JP2018123882A - 樹脂製管継手 - Google Patents
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Abstract
Description
次いで、クランプ治具に保持させた樹脂製管継手及び樹脂製チューブ部材の両端部を、ヒーターその他の加熱装置によって加熱することで、それらの端部を溶融させ、その状態で、樹脂製管継手及び樹脂製チューブ部材を互いに接近させて、それらの端部を、所要の圧力の作用により突き合わせて溶着させる。
ここで、特許文献1、2に記載されたいずれの技術でも、金型内でキャビティに供給した樹脂材料が固化して樹脂製管継手が成形された後のコアピンの引抜き容易性を考慮して、樹脂製管継手の湾曲部のほぼ湾曲中心位置で分割されるとともに、湾曲方向の外側と内側にも分割された複数個の分割セグメントからなるコアピンを用いることとしている。
そして特に、特許文献1、2に記載された方法では、樹脂製管継手の湾曲部の位置で分割された分割セグメントを用いることにより、樹脂製管継手の湾曲部の内面にパーティングラインが形成され、これが、樹脂製管継手の使用時に内部流路を流れる流体の圧力損失を増大させて、樹脂製管継手の内部流路での液体の円滑な通流を阻害するという問題があった。
ここで、「円滑な表面」とは、パーティングライン等に起因する内面の凸部や凹部が存在せず、滑らかな表面であることを意味する
この場合においては、内部流路の直径に対する溶着端部の軸線方向の長さの比が、0.1〜1.0であることが好適である。
また、この場合においては、少なくとも溶着端部における内部流路の横断面の真円度が、0.3以下であることが好ましい。
また、この発明の樹脂製管継手では、溶着端部を構成する周壁部が周方向に均一な軸線方向の長さを有することが好ましい。
したがって、この発明の樹脂製管継手によれば、内部流路での流体の良好な通流を実現することができる。
図1及び2にそれぞれ縦断面図及び平面図で例示する実施形態の樹脂製管継手1は、その内側に流体を流動させる内部流路Pを有するものであり、当該内部流路Pの中心軸線CLが少なくとも一部で湾曲し、これを用いて構成される図示しない配管内の流体の送る向きを変更するためのエルボと称され得るものである。この樹脂製管継手1は、流体の送る向きをほぼ90°変更するよう湾曲するものとしたが、たとえば20°〜140°の範囲内で湾曲するものであってもよい。後述する樹脂製管継手の製造時の成形後の金型からの取出しを考慮すると、この範囲内で湾曲するものとすることができる。
それにより、従来技術のような湾曲部から溶着端部に向けて横断面積が漸増するテーパ状の内部流路を有するものと比較して、配管を流れる液体の、樹脂製管継手1の箇所での圧力損失の増大が防止されるので、液体の円滑な通流に寄与することができる。このような内部流路Pの一定の横断面積は、上述したように湾曲部2で緩やかに湾曲する形状としたことに起因して、射出成形時のコアピンの引抜きが可能になったことにより実現することができる。
すなわち、はじめに、図3(a)に示すように、射出成形機の金型11の、樹脂製管継手1の外面形状に対応する内面形状を有するキャビティ12に、樹脂製管継手1の内面形状に対応する外面形状を有するコアピン13を配置する。ここでは、コアピン13として、一方の溶着端部3aの内面から湾曲部2の内面に対応する領域まで延びる相対的に長い分割セグメント13aと、他方の溶着端部3bの内面に対応する領域に延びる相対的に短い分割セグメント13bとを有するものを用いており、たとえば、いずれか一方の分割セグメント13aの先端面に設けた突出部分を、他方の分割セグメント13bの先端面に設けた窪み部分内に挿入することにより、それらの分割セグメント13a、13bを相互に連結可能とする。
これはすなわち、内部流路Pの直径Dに対して溶着端部3a、3bの軸線方向の長さLeが長すぎると、製造時に金型11内で成形した樹脂製管継手1からコアピン13を引き抜くに当って、直線状の溶着端部3aないし3bにコアピン13の湾曲部分を通過させることが困難となるおそれがあり、また、内部流路Pの直径Dに対して溶着端部3a、3bの軸線方向の長さLeが短すぎる場合、溶け代・潰し代が取れなくなる等の溶着不具合が生じることが懸念される。
また具体的に、溶着端部3a、3bの軸線方向の長さLeは、1.0mm〜2.0mmであることが好適である。なお、溶着端部3a、3bの軸線方向の長さLeは、湾曲部2との境界位置から、中心軸線CLに沿って、溶着端部3a、3bの最も軸線方向外側の端縁まで測った距離を意味する。
射出成形後のコアピン13の引抜き時には、直線状の溶着端部3aないし3b内をコアピン13の湾曲部分が通過することになり、このコアピン13の通過によって溶着端部3a、3bに変形が生じるが、このような変形によっても、溶着端部3a、3bが所定の高い真円度を維持していることが品質上、望ましいからである。
この真円度は、三次元測定機により測定する。
このような内ビードの発生を防止するため、図示の実施形態では、溶着端部3a、3bの端面を、中心軸線CLに直交する平面に対して傾斜して内周側に向かうに従って軸線方向の内側に入り込む傾斜面6としている。これにより、溶着時の内周側への樹脂の潰れを有効に抑制することができる。なお、傾斜面6を設けた部分は、他の樹脂製配管部材の溶着端部と溶着されるので、配管時に内部流路Pを構成しない。
一方、実施例1の継手はテーパがなく、継手の全体にわたって一定の内径であった。
これに対し、実施例1の継手では、図3、4に示すような長短の分割セグメントを用いて成形したことにより、配管時に流路となる部分にはパーティングラインは存在せず、円滑な内面であった。
これらの継手を用いて下記の試験を行った。
その結果も表1に示す。表1の試験結果は、比較例1の継手、比較例2の継手および実施例1の継手を三個ずつ用意し、それらの三個の各継手について上記の試験を行って得られた流量の平均値である。
以上より、実施例1の継手では、比較例1及び2の継手よりも圧力損失が低減されて、液体をより円滑に流せることが解かった。
2 湾曲部
3a、3b 溶着端部
4 凸部
5 周壁部
6 傾斜面
11 金型
12 キャビティ
13 コアピン
13a、13b 分割セグメント
P 内部流路
CL 内部流路の中心軸線
Lo 湾曲部内面の湾曲方向外側の輪郭線
Li 湾曲部内面の湾曲方向内側の輪郭線
Ca 湾曲部での中心軸線の円弧中心
D 直径
Le 溶着端部の軸線方向の長さ
Lwi 湾曲方向内側の溶着端部の周壁部の軸線方向長さ
Lwo 湾曲方向外側の溶着端部の周壁部の軸線方向長さ
Claims (7)
- 流体を流動させる内部流路を有し、内部流路の中心軸線が円弧状に湾曲する湾曲部と、前記湾曲部の両端のそれぞれに設けられて、内部流路の中心軸線が直線状になり、他の樹脂製配管部材の溶着端部と突き合わせて溶着される溶着端部とを備える樹脂製管継手であって、
内部流路の中心軸線を含む縦断面で、前記湾曲部の内面の湾曲方向内側及び外側のそれぞれの輪郭線がともに、当該湾曲部における中心軸線の円弧状と共通の中心を有する円弧状をなすとともに、内部流路が、当該樹脂製管継手の全体にわたって一定の横断面積を有し、前記湾曲部の内面から少なくとも一方の溶着端部の内面にかけて、円滑な表面に形成されてなる樹脂製管継手。 - 内部流路の横断面形状が円形であり、内部流路が、樹脂製管継手の全体にわたって等しい直径を有してなる請求項1に記載の樹脂製管継手。
- 内部流路の直径に対する溶着端部の軸線方向の長さの比が、0.1〜1.0である請求項2に記載の樹脂製管継手。
- 少なくとも溶着端部における内部流路の横断面の真円度が、0.3以下である請求項2又は3に記載の樹脂製管継手。
- 溶着端部の軸線方向の長さが、1.0mm〜2.0mmである請求項1〜4のいずれか一項に記載の樹脂製管継手。
- 溶着端部を構成する周壁部が周方向に均一な軸線方向の長さを有してなる請求項1〜5のいずれか一項に記載の樹脂製管継手。
- 前記湾曲部の内面から一方の溶着端部の内面にかけて円滑な表面に形成されるとともに、前記湾曲部の内面と他方の溶着端部の内面との間に凸部及び/又は凹部が存在してなる請求項1〜6のいずれか一項に記載の樹脂製管継手。
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