次に、上記した本発明を実施するための形態について、添付図面を参照しながら詳述する。
図1および図2に示すように、本発明の実施の形態に係る加熱調理システム1は、キッチンのカウンタトップ4に設置される加熱調理器としての複数(ここでは、3つ)のガスコンロ1A,1B,1Cにより構成されている。
ガスコンロ1A,1B,1Cの本体部(調理器本体、以下、「コンロ本体」という)10は、何れも略矩形箱状に形成されており、その上面部を構成する天板11をカウンタトップ4の上方に露出させた状態で、カウンタトップ4に開設された取付口に落とし込み状態で設置される。尚、本明細書では、カウンタトップ4の前縁部41側に面するコンロ本体10の周面部をガスコンロ1A,1B,1Cの正面とし、コンロ本体10を正面側から見たときの奥行き方向を前後方向、幅方向を左右方向、高さ方向を上下方向という。
天板11の上面には、鍋やフライパン等の被加熱物(以下、「調理具」という)5を支持する単数又は複数の五徳12と、五徳12上に載置される調理具5を加熱する加熱部としての単数又は複数のコンロバーナ13とが配設されている。
本実施の形態では、カウンタトップ4に3つのガスコンロ1A,1B,1Cが左右横並びで隣接配置されており、それらガスコンロ1A,1B,1Cのうち中央に配されたガスコンロ(以下、「中央コンロ」ともいう)1Aは、標準火力のコンロバーナ13のみ備えた所謂一口タイプのコンロである。一方、中央コンロ1Aの左側に配されたガスコンロ(以下、「左コンロ」ともいう)1B、および中央コンロ1Aの右側に配されたガスコンロ(以下、「右コンロ」ともいう)1Cは何れも、標準火力のコンロバーナ13と、最大火力が標準火力のコンロバーナ13より低い低火力のコンロバーナ13とを備えた所謂二口タイプのコンロであって、天板11の上面後寄りの位置に標準火力のコンロバーナ13が配され、天板11の上面前寄りの位置に低火力のコンロバーナ13が配されている。
天板11の上面前寄りの位置には、五徳12やコンロバーナ13が配されていない平面領域14が確保されており、上記平面領域14がガスコンロ1A,1B,1Cの動作を指示する操作機能と、ガスコンロ1A,1B,1Cの動作状態を表示する表示機能とを兼備する静電容量式のタッチパネルになっている。
詳述すると、天板11の平面領域(以下、「操作表示パネル」という)14の下面側には、操作表示パネル14の所定位置に使用者が触れたことを検出する複数の静電センサ、操作表示パネル14の所定位置に擬似操作キーや設定情報等を表示させる複数の発光素子、静電センサや発光素子の動作を制御する操作表示制御回路等により構成された操作表示基板140が組み込まれており、使用者が操作表示パネル14に表示される種々の擬似操作キーに触れることで、ガスコンロ1A,1B,1Cの電源をオンオフさせたり、コンロバーナ13の点火や消火をさせたり、種々の調理モードを設定したりできるようになっている。
コンロバーナ13の中央部には、五徳12の上部に載置された調理具5の底部に接触し、調理具5の温度状態を検出する鍋底温度センサ15が設けられている。また、図示しないが、コンロ本体10の内部には、鍋底温度センサ15の上下動に応じてオンオフする鍋検知スイッチが設けられており、鍋底温度センサ15が押し下げられ、鍋検知スイッチ16がオン状態になったか否かによって対応する五徳12の上部、即ち、対応するコンロバーナ13の所定の加熱位置に調理具5が載置されているか否かを検出するように構成されている。さらに、図示しないが、コンロバーナ13の炎孔形成部の近傍にはそれぞれ、ガスの燃焼炎の有無を検出する炎検知センサと、炎孔形成部の近傍で火花放電させる点火プラグとが設けられている。
コンロバーナ13は、燃料ガスと空気の混合ガスを燃焼させて燃焼排ガスを生成し、その燃焼排ガスを熱源として調理具5を下方から加熱するバーナであり、コンロ本体10内に組み込まれたバルブユニット20,21(図2参照)を介して燃料ガスが供給される。
バルブユニット20,21は、操作表示パネル14に表示される所定の点消火操作キーにて点火操作がなされれば開き、上記炎検知センサにてガスの燃焼炎が検出されなくなれば閉じる開閉バルブユニット20と、上記点消火操作キーによる点火操作や消火操作、制御回路100からの火力変更の指示に応じて開度を調整する火力調整バルブユニット21とで構成されており、これら開閉バルブユニット20および火力調整バルブユニット21によって対応するコンロバーナ13へのガスの供給量が適宜調整される。
図示しないが、開閉バルブユニット20は、ガス配管から各コンロバーナ13へのガスの供給を一括して遮断可能な保持弁と、上記保持弁を開閉させるための駆動モータとで構成されている。一方、火力調整バルブユニット21は、ガス配管から各コンロバーナ13へのガスの供給を個別に遮断可能な主弁と、操作表示パネル14に表示される所定の火力調整操作キーにて設定された火力に合わせて開度調整されるニードル弁と、上記主弁の開閉やニードル弁の開度を調整するための駆動モータとで構成されている。尚、本実施の形態では、コンロバーナ13の火力は、最小の「1」から最大の「9」までの9段階で切替可能に構成されている。
操作表示基板140、鍋底温度センサ15、鍋検知スイッチ、炎検知センサ、点火プラグに高電圧を印加して火花放電させるイグナイタ、開閉バルブユニット20の駆動モータ、および火力調整バルブユニット21の各駆動モータはそれぞれ、コンロ本体10の内部に組み込まれた制御回路100に有線にて接続されている。また、各ガスコンロ1A,1B,1Cの制御回路100はそれぞれ、他のガスコンロ1A,1B,1Cの制御回路100と有線にて相互に通信可能に接続されている。
尚、本実施の形態では、各ガスコンロ1A,1B,1Cの制御回路100は、相互に有線にて通信接続されているが、赤外線やBluetooth(登録商標)などの近距離無線通信規格により通信接続されるように構成されたものであってもよいし、家庭内通信ネットワークを介して通信接続されるように構成されたものであってもよい。
操作表示基板140は、制御回路100の図示しない電源回路を通じて電力供給源に接続されており、ガスコンロ1A,1B,1Cの電源がオフにされた待機状態のとき、操作表示パネル14には、図3に示すように、上記電力供給源から供給される待機電力によって、ガスコンロ1A,1B,1Cの電源のオンオフを指示するための擬似操作キーとなる電源キー31のみ表示される。
また、待機状態のときに電源キー31が押されると、上記電力供給源から操作表示基板140に起動電力が供給され、ガスコンロ1A,1B,1Cの電源がオンにされた起動状態になる。このとき、一口タイプの中央コンロ1Aの場合、操作表示パネル14には、図4に示すように、上記起動電力によって、電源キー31に加え、コンロバーナ13の点火や消火をさせるための擬似操作キーとなる点消火キー32と、コンロバーナ13によるタイマ調理モードの設定および設定解除を切り替えるための擬似操作キーとなるタイマ設定キー33と、コンロバーナ13による温調調理モードの設定および設定解除を切り替えるための擬似操作キーとなる温度設定キー34と、点消火キー32やタイマ設定キー33、温度設定キー34の操作の禁止および禁止解除を切り替えるためのロックキー35とが表示される。
その後、点消火キー32が押されると、操作表示パネル14には、図5に示すように、さらにコンロバーナ13の火力を上げるための擬似操作キーとなる火力アップキー32Aが点滅表示され、点火指示待ち状態となる。そしてこの状態で火力アップキー32Aが押されると、コンロバーナ13が点火される。
コンロバーナ13が点火されると、操作表示パネル14には、図6に示すように、電源キー31、点消火キー32、タイマ設定キー33、温度設定キー34、ロックキー35、および火力アップキー32Aに加え、コンロバーナ13の火力を下げるための擬似操作キーとなる火力ダウンキー32Bと、コンロバーナ13の現在の設定火力を示す火力インジケータ320とが表示される。
二口タイプの左コンロ1Bおよび右コンロ1Cの場合、電源キー31が押されて起動状態になると、操作表示パネル14には、図7に示すように、電源キー31に加え、各コンロバーナ13に対応する点消火キー32と、各コンロバーナ13に対応するタイマ設定キー33と、点消火キー32やタイマ設定キー33の操作の禁止および禁止解除を切り替えるためのロックキー35とが表示される。
その後、点消火キー32(例えば、図8に示す左側の点消火キー32)が押されると、操作表示パネル14には、図8に示すように、さらに対応するコンロバーナ13の火力アップキー32Aが点滅表示され、点火指示待ち状態となる。そしてこの状態で火力アップキー32Aが押されると、対応するコンロバーナ13が点火される。
コンロバーナ13が点火されると、操作表示パネル14には、図9に示すように、電源キー31、点消火キー32、タイマ設定キー33、ロックキー35、および火力アップキー32Aに加え、点火されたコンロバーナ13の火力ダウンキー32Bと火力インジケータ320とが表示される。
図示しないが、制御回路100は、操作表示基板140や開閉バルブユニット20の駆動モータ、火力調整バルブユニット21の各駆動モータ等の電気駆動部に所定の駆動電力を供給する電源回路の他、操作表示パネル14による操作や設定された調理モードに応じてコンロバーナ13の点火動作や消火動作、火力の切替を行うバーナ制御部、操作表示パネル14の操作情報に基づいて調理モードの設定を行う調理モード設定部、炎検知センサの出力値に基づいてコンロバーナ13の点火や消火を判定する点消火判定部、鍋底温度センサ15の検出温度(鍋底温度)に基づいて調理具5の温度状態を判定する鍋温度判定部、鍋検知スイッチのオンオフ状態に基づいて対応するコンロバーナ13の加熱位置に調理具5が載置されているか否かを判定する鍋なし判定部等の回路構成を有している。
また、図示しないが、制御回路100は、コンロバーナ13の点火や消火、設定された調理モードなどガスコンロ1A,1B,1Cの動作情報を他のガスコンロ1A,1B,1Cと相互に通信する通信部、自己又は他のガスコンロ1A,1B,1Cの操作表示パネル14にて所定の全消火操作(全オフ操作)がなされたか否かを判定する全消火操作判定部、自己のガスコンロ1A,1B,1Cの操作表示パネル14にて所定の連動モード切替操作がなされたか否かを判定する連動モード切替操作判定部、上記全消火操作がなされた場合に、点火状態(オン状態)にある自己のコンロバーナ13を一括して消火(オフ)させる全オフ制御部としての全消火制御部、上記連動モード切替操作がなされた場合に、コンロバーナ13の全消火制御モードを、他のガスコンロ1A,1B,1Cによる全消火操作に応じて自己のコンロバーナ13を一括消火させる連動モードや、自己のガスコンロ1A,1B,1Cによる全消火操作のみに応じて自己のコンロバーナ13を一括消火させる独立モードに切り替える連動モード切替制御部等の回路構成を有している。
本実施の形態では、待機状態のときに操作表示パネル14の電源キー31に所定時間(例えば、2秒間)未満のみ触れる所謂短押し操作が電源のオン操作、起動状態のときに操作表示パネル14の電源キー31に所定時間未満のみ触れる所謂短押し操作が電源のオフ操作、待機状態および起動状態のときに操作表示パネル14の電源キー31に所定時間以上触れる所謂長押し操作が上記全消火操作となる。
即ち、本実施の形態では、操作表示パネル14に表示される電源キー31が、電源のオンオフを指示する電源操作部としての機能と、点火状態にあるコンロバーナ13の消火を一括して指示する全オフ操作部としての機能とを兼備しており、電源のオンオフ操作とコンロバーナ13の全消火操作とは異なる方法に設定されている。電源キー31は、ガスコンロ1A,1B,1Cが待機状態であっても、自己のコンロバーナ13が全て消火された状態のときであっても、操作表示パネル14に表示されるため、各ガスコンロ1A,1B,1Cにて全消火操作がなされたことを常に検出することができる。
また、本実施の形態では、コンロバーナ13が点火される前の起動状態のときに、操作表示パネル14に表示された所定の複数の擬似操作キー(例えば、中央コンロ1Aの場合は、タイマ設定キー33および温度設定キー34、左コンロ1Bおよび右コンロ1Cの場合は、左右のタイマ設定キー33)を同時に所定時間(例えば、3秒間)以上触れる所謂同時長押し操作が行われた場合は、タイマ調理モードの設定時間や温調調理モードの設定温度などガスコンロ1A,1B,1Cの基本設定を変更可能なカスタマイズモードに移行するように構成されている。
カスタマイズモードに移行すると、図10および図11に示すように、操作表示パネル14から点消火キー32およびロックキー35の表示が消去される。また、一口タイプの中央コンロ1Aの場合、操作表示パネル14には、図10に示すように、電源キー31、タイマ設定キー33、および温度設定キー34に加え、タイマ調理モードの現在の設定時間を示す設定時間表示330と、温調調理モードの設定温度を示す設定温度表示340と、設定時間を上げるための擬似操作キーとなる時間アップキー33Aと、設定時間を下げるための擬似操作キーとなる時間ダウンキー33Bと、設定温度を上げるための擬似操作キーとなる温度アップキー34Aと、設定温度を下げるための擬似操作キーとなる温度ダウンキー34Bと、連動モードの設定および設定解除を切り替えるための擬似操作キーとなる連動モード切替キー36とが表示される。
一方、二口タイプの左コンロ1Bおよび右コンロ1Cの場合、操作表示パネル14には、図11に示すように、電源キー31、およびタイマ設定キー33に加え、各コンロバーナ13に対応する設定時間表示330と、各コンロバーナ13に対応する時間アップキー33Aおよび時間ダウンキー33Bと、連動モード切替キー36とが表示される。
本実施の形態では、カスタマイズモードのときに操作表示パネル14の連動モード切替キー36を押す操作が上記連動モード切替操作となり、連動モード切替キー36が押される毎に、全消火制御モードの設定が連動モードと独立モードとの間で交互に切り替わるように構成されている。
上記加熱調理システム1によるガスコンロ1A,1B,1Cの全消火制御動作を、図12のフローチャートに従って説明する。尚、本実施の形態では、待機状態のとき、各ガスコンロ1A,1B,1Cの操作表示パネル14にはそれぞれ電源キー31が表示され、何れか一つのガスコンロ1A,1B,1Cの操作表示パネル14にて電源のオン操作(ここでは、電源キー31の短押し操作)がなされると、オン操作されたガスコンロ1A,1B,1Cのみ個別に起動状態になる。以下、ガスコンロ1A,1B,1Cのうち左コンロ1Bの制御動作を中心に説明する。
上記のように左コンロ1Bの電源がオンにされると、制御回路100に組み込まれた主制御プログラムが起動し(起動状態)、左コンロ1Bの操作表示パネル14において何れかのコンロバーナ13の点火操作(ここでは、点消火キー32を押す操作)がなされたか否か、および、全消火操作(ここでは、電源キー31の長押し操作)がなされたか否かを監視する(ST1~ST2)。尚、上記全消火操作の監視は、電源がオンにされる前の待機状態のときから行われる。
その後、所定の一つのコンロバーナ(以下、「対象バーナ」ともいう)13の点火操作がなされた場合は(ST1のステップでYes)、点火プラグから火花放電させると共に、開閉バルブユニット20を開き、且つ、対応する火力調整バルブユニット21を点火時の設定開度に調整する。その結果、上記対象バーナ13に対して点火に適した量の燃料ガスが供給され、上記火花放電により点火される(ST3)。また、対応する炎検知センサにて対象バーナ13の点火が検知されると、対応する火力調整バルブユニット21を設定火力に応じた開度に調整する。これにより、五徳12上に載置された調理具5の加熱が開始される。
尚、図示しないが、コンロバーナ13の点火操作がなされたときに、対応する五徳12上に調理具5が載置されておらず、対応する鍋検知スイッチがオン状態になっていない場合は、ST3のステップを行わず、コンロバーナ13の点火動作が禁止される。
対象バーナ13が点火された後、左コンロ1Bの操作表示パネル14にて対象バーナ13の消火操作がなされた場合は(ST4のステップでYes)、対応する火力調整バルブユニット21の主弁を閉じる。その結果、対象バーナ13への燃料ガスの供給が停止され、消火される(ST5)。
一方、対象バーナ13が点火された後、左コンロ1Bの操作表示パネル14にて全消火操作がなされた場合は(ST6のステップでYes)、全消火操作がなされたことを示す全消火指示情報を他のガスコンロ(ここでは、中央コンロ1Aおよび右コンロ1C)へ送信する(ST7)と共に、開閉バルブユニット20の保持弁を閉じる。その結果、左コンロ1Bの全てのコンロバーナ13への燃料ガスの供給が停止され、点火状態にあるコンロバーナ(対象バーナ)13が一括して消火される(ST8)。
対象バーナ13が点火される前に(ST1のステップでNo)、全消火操作がなされた場合は(ST2のステップでYes)、全消火指示情報を他のガスコンロへ送信して動作を終了する(ST9)。また、図示しないが、電源がオンにされる前の待機状態のときに全消火操作がなされた場合もST9のステップと同様、全消火指示情報を他のガスコンロへ送信する。
中央コンロ1Aおよび右コンロ1Cにおいても同様に、自己の操作表示パネル14にて全消火操作がなされた場合は、上記のように全消火指示情報を他のガスコンロへ送信するが、このとき、左コンロ1Bにおいて、連動モードが設定されている場合は(ST10のステップでYes)、中央コンロ1A又は右コンロ1Cから送信された全消火指示信号を受信すると(ST11のステップでYes)、それに連動して点火状態にある自己のコンロバーナ13を一括して消火させる(ST8)。
一方、連動モードの設定が解除されて独立モードに設定されている場合は(ST10のステップでNo)、中央コンロ1A又は右コンロ1Cから全消火指示信号が送信されたか否かを監視しないで、ST4のステップに戻る。即ち、中央コンロ1A又は右コンロ1Cにて全消火操作がなされたとしても、点火状態にある左コンロ1Bのコンロバーナ13の一括消火は行われない。
上記実施の形態では、左コンロ1Bの制御動作を中心に説明したが、中央コンロ1Bや右コンロ1Cについても同様の制御がなされる。また、2つのガスコンロで構成された加熱調理システムや4つ以上のガスコンロで構成された加熱調理システムの場合についても同様の制御がなされる。
このように、上記加熱調理システム1によれば、連動モードに設定された一のガスコンロ(例えば、左コンロ1B)のコンロバーナ13が、通信可能に接続された他のガスコンロ(例えば、中央コンロ1A又は右コンロ1C)のコンロバーナ13と共に点火状態にあるときに、上記他のガスコンロ(中央コンロ1A又は右コンロ1C)にて全消火操作がなされた場合は、その全消火操作されたガスコンロ(中央コンロ1A又は右コンロ1C)のコンロバーナ13だけでなく、点火状態にある一のガスコンロ(左コンロ1B)のコンロバーナ13も連動して消火させることができる。従って、例えば全てのガスコンロ1A,1B,1Cのコンロバーナ13が点火状態にあるときに、地震等の災害が発生したり、或いは、何れか一つのガスコンロ1A,1B,1Cにおいて調理具5の過熱や動作不良等の異常が生じたりしても、使用者は、点火状態にある各ガスコンロ1A,1B,1Cのコンロバーナ13を迅速且つ確実に一括して消火できる。よって、安全性が高い。
また、このものでは、上記のように連動モードに設定された一のガスコンロ(例えば、左コンロ1B)のコンロバーナ13を、他のガスコンロ(例えば、中央コンロ1A又は右コンロ1C)の全消火操作に連動して一括消火させることができるから、例えば連動モードに設定された左コンロ1Bのコンロバーナ13のみ点火状態にあるときに、左コンロ1Bにおいて調理具5の過熱や動作不良等の異常が生じても、使用者は、異常の発生箇所に近い左コンロ1Bの電源キー31を用いてコンロバーナ13の全消火操作を行う必要がない。即ち、異常が発生した左コンロ1Bの電源キー31ではなく、異常の発生箇所から離れた中央コンロ1Aや右コンロ1Cの電源キー31を用いて左コンロ1Bのコンロバーナ13を消火させることができる。よって、安全性が一層高い。
さらに、このものでは、他のガスコンロ(例えば、中央コンロ1A又は右コンロ1C)の電源がオンにされる前の待機状態のときやコンロバーナ13が全て消火状態のときであっても、そのガスコンロ(中央コンロ1A又は右コンロ1C)の全消火操作情報に応じて上記一のガスコンロ(例えば、左コンロ1B)のコンロバーナ13を一括消火させることができるから、緊急時に使用者がどのガスコンロ1A,1B,1Cの電源キー31を用いて全オフ操作を行えばよいか戸惑う虞が少ない。よって、安全性が高く、使い勝手も向上する。
しかも、このものでは、操作表示パネル14の電源キー31に、電源のオンオフを指示する電源操作機能と、コンロバーナ13の一括消火を指示する全消火操作機能とを兼備させたことで、コンロバーナ13の一括消火を指示するための全消火操作部を電源キー31と別個に設ける必要がないから、ガスコンロ1A,1B,1C全体の構成を簡素化できる。また、緊急時に使用者がどの操作部を用いて全消火操作を行えばよいか戸惑う虞も少ない。よって、安全性が高く、使い勝手も向上する。
また、このものでは、連動モードに設定された一のガスコンロ(例えば、左コンロ1B)のコンロバーナ13を、他のガスコンロ(例えば、中央コンロ1A又は右コンロ1C)の全消火操作に連動して一括消火させるようにするか、各ガスコンロ1A,1B,1Cで個別にコンロバーナ13を一括消火させるようにするかを、使用者の要望に合わせて適宜切り替えることができるから、拡張性も高い。
尚、上記実施の形態では、全てのガスコンロ1A,1B,1Cが相互に通信可能に接続されたものを説明したが、ガスコンロ1A,1B,1Cのうち特定のガスコンロ(例えば、中央コンロ1A)に対して他の全てのガスコンロ(例えば、左コンロ1Bおよび右コンロ1C)が通信可能に接続され、他のガスコンロ間の通信は、上記特定のガスコンロを介して行われるように構成されたものとしてもよい。詳述すると、例えば他の一のガスコンロ(左コンロ1B)から送信された全消火指示信号は、特定のガスコンロ(中央コンロ1A)を介して他の別のガスコンロ(右コンロ1C)へ転送される。その結果、上記全消火指示信号を受信したそれら特定のガスコンロおよび他の別のガスコンロは、点火状態にある自己のコンロバーナ13を一括して消火させる。
本実施の形態では、電源キー31の長押し操作を全消火操作としたものを説明したが、他の操作と誤認され難く、且つコンロバーナ13を迅速に一括消火させることが可能であれば、所定時間(例えば、2秒間)内に電源キー31を複数回(例えば、3回)以上押す連続押し操作を全消火操作としたものであってもよいし、電源キー31と他の操作キー(例えば、点消火キー32)との同時押し操作を全消火操作としたものであってもよいし、複数のガスコンロの電源キー31の同時押し操作を全消火操作としたものであってもよい。
上記実施の形態では、操作表示パネル14の電源キー31を用いて点火状態にある各ガスコンロ1A,1B,1Cのコンロバーナ13を一括消火させるように構成されたものを説明したが、図13に示すように、何れか一つのガスコンロ1A,1B,1Cにてコンロバーナ13が点火されると、全てのガスコンロ1A,1B,1C又は特定のガスコンロ(例えば、左コンロ1B)の操作表示パネル14に、全オフ操作部として、点火状態にあるコンロバーナ13の一括消火を指示するための擬似操作キーとなる全消火キー37を表示させ、上記全消火キー37が押されることで、点火状態にある各ガスコンロ1A,1B,1Cのコンロバーナ13が全て一括して消火されるように構成されたものとしてもよい。
上記実施の形態では、何れか一つのガスコンロ1A,1B,1Cの操作表示パネル14にて電源のオン操作がなされると、オン操作されたガスコンロ1A,1B,1Cのみ起動状態になるように構成されたものを説明したが、何れか一つのガスコンロ1A,1B,1Cの操作表示パネル14にて電源のオン操作がなされると、他の全てのガスコンロ1A,1B,1Cも連動して起動状態になるように構成されたものとしてもよい。
上記実施の形態では、電源のオンオフ、コンロバーナ13の点火および消火、火力の手動による切替、調理モードの設定、一括消火、全消火制御モードの切替等の指示を、天板11上の操作表示パネル(タッチパネル)14にて行うように構成されたものを説明したが、天板11の上面に設けられた電源ボタンや点消火操作子、設定ボタンなどの物理スイッチにて行うように構成されたものとしてもよい。
本発明は、加熱部として、コンロ本体10の上部に配された調理具5を電熱部からの輻射熱や伝導熱により加熱する電熱ヒータが用いられた加熱調理システムにも適用できるし、上記調理具5を電磁誘導により加熱する電磁誘導ヒータが用いられた加熱調理システムにも適用できる。また、加熱部として、電熱ヒータや電磁誘導ヒータ、上記コンロバーナ13のようなガスバーナを複合して備えた加熱調理システムにも適用できる。
本発明は、各加熱調理器をキッチンのカウンタトップ4に埋設して構成される所謂ビルトイン式の加熱調理システムに限らず、各加熱調理器をキッチンのテーブル上に載置して構成される所謂据置式の加熱調理システムにも適用できる。