以下、本発明の実施形態を説明する。以下に記載される装置の構造などは、特定的な記載がない限り、それのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例である。図面は、本発明が採用しうる技術的特徴を説明する為に用いられるものである。
図1,図2を参照し、コンロ1の構造を説明する。コンロ1は、ビルトインコンロである。コンロ1は筐体2と天板3を備える。天板3はガラス製である。天板3の左側には左バーナ4、右側には右バーナ5が設けられる。左バーナ4と右バーナ5はコンロバーナの一例である。天板3の後端側には、グリル用の排気口7が設けられる。天板3の全体には、非透過性の印刷が施される。左バーナ4の前側には、平面視略円弧状のセンサ用窓部15が設けられ、右バーナ5の前側には、平面視略円弧状のセンサ用窓部16が設けられる。天板3の前側部の左右方向中央部にも、平面視略矩形状のセンサ用窓部17が設けられる。センサ用窓部15~17は透過性を有する領域であり、上方から見た場合に天板3下方を透過する(図2参照)。センサ用窓部15の下方には、左から右に4つのセンサ31~34が夫々配置される。センサ用窓部16の下方には、左から右に4つのセンサ35~38が夫々配置される。センサ用窓部17の下方には、1つのセンサ39が配置される。これら9つのセンサ31~39(以下総称する場合は「センサ30」と呼ぶ)は、上方に位置する異物までの距離を測定可能な一般的な測距センサであり、例えば赤外線センサである。
天板3上において、センサ用窓部15の前側には、左バーナ4を操作する為の左操作部11が設けられる。センサ用窓部16の前側には、右バーナ5を操作する為の右操作部12が設けられる。センサ用窓部17の前側には、グリルを操作する為のグリル操作部13が設けられる。左操作部11には、静電容量方式の種々のスイッチ、表示部等が配置され、例えば、点火/消火スイッチ21、火力減スイッチ22、火力増スイッチ23が配置される。点火/消火スイッチ21は、左バーナ4の点火と消火を受け付ける。火力減スイッチ22は、指先でタッチされる度に、左バーナ4の火力を段階的に小さくする。火力増スイッチ23、指先でタッチされる度に、左バーナ4の火力を段階的に大きくする。火力減スイッチ22と火力増スイッチ23は指先のタッチを感知し、該感知信号を後述する制御回路70(図6参照)に入力する。制御回路70は感知信号に応じ、後述するガス供給機構50(図4参照)においてガス量を増減し、対応する左バーナ4へのガス供給量を調節する。なお、右操作部12にも同様のスイッチ、表示部等が配置される。
筐体2の前面の右上角部近傍には、電源スイッチ19が設けられる。筐体2の前面の中央部には、グリル扉8が設けられる。グリル扉8は手前側に移動可能に支持され、筐体2内部に設けられるグリル庫(図示略)の前側の開口部を開閉する。グリル庫内には、グリルバーナ(図示略)が設けられる。
図3を参照し、センサ30の構造と機能を説明する。センサ30は、センサ筐体300を備える。センサ筐体300は上部が開口する有底筒状であり、天板3の下面に支持される。センサ筐体300は内側に発光部41と受光部42を収容する。発光部41と受光部42の間には、仕切壁302が設けられる。発光部41は上方に向けて赤外光を発光する。受光部42は、発光部41が発光した赤外光が異物に反射した反射光を受光する。センサ30は、受光部42が受光した反射光の強度に基づき、三角測距方式を応用して異物までの距離を測定する。
センサ30は、対応するセンサ用窓部15~17の上方に異物(例えば、使用者の身体の一部等)が進入した場合、その異物で反射した反射光を、センサ用窓部15~17を介して受光部42で受信し、異物までの距離を測定する。センサ30は、測定した異物までの距離を距離信号として、後述するセンサ入力回路85(図6参照)に向けて出力する。制御回路70のCPU71は受信した距離信号に基づき、検出した異物の高さが所定高さ範囲内であると判断した場合に、異物有りと判定する。
図4を参照し、左バーナ4のガス供給機構50の構造を説明する。なお、右バーナ5のガス供給機構は、左バーナ4のガス供給機構50と同様の構成であるので、説明を省略する。ガス供給機構50は、ガスが流れる方向の上流側から順に、ガス供給管51、バルブ機構部52、ガス調節機構53、制御モータ54、ガス供給管55、ガス調節機構56等を備える。ガス供給管51の上流側の一端部には、元ガス電磁弁511が設けられる。バルブ機構部52は、ガス供給管51の下流側の一端部に接続される。バルブ機構部52は内部にガス流路を備え、該ガス流路において、ガスが流れる方向の上流側から順に、セーフティバルブ521とメインバルブ522を備える。
ガス調節機構53は、バルブ機構部52の下流側に接続され、ガス流路531とニードル弁532を備える。ガス流路531は、バルブ機構部52のガス流路に接続される。ニードル弁532は、ガス流路531の出口付近に移動可能に設けられ、弁の開度が連続的に調節されることで、ガス流路531を流れるガス量を連続的に調節可能である。制御モータ54は、セーフティバルブ521、メインバルブ522、ニードル弁532の駆動源であり、制御回路70のCPU71(図6参照)によって制御される。制御モータ54の出力軸には、角度検出センサ541と、原点用マイクロスイッチ542が設けられる。角度検出センサ541は、制御モータ54の出力軸の回転角度を検出する。原点用マイクロスイッチ542は、制御モータ54の原点検出用のマイクロスイッチである。ガス供給管55は、ガス流路531の出口に接続され、左バーナ4に向けて延設される。ガス供給管55の下流側の一端部には、ノズル551が設けられる。ノズル551は、左バーナ4のバーナ本体400に設けられたガス流入部401に対向配置される。
ガス調節機構56は、ガス供給管55の途中に設けられ、バイパス管561、電磁弁562、弱用バイパスニードル563等を備える。バイパス管561の一端部は、ガス供給管55の途中に設けられた分岐部61に接続され、他端部は、分岐部61の下流側に設けられた合流部62に接続される。これにより、ガス供給管55を流れるガスの一部は、分岐部61からバイパス管561に流れ、合流部62においてガス供給管55を流れるガスと合流する。電磁弁562は、バイパス管561に設けられる。弱用バイパスニードル563は、ガス供給管55の分岐部61と合流部62の間に設けられ、ガス供給管55の流路面積を狭めることによって、ガス流量を最小流量に調節する。なお、「最小流量」とは、ガス流量の調整可能範囲において予め設定される最小の流量を意味し、例えば、左バーナ4が失火しない程度に最弱な最小火力(例えば、とろ火)となるように最小流量を設定するとよい。
ガス供給機構50の動作を説明する。左バーナ4の点火前、セーフティバルブ521、メインバルブ522は、機械的に閉じられた状態である。ニードル弁532と電磁弁562は、開放側に維持された状態である。使用者が点火/消火スイッチ21にタッチすると、元ガス電磁弁511が開き、制御モータ54に通電される。制御モータ54が駆動することで、セーフティバルブ521とメインバルブ522が押し込まれ、ガス流路が開放される。ガスは、バルブ機構部52のガス流路からガス調節機構53のガス流路531を流れ、ガス供給管55に流れる。ガスは、ガス供給管55のノズル551から噴出する。噴出されたガスは、周囲の空気を巻き込みながら、ガス流入部401からバーナ本体400内に流入し、空気と混合される。空気と混合された混合ガスは、左バーナ4の炎孔部に供給される。制御モータ54の駆動と同時にイグナイタ27が作動し、炎孔部から噴出されるガスに点火される。左バーナ4は燃焼状態になる。熱電対26が火炎を検出すると、例えば、点火/消火スイッチ21に設けられたランプ(図示略)が点灯する。
使用者による火力減スイッチ22と火力増スイッチ23のタッチ操作に応じて、コンロ1は、制御モータ54を正逆方向に回転する。制御モータ54の回転軸の動力は、ギア機構543によって、ニードル弁532の開度を調節する動力に変換される。ギア機構43は、ギアやカム等を備える動力伝達機構であって、例えば、特開2015-36593号公報に記載の機構を適用するとよい。ガス調節機構53は、制御モータ54を制御し、ニードル弁532の開度を連続的に調節することによって、左バーナ4の火力を連続的且つ緩やかに調節可能である。
なお、ガス調節機構53におけるニードル弁532の開度が火力減スイッチ22と火力増スイッチ23のタッチ操作で調節された調節開度であって、ガス調節機構56の電磁弁562が開状態であるとき、ガス調節機構53,56で統合して調節されるガス流量に対応するバーナ火力は、火力減スイッチ22と火力増スイッチ23の操作によって設定される設定火力である。
異物検出時におけるガス供給機構50の一般動作を説明する。本実施形態では、後述するように、複数のセンサ30を用いて、燃焼状態のコンロバーナの前側において異物の進入を検出した場合、燃焼状態のコンロバーナの火力を瞬間的に絞る制御を行う。例えば、燃焼状態の左バーナ4の火力を瞬間的に絞る為に、コンロ1は、ガス調節機構56の電磁弁562を閉じる。これにより、バイパス管561が瞬間的に遮断されるので、ガス供給管55から左バーナ4に向けて流れるガス流量は、弱用バイパスニードル563によって、最小流量に調節される。よって、燃焼状態の左バーナ4の火力は瞬間的に最小火力に調節される。これにより、異物着火の危険性を回避できる。
なお、使用者が左バーナ4を消火する為、点火/消火スイッチ21に再度タッチすると、コンロ1は、制御モータ54を逆回転させる。これにより、バルブ機構部52のセーフティバルブ521とメインバルブ522は逆向きに駆動され、元ガス電磁弁511が閉じられ、ガス流路が閉じられる。このようにして、左バーナ4へのガス供給が遮断されて消火される。点火/消火スイッチ21のランプ(図示略)は消灯する。よって、使用者は左バーナ4が消火されたことを認識できる。
図5を参照し、コンロバーナの火力に応じて変化する着火危険範囲を説明する。着火危険範囲とは、コンロバーナの火炎が異物(衣服等)に着火する危険性がある範囲である。ここでは、左バーナ4の火炎で説明する。例えば、図5(1)に示すように、左バーナ4で調理鍋91を加熱している状態で、大火力時においては、着火危険範囲の高さはH1である。H1は天板3からの高さである。これに対し、図5(2)に示すように、小火力時においては、火炎が小さくなるので、着火危険範囲の高さはH1よりも低いH2となる。ここで仮に、全ての火力において、異物の有無を判定する為の高さの閾値をH1に設定した場合、着火の危険性は低減されるが、小火力時において、着火危険範囲ではない範囲に異物が進入した場合でも火力が絞られてしまうので、使い勝手が悪い。そこで、本実施形態のコンロ1では、後述する火力制御処理(図7、図8)を実行することで、火力に合わせて判定値を変更する。例えば、大火力時にはH1を判定値とし、小火力時にはH1よりも低いH2を判定値として設定する。そして、異物検出時には一旦火力を最小火力まで絞り、安全性を確保した上で、異物の高さを再判定し、その高さに合わせた安全火力まで復帰させる制御を行う。
図6を参照し、コンロ1の電気的構成を説明する。コンロ1は、制御回路70を備える。制御回路70は、CPU71、ROM72、RAM73、不揮発性メモリ74等を備える。CPU71は、コンロ1の各種動作を統括制御する。ROM72は、例えば、火力制御プログラムを含む各種プログラム等を記憶する。火力制御プログラムは、後述する火力制御処理(図8、図9参照)を実行するものである。RAM73は、各種情報を一時的に記憶する。不揮発性メモリ74は、バーナ火力情報、後述する安全火力情報テーブル741(図7参照)を含む各種情報等を記憶する。バーナ火力情報とは、制御モータ54の出力軸の回転角度とバーナ火力とを対応づけた情報である。
制御回路70には、電源回路81、サーミスタ入力回路82、熱電対入力回路83、イグナイタ回路84、左操作部11、右操作部12、グリル操作部13、センサ入力回路85、ブザー回路86、モータ回路87、電磁弁回路88、センサ入力回路89等が電気的に各々接続されている。電源スイッチ19が押下されると、電源回路81は、電源18から供給される交流(例えば100V)を直流(例えば5V)に降圧して整流し、各種回路に電力を供給する。コンロ1の電源はオンする。使用者によって電源スイッチ19が再押下されると、電源回路81は、各種回路への電力供給を遮断する。コンロ1の電源はオフする。
サーミスタ入力回路82は、左バーナ4及び右バーナ5に設けられたサーミスタ25(図4参照)からの検出信号を、制御回路70に入力する。熱電対入力回路83は、熱電対26からの検出値(熱起電力に対応する信号)を、制御回路70に入力する。イグナイタ回路84は、CPU71からの制御信号に基づき、対応するバーナのイグナイタ27を駆動する。左操作部11、右操作部12、グリル操作部13は、使用者のタッチ操作を感知し、該感知信号を制御回路70に入力し、制御回路70からの制御信号に基づき、左操作部11及び右操作部12の表示部にタイマ時間等を表示する。
センサ入力回路85は、センサ31~39からの距離信号を制御回路70に入力する。ブザー回路86は、CPU71の制御信号に基づき、圧電ブザー77を駆動する。モータ回路87は、CPU71からの制御信号に基づき、制御モータ54の駆動を制御する。電磁弁回路88は、CPU71からの制御信号に基づき、電磁弁562の開閉を制御する。センサ入力回路89は、角度検出センサ541からの各検出信号を、制御回路70に入力する。CPU71は、角度検出センサ541からの検出信号に基づき、制御モータ54の出力軸の回転角度を認識する。CPU71は認識した制御モータ54の出力軸の回転角度と、バーナ火力情報とに基づき、対応するバーナ火力を特定できる。
図7を参照し、安全火力情報テーブル741を説明する。安全火力情報テーブル741は、不揮発性メモリ74に記憶され、センサ30によって検出される異物の高さに応じた安全火力の情報を記憶する。安全火力とは、異物の高さに対して、着火する危険性の低い安全な火力を意味する。安全火力情報テーブル741には、例えば6つの異物の高さ範囲(cm)に対して、これらに対応する安全火力F1~F6が夫々設定される。0~5(cm)の高さ範囲に対して、安全火力F1が設定される。安全火力F1は異物検出時に絞られる最小火力である。異物の高さ範囲が高くなるにつれ、安全火力はF2、F3・・・の順に大きくなる。なお、異物の高さが例えば30cmを超えている場合、左バーナ4を最大火力に調整しても安全であることから、安全火力は設定されない。
図8~図10を参照し、火力制御処理を説明する。なお、図8のフローチャート中、S12に戻る「2」の矢印は、後述する第一変形例で使用する。電源スイッチ19でコンロ1の電源をオンすると、CPU71は9つのセンサ30の電源をオンする。例えば、使用者が左バーナ4で調理を行う場合、調理鍋を五徳上に載置し、左操作部11の点火/消火スイッチ21にタッチすると、ガス供給機構50の上記動作によって、左バーナ4にガスが供給され、イグナイタ27によって点火される。このときのニードル弁532は最大開度に維持された状態であり、電磁弁562も開放側に維持された状態である。よって、左バーナ4の火力は設定火力となる。左バーナ4の炎孔部に形成された火炎は、熱電対26により検出される。左バーナ4の火炎が検出されると、CPU71は、ROM72から火力制御プログラムを読出し、本処理を実行する。
図8に示すように、CPU71は初期化処理を行い、異物の有無を判定する為の高さの閾値である判定値Aを設定する(S10)。判定値Aは初期値であり、不揮発性メモリ74に予め記憶する。判定値Aは、例えば図5に示す着火危険範囲の高さH1である。使用者が火力減スイッチ22と火力増スイッチ23のタッチ操作によって左バーナ4の火力を変更した場合、CPU71は左バーナ4の火力に合わせて判定値を変更する(S11)。CPU71は点火された左バーナ4に対応するセンサ31~34と、中央のセンサ39より距離信号(測定電圧値)を取得する(S12)。CPU71は、例えば所定回数(例えば4回)、各センサ31~34、39から距離信号を夫々取得し、所定数の距離の平均値を算出し、各センサ31~34、39において異物までの距離を夫々特定するとよい。
CPU71は、異物の高さが判定値以下のセンサ30が有るか判断する(S13)。判定値以下のセンサ30が無い場合(S13:NO)、CPU71は、火力減スイッチ22と火力増スイッチ23のタッチ操作によって調節される設定火力に調整する(S21)。この時もCPU71は、設定火力に合わせて判定値を変更する。CPU71は、使用者が点火/消火スイッチ21にタッチして消火操作を行ったか判断する(S22)。消火操作が行われた場合(S22:YES)、CPU71は左バーナ4を消火し(S23)、本処理を終了する。消火操作が行われない場合(S22:NO)、CPU71はS12に戻り、各センサ31~34、39から距離信号を再取得し、異物の進入を監視する。
図10(1)に示すように、例えば、判定値をAとし、調理鍋95を左バーナ4の五徳に載置した状態で、左バーナ4を点火した場合、調理鍋95の取手96の高さは、S11で設定した判定値A以下(S13:YES)である。この場合、図10(2)に示すように、着火危険範囲内に異物が進入したとして、CPU71は、ガス調節機構56の電磁弁562を閉じ、左バーナ4の火力を瞬時に最小火力に絞る(S14)。続いて、CPU71は、検出している取手96の高さを正確に測定する為、各センサ31~34、39から距離信号を再取得する(S15)。CPU71は再取得した距離信号に基づき、取手96の高さを算出する。
図10(3)に示すように、取手96の高さがH3であった場合、CPU71は、安全火力情報テーブル741を参照し、取手96の高さH3に合わせた安全火力まで復帰させる(S17)。例えば、取手96の高さH3が12(cm)であった場合、CPU71は、12(cm)に対応する安全火力F3まで復帰させればよい。これにより、使用者は、調理鍋95の取手96が異物として検出されて、危険回避の為に火力が最小火力まで絞られても、その後、取手96に合わせた安全火力に復帰するので、安全性を確保しつつ使い勝手を向上できる。この時もCPU71は、安全火力に合わせて判定値を変更する。
続いて、CPU71は、各センサ31~34、39から距離信号を再取得する(S18)。CPU71は検出されている異物の高さは同じか否か判断する(S19)。なお、「異物の高さが同じ」とは、同一位置に限らず、例えば、その異物の高さを含む所定高さ範囲内であれば、高さが同じと判断してもよい。例えば、異物の高さがH3であれば、安全火力F3に対応する高さ範囲である10.1~15cmの範囲内であれば、同一高さと判断してもよい。異物の高さが異なる場合(S19:NO)、最初に検出された異物とは異なる異物が検出されたか、異物の位置が動いた可能性が高い。そこで、CPU71は再び異物の高さが判定値以下のセンサ30が有るか判断する(S24)。判定値以下のセンサ30が無い場合(S24:NO)、CPU71はS12に戻り、処理を繰り返す。一方、判定値以下のセンサ30が有る場合(S24:YES)、CPU71は左バーナ4の火力を最小火力に絞る(S25)。CPU71は、各センサ31~34、39から距離信号を再取得し(S26)、S24に戻って、異物の高さが判定値を超えるまで、処理を繰り返す。
一方、異物の高さが同じ場合(S19:YES)、CPU71は安全火力に戻した状態で、S18で異物を検出してから所定時間以上経過したか判断する(S20)。異物の高さが同じ状態で(S19:YES)、所定時間以上経過するまで(S20:NO)、CPU71はS18に戻り、処理を繰り返す。
異物の高さが同じ状態で所定時間以上経過した場合(S20:YES)、図9に示すように、CPU71は、使用者の火力減スイッチ22と火力増スイッチ23のタッチ操作による火力操作が有るか否か判断する(S31)。火力操作が有った場合(S31:YES)、その火力操作は安全火力よりも火力を大きくする火力大操作であるか否か判断する(S32)。火力操作が安全火力よりも弱い範囲内での操作であった場合(S32:NO)、CPU71は、火力減スイッチ22と火力増スイッチ23のタッチ操作によって調節される設定火力に調整する(S33)。
一方、火力操作が火力大操作であった場合(S32:YES)、使用者は異物着火の危険性を認識せずに、安全火力よりもさらに大きくしようとしている可能性が高い。そこで、CPU71はブザー音で使用者に報知し(S36)、その火力操作を無効にする(S37)。これにより、コンロ1は安全性を担保できる。CPU71は、使用者が点火/消火スイッチ21にタッチして消火操作を行ったか判断する(S34)。消火操作が行われた場合(S34:YES)、CPU71は左バーナ4を消火し(S35)、本処理を終了する。
以上説明したように、本実施形態のコンロ1は、左バーナ4と右バーナ5の前側に、複数のセンサ30を配列して備える。センサ30は、発光部41と受光部42を備える。発光部41は、赤外光を上方に向けて発光する。受光部42は、発光部41が発光して異物に反射した反射光を受光する。コンロ1のCPU71は、センサ30の受光部42が受光した反射光に基づき、天板3から所定高さ範囲内において異物が検出されたか判定する。所定高さ範囲内で異物が検出された場合、CPU71は、異物を検出したセンサ30に対応する左バーナ4又は右バーナ5の火力を絞って制限する。火力を絞った後、CPU71は対応する左バーナ4又は右バーナ5の火力を、検出した異物の高さに合わせた安全火力に復帰させる。これにより、異物が検出されて火力が絞られても、その後対応する左バーナ4又は右バーナ5の火力は検出された異物の高さに合わせた安全火力まで復帰するので、コンロ1の使い勝手を向上できる。
上記説明において、図8のS13の処理を実行するCPU71は本発明の異物判定手段の一例である。S14の処理を実行するCPU71は本発明の火力制御手段の一例である。S16、S17の処理を実行するCPU71は本発明の火力復帰手段の一例である。S18~S20の処理を実行するCPU71は本発明の異物再判定手段の一例である。図9のS32の処理を実行するCPU71は本発明の火力大操作判断手段の一例である。S36の処理を実行するCPU71は本発明の報知手段の一例である。S37の処理を実行するCPU71は本発明の無効手段の一例である。
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。例えば、図8、図9に示す火力制御処理は、種々の変更が可能である。以下、二つの変形例を説明する。
図8、図11を参照し、火力制御処理の第一変形例を説明する。第一変形例の火力制御処理は、図8に示す火力制御処理のS11~S26の処理まで共通するので、それ以降の処理を中心に説明する。なお、図11において、上記実施形態の図9に示す処理と共通する処理については、同一のステップ番号を付して説明を省略又は簡略化して説明する。
例えば、図8に示すように、CPU71は、調理鍋95の取手96を異物として検出し(S13:YES)、火力を瞬時に最小火力に絞った後(S14)、その異物の高さに合わせた安全火力に復帰する(S17)。そして、検出された異物の高さが同じ状態で所定時間以上経過した場合(S20:YES)、図11に示すように、CPU71は、安全火力よりも火力を更に大きくする火力大操作があったか否か判断する(S31、S32)。火力大操作があった場合(S32:YES)、上記の通り、使用者は危険性を認識せずに、安全火力よりもさらに大きくしようとしている可能性が高いので、CPU71はブザー音で使用者に報知する(S36)。
ここで、第一変形例においては、ブザー音による報知後に、CPU71は、再度火力大操作があったか否か判断する(S41)。火力大操作が無かった場合(S41:NO)、CPU71はS34に処理を進める。一方、火力大操作があった場合(S41:YES)、ブザー音による報知をしたにも関わらず、使用者は安全火力よりも大きくしようとしている。よって、コンロ1は、使用者は危険性を認識した上で安全に使用すると判断できる。
例えば、図10(3)に示すように、異物が取手96である場合、安全火力より火力を大きくしたとしても、使用者の身体の一部が検出されているわけではないので、着衣着火の危険性は無い。そこで、図10(4)に示すように、CPU71は、センサ30が検出している異物を検出しない判定値Bに設定変更する(S42)。これにより、CPU71は、取手96を異物として検出しないので、異物を検出して左バーナ4の火力を最小火力に絞る制御は解除される。よって、使用者は、左バーナ4の火力について、火力減スイッチ22と火力増スイッチ23のタッチ操作によって設定火力に自由に調整できる。
CPU71は、使用者が点火/消火スイッチ21にタッチして消火操作を行ったか判断する(S43)。消火操作が行われた場合(S43:YES)、CPU71は左バーナ4を消火し(S35)、本処理を終了する。
消火操作が行われなかった場合(S43:NO)、CPU71は各センサ31~34、39から距離信号を再取得する(S44)。CPU71は取得した距離信号に基づき、検出している異物の高さは所定高さより上か否か判断する(S45)。所定高さとは、例えば、大火力時の着火危険範囲の高さH1(図5参照)よりも高い位置であって、図7の安全火力情報テーブル741で設定する異物の高さ範囲よりも高い位置に設定してもよい。つまり、異物を検出して左バーナ4の火力を最小火力に絞る制御を実行する必要が無い高さにするとよい。
検出している異物の高さが所定高さより以下である場合(S45:NO)、CPU71は検出した異物の高さが判定値B以下か否か判断する(S47)。検出した異物の高さが判定値B以下である場合(S47:YES)、着火の危険性があるので、CPU71は左バーナ4の火力を最小火力に瞬時に絞る(S48)。異物の高さが判定値Bより上である場合(S47:NO)、CPU71は、火力減スイッチ22と火力増スイッチ23のタッチ操作によって設定される設定火力に調整する(S49)。CPU71はS43に戻って処理を繰り返す。
一方、検出している異物の高さが所定高さより上である場合(S45:YES)、異物が無くなった、若しくは火力を瞬時に絞る制限が必要ない高さまで移動したと判断できる。このような状態で、高さの低い判定値Bの状態が続くのは、その後、異物が進入した場合に検出できない可能性があるので、安全上好ましくない。よって、CPU71は判定値Bを初期値である判定値Aに戻す(S46)。これにより、異物が判定値A以下の高さ範囲内に再度進入したときにおいて、CPU71は左バーナ4の火力を瞬時に絞ることができる。その後、CPU71は、図8のS12に戻り、上記処理を繰り返す。
上記説明において、図11のS41の処理を実行するCPU71は本発明の再操作判断手段の一例である。S42の処理を実行するCPU71は本発明の解除手段、変更手段の一例である。S46の処理を実行するCPU71は本発明の初期値戻し手段の一例である。
図12を参照し、火力制御処理の第二変形例を説明する。第二変形例の火力制御処理においても、図8に示す火力制御処理のS11~S26まで共通するので、それ以降の処理を中心に説明する。なお、図12において、上記実施形態の図9、上記第一変形例の図11に示す処理と共通する処理については、同一のステップ番号を付して説明を省略又は簡略化して説明する。
第二変形例においても、第一変形例と同様に、ブザー音による報知後(S36)に、CPU71は、再度火力大操作があったか否か判断する(S41)。火力大操作があった場合(S41:YES)、上記の通り、ブザー音による報知をしたにも関わらず、使用者は安全火力よりも大きくしようとしている。よって、コンロ1は、使用者は危険性を認識した上で安全に使用すると判断できる。よって、CPU71は、センサ30が現在検出している異物を検出しない判定値Bに設定変更する(S42)。
続いて、CPU71は、各センサ31~34、39から距離信号を再取得する(S51)。CPU71は検出した異物の高さが判定値B以下か否か判断する(S52)。検出した異物の高さが判定値B以下である場合(S52:YES)、着火の危険性があるので、CPU71は左バーナ4の火力を最小火力に絞る(S53)。異物の高さが判定値Bより上である場合(S52:NO)、CPU71は、使用者の火力減スイッチ22と火力増スイッチ23のタッチ操作によって設定される設定火力に調整する(S54)。この時もCPU71は設定火力に合わせて判定値を変更する。そして、CPU71は、使用者が点火/消火スイッチ21にタッチして消火操作を行ったか判断する(S43)。消火操作が行われた場合(S43:YES)、CPU71は左バーナ4を消火し(S35)、本処理を終了する。
第二変形例においては、判定値をBに設定変更した後は、左バーナ4が消火されるまで、判定値を変更しない。例えば、互いに隣り合うセンサ32と33(図2参照)の間で、調理鍋95の取手96が検出されたり、検出されなかったりする場合が想定される。特に、鍋ふり等をすると、取手96の位置が頻繁に変わるので、センサ32、33において検出と非検出を繰り返す場合がある。通常、左バーナ4の燃焼を停止させずに、調理鍋95を他のものと交換することは少ない。このことから、第二変形例においては、異物の高さが同じ状態で所定時間が経過した場合は、異物を取手と判断し、判定値をBに変更した後は、燃焼を停止するまで、判定値Bを変更しない。これにより、鍋ふり等をした場合でも、センサ32、33において検出と非検出を繰り返すことを回避できるので、使い勝手を向上できる。左バーナ4を消火後、再点火した場合には、初期化処理(図8のS10)で、再び当初の初期値である判定値Aを設定するので、安全性を担保できる。なお、図8のS10の処理を実行するCPU71は本発明の再点火時初期値戻し手段の一例である。
なお、本発明は上記第一変形例、第二変形例の他、さらに種々の変更が可能である。上記実施形態のコンロ1は、ビルトインコンロであるが、テーブルコンロであってもよい。また、コンロバーナの数は、上記実施形態では二つであるが、一つ、又は三つ以上であってもよい。また、グリルは省略してもよい。
天板3上における複数のセンサ30の配置、個数、場所についても、上記実施形態に限らず、自由に変更可能である。中央のセンサ39を省略してもよい。センサ30は赤外光を発光する赤外線センサであるが、異物を検出可能なセンサであればよい。
上記実施形態では、説明の便宜上、2つの判定値AとBで説明したが、さらに多くの判定値を設定してもよい。
検出した異物の高さに対応する安全火力は、安全火力情報テーブル741を参照して決定したが、これ以外の方法で決定してもよく、例えば、異物の高さに所定のパラメータを乗じて安全火力に相当するガス量を算出して決定してもよい。
上記実施形態では、左バーナ4における火力制御処理を説明したが、右バーナ5における火力制御処理も同様である。
上記実施形態では、火力の調整は、各コンロバーナに対応するガス供給機構50によって行うが、その構造については、上記実施形態以外の構造であってもよい。