JP2018123187A - 硬化性組成物 - Google Patents
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Abstract
Description
[1]下記要件(x−1)を満たすエポキシ樹脂(X)、下記要件(y−1)を満たすエポキシ樹脂硬化剤(Y)、並びに下記要件(z−1)および(z−2)を満たすα−オレフィン(共)重合体(Z)を含有する硬化性組成物:
(x−1)フェノ−ルノボラック型、ビスフェノ−ル型、ダイマ−酸型、ゴム変性型、アルキルフェノ−ル型、アルコ−ル変性型、レゾルシン型、ポリグリコ−ル型又はエステル型、から選ばれる少なくとも1種を含む。
(y−1)アミン系硬化剤、フェノール系硬化剤、メルカプタン系硬化剤、酸無水物系硬化剤、潜在性硬化剤から選ばれる少なくとも1種を含む。
(z−1)1H−NMRから測定されるメチル基指標が25〜60%である(ここで、当該メチル基指標とは、上記α−オレフィン(共)重合体を重クロロホルム中に溶解させて1H−NMRを測定し、重クロロホルム中のCHCl3に基づく溶媒ピークをリファレンス(7.24ppm)としたときにおける、0.50〜2.20ppmの範囲内にあるピークの積分値に対する、0.50〜1.15ppmの範囲内にあるピークの積分値の割合をいう。)
(z−2)ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により求められる重量平均分子量(Mw)が1,500〜11,000である。
[3]前記α−オレフィン(共)重合体(Z)の含有量が、0.0005〜12質量%の範囲内である[1]または[2]に記載の硬化性組成物。
[4]前記α−オレフィン(共)重合体(Z)の前記要件(z−1)におけるメチル基指標が25〜40%である、[1]〜[3]のいずれか1に記載の硬化性組成物。
[5]前記α−オレフィン(共)重合体(Z)の前記要件(z−1)におけるメチル基指標が40〜60%である、[1]〜[3]のいずれか1に記載の硬化性組成物。
[6][1]〜[5]のいずれか1に記載の硬化性組成物から形成された成形体。
[7][1]〜[5]のいずれか1に記載の硬化性組成物を含む塗料。
[8][1]〜[5]のいずれか1に記載の硬化性組成物から形成された床材。
[9][1]〜[5]のいずれか1に記載の硬化性組成物から形成された塗膜。
本発明の硬化性組成物は、成形体、塗料、弾性塗装材、床材等の各種用途に用いることができる。
本発明の硬化性組成物は、以下に示すエポキシ樹脂(X)、エポキシ樹脂硬化剤(Y)およびα−オレフィン(共)重合体(Z)とを含む。
本発明に係る硬化性組成物を構成するエポキシ樹脂(X)は後述する要件(x−1)を満たす。
フェノ−ルノボラック型、ビスフェノ−ル型、ダイマ−酸型、ゴム変性型、アルキルフェノ−ル型、アルコ−ル変性型、レゾルシン型、ポリグリコ−ル型又はエステル型、から選ばれる少なくとも1種を含む。
本発明に係る硬化性組成物を構成するエポキシ樹脂硬化剤(Y)は後述する要件(y−1)を満たす。
アミン系硬化剤、フェノール系硬化剤、酸無水物系硬化剤、潜在性硬化剤から選ばれる少なくとも1種を含む。
上記アミン系硬化剤としては、例えば、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ジエチルアミノプロピルアミン、メンタンジアミン、イソホロンジアミン、ビス[4−アミノ−3−メチルジシクロヘキシル] メタン、ジアミノジシクロヘキシルメタン、ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、m−キシリレンジアミン、メタフェニレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジエチルジフェニルメタン及びこれらをエポキシアダクト、マイケル付加、マンニッヒ反応等により変性した変性ポリアミン、ポリアミドアミン等が挙げられる。
本発明に係る硬化性組成物を構成するα−オレフィン(共)重合体(Z)は後述する要件(z−1)および(z−2)を満たす。本発明においてα−オレフィン(共)重合体は、具体的には炭素原子数2〜20のα−オレフィンの単独重合体あるいは二種以上のα−オレフィンの共重合体である。
1H−NMRから測定されるメチル基指標が25〜60%である(ここで、当該メチル基指標とは、上記α−オレフィン(共)重合体を重クロロホルム中に溶解させて1H−NMRを測定し、重クロロホルム中のCHCl3に基づく溶媒ピークをリファレンス(7.24ppm)としたときにおける、0.50〜2.20ppmの範囲内にあるピークの積分値に対する、0.50〜1.15ppmの範囲内にあるピークの積分値の割合をいう。)。
本発明に係るα−オレフィン(共)重合体(Z)は常温で液状であることが好ましい。常温で液状であると、液状であることが多い硬化性樹脂との混合性が優れ、少量で消泡性を発現しやすい点で好ましい。
本発明に係るα−オレフィン(共)重合体(Z)は示差走査熱量分析(DSC)で測定される融点が観測されないことが好ましい。ここで、融点(Tm)が観測されないとは、示差走査型熱量測定(DSC)で測定される融解熱量(ΔH)(単位:J/g)が実質的に計測されないことをいう。融解熱量(ΔH)が実質的に計測されないとは、示差走査熱量計(DSC)測定においてピークが観測されないか、あるいは観測された融解熱量が1J/g以下であることである。
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により求められる重量平均分子量(Mw)が1,500〜11,000である。
本発明に係るα−オレフィン(共)重合体(Z)は100℃での動粘度が好ましくは1〜1,500mm2/sの範囲にあり、より好ましくは4〜1,000mm2/sの範囲にあり、より好ましくは10〜800mm2/sの範囲であり、さらに好ましくは15〜700mm2/sの範囲であり、特に好ましく50〜700mm2/sの範囲である。
本発明に係るα−オレフィン(共)重合体(Z)は1種単独で用いてもよいし、2種以上のα−オレフィン(共)重合体を併用してもよい。
本発明に係るα−オレフィン(共)重合体(Z)の好ましい一態様は、1種以上の炭素原子数6〜20のα−オレフィンからなる単量体の(共)重合体である。ここでいう、1種以上の炭素原子数6〜20のα−オレフィンからなる単量体の(共)重合体とは、炭素原子数6〜20のα−オレフィン単独重合体、または、炭素原子数6〜20のα−オレフィンに対応する構成単位を1種以上含む炭素原子数6〜20のα−オレフィン共重合体である。本明細書において、このようなα−オレフィン(共)重合体を、便宜上「高級α−オレフィン(共)重合体」と呼ぶ場合がある。更に、このようなα−オレフィン(共)重合体には、必要に応じて50モル%を超えない範囲で、エチレン及び/または炭素原子数3〜5のα−オレフィンを共重合成分として導入することもできる。このような高級α−オレフィン(共)重合体は一般的にPAOと総称される。
高級α−オレフィン(共)重合体(PAO)は、低規則性構造を有すると分子内にわずかな組成分布を有し、硬化性組成物との相容性を適切に制御しやすくなるため、好ましい。
本発明に係るα−オレフィン(共)重合体(Z)の好ましい別の一態様はエチレン・炭素原子数3以上のα−オレフィン共重合体(以下、「エチレン・α−オレフィン共重合体」とも呼ぶ。)である。エチレン・α−オレフィン共重合体を構成するα−オレフィンとしては、エチレン以外のα−オレフィンが挙げられ、典型例として、プロピレン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、ヘプテン−1、オクテン−1、デセン−1、ウンデセン−1、ドデセン−1、トリデセン−1、テトラデセン−1、ペンタデセン−1、ヘキサデセン−1、ヘプタデセン−1、オクタデセン−1、ノナデセン−1、エイコセン−1などの炭素数3〜20のα−オレフィンなどを例示することができる。エチレン・α−オレフィン共重合体中には、これらα−オレフィンを1種単独で用いてもよく、あるいは、2種以上併用してもよい。ただし、本発明では、上記「高級α−オレフィン(共)重合体」との区別のため、エチレン・α−オレフィン共重合体における、炭素原子数6〜20のα−オレフィンに対応する構成単位の含量は50モル%未満とする。これらのα−オレフィンの内では、効果的に結晶性を落としてサンプルを液状にし、エポキシ樹脂(X)との相容性を制御して硬化性組成物の消泡性と外観のバランスを改善する点で、炭素数3〜10のα−オレフィンが好ましく、特にプロピレンが好ましい。
本発明に係るα−オレフィン(共)重合体(Z)は、そのままの形であってもよいし、あるいは、グラフト変性によって何らかの極性基を付与されたものであってもよい。変性に利用される極性基を有するビニル化合物には、酸、酸無水物、エステル、アルコール、エポキシ、エーテル等の酸素含有基を有するビニル化合物、イソシアネート、アミド等の窒素含有基を有するビニル化合物、ビニルシラン等のケイ素含有基を有するビニル化合物などを使用することができる。
なお、上記の極性基を有するビニル化合物又はその誘導体が、α−オレフィン(共)重合体にグラフトする位置は特に制限されず、このα−オレフィン(共)重合体の任意の炭素原子に不飽和カルボン酸又はその誘導体が結合していればよい。
上記のようなα−オレフィン(共)重合体(Z)の変性物(変性α−オレフィン(共)重合体)は、従来公知の種々の方法、例えば、次のような方法を用いて調製できる。
上記いずれの方法も、上記極性基を有するビニル化合物又はその誘導体のグラフトモノマーを効率よくグラフト共重合させるために、ラジカル開始剤の存在下でグラフト反応を行うことが好ましい。
本発明の硬化性組成物全体におけるα−オレフィン(共)重合体(Z)の含量は、好ましくは0.0005〜12質量%、より好ましくは0.001〜10質量%、より好ましくは0.001〜2質量%、さらに好ましくは0.005〜1質量%であることが望ましい。
本発明の硬化性組成物は、上記エポキシ樹脂(X)、上記エポキシ樹脂硬化剤(Y)および上記α−オレフィン(共)重合体(Z)のほか、その他の構成成分として、必要に応じて触媒、溶剤、可塑剤、充填剤(フィラー)、着色剤、添加剤などを含有することができる。また、上記エポキシ樹脂(X)および上記エポキシ樹脂硬化剤(Y)は、これら「その他の構成成分」を予め含有していてもよい。
本発明の硬化性組成物には、上記エポキシ樹脂(X)の硬化を促進させることを目的として、触媒が含有されうる。
本発明の硬化性組成物には、必要に応じて溶剤が含有されていてもよい。
溶剤としては、特に限定されないが、たとえば、キシレン、トルエン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン等の脂肪族炭化水素、シクロヘキサン、シクロヘキセン、メチルシクロヘキサン等の脂環式炭化水素、酢酸エチル、n−酢酸ブチル、セロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、3−メトキシブチルアセテート、酢酸エチレングリコールモノエチルエーテル、酢酸エチレングリコールモノメチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノエチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノメチルエーテル、等のエステル系、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒、アセトン、テトラヒドロフラン等が挙げられる。これらの中でも、芳香族炭化水素を好適に用いることができる。
本発明の硬化性組成物には、必要に応じて可塑剤が含有されていてもよい。
可塑剤としては、特に限定されないが、たとえば、フタル酸ジブチル(略称:DBP)、フタル酸ジオクチル(別称:フタル酸ビス2−エチルヘキシル、略称:DEHP、DOP、DEHA)、フタル酸ジイソノニル(略称:DINP)、等の無水フタル酸とアルコールのエステル、アジピン酸ジオクチル(別称:アジピン酸ビス2−エチルヘキシル、略称:DEHA、DOA)等のアジピン酸とアルコールのエステル 、燐酸トリクレジル、燐酸トリオクチル、エポキシ化大豆油、変性ひまし油が挙げられる。これらの中で、フタル酸系可塑剤がブリードアウトを生じにくく、好適に用いることができる。本発明における可塑剤の含有量は、本発明の硬化性組成物に含まれるエポキシ樹脂(X)100質量部に対して100質量部以下、好ましくは1〜80質量部、さらに好ましくは5〜50質量部程度であることが望ましい。一方、硬化性組成物全体における含量は、50質量%以下、好ましくは1〜40質量%、1〜30質量%が好ましい。
本発明の硬化性組成物には、必要に応じて充填剤が含有されていてもよい。
充填剤としては、無機充填材が好ましく、マイカ、珪砂、カーボンブラック、シリカ、炭酸カルシウム、タルク、グラファイト、ステンレス、アルミニウム、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、亜鉛華などの粉末充填剤;ガラス繊維や金属繊維などの繊維状充填剤などを挙げることができる。本発明における充填剤の含有量は、本発明の硬化性組成物に含まれるエポキシ樹脂(X)100質量部に対して300質量部以下、好ましくは50〜250質量部、さらに好ましくは70〜200質量部程度であることが望ましい。一方、硬化性組成物全体における含量は、70質量%以下、好ましくは20〜70質量%、30〜60質量%が好ましい。
本発明の硬化性組成物には、必要に応じて着色剤が含有されていてもよい。
着色剤としては、特に限定されないが、たとえば、二酸化チタン、カーボンブラック、弁柄、酸化クロム、ウルトラマリン、フタロシアニングリーン、フタロシアニンブルーが挙げられる。
本発明の硬化性組成物に配合し得るその他添加剤としては、従来公知の消泡剤、レベリング剤、色別れ防止剤、安定剤、シランカップリング剤、有機化合物系及び無機化合物系の滑剤、耐光安定剤、酸化防止剤、リン系加工熱安定剤、帯電防止剤などが挙げられる。特に、酸化防止剤、耐光安定剤は、その後の組成物の用途に応じて、適宜、添加することが好ましい。本発明の目的を損なわない範囲で、他の樹脂、エラストマー等を添加しても良い。
有機化合物系の滑剤としては、例えば、脂肪酸アマイドを挙げることができ、市販品としては、日本化成社製の商品名:ニッカアマイド、商品名:ビスアマイド、商品名:スリパックス等、あるいは、クラアリアント社製の商品名:リコワックス、商品名:リコルブ等を挙げることができる。また、無機化合物系の滑剤としては、例えば、タルクやシリカ等を挙げることができる。本発明において有機化合物系の滑剤を添加する場合には、本発明の硬化性組成物に含まれるエポキシ樹脂(X)100質量部に対して、0.05質量部以上2質量部以下の範囲で添加することが好ましい。
本発明の硬化性組成物は、上記エポキシ樹脂(X)、上記エポキシ樹脂硬化剤(Y)、および上記α−オレフィン(共)重合体(Z)とを必須成分として含有する組成物である。
また本発明の硬化性組成物から得られる硬化物の作製手段(成形手段)は問われず、公知の手法を用いることができる。例えば、本発明の硬化性組成物を塗布または注型し、そのまま硬化させることによって所望の形状を有する硬化物を得ることができる。すなわち、本発明では、本発明の硬化性組成物から形成された成形体も提供される。
以下の実施例および比較例において、各物性は、以下の方法により測定あるいは評価した。
〔動粘度〕
ASTM D 445に基づき、キャノン社製全自動粘度計CAV−4を用いて測定を行った。
日本電子(株)製EX270型核磁気共鳴装置を用い、溶媒として重クロロホルム,試料濃度として55mg/0.6mL、測定温度として室温、観測核として1H(270MHz)、シーケンスとしてシングルパルス、パルス幅として6.5μ秒(45°パルス)、繰り返し時間として5.5秒、積算回数としては16回、ケミカルシフトの基準値として重クロロホルム中のCHCl3に基づく溶媒ピークの7.24ppmを用いて測定した。
日本電子(株)製ECP500型核磁気共鳴装置を用い、溶媒としてオルトジクロロベンゼン/重ベンゼン(80/20容量%)混合溶媒,試料濃度として55mg/0.6mL、測定温度として120℃、観測核として13C(125MHz)、シーケンスとしてシングルパルスプロトンデカップリング、パルス幅として4.7μ秒(45°パルス)、繰り返し時間として5.5秒、積算回数としては1万回以上、ケミカルシフトの基準値として27.50ppmを用いて測定した。
B値=POE/(2PO・PE)
(式中、PEおよびPOは、それぞれエチレン・α−オレフィン共重合体中に含有される、エチレン成分のモル分率およびα−オレフィン成分のモル分率であり、POEは、全ダイアド(dyad)連鎖数に対するエチレン・α−オレフィン交互連鎖数の割合である。)
PE、POおよびPOE値は、上記のようにして測定された13C−NMRスペクトルから、前述の公知の文献に記載された方法に基づいて求めた。
下記の高速GPC測定装置により決定した。
高速GPC測定装置:東ソー社製HLC8320GPC
移動相:THF(和光純薬工業社製、安定剤不含有、液体クロマトグラフィー用グレード)
カラム:東ソー社製TSKgel Super MultiporeHZ−M 2本を直列連結した。
サンプル濃度:5mg/mL
移動相流速:0.35mL/分
測定温度:40℃
検量線用標準サンプル:東ソー社製PStQuick MP−M
α−オレフィン(共)重合体(Z)の融点は、いずれもセイコーインスツルメント社製X−DSC−7000を用いて測定した。簡易密閉できるアルミサンプルパンに約8mgのサンプルを入れてDSCセルに配置し、DSCセルを窒素雰囲気下にて室温から、150℃まで10℃/分で昇温し、次いで、150℃で5分間保持した後、10℃/分で降温し、DSCセルを−100℃まで冷却した(降温過程)。次いで、−100℃で5分間保持した後、10℃/分で150℃まで昇温し、昇温過程で得られるエンタルピー曲線が極大値を示す温度を融点(Tm)とし、融解に伴う吸熱量の総和を融解熱量(ΔH)とした。ピークが観測されないか、融解熱量(ΔH)の値が1J/g以下の場合、融点(Tm)は観測されないとみなした。融点(Tm)、および融解熱量(ΔH)の求め方はJIS K7121に基づいて行った。
〔表面平滑性〕
得られた硬化性組成物を硬化して得られた硬化物を目視にて観察し、表面に残った気泡の数の多少により下記の通り評価を行った。
○:気泡が観察されない
△:わずかに気泡が観察される
×:一面が気泡に覆われている
得られた硬化性組成物を硬化して得られた硬化物について、JIS K5600−5−4に準拠する形で、引っかき硬度を測定することにより求めた。試験荷重はISO750gにて測定した。
硬化性組成物の作製に用いたエポキシ樹脂(X)を以下に示す。
(x−1):ビスフェノールA型エポキシ樹脂32質量部に対し、充填剤として炭酸カルシウムを60質量部加え、高速攪拌機にて混合分散させたものを、エポキシ樹脂(x−1)として実施例1〜4および比較例3に用いた。
(x−2):ビスフェノールA型エポキシ樹脂30質量部に対し、充填剤として酸化アルミニウムを25質量部、着色剤として二酸化チタンを3質量部、粘度調整を目的として1,2−エポキシー3−(トリルオキシ)プロパンを7質量部加え、高速攪拌機にて混合分散させたものを、エポキシ樹脂(x−2)として実施例5に用いた。
硬化性組成物の作製に用いたエポキシ樹脂硬化剤(Y)を以下に示す。
(y−1):アミン系硬化剤(夏型)
(y−2):アミン系硬化剤(冬型)
硬化性組成物の作製に用いたαーオレフィン(共)重合体(Z)を以下に示す。
[製造例1](液状エチレン・プロピレン共重合体の製造)
充分窒素置換した容量2リットルの攪拌翼付連続重合反応器に、脱水精製したヘキサン1リットルを張り、96mmol/Lに調整した、エチルアルミニウムセスキクロリド(Al(C2H5)1.5・Cl1.5)のヘキサン溶液を500mL/hの量で連続的に1時間供給した後、更に触媒として16mmol/Lに調整したVO(OC2H5)Cl2のヘキサン溶液を500mL/hの量で、ヘキサンを500mL/hの量で連続的に供給した。一方重合器上部から、重合液器内の重合液が常に1リットルになるように重合液を連続的に抜き出した。次にバブリング管を用いてエチレンガスを35L/hの量で、プロピレンガスを35L/hの量で、水素ガスを80L/hの量で供給した。共重合反応は、重合器外部に取り付けられたジャケットに冷媒を循環させることにより35℃で行った。
製造例1において、エチレンガスの供給量、プロピレンガスの供給量、水素ガスの供給量を適宜調整することにより、表1に記載のエチレン・プロピレン共重合体(z−2)および(z−3)を得た。得られた各エチレン・プロピレン共重合体の分析結果を表1に示す。
硬化性組成物の作製に用いたその他の構成成分を以下に示す。
ウレタン樹脂(a−1)として、イソシアネート含有プレポリマー(三井化学(株)製、ハイプレンP−306A;粘度6,000cps/25℃)を、比較例1、2に用いた。
以下にウレタン樹脂硬化剤(b−1)の調製方法を示す。
丸缶にポリエーテルポリオール(三井化学(株)製、MC−506;粘度1,400cps/25℃;ポリアミン含有)105g、軟化剤としてDINP(ジェイ・プラス社製) 124g、触媒としてオクチル酸ビスマス(日東化成(株)製、ネオスタンU−600)4.3gを丸缶に挿入し、タービン羽根攪拌機で撹拌しながら徐々に炭酸カルシウム(日東粉化工業(株)製、NS−200)345gを投入し、600rpmで20分撹拌して、ウレタン樹脂硬化剤(b−1)を調整した。得られたウレタン樹脂硬化剤(b−1)は比較例1、2に用いた。
エポキシ樹脂(x−1)100質量部に対し、αーオレフィン(共)重合体(z−1)を1.2質量部加え、タービン羽根攪拌機を用いて600rpmで3分間攪拌する。この溶液に、エポキシ樹脂硬化剤(y−1)20質量部を加え、600rpmで30分間攪拌した後、7cmφのPPカップに20g流し込んで硬化性組成物を得た後一晩室温で静置して硬化させることで、硬化性組成物の硬化物を得た。得られた硬化物の外観を観察した結果、および引っかき硬度の測定結果を表2に示す。
αーオレフィン(共)重合体の種類を表2の通り変更し、配合量を0.6質量部とした以外は、実施例1と同様の手順にて硬化性組成物を得た。得られた硬化物の外観を観察した結果、および引っかき硬度の測定結果を表2に示す。
エポキシ樹脂(x−2)100質量部に対し、αーオレフィン(共)重合体(z−1)を0.6質量部加え、タービン羽根攪拌機を用いて600rpmで3分間攪拌する。この溶液に、エポキシ樹脂硬化剤(y−2)20質量部を加え、600rpmで6分間攪拌した後、7cmφのPPカップに20g流し込んで硬化性組成物を得た後、一晩室温で静置して得られた硬化性組成物を硬化させることで、硬化物を得た。得られた硬化物の外観を観察した結果、および引っかき硬度の測定結果を表2に示す。
ウレタン樹脂硬化剤(b−1)94質量部に対し、ウレタン樹脂(a―1)を100質量部加え、600rpmで3分間撹拌した後、7cmφのPPカップに20g流し込んで硬化性組成物を得た後、一晩室温で静置して得られた硬化性組成物を硬化させることで、硬化物を得た。得られた硬化物の外観を観察した結果、および引っかき硬度の測定結果を表2に示す。
ウレタン樹脂硬化剤(b−1)94質量部に対し、αーオレフィン(共)重合体(z−1)を1質量部加え、タービン羽根攪拌機を用いて600rpmで1分間攪拌する。この溶液に、ウレタン樹脂(a―1)を100質量部加え、600rpmで3分間撹拌した後、7cmφのPPカップに20g流し込んで硬化性組成物を得た後、一晩室温で静置して得られた硬化性組成物を硬化させることで、硬化物を得た。得られた硬化物の外観を観察した結果、および引っかき硬度の測定結果を表2に示す。
αーオレフィン(共)重合体の添加を行わない以外は、実施例1と同様の手順にて硬化性組成物を得た。得られた硬化性組成物の硬化物の外観を観察した結果、および引っかき硬度の測定結果を表2に示す。
Claims (9)
- 下記要件(x−1)を満たすエポキシ樹脂(X)、下記要件(y−1)を満たすエポキシ樹脂硬化剤(Y)、並びに下記要件(z−1)および(z−2)を満たすα−オレフィン(共)重合体(Z)を含有する硬化性組成物:
(x−1)フェノ−ルノボラック型、ビスフェノ−ル型、ダイマ−酸型、ゴム変性型、アルキルフェノ−ル型、アルコ−ル変性型、レゾルシン型、ポリグリコ−ル型又はエステル型、から選ばれる少なくとも1種を含む。
(y−1)アミン系硬化剤、フェノール系硬化剤、メルカプタン系硬化剤、酸無水物系硬化剤、潜在性硬化剤から選ばれる少なくとも1種を含む。
(z−1)1H−NMRから測定されるメチル基指標が25〜60%である(ここで、当該メチル基指標とは、上記α−オレフィン(共)重合体を重クロロホルム中に溶解させて1H−NMRを測定し、重クロロホルム中のCHCl3に基づく溶媒ピークをリファレンス(7.24ppm)としたときにおける、0.50〜2.20ppmの範囲内にあるピークの積分値に対する、0.50〜1.15ppmの範囲内にあるピークの積分値の割合をいう。)
(z−2)ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により求められる重量平均分子量(Mw)が1,500〜11,000である。 - 前記α−オレフィン(共)重合体(Z)が、示差走査熱量分析(DSC)で測定される融点が観測されないことを特徴とする請求項1に記載の硬化性組成物。
- 前記α−オレフィン(共)重合体(Z)の含有量が、0.0005〜12質量%の範囲内である請求項1または2に記載の硬化性組成物。
- 前記α−オレフィン(共)重合体(Z)の前記要件(z−1)におけるメチル基指標が25〜40%である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
- 前記α−オレフィン(共)重合体(Z)の前記要件(z−1)におけるメチル基指標が40〜60%である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載の硬化性組成物から形成された成形体。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載の硬化性組成物を含む塗料。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載の硬化性組成物から形成された床材。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載の硬化性組成物から形成された塗膜。
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