JP2018122771A - 乗物用シート - Google Patents

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Miki Imai
美希 今井
和志 西山
Kazushi Nishiyama
和志 西山
優治 西山
Yuji Nishiyama
優治 西山
純一 宗近
Junichi Munechika
純一 宗近
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Abstract

【課題】シートの座圧分散性能向上のため、面状体の伸長率を部分的に性能良く変更することにある。【解決手段】面状体20は、構成糸同士が疎に配置された低密度領域FL,SL1,SL2と、構成糸同士が低密度領域FL等よりも密に配置された高密度領域FH1,FH2,SH1〜SH3とを有し、隣り合う低密度領域FL等と高密度領域FH1等の間に、構成糸同士が低密度領域よりも密で且つ高密度領域よりも疎に配置された中密度領域FM1,FM2,SM1〜SM4が設けられ、高伸長部位41,42が、低密度領域FL等が配置されることで伸長しやすくされ、他の面状体部分51〜55が、高密度領域FH1等と中密度領域FM1等が配置されることで伸長しにくくされ、他の面状体部分における中密度領域FM1等が高伸長部位41,42に隣接している。【選択図】図3

Description

本発明は、枠状のシートフレームと、乗員を弾性的に支持可能なシートパッドと、シートフレームの枠内に配置するシートパッドを裏側から支持している面状体とを備えた乗物用シートに関する。
この種の乗物用シートでは、シート骨格をなすシートフレームの枠内に面状体が張渡されており、この面状体によって、乗員を弾性的に支持可能なシートパッドを支持させることがある。そして面状体は、適度な伸縮性を備えた面材であり、自身の伸縮性により伸長しながらシートパッドを裏面側から支える。この種の構成では、シートパッドが、着座状態の乗員から押圧されて下方に沈み込むのであるが、このとき例えば乗員臀部(特に乗員座骨)を支持するシートパッド部分が強く押圧されて大きく沈み込む傾向にある。このためシートの着座性向上の観点から、面状体の伸長率を部分的に変更するなどして、強く押圧されたシートパッド部分を面状体が部分的に大きく伸長して支えることが望まれる。すなわち面状体を部分的に伸長しやすくして、乗員臀部を支持するシートパッド部分に集中する座圧を分散することにより、より理想的な座圧分布を達成することが望まれる。
例えば特許文献1に開示の技術では、シートフレームの枠内に、シートパッドを支えるシート用面状支持部材が取付けられている。このシート用面状支持部材は、本発明の面状体に相当する伸縮性ネット材と、積層用布材を有している。伸縮性ネット材は、適度な伸縮性を備えた正面視で略矩形の面材であり、弾性糸を含んでなる布材又は立体編物で構成されている。また積層用布材は、伸縮性ネット材よりも小寸とされた略矩形の面材であり、伸縮性ネット材よりも面方向の伸び率が小さくされている。公知技術では、シートフレームの枠内に伸縮性ネット材を張渡すとともに、この伸縮性ネット材の適所に積層用布材を固定しておく。こうして積層用布材が配置する部分と積層用布材が配置していない部分とで伸縮性ネット材の伸長率に差を設けることができる。そこで公知技術を適用して、面状体の適所に積層用布材を固定して伸長率を部分的に変更することにより、シートの座圧分散性能を向上させることが考えられる。
特開2005−46355号公報
しかし公知技術の構成を適用すると、面状体のほかに積層用布材などの他部材が必須となり、シートの部品点数の増加が避けられない。さらに積層用布材が配置する部分と積層用布材が配置していない部分とで面状体の伸長率に顕著な差が発生し、乗員が違和感を覚えるなどして着座性が悪化するおそれがある。本発明は上述の点に鑑みて創案されたものであり、本発明が解決しようとする課題は、シートの座圧分散性能向上のため、面状体の伸長率を部分的に性能良く変更することにある。
上記課題を解決するための手段として、第1発明の乗物用シートは、シート骨格をなす枠状のシートフレームと、乗員を弾性的に支持可能なシートパッドと、シートフレームの枠内に配置するシートパッドを裏側から支持している面状体とを備えている。そしてシートパッドが部分的に大きく沈み込むことなどを考慮して、面状体に、他の面状体部分よりも伸長しやすい高伸長部位が設けられている。この種の構成では、シートの座圧分散性能向上のため、面状体の伸長率を部分的に性能良く(例えば着座性良く)変更できることが望まれる。
そこで本発明の面状体は、複数の構成糸が交絡している織物であって、同一方向に延びている構成糸同士が疎に配置された低密度領域と、同一方向に延びている構成糸同士が低密度領域よりも密に配置された高密度領域とを有し、隣り合う低密度領域と高密度領域の間に、同一方向に延びている構成糸同士が低密度領域よりも密で且つ高密度領域よりも疎に配置された中密度領域が設けられている。そして高伸長部位が、低密度領域が配置されることで伸長しやすくされ、他の面状体部分が、高密度領域と中密度領域が配置されることで伸長しにくくされ、他の面状体部分における中密度領域が高伸長部位に隣接している。本発明では、構成糸同士の配置関係を異ならせることで、相対的に伸長しやすい低密度領域を面状体に形成する。そしてこの低密度領域によって、積層用布材などの他部材を要することなく高伸長部位を伸長しやすくすることができる。さらに他の面状体部分の中密度領域を高伸長部位に隣接させることで、他の面状体部分と高伸長部位との伸長率に顕著な差が生じることを極力回避することができる。
第2発明の乗物用シートは、第1発明の乗物用シートにおいて、面状体が、一方向に延びている複数の第一構成糸と、一方向に交差する方向に延びている複数の第二構成糸とが交絡している織物である。また低密度領域及び高密度領域として、複数の第一構成糸による第一低密度領域及び第一高密度領域と、複数の第二構成糸による第二低密度領域及び第二高密度領域とを有している。そして第一低密度領域と第一高密度領域の間と、第二低密度領域と第二高密度領域の間とにそれぞれ中密度領域が設けられている。さらに高伸長部位が、第一低密度領域と第二低密度領域が重複して配置されることで伸長しやすくされ、他の面状体部分が、第一高密度領域及び第二高密度領域の少なくとも一つの領域と中密度領域が配置されることで伸長しにくくされ、他の面状体部分における中密度領域が高伸長部位に隣接している。本発明では、面状体に設けられている二種類の低密度領域を重複して配置することによって高伸長部位をより確実に伸長しやすくすることができる。さらに本発明では、第一低密度領域と第一高密度領域の間に中密度領域を設けるとともに、第二低密度領域と第二高密度領域の間にも別の中密度領域を設ける。これら二種類の中密度領域によって他の面状体部分と高伸長部位との伸長率に顕著な差が生じることをより確実に回避することができる。
第3発明の乗物用シートは、第1発明又は第2発明の乗物用シートにおいて、面状体が、一方向に延びている複数の第一構成糸と、一方向に交差する方向に延びている複数の第二構成糸とが交絡している織物である。そして高伸長部位に、第一構成糸と第二構成糸の相対移動を規制する規制構造が設けられている。本発明では、高伸長部位をなす低密度領域に構成糸が疎に配置されていても、規制構造によって目ズレ(隣り合う構成糸同士の離間)の発生を極力阻止することにより、高伸長部位の強度性の悪化を極力回避することができる。
第4発明の乗物用シートは、第1発明〜第3発明のいずれかの乗物用シートにおいて、低密度領域に配置されている構成糸が、高密度領域に配置されている構成糸よりも高強度である。本発明では、高伸長部位をなす低密度領域に構成糸が疎に配置されていても、高強度の構成糸を用いることにより、高伸長部位の強度性の悪化をより確実に回避することができる。
第5発明の乗物用シートは、第1発明〜第4発明のいずれかの乗物用シートにおいて、中密度領域では、同一方向に延びている構成糸同士が、高密度領域から低密度領域に向かうにつれて次第に疎に配置されていく。本発明では、中密度領域の構成糸同士を適切に配置して密度を順次変化させていく(グラデーション的に変化させていく)ことで、他の面状体部分と高伸長部位との伸長率に顕著な差が生じることを更に確実に回避することができる。
第6発明の乗物用シートは、第1発明〜第5発明のいずれかの乗物用シートにおいて、着座状態の乗員の下半身を支持するシートクッションと、シートクッションの後部から起立した状態とされて着座状態の乗員の上半身を支持するシートバックとを有し、シートクッションとシートバックの少なくとも一方の部材が、シートフレームとシートパッドと面状体とを備えている。そして一方の部材がシートクッションである場合には、着座状態の乗員座骨を支持するシートパッド部分を支える面状体の後部に高伸長部位が設けられる。また一方の部材がシートバックである場合には、着座状態の乗員肩甲骨を支持するシートパッド部分を支える面状体の上部に高伸長部位が設けられる。本発明では、シートクッションとシートバックの少なくとも一方のシートパッドを面状体で支持することができる。このときシートクッションにおいては乗員座骨を支持するシートパッド部分が大きく沈み込むことを考慮して、このシートパッド部分を支える面状体の後部に伸長しやすい高伸長部位が設けられる。またシートバックにおいては乗員肩甲骨を支持するシートパッド部分が大きく沈み込むことを考慮して、このシートパッド部分を支える面状体の上部に伸長しやすい高伸長部位が設けられる。
本発明に係る第1発明によれば、シートの座圧分散性能向上のため、面状体の伸長率を部分的に性能良く変更することができる。また第2発明によれば、面状体の伸長率を部分的により確実に着座性良く変更することができる。また第3発明によれば、面状体の伸長率を部分的により確実に強度性良く変更することができる。また第4発明によれば、面状体の伸長率を部分的に更に強度性良く変更することができる。また第5発明によれば、面状体の伸長率を部分的に更に着座性良く変更することができる。そして第6発明によれば、シートクッションとシートバックのいずれにおいても、シートの座圧分散性能向上のため、面状体の伸長率を部分的に性能良く変更することができる。
乗物用シートの斜視図である。 シートクッションの分解斜視図である。 面状体と保持体の上面図である。 第一構成糸のみを示した面状体の上面図である。 第二構成糸のみを示した面状体の上面図である。 変形例にかかる面状体一部の拡大上面図である。
以下、本発明を実施するための形態を、図1〜図6を参照して説明する。各図には、乗物用シートの前後方向と上下方向と左右方向を示す矢線を適宜図示する。図1の乗物用シート2は、シートクッション4と、シートバック6と、ヘッドレスト8を有する。これらシート構成部材は、各々、シート骨格をなすシートフレーム(4F,6F,8F)と、乗員を弾性的に支持可能なシートパッド(4P,6P,8P)と、シートパッドを被覆するシートカバー(4S,6S,8S)を有する。そしてシートクッション4(詳細後述)の後部には、シートバック6の下部が起倒可能に連結されているとともに、起立状態のシートバック6の上部には、ヘッドレスト8が配設されている。またシートクッション4の下部にはアッパレール9aが取付けられている。このアッパレール9aが、車室床面に取付けられているロアレール9bに摺動可能に組付けられることで、シート構成部材を、ロアレール9bに沿ってスライド移動させることができる。
[シートクッション]
シートクッション4は、着座状態の乗員の下半身を支持する部材であり、図2を参照して、上述の基本構成4F,4P,4Sと、複数の保持体11〜14と、面状体20を備えている(各部材の詳細は後述)。そしてシートクッション4では、シートパッド4Pを、枠状のシートフレーム4F上に配設してシートカバー4Sで被覆する。このときシートパッド4Pの裏側が、シートフレーム4Fの枠内に配置された後述の面状体20によって支持されている。そして乗員着座時などにおいてシートパッド4Pを面状体20が適度に伸長しながら支えるのであるが、この種のシート構成では、乗員臀部(特に乗員座骨)を支えるシートパッド部分A1,A2が相対的に下方に大きく沈み込む傾向にある。このため面状体20には、シートの座圧分散性能向上のため、相対的に大きく伸長する後述の一対の高伸長部位41,42が設けられている。そしてシートパッド部分A1,A2を各高伸長部位41,42が大きく伸長して支えるのであるが、この種の構成では、図3に示す他の面状体部分51〜55と各高伸長部位41,42との伸長率に顕著な差が発生し、これにより乗員が違和感を覚えるなどしてシート性能が悪化するおそれがある。そこで本実施例では、シートの座圧分散性能向上のため、後述の構成にて面状体20の伸長率を部分的に性能良く変更することとした。以下、各構成について詳述する。
[基本構成]
シートカバー4Sは、図2を参照して、シートパッド4Pを被覆可能な袋状の部材であり、例えば布帛(織物,編物,不織布)や皮革(天然皮革,合成皮革)で構成できる。またシートパッド4Pは、シート外形をなす部材であり、例えばポリウレタンフォーム(密度:10kg/m3〜60kg/m3)などの発泡樹脂で構成できる。そしてシートフレーム4Fは、上方視で略矩形の金属枠体であり、フロントフレーム4aと、一対のサイドフレーム4bと、補強フレーム4cと、リアフレーム4dを有する。フロントフレーム4aは、シートフレーム前部を構成する平板状の部材である。また一対のサイドフレーム4bは、それぞれシートフレーム側部を構成する平板状の部材であり、シート左右で互いに対面状に配置する。また補強フレーム4cは、シート幅方向に長尺なパイプ状の部材であり、一対のサイドフレーム4bの前部側に橋渡し状に設けられている。またリアフレーム4dは、シート幅方向に長尺なパイプ状の部材であり、一対のサイドフレーム4bの後部でこれらの間に橋渡し状に設けられている。そして補強フレーム4cは、フロントフレーム4aの近傍に配置されて、リアフレーム4dから前後方向に適宜の間隔で離間しており、これら両フレーム4c,4dの間に後述する面状体20が配設されることとなる。
[保持体]
複数の保持体(第一保持体11〜第四保持体14)は、図2及び図3を参照して、それぞれ後述の面状体20を保持しつつシートフレーム4Fの補強フレーム4cとリアフレーム4dに取付けられる部材である。第一保持体11と第二保持体12は、略同一の基本構成を有しており、面状体20の前端部に左右対称となるように配置される。例えば右側に配置される第一保持体11は、シート幅方向に延びている棒状の部材であり、左右一対の掛止部11a,11bを有している。右側の掛止部11aは、略逆U字状をなすように上方に湾曲している部位であり、第一保持体11の右端から前方に向けて突出している。また左側の掛止部11bは、略逆U字状をなすように上方に湾曲している部位であり、第一保持体11の左端から前方に向けて突出している。そして各掛止部11a,11bは、第一保持体11を後述の面状体20に取付けた状態において、それぞれ前側に向けて突出して補強フレーム4cに上方から掛止可能な位置に配置される。また左側に配置される第二保持体12も、シート幅方向に延びている棒状の部材であり、左右一対の掛止部12a,12bを有している。
また第三保持体13と第四保持体14は、略同一の基本構成を有しており、面状体20の後端部に左右対称となるように配置される。例えば右側に配置される第三保持体13は、シート幅方向に長尺とされた略矩形の枠体であり、前枠部13aと、後枠部13bと、これら両枠部をつなぐ左右の側枠部13c,13dを有している。そして両側枠部13c,13dは、それぞれ略半円状をなすように上方に湾曲した状態で前後方向に延びており、対応する前枠部13aの端部と後枠部13bの端部につながっている。また後枠部13bには、後述する第二挿通部22に挿通する必要上、一部に分断されている箇所(図示省略)が設けられている。そして前枠部13aを後述の面状体20に取付けた状態においては、各側枠部13c,13dから後枠部13bにかけての部分が、それぞれ後側に向けて突出してリアフレーム4dに上方から掛止可能な位置に配置される。また左側に配置される第四保持体14も、シート幅方向に長尺とされた略矩形の枠体であり、前枠部14aと、後枠部14bと、左右の側枠部14c,14dを有している。
[面状体]
面状体20は、図2及び図3を参照して、シートフレーム4Fの枠内に配置するシートパッド4Pを裏側から支える面材であり、一対の挿通部21,22と、本体部24を有している。この面状体20は、無縫製の織物で構成された上面視で略矩形の面材であり、図3を参照して、前縁20aと後縁20bと右縁20cと左縁20dを有している。ここで前縁20aは、シートフレーム4Fの枠内に面状体20が取付けられている状態を基準として、面状体20の前端をなして左右に延びている縁である。また同状態を基準として、後縁20bは、面状体20の後端をなして左右に延びている縁であり、右縁20cは、面状体20の右端をなして前後に延びている縁であり、左縁20dは、面状体20の左端をなして前後に延びている縁である。
[挿通部]
一対の挿通部(第一挿通部21,第二挿通部22)は、図3を参照して、それぞれ対応する保持体11〜14を挿通可能な筒状の部位である。これら各挿通部21,22は、二重織組織の一種である袋織組織で形成されている。そして第一挿通部21は、第一保持体11と第二保持体12を挿通可能な部位であり、面状体20の前縁20a付近に設けられて左右方向に延びている。この第一挿通部21のシート幅方向における略中央には、前側に開口している第一開口部21aが設けられており、この第一開口部21aからは、対応する保持体11,12の一部(掛止部11b,12a)を露出させておくことができる。また第二挿通部22は、第三保持体13と第四保持体14を挿通可能な部位であり、面状体20の後縁20b付近に設けられて左右方向に延びている。この第二挿通部22のシート幅方向における略中央には、後側に開口している第二開口部22aが設けられており、この第二開口部22aからは、対応する保持体13,14の一部(側枠部13d,14c)を露出させておくことができる。なお各挿通部21,22の前後の端部は、後述する一重組織の本体部24と、対応する一重組織の縁(前縁20a,後縁20b)で閉じられた状態とされている。
[本体部(高伸長部位)]
本体部24は、図2及び図3を参照して、一対の挿通部21,22の間に配置されている一重組織部分であり、実質的にシートパッド4Pを下支えすることができる。この本体部24には、図3を参照して、左右一対の高伸長部位41,42と、他の面状体部分(複数の低伸長部位51〜55)とが設けられており、これら各伸長部位は、後述する構成糸31,32からなる各密度領域で形成されている(図3では、便宜上、各高伸長部位に破線のハッチを付し、各伸長部位に異なる二点破線のハッチを付している)。左右一対の高伸長部位41,42は、上面視で略矩形の部位であり、面状体20の中で最も伸長しやすい部分である。これら各高伸長部位41,42は、面状体20の後部前側で左右に適宜の間隔をあけて設けられ、それぞれ乗員臀部(特に乗員座骨)を支持するシートパッド部分A1,A2を支持可能な位置に配置されている。ここで面状体20の後部とは、面状体20を前後に二分割した場合に、乗員臀部(特に乗員座骨)を支持するシートパッド部分A1,A2に対面する部分を含む後方側の部分である。また面状体20の前部とは、面状体20を前後に二分割した場合に、面状体20の後部を除く前方側の部分である。
[他の面状体部分(低伸長部位)]
また複数の低伸長部位(前側低伸長部位51,後側低伸長部位52,右側低伸長部位53,左側低伸長部位54,中央低伸長部位55)は、図3を参照して、本発明の他の面状体部分に相当する部位であり、各高伸長部位41,42よりも伸長しにくくされている。前側低伸長部位51と後側低伸長部位52は、各高伸長部位41,42を挟んで本体部24の前後に分かれて設けられている。前側低伸長部位51は、本体部24の前部を構成している略矩形の部位であり、各高伸長部位41,42の前方に配置されて本体部24を左右方向に横断している。また後側低伸長部位52は、本体部24の後部後側を構成している略矩形の部位であり、各高伸長部位41,42の後方に配置されて本体部24を左右方向に横断している。なお前側低伸長部位51の前後の幅寸法を、後側低伸長部位52よりも大寸に設定することで、各高伸長部位41,42を、本体部24の略中央からやや後方寄りの部分に配置することができる。
そして右側低伸長部位53と左側低伸長部位54と中央低伸長部位55は、図3を参照して、シート前後方向において前側低伸長部位51と後側低伸長部位52の間に形成されている部位である。右側低伸長部位53は、本体部24の右縁に形成されている略矩形の部位であり、右側の高伸長部位41の右方に配置されて前後方向に延びている。また左側低伸長部位54は、本体部24の左縁に形成されている略矩形の部位であり、左側の高伸長部位42の左方に配置されて前後方向に延びている。そして中央低伸長部位55は、面状体20のシート幅方向における略中央を構成している略矩形の部位であり、左右の高伸長部位41,42の間に配置されて前後方向に延びている。
[本体部の形成作業]
本体部24の製織に際しては、図3〜図5を参照して、後述する複数の第一構成糸31と複数の第二構成糸32を交差状に適宜交絡させて織地を形成する(各図では、便宜上、各構成糸31,32自体ではなく、各構成糸31,32の向きを示す矢線を図示する)。この本体部24の製織では、後述するように経糸としての第一構成糸31を整経したのち、緯糸としての第二構成糸32を打ち込む。このとき第一構成糸31同士の間隔に疎密を設けて、図4に示す後述の各領域(FL,FH1,FH2,FM1,FM2)を形成する。また第二構成糸32同士の間隔に疎密を設けて、図5に示す後述の各領域(SL1,SL2,SH1〜SH3,SM1〜SM4)を形成する。そして本体部24等の織組織として、基本組織(平織,斜文織,朱子織)やその変化組織を例示できる。本実施例では、シートフレーム4Fの枠内に面状体20が配置されている状態を基準として、各第一構成糸31が、左右方向を向いて補強フレーム4cに沿って配置される。また各第二構成糸32が、前後方向を向いて各第一構成糸31に対して交差状(本実施例では略直交方向)に配置される。なお上述の各挿通部21,22も本体部24の織製に伴って順次形成できる。
[第一構成糸による各領域の形成(第一低密度領域・第一高密度領域)]
そして第一構成糸31の整経時に、隣り合う第一構成糸31同士の間隔を調整して図4に示す各領域(前後一対の第一高密度領域FH1,FH2,第一低密度領域FL,前後一対の第一中密度領域FM1,FM2)を形成する。前後一対の第一高密度領域FH1,FH2は、第一構成糸31同士が最も密に配置された領域であり、本体部24を第一構成糸31だけで見た場合に最も伸長性に劣る部分である(第一構成糸31の配置本数は後述)。前側の第一高密度領域FH1は、本体部24の前部に形成された略矩形の領域であり、本体部24を左右方向に横断して図3の前側低伸長部位51と略同位置に配置される。また後側の第一高密度領域FH2は、本体部24の後部後側に形成された略矩形の領域であり、本体部24を左右方向に横断して図3の後側低伸長部位52と略同位置に配置される。そして第一低密度領域FLは、第一構成糸31同士が最も疎に配置された領域であり、一対の第一高密度領域FH1,FH2の間に配置される(第一構成糸31の配置本数は後述)。この第一低密度領域FLは、本体部24を左右に横断するように形成されており、図3の各高伸長部位41,42及びこれらに隣り合う各低伸長部位53〜55を横断して配置される。
ここで図4に示す各第一高密度領域FH1,FH2と第一低密度領域FLでは、第一構成糸31同士の配置関係を異ならせて(疎密の差を設けて)伸長性に差を設けている。各第一高密度領域FH1,FH2では、第一構成糸31の繊度を考慮して、それぞれ独立に200本/inch以下で第一構成糸31を整経できる。例えば第一構成糸31の繊度が167T(dtex)の場合、各第一高密度領域FH1,FH2では、それぞれ独立に75本/inch〜45本/inchの範囲で第一構成糸31を整経でき、本体部24の強度を考慮すると65本/inch〜55本/inchの範囲で第一構成糸31を整経することが好ましい。また第一低密度領域FLでは、各第一高密度領域FH1,FH2よりも第一構成糸31が減数されて整経されている。この第一低密度領域FLでは、例えば25本/inch〜55本/inchの範囲で第一構成糸31を整経でき、図3の各高伸長部位41,42に適度な伸長率を持たせるべく35本/inch〜45本/inchの範囲で第一構成糸31を整経することが好ましい。なおいずれの領域においても、第一構成糸31の繊度が小さくなるほど、多くの本数の第一構成糸31を整経することができる。
[第一中密度領域]
また前後一対の第一中密度領域FM1,FM2は、図4を参照して、第一構成糸31同士が第一低密度領域FLよりも密で且つ対応する第一高密度領域よりも疎に配置されている領域である(第一構成糸31の配置本数は後述)。前側の第一中密度領域FM1は、前側の第一高密度領域FH1と第一低密度領域FLの間に配置されており、後側の第一中密度領域FM2は、後側の第一高密度領域FH2と第一低密度領域FLの間に配置されている。そして各第一中密度領域FM1,FM2が設けられることで、第一低密度領域FLと各第一高密度領域FH1,FH2が隣接している場合に比して、第一低密度領域FLと各第一高密度領域FH1,FH2との伸長率の差が顕著に現れることを極力回避することができる。なお各第一中密度領域FM1,FM2の前後の幅寸法は特に限定しないが、典型的には対応する第一高密度領域及び第一低密度領域FLよりも小寸に設定されている。
また本実施例の各第一中密度領域FM1,FM2では、第一構成糸31同士が、対応する第一高密度領域から第一低密度領域FLに向かうにつれて次第に疎に配置されていく(グラデーション的に配置されていく)。例えば前側の第一高密度領域FH1では、第一構成糸31の繊度が167T(dtex)の場合、60本/inchで第一構成糸31が整経され、第一低密度領域FLでは、40本/inchで第一構成糸31が整経されていたとする。この条件においては、前側の第一中密度領域FM1中で、59本/inch〜41本/inchの範囲で第一低密度領域FLに向かうにつれて次第に減数されるように第一構成糸31を整経していくことができる。このとき第一構成糸31を、59本/inch〜41本/inchの範囲で連続的又は段階的に減数することができる。このように各第一中密度領域FM1,FM2の第一構成糸31同士を適切に配置して密度を順次変化させていくことで、前側の第一高密度領域FH1と第一低密度領域FLとの伸長率の差が顕著に現れることをより確実に回避することができる。なお後側の第一中密度領域FM2においても、前側の第一中密度領域FM1と同様の条件で第一低密度領域FLに向かうにつれて次第に減数されるように第一構成糸31を整経していくことができる。
[第二構成糸による各領域の形成(第二高密度領域)]
また第二構成糸32の打ち込み時に、隣り合う第二構成糸32同士の間隔を調整して図5に示す各領域(三対の第二高密度領域SH1〜SH3,左右一対の第二低密度領域SL1,SL2,複数の第二中密度領域SM1〜SM4)を形成できる。各第二高密度領域(右側の第二高密度領域SH1、左側の第二高密度領域SH2、中央の第二高密度領域SH3)は、第二構成糸32同士が最も密に配置された領域であり、本体部24を第二構成糸32だけで見た場合に最も伸長性に劣る部分である(第二構成糸32の配置本数は後述)。右側の第二高密度領域SH1は、本体部24の右縁に形成された略矩形の領域であり、本体部24を前後方向に縦断して図3の右側低伸長部位53を網羅可能な位置に配置される。また左側の第二高密度領域SH2は、本体部24の左縁に形成された略矩形の領域であり、本体部24を前後方向に縦断して図3の左側低伸長部位54を網羅可能な位置に配置される。また中央の第二高密度領域SH3は、後述する左右の第二低密度領域SL1,SL2の間に形成された略矩形の領域であり、本体部24を前後方向に縦断して図3の中央低伸長部位55を網羅可能な位置に配置される。
[第二低密度領域]
また左右一対の第二低密度領域SL1,SL2は、図5を参照して、第二構成糸32同士が最も疎に配置された領域であり、本体部24の左右に分かれて形成されている(第二構成糸32の配置本数は後述)。右側の第二低密度領域SL1は、右側の第二高密度領域SH1と中央の第二高密度領域SH3の間に形成された略矩形の領域であり、本体部24を前後方向に縦断して図3の右側の高伸長部位41を網羅可能な位置に設けられている。また左側の第二低密度領域SL2は、左側の第二高密度領域SH2と中央の第二高密度領域SH3の間に形成された略矩形の領域であり、本体部24を前後方向に縦断して図3の左側の高伸長部位42を網羅可能な位置に設けられている。
そして各第二高密度領域SH1〜SH3と各第二低密度領域SL1,SL2においても、第二構成糸32同士の配置関係を異ならせて(疎密の差を設けて)伸長性に差を設けている。これら各第二高密度領域SH1〜SH3でも、第二構成糸32の繊度を考慮して、それぞれ独立に200本/inch以下で第二構成糸32を打ち込むことができる。例えば第二構成糸32の繊度が167T(dtex)の場合、各第二高密度領域SH1〜SH3では、それぞれ独立に55本/inch〜35本/inchの範囲で第二構成糸32を打ち込むことができ、本体部24の強度を考慮すると50本/inch〜40本/inchの範囲で第二構成糸32を打ち込むことが好ましい。また各第二低密度領域SL1,SL2では、各第二高密度領域SH1〜SH3よりも第二構成糸32が減数されて打ち込まれている。これら各第二低密度領域SL1,SL2では、それぞれ独立に例えば45本/inch〜25本/inchの範囲で第二構成糸32を打ち込むことができ、高伸長部位に適度な伸長率を持たせるべく40本/inch〜30本/inchの範囲で第二構成糸32を打ち込むことが好ましい。なおいずれの領域においても、第二構成糸32の繊度が小さくなるほど、多くの本数の第二構成糸32を打ち込むことができる。
[第二中密度領域]
また複数の第二中密度領域(一番目の第二中密度領域SM1〜四番目の第二中密度領域SM4)は、図5を参照して、第二構成糸32同士が対応する第二低密度領域よりも密で且つ対応する第二高密度領域よりも疎に配置されている領域である(第二構成糸32の配置本数は後述)。本実施例では、一番目の第二中密度領域SM1が、右側の第二高密度領域SH1と右側の第二低密度領域SL1の間に設けられ、二番目の第二中密度領域SM2が、右側の第二低密度領域SL1と中央の第二高密度領域SH3の間に設けられている。また三番目の第二中密度領域SM3が、中央の第二高密度領域SH3と左側の第二低密度領域SL2の間に設けられ、四番目の第二中密度領域SM4が、左側の第二低密度領域SL2と左側の第二高密度領域SH2の間に設けられている。そして各第二中密度領域SM1〜SM4が設けられることで、各第二低密度領域SL1,SL2と対応する第二高密度領域が隣接している場合に比して、各第二低密度領域SL1,SL2と対応する第二高密度領域との伸長率の差が顕著に現れることを極力回避することができる。なお各第二中密度領域SM1〜SM4の前後の幅寸法は特に限定しないが、典型的には対応する第二高密度領域及び第二低密度領域よりも小寸に設定されている。
また本実施例の各第二中密度領域SM1〜SM4では、第二構成糸32同士が、対応する第二高密度領域から第二低密度領域に向かうにつれて次第に疎に配置されていく(グラデーション的に配置されていく)。例えば第二構成糸32の繊度が167T(dtex)の場合、右側の第二高密度領域SH1では、44本/inchで第二構成糸32が打ち込まれ、右側の第二低密度領域SL1では、37本/inchで第二構成糸32が打ち込まれていたとする。この条件においては、一番目の第二中密度領域SM1中で、43本/inch〜38本/inchの範囲で右側の第二低密度領域SL1に向かうにつれて次第に減数されるように第二構成糸32を打ち込んでいくことができる。このとき第二構成糸32を、44本/inch〜38本/inchの範囲で連続的又は段階的に減数することができる。このように各第二中密度領域SM1〜SM4の第二構成糸32同士を適切に配置して密度を順次変化させていくことで、右側の第二低密度領域SL1と第二高密度領域SH1との伸長率の差が顕著に現れることをより確実に回避することができる。なおその他の第二中密度領域SM2〜SM4においても、一番目の第二中密度領域SM1と同様の条件で対応する第二低密度領域に向かうにつれて次第に減数されるように第二構成糸32を打ち込んでいくことができる。
[構成糸]
ここで各構成糸31,32として、動物系又は植物系の天然繊維、合成繊維又はこれらの混紡繊維の糸(通常糸)を適宜用いることができる。合成繊維として、ポリエステル系繊維、ポリアミド系繊維、ポリビニルアルコール系繊維、セルロース系繊維又はこれらの混紡繊維のフィラメントを例示できる。なかでもポリエステル系繊維(ポリエチレンテレフタレート(PET),ポリトリメチレンテレフタレート(PTT),ポリブチレンテレフタレート(PBT),ポリ乳酸など)のフィラメントや、ポリアミド系繊維(ナイロン6,ナイロン66など)のフィラメントは、使用時の耐久性に優れるため通常糸として好適に使用できる。そして通常糸の繊度(太さ)は特に限定しないが、例えば30dtex〜3000dtex程度に設定できる。また各構成糸31,32として、通常糸に比して強度に優れる高強度糸を用いることもできる。この種の高強度糸として引張強度に優れる糸を例示でき、例えばパラ系アラミド繊維、ポリパラフェニレン・ベンゾビス・オキサゾール(PBO)繊維、ポリアリレート繊維、ポリエチレン繊維製の糸を用いることができる。そして高強度糸の繊度も特に限定しないが、典型的には30T(dtex)〜3000T(dtex)程度に設定できる。
[各領域における構成糸の相違]
そして全ての領域の各構成糸31,32として通常糸を使用できるが、各高密度領域(及び各中密度領域)と各低密度領域の間で構成糸31,32の種類を異ならせることもできる。例えば各低密度領域の各構成糸31,32にのみ高強度糸を用いることで、各構成糸31,32が疎に配置されていたとしても、各低密度領域の強度性の悪化をより確実に回避することができる。また各低密度領域に適切な伸長性を付与する観点から、各低密度領域に配置されている第一構成糸31と第二構成糸32の少なくとも一方を相対的に低繊度とすることもできる。このように各低密度領域の各構成糸31,32を、各高密度領域の各構成糸31,32よりも低繊度とすることで、各低密度領域に所望の伸長性をより確実に付与することができる。ここで各低密度領域の各構成糸31,32の繊度は、各低密度領域に付与すべき伸長性に応じて設定可能であり、例えば各高密度領域の各構成糸31,32の1/4〜3/4の範囲(好ましくは概ね1/2)の繊度に設定できる。そして各低密度領域の各構成糸31,32の繊度を、高密度領域の各構成糸31,32の概ね半分の繊度とすることで、各低密度領域に対して相対的に高い伸長性を更に確実に付与することができる。
[低伸長部位の形成手法]
図3〜図5を参照して、第一構成糸31の各領域と第二構成糸32の各領域を適宜重複させることで、本体部24に、各低伸長部位51〜55と各高伸長部位41,42を形成できる。このとき各低伸長部位51〜55には、後述するように各第一高密度領域FH1,FH2と、各第一中密度領域FM1,FM2と、各第二高密度領域SH1〜SH3と、各第二中密度領域SM1〜SM4の少なくとも一つが配置される。このように各低伸長部位51〜55に、各領域の相対的に伸長しにくい部分が配置されることで、後述の各高伸長部位41,42よりも伸長しにくくされている。
前側低伸長部位51は、前側の第一高密度領域FH1及び前側の第一中密度領域FM1と、これに重なる第二構成糸32の各領域の前側部分で形成されている。この前側低伸長部位51の後部左右は、前側の第一中密度領域FM1と左右の第二低密度領域SL1,SL2が重複して伸長性が相対的に高くされている。また前側低伸長部位51の中央及び左右縁は、高密度領域同士(FH1とSH1〜SH3)が重複して伸長性が最も低くされている。また後側低伸長部位52は、後側の第一高密度領域FH2及び後側の第一中密度領域FM2と、これに重なる第二構成糸32の各領域の後側部分で形成されている。この後側低伸長部位52の前部左右は、後側の第一中密度領域FM2と左右の第二低密度領域SL1,SL2が重複して伸長性が相対的に高くされている。また後側低伸長部位52の中央及び左右縁も、高密度領域同士(FH2とSH1〜SH3)が重複して伸長性が最も低くされている。
また右側低伸長部位53は、第一低密度領域FLと、右側の第二高密度領域SH1及び一番目の第二中密度領域SM1が重複することで形成されている。この右側低伸長部位53の左縁は、第一低密度領域FLと一番目の第二中密度領域SM1が重複して伸長性が相対的に高くされている。また左側低伸長部位54は、第一低密度領域FLと、左側の第二高密度領域SH2及び四番目の第二中密度領域SM4が重複することで形成されている。この左側低伸長部位54の右縁は、第一低密度領域FLと四番目の第二中密度領域SM4が重複して伸長性が相対的に高くされている。そして中央低伸長部位55は、第一低密度領域FLと、中央の第二高密度領域SH3及び二番目の第二中密度領域SM2及び三番目の第二中密度領域SM3が重複することで形成されている。この中央低伸長部位55の左右縁は、第一低密度領域FLと各第二中密度領域SM2,SM3が重複して伸長性が相対的に高くされている。
[高伸長部位の形成手法]
そして右側の高伸長部位41は、第一低密度領域FLと、右側の第二低密度領域SL1が重複されることで形成されている。また左側の高伸長部位42は、第一低密度領域FLと、左側の第二低密度領域SL2が重複されることで形成されている。このように左右の各高伸長部位41,42が、低密度領域同士(FLとSL1,FLとSL2)が重複されて形成されることにより、本体部24において相対的に伸長しやすい部位となり、本実施例では最も伸長しやすい部位となる。
さらに各高伸長部位41,42の周囲には、隣り合う低伸長部位51〜55の相対的に高伸長性の部分(対応する中密度領域が配置する部分)が配置されている。このように各低伸長部位51〜55の対応する中密度領域を各高伸長部位41,42に隣接させることで、各低伸長部位51〜55と各高伸長部位41,42との伸長率に顕著な差が生じることを極力回避することができる。すなわち右側の高伸長部位41の前側には、前側低伸長部位51の後部右側(前側の第一中密度領域FM1)が隣接し、右側の高伸長部位41の後側には、後側低伸長部位52の前部右側(後側の第一中密度領域FM2)が隣接する。また右側の高伸長部位41の右側には、右側低伸長部位53の左縁(一番目の第二中密度領域SM1)が隣接し、右側の高伸長部位41の左側には、中央低伸長部位55の右縁(二番目の第二中密度領域SM2)が隣接する。また左側の高伸長部位42の前側には、前側低伸長部位51の後部左側(前側の第一中密度領域FM1)が隣接し、左側の高伸長部位42の後側には、後側低伸長部位52の前部左側(後側の第一中密度領域FM2)が隣接する。また左側の高伸長部位42の右側には、中央低伸長部位55の左縁(三番目の第二中密度領域SM3)が隣接し、左側の高伸長部位42の左側には、左側低伸長部位54の右縁(四番目の第二中密度領域SM4)が隣接する。
ここで本実施例では、製織後の面状体20に対して各種の仕上げ処理を行うことができる。この種の仕上げ処理として、精練工程と、染色工程と、熱セット工程と、風合い出し工程と、後加工剤付与工程と、仕上げセット工程を例示でき、これら上述の工程を全て行うこともでき、1又は複数の工程を省略することもできる。そして各工程では、面状体20に熱処理(乾熱処理又は湿熱処理)を施すことが多く、例えば90〜185℃前後の熱処理が施されることが多い。この加熱処理によって面状体20中の各構成糸31,32を面方向に収縮させることにより、面状体20に適度な伸び性を付与したり、面状体20に地厚感を出したり、面状体20の仕立て栄えを向上させたりすることができる。特に織物製の面状体20は、加熱によって十分に収縮させることが可能であり(所望のセット率とすることができ)、仕上がり後の面状体20がヘタって弛むことを極力阻止することができる。
[シートクッションの組付け作業]
図2及び図3を参照して、各保持体11〜14に面状体20を取付けたのち、この保持体11〜14を、後述するようにシートフレーム4Fの適宜の位置に取付ける。本実施例では、面状体20が、上述の通り無縫製の織物であるとともに、筒状の第一挿通部21と第二挿通部22を有している。そこで図3を参照して、第一保持体11と第二保持体12を、それぞれ面状体20の第一挿通部21に挿通しつつ左右対称となるように配置する。こうすることで各保持体11,12に面状体20の前側を、縫製作業を要することなく取付けることができる。そして右側の第一保持体11は、第一挿通部21右側に挿通された状態となり、さらに右端の掛止部11aが第一挿通部21の右端から露出するとともに、左側の掛止部11bが第一開口部21aから露出する。また左側の第二保持体12は、第一挿通部21左側に挿通された状態となり、さらに右端の掛止部12aが第一開口部21aから露出するとともに、左側の掛止部12bが第一挿通部21の左端から露出する。
また図3を参照して、第三保持体13と第四保持体14を、それぞれ面状体20の第二挿通部22に挿通しつつ左右対称となるように配置する。こうすることで各保持体13,14に面状体20の後側を、縫製作業を要することなく取付けることができる。そして右側の第三保持体13の前枠部13aは、第二挿通部22右側に挿通された状態となり、さらに右端の側枠部13cが第二挿通部22の右端から露出するとともに、左側の側枠部13dが第二開口部22aから露出する。また左側の第四保持体14の前枠部14aは、第二挿通部22左側に挿通された状態となり、さらに右端の側枠部14cが第二開口部22aから露出するとともに、左側の側枠部14dが第二挿通部22の左端から露出する。こうして本実施例では、各保持体11〜14の少なくとも一部が対応する挿通部21,22に挿通された状態とされることにより、各保持体11〜14に面状体20が取付けられている。特に本実施例では、面状体20の前後に設けられている各挿通部21,22に、対応する保持体11〜14がそれぞれ挿通される。これにより面状体20を、前後方向にバランスよく各保持体11〜14に取付けておくことができる。
つぎに面状体20を面方向に張引しつつ、各保持体11〜14を、シートフレーム4Fの適宜の位置に取付ける。このとき第一保持体11の各掛止部11a,11bと、第二保持体12の各掛止部12a,12bをそれぞれ補強フレーム4cに上側から掛止する。また第三保持体13の各側枠部13c,13dと、第四保持体14の各側枠部14c,14dをそれぞれリアフレーム4dに上側から掛止する。こうして各保持体11〜14をシートフレーム4Fの枠内に取付けることにより、面状体20を、適度なテンションをかけながらシートパッド4Pを支持可能な位置に配置することができる。そして図2を参照して、シートパッド4Pを、シートフレーム4F上に配置して面状体20で下支えした状態とし、さらにシートパッド4Pをシートカバー4Sで被覆する。
[乗員着座時における面状体の挙動(高伸長部位の役割)]
図2及び図3を参照して、乗員着座時においては、シートパッド4Pにて乗員を弾性的に支持しつつ、シートパッド4Pの荷重を、織物製の面状体20が適度に伸長しながら受け止める。そして本実施例では、図2に示す乗員臀部を支えるシートパッド部分A1,A2が大きく沈み込むことを考慮して、面状体20に、図3に示す各低伸長部位51〜55よりも伸長しやすい各高伸長部位41,42が設けられている。これら各高伸長部位41,42は、第一構成糸31と第二構成糸32の低密度領域同士(FLとSL1,FLとSL2)が重複されて形成されることにより、本体部24において最も伸長しやすくされている。そして図2に示す乗員臀部を支持するシートパッド部分A1,A2を各高伸長部位41,42が大きく伸長しながら支えることで、これらシートパッド部分A1,A2にかかる座圧が分散されることにより、より理想的な座圧分布を達成できる。特に左右の高伸長部位41,42が乗員座骨を支持するシートパッド部分A1,A2をそれぞれ受け止めることにより、座り心地の良いシート構成となる。
[中密度領域の役割]
ところで上述の構成では、図3を参照して、各低伸長部位51〜55(他の面状体部分)と各高伸長部位41,42との間の伸長率に顕著な差が発生し、これにより乗員が違和感を覚えるなどしてシート性能が悪化するおそれがある。そこで本実施例の面状体20では、同一方向に延びている構成糸同士が低密度領域よりも密で且つ高密度領域よりも疎に配置されている中密度領域(FM1,FM2,SM1〜SM4)が、隣り合う低密度領域と高密度領域の間に設けられている。また各高伸長部位41,42が、対応する低密度領域が配置されることで伸長しやすくされ、各低伸長部位51〜55が、対応する高密度領域と中密度領域のいずれかが配置されることで伸長しにくくされている。そして各低伸長部位51〜55における中密度領域(FM1,FM2,SM1〜SM4)を各高伸長部位41,42に隣接させることで、各低伸長部位51〜55と各高伸長部位41,42の伸長率との伸長率に顕著な差が生じることを極力回避している。
すなわち右側の高伸長部位41の周囲に、対応する低伸長部位51〜53,55の中密度領域(前側の第一中密度領域FM1,後側の第一中密度領域FM2,一番目の第二中密度領域SM1,二番目の第二中密度領域SM2)が配置する。こうして各低伸長部位51〜53,55の相対的に伸長しやすい部分を右側の高伸長部位41に隣接させることで、各低伸長部位51〜53,55と右側の高伸長部位41との伸長率に顕著な差が生じることを極力回避することができる。また同様に左側の高伸長部位42の周囲に、対応する低伸長部位51,52,54,55の中密度領域(前側の第一中密度領域FM1,後側の第一中密度領域FM2,三番目の第二中密度領域SM3,四番目の第二中密度領域SM4)が配置する。こうして各低伸長部位51,52,54,55の相対的に伸長しやすい部分を左側の高伸長部位42に隣接させることで、各低伸長部位51,52,54,55と左側の高伸長部位42との伸長率に顕著な差が生じることを極力回避することができる。特に本実施例の各中密度領域FM1,FM2,SM1〜SM4では、対応する低密度領域に向かうにつれて次第に減数されるように構成糸が配置されている。このため左右の高伸長部位41,42と隣接する各低伸長部位51〜55との伸長率に顕著な差が生じることを更に確実に回避することができる。
[他の面状体部分(低伸長部位)の役割]
さらに本実施例では、図3を参照して、各低伸長部位51〜55を面状体20の適所に配置することで、シート性能を更に向上させることができる。例えば前側低伸長部位51が、図2に示す乗員臀部を支えるシートパッド部分A1,A2よりも前方のシートパッド前部を支えており、このシートパッド前部は乗員脚部を支える部分である。そして前側低伸長部位51によってシートパッド前部をしっかり支えることにより、乗員が運転時の姿勢を取りやすくなる。また右側低伸長部位53と左側低伸長部位54が、シートパッド左右縁をしっかり支えることにより、着座状態における乗員の左右のぐらつきを極力抑えることができる。特に本実施例では、前側低伸長部位51と後側低伸長部位52の左右縁も相対的に伸長しにくいため、乗員の左右のぐらつきを更に確実に抑えることができる。そして中央低伸長部位55は、左右の高伸長部位41,42の間に配置されて乗員座骨間の部分を支えるシートパッド中央部分をしっかり支えている。この中央低伸長部位55によって、乗員の体全体が過度に沈み込まないように規制しつつ、左右の高伸長部位41,42によって乗員座骨から受ける座圧を効果的に分散することができる。特に本実施例では、前側低伸長部位51と後側低伸長部位52の中央も相対的に伸長しにくいため、乗員の体全体が過度に沈み込まないように更に確実に規制することができる。
以上説明した通り本実施例によれば、構成糸31(32)同士の配置関係を異ならせることで、相対的に伸長しやすい低密度領域FL(SL1,SL2)を面状体20に形成する。そしてこの低密度領域FL(SL1,SL2)によって、積層用布材などの他部材を要することなく各高伸長部位41,42を伸長しやすくすることができる。特に面状体20に設けられている二種類の低密度領域(第一低密度領域FLと第二低密度領域SL1,SL2)を重複して配置することによって各高伸長部位41,42をより確実に伸長しやすくすることができる。さらに他の面状体部分51〜55の中密度領域FM1,FM2,SM1〜SM4を各高伸長部位41,42に隣接させることで、他の面状体部分51〜55と各高伸長部位41,42との伸長率に顕著な差が生じることを極力回避することができる。このとき本実施例では、第一低密度領域FLと第一高密度領域FH1,FH2の間に第一中密度領域FM1,FM2を設けるとともに、第二低密度領域SL1,SL2と第二高密度領域SH1〜SH3の間にも別の第二中密度領域SM1〜SM4を設けている。そしてこれら二種類の中密度領域により他の面状体部分51〜55と各高伸長部位41,42との伸長率に顕著な差が生じることをより確実に回避することができる。
また本実施例では、低密度領域FL(SL1,SL2)に対応する構成糸31(32)が疎に配置されていても、高強度の構成糸31(32)を用いることにより、各高伸長部位41,42の強度性の悪化をより確実に回避することができる。そして本実施例では、中密度領域FM1,FM2,SM1〜SM4の構成糸同士を適切に配置して密度を順次変化させていく(グラデーション的に変化させていく)ことで、他の面状体部分51〜55と各高伸長部位41,42との伸長率に顕著な差が生じることを更に確実に回避することができる。このため本実施例によれば、シートの座圧分散性能向上のため、面状体20の伸長率を部分的に性能良く変更することができる。
[変形例1(規制構造の一例)]
ここで本体部の構成は、上述の構成のほか、各種の構成を取り得る。例えば図6を参照して、本変形例の本体部24には、右側の高伸長部位41が設けられ、この右側の高伸長部位41では、第一低密度領域FLと、右側の第二低密度領域SL1が重複して配置されている。そして右側の高伸長部位41では、隣り合う第一構成糸31同士(又は隣り合う第二構成糸32同士)が疎に配置されているため、構成糸同士が離間する目開きが生じやすい。そして過度の目開きが生じた場合には、面状体20の意匠性や耐久性が低下することが懸念される。
そこで本変形例の右側の高伸長部位41には、第一構成糸31と第二構成糸32の相対移動を規制する規制構造60が設けられており、この規制構造60は、第一構成糸31による絡み組織で構成されている。すなわち本変形例では、第一構成糸31を、二本の通常糸(又は高強度糸)Ya,Ybを撚り合わせた撚糸を用いている(図6では、便宜上、一方の糸にハッチを付けて図示している)。そして右側の高伸長部位41の織製に際しては、第一構成糸31をなしている二本の通常糸Ya,Ybが第二構成糸32に適宜交絡した絡み組織を形成する。この規制構造60としての絡み組織では、第二構成糸32に二本の通常糸Ya,Ybが絡みながら配置されていることで、第一構成糸31と第二構成糸32の相対移動が好適に規制される。このため隣り合う第一構成糸31同士が離間しようとする動き(目開き発生)を、規制構造60としての絡み組織で好適に阻止でき、右側の高伸長部位41の強度性の悪化を極力回避できる。また同様に隣り合う第二構成糸32同士が離間しようとする動きを、規制構造60としての絡み組織で好適に阻止できる。
[変形例2(規制構造の他例)]
また規制構造として、第一構成糸と第二構成糸を接着固定している固定部(図示省略)を用いることもできる。この規制構造としての固定部は、第一構成糸と第二構成糸の少なくとも一方に、加熱により溶融したのち固化可能な融着糸を用いることで形成できる。そして融着糸として、通常糸(高強度糸)の融点よりも低い融点の糸を用いることが望ましく、通常糸(高強度糸)の融点より20℃以下の融点を有する糸を用いることが更に好ましい。例えばポリエチレンテレフタレートの通常糸を用いる場合、240℃以下の融点を有する融着糸(例えばポリアミド系、ポリエステル系、ポリエチレン系、ナイロン系の融着糸)を用いることができる。また融着糸は、その一部が溶融及び固化可能であればよく、この種の融着糸として、全溶融型や混繊型、芯鞘型の融着糸を例示できる。混繊型の融着糸とは、比較的高融点の繊維と、比較的低融点の繊維(融着部分)が混在する合成繊維の糸である。また芯鞘型の融着糸とは、比較的高融点の芯材部分と、比較的低融点の鞘部分(融着部分)とを有する合成繊維の糸である。そして高伸長部位の製織に際しては、第一構成糸又は第二構成糸の少なくとも一部を融着糸とする。つぎに面状体の仕上げ工程時の加熱によって融着糸を溶融固化させて交差している相手側の構成糸に一体化した固定部を構成する。この固定部(規制構造)によっても、第一構成糸と第二構成糸が部分的に一体化されるため、これら各構成糸の目開きを好適に阻止することができる。
[変形例3]
また本実施例の構成は、図1に示すシートバック6にも適用することができ、このシートバック6は、着座状態の乗員の上半身を支持する部材である。そしてシートバック6に面状体を配置する場合には、面状体(図示省略)の上部に高伸長部位を設けて、乗員肩甲骨を支えるシートパッド部分A3,A4に対面状に配置しておくことができる。こうすることでハンドリングの際に乗員が肩や手などをスムーズに動かすことが可能となる。また面状体の下部に低伸長部位を設けて、乗員腰部を支えるシートパッド部分A5に対面状に配置しておくこともできる。そして低伸長部位によって、乗員腰部を支持するシートパッド部分A5がしっかり支えることにより、着座状態における乗員を安定的に支持しておくことができる。なお面状体の上部とは、起立状態のシートバック6を基準として、面状体を上下に二分割した場合に、乗員肩甲骨を支持するシートパッド部分A3,A4に対面する部分を含む上方側の部分である。また面状体の下部とは、面状体を上下に二分割した場合に、面状体の上部を除く下方側の部分である。
本実施形態の乗物用シートは、上述した実施形態に限定されるものではなく、その他各種の実施形態を取り得る。例えば本実施形態では、面状体20の構成(形状,寸法,挿通部の構成など)を例示したが、面状体の構成を限定する趣旨ではない。例えば面状体は、シートフレームの枠内に配置されるシートパッドを支持可能である限り、各種の形状と寸法を取り得る。また保持体の構成に応じて、前縁と後縁と右縁と左縁の少なくとも一つの部位に挿通部を設けることができる。また挿通部には、複数の開口部を設けることができ、開口部を省略することもできる。そして挿通部は、保持体を挿通可能な部位であればよく、袋織組織以外にも適宜の手法で形成することができる。また保持体を省略して、面状体をシートフレームに直接取付けることもできる。
また本実施形態では、高伸長部位41,42と、他の面状体部分である低伸長部位51〜55の構成(形状,寸法,形成位置,形成数など)を例示したが、これら各部位の構成を限定する趣旨ではない。例えば高伸長部位は、乗員臀部や乗員肩甲骨(肩部)を支えるシートパッド部分を支える面状体部分のほか、シートパッドの構成に応じて面状体の適所に複数又は単数設けることができる。例えば高伸長部位は、乗員臀部等を網羅するように単数設けることもでき、3以上の高伸長部位を設けることもできる。また高伸長部位の構成に合わせて、低伸長部位の構成を適宜変更することができる。
また本実施形態では、低密度領域FL,SL1,SL2と高密度領域FH1,FH2,SH1〜SH3と中密度領域FM1,FM2,SM1〜SM4の構成(形状,寸法,形成位置,形成数,構成糸の密度など)を例示したが、これら各領域の構成を限定する趣旨ではない。例えば第一構成糸のみによって各領域を形成し、第二構成糸を面状体の全面に同密度で配置することもできる。また逆に第二構成糸のみによって各領域を形成し、第一構成糸を面状体の全面に同密度で配置することもできる。また中密度領域は、構成糸同士を適切に配置して密度を順次変化させていく場合のほか、構成糸同士を同密度で配置することでも形成できる。また本実施例のように、低密度領域(又は高密度領域又は中密度領域)を複数形成する場合、低密度領域(又は高密度領域又は中密度領域)ごとに構成を変更することができる。そして実施例と各変形例の構成は適宜組み合わせて用いることができる。
また本実施形態の高密度領域と低密度領域と中密度領域では、第一構成糸又は第二構成糸の配置関係を異ならせて(疎密の差を設けて)伸長性に差を設ける例を説明した。これとは異なり高密度領域と低密度領域と中密度領域において、第一構成糸又は第二構成糸の断面積を異ならせて疎密の差を設けることもできる。すなわち各領域において構成糸の配置本数が同一であったとしても、相対的に断面積の大きい構成糸が配置する部分では構成糸同士が密に配置することとなる。このため第一構成糸又は第二構成糸の断面積を異ならせる場合には、高密度領域と低密度領域と中密度領域における第一構成糸同士又は第二構成糸の配置関係を概ね同一とすることができ、異ならせることもできる。
また本実施形態では、保持体11〜14の構成(形状,寸法,配置位置,配置数など)を例示したが、保持体の構成を限定する趣旨ではない。例えば第一挿通部や第二挿通部に、それぞれ単数の長尺な保持体を挿通しておくこともできる。また面状体の周縁を縁取るように保持体を設けることができ、この場合には、枠状の単数の保持体を用いることができ、複数の保持体を並列して用いることができる。またシートフレームに対する保持体の取付け手法として、掛止や係止や嵌装や締結などの直接的な取付け手法や、バネ材などの他部材を介した間接的な取付け手法を例示できる。また保持体は、フロントフレーム、サイドフレーム、補強フレーム、リアフレームの少なくとも一つに取付けることができ、枠内の一辺をなす他のフレーム(本願では図示省略)に取付けることもできる。なお保持体は、面状体を保持可能な剛性を有している限り、棒材やワイヤ材やパイプ材や板材などの各種部材で形成することができる。なお本実施例では、面状体の外形形状を維持して(各構成糸が略直交状に交差している状態を維持して)、各保持体を対応するシートフレームに取付ける例を説明した。これとは異なり略矩形の面状体を例えば平行四辺形状となるように変形させて(各構成糸が斜めに交差するように配置して)各保持体を対応するシートフレームに取付けることもできる。
また本実施形態では、乗物用シート2の構成(形状,寸法,構成部材など)を例示したが、乗物用シートの構成を限定する趣旨ではない。また本実施形態の構成は、シートクッション4やシートバック6のほかにも各種シート構成部材に適用できる。そして本実施形態の構成は、車両や航空機や電車などの乗物用シート全般に適用できる。
2 乗物用シート
4 シートクッション
6 シートバック
8 ヘッドレスト
4F シートフレーム
4P シートパッド
4S シートカバー
11〜14 保持体
20 面状体
21 第一挿通部
22 第二挿通部
24 本体部
31 第一構成糸
32 第二構成糸
41 右側の高伸長部位
42 左側の高伸長部位
51 前側低伸長部位(本発明の他の面状体部分)
52 後側低伸長部位(本発明の他の面状体部分)
53 右側低伸長部位(本発明の他の面状体部分)
54 左側低伸長部位(本発明の他の面状体部分)
55 中央低伸長部位(本発明の他の面状体部分)
60 規制構造
FH1 前側の第一高密度領域
FH2 後側の第一高密度領域
FL 第一低密度領域
FM1 前側の第一中密度領域
FM2 後側の第一中密度領域
SH1 右側の第二高密度領域
SH2 左側の第二高密度領域
SH3 中央の第二高密度領域
SL1 右側の第二低密度領域
SL2 左側の第二低密度領域
SM1 一番目の第二中密度領域
SM2 二番目の第二中密度領域
SM3 三番目の第二中密度領域
SM4 四番目の第二中密度領域
A1,A2 乗員臀部を支えるシートパッド部分
A3,A4 乗員肩甲骨を支えるシートパッド部分
A5 乗員腰部を支えるシートパッド部分

Claims (6)

  1. シート骨格をなす枠状のシートフレームと、乗員を弾性的に支持可能なシートパッドと、前記シートフレームの枠内に配置する前記シートパッドを裏側から支持している面状体とを備え、前記面状体に、他の面状体部分よりも伸長しやすい高伸長部位が設けられている乗物用シートにおいて、
    前記面状体は、複数の構成糸が交絡している織物であって、同一方向に延びている構成糸同士が疎に配置された低密度領域と、同一方向に延びている構成糸同士が前記低密度領域よりも密に配置された高密度領域とを有し、隣り合う前記低密度領域と前記高密度領域の間に、同一方向に延びている構成糸同士が前記低密度領域よりも密で且つ前記高密度領域よりも疎に配置された中密度領域が設けられ、
    前記高伸長部位が、前記低密度領域が配置されることで伸長しやすくされ、前記他の面状体部分が、前記高密度領域と前記中密度領域が配置されることで伸長しにくくされ、前記他の面状体部分における前記中密度領域が前記高伸長部位に隣接している乗物用シート。
  2. 前記面状体が、一方向に延びている複数の第一構成糸と、前記一方向に交差する方向に延びている複数の第二構成糸とが交絡している織物であって、前記低密度領域及び前記高密度領域として、前記複数の第一構成糸による第一低密度領域及び第一高密度領域と、前記複数の第二構成糸による第二低密度領域及び第二高密度領域とを有し、
    前記第一低密度領域と前記第一高密度領域の間と、前記第二低密度領域と前記第二高密度領域の間とにそれぞれ前記中密度領域が設けられ、
    前記高伸長部位が、前記第一低密度領域と前記第二低密度領域が重複して配置されることで伸長しやすくされ、前記他の面状体部分が、前記第一高密度領域及び前記第二高密度領域の少なくとも一つの領域と前記中密度領域が配置されることで伸長しにくくされ、前記他の面状体部分における前記中密度領域が前記高伸長部位に隣接している請求項1に記載の乗物用シート。
  3. 前記面状体が、一方向に延びている複数の第一構成糸と、前記一方向に交差する方向に延びている複数の第二構成糸とが交絡している織物であって、
    前記高伸長部位に、前記第一構成糸と前記第二構成糸の相対移動を規制する規制構造が設けられている請求項1又は2に記載の乗物用シート。
  4. 前記低密度領域に配置されている前記構成糸が、前記高密度領域に配置されている前記構成糸よりも高強度である請求項1〜3のいずれか一項に記載の乗物用シート。
  5. 前記中密度領域では、同一方向に延びている構成糸同士が、前記高密度領域から前記低密度領域に向かうにつれて次第に疎に配置されていく請求項1〜4のいずれか一項に記載の乗物用シート。
  6. 前記乗物用シートが、着座状態の乗員の下半身を支持するシートクッションと、前記シートクッションの後部から起立した状態とされて着座状態の乗員の上半身を支持するシートバックとを有し、前記シートクッションと前記シートバックの少なくとも一方の部材が、前記シートフレームと前記シートパッドと前記面状体とを備えており、
    前記一方の部材が前記シートクッションである場合には、着座状態の乗員座骨を支持するシートパッド部分を支える前記面状体の後部に前記高伸長部位が設けられ、
    前記一方の部材が前記シートバックである場合には、着座状態の乗員肩甲骨を支持するシートパッド部分を支える前記面状体の上部に前記高伸長部位が設けられる請求項1〜5のいずれか一項に記載の乗物用シート。
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