JP6189668B2 - ロキソプロフェン含有外用塗布剤 - Google Patents
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上記塗布剤には、外用固形剤(チック剤)、外用液剤(リニメント剤、ローション剤)、軟膏剤、クリーム剤、ゲル剤等があり、これらの中でも、外用固形剤は、適当な容器に収納すれば手や指等を汚さずに薬物を皮膚に塗布することができるため使用に際し不快感を与えにくい形態とされている。
しかしながら、種々の薬物を用いて外用固形剤に製剤化する際、製剤の硬さや保形性に問題が生じることが多い。これまで種々の検討がなされているものの(特許文献1〜6)、いずれも製剤の硬さや保形性、外観透明性等において、必ずしも満足できるものではなかった。
(A)ロキソプロフェン又はその塩
(B)イソプロパノール
本発明の外用塗布剤に含まれるロキソプロフェン又はその塩には、ロキソプロフェンそのもののほか、ロキソプロフェンの薬学上許容される塩、さらにはこれらと水やアルコール等との溶媒和物も含まれる。本発明においては、ロキソプロフェンナトリウム水和物(化学名:Monosodium 2-[4-[(2-oxocyclopentyl)methyl]phenyl]propanoate dihydrate)が好ましい。
ロキソプロフェン又はその塩は公知の化合物であり、公知の方法により製造できるほか、市販のものを用いることができる。
本発明の外用塗布剤に含まれるイソプロパノールは、示性式がCH3CH(OH)CH3と表される2価アルコールの1種の公知化合物である。命名法の違いにより、2−プロパノール、プロパン−2−オール、イソプロピルアルコールなどとも表記される。
イソプロパノールの含有量は、イソプロパノールが有する外用塗布剤における澄明性調節能等に応じて適宜検討すればよく、外用塗布剤100質量部中、5〜70質量部が好ましく、7〜60質量部がより好ましく、10〜50質量部がさらに好ましい。
また、(A)ロキソプロフェン又はその塩(ロキソプロフェンナトリウム無水和物換算)と(B)イソプロパノールとの含有量の質量比率〔(B)/(A)〕としては、1〜60が好ましく、3〜50がより好ましく、5〜40がさらに好ましい。
また、本発明の外用塗布剤の剤形としては、外用固形剤(チック剤)、外用液剤(リニメント剤、ローション剤)、軟膏剤、クリーム剤、ゲル剤等が挙げられるが、外用固形剤、外用液剤が好ましく、外用塗布剤の塗布・塗擦時の不快感に繋がるべたつきや展延性を考慮すると、外用固形剤がより好ましい。また、外用固形剤の基剤としては、石けんゲル基剤が好ましい。
本発明の外用塗布剤は、基剤としてアルコール(以下、成分(C)ということもある。)を含むものが好ましく、成分(C)のアルコールは、成分(B)のイソプロパノールと後述する成分(E)テルペン類のうちアルコール性水酸基を有するものとを除くアルコールを意味する。
アルコールとしては、1価アルコール、多価アルコールに大別され、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
1価アルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、メタノール変性アルコール、プロパノール、ブタノール、イソブタノール、八アセチルしょ糖変性アルコール、フェニルエチルアルコール、フェニルエチルアルコール変性アルコール等が挙げられる。これらの中でも、エタノール、メタノール変性アルコール、八アセチルしょ糖変性アルコール、フェニルエチルアルコール、フェニルエチルアルコール変性アルコール等が好ましい。
また、(A)ロキソプロフェン又はその塩(ロキソプロフェンナトリウム無水和物換算)と(C)アルコールとの含有量の質量比率〔(C)/(A)〕としては、外用塗布剤の剤形が外用固形剤の場合、これに適度な硬さを付与する観点から、10〜90が好ましく、15〜85がより好ましく、20〜80がさらに好ましく、30〜70が特に好ましい。
また、上記多価アルコールの含有量としては、外用塗布剤100質量部中、5〜80質量部が好ましく、10〜70質量部がより好ましく、20〜60質量部がさらに好ましい。
また、上記多価アルコールとしては、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール及びポリエチレングリコールからなる群より選ばれる1種以上とグリセリンの組合せが好ましい。この場合において、グリセリンの含有量としては、外用塗布剤100質量部中、1〜60質量部が好ましく、3〜50質量部がより好ましく、5〜40質量部がさらに好ましい。
本発明の外用塗布剤としては、斯かる塗布剤の剤形を固形剤とする際の基剤として、飽和高級脂肪酸塩(以下、成分(D)ということもある。)を含むものが好ましい。
飽和高級脂肪酸塩としては、炭素数12〜22のものが好ましい。例えば、ラウリン酸塩、ミリスチン酸塩、ペンタデカン酸塩、パルミチン酸塩、マルガリン酸塩、ステアリン酸塩、イソステアリン酸塩、アラキジン酸塩、ベヘン酸塩等が挙げられ、これらを単独で用いてもよく2種以上組み合わせて用いてもよい。これらの中でも、炭素数14〜22のものがより好ましく、具体的にはパルミチン酸塩、ミリスチン酸塩、ステアリン酸塩、イソステアリン酸塩が好ましく、ステアリン酸塩、イソステアリン酸塩がより好ましいものとして挙げられる。
また、斯様な塩としては、アルミニウム塩、カリウム塩、ナトリウム塩、マグネシウム塩等の無機塩が好ましく、ナトリウム塩が特に好ましい。
また、飽和高級脂肪酸塩の好適な具体例としては、ミリスチン酸ナトリウム、ミリスチン酸カリウム、パルミチン酸ナトリウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、イソステアリン酸ナトリウム等が挙げられ、より好ましくはステアリン酸ナトリウムである。
また、(A)ロキソプロフェン又はその塩(ロキソプロフェンナトリウム無水和物換算)と(D)飽和高級脂肪酸塩との含有量の質量比率〔(D)/(A)〕としては、外用固形剤に適度な硬さを付与する観点から、1〜25が好ましく、3〜15がより好ましく、5〜10がさらに好ましい。
本発明の外用塗布剤に抗酸化剤を含有せしめる場合、その含有量は、抗酸化剤の種類等に応じて適宜検討すればよいが、外用塗布剤100質量部中、0.01〜50質量部が好ましく、0.02〜10質量部がより好ましく、0.03〜2質量部がさらに好ましい。
鎮痛成分としては、例えば、サリチル酸、サリチル酸グリコール、サリチル酸メチル等が挙げられる。
抗炎症成分としては、例えば、グリチルリチン酸、グリチルレチン酸、グリチルリチン酸二カリウム等が挙げられる。
殺菌・消毒成分としては、例えば、チモール等が挙げられる。収れん・保護成分としては、例えば、酸化亜鉛等が挙げられる。
血行促進成分としては、例えば、ニコチン酸ベンジル、ヘパリン類似物質、ポリエチレンスルホン酸ナトリウム等が挙げられる。
生薬類としては、例えば、アルニカ、鬱金、黄柏、黄連、乾姜桂皮、紅花、山梔子、セイヨウトチノミ、蕃椒、木天蓼、楊梅皮等及びこれらの抽出物(エキスやチンキ等)が挙げられる。
本発明の外用塗布剤には、上述したとおり、種々の薬物を含有せしめることができるが、中でも、鎮痛鎮痒作用に基づく局所刺激作用や保形性の観点から、テルペン類(以下、成分(E)ということもある。)を含有せしめることが好ましい。テルペン類は、特に限定されるものでなく、モノテルペン、セスキテルペン等が挙げられる。
斯様なテルペン類としては、例えば、イソボルネオール、イロン、オシメン、カルベオール、カルボタナセトン、カルボメントン、カルボン、カレン、カロン、カンフェン、カンフル、ゲラニオール、サビネン、サフラナール、シクロシトラール、シトラール、シトロネラール、シトロネル酸、シトロネロール、シネオール、シメン、シルベストレン、イソツジョール、ツジョン、テルピネオール、テルピネン、テルピノレン、トリシクレン、ネロール、ピネン、ピノカンフェオール、ピノール、ピペリテノン、フェランドラール、フェランドレン、フェンチェン、フェンチルアルコール、ペリリルアルコール、ペリリルアルデヒド、ボルネオール、ミルセン、メントール、メントン、ヨノール、ヨノン、リナロール、リモネン等が挙げられ、これらを単独で又は2種以上組み合わせて用いてもよい。これらの中でも、カンフル、ゲラニオール、シトロネラール、テルピネオール、ボルネオール、メントール、リモネン等が好ましく、カンフル、メントールがより好ましく、dl−カンフル、l−メントール、dl−メントールが特に好ましい。
斯様な精油としては、例えば、アニス油、イランイラン油、イリス油、ウイキョウ油、オレンジ油、カナンガ油、カミツレ油、カヤプト油、カラウェー油、クベブ油、グレープフルーツ油、ケイヒ油、コリアンダー油、サフラン油、サンショウ油、シソ油、シトリオドラ油、シトロネラ油、ショウキョウ油、ショウズク油、樟脳油、ジンジャーグラス油、スペアミント油、セイヨウハッカ油、ゼラニウム油、ダイウイキョウ油、チョウジ油、テレビン油、トウヒ油、ネロリ油、バジル油、ハッカ油、パルマローザ油、ピメント油、プチグレン油、ベイ油、ペニローヤル油、ヘノポジ油、ベルガモット油、ボアドローズ油、ホウショウ油、マジョラン油、マンダリン油、メリッサ油、ユーカリ油、ライム油、ラベンダー油、リナロエ油、レモン油、レモングラス油、ローズ油、ローズマリー油、ローマカミツレ油等が挙げられ、これらを単独で又は2種以上組み合わせて用いてもよい。
これらの中でも、イランイラン油、ウイキョウ油、オレンジ油、カミツレ油、ケイヒ油、シソ油、シトロネラ油、ショウキョウ油、樟脳油、セイヨウハッカ油、ゼラニウム油、チョウジ油、テレビン油、トウヒ油、ネロリ油、ハッカ油、パルマローザ油、ベルガモット油、ユーカリ油、ラベンダー油、リナロエ油、レモン油、ローズ油、ローズマリー油、ローマカミツレ油等が好ましく、樟脳油、セイヨウハッカ油、ハッカ油がより好ましく、ハッカ油が特に好ましい。
また、(A)ロキソプロフェン又はその塩(ロキソプロフェンナトリウム無水和物換算)と(E)テルペン類との含有量の質量比率〔(E)/(A)〕としては、0.01〜15が好ましく、0.1〜10がより好ましく、0.5〜7が更に好ましい。
また、ロキソプロフェン又はその塩は、フェニルプロピオン酸系非ステロイド性消炎鎮痛剤としての消炎鎮痛効果を発揮するので、本発明の外用塗布剤は医療用医薬品やOTC医薬品として用いることができ、経皮吸収型の鎮痛・抗炎症剤として極めて有用である。対象となる症状、疾患としては、変形性関節症、肩関節周囲炎、腱・腱鞘炎、腱周囲炎、上腕骨上顆炎、筋肉痛、外傷後の腫脹・疼痛、肩こり、肩こりに伴う肩の痛み、腰痛、関節痛、腱鞘炎、肘の痛み、打撲、捻挫、骨折痛、筋肉疲労等が挙げられる。
表1に示す濃度になるように、ロキソプロフェンナトリウム水和物、l−メントール、日本薬局方濃グリセリン、プロピレングリコール、エタノール、イソプロパノール及び水を混合して溶解し、外用液剤を得た。得られた外用液剤100gを透明なガラス瓶に充填して密栓した。
得られた外用液剤の外観(澄明性・異物や析出物の有無)を肉眼で確認し、次いで、これを60℃及び−20℃で保存して、1ヶ月後の外用液剤における外観を検査した。結果を表1に示した。
表2に示す濃度になるように、ロキソプロフェンナトリウム水和物、l−メントール、ステアリン酸ナトリウム、日本薬局方濃グリセリン、プロピレングリコール、エタノール、イソプロパノール及び水を混合して溶解し、外用固形剤用液を得た。得られた外用固形剤用液100gを透明なガラス瓶に充填し室温で固化させ、ガラス瓶に充填した外用固形剤を得た。
得られた外用固形剤の外観(澄明性・異物や析出物の有無)を肉眼で確認し、次いで、これを60℃及び−20℃で保存して、1ヶ月後の外用固形剤における外観を検査した。結果を表2に示した。
試験例2で得た実施例2の外用固形剤を40℃相対湿度75%で保存して、1週間後の外用固形剤における保存前後の減少率を測定した。減少率の測定は、保存前後の外用固形剤の体積を測定することにより求めた。結果、減少率は6%であり、保存開始時と比較して外用固形剤の体積減少はほとんど認められなかった。
表3及び4に示す各成分を所望により加熱して溶解し、容器に充填後室温に冷却して、処方1〜13の外用固形剤を製造した。
Claims (8)
- 以下の成分(A)、(B)及び(D)を含有する外用塗布剤。
(A)ロキソプロフェン又はその塩
(B)イソプロパノール
(D)飽和高級脂肪酸塩 - 成分(A)が、ロキソプロフェンナトリウム水和物である請求項1記載の外用塗布剤。
- 更に、成分(E)テルペン類を含有する請求項1又は2記載の外用塗布剤。
- 成分(E)が、イソボルネオール、イロン、オシメン、カルベオール、カルボタナセトン、カルボメントン、カルボン、カレン、カロン、カンフェン、カンフル、ゲラニオール、サビネン、サフラナール、シクロシトラール、シトラール、シトロネラール、シトロネル酸、シトロネロール、シネオール、シメン、シルベストレン、イソツジョール、ツジョン、テルピネオール、テルピネン、テルピノレン、トリシクレン、ネロール、ピネン、ピノカンフェオール、ピノール、ピペリテノン、フェランドラール、フェランドレン、フェンチェン、フェンチルアルコール、ペリリルアルコール、ペリリルアルデヒド、ボルネオール、ミルセン、メントール、メントン、ヨノール、ヨノン、リナロール及びリモネンからなる群より選ばれる1種又は2種以上である請求項3記載の外用塗布剤。
- 成分(A)の含有量が、ロキソプロフェンナトリウム無水物換算で、外用塗布剤100質量部中、0.01〜10質量部である請求項1〜4のいずれか1項に記載の外用塗布剤。
- 成分(E)の含有量が、外用塗布剤100質量部中、0.01〜15質量部である請求項3〜5のいずれか1項に記載の外用塗布剤。
- 成分(D)が、炭素数12〜22の飽和高級脂肪酸塩である請求項1〜6のいずれか1項に記載の外用塗布剤。
- 剤形が、外用液剤又は外用固形剤である請求項1〜7のいずれか1項に記載の外用塗布剤。
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