JP2018124314A - プラズマ光源 - Google Patents

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Abstract

【課題】対向型プラズマフォーカス方式のプラズマ光源において、各同軸状電極の中心電極の熱損傷を防止すること。【解決手段】各同軸状電極10の中心電極11に孔13が形成され、孔13内にノズル14が設けられる。ノズル14は、中心電極11の先端11aに向けて開口する冷媒の供給路15を有し、ノズル14の外周面14bと孔13の内壁13aは、供給路15に連通する冷媒の排出路16を形成する。【選択図】図1

Description

本発明は、プラズマ光を生成するプラズマ光源に関する。
高輝度光源の1つとしてプラズマを利用した光源、所謂プラズマ光源が知られている。プラズマ光源は例えば、極端紫外光などの光が得られるフォトリソグラフィ用光源として注目されている。産業上の観点から、プラズマ光源は小型化が図れるものが望ましく、その候補として、放電生成プラズマ(DPP:Discharge Produced Plasma)方式のプラズマ光源や、レーザー生成プラズマ(LPP:Laser Produced Plasma)方式のプラズマ光源が知られている。なお、これらのプラズマ光源から放出される光(以下、プラズマ光と称する)は何れもパルス光である。
フォトリソグラフィでは露光時間の制御が極めて重要である。そのためには、プラズマ光の十分な発光量(強度)及び輝度を確保するだけでなく、これらを安定に得る必要がある。また、プラズマ光の放出時間は数μs程度以下と短いため、プラズマの発生(即ち、プラズマ光の放出)を高速に繰り返す必要がある。
上記に関連するプラズマ光源が特許文献1に開示されている。同文献のプラズマ光源はDPP方式の一種であるプラズマフォーカス方式を採用したプラズマ光源であって、対称面に対して互いに対向配置され、極端紫外光を放射するプラズマを発生且つ閉じ込める一対の同軸状電極と、各同軸状電極に対して放電電圧を印加する電圧印加装置とを備えている。各同軸状電極は、棒状の中心電極と、中心電極と一定の間隔を隔て、且つ中心電極の周方向に配置された複数の外部電極とを有している。
特許文献1のプラズマ光源では、中心電極と外部電極との間に高電圧が印加した状態で、さらにパルス状の電圧を印加する、或いは、同軸状電極の何れかの箇所においてレーザーアブレーションを行うことによって両電極間に初期放電を誘発する。初期放電は中心電極を中心とする環状に形成され、プラズマの生成および成長を促しつつ、電磁力によって中心電極の先端に向けて移動する。さらに、各同軸状電極のプラズマは電気エネルギーを受けつつ、各同軸状電極の間で融合し、閉じ込められ、収束することで、高温・高密度となる。その結果、極端紫外光を含む光が放出される。
特開2013−089634号公報
特許文献1のプラズマ光源において、各同軸状電極で発生した初期放電は環状のプラズマに成長しつつ移動し、その後、各同軸状電極の間で互いに融合して、高温・高密度となる。プラズマに供給される電気エネルギーは電圧印加装置が発生しており、その値は中心電極と各外部電極との間に印加される電圧と中心電極と各外部電極との間を流れる電流との積に比例している。
一方、プラズマが電気エネルギーによって加熱されている間、中心電極の先端部も当該電気エネルギーの電流によって加熱されている。中心電極に流れる電流の値は、各外部電極に流れる電流の値に、外部電極の本数を乗じた値となる。従って、中心電極は外部電極よりも加熱されやすく、温度の上昇が著しい。しかも、プラズマに(或いはプラズマから)流れる電流は、中心電極の先端部に集中している。従って、先端部はその周囲に比べて熱による損傷を受けやすいと言える。なお、ここで言う損傷とは、構造的な変化だけでなく物性的な変化(例えば相転移)をも含む。
例えば、中心電極の先端部の形状が、溶解、欠損、亀裂などにより変化した場合、その周囲の電界分布が変化し、対称性が崩れてしまう。電界分布の対称性の崩れは、プラズマの収縮に影響を及ぼすため、所望の温度への加熱或いは維持が困難になる。即ち、一回の発光あたりのプラズマ光の強度不足が懸念される。また、中心電極の先端部の物性が変化した場合、その脆弱性によりプラズマ光源の寿命(運転時間)が短くなる懸念がある。
そこで本発明は、対称面に対して互いに対向配置され、プラズマ光を放射するプラズマを発生し且つ閉じ込める一対の同軸状電極を備えるプラズマ光源において、各同軸状電極の中心電極の熱損傷を防止することを目的とする。
本発明の一態様はプラズマ光源であって、単一の軸線上に延びる中心電極および前記中心電極の外周を囲むように設けられる外部電極を有し、対称面を挟んで互いに対向配置され、プラズマ光を放射するプラズマを発生且つ閉じ込める一対の同軸状電極と、前記中心電極と前記外部電極との間に供給される前記プラズマの媒質を保持する媒質保持部と、各前記同軸状電極に対して放電電圧を印加する電圧印加装置と、前記中心電極の基端から先端に向けて延伸する孔内に、前記孔の内壁と間隔を置いて設けられるノズルとを備え、前記ノズルは、前記中心電極の前記先端に向けて開口する冷媒の供給路を有し、前記ノズルの外周面と前記孔の前記内壁は、前記供給路に連通する冷媒の排出路を形成することを要旨とする。
前記プラズマ光源は前記供給路に冷媒を供給する冷媒供給器を更に備えてもよい。また、前記冷媒供給器による冷媒の供給量は、前記中心電極内における冷媒の核沸騰限界点から極大熱流束点までの核沸騰領域を維持する値に設定されていてもよい。
前記ノズルの前記外周面は凹凸部を有してもよい。
本発明によれば、対称面に対して互いに対向配置され、プラズマ光を放射するプラズマを発生し且つ閉じ込める一対の同軸状電極を備えるプラズマ光源において、各同軸状電極の中心電極の熱損傷を防止することができる。
本発明の実施形態に係るプラズマ光源の概略構成図(断面図)である。 本発明の実施形態に係るプラズマ光源の電気系統を示す図である。 図1のIII−III断面を示す図である。 本発明の実施形態に係る中心電極及びノズル並びに冷媒による冷却動作を説明するための図であり、(a)は中心軸を含む中心電極とノズルの断面図、(b)は(a)のIVB−IVB断面を示す図である。 本発明の実施形態に係るノズルの変形例を示す図であり、(a)はノズルの第1変形例を示す図、(b)はノズルの第2変形例を示す図である。
以下、本発明の実施形態に係るプラズマ光源について添付図面に基づいて説明する。なお、各図において共通する部分には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
図1は、本実施形態に係るプラズマ光源を示す概略構成図(断面図)である。図2は当該プラズマ光源の電気系統を示す図である。図3は、図1のIII−III断面を示す図である。図1に示すように、本実施形態のプラズマ光源は、一対の同軸状電極10、10と、媒質保持部17と、電圧印加装置20と、レーザー装置30と、冷媒供給器40とを備える。
一対の同軸状電極10、10は真空槽5内に設置され、対称面1に対して互いに対称な位置に設置されている。即ち、このプラズマ光源は、対向型プラズマフォーカス方式を採用した光源である。一対の同軸状電極10、10は、対称面1を挟み一定の間隔を隔てて設置され、先端側(後述の面状放電2bが放出される側)が互いに対向している。
同軸状電極10、10には電圧印加装置20によって放電に必要な高電圧が印加される。同軸状電極10、10に電圧が印加された状態で、媒質保持部17にはレーザー装置30からのレーザー光32が照射される。レーザー光32は媒質保持部17内のプラズマ媒質6を蒸発させる。蒸発したプラズマ媒質(即ち媒質ガス)6は各同軸状電極10の中心電極11と外部電極12との間に供給される。即ち、レーザー光32のアブレーションによりプラズマ媒質6は各同軸状電極10の中心電極11と外部電極12との間に拡散する。
プラズマ媒質6が中心電極11と外部電極12との間に拡散すると、中心電極11と外部電極12の間に初期放電(初期プラズマ)2aが誘発され、プラズマ媒質6が電離する。更に、同軸状電極10、10は、この初期放電2aを面状放電2bに成長させて、両者の間にプラズマ3を発生させ、これを閉じ込める。同軸状電極10、10の間に閉じ込められたプラズマ3は同軸状電極10、10からの電気エネルギーを受けて加熱され、プラズマ光8を放射する。なお、面状放電とは2次元的に広がる面状の放電電流のことであり、電流シート又はプラズマシートとも呼ばれている。
各同軸状電極10は、中心電極11と、中心電極11の外周を囲むように設けられる複数の外部電極12とを備える。中心電極11と外部電極12はセラミック等の絶縁体(図示せず)によって支持されている。
中心電極11は、各同軸状電極10に共通する単一の軸線Z−Zを中心軸(以下、この軸を中心軸Zと称する)とし、この中心軸Z上に延びる棒状の導電体である。中心電極11の直径は対称面1に向かうに連れて小さくなっている。例えば、中心電極11は、先端部11aを頂角にもつ略円錐状に形成されている。中心電極11の最大径は例えば5mmである。中心電極11は高温に対して耐性を有する材料、例えばW(タングステン)やMo(モリブデン)等の高融点金属を用いて形成される。なお、中心電極11は直径が一定の棒状電極でもよい。
中心電極11は、対称面1に面する先端部(先端)11aと、中心軸Zの周りに形成された側面11bと、側面11bを挟んで先端部11aと反対に位置する基端部(基端)11cとを有している。先端部11aは、対称面1に対向する半球状の曲面を有する。ただし、対称面1に対向する面の形状は曲面に限られず、単なる平面でもよい。また、中心軸Zに沿って窪んだ凹部(図示せず)を設けてもよい。
図1に示すように、外部電極12は、中心電極11に沿って対称面1に延びる棒状の導電体である。外部電極12の直径は例えば3mmである。外部電極12は、対称面1に近づくに連れて中心軸Zに近づくように、中心軸Zに対して傾斜する。中心電極11と外部電極12との間隔は一定でもよく、この間隔が対称面1に近づくほど小さくてもよい。
図3に示すように、外部電極12は、中心電極11の周方向に沿って角度θ毎に配置されている。換言すると、各外部電極12は中心電極11と平行に配置され、中心電極11の周囲を囲んでいる。図3に示す例では、6本の外部電極12が中心電極11の周りで60°毎に配置されている。外部電極12の材質は、中心電極11と同じく、高温に対して耐性をもつ導電物質である。対称面1に対向する外部電極12の端面は曲面、平面の何れでもよい。
外部電極12は中心電極11の周りで等角度間隔に設置されることが望ましい。例えば、加工や組み立ての観点あるいは面状放電2bの形成の容易性から、各外部電極12は中心電極11に対して回転対称な位置に設置されることが望ましい。しかしながら、本発明はこのような配列に限定されない。また、外部電極12の本数も図3に示す6本に限られることなく、中心電極11及び外部電極12の大きさや形状、両者の間隔などに応じて適宜設定される。
媒質保持部17は、中心電極11と外部電極12との間に供給されるプラズマ媒質6を保持する。媒質保持部17は、プラズマ媒質6を保持する容器として或いはプラズマ媒質6自体で構成され、中心電極11から見て、隣接する2本の外部電極12の間に位置している。また、媒質保持部17は同軸状電極10の外側に設置される。この場合の「外側」とは、例えば、各外部電極12の中心によって囲まれる領域外の空間を意味する。
図3に示すように、媒質保持部17は同軸状電極10の周りに複数設けられ、中心電極11の周りに点対称な或いは回転対称な位置に位置することが望ましい。即ち、同軸状電極10へのプラズマ媒質6の供給箇所は、中心電極11に対して対称に分布していることが望ましい。ただし、媒質保持部17の設置箇所はこれらに限定されない。また、何れの場合も、プラズマ媒質6の放出角特性を考慮して、レーザー光32の照射点を含むプラズマ媒質6の表面は、外部電極12と中心電極11の間の空間あるいは中心電極11に向いている。
プラズマ媒質6の組成は、必要な光の波長に応じて選択される。プラズマ媒質6は、例えば、13.5nmの紫外光が必要な場合はLi(リチウム)やSn(スズ)を含み、6.7nmの紫外光が必要な場合はガドリニウム(Gd)やテルビウム(Tb)を含み、3〜4nmの紫外光が必要な場合はBi(ビスマス)を含む。
図4は、本実施形態に係る中心電極及びノズル並びに冷媒による冷却動作を説明するための図であり、(a)は中心軸Zを含む中心電極11とノズル14の断面図、(b)は(a)のIVB−IVB断面を示す図である。図4(a)に示すように、中心電極11には孔13が形成されている。孔13は中心電極11の基端部11cから先端部11aに向けて延伸し、中心電極11の先端部11a近傍に底面13bを有している。この孔13にはノズル14が設けられる。
孔13は、ノズル14の外形や寸法を考慮しつつ、所望の冷却能力が得られる形状を有する。例えば図4(a)に示すように、ノズル14が開口14aを頂角にもつ略円錐状に形成されている場合、孔13もこれに対応する同様の形状を有する。なお、図4(a)中の白抜き矢印で示したように、冷媒は供給路15を介してノズル14の開口14aから底面13bに向けて放出され、その後、反転して排出路16を流通する。この流れを円滑にするため、底面13bは中心電極11の先端部11aに向けて窪んだ凹面であることが望ましい。
ノズル14は、中心軸Zに沿って延伸する管(パイプ)であり、その内部に中心電極11の先端部11aに向けて開口する冷媒の供給路15を有する。また、ノズル14は孔13の内壁13aと間隔を置いて設けられる。換言すれば、ノズル14は、当該ノズル14と孔13の内壁13aとの間に空間が形成される寸法及び構造を有する。これによりノズル14の外周面14bは、孔13の内壁13aと共に供給路15に連通する冷媒の排出路16を形成する。
本実施形態の孔13及びノズル14は、中心軸Zに対して軸対称な形状を有し、同心状に設置される。従って、供給路15及び排出路16も中心軸Zに対して軸対称な形状(空間)を有する。
上述の通り、本実施形態のプラズマ光源は冷媒供給器40を備える。冷媒供給器40は、ポンプ(図示せず)や冷却器(図示せず)によって構成され、配管42を介して供給路15及び排出路16に接続している。冷媒供給器40は、排出路16から排出された冷媒を冷却して供給路15に供給する。冷媒供給器40は、冷媒の供給量を、中心電極11内における冷媒の核沸騰限界点から極大熱流束点までの核沸騰領域を維持する値に設定する。この設定により、冷媒への熱伝達が最も効率良く達成される。
本実施形態の冷媒は水である。中心電極11が接地されていない場合、水を介した中心電極11と真空槽5の間の短絡を防止するため、真空槽5内の配管42はフッ素樹脂などの絶縁性を有する材料を用いたものが使用される。また、真空槽5内の配管42は、その中を流通する水の電気抵抗が中心電極11と真空槽5の間の電気的絶縁を維持できる長さを有する。なお、水の電気抵抗を高めるため、配管42の途中に脱イオン処理装置(図示せず)を設置してもよい。また、冷媒として、アルコール混合水或いはフッ素系不活性液体を用いてもよい。
次に、本実施形態のプラズマ光源における電気系統について説明する。図2に示すように、プラズマ光源は各同軸状電極10に接続する電圧印加装置20を備える。電圧印加装置20は、各同軸状電極10に同極性又は逆極性の放電電圧を印加する。
電圧印加装置20は、高圧電源22を備える。高圧電源22の正極側は同軸状電極10の中心電極11に接続し、高圧電源22の負極側は外部電極12に接続している。高圧電源22は、中心電極11‐外部電極12間に放電電圧(例えば5kV)を印加する。なお、放電電圧の極性は中心電極11に対して正または負の何れでもよい。
上述の通り、各中心電極11の周囲には複数の外部電極12が設けられている。理想的な放電を得るには、全ての外部電極12と中心電極11との間で、放電が発生する必要がある。しかも、これらの放電が、中心電極11の周りで空間的に等間隔に分布していることが望ましい。しかしながら、高圧電源22から供給される放電エネルギーは最初に発生した放電に対して優先的に費やされる傾向があり、この場合は複数の放電を異なる場所で略同時に発生させることが困難になる。
そこで、本実施形態の電圧印加装置20は、放電電圧の放電エネルギーを外部電極12毎に蓄積するエネルギー蓄積回路24を備えている。エネルギー蓄積回路24は、例えば図2に示すように中心電極11と各外部電極12との間を個別に接続する複数のコンデンサCで構成される。各コンデンサCは、放電のピーク時に2kA程度の放電電流を流すことが可能な静電容量を持ち、高圧電源22の各出力間に接続される。
このように、放電エネルギーを蓄積するコンデンサCを外部電極12毎に設けることで、全ての外部電極12において放電を発生させることができる。即ち、放電エネルギーが、最初に発生した放電に過剰に消費されることを防止でき、中心電極11の全周に亘る面状放電2bを発生させることができる。
さらに、電圧印加装置20は、放電電流が帰還することを阻止する放電電流阻止回路26を備えてもよい。放電電流阻止回路26は、例えば図2に示すように各外部電極12と電圧印加装置20との間を接続するインダクタLで構成される。インダクタLは、放電電流に対して十分に高いインピーダンスを有するため、中心電極11及び外部電極12を経由した放電電流を、その発生源であるエネルギー蓄積回路24に戻すことができる。つまり、各コンデンサCに蓄積された放電エネルギーが、当該コンデンサCに直結した外部電極12以外の外部電極12に供給されることを防止するため、中心電極11の周方向における放電の発生分布に偏りが生じることを防止できる。
上述の通り、本実施形態のプラズマ光源はレーザー装置30を備える。レーザー装置30は、各同軸状電極10の中心電極11にレーザー光32を照射することで、プラズマ3の媒質を放出させると共に、電圧印加装置20と協働してプラズマ3の初期放電(初期プラズマ)2aを発生させる。レーザー装置30は例えばYAGレーザーであり、アブレーションを行うために基本波やその二倍波を短パルスのレーザー光32として出力する。レーザー光32は、ハーフミラー等の光学素子によって分岐し、媒質保持部17に照射される。レーザー光32が照射された媒質保持部17では、レーザー光32のアブレーションによって、プラズマ媒質6が中性粒子又はイオンとなって放出される。なお、レーザー光32は、数kHz程度の周波数で繰り返しプラズマ媒質6に照射され、照射の度にプラズマ媒質6のアブレーションが発生する。
本実施形態のプラズマ光源におけるプラズマ光の放出までの動作について説明する。
まず、真空槽5内に一対の同軸状電極10が設置された状態で、真空槽5内はプラズマ3の発生に適した温度及び圧力に保持される。次に、各同軸状電極10に、電圧印加装置20によって同極性又は逆極性の放電電圧が印加される。
各同軸状電極10に放電電圧が印加された状態で、レーザー光32が各媒質保持部17に照射される。各同軸状電極10内には、この照射によってプラズマ媒質6が中性ガス又はイオンとなって多量に放出される。
一方、レーザー光32の照射時には、既に電圧印加装置20による放電電圧が、各同軸状電極10の中心電極11と外部電極12の間に印加されている。従って、アブレーションの発生により、中心電極11と各外部電極12間の初期放電2aが誘発される。
初期放電2aは対称面1に向けて進行する。また、初期放電2aは、アブレーションによって放出されたプラズマ媒質6を取り込みながら、中心電極11の全周に亘って分布する面状放電2bに成長する。面状放電2bは、自己磁場によって同軸状電極10から排出される方向(即ち、対称面1に向かう方向)に移動する。このときの面状放電2bは、中心軸Zから見て略環状に分布する。
面状放電2bが同軸状電極10の先端に達すると、面状放電2bの放電電流の出発点は中心電極11の円周側面から先端部11aに移行する。換言すれば、放電電流は先端部11aから集中的に流れ出す。この電流集中によって先端部11a周辺の電流密度は急激に上昇し、一対の面状放電2bの間に挟まれていた先端部11a周辺のプラズマ媒質6は高密度、高温になる。
さらに、この現象は対称面1を挟んだ各同軸状電極10で進行するため、プラズマ媒質6は、一方の同軸状電極10から他方の同軸状電極10に向かって押し出される。その結果、プラズマ媒質6は、中心軸Zに沿う両方向からの電磁的圧力を受けて各同軸状電極10が対向する中間位置(即ち、中心電極11の対称面1)に移動し、プラズマ媒質6を成分とする単一のプラズマ3が形成される。
面状放電2bが発生している間は、各中心電極11の先端部11aに各面状放電2bの電流が集中する。従って、先端部11a周辺には、プラズマ3に対して電磁的圧力がかかり、プラズマ3の高密度化及び高温化が進行する。即ち、プラズマ媒質6の電離が進行する。その結果、プラズマ3からはプラズマ光8が放射される。この状態において、電圧印加装置20は、プラズマ3に電気エネルギーを供給し続ける。このエネルギー供給により、プラズマ光8を長時間に亘って発生させることができる。
以上の一連の過程が数kHzの周波数で繰り返されるため、中心電極11の先端部11aはプラズマ3に供給する電流4(図4(a)参照)によって加熱される。つまり、その際の熱7(図4(a)参照)が先端部11aに集中的に発生し、中心電極11の基端部11cに向けて拡散しながら伝播する。
一方、プラズマ光源が稼働している間は、中心電極11内を冷媒が流通している。従って、低温の冷媒が供給路15を介してノズル14の開口14aから放出され、孔13の底面13b近傍に供給される。先端部11aからの熱7は底面13bを介して冷媒に吸収される。つまり、冷媒は先端部11aを冷却する。熱を吸収した冷媒は、排出路16を介して中心電極11の外に排出され、冷媒供給器40に戻る。その後、冷媒は再び冷却されて供給路15に供給される。その結果、中心電極11は過剰に加熱されることなく、熱による損傷を防止することができる。
また、供給路15及び排出路16は中心軸Zに対して軸対称な形状(空間)を有し、これらは同心状に位置している。即ち、供給路15及び排出路16は、冷却流路として機能する同軸の二重円管を構成する。特に、中心電極11の径方向における排出路16の幅は、中心電極11の周方向において一定である。従って、排出路16を流れる熱媒の流量は中心電極11の周方向に依存せず、中心軸Zの周りで均一な熱媒の吸熱性能が得られる。即ち、中心電極11において過剰に加熱された部分が偏在し、これを増長させてしまうことを防止できる。
図5は、本実施形態に係るノズル14の変形例を示す図であり、(a)はノズル14の第1変形例を示す図、(b)はノズル14の第2変形例を示す図である。これらの変形例に示すように、14の外周面14bは凹凸部14cを有してもよい。凹凸部14cは、例えば、外周面14bからノズル14の径方向外方に向けて突出しているフィンを有する。フィンは、図5(a)に示すように複数の突部で構成されてもよく、図5(b)に示すように外周面14b上で螺旋状に延伸していてもよい。或いは、凹凸部14cは、外周面14bからノズル14の径方向内方に向けて窪んだ溝又は凹部(図示せず)を有してもよい。溝又は凹部(図示せず)は、例えば、図5(a)の突部や図5(b)のフィンの代わりに形成される。凹凸部14cは、排出路16を流通する熱媒に対するノズル14の接触面積を拡大させる。つまり、凹凸部14cは、ノズル14を介した供給路15を流通する熱媒と排出路16を流通する熱媒の熱交換を促進させる。これにより、中心電極11の冷却が促進される。
本発明は上述の実施形態に限定されず、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の範囲の記載と均等の意味および範囲内でのすべての変更を含むものである。
1…対称面、2a…初期放電、2b…面状放電、3…プラズマ、4…電流、5…真空槽、6…プラズマ媒質、7…熱、8…プラズマ光、10…同軸状電極、11…中心電極、12…外部電極、13…孔、14…ノズル、15…供給路、16…排出路、17…媒質保持部、20…電圧印加装置、22…高圧電源、24…エネルギー蓄積回路、26…放電電流阻止回路、30…レーザー装置、32…レーザー光、40…冷媒供給器、42…配管、Z…中心軸(軸線)

Claims (3)

  1. 単一の軸線上に延びる中心電極および前記中心電極の外周を囲むように設けられる外部電極を有し、対称面を挟んで互いに対向配置され、プラズマ光を放射するプラズマを発生且つ閉じ込める一対の同軸状電極と、
    前記中心電極と前記外部電極との間に供給される前記プラズマの媒質を保持する媒質保持部と、
    各前記同軸状電極に対して放電電圧を印加する電圧印加装置と、
    前記中心電極の基端から先端に向けて延伸する孔内に、前記孔の内壁と間隔を置いて設けられるノズルと
    を備え、
    前記ノズルは、前記中心電極の前記先端に向けて開口する冷媒の供給路を有し、
    前記ノズルの外周面と前記孔の前記内壁は、前記供給路に連通する冷媒の排出路を形成する
    プラズマ光源。
  2. 前記供給路に冷媒を供給する冷媒供給器を更に備え、
    前記冷媒供給器による冷媒の供給量は、前記中心電極内における冷媒の核沸騰限界点から極大熱流束点までの核沸騰領域を維持する値に設定されている
    請求項1に記載のプラズマ光源。
  3. 前記ノズルの前記外周面は凹凸部を有する
    請求項1又は2に記載のプラズマ光源。
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