JP2018123172A - ロキソプロフェン含有外用固形剤 - Google Patents

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Hiroaki Kobayashi
裕明 小林
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Abstract

【課題】保存安定性に優れる外用固形剤を提供すること。【解決手段】以下の成分(A)及び(B)を含有する液。(A)ロキソプロフェン又はその塩(B)2価アルコール【選択図】なし

Description

本発明は、ロキソプロフェン又はその塩を含有する外用固形剤に関する。
皮膚に適用する製剤として、皮膚外用製剤が知られており、これは、塗布剤と貼付剤に大別される。
上記塗布剤には、外用固形剤(チック剤)、外用液剤(リニメント剤、ローション剤)、軟膏剤、クリーム剤、ゲル剤等があり、これらの中でも、外用固形剤は、適当な容器に収納すれば手や指等を汚さずに薬物を皮膚に塗布することができるため使用に際し不快感を与えにくい形態とされている。
しかしながら、種々の薬物を用いて外用固形剤に製剤化する際、製剤の硬さや保形性に問題が生じることが多く、これまで種々の検討がなされているものの(特許文献1〜6)、いずれも製剤の硬さや保形性が十分満足できるものではなかった。
ところで、ロキソプロフェンは、フェニルプロピオン酸系の非ステロイド性消炎鎮痛剤(NSAID)の一種である。これを用いたものとして、ロキソプロフェンナトリウム水和物を含有し、変形性関節症、筋肉痛並びに外傷後の腫脹・疼痛、及びこれらの消炎・鎮痛を効能・効果とするパップ剤、テープ剤、ゲル剤が知られているものの(特許文献7〜9及び非特許文献1)、ロキソプロフェンを含有する外用固形剤は未だ知られていない。
特開昭55−2645号公報 特開昭56−79619号公報 特開昭57−42613号公報 特表平6−505245号公報 特開2003−176209号公報 特開2004−161714号公報 特開2002−128701号公報 特開2004−43512号公報 国際公開第2006/048939号
第十六改正日本薬局方解説書 株式会社廣川書店 第C−5359−5364頁
本発明は、保存安定性に優れる外用固形剤を提供することを課題とする。
本発明者は、ロキソプロフェン又はその塩を含有する外用固形剤について鋭意検討した結果、ロキソプロフェン又はその塩に2価アルコールを組み合わせて用いると保存安定性に優れる外用固形剤が得られることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、以下の成分(A)及び(B)を含有する外用固形剤を提供するものである。
(A)ロキソプロフェン又はその塩
(B)2価アルコール
また、本発明は、外用固形剤の保存安定剤であって、2価アルコールを有効成分とする保存安定剤を提供するものである。
本発明の外用固形剤は保存安定性に優れるため、商品価値が高い。
また、本発明の保存安定剤は、外用固形剤の保存安定能に優れる。
<成分(A)>
本発明の外用固形剤に含まれるロキソプロフェン又はその塩には、ロキソプロフェンそのもののほか、ロキソプロフェンの薬学上許容される塩、さらにはこれらと水やアルコール等との溶媒和物も含まれる。この中でも、ロキソプロフェンナトリウム水和物(化学名:Monosodium 2-[4-[(2-oxocyclopentyl)methyl]phenyl]propanoate dihydrate)が好ましい。
ロキソプロフェン又はその塩は公知の化合物であり、公知の方法により製造できるほか、市販のものを用いることができる。
また、ロキソプロフェン又はその塩(ロキソプロフェンナトリウム無水和物換算)の含有量は、所望の消炎鎮痛効果に応じて適宜検討すればよいが、外用固形剤に適度な硬さを付与する観点から、外用固形剤100質量部中、0.01〜15質量部が好ましく、0.01〜10質量部がより好ましく、0.1〜5質量部がさらに好ましく、0.5〜3質量部が特に好ましい。
<成分(B)>
本発明の外用固形剤に含まれる2価アルコールは、アルコール性水酸基を2つ有するものを意味する。外用固形剤中に2価アルコールを含有せしめることにより、ロキソプロフェン又はその塩を含有する外用固形剤の変色を抑制することができる。
上記2価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール等を挙げることができ、これらを単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせてもよい。これらの中でも、保存安定性の観点から、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ポリエチレングリコールが好ましい。また、その性状として、室温において液状乃至半固形状のものが好ましく、室温において液状のものがより好ましい。
また、ポリエチレングリコール及びポリプロピレングリコールは特に限定されず、ポリエチレングリコールとして、例えば、マクロゴール100、マクロゴール200、マクロゴール300、マクロゴール400、マクロゴール600、マクロゴール1000、マクロゴール1500、マクロゴール1540、マクロゴール4000、マクロゴール6000、マクロゴール20000、マクロゴール35000等を使用でき、ポリプロピレングリコールとして、例えば、ポリプロピレングリコール2000等を使用できる。
また、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールも特に限定されず、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールとして、例えば、ポリオキシエチレン(3)ポリオキシプロピレン(17)グリコール、ポリオキシエチレン(20)ポリオキシプロピレン(20)グリコール、ポリオキシエチレン(42)ポリオキシプロピレン(67)グリコール、ポリオキシエチレン(54)ポリオキシプロピレン(39)グリコール、ポリオキシエチレン(105)ポリオキシプロピレン(5)グリコール、ポリオキシエチレン(120)ポリオキシプロピレン(40)グリコール、ポリオキシエチレン(160)ポリオキシプロピレン(30)グリコール、ポリオキシエチレン(196)ポリオキシプロピレン(67)グリコール、ポリオキシエチレン(200)ポリオキシプロピレングリコール(70)等を使用できる。
また、2価アルコールの含有量は特に限定されないが、外用固形剤100質量部中5〜60質量部が好ましく、15〜50質量部がより好ましく、20〜40質量部がさらに好ましい。
また、(A)ロキソプロフェン又はその塩(ロキソプロフェンナトリウム無水和物換算)と(B)2価アルコールとの含有量の質量比率〔(B)/(A)〕としては、保存安定性の観点から、5〜80が好ましく、15〜60がより好ましく、20〜40がさらに好ましい。
また、本発明の外用固形剤は、上記成分(B)及び後述するテルペン類に該当するアルコール以外のアルコール(以下、他のアルコールともいう)を含んでもよい。
上記他のアルコールとしては、外用固形剤の基剤として機能するものが挙げられる。好ましくは1価アルコール、3価以上のアルコールであり、これのうち1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記1価アルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、ゲラニオール変性アルコール、メタノール変性アルコール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、八アセチルしょ糖変性アルコール、フェニルエチルアルコール、フェニルエチルアルコール変性アルコール等が挙げられる。これらの中でも、エタノール、ゲラニオール変性アルコール、メタノール変性アルコール、イソプロパノール、八アセチルしょ糖変性アルコール、フェニルエチルアルコール、フェニルエチルアルコール変性アルコール等が好ましい。
3価以上のアルコールとしては、例えば、グリセリン(濃グリセリンを含む)等の3価アルコール;エリスリトール、ソルビトール、マンニトール等の糖アルコール等が挙げられる。これらの中でも、外用固形剤の保形性向上や透明性調整の観点から、グリセリンが好ましく、濃グリセリンがより好ましく、日本薬局方濃グリセリンが特に好ましい。
また、上記他のアルコールの含有量は、通常、外用固形剤100質量部中、10〜90質量部であり、15〜85質量部が好ましく、15〜80質量部がより好ましく、15〜60質量部がさらに好ましく、15〜50質量部が特に好ましい。
また、1価アルコールの含有量としては、外用固形剤100質量部中、5〜70質量部が好ましく、7〜60質量部がより好ましく、10〜50質量部がさらに好ましく、10〜40質量部がさらに好ましく、10〜30質量部が特に好ましい。また、3価以上のアルコールの含有量としては、外用固形剤100質量部中、5〜80質量部が好ましく、10〜70質量部がより好ましく、20〜60質量部がさらに好ましく、20〜50質量部がさらに好ましく、20〜40質量部が特に好ましい。
<成分(C)>
また、本発明の外用固形剤は、飽和高級脂肪酸塩(以下、成分(C)ともいう)を基剤として用いることが好ましい。飽和高級脂肪酸塩は、石けんゲル基剤として機能する。
飽和高級脂肪酸塩としては、炭素数12〜22のものが好ましい。例えば、ラウリン酸塩、ミリスチン酸塩、ペンタデカン酸塩、パルミチン酸塩、マルガリン酸塩、ステアリン酸塩、イソステアリン酸塩、アラキジン酸塩、ベヘン酸塩等が挙げられ、これらを単独で用いてもよく2種以上組み合わせて用いてもよい。これらの中でも、炭素数14〜22のものがより好ましく、好適な具体例としては、パルミチン酸塩、ミリスチン酸塩、ステアリン酸塩、イソステアリン酸塩が挙げられ、より好ましくは、ステアリン酸塩、イソステアリン酸塩である。
また、斯様な塩としては、アルミニウム塩、カリウム塩、ナトリウム塩、マグネシウム塩等の無機塩が好ましく、ナトリウム塩が特に好ましい。
また、飽和高級脂肪酸塩の好適な具体例としては、ミリスチン酸ナトリウム、ミリスチン酸カリウム、パルミチン酸ナトリウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、イソステアリン酸ナトリウム等が挙げられ、より好ましくはステアリン酸ナトリウムである。
なお、飽和高級脂肪酸塩を外用固形剤に含有せしめる場合、飽和高級脂肪酸及びこれと塩を形成するカチオンを解離する化合物(水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等)を配合して飽和高級脂肪酸塩を形成させてもよい。また、飽和高級脂肪酸塩(飽和高級脂肪酸のナトリウム塩等)を含む石けん用素地や薬用石けんを用いてもよい。
また、飽和高級脂肪酸塩の含有量としては、外用固形剤100質量部中、0.1〜30質量部が好ましく、0.5〜20質量部がより好ましく、1〜15質量部がさらに好ましく、5〜10質量部が特に好ましい。
また、(A)ロキソプロフェン又はその塩(ロキソプロフェンナトリウム無水和物換算)と(C)飽和高級脂肪酸塩との含有量の質量比率〔(C)/(A)〕としては、外用固形剤としての適度な硬さを付与する観点から、1〜25が好ましく、3〜15がより好ましく、5〜10がさらに好ましい。
<成分(D)>
本発明の外用固形剤には、テルペン類(以下、成分(D)ともいう)を含有させるのが好ましい。テルペン類はロキソプロフェン含有外用固形剤の形状を保形する作用を有する。テルペン類は特に限定されるものでなく、モノテルペン、セスキテルペン等が挙げられる。
斯様なテルペン類としては、例えば、イソボルネオール、イロン、オシメン、カルベオール、カルボタナセトン、カルボメントン、カルボン、カレン、カロン、カンフェン、カンフル、ゲラニオール、サビネン、サフラナール、シクロシトラール、シトラール、シトロネラール、シトロネル酸、シトロネロール、シネオール、シメン、シルベストレン、イソツジョール、ツジョン、テルピネオール、テルピネン、テルピノレン、トリシクレン、ネロール、ピネン、ピノカンフェオール、ピノール、ピペリテノン、フェランドラール、フェランドレン、フェンチェン、フェンチルアルコール、ペリリルアルコール、ペリリルアルデヒド、ボルネオール、ミルセン、メントール、メントン、ヨノール、ヨノン、リナロール、リモネン等が挙げられ、これらを単独で又は2種以上組み合わせて用いてもよい。これらの中でも、保形性の観点から、カンフル、ゲラニオール、シトロネラール、テルピネオール、ボルネオール、メントール、リモネン等が好ましく、カンフル、メントールがより好ましく、dl−カンフル、l−メントール、dl−メントールが特に好ましい。
また、上記テルペン類を外用固形剤に含有せしめる場合、上述のようなテルペン類を含む精油を用いてもよい。
斯様な精油としては、例えば、アニス油、イランイラン油、イリス油、ウイキョウ油、オレンジ油、カナンガ油、カミツレ油、カヤプト油、カラウェー油、クベブ油、グレープフルーツ油、ケイヒ油、コリアンダー油、サフラン油、サンショウ油、シソ油、シトリオドラ油、シトロネラ油、ショウキョウ油、ショウズク油、樟脳油、ジンジャーグラス油、スペアミント油、セイヨウハッカ油、ゼラニウム油、ダイウイキョウ油、チョウジ油、テレビン油、トウヒ油、ネロリ油、バジル油、ハッカ油、パルマローザ油、ピメント油、プチグレン油、ベイ油、ペニローヤル油、ヘノポジ油、ベルガモット油、ボアドローズ油、ホウショウ油、マジョラン油、マンダリン油、メリッサ油、ユーカリ油、ライム油、ラベンダー油、リナロエ油、レモン油、レモングラス油、ローズ油、ローズマリー油、ローマカミツレ油等が挙げられ、これらを単独で又は2種以上組み合わせて用いてもよい。
これらの中でも、イランイラン油、ウイキョウ油、オレンジ油、カミツレ油、ケイヒ油、シソ油、シトロネラ油、ショウキョウ油、樟脳油、セイヨウハッカ油、ゼラニウム油、チョウジ油、テレビン油、トウヒ油、ネロリ油、ハッカ油、パルマローザ油、ベルガモット油、ユーカリ油、ラベンダー油、リナロエ油、レモン油、ローズ油、ローズマリー油、ローマカミツレ油等が好ましく、樟脳油、セイヨウハッカ油、ハッカ油がより好ましく、ハッカ油が特に好ましい。
また、テルペン類の含有量は、外用固形剤における所望の硬さや鎮痛鎮痒作用に基づく局所刺激作用に応じて適宜検討すればよいが、保形性の観点から、外用固形剤100質量部中、0.01〜15質量部が好ましく、0.1〜10質量部がより好ましく、0.5〜7質量部がさらに好ましい。
また、(A)ロキソプロフェン又はその塩(ロキソプロフェンナトリウム無水和物換算)と(D)テルペン類との含有量の質量比率〔(D)/(A)〕としては、保形性の観点から、0.01〜15が好ましく、0.1〜10がより好ましく、0.5〜7が更に好ましい。
本発明の外用固形剤は、第十六改正日本薬局方 製剤総則等に記載の公知の方法に基づき、成分(A)及び(B)、所望により成分(C)や(D)を、必要に応じて上記他のアルコールやその他製剤添加物と混合し、溶解又は分散させ、次いで固化等することにより製造することができる。
上記その他製剤添加物としては、例えば、アジピン酸ジイソプロピル、クロタミトン、スクワラン、スクワレン、セバシン酸ジエチル、ヒマシ油、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸セチル、ミリスチン酸ミリスチル等の油分;ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エスエル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウロマクロゴール、ポリオキシエチレンセチルエーテル等の界面活性剤;オレイルアルコール、ラウリルアルコール等の高級アルコール;塩酸、酢酸ナトリウム水和物、酒石酸、酒石酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム水和物、乳酸ナトリウム、リンゴ酸ナトリウム等のpH調節剤;抗酸化剤等が挙げられる。これらは単独でも2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記抗酸化剤は、ロキソプロフェンの皮膚透過性が亢進させる製剤添加物として挙げられる。抗酸化剤としては、例えば、亜硝酸ナトリウム、アスコルビン酸、L−アスコルビン酸ステアリン酸エステル、亜硫酸水素ナトリウム、アルファチオグリセリン、エデト酸ナトリウム、エリソルビン酸、塩酸システイン、乾燥亜硫酸ナトリウム、クエン酸水和物、ジクロルイソシアヌール酸カリウム、ジブチルヒドロキシトルエン、チオグリコール酸ナトリウム、チオリンゴ酸ナトリウム、天然ビタミンE、トコフェロール、d−δ−トコフェロール、トコフェロール酢酸エステル、濃縮混合トコフェロール、パルミチン酸アスコルビン酸、ピロ亜硫酸ナトリウム、ブチルヒドロキシアニソール、1,3−ブチレングリコール、ベンゾトリアゾール、ペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、没食子酸プロピル、2−メルカプトベンズイミダゾール、リンゴ酸等が挙げられる。
本発明の外用固形剤に抗酸化剤を含有せしめる場合、その含有量は、抗酸化剤の種類等に応じて適宜検討すればよいが、外用固形剤100質量部中、0.01〜50質量部が好ましく、0.02〜10質量部がより好ましく、0.03〜2質量部がさらに好ましい。
また、抗酸化剤として、リンゴ酸及び/又はクエン酸水和物を用いる場合は、ロキソプロフェンの皮膚透過性の亢進の観点から、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸等の高級脂肪酸と併用するのが好ましい。この場合におけるリンゴ酸及び/又はクエン酸水和物の含有量としては、外用固形剤100質量部中、0.1〜3質量部が好ましく、一方、高級脂肪酸の含有量としては、0.1〜5質量部が好ましい。
また、上記テルペン類が水酸基を有する場合、その水酸基とロキソプロフェンのカルボキシ基とのエステル形成を抑制する観点で、尿素、炭酸カルシウムや炭酸マグネシウム等の炭酸金属塩、亜硫酸水素ナトリウム、2−メルカプトベンズイミダゾール等をさらに含有せしめてもよい。これらを用いる場合、その含有量は適宜検討すればよいが、外用固形剤100質量部中、尿素は0.5〜3質量部含有せしめるのが好ましく、炭酸金属塩は0.01〜3質量部含有せしめるのが好ましく、亜硫酸水素ナトリウムは0.01〜2質量部含有せしめるのが好ましく、2−メルカプトベンズイミダゾールは0.01〜2質量部含有せしめるのが好ましい。
また、本発明の外用固形剤には、ロキソプロフェン又はその塩、テルペン類以外の薬物、例えば、局所刺激成分、鎮痛成分、抗炎症成分、殺菌・消毒成分、収れん・保護成分、血行促進成分、抗ヒスタミン成分、生薬類等が挙げられ、これらは1種又は2種以上を含んでいてもよい。
局所刺激成分としては、例えば、カプサイシン、ノナン酸バニリルアミド等が挙げられる。
鎮痛成分としては、例えば、サリチル酸、サリチル酸グリコール、サリチル酸メチル等が挙げられる。
抗炎症成分としては、例えば、グリチルリチン酸、グリチルレチン酸、グリチルリチン酸二カリウム等が挙げられる。
殺菌・消毒成分としては、例えば、チモール等が挙げられる。収れん・保護成分としては、例えば、酸化亜鉛等が挙げられる。
血行促進成分としては、例えば、ニコチン酸ベンジル、ヘパリン類似物質、ポリエチレンスルホン酸ナトリウム等が挙げられる。
抗ヒスタミン成分としては、例えば、アゼラスチン塩酸塩、アリメマジン酒石酸塩、イソチペンジル塩酸塩、イプロヘプチン塩酸塩、エピナスチン塩酸塩、エメダスチンフマル酸塩、カルビノキサミンジフェニルジスルホン酸塩、カルビノキサミンマレイン酸塩、クレマスチンフマル酸塩、dl−クロルフェニラミンマレイン酸塩、d−クロルフェニラミンマレイン酸塩、ケトチフェンフマル酸塩、ジフェテロール塩酸塩、ジフェテロールリン酸塩、ジフェニルピラリン塩酸塩、ジフェニルピラリンテオクル酸塩、ジフェンヒドラミン塩酸塩、ジフェンヒドラミンサリチル酸塩、ジフェンヒドラミンタンニン酸塩、トリプロリジン塩酸塩、トリペレナミン塩酸塩、トンジルアミン塩酸塩、フェネタジン塩酸塩、プロメタジン塩酸塩、メキタジン、メトジラジン塩酸塩、メブヒドロリンナパジシル酸塩、エメダスチンフマル酸塩等が挙げられる。
生薬類としては、例えば、アルニカ、鬱金、黄柏、黄連、乾姜、桂皮、紅花、山梔子、セイヨウトチノミ、蕃椒、木天蓼、楊梅皮等及びこれらの抽出物(エキスやチンキ等)が挙げられる。
本発明の外用固形剤は容器に収納するものであるが、その容器としては、密閉容器を用いるのが好ましい。密閉容器としては、押出し式やダイヤル式の繰り上げ下げ式容器が、外用固形剤の使用・収納の観点から好ましい。
そして、後記実施例に記載のとおり、本発明の外用固形剤は保存安定性に優れ、商品価値が高い。また、テルペン類を外用固形剤中に含有せしめると保形性に優れ、3価アルコールを含有せしめると、保形性に優れ且つ塗布しやすい適度な硬さを有するため、さらに商品価値が高いものとなる。
また、ロキソプロフェン又はその塩は、フェニルプロピオン酸系非ステロイド性消炎鎮痛剤としての消炎鎮痛効果を発揮し、テルペン類は局所刺激作用による鎮痛鎮痒効果を発揮するので、本発明の外用固形剤は医療用医薬品やOTC医薬品として用いることができ、経皮吸収型の鎮痛・抗炎症剤として極めて有用である。対象となる症状、疾患としては、変形性関節症、肩関節周囲炎、腱・腱鞘炎、腱周囲炎、上腕骨上顆炎、筋肉痛、外傷後の腫脹・疼痛、肩こり、肩こりに伴う肩の痛み、腰痛、関節痛、腱鞘炎、肘の痛み、打撲、捻挫、骨折痛、筋肉疲労等が挙げられる。
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
試験例1
表1に示すエタノールと水以外の成分をエタノールと水の混液に溶解させ、表1に示す組成の外用固形剤用液を得た。
得られた外用固形剤用液10mLを透明な10Kガラス瓶に充填し室温で固化させて、外用固形剤を得た。
得られた参考例1及び実施例1〜3の外用固形剤は、製造直後はいずれも無色透明であった。これらを80℃で2週間保存して、外用固形剤の色についての経時変化を観察した。
Figure 2018123172
表1に示すように、2価アルコールを含有する外用固形剤(実施例1〜3)は、80℃で2週間保存しても変色しなかった。一方、2価アルコールに換えて3価アルコールを含有する外用固形剤(参考例1)は、5日目には黄色に変色した。
この結果から、ロキソプロフェンナトリウム含有外用固形剤においては、2価のアルコールを用いることが黄色への変色(黄変)を抑制することに寄与することがわかる。
実施例4
表2に示すエタノールと水以外の成分をエタノールと水の混液に溶解させ、表2に示す組成の外用固形剤用液を得た。
得られた外用固形剤用液10mLを透明な10Kガラス瓶に充填し室温で固化させて、外用固形剤を得た。
得られた外用固形剤は、製造直後無色透明であった。また、これを80℃で1週間保存して、外用固形剤の色についての経時変化を観察したところ、1週間経過後も外観に変化はなかった。
Figure 2018123172
実施例5
表3に示すエタノールと水以外の成分をエタノールと水の混液に溶解させ、表3に示す組成の外用固形剤用液を得た。
得られた外用固形剤用液10mLを透明な10Kガラス瓶に充填し室温で固化させて、外用固形剤を得た。
得られた外用固形剤は、製造直後無色透明であった。また、これを60℃で3週間保存して、外用固形剤の色についての経時変化を観察したところ、3週間経過後も外観に変化はなかった。
Figure 2018123172
実施例6
表4に示すエタノールと水以外の成分をエタノールと水の混液に溶解させ、表4に示す組成の外用固形剤用液を得た。
得られた外用固形剤用液10mLを透明な10Kガラス瓶に充填し室温で固化させて、外用固形剤を得た。
得られた外用固形剤は、製造直後無色透明であった。また、これを60℃で3週間保存して、外用固形剤の色についての経時変化を観察したところ、3週間経過後も外観に変化はなかった。
Figure 2018123172
試験例2
表5に示すエタノールと水以外の成分をエタノールと水の混液に溶解させ、表5に示す組成の外用固形剤用液を得た。
得られた外用固形剤用液10mLを透明な10Kガラス瓶に充填し室温で固化させて、外用固形剤を得た。
得られた参考例2及び実施例7〜9の外用固形剤は、製造直後はいずれも無色透明であった。これらを60℃で1ヶ月間保存して、外用固形剤の色についての経時変化を観察した。
Figure 2018123172
表5に示すように、2価アルコールを含有する外用固形剤(実施例7〜9)は、60℃で1か月間保存しても変色しなかった。一方、2価アルコールを含有しない外用固形剤(参考例2)は、黄色に変色した。
この結果から、ロキソプロフェンナトリウム含有外用固形剤においては、2価のアルコールを用いることが黄色への変色(黄変)を抑制することに大きく寄与していることがわかる。
試験例3
ブリトン−ロビンソン広域緩衝液(pH7)と無水エタノールを1:1で混合して混液を調製し、表6に示す濃度になるように、ロキソプロフェンナトリウム水和物、l−メントール及びステアリン酸ナトリウムを上記混液に溶解させ、pHを8に調整して外用固形剤用液を得た。
得られた外用固形剤用液10mLを透明な10Kガラス瓶に充填し室温で固化させ、ガラス瓶に充填した外用固形剤を得た。
これを室温で保存して、1ヶ月後の外用固形剤の外観(やせの有無)を肉眼で確認した。「やせ」は外用固形剤とガラス瓶の内壁における間隙の発生の有無により評価した。結果を表6に示した。
Figure 2018123172
表6に示すように、飽和高級脂肪酸塩を基剤とし、ロキソプロフェンナトリウム水和物を含有する外用固形剤(参考例3)は、1ヶ月間保存した後には、保存開始直後と比較して外用固形剤とガラス瓶の内壁とに間隙が発生し、やせが認められた。
一方、l−メントールをさらに含有する外用固形剤(参考例4)は、1ヶ月間保存しても、間隙の発生がみられず、やせは認められなかった。
なお、この結果より、テルペン類であるl−メントールは揮発性の成分であるにもかかわらず、外用固形剤の保形性を高めるものであり、テルペン類はロキソプロフェン又はその塩を含有する外用固形剤の形状保持剤としての作用を有することがわかる。
実施例10
表7〜10に示す各成分を所望により加熱して溶解し、容器に充填後室温に冷却して、処方1〜20の外用固形剤を製造した。
Figure 2018123172
Figure 2018123172
Figure 2018123172
Figure 2018123172

Claims (7)

  1. 以下の成分(A)及び(B)を含有する液。
    (A)ロキソプロフェン又はその塩
    (B)2価アルコール
  2. 成分(A)が、ロキソプロフェンナトリウム水和物である請求項1に記載の液。
  3. さらに、(C)飽和高級脂肪酸塩を含有する請求項1又は2に記載の液。
  4. 成分(C)が、炭素数12〜22の飽和高級脂肪酸塩である請求項3に記載の液。
  5. さらに、(D)テルペン類を含有する請求項1〜4のいずれか1項に記載の液。
  6. 成分(D)が、イソボルネオール、イロン、オシメン、カルベオール、カルボタナセトン、カルボメントン、カルボン、カレン、カロン、カンフェン、カンフル、ゲラニオール、サビネン、サフラナール、シクロシトラール、シトラール、シトロネラール、シトロネル酸、シトロネロール、シネオール、シメン、シルベストレン、イソツジョール、ツジョン、テルピネオール、テルピネン、テルピノレン、トリシクレン、ネロール、ピネン、ピノカンフェオール、ピノール、ピペリテノン、フェランドラール、フェランドレン、フェンチェン、フェンチルアルコール、ペリリルアルコール、ペリリルアルデヒド、ボルネオール、ミルセン、メントール、メントン、ヨノール、ヨノン、リナロール及びリモネンからなる群より選ばれる1種又は2種以上である請求項5に記載の液。
  7. さらに、グリセリンを含有する請求項1〜6のいずれか1項に記載の液。
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