JP2018124317A - 静電荷像現像用トナー、静電荷像現像用二成分現像剤及び静電荷像現像用トナーの製造方法 - Google Patents

静電荷像現像用トナー、静電荷像現像用二成分現像剤及び静電荷像現像用トナーの製造方法 Download PDF

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啓司 新井
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Abstract

【課題】本発明の課題は、結晶性樹脂を含有し、高速印刷や高カバレッジ印刷においてトナー補給性及び出力画像の画質が良好な静電荷像現像用トナーを提供することである。【解決手段】本発明の静電荷像現像用トナーは、結着樹脂、離型剤及び結晶性樹脂を含有するトナー母体粒子と、当該トナー母体粒子の表面に付着される外添剤と、を含む静電荷像現像用トナーであって、パウダーレオメーターを用いて測定されるせん断付着強度が、0.05〜0.45kPaの範囲内であることを特徴とする。【選択図】なし

Description

本発明は、静電荷像現像用トナー、静電荷像現像用二成分現像剤及び静電荷像現像用トナーの製造方法に関する。本発明は、特に、結晶性樹脂を含有し、高速印刷や高カバレッジ印刷においてトナー補給性及び出力画像の画質が良好な静電荷像現像用トナー、それを用いた静電荷像現像用二成分現像剤、及びそのような静電荷像現像用トナーの製造方法に関する。
近年、高速印刷が可能で、かつ低環境負荷性を実現する低温定着性の静電荷像現像用トナー(以下、トナーともいう。)の検討がなされている。低温定着性トナーを得るための手段としては、シャープメルト性に優れる結晶性樹脂のトナー母体粒子への導入が検討されている。
また、近年の市場要求として、印刷速度の更なる高速化や、トナーを大量に消費するような高カバレッジ画像の出力が求められており、これらに対応できるよう、現像プロセスへのトナー供給は高速かつスムーズになされる必要がある。
しかしながら、上記結晶性樹脂は構造中に極性基を有するので、トナー母体粒子に導入されるとトナーの吸湿性を高めてしまう。また、結晶性樹脂をトナー母体粒子に導入すると、トナーの軟化点が下がり、トナーの表面が軟らかくなる。水分を含んだ軟らかい粒子からなる粉体は付着力が顕著に増すため、トナー粒子の付着力が大きくなり、搬送性・排出性が悪化する。したがって、結晶性樹脂を含有するトナー母体粒子を含むトナーは、排出や搬送といった電子写真の各プロセスにおけるハンドリング性が低下するという問題がある。
このような問題に対しては、例えば、パウダーレオメーターにより測定される流動化状態紛体特性値や最大通気流動性指標を所定の数値範囲内とする(例えば、特許文献1及び2参照。)ことによって、上記結晶性樹脂を含有するトナー母体粒子の粉体特性の欠点を補うことが考えられる。しかしながら、上記流動性に関する特性値を満たしていても、高速印刷や高カバレッジ印刷においては十分なトナー補給性及び出力画像の画質が得られない場合があった。
特開2012−118499号公報 特開2009−229621号公報
本発明は、上記問題・状況に鑑みてなされたものであり、その解決課題は、結晶性樹脂を含有し、高速印刷や高カバレッジ印刷においてトナー補給性及び出力画像の画質が良好な静電荷像現像用トナー、それを用いた静電荷像現像用二成分現像剤、及びそのような静電荷像現像用トナーの製造方法を提供することである。
本発明に係る上記課題を解決すべく、上記問題の原因等について検討した結果、結晶性樹脂を含有するトナー母体粒子を含む静電荷像現像用トナーの、パウダーレオメーターを用いて測定されるせん断付着強度を、所定の数値範囲内とすることで、高速印刷や高カバレッジの印刷におけるトナー補給性及び出力画像の画質を良好にすることができることを見いだした。
すなわち、本発明に係る課題は、以下の手段により解決される。
1.結着樹脂、離型剤及び結晶性樹脂を含有するトナー母体粒子と、
前記トナー母体粒子の表面に付着される外添剤と、を含む静電荷像現像用トナーであって、
パウダーレオメーターを用いて測定されるせん断付着強度が、0.05〜0.45kPaの範囲内であることを特徴とする静電荷像現像用トナー。
2.前記せん断付着強度が、0.05〜0.30kPaの範囲内であることを特徴とする第1項に記載の静電荷像現像用トナー。
3.嵩密度が、0.37〜0.42g/cmの範囲内であることを特徴とする第1項又は第2項に記載の静電荷像現像用トナー。
4.前記外添剤が、炭素数4〜8のアルキル基を有するアルコキシシランにより表面修飾され、かつ個数平均一次粒径が10〜40nmの範囲内である微粒子を含むことを特徴とする第1項から第3項までのいずれか一項に記載の静電荷像現像用トナー。
5.前記トナー母体粒子の体積基準メジアン径が、4.5〜8.0μmの範囲内であることを特徴とする第1項から第4項までのいずれか一項に記載の静電荷像現像用トナー。
6.前記結晶性樹脂が、結晶性ポリエステル樹脂を含有することを特徴とする第1項から第5項までのいずれか一項に記載の静電荷像現像用トナー。
7.前記結晶性ポリエステル樹脂が、非晶性樹脂セグメントと、結晶性ポリエステルセグメントとが化学的に結合してなるハイブリッド結晶性ポリエステル樹脂を含有することを特徴とする第6項に記載の静電荷像現像用トナー。
8.第1項から第7項までのいずれか一項に記載の静電荷像現像用トナーと、
キャリア粒子と、を含有することを特徴とする静電荷像現像用二成分現像剤。
9.第1項から第7項までのいずれか一項に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法であって、
前記トナー母体粒子に、前記外添剤を複数段階に分けて添加する工程を有し、
前記複数段階のうち最後の段階において、炭素数4〜8のアルキル基を有するアルコキシシランにより表面修飾され、かつ個数平均一次粒径が10〜40nmの範囲内である微粒子を前記外添剤として添加することを特徴とする静電荷像現像用トナーの製造方法。
本発明によれば、結晶性樹脂を含有し、高速印刷や高カバレッジ印刷においてトナー補給性及び出力画像の画質が良好な静電荷像現像用トナー、それを用いた静電荷像現像用二成分現像剤、及びそのような静電荷像現像用トナーの製造方法を提供することができる。
本発明の効果の発現機構ないし作用機構については、明確にはなっていないが、以下のように推察している。
本発明の静電荷像現像用トナーは、パウダーレオメーターを用いて測定されるせん断付着強度が0.05〜0.45kPaの範囲内であるため、ボトル内に充填されたトナー粉体が容易に崩れ、トナーを現像部へ迅速に補給することができる。これにより、高速印刷や高カバレッジ印刷においても、形成される画像が荒れることなくGI(Graininess Index)値を低い値とすることができ、出力画像の画質を向上させることができる。
また、一般にトナー粒子の粒径を小さくすると、出力画像を高画質化できる反面、トナーの付着力が向上してハンドリング性が低下してしまうが、本発明の静電荷像現像用トナーを小粒径化したとしても、ハンドリング性の低下を抑制して良好なトナー補給性及び出力画像の画質を得ることができる。
本発明の静電荷像現像用トナーは、結着樹脂、離型剤及び結晶性樹脂を含有するトナー母体粒子と、前記トナー母体粒子の表面に付着される外添剤と、を含む静電荷像現像用トナーであって、パウダーレオメーターを用いて測定されるせん断付着強度が、0.05〜0.45kPaの範囲内であることを特徴とする。この特徴は、各請求項に共通する又は対応する技術的特徴である。
本発明においては、前記せん断付着強度が、0.05〜0.30kPaの範囲内であることが好ましい。パウダーレオメーターを用いて測定されるせん断付着強度は、基本的には値が小さい方がトナーの流動性が向上するため、0.05〜0.30kPaの範囲内とすることでトナー補給性をより向上させることができる。
また、本発明においては、嵩密度が、0.37〜0.42g/cmの範囲内であることが好ましい。嵩密度は、トナーの流動性やパッキング効果を示す物性値であり、0.37〜0.42g/cmの範囲内とすることで、パッキング効果を抑制しつつ、適度な流動性も得られる。
また、本発明においては、前記外添剤が、炭素数4〜8のアルキル基を有するアルコキシシランにより表面修飾され、かつ個数平均一次粒径が10〜40nmの範囲内である微粒子を含むことが好ましい。これにより、高速印刷や高カバレッジ印刷において良好なトナー補給性及び出力画像の画質をより確実に得ることができる。
また、本発明においては、前記トナー母体粒子の体積基準メジアン径が、4.5〜8.0μmの範囲内であることが好ましい。これにより、良好なトナー補給性及び出力画像の画質を得ることができる。
また、本発明においては、前記結晶性樹脂が、結晶性ポリエステル樹脂を含有することが好ましい。これにより、低温定着性を向上させることができる。
また、本発明においては、前記結晶性ポリエステル樹脂が、非晶性樹脂セグメントと、結晶性ポリエステルセグメントとが化学的に結合してなるハイブリッド結晶性ポリエステル樹脂を含有することが好ましい。ハイブリッド結晶性ポリエステル樹脂は、化学的な結合により上記せん断付着強度を上昇させる官能基の数が少ないため、トナー補給性をより向上させることができる。
また、本発明の静電荷像現像用二成分現像剤は、上記静電荷像現像用トナーと、キャリア粒子と、を含有することを特徴とする。これにより、結晶性樹脂を含有する静電荷像現像用トナーを含有する構成であって、高速印刷や高カバレッジ印刷においてトナー補給性及び出力画像の画質が良好な静電荷像現像用二成分現像剤とすることができる。
また、本発明の静電荷像現像用トナーの製造方法は、上記静電荷像現像用トナーの製造方法であって、前記トナー母体粒子に、前記外添剤を複数段階に分けて添加する工程を有し、前記複数段階のうち最後の段階において、炭素数4〜8のアルキル基を有するアルコキシシランにより表面修飾され、かつ個数平均一次粒径が10〜40nmの範囲内である微粒子を前記外添剤として添加することを特徴とする。これにより、結晶性樹脂を含有し、高速印刷や高カバレッジ印刷においてトナー補給性及び出力画像の画質が良好な静電荷像現像用トナーをより確実に得ることができる。
以下、本発明とその構成要素、及び本発明を実施するための形態・態様について詳細な説明をする。なお、本願において、「〜」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用する。
《静電荷像現像用トナー》
本発明の静電荷像現像用トナーは、結着樹脂、離型剤及び結晶性樹脂を含有するトナー母体粒子と、当該トナー母体粒子の表面に付着される外添剤と、を含む静電荷像現像用トナーであって、パウダーレオメーターを用いて測定されるせん断付着強度が、0.05〜0.45kPaの範囲内であることを特徴とする。
また、本発明におけるトナーとは、トナー粒子の集合体をいう。また、トナー粒子とは、結着樹脂を含有するトナー母体粒子に外添剤を添加したものをいう。なお、本発明においては、トナー母体粒子とトナー粒子とを区別する必要がない場合には、単にトナー粒子と称することがある。
(パウダーレオメーターを用いて測定されるせん断付着強度)
パウダーレオメーターを用いて測定されるせん断付着強度は、粉体を、上部・下部に2分割できる容器(専用セル)に充填し、上方から圧密して、紛体層を形成させ、紛体層を一定方向に回転することで、同一面内で横滑りさせた時に生じたせん断面に発生するせん断応力と垂直応力の関係より、求められる。
粉体層に応力を加えていくとやがて粉体層は崩壊するが、この崩壊が起こる限界状態での垂直応力及びせん断応力を、横軸を垂直応力、縦軸をせん断応力とする応力平面上にプロットして得られる曲線を粉体崩壊曲線(Power Yield Locus:PYL)と呼ぶ。この粉体崩壊曲線は、粉体層にどれだけの応力を加えれば粉体層が崩壊するのか、又は流動するのかを定量的に議論する上で重要な粉体力学物性である。
本発明に係るせん断付着強度は、上記粉体崩壊曲線と縦軸との交点の値(垂直応力0のときのせん断応力)であり、紛体層の付着力の度合いを示す数値である。
上記したとおり、せん断付着強度は、紛体を圧縮したときの固まりやすさが分かる指標であるので、ボトルに充填した(詰め込まれ圧縮された)トナーの排出性と相関があると考えられる。
本発明に係るせん断付着強度の、より具体的な測定方法について説明する。
パウダーレオメーター FT−4(フリーマンテクノロジー社製)を用い、次の(1)〜(5)の操作により測定を行う。なお、全ての操作において、プロペラ型ブレードは、FT−4測定専用48mm径ブレードを使用する。また、トナーの圧縮は、FT−4測定専用48mm径通気用ピストンを、トナーのせん断は、FT−4測定専用48mm径せん断セルを、上記プロペラ型ブレードの代わりに用いる。
(1)サンプル準備
温度20℃、湿度50%RHで12時間以上調湿したトナー55gを、FT−4測定専用容器(直径50mm、容積85mLのスプリット容器)に投入する。
(2)コンディショニング操作
コンディショニングでは、トナーにストレスを与えないように、トナーからの抵抗を受けない回転方向で、プロペラ型ブレードの回転翼を緩やかに撹拌して、過剰な空気や部分的なストレスのほとんどを除去し、均質な状態にする。このとき、回転翼が回転と同時に下方向にも運動するため、回転翼の先端は、らせんを描くことになる。せん断付着強度を安定して求めるためには、常に安定して体積一定の粉体を得ることが重要であることから、当該コンディショニングを実施する。
(3)トナーの圧密操作
上記FT−4測定専用48mm径通気用ピストンを取り付け、コンディショニング操作後のトナー紛体層に、12kPaで60秒間圧密を行う。
(4)スプリット操作
上記FT−4測定専用容器のスプリット部分でトナー粉体層をすり切り、トナー粉体層上部のトナーを取り除くことで、同じ体積(85mL)のトナー粉体層を形成する。
(5)測定操作
FT−4測定専用48mmせん断セルを取り付け、9kPaの予圧密を60秒間保持した後、荷重を除去する。その後、9kPaの負荷で予備せん断を行う。本試験では、9kPaを再び加圧し、垂直応力3、4、5、6、7kPaにおける回転トルクを測定する。横軸に垂直応力、縦軸にトナー紛体層が崩壊した時点でのせん断応力を応力平面上にプロットして、直線近似を行う。その得られた近似直線と応力平面の縦軸との交点がせん断付着強度となる。
本発明のトナーは、上記測定方法により測定されるせん断付着強度が0.05〜0.45kPaの範囲内であり、トナー補給性向上の観点から0.05〜0.30kPaの範囲内であることが好ましい。
トナーのせん断付着強度が0.45kPaより高いと、当該トナーを充填したボトルを回転してトナーを搬送しようとしても、トナー粉体が容易に崩れず、現像部へのトナー補給が間に合わなくなってしまうため、画像が荒れることでGI値が高くなってしまう。一方、せん断付着強度が低い方が粉体は崩れやすく、トナー排出性は良くなる傾向にあるが、結晶性樹脂を導入したトナーにおいて、せん断付着強度を0.05kPaより低くしようとすると、外添剤の添加量が増え、嵩密度が上がることで、パッキング効果が強まり、トナーがより密に充填される。このため、逆にトナー粉体が崩れにくくなってしまい、画像が荒れることでGI値が高くなってしまう。よって、結晶性樹脂を導入したトナーの適切なせん断付着強度の範囲は上記した0.05〜0.45kPaの範囲内となる。
トナーのせん断付着強度を上記数値範囲内に調整する方法としては、例えば、炭素数が短いアルキル基を有するアルコキシシランにより表面修飾された小径微粒子を外添剤として用いる方法を挙げることができる。より具体的には、炭素数4〜8のアルキル基を有するアルコキシシランにより表面修飾され、かつ個数平均一次粒径が10〜40nmの範囲内である微粒子を外添剤として、外添剤を添加する複数段階のうち最後の段階にてこれを添加することで、せん断付着強度を上記数値範囲内に調整することが可能である。アルキル基の鎖長が短く、付着性が低いアルコキシシランにより表面修飾された小径微粒子を最後に添加して、トナー粒子の最表面を覆うことで、小径微粒子のベアリング効果が効果的に発揮され、トナー凝集を抑制するため、せん断付着強度が低くなると推測される。また、当該アルコキシシランが有するアルキル基は、例えばヘキサメチルジシラザン(HMDS)よりも炭素鎖が長いので、高い疎水化効果が得られ、水分吸着によるせん断付着強度の上昇も抑えられると推測される。
(嵩密度)
本発明のトナーは、嵩密度が0.37〜0.42g/cmの範囲内であることが好ましい。嵩密度は、トナーの流動性やパッキング効果を示す物性値であり、0.37〜0.42g/cmの範囲内にすることによって、パッキング効果を抑制しつつ、適度な流動性も得られる。
本発明に係るトナーの嵩密度(見掛け密度ともいう。)は、JIS Z2504に準じ、特開2014−137518号公報に記載の方法と同様にして求めることができる。
すなわち、特開2014−137518号公報の図1に示すように、まず、上端に直径が28mmの円形の開口を有する容量25cmの円筒型の容器を、水平面上に設置された容器台上に配置する。この容器台に設けられたスタンドの漏斗保持部により、下端に2.5mmの口径の排出口を有する漏斗を、円筒型の容器の直上方に、当該容器の開口から漏斗の排出口先端までの距離が25mmとなる位置に保持する。次に、測定対象のトナーを、円筒型の容器の開口から溢れるまで、漏斗の排出口から排出し落下させて開口から当該容器内に流し込む。当該容器の開口の面に沿って水平にトナーをすり切ることにより盛り上がった試料部分を除去した後、容器内に充填されたトナーの質量を測定し、その測定値から、次の式(1)により、トナーの嵩密度d(g/cm)を求めることができる。
式(1):d=〔容器内の試料の質量(g)〕/〔容器の容積(cm)〕
《トナー母体粒子》
本発明に係るトナー母体粒子は、結着樹脂、離型剤及び結晶性樹脂を含有する。また、トナー母体粒子は、例えば、着色剤、荷電制御剤、界面活性剤等、その他の内添剤を含有していても良い。
(トナー母体粒子の体積基準メジアン径)
本発明に係るトナー母体粒子の体積基準メジアン径は、4.5〜8.0μmの範囲内であることが好ましい。画質向上の観点ではより小径であることが好ましいが、粒径が小さいとトナー母体粒子の付着力が高まり、流動化度は低くなる傾向にあり、トナーの補給性が悪化してしまう。トナー母体粒子の体積基準メジアン径が上記範囲内であれば、出力画像の画質とトナー補給性の両方の観点を満たし、かつ帯電、現像、転写、クリーニングなどの機能も両立させることができる。また、トナー母体粒子の体積基準メジアン径は、5.0〜6.2μmの範囲であれば、上記観点においてより好ましく、ドット再現性も高まるためより高画質な画像が得られる。
本発明において体積基準メジアン径(D50%径)は、例えば、「マルチサイザー3(ベックマン・コールター社製)」に、データ処理用ソフト「Software V3.51」を搭載したコンピューターシステム(ベックマン・コールター製)を接続した装置を用いて、測定、算出することができる。測定手順としては、まず、試料0.02gを、界面活性剤溶液20mLに分散させ、馴染ませた後、超音波分散を1分間行い、試料分散液を調製する。界面活性剤溶液としては、例えば、界面活性剤成分を含む中性洗剤を純水で10倍に希釈したものを用いることができる。調製した試料分散液を、ISOTONII(ベックマン・コールター社製)のビーカーに測定濃度5〜10%になるまで滴下していき、測定機カウントを25000個に設定して測定する。ここで、マルチサイザー3のアパチャー径は100μmのものを使用する。測定は、2〜60μmの範囲を256分割した頻度数を算出し、体積積算分率が大きい方から50%の粒子径を体積基準メジアン径(D50%径)として得る。
(トナー母体粒子の円形度)
本発明に用いるトナー母体粒子の円形度は、トナーの補給性の観点から、下記式(2)で示される平均円形度が0.920〜1.000の範囲内であることが好ましい。トナー母体粒子の平均円形度が当該範囲内であれば、トナー粒子同士の接触点が小さくなる。これにより、外力応答性が向上し流動化度が高まるため、トナー補給性に優れたトナーを得ることができる。また、平均円形度がこの範囲内にあれば十分な転写効率を確保可能である。
式(2):平均円形度=(粒子像と同じ投影面積をもつ円の周囲長)/(粒子投影像の周囲長)
上記平均円形度を求める測定方法の例としては、平均円形度の測定装置「FPIA−2100」(Sysmex社製)を用いた測定が挙げられる。具体的な操作としては、トナー母体粒子を界面活性剤水溶液に湿潤させ、超音波分散を1分間行って分散した後、「FPIA−2100」を用い測定条件HPF(高倍率撮像)モードにて、HPF検出数3000〜10000個の適正濃度で測定を行う。
《結着樹脂》
本発明に係るトナー母体粒子に含有される結着樹脂は、特に限定されるものではないが、帯電制御が容易なことから、スチレン−アクリル樹脂を含むことが好ましい。ここでいうスチレン−アクリル樹脂は、重合性単量体であるスチレン単量体と(メタ)アクリル酸エステル単量体とを付加重合させて形成されるものである。ここでいうスチレン単量体は、CH=CH−Cの構造式で表されるスチレンの他に、スチレン構造中に公知の側鎖や官能基を有する構造のものを含むものである。また、ここでいう(メタ)アクリル酸エステル単量体は、CH=CHCOOR(Rはアルキル基を表す。)で表されるアクリル酸エステル化合物やメタクリル酸エステル化合物の他に、アクリル酸エステル誘導体やメタクリル酸エステル誘導体等の構造中に公知の側鎖や官能基を有するエステル化合物を含むものである。
以下に、スチレン−アクリル樹脂の形成が可能なスチレン単量体及び(メタ)アクリル酸エステル単量体の具体例を示すが、本発明で使用されるスチレン−アクリル樹脂の形成に使用可能なものは以下に示すものに限定されるものではない。
スチレン単量体の具体例としては、例えば、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−フェニルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン等が挙げられる。これらスチレン単量体は、単独でも又は2種以上組み合わせても用いることができる。
また、(メタ)アクリル酸エステル単量体の具体例としては、例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、t−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、n−オクチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、ステアリルアクリレート、ラウリルアクリレート、フェニルアクリレート等のアクリル酸エステル単量体;メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、t−ブチルメタクリレート、n−オクチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、フェニルメタクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート等のメタクリル酸エステル等が挙げられる。
スチレン−アクリル樹脂の含有量は、結着樹脂の全量に対して、70質量%以上であることが好ましく、この範囲であれば十分に帯電性改善の効果を発現することができる。
なお、重合性単量体としては、上記以外にも、第三の重合性単量体を使用することもできる。第三の重合性単量体としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、ビニル酢酸等の酸単量体及びアクリルアミド、メタクリルアミド、アクリロニトリル、エチレン、プロピレン、ブチレン塩化ビニル、N−ビニルピロリドン、ブタジエン等が挙げられる。
重合性単量体としては、更に多官能ビニル単量体を使用しても良い。多官能ビニル単量体としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキシレングリコール等のジアクリレート、ジビニルベンゼン、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン等の三級以上のアルコールのジメタクリレート、トリメタクリレート等が挙げられる。
スチレン−アクリル樹脂は、乳化重合法で調製されることが好ましい。乳化重合は、水系媒体中にスチレン、アクリル酸エステルなどの重合性単量体を分散し重合することによって得ることができる。水系媒体に重合性単量体を分散するためには界面活性剤を用いることが好ましく、重合には公知の重合開始剤、連鎖移動剤を用いることができる。
《結晶性樹脂》
本発明における結晶性樹脂とは、示差走査熱量測定(DSC)を行った際に得られるDSC曲線に、吸熱変化(結晶化)が生じたことを示す明確な吸熱ピークが見られる樹脂のことをいう。明確な吸熱ピークとは、昇温速度10℃/minで測定した際に得られたDSC曲線上の吸熱ピークの半値幅が15℃以内であるピークをいう。
一方、本発明における非晶性樹脂とは、上記と同様の示差走査熱量測定を行った際に得られるDSC曲線に、ガラス転移が生じたことを示すベースラインのカーブは見られるが、上述した明確な吸熱ピークが見られない樹脂のことをいう。
示差走査熱量測定(DSC)は、例えば、DSC−7示差走査カロリメーター(パーキンエルマー製)、TAC7/DX熱分析装置コントローラー(パーキンエルマー製)を用いて行うことができる。具体的には、試料4.50mgをアルミニウム製パン(KITNo.0219−0041)に封入し、これを「DSC−7」のサンプルホルダーにセットし、リファレンスの測定には空のアルミニウム製パンを使用し、測定温度0〜200℃で、昇温速度10℃/分、降温速度10℃/分の測定条件で、Heat−Cool−Heatの温度制御を行い、その2nd.Heatにおけるデータを取得する。融点は、吸熱ピークのピークトップの温度とする。
本発明に係る結晶性樹脂の例には、結晶性ポリエステル樹脂及び結晶性ビニル系樹脂が含まれる。特に限定されないが、低温定着性実現のためには結晶性ポリエステル樹脂が好ましく、2価以上のカルボン酸(多価カルボン酸)と、2価以上のアルコール(多価アルコール)との重縮合反応によって得られる公知のポリエステル樹脂を用いることができる。
本発明のトナー母体粒子が含有する結晶性樹脂の含有量は、1質量%以上30質量%未満であることが好ましい。結晶性樹脂のトナー母体粒子中における含有量が1質量%以上であれば、好適に効果を発現することができる。また、結晶性樹脂のトナー母体粒子中における含有量が、30質量%未満であれば、トナーの熱凝集(ブロッキング)の発生をより確実に回避することができる。
(結晶性ポリエステル樹脂)
上述のように、結晶性ポリエステル樹脂は、2価以上のカルボン酸(多価カルボン酸)と、2価以上のアルコール(多価アルコール)との重縮合反応によって得られる樹脂である。結晶性ポリエステル樹脂の、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって測定される分子量は、重量平均分子量(Mw)で5000〜50000、数平均分子量(Mn)で1500〜25000であることが好ましい。結晶性ポリエステル樹脂のGPCによる分子量は、以下のようにして測定される値である。すなわち、装置「HLC−8120GPC」(東ソー社製)及びカラム「TSKguardcolumn+TSKgelSuperHZ−M3連」(東ソー社製)を用い、カラム温度を40℃に保持しながら、キャリア溶媒としてテトラヒドロフラン(THF)を流速0.2mL/minで流し、測定試料(結晶性ポリエステル樹脂)を室温において超音波分散機を用いて5分間処理を行う溶解条件で濃度1mg/mLになるようにテトラヒドロフランに溶解させ、次いで、ポアサイズ0.2μmのメンブランフィルターで処理して試料溶液を得、この試料溶液10μLを上記のキャリア溶媒とともに装置内に注入し、屈折率検出器(RI検出器)を用いて検出し、測定試料の有する分子量分布を単分散のポリスチレン標準粒子を用いて測定した検量線を用いて算出される。検量線測定用のポリスチレンとしては10点用いる。
多価カルボン酸とは、1分子中にカルボキシ基を2個以上含有する化合物であり、多価カルボン酸化合物のアルキルエステル、酸無水物及び酸塩化物を用いることができる。具体的には、例えば、シュウ酸、コハク酸、マレイン酸、アジピン酸、β−メチルアジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ノナンジカルボン酸、デカンジカルボン酸、ウンデカンジカルボン酸、ドデカンジカルボン酸、フマル酸、シトラコン酸、ジグリコール酸、シクロヘキサン−3,5−ジエン−1,2−ジカルボン酸、リンゴ酸、クエン酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、マロン酸、ピメリン酸、酒石酸、粘液酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラクロロフタル酸、クロロフタル酸、ニトロフタル酸、p−カルボキシフェニル酢酸、p−フェニレン二酢酸、m−フェニレンジグリコール酸、p−フェニレンジグリコール酸、o−フェニレンジグリコール酸、ジフェニル酢酸、ジフェニル−p,p′−ジカルボン酸、ナフタレン−1,4−ジカルボン酸、ナフタレン−1,5−ジカルボン酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、アントラセンジカルボン酸、ドデセニルコハク酸などの2価のカルボン酸;トリメリット酸、ピロメリット酸、ナフタレントリカルボン酸、ナフタレンテトラカルボン酸、ピレントリカルボン酸、ピレンテトラカルボン酸などの3価以上のカルボン酸と組み合わせても良い。本発明においては、結晶性ポリエステル樹脂を形成する多価カルボン酸としては、脂肪族多価カルボン酸が好ましい。
多価アルコールとは、1分子中にヒドロキシ基を2個以上含有する化合物である。具体的には、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ジエチレングリコール、ヘキサンジオール、シクロヘキサンジオール、オクタンジオール、デカンジオール、1,12−ドデカンジオール、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物などの2価のアルコール;グリセリン、ペンタエリスリトール、ヘキサメチロールメラミン、ヘキサエチロールメラミン、テトラメチロールベンゾグアナミン、テトラエチロールベンゾグアナミンなどの3価以上のポリオールなどを挙げることができる。本発明においては、結晶性ポリエステル樹脂を形成する多価アルコールとしては、脂肪族多価アルコールが好ましい。
(ハイブリッド結晶性ポリエステル樹脂)
結晶性ポリエステル樹脂は、非晶性樹脂セグメントと、結晶性ポリエステルセグメントとが化学的に結合してなるハイブリッド結晶性ポリエステル樹脂(以下、「ハイブリッド樹脂」ともいう。)を含有することが好ましい。結晶性ポリエステル樹脂をハイブリッド化することで、結着樹脂中の非晶性樹脂との親和性を高めることができ、結晶性ポリエステル樹脂が結着樹脂中により内包されやすくなる。また、ハイブリッド結晶性ポリエステル樹脂は、化学的な結合により上記せん断付着強度を上昇させる官能基の数が少ないため、トナー補給性をより向上させることができる。さらに、吸湿性の高い結晶性ポリエステル樹脂をトナー母体粒子の表面から遠ざけることで、トナーの吸湿性を抑えてトナー母体粒子同士の付着力を下げ、トナー補給性をより高めることができる。
非晶性樹脂セグメントは、結着樹脂に含まれる非晶性樹脂と同種の樹脂で構成されると好ましい。このような形態でハイブリッド化することにより、結晶性ポリエステル樹脂と結着樹脂との親和性が高まり、ハイブリッド樹脂が非晶性樹脂中により取り込まれやすくなる。その結果、吸湿性の高い結晶性ポリエステル樹脂セグメントがトナー母体粒子の内部に存在するため、吸湿によってトナー母体粒子同士の付着力が高まることを防ぎ、トナー補給性がより一層向上する。
ここで、「同種の樹脂」とは、繰り返し単位中に特徴的な化学結合が共通に含まれていることを意味する。なお、「特徴的な化学結合」とは、物質・材料研究機構(NIMS)物質・材料データベース(http://polymer.nims.go.jp/PoLyInfo/guide/jp/term_polymer.html)に記載の「ポリマー分類」に従う。すなわち、ポリアクリル、ポリアミド、ポリ酸無水物、ポリカーボネート、ポリジエン、ポリエステル、ポリハロオレフィン、ポリイミド、ポリイミン、ポリケトン、ポリオレフィン、ポリエーテル、ポリフェニレン、ポリホスファゼン、ポリシロキサン、ポリスチレン、ポリスルフィド、ポリスルホン、ポリウレタン、ポリウレア、ポリビニル及びその他のポリマーの計22種によって分類されたポリマーを構成する化学結合を「特徴的な化学結合」という。
ハイブリッド樹脂を構成する非晶性樹脂セグメントとしては、ビニル系樹脂などの非晶性樹脂を構成する公知の単量体を使用できる。具体的な例としては、上述したスチレン−アクリル樹脂を構成する重合性単量体を同様に用いることができる。なお、ハイブリッド樹脂中における非晶性樹脂セグメントの含有量は、5〜30質量%の範囲内であることが好ましい。
ハイブリッド樹脂を構成する結晶性ポリエステルセグメントは、多価カルボン酸と多価アルコールとを触媒の存在下で、重縮合反応を行うことにより製造された結晶性ポリエステル樹脂から構成される。ここで、多価カルボン酸及び多価アルコールの具体的な種類については、上述したとおりであるため、ここでは詳細な説明を省略する。
非晶性樹脂セグメントと結晶性ポリエステルセグメントとが結合してなる結晶性樹脂は両反応性単量体により結合していることが好ましい。
「両反応性単量体」とは、結晶性ポリエステルセグメントと非晶性樹脂セグメントとを結合する単量体である。具体的には、例えば、分子内に、結晶性ポリエステルセグメントを形成するヒドロキシ基、カルボキシ基、エポキシ基、第1級アミノ基及び第2級アミノ基から選択される基と非晶性樹脂セグメントを形成するエチレン性不飽和基の両方を有する単量体であって、好ましくは、ヒドロキシ基又はカルボキシ基とエチレン性不飽和基の両方を有する単量体が好ましい。さらに、カルボキシ基とエチレン性不飽和基の両方を有する単量体であることがより好ましい。すなわち、ビニル系カルボン酸であることが好ましい。
両反応性単量体の具体例としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、マレイン酸等が挙げられ、更にこれらのヒドロキシアルキル(炭素原子数1〜3個)のエステルであっても良いが、反応性の観点からアクリル酸、メタクリル酸及びフマル酸が好ましい。この両反応性単量体を介して結晶性ポリエステルセグメントと非晶性樹脂セグメントとが結合される。
両反応性単量体の使用量は、トナーの低温定着性、耐高温オフセット性及び耐久性を向上させる観点から、非晶性樹脂セグメントを構成する重合性単量体の総量100質量部に対して1〜10質量部が好ましく、4〜8質量部がより好ましい。
ハイブリッド樹脂を製造する方法としては、既存の一般的なスキームを使用することができる。代表的な方法としては、次の三つが挙げられる。
(1)結晶性ポリエステルセグメントをあらかじめ重合しておき、当該結晶性ポリエステルセグメントに両反応性単量体を反応させ、さらに、非晶性樹脂セグメントを形成するための重合性単量体及び(メタ)アクリル酸エステル単量体を反応させることにより、ハイブリッド樹脂を形成する方法。
(2)非晶性樹脂セグメントをあらかじめ重合しておき、当該非晶性樹脂セグメントに両反応性単量体を反応させ、さらに、結晶性ポリエステルセグメントを形成するための多価カルボン酸及び多価アルコールを反応させることにより、結晶性ポリエステルセグメントを形成する方法。
(3)結晶性ポリエステルセグメント及び非晶性樹脂セグメントをそれぞれあらかじめ重合しておき、これらに両反応性単量体を反応させることにより、両者を結合させる方法。
本発明においては、上記製造方法のうち、いずれも用いることができるが、好ましくは、上記(2)の方法が好ましい。
具体的には、結晶性ポリエステルセグメントを形成する多価カルボン酸及び多価アルコール、並びに非晶性樹脂セグメントを形成する重合性単量体及び両反応性単量体を混合し、重合開始剤を加えて前記重合性単量体と両反応性単量体を付加重合させて非晶性樹脂セグメントを形成した後、エステル化触媒を加えて、重縮合反応を行うことが好ましい。
ここで、結晶性ポリエステルセグメントを合成するための触媒としては、従来公知の種々の触媒を使用することができる。また、エステル化触媒としては、酸化ジブチルスズ、2−エチルヘキサン酸スズ(II)等のスズ化合物、チタンジイソプロピレートビストリエタノールアミネート等のチタン化合物等が挙げられ、エステル化助触媒としては、没食子酸等が挙げられる。エステル化触媒の使用量は、多価アルコール化合物と多価カルボン酸化合物と両反応性単量体成分の総量100質量部に対して、0.01〜1.5質量部が好ましく、0.1〜1.0質量部がより好ましい。エステル化助触媒の使用量は、多価アルコール化合物と多価カルボン酸化合物と両反応性単量体成分の総量100質量部に対して、0.001〜0.5質量部が好ましく、0.01〜0.1質量部がより好ましい。
《離型剤》
本発明に係るトナー母体粒子には、離型剤を添加することができる。離型剤としては、ワックスが好ましく用いられる。ワックスとしては、例えば、低分子量ポリエチレンワックス、低分子量ポリプロピレンワックス、フィッシャートロプシュワックス、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックスのような炭化水素系ワックス類、カルナウバワックス、ペンタエリスリトールベヘン酸エステル、ベヘン酸ベヘニル、クエン酸ベヘニルなどのエステルワックス類などが挙げられる。これらは1種単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。本発明においては、上記の中でもマイクロクリスタリンワックスを好適に使用できる。
なお、マイクロクリスタリンワックスとは、主として原油の減圧蒸留残さ油分から取り出されるワックスで、分岐炭化水素(イソパラフィン)や飽和環状炭化水素(シクロパラフィン)を含有する。本発明に好適に使用できるマイクロクリスタリンワックスとしては、例えば、日本精蝋(株)製のHNP−0190、HI−MIC−1045、HI−MIC−1070、HI−MIC−1080、HI−MIC−1090、HI−MIC−2045、HI−MIC−2065、HI−MIC−2095等が挙げられる。
また、上記ワックスの融点は、トナーの低温定着性及び離型性を確実に得る観点から、例えば、50〜95℃の範囲内であることが好ましい。
ワックスの含有割合は、結着樹脂全量に対して2〜20質量%の範囲内であることが好ましく、より好ましくは3〜18質量%の範囲内、更に好ましくは4〜15質量%の範囲内である。
《その他の内添剤》
本発明に係るトナー母体粒子は、上記したように、結着樹脂、離型剤及び結晶性樹脂に加えて、その他の内添剤を含有していても良い。その他の内添剤としては、例えば、以下に説明する着色剤や荷電制御剤等が挙げられる。
(着色剤)
本発明に係るトナー母体粒子が含有する着色剤としては、公知の無機又は有機着色剤を使用することができる。着色剤としてはカーボンブラック、磁性粉のほか、各種有機、無機の顔料、染料等が使用できる。着色剤の添加量は、例えば、トナー母体粒子に対して1〜30質量%の範囲内であることが好ましく、より好ましくは2〜20質量%の範囲内とされる。
(荷電制御剤)
本発明に係るトナー母体粒子には、必要に応じて荷電制御剤を添加することができる。荷電制御剤としては、種々の公知のものを使用することができる。荷電制御剤としては、水系媒体中に分散することができる公知の種々の化合物を用いることができ、具体的には、ニグロシン系染料、ナフテン酸又は高級脂肪酸の金属塩、アルコキシル化アミン、第4級アンモニウム塩化合物、アゾ系金属錯体、サリチル酸金属塩又はその金属錯体などが挙げられる。荷電制御剤の含有割合は、例えば、結着樹脂全量に対して0.1〜10質量%の範囲内であることが好ましく、より好ましくは0.5〜5質量%の範囲内とされる。
《外添剤》
外添剤は、上記したトナー母体粒子の表面に付着される。外添剤としては、公知の無機微粒子や有機微粒子、滑材などを用いることができる。使用する外添剤は、一種でもそれ以上でも良く、特に粒径の異なる外添剤2種以上を用いることが好ましい。粒径が異なると外添剤としての役割は異なり、一般に、大径であるほどスペーサー効果を発揮してトナー同士の付着力を低下させ、小径であるほどトナー母体粒子の表面を被覆しやすいため流動性を底上げすることができる。また、形状に関しては、球状の外添剤だけではなく、ルチル型酸化チタンに代表される針状のものの他、不定形状、紡錘形状、金平糖状のものなど、制限なく用いることができる。
上記のような外添剤から、適切な粒径、形状のものを選択し、適切な部数ずつ外添することで、上記パウダーレオメーターを用いて測定されるせん断付着強度を所望の値に調整することが可能である。
具体的には、例えば、炭素数4〜8のアルキル基を有するアルコキシシランにより表面修飾され、かつ個数平均一次粒径が10〜40nmの範囲内である微粒子を外添剤として用いることが好ましい。また、外添剤を添加する工程において、複数種類の外添剤を複数段階に分けて添加する場合には、当該複数段階のうち最後の段階にて、当該微粒子を添加することが好ましく、これにより、より確実にせん断付着強度を0.05〜0.45kPaの範囲内に調整することが可能である。また、外添剤として当該微粒子のみを用いる場合には、複数段階に分けて添加することなく一括で添加するものとしても良い。
本発明において、外添剤の個数平均一次粒径は以下のようにして算出される。
走査型電子顕微鏡を用いて倍率3万〜5万倍でトナーの写真を撮影し、この写真画像をスキャナーにより取り込み、画像処理解析装置「LUZEX AP」(ニレコ社製)にて、写真画像におけるトナー粒子表面に存在する外添剤について二値化処理し、外添剤微粒子の任意の100個についての水平方向フェレ径を算出し、その平均値を個数平均一次粒径とする。
また、外添剤として、個数平均粒径から求めた平均アスペクト比が2〜15、より好ましくは5〜13の酸化チタンを0.10〜0.80部含むことが好ましい。外添剤のスペーサー効果が高すぎるとトナーの体積収縮が起こりにくくなるため、トナーが保管容器(ボトル)から排出されるときなど細い経路を通過することが困難となる。しかしながら、流動性を始めとし帯電能の制御など電子写真プロセスに関わる観点から、トナー母体粒子の表面はある程度外添剤によって被覆されている必要がある。上記のような高いアスペクト比を持つ酸化チタンを外添剤として用いることで、トナー被覆率を稼ぎながら、過剰なスペーサー効果付与を防止することができ、流動性や帯電性などを向上させつつトナーの排出性を確保できる。なお、ここで酸化チタンの平均アスペクト比は、個数平均長径及び短径を用いて(長径/短径)として求める。個数平均長径及び短径は、例えば、走査型電子顕微鏡(SEM)「JEM−7401F」(日本電子社製)を用いた電子顕微鏡写真において、酸化チタンの粒径を測定し、n=20の平均値として求めることができる。また、酸化チタンの結晶構造としては、ルチル型が好ましい。ルチル型酸化チタンはアナターゼ型に比べ焼成温度が高く表面のヒドロキシ基が少ない。このことから、水分吸着によるトナー粒子同士の付着力の増加を防ぐことができる。
(外添剤の種類)
外添剤として用いられる無機微粒子としては、例えば、シリカ粒子、酸化チタン粒子、アルミナ粒子、ジルコニア粒子、酸化亜鉛粒子、酸化クロム粒子、酸化セリウム粒子、酸化アンチモン粒子、酸化タングステン粒子、酸化スズ粒子、酸化テルル粒子、酸化マンガン粒子、酸化ホウ素粒子、チタン酸ストロンチウム粒子等が挙げられる。中でも、シリカ粒子、酸化チタン粒子、アルミナ粒子、チタン酸ストロンチウム粒子などが好ましい。上記無機微粒子は、その表面が疎水化処理されていることが好ましく、当該疎水化処理には、公知の表面処理剤が用いられる。表面処理剤としては、例えば、シランカップリング剤、シリコーンオイル、チタネート系カップリング剤、アルミネート系カップリング剤、脂肪酸、脂肪酸金属塩、そのエステル化物及びロジン酸が含まれる。これらの表面処理剤は、一種単独で用いられても良いし、複数種類が併用されても良い。
上記シランカップリング剤としては、例えば、ジメチルジメトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)、メチルトリメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン等が挙げられる。上記シリコーンオイルとしては、例えば、環状化合物や、直鎖状又は分岐状のオルガノシロキサンなどが挙げられ、より具体的には、例えば、オルガノシロキサンオリゴマー、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、テトラメチルシクロテトラシロキサン、テトラビニルテトラメチルシクロテトラシロキサン等が挙げられる。
外添剤として用いられる有機微粒子としては、例えば、数平均一次粒径が10〜2000nm程度の球形の有機微粒子が挙げられる。具体的には、例えば、スチレンやメチルメタクリレートなどの単独重合体やこれらの共重合体を含有する有機微粒子を使用することができる。
外添剤として用いられる滑材は、クリーニング性や転写性を更に向上させる目的で使用されるものである。滑材としては、例えば、ステアリン酸の亜鉛、アルミニウム、銅、マグネシウム、カルシウムなどの塩、オレイン酸の亜鉛、マンガン、鉄、銅、マグネシウムなどの塩、パルミチン酸の亜鉛、銅、マグネシウム、カルシウムなどの塩、リノール酸の亜鉛、カルシウムなどの塩、リシノール酸の亜鉛、カルシウムなどの塩などの高級脂肪酸の金属塩が挙げられる。
《静電荷像現像用トナーの製造方法》
本発明に係るトナー母体粒子は、結着樹脂、離型剤及び結晶性樹脂を含有し、必要に応じて着色剤や荷電制御剤等のその他の内添剤を含む。その製造方法は、特に限定されるものではないが、乳化凝集法が好ましい。乳化凝集法によれば、粒度分布がシャープであり、粒径が高度に制御されたトナー母体粒子を得ることができる。
本発明の乳化凝集法によるトナーの製造方法を構成する各工程の一例を以下に示す。
(1)水系媒体中に着色剤微粒子が分散されてなる分散液を調製する工程
(2)水系媒体中に、必要に応じて内添剤を含有した結着樹脂微粒子が分散されてなる分散液を調製する工程
(3)着色剤微粒子の分散液と結着樹脂微粒子の分散液とを混合して、着色剤微粒子及び結着樹脂微粒子を凝集、会合、融着させてトナー母体粒子を形成する工程
(4)トナー母体粒子の分散系(水系媒体)からトナー母体粒子を濾別し、界面活性剤などを除去する工程
(5)トナー母体粒子を乾燥する工程
(6)トナー母体粒子に外添剤を添加する工程
上記(6)の工程において、複数種類の外添剤を添加する場合には、複数種類の外添剤を複数段階に分けて添加し、かつ当該複数段階のうち最後の段階において、炭素数4〜8のアルキル基を有するアルコキシシランにより表面修飾され、かつ個数平均一次粒径が10〜40nmの範囲内である微粒子を外添剤として添加することが好ましい。また、上記(6)の工程において、一種類の外添剤を単独で添加する場合には、炭素数4〜8のアルキル基を有するアルコキシシランにより表面修飾され、かつ個数平均一次粒径が10〜40nmの範囲内である微粒子を外添剤として添加することが好ましく、その場合には当該微粒子を一括で添加しても良いし、複数段階に分けて添加しても良い。
また、上記(3)の工程においては、結着樹脂微粒子等を凝集させるために凝集剤を添加することが好ましい。
本発明に用いられる凝集剤としては、特に限定されるものではないが、金属の塩から選択されるものが好適に使用される。例えば、ナトリウム、カリウム、リチウムなどのアルカリ金属の塩などの一価の金属の塩、例えばカルシウム、マグネシウム、マンガン、銅などの二価の金属の塩、鉄、アルミニウムなどの三価の金属の塩などが挙げられ、具体的な塩としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化リチウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化亜鉛、硫酸銅、硫酸マグネシウム、硫酸マンガンなどを挙げることができ、これらの中で特に好ましくは二価の金属の塩である。二価の金属の塩を使用すると、より少量で凝集を進めることができる。これらは1種又は2種以上を組み合わせて使用しても良い。
また、本発明に係るトナー母体粒子は、コア・シェル構造を有することが好ましく、上記乳化凝集法によるトナーの製造方法は、当該コア・シェル構造を有するトナー母体粒子の作製に適している。すなわち、まず、コア粒子用の結着樹脂微粒子と着色剤微粒子とを凝集、会合、融着させ、コア粒子を調製する。続いて、コア粒子の分散液中にシェル層用の結着樹脂微粒子を添加し、コア粒子表面にシェル層用の結着樹脂微粒子を凝集、融着させてコア粒子表面を被覆するシェル層を形成する。これにより、コア・シェル構造のトナー母体粒子を得ることができる。
《静電荷像現像用二成分現像剤》
静電荷像現像用二成分現像剤(以下、二成分現像剤ともいう。)は、例えばトナーの含有量(トナー濃度)が4.0〜8.0質量%となるように、トナーとキャリア粒子とを適宜に混合することによって、調製することができる。当該混合に用いられる混合装置としては、例えば、ナウターミキサー、Wコーン、V型混合機等が挙げられる。
(キャリア粒子)
本発明に係るキャリア粒子は、磁性体により構成される。当該キャリア粒子としては、当該磁性体からなる芯材粒子とその表面を被覆する被覆材の層とを有する被覆型キャリア粒子や、樹脂中に磁性体の微粉末が分散されてなる樹脂分散型キャリア粒子等が挙げられる。キャリア粒子としては、感光体へのキャリア粒子の付着を抑制する観点から、被覆型キャリア粒子であることが好ましい。
(キャリアコア(芯材粒子))
被覆型キャリア粒子を構成する芯材粒子は、磁性体、例えば、磁場によってその方向に強く磁化する物質によって構成される。当該磁性体としては、例えば、鉄、ニッケル、コバルトなどの強磁性を示す金属、これらの金属を含む合金又は化合物、熱処理することにより強磁性を示す合金等が挙げられる。これらの磁性体は、一種単独で用いても良いし、二種以上を併用しても良い。
上記強磁性を示す金属又はそれを含む化合物としては、例えば、鉄、下記式(a)で表されるフェライト、下記式(b)で表されるマグネタイト等が挙げられる。
式(a):MO・Fe
式(b):MFe
(式(a)及び(b)中、Mは、それぞれ、Mn、Fe、Ni、Co、Cu、Mg、Zn、Cd及びLiの群から選ばれる一以上の1価又は2価の金属を表す。)
また、上記熱処理することにより強磁性を示す合金としては、例えば、マンガン−銅−アルミニウム、マンガン−銅−スズ等のホイスラー合金、二酸化クロム等が挙げられる。
上記芯材粒子に含有される磁性体は、例えば、各種のフェライトであることが好ましい。これは、被覆型キャリア粒子の比重は、芯材粒子を構成する金属の比重よりも小さくなることから、現像器内における撹拌の衝撃力をより小さくすることができるためである。
(キャリアコート樹脂(被覆材))
被覆型キャリア粒子を構成する被覆材としては、キャリア粒子の芯材粒子の被覆に利用される公知の樹脂を用いることができる。当該被覆材としては、キャリア粒子の水分吸着性を低減させる観点、及び芯材粒子との密着性を高める観点から、シクロアルキル基を有する樹脂を含有することが好ましい。
シクロアルキル基としては、例えば、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロノニル基、シクロデシル基等が挙げられる。中でも、シクロヘキシル基又はシクロペンチル基が好ましく、フェライトを含有するキャリア粒子との密着性の観点からシクロへキシル基がより好ましい。
被覆材を構成する樹脂の重量平均分子量Mwは、例えば、10000〜800000の範囲内であることが好ましく、100000〜750000の範囲内であることがより好ましい。当該樹脂における上記シクロアルキル基の含有量は、例えば、10〜90質量%の範囲内であることが好ましい。上記樹脂中の当該シクロアルキル基の含有量は、例えば、熱分解−ガスクロマトグラフ/質量分析(P−GC/MS)やH−NMR等によって求めることが可能である。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「部」又は「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量部」又は「質量%」を表す。
《トナー母体粒子1の調製》
[1]着色剤微粒子分散液1の調製
n−ドデシル硫酸ナトリウム11.5質量部をイオン交換水160質量部に溶解させた溶液を撹拌しながら、当該溶液中に銅フタロシアニン24.5質量部を徐々に添加した。次いで、撹拌装置「クレアミックスWモーション CLM−0.8」(エム・テクニック(株)製)を用いて分散処理を行うことにより、体積基準メジアン径が126nmである着色剤微粒子分散液1を調製した。
[2]結着樹脂微粒子分散液1の調製
[2−1]第一段重合
撹拌装置、温度センサー、冷却管及び窒素導入装置を取り付けた反応容器に、ポリオキシエチレン(2)ドデシルエーテル硫酸ナトリウム4質量部及びイオン交換水3000質量部を仕込み、窒素気流下230rpmの撹拌速度で撹拌しながら、内温を80℃に昇温させた。昇温後、過硫酸カリウム10質量部をイオン交換水200質量部に溶解させた水溶液を添加し、液温75℃とし、下記組成からなる単量体混合液を1時間かけて滴下後、75℃にて2時間加熱、撹拌しながら重合を行うことにより、樹脂微粒子1Aの分散液を調製した。
スチレン 584質量部
アクリル酸n−ブチル 160質量部
メタクリル酸 56質量部
[2−2]第二段重合
撹拌装置、温度センサー、冷却管及び窒素導入装置を取り付けた反応容器に、ポリオキシエチレン(2)ドデシルエーテル硫酸ナトリウム2質量部をイオン交換水3000質量部に溶解させた水溶液を仕込み、80℃に加熱した。その後、上記の樹脂微粒子1Aを42質量部(固形分換算)、マイクロクリスタリンワックス「HNP−0190」(日本精蝋社製)を70質量部、下記組成からなる単量体溶液に80℃にて溶解させた溶液を上記反応容器に添加した。これを、循環経路を有する機械式分散機「CLEARMIX」(エム・テクニック社製)を用いて、1時間混合分散させることにより、乳化粒子(油滴)を含む分散液を調製した。
スチレン 239質量部
アクリル酸n−ブチル 111質量部
メタクリル酸 26質量部
n−オクチルメルカプタン 3質量部
次いで、調製した分散液に、過硫酸カリウム5質量部をイオン交換水100質量部に溶解させた開始剤溶液を添加し、この系を80℃にて1時間にわたって加熱撹拌して重合を行うことにより、樹脂微粒子1Bの分散液を調製した。
[2−3]第三段重合
上記の樹脂微粒子1Bの分散液に、さらに、過硫酸カリウム10質量部をイオン交換水200質量部に溶解させた水溶液を添加し、80℃の温度条件下で、下記組成からなる単量体混合液を1時間かけて滴下した。滴下終了後、2時間にわたって加熱撹拌することにより重合を行った後、28℃まで冷却することにより、結着樹脂(スチレン−アクリル樹脂)微粒子分散液1を得た。
スチレン 380質量部
アクリル酸n−ブチル 132質量部
メタクリル酸 39質量部
n−オクチルメルカプタン 6質量部
[3]結晶性樹脂微粒子分散液1の調製
[3−1]結晶性樹脂1の合成
多価カルボン酸化合物のセバシン酸(分子量202.25)220質量部と、多価アルコール化合物の1,12−ドデカンジオール(分子量202.33)298質量部を、窒素導入管、脱水管、撹拌器及び熱電対を装備した反応容器に入れ、160℃に加熱し、溶解させた。その後、2−エチルヘキサン酸スズ(II)2.5質量部及び没食子酸0.2質量部を加えて210℃に昇温し、8時間反応を行った。さらに、8.3kPaにて1時間反応を行い、結晶性ポリエステル樹脂からなる結晶性樹脂1を得た。
得られた結晶性樹脂1について、示差走査熱量計「ダイヤモンドDSC」((株)パーキンエルマー社製)を用い、昇温速度10℃/minの条件でDSC曲線を取得した。吸熱ピークトップ温度を測定する手法による融点(Tm)の測定結果は82.8℃であり、また、GPC「HLC−8120GPC」(東ソー社製)による分子量測定の結果、標準スチレン換算のMwは28000であった。
[3−2]結晶性樹脂微粒子分散液1の調製
まず、上記結晶性樹脂1を100質量部、酢酸エチル400質量部に溶解させた。次いで、これに5.0質量%の水酸化ナトリウム水溶液25質量部を添加して、樹脂溶液を調製した。この樹脂溶液を、撹拌装置を有する容器へ投入して撹拌しながら、0.26質量%のラウリル硫酸ナトリウム水溶液638質量部を30分間かけて滴下混合した。ラウリル硫酸ナトリウム水溶液の滴下途中、反応容器内の液が白濁し、さらに、ラウリル硫酸ナトリウム水溶液を全量滴下後、樹脂粒子が均一に分散された乳化液が調製された。次いで、当該乳化液を40℃に加熱し、ダイヤフラム式真空ポンプ「V−700」(BUCHI社製)を使用して、150hPaの減圧下で酢酸エチルを蒸留除去することにより、結晶性樹脂微粒子分散液1を得た。
[4]トナー母体粒子1の調製
[4−1]凝集・融着工程
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入装置を取り付けた反応容器に、結着樹脂微粒子分散液1を300質量部(固形分換算)、結晶性樹脂微粒子分散液1を60質量部(固形分換算)、イオン交換水を1100質量部、着色剤微粒子分散液1を40質量部(固形分換算)仕込み、液温を30℃に調整した。その後、5Nの水酸化ナトリウム水溶液を加えてpHを10に調整した。次いで、塩化マグネシウム60質量部をイオン交換水60質量部に溶解した水溶液を、撹拌下、30℃にて10分間かけて添加した。3分間保持した後に昇温を開始し、この系を60分間かけて85℃まで昇温し、85℃を保持したまま凝集させ粒子成長反応を継続した。この状態で、「コールターマルチサイザー3」(ベックマン・コールター社製)にて凝集粒子の粒径を測定し、体積基準メジアン径が6.5μmになった時点で、塩化ナトリウム40質量部をイオン交換水160質量部に溶解した水溶液を添加して粒子成長を停止させた。さらに、熟成工程として液温度80℃にて1時間にわたって加熱撹拌することにより粒子間の融着を進行させ、これにより、トナー母体粒子1の分散液を調製した。
[4−2]洗浄・乾燥工程
生成したトナー母体粒子1の分散液をバスケット型遠心分離機「MARKIII 型式番号60×40+M」(松本機械(株)製)で固液分離し、トナー母体粒子1のウェットケーキを形成した。このウェットケーキを、上記バスケット型遠心分離機で濾液の電気伝導度が5μS/cmになるまで40℃のイオン交換水で洗浄した。その後、これを「フラッシュジェットドライヤー」((株)セイシン企業製)に移し、水分量が0.5質量%となるまで乾燥することにより、体積基準メジアン径が6.5μmのトナー母体粒子1を調製した。
なお、上記方法で得られたトナー母体粒子1中の結晶性樹脂の含有量は15質量%であり、この値は下記式により算出できる。なお、各材料の質量は固形分換算した値である。
結晶性樹脂量/(結着樹脂量+結晶性樹脂量+着色剤量)×100(%)
同様に、結着樹脂の含有量(質量%)は、下記式により算出する。各材料の質量は固形分換算した値である。
結着樹脂量/(結着樹脂量+結晶性樹脂量+着色剤量)×100(%)
例えば、トナー母体粒子1の場合、結晶性樹脂の含有量は、
60/(300+60+40)×100=15質量%
結着樹脂の含有量は、
300/(300+60+40)×100=75質量%
として、それぞれ求まる。
《トナー母体粒子2の調製》
上記トナー母体粒子1の調製において、結晶性樹脂微粒子分散液1を、ハイブリッド樹脂を含有する結晶性樹脂微粒子分散液2に変更した以外は同様にして、トナー母体粒子2を得た。「コールターマルチサイザー3」(ベックマン・コールター社製)にて凝集粒子の粒径を測定したところ、体積基準メジアン径は6.4μmであった。結晶性樹脂微粒子分散液2は以下のようにして調製した。
(ハイブリッド樹脂からなる結晶性樹脂2の合成)
ポリエステル重合セグメントの材料の多価カルボン酸化合物としてのセバシン酸(分子量202.25)220部、及び多価アルコール化合物としての1,12−ドデカンジオール(分子量202.33)298部を、窒素導入管、脱水管、撹拌器及び熱電対を装備した反応容器に入れて160℃に加熱し、溶解させた。これに対し、あらかじめ混合したビニル系重合セグメントの材料となる、スチレン46部、アクリル酸n−ブチル12部、ジクミルパーオキサイド4部及び両反応性単量体としてアクリル酸3部の溶液を滴下ロートにより1時間かけて滴下した。170℃に保持したまま1時間撹拌を続け、スチレン、アクリル酸n−ブチル及びアクリル酸を重合させた後、2−エチルヘキサン酸スズ(II)2.5部及び没食子酸0.2部を加えて210℃に昇温し、8時間反応を行った。さらに、8.3kPaにて1時間反応を行い、ハイブリッド結晶性ポリエステル樹脂からなる結晶性樹脂2を得た。
(結晶性樹脂微粒子分散液2の調製)
まず、上記結晶性樹脂2を100質量部、酢酸エチル400質量部に溶解させた。次いで、これに5.0質量%の水酸化ナトリウム水溶液25質量部を添加して、樹脂溶液を調製した。この樹脂溶液を、撹拌装置を有する容器へ投入して撹拌しながら、0.26質量%のラウリル硫酸ナトリウム水溶液638質量部を30分間かけて滴下混合した。ラウリル硫酸ナトリウム水溶液の滴下途中、反応容器内の液が白濁し、さらに、ラウリル硫酸ナトリウム水溶液を全量滴下後、樹脂粒子が均一に分散された乳化液が調製された。次いで、当該乳化液を40℃に加熱し、ダイヤフラム式真空ポンプ「V−700」(BUCHI社製)を使用して、150hPaの減圧下で酢酸エチルを蒸留除去することにより、結晶性樹脂微粒子分散液2を得た。
《トナー母体粒子3の調製》
上記トナー母体粒子2の調製において、凝集・融着工程にて体積基準メジアン径が8.3μmになった時点で粒子成長を停止させた以外は同様にして、トナー母体粒子3を得た。
《トナー母体粒子4の調製》
[1]コア部用樹脂微粒子の合成
[1−1]第一段重合
撹拌装置、温度センサー、冷却管及び窒素導入装置を取り付けた5Lの反応容器に、ポチオキシエチレン−2−ドデシルエーテル硫酸ナトリウム4質量部をイオン交換水3040質量部に溶解させた界面活性剤溶液を仕込み、窒素気流下230rpmの撹拌速度で撹拌しながら、内温を80℃に昇温させた。この界面活性剤溶液に、重合開始剤(過硫酸カリウム:KPS)10質量部をイオン交換水400質量部に溶解させた重合開始剤溶液を添加し、温度を75℃とした。その後、これに対し、スチレン532質量部、n−ブチルアクリレート200質量部、メタクリル酸68質量部及びn−オクチルメルカプタン16.4質量部からなる単量体混合液を1時間かけて滴下した。この系を75℃にて2時間にわたり加熱、撹拌することによって重合(第一段重合)を行い、樹脂微粒子3Aを調製した。
[1−2]第二段重合
撹拌装置を取り付けたフラスコ内において、スチレン101.1質量部、n−ブチルアクリレート62.2質量部、メタクリル酸12.3質量部及びn−オクチルメルカプタン1.75質量部からなる単量体混合液に、離型剤として、パラフィンワックス「HNP-57」(日本精鑞社製)93.8質量部を添加し、90℃に加温して溶解させた。一方、ポリオキシエチレン−2−ドデシルエーテル硫酸ナトリウム3質量部をイオン交換水1560質量部に溶解させた界面活性剤溶液を98℃に加熱し、この界面活性剤溶液に樹脂微粒子3Aを32.8質量部(固形分換算)添加した。これに、循環経路を有する機械式分散機「クレアミックス」(エム・テクニック社製)により、パラフィンワックスを含有する単量体溶液を8時間混合分散させ、分散粒径340nmを有する乳化粒子を含む分散液を調製した。次いで、この乳化粒子分散液に、過硫酸カリウム6質量部をイオン交換水200質量部に溶解させた重合開始剤溶液を添加し、この系を98℃にて12時間にわたり加熱撹拌することにより重合(第二段重合)を行い、樹脂微粒子3Bを調製した。
[1−3]第三段重合
樹脂微粒子3Bに、過硫酸カリウム5.45質量部をイオン交換水220質量部に溶解させた重合開始剤溶液を添加し、80℃の温度条件で、スチレン293.8質量部、n−ブチルアクリレート154.1質量部、n−オクチルメルカプタン7.08質量部からなる単量体溶液を1時間かけて滴下した。滴下終了後、2時間にわたり加熱撹拌することにより重合(第三段重合)を行い、28℃まで冷却しコア部用樹脂微粒子を調製した。
[2]シェル層用樹脂微粒子の合成
上記コア部用樹脂微粒子の合成において、第一段重合におけるスチレンの添加量を548質量部に、n−ブチルアクリレート200質量部を2−エチルヘキシルアクリレート156質量部に、メタクリル酸の添加量を96質量部に、n−オクチルメルカプタンの添加量を16.5質量部に変更した以外は同様にして、シェル層用樹脂微粒子を調製した。
[3]トナー母体粒子4の調製
[3−1]コア部の形成
温度センサー、冷却管、窒素導入装置及び撹拌装置を取り付けた反応容器に、コア部用樹脂微粒子を420質量部(固形分換算)、イオン交換水を900質量部、上記トナー母体粒子1の調製に用いた着色剤微粒子分散液1を100質量部入れて撹拌した。反応容器内の温度を30℃に調整した後、この容器に5mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液を加えてpHを8〜11に調整した。
次いで、上記反応容器に、塩化マグネシウム・6水和物60質量部をイオン交換水60質量部に溶解した水溶液を、撹拌下、30℃にて10分間かけて添加した。3分間放置した後に昇温を開始し、この系を80分間かけて80℃まで昇温した。その状態で「コールターマルチサイザー3」(コールター社製)にて粒径を測定し、体積基準メジアン径で5.8μmになった時点で、塩化ナトリウム40.2質量部をイオン交換水1000質量部に溶解した水溶液を添加して粒径成長を停止させた。さらに、熟成処理として、液温度80℃にて1時間にわたり加熱撹拌することにより融着を継続させ、コア部を調製した。
[3−2]シェル層の形成
次いで、上記反応容器に、65℃においてシェル層用樹脂微粒子46.8質量部(固形分換算)を添加し、さらに塩化マグネシウム・6水和物2質量部をイオン交換水60質量部に溶解した水溶液を、10分間かけて添加した。その後、80℃まで昇温し、1時間にわたって撹拌を継続し、コア部の表面に、シェル層用樹脂微粒子を融着させた後、80℃で所定の円形度まで熟成処理を行い、シェル層を形成させた。ここで、塩化ナトリウム40.2質量部をイオン交換水1000質量部に溶解した水溶液を加え、8℃/分の条件で30℃まで冷却、濾過し、45℃のイオン交換水で繰り返し洗浄した。その後、40℃の温風で乾燥することにより、体積基準メジアン径が5.9μmのトナー母体粒子4を調製した。
上記調製したトナー母体粒子1〜4の体積基準メジアン径及び含有される結晶性樹脂種を表Iに示す。
Figure 2018124317
《外添剤の調製》
[外添剤A−1の調製]
個数平均一次粒径が30nmであるシリカ粉末100質量部を反応器に入れ、窒素雰囲気下で撹拌しながら、水3.0gを噴霧した。これに、表面修飾剤であるヘキサメチルジシラザン(HMDS)10質量部、ジエチルアミン1.0質量部を噴霧し、180℃で1時間加熱撹拌し、その後冷却して外添剤A−1を得た。
[外添剤A−2、B−1〜B−4の調製]
上記外添剤A−1の調製において、シリカ粉末の個数平均一次粒径及び表面修飾剤の種類を表IIに記載のとおりに変更した以外は同様にして、外添剤A−2、B−1〜B−4を得た。
[外添剤A−3、B−5〜B−11の調製]
上記外添剤A−1の調製において、シリカ粉末をチタニア粉末に変更するとともに、チタニア粒子の個数平均一次粒径及び表面修飾剤の種類を表IIに記載のとおりに設定した以外は同様にして、外添剤A−3、B−5〜B−11を得た。
上記調製した外添剤A−1〜A−3、B−1〜B−11の粒子種、表面修飾剤及び個数平均一次粒径(nm)を表IIに示す。
Figure 2018124317
《トナー1、4の調製》
100質量部のトナー母体粒子1と、外添剤A及び表IIIに示す種類と添加量の外添剤Bとを、ヘンシェルミキサー(型式「FM20C/I」(日本コークス工業株式会社製)に添加した。次に、羽根先端周速が40m/sとなるようにして撹拌翼の回転数を設定して20分間撹拌し、トナー1、4を調製した。なお、外添剤混合時における混合粉体の温度は40±1℃となるように設定した。
なお、外添剤Aとしては、1.0質量部の外添剤A−1、0.7質量部の外添剤A−2及び0.5質量部の外添剤A−3の混合物を用いた。以下、トナー2、3、5〜19の調製において同様とした。
《トナー2、5の調製》
100質量部のトナー母体粒子1と、表IIIに示す種類と添加量の外添剤Bとを、ヘンシェルミキサー(型式「FM20C/I」(日本コークス工業株式会社製)に添加した。次に、羽根先端周速が40m/sとなるようにして撹拌翼の回転数を設定して15分間撹拌した。その後、外添剤Aを添加し、5分間撹拌して、トナー2、5を調製した。なお、外添混合時における混合粉体の温度は40±1℃となるように設定した。
《トナー3、6〜19の調製》
表IIIに示す種類の100質量部のトナー母体粒子と、外添剤Aとを、ヘンシェルミキサー(型式「FM20C/I」(日本コークス工業株式会社製)に添加した。次に、羽根先端周速が40m/sとなるようにして撹拌翼の回転数を設定して15分間撹拌した。その後、表IIIに示す種類と添加量の外添剤Bを添加し、5分間撹拌して、トナー3、6〜19を調製した。なお、外添混合時における混合粉体の温度は40℃±1℃となるように設定した。
《トナーの評価》
上記のようにして調製した各トナーについて、下記の各評価を行った。評価結果を表IIIに示す。
[1.パウダーレオメーターを用いたせん断付着強度の測定]
上記調製したトナー1〜19について、パウダーレオメーター FT−4(フリーマンテクノロジー社製)を用い、次の(1)〜(5)の操作によりせん断付着強度を測定した。なお、全ての操作において、プロペラ型ブレードは、FT−4測定専用48mm径ブレードを使用した。また、トナーの圧縮は、FT−4測定専用48mm径通気用ピストンを、トナーのせん断は、FT−4測定専用48mm径せん断セルを、上記プロペラ型ブレードの代わりに用いた。
(1)サンプル準備
温度20℃、湿度50%RHで12時間以上調湿したトナー55gを、FT−4測定専用容器(直径50mm、容積85mLのスプリット容器)に投入した。
(2)コンディショニング操作
コンディショニングでは、トナーにストレスを与えないように、トナーからの抵抗を受けない回転方向で、プロペラ型ブレードの回転翼を緩やかに撹拌して、過剰な空気や部分的なストレスのほとんどを除去し、均質な状態にした。このとき、回転翼が回転と同時に下方向にも運動するため、回転翼の先端は、らせんを描くことになる。せん断付着強度を安定して求めるためには、常に安定して体積一定の粉体を得ることが重要であることから、当該コンディショニングを実施した。
(3)トナーの圧密操作
上記FT−4測定専用48mm径通気用ピストンを取り付け、コンディショニング操作後のトナー紛体層に、12kPaで60秒間圧密を行った。
(4)スプリット操作
上記FT−4測定専用容器のスプリット部分でトナー粉体層をすり切り、トナー粉体層上部のトナーを取り除くことで、同じ体積(85mL)のトナー粉体層を形成した。
(5)測定操作
FT−4測定専用48mmせん断セルを取り付け、9kPaの予圧密を60秒間保持した後、荷重を除去した。その後、9kPaの負荷で予備せん断を行った。本試験では、9kPaを再び加圧し、垂直応力3、4、5、6、7kPaにおける回転トルクを測定した。横軸に垂直応力、縦軸にトナー紛体層が崩壊した時点でのせん断応力を応力平面上にプロットして、直線近似を行った。その得られた近似直線と応力平面の縦軸との交点をせん断付着強度とした。
[2.嵩密度の測定]
トナーの嵩密度は、JIS Z2504に準じ、特開2014−137518号公報に記載の方法と同様にして求めた。
すなわち、特開2014−137518号公報の図1に示すように、上端に直径が28mmの円形の開口を有する容量25cmの円筒型の容器を、水平面上に設置された容器台上に配置した。この容器台に設けられたスタンドの漏斗保持部により、下端に2.5mmの口径の排出口を有する漏斗を、円筒型の容器の直上方に、当該容器の開口から漏斗の排出口先端までの距離が25mmとなる位置に保持した。次に、上記調製したトナーを、円筒型の容器の開口から溢れるまで、漏斗の排出口から排出し落下させて開口から当該容器内に流し込んだ。当該容器の開口の面に沿って水平にトナーをすり切ることにより盛り上がった試料部分を除去した後、容器内に充填されたトナーの質量を測定し、その測定値から、次の式(1)により、トナーの嵩密度d(g/cm)を求めた。
式(1):d=〔容器内の試料の質量(g)〕/〔容器の容積(cm)〕
[3.トナー補給性の評価]
まず、上記調製したトナー1〜19に対し、体積平均粒径60μmのフェライトキャリアを、調製される二成分現像剤におけるトナー含有量(トナー濃度)が7質量%となるようにそれぞれ加えた。その後、V型混合機にて30分間混合し、トナー1〜19にそれぞれ対応する二成分現像剤を得た。
次いで、複写機「bizhub PRESS C1100」(コニカミノルタ社製)を用いて、下記の実写テストを行い、トナー補給性の評価を行った。
トナーボトルに上記調製した各二成分現像剤1200gを充填し、常温常湿環境(温度20℃、湿度55%RH)条件下において、A4サイズの普通紙を用いて、印字率100%、100枚/分の速度で1000枚プリントを行う。マシンへのトナー補給が不十分であると、マシン側はトナーボトルの容量がなくなったと誤検知し、「トナーエンプティー表示」を点灯する。1000枚プリント完了時までに点灯するトナーエンプティー表示の回数をカウントし、下記基準に従ってトナー補給性を評価した。なお、点灯回数が2回以下であれば実用上問題なく、合格と判断される。
○:エンプティー表示の点灯回数が2回以下
×:エンプティー表示の点灯回数が3回以上
[4.画質(粒状性)の評価]
まず、上記トナー補給性の評価と同様にして、各トナー1〜19にそれぞれ対応する二成分現像剤を調製した。
次いで、複写機「bizhub PRO C6500」(コニカミノルタ株式会社製)を用いて、常温常湿環境(温度20℃、湿度55%RH)条件下で、A4版の上質紙(65g/m)上にテスト画像として印字率5%の帯状ベタ画像を形成する印刷を、100枚/分の速度で100枚行い、階調率32段階の階調パターンを出力し、この階調パターンの粒状性を下記基準に従って評価した。粒状性の評価は、階調パターンのCCDによる読み取り値にMTF(Modulation Transfer Function)補正を考慮したフーリエ変換処理を施し、人間の比視感度に合わせたGI(Graininess Index)値を測定し、最大GI値を求めた。GI値は小さいほど良く、その値が0.175未満であれば、実用上問題なく、合格と判断される。なお、このGI値は、日本画像学会誌39(2)、84・93(2000)に掲載されている値である。
◎:GI値が0.165未満
○:GI値が0.165以上0.175未満
×:GI値が0.175以上
Figure 2018124317
表IIIに示すように、せん断付着強度が0.05〜045kPaの範囲内にあるトナー6、7、11〜13、15、17、19は、比較例のトナーと比較して、トナー補給性及び出力画像の画質が良好であることが分かる。

Claims (9)

  1. 結着樹脂、離型剤及び結晶性樹脂を含有するトナー母体粒子と、
    前記トナー母体粒子の表面に付着される外添剤と、を含む静電荷像現像用トナーであって、
    パウダーレオメーターを用いて測定されるせん断付着強度が、0.05〜0.45kPaの範囲内であることを特徴とする静電荷像現像用トナー。
  2. 前記せん断付着強度が、0.05〜0.30kPaの範囲内であることを特徴とする請求項1に記載の静電荷像現像用トナー。
  3. 嵩密度が、0.37〜0.42g/cmの範囲内であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の静電荷像現像用トナー。
  4. 前記外添剤が、炭素数4〜8のアルキル基を有するアルコキシシランにより表面修飾され、かつ個数平均一次粒径が10〜40nmの範囲内である微粒子を含むことを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の静電荷像現像用トナー。
  5. 前記トナー母体粒子の体積基準メジアン径が、4.5〜8.0μmの範囲内であることを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の静電荷像現像用トナー。
  6. 前記結晶性樹脂が、結晶性ポリエステル樹脂を含有することを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の静電荷像現像用トナー。
  7. 前記結晶性ポリエステル樹脂が、非晶性樹脂セグメントと、結晶性ポリエステルセグメントとが化学的に結合してなるハイブリッド結晶性ポリエステル樹脂を含有することを特徴とする請求項6に記載の静電荷像現像用トナー。
  8. 請求項1から請求項7までのいずれか一項に記載の静電荷像現像用トナーと、
    キャリア粒子と、を含有することを特徴とする静電荷像現像用二成分現像剤。
  9. 請求項1から請求項7までのいずれか一項に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法であって、
    前記トナー母体粒子に、前記外添剤を複数段階に分けて添加する工程を有し、
    前記複数段階のうち最後の段階において、炭素数4〜8のアルキル基を有するアルコキシシランにより表面修飾され、かつ個数平均一次粒径が10〜40nmの範囲内である微粒子を前記外添剤として添加することを特徴とする静電荷像現像用トナーの製造方法。
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