JP2023010635A - エポキシ樹脂用粘度調整剤、エポキシ樹脂組成物、硬化性組成物、プリプレグ及び繊維強化複合材料 - Google Patents

エポキシ樹脂用粘度調整剤、エポキシ樹脂組成物、硬化性組成物、プリプレグ及び繊維強化複合材料 Download PDF

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裕文 井上
Hirofumi Inoue
卓也 細木
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Abstract

【課題】加熱時の粘度低下を抑制したエポキシ樹脂組成物を用いた複合材料の強度を向上させる。【解決手段】一般式(1)で表される単量体(a1)及び一般式(2)で表される単量体(a2)を必須構成単量体とする共重合体(A)を含有し、共重合体(A)の構成単量体の合計重量に基づいて、単量体(a1)の含有量が10~90重量%であり、単量体(a2)の含有量が10~90重量%であるエポキシ樹脂用の粘度調整剤。共重合体(A)の溶解度パラメーターSPAは9.8~12.5(cal/cm3)1/2であることが好ましい。【選択図】なし

Description

本発明はエポキシ樹脂用粘度調整剤、エポキシ樹脂組成物、硬化性組成物、プリプレグ及び繊維強化複合材料に関する。
一般的なプリプレグは、炭素繊維にエポキシ樹脂を含浸させたものであり、低温保管により硬化を防ぎ、複合材料を製造する際(成型時)に通常100~150℃に加温し硬化させる。成型時には樹脂が硬化する温度まで加温するが、加温によりエポキシ樹脂の粘度が著しく低下すると、金型から樹脂が流出し、硬化物の一部に樹脂未含浸部分や繊維配列の乱れが発生することがある。このような問題に鑑み、特許文献1においてはエポキシ樹脂に膨潤する粒子(架橋性ポリマー)を添加する技術が提案されており、特許文献2においては、エポキシ樹脂に溶解する熱可塑性樹脂を添加する技術が提案されている。
特許第6663626号公報 特開2019-89951号公報
しかしながら、特許文献1に記載の膨潤粒子を添加する方法では、膨潤粒子が繊維配列を乱すことがあり、その結果、複合材料の強度の低下を引き起こすことがあった。
また特許文献2に記載の溶解性の熱可塑性樹脂を添加する方法では、熱可塑性樹脂自体の粘度が温度上昇とともに低下するため、粘度低下抑制効果は低く複合材料の強度の低下を引き起こすことがあった。
本発明は、加熱時の粘度低下を抑制したエポキシ樹脂組成物を用いた複合材料の強度を向上させることを目的とする。
本発明者は上記問題を解決すべく鋭意検討した結果、本発明に到達した。即ち本発明は、下記一般式(1)で表される単量体(a1)及び下記一般式(2)で表される単量体(a2)を必須構成単量体とする共重合体(A)を含有し、共重合体(A)の構成単量体の合計重量に基づいて、単量体(a1)の含有量が10~90重量%であり、単量体(a2)の含有量が10~90重量%であるエポキシ樹脂用の粘度調整剤;前記エポキシ樹脂用粘度調整剤及び20℃で固体状であるエポキシ化合物(C)を含むエポキシ樹脂組成物であって、前記エポキシ樹脂組成物が前記共重合体(A)および前記エポキシ化合物(B)を含む場合は前記共重合体(A)の溶解度パラメーターSPと、前記エポキシ化合物(B)の溶解度パラメーターSP及び前記エポキシ化合物(C)の溶解度パラメーターSPcの平均値SPAVとの差の絶対値(ΔSP1)が0.2~1.1であり、前記エポキシ樹脂組成物が前記共重合体(A)を含み前記エポキシ化合物(B)を含まない場合は前記共重合体(A)の溶解度パラメーターSPと、前記エポキシ化合物(C)の溶解度パラメーターSPcとの差の絶対値(ΔSP2)が0.2~1.1であるエポキシ樹脂組成物;前記エポキシ樹脂組成物と、エポキシ樹脂硬化剤及び/又は硬化促進剤とを含有する硬化性組成物;炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維、セラミック繊維、金属繊維、鉱物繊維、岩石繊維、スラッグ繊維及びセルロース繊維からなる群から選ばれる少なくとも1種の繊維と、前記の硬化性組成物とを含むプリプレグ;炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維、セラミック繊維、金属繊維、鉱物繊維、岩石繊維、スラッグ繊維及びセルロース繊維からなる群から選ばれる少なくとも1種の繊維と、前記硬化性組成物とを含む繊維強化複合材料である。
Figure 2023010635000001
式(1)中、Rは水素原子又はメチル基を表し、Xは-O-又は-NH-で表される基を表し、Rは炭素数2~4のアルキレン基を表し、nは0~20の整数であり、nが2以上の場合Rは同一であっても異なっていてもよく、Rは水素原子又は炭素数1~36のアルキル基を表す。
Figure 2023010635000002
式(2)中、Rは炭素数1~4のアルキレン基を表し、R及びRはそれぞれ独立に水素原子又はメチル基を表し、Xは-O-又は-NH-で表される基を表し、Rは炭素数1~4のアルキレン基を表し、mは0~3の整数である。
本発明によれば、加熱時の粘度低下を抑制したエポキシ樹脂組成物を用いた複合材料の強度を向上させることができる。
[エポキシ樹脂用粘度調整剤]
本発明のエポキシ樹脂用粘度調整剤(以下において、「粘度調整剤」と呼ぶことがある)は、一般式(1)で表される単量体(a1)及び一般式(2)で表される単量体(a2)を必須構成単量体とする共重合体(A)を含有する。
共重合体(A)を構成する構成単量体中に、必須構成単量体として含まれる単量体(a1)は下記一般式(1)で表される化合物である。
Figure 2023010635000003
一般式(1)中の、Rは水素原子又はメチル基を表す。Rとしてはメチル基が好ましい。一般式(1)中のXは-O-又は-NH-で表される基を表す。Xとしては-O-で表される基が好ましい。
一般式(1)中のRは炭素数2~4のアルキレン基を表す。炭素数2~4のアルキレン基としては、エチレン基、プロピレン基、1-メチルエチレン基、2-メチルエチレン基、ブチレン基、1-メチルプロピレン基、2-メチルプロピレン基、3-メチルプロピレン基、1,2-ジメチルエチレン基、1,1’-ジメチルエチレン基及び2,2-ジメチルエチレン基が挙げられる。Rが2個以上の場合(nが2以上の場合)、複数のRは一であっても異なっていてもよい。Rとしては、エチレン基、プロピレン基、1-メチルエチレン基及び2-メチルエチレン基が好ましく、エチレン基がより好ましい。
一般式(1)中のnは0~20の整数である。nはRO(炭素数が2~4のアルキレンオキシ基)の繰り返し単位の数である。nは好ましくは0~15であり、より好ましくは0~10である。
一般式(1)中のRは水素原子又は炭素数1~36のアルキル基を表す。
炭素数1~36のアルキル基は直鎖のアルキル基であってもよいし分岐を有するアルキル基であってもよい。炭素数1~36のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、イコシル基、テトラコシル基、トリアコンチル基及びヘキサトリアコンチル基等の直鎖アルキル基、イソプロピル基、tert-ブチル基、トリメチルヘプチル基、2-メチルノニル基、イソデシル基、2-エチルノニル基、イソウンデシル基、イソドデシル基、2-エチルドデシル基、2-エチルトリデシル基、2-メチルテトラデシル基、イソヘキサデシル基、2-オクチルノニル基、2-ヘキシルウンデシル基、2-エチルペンタデシル基、2-(3-メチルヘキシル)-7-メチル-ノニル基、イソオクタデシル基、1-ヘキシルトリデシル基、2-エチルヘプタデシル基、イソイコシル基、1-オクチルペンタデシル基、2-デシルテトラデシル基及び2-テトラデシルオクタデシル基等の分岐を有するアルキル基等が挙げられる。
一般式(1)で表される単量体(a1)としては、粘度調整機能の観点から、一般式(1)中のRが炭素数1~6のアルキル基である単量体(a11)、一般式(1)中のRが炭素数12~36のアルキル基である単量体(a12)および一般式(1)中のRが水素原子である単量体(a13)からなる群より選ばれる一種以上が好ましい。
本明細書において(メタ)アクリル酸とはアクリル酸及び/又はメタクリル酸を意味する。
一般式(1)中のRが炭素数1~6のアルキル基である単量体(a11)[以下、「単量体(a11)」ともいう]としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸2-メトキシエチル及び(メタ)アクリル酸2-エトキシエチル等が挙げられる。これらのうち、(メタ)アクリル酸メチル及び(メタ)アクリル酸エチルが好ましく、メタクリル酸メチル及びメタクリル酸エチルがより好ましい。これらの単量体は一種を単独で用いてもよいし二種以上を組み合わせて用いてもよい。
一般式(1)中のRが炭素数12~36のアルキル基である単量体(a12)[以下、「単量体(a12)」ともいう]としては、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸テトラデシル、(メタ)アクリル酸ヘキサデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル、(メタ)アクリル酸イコシル、(メタ)アクリル酸2-デシルテトラデシル及び(メタ)アクリル酸2-テトラデシルオクタデシル等が挙げられる。これらのうち、(メタ)アクリル酸2-デシルテトラデシル及び(メタ)アクリル酸2-テトラデシルオクタデシルが好ましく、メタクリル酸2-デシルテトラデシル及びメタクリル酸2-テトラデシルオクタデシルがより好ましい。これらの単量体は一種を単独で用いてもよいし二種以上を組み合わせて用いてもよい。
一般式(1)中のRが水素原子である単量体(a13)[以下、「単量体(a13)」ともいう]としては、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル及び(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシプロピル等が挙げられる。これらのうち、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル及び(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシプロピルが好ましく、メタクリル酸2-ヒドロキシエチルがより好ましい。これらの単量体は一種を単独で用いてもよいし二種以上を組み合わせて用いてもよい。
共重合体(A)を構成する構成単量体中に、必須構成単量体として含まれる単量体(a2)は下記一般式(2)で表される化合物である。
Figure 2023010635000004
一般式(2)において、Rは炭素数1~4のアルキレン基を表す。炭素数1~4のアルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、1-メチルエチレン基、2-メチルエチレン基、ブチレン基、1-メチルプロピレン基、2-メチルプロピレン基、3-メチルプロピレン基、1,2-ジメチルエチレン基、1,1’-ジメチルエチレン基及び2,2-ジメチルエチレン基が挙げられる。Rとしては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、1-メチルエチレン基及び2-メチルエチレン基が好ましく、メチレン基がより好ましい。
一般式(2)において、R及びRはそれぞれ独立に水素原子又はメチル基を表す。Rはメチル基であることが好ましく、Rは水素原子であることが好ましい。
一般式(2)において、Xは-O-又は-NH-で表される基を表す。Xは-O-で表される基であることが好ましい。
一般式(2)において、Rは炭素数1~4のアルキレン基を表し、mは0~3の整数である。Rの炭素数1~4のアルキレン基としてはRと同じ基が挙げられ、好ましい基も同様である。mは0~2であることが好ましく、0~1であることがより好ましい。
一般式(2)で表される単量体(a2)としては、(メタ)アクリル酸グリシジル、4-ヒドロキシブチルアクリレートグリシジルエーテルおよび(メタ)アクリル酸2-メチルグリシジルなどが挙げられる。これらのうち、(メタ)アクリル酸グリシジルが好ましく、メタクリル酸グリシジルがより好ましい。
共重合体(A)の構成単量体の合計重量に基づく、単量体(a1)の含有量は10~90重量%であり、単量体(a2)の含有量が10~90重量%である。単量体(a1)および単量体(a2)を上記割合で含むことにより、これらを必須構成単量体として含む構成単量体を重合してなる共重合体(A)が当該共重合体を含むエポキシ樹脂組成物を加熱したときの粘度低下を抑制して粘度を調整し、前記エポキシ樹脂組成物を用いた複合材料の強度を向上させることができる。
共重合体(A)の構成単量体の合計重量に基づく単量体(a1)の含有量は好ましくは15重量%以上、より好ましくは20重量%以上であり、好ましくは70重量%以下、より好ましくは60重量%以下である。
共重合体(A)の構成単量体の合計重量に基づく単量体(a2)の含有量は好ましくは30重量%以上、より好ましくは40重量%以上であり、好ましくは85重量%以下、より好ましくは80重量%以下である。
共重合体(A)を構成する構成単量体は、必須構成単量体[単量体(a1)及び単量体(a2)]以外の他の単量体(a3)を含んでいてもよい。
他の単量体(a3)としては、例えば、単量体(a1)及び単量体(a2)以外の(メタ)アクリロイル基を有する単量体などが挙げられる。(メタ)アクリロイル基を有する単量体としては、(メタ)アクリル酸並びに炭素数10~24のアルキル基を有する(メタ)アクリルアミド[例えばN-デシル(メタ)アクリルアミド、N-ドデシル(メタ)アクリルアミド、N-トリデシル(メタ)アクリルアミド、N-テトラデシル(メタ)アクリルアミド、N-ペンタデシル(メタ)アクリルアミド、N-ヘキサデシル(メタ)アクリルアミド及びN,N-ドデシル(メタ)アクリルアミド等]等が挙げられる。
共重合体(A)は、例えば、共重合体(A)を構成する単量体[単量体(a1)、単量体(a2)及び必要に応じ用いる他の単量体(a3)]を含む単量体成分を、溶剤中または30℃での粘度が0.01~10Pa・sであり、20℃で液状のエポキシ化合物(B)中で重合することにより得られる。
また、共重合体(A)は、上記の溶液重合以外の方法(例えば、塊状重合、乳化重合又は懸濁重合)等により得ることもできる。共重合体(A)の重合様式としては、ランダム付加重合又は交互共重合のいずれでもよく、また、グラフト共重合又はブロック共重合のいずれでもよい。
上記重合方法のうち、共重合体(A)を構成する単量体を含む単量体成分を、溶剤中または前記エポキシ化合物(B)中で重合する方法が好ましく、前記単量体成分を前記エポキシ化合物(B)中で重合する方法がより好ましい。前記単量体成分を、前記エポキシ化合物(B)中で重合させると、共重合体(A)とエポキシ化合物(B)とを含む態様の粘度調整剤を得ることができる。以下の記載において、「共重合体(A)を構成する単量体を含む単量体成分」を「単量体成分」ともいう。
前記単量体成分を溶剤中で重合する方法で用いる溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン又は炭素数9~10のアルキルベンゼンなどの芳香族溶剤、n-ヘキサン、n-ヘプタン、シクロヘキサン及びオクタンなどの脂肪族炭化水素(炭素数6~18)、2-プロパノール、1-ブタノール又は2-ブタノールなどのアルコール系溶剤(炭素数3~8)、メチルエチルケトンなどのケトン系溶剤、鉱物油(溶剤精製油、パラフィン油、イソパラフィンを含有する高粘度指数油、イソパラフィンの水素化分解による高粘度指数油及びナフテン油等)ならびに合成油[炭化水素系合成潤滑油(ポリα-オレフィン系合成潤滑油等)及びエステル系合成潤滑油等]等を使用できる。
前記単量体成分をエポキシ化合物(B)中で重合する方法で用いるエポキシ化合物(B)は、好ましくは30℃での粘度が0.02~8Pa・sのエポキシ化合物であり、より好ましくは0.025~7Pa・sのエポキシ化合物である。30℃での粘度は、JIS-K7233に規定の方法に準拠して測定できる。
エポキシ化合物(B)は20℃で液状のエポキシ化合物である。本明細書において「20℃で液状」とは、20℃の温度条件において、対象物を容器に入れて、容器を傾けた後10秒以内に対象物が流動し形状が変化するものをいう。「容器を傾ける前」は、容器を水平な台の上に置いた状態とし、「容器を傾けたとき」には、水平な台の上に置いた容器を、傾ける前よりも10°以上傾けた状態とする。
エポキシ化合物(B)としては、1分子中に水酸基を有する化合物のグリシジルエーテル化物及び1分子中に水酸基を有する化合物のエピクロルヒドリン縮合物等が挙げられる。1分子中に水酸基を有する化合物としては、例えば脂肪族アルコール[例えばエタノール、ブタノール等]、脂肪族アルカンジオール[例えば(ポリ)エチレングリコール、(ポリ)プロピレングリコール等]、脂環式アルコール[例えばシクロヘキサンエタノール、シクロヘキサンプロパノール、ブチルシクロヘキサノール、イソプロピルシクロヘキサノール等]、脂環式ジオール(例えば1,4-シクロヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール及び水素添加ビスフェノールA等)、芳香環含有フェノール(例えばノニルフェノール等)、芳香環含有2価フェノール(例えばビスフェノールA及びビスフェノールF等)並びに炭素数2~4のアルキレンオキシドを重合してなる重合体[例えばプロピレンオキシド(PO)とエチレンオキシド(EO)の共重合体等)挙げられる。これらは一種を単独で用いてもよいし二種以上を組み合わせて用いてもよい。
エポキシ化合物(B)のエポキシ当量は、好ましくは100~400であり、より好ましくは、160~300である。
本発明において、エポキシ化合物(エポキシ化合物(B)、エポキシ化合物(C))のエポキシ当量とは、1当量のエポキシ基を含む化合物の質量のことをいい、JISK 7236に規定する方法により測定することができる。
二種以上のエポキシ化合物を用いる場合、二種以上のエポキシ化合物を含む混合物のエポキシ当量は、以下のようにして算出できる。
例えばエポキシ当量がEE1のエポキシ化合物1をW1g、及びエポキシ当量がEE2のエポキシ化合物2をW2g用いる場合、エポキシ化合物1とエポキシ化合物2の混合物のエポキシ当量EEmは、下記式(X)により算出できる。
EEm=(W1+W2)/{(W1/EE1)+(W2/EE2)} (X)
エポキシ化合物(B)の数平均分子量(Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定することができる。エポキシ化合物(B)のMnは好ましくは300~600であり、より好ましくは310~520である。エポキシ化合物(B)のMnは、例えば以下の条件で測定しうる。
(Mnの測定条件)
機種:HLC-8220GPC[東ソー(株)製、液体クロマトグラフ]
カラム:TSK gel SuperH4000
TSK gel SuperH3000
TSK gel SuperH2000
(いずれも東ソー(株)製)
カラム温度:40℃
検出器:RI
溶媒:テトラヒドロフラン
流速:0.6ml/分
試料濃度:0.25重量%
注入量:10μl
標準物質:ポリスチレン[東ソー(株)製;TSK STANDARD]
本発明においては、エポキシ化合物(B)として市販品を用いることもできる。市販品としては、三洋化成工業(株)製「グリシエールPP-300P」(エポキシ当量295、Mn:540)、三菱ケミカル(株)製「jER828」(エポキシ当量:189、Mn:370)及び三菱ケミカル(株)製「jER807」(エポキシ当量:167、Mn:315)等が挙げられる。
前記単量体成分をエポキシ化合物(B)中で重合する方法において使用するエポキシ化合物(B)の量は、前記単量体成分の重量100重量部に対し、好ましくは50重量部以上、より好ましくは150重量部以上であり、好ましくは500重量部以下、より好ましくは400重量部以下である。
前記単量体成分の重合の際には、必要に応じ重合触媒(E)及び連鎖移動剤(F)等を用いることができる。
重合触媒(E)としては、アゾ系触媒[例えば2,2’-アゾビスイソブチロニトリル、2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)及びジメチル2,2-アゾビスイソブチレート等]、並びに過酸化物系触媒[例えばt-ブチルパーオキシピバレート、t-ヘキシルパーオキシピバレート、t-ブチルパーオキシネオヘプタノエート、t-ブチルパーオキシネオデカノエート、t-ブチルパーオキシ2-エチルヘキサノエート、t-ブチルパーオキシイソブチレート、t-アミルパーオキシ2-エチルヘキサノエート、1,1,3,3-テトラメチルブチルパーオキシ2-エチルヘキサノエート、ジブチルパーオキシトリメチルアジペート、ベンゾイルパーオキシド、クミルパーオキシド及びラウリルパーオキシド等]等が挙げられる。これらのうち、アゾ系触媒が好ましく、2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)及び2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)のうちの少なくとも一種がより好ましく、2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)及び2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)の両方を用いることが特に好ましい。
前記単量体成分の重合の際に重合触媒(E)を用いる場合、その使用量は、前記単量体成分の重量100重量部に対して、好ましくは0.01重量部以上、より好ましくは0.02重量部以上であり、好ましくは0.5重量部以下、より好ましくは0.3重量部以下である。
連鎖移動剤(F)としては例えば、アルキル(炭素数2~20)メルカプタン等が挙げられる。連鎖移動剤(F)としては炭素数が10~20のメルカプタンが好ましく、ドデシルメルカプタンがより好ましい。
前記単量体成分の重合の際に連鎖移動剤(F)を用いる場合、その使用量は、前記単量体成分の重量100重量部に対して、好ましくは0.1重量部以上、より好ましくは0.2重量部以上であり、好ましくは5重量部以下、より好ましくは3重量部以下である。
前記単量体成分の重合の際の、反応温度としては好ましくは50~140℃、更に好ましくは60~120℃である。
粘度調整剤に含まれる共重合体(A)の溶解度パラメーターSPは、少ない添加量で優れた粘度調整能を発揮する観点から9.8~12.5(cal/cm1/2であることが好ましく、9.8~10.7(cal/cm1/2または10.3~12.5(cal/cm1/2であることがより好ましい。
共重合体(A)の溶解度パラメーターSPが9.8~10.7(cal/cm1/2である場合、共重合体(A)の必須構成単量体である単量体(a1)は、一般式(1)中のRが炭素数1~6のアルキル基である単量体(a11)と一般式(1)中のRが炭素数12~36のアルキル基である単量体(a12)とを含むことが好ましい。
共重合体(A)の溶解度パラメーターSPが10.3~12.5(cal/cm1/2である場合、共重合体(A)の必須構成単量体である単量体(a1)は、一般式(1)中のRが水素原子である単量体(a13)を含むことが好ましい。
本明細書におけるSP値(溶解度パラメータ)[単位は(cal/cm1/2]は、Fedors法(Polymer Engineering and Science,February,1974,Vol.14、No.2 P.147~154)の152頁(Table.5)に記載の数値(原子又は官能基の25℃における蒸発熱及びモル体積)を用いて、同153頁の数式(28)に記載の方法で算出される値である。具体的には、Fedors法のパラメータである下記表1に記載のΔe及びΔviの数値から、分子構造内の原子及び原子団の種類に対応した数値を用いて、下記数式(Y)に当てはめることで算出することができる。
SP値=(ΣΔe/ΣΔv1/2 (Y)
上記数式(Y)におけるΣΔe(単位はcal/モル)は凝集エネルギー密度(単位はcal/モル)であり、ΣΔvは分子容(単位はcm/モル)である。本明細書においては、SP値の単位(cal/cm1/2を省略し数値だけを記載することがある。
Figure 2023010635000005
SP値の計算方法について説明する。後述の実施例1で用いる共重合体(A-1)(メタクリル酸メチルと、メタクリル酸2-デシルテトラデシルとメタクリル酸グリシジルとの共重合体)のSP値の算出方法を例にとって説明する。
まず、共重合体(A-1)を構成する構成単位(メタクリル酸メチル、メタクリル酸2-デシルテトラデシル及びメタクリル酸グリシジル)について、それぞれ原子または官能基を数えることによりSP値を算出する。
メタクリル酸メチルについて説明する。メタクリル酸メチルの重合体の繰り返し単位は、-CH(Δe=1125、Δv=33.5)を2個、-CH-(Δe=1180、Δv=16.1)を1個と、>C<(C、Δe=350、Δv=-19.2)を1個と、-COO-(Δe=7630、Δv=52.4)を1個有する。このため、ΣΔeは8080となり、ΣΔvは81.9となるため、メタクリル酸メチルのSP値(SPa1)は、9.9となる。他の単量体(メタクリル酸2-デシルテトラデシル及びメタクリル酸グリシジル)についても同様にSP値を算出すると、メタクリル酸2-デシルテトラデシルのSP値(SPa2)は8.77、メタクリル酸グリシジルのSP値(SPa3)は10.73である。
次に、上述の方法で算出した各構成単位のSP値を用いて共重合体(A-1)のSP値を算出する。本明細書において、共重体(A-1)のSP値は、共重合体中の構成単位単独でのSP値と、その使用量の比率(重量比)を用いて算出することができる。
共重合体を構成する構成単位の重量比(メタクリル酸メチル:メタクリル酸2-デシルテトラデシル:メタクリル酸グリシジル)をm1:m2:m3とすると、共重合体のSP値は下記の通りである。
共重合体のSP値=(SPa1×m1+SPa2×m2+SPa3×m3)/(m1+m2+m3)
共重合体(A)の重量平均分子量(Mw)は10,000~900,000であることが好ましく、19,000~820,000であることがより好ましい。共重合体(A)のMwは、重合時の温度、単量体の濃度、触媒の量または連鎖移動剤の量等により調整できる。
共重合体(A)のMwは、GPCによるものであり、ポリスチレンに換算して求めたものである。実施例においてもGPCにより下記測定条件でMwを求めた。
<共重合体(A)のMwの測定条件>
装置:「HLC-802A」[東ソー(株)製]
カラム:「TSK gel GMH6」[東ソー(株)製]2本
測定温度:40℃
試料溶液:0.5重量%のテトラヒドロフラン溶液
溶液注入量:200μl
検出装置:屈折率検出器
基準物質:標準ポリスチレン(TSKstandard POLYSTYRENE)12点(分子量:500、1,050、2,800、5,970、9,100、18,100、37,900、96,400、190,000、355,000、1,090,000、2,890,000)[東ソー(株)製]
上述したように、共重合体(A)を構成する単量体を含む単量体成分の重合を行う際にエポキシ化合物(B)を用いると、共重合体(A)とエポキシ化合物(B)とを含む態様の粘度調整剤が得られる。一方、前記単量体成分の重合を行う際にエポキシ化合物(B)を用いず溶剤を用いると、共重合体(A)は含むがエポキシ化合物(B)を含まない態様の粘度調整剤が得られる。
粘度調整剤がエポキシ化合物(B)を含む態様である場合、エポキシ化合物(B)のエポキシ当量、Mnの好ましい範囲は上述した通りである。
粘度調整剤がエポキシ化合物(B)を含む態様である場合、エポキシ化合物(B)の量は、共重合体(A)100重量部に対し、好ましくは50重量部以上、より好ましくは150重量部以上であり、好ましくは500重量部以下、より好ましくは400重量部以下である。
粘度調整剤中の共重合体(A)の含有量は、粘度調整剤の重量に基づき15重量%以上、より好ましくは18重量%以上であり、好ましくは70重量%以下、より好ましくは65重量%以下である。
粘度調整剤は、共重合体(A)と、必要に応じ含まれる成分[エポキシ化合物(B)、触媒(E)および連鎖移動剤(F)]以外の他の成分を含んでいてもよい。当該他の成分としては有機溶剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤等が挙げられる。
本発明の粘度調整剤は、例えば、共重合体(A)を構成する単量体を含む単量体成分を、溶剤中または前記エポキシ化合物(B)中で重合する方法により得ることができる。粘度調整剤の製造方法としては前記単量体成分を前記エポキシ化合物(B)中で重合する方法が好ましい。前記単量体成分をエポキシ時化合物(B)中で重合する方法における重合の条件は、上記単量体成分の重合方法において説明した条件と同様であり、必要に応じ、触媒(E)及び連鎖移動剤(F)を用いる。
本発明の粘度調整剤は、エポキシ樹脂組成物に添加して使用する。本発明の粘度調整剤が、エポキシ樹脂組成物を加熱した際に生じうる粘度低下を抑制するメカニズムは以下のように推察される。
本発明の粘度調整剤に含まれる共重合体(A)は、常温(20~30℃)ではエポキシ樹脂組成物には不溶で、組成物中に分散状態で存在するが、加熱(例えば50℃以上)すると溶解し重合体鎖が伸びることでエポキシ樹脂組成物の粘度の低下を抑制すると推察される。
[エポキシ樹脂組成物]
本発明のエポキシ樹脂組成物は本発明のエポキシ樹脂用粘度調整剤及び20℃で固体状であるエポキシ化合物(C)を含む。本明細書において、「20℃で固体状」とは20℃の温度条件において、対象物を容器に入れて、容器を傾けて10秒を超えた後に対象物が流動せず形状が変化しないものをいう。「容器を傾ける前」は、容器を水平な台の上に置いた状態とし、「容器を傾けたとき」には、水平な台の上に置いた容器を、傾ける前よりも10°以上傾けた状態とする。
エポキシ化合物(C)は20℃で固体状のエポキシ化合物である。エポキシ化合物(C)としては、ビスフェノール類(ビスフェノールA及びビスフェノールF等)、ノボラック類(フェノールノボラック、クレゾールノボラック等)及びビフェニル類のエピクロルヒドリン縮合物であってエポキシ当量が400超のものが挙げられる。エポキシ化合物(C)としてはビスフェノールAのエピクロルヒドリン縮合物が好ましい。エポキシ化合物(C)は一種を単独で用いてもよいし二種以上を組み合わせて用いてもよい。
エポキシ化合物(C)のエポキシ当量は、好ましくは400超~950であり、より好ましくは、450~930である。
エポキシ化合物(C)の数平均分子量(Mn)は、好ましくは600~2000であり、より好ましくは630~1800である。エポキシ化合物(C)のMnは、エポキシ化合物(B)と同じ方法で測定しうる。
本発明においては、エポキシ化合物(C)として市販品を用いてもよい。市販品としては、三菱ケミカル(株)製のビスフェノールAエピクロルヒドリン縮合物「jER1001」(エポキシ当量:479、Mn:900)、「jER1002」(エポキシ当量:650、Mn:1200)、「jER1004」(エポキシ当量:911、Mn:1650)等が挙げられる。
エポキシ樹脂組成物に含まれるエポキシ化合物(C)の量は、エポキシ樹脂組成物の重量に基づき、好ましくは5重量%以上、より好ましくは10重量%以上であり、好ましくは85重量%以下、より好ましくは80重量%以下である。
エポキシ樹脂組成物に含まれる粘度調整剤の量は、エポキシ樹脂組成物の重量に基づき、好ましくは10重量%以上、より好ましくは20重量%以上であり、好ましくは60重量%以下、より好ましくは50重量%以下である。
エポキシ樹脂組成物中の共重合体(A)の含有量は、エポキシ樹脂組成物の重量に基づき2.25重量%以上、より好ましくは3.6重量%以上であり、好ましくは42重量%以下、より好ましくは32.4重量%以下である。
エポキシ樹脂組成物は、前記粘度調整剤および前記エポキシ化合物(C)以外の成分として、30℃での粘度が0.01~10Pa・sであり、20℃で液状であるエポキシ化合物[第2の液状エポキシ化合物(B2)とする]を含んでいてもよい。
本明細書においては、当該第2の液状エポキシ化合物(B2)と、粘度調整剤に含まれうるエポキシ化合物(B)とを区別するために、粘度調整剤に含まれうるエポキシ化合物(B)を「第1の液状エポキシ化合物(B1)」と呼ぶことがある。
第2の液状エポキシ化合物(B2)としては、粘度調整剤に含まれうるエポキシ化合物(B)[第1の液状エポキシ化合物(B1)]と同様の化合物が挙げられる。エポキシ樹脂組成物が第2の液状エポキシ化合物(B2)を含み、かつ粘度調整剤が第1の液状エポキシ化合物(B1)を含む場合、第2の液状エポキシ化合物(B2)と、第1の液状エポキシ化合物(B1)とは、同一の化合物であっても相違する化合物であってもよい。なお、エポキシ樹脂組成物が、第1の液状エポキシ化合物(B1)を含まない粘度調整剤を含む態様の場合に、当該態様のエポキシ樹脂組成物は第2の液状エポキシ化合物(B2)を含んでいてもよい。
第2の液状エポキシ化合物(B2)としては、ビスフェノールAエピクロルヒドリン縮合物が好ましい。第2の液状エポキシ化合物(B2)としては、一種の化合物を用いてもよいし二種以上の化合物を組み合わせて用いてもよい。
エポキシ樹脂組成物が第2の液状エポキシ化合物(B2)を含む場合、その含有量はエポキシ樹脂組成物の重量に基づき、好ましくは5重量%以上、より好ましくは10重量%以上であり、好ましくは65重量%以下、より好ましくは60重量%以下である。
エポキシ樹脂組成物が共重合体(A)およびエポキシ化合物(B)[第1の液状エポキシ化合物(B1)および第2の液状エポキシ化合物のうちの少なくとも一方]を含む場合、共重合体(A)の溶解度パラメーターSPと、エポキシ化合物(B)の溶解度パラメーターSP及びエポキシ化合物(C)の溶解度パラメーターSPcの平均値SPAVとの差の絶対値(ΔSP1)は、優れた粘度調整能を発揮する観点から、好ましくは0.13~1.3であり、より好ましくは0.2~1.1である。
エポキシ化合物(B)の溶解度パラメーターSP及びエポキシ化合物(C)の溶解度パラメーターSPcは共重合体(A)の溶解度パラメーターSPと同様の方法(化合物中の原子または官能基の個数を抽出し、表1に記載のΔe、Δvの数値を、上記数式(Y)に当てはめる方法)により算出することができる。
エポキシ化合物(B)の溶解度パラメーターSP及びエポキシ化合物(C)の溶解度パラメーターSPcの平均値SPAVは加重平均により算出できる。例えば、エポキシ樹脂組成物が、溶解度パラメーターがSPB1である第1の液状エポキシ化合物(B1)をM1重量部、溶解度パラメーターがSPB2である第2の液状エポキシ化合物(B2)をM2重量部及び溶解度パラメーターがSPC1であるエポキシ化合物(C)をM3重量部含む場合、エポキシ化合物(B)の溶解度パラメーターSPB及びエポキシ化合物(C)の溶解度パラメーターSPcの平均値SPAVは下記式により算出できる。
SPAV=(SPB1×M1+SPB2×M2+SPC1×M3)/(M1+M2+M3)
エポキシ樹脂組成物が共重合体(A)を含みエポキシ化合物(B)[第1の液状エポキシ化合物(B1)および第2の液状エポキシ化合物の両方]を含まない場合、共重合体(A)の溶解度パラメーターSPと、エポキシ化合物(C)の溶解度パラメーターSPcとの差の絶対値(ΔSP2)は、優れた粘度調整能を発揮する観点から、好ましくは0.13~1.3であり、より好ましくはが0.2~1.1である。当該態様において、エポキシ樹脂組成物が、2種以上のエポキシ化合物(C)を含む場合、エポキシ化合物(C)の溶解度パラメーターSPcは、加重平均により算出できる。
エポキシ化合物(B)の溶解度パラメーターSPは、好ましくは5~15、より好ましくは、9~13である。
エポキシ化合物(C)の溶解度パラメーターSPcは、好ましくは5~15、より好ましくは、9~13である。
エポキシ樹脂組成物の、30℃における粘度は、加熱時の粘度低下抑制の観点から、好ましくは10~10000Pa・sであり、より好ましくは50~5000Pa・s、さらに好ましくは70~1600Pa・sである。エポキシ樹脂組成物が本発明の粘度調整剤及び20℃で固体状であるエポキシ化合物(C)を含むことにより、30℃における粘度を上記範囲としうる。
エポキシ樹脂組成物は、エポキシ樹脂用粘度調整剤、エポキシ化合物(C)及び必要に応じ含まれる第2の液状のエポキシ化合物(B2)以外の他の成分を含んでいてもよい。当該他の成分としては有機溶剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤等が挙げられる。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、エポキシ樹脂用粘度調整剤、エポキシ化合物(C)、必要に応じ含まれる第2の液状のエポキシ化合物(B2)及びこれらの成分以外の他の成分を、撹拌脱泡機、ポットミル、ボールミル、ビーズミル、ロールミル、ホモジナイザー、スーパーミル、ホモディスパー、万能ミキサー、バンバリーミキサーおよびニーダー等から選ばれる装置を用いて均一に混合することにより調製することができる。これらのうち撹拌脱泡機を用いる方法が好ましい。混合条件(混合時間、混合温度)は、エポキシ樹脂組成物に含まれる成分とその量を考慮し設定することが可能である。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、本発明の粘度調整剤を含むことにより、加熱による粘度低下抑制効果を奏するので、エポキシ樹脂組成物に硬化剤を含ませてなる硬化性組成物を硬化させる際に、金型等から樹脂が流出することを防止できる。よって、本発明のエポキシ樹脂組成物は、硬化性組成物の材料として有用である。
[硬化性組成物]
本発明の硬化性組成物は、本発明のエポキシ樹脂組成物と、エポキシ樹脂硬化剤(G)及び/又は硬化促進剤(H)とを含有する。以下において、「エポキシ樹脂硬化剤」を単に「硬化剤」と呼ぶことがある。
エポキシ樹脂硬化剤(G)及び硬化促進剤(H)としては、例えば、ポリアミン化合物、アミド化合物、酸無水物、フェノール性水酸基含有樹脂、リン化合物、イミダゾール化合物、イミダゾリン化合物、尿素系化合物、有機酸金属塩、ルイス酸及びアミン錯塩等が挙げられる。これらの具体例としては特許第6721855号に記載のもの等が挙げられる。以下にその一例を示す。
ポリアミン化合物としては脂肪族アミン化合物(例えば、トリメチレンジアミン、及びエチレンジアミン等)、脂環式及び複素環式アミン化合物(例えばピぺリジン、ピペラジン、メンタンジアミン、イソホロンジアミン、メチルモルホリン及びエチルモルホリン等)、芳香族アミン化合物(例えばフェニレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホン、ベンジルメチルアミン、ジメチルベンジルアミン、m-キシレンジアミン及びピリジン等)、ならびに変性アミン化合物(エポキシ化合物付加ポリアミン等)等があげられる。
アミド化合物としては、例えばジシアンジアミドならびにポリアミドアミン(コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸等の脂肪族ジカルボン酸、脂肪酸及びダイマー酸等のカルボン酸化合物と、脂肪族ポリアミンやポリオキシアルキレン鎖を有するポリアミン等とを反応させて得られるもの等)等が挙げられる。
酸無水物としては例えば無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、無水マレイン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、無水メチルナジック酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸及びメチルヘキサヒドロ無水フタル酸等が挙げられる。
フェノ-ル性水酸基含有樹脂としては、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂変性フェノール樹脂及びジシクロペンタジエンフェノール付加型樹脂等が挙げられる。
リン化合物としては、エチルホスフィン及びブチルホスフィン等のアルキルホスフィン、フェニルホスフィン等の第1ホスフィン;ジメチルホスフィン及び、ジプロピルホスフィン等のジアルキルホスフィン;ジフェニルホスフィン、メチルエチルホスフィン等の第2ホスフィン;トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリフェニルホスフィン等の第3ホスフィン等が挙げられる。
イミダゾール化合物としてはイミダゾール、メチルイミダゾール、エチルイミダゾール等が挙げられる。
イミダゾリン化合物としては2-メチルイミダゾリン、2-フェニルイミダゾリン等が挙げられる。
尿素化合物としては、芳香族ジメチルウレア化合物(p-クロロフェニル-N,N-ジメチル尿素、3-フェニル-1,1-ジメチル尿素、3-(3,4-ジクロロフェニル)-N,N-ジメチル尿素、及びN-(3-クロロ-4-メチルフェニル)-N’,N’-ジメチル尿素等)等が挙げられる。
硬化剤(G)及び硬化促進剤(H)としては、市販されているものを用いてもよい。市販されている硬化剤等としては、ジシアンジアミド[三菱ケミカル(株)製、「DICY7」]及び芳香族系ジメチルウレア[サンアプロ(株)製、「U-CAT 3512T」]等が挙げられる。
硬化剤(G)としては、好ましくは、芳香族アミン化合物、酸無水物、イミダゾール化合物、及びジシアンジアミドからなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物であり、より好ましくはジシアンジアミドを含むものである。
硬化促進剤(H)としては、好ましくは尿素化合物を含むものであり、より好ましくは芳香族ジメチルウレアである。
本発明において硬化剤(G)を使用する場合、その使用量は、硬化性組成物の重量に基づき、0.5~60重量%が好ましく、1~30重量%がより好ましい。
硬化剤(G)としてエポキシ基と反応しうる官能基を有する硬化剤を用いる場合、エポキシ化合物成分[エポキシ化合物(C)ならびに必要に応じ含まれる第1の液状エポキシ化合物(B1)及び第2の液状エポキシ化合物(B2)]中のエポキシ基1モルに対し硬化剤中の官能基が0.4~1.0モルの範囲となるように硬化剤を用いることが好ましい。
本発明において、硬化促進剤(H)を用いる場合には、その使用量は、硬化性組成物の重量に基づき、0.1~10重量%が好ましく、1~7重量%がより好ましい。
本発明の硬化性組成物は、エポキシ樹脂組成物と、エポキシ樹脂硬化剤(G)及び硬化促進剤(H)以外の他の成分を含んでいてもよい。他の成分としては、有機溶剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、シリコン系添加剤、フッ素系添加剤、難燃剤、可塑剤、シランカップリング剤、有機ビーズ、無機微粒子、無機フィラー、レオロジーコントロール剤、脱泡剤、防曇剤及び着色剤等が挙げられる。これらの成分は所望の性能に応じて任意の量を添加することができる。
本発明の硬化性組成物は、エポキシ樹脂組成物、エポキシ樹脂硬化剤(G)及び/又は硬化促進剤(H)、ならびに、必要に応じ上記他の成分を、撹拌脱泡機、ポットミル、ボールミル、ビーズミル、ロールミル、ホモジナイザー、スーパーミル、ホモディスパー、万能ミキサー、バンバリーミキサーおよびニーダー等から選ばれる装置を用いて均一に混合することにより調製することができる。混合条件(混合時間、混合温度)は、硬化性組成物に含まれる成分とその量を考慮し設定することが可能である。
本発明の硬化性組成物は、加熱による粘度低下抑制効果を奏する粘度調整剤を含む本発明のエポキシ樹脂組成物と、硬化剤及び/又は硬化促進剤とを含むので、硬化性組成物を硬化させる際に、金型等から樹脂が流出することを防止できる。よって、本発明の硬化性組成物は、プリプレグ及び繊維強化複合材料の用途に好適である。また、本発明の硬化性組成物は、当該組成物自体を、成形型等に入れてそのまま硬化させて用いてもよい。この場合、硬化性組成物を例えば所望の形状の成形型等に入れて120~140℃で1~3時間加熱することにより硬化させることにより硬化物を製造することができる。硬化物を製造する際の温度条件及び加熱時間等は硬化性組成物に含まれる樹脂の種類及び量、硬化剤の種類及び量等を考慮し選択することが可能である。
[プリプレグ]
本発明のプリプレグは、炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維、セラミック繊維、金属繊維、鉱物繊維、岩石繊維、スラッグ繊維及びセルロース繊維からなる群から選ばれる少なくとも1種の繊維と、本発明の硬化性組成物とを含む。
本発明のプリプレグは、熱溶融(溶融温度:60~150℃)した硬化性組成物、又は溶剤(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、トルエン、キシレン及び酢酸エチル等)で希釈した硬化性組成物を、繊維に含浸させることで製造できる。溶剤を使用した場合、プリプレグを乾燥させて溶剤を除去するのが好ましい。
硬化性組成物と繊維との重量比(硬化性組成物/繊維)は、成形体強度等の観点から、10/90~90/10が好ましく、更に好ましくは20/80~70/30、特に好ましくは30/70~60/40である。触媒を含有する場合、触媒の含有量(重量%)は、成形体強度等の観点から、硬化性組成物に対して0.01~10が好ましく、更に好ましくは0.1~5、特に好ましくは1~3である。
[繊維強化複合材料]
繊維強化複合材料は、炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維、セラミック繊維、金属繊維、鉱物繊維、岩石繊維、スラッグ繊維及びセルロース繊維からなる群から選ばれる少なくとも1種の繊維と、本発明の硬化性組成物とを含む。
本発明の繊維強化複合材料は、本発明のプレプリグを必要により複数枚重ね合わせて加熱成形し、硬化することで得ることができる。硬化は完結している必要はないが、成形体が形状を維持できる程度に硬化していることが好ましい。成形後、更に加熱して完全に硬化させてもよい。加熱成形の方法は特に限定されず、例えばフィラメントワイディング成形法(回転するマンドレルに張力をかけながら巻き付け、加熱成形する方法)、プレス成型法(プリプレグシートを積層して加熱成形する方法)、オートクレーブ法(プリプレグシートを型に圧力をかけ押しつけて加熱成形する方法)及びチョップドファイバー若しくはミルドファイバーを硬化性組成物と混合して射出成形する方法等が挙げられる。
本発明の硬化性組成物を用いた繊維強化複合材料によれば、加熱時の粘度低下を抑制したエポキシ樹脂組成物を用いつつ、複合材料の強度を向上させることができるが、このような効果が発現するメカニズムは以下のように推察される。
上述したように本発明の粘度調整剤に含まれる共重合体(A)は、常温(20~30℃)ではエポキシ樹脂組成物には不溶で、エポキシ樹脂組成物中に分散状態で存在するが、加熱(例えば50℃以上)すると溶解し、重合体鎖が伸びて粘度低下を抑制すると推察される。前記重合体鎖は一般式(2)の単量体由来のグリシジル基を含有しており、当該グリシジル基が硬化性組成物が硬化した後にエポキシ樹脂の架橋構造に取り込まれることで複合材料の強度を向上させることができると推察される。
以下、実施例及び比較例により本発明をさらに説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[製造例1:製造例3で用いるPOEOブロック共重合体(b1)の製造]
撹拌機、加熱冷却装置及び滴下ボンベを備えた耐圧反応容器に、ポリプロピレングリコール(「ニューポールPP-200」[三洋化成工業(株)製])200重量部及び水酸化カリウム0.9重量部を投入し、窒素置換を行った。110℃に温度を上げてエチレンオキサイド200重量部を圧力が0.5MPa以下になるように調整しながら10時間かけて滴下した後、120℃で4時間熟成した。その後、内容物を60℃まで冷却し、90重量%リン酸水溶液で触媒残渣を中和処理することにより、PO/EOブロック共重合体(b1)を得た。
[製造例2:エポキシ化合物(B-2)の製造]
撹拌装置、温度制御措置、湿式粉砕機(反応槽の外側に付属)を設置した反応槽に、ポリエチレングリコール(「PEG-400」[三洋化成工業(株)製])400重量部、エピクロルヒドリン278重量部及びシクロヘキサン30重量部を仕込み、反応槽内を窒素雰囲気下(酸素濃度:730ppm)とし、19℃の窒素雰囲気下にある粒状水酸化カリウム112重量部を19~29℃で5時間かけて断続投入した。その後25℃~29℃で5時間反応熟成し、ポリエチレングリコールをグリシジルエーテル化した。
次に槽内を16℃に冷却後、23℃の水370.4重量部を20~28℃の範囲で投入して0.5時間攪拌、17℃で0.5時間分液静置後下層(水層)を取り出し、残った上層(有機層)に「キョーワード600」(協和化学工業社製;アルカリ吸着剤)12重量部を投入し、80℃で0.5時間攪拌した。「ラヂオライト#700」(協和化学工業社製、ケイソウ土ろ過助剤)を用いて濾過した後、減圧下(-0.1MPa)、110℃まで昇温してエピクロルヒドリンとシクロヘキサン混合物の留去を行い、エポキシ化合物(B-2)を得た。エポキシ化合物(B-2)のエポキシ当量、Mn及びSP値を表2に示す。
[製造例3:エポキシ化合物(B-3)の製造]
製造例2において、ポリエチレングリコール400重量部に代えて製造例1で製造したPO/EOブロック共重合体(b1)を400重量部用いたこと以外は製造例2と同じ操作を行い、エポキシ化合物(B-3)を得た。エポキシ化合物(B-3)のエポキシ当量、Mn及びSP値を表2に示す。
[実施例1:粘度調整剤(Y-1)の製造]
撹拌装置、加熱冷却装置、温度計、滴下ロート、窒素吹き込み管及び減圧装置を備えた反応容器に、製造例2で得たエポキシ化合物(B-2)152.4部を投入し、別のガラス製ビーカーに、単量体(a11-1)(メタクリル酸メチル)38重量部、単量体(a12-1)(メタクリル酸2-デシルテトラデシル)14重量部及び単量体(a2-1)(メタクリル酸グリシジル)48重量部からなる単量体成分(合計100重量部)、連鎖移動剤(F-1)(ドデシルメルカプタン)1.6重量部、重合触媒(E-1)[2,2-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)]0.042重量部ならびに重合触媒(E-2)[2,2-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)]0.2重量部を投入し、20℃で撹拌、混合して単量体溶液を調製し、滴下ロートに投入した。反応容器の気相部の窒素置換(気相酸素濃度:100ppm以下)を行った後、密閉下で系内温度を70~85℃に保ちながら、3時間かけて前記単量体溶液を滴下し、滴下終了から2時間、85℃で熟成した後、120~130℃に昇温後、同温度で減圧下(0.027~0.040MPa)未反応の単量体を2時間かけて除去し、40重量%の共重合体(A-1)を含んでなる粘度調整剤(Y-1)を得た。粘度調整剤(Y-1)に含まれる共重合体(A-1)のMw及びSP値を表2に示す。
[実施例2~16及び比較例1~2の粘度調整剤の製造]
実施例1において、エポキシ化合物(B)の種類及び量、単量体成分[単量体(a11)、単量体(a12)、単量体(a13)及び単量体(a2)]の種類及び量、連鎖移動剤(F-1)の量、重合触媒(E-1)の量ならびに重合触媒(E-2)の量を表2に記載の通りとしたこと以外は、実施例1と同様の操作を行い、共重合体(A-2)~(A-8)又は(比A-1)~(比A-2)を含む粘度調整剤(Y-1)~(Y-8)び(比Y-1)~(比Y-2)を得た。
得られた共重合体(A-2)~(A-8)及び(比A-1)~(比A-2)のMw及びSP値(SP)を表2に示す。
実施例および比較例で用いた、各成分は下記の通りである。
単量体(a1)
(a11-1):メタクリル酸メチル(SP値:9.9)
(a11-2):メタクリル酸ブチル(SP値:9.45)
(a12-1):メタクリル酸2-デシルテトラデシル(SP値:8.77)
(a12-2):メタクリル酸2-テトラデシルオクタデカン(SP値:8.71)
(a13-1):メタクリル酸2-ヒドロキシエチル(SP値:13.47)
単量体(a2)
(a2-1):メタクリル酸グリシジル(SP値:10.73)
エポキシ化合物(B)
(B-1):グリシジル化ポリプロピレングリコール[三洋化成(株)製「グリシエールPP-300P」、エポキシ当量295、Mn540]
(B-2):製造例2で得たエポキシ化合物(エポキシ当量:280、Mn510)
(B-3):製造例3で得たエポキシ化合物(エポキシ当量:285、Mn515)
(B-4):ビスフェノールAエピクロルヒドリン縮合物[三菱ケミカル(株)製「jER828」、エポキシ当量:189、Mn370]
(B-5):ビスフェノールFエピクロルヒドリン縮合物[三菱ケミカル(株)製「jER807」、エポキシ当量:167、Mn315]
エポキシ化合物(C)
(C-1):ビスフェノールAエピクロルヒドリン縮合物[三菱ケミカル(株)製「jER1001」、エポキシ当量:479、Mn900]
(C-2):ビスフェノールAエピクロルヒドリン縮合物[三菱ケミカル(株)製「jER1002」、エポキシ当量:650、Mn1200]
(C-3):ビスフェノールAエピクロルヒドリン縮合物[三菱ケミカル(株)製「jER1004」、エポキシ当量:911、Mn1650]
重合触媒(E)
(E-1):2,2-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)
(E-2):2,2-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)
連鎖移動剤(F)
(F-1):ドデシルメルカプタン
硬化剤(G)
(G-1):ジシアンジアミド
硬化促進剤(H)
(H-1):芳香族系ジメチルウレア[サンアプロ(株)製「U-CAT 3512T」]
表2中の「エポキシ化合物(B)の物性」の「エポキシ当量」の欄には、1種の化合物を用いる場合は当該化合物のエポキシ当量を記載し、2種以上の化合物を用いる場合は2種以上の化合物の混合物のエポキシ当量(算出方法は上述の方法)を記載した。
Figure 2023010635000006
[実施例9~18および比較例3~5のエポキシ樹脂組成物の作製]
表3に記載の種類の粘度調整剤[(Y-1)~(Y-8)、比(Y-1)~(比Y-2)]、第2の液状エポキシ化合物(B2)[(エポキシ樹脂(B-4)]及び表3の記載の種類のエポキシ化合物(C)[(C-1)~(C-3)]を表3に記載の量で混合し、実施例9~18、比較例3~5のエポキシ樹脂組成物(Z-1)~(Z-10)及び(比Z-1)~(比Z-3)を得た。混合は、撹拌脱泡機(THINKY社製、ARV―930TWIN)を用いて、1400rpm、100℃で3分間行った。得られたエポキシ樹脂組成物(Z-1)~(Z-10)及び(比Z-1)~(比Z-3)中のエポキシ化合物(B)[第1の液状エポキシ化合物(B1)及び第2の液状エポキシ化合物(B2)]ならびにエポキシ化合物(C)の平均SP値(SPAV)、ΔSP1またはΔSP2、30℃における粘度及び粘度指数(測定方法は下記参照)を表3に示す。
(30℃における粘度の測定方法)
エポキシ樹脂組成物の30℃における粘度はJIS-K7233に規定の方法に準拠して測定した。
(粘度指数の測定方法)
エポキシ樹脂組成物の粘度指数は、120℃における粘度と50℃における粘度を30℃における粘度と同じ方法で測定し、120℃における粘度の対数値/50℃における粘度の対数値として示した。粘度指数が大きいほうが、加熱時の粘度低下を抑制する効果が高い。粘度指数は0.55以上であることが好ましい。
Figure 2023010635000007
[実施例19~28および比較例6~8の硬化性組成物の作製及び評価試験]
(硬化性組成物の作製)
表4に記載の種類のエポキシ樹脂組成物(Z-1)~(Z-10)、(比Z-1)~(比Z-3)、硬化剤(G-1)および硬化促進剤(H-1)を表4に記載の量で混合し各例の硬化性組成物を得た。混合は、撹拌脱泡機(THINKY社製、ARV―930TWIN)を用いて、1400rpm、100℃で3分間行った。
(硬化物の作製および評価)
実施例19~26および比較例6~8の硬化性組成物を、JIS K7111-1(ISO179-1)に規定する大きさの試験片を作製するための金型に入れ130℃で1時間加熱することで、厚み4mm、長さ80mm、幅寸法10mmのシート状の硬化物を得、当該硬化物を試験片とした。当該試験片を用い、下記方法により曲げ強度及び耐衝撃性を評価した。結果を表4の「硬化物の物性」欄に示す。
(硬化物の評価試験)
(1)曲げ強度
シート状の硬化物について、JIS K7074に規定する方法に準拠して曲げ強度(単位:N/mm)を測定した。当該数値は大きいほうが曲げ強度に優れる。曲げ強度は130N/mm以上であることが好ましい。
(2)シャルピー衝撃強度
JIS K-7111-1に規定する方法に準拠して、シャルピー衝撃値(単位:J/m)を測定した。当該数値は大きいほうが耐衝撃性に優れる。シャルピー衝撃強度は13J/m以上であることが好ましい。
(繊維強化複合材料の作製および評価)
炭素繊維束(繊度800tex、フィラメント数12,000本)を一方向に引き揃えて金型に入れ、これに実施例19~26および比較例6~8の硬化性組成物を加えて繊維の体積含有率が55%となるように炭素繊維束の量を調節し、炭素繊維束に硬化性組成物を真空で含浸させた。含浸後、130℃で1時間加熱硬化させ硬化物(繊維強化複合材料)を得た。得られた硬化物をダイヤモンドカッターで、厚み2mm、長さ100mm、幅寸法15mmに切り出し、試験片とした。当該試験片を用い、JIS K7074に規定する方法に準じて曲げ強度を評価した。結果を表4の「CFRPの物性」の欄に示す。
曲げ強度の数値は大きいほうが曲げ強度に優れる。繊維強化複合材料の曲げ強度は1400N/mm以上であることが好ましい。
Figure 2023010635000008
表2~表4に示すように、実施例の粘度調整剤を含むエポキシ樹脂組成物においては、加熱時の粘度低下を抑制する効果が高いという結果が得られた。またこのような粘度低下抑制効果が高い粘度調整剤を含むエポキシ樹脂組成物を用いた複合材料においては強度が向上するという結果が得られた。
これにより、本発明によれば、加熱時の粘度低下を抑制したエポキシ樹脂組成物を用いた複合材料の強度を向上できることがわかる。

Claims (14)

  1. 下記一般式(1)で表される単量体(a1)及び下記一般式(2)で表される単量体(a2)を必須構成単量体とする共重合体(A)を含有し、
    共重合体(A)の構成単量体の合計重量に基づいて、単量体(a1)の含有量が10~90重量%であり、単量体(a2)の含有量が10~90重量%であるエポキシ樹脂用粘度調整剤。
    Figure 2023010635000009

    [式(1)中、Rは水素原子又はメチル基を表し、Xは-O-又は-NH-で表される基を表し、Rは炭素数2~4のアルキレン基を表し、nは0~20の整数であり、nが2以上の場合Rは同一であっても異なっていてもよく、Rは水素原子又は炭素数1~36のアルキル基を表す。]
    Figure 2023010635000010

    [式(2)中、Rは炭素数1~4のアルキレン基を表し、R及びRはそれぞれ独立に水素原子又はメチル基を表し、Xは-O-又は-NH-で表される基を表し、Rは炭素数1~4のアルキレン基を表し、mは0~3の整数である。]
  2. 前記共重合体(A)の溶解度パラメーターSPが9.8~12.5(cal/cm1/2である請求項1に記載のエポキシ樹脂用粘度調整剤。
  3. 前記共重合体(A)の溶解度パラメーターSPが9.8~10.7(cal/cm1/2であり、且つ前記単量体(a1)が、前記一般式(1)中のRが炭素数1~6のアルキル基である単量体(a11)と前記一般式(1)中のRが炭素数12~36のアルキル基である単量体(a12)とを含む請求項1または2に記載のエポキシ樹脂用粘度調整剤。
  4. 前記共重合体(A)の溶解度パラメーターSPが10.3~12.5(cal/cm1/2であり、且つ前記単量体(a1)が、前記一般式(1)中のRが水素原子である単量体(a13)を含む請求項1または2に記載のエポキシ樹脂用粘度調整剤。
  5. 前記共重合体(A)の重量平均分子量が10,000~900,000である請求項1または2に記載のエポキシ樹脂用粘度調整剤。
  6. さらに、30℃での粘度が0.01~10Pa・sであり、20℃で液状であるエポキシ化合物(B)を含む請求項1に記載のエポキシ樹脂用粘度調整剤。
  7. 前記エポキシ化合物(B)のエポキシ当量が100~400である請求項6に記載のエポキシ樹脂用粘度調整剤。
  8. 前記エポキシ化合物(B)の数平均分子量が300~600である請求項6に記載のエポキシ樹脂用粘度調整剤。
  9. 請求項1に記載のエポキシ樹脂用粘度調整剤及び20℃で固体状であるエポキシ化合物(C)を含むエポキシ樹脂組成物であって、
    前記共重合体(A)の溶解度パラメーターSPと、前記エポキシ化合物(C)の溶解度パラメーターSPcとの差の絶対値(ΔSP2)が0.2~1.1であるエポキシ樹脂組成物。
  10. 請求項6に記載のエポキシ樹脂用粘度調整剤及び20℃で固体状であるエポキシ化合物(C)を含むエポキシ樹脂組成物であって、
    前記共重合体(A)の溶解度パラメーターSPと、前記エポキシ化合物(B)の溶解度パラメーターSP及び前記エポキシ化合物(C)の溶解度パラメーターSPcの平均値SPAVとの差の絶対値(ΔSP1)が0.2~1.1であるエポキシ樹脂組成物。
  11. 請求項9または10に記載のエポキシ樹脂組成物と、エポキシ樹脂硬化剤及び/又は硬化促進剤とを含有する硬化性組成物。
  12. 前記エポキシ樹脂硬化剤がジシアンジアミドを含む請求項11に記載の硬化性組成物。
  13. 炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維、セラミック繊維、金属繊維、鉱物繊維、岩石繊維、スラッグ繊維及びセルロース繊維からなる群から選ばれる少なくとも1種の繊維と、請求項11に記載の硬化性組成物とを含むプリプレグ。
  14. 炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維、セラミック繊維、金属繊維、鉱物繊維、岩石繊維、スラッグ繊維及びセルロース繊維からなる群から選ばれる少なくとも1種の繊維と、請求項11に記載の硬化性組成物とを含む繊維強化複合材料。
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