本明細書では、基準長さを1500分割し、1500点の高さデータを得て、該1500点の高さデータを元に平均傾斜角θaを算出するものとする。
上記(d)の粒子の面積比率は、走査型電子顕微鏡(SEM)による筆記面の平面写真から、画像解析ソフトによってグレースケール化した画像を2値化し、粒子部分を選択することにより算出することができる。また、上記(e)を算出する元となる筆記面の粒子密度(個/100μm平方)は、前述のように2値化した画像の粒子部分が独立している領域の数をカウントすることにより算出できる。画像解析ソフトとしては、例えば、三谷商事株式会社製の商品名WinRoofが挙げられる。
また、本発明の筆記性部材は、筆記面の耐擦傷性を向上しつつ、タッチパネルペンの摩耗を抑制する観点から、筆記面のJIS K5600−5−4:1999の鉛筆硬度が2H以上9H以下であることが好ましく、5H以上7H以下であることがより好ましく、5H以上6H以下であることがさらに好ましい。
コーティングによる樹脂層の形成は、樹脂成分、粒子及び溶剤を含有してなる樹脂層形成塗布液を、グラビアコーティング、バーコーティング等の公知の塗布方法により基材上に塗布、乾燥、硬化することにより形成できる。コーティングにより形成した樹脂層が条件1−1及び条件1−2等を満たしやすくするためには、粒子の平均粒子径、粒子の含有量、及び樹脂層の厚み等を後述の範囲とすることが好ましい。
図2のように、樹脂層が2層以上から形成される場合は、少なくとも何れかの樹脂層にミクロンオーダーの粒子を含有していればよいが、条件1−1及び条件1−2等を満たしやすくする観点からは、下記(i)又は(ii)の構成とすることが好ましい。
(i)最表面の樹脂層がミクロンオーダーの粒子を含むように構成する。
(ii)下層の樹脂層にミクロンオーダーの粒子を含む場合、該樹脂層の上側の層の厚みを薄膜(0.3μm以下)とする。
また、(i)において、下層の樹脂層が樹脂層より柔らかい粒子を含まない構成とすることにより、筆記面の鉛筆硬度を向上しやすくできる。また、(ii)において、上層の樹脂層にナノオーダーの粒子を含有させた場合には、屈折率を制御して反射率を抑制することもできる。
樹脂層の粒子は、有機粒子及び無機粒子の何れも用いることができる。有機粒子としては、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリル−スチレン共重合体、メラミン樹脂、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ベンゾグアナミン−メラミン−ホルムアルデヒド縮合物、シリコーン、フッ素系樹脂及びポリエステル系樹脂等からなる粒子が挙げられる。無機粒子としては、シリカ、アルミナ、アンチモン、ジルコニア及びチタニア等からなる粒子が挙げられる。これら粒子の中でも、有機粒子は、粒子の凝集を抑制しやすく、条件1−1及び条件1−2等を満たしやすい点で好適である。
また、粒子は、タッチパネルペンのペン先の摩耗抑制の観点から、球形粒子であることが好ましい。
樹脂層中の粒子の平均粒子径は、樹脂層の厚みにより異なるため一概には言えないが、条件1−1及び条件1−2等を満たしやすくする観点から、ミクロンオーダーであることが好ましい。具体的には、粒子の平均粒子径は、1.0〜10.0μmが好ましく、2.0〜5.0μmであることがより好ましく、2.5〜3.5μmであることがさらに好ましい。粒子が凝集している場合、凝集粒子の平均粒子径が前記範囲を満たすことが好ましい。
粒子の平均粒子径は、以下の(y1)〜(y3)の作業により算出できる。
(y1)本発明の筆記性部材を光学顕微鏡にて透過観察画像を撮像する。倍率は500〜2000倍が好ましい。
(y2)観察画像から任意の10個の粒子を抽出し、個々の粒子の粒子径を算出する。粒子径は、粒子の断面を任意の平行な2本の直線で挟んだとき、該2本の直線間距離が最大となるような2本の直線の組み合わせにおける直線間距離として測定される。
(y3)同じサンプルの別画面の観察画像において同様の作業を5回行って、合計50個分の粒子径の数平均から得られる値を 樹脂層中の粒子の平均粒子径とする。
粒子は、粒子径分布が広いもの(単一粒子で粒子径分布が広いもの、あるいは、粒子径分布が異なる2種類以上の粒子を混合した混合粒子の粒子径分布が広いもの)であってもよいが、ギラツキを抑制する観点から、粒子径分布が狭い方が好ましい。具体的には、粒子の粒子径分布の変動係数は、25%以下であることが好ましく、20%以下であることがより好ましく、15%以下であることがさらに好ましい。
樹脂層中のミクロンオーダーの粒子の含有量は、条件1−1及び条件1−2等を満たしやすくする観点から、樹脂成分100質量部に対して、10〜30質量部であることが好ましく、12〜28質量部であることがより好ましく、15〜25質量部であることがさらに好ましい。
樹脂層の膜厚の好適な範囲は、樹脂層の実施形態によって若干異なる。例えば、ミクロンオーダーの粒子を含む樹脂層の厚みは、条件1−1及び条件1−2等を満たしやすくする観点、筆記面の鉛筆硬度を向上させる観点及びカールを抑制する観点から、2.0〜8.0μmが好ましく、2.2〜6.0μmがより好ましく、2.7〜4.0μmがさらに好ましい。
また、条件1−1及び条件1−2等を満たしやすくする観点から、[ミクロンオーダーの粒子の平均粒子径]/[ミクロンオーダーの粒子を含む樹脂層の膜厚]の比は、樹脂層の実施形態に応じて所定の範囲を満たすことが好ましい。具体的には、最表面の樹脂層がミクロンオーダーの粒子を含む場合、前記比は、0.7〜1.3であることが好ましく、0.8〜1.2であることがより好ましく、0.9〜1.1であることがさらに好ましい。また、下層の樹脂層にミクロンオーダーの粒子を含む場合、前記比は、1.0〜1.6であることが好ましく、1.0〜1.5であることがより好ましく、1.1〜1.4であることがさらに好ましい。
上記(i)の構成において、下層の樹脂層は粒子を含まないことが好ましく、その厚みは、筆記面の鉛筆硬度を向上させる観点及びカールを抑制する観点から、3.0〜15.0μmとすることが好ましく、6.0〜10.0μmとすることがより好ましい。
樹脂層の膜厚は、例えば、樹脂層の膜厚は、走査型透過電子顕微鏡(STEM)を用いて撮影した断面の画像から20箇所の厚みを測定し、20箇所の値の平均値から算出できる。STEMの加速電圧は10kv〜30kV、STEMの倍率は1000〜7000倍とすることが好ましい。
樹脂層の樹脂成分は、熱硬化性樹脂組成物又は電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物を含むことが好ましく、筆記面の鉛筆硬度を向上する観点から、電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物を含むことがより好ましく、その中でも紫外線硬化性樹脂組成物の硬化物を含むことがさらに好ましい。
熱硬化性樹脂組成物は、少なくとも熱硬化性樹脂を含む組成物であり、加熱により、硬化する樹脂組成物である。
熱硬化性樹脂としては、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、尿素メラミン樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂等が挙げられる。熱硬化性樹脂組成物には、これら硬化性樹脂に、必要に応じて硬化剤が添加される。
電離放射線硬化性樹脂組成物は、電離放射線硬化性官能基を有する化合物(以下、「電離放射線硬化性化合物」ともいう)を含む組成物である。電離放射線硬化性官能基としては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アリル基等のエチレン性不飽和結合基、及びエポキシ基、オキセタニル基等が挙げられる。電離放射線硬化性化合物としては、エチレン性不飽和結合基を有する化合物が好ましく、エチレン性不飽和結合基を2つ以上有する化合物がより好ましく、中でも、エチレン性不飽和結合基を2つ以上有する、多官能性(メタ)アクリレート系化合物が更に好ましい。多官能性(メタ)アクリレート系化合物としては、モノマー及びオリゴマーのいずれも用いることができる。
なお、電離放射線とは、電磁波又は荷電粒子線のうち、分子を重合あるいは架橋し得るエネルギー量子を有するものを意味し、通常、紫外線(UV)又は電子線(EB)が用いられるが、その他、X線、γ線などの電磁波、α線、イオン線などの荷電粒子線も使用可能である。
多官能性(メタ)アクリレート系化合物のうち、2官能(メタ)アクリレート系モノマーとしては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAテトラエトキシジアクリレート、ビスフェノールAテトラプロポキシジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート等が挙げられる。
3官能以上の(メタ)アクリレート系モノマーとしては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸変性トリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
また、上記(メタ)アクリレート系モノマーは、分子骨格の一部を変性しているものでもよく、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、カプロラクトン、イソシアヌル酸、アルキル、環状アルキル、芳香族、ビスフェノール等による変性がなされたものも使用することができる。
また、多官能性(メタ)アクリレート系オリゴマーとしては、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート等のアクリレート系重合体等が挙げられる。
ウレタン(メタ)アクリレートは、例えば、多価アルコール及び有機ジイソシアネートとヒドロキシ(メタ)アクリレートとの反応によって得られる。
また、好ましいエポキシ(メタ)アクリレートは、3官能以上の芳香族エポキシ樹脂、脂環族エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂等と(メタ)アクリル酸とを反応させて得られる(メタ)アクリレート、2官能以上の芳香族エポキシ樹脂、脂環族エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂等と多塩基酸と(メタ)アクリル酸とを反応させて得られる(メタ)アクリレート、及び2官能以上の芳香族エポキシ樹脂、脂環族エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂等とフェノール類と(メタ)アクリル酸とを反応させて得られる(メタ)アクリレートである。
上記電離放射線硬化性化合物は1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
電離放射線硬化性化合物が紫外線硬化性化合物である場合には、電離放射線硬化性組成物は、光重合開始剤や光重合促進剤等の添加剤を含むことが好ましい。
光重合開始剤としては、アセトフェノン、ベンゾフェノン、α−ヒドロキシアルキルフェノン、ミヒラーケトン、ベンゾイン、ベンジルメチルケタール、ベンゾイルベンゾエート、α−アシルオキシムエステル、チオキサンソン類等から選ばれる1種以上が挙げられる。
これら光重合開始剤は、融点が100℃以上であることが好ましい。光重合開始剤の融点を100℃以上とすることにより、筆記性部材の製造過程や、タッチパネルの透明導電膜の形成過程で、残留した光重合開始剤が昇華して、製造装置や透明導電膜の汚染を防止することができる。
また、光重合促進剤は、硬化時の空気による重合阻害を軽減させ硬化速度を速めることができるものであり、例えば、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステル、p−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル等から選ばれる1種以上が挙げられる。
樹脂層形成塗布液には、通常、粘度を調節したり、各成分を溶解または分散可能とするために溶剤を用いる。溶剤の種類によって、塗布、乾燥過程した後の樹脂層の表面状態が異なるため、溶剤の飽和蒸気圧、透明基材への溶剤の浸透性等を考慮して溶剤を選定することが好ましい。具体的には、溶剤は、例えば、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等)、エーテル類(ジオキサン、テトラヒドロフラン等)、脂肪族炭化水素類(ヘキサン等)、脂環式炭化水素類(シクロヘキサン等)、芳香族炭化水素類(トルエン、キシレン等)、ハロゲン化炭素類(ジクロロメタン、ジクロロエタン等)、エステル類(酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等)、アルコール類(ブタノール、シクロヘキサノール等)、セロソルブ類(メチルセロソルブ、エチルセロソルブ等)、セロソルブアセテート類、スルホキシド類(ジメチルスルホキシド等)、アミド類(ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等)等が例示でき、これらの混合物であってもよい。
溶剤の乾燥が遅すぎる場合、樹脂層のレベリング性が過度になることにより、条件1−1及び条件1−2等を満たしやすい表面形状を形成しづらくなる。したがって、溶剤としては、蒸発速度(n−酢酸ブチルの蒸発速度を100としたときの相対蒸発速度)が180以上である溶剤を、全溶剤中の60質量%以上含むことが好ましく、75質量%以上含むことがより好ましい。相対蒸発速度が180以上の溶剤としては、トルエンが挙げられる。トルエンの相対蒸発速度は195である。一方、相対蒸発速度が180未満の溶剤としては、メチルイソブチルケトン(MIBK)、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PMA)、イソプロピルアルコール(IPA)、シクロヘキサノン等が挙げられる。
また、表面形状を適度に滑らかにして、筆記性部材の表面形状を上述した範囲にしやすくする観点からは、樹脂層形成塗布液には、レベリング剤を含有させることが好ましい。レベリング剤は、フッ素系レベリング剤、シリコーン系レベリング剤、フッ素シリコーン共重合体系レベリング剤等が挙げられる。レベリング剤の添加量としては、樹脂層形成塗布液の全固形分に対して0.01〜0.50重量%が好ましく、0.10〜0.40重量%がより好ましく、0.20〜0.30質量%がさらに好ましい。
基材としては、プラスチックフィルムが好適である。
プラスチックフィルムは、ポリエステル、トリアセチルセルロース(TAC)、セルロースジアセテート、セルロースアセテートブチレート、ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテルスルフォン、ポリスルフォン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアセタール、ポリエーテルケトン、ポリメタクリル酸メチル、ポリカーボネート、ポリウレタン及び非晶質オレフィン(Cyclo−Olefin−Polymer:COP)等の樹脂から形成することができる。
これらプラスチックフィルムの中でも、機械的強度、寸法安定性及び上記物性(f)を満たしやすくする観点からは、延伸加工、特に二軸延伸加工されたポリエステルフィルムが好ましい。ポリエステルフィルムの中では、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートが好ましい。
基材の厚みは、5〜200μmであることが好ましく、10〜150μmであることがより好ましい。
[タッチパネル]
本発明のタッチパネルは、表面に筆記性部材を有するタッチパネルであって、前記筆記性部材として、本発明のタッチパネルペン用筆記性部材の条件1−1及び条件1−2を満たす側の面がタッチパネルの表面を向くように配置してなるものである。
タッチパネルとしては、抵抗膜式タッチパネル、静電容量式タッチパネル、インセルタッチパネル、光学式タッチパネル、超音波式タッチパネル及び電磁誘導式タッチパネル等が挙げられる。
抵抗膜式タッチパネル100は、図8に示すように、導電膜30を有する上下一対の透明基板20の導電膜30同士が対向するようにスペーサー40を介して配置されてなる基本構成に、図示しない回路が接続されてなるものである。抵抗膜式タッチパネルの場合、上部透明基板20として本発明の筆記性部材10を用い、該筆記性部材10の条件1−1及び条件1−2を満たす側の面がタッチパネル100の表面を向くようにして用いる。なお、上部透明基板20は、筆記性部材に別の基材を貼り合わせた構成であってもよい。
静電容量式タッチパネルは、表面型及び投影型等が挙げられ、投影型が多く用いられている。投影型の静電容量式タッチパネルは、X軸電極と、該X軸電極と直交するY軸電極とを絶縁体を介して配置した基本構成に、回路が接続されてなるものである。該基本構成をより具体的に説明すると、1枚の透明基板上の別々の面にX軸電極及びY軸電極を形成する態様、透明基板上にX軸電極、絶縁体層、Y軸電極をこの順で形成する態様、図9に示すように、透明基板20上にX軸電極50を形成し、別の透明基板20上にY軸電極60を形成し、接着剤層等の絶縁体層70を介して積層する態様等が挙げられる。また、これら基本態様に、さらに別の透明基板を積層する態様が挙げられる。
静電容量式タッチパネルの場合、表面側の透明基板20として本発明の筆記性部材10を用い、該筆記性部材10の条件1−1及び条件1−2を満たす側の面がタッチパネル100の表面を向くようにして用いる。なお、表面側の透明基板20は、筆記性部材に別の基材を貼り合わせた構成であってもよい。
電磁誘導式タッチパネルは、磁界を発生する専用ペンを用いるタッチパネルである。電磁誘導式タッチパネルは、ペンから生じる電磁エネルギーを検出するセンサー部を少なくとも有し、さらにセンサー部上に透明基板を有する。該透明基板は多層構成であってもよい。電磁誘導式タッチパネルの場合、センサー部上に位置する透明基板のうち、最表面の透明基板として、本発明の筆記性部材を用い、該筆記性部材の条件1−1及び条件1−2を満たす側の面がタッチパネルの表面を向くようにして用いる。
インセルタッチパネルは、2枚のガラス基板に液晶を挟んでなる液晶素子の内部に、抵抗膜式、静電容量式、光学式等のタッチパネル機能を組み込んだものである。
インセルタッチパネルの場合、表面側のガラス基板上に、本発明の筆記性部材の条件1−1及び条件1−2を満たす側の面がタッチパネルの表面を向くように配置して用いる。なお、インセルタッチパネルの表面側のガラス基板と、本発明の筆記性部材との間には、偏光板等の他の層を有していてもよい。
[タッチパネルシステム]
本発明のタッチパネルシステムは、表面にタッチパネルペン用筆記性部材を有するタッチパネルと、タッチパネルペンとからなるタッチパネルシステムであって、下記条件1−1及び条件1−2を満たすものである。
<条件1−1>
タッチパネルペン用筆記性部材の表面に対してタッチパネルペンを60度の角度で接触させた状態で固定し、前記タッチパネルペンに垂直荷重100gfをかけながら、前記タッチパネルペン用筆記性部材を14mm/秒の速度で片道40mmの長さを移動させた際の前記タッチパネルペンにかかる前記移動方向の摩擦力を0.001秒間隔で測定し、0.001秒ごとの動摩擦力を算出する。前記動摩擦力の標準偏差を算出した際に、前記標準偏差が2.0gf以上15.0gf以下。
<条件1−2>
動摩擦力の全測定時間において、動摩擦力が3.0gf以下である時間割合が15%以上90%以下。
本発明のタッチパネルシステムにおける、タッチパネル、タッチパネルペン用筆記性部材、及びタッチパネルペンの実施の形態は、例えば、上述の本発明のタッチパネルペン用筆記性部材の選別方法、タッチパネルペン用筆記性部材、及びタッチパネルにおいて示した実施の形態と同様のものが挙げられる。
本発明のタッチパネルシステムによれば、紙に鉛筆で筆記する際の筆記感を越える「高レベルの筆記感」を付与することができる。
[タッチパネル付きの表示装置]
本発明のタッチパネル付きの表示装置は、表示素子上にタッチパネルを有する表示装置であって、前記タッチパネルが本発明のタッチパネルであるものである。
表示素子としては、液晶表示素子、EL表示素子、プラズマ表示素子、電子ペーパー素子等が挙げられる。表示素子が液晶表示素子、EL表示素子、プラズマ表示素子、電子ペーパー素子の場合、これらの表示素子上に本発明のタッチパネルを載置する。
本発明のタッチパネル付きの表示装置は、紙に鉛筆で筆記する際の筆記感を越える「高レベルの筆記感」を付与することができる。
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、この例によってなんら限定されるものではない。なお、「部」は質量基準である。
1.測定及び評価
実験例で作製又は準備したタッチパネルペン用筆記性部材について、以下の測定及び評価を行った。
1−1.摩擦力
測定装置として新東科学社製の商品名「HEIDON−14DR」を用い、図5に示すように、タッチパネルペン用筆記性部材の樹脂層側の表面に、下記のタッチパネルペン1〜4を60度の角度で接触させ、保持具で固定した。保持具上部の土台に100gの重りを乗せ、タッチパネルペンに垂直荷重100gfがかかるようにした。荷重をかけたまま、筆記性部材を固定した可動台を、可動台とタッチパネルペンとの成す角の鋭角方向側(図5の右側)に14mm/秒の速度で移動させた。片道40mmの長さを移動した際の該ペンにかかる可動台の移動方向(ペンの鋭角方向)の摩擦力を測定した。サンプリング時間(測定間隔)は0.001秒とし、測定時の温度は23±5℃、相対湿度40〜65%とした。その他の解析条件等を以下に示す。計測された結果を元に、上述した(A)〜(D)の手順に従い、動摩擦力の標準偏差(σF)、動摩擦力の平均(F)、動摩擦力の最大値(Fkmax)、及び動摩擦力が3.0gf以下である時間割合(T)を算出した。結果を表1に示す。
<解析条件等>
・計測ソフト名:TriboSoft35(バージョン:Tribosoft3.59)
・モード:一定荷重測定
・荷重変換器容量:2000gf
・DASアンプルレンジ:50%
・垂直荷重:100g
・サンプリング容量:5500個
・単位系:CGS
・片道測定モード
・FEED SCALE 40mm
・POLARITY:OFF
・FILTER:PASS
・RANGE:50%FS
・ロードセルのキャリブレーション(ゼロとスパン値の入力):アナログダイヤル設定
<タッチパネルペン1>
・ソニー社製のデジタルペーパー(商品名:DPT−S1)のスタイラスペン用のフェルト替芯(DPTA−PTF1)を用いたペン
・先端領域の構成:ポリエステル系繊維(硬さを付与する領域(i))の集合体の中に空気孔(変形を促進する領域(ii))が混在した複合体
・領域(i)のヤング率:2GPa
・ペン先の直径:1.3mm
・ペン先の粗さの度合:σΔh=0.014μm
<タッチパネルペン2>
・マイクロソフト社製の商品名「SurfacePro3」に付属のタッチパネルペン
・先端領域の構成:ポリアセタール樹脂(POM)のバルク
・ペン先の組成(POM)のヤング率:1GPa超
・ペン先の直径:2.0mm
・ペン先の粗さの度合:σΔh=0.006μm
<タッチパネルペン3>
・アップル社製の商品名「Apple Pencil」に付属のタッチパネルペン
・先端領域の構成:ナイロン樹脂のバルク
・ペン先の組成(ナイロン樹脂)のヤング率:2GPa
・ペン先の直径:1.9mm
・ペン先の粗さの度合:σΔh=0.006μm
1−2.筆記感
タッチパネルペン用筆記性部材の樹脂層側の面と反対側の面を、東レ社製の光学透明粘着シート(厚み100μm)を介して、ガラス板に貼り合わせ、上記タッチパネルペン1〜3を用いて、筆記感を評価した。筆記感を評価する際のポイントは以下の2つに分けた。結果を表1に示す。
評価時の雰囲気は、温度は23℃±5℃、湿度40〜65%とした。なお、評価開始前に、各サンプルを23℃±5℃、湿度40〜65%の雰囲気に10分以上放置した。
<筆記時の感触>
筆記時の感触が良好であるものを2点、普通であるものを1点、良好でなかったものを0点として、20人が評価を行った。20人の平均点が1.8点以上のものをAA、1.6点以上1.8点未満のものをA、1.0以上1.6点未満のものをB、1.0点未満のものをCとした。
<手の疲れ>
3分間連続して筆記(瞬間的にも停止することなく筆記)した後の手の疲れを評価した。手に疲れを感じなかったものを2点、どちらとも言えないものを1点、手に疲れを感じたものを0点として、20人が評価を行った。20人の平均点が1.8点以上のものをAA、1.6点以上1.8点未満のものをA、1.0以上1.6点未満のものをB、1.0点未満のものをCとした。
1−3.表面形状の測定
実験例のタッチパネル用筆記性部材を10cm四方に切断した。切断箇所は、目視でゴミや傷などの異常点がない事を確認の上、ランダムな部位から選択した。切断した筆記性部材を東レ社製の光学透明粘着シート(屈折率:1.47、厚み100μm)を介して、縦10cm×横10cmの大きさの黒色板(クラレ社製、商品名:コモグラス 品番 :DFA502K、厚み2.0mm)を貼り合わせたサンプルをそれぞれ15個準備した。
表面粗さ測定器(型番:SE−3400/小坂研究所株式会社製)を用いて、計測ステージにサンプルが固定かつ密着した状態となるようにセットしたのち、下記の測定条件により、下記の測定項目について、各サンプルのタッチパネルペン用筆記性部材の樹脂層側の表面形状を測定した。そして、15個のサンプルの平均値を、各実験例のRt、θa及びλaとした。測定時の雰囲気は、温度は23℃±5℃、湿度40〜65%とした。また、測定開始前に、各サンプルを23℃±5℃、湿度40〜65%の雰囲気に10分以上放置した。結果を表2に示す。
<測定条件>
[表面粗さ検出部の触針]
小坂研究所社製の商品名SE2555N(先端曲率半径:2μm、頂角:90度、材質:ダイヤモンド)
[表面粗さ測定器の測定条件]
・評価長さ:カットオフ値λcの5倍
・予備長さ:カットオフ値λcの0.5倍
・触針の送り速さ:0.5mm/s
・縦倍率:2000倍
・スキッド:用いない(測定面に接触なし)
・カットオフフィルタ種類:ガウシャン
・レベリング:オールデータ
・サンプリングモード:c=1500
・不感帯レベル:10%
・tp/PC曲線:ノーマル
<測定項目>
・カットオフ値0.8mmのJIS B0601:2001の粗さ曲線の最大断面高さRt
・カットオフ値0.8mmの平均傾斜角θa
・カットオフ値0.8mmの平均波長λa
1−4.粒子の面積比率、粒子の密度
実験例のタッチパネル用筆記性部材を5cm四方に切断したサンプルをそれぞれ15個準備した。15個の部位は、目視でゴミや傷などの異常点がない事を確認の上、ランダムな部位から選択した。下記(1)、(2)の手順で、粒子の面積比率及び粒子の密度を算出し、15個のサンプルの平均値を、各実験例の粒子の面積比率及び粒子の密度とした。結果を表2に示す。
(1)SEMの平面写真の撮像
日立協和エンジニアリング株式会社製のデジタル走査型電子顕微鏡(型番:S−4800)を用いて、倍率50000倍(加速電圧30.0kV、エミッション電流10μA)にて、筆記性部材表面のSEM平面写真を撮像した。
(2)面積比率及び粒子密度の算出
SEM写真のデジタルデータから、画像解析ソフト(商品名:Win Roof、三谷商事株式会社製)を用いて画像の二値化を行い、粒子部分を選択して、粒子の面積比率(%)及び粒子密度(個/100μm平方)を算出した。結果を表2に示す。
1−5.ヘイズ、全光線透過率
ヘイズメーター(HM−150、村上色彩技術研究所製)を用いて、上記「1−4」で作製した各サンプルの、ヘイズ(JIS K−7136:2000)、及び全光線透過率(JIS K7361−1:1997)を測定した。そして、15個のサンプルの平均値を、各実験例のヘイズ及び全光線透過率とした。測定時の雰囲気は、温度は23℃±5℃、湿度40〜65%とした。また、測定開始前に、各サンプルを23℃±5℃、湿度40〜65%の雰囲気に10分以上放置した。光入射面は基材側とした。結果を表2に示す。
1−6.ペン先の摩耗
測定装置として新東科学社製の商品名「HEIDON−14DR」を用い、図5に示すように、タッチパネルペン用筆記性部材の樹脂層側の表面に、タッチパネルペン1〜3を60度の角度で接触させ、保持具で固定した。保持具上部の土台に200gの重りを乗せ、タッチパネルペンに垂直荷重200gfがかかるようにした。荷重をかけたまま、筆記性部材を固定した可動台を14mm/秒の速度で、片道40mmの長さを往復移動する動作を200回繰り返した。評価時の温度は23±5℃ 相対湿度は40〜65%とした。
評価基準は、(i)初期の動摩擦力に対して測定中の動摩擦力の変化が40%以下であること、(ii)タッチパネルペンのペン先の摩耗が目視で容易に確認できないこと、として、(i)及び(ii)を満たすものを「A」、(i)及び(ii)の何れかを満たさないものを「B」、(i)及び(ii)の何れも満たさないものを「C」とした。結果を表1に示す。
1−7.ギラツキ
実験例1〜4のタッチパネルペン用筆記性部材を、市販の超高精細液晶表示装置(シャープ製のスマートフォン、商品名:SH−03G、画素密度480ppi)上に載置して、ギラツキの状態を目視で評価した。ギラツキが目視で視認できないレベルであるものを2点、ギラツキが僅かに観察されるが気にならないものを1点、ギラツキがひどく観察されるものを0点」として、20人が評価を行った。20人の平均点が1.8点以上のものをA、1.6点以上1.8点未満のものをB、1.0以上1.6点未満のものをC、1.0点未満のものをDとした。結果を表2に示す。
2.タッチパネルペン用筆記性部材の作製及び準備
[実験例1]
基材としてポリエチレンテレフタレートフィルム(厚み100μm、東洋紡社製、商品名A4300)を用い、該基材上に、下記処方の第一樹脂層塗布液1を乾燥後の厚みが8μmとなるように塗布、乾燥、紫外線照射して、第一樹脂層を形成し、次いで、第一樹脂層上に、下記処方の第二樹脂層塗布液2を乾燥後の厚みが3μmとなるように塗布、乾燥、紫外線照射して、第二樹脂層を形成し、タッチパネルペン用筆記性部材を得た。
<第一樹脂層塗布液1>
・ペンタエリスリトールトリアクリレート 60部
・ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート 40部
・光重合開始剤 4部
(BASF社製、商品名:イルガキュア184)
・溶剤1(メチルイソブチルケトン) 90部
・溶剤2(メチルエチルケトン) 10部
<第二樹脂層塗布液2>
・アクリルモノマー 100部
・有機粒子 20部
(球状ポリスチレン粒子、平均粒子径3.0μm)
・光重合開始剤 5部
(BASF社製、イルガキュア184)
・フッソ系レベリング剤 0.3部
(DIC社製、メガファック RS-75)
・溶剤1(トルエン) 90部
・溶剤2(メチルイソブチルケトン) 10部
[実験例2]
基材として厚み100μmのPETフィルムを用い、該基材上に、下記処方の第一樹脂層塗布液3を乾燥後の厚みが4μmとなるように塗布、乾燥、紫外線照射して、第一樹脂層を形成した。次いで、第一樹脂層上に、下記処方の第二樹脂層塗布液4を乾燥後の厚みが200nmとなるように塗布、乾燥、紫外線照射して、第二樹脂層を形成し、タッチパネルペン用筆記性部材を得た。なお、第一樹脂層を形成する段階では第一樹脂層の電離放射線硬化性樹脂組成物は半硬化の状態とし、その後、第二樹脂層を形成する段階で、第一樹脂層及び第二樹脂層の電離放射線硬化性樹脂組成物を完全硬化させた。
<第一樹脂層塗布液3>
・ペンタエリスリトールトリアクリレート 60部
・ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート 40部
・有機粒子 2部
(球状ポリスチレン粒子、平均粒子径5.0μm)
・無機粒子 15部
(疎水化処理された不定形シリカ、平均粒子径4.0μm)
・光重合開始剤 3.5部
(BASF社製、イルガキュア184)
・フッソ系レベリング剤 0.1部
(DIC社製、メガファック RS-75)
・溶剤1(トルエン) 120部
・溶剤2(シクロヘキサノン) 50部
<第二樹脂層塗布液4>
・多官能アクリレート
(日本化薬社製、KAYARAD PET−30) 100部
・中空シリカ粒子 90部
(平均一次粒子径60nm)
・下記の防汚剤A 5部
・光重合開始剤 7部
(BASF社製、イルガキュア127)
・溶剤1(メチルイソブチルケトン) 7500部
・溶剤2 830部
(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)
[実験例3]
基材として厚み40μmのトリアセチルセルロース樹脂フィルムを用い、該基材上に、下記処方の樹脂層塗布液5を乾燥後の厚みが7μmとなるように塗布、乾燥、紫外線照射して、樹脂層を形成し、タッチパネルペン用筆記性部材を得た。
<樹脂層塗布液5>
・ペンタエリスリトールトリアクリレート 100部
(日本化薬社製、KAYARAD−PET−30)
・有機粒子 11部
(球状ポリスチレン、平均粒子径3.5μm)
・フュームドシリカ 7部
(平均一次粒子径10nm)
・光重合開始剤 3部
(BASF社製、イルガキュア184)
・シリコーン系レベリング剤 0.125部
(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製、TSF4460)
・溶剤1(トルエン) 65部
・溶剤2(アノン) 10部
・溶剤3(イソプロピルアルコール) 25部
[実験例4]
実験例4のタッチパネルペン用筆記性部材として、ポリエチレンテレフタレートフィルム上に粒子(粒子径約7〜13μm)を含有する樹脂層を有する市販のタッチパネルの表面フィルム(ソニー社製、商品名:Friction Sheet DPTA-OSF1)を準備した。
表1の結果から、条件1−1及び条件1−2を満たす筆記性部材は、筆記感を良好にできることが確認できる。このことは、条件1−1及び条件1−2を満たす筆記性部材を選択することは、高レベルの筆記感が得られる筆記性部材の選択につながることを示している。また、ペン1〜3は全て種類が異なるものであることから、表1の結果は、いかなるタッチパネルペンを用いた場合であっても、条件1−1及び条件1−2を満たす筆記性部材を選択することは、高レベルの筆記感が得られる筆記性部材の選択につながることを示している。
また、表1の結果から、条件1−1を満たす筆記性部材を選択することは、ペン先の摩耗を抑制できる傾向にあることが確認できる。さらに、表1及び表2の結果から、条件1−1を満たし、かつ、筆記性部材の諸物性(λa等)が明細書中の好適な範囲である場合には、ペン先の摩耗の抑制に極めて優れることが確認できる。
また、表2の結果から、λa、粒子の面積比率、λa÷粒子密度及びヘイズが明細書中の好適な範囲である筆記性部材(実験例1及び2の筆記性部材)は、ギラツキの抑制に極めて優れることが確認できる。
3.タッチパネルの作製
実験例1〜4のタッチパネルペン用筆記性部材の基材側の面に、厚み20nmのITOの導電性膜をスパッタリング法で形成し、上部電極板とした。次いで、厚み1mmの強化ガラス板の一方の面に、厚み約20nmのITOの導電性膜をスパッタリング法で形成し、下部電極板とした。次いで、下部電極板の導電性膜を有する面に、スペーサー用塗布液として電離放射線硬化型樹脂(Dot Cure TR5903:太陽インキ社)をスクリーン印刷法によりドット状に印刷した後、高圧水銀灯で紫外線を照射して、直径50μm、高さ8μmのスペーサーを1mmの間隔で配列させた。
次いで、上部電極板と下部電極板とを、導電性膜どうしを対向するように配置させ、厚み30μm、幅3mmの両面接着テープで縁を接着し、実験例1〜4の抵抗膜式タッチパネルを作製した。
実験例1〜4の抵抗膜式タッチパネルに上記タッチパネルペン1〜3で筆記したところ、各タッチパネルペンの筆記感の評価は、表1と同様であった。この結果は、タッチパネルと、タッチパネルペンとの組み合わせからなるタッチパネルシステムにおいて、条件1−1及び条件1−2を満たすタッチパネルシステムは、高レベルの筆記感を付与できることを示している。
4.表示装置の作製
実験例1〜4のタッチパネルペン用筆記性部材と、市販の超高精細液晶表示装置(シャープ製のスマートフォン、商品名:SH−03G、画素密度480ppi)とを、透明粘着剤を介して貼り合わせ、実験例1〜4の表示装置を作製した。なお、貼り合わせの際は、タッチパネルペン用筆記性部材の基材側の面が表示素子側を向くようにした。
実験例1〜4の表示装置に上記タッチパネルペン1〜3で筆記したところ、各タッチパネルペンの筆記感の評価は、表1と同様であった。
5.その他のタッチパネルペンと、その他の筆記性部材との組み合わせ
下記のタッチパネルペン4と、下記の実験例5の筆記性部材とを用いて、摩擦力を測定するとともに、筆記感を評価した。結果を表3に示す。
<タッチパネルペン4>
・東芝社製の商品名「Dynabook Tab S68」に付属のタッチパネルペン
・先端領域の構成:ポリエステル系繊維(硬さを付与する領域(i))の集合体の中に空気孔(変形を促進する領域(ii))が混在した複合体
・領域(i)のヤング率:3.0GPa
・領域(i)と領域(ii)との体積比率が約95:5
・ペン先の直径:1.4mm
・ペン先の粗さの度合:σΔh=0.009μm
[実験例5]
基材として、厚み40μmのトリアセチルセルロース樹脂フィルムを用い、該基材上に、下記処方の樹脂層塗布液6を乾燥後の厚みが3μmとなるように塗布、乾燥、紫外線照射して、樹脂層を形成し、タッチパネルペン用筆記シートを得た。
<樹脂層塗布液6>
・ペンタエリスリトールトリアクリレート 93部
(日本化薬社製、KAYARAD−PET−30)
・無機微粒子 5部
(富士シリシア化学社製、ゲル法不定形シリカ)
(疎水処理、平均粒子径(レーザー回折散乱法)4.1μm)
・光重合開始剤 5部
(BASF社製、イルガキュア184)
・シリコーン系レベリング剤 0.001部
(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製 TSF4460)
・溶剤1(メチルイソブチルケトン) 30部
・溶剤2(メチルエチルケトン) 30部
・溶剤3(イソプロピルアルコール) 30部
・溶剤4(N−ブタノール) 30部
表3の結果から、条件1−1の上限値を超える場合、筆記感を良好にできないことが確認できる。なお、表3では、条件1−2を満たすものの、「筆記感(手の疲れ)」の評価が悪くなっている。これは、表3の事例では、瞬間的に摩擦力が低い時間帯があるものの、元の筆記が重いためであると考えられる。
なお、実験例5の筆記性部材の表面形状は、Rtが5.8μm、θaが3.8度、λaが36μm、粒子の面積比率が11.2%、粒子密度が0.46(個/100μm平方)、λa÷粒子密度が78個/100μm平方、ヘイズが23%、全光線透過率が90.5%であり、ギラツキの評価がCであった。
本発明のタッチパネルペン用筆記性部材の選別方法は、筆記性部材の製品設計、品質管理を効率良くできる点で有用である。また、本発明のタッチパネルペン用筆記性部材、タッチパネル、タッチパネルシステム及び表示装置は、高レベルの筆記感を付与し得る点で有用である。
1:基材
2:樹脂層
10:タッチパネルペン用筆記性部材
20:透明基板
30:導電膜
40:スペーサー
50:X軸電極
60:Y軸電極
70:絶縁体層
82:可動台
83:重り
84:保持具
85:土台
100:タッチパネル
200:タッチパネルペン

Claims (5)

  1. 下記条件1−1及び条件1−2を満たすものをタッチパネルペン用筆記性部材として選別する、タッチパネルペン用筆記性部材の選別方法。
    <条件1−1>
    タッチパネルペン用筆記性部材の表面に対してタッチパネルペンを60度の角度で接触させた状態で固定し、前記タッチパネルペンに垂直荷重100gfをかけながら、前記タッチパネルペン用筆記性部材を14mm/秒の速度で片道40mmの長さを移動させた際の前記タッチパネルペンにかかる前記移動方向の摩擦力を0.001秒間隔で測定し、0.001秒ごとの動摩擦力を算出する。前記動摩擦力の標準偏差を算出した際に、前記標準偏差が2.0gf以上15.0gf以下。
    <条件1−2>
    動摩擦力の全測定時間において、動摩擦力が3.0gf以下である時間割合が15%以上90%以下。
  2. 表面にタッチパネルペン用筆記性部材を有するタッチパネルと、タッチパネルペンとからなるタッチパネルシステムであって、下記条件1−1及び条件1−2を満たすタッチパネルシステム。
    <条件1−1>
    タッチパネルペン用筆記性部材の表面に対してタッチパネルペンを60度の角度で接触させた状態で固定し、前記タッチパネルペンに垂直荷重100gfをかけながら、前記タッチパネルペン用筆記性部材を14mm/秒の速度で片道40mmの長さを移動させた際の前記タッチパネルペンにかかる前記移動方向の摩擦力を0.001秒間隔で測定し、0.001秒ごとの動摩擦力を算出する。前記動摩擦力の標準偏差を算出した際に、前記標準偏差が2.0gf以上15.0gf以下。
    <条件1−2>
    動摩擦力の全測定時間において、動摩擦力が3.0gf以下である時間割合が15%以上90%以下。
  3. 下記条件1−1及び条件1−2を満たす表面を有するタッチパネルペン用筆記性部材。
    <条件1−1>
    タッチパネルペン用筆記性部材の表面に対してタッチパネルペンを60度の角度で接触させた状態で固定し、前記タッチパネルペンに垂直荷重100gfをかけながら、前記タッチパネルペン用筆記性部材を14mm/秒の速度で片道40mmの長さを移動させた際の前記タッチパネルペンにかかる前記移動方向の摩擦力を0.001秒間隔で測定し、0.001秒ごとの動摩擦力を算出する。前記動摩擦力の標準偏差を算出した際に、前記標準偏差が2.0gf以上15.0gf以下。
    <条件1−2>
    動摩擦力の全測定時間において、動摩擦力が3.0gf以下である時間割合が15%以上90%以下。
  4. 表面に筆記性部材を有するタッチパネルであって、前記筆記性部材として、請求項3に記載のタッチパネルペン用筆記性部材の前記条件1−1及び条件1−2を満たす側の面がタッチパネルの表面を向くように配置してなるタッチパネル。
  5. 表示素子上にタッチパネルを有する表示装置であって、前記タッチパネルが請求項4に記載のタッチパネルである、タッチパネル付きの表示装置。
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