JP2018123187A - 硬化性組成物 - Google Patents

硬化性組成物 Download PDF

Info

Publication number
JP2018123187A
JP2018123187A JP2017014054A JP2017014054A JP2018123187A JP 2018123187 A JP2018123187 A JP 2018123187A JP 2017014054 A JP2017014054 A JP 2017014054A JP 2017014054 A JP2017014054 A JP 2017014054A JP 2018123187 A JP2018123187 A JP 2018123187A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
olefin
curable composition
polymer
type
curing agent
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2017014054A
Other languages
English (en)
Inventor
厚 竹島
Atsushi Takeshima
厚 竹島
昌太 阿部
Shota Abe
昌太 阿部
希美 神谷
Kimi Kamiya
希美 神谷
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsui Chemicals Inc
Original Assignee
Mitsui Chemicals Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsui Chemicals Inc filed Critical Mitsui Chemicals Inc
Priority to JP2017014054A priority Critical patent/JP2018123187A/ja
Publication of JP2018123187A publication Critical patent/JP2018123187A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Abstract

【課題】本発明は、硬化時に成形体あるいは塗膜の発泡が抑制され、硬化後の耐傷つき性に優れる硬化性組成物を提供することを課題としている。【解決手段】本発明の硬化性組成物は、下記要件(x−1)を満たすエポキシ樹脂(X)と下記要件(y−1)を満たすエポキシ樹脂硬化剤(Y)と、下記要件(z−1)および(z−2)を満たすα−オレフィン(共)重合体(Z)を含有する。(x−1)フェノ−ルノボラック型、ビスフェノ−ル型、ダイマ−酸型、ゴム変性型、アルキルフェノ−ル型、アルコ−ル変性型、レゾルシン型、ポリグリコ−ル型又はエステル型、から選ばれる少なくとも1種を含む(y−1)アミン系硬化剤、フェノール系硬化剤、メルカプタン系硬化剤、酸無水物系硬化剤、潜在性硬化剤から選ばれる少なくとも1種を含む(z−1)1H−NMRから測定されるメチル基指標が25〜60%である(ここで、当該メチル基指標とは、上記α−オレフィン(共)重合体を重クロロホルム中に溶解させて1H−NMRを測定し、重クロロホルム中のCHCl3に基づく溶媒ピークをリファレンス(7.24ppm)としたときにおける、0.50〜2.20ppmの範囲内にあるピークの積分値に対する、0.50〜1.15ppmの範囲内にあるピークの積分値の割合をいう。)(z−2)ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により求められる重量平均分子量(Mw)が1,500〜11,000である。【選択図】なし

Description

本発明は、硬化時に成形体あるいは塗膜などの硬化物の発泡が抑制され、かつ表面の耐傷つき性に優れ、表面の美観およびその耐久性に優れる硬化物を与える硬化性組成物に関するものである。
エポキシ樹脂を硬化させて得られる硬化物は、耐熱性、電気特性、機械的特性等に優れていることから、電気電子絶縁材料、塗料、接着剤、注型用材料等として広く使用されている。これらの用途では、成形時や塗料の塗装時に、硬化表面に泡、ハジキ、クレーター等種々の欠陥が発生して硬化表面の仕上がり性を損なうことがあり、その対策として、消泡剤が用いられることが多い。これらの消泡剤は界面活性を向上させる効果と、相容性を悪くする即ち不相容性の効果のいずれかの特徴を有しており、消泡剤としては、従来ジメチルポリシロキサン等のシリコーン系消泡剤や、変性ブタジエンポリマーよりなる消泡剤が使用されていた。またビニル系重合物を成分とする消泡剤としては、例えば特許文献1にはアクリル/ビニルエーテル共重合物よりなる消泡剤、特許文献2にはビニルエーテル重合体よりなる消泡剤が開示されている(特許文献1、2)。
界面活性効果が高いシリコーン系消泡剤は少量の添加で良好な消泡効果を発揮するが、塗料業界で言われるハジキ、クレーター現象の主要因となり硬化表面の美観を大きく損ねてしまうことがあった。
一方、アクリル/ビニルエーテル共重合物系消泡剤、変性ブタジエン系ポリマーの消泡剤、あるいはビニルエーテル重合体の消泡剤は、系の粘度や溶媒の有無によって十分な消泡効果が得られない場合があった。また、不相容性の効果を利用した消泡剤は組成物と相溶していないために、硬化表面の光沢度を阻害し、極端な場合は表面全体が曇ったり、ブリード現象を生じたりする場合があった。
これらの課題に対し、α−オレフィン(共)重合体を消泡剤として用いることで、硬化時に成形体あるいは塗膜の発泡がなく、表面の美観に優れる硬化性組成物が得られることが報告されている(特許文献3、4、5)。しかしながら、これらの特許文献の実施例では、硬化性ウレタン樹脂を使用しているが、ウレタン樹脂は耐傷つき性が低い場合があり、硬化性組成物表面への傷つきにより、得られる硬化物は美観の長期維持が困難な場合があるため、改良の余地があった。
特開昭61−141772号公報 特開平2−232271号公報 特開2016−41792号公報 特開2016−41793号公報 特開2016−183206号公報
本発明は、硬化時に成形体あるいは塗膜など硬化物の発泡が抑制され、かつ表面の耐傷つき性に優れ、表面の美観およびその耐久性に優れる硬化物を与える硬化性組成物を提供することを課題としている。
本発明は、次の[1]〜[10]に関する。
[1]下記要件(x−1)を満たすエポキシ樹脂(X)、下記要件(y−1)を満たすエポキシ樹脂硬化剤(Y)、並びに下記要件(z−1)および(z−2)を満たすα−オレフィン(共)重合体(Z)を含有する硬化性組成物:
(x−1)フェノ−ルノボラック型、ビスフェノ−ル型、ダイマ−酸型、ゴム変性型、アルキルフェノ−ル型、アルコ−ル変性型、レゾルシン型、ポリグリコ−ル型又はエステル型、から選ばれる少なくとも1種を含む。
(y−1)アミン系硬化剤、フェノール系硬化剤、メルカプタン系硬化剤、酸無水物系硬化剤、潜在性硬化剤から選ばれる少なくとも1種を含む。
(z−1)1H−NMRから測定されるメチル基指標が25〜60%である(ここで、当該メチル基指標とは、上記α−オレフィン(共)重合体を重クロロホルム中に溶解させて1H−NMRを測定し、重クロロホルム中のCHCl3に基づく溶媒ピークをリファレンス(7.24ppm)としたときにおける、0.50〜2.20ppmの範囲内にあるピークの積分値に対する、0.50〜1.15ppmの範囲内にあるピークの積分値の割合をいう。)
(z−2)ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により求められる重量平均分子量(Mw)が1,500〜11,000である。
[2]前記α−オレフィン(共)重合体(Z)が、示差走査熱量分析(DSC)で測定される融点が観測されないことを特徴とする[1]に記載の硬化性組成物。
[3]前記α−オレフィン(共)重合体(Z)の含有量が、0.0005〜12質量%の範囲内である[1]または[2]に記載の硬化性組成物。
[4]前記α−オレフィン(共)重合体(Z)の前記要件(z−1)におけるメチル基指標が25〜40%である、[1]〜[3]のいずれか1に記載の硬化性組成物。
[5]前記α−オレフィン(共)重合体(Z)の前記要件(z−1)におけるメチル基指標が40〜60%である、[1]〜[3]のいずれか1に記載の硬化性組成物。
[6][1]〜[5]のいずれか1に記載の硬化性組成物から形成された成形体。
[7][1]〜[5]のいずれか1に記載の硬化性組成物を含む塗料。
[8][1]〜[5]のいずれか1に記載の硬化性組成物から形成された床材。
[9][1]〜[5]のいずれか1に記載の硬化性組成物から形成された塗膜。
本発明の硬化性組成物によれば、硬化時に成形体あるいは塗膜などの硬化物の発泡が抑制され、表面の美観に優れ、且つ耐傷つき性にも優れる硬化物を与えうる硬化性組成物を提供することができる。
以下、本発明について具体的に説明する。なお、以下の説明において、数値範囲を示す「〜」は、例えば「A〜B」と表記した場合、特に断りがなければ「A以上、B以下」を意味する。また、本明細書において「(共)重合体」なる語は、単独重合体および共重合体の両方を包括する概念として用いられる。
本発明の硬化性組成物は、成形体、塗料、弾性塗装材、床材等の各種用途に用いることができる。
<硬化性組成物>
本発明の硬化性組成物は、以下に示すエポキシ樹脂(X)、エポキシ樹脂硬化剤(Y)およびα−オレフィン(共)重合体(Z)とを含む。
エポキシ樹脂(X)》
本発明に係る硬化性組成物を構成するエポキシ樹脂(X)は後述する要件(x−1)を満たす。
要件(x−1)
フェノ−ルノボラック型、ビスフェノ−ル型、ダイマ−酸型、ゴム変性型、アルキルフェノ−ル型、アルコ−ル変性型、レゾルシン型、ポリグリコ−ル型又はエステル型、から選ばれる少なくとも1種を含む。
本発明に係るエポキシ樹脂(X)としては、具体的には、グリシジルエーテル型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂;グリシジルエステル型エポキシ樹脂、例えば、ヘキサヒドロフタル酸グリシジルエステル、ダイマー酸グリシジルエステル;グリシジルアミン型エポキシ樹脂、例えば、トリグリシジルイソシアヌレート、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン;線状脂肪族エポキサイド、例えば、エポキシ化ポリブタジエン、エポキシ化大豆油;脂環族エポキシサイド、例えば、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチルカルボキシレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルカルボキシレートなどが挙げられ、単独でも、2種以上の混合物として使用しても良い。これらの中でも、得られる硬化物の機械的物性や耐熱性に優れ、工業的入手が容易である点から、ビスフェノール型エポキシ樹脂を含有することが好ましい。
本発明に係るエポキシ樹脂としては、常温で液状であることが好ましいが、本発明の効果を損なわない範囲で、種々の固形エポキシ樹脂等を併用し、加熱混合して液状化し、液状エポキシ樹脂としても用いても良い。
本発明に係るエポキシ樹脂には、エポキシ樹脂の粘度を低減させるために、低粘度脂肪族エポキシ化合物を添加し、所望の粘度となるように調整してもよい。このような低粘度脂肪族エポキシ化合物としては、具体的には、多価アルコールのグリシジルエーテルまたは多価アルコールに1種以上のアルキレンオキサイドを付加することによって得られるポリエーテルポリオールのグリシジルエーテルであり、例えば、エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ブタンジオールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル及びペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、水素化ビスフェノールAジグリシジルエーテルなど、脂肪族多価アルコールのグリシジルエーテル;ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールジグリシジルエーテルなど、脂肪族ポリエーテルポリオールのグリシジルエーテルなどが挙げられる。好ましくは、常温で100mPa・s以下の粘度を有する、多価アルコールのグリシジルエーテルまたは多価アルコールに1種以上のアルキレンオキサイドを付加することによって得られるポリエーテルポリオールのグリシジルエーテルである。また、本発明において液状エポキシ樹脂の粘度を低減させる目的で用いられるエポキシ化合物は、上記低粘度脂肪族エポキシ化合物に限られず、例えば、1,2−エポキシー3−(トリルオキシ)プロパンなど、芳香族グリシジルエーテルのうち比較的粘度の低いものや、グリシジルアニリンなど、芳香族グリシジルアミンのうち比較的粘度の低いものであってもよい。これらのエポキシ化合物は、1種単独で使用しても、2種以上を混合して使用しても良い。
《エポキシ樹脂硬化剤(Y)》
本発明に係る硬化性組成物を構成するエポキシ樹脂硬化剤(Y)は後述する要件(y−1)を満たす。
要件(y−1)
アミン系硬化剤、フェノール系硬化剤、酸無水物系硬化剤、潜在性硬化剤から選ばれる少なくとも1種を含む。
上記アミン系硬化剤としては、例えば、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ジエチルアミノプロピルアミン、メンタンジアミン、イソホロンジアミン、ビス[4−アミノ−3−メチルジシクロヘキシル] メタン、ジアミノジシクロヘキシルメタン、ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、m−キシリレンジアミン、メタフェニレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジエチルジフェニルメタン及びこれらをエポキシアダクト、マイケル付加、マンニッヒ反応等により変性した変性ポリアミン、ポリアミドアミン等が挙げられる。
上記フェノール系硬化剤としては、例えば、ビスフェノールA 、ビスフェノールB 、ビスフェノールF 、ビスフェノールA D 、ビスフェノールS 等のビスフェノール類; ビフェノール、ヒドロキシフェノール、ビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル等のフェノール類;2,6−ビス[(2−ヒドロキシフェニル)メチル]−フェノール等のフェノールノボラック類、o−クレゾールノボラック、m−クレゾールノボラック、p−クレゾールノボラック等のクレゾールノボラック類等を挙げることができる。
上記酸無水物系硬化剤としては、例えば、ジデセニル無水コハク酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、無水メチルハイミック酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、トリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸、無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、エチレングリコールビストリメリテート、グリセロールトリストリメリテート等を挙げることができる。
上記潜在性硬化剤としては、例えば、ジシアンジアミド系硬化剤、尿素系硬化剤、有機酸ヒドラジド系硬化剤、ポリアミン塩系硬化剤、アミンアダクト系硬化剤等を挙げることができる。
エポキシ樹脂硬化剤(Y)の配合量は、使用する化合物や組成等により適宜決定することができる。例えば、エポキシ樹脂硬化剤(Y)としてアミン系硬化剤を使用する場合、通常、前記エポキシ樹脂(X)100質量部に対して1〜70質量部、好ましくは3〜40質量部であり、エポキシ樹脂硬化剤(Y)としてフェノール系硬化剤を使用する場合、通常、エポキシ化合物(X)100質量部に対して1〜80質量部、好ましくは3〜50重量部である。これらのエポキシ樹脂硬化剤(Y)は、1種単独で使用しても、2種以上を混合して使用しても良い。
《α−オレフィン(共)重合体(Z)》
本発明に係る硬化性組成物を構成するα−オレフィン(共)重合体(Z)は後述する要件(z−1)および(z−2)を満たす。本発明においてα−オレフィン(共)重合は、具体的には炭素原子数2〜20のα−オレフィンの単独重合体あるいは二種以上のα−オレフィンの共重合体である。
本発明に係るα−オレフィン(共)重合体(Z)を構成する炭素原子数2〜20のα−オレフィンの例として、エチレン、プロピレン,1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン、1−トリセン、1−トリデセン、1−テトラデセン、1−ペンタデセン、1−ヘキサデセン、1−ヘプタデセン、1−オクタデセン、1−ノナデセン、1−エイコセンの直鎖状α−オレフィンや3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、8−メチル−1−ノネン、7−メチル−1−デセン、6−メチル−1−ウンデセン、6,8−ジメチル−1−デセンなどの分岐を有するα−オレフィンを挙げることができる。これらのα−オレフィンは1種単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
要件(z−1)
1H−NMRから測定されるメチル基指標が25〜60%である(ここで、当該メチル基指標とは、上記α−オレフィン(共)重合体を重クロロホルム中に溶解させて1H−NMRを測定し、重クロロホルム中のCHCl3に基づく溶媒ピークをリファレンス(7.24ppm)としたときにおける、0.50〜2.20ppmの範囲内にあるピークの積分値に対する、0.50〜1.15ppmの範囲内にあるピークの積分値の割合をいう。)。
本発明に係るα−オレフィン(共)重合体(Z)は、全プロトン中に占めるメチル基の割合がある一定の範囲内にあることを特徴とする。一般的にメチル基のプロトンは1H−NMR測定において高磁場側にピークが観測されることが知られている(「高分子分析ハンドブック」(朝倉書店 発行 P163〜170))。このため、本願では1H−NMRで測定したときに観測される高磁場側のピークの割合をメチル基の指標として用いた(以下「メチル基指標」という)。具体的にはα−オレフィン(共)重合体(Z)を重クロロホルム中に溶解させて1H−NMRを測定し、重クロロホルム中のCHCl3に基づく溶媒ピークをリファレンス(7.24ppm)としたときにおける、0.50〜2.20ppmの範囲内にあるピークの積分値に対する、0.50〜1.15ppmの範囲内にあるピークの積分値の割合をメチル基指標とした。ここで、0.50〜2.20ppmの範囲内にはα−オレフィン(共)重合体に基づくピークがほぼ含まれる。この範囲のうち、メチル基に基づくピークは、0.50〜1.15ppmの範囲内に含まれる可能性が高い。
本発明に係るα−オレフィン(共)重合体(Z)はメチル基指標が25〜60%、好ましい一態様は25〜40%であり、別の好ましい一態様は40〜60%である。メチル基指標が25〜60%の範囲内にあると硬化性樹脂との相容性が最適であり、消泡性を効果的に発現し、かつ外観を保持することができる。その理由は明らかではないが、一般的に、消泡性を発現させるためには、泡を生じる液体(本願においては硬化性樹脂)と不相容性の成分が泡膜に取り込まれ、泡膜を不安定化させることが重要といわれている。しかし、相容性が悪すぎると表面にブリードアウトが生じ、外観が悪化する。したがって、消泡性と外観を両立させるためには、硬化性樹脂との相容性を適切に制御することが重要となる。一方、メチル基指標は、α−オレフィン(共)重合体(Z)中の分岐の割合を示すが、α−オレフィン(共)重合体(Z)のメチル基指標が上記範囲に入ると、一定量存在する分岐が、α−オレフィン(共)重合体(Z)の分子間力の低減に寄与することにより、泡の中に速やかにα−オレフィン(共)重合体(Z)が拡散(相容)できると推測される。これにより、効果的に泡膜を不安定化するとともに、ブリードアウトが少ない、外観を維持できると考えられる。
本発明に係るα−オレフィン(共)重合体(Z)におけるメチル基指標は適切なα−オレフィンを選定し重合することで制御可能である。例えば、プロピレンやブテン、イソブテン等の炭素数3〜5のα−オレフィンの単独重合体はモノマーに対するメチル基の割合が高くなりすぎてしまうため、単独重合体によって適度のメチル基指標を達成しようとする場合、α−オレフィンとして炭素数6〜20のα−オレフィンを選定する必要がある。このような要件を満たす重合体は、本発明においてα−オレフィン(共)重合体の好ましい一態様である高級α−オレフィン(共)重合体(PAO)である。当該高級α−オレフィン(共)重合体(PAO)の詳細については後述する。また例えば、エチレンの単独重合体はメチル基を有さないため、炭素数3〜20のα−オレフィンを適切に共重合させ、メチル基の割合を高める必要性がある。このような要件を満たす重合体は、本発明においてα−オレフィン(共)重合体の好ましい別の一態様であるエチレン・α−オレフィン共重合体である。詳細については後述する。
〈α−オレフィン(共)重合体(Z)の性状〉
本発明に係るα−オレフィン(共)重合体(Z)は常温で液状であることが好ましい。常温で液状であると、液状であることが多い硬化性樹脂との混合性が優れ、少量で消泡性を発現しやすい点で好ましい。
〈α−オレフィン(共)重合体(Z)の融点〉
本発明に係るα−オレフィン(共)重合体(Z)は示差走査熱量分析(DSC)で測定される融点が観測されないことが好ましい。ここで、融点(Tm)が観測されないとは、示差走査型熱量測定(DSC)で測定される融解熱量(ΔH)(単位:J/g)が実質的に計測されないことをいう。融解熱量(ΔH)が実質的に計測されないとは、示差走査熱量計(DSC)測定においてピークが観測されないか、あるいは観測された融解熱量が1J/g以下であることである。
本発明に係るα−オレフィン(共)重合体(Z)の融点(Tm)および融解熱量(ΔH)は、示差走査熱量計(DSC)測定を行い、−100℃まで冷却してから昇温速度10℃/minで150℃まで昇温したときにDSC曲線をJIS K7121を参考に解析し求めた。融点が観測されないと、常温で液状となり易く、前述の通り消泡性が発現し易い。
要件(z−2)
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により求められる重量平均分子量(Mw)が1,500〜11,000である。
本発明に係るα−オレフィン(共)重合体(Z)は、重量平均分子量(Mw)が1,500〜11,000の範囲であり、好ましくは1,500〜10,000、より好ましくは3,000〜9,000の範囲である。エポキシ樹脂(X)との相容性はα−オレフィン(共)重合体(Z)の分子量が小さいほどエントロピー項の寄与により改善されるため、相容性を適切に制御するためには重量平均分子量の制御が重要となる。重量平均分子量が上記下限値、特に1,500より小さいと、エポキシ樹脂(X)との相容性が高すぎて消泡性が発現しない場合があり、かつ低分子量成分を含むためにブリードアウトが起こりやすい。一方、α−オレフィン(共)重合体の重量平均分子量が上記上限値、特に11,000より大きくなるとエポキシ樹脂(X)との相容性が低下しすぎ、ブリードアウトの原因となる場合がある。また、α−オレフィン(共)重合体の重量平均分子量が上記上限値、特に11,000より大きくなると粘度が高くなりすぎて分散性が低下し泡膜内に取り込まれにくくなるため、消泡性が損なわれる場合がある。
また、本発明に係るα−オレフィン(共)重合体(Z)のゲルパーミエーションクロマトグラフィーによって測定した分子量分布(Mw/Mn)は特に限定されるものではないが、上限値は通常3以下であり、好ましくは2.5以下、更に好ましくは2以下である。また下限値は通常1.0以上であり、好ましくは1.2以上である。α−オレフィン(共)重合体の分子量分布が広く(Mw/Mnが大きく)なると、消泡性が発現しにくく、表面にブリードアウトして外観を損なう高分子量、または低分子量の成分を多く含むことになり、好ましくない。
本発明に係るα−オレフィン(共)重合体(Z)の重量平均分子量、および分子量分布は分子量既知の標準物質(単分散ポリスチレン)を用いて較正されたゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって測定することができる。
〈α−オレフィン(共)重合体(Z)の100℃動粘度〉
本発明に係るα−オレフィン(共)重合体(Z)は100℃での動粘度が好ましくは1〜1,500mm2/sの範囲にあり、より好ましくは4〜1,000mm2/sの範囲にあり、より好ましくは10〜800mm2/sの範囲であり、さらに好ましくは15〜700mm2/sの範囲であり、特に好ましく50〜700mm2/sの範囲である。
α−オレフィン(共)重合体の100℃における動粘度が上記下限値、特に1mm2/sより小さいと、十分な消泡性が発現しない場合があり、かつ表面にブリードアウトして外観を損なう場合がある。一方、α−オレフィン(共)重合体の100℃における動粘度が上記上限値、特に1,500mm2/sより大きくなると粘度が高くなりすぎてエポキシ樹脂(X)内での分散性が低下し泡膜内に取り込まれにくくなるため、消泡性が損なわれる場合がある。言い換えると、α−オレフィン(共)重合体(Z)の100℃での動粘度が上記数値範囲内にあると、エポキシ樹脂(X)内でのα−オレフィン(共)重合体の分散性が充分に維持された形で、充分な消泡性を発現させることができるのである。
本発明に係るα−オレフィン(共)重合体(Z)は1種単独で用いてもよいし、2種以上のα−オレフィン(共)重合体を併用してもよい。
(高級α−オレフィン(共)重合体)
本発明に係るα−オレフィン(共)重合体(Z)の好ましい一態様は、1種以上の炭素原子数6〜20のα−オレフィンからなる単量体の(共)重合体である。ここでいう、1種以上の炭素原子数6〜20のα−オレフィンからなる単量体の(共)重合体とは、炭素原子数6〜20のα−オレフィン単独重合体、または、炭素原子数6〜20のα−オレフィンに対応する構成単位を1種以上含む炭素原子数6〜20のα−オレフィン共重合体である。本明細書において、このようなα−オレフィン(共)重合体を、便宜上「高級α−オレフィン(共)重合体」と呼ぶ場合がある。更に、このようなα−オレフィン(共)重合体には、必要に応じて50モル%を超えない範囲で、エチレン及び/または炭素原子数3〜5のα−オレフィンを共重合成分として導入することもできる。このような高級α−オレフィン(共)重合体は一般的にPAOと総称される。
なお、本明細書において、ある(共)重合体を構成するオレフィンをAとしたときに、「Aから導かれる構成単位」なる表現が用いられることがあるが、これは「Aに対応する構成単位」、すなわち、Aの二重結合を構成するπ結合が開くことにより形成される、一対の結合手を有する構成単位をいう。
高級α−オレフィン(共)重合体(PAO)に用いられる炭素原子数6〜20のα−オレフィンとしては、1−ヘキセン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン、1−トリセン、1−トリデセン、1−テトラデセン、1−ペンタデセン、1−ヘキサデセン、1−ヘプタデセン、1−オクタデセン、1−ノナデセン、1−エイコセンの直鎖状α−オレフィンや3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、8−メチル−1−ノネン、7−メチル−1−デセン、6−メチル−1−ウンデセン、6,8−ジメチル−1−デセンなどの分岐を有するα−オレフィンを挙げることができるが、好ましくは炭素原子数8〜12の直鎖状α−オレフィンであり、特に好ましくは1−オクテン、1−デセンである。
本発明において高級α−オレフィン(共)重合体(PAO)を構成する炭素原子数6〜20のα−オレフィンからなる単量体から導かれる構成単位の含有率は50〜100モル%の範囲であり、好ましくは55〜100モル%、更に好ましくは60〜100モル%である。
また、本発明において高級α−オレフィン(共)重合体(PAO)を構成するエチレンから導かれる構成単位の含有率は0〜50モル%の範囲であり、好ましくは0〜45モル%、さらに好ましくは0〜40モル%の範囲である。
更に、必要に応じて炭素数3〜5のα−オレフィンを0〜30モル%の割合で含有させることもできる。この様な炭素原子数3〜5のα−オレフィンとしてはプロピレン,1−ブテン、1−ペンテンなどの直鎖状α−オレフィンや3−メチル−1−ブテンなどの分岐を有するα−オレフィンを挙げることができる。これらの炭素数3〜5のα−オレフィンは、1種単独でまたは2種以上を組合せて用いることができる。
高級α−オレフィン(共)重合体(PAO)のメチル基指標は特に限定されるものではないが、相容性と不相容性のバランスを保つためには25〜40%が好ましく、25〜35%がより好ましい。
これらのα−オレフィンは1種単独でまたは2種以上組合せて用いることができる。
高級α−オレフィン(共)重合体(PAO)は、低規則性構造を有すると分子内にわずかな組成分布を有し、硬化性組成物との相容性を適切に制御しやすくなるため、好ましい。
上記のような高級α−オレフィン(共)重合体(PAO)は、米国特許第3,382,291号公報、米国特許第3,763,244号公報、米国特許第5,171,908号公報、米国特許第3,780,128号公報、米国特許第4,032,591号公報、特開平1−163136号公報、米国特許第4,967,032号公報、米国特許4,926,004号公報に記載のように三フッ化ホウ素、クロム酸触媒等の酸触媒によるオリゴメリゼーションにより得ることがきる。また、特開昭63−037102号公報、特開2005−200447号公報、特開2005−200448号公報、特開2009−503147号公報、特開2009−501836号公報に記載のようなメタロセン化合物を含むジルコニウム、チタン、ハフニウム等の遷移金属錯体を用いた触媒系を用いる方法等によっても得ることができる。製造方法の汎用性、得られるα−オレフィン(共)重合体(PAO)の入手容易性の観点で、酸触媒によるオリゴメリゼーションが好ましい。低規則性構造が得られる点で、酸触媒のうち三フッ化ホウ素が特に好ましい。
〈エチレン・α−オレフィン共重合体〉
本発明に係るα−オレフィン(共)重合体(Z)の好ましい別の一態様はエチレン・炭素原子数3以上のα−オレフィン共重合体(以下、「エチレン・α−オレフィン共重合体」とも呼ぶ。)である。エチレン・α−オレフィン共重合体を構成するα−オレフィンとしては、エチレン以外のα−オレフィンが挙げられ、典型例として、プロピレン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、ヘプテン−1、オクテン−1、デセン−1、ウンデセン−1、ドデセン−1、トリデセン−1、テトラデセン−1、ペンタデセン−1、ヘキサデセン−1、ヘプタデセン−1、オクタデセン−1、ノナデセン−1、エイコセン−1などの炭素数3〜20のα−オレフィンなどを例示することができる。エチレン・α−オレフィン共重合体中には、これらα−オレフィンを1種単独で用いてもよく、あるいは、2種以上併用してもよい。ただし、本発明では、上記「高級α−オレフィン(共)重合体」との区別のため、エチレン・α−オレフィン共重合体における、炭素原子数6〜20のα−オレフィンに対応する構成単位の含量は50モル%未満とする。これらのα−オレフィンの内では、効果的に結晶性を落としてサンプルを液状にし、エポキシ樹脂(X)との相容性を制御して硬化性組成物の消泡性と外観のバランスを改善する点で、炭素数3〜10のα−オレフィンが好ましく、特にプロピレンが好ましい。
本発明に係るエチレン・α−オレフィン共重合体は、好ましくはエチレン構造単位含有率が30〜80モル%、より好ましくは40〜75モル%、さらに好ましくは40〜60モル%、特に好ましくは40〜55モル%、最も好ましくは40〜48モル%である。エチレン含量が多すぎる、または少なすぎると結晶性が高くなり液状でなくなってエポキシ樹脂(X)との混合がしにくくなり、消泡効果が低下する場合がある。
本発明に係るエチレン・α−オレフィン共重合体のエチレン含量は、13C−NMR法で測定することができ、例えば後述する方法および「高分子分析ハンドブック」(朝倉書店 発行 P163〜170)に記載の方法に従ってピークの同定と定量とを行うことができる。
本発明に係るエチレン・α−オレフィン共重合体は、NMRで測定したブロックネス(B値)が、通常0.9以上、好ましくは1.0以上である。B値は共重合モノマー連鎖分布のランダム性を示すパラメータであり、B値が小さくなると、結晶性が高くなり、液状でなくなって硬化性樹脂との混合がしにくくなり、消泡効果が低下する。
本発明に係るエチレン・α−オレフィン共重合体のメチル基指標は特に限定されるものではないが、相容性と不相容性のバランスを保つためには40〜60%が好ましく、40〜55%がより好ましく、45〜52%がさらに好ましい。
本発明に係るエチレン・α−オレフィン共重合体は、公知の方法を制限なく用いて製造することができる。例えば、バナジウム、ジルコニウム、チタニウム、ハフニウムなどの遷移金属化合物と、有機アルミニウム化合物(有機アルミニウムオキシ化合物)および/またはイオン化イオン性化合物とからなる触媒の存在下にエチレンとα−オレフィンとを共重合させる方法が挙げられる。ジルコニウム、チタニウム、ハフニウムなどの遷移金属化合物を使用したメタロセン触媒は、連続した二つ以上のプロピレンモノマーの2,1−結合量(インバージョン)が少なくなり、硬化性組成物の低温特性が向上するため好ましい。このような方法は、例えば国際公開2000/34420号パンフレット、特開昭62−121710号公報、国際公開2004/29062号パンフレット、特開2004−175707号公報、国際公開2001/27124号パンフレット等に記載されている。
(その他の態様)
本発明に係るα−オレフィン(共)重合体(Z)は、そのままの形であってもよいし、あるいは、グラフト変性によって何らかの極性基を付与されたものであってもよい。変性に利用される極性基を有するビニル化合物には、酸、酸無水物、エステル、アルコール、エポキシ、エーテル等の酸素含有基を有するビニル化合物、イソシアネート、アミド等の窒素含有基を有するビニル化合物、ビニルシラン等のケイ素含有基を有するビニル化合物などを使用することができる。
この中でも、酸素含有基を有するビニル化合物が好ましく、具体的には、不飽和エポキシ単量体、不飽和カルボン酸及びその誘導体などが好ましい。不飽和エポキシ単量体としては、不飽和グリシジルエーテル、不飽和グリシジルエステル(例えば、グリシジルメタクリレート)などがある。上記不飽和カルボン酸としては、アクリル酸、マレイン酸、フマール酸、テトラヒドロフタル酸、イタコン酸、シトラコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、ナジック酸TM(エンドシス−ビシクロ[2,2,1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボン酸)などがある。
また、上記不飽和カルボン酸の誘導体としては、上記不飽和カルボン酸の酸ハライド化合物、アミド化合物、イミド化合物、酸無水物、及びエステル化合物などを挙げることができる。具体的には、塩化マレニル、マレイミド、無水マレイン酸、無水シトラコン酸、マレイン酸モノメチル、マレイン酸ジメチル、グリシジルマレエートなどがある。
これらの中では、不飽和ジカルボン酸及びその酸無水物がより好ましく、特にマレイン酸、ナジック酸TM及びこれらの酸無水物が特に好ましく用いられる。
なお、上記の極性基を有するビニル化合物又はその誘導体が、α−オレフィン(共)重合体にグラフトする位置は特に制限されず、このα−オレフィン(共)重合体の任意の炭素原子に不飽和カルボン酸又はその誘導体が結合していればよい。
上記のようなα−オレフィン(共)重合体(Z)の変性物(変性α−オレフィン(共)重合体)は、従来公知の種々の方法、例えば、次のような方法を用いて調製できる。
(1)上記α−オレフィン(共)重合体(Z)を押出機、バッチ式反応機などで混合させて、極性基を有するビニル化合物又はその誘導体などを添加してグラフト共重合させる方法。
(2)上記α−オレフィン(共)重合体(Z)を溶媒に溶解させて、極性基を有するビニル化合物又はその誘導体などを添加してグラフト共重合させる方法。
上記いずれの方法も、上記極性基を有するビニル化合物又はその誘導体のグラフトモノマーを効率よくグラフト共重合させるために、ラジカル開始剤の存在下でグラフト反応を行うことが好ましい。
上記ラジカル開始剤として、例えば、有機ペルオキシド、アゾ化合物などが使用される。上記有機ペルオキシドとしては、ベンゾイルペルオキシド、ジクロルベンゾイルペルオキシド、ジクミルペルオキシドなどが挙げられ、上記アゾ化合物としては、アゾビスイソブチルニトリル、ジメチルアゾイソブチレートなどがある。
このようなラジカル開始剤としては、具体的には、ジクミルペルオキシド、ジ−tert−ブチルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルペルオキシ)ヘキシン−3、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルペルオキシ)ヘキサン、1,4−ビス(tert−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼンなどのジアルキルペルオキシドが好ましく用いられる。
これらのラジカル開始剤は、α−オレフィン(共)重合体(Z)100質量部に対して、通常は0.001〜1質量部、好ましくは0.003〜0.5質量部、さらに好ましくは0.05〜0.3質量部の量で用いられる。
上記のようなラジカル開始剤を用いたグラフト反応、あるいは、ラジカル開始剤を使用しないで行うグラフト反応における反応温度は、通常60〜350℃、好ましくは120〜300℃の範囲に設定される。
このようにして得られる変性α−オレフィン(共)重合体中の極性基を有するビニル化合物のグラフト量は、変性オレフィン系重合体の質量を100質量%とした場合に、通常0.01〜15質量%、好ましくは0.05〜10質量%である。
(α−オレフィン(共)重合体(Z)の含有量)
本発明の硬化性組成物全体におけるα−オレフィン(共)重合体(Z)の含量は、好ましくは0.0005〜12質量%、より好ましくは0.001〜10質量%、より好ましくは0.001〜2質量%、さらに好ましくは0.005〜1質量%であることが望ましい。
上記硬化性組成物全体におけるα−オレフィン(共)重合体(Z)の含量が、それぞれ上記下限値以上であると、α−オレフィン(共)重合体(Z)による硬化性組成物の消泡の作用が十分に発揮される。一方、上記エポキシ樹脂(X)に対するα−オレフィン(共)重合体(Z)の割合や硬化性組成物全体におけるα−オレフィン(共)重合体(Z)の含量が、それぞれ上記上限値以下であると、得られる硬化性組成物の硬化物におけるグロスの低下、あるいはブリードアウトが生じにくいので好ましい。
その他の構成成分》
本発明の硬化性組成物は、上記エポキシ樹脂(X)、上記エポキシ樹脂硬化剤(Y)および上記α−オレフィン(共)重合体(Z)のほか、その他の構成成分として、必要に応じて触媒、溶剤、可塑剤、充填剤(フィラー)、着色剤、添加剤などを含有することができる。また、上記エポキシ樹脂(X)および上記エポキシ樹脂硬化剤(Y)は、これら「その他の構成成分」を予め含有していてもよい。
(触媒)
本発明の硬化性組成物には、上記エポキシ樹脂(X)の硬化を促進させることを目的として、触媒が含有されうる。
触媒としては、特に限定されないが、常温で液状の触媒及び固体の触媒が挙げられる。好ましくは常温で液状である触媒であって、さらに好ましくは常温硬化型の触媒である。固体の触媒は、本発明の効果を阻害しない範囲で、液状の触媒、硬化剤に併用しても良い。
例えば、触媒としては、具体的には、脂肪族ポリアミン、脂環式ポリアミン、ポリアミドポリアミン又はポリメルカプタン等のアミン系化合物、及びその変性化合物、錫、ビスマス、鉛、ニッケル、コバルト等の化合物が挙げられ、これら化合物は単独で使用しても、2種以上を混合して使用しても良い。
より具体的には、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、N−メチルモルホリン、トリエタノールアミン、トリエチレンジアミン、1,1'−ジクロロ−4,4'−ジアミノジフェニルメタン、1,1',2,2'−テトラクロロ−4,4'−ジアミノジフェニルメタン、ジ(メチルチオ)トルエンジアミン、ジモルホリノジエチレングリコール、酢酸錫、オクチル酸錫、オレイン酸錫、ラウリン酸錫、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジラウレート、オクチル酸ビスマス、ネオデカン酸ビスマス、オクチル酸鉛、ナフテン酸鉛、ナフテン酸ニッケル、オクチル酸コバルト等が挙げられる。
前記触媒の添加によって、硬化性組成物の反応性を制御することができる。硬化性組成物の反応性は、JIS K5400に規定されている指触乾燥時間は好ましくは2〜3600秒、より好ましくは2〜1800秒である。
(溶剤)
本発明の硬化性組成物には、必要に応じて溶剤が含有されていてもよい。
溶剤としては、特に限定されないが、たとえば、キシレン、トルエン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン等の脂肪族炭化水素、シクロヘキサン、シクロヘキセン、メチルシクロヘキサン等の脂環式炭化水素、酢酸エチル、n−酢酸ブチル、セロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、3−メトキシブチルアセテート、酢酸エチレングリコールモノエチルエーテル、酢酸エチレングリコールモノメチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノエチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノメチルエーテル、等のエステル系、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒、アセトン、テトラヒドロフラン等が挙げられる。これらの中でも、芳香族炭化水素を好適に用いることができる。
(可塑剤)
本発明の硬化性組成物には、必要に応じて可塑剤が含有されていてもよい。
可塑剤としては、特に限定されないが、たとえば、フタル酸ジブチル(略称:DBP)、フタル酸ジオクチル(別称:フタル酸ビス2−エチルヘキシル、略称:DEHP、DOP、DEHA)、フタル酸ジイソノニル(略称:DINP)、等の無水フタル酸とアルコールのエステル、アジピン酸ジオクチル(別称:アジピン酸ビス2−エチルヘキシル、略称:DEHA、DOA)等のアジピン酸とアルコールのエステル 、燐酸トリクレジル、燐酸トリオクチル、エポキシ化大豆油、変性ひまし油が挙げられる。これらの中で、フタル酸系可塑剤がブリードアウトを生じにくく、好適に用いることができる。本発明における可塑剤の含有量は、本発明の硬化性組成物に含まれるエポキシ樹脂(X)100質量部に対して100質量部以下、好ましくは1〜80質量部、さらに好ましくは5〜50質量部程度であることが望ましい。一方、硬化性組成物全体における含量は、50質量%以下、好ましくは1〜40質量%、1〜30質量%が好ましい。
(充填剤)
本発明の硬化性組成物には、必要に応じて充填剤が含有されていてもよい。
充填剤としては、無機充填材が好ましく、マイカ、珪砂、カーボンブラック、シリカ、炭酸カルシウム、タルク、グラファイト、ステンレス、アルミニウム、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、亜鉛華などの粉末充填剤;ガラス繊維や金属繊維などの繊維状充填剤などを挙げることができる。本発明における充填剤の含有量は、本発明の硬化性組成物に含まれるエポキシ樹脂(X)100質量部に対して300質量部以下、好ましくは50〜250質量部、さらに好ましくは70〜200質量部程度であることが望ましい。一方、硬化性組成物全体における含量は、70質量%以下、好ましくは20〜70質量%、30〜60質量%が好ましい。
(着色剤)
本発明の硬化性組成物には、必要に応じて着色剤が含有されていてもよい。
着色剤としては、特に限定されないが、たとえば、二酸化チタン、カーボンブラック、弁柄、酸化クロム、ウルトラマリン、フタロシアニングリーン、フタロシアニンブルーが挙げられる。
(その他添加剤)
本発明の硬化性組成物に配合し得るその他添加剤としては、従来公知の消泡剤、レベリング剤、色別れ防止剤、安定剤、シランカップリング剤、有機化合物系及び無機化合物系の滑剤、耐光安定剤、酸化防止剤、リン系加工熱安定剤、帯電防止剤などが挙げられる。特に、酸化防止剤、耐光安定剤は、その後の組成物の用途に応じて、適宜、添加することが好ましい。本発明の目的を損なわない範囲で、他の樹脂、エラストマー等を添加しても良い。
本発明に任意に用いられる酸化防止剤としては、例えば、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製の商品名:イルガノックス1010、同1076、同1135、同245、同3114、同3790等、旭電化工業社の商品名:アデカスタブAO−60、同AO−70、同AO−80等を挙げることができる。酸化防止剤を添加する場合には、本発明の硬化性組成物に含まれるエポキシ樹脂(X)100質量部に対して、0.05質量部以上1質量部以下の範囲で添加することが好ましい。
本発明に任意に用いられるリン系加工熱安定剤としては、例えば、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製の商品名:イルガフォス38、同126、同P−EPQ等、旭電化工業社製の商品名:アデカスタブPEP−4C、同11C、同24、同36等を挙げることができる。リン系加工熱安定剤を添加する場合には、本発明の硬化性組成物に含まれるエポキシ樹脂(X)100質量部に対して、0.05質量部以上1質量部以下の範囲で添加することが好ましい。
本発明に任意に用いられる耐光安定剤としては、例えば、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製の商品名:チヌビンP、同234、同326、同327、同328、同329、同213、同571、同1577、同622LD、同144、同765、同770、同B75、同B88等、三共社製の商品名:サノールLS−770、同765、同2626、同944等、また、旭電化工業社の商品名:LA−32、同36、同1413、同52、同62、同77、同601、同T−940等の紫外線吸収剤又はヒンダードアミン系光安定剤を挙げることができる。本発明において耐光安定剤を添加する場合には、紫外線吸収剤とヒンダードアミン系光安定剤との併用が好ましく、それぞれ、本発明の硬化性組成物に含まれるエポキシ樹脂(X)100質量部に対して、0.05質量部以上3質量部以下の範囲で添加することが好ましい。
本発明においては、有機化合物系又は無機化合物系の滑剤を任意に添加することもできる。
有機化合物系の滑剤としては、例えば、脂肪酸アマイドを挙げることができ、市販品としては、日本化成社製の商品名:ニッカアマイド、商品名:ビスアマイド、商品名:スリパックス等、あるいは、クラアリアント社製の商品名:リコワックス、商品名:リコルブ等を挙げることができる。また、無機化合物系の滑剤としては、例えば、タルクやシリカ等を挙げることができる。本発明において有機化合物系の滑剤を添加する場合には、本発明の硬化性組成物に含まれるエポキシ樹脂(X)100質量部に対して、0.05質量部以上2質量部以下の範囲で添加することが好ましい。
また、場合によっては、上述したα−オレフィン(共)重合体(Z)とは別に、従来公知の消泡剤を添加することもできる。このような従来公知の消泡剤として、シリコーン系、アクリル系、ブタジエン系等が挙げられる。
硬化性組成物の製造方法>
本発明の硬化性組成物は、上記エポキシ樹脂(X)、上記エポキシ樹脂硬化剤(Y)、および上記α−オレフィン(共)重合体(Z)とを必須成分として含有する組成物である。
本発明の硬化性組成物を得る方法としては特に限定されず、上記エポキシ樹脂(X)、上記エポキシ樹脂硬化剤(Y)、および上記α−オレフィン(共)重合体(Z)、および、任意で用いられる上記その他の構成成分とを、上記所定の割合で公知の手法により混合することにより得ることができる。
ここで、エポキシ樹脂(X)は、本発明の硬化性組成物を製造する過程で加えられてもよく、本発明の硬化性組成物を硬化させようとする直前に、エポキシ樹脂(X)以外の全ての構成成分を含む組成物に加えられてもよい。
また、エポキシ樹脂硬化剤(Y)は、本発明の硬化性組成物を製造する過程で加えられてもよく、本発明の硬化性組成物を硬化させようとする直前に、エポキシ樹脂硬化剤(Y)以外の全ての構成成分を含む組成物に加えられてもよい。
一方、α−オレフィン(共)重合体(Z)は、硬化性組成物を製造する過程で加えられてもよく、或いは、硬化性組成物を硬化させようとする直前に、α−オレフィン(共)重合体(Z)以外の全ての構成成分を含む組成物に加えられてもよい。
また、上記触媒(硬化剤)、溶剤、可塑剤、フィラー、着色剤、添加剤などのその他の構成成分は、硬化性組成物を製造する過程で加えられてもよく、或いは、硬化性組成物を硬化させようとする直前に、硬化性組成物に加えられてもよい。また、硬化性組成物を製造する過程で、その他の構成成分のうちの一部の成分を加えるとともに、硬化性組成物を硬化させようとする直前に、その他の構成成分のうちの残りの成分を硬化性組成物に加えてもよい。
本発明の硬化性組成物を硬化させる条件としては常温、熱硬化のいずれでも良い。
また本発明の硬化性組成物から得られる硬化物の作製手段(成形手段)は問われず、公知の手法を用いることができる。例えば、本発明の硬化性組成物を塗布または注型し、そのまま硬化させることによって所望の形状を有する硬化物を得ることができる。すなわち、本発明では、本発明の硬化性組成物から形成された成形体も提供される。
本発明の硬化性組成物は、組成物の消泡性が格段に良好になり、注型品の形成に供すると、硬化物に変化するまでの過程で、硬化性組成物あるいは硬化性組成物から生じる硬化反応中間体の内部の泡、ガスが脱気して、表面の光沢も損なうことなく平滑性に富み、耐傷つき性に優れる成形体が得られる。また塗装剤として用いた時は塗膜内部に気泡が残らないだけでなく、表面の光沢も損なうことなく平滑性に富み、耐傷つき性に優れる仕上がり性の優れた塗膜表面が得られる。すなわち、本発明では、本発明の硬化性組成物を含む塗料も提供されるのであり、硬化性組成物から形成された塗膜も提供される。
本発明の硬化性組成物を硬化して得られ硬化部の表面の仕上がり性を向上させた硬化性組成物は熱硬化型の成形体として工業用品、或いは塗装剤としての塗料、常温硬化型の成形体として工業用品、注入品、或いは塗装剤としての塗料、塗膜防水材、床材等の塗材として用いることができる。すなわち、本発明では、本発明の硬化性組成物から形成された床材も提供される。
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
以下の実施例および比較例において、各物性は、以下の方法により測定あるいは評価した。
《α−オレフィン(共)重合体(Z)の物性》
〔動粘度〕
ASTM D 445に基づき、キャノン社製全自動粘度計CAV−4を用いて測定を行った。
〔メチル基指標〕
日本電子(株)製EX270型核磁気共鳴装置を用い、溶媒として重クロロホルム,試料濃度として55mg/0.6mL、測定温度として室温、観測核として1H(270MHz)、シーケンスとしてシングルパルス、パルス幅として6.5μ秒(45°パルス)、繰り返し時間として5.5秒、積算回数としては16回、ケミカルシフトの基準値として重クロロホルム中のCHCl3に基づく溶媒ピークの7.24ppmを用いて測定した。
上記のようにして測定された1H−NMRスペクトルから得られたスペクトルにおける、0.50〜2.20ppmの範囲内にあるピークの積分値に対する、0.50〜1.15ppmの範囲内にあるピークの積分値の割合をメチル基指標とした。ここで、0.50〜2.20ppmの範囲内にはα−オレフィン(共)重合体に基づくピークがほぼ含まれる。この範囲のうち、メチル基に基づくピークは、0.50〜1.15ppmの範囲内に含まれる可能性が高い。
〔エチレン含量、B値〕
日本電子(株)製ECP500型核磁気共鳴装置を用い、溶媒としてオルトジクロロベンゼン/重ベンゼン(80/20容量%)混合溶媒,試料濃度として55mg/0.6mL、測定温度として120℃、観測核として13C(125MHz)、シーケンスとしてシングルパルスプロトンデカップリング、パルス幅として4.7μ秒(45°パルス)、繰り返し時間として5.5秒、積算回数としては1万回以上、ケミカルシフトの基準値として27.50ppmを用いて測定した。
エチレン・α−オレフィン共重合体のエチレン含量は、上記のようにして測定された13C−NMRスペクトルから、「高分子分析ハンドブック」(朝倉書店 発行 P163〜170)、G.J.Ray(Macromolecules,10,773(1977))、J.C.Randall(Macro−molecules,15,353(1982))、K.Kimura(Polymer,25,4418(1984))らの報告に基づいて求めた。
エチレン・α−オレフィンランダム共重合体のB値は下式により算出した。
B値=POE/(2PO・PE)
(式中、PEおよびPOは、それぞれエチレン・α−オレフィン共重合体中に含有される、エチレン成分のモル分率およびα−オレフィン成分のモル分率であり、POEは、全ダイアド(dyad)連鎖数に対するエチレン・α−オレフィン交互連鎖数の割合である。)
PE、POおよびPOE値は、上記のようにして測定された13C−NMRスペクトルから、前述の公知の文献に記載された方法に基づいて求めた。
〔分子量(Mw)および分子量分布(Mw/Mn)〕
下記の高速GPC測定装置により決定した。
高速GPC測定装置:東ソー社製HLC8320GPC
移動相:THF(和光純薬工業社製、安定剤不含有、液体クロマトグラフィー用グレード)
カラム:東ソー社製TSKgel Super MultiporeHZ−M 2本を直列連結した。
サンプル濃度:5mg/mL
移動相流速:0.35mL/分
測定温度:40℃
検量線用標準サンプル:東ソー社製PStQuick MP−M
〔融点〕
α−オレフィン(共)重合体(Z)の融点は、いずれもセイコーインスツルメント社製X−DSC−7000を用いて測定した。簡易密閉できるアルミサンプルパンに約8mgのサンプルを入れてDSCセルに配置し、DSCセルを窒素雰囲気下にて室温から、150℃まで10℃/分で昇温し、次いで、150℃で5分間保持した後、10℃/分で降温し、DSCセルを−100℃まで冷却した(降温過程)。次いで、−100℃で5分間保持した後、10℃/分で150℃まで昇温し、昇温過程で得られるエンタルピー曲線が極大値を示す温度を融点(Tm)とし、融解に伴う吸熱量の総和を融解熱量(ΔH)とした。ピークが観測されないか、融解熱量(ΔH)の値が1J/g以下の場合、融点(Tm)は観測されないとみなした。融点(Tm)、および融解熱量(ΔH)の求め方はJIS K7121に基づいて行った。
<硬化性組成物の物性>
〔表面平滑性〕
得られた硬化性組成物を硬化して得られた硬化物を目視にて観察し、表面に残った気泡の数の多少により下記の通り評価を行った。
○:気泡が観察されない
△:わずかに気泡が観察される
×:一面が気泡に覆われている
〔耐傷つき性〕
得られた硬化性組成物を硬化して得られた硬化物について、JIS K5600−5−4に準拠する形で、引っかき硬度を測定することにより求めた。試験荷重はISO750gにて測定した。
硬化性組成物の作製に用いたエポキシ樹脂(X)を以下に示す。
[エポキシ樹脂(X)]
(x−1):ビスフェノールA型エポキシ樹脂32質量部に対し、充填剤として炭酸カルシウムを60質量部加え、高速攪拌機にて混合分散させたものを、エポキシ樹脂(x−1)として実施例1〜4および比較例3に用いた。
(x−2):ビスフェノールA型エポキシ樹脂30質量部に対し、充填剤として酸化アルミニウムを25質量部、着色剤として二酸化チタンを3質量部、粘度調整を目的として1,2−エポキシー3−(トリルオキシ)プロパンを7質量部加え、高速攪拌機にて混合分散させたものを、エポキシ樹脂(x−2)として実施例5に用いた。
硬化性組成物の作製に用いたエポキシ樹脂硬化剤(Y)を以下に示す。
[エポキシ樹脂硬化剤(Y)]
(y−1):アミン系硬化剤(夏型)
(y−2):アミン系硬化剤(冬型)
硬化性組成物の作製に用いたαーオレフィン(共)重合体(Z)を以下に示す。
[αーオレフィン(共)重合体(Z)]
[製造例1](液状エチレン・プロピレン共重合体の製造)
充分窒素置換した容量2リットルの攪拌翼付連続重合反応器に、脱水精製したヘキサン1リットルを張り、96mmol/Lに調整した、エチルアルミニウムセスキクロリド(Al(C251.5・Cl1.5)のヘキサン溶液を500mL/hの量で連続的に1時間供給した後、更に触媒として16mmol/Lに調整したVO(OC25)Cl2のヘキサン溶液を500mL/hの量で、ヘキサンを500mL/hの量で連続的に供給した。一方重合器上部から、重合液器内の重合液が常に1リットルになるように重合液を連続的に抜き出した。次にバブリング管を用いてエチレンガスを35L/hの量で、プロピレンガスを35L/hの量で、水素ガスを80L/hの量で供給した。共重合反応は、重合器外部に取り付けられたジャケットに冷媒を循環させることにより35℃で行った。
これにより、エチレン・プロピレン共重合体を含む重合溶液が得られた。得られた重合溶液は、塩酸で脱灰した後に、大量のメタノールに投入して、エチレン・プロピレン共重合体を析出させた後、130℃で24時間減圧乾燥を行い、液状エチレン・プロピレン共重合体(z−1)を得た。得られた液状エチレン・プロピレン共重合体(z−1)の分析結果を表1に示す。
[製造例2〜3]
製造例1において、エチレンガスの供給量、プロピレンガスの供給量、水素ガスの供給量を適宜調整することにより、表1に記載のエチレン・プロピレン共重合体(z−2)および(z−3)を得た。得られた各エチレン・プロピレン共重合体の分析結果を表1に示す。
硬化性組成物の作製に用いたその他の構成成分を以下に示す。
[ウレタン樹脂(a−1)]
ウレタン樹脂(a−1)として、イソシアネート含有プレポリマー(三井化学(株)製、ハイプレンP−306A;粘度6,000cps/25℃)を、比較例1、2に用いた。
[ウレタン樹脂硬化剤(b−1)]
以下にウレタン樹脂硬化剤(b−1)の調製方法を示す。
丸缶にポリエーテルポリオール(三井化学(株)製、MC−506;粘度1,400cps/25℃;ポリアミン含有)105g、軟化剤としてDINP(ジェイ・プラス社製) 124g、触媒としてオクチル酸ビスマス(日東化成(株)製、ネオスタンU−600)4.3gを丸缶に挿入し、タービン羽根攪拌機で撹拌しながら徐々に炭酸カルシウム(日東粉化工業(株)製、NS−200)345gを投入し、600rpmで20分撹拌して、ウレタン樹脂硬化剤(b−1)を調整した。得られたウレタン樹脂硬化剤(b−1)は比較例1、2に用いた。
Figure 2018123187
[実施例1]
エポキシ樹脂(x−1)100質量部に対し、αーオレフィン(共)重合体(z−1)を1.2質量部加え、タービン羽根攪拌機を用いて600rpmで3分間攪拌する。この溶液に、エポキシ樹脂硬化剤(y−1)20質量部を加え、600rpmで30分間攪拌した後、7cmφのPPカップに20g流し込んで硬化性組成物を得た後一晩室温で静置して硬化させることで、硬化性組成物の硬化物を得た。得られた硬化物の外観を観察した結果、および引っかき硬度の測定結果を表2に示す。
[実施例2〜4]
αーオレフィン(共)重合体の種類を表2の通り変更し、配合量を0.6質量部とした以外は、実施例1と同様の手順にて硬化性組成物を得た。得られた硬化物の外観を観察した結果、および引っかき硬度の測定結果を表2に示す。
[実施例5]
エポキシ樹脂(x−2)100質量部に対し、αーオレフィン(共)重合体(z−1)を0.6質量部加え、タービン羽根攪拌機を用いて600rpmで3分間攪拌する。この溶液に、エポキシ樹脂硬化剤(y−2)20質量部を加え、600rpmで6分間攪拌した後、7cmφのPPカップに20g流し込んで硬化性組成物を得た後、一晩室温で静置して得られた硬化性組成物を硬化させることで、硬化物を得た。得られた硬化物の外観を観察した結果、および引っかき硬度の測定結果を表2に示す。
[比較例1]
ウレタン樹脂硬化剤(b−1)94質量部に対し、ウレタン樹脂(a―1)を100質量部加え、600rpmで3分間撹拌した後、7cmφのPPカップに20g流し込んで硬化性組成物を得た後、一晩室温で静置して得られた硬化性組成物を硬化させることで、硬化物を得た。得られた硬化物の外観を観察した結果、および引っかき硬度の測定結果を表2に示す。
[比較例2]
ウレタン樹脂硬化剤(b−1)94質量部に対し、αーオレフィン(共)重合体(z−1)を1質量部加え、タービン羽根攪拌機を用いて600rpmで1分間攪拌する。この溶液に、ウレタン樹脂(a―1)を100質量部加え、600rpmで3分間撹拌した後、7cmφのPPカップに20g流し込んで硬化性組成物を得た後、一晩室温で静置して得られた硬化性組成物を硬化させることで、硬化物を得た。得られた硬化物の外観を観察した結果、および引っかき硬度の測定結果を表2に示す。
[比較例3]
αーオレフィン(共)重合体の添加を行わない以外は、実施例1と同様の手順にて硬化性組成物を得た。得られた硬化性組成物の硬化物の外観を観察した結果、および引っかき硬度の測定結果を表2に示す。
Figure 2018123187

Claims (9)

  1. 下記要件(x−1)を満たすエポキシ樹脂(X)、下記要件(y−1)を満たすエポキシ樹脂硬化剤(Y)、並びに下記要件(z−1)および(z−2)を満たすα−オレフィン(共)重合体(Z)を含有する硬化性組成物:
    (x−1)フェノ−ルノボラック型、ビスフェノ−ル型、ダイマ−酸型、ゴム変性型、アルキルフェノ−ル型、アルコ−ル変性型、レゾルシン型、ポリグリコ−ル型又はエステル型、から選ばれる少なくとも1種を含む。
    (y−1)アミン系硬化剤、フェノール系硬化剤、メルカプタン系硬化剤、酸無水物系硬化剤、潜在性硬化剤から選ばれる少なくとも1種を含む。
    (z−1)1H−NMRから測定されるメチル基指標が25〜60%である(ここで、当該メチル基指標とは、上記α−オレフィン(共)重合体を重クロロホルム中に溶解させて1H−NMRを測定し、重クロロホルム中のCHCl3に基づく溶媒ピークをリファレンス(7.24ppm)としたときにおける、0.50〜2.20ppmの範囲内にあるピークの積分値に対する、0.50〜1.15ppmの範囲内にあるピークの積分値の割合をいう。)
    (z−2)ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により求められる重量平均分子量(Mw)が1,500〜11,000である。
  2. 前記α−オレフィン(共)重合体(Z)が、示差走査熱量分析(DSC)で測定される融点が観測されないことを特徴とする請求項1に記載の硬化性組成物。
  3. 前記α−オレフィン(共)重合体(Z)の含有量が、0.0005〜12質量%の範囲内である請求項1または2に記載の硬化性組成物。
  4. 前記α−オレフィン(共)重合体(Z)の前記要件(z−1)におけるメチル基指標が25〜40%である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
  5. 前記α−オレフィン(共)重合体(Z)の前記要件(z−1)におけるメチル基指標が40〜60%である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の硬化性組成物から形成された成形体。
  7. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の硬化性組成物を含む塗料。
  8. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の硬化性組成物から形成された床材。
  9. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の硬化性組成物から形成された塗膜。
JP2017014054A 2017-01-30 2017-01-30 硬化性組成物 Pending JP2018123187A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017014054A JP2018123187A (ja) 2017-01-30 2017-01-30 硬化性組成物

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017014054A JP2018123187A (ja) 2017-01-30 2017-01-30 硬化性組成物

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2018123187A true JP2018123187A (ja) 2018-08-09

Family

ID=63109365

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2017014054A Pending JP2018123187A (ja) 2017-01-30 2017-01-30 硬化性組成物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2018123187A (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN109651929A (zh) * 2019-01-10 2019-04-19 汇克涂料(湖南)有限公司 一种荷叶效应防水型涂料
JP2021024942A (ja) * 2019-08-05 2021-02-22 三井化学株式会社 樹脂組成物、timおよび電子機器
WO2021070811A1 (ja) * 2019-10-07 2021-04-15 三井化学株式会社 エチレン・α-オレフィン共重合体組成物およびその用途
WO2023090308A1 (ja) 2021-11-16 2023-05-25 三井化学株式会社 樹脂組成物およびその用途

Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2015025918A1 (ja) * 2013-08-23 2015-02-26 中国塗料株式会社 防食塗料組成物、防食塗膜および基材の防食方法
JP2016041793A (ja) * 2014-08-19 2016-03-31 三井化学株式会社 硬化性組成物

Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2015025918A1 (ja) * 2013-08-23 2015-02-26 中国塗料株式会社 防食塗料組成物、防食塗膜および基材の防食方法
JP2016041793A (ja) * 2014-08-19 2016-03-31 三井化学株式会社 硬化性組成物

Cited By (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN109651929A (zh) * 2019-01-10 2019-04-19 汇克涂料(湖南)有限公司 一种荷叶效应防水型涂料
JP2021024942A (ja) * 2019-08-05 2021-02-22 三井化学株式会社 樹脂組成物、timおよび電子機器
JP7362340B2 (ja) 2019-08-05 2023-10-17 三井化学株式会社 樹脂組成物、timおよび電子機器
WO2021070811A1 (ja) * 2019-10-07 2021-04-15 三井化学株式会社 エチレン・α-オレフィン共重合体組成物およびその用途
JPWO2021070811A1 (ja) * 2019-10-07 2021-04-15
CN114514277A (zh) * 2019-10-07 2022-05-17 三井化学株式会社 乙烯·α-烯烃共聚物组合物及其用途
JP7322164B2 (ja) 2019-10-07 2023-08-07 三井化学株式会社 エチレン・α-オレフィン共重合体組成物およびその用途
WO2023090308A1 (ja) 2021-11-16 2023-05-25 三井化学株式会社 樹脂組成物およびその用途
KR20240035555A (ko) 2021-11-16 2024-03-15 미쓰이 가가쿠 가부시키가이샤 수지 조성물 및 그의 용도

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6404635B2 (ja) 硬化性組成物
JP2018123187A (ja) 硬化性組成物
CN108602928A (zh) 环烯烃共聚物及其制备方法
KR101715435B1 (ko) 에틸렌 및 실록산으로부터 유도된 단위를 포함하는 중합체
US20120129417A1 (en) Ethylenic polymer and its use
CN103304882B (zh) 注塑鞋底
US11142610B2 (en) Curable epoxy resin composition, fiber-reinforced composite material and molded body using same
JPWO2019021879A1 (ja) エポキシ樹脂組成物
KR20150131015A (ko) 코어 쉘 고무 및 폴리올을 함유하는 강인화된 에폭시 열경화성 물질
KR20190052688A (ko) 다중모드 폴리에틸렌 파이프
CN108699321A (zh) 强韧化环氧树脂组合物
JP6545497B2 (ja) 硬化性組成物およびその製造方法
JP2015532352A (ja) コアシェルゴムおよびポリオールを含有する強化エポキシ熱硬化性樹脂
JP2010533776A (ja) モノビニリデン芳香族ポリマーおよびエチレン/α−オレフィンコポリマーを含むESCRの高い組成物
JP7144153B2 (ja) 硬化性樹脂組成物
EP3357952B1 (en) Curable epoxy resin composition, and fiber-reinforced composite material obtained using same
JP6630416B2 (ja) 硬化性組成物
KR20120081136A (ko) 에틸렌 및 폴리(알콕시드)로부터 유도된 단위를 포함하는 중합체
EP3702405A1 (en) Modified polyolefin resin composition and production method therefor
EP3227365B1 (en) Polyolefin polyols as surface modifying agents
JP6400383B2 (ja) 硬化性組成物
WO2023090308A1 (ja) 樹脂組成物およびその用途
WO2021207046A1 (en) Polymer compositions and foams comprising polymer compositions
JP2023010635A (ja) エポキシ樹脂用粘度調整剤、エポキシ樹脂組成物、硬化性組成物、プリプレグ及び繊維強化複合材料
KR20220004810A (ko) 변성 폴리올레핀 수지 조성물

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20191031

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20200729

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20200818

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20201012

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20201216

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20210511