以下、本発明の実施形態を説明する。以下に記載される装置の構造などは、特定的な記載がない限り、それのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例である。図面は、本発明が採用しうる技術的特徴を説明するために用いられるものである。以下説明は、図中に矢印で示す左右、前後、上下を使用する。
図1〜図3を参照し、コンロ1の構造を説明する。コンロ1は、例えばキッチンのキャビネット(図示略)上面に設けられた開口に、上方から落とし込まれて設置されるビルトインタイプのコンロである。コンロ1は、筐体2とトッププレート3を備える。筐体2は、略直方体状に形成され、上部が開口する。トッププレート3は、平面視略矩形状で、筐体2上部の開口部2Aに固定される。トッププレート3は平面視で筐体2よりも左右方向に大きい。トッププレート3は、ガラス板11、後板12、枠体13を備える。ガラス板11はトッププレート3の前側に設けられ、後板12はトッププレート3の後側に設けられる。枠体13は、ガラス板11と後板12を下側から支持し、且つ外周縁部を保持する。ガラス板11と後板12は枠体13によって一体になり、1枚のプレートを構成する。ガラス板11の下面には黒色のパターン印刷が施され、後述する光センサ4A〜4Kに対応する位置には矩形状の透明な窓部が形成される。
右バーナ5はガラス板11の上面右側に設けられ、最大火力に調整した場合にハイカロリーの強火力でガスを燃焼することができる強火力用のバーナである。左バーナ6はガラス板11の上面左側に設けられ、最大火力に調整した場合に右バーナ5よりは低いカロリーでガスを燃焼することができる標準的なバーナである。右バーナ5の上面中央に、略円筒状の温度検出部5Aが上下方向に出退可能に設けられ、バネ(図示略)によって常時上方に付勢されている。左バーナ6の上面中央には、略円筒状の温度検出部5Aが上下方向に出退可能に設けられ、図示外のバネによって常時上方に付勢されている。左バーナ6の上面中央には、略円筒状の温度検出部6Aが上下方向に出退可能に設けられ、バネ(図示略)によって常時上方に付勢されている。これら温度検出部5A,6Aの夫々の内側には、鍋底温度を検出するサーミスタ5B,6B(図6参照)が夫々格納される。サーミスタ5B,6Bは、鍋底に当接する温度検出部5A,6Aの上壁部を介して鍋底温度を検出する。
右バーナ5の側面には多数の炎孔が設けられ、その炎孔の近傍にはイグナイタ35の点火電極(図示略)と熱電対5C(図6参照)が炎孔に臨むようにして設置される。イグナイタ35は、駆動することにより点火電極においてスパーク放電を発生して炎孔から噴出されるガスに点火する。熱電対5Cは、炎孔に形成される火炎により加熱されて熱起電力を発生する。故にコンロ1は、熱電対5Cに発生する熱起電力に基づき、右バーナ5における失火を検出できる。左バーナ6の側面にも多数の炎孔が設けられ、その炎孔の近傍には右バーナ5と同様に、イグナイタ36の点火電極(図示略)と熱電対6C(図6参照)が炎孔に臨むようにして設置される。イグナイタ36も、駆動することにより点火電極においてスパーク放電を発生し、炎孔から噴出されるガスに点火する。熱電対6Cは、炎孔に形成される火炎により加熱されて熱起電力を発生する。故にコンロ1は、熱電対6Cに発生する熱起電力に基づき、左バーナ6における失火を検出できる。
トッププレート3の後板12中央には、グリル排気口10が設けられる。グリル排気口10には、複数の孔を有するカバー10Aが設置される。筐体2内にはグリル庫(図示略)が設けられる。グリル排気口10は、グリル庫と連通する。グリル庫内にはグリルバーナ(図示略)が設けられ、その炎孔の近傍には、上記と同様のイグナイタの点火電極と熱電対(図示略)が設置される。グリル庫内には受皿台(図示略)が収納される。受皿台上には受皿、焼網台、焼網等(図示略)が載置される。受皿台は、グリル扉14の背面下部と連結する。グリル扉14は筐体2の前面中央に設けられ、グリル庫の前面に設けられた開口部を開閉する。グリル扉14の前面下部には、取手14Aが設けられる。使用者は、取手14Aを掴んでグリル扉14を前方に引き出すことによって、受皿、焼網台、焼網等をグリル庫外に同時に引き出すことができる。
筐体2の前面中央において、グリル扉14の右側の領域には、点火ボタン15,16、火力調節レバー18、19、操作パネル25等が設けられる。点火ボタン15はグリル扉14の右側に隣接して設けられ、押下することによって右バーナ5の点火と消火の操作を行う。点火ボタン16は点火ボタン15の右隣に設けられ、押下することによってグリル庫内に設けられたグリルバーナ(図示略)の点火と消火の操作を行う。グリルバーナは、グリル庫内の左右の両側壁の上下に夫々設けられた上火グリルバーナと下火グリルバーナ(図示略)で構成される。
火力調節レバー18は点火ボタン15の上方に設けられ、略水平方向における回動操作によって、右バーナ5の火力を調節する。火力調節レバー19は点火ボタン16の上方に設けられ、上火用調節つまみ19Aと下火用調節つまみ19Bを上下に備える。上火用調節つまみ19Aは、略水平方向における回動操作によって、上火グリルバーナの火力を調節する。下火用調節つまみ19Bは、略水平方向における回動操作によって、下火グリルバーナの火力を調節する。操作パネル25は、点火ボタン15,16の下方において前後方向に回動可能に設けられる。操作パネル25は、各種操作の入力を受け付ける複数のボタンと、各種操作に応じた報知を行うLED等を備える。
一方、筐体2の前面中央において、グリル扉14の左側の領域には、点火ボタン17、火力調節レバー20等が設けられる。点火ボタン17は、グリル扉14の左側に隣接して設けられ、押下することによって左バーナ6の点火と消火の操作を行う。火力調節レバー20は、点火ボタン17の上方に設けられ、略水平方向における回動操作によって、左バーナ6の火力を調節する。
コンロ1は、センサユニット4を備える。センサユニット4は、複数(本実施形態では11個)の光センサ4A〜4Kを含む。光センサ4A〜4Kは夫々同一の構成である。以下説明では、光センサ4A〜4Kを総じて説明する場合、光センサ40と称する。光センサ40は公知の反射型の測距センサである。光センサ4A〜4Kは筐体2の内部に設けられ、右バーナ5と左バーナ6の外方に配置される。光センサ4A〜4Kは、平面視で、筐体2の開口部2A内に位置する。筐体2にトッププレート3が固定されたとき、光センサ4A〜4Kは、トッププレート3の直下に位置する。光センサ4A〜4Kは、ガラス板11の窓部からトッププレート3の上方へ向けて検出波を出力し右バーナ5と左バーナ6に接近する異物の検出を行う。異物として、コンロ1の使用者の手や腕、及び使用者の着衣の袖先等が想定される。なお、本発明における右バーナ5と左バーナ6の「外方」とは、右バーナ5と左バーナ6の前方、後方、左方、右方、周囲など、垂直方向に交差する方向において右バーナ5と左バーナ6の外側に位置する部位をいう。
光センサ4A〜4Kのうち、光センサ4A〜4Iは、右バーナ5と左バーナ6の前方において、コンロ1の右端から左端にかけて並んで配置される。光センサ4A〜4Iが配置される領域を、検出領域Cとする。光センサ4A〜4Iは、検出領域Cにおいて左右方向に沿って配置され、並びを形成する。光センサ4A〜4Iは、正面視した場合には、ほぼ同じ間隔で左右方向に並ぶ。平面視した場合、光センサ4B,4E,4Hは、前後方向において同じ位置で、左右方向に並ぶ。光センサ4A,4C,4G,4Iは、前後方向において光センサ4B,4E,4Hよりも僅かに後方の位置で、左右方向に並ぶ。光センサ4D,4Eは、前後方向において光センサ4A,4C,4G,4Iよりも僅かに後方の位置で、左右方向に並ぶ。光センサ4A〜4Iの配置位置が前後方向においてずれる範囲は、左右方向においてずれる範囲と比べて小さい。故に、光センサ4A〜4Iが配置される検出領域Cは、左右方向に長く延びる。すなわち、光センサ4A〜4Iは、全体として、前後方向に多少の位置ずれを許容しつつ左右方向に分かれて配置される並びを形成する。
光センサ4A〜4Iのうちの光センサ4A〜4D,Jは、右バーナ5に供給されるガス流量の制御に用いられる。そのうちの光センサ4A〜4Dは、平面視で、右バーナ5の右斜め前方から左斜め前方にかけての位置で、右バーナ5の周方向に沿う緩やかな弧状をなす仮想線D1に沿って略等間隔に並ぶ。光センサ4A〜4Dは、右バーナ5の五徳7に、例えば直径28cmのフライパンを載置した場合の平面視で、フライパンの外周よりも外側に配置される。
光センサ4Jは、右バーナ5の左斜め前方、且つ光センサ4Dの略後方に配置される。光センサ4Jの配置位置は、平面視で、光センサ4A〜4Dよりも右バーナ5に近い位置である。言い換えると、光センサ4Jは、右バーナ5に対する前後方向において、光センサ4A〜4Dの後側に位置し、且つ右バーナ5の径方向において、光センサ4A〜4Dの内側に位置する。光センサ4Jは、異物が、仮想線D1に沿って並ぶ光センサ4A〜4Dよりも右バーナ5に近づいたとき、異物の接近を確実に検出するために設けられる。
光センサ4F〜4I,4Kは、左バーナ6に供給されるガス流量の制御に用いられる。そのうちの光センサ4F〜4Iは、平面視で、左バーナ6の右斜め前方から左斜め前方にかけての位置で、左バーナ6の周方向に沿う緩やかな弧状をなす仮想線D2に沿って略等間隔に並ぶ。光センサ4F〜4Iは、左バーナ6の五徳8に、例えば直径28cmのフライパンを載置した場合の平面視で、フライパンの外周よりも外側に配置される。
光センサ4Kは、左バーナ6の右斜め前方、且つ光センサ4Fの略後方に配置される。光センサ4Kの配置位置は、平面視で、光センサ4F〜4Iよりも左バーナ6に近い位置である。言い換えると、光センサ4Kは、左バーナ6に対する前後方向において、光センサ4F〜4Iの後側に位置し、且つ左バーナ6の径方向において、光センサ4F〜4Iの内側に位置する。光センサ4Kは、異物が、仮想線D2に沿って並ぶ光センサ4F〜4Iよりも左バーナ6に近づいたとき、異物の接近を確実に検出するために設けられる。
光センサ4Eは、右バーナ5及び左バーナ6に供給されるガス流量の制御に用いられる。光センサ4Eは、光センサ4Dと光センサ4Fの間で、左右方向の略中央に配置される。平面視した場合、光センサ4Eは、前後方向において光センサ4B,4Hと同じ位置で、左右方向に並ぶ。光センサ4Eは、他の光センサ4A〜4D,4F〜4Iよりも、右バーナ5及び左バーナ6から離間した位置に配置されている。
光センサ40について説明する。図4に示すように、光センサ40は、送信部から送信した検出波が異物で反射した反射波を受信部で受信し、三角測距方式を応用して異物までの距離を測定する測距センサである。光センサ40は、遮光性樹脂からなる略直方体状の筐体49を有する。筐体49内には、発光素子41、投光レンズ43、受光素子44、集光レンズ46、制御IC47が設けられる。発光素子41、受光素子44、制御IC47は、リードフレーム48上に搭載される。リードフレーム48は、長細い板状に形成され、筐体49内の底部に設けられる。筐体49は、リードフレーム48が延びる方向に長く形成される。以下、リードフレーム48が延びる方向を、延伸方向と称する。
発光素子41は、検出波として赤外光を出射する赤外発光LEDである。発光素子41には、レーザダイオード等が用いられてもよい。発光素子41は、リードフレーム48の一方の端部で搭載面48Aに設けられる。発光素子41から赤外光が出射される出射方向は、搭載面48Aに直交し、搭載面48Aから離れる方向である。受光素子44は、反射波として受光する反射光の受光位置に応じた出力を行う光位置センサ(PSD)である。受光素子44には、CMOSイメージセンサ等が用いられてもよい。受光素子44は、リードフレーム48の他方の端部で搭載面48Aに設けられる。筐体49内で、発光素子41は、筐体49の底部且つ延伸方向の一端部に位置し、受光素子44は、筐体49の底部且つ延伸方向の他端部に位置する。制御IC47は、リードフレーム48の搭載面48Aで発光素子41と受光素子44の間に設けられる。発光素子41は、その周囲が透光性樹脂42によって封止される。受光素子44と制御IC47は、その周囲が透光性樹脂45によって封止される。
投光レンズ43は、筐体49内で、発光素子41の出射方向前方、且つ筐体49の天部に設けられる。投光レンズ43は、発光素子41から入射する赤外光をビーム状に収束し、出射方向へ向けて出射する。集光レンズ46は、筐体49内で、受光素子44の出射方向前方、且つ筐体49の天部と底部の間の中間部に設けられる。集光レンズ46は、赤外光が異物によって反射された反射光を、受光素子44の受光面に集光する。
制御IC47は、定電圧回路、発振回路、駆動回路、信号処理回路、出力回路(図示略)を内蔵する。定電圧回路は、入力電圧を降圧して一定の出力電圧を生成し、信号処理回路に供給する。発振回路は、所定の周波数で発振する。駆動回路は、1回の距離測定時に、発光素子41を発振回路の発振に合わせて断続的に駆動し、赤外光を複数回出射させる。赤外光が異物によって反射された反射光を受光素子44が受光した場合、受光素子44の出力は、赤外光の出射タイミングに同期して大きく変化する。信号処理回路は、受光素子44が光を感知して得られる電流出力を取得し、赤外光の出射タイミングに同期する電流値変化を抽出して平均値を求める演算処理を行い、演算結果を出力回路に出力する。出力回路は、演算結果に応じた大きさの電圧を生成し、異物までの距離に応じた検出信号として出力する。なお、受光素子44がCMOSイメージセンサの場合、制御IC47はCMOSイメージセンサ内に含まれる場合がある。
上記構成の光センサ40は、異物との間の距離を以下のように測定し、距離に応じた電圧値(以下、「測定電圧値」という。)を示す検出信号を出力する。光センサ40が発光素子41の出射方向前方に距離L1離れた異物B1を検出するとき、発光素子41から出射された赤外光が異物B1で反射した反射光のうち、受光素子44に向かう角度で反射した反射光を、図中、反射光R1で示す。反射光R1が集光レンズ46によって屈折し、受光素子44の受光面で集光される位置を、集光領域F1とする。なお、図4において、投光レンズ43と集光レンズ46による光の屈折は、説明の便宜上、図示を省略する。異物B2が距離L1より近い距離L2に位置する場合、発光素子41から出射された赤外光が異物B2で反射した反射光のうち、受光素子44に向かう角度で反射した反射光を、図中、反射光R2で示す。反射光R2が集光レンズ46によって屈折し、受光素子44の受光面で集光される集光領域F2は、延伸方向において、赤外光が発光素子41から出射される出射位置F0に対し集光領域F1よりも離れて位置する。受光素子44は、受光面における集光領域に応じて抵抗値が異なり、距離測定時、抵抗値に応じた大きさの電流を出力する。故にコンロ1は、光センサ40が出力する検出信号が示す測定電圧値を取得し、三角測距方式に基づく演算を行うことで、光センサ40と異物との間の距離を求めることができる。
図5を参照し、火力制御機構60を説明する。右バーナ5のガス供給管27には、コンロ1の調理性能と安全性向上の為に、火力制御機構60が設けられる。ガス供給管27の上流側の端部は、コンロ1のガス流入口(図示略)に接続され、下流側の端部は、火力調整機構30のガス流入口(図示略)に接続される。火力調整機構30は、点火ボタン16及び火力調節レバー18の操作に連動して動作し、右バーナ5の点火、消火、及び火力を調整する。
火力制御機構60は、複数の流路と複数の電磁弁を備える。ガス供給管27は、2本のバイパス管28,29を備える。バイパス管28は、ガス供給管27に設けられた分岐部65と合流部66の間に接続される。バイパス管29は、バイパス管28に設けられた分岐部67と合流部68の間に接続される。
ガス供給管27の分岐部65より上流側には、安全弁64が設けられる。なお、図中において、安全弁は「SV」と表す。ガス供給管27の分岐部65と合流部66の間には、電磁弁61が設けられる。なお、図中において、電磁弁は「KSV」と表す。バイパス管28の分岐部67と合流部68の間には、電磁弁62が設けられる。合流部66と火力調整機構30の間には、電磁弁63が設けられる。電磁弁61,62は、ガス流量調整用のキープソレノイドバルブである。電磁弁63は、ガス遮断用のキープソレノイドバルブである。故に、電磁弁61〜63によるガス流量の調節の応答性は向上する。
コンロ1は、電磁弁61,62を夫々開閉し、火力調整機構30に流れるガス流量を、第1流量、第2流量、第3流量の三段階で調節する。電磁弁61,62が共に開いた状態では、ガス供給管27とバイパス管28,29を通り、火力調整機構30に第1流量のガスが流れる。電磁弁61,62のいずれか一方(本実施形態では電磁弁62)が閉じた状態では、ガス供給管27とバイパス管29を通り、火力調整機構30に第2流量のガスが流れる。電磁弁61,62が共に閉じた状態では、バイパス管29を通り、火力調整機構30に第3流量のガスが流れる。これにより、火力調節レバー18(図1参照)によって火力調整機構30を流れるガス流量が最大に調節されたときの火力は、弱火力、中火力、強火力の三段階に調節される。第1流量は強火力、第2流量は中火力、第3流量は弱火力に対応する。なお、第2流量に対応する中火力は、強火力と弱火力との間の火力であり、火力の大きさは様々である。第2流量は、鍋底から火炎がはみ出ない程度に火力を抑制しつつも、調理に影響を及ぼしにくい熱量を与えられる火力を維持できるガス流量であれば、好ましい。
電磁弁61,62の作動は、制御回路70のCPU71(図6参照)によって、サーミスタ5Bによる鍋底温度の検出結果、光センサ4A〜4E,4Jによる異物の検出結果、点火してからの時間等に応じて夫々制御される。電磁弁63及び安全弁64の作動も同様に、CPU71によって制御される。右バーナ5と同様に、グリルバーナのガス供給管(図示略)にも安全弁64と電磁弁61〜63が設けられ、CPU71によって作動が制御される。なお、左バーナ6のガス供給管(図示略)には、バイパス管28及び電磁弁62が設けられていない。コンロ1は、左バーナ6に対応する電磁弁61を開閉し、左バーナ6に対応する火力調整機構30に流れるガス流量を、第1流量(強火力に対応)、第3流量(弱火力に対応)の2段階で調節する。安全弁64は点火ボタン15の押下に連動して開放される。
図6を参照し、コンロ1の電気的構成を説明する。コンロ1は、制御回路70を備える。制御回路70は、CPU71、ROM72、RAM73、不揮発性メモリ74に加え、図示しないタイマ、I/Oインタフェイス等を備える。タイマはプログラムで作動するものである。CPU71はコンロ1の各種動作を統括制御する。ROM72は、ガス流量制御処理、設定値変更処理(図12〜図14参照)を含むコンロ1の各種プログラムを記憶する。RAM73は、各種情報を一時的に記憶する。不揮発性メモリ74は、設定値テーブル及び特定設定値テーブル(図9,図10参照)、調理モードテーブル(図11参照)等を含む各種パラメータ等を記憶する。
制御回路70には、電源回路81、スイッチ入力回路82、サーミスタ入力回路83、熱電対入力回路84、イグナイタ回路85、センサ入力回路86,87、ブザー回路88、安全弁回路90、電磁弁回路91、操作パネル25等が各々接続される。電源回路81は、電源23から供給される交流(例えば100V)を直流(例えば5V)に降圧して整流し、各種回路に電力を供給する。なお、図中において、電源は「AC」と表す。スイッチ入力回路82は、点火ボタン15〜17の押下を検出し、電源回路81と制御回路70に入力する。なお、図中において、点火ボタンは「SW」と表す。サーミスタ入力回路83は、サーミスタ5B,6Bからの検出値を制御回路70に入力する。なお、図中において、サーミスタは「TH」と表す。熱電対入力回路84は、熱電対5C,6Cからの検出値(熱起電力に対応する信号)を制御回路70に入力する。なお、図中において、熱電対は「TC」と表す。イグナイタ回路85は、CPU71の制御信号に基づき、右バーナ5のイグナイタ35、及び左バーナ6のイグナイタ36を各々駆動する。なお、図中において、イグナイタは「IG」と表す。また、図6では、グリルバーナに設けられるサーミスタ、熱電対、イグナイタは省略する。
センサ入力回路86には、温度検出部5A,6Aの各検出信号が入力される。センサ入力回路87には、光センサ4A〜4Kの各検出信号が入力される。ブザー回路88は、CPU71の制御信号に基づき、圧電ブザー77を駆動する。安全弁回路90は、CPU71の制御に基づき、安全弁64を開閉する。電磁弁回路91は、CPU71の制御に基づき、電磁弁61〜63を開閉する。操作パネル25は、使用者によるタイマ設定、調理内容に応じた火力制御の選択等の入力、CPU71の制御内容に応じたLEDの点灯及び消灯等に用いられる。
点火ボタン15〜17は、スイッチ入力回路82と電源回路81に対して、夫々並列に接続される。使用者によって点火ボタン15〜17のうちいずれかが押下されると、電源回路81から各種回路に電力が供給され、コンロ1の電源がオンになる。スイッチ入力回路82は、点火ボタン15〜17のうちいずれが押下されたかを検出し、その検出信号を制御回路70に入力する。これにより、CPU71は、どの点火ボタン15〜17の押下によって電源がオンされたのか判断し、対応するバーナの各種センサと各種弁の作動を制御する。
本実施形態のコンロ1のCPU71は、光センサ40によって、右バーナ5及び左バーナ6に接近する異物が検出されたとき、電磁弁61,62を作動し、ガス流量を第1流量から第2流量又は第3流量に低減する制御を行う。光センサ40の発光素子41は、赤外光の出射方向をコンロ1の上方(図2参照)へ向けて配置されている。光センサ40は、上方(発光素子41からの赤外光の出射方向)に異物が位置する場合、異物までの距離に応じた検出信号を出力する。一方、光センサ40の検出信号の大きさに対して閾値を設け、異物との距離が所定距離以下か否かを判断する処理が行われる場合、光センサ40による異物の検出範囲P(図7参照)は、以下に説明する3つの特性を有する。
第1の特性として、光センサ40は、延伸方向において、発光素子41を基準に受光素子44側よりも、受光素子44とは反対側に、異物を検出可能な検出範囲Pを広く有する特性を有する。この特性は、発光素子41から出射可能な赤外光の出射角度の範囲、もしくは受光素子44に入射可能な反射光の入射角度の範囲に基づく特性である。なお、以下説明では、延伸方向において、受光素子44から発光素子41を向く向きを、便宜上、配置向きと称する。
図7に示すように、異物B4が、発光素子41の出射方向前方で距離L3に位置する場合、発光素子41からの赤外光が異物B4で反射し、そのうちの受光素子44に向かう角度で反射した反射光R4は、集光レンズ46によって屈折し、受光素子44の集光領域F3で集光する。なお、図7において、投光レンズ43と集光レンズ46による光の屈折は、説明の便宜上、図示を省略する。光センサ40は、距離L3に対応する測定電圧値を示す検出信号を出力する。
異物B5が、出射方向前方の距離L3に位置し、且つ延伸方向で発光素子41と受光素子44の間に位置する場合に、発光素子41からの赤外光が異物B5で反射し、そのうちの受光素子44に向かう角度で反射した反射光R5は、集光レンズ46によって屈折することによって、異物B4の反射光R4と同じ集光領域F3で集光する。故に光センサ40は、異物B5の検出結果として、距離L3に対応する測定電圧値を示す検出信号を出力する。
異物B6が、出射方向前方の距離L3に位置し、且つ延伸方向において受光素子44よりも発光素子41とは反対側で、発光素子41から距離G1より大きく離れて位置する場合、異物B6の反射光は受光素子44に入射できない。故に光センサ40は、異物B6を検出できない。
一方、異物B7が、出射方向前方の距離L3に位置し、且つ延伸方向において発光素子41よりも配置向き側で、距離G1よりも大きい距離G2以内に位置すれば、発光素子41からの赤外光が異物B7で反射し、そのうちの受光素子44に向かう角度で反射した反射光R6は、受光素子44に入射できる。故に光センサ40は、異物B7を検出することができる。しかし、反射光R6は、集光レンズ46によって屈折することによって、集光領域F3とは異なる位置で集光する。故に、光センサ40が出力する検出信号は、異物B7までの距離が距離L3未満に対応する測定電圧値を示す。このように、光センサ40は、延伸方向における異物を検出可能な検出範囲Pが、発光素子41よりも配置向き側に大きい特性を有する。
第2の特性として、光センサ40は、異物が、延伸方向において発光素子41よりも配置向き側に位置する場合、異物を検出可能な距離が出射方向に長い特性を有する。この特性は、異物が出射方向において発光素子41の真っ直ぐ前方にない場合において、光センサ40が異物との距離を正しく検出できないことに基づく特性である。図4に示すように、異物B3が距離L1に位置し、且つ延伸方向において発光素子41よりも配置向き側に位置する場合に、発光素子41からの赤外光が異物B3で反射し、そのうちの受光素子44に向かう角度で反射した反射光R3が、異物B2の反射光R2と同じ光路で集光レンズ46を通り、受光素子44に入射することがある。この場合、異物B3の反射光R3が、反射光R2の集光領域F2と同じ領域で集光するので、光センサ40は、異物B3の検出信号として、距離L2に位置する異物B2と同じ測定電圧値を示す検出信号を出力する。
従って図7に示すように、延伸方向において発光素子41よりも配置向き側に位置し、且つ出射方向前方の距離L4に位置する異物B8で反射し、そのうちの受光素子44に向かう角度で反射した反射光R7の光路が、出射方向前方の距離L3に位置する異物B9で反射し、そのうちの受光素子44に向かう角度で反射した反射光R8の光路と一致する場合がある。異物B9の反射光R8が集光領域F3で集光する場合、同じ光路を辿る異物B8の反射光R7も、集光領域F3で集光する。この場合、光センサ40は、異物B8の検出信号として、距離L3に対応する測定電圧値を示す検出信号を出力する。このように、光センサ40は、出射方向における異物を検出可能な検出範囲Pが、発光素子41よりも配置向き側にて大きい特性を有する。
第3の特性として、光センサ40は、異物が、延伸方向に直交し且つ出射方向に直交する方向において、発光素子41の位置からずれて位置する場合、異物を検出することができない特性を有する。この特性は、発光素子41と受光素子44とが延伸方向に並ぶ位置関係に基づく特性である。従って光センサ40による異物の検出範囲Pは、上記のように、発光素子41と受光素子44とが並ぶ延伸方向において所定の幅を有し、延伸方向及び出射方向に直交する方向においては、ほぼ無効である。
図1〜図3に示すように、上記の特性を有する光センサ40は、出射方向を上方へ向けて、コンロ1に設けられる。仮想線D1に沿って配置される光センサ4A〜4Dと、仮想線D2に沿って配置される光センサ4F〜4Iとは、互いに異なる配置向きで配置される。光センサ4A〜4Dの夫々の配置向きは、仮想線D1がなす弧に沿い、左側から右側へ向かう方向の方向成分を有する。即ち光センサ4A〜4Dの配置向きは、夫々が配置された位置における仮想線D1の接線の方向であり、且つコンロ1の右方を向く(図8(A)参照)。一方、光センサ4F〜4Iの配置向きは、仮想線D2がなす弧に沿い、右側から左側へ向かう方向の方向成分を有する。即ち光センサ4F〜4Iの配置向きは、夫々が配置された位置における仮想線D2の接線の方向であり、且つコンロ1の左方を向く。また、光センサ4Eの配置向きは、左右方向に沿い、コンロ1の左方を向く(図8(A)参照)。
図8(A)に示すように、光センサ4A〜4Iは、上記第3の特性に基づき、配置向きを仮想線D1,D2に沿わせ、全体的に、配置向きが左右方向の方向成分を有した状態で配置される。これにより、図8(B)に示すように、検出領域Cにおける光センサ4A〜4Iの検出範囲Pは、左右方向に、より広く展開される。言い換えると、光センサ4A〜4Iの検出範囲Pは、右バーナ5と左バーナ6の前方の検出領域Cにおいて、左右方向に広がるフェンス状に設けられる。故に光センサ4A〜4Iは、右バーナ5及び左バーナ6の前方で、ほぼ隙間なくそれぞれの検出範囲Pを展開し、全体としての検出範囲を広く確保することができる。
さらに、光センサ4A〜4Iの並びにおいて右端に配置される光センサ4Aと、左端に配置される光センサ4Iは、配置向きが異なる。並びの右端に配置される光センサ4Aは、上記第1の特性に基づき、配置向きが右方へ向かう方向成分を有して配置される。故に、光センサ4A〜4Iの並びは、光センサ4Aの配置向きを左方へ向けて配置した場合と比べ、光センサ4Aの右側に、より広い検出範囲Pを確保できる。並びの左端に配置される光センサ4Iは、上記第1の特性に基づき、配置向きが左方へ向かう方向成分を有して配置される。故に、光センサ4A〜4Iの並びは、光センサ4Iの配置向きを右方へ向けて配置した場合と比べ、光センサ4Iの左側に、より広い検出範囲Pを確保できる。
本実施形態のコンロ1は、ガス流量を低減する制御を行う場合の光センサ40による異物の検出範囲Pとして、異物が出射方向において発光素子41の真っ直ぐ前方、例えば10cmの距離に位置する場合の検出信号の測定電圧値を、閾値(以下、「作動電圧値」という。)に設定する。これにより、図7に示す形状の検出範囲P内に異物が侵入したとき、異物までの距離は10cm以下の距離に対応する。検出範囲P内に異物が侵入したとき、コンロ1は、異物が光センサ40の上方で10cm以下の位置にあること、即ち異物が右バーナ5又は左バーナ6に接近したことを検出できる。
前述したように、光センサ40は、コンロ1のトッププレート3の下に配置される。本実施形態では、異物が光センサ40の上方に位置するとき、トッププレート3の上面を基準とし、上下方向においてトッププレート3の上面と異物との間の距離を、「高さ」と定義する。以下説明において、光センサ40が異物を検出したときに出力する測定電圧値に対応する異物の高さを、「測定高さ」という。
以下説明において、CPU71が右バーナ5又は左バーナ6の火力を弱める処理を行う基準となる異物の高さを、「作動高さ」といい、トッププレート3の上面から作動高さまでの範囲を、「作動範囲」という。コンロ1のCPU71は、光センサ40が出力する測定電圧値に基づく測定高さが所定の作動範囲内の高さを示した後、所定の作動安定幅内の測定高さの変化量で所定の作動安定時間を経過した場合に、右バーナ5又は左バーナ6へ異物が接近したとみなす。CPU71は、右バーナ5又は左バーナ6へ異物が接近したとみなした場合、右バーナ5又は左バーナ6の火力を弱めるため、右バーナ5又は左バーナ6の火力調整機構30に流れるガス流量を低減する処理を行う。本実施形態において、光センサ4A〜4Kの作動高さ(作動範囲)は、夫々の配置位置に応じて異なる高さ(異なる範囲)に設定される。
異物が光センサ40の発光素子41の出射方向前方で光センサ40から比較的離間した高さにある場合、異物が光センサ40から比較的近接した高さにある場合よりも、光センサ40の受光素子44に入射する異物の反射光の強度が低下する。このため、光センサ40から異物までの距離が大きくなるほど、異物までの実際の高さと、測定高さとの間に生ずる誤差が大きくなることがある。このため、本実施形態では、光センサ4A〜4Kの作動安定幅は、作動高さの大きさに応じて予め設定される。
光センサ40が複数設けられる場合、光センサ40は、近接配置される他の光センサ40の出射した赤外光が異物によって反射された反射光を受光することがある。この場合、光センサ40が出力する検出信号の示す測定電圧値にノイズが生ずることがある。また、光センサ40が出力する検出信号にゆらぎが生じたり、センサ入力回路87、制御回路70等に静電気サージ等による電圧の変化が生じたりする等によっても、光センサ40の測定電圧値にノイズが生ずることがある。このようなノイズによる測定電圧値は、比較的短い時間での不安定なピーク値を示すことが多い。このため、コンロ1は、作動安定時間を設け、測定電圧値に基づく測定高さが作動安定時間を超えて作動安定幅内の安定した高さを示す場合に、右バーナ5又は左バーナ6へ異物が接近したとみなしている。これにより、コンロ1は、ノイズ等による異物の誤検出に応じて、ガス流量を低減する制御が行われることを避けることができる。
なお、作動安定時間が長くなるほど、コンロ1が右バーナ5又は左バーナ6へ異物が接近したとみなすまでの時間が長くなる。長すぎる作動安定時間の設定は、コンロ1がガス流量を低減する制御を迅速に行うことを阻害する要因になる。コンロ1では、作動安定時間が0.5秒以上になると、検出した異物に右バーナ5又は左バーナ6の火炎が着火する可能性が高くなることが、事前の実験で明らかになっている。このため、コンロ1では、安全性担保のため、0.4秒以下の作動安定時間が予め設定される。
コンロ1は、ガス流量を低減する制御を行った後、右バーナ5又は左バーナ6に接近している異物がないことを確認してから、ガス流量を低減前の元の流量に戻す処理を行う。以下説明において、CPU71が右バーナ5又は左バーナ6の火力を戻す処理を行う基準となる異物の高さを、「解除高さ」といい、トッププレート3の上面から解除高さまでの範囲を、「非解除範囲」という。本実施形態では、光センサ4A〜4E,4Jのうちいずれかに対応する測定高さが、作動範囲内の高さを示した後、作動安定幅内の測定高さで作動安定時間を経過した場合に、右バーナ5へ異物が接近したと判断される。また、左バーナ6に対応する光センサ4E〜4I,4Kのうちいずれかに対応する測定高さが、作動範囲内の高さを示した後、作動安定幅内の測定高さで作動安定時間を経過した場合に、測定高さが作動範囲内で安定しているとみなされ、左バーナ6へ異物が接近したと判断される。一方、右バーナ5に対応する光センサ4A〜4E,4Jの全てに対応する測定高さが、所定の解除高さ以上の高さを示した状態で、所定の解除確定時間を経過した場合に、右バーナ5に接近する異物がなくなったと判断される。同様に、左バーナ6に対応する光センサ4E〜4I,4Kの全てに対応する測定高さが、所定の解除高さ以上の高さを示した状態で、所定の解除確定時間を経過した場合に、測定高さが非解除範囲外で安定しているとみなされ、左バーナ6に接近する異物がなくなったと判断される。このように、コンロ1は、異物の検出を解除するときには、異物の検出を行うときよりも厳しい条件を課すことで、異物にバーナの火炎が着火する可能性を低減している。本実施形態において、光センサ4A〜4Kの解除高さ(非解除範囲)は、夫々の配置位置に応じて異なる高さ(異なる範囲)に設定される。
図9を参照し、設定値テーブルを説明する。設定値テーブルは、対象バーナ、作動高さ、作動安定幅、作動安定時間、解除高さ、解除確定時間を、光センサ4A〜4Kの夫々に関連付けて、制御ガス流量に応じて記憶する。対象バーナは、光センサ4A〜4Kの夫々が、右バーナ5と左バーナ6とのいずれに供給されるガス流量の制御に用いられるのかを示し、「右」が右バーナ5に、「左」が左バーナ6に対応する。光センサ4A〜4E,4Jは右バーナ5を対象バーナとする。光センサ4E〜4I,4Kは左バーナ6を対象バーナとする。設定値テーブルは、制御ガス流量が「第3流量」であるテーブルと、「第2流量」であるテーブルとを含む。
制御ガス流量が「第3流量」であるテーブルは、ガス流量を第1流量又は第2流量から第3流量に低減する制御を行う場合、及びガス流量が第3流量に制御されている場合に対応する作離高さ、作動安定幅、作動安定時間、解除高さ、解除確定時間を定義する。制御ガス流量が「第2流量」であるテーブルは、ガス流量を第1流量から第2流量に低減する制御を行う場合、及びガス流量が第2流量に制御されている場合に対応する作動高さ、作動安定幅、作動安定時間、解除高さ、解除確定時間を定義する。制御ガス流量が「第3流量」であるテーブルに対応する作動高さ、作動安定幅、作動安定時間、解除高さ、解除確定時間を、夫々、第一作動高さ、第一作動安定幅、第一作動安定時間、第一解除高さ、第一解除確定時間とする。制御ガス流量が「第2流量」であるテーブルに対応する作動高さ、作動安定幅、作動安定時間、解除高さ、解除確定時間を、夫々、第二作動高さ、第二作動安定幅、第二作動安定時間、第二解除高さ、第二解除確定時間とする。
制御ガス流量が「第3流量」であるテーブルは、光センサ4A,4C〜4G,4I〜4Kの第一作動高さを「120」mm、光センサ4B,4Hの第一作動高さを「70」mmと、夫々定義している。コンロ1では、中火力の火炎が形成された右バーナ5又は左バーナ6からおよそ100mm以内の位置に異物が接近すると、異物に火炎が着火する可能性が高くなることが、事前の実験で明らかになっている。一方、使用者が右バーナ5又は左バーナ6で調理を行う場合、フライパン等の片手鍋の柄が光センサ4B,4Hの上方において、光センサ4B,4Hから100mm付近の位置に配置されやすい。このこと等を考慮し、コンロ1は、一般的な片手鍋が五徳7,8に載置されたときの、鍋の柄と光センサ4B,4Hとの間の距離よりも小さな70mmを、光センサ4B,4Hの第一作動高さと設定している。また、コンロ1は、光センサ4B,4Hのよりも鍋の柄が配置される可能性の低い他の光センサ40については、安全性担保のため、120mmの第一作動高さを設定している。このように、設定値テーブルは、コンロ1における光センサ4A〜4Kの配置に適した第一作動高さを定義する。コンロ1は、設定値テーブルに基づいてガス流量を低減する制御を行うことで、無用なガス流量の低減制御の実行を回避し、コンロ1の使い勝手を向上できる。
制御ガス流量が「第3流量」であるテーブルは、光センサ4A,4C〜4G,4I〜4Kの第一解除高さを「140」mm以上、光センサ4B,4Hの第一解除高さを「90」mm以上と定義している。コンロ1は、一般的な片手鍋が五徳7,8に載置されたときの、鍋の柄と光センサ4B,4Hとの間の距離よりも大きな90mmを、光センサ4B,4Hの第一解除高さと設定している。また、ガス流量を第3流量から第2流量以上に戻すことで右バーナ5又は左バーナ6に中火力以上の火炎が形成されても異物に着火しない十分な距離を担保するため、光センサ4A,4C〜4G,4I〜4Kの第一解除高さを140mmに設定している。なお、コンロ1は、光センサ40に対応する解除高さが、その光センサ40に対応する作動高さよりも大きく設定している。これにより、コンロ1は、光センサ40から作動高さよりも離間した解除高さ以上に異物が遠ざかった場合に、ガス流量を元に戻すことができる。コンロ1は、異物の検知条件よりも異物検知の解除条件を厳しく設定することで、ガス流量を異物検知前の流量に戻す際の安全性を担保している。
制御ガス流量が「第2流量」であるテーブルは、対象バーナが「右」である光センサ4A〜4E,4Jのうち、光センサ4B,4J以外の光センサ40について第二作動高さ、第二作動安定幅、第二作動安定時間、第二解除高さ、第二解除確定時間を定義している。コンロ1は、第二作動高さ及び第二解除高さを、同じ光センサ40に対応する第一作動高さ及び第一解除高さよりも大きな高さに設定している。右バーナ5に第1流量のガス流量により強火力の火炎が形成されている場合、第2流量のガス流量により中火力の火炎が形成されている場合よりも、右バーナ5から同じ位置にある異物に着火する可能性が高くなる。このため、制御ガス流量が「第2流量」であるテーブルは、右バーナ5に形成される火炎の火力に対応した作動高さとして、第一作動高さ及び第一解除高さよりも大きな第二作動高さ及び第二解除高さを定義している。
例えば、五徳7に両手鍋が載置される場合、両手鍋の2つの取っ手は、鍋の左右方向に延びて配置されやすい。この両手鍋の左側の柄を掴もうとする使用者の左腕は、右バーナ5と左バーナ6との間の位置から右バーナ5の左斜め前方に向けて差し入れられるので、左腕の先が右バーナ5に非常に接近しやすい。コンロ1は、右バーナ5の左斜め前方に配置される光センサ4Jについては第二作動高さ、第二作動安定幅、第二作動安定時間、第二解除高さ、第二解除確定時間を定義しない。設計値テーブルにおいて「−」とされている項目は、設定値の定義がないことを示す。このため、コンロ1は、光センサ4Jによる測定高さに対しては第一作動高さ、第一作動安定幅、第一作動安定時間、第一解除高さ、第一解除確定時間に基づくガス流量の制御を行う。これにより、コンロ1は、ガス流量が第1流量又は第2流量の状態で右バーナ5に左斜め前方から異物が接近した場合、ガス流量を一度に第3流量にできる。したがって、右バーナ5に左斜め前方から接近する異物への着火が効果的に防止される。なお、コンロ1は、光センサ4Bについても同様の理由、及び前述した片手鍋の柄を異物と誤検出することで無用なガス流量制御が行われることを回避する理由で、第二作動高さ、第二作動安定幅、第二作動安定時間、第二解除高さ、第二解除確定時間を定義しない。
また、制御ガス流量が「第2流量」であるテーブルは、光センサ4A,4C,4Dの第二作動安定時間を「0.2」秒、光センサ4Eの第二作動安定時間を「0.4」秒と定義している。光センサ4A,4C,4Dは、光センサ4Eよりも右バーナ5に接近した位置に配置されている。このため、光センサ4A,4C,4Dの位置に接近した異物に右バーナ5の火炎が着火する可能性は、光センサ4Eの位置に接近した異物に右バーナ5の火炎が着火する可能性よりも高くなることが想定される。一方、光センサ4Eは、コンロ1の中央前部における右バーナ5と左バーナ6との間の位置に配置されていることから、コンロ1の使用時に光センサ4Eの位置に異物が頻繁に接近することが想定される。このような光センサ40の配置を踏まえ、コンロ1は、光センサ4A,4C,4Dの第二作動安定時間を、光センサ4Eの第二作動安定時間よりも短い時間に定義し、コンロ1の安全性を担保している。また、コンロ1は、光センサ4Eについては光センサ4A,4C,4Dよりも長めの第二作動安定時間を定義することで、無用なガス流量低減制御が行われることを低減している。このように、光センサ40の配置に応じて第二作動安定時間が定義されるので、コンロ1は、異物の接近に対する安全性を担保しつつ、コンロ1の使い勝手を向上できる。
制御ガス流量が「第2流量」であるテーブルは、光センサ4D,4Eの第二作動高さ(170mm)を、光センサ4A,4Cの第二作動高さ(150mm)よりも大きな高さに定義している。光センサ4D,4Eは、光センサ4A,4Cよりもコンロ1の中央に寄った位置に配置されるので、右バーナ5と左バーナ6との間の位置から右バーナ5の左斜め前方に向けて差し入れられる異物を検知できる。前述のように、このように差し入れられる異物は、他の位置から右バーナ5に向けて差し入れられる異物よりも右バーナ5に容易に接近しやすい。このため、コンロ1は、光センサ4D,4Eの測定高さに対するしてガス流量を低減する制御を行う条件を、光センサ4A,4Cの測定高さに対してガス流量を低減する制御を行う条件よりも厳しく設定する。これにより、コンロ1は、右バーナ5に接近する異物への着火を効果的に防止できる。また、コンロ1は、光センサ4D,4Eの第二解除高さ(190以上)を、光センサ4A,4Cの第二解除高さ(170以上)よりも大きな距離に定義している。これにより、コンロ1は、右バーナ5に異物が接近しやすい位置から異物が十分に遠ざかった場合に、ガス流量を元に戻すことができる。このように、コンロ1は、右バーナ5及び左バーナ6に対する光センサ40の配置に応じた異物検知の解除条件を厳しく設定することで、ガス流量を異物検知前の流量に戻す際の安全性を担保している。
設定値テーブルは、第一作動安定幅を「±10」mm、第二作動安定幅を「±30」mmと、異なる値で定義している。前述したように、光センサ40の特性として、光センサ40から異物までの距離が大きくなるほど、光センサ40から異物までの実際の距離と、測定電圧値の示す距離との間に生ずる誤差が大きくなることがある。これにより、光センサ40の出力する測定電圧値に生ずる振れ幅が、光センサ40から異物までの距離が大きくなるほど大きくなることがある。このため、コンロ1は、第一作動高さよりも大きな高さに設定されている第二作動高さに関連付けられる第二作動安定幅を、第一作動安定幅よりも広い範囲で設けている。これにより、コンロ1は、作動高さに応じた円滑なガス流量制御を行うことができる。
図10を参照し、特定設定値テーブルを説明する。特定設定値テーブルは、設定値テーブルと同様の、制御ガス流量が「第3流量」であるテーブルを備える。後述する特定モードが設定されている場合には、他のモード種類の調理モードが設定されている場合よりも、異物が右バーナ5又は左バーナ6に接近することが起こりにくい。このため、コンロ1は、特定モードが設定されている場合には、ガス流量を第1流量又は第2流量から第3流量にするガス流量の低減制御を行い、ガス流量を第1流量から第2流量にする低減制御については省略している。よって、特定設定値テーブルは、設定値テーブルにおける制御ガス流量が「第2流量」であるテーブルに相当するテーブルを備えない。したがって、コンロ1は、特定設定値テーブルに従ってガス流量制御を行う場合、ガス流量が第1流量又は第2流量の状態で右バーナ5又は左バーナ6に異物が接近した場合、ガス流量を一度に第3流量にできる。
図11を参照し、調理モードテーブルを説明する。コンロ1は、調理内容に応じた調理モードを予め設けている。調理モードが設定されたコンロ1は、調理内容に応じた火力制御を自動的に行う。調理モードテーブルは、モード種類と制御パターンとを関連付けて記憶する。モード種類は、調理モードの種類を示す。本実施形態では、「炊飯モード」、「湯沸しモード」、「高温炒めモード」、「温度調節モード」のモード種類が設けられている。制御パターンは、モード種類に応じた火力制御のパターンを示す。「炊飯モード」の制御パターンであるパターンP1は、鍋が五徳7,8のいずれかに載置された状態で、炊飯が完了するまでの間、右バーナ5又は左バーナ6が中火力と弱火力を交互に繰り返し、炊飯が完了すると自動的に消火するパターンである。「湯沸しモード」の制御パターンであるパターンP2は、やかん等を五徳7,8のいずれかに載置した状態で右バーナ5又は左バーナ6が強火力又は中火力を保ち、やかんの湯が沸騰すると自動的に消火するパターンである。「高温炒めモード」の制御パターンであるパターンP3は、右バーナ5又は左バーナ6を主に強火力を保つことで、鍋底温度が高温に保つ、炒め物の調理に適したパターンである。「温度調節モード」の制御パターンであるパターンP4は、主に揚げ物の調理に用いられ、鍋の中の油等の温度を一定に保つように火力を自動的に制御するパターンである。使用者は、コンロ1の使用開始時等に操作パネル25に所定の操作入力を行うことで、所望の調理モードをコンロ1に設定できる。
これらの調理モードのうち、「炊飯モード」及び「湯沸しモード」では、鍋等を五徳7,8に載置した状態で、炊飯又は湯沸しが完了するまでの間、使用者が右バーナ5又は左バーナ6の火力を調節したり、被調理物を菜箸で混ぜたりする必要がない。よって、これらのモードが設定されている場合には、異物が右バーナ5又は左バーナ6に接近することが起こりにくい。したがって、コンロ1は、「炊飯モード」及び「湯沸しモード」が設定されている場合のための設定値の集合を定める特定設定値テーブルを、設定値テーブルとは別に設け、「炊飯モード」及び「湯沸しモード」が設定されている場合には、特定設定値テーブルに基づいてガス流量を制御する。これにより、コンロ1は、調理モードに適した火力低減制御を行うことができる。以下、「炊飯モード」及び「湯沸しモード」を、「特定モード」と称する。
コンロのCPU71は、ガス流量制御処理(図12、図13参照)を実行し、光センサ40による異物の検出結果に基づいて右バーナ5又は左バーナ6へ異物が接近したと判断したとき、右バーナ5又は左バーナ6の火力を弱める処理を行う。また、CPU71は、右バーナ5又は左バーナ6の火力を弱めた後に光センサ40による検出結果に基づいて異物の接近がなくなったと判断したとき、火力を弱めた右バーナ5又は左バーナ6の火力を元に戻す処理を行う。使用者が右バーナ5で調理を行う場合、鍋等の調理容器を五徳7上に載置し、点火ボタン15を押下する。火力制御機構60の安全弁64は、点火ボタン15が押下されていないとき、機械的に閉じられた状態である。また、電磁弁61〜63は、点火ボタン15が押下されていないときには、開放側に維持されている。点火ボタン15が押下されると連動して開き、火力調整機構30に第1流量のガスが流される。CPU71はイグナイタ35を駆動させ、右バーナ5を点火させる。右バーナ5の火力は、強火力になる。
CPU71は、右バーナ5が点火することに応じて、ROM72からガス流量制御処理を含む各種プログラムを読み出し、実行する。右バーナ5の炎孔に形成された火炎は、熱電対5Cによって検知される。使用者は、被調理物の焼き加減や、調理の進行状況等に応じて、火力調節レバー18を手動で操作し、右バーナ5の火力を調節する。使用者は、右バーナ5への点火時に、所望する調理モードを設定するための所定の操作入力を操作パネル25に行うことができる。調理モードが設定されている場合には、CPU71は、調理モードに応じた火力調節を行う。同様に、使用者が左バーナ6で調理を行う場合、CPU71は、点火ボタン17の押下を契機として、火力制御機構60の安全弁64,電磁弁61,63を開放し、火力調整機構30に第1流量のガスを流す。CPU71は、左バーナ6が点火することに応じて、ROM72からガス流量制御処理を含む各種プログラムを読み出し、実行する。
図12に示すように、CPU71は、ガス流量制御処理を開始すると、操作パネル25を介していずれかのモード種類の調理モードを受信しているかを判断する(S1)。CPU71は、調理モードを受信していない場合(S1:NO)、処理をS3に移行する。CPU71は、調理モードを受信している場合(S1:YES)、受信したモード種類をRAM73に記憶し、受信したモード種類の調理モードを設定する(S2)。CPU71は、処理をS3に移行する。
CPU71は、右バーナ5と左バーナ6の夫々の火力調整機構30に流れているガス流量を、電磁弁61,62の開放状況に基づいて取得する(S3)。CPU71は、取得したガス流量(すなわち、電磁弁61,62のいずれか又はいずれも開放しているか)をRAM73に記憶する。
CPU71は、特定モードが設定されているかを判断する(S4)。この処理で、CPU71は、S1の処理においてRAM73に所定のモード種類が記憶されていれば、記憶されているモード種類を参照し、モード種類が特定モードを示すか(「炊飯モード」又は「湯沸しモード」を示すか)を判断する。CPU71は、RAM73に記憶されているモード種類が特定モードを示す場合(S4:YES)、特定設定値テーブルを参照する(S6)。一方、CPU71は、調理モードが設定されていない場合、又は設定されている調理モードが特定モードでない場合(S4:NO)、設定値テーブルを参照する(S5)。
CPU71は、光センサ4A〜4Kの検出信号の示す測定電圧値を夫々取得する(S7)。CPU71は、取得した測定電圧値に基づいて、光センサ4A〜4Kの夫々に対応する測定高さを算出する。CPU71は、算出した測定高さの夫々と、S5又はS6の処理で参照した設計値テーブル又は特定設定値テーブルの示す作動高さとを比較する。
CPU71は、測定高さが作動範囲内の高さを示す光センサ40があるかを判断する(S8)。このとき、CPU71は、S3の処理で取得したガス流量が第1流量であり、設定値テーブルを参照している場合、測定高さが第一作動高さ以下の高さを示す光センサ40があるかをまず判断する。CPU71は、測定高さが第一作動高さ以下の高さを示す光センサ40がない場合、測定高さが第二作動高さ以下内の高さを示す光センサ40があるかを判断する。なお、CPU71は、S3の処理で取得したガス流量が第2流量であり、設定値テーブルを参照している場合には、測定高さが第一作動高さ以下の高さを示す光センサ40があるかを判断する。CPU71は、特定設定値テーブルを参照している場合には、測定高さが第一作動高さ以下の高さを示す光センサ40があるかを判断する。CPU71は、これらの判断により、第一作動範囲内又は第二作動範囲内の測定高さを示す光センサ40が1つでもあるか否かを判断する。CPU71は、測定高さが作動以下の高さを示す光センサ40が1つもない場合(S8:NO)、処理をS1に戻す。この場合、右バーナ5及び左バーナ6の火力は、S3の時点の火力に維持される。なお、図示しないが、CPU71は、S3の処理で取得したガス流量が第3流量である場合には、S4〜S16の処理を行わず、S1〜S3の処理を繰り返してもよい。
CPU71は、測定高さが作動範囲内の高さを示す光センサ40が1つでもある場合(S8:YES)、測定高さが作動範囲内の高さを示す光センサ40を特定する(S9)。CPU71は、特定した光センサ40を示す情報を、RAM73に記憶する。S9の処理で特定した光センサ40を、以下、「特定センサ」という。
CPU71は、後述するS25の処理で計測が開始される第一経過時間を計測中であるかを判断する(S10)。第一経過時間は、ガス流量制御処理において異物の検出が解除されてから次回に異物の検出がされるまでに経過した時間を示す。CPU71は、第一経過時間を、制御回路70の備えるタイマ(図示略)を用いて計測する。CPU71は、ガス流量制御処理の実行開始後に初めてS13の判断処理を実行する等で、第一経過時間を計測中でない場合(S10:NO)、処理をS15に移行する。
コンロ1が加熱調理に用いられる場面では、例えば、コンロ1の使用者が、五徳7,8上に載置された調理中の調理容器の内容物を菜箸等で繰り返しかき混ぜる等の動作を行うことがある。例えば、図8(B)に示す検出範囲Pが、12cmの作動範囲に対応しているとする。この場合、右バーナ5を使用する使用者の腕等が動きながら、図8(B)に示す領域R内の様々な位置におかれることがある。使用者の腕等が実際にはトッププレート3から12cm以上離間した十分な高さを有していても、領域Rのうち検出範囲Pに重なる領域にある場合には、光センサ4A〜4D,4Jのいずれかに基づく測定高さによって、使用者の腕等が作動範囲内の高さにあると判断される。このような場合、使用者が調理容器の内容物をかき混ぜる動作によって、ガス流量の低減及び復帰が頻繁に繰り返されることが起こりやすくなる。このとき、右バーナ5又は左バーナ6の火力が、使用者の所望の火力に維持されにくくなる。このような問題を回避するため、コンロ1は、前回の異物の検出が終了してから、次回に異物の検出がされるまでの間の第一経過時間が所定時間未満の場合には、ガス流量を低減する制御の実行を制限することとしている。これにより、コンロ1は、使用者の調理に関する動作に応じてガス流量の低減及び復帰が無用に繰り返されることを回避できる。これにより、コンロ1は使用者の実際の調理動作に則した火力制御を行うことができるので、コンロ1の使い勝手が向上する。本実施形態では、事前の実験の結果から、第一経過時間が5秒以上である場合に、ガス流量を低減する制御を行うこととしている。なお、この「5秒」という判断基準は一例であり、コンロ1における光センサ40の配置、個数、安全性担保の基準等に応じて、任意に定めてよい。
CPU71は、第一経過時間を計測中の場合(S10:YES)、計測中の第一経過時間が5秒以上を示すかを判断する(S11)。CPU71は、第一経過時間が5秒以上である場合(S11:YES)、第一経過時間の計測を終了し(S12)、タイマの値をクリアする。CPU71は、処理をS15に移行する。
CPU71は、第一経過時間が5秒未満である場合(S11:NO)、設定値テーブル及び特定設定値テーブルにおいて特定センサに関連付けられている作動安定時間を、予め定められている「0.2」秒又は「0.4」秒から、「0.5」秒に変更する(S13)。CPU71は、作動安定時間を従前よりも長くなるように変更することで、調理中の使用者の腕等が図8(B)に示す領域Rのうち検出範囲Pに重なる領域に、変更された作動安定時間よりも短い時間でおかれた場合に、右バーナ5又は左バーナ6へ異物が接近したとみなし難くなる。このように、CPU71は、第一経過時間が所定時間未満である場合にガス流量の低減制御が制限される方向に、作動安定時間等の異物の検出条件を変更することで、無用なガス流量の低減及び復帰を繰り返すことを回避できる。
次いで、CPU71は、制御回路70の備えるタイマ(図示略)を用いて、第二経過時間の計測を開始する(S14)。CPU71は、処理をS15に移行する。第二経過時間は、S13の処理において作動安定時間を変更してから次回に異物の検出がされるまでに経過する時間である。CPU71は、第二経過時間が所定時間以上になった場合、後述するS28の処理で、S13の処理で変更した作動安定時間を、特定センサについて予め定められている作動安定時間に戻す。
CPU71は、特定センサの検出信号の示す測定電圧値の変化を、作動安定時間の間監視する(S15)。この処理において、CPU71は、S8の処理で測定高さが第一作動範囲内を示す光センサ40があると判断している場合、特定センサに対応する第一作動安定時間の間、測定電圧値の変化を監視する。CPU71は、S8において測定高さが第二作動範囲内を示す光センサ40があると判断している場合、特定センサに対応する第二作動安定時間の間、特定センサの測定電圧値の変化を監視する。CPU71は、作動安定時間内における測定高さの最大値及び最小値を抽出する。抽出した測定高さの最大値及び最小値の幅は、作動安定時間内における測定高さの変化量に相当する。なお、CPU71は、S13の処理で作動安定時間を変更している場合には、測定高さの変化量を、S13の処理で変更した作動安定時間の間監視する。
CPU71は、作動安定時間内における特定センサの測定高さの変化量が、特定センサに対応する作動安定幅内であるかを判断する(S16)。この処理において、CPU71は、S8において測定高さが第一作動範囲内を示すと判断している場合、測定高さの変化量が、特定センサに対応する第一作動安定幅に収まるかを判断する。CPU71は、S8において測定高さが第二作動範囲内を示すと判断している場合、測定高さの変化量が、特定センサに対応する第二作動安定幅に収まるかを判断する。CPU71は、作動安定時間内における測定高さの変化量が、特定センサに対応する作動安定幅を超える場合(S16:NO)、処理をS1に戻す。
CPU71は、作動安定時間内における測定高さの変化量が、特定センサに対応する作動安定幅内に収まる場合(S16:YES)、測定高さが作動範囲内で安定しているとみなして、図13に示すように、ガス流量の低減を電磁弁回路91に指示する(S17)。この処理において、CPU71は、制御ガス流量が「第3流量」であるテーブルを参照してS8の判断を行った場合、電磁弁回路91にガス流量を第3流量にする指示を行う。ガス流量を第3流量にする指示を受信した電磁弁回路91は、電磁弁61,62を閉鎖することで、火力調整機構30に流れるガス流量を第3流量にする。これにより、右バーナ5又は左バーナの火力が、強火力又は中火力から、弱火力になる。CPU71は、制御ガス流量が「第2流量」であるテーブルを参照してS8の判断を行った場合、電磁弁回路91にガス流量を第2流量にする指示を行う。ガス流量を第2流量にする指示を受信した電磁弁回路91は、電磁弁62を閉鎖することで、火力調整機構30に流れるガス流量を第2流量にする。これにより、右バーナ5の火力が、強火力から中火力になる。
CPU71は、ブザー回路88に指示を出し、圧電ブザー77を駆動して、異物の検出を報知する(S18)。また、CPU71は、操作パネル25の所定のLEDを点灯し、異物の検出を報知する。これにより、使用者は、コンロ1が異物を検出したこと、及び異物の検出に応じて右バーナ5又は左バーナの火力が低減制御されたことを認識できる。
CPU71は、光センサ4A〜4Kの検出信号の示す測定電圧値を夫々取得する(S19)。CPU71は、特定センサの対象バーナを特定する。CPU71は、特定センサが光センサ4A〜4D,4Jである場合、対象バーナが右バーナ5であると特定する。CPU71は、特定センサが光センサ4F〜4I,4Kである場合、対象バーナが左バーナ6であると特定する。CPU71は、特定センサが光センサ4Eである場合、右バーナ5の火力調整機構30にガスが流れていれば右バーナ5を、左バーナ6の火力調整機構30にガスが流れていれば左バーナ6を、夫々対象バーナとして特定する。CPU71は、右バーナ5と左バーナ6の双方の火力調整機構30にガスが流れている場合には、右バーナ5と左バーナ6を、対象バーナとして特定する。
CPU71は、S21の処理で取得した測定電圧値のうち、特定した対象バーナに対応する光センサ40の測定電圧値に基づく測定高さの全てが、各々の解除高さ以上の高さを示すかを判断する(S20)。このとき、CPU71は、S3の処理で取得したガス流量が第1流量であり、設定値テーブルを参照している場合、測定高さが第二解除高さ以上の高さを示す光センサ40があるかを判断する。CPU71は、S3の処理で取得したガス流量が第2流量であり、設定値テーブルを参照している場合には、測定高さが第一解除高さ以上の高さを示す光センサ40があるかを判断する。CPU71は、特定設定値テーブルを参照している場合には、測定高さが第一解除高さ以上の高さを示す光センサ40があるかを判断する。これらの判断により、特定センサを含む複数の光センサ40の測定高さが、第一解除高さ又は第二解除高さ以上の高さを示すか否かを判断する。
CPU71は、特定した対象バーナに対応する光センサ40の測定電圧値に基づく測定高さのうち1つでも解除高さ未満の高さを示す場合(S20:NO)、処理をS19へ戻す。対象バーナの火力調整機構30に流れるガス流量は、S17の処理で低減された流量に維持される。対象バーナの火力は、S17の処理に伴い低減された火力に維持される。
CPU71は、特定した対象バーナに対応する光センサ40の測定電圧値に基づく測定高さの全てが解除高さ以上の高さを示す場合(S20:YES)、対象バーナに対応する光センサ40の示す測定電圧値の変化を、解除確定時間の間監視する(S21)。この処理において、CPU71は、S20の処理で測定高さが第一解除高さ以上の距離を示すと判断している場合、第一解除確定時間の間、測定電圧値の変化を監視する。CPU71は、S20の処理で測定高さが第二解除高さ以上の距離を示すと判断している場合、第二解除確定時間の間、測定電圧値の変化を監視する。本実施形態では、第一解除確定時間及び第二解除確定時間が、ともに「1.0」秒である。例えば、第一解除確定時間を第二解除時間よりも長くする等、第一解除確定時間と第二解除確定時間とが異なる時間に設定されていてもよい。
CPU71は、監視する測定電圧値に基づく測定高さが解除高さ以上の高さを維持して、解除確定時間を経過するかを判断する(S22)。CPU71は、監視する測定電圧値に基づく測定高さが解除確定時間内の間、解除高さ以上の高さを維持しない場合(S22:NO)、処理をS19へ戻す。CPU71は、対象バーナに対応する光センサ40の測定電圧値に基づく測定高さの全てが解除高さ以上の高さを示し(S20:YES)、測定高さが解除高さ以上の高さを維持して解除確定時間を経過するまで(S22:YES)、S20〜S22の処理を繰り返す。
CPU71は、監視する測定電圧値に基づく測定高さが解除高さ以上の高さを維持して、解除確定時間を経過した場合(S22:YES)、ガス流量の復帰を電磁弁回路91に指示する(S23)。この処理において、CPU71は、S3の処理に伴いRAM73に記憶した電磁弁61,62の開放状況に基づいて、電磁弁回路91に指示を行う。CPU71は、電磁弁61,62の開放状況の記憶が、電磁弁61が開放し且つ電磁弁62が閉鎖していることを示す場合、電磁弁回路91に電磁弁61を開放してガス流量を第2流量にする指示を行う。指示を受信した電磁弁回路91は、電磁弁61を開放することで、火力調整機構30に流れるガス流量を第3流量から第2流量にする。これにより、右バーナ5又は左バーナの火力が、弱火力から中弱火力に復帰する。CPU71は、電磁弁61,62の開放状況の記憶が電磁弁61,62の双方が開放していることを示す場合、電磁弁回路91に電磁弁61,62の双方を開放してガス流量を第1流量にする指示を行う。指示を受信した電磁弁回路91は、電磁弁61,62の双方を開放することで、火力調整機構30に流れるガス流量を第2流量又は第3流量から第1流量にする。これにより、右バーナ5又は左バーナの火力が、中火力又は弱火力から、強火力に復帰する。
CPU71は、ブザー回路88に指示を出し、圧電ブザー77の駆動を停止して、異物検出の報知を解除する(S24)。また、CPU71は、操作パネル25の所定のLEDを消灯し、異物検出の報知を解除する。これにより、使用者は、コンロ1が異物の検出を終了したこと、及び異物の検出の終了に応じて右バーナ5又は左バーナの火力が復帰されたことを認識できる。CPU71は、制御回路70の備えるタイマ(図示略)を用いて、前述の第一経過時間の計測を開始する(S25)。
次いで、CPU71は、前述のS14の処理で計測が開始される第二経過時間を計測中であるかを判断する(S26)。CPU71は、第二経過時間を計測中でない場合(S26:NO)、処理をS1(図12参照)に戻す。CPU71は、第二経過時間を計測中の場合(S26:YES)、計測中の第二経過時間が所定時間(本実施形態では5秒)以上を示すかを判断する(S27)。CPU71は、第二経過時間が5秒未満である場合(S27:NO)、処理をS1に戻す。なお、5秒としている所定時間は一例であり、任意の時間を所定時間とされてもよい。
CPU71は、第二経過時間が5秒以上である場合(S27:YES)、S13の処理で変更した作動安定時間を、特定センサについて予め定められている作動安定時間に復帰させる変更を行う(S28)。これにより、特定センサに関連付けられている作動安定時間が、本来の作動安定時間に復帰するので、コンロ1の安全性が保たれる。その後、CPU71は、第二経過時間の計測を終了し(S29)、タイマの値をクリアする。CPU71は、処理をS1に戻す。
上記のようにガス流量制御処理が行われる場合、例えば、使用者が、鍋を五徳7,8に載置したときに、設定値テーブルの定義する作動範囲内を示す位置に柄が延びるような特殊な鍋を使用したいことがある。また、使用者は、コンロ1が異物を検出した場合に、右バーナ5又は左バーナ6の火炎が消火するように変更して、コンロ1の安全性をさらに高めたいと希望することがある。また、使用者は、作動高さ、作動安定時間等のコンロ1が異物を検出するための条件を、より厳しい条件に変更して、コンロ1の安全性をさらに高めたいと希望することがある。また、使用者の身長、コンロ1の使用目的等は様々であるので、作動高さ等を使用者の好みに応じて変更したいという要望があることが想定される。CPU71は、設計値変更処理(図14参照)を実行し、使用者の希望に応じて、設定値テーブル、特定設定値テーブルの定義する各種の設定値を、安全性を担保できる範囲で変更する処理を行う。CPU71は、電磁弁61〜63が閉鎖された状態で、設定値テーブル、特定設定値テーブルの定義する設定値を変更するための所定の操作入力を、操作パネル25を介して受信すると、ROM72から設計値変更処理を含む各種プログラムを読み出し、実行する。
図14に示すように、CPU71は、設計値変更処理を開始すると、いずれの光センサ40に関する設定値を変更するかを特定する(S31)。このとき、使用者は、光センサ40のうちいずれかを選択する操作入力を、操作パネル25のボタンを用いて行う。CPU71は、操作入力内容に応じたいずれかの光センサ40を特定する。
CPU71は、検出無効変更指示を受信したかを判断する(S32)。検出無効変更指示は、S31の処理で特定した光センサ40の出力する検出信号が示す測定電圧値に応じたガス流量制御処理を行わないこととするための指示である。CPU71は、検出無効変更指示を受信していない場合(S32:NO)、処理をS36に移行する。
CPU71は、検出無効変更指示を受信した場合(S32:YES)、S31の処理で特定した光センサ40が光センサ4D,4F,4J,4Kのいずれかであるかを判断する(S33)。CPU71は、光センサ40が光センサ4D,4F,4J,4Kのいずれかである場合(S33:YES)、処理をS36に移行する。前述のように、光センサ40のうち光センサ4D,4F,4J,4Kは、他の光センサ40よりも異物が容易に接近しやすい位置に配置されている。このような光センサ4D,4F,4J,4Kによる異物検出を無効にすることは、コンロ1の安全性担保の観点から好ましくない。したがって、CPU71は、光センサ4D,4F,4J,4Kについては検出無効変更を許可しないこととしている。
CPU71は、光センサ40が光センサ4D,4F,4J,4K以外の光センサ40である場合(S33:NO)、設定値テーブルにおいて対応する光センサ40に関連付けられている設定値を「−(定義なし)」に変更することで、検出無効変更を登録する(S35)。例えば、前述の特殊な鍋を使用した調理を行う場合等に、所定の光センサ40による異物の検出が行われないので、無用なガス流量低減制御が行われないようになる。設計値変更処理は、S32,S33,S35の処理を設けることで、実際の使用態様に応じた使い勝手のよいコンロ1を、使用者に提供できる。CPU71は、処理をS36に移行する。
CPU71は、コンロ1が異物を検出した場合に、右バーナ5又は左バーナ6の火炎が消火するように変更する指示を受信したかを判断する(S36)。CPU71は、コンロ1が異物を検出した場合に、右バーナ5又は左バーナ6の火炎が消火するように変更する指示を受信していない場合(S36:NO)、処理をS41に移行する。
CPU71は、右バーナ5又は左バーナ6の火炎が消火するように変更する指示を受信した場合(S36:YES)、設定値テーブルにおける制御ガス流量の項目を「ガス流量なし」に変更することで、右バーナ5又は左バーナ6の火炎を消火することを登録する(S38)。この処理において、CPU71は、制御ガス流量の項目のうち「第3ガス流量」のみを「ガス流量なし」に変更してもよいし、「第3ガス流量」及び「第2ガス流量」の双方を「ガス流量なし」に変更してもよい。CPU71は、制御ガス流量の項目のうち「第3ガス流量」のみを「ガス流量なし」に変更した場合、前述のガス流量制御処理におけるS18の処理で、電磁弁回路91にガス流量を第3流量にする指示に変えて、火力調整機構30にガスが流れないようにするための指示を電磁弁回路91に行う。火力調整機構30にガスが流れないようにするための指示を受信した電磁弁回路91は、電磁弁61〜63を閉鎖することで、火力調整機構30にガスが流れないようにする。CPU71は、制御ガス流量の項目のうち「第3ガス流量」及び「第2ガス流量」の双方を「ガス流量なし」に変更した場合、S18の処理で、電磁弁回路91にガス流量を第2流量にする指示を送信する処理も、火力調整機構30にガスが流れないようにするための指示を電磁弁回路91に行う処理に変更する。設計値変更処理は、S36,S38の処理を設けることで、コンロ1が異物を検出した場合に、右バーナ5又は左バーナ6の火炎を消火させてコンロ1の安全性をさらに高めたい使用者の要望に応えることができる。CPU71は、処理をS41に移行する。
CPU71は、作動高さを変更する指示を受信したかを判断する(S41)。CPU71は、作動高さを変更する指示を受信していない場合(S41:NO)、処理をS51に移行する。CPU71は、作動高さを変更する指示を受信した場合(S41:YES)、使用者が操作パネル25を介して入力する作動高さの変更候補値を取得する(S43)。
CPU71は、取得した変更候補値が、変更が許容される範囲内の値であるかを判断する(S43)。使用者が作動高さを変更することで、コンロ1の安全性が損なわれるようなことを避けるため、コンロ1は、作動高さを変更できる変更許容範囲を予め定めている。本実施形態では、CPU71は、変更候補値として、作動高さを示す候補値を取得する。変更許容範囲は、初期設定として設定値テーブルに定められている作動高さに対して、±20mmに定められている。加えて、作動高さが変更されることで異物に右バーナ5又は左バーナ6の火炎が着火しやすくなることを防ぐため、変更許容範囲は、変更可能な作動高さの下限を「70mm」と定めている。この処理で、CPU71は、取得した変更候補値が、S31の処理で特定された光センサ40について設定値テーブルが定義する作動高さに対して変更許容範囲にあるかを判断する。この変更許容範囲は光センサ40の配置等に応じて、任意に設けられてよい。
CPU71は、取得した変更候補値が、変更許容範囲内の値である場合(S43:YES)、設定値テーブルにおいて対応する光センサ40に関連付けられている設定値を、変更候補値に変更することで、新たな作動高さを設定値テーブルに登録する(S45)。CPU71は、処理をS51に移行する。CPU71は、取得した変更候補値が、変更許容範囲内の値でない場合(S43:NO)、S45の処理を行わず、処理をS51に移行する。設計値変更処理は、S41,S42,S43,S45の処理を設けることで、コンロ1の安全性が担保される範囲内で、コンロ1の異物検出条件の変更を使用者に許容してコンロ1の使い勝手を向上できる。
CPU71は、作動安定時間を変更する指示を受信したかを判断する(S51)。CPU71は、作動安定時間を変更する指示を受信していない場合(S51:NO)、設計値変更処理を終了する。CPU71は、作動安定時間を変更する指示を受信した場合(S51:YES)、使用者が操作パネル25を介して入力する作動安定時間の変更候補値を取得する(S52)。
CPU71は、取得した変更候補値が、変更が許容される範囲内の値であるかを判断する(S53)。使用者が安定時間を変更することで、コンロ1の安全性が損なわれるようなことを避けるため、コンロ1は、安定時間を変更できる変更許容範囲を予め定めている。本実施形態では、CPU71は、変更候補値として、作動安定時間を示す候補値を取得する。変更許容範囲は、初期設定として設定値テーブルに定められている作動安定時間に対して、±0.2秒に定められている。加えて、作動安定時間が変更されることで異物に右バーナ5又は左バーナ6の火炎が着火しやすくなることを防ぐため、変更許容範囲は、変更可能な作動高さの上限を「0.5秒」と定めている。この処理で、CPU71は、取得した変更候補値が、S31の処理で特定された光センサ40について設定値テーブルが定義する作動安定時間に対して変更許容範囲にあるかを判断する。この変更許容範囲は光センサ40の配置等に応じて、任意に設けられてよい。
CPU71は、取得した変更候補値が、変更許容範囲内の値である場合(S53:YES)、設定値テーブルにおいて対応する光センサ40に関連付けられている設定値を、変更候補値に変更することで、新たな作動安定時間を設定値テーブルに登録する(S55)。その後、CPU71は、設計値変更処理を終了する。CPU71は、取得した変更候補値が、変更許容範囲内の値でない場合(S53:NO)、S55の処理を行わず、設計値変更処理を終了する。設計値変更処理は、S51,S52,S53,S55の処理を設けることで、コンロ1の安全性が担保される範囲内で、コンロ1の異物検出条件の変更を使用者に許容してコンロ1の使い勝手を向上できる。
以上説明したように、コンロ1は、バーナの外方に光センサ40を配置している。
コンロ1の使用者が右バーナ5及び左バーナ6を用いて調理等を行う場合、例えば、右バーナ5及び左バーナ6に対して異物が接近しやすい位置が、一定の範囲に定まることがある。コンロ1では、中火力の火炎が形成された右バーナ5又は左バーナ6から所定距離以内に異物が接近すると、異物に火炎が着火する可能性が高くなる。一方で、例えば、調理中には、フライパン等の片手鍋の柄が光センサ4B,4Hの上方において、光センサ4B,4Hから100mm付近の位置に配置されやすい。設定値テーブルは、コンロ1における光センサ4A〜4Kの配置に適した作動高さを定義する。コンロ1は、設定値テーブルに基づいてガス流量を低減する制御を行う(S17)。これにより、コンロ1は、光センサ40を用いてコンロ1の安全性を向上しつつ、無用なガス流量の低減制御の実行を回避し、コンロ1の使い勝手を向上できる。
例えば、右バーナ5又は左バーナ6に近接して異物が配置される場合、右バーナ5又は左バーナ6の火力が強いときには、火力が弱いときよりも、異物に着火する可能性が高くなる。設定値テーブルは、制御ガス流量が第3ガス流量であるか、第2ガス流量であるかに応じて、異なる作動高さを定義している。よって、コンロ1は、光センサ40の配置と、右バーナ5及び左バーナ6に生じている火力とに応じて、ガス流量の低減制御を行うことができる。
例えば、調理内容に応じた火力制御のパターンを有する調理モードがコンロに設けられる場合、設定される調理モードの種類に応じて、使用者の着衣の一部等の異物がバーナに近接しやすくなるパターンが変化することがある。本実施形態では、「炊飯モード」及び「湯沸しモード」が用いられる場合、炊飯又は湯沸しが完了するまでの間、使用者が右バーナ5又は左バーナ6の火力を調節したり、被調理物を菜箸で混ぜたりする必要がないので、異物が右バーナ5又は左バーナ6に接近することが起こりにくい。よって、特定設定値テーブルは、設定値テーブルにおける制御ガス流量が「第2流量」であるテーブルに相当するテーブルを備えない。これにより、コンロ1は、特定モードが設定されている場合には、ガス流量を第1流量又は第2流量から第3流量にするガス流量の低減制御を行い、ガス流量を第1流量から第2流量にする低減制御については省略している。このように、コンロ1は、光センサ40の配置に応じた火力の制御を、調理モードに応じた内容で実行できるので、コンロ1の使い勝手が向上する。
鍋等の調理器具の大きさ、形状等は様々であり、コンロの使用者の身長等もさまざまである。コンロ1は、操作パネル25を備え、操作パネル25を介して様々な操作入力を受け付けることができる。CPU71は、操作パネル25を介して、作動高さの変更候補値を取得する(S43)。取得した変更候補値が、変更許容範囲内の値である場合(S43:YES)、設定値テーブルにおいて対応する光センサ40に関連付けられている設定値を、変更候補値に変更する(S45)。これにより、コンロ1は、コンロ1の安全性が担保される範囲内で、コンロ1の異物検出条件の変更を使用者に許容してコンロ1の使い勝手を向上できる。よって、コンロ1は、使用者のコンロ1の使用の実態に即した着衣着火防止を実行できる。
コンロ1は、このようにして行われる異物の検出時に、ガス流量を低減することで、右バーナ5と左バーナ6の火力を弱めることができるので、着衣着火等を未然に防止できる。
本実施形態において、コンロ1が、本発明の「コンロ」に相当する。右バーナ5、左バーナ6が、本発明の「バーナ」に相当する。発光素子41が、本発明の「送信部」に相当する。受光素子44が、本発明の「受信部」に相当する。赤外光が、「送信波」、「反射波」の一例である。異物が、「測定対象」の一例である。光センサ40が、本発明の「センサ」に相当する。光センサ4A〜4Kの夫々に関連付けて、作動高さに基づく作動範囲を定義する設定値テーブル、特定設定値テーブルを記憶する不揮発性メモリ64が、本発明の「第一設定手段」に相当する。作動範囲が、本発明の「第一範囲」に相当する。S8の処理を実行するCPU71が、本発明の「第一判断手段」として機能する。S3の処理を実行するCPU71が、本発明の「火力取得手段」として機能する。調理モードテーブルを記憶する不揮発性メモリ64が、本発明の「調理モード定義手段」に相当する。S2の処理を実行するCPU71が、本発明の「第二設定手段」として機能する。操作パネル25が、本発明の「受付部」に相当する。S45の処理を実行するCPU71が、本発明の「変更手段」として機能する。ガス供給管27が、本発明の「ガス通路」に相当する。電磁弁61〜63が、本発明の「弁」に相当する。電磁弁回路91が、本発明の「弁作動手段」に相当する。
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。コンロ1は右バーナ5及び左バーナ6を有する、所謂2口ガスコンロを例に挙げたが、右バーナ5及び左バーナ6に加えて他のバーナを有する、所謂3口以上のガスコンロであってもよい。コンロ1はビルトインタイプに限らず、テーブルコンロであってもよいし、ガスの供給がカセット式の小型コンロであってもよい。
光センサ4A〜4Kは、筐体2内でトッププレート3の下側に配置されたが、上下方向の高さが低いセンサであれば、トッププレート3上に配置されてもよい。トッププレート3はガラス板11を用いたものでなくてもよい。光センサ4A〜4Kは、平面視で、筐体2の開口部2Aの外側に配置されてもよい。光センサ40は、赤外光による反射型の測距センサを用いたが、超音波による反射型センサであってもよいし、レーダ電波で異物との距離を検出するセンサであってもよい。
上記説明では、光センサ40の測定高さに応じて、CPU71がガス流量を第1流量から第2流量又は第3流量に低減する例を示したが、CPU71は、ガス流量を第1流量から第2流量を経て段階的に第3流量に低減してもよい。また、CPU71は、ガス流量の低減制御において、ガス流量を「0」にしてもよい。
操作パネル25は、複数のボタン、LED等の他、液晶画面を備えてもよい。操作パネル25が液晶画面を備える場合、コンロ1は、異物の検出の報知を液晶画面の表示によって行ってもよい。
光センサ4A〜4K夫々の作動高さ、作動安定幅、作動安定時間、解除高さ、解除確定時間は一例に過ぎず、設定値テーブル及び特定設定値テーブルにおいて任意に設定できる。また、光センサ4A〜4Kの配置位置も一例に過ぎない。例えば右バーナ5と左バーナ6の夫々の周方向に並ぶ光センサ40を径方向に2重、3重に設け、設定値テーブル及び特定設定値テーブルは、光センサ40の配置に応じた作動安定幅、作動安定時間、解除高さ、解除確定時間を様々に定義してもよい。
CPU71は、S26の処理において、S3の処理に伴いRAM73に記憶した電磁弁61、62の開放状況に基づいて、復帰すべきガス流量を電磁弁回路91に指示しているが、この処理はガス流量復帰の一例である。ガス流量の復帰において、S26の時点における電磁弁61,62の開放状況に応じて、復帰させるべきガス流量が決定されてもよい。なお、電磁弁61,62の開放状況は、電磁弁61,62への通電の状況によって判断されてもよい。
なお、本実施形態において、作動範囲は、トッププレート3の上面から作動高さまでの範囲とした。一方で、ガス流量制御処理では、作動高さを基準に火力を弱める処理を行った。このことは、火力を弱める制御の対象となる範囲に、作動範囲だけでなく、トッププレート3の下方に位置する光センサ40から、トッププレート3の上面までの高さの範囲が含まれることになる。しかしながら、コンロ1の使用において、トッププレート3の下側に異物が位置することはない。故に、仮に、作動高さ以下の高さ、即ち光センサ40から作動高さまでの範囲を作動範囲とした場合でも、実質的には、トッププレート3の上面から作動高さまでの範囲が作動範囲を示すものと見做すことができる。
もちろん、ガス流量制御処理において、作動範囲を基準に火力を弱める処理を行ってもよい。作動高さは、作動範囲の上限側の高さである。故に、作動範囲に下限側の高さを設定してもよい。この場合、S7、S9、S57の処理において、CPU71は、光センサ40の測定高さが、作動範囲内か否か判断すればよい。具体的には、S7、S57の処理において、CPU71は、測定高さが作動範囲の下限側の高さ以上であり、且つ第一作動高さ以下である光センサ40があるかないかを判断すればよい。同様に、S9の処理において、CPU71は、測定高さが作動範囲の下限側の高さ以上であり、且つ第二作動高さ以下である光センサ40があるかないかを判断すればよい。
上記記載は、解除高さと非解除範囲との関係についても同様である。従って、仮に、解除高さ未満の高さ、即ち光センサ40から解除高さ未満の範囲を非解除範囲とした場合でも、実質的には、トッププレート3の上面から解除高さ未満の範囲が非解除範囲を示すものと見做すことができる。そして上記同様、ガス流量制御処理において、非解除範囲を基準に火力をもとに戻す処理を行ってもよい。この場合、S35、S65の処理では、CPU71は、光センサ40の測定高さが、非解除範囲外か否か判断すればよい。具体的には、S35の処理において、CPU71は、測定高さが非解除範囲の下限側の高さより高く、且つ第一解除高さ未満である光センサ40があるかないかを判断すればよい。同様に、S65の処理において、CPU71は、測定高さが非解除範囲の下限側の高さより高く、且つ第二解除高さ未満である光センサ40があるかないかを判断すればよい。
上記実施形態では、コンロ1は第一作動安定幅を一律に「±10」mmと、第二作動安定幅を一律に「±30」mmと定義している。コンロ1は、第一作動高さが120mmである光センサ4A,4D〜4G,4I〜4Kの第一作動安定幅を、第一作動高さが70mmである光センサ4B,4Hの第一作動安定幅よりも大きな幅に定義してもよい。同様に、コンロ1は、第二作動高さが150mmである光センサ4A,4Cの第二作動安定幅を、第二作動高さが150mmである光センサ4Cの第二作動安定幅よりも大きな幅に定義してもよい。
CPU71は、設定値変更処理において、S35,S38,S45,S55の各処理において、設定値テーブル、特定設定値テーブルに登録されている設定値を変更するが、S35,S38,S45,S55の全ての処理が行われる必要はない。コンロ1は、コンロ1の使い勝手の向上の度合いに応じて、S35,S38,S45,S55のいずれかを選択して実行してもよい。また、コンロ1は、設定値変更処理において、操作パネル25を介して変更候補値等を取得しているが、コンロ1がリモートコントローラ等からの信号を受信できる受信部等のその他の受付部を備える場合には、その受付部を介して変更候補値等を取得してもよい。
コンロ1は、火力制御のパターンに応じて、特定モードに属する調理モードを任意に定めてもよい。上記の特定設定値テーブルは、火力制御のパターンに応じて、作動高さ、作動安定幅、作動安定時間、解除高さ、解除確定時間を、任意に定義してもよい。調理モードのモード種類は、上記のものに限定されず、様々に設けられてもよい。
CPU71は、特定センサを含む対象バーナに対応する全ての光センサ40による測定高さが、夫々の光センサ40の解除高さ以上の高さを示すことを条件に、ガス流量を復帰する必要はない。例えば、特定センサに加えて、光センサ40のうち解除高さが他の光センサ40よりも大きく定義されている等、異物検出における重要度の高い光センサ40による測定高さが、解除高さ以上の高さを示すことを条件に、ガス流量が復帰されてもよい。また、特定センサに近接配置される1以上の光センサ40による測定高さが、夫々の光センサ40の解除高さ以上の高さを示すことを条件に、ガス流量が復帰されてもよい。すなわち、特定センサを含む2以上の光センサ40による測定高さが、夫々の光センサ40の解除高さ以上の高さを示すことを条件に、ガス流量が復帰されればよい。
CPU71は、S13の処理で、設定値テーブル及び特定設定値テーブルにおいて特定センサに関連付けられている作動安定幅を、予め定められている幅よりも短く変更してもよい。この場合、調理中の使用者の腕等が図8(B)に示す領域Rのうち検出範囲Pに重なる領域に位置するか否かが、従前よりも厳しく判断されるので、コンロ1は、調理中の使用者の腕等を、右バーナ5又は左バーナ6へ接近する異物とみなし難くなる。これにより、コンロ1は、無用なガス流量の低減及び復帰を繰り返すことを回避できる。また、コンロ1は、S11において第一経過時間が所定の時間よりも短いと判断された場合に、S17のガス流量低減制御を行わないこととしてもよい。