JP2015098123A - 透明積層フィルム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】基材層の一方の面に粘着剤及び平均粒径30〜280μmの微粒子を含む粘着層を積層し、この粘着層の上に透明樹脂を含むカバー層を積層し、このカバー層の上にさらにハードコート層を積層する。前記粘着剤の弾性率を10〜3000Paに調整し、前記微粒子の弾性率を前記粘着剤の弾性率よりも大きく調整する。前記粘着剤と前記微粒子との重量割合は、前者/後者=90/10〜50/50であってもよい。前記粘着層の平均厚みは、微粒子の平均粒径に対して0.9〜1.1倍であってもよい。
【選択図】なし
Description
基材層は、透明材料で形成されていればよく、用途に応じて選択でき、ガラスなどの無機材料であってもよいが、強度や成形性などの点から、有機材料が汎用される。有機材料としては、硬化性樹脂であってもよいが、成形性などの点から、熱可塑性樹脂が好ましい。熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリオレフィン、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリアセタール、ポリエステル、ポリアリレート、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、ポリスルホン系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、フッ素樹脂、セルロース誘導体などが挙げられる。これらの熱可塑性樹脂は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。熱可塑性樹脂を透明樹脂で形成すると、タッチパネルのディスプレイなど、透明性が要求されるペン入力デバイスで使用できる。
粘着層は、粘着剤及び微粒子を含み、かつ特定の弾性率を有するとともに、微粒子の弾性率は、粘着剤の弾性率よりも大きい。
粘着剤の弾性率は、JIS K7244に準拠した方法において、10〜3000Pa(特に30〜2500Pa)であり、好ましくは50〜2000Pa(例えば、100〜1500Pa)、さらに好ましくは300〜1300Pa(特に500〜1000Pa)程度である。弾性率が大きすぎると、ペンで押圧しても変形が小さくなり、書き味が低下する。一方、弾性率が小さすぎると、粘着力の低下により、微粒子を固定する力が小さくなり、書き味が低下する。なお、粘着剤の弾性率は、JIS K7244に準拠した方法でずり弾性率を測定し、測定したずり弾性率に基づいて引張弾性率を算出でき、詳細には、後述の実施例に記載の方法で測定できる。
微粒子の弾性率は、粘着剤の弾性率よりも大きければよく、微粒子の弾性率と粘着剤の弾性率との差は、例えば、0.01MPa以上、好ましくは1MPa以上、さらに好ましくは10MPa以上(特に100MPa以上)であってもよい。微粒子の具体的な弾性率は0.01〜10000MPa程度の範囲から選択でき、例えば、1〜50000MPa、好ましくは10〜30000MPa、さらに好ましくは100〜10000MPa(特に1000〜5000MPa)程度である。微粒子の弾性率が小さすぎると、ペンで押圧して入力しても、変形による凹凸形状の形成が充分でなく、書き味が低下する。なお、微粒子の弾性率は、微小圧縮試験機を用いて圧縮試験を行い、圧縮変位に基づいて算出でき、詳細には、後述の実施例に記載の方法で測定できる。
粘着層は、粘着剤及び微粒子に加えて、慣用の添加剤、例えば、硬化剤又は架橋剤、他の樹脂成分、安定化剤(酸化防止剤、紫外線吸収剤、耐光安定剤、熱安定化剤など)、着色剤、結晶核剤、可塑剤、難燃剤、難燃助剤、帯電防止剤、分散剤、界面活性剤、ワックス、抗菌剤などを含んでいてもよい。これらの添加剤は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらの添加剤の割合は、粘着層の透明性を損なわない範囲であればよく、例えば、粘着層全体に対して0.01〜10重量%(特に0.1〜5重量%)程度である。
カバー層は、ペンでの押圧により撓む必要があり、透明樹脂で形成されている。透明樹脂としては、基材層の項で例示された熱可塑性樹脂などが挙げられる。前記熱可塑性樹脂のうち、環状ポリオレフィン、ポリエステル、ポリメタクリル酸メチル系樹脂、ビスフェノールA型ポリカーボネート、セルロースエステルなどが汎用され、セルロースエステル、ポリエステルが好ましく、耐熱性や透明性などのバランスに優れる点から、PETやPENなどのポリC2−4アルキレンアリレートが特に好ましい。さらに、有機材料で形成されたカバー層は、二軸延伸したフィルムであってもよい。
ハードコート層は、透明で耐擦傷性の高い材質であれば特に限定されず、ハードコート層として利用される慣用の硬化性樹脂で形成されていてもよい。硬化性樹脂は、例えば、熱や活性エネルギー線(紫外線や電子線など)などにより反応する官能基を有する化合物であり、熱や活性エネルギー線などにより硬化又は架橋して樹脂を形成可能な種々の硬化性化合物、例えば、熱硬化性化合物又は樹脂[エポキシ基、重合性基、イソシアネート基、アルコキシシリル基、シラノール基などを有する低分子量化合物(例えば、エポキシ系樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂、シリコーン系樹脂など)]、活性エネルギー線により硬化可能な光硬化性化合物(光硬化性モノマー、オリゴマーなどの光硬化性化合物など)などが例示できる。これらの硬化性樹脂は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
本発明の透明積層フィルムは、ハードコート層表面が平滑であり、JIS B0601に準拠した算術平均粗さRaが0.1μm以下であってもよく、例えば、1〜80nm、好ましくは2〜50nm、さらに好ましくは3〜30nm(特に5〜20nm)程度である。表面粗さが大きくなると、外部ヘイズが大きくなるため、光学特性が低下する。
すなわち、Cの値が100%に近づく程、透明導電性膜による像のボケが小さい[参考文献;須賀、三田村,塗装技術,1985年7月号]。
本発明の透明積層フィルムは、特に限定されず、慣用の方法により製造でき、例えば、基材層の上に粘着層を積層した後、予めハードコート層を積層したカバー層と密着してもよい。
光学式膜厚計を用いて、任意の10箇所を測定し、平均値を算出した。
溶融粘弾性測定装置(アントンパール社製「MCR−302」)を用い、JIS K7244に従って粘着剤のずり方向弾性率(G’)を測定した。測定したずり方向弾性率に基づいて、下式より、引張方向の弾性率(E’)を算出した。なお、高分子のポアソン比は一般的にμ=0.5であるため、E’=3G’として計算を行った。
(式中、μ:ポアソン比である)。
独立した1つの微粒子を選択して圧縮試験を行った。圧縮試験機には微小圧縮試験機((株)島津製作所製「MCTW−500」)を用い、使用圧子にダイヤモンド製平面圧子(直径φ=50μm)を使用した。弾性率の計算には、圧縮変位=約0.05μm〜約0.5μmの領域のデータを用いた。
JIS B0601に準拠して、接触式表面粗さ計(東京精密(株)製、surfcom570A)を用いて、走査範囲3mm、走査回数2回の条件で、算術平均粗さRaを測定した。
ヘイズメーター(日本電色(株)製、商品名「NDH−5000W」)を用いて、JIS K7136に準拠して、ヘイズ(HZ)、全光線透過率(TT)を測定した。なお、ヘイズの測定は、ハードコート層が受光器側となるように配置して測定した。
得られた透明積層フィルムの写像鮮明度(透過像鮮明度)を、写像測定器(スガ試験機(株)製、商品名「ICM−1T」)を用いて、光学櫛(櫛歯の幅=0.5mm)で、JIS K7105に基づいて測定した。
NintendoDS(登録商標)用タッチペンでハードコート層の表面を摺動して凹凸感を評価し、以下の基準で評価した。
×:凹凸を感じない。
静動摩擦測定機((株)トリニティーラボ製「ハンディートライボマスターTL201Ts」)を用いて、測定条件(荷重50g重、速度50mm/秒)で摩擦力を測定した。接触子としては、ポリオキシメチレン製ペン(ペン先径0.8mmφ)を使用し、フィルムに対して45°の角度で摺動させた。なお、参考例として、紙((株)カウネット製「コピーペーパー スタンダードタイプ」)に対して鉛筆(三菱鉛筆(株)製「ユニ6B」及び「ユニHB」)を摺動させた。
PETフィルム:東洋紡(株)製「A4300」、厚み50μm又は100μm
TACフィルム:富士フイルム(株)製「フジタック」、厚み80μm
粘着剤:サイデン化学(株)製「T−45AD」
硬化剤:サイデン化学(株)製「硬化剤AL」
アクリル粒子(20μm):綜研化学(株)製(株)製「ケミスノーMX−2000」、平均粒径18〜22μm、CV値17.1%、架橋ポリメタクリル酸エステル粒子
アクリル粒子(50μm):東洋紡績(株)製「FH−S050」、平均粒径50μm、架橋ポリメタクリル酸エステル粒子
アクリル粒子(100μm):積水化成品工業(株)製「テクポリマーMBX−100」、平均粒径100μm、CV値31.3%、架橋ポリメタクリル酸エステル粒子
アクリル粒子(200μm):積水化成品工業(株)製「テクポリマーMBX−200」、平均粒径200μm、CV値26.0%、架橋ポリメタクリル酸エステル粒子
アクリル粒子(300μm):積水化成品工業(株)製「テクポリマーMBX−300」、平均粒径300μm、CV値20.2%、架橋ポリメタクリル酸エステル粒子
ウレタン粒子:根上工業(株)製「C−100透明」、平均粒径50μm
クリアハードコート液:UV硬化型アクリル系ハードコート液、アイカ工業(株)製「アイカアイトロンZ−888−7」
多官能アクリレート:5〜6官能アクリル系UV硬化モノマー、ダイセル・サイテック(株)製「DPHA」
開始剤A:光重合開始剤、チバ・ジャパン(株)製「イルガキュア(Irgacure)184」
開始剤B:光重合開始剤、チバ・ジャパン(株)製「イルガキュア(Irgacure)907」。
粘着剤と粒径50μmのアクリル粒子とを、固形分換算の重量比で、粘着剤/アクリル粒子=90/10となる割合で添加し、液状組成物を調製した。アプリケータ(クリアランス100μm)を用いて、基材層であるPETフィルム(厚み100μm)上に、前記液状組成物を塗工し、温度80℃で5分間乾燥し、基材層の一方の面に厚み50μmの粘着層が積層した積層フィルムAを得た。
粘着剤と粒径100μmのアクリル粒子とを、固形分換算の重量比で、粘着剤/アクリル粒子=90/10となる割合で添加し、液状組成物を調製した。アプリケータ(クリアランス200μm)を用いて、基材層であるPETフィルム(厚み100μm)上に、前記液状組成物を塗工し、温度80℃で5分間乾燥し、基材層の一方の面に厚み100μmの粘着層が積層した積層フィルムAを得た。得られた積層フィルムAを用いて実施例1と同様にして透明積層フィルムを得た。
粘着剤と粒径100μmのアクリル粒子とを、固形分換算の重量比で、粘着剤/アクリル粒子=50/50となる割合で添加する以外は実施例2と同様にして積層フィルムAを得た。得られた積層フィルムAを用いて実施例1と同様にして透明積層フィルムを得た。
カバー層として厚み100μmのPETフィルムを用いる以外は実施例2と同様にして透明積層フィルムを得た。
粘着剤と粒径200μmのアクリル粒子とを、固形分換算の重量比で、粘着剤/アクリル粒子=80/20となる割合で添加し、液状組成物を調製した。アプリケータ(クリアランス400μm)を用いて、基材層であるPETフィルム(厚み100μm)上に、前記液状組成物を塗工し、温度80℃で5分間乾燥し、基材層の一方の面に厚み200μmの粘着層が積層した積層フィルムAを得た。得られた積層フィルムAを用いて実施例1と同様にして透明積層フィルムを得た。
粘着剤及びアクリル粒子に加えて、さらに粘着剤に対して1重量%の割合で硬化剤を配合する以外は実施例5と同様にして積層フィルムAを得た。得られた積層フィルムAを用いて実施例1と同様にして透明積層フィルムを得た。
カバー層として厚み80μmのTACフィルムを用いる以外は実施例2と同様にして透明積層フィルムを得た。
粒径50μmのアクリル粒子の代わりに、粒径50μmのウレタン粒子を用いる以外は実施例1と同様にして透明積層フィルムを得た。
クリアハードコート層の厚みを10μmに変更する以外は実施例2と同様にして透明積層フィルムを得た。
粘着剤と粒径20μmのアクリル粒子とを、固形分換算の重量比で、粘着剤/アクリル粒子=95/5となる割合で添加し、液状組成物を調製した。アプリケータ(クリアランス40μm)を用いて、基材層であるPETフィルム(厚み100μm)上に、前記液状組成物を塗工し、温度80℃で5分間乾燥し、基材層の一方の面に厚み20μmの粘着層が積層した積層フィルムAを得た。得られた積層フィルムAを用いて実施例1と同様にして透明積層フィルムを得た。
粘着剤と粒径300μmのアクリル粒子とを、固形分換算の重量比で、粘着剤/アクリル粒子=70/30となる割合で添加し、液状組成物を調製した。アプリケータ(クリアランス600μm)を用いて、基材層であるPETフィルム(厚み100μm)上に、前記液状組成物を塗工し、温度80℃で5分間乾燥し、基材層の一方の面に厚み300μmの粘着層が積層した積層フィルムAを得た。得られた積層フィルムAを用いて実施例1と同様にして透明積層フィルムを得た。
粘着剤及びアクリル粒子に加えて、さらに粘着剤に対して2重量%の割合で硬化剤を配合する以外は実施例5と同様にして積層フィルムAを得た。得られた積層フィルムAを用いて実施例1と同様にして透明積層フィルムを得た。
固形分換算の重量比で、多官能アクリレート100重量部、粒径20μmのアクリル粒子5重量部、開始剤A2.5重量部、開始剤B2.5重量部をトルエン及びイソプロパノールの混合溶媒(トルエン/イソプロパノール=6/4(容積比))に溶解し、固形分濃度25重量%の液状組成物を調製した。ワイヤーバー#38を用いて、PETフィルム(厚み100μm)上に、得られた液状組成物を塗工し、温度60℃で1分間乾燥した。乾燥後、紫外線照射装置(アイグラフィックス(株)製、メタルハライドランプ)を用いて、窒素ガス雰囲気下、照射量800mJ/cm2で紫外線を照射して、硬化処理を行い、表面にアクリル粒子が突出した凹凸構造を有する透明積層フィルムを得た。
Claims (7)
- 基材層と、この基材層の一方の面に積層され、かつ粘着剤及び平均粒径30〜280μmの微粒子を含む粘着層と、この粘着層の上に積層され、かつ透明樹脂を含むカバー層と、このカバー層の上に積層されたハードコート層とを含む透明積層フィルムであって、前記粘着剤が10〜3000Paの弾性率を有し、かつ前記微粒子の弾性率が前記粘着剤の弾性率よりも大きい透明積層フィルム。
- 粘着剤と微粒子との重量割合が、前者/後者=90/10〜50/50である請求項1記載の透明積層フィルム。
- 粘着層の平均厚みが、微粒子の平均粒径に対して0.9〜1.1倍である請求項1又は2記載の透明積層フィルム。
- カバー層の平均厚みが9〜100μmであり、かつハードコート層の平均厚みが1〜10μmである請求項1〜3のいずれかに記載の透明積層フィルム。
- 微粒子の粒径のCV値が35%以下である請求項1〜4のいずれかに記載の透明積層フィルム。
- ハードコート層表面の算術平均粗さRaが0.1μm以下である請求項1〜5のいずれかに記載の透明積層フィルム。
- ヘイズが5%以下であり、全光線透過率が85%以上であり、かつ0.5mm幅の光学櫛を用いた写像性測定器で測定した透過像鮮明度が80%以上である請求項1〜6のいずれかに記載の透明積層フィルム。
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