JP2018127510A - 過酸化物架橋ゴム用遅延剤マスターバッチとその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】適度に過酸化物架橋反応を遅延させることが可能であり、計量誤差による影響が少なく、遅延剤が均一に分散して、成形時に膨れが発生し難く、ゴム組成物の架橋反応速度の調整が容易である過酸化物架橋ゴム用遅延剤マスターバッチとその製造方法を提供する。【解決手段】エチレン−α−オレフィン−非共役ポリエン系ゴム、水素添加ニトリル−ブタジエンゴムおよびフッ素ゴムのいずれか1つ以上からなる過酸化物架橋可能なゴム成分と、t−ブチルハイドロキノン:5質量%以下とを含有する過酸化物架橋ゴム用遅延剤マスターバッチとその製造方法である。【選択図】なし

Description

本発明は、過酸化物架橋ゴム用遅延剤マスターバッチおよびその製造方法に関する。
過酸化物架橋系ゴム組成物は、ラジカル架橋反応によって製造されるため、架橋反応が速く、架橋時間を短縮できるという利点を有している。一方で、架橋反応が速いために、成形時の生地流動時間を確保することが難しいという欠点も有している。こうした問題点を解決するために、ラジカル架橋反応の遅延剤として、酸化防止剤が使用されている。過酸化物架橋系ゴム組成物に添加される遅延剤としては、遅延剤のみからなる遅延剤単独成分品と、遅延剤と過酸化物との混合品とがある。これらの遅延剤には、それぞれ次のような問題点がある。
遅延剤単独成分品の場合は、遅延剤は極少量で効果があるため、配合計量時の誤差を考えると、遅延剤単独製品を使用することは品質管理上難しい。また、遅延剤単独成分品として添加ができたとしても、遅延剤の融点以下で混合すると、良好な分散状態が得られず、成形時に膨れが発生する原因となる。
遅延剤と過酸化物との混合品の場合は、予め過酸化物と混合されているため、ゴム組成物の架橋反応速度を調整する自由度が低いため、目的とする架橋反応速度に調整することが困難である。
過酸化物架橋を遅延させたり、スコーチ(初期架橋)を防止するために、スコーチ防止剤やそれらを用いる方法が多数開示されている。例えば、特許文献1には、2,2,6,6−テトラメチルピペリジニルオキシや4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジニルオキシを用いる方法が開示されている。また、特許文献2には、2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテンと多官能アリル化合物とを併用する方法が開示されている。
特開平11−49865号公報 特開2004−123949号公報
しかしながら、特許文献1および特許文献2に記載のスコーチを防止する方法はいずれも、スコーチ防止剤(遅延剤)と過酸化物との混合品として用いており、前記したように、架橋反応速度を適度に調整することが困難であるという問題点を有している。また、特許文献1に記載のスコーチ防止剤は、架橋反応が抑制され易く、特許文献2に記載のスコーチ防止剤は、架橋反応の遅延効果が必ずしも十分なものではなかった。
本発明は、上記状況に鑑みてなされたものである。すなわち、本発明の課題は、適度に過酸化物架橋反応を遅延させることが可能であり、計量誤差による影響が少なく、遅延剤が均一に分散して、成形時に膨れが発生し難く、ゴム組成物の架橋反応速度の調整が容易である過酸化物架橋ゴム用遅延剤マスターバッチとその製造方法を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決するために、適度に過酸化物架橋反応を遅延させることが可能な遅延剤を選定し、成形用ゴム組成物に添加する方法として、遅延剤をマスターバッチとして添加することとし、マスターバッチの製造方法についても検討を進めた。その結果、遅延剤としてt−ブチルハイドロキノンを使用し、過酸化物架橋が可能なゴム成分に添加したマスターバッチとして、成形用ゴム組成物に添加することが有効であることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の過酸化物架橋ゴム用遅延剤マスターバッチは、エチレン−α−オレフィン−非共役ポリエン系ゴム、水素添加ニトリル−ブタジエンゴムおよびフッ素ゴムのいずれか1つ以上からなる過酸化物架橋可能なゴム成分と、t−ブチルハイドロキノン:5質量%以下とを含有する。また、さらに、当該マスターバッチは充填剤を含有することが好ましい。
本発明の過酸化物架橋ゴム用遅延剤マスターバッチの製造方法は、エチレン−α−オレフィン−非共役ポリエン系ゴム、水素添加ニトリル−ブタジエンゴムおよびフッ素ゴムのいずれか1つ以上からなる過酸化物架橋可能なゴム成分と、t−ブチルハイドロキノン:5質量%以下とを含有する過酸化物架橋ゴム用遅延剤マスターバッチの製造方法であって、密閉式の混練装置を用いて、前記ゴム成分とt−ブチルハイドロキノンとを120℃以上の温度で混練することを特徴としている。
本発明の過酸化物架橋ゴム用遅延剤マスターバッチは、適度に過酸化物架橋反応を遅延させることが可能であり、計量誤差による影響が少なく、遅延剤が均一に分散されているため、成形時に膨れが発生し難く、ゴム組成物の架橋反応速度の調整も容易である。本発明の過酸化物架橋ゴム用遅延剤マスターバッチの製造方法は、遅延剤を均一に分散させて、前記の過酸化物架橋ゴム用遅延剤マスターバッチを製造することができる。
以下、本発明の実施形態を詳細に説明する。ただし、本発明の範囲は、以下に説明する具体例としての実施形態に限定されるわけではない。
本実施形態の過酸化物架橋ゴム用遅延剤マスターバッチ(以下、「マスターバッチ」と記載することがある。)は、過酸化物架橋可能なゴムを用いた成形用ゴム組成物に添加して使用されるものである。
本実施形態では、遅延剤を予めゴム成分中に分散させたマスターバッチとすることによって、成形用ゴム組成物中に遅延剤を均一に分散させて、遅延剤の低濃度化を図ることができ、成形時に膨れが発生するおそれを低減させることができる。また、遅延剤の計量誤差による影響を少なくすることができる。
(t−ブチルハイドロキノン)
t−ブチルハイドロキノン(tert-butylhydroquinone、tert-ブチルハイドロキノン)は、過酸化物架橋反応において遅延剤として機能する酸化防止剤である。本実施形態において、後記するエチレン−α−オレフィン−非共役ポリエン系ゴム、水素添加ニトリル−ブタジエンゴムおよびフッ素ゴムに対する過酸化物架橋反応を適度に遅延させる効果を有している。t−ブチルハイドロキノンの融点は、127〜129℃である。
(マスターバッチ)
マスターバッチは、過酸化物架橋可能なゴム成分と、t−ブチルハイドロキノンとを含有する。過酸化物架橋可能なゴム成分は、エチレン−α−オレフィン−非共役ポリエン系ゴム、水素添加ニトリル−ブタジエンゴムおよびフッ素ゴムのいずれか1つ以上を含有していればよく、それらの構成割合は特に限定されない。マスターバッチに過酸化物と遅延剤とを共に含有させないことによって、両者の配合割合を自由に変えることができるため、成形用ゴム組成物の架橋反応速度の調整が容易である。
マスターバッチは、t−ブチルハイドロキノンの含有量が5質量%以下である。t−ブチルハイドロキノンの含有量が5質量%を超えると、遅延剤を低濃度で均一に分散させることが困難となって、成形時に膨れが発生するおそれがある。また、ゴム組成物の架橋反応速度の調整もやや困難となる。
t−ブチルハイドロキノンを含有するマスターバッチを過酸化物架橋が可能な成形用ゴム組成物へ添加することによって、架橋反応を遅延させ、ゴム成形時に架橋前のゴム組成物をキャビティーへ流動させる時間を確保することが可能となる。
また、t−ブチルハイドロキノンは、少量添加で効果があることから、マスターバッチのゴム成分中に低濃度で希釈させたものとすることによって、計量誤差の影響を少なくすることができる。
マスターバッチには、さらに、充填剤を含有させることができる。マスターバッチに充填剤を含有させることによって、t−ブチルハイドロキノンの濃度を下げ、マスターバッチの加工性や取扱性を向上させることができる。充填剤としては、カーボンブラック、ホワイトカーボン、けい酸アルミニウム、タルク、グラファイト、マイカ等を用いることができる。
マスターバッチには、必要に応じて、公知の各種添加剤を添加することができる。例えば、ステアリン酸等の一般的な加工助剤、可塑剤等を0.1〜5質量%添加することによって、マスターバッチの加工性や取扱性を改善することができる。
(過酸化物架橋可能なゴム)
過酸化物架橋可能なゴム(「過酸化物架橋ゴム」ともいう。)は、過酸化物が熱分解したときに発生するラジカルによって架橋することが可能なゴムである。過酸化物架橋ゴムとして、本実施形態では、エチレン−α−オレフィン−非共役ポリエン系ゴム、水素添加ニトリル−ブタジエンゴムおよびフッ素ゴムのいずれか1つ以上を用いる。
これらのゴムは、マスターバッチを構成するゴム成分となるものであり、また、過酸化物架橋が可能な成形用ゴム組成物を構成するゴム成分ともなるものである。ここで、マスターバッチを構成するゴム成分と、成形用ゴム組成物を構成するゴム成分とは、同一のものであってもよいし、異なるものであってもよい。
(エチレン−α−オレフィン−非共役ポリエン系ゴム)
エチレン−α−オレフィン−非共役ポリエン系ゴムは、過酸化物架橋可能なオレフィン系のゴムである。エチレン由来の構造単位と、α−オレフィン由来の構造単位と、非共役ポリエン由来の構造単位の3種類の構造単位からなる。非共役ポリエンは、特に限定されないが、非共役ジエンが好ましい。
α−オレフィンとしては、通常、炭素原子数3〜20のα−オレフィンが使用される。具体的には、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン、1−トリデセン、1−テトラデセン、1−ペンタデセン、1−ヘキサデセン、1−ヘプタデセン、1−ノナデセン、1−エイコセン、9−メチル−1−デセン、11−メチル−1−ドデセン、12−エチル−1−テトラデセンなどが挙げられる。これらのうち、炭素原子数3〜10のα−オレフィンが好ましく、特にプロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテンが好ましい。これらのα−オレフィンは、1種単独で、または2種以上を組み合わせて用いられる。
非共役ポリエンとしては、通常、ノルボルネン系化合物またはヘキサジエン系化合物が用いられる。ノルボルネン系化合物としては、具体的に、5−ビニル−2−ノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−メチレン−2−ノルボルネン、5−イソプロピリデン−2−ノルボルネン、5−ビニリデン−2−ノルボルネン、6−クロロメチル−5−イソプロペニル−2−ノルボルネン、ジシクロペンタジエン、5−(2−プロペニル)−2−ノルボルネン、5−(3−ブテニル)−2−ノルボルネン、5−(4−ペンテニル)−2−ノルボルネン、5−(5−ヘキセニル)−2−ノルボルネン、5−(6−ヘプテニル)−2−ノルボルネン、5−(7−オクテニル)−2−ノルボルネンなどが挙げられる。これらのノルボルネン系化合物は、1種単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
ヘキサジエン系化合物としては、具体的に、1,4−ヘキサジエン、3−メチル−1,4−ヘキサジエン、4−メチル−1,4−ヘキサジエン、5−メチル−1,4−ヘキサジエン、4,5−ジメチル−1,4−ヘキサジエン、7−メチル−1,6−オクタジエンなどが挙げられる。これらのヘキサジエン系化合物は、1種単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
エチレン−α−オレフィン−非共役ポリエン系ゴムは、エチレン由来の構造単位と、α−オレフィン由来の構造単位との質量比(エチレン/α−オレフィン)が35/65〜95/5(合計100質量%)であることが好ましい。また、ヨウ素価が、0.5〜50g/100gであることが好ましい。また、135℃のデカリン中で測定した極限粘度〔η〕が、0.01〜5.0dL/gであることが好ましい。
エチレン−α−オレフィン−非共役ポリエン系ゴムは、具体的には、エチレン−プロピレン−5−ビニル−2−ノルボルネンランダム共重合体、エチレン−プロピレン−1,4−ヘキサジエンランダム共重合体などが好ましい。
(水素添加ニトリル−ブタジエンゴム)
水素添加ニトリル−ブタジエンゴム(H−NBR)は、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ポリマーであるニトリル−ブタジエンゴムが有するポリマー主鎖中の不飽和結合の大部分に水素添加して、飽和結合としたゴムであり、過酸化物架橋可能なゴムである。不飽和結合に水素添加して、飽和結合とすることによって、耐熱性、耐薬品性、耐候性などに優れたゴムとなる。
水素添加ニトリル−ブタジエンゴムのポリマー主鎖中に残留している二重結合量の目安として、ヨウ素価(g/100g)が用いられる。架橋性、耐熱性、機械的強度などの観点から、ヨウ素価(g/100g)が20以下のものが好ましく、15以下のものがより好ましい。
水素添加ニトリル−ブタジエンゴムのムーニー粘度ML1+4(100℃)は、機械的強度や加工性の観点から40〜150のものが好ましく、70〜120のものがより好ましい。
水素添加ニトリル−ブタジエンゴムとしては、例えば、日本ゼオン社製のゼットポール(Zetpol、登録商標)、バイエル社製のサーバン(THERBAN、登録商標)、グッドイヤー社製のケミサット(CHEMISAT、登録商標)等を用いることができる。
(フッ素ゴム)
フッ素ゴムとしては、フッ化ビニリデンと他の含フッ素オレフィン、例えば、ヘキサフルオロプロピレン、ペンタフルオロプロピレン、テトラフルオロエチレン、トリフルオロクロロエチレン、フッ化ビニル、パーフルオロ(メチルビニルエーテル)等の少なくとも一種との共重合体、またはプロピレンと含フッ素オレフィンとの共重合体などが挙げられる。また、フッ素ゴムとしては、例えば、分子中にヨウ素や臭素を有するフッ素ゴムが挙げられる。
これらのフッ素ゴムは、過酸化物架橋可能なゴムである。過酸化物架橋をさせるためには、過酸化物と共に、トリアリルイソシアヌレートに代表される多官能性不飽和化合物を架橋助剤として併用することが好ましい。
フッ素ゴムとしては、例えば、ソルベイ社製のテクノフロン(登録商標)、旭硝子社製アフラス(登録商標)、デュポン・ダウ・エラストマー社製バイトン(登録商標)、住友3M社製フローレル(登録商標)、ダイキン工業社製ダイエル(登録商標)等を用いることができる。
(マスターバッチの製造方法)
マスターバッチの製造に用いる混練装置としては、混練時に酸素を極力遮断するため、密閉式の混練装置を用いる。混練装置は、バッチ式であってもよいし、連続式であってもよい。バッチ式混練装置としては、加圧ニーダー、バンバリーミキサー等がある。連続式混練装置としては、一軸押出機、二軸押出機、フィーダールーダー等がある。これらの装置を単独で、または複数機を使用することによって、要求される形状に加工して製造することができる。これらの混練装置を用いて、遅延剤の融点近傍以上の温度で混合することによって、遅延剤をマスターバッチ中に均一に分散させることができる。
マスターバッチを製造するとき、前記ゴム成分とt−ブチルハイドロキノンとを120℃以上の温度で混練する。t−ブチルハイドロキノンの融点は、127〜129℃であるが、混練時に内部発熱するため、120℃以上の温度で混練することによって内部の温度が130℃以上に上昇し、t−ブチルハイドロキノンは混練装置内で溶融する。その結果t−ブチルハイドロキノンをマスターバッチのゴム成分中に均一に分散させることができる。
マスターバッチを製造するときに、t−ブチルハイドロキノンが溶融する温度まで加熱して均一に分散させてあれば、成形用ゴム組成物に当該マスターバッチを添加して混練するときに、130℃を超える温度に加熱しなくても、マスターバッチが組成物中に良好に分散し、成形時に膨れが生じず、良好な外観の成形品を得ることができる。
(成形用ゴム組成物)
本実施形態のマスターバッチを用いて、過酸化物架橋が可能な成形用ゴム組成物を製造し、その後架橋成形することによって過酸化物架橋されたゴム成形品を製造することができる。成形用ゴム組成物に使用されるゴム成分は、特に限定されないが、マスターバッチのゴム成分と同様に、前記した過酸化物架橋が可能なエチレン−α−オレフィン−非共役ポリエン系ゴム、水素添加ニトリル−ブタジエンゴムおよびフッ素ゴムのいずれか1つ以上を用いることが好ましい。マスターバッチのゴム成分との相溶性に優れているからである。また、エチレン−α−オレフィン−非共役ポリエン系ゴム、水素添加ニトリル−ブタジエンゴム、フッ素ゴム以外のゴムであっても、マスターバッチのゴム成分と相溶性のあるゴムであれば好ましく使用することができる。
成形用ゴム組成物には、架橋剤として、過酸化物が配合される。過酸化物には、有機過酸化物と無機過酸化物とがあるが、通常は、有機過酸化物が使用される。
有機過酸化物としては、例えば、ジt-ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキシ)ヘキサン、α,α’-ジ(t-ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、t-ブチルクミルパーオキサイド、1,1-ジ(t-ブチルパーオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキシ)ヘキシン-3、1,3-ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t-ブチルパーオキシベンゾエート、t-ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、n-ブチル-4,4′-ジ(t-ブチルパーオキシ)バレレート等が挙げられる。
成形用ゴム組成物には、架橋助剤として、多官能性不飽和化合物が配合される。多官能性不飽和化合物としては、例えば、トリアリルイソシアヌレート(TAIC)、トリアリルシアヌレート、トリアリルトリメリテート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、N,N’−m−フェニレンビスマレイミド等が挙げられる。
成形用ゴム組成物には、さらに、公知のゴム補強剤、充填剤、可塑剤、軟化剤、老化防止剤、加工助剤、発泡剤、発泡助剤、着色剤、分散剤、難燃剤、粘着性付与剤、離型剤、各種金属粉末、摩耗性や成形性を改良させる少量の熱可塑性樹脂、ゴム、強度や剛性を向上させる短繊維などの添加剤を、適宜配合することができる。
成形用ゴム組成物の製造には、ニーダー、バンバリーミキサー、インターミックス、プラネタリーミキサーなどの密閉式混練装置やオープンロールなどの開放式混練装置が使用される。
(成形用ゴム組成物の成形)
成形用ゴム組成物は、射出成形機、圧縮成形機、加硫プレスなどによって所定形状のキャビティー内に投入され、適正な条件で加熱架橋されることによって、架橋成形品となる。また、必要に応じて二次架橋が施される。
以下、実施例と比較例により本発明を説明するが、これらの実施例は本発明を限定するものではない。
(マスターバッチの原料)
過酸化物架橋ゴムとして、以下のものを用いた。
水素添加ニトリル−ブタジエンゴム:日本ゼオン社製ゼットポール3310(Zetpol3310)
フッ素ゴム:ソルベイ社製テクノフロンP757(三元系フッ素ゴム)
(マスターバッチの製造)
過酸化物架橋ゴムとして水素添加ニトリル−ブタジエンゴムとt−ブチルハイドロキノンとを質量比で99:1で配合した。120℃に加温した1L密閉式加圧ニーダーを使用し、充填度80%程度、ローター回転数36rpmにて120〜130℃で3分間混練して、排出し、ペレタイズして、マスターバッチAを作製した。また、過酸化物架橋ゴムとしてフッ素ゴムとt−ブチルハイドロキノンとを質量比で99:1で配合し、マスターバッチAの作製のときと同様に操作して、マスターバッチBを作製した。
(成形用ゴム組成物の原料)
過酸化物として、以下のものを用いた。
(1)ジクミルパーオキサイド
(2)2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキシ)ヘキサン:日本油脂社製パーヘキサ25B(登録商標)
架橋助剤として、トリアリルイソシアヌレート(TAIC)を用いた。
充填剤として、東海カーボン社製SRFカーボン、シーストG-Sを用いた。
(成形用ゴム組成物の製造・成形)
表1に記載の配合組成で、過酸化物を除く各成分を、1Lニーダーまたはオープンロールを用いて90℃以下で10〜30分間混練した後、1Lニーダーまたはオープンロールで過酸化物を加えて90℃以下で5〜10分間混練して、オープンロールを通して未架橋ゴムシートを作製した。その後、プレス形成機を用いて、180℃×6分間の条件で架橋成形(一次架橋)を行い、150×150×2mmのスラブシートを成形した。得られた成形品について、次の各項目の測定または評価を行った。
[評価項目]
(1)遅延剤の計量誤差
電子天秤を用いて、表1に記載の遅延剤を15秒以内で計量する操作を、繰り返し10回行った。このとき、計量された遅延剤量の目標量に対する計量誤差(%)を測定した。計量誤差の平均値(%)を求め、1.0%以下のとき、優れていると判定した。
(2)架橋成形品の膨れ
150×150×2mmのスラブシートにおける150×150mmの表裏2面において目視可能な膨れの有無を観察し、有無を判定した。
(3)架橋遅延効果
表1に記載の成形用ゴム組成物と、遅延剤または遅延剤マスターバッチを添加しない以外は同一の配合の成形用ゴム組成物について、JIS K6300-2:2001に準拠してローターレス加硫試験機(RLR-3:株式会社東洋精機製作所製)による加硫特性(試験温度:180℃)を測定し、加硫曲線を得た。遅延剤または遅延剤マスターバッチを添加することによって、それらを添加しないときに比べて、t90が8秒以上遅くなっているときに遅延効果を有りとし、それ以外は遅延効果を無しとした。
Figure 2018127510
表1の評価結果から分かるように、実施例1〜実施例5は、過酸化物架橋ゴムに対してマスターバッチを作成してt−ブチルハイドロキノンを添加したものであるが、t−ブチルハイドロキノンの計量誤差が小さく、架橋成形品の膨れが無いものであり、架橋遅延効果を有するものであった。
一方、比較例1〜比較例5は、過酸化物架橋ゴムに対してマスターバッチを作成せずにt−ブチルハイドロキノンの純品を添加したものであり、架橋遅延効果を有するものの、t−ブチルハイドロキノンの計量誤差が大きくなり、架橋成形品の膨れが発生していた。

Claims (3)

  1. エチレン−α−オレフィン−非共役ポリエン系ゴム、水素添加ニトリル−ブタジエンゴムおよびフッ素ゴムのいずれか1つ以上からなる過酸化物架橋可能なゴム成分と、t−ブチルハイドロキノン:5質量%以下とを含有する過酸化物架橋ゴム用遅延剤マスターバッチ。
  2. さらに、充填剤を含有することを特徴とする請求項1に記載の過酸化物架橋ゴム用遅延剤マスターバッチ。
  3. エチレン−α−オレフィン−非共役ポリエン系ゴム、水素添加ニトリル−ブタジエンゴムおよびフッ素ゴムのいずれか1つ以上からなる過酸化物架橋可能なゴム成分と、t−ブチルハイドロキノン:5質量%以下とを含有する過酸化物架橋ゴム用遅延剤マスターバッチの製造方法であって、
    密閉式の混練装置を用いて、前記ゴム成分とt−ブチルハイドロキノンとを120℃以上の温度で混練することを特徴とする過酸化物架橋ゴム用遅延剤マスターバッチの製造方法。
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