JP2018122764A - 駆動力伝達装置の制御装置及び制御方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】運転者等に不快感を与えてしまう振動が発生することを抑制しながら、四輪駆動車の二輪駆動状態から四輪駆動状態への移行時に駆動力伝達装置によって伝達される駆動力を速やかに立ち上げることが可能な駆動力伝達装置の制御装置及び制御方法を提供する。【解決手段】駆動力伝達装置5を制御する制御装置9は、摩擦クラッチ53を押圧するピストン50の油圧を調整する電磁弁82及び油圧ポンプ81を駆動する電動モータ80を制御する。制御装置9は、電動モータ80及び電磁弁82の動作速度と振動との関係を示す第1及び第2の関係情報901,902を記憶する記憶部90と、第1及び第2の関係情報901,902を参照して電動モータ80及び電磁弁82で発生する振動強度を演算する振動演算手段911と、振動強度が所定値を超えているときに電動モータ80及び電磁弁82を振動強度が小さくなるように制御する振動抑制制御手段912とを有する。【選択図】図4

Description

本発明は、駆動力伝達装置の制御装置及び制御方法に関する。
従来、左右前輪及び左右後輪のうち、一方を駆動源の駆動力が常時伝達される主駆動輪として、また他方を駆動源の駆動力が走行状態等に応じて伝達される補助駆動輪として有する四輪駆動車がある。補助駆動輪には、伝達される駆動力を調節可能な駆動力伝達装置を介して駆動源の駆動力が伝達される。このような駆動力伝達装置には、電動モータによって駆動される油圧ポンプの吐出圧を電磁弁で調整してピストンに作用させ、ピストンの軸方向移動によって入出力回転部材間に配置された複数のクラッチプレート同士を摩擦接触させて駆動力を伝達するものがある(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に記載の駆動力伝達装置において、電動モータ、油圧ポンプ、及び電磁弁を有する油圧ユニットは、制御装置によって制御される。制御装置は、主駆動輪のみに駆動力が伝達される二輪駆動状態から主駆動輪及び補助駆動輪に駆動力が伝達される四輪駆動状態に移行する際、電動モータにモータ電流を供給して油圧ポンプを駆動し、かつピストンに作用させる油圧に応じた制御電流を電磁弁に供給する。
特開2016−179734号公報
上記のように構成された四輪駆動車の二輪駆動状態での走行時において、例えば主駆動輪にスリップが発生した際には、速やかに四輪駆動状態への移行を完了させるため、電動モータ及び電磁弁を高速で作動させることが望ましい。しかし、この場合、電動モータや電磁弁において大きな振動が発生し、この振動が直接的に又は音として運転者や同乗者に感知され、運転者や同乗者に不快感を与えてしまうおそれがある。このような振動を抑制するためには、電動モータの加速を緩やかにすること等が考えられるが、この場合にはピストンに作用する油圧の立ち上がりが遅れ、補助駆動輪に駆動力が伝達されるまでに長い時間を要してしまう。
そこで、本発明は、運転者や同乗者に不快感を与えてしまうレベルの振動が発生することを抑制しながら、二輪駆動状態から四輪駆動状態への移行時に駆動力伝達装置によって伝達される駆動力を速やかに立ち上げることが可能な駆動力伝達装置の制御装置及び制御方法を提供することを目的とする。
本発明は、上記の目的を達成するため、駆動力が入力される入力回転部材と、駆動力を出力する出力回転部材と、前記入力回転部材と前記出力回転部材との間に配置された摩擦クラッチと、前記摩擦クラッチを押圧するピストンと、前記ピストンに作用する油圧を調整する電磁弁と、前記電磁弁に供給する油圧を発生させる油圧ポンプと、前記油圧ポンプを駆動する電動モータと、を備えた駆動力伝達装置を制御する制御装置であって、前記電磁弁及び前記電動モータのうち少なくとも何れか一方を含む振動抑制対象の制御状態と前記振動抑制対象から発生する振動の振動特性との関係を示す関係情報を記憶する記憶手段と、前記関係情報を参照して前記振動抑制対象で発生する振動強度を演算する振動演算手段と、前記振動演算手段で演算された前記振動強度が所定値を超えている場合、前記振動抑制対象で発生する振動強度が小さくなるように前記振動抑制対象を制御する振動抑制制御手段と、を有する駆動力伝達装置の制御装置を提供する。
また本発明は、上記の目的を達成するため、駆動力が入力される入力回転部材と、駆動力を出力する出力回転部材と、前記入力回転部材と前記出力回転部材との間に配置された摩擦クラッチと、前記摩擦クラッチを押圧するピストンと、前記ピストンに作用する油圧を調整する電磁弁と、前記電磁弁に供給する油圧を発生させる油圧ポンプと、前記油圧ポンプを駆動する電動モータと、を備えた駆動力伝達装置の制御方法であって、前記電磁弁及び前記電動モータのうち少なくとも何れか一方を含む振動抑制対象の制御状態と前記振動抑制対象から発生する振動の振動特性との関係を示す関係情報を参照して前記振動抑制対象で発生する振動強度を演算し、前記演算した振動強度が所定値を超えている場合、前記振動抑制対象で発生する振動強度が小さくなるように前記振動抑制対象を制御する、駆動力伝達装置の制御方法を提供する。
本発明に係る駆動力伝達装置の制御装置及び制御方法によれば、主駆動輪及び補助駆動輪を有する四輪駆動車の運転者や同乗者に不快感を与えてしまうレベルの振動が発生することを抑制しながら、二輪駆動状態から四輪駆動状態への移行時に駆動力伝達装置によって伝達される駆動力を速やかに立ち上げることが可能となる。
本発明の実施の形態に係る駆動力配分装置が搭載された四輪駆動車の構成例を模式的に示す構成図である。 駆動力配分装置の構成例を水平断面で示す断面図である。 図2の一部拡大図である。 油圧ユニット及び制御装置の構成例を模式的に示す構成図である。 電磁弁の構成例をその周辺部と共に示す断面図である。 電動モータの振動特性の一例を示し、(a)は三次元マップを、(b)は(a)の三次元マップの元となる数値を示す表である。 電磁弁の振動特性の一例を示し、(a)は三次元マップを、(b)は(a)の三次元マップの元となる数値を示す表である。 二輪駆動状態から四輪駆動状態に移行する際に制御装置の制御部が実行する処理の一例を示すフローチャートである。 図8に示すフローチャートにおけるステップS40の処理を詳細に示すフローチャートである。 第2の実施の形態において、制御部が振動演算手段及び振動抑制制御手段として実行する処理を含む処理手順を示すフローチャートである。
[実施の形態]
本発明の実施の形態について、図1乃至図9を参照して説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、本発明を実施する上での好適な具体例として示すものであり、技術的に好ましい種々の技術的事項を具体的に例示している部分もあるが、本発明の技術的範囲は、この具体的態様に限定されるものではない。
図1は、本発明の実施の形態に係る駆動力配分装置が搭載された四輪駆動車の構成例を模式的に示す構成図である。
四輪駆動車100は、走行用の駆動力を発生させる駆動源としてのエンジン102、トランスミッション103、左右一対の主駆動輪としての前輪104L,104R及び左右一対の補助駆動輪としての後輪105L,105Rと、エンジン102の駆動力を前輪104L,104R及び後輪105L,105Rに伝達可能な駆動力伝達系101と、制御装置9とを備えている。この四輪駆動車100は、エンジン102の駆動力を前輪104L,104R及び後輪105L,105Rに伝達する四輪駆動状態と、エンジン102の駆動力を前輪104L,104Rのみに伝達する二輪駆動状態とを切り替え可能である。なお、本実施の形態において、各符号における「L」及び「R」は、車両の前進方向に対する左側及び右側の意味で使用している。
駆動力伝達系101は、フロントディファレンシャル11と、駆動力の伝達を遮断可能な噛み合いクラッチ12と、プロペラシャフト108と、駆動力配分装置1と、前輪側のドライブシャフト106L,106Rと、後輪側のドライブシャフト107L,107Rとを有する。前輪104L,104Rには、エンジン102の駆動力が常に伝達される。後輪105L,105Rには、噛み合いクラッチ12、プロペラシャフト108、及び駆動力配分装置1を介してエンジン102の駆動力が伝達される。駆動力配分装置1は、エンジン102の駆動力を左右の後輪105L,105Rに断続可能かつ差動を許容して配分することが可能である。
フロントディファレンシャル11は、一対の前輪側のドライブシャフト106L,106Rにそれぞれ連結された一対のサイドギヤ111、一対のサイドギヤ111にギヤ軸を直交させて噛合する一対のピニオンギヤ112、一対のピニオンギヤ112を支持するピニオンギヤ支持部材113、及びこれら一対のサイドギヤ111と一対のピニオンギヤ112とピニオンギヤ支持部材113を収容するフロントデフケース114を有している。フロントデフケース114には、トランスミッション103で変速されたエンジン102の駆動力が伝達される。
噛み合いクラッチ12は、フロントデフケース114と一体に回転する第1回転部材121と、第1回転部材121と軸方向に並んで配置された第2回転部材122と、第1回転部材121と第2回転部材122とを相対回転不能に連結することが可能なスリーブ123とを有している。スリーブ123は、図略のアクチュエータにより、第1回転部材121及び第2回転部材122に噛み合う連結位置と、第2回転部材122にのみ噛み合う非連結位置との間を軸方向に移動する。スリーブ123が連結位置にあるとき、第1回転部材121と第2回転部材122とが相対回転不能に連結され、スリーブ123が非連結位置にあるとき、第1回転部材121と第2回転部材122とが相対回転自在となる。
プロペラシャフト108は、エンジン102のトルクをフロントデフケース114から噛み合いクラッチ12を介して受け、駆動力配分装置1側に伝達する。制御装置9は、プロペラシャフト108の回転速度を検出する回転速センサ109の出力信号を取得可能である。プロペラシャフト108の前輪側端部にはピニオンギヤ108aが設けられており、このピニオンギヤ108aが、噛み合いクラッチ12の第2回転部材122に相対回転不能に連結されたリングギヤ108bに噛み合っている。ピニオンギヤ108a及びリングギヤ108bは、例えばハイポイドギヤ対からなり、ギヤオイルによって潤滑される。
エンジン102は、トランスミッション103、及びフロントディファレンシャル11を介して、一対の前輪側のドライブシャフト106L,106Rに駆動力を出力することにより、一対の前輪104L,104Rを駆動する。また、エンジン102は、トランスミッション103、噛み合いクラッチ12、プロペラシャフト108、及び駆動力配分装置1を介して後輪側のドライブシャフト107L,107Rに駆動力を出力することにより、一対の後輪105L,105Rを駆動する。
駆動力配分装置1は、プロペラシャフト108から入力される駆動力を後輪側のドライブシャフト107L,107Rに差動を許容して配分する。ドライブシャフト107Lは左後輪105Lに連結され、ドライブシャフト107Rは右後輪105Rに連結されている。制御装置9は、例えば前輪104L,104Rの平均回転速度と後輪105L,105Rの平均回転速度との差である差動回転速度が高いほど、また運転者によるアクセルペダルの踏み込み操作量が大きいほど、後輪105L,105Rに大きな駆動力が伝達されるように駆動力配分装置1を制御する。
(駆動力配分装置の全体構成)
図2は、駆動力配分装置1の構成例を示す断面図である。図3は、図2の拡大図である。図2では、駆動力配分装置1の全体を、後輪側のドライブシャフト107L,107Rの一部と共に示している。
駆動力配分装置1は、車体に支持される装置ケース2と、プロペラシャフト108が連結される連結部材31と、連結部材31と一体に回転するピニオンギヤシャフト32と、ピニオンギヤシャフト32からエンジン102の駆動力を受けて回転するデフケース40と、デフケース40に入力された駆動力を一対のサイドギヤ43から差動を許容して出力する差動歯車機構4と、差動歯車機構4の一方のサイドギヤ43とドライブシャフト107Lとの間で駆動力を伝達するクラッチ機構5Aを有する駆動力伝達装置5と、差動歯車機構4とクラッチ機構5Aとの間に配置された軸状の中間軸500とを備えている。駆動力伝達装置5は、図1に示すように、作動油の油圧によって作動するクラッチ機構5Aと、クラッチ機構5Aに作動油を供給する油圧ユニット5Bとを有している。
連結部材31とピニオンギヤシャフト32とは、ボルト301及び座金302によって結合されている。また、ピニオンギヤシャフト32は、軸部321とギヤ部322とを有し、軸部321が一対の円錐ころ軸受71,72によって回転可能に支持されている。ギヤ部322は、複数のボルト400によってデフケース40と一体に回転するように固定されたリングギヤ44に噛み合っている。ピニオンギヤシャフト32のギヤ部322及びリングギヤ44は、例えばハイポイドギヤからなり、装置ケース2に封入されたギヤオイルによって潤滑される。
差動歯車機構4は、デフケース40に支持されたピニオンシャフト41と、ピニオンシャフト41に軸支された一対のピニオンギヤ42と、一対のピニオンギヤ42にギヤ軸を直交させて噛合する一対のサイドギヤ43とを有している。デフケース40は、円錐ころ軸受73,74によって装置ケース2に回転可能に支持されている。中間軸500は、一対のサイドギヤ43のうち一方のサイドギヤ43と相対回転不能に連結されている。クラッチ機構5Aは、中間軸500から入力される駆動力を断続及び調節可能にドライブシャフト107Lに伝達する。
四輪駆動車100の直進時において、一方のサイドギヤ43から中間軸500及びクラッチ機構5Aを経てドライブシャフト107Lに伝達される駆動力が調節されると、差動歯車機構4の差動機能により、ドライブシャフト107Rにも、ドライブシャフト107Lに伝達される駆動力と同等の駆動力が伝達される。ドライブシャフト107Rは、一対のサイドギヤ43のうち、中間軸500とは反対側の他方のサイドギヤ43にスプライン嵌合によって相対回転不能に連結されている。ドライブシャフト107Lは、スプライン嵌合によって後述する第2回転部材52の連結部521に相対回転不能に連結されている。
(クラッチ機構の構成)
クラッチ機構5Aは、油圧ユニット5Bから供給される作動油の圧力によって動作するピストン50と、中間軸500と一体に回転する第1回転部材51と、ドライブシャフト107Lと一体に回転する第2回転部材52と、第1回転部材51と第2回転部材52との間に配置された摩擦クラッチ53と、ピストン50と摩擦クラッチ53との間に配置されたプレッシャプレート54及びスラストころ軸受55とを有している。クラッチ機構5Aは、第1回転部材51に入力される駆動力を第2回転部材52からドライブシャフト107Lに出力する。第1回転部材51は本発明の入力回転部材に相当し、第2回転部材52は本発明の出力回転部材に相当する。
摩擦クラッチ53は、図3に示すように、第1回転部材51と共に回転する複数のインナクラッチプレート531と、第2回転部材52と共に回転する複数のアウタクラッチプレート532とからなる。インナクラッチプレート531とアウタクラッチプレート532との摩擦摺動は、図略の潤滑油によって潤滑される。複数のインナクラッチプレート531及び複数のアウタクラッチプレート532は、軸方向に沿って交互に配置されている。
摩擦クラッチ53は、ピストン50の押圧力をプレッシャプレート54及びスラストころ軸受55を介して受けることによって発生するインナクラッチプレート531とアウタクラッチプレート532との摩擦力により、第1回転部材51と第2回転部材52との間で駆動力を伝達する。ピストン50は、第1回転部材51及び第2回転部材52の回転軸線Oに沿う軸方向移動により摩擦クラッチ53を押圧する。
第1回転部材51は、外周面に軸方向に沿って延びる複数のスプライン突起からなるスプライン係合部511aが形成された円筒状の円筒部511と、円筒部511よりも小径で、中間軸500がスプライン嵌合により連結される有底円筒状の連結部512と、円筒部511と連結部512とを接続する接続部513とを一体に有している。連結部512の外周面には、装置ケース2に支持されたシール部材790が摺接する。シール部材790は、クラッチ機構5Aの収容空間と差動歯車機構4の収容空間とを区画している。
プレッシャプレート54は、第1回転部材51の円筒部511の端部に形成された突起511bを挿通させる挿通孔540が形成されており、第1回転部材51に対して相対回転不能かつ軸方向移動可能である。プレッシャプレート54は、第1回転部材51の円筒部511よりも外周側に配置されて摩擦クラッチ53を押圧する押圧部541と、円筒部511の内側に配置された内壁部542とを有している。挿通孔540は、押圧部541と内壁部542との間に形成されている。プレッシャプレート54の内壁部542と、第1回転部材51の接続部513との間には、複数のコイルばね57が軸方向に圧縮された状態で配置されている。図2及び図3では、このうち1つのコイルばね57を図示している。複数のコイルばね57は、プレッシャプレート54をピストン50側に付勢している。
第2回転部材52は、第1回転部材51と軸方向に並置されている。第2回転部材52は、図3に示すように、ドライブシャフト107Lが連結される連結部521と、連結部521の第1回転部材51側の端部から軸方向に突出するボス部522と、連結部521から外方に張り出した環状の壁部523と、壁部523の外周端部から軸方向に延びる円筒状の円筒部524とを一体に有している。
摩擦クラッチ53は、第1回転部材51の円筒部511と、第2回転部材52の円筒部524との間に配置されている。インナクラッチプレート531には、その内周側の端部に第1回転部材51の円筒部511のスプライン係合部511aに係合する複数の突起531aが形成されている。これにより、インナクラッチプレート531は、第1回転部材51に対して軸方向移動可能かつ相対回転不能に連結されている。また、アウタクラッチプレート532には、その外周側の端部に第2回転部材52の円筒部524の内周面に形成されたスプライン係合部524aに係合する複数の突起532aが形成されている。これにより、アウタクラッチプレート532は、第2回転部材52に対して軸方向移動可能かつ相対回転不能に連結されている。
第1回転部材51は、装置ケース2に取り付けられた玉軸受75によって支持されている。第2回転部材52は、連結部521と装置ケース2の内面との間に配置された玉軸受76によって支持されている。第2回転部材52のボス部522の外周面と第1回転部材51との間には、玉軸受77が配置されている。また、第2回転部材52の壁部523と第1ケース部材21の内面との間には、スラストころ軸受78が配置されている。
装置ケース2は、クラッチ機構5Aを収容する第1ケース部材21と、シリンダ室220が形成された第2ケース部材22と、差動歯車機構4及びデフケース40を収容する第3のケース部材23とを有している。第1ケース部材21と第2ケース部材22、及び第2ケース部材22と第3のケース部材23とは、例えばボルト締結によって結合されている。図2及び図3では、第1ケース部材21と第2ケース部材22とを結合する複数のボルト201を図示している。
第1ケース部材21には、第2回転部材52を挿通させる挿通孔の内面にシール部材791が嵌着されている。第3のケース部材23には、ドライブシャフト107Rを挿通させる挿通孔の内面にシール部材792が嵌着され、連結部材31及びピニオンギヤシャフト32を挿通させる挿通孔の内面にシール部材793が嵌着されている。
第2ケース部材22には、ピストン50に油圧を付与して摩擦クラッチ53側に移動させる作動油が供給される環状のシリンダ室220、及びシリンダ室220に作動油を供給する作動油供給孔221が設けられている。シリンダ室220は、回転軸線Oを中心として同心状に形成された円環状である。
シリンダ室220には、作動油供給孔221を介して油圧ユニット5Bから作動油が供給される。ピストン50は、軸方向の一部がシリンダ室220内に配置された状態で回転軸線O方向に進退移動可能であり、シリンダ室220に供給される作動油の油圧によって摩擦クラッチ53を押圧し、インナクラッチプレート531とアウタクラッチプレート532とを摩擦接触させる。
また、ピストン50は、シリンダ室220の作動油の圧力が低下すると、プレッシャプレート54を介して受けるコイルばね57の付勢力によってシリンダ室220の奥側に移動し、摩擦クラッチ53から離間する。ピストン50の内周面及び外周面には、それぞれ周方向溝が形成され、これらの周方向溝にOリング794,795が保持されている。
(油圧ユニット及び制御装置の構成)
図4は、クラッチ機構5A、油圧ユニット5B、及び制御装置9の構成例を模式的に示す構成図である。油圧ユニット5Bは、油圧源である油圧ポンプ81と、油圧ポンプ81を駆動する電動モータ80と、油圧ポンプ81から吐出される作動油を受けてピストン50に作用する油圧を調整する電磁弁82とを有している。電動モータ80と油圧ポンプ81とは、連結軸801によって連結されている。制御装置9は、電動モータ80にモータ電流を供給し、電動モータ80のトルクによって油圧ポンプ81を動作させる。なお、電動モータ80と油圧ポンプ81との間に、電動モータ80の回転を所定の減速比で減速する減速機を設けてもよい。電動モータ80は、例えば三相ブラシレスDCモータであるが、電動モータ80としてブラシ付きのDCモータを用いてもよい。
油圧ポンプ81は、それ自体は周知のものであり、電動モータ80の回転速度に応じた吐出圧でリザーバ803から汲み上げた作動油を吐出し、電磁弁82に供給する油圧を発生させる。油圧ポンプ81の吐出側とリザーバ803との間にはオリフィス802が配置されている。この油圧ポンプ81として、例えば外接ギヤポンプや内接ギヤポンプ、あるいはベーンポンプを用いることができる。
電磁弁82は、油圧ポンプ81からシリンダ室220に供給される作動油の圧力を調節する圧力制御弁であり、より具体的には電磁比例圧力制御バルブである。シリンダ室220に出力される作動油の圧力は、制御装置9から電磁弁82に供給される制御電流に応じて変化する。電磁弁82は、油圧ポンプ81から吐出された作動油の一部を排出し、作動油の圧力を減圧してシリンダ室220に出力する。制御装置9は、油圧ポンプ81の吐出圧がピストン50に作用させるべき作動油の油圧よりも高くなるように電動モータ80を制御する。
(電磁弁の構成)
図5は、電磁弁82の構成例を示す断面図である。電磁弁82は、ソレノイド部83と、筒状のスリーブ84と、スリーブ84に収容されたスプール弁85と、スプール弁85をソレノイド部83側に付勢する付勢部材としての復帰用スプリング86とを備えている。ソレノイド部83は、制御装置9から制御電流の供給を受けて作動し、制御電流の大きさに応じた押圧力でスプール弁85を軸方向の一側(復帰用スプリング86側)に押圧する。
電磁弁82は、バルブボディ89に形成された嵌合穴890にスリーブ84が嵌合した状態で使用される。バルブボディ89には、作動油を供給する供給通路891と、作動油をシリンダ室220側に導く出力通路892と、余剰の作動油を図略のドレンタンクに導くドレン通路893とが形成されている。供給通路891には、油圧ポンプ81から吐出された作動油が供給される。
スリーブ84には、スプール弁85を収容する弁孔840が設けられている。弁孔840には、スプール弁85が軸方向移動可能に収容されている。図5では、弁孔840の中心軸線Cよりも上側にソレノイド部83に制御電流が供給されていない状態を示し、中心軸線Cよりも下側にソレノイド部83に定格値の制御電流が供給された状態を示している。
スリーブ84には、供給通路891に連通する供給ポート841、出力通路892に連通する出力ポート842、及びドレン通路893に連通するドレンポート843が形成されている。供給ポート841には、供給通路891から作動油が供給される。出力ポート842からは、出力通路892に作動油が出力される。供給ポート841及び出力ポート842には、異物の流動を抑制するストレーナ844がそれぞれ装着されている。
スリーブ84におけるソレノイド部83とは反対側の端部の内面には、ねじ部845が設けられている。弁孔840の一端は、ねじ部845に螺合する栓体87によって閉塞され、栓体87とスプール弁85の軸方向端面との間には、コイルばねからなる復帰用スプリング86が軸方向に圧縮された状態で配置されている。
スプール弁85には、第1及び第2のランド851,852が形成されている。出力ポート842と供給ポート841との間の流路面積は、第1のランド851が弁孔840の中心軸線Cに沿って移動することにより変化し、出力ポート842から出力される作動油の圧力がこの流路面積に応じて変化する。また、出力ポート842とドレンポート843との間の流路面積は、第2のランド852が弁孔840の中心軸線Cに沿って移動することにより変化する。
栓体87は、復帰用スプリング86の一端が当接する円板状の基部871と、基部871の中心部に設けられ、スプール弁85に向かって突出する突起872と、基部871の周縁部に設けられ、スリーブ84のねじ部845に螺合する円筒部873とを一体に有している。スプール弁85には、ソレノイド部83とは反対側の端部に開口する収容穴850が形成されており、この収容孔850に円柱状の閉塞部材88が軸方向移動可能に収容されている。
収容穴850は、中心軸線Cに沿って延び、その底部側の端部と出力ポート842とが連通路853によって連通している。収容孔850の開口側への閉塞部材88の移動は、栓体87の突起872によって規制されている。連通路853から収容孔850に導入された作動油の圧力は、スプール弁85をソレノイド部83側に押圧するフィードバック圧となる。閉塞部材88は、収容穴850の開口端部を閉塞し、連通路853から導入された作動油が収容穴850の開口から漏れ出すことを抑制している。
ソレノイド部83は、スリーブ84に固定されたソレノイドケース831と、ソレノイドケース831に保持されたボビン832と、ボビン832に巻き回された電磁コイル833と、電磁コイル833が発生する磁束を受けてソレノイドケース831に対して軸方向に移動する円筒状のプランジャ834と、プランジャ834と一体に軸方向移動してスプール弁85を押圧するシャフト835と、シャフト835を挿通させてソレノイドケース831の内側に配置されたソレノイドコア836とを有している。
電磁弁82は、電磁コイル833に制御電流が供給されないとき、シャフト835が復帰用スプリング86の付勢力をスプール弁85を介して受け、シャフト835の後端部がソレノイドケース831の底部831aに当接する。このとき、供給ポート841と出力ポート842との連通が遮断されると共に、出力ポート842とドレンポート843とが連通する。
一方、電磁コイル833に制御電流が供給されると、電磁コイル833の磁力によってプランジャ834がスリーブ84側に移動する。これに伴い、シャフト835が復帰用スプリング86の付勢力に抗してスプール弁85を軸方向移動させる。これにより、供給ポート841と出力ポート842とが連通すると共に、出力ポート842とドレンポート843との連通が遮断され、供給通路891に供給された作動油が出力通路892に出力される。
(制御装置による噛み合いクラッチ及び駆動力伝達装置の制御方法)
噛み合いクラッチ12及び駆動力伝達装置5は、制御装置9によって制御される。制御装置9は、前輪104L,104Rのみに駆動力が伝達される二輪駆動状態での走行時に、噛み合いクラッチ12の第1回転部材121及び第2回転部材122との連結を解除すると共に、駆動力伝達装置5の摩擦クラッチ53を駆動力が伝達されない解放状態とする。これにより、四輪駆動車100が走行中であってもプロペラシャフト108の回転が停止し、ピニオンギヤ108aとリングギヤ108bとの噛み合い部、及びピニオンギヤシャフト32とリングギヤ44との噛み合い部におけるギヤオイルの撹拌抵抗等による走行抵抗が軽減され、ひいては四輪駆動車100の燃費性能が向上する。
また、二輪駆動状態での走行中に、例えば前輪104L,104Rの一方又は両方にスリップが発生して車両の挙動が不安定となったとき、制御装置9は、駆動力伝達装置5を制御して後輪105L,105Rの回転力を差動歯車機構4を介してピニオンギヤシャフト32に伝達し、プロペラシャフト108を回転させる。そして、制御装置9は、噛み合いクラッチ12の第1回転部材121と第2回転部材122との回転が同期したとき、噛み合いクラッチ12を制御して第1回転部材121と第2回転部材122とをスリーブ123によって連結する。これにより、エンジン102の駆動力を噛み合いクラッチ12、プロペラシャフト108、及びクラッチ機構5Aを介してドライブシャフト107L,107Rから後輪105L,105Rに伝達可能な状態となる。その後、制御装置9は、電動モータ80及び電磁弁82を制御して、後輪105L,105Rに伝達される駆動力を調節する。
この場合、後輪105L,105Rからプロペラシャフト108に伝達される回転力によって噛み合いクラッチ12を回転同期させ、第1回転部材121と第2回転部材122とをスリーブ123によって連結して後輪105L,105Rに駆動力が伝達される四輪駆動状態への移行を速やかに完了させるためには、電動モータ80及び電磁弁82を高速で作動させ、第1回転部材121と第2回転部材122との回転同期を早期に完了させることが望ましい。電動モータ80及び電磁弁82を高速で作動させることにより、速やかにシリンダ室220に所望の圧力の作動油を供給することができるためである。
しかし、この作動時に電動モータ80や電磁弁82において大きな振動(音を含む)が発生すると、運転者や同乗者に不快感を与えてしまうおそれがある。本実施の形態では、以下に述べる制御方法により、このような不快感を与えてしまうレベルの振動が発生することを抑制しながら、二輪駆動状態から四輪駆動状態への移行を可及的速やかに完了させ、後輪105L,105Rに伝達される駆動力を早期に立ち上げることを可能としている。
制御装置9は、図4に示すように、半導体記憶素子からなる記憶手段としての記憶部90と、CPU等の演算素子からなる制御部91と、電動モータ80にモータ電流を出力するモータ電流出力部92と、電磁弁82に制御電流を出力する制御電流出力部93とを有している。
制御部91は、記憶部90に記憶されたプログラム900を実行することで、振動演算手段911及び振動抑制制御手段912として機能する。モータ電流出力部92は、複数のスイッチング素子を有し、例えばPWM制御によってモータ電流としての三相交流電流を電動モータ80に供給する。制御電流出力部93も同様に、スイッチング素子によるPWM制御によって制御電流を電磁弁82に出力する。
記憶部90には、四輪駆動車100の二輪駆動状態から四輪駆動状態への移行時に発生する振動を抑制すべき振動抑制対象の制御状態と振動抑制対象から発生する振動の振動特性との関係を示す関係情報が、例えばフラッシュメモリ等の不揮発性メモリに記憶されている。本実施の形態では、電動モータ80と電磁弁82とを振動抑制対象とした場合について説明するが、電動モータ80のみを振動抑制対象としてもよく、電磁弁82のみを振動抑制対象としてもよい。また、電動モータ80及び電磁弁82以外の装置、例えば油圧ポンプ81を振動抑制対象に含めてもよい。
電動モータ80を動作させると、永久磁石を有する回転子が磁極コアにコイル巻線が巻き回された固定子から受ける回転力の脈動等に起因する振動が発生する。また、電磁弁82を動作させると、ソレノイド部83のシャフト835と復帰用スプリング86との間に挟まれたスプール弁85がスリーブ84の弁孔840内で移動することにより振動が発生する。記憶部90には、電動モータ80の制御状態と振動特性との関係を示す関係情報が第1の関係情報901として記憶され、電磁弁82の制御状態と振動特性との関係を示す関係情報が第2の関係情報902として記憶されている。
図6は、第1の関係情報901の一例を示し、(a)は三次元形式で示すマップを、(b)は(a)の三次元マップの元となる数値を示す表である。図6(a)に示す三次元マップにおいて、X軸は振動周波数(Hz)を、Y軸は電動モータ80の回転速度(rpm)を、Z軸は振動強度(dB)を、それぞれ示す。
電動モータ80で発生する振動のうち、概ね20Hz以上の振動は騒音として運転者等に知覚される。各周波数帯において電動モータ80で発生する振動強度のピークは、低周波数帯ほど回転速度が低く、高周波数帯ほど回転速度が高い。例えば図6(b)に示す表では、10Hzの振動については回転速度が1000rpmのときに振動強度がピークとなり、100Hzの振動については回転速度が5000rpmのときに振動強度がピークとなる。また、1000Hz以上の振動については回転速度が10000rpm(最高回転速度)のときに振動強度がピークとなる。
図7は、第2の関係情報902の一例を示し、(a)は三次元形式で示すマップを、(b)は(a)の三次元マップの元となる数値を示す表である。図8(a)に示す三次元マップにおいて、X軸は振動周波数(Hz)を、Y軸は制御電流(電磁コイル833の励磁電流(A))を、Z軸は振動強度(dB)を、それぞれ示す。
電磁弁82における振動は、例えば復帰用スプリング86の伸縮による単振動又は減衰振動である。各周波数帯において電磁弁82で発生する振動は、制御電流が大きいほど大きくなる。電動モータ80及び電磁弁82の振動特性は、例えば無響室における実験によって振動センサや音響センサを用いて測定され、予め記憶部90に記憶されている。
振動演算手段911は、記憶部90に記憶された関係情報を参照し、振動抑制対象で発生する振動強度を演算する。具体的には、電動モータ80の回転速度に基づき、第1の関係情報901を参照して電動モータ80で発生する振動強度を演算する。また、振動演算手段911は、電磁弁82の制御電流に基づき、第2の関係情報902を参照して電磁弁82で発生する振動強度を演算する。電動モータ80の回転速度は、例えば固定子に対する回転子の回転速度に応じた周波数のパルス信号を発生するエンコーダ800によって測定することができる。電磁弁82の制御電流は、例えば制御装置9内に配置された電流センサによって測定することができる。
振動抑制制御手段912は、振動演算手段911で演算された振動強度が所定値を超えている場合、振動抑制対象で発生する振動が小さくなるように振動抑制対象を制御する。前述のように、電動モータ80で発生する振動は、低周波数帯では回転速度が比較的低いときにピークとなる。このため、振動抑制制御手段912は、振動強度が小さくなるように電動モータ80を制御する際、電動モータ80の回転速度を上昇させることによって振動が小さくなる場合には、回転速度を上昇させるように電動モータ80を制御する。
図8は、二輪駆動状態から四輪駆動状態に移行する際に制御装置9の制御部91が実行する処理の一例を示すフローチャートである。図9は、図8に示すフローチャートにおけるステップS40の処理を詳細に示すフローチャートである。
制御部91は、二輪駆動状態から四輪駆動状態に移行する際、クラッチ機構5Aによってドライブシャフト107Lから中間軸500に伝達すべき目標伝達トルクを演算する(ステップS10)。この目標伝達トルクは、例えば四輪駆動状態に移行して走行状態を安定化させることの緊急度や車速に基づいて、緊急度が高いほど、また車速が高いほど、大きな値に設定される。
次に制御部91は、ステップS10で演算した目標伝達トルクに応じて、電動モータ80に供給すべき電流の電流値であるモータ電流指令値を演算する(ステップS20)。また、制御部91は、目標伝達トルクに応じて、電磁弁82に供給すべき電流の電流値である制御電流指令値を演算する(ステップS30)。
次に制御部91は、電動モータ80及び電磁弁82を制御して、後輪105L,105Rの回転力をプロペラシャフト108に駆動力配分装置1を介して伝達させ、噛み合いクラッチ12の第1回転部材121と第2回転部材122とを回転同期させる(ステップS40)。このステップS40の具体的な処理内容について、図9を参照して詳細に説明する。
ステップS40の制御処理において、制御部91は、モータ電流出力部92にPWM信号を出力し、モータ電流指令値に応じたモータ電流を電動モータ80に出力させる(ステップS41)。また、制御部91は、制御電流出力部93にPWM信号を出力し、制御電流指令値に応じた制御電流を電磁弁82に出力させる(ステップS42)。
次に制御部91は、エンコーダ800によって測定された電動モータ80の回転速度に基づき、第1の関係情報901を参照して電動モータ80で発生する振動強度を演算する(ステップS43)。本実施の形態では、この振動強度の演算にあたり、複数の振動周波数における振動強度をそれぞれ演算する。より具体的には、例えば10Hz、100Hz、1000Hz、及び5000Hzの各振動周波数における電動モータ80の振動強度を演算する。
次に制御部91は、電流センサによって測定された電磁弁82の制御電流に基づき、第2の関係情報902を参照して電磁弁82で発生する振動強度を演算する(ステップS44)。本実施の形態では、上記した電動モータ80の振動強度の演算と同様に、複数の振動周波数(例えば10Hz、100Hz、1000Hz、及び5000Hz)における電磁弁82の振動強度をそれぞれ演算する。
次に制御部91は、複数の振動抑制対象で発生する振動強度の総和である総振動強度を演算する(ステップS45)。本実施の形態では、電動モータ80及び電磁弁82で発生する振動強度を、振動周波数ごとに、予め定められた重み付け特性を反映させて演算する。この重み付け特性については、特に限定されるものではないが、例えば電動モータ80及び電磁弁82の取り付け剛性や車室との距離、あるいは人間の聴覚を考慮した周波数重み付け特性(JIS C 1502-1990に定められたA特性)に基づいて定めることができる。
電動モータ80及び電磁弁82で発生する振動強度に所定の重み付け特性を反映させて総振動強度を演算する場合、各振動周波数における電動モータ80及び電磁弁82の振動強度にそれぞれ重み付け特性に基づく係数を乗じ、その積を振動周波数ごとに合算する。なお、これに限らず、重み付け特性を考慮することなく、各振動周波数における電動モータ80及び電磁弁82の振動強度を単に合算して総振動強度を演算してもよい。
次に、制御部91は、ステップS45で演算された総振動強度と所定値とを比較する(ステップS46)。この所定値は、振動抑制対象で発生する振動を、運転者等に不快感を与えてしまうレベルよりも小さく抑えるように設定され、予め記憶部90に記憶されている。本実施の形態では、ステップS43及びS44で振動強度を演算した振動周波数ごとに所定値との比較を行い、少なくとも何れか1つの振動周波数で総振動強度が所定値を超えている場合にステップS46の判定結果を是(Yes)とし、全ての振動周波数で総振動強度が所定値以下である場合にステップS46の判定結果を否(No)とする。比較対象としての所定値は、複数の振動周波数ごとに定められている。
制御部91は、ステップS46の判定結果が是(Yes)の場合、総振動強度が所定値よりも高い振動周波数における電動モータ80及び電磁弁82の総振動強度が小さくなるように、電動モータ80及び電磁弁82を制御する(ステップS47)。具体的には、電動モータ80のモータ電流及び/又は電磁弁82の制御電流の指令値を変更する。この場合、制御部91は、第1の関係情報901を参照し、電動モータ80の回転速度を上昇させることにより当該振動周波数における電動モータ80の振動強度が小さくなる場合には、電動モータ80の回転速度を上昇させるように、電動モータ80に供給するモータ電流を大きくする。
次に、制御部91は、噛み合いクラッチ12の回転同期が完了したか、すなわち第1回転部材121の回転速度と第2回転部材122の回転速度とが略同じとなったか否かを判定する(ステップS48)。第1回転部材121の回転速度は、前輪104L,104Rの回転速度に基づいて求めることができ、第2回転部材122の回転速度は、回転速センサ109の出力信号に基づいて求めることができる。ステップS48の判定では、第1回転部材121の回転速度と第2回転部材122の回転速度との差が例えば5%以内になったときに噛み合いクラッチ12の回転同期が完了したと判定する。
ステップS48の判定結果が是(Yes)の場合、制御部91は図8のフローチャートにおけるステップS50以降の処理を行い、ステップS48の判定結果が否(No)の場合には、ステップS41以降の処理を再度実行する。この場合、ステップS41からステップS47の処理は、所定の制御周期(例えば5ms)ごとに行われる。
上記の各ステップのうち、ステップS43〜S45の処理は、制御部91が振動演算手段911として実行する処理である。ステップS46及びS47の処理は、制御部91が振動抑制制御手段912として実行する処理である。
噛み合いクラッチ12の回転同期が完了した場合、制御部91は、噛み合いクラッチ12を制御して、スリーブ123により第1回転部材121と第2回転部材122とを相対回転不能に連結する(ステップS50)。これにより、エンジン102の駆動力をプロペラシャフト108及び駆動力配分装置1を介して後輪105L,105Rに配分することが可能な状態となる。その後、制御部91は、四輪駆動車100の走行安定性を確保するために必要な駆動力が後輪105L,105Rに配分されるように、電動モータ80及び電磁弁82を制御する(ステップS60)。
(第1の実施の形態の作用及び効果)
以上説明した第1の実施の形態によれば、電動モータ80及び電磁弁82を高速で作動させることにより、これらの振動抑制対象から発生する振動強度が運転者や同乗者に不快感を与え得るレベルになった場合には、その振動強度が小さくなるように振動抑制対象が制御される。この結果、例えば発生する振動強度を所定値よりも僅かに低い値に保ちながら電動モータ80及び電磁弁82を可及的に高速で作動させることが可能となり、四輪駆動車100の運転者や同乗者に不快感を与えることを抑制しながら、二輪駆動状態から四輪駆動状態への移行時に駆動力伝達装置5によって伝達される駆動力を速やかに立ち上げることが可能となる。
また、電動モータ80及び電磁弁82の総振動強度が所定値を超えている場合に、電動モータ80及び電磁弁82で発生する振動が抑制されるので、振動抑制対象で発生する振動を総合的に判定して振動強度を抑制することが可能となる。またさらに、所定の重み付け特性を反映して総振動強度を演算すれば、運転者や同乗者への影響をより精度よく抑えることが可能となる。
[第1の実施の形態の変形例]
次に、本発明の第1の実施の形態の変形例について説明する。本変形例では、図9に示すフローチャートにおけるステップS45及びS46の具体的な処理内容が上記第1の実施の形態と異なる。
すなわち、上記第1の実施の形態では、ステップS45及びS46において、演算された複数の振動周波数のうち何れか1つの振動周波数で総振動強度が所定値を超えている場合に総振動強度が所定値よりも高いと判定したが、本変形例では、複数の振動周波数における振動強度を合算し、合算された振動強度が所定値を超えている場合に、振動が小さくなるように電動モータ80及び/又は電磁弁82を制御する。
具体的には、ステップS45において、例えば電動モータ80における複数の振動周波数ごとの振動強度を合算すると共に、電磁弁82における複数の振動周波数ごとの振動強度を合算し、さらに電動モータ80及び電磁弁82の振動強度の合算値同士をさらに合算して総振動強度とする。そして、得られた総振動強度をステップS46において所定値と比較する。
なお、電動モータ80及び電磁弁82における複数の振動周波数ごとの振動強度を合算する際、所定の重み付け特性を反映させてもよい。あるいは、ステップS45において、電動モータ80における振動強度を所定範囲の振動周波数について積分すると共に、電磁弁82における振動強度を所定範囲の振動周波数について積分し、これらの積分結果を合算して総振動強度としてもよい。このような変形例によっても、上記と同様の作用及び効果を得ることが可能となる。
[第2の実施の形態]
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。上記第1の実施の形態では、電動モータ80及び電磁弁82における振動強度を合算して所定値と比較する場合について説明したが、本実施の形態では、電動モータ80及び電磁弁82のそれぞれについて、振動強度と所定値との比較を行う。
図10は、第2の実施の形態において、制御部91が振動演算手段911及び振動抑制制御手段912として実行する処理を含む処理手順を示すフローチャートである。図10において、図9を参照して説明した処理と共通する処理については、同一のステップ番号を付して重複した説明を省略する。
本実施の形態において、制御部91は、電動モータ80の振動強度を所定値と比較し(ステップS461)、電動モータ80の振動強度が所定を越えていなければ(S461:No)、電磁弁82の振動強度を所定値と比較する(ステップS462)。ステップS461において電動モータ80の振動強度が所定値を超えている場合(S461:Yes)には、モータ電流指令値を変更する(ステップS471)。また、ステップS462において電磁弁82の振動強度が所定値を超えている場合(S462:Yes)には、制御電流指令値を変更する(ステップS472)。
ステップS461の処理において、電動モータ80の振動強度を所定値と比較する際には、複数の振動周波数ごとの振動強度を所定値と比較してもよく、複数の振動周波数ごとの振動強度を合算して所定値と比較してもよい。また、ステップS462の処理において、電磁弁82の振動強度を所定値と比較する際も同様に、複数の振動周波数ごとの振動強度を所定値と比較してもよく、複数の振動周波数ごとの振動強度を合算して所定値と比較してもよい。
以上説明した第2の実施の形態によっても、第1の実施の形態と同様の作用及び効果を得ることができる。
(付記)
以上、本発明を第1及び第2の実施の形態に基づいて説明したが、これらの実施の形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、実施の形態の中で説明した特徴の組合せの全てが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない点に留意すべきである。また、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変形して実施することが可能である。
5…駆動力伝達装置
50…ピストン
51…第1回転部材(入力回転部材)
52…第2回転部材(出力回転部材)
53…摩擦クラッチ
80…電動モータ
81…油圧ポンプ
82…電磁弁
9…制御装置
90…記憶部(記憶手段)
901…第1の関係情報
902…第2の関係情報
911…振動演算手段
912…振動抑制制御手段

Claims (8)

  1. 駆動力が入力される入力回転部材と、駆動力を出力する出力回転部材と、前記入力回転部材と前記出力回転部材との間に配置された摩擦クラッチと、前記摩擦クラッチを押圧するピストンと、前記ピストンに作用する油圧を調整する電磁弁と、前記電磁弁に供給する油圧を発生させる油圧ポンプと、前記油圧ポンプを駆動する電動モータと、を備えた駆動力伝達装置を制御する制御装置であって、
    前記電磁弁及び前記電動モータのうち少なくとも何れか一方を含む振動抑制対象の制御状態と前記振動抑制対象から発生する振動の振動特性との関係を示す関係情報を記憶する記憶手段と、
    前記関係情報を参照して前記振動抑制対象で発生する振動強度を演算する振動演算手段と、
    前記振動演算手段で演算された前記振動強度が所定値を超えている場合、前記振動抑制対象で発生する振動強度が小さくなるように前記振動抑制対象を制御する振動抑制制御手段と、
    を有する駆動力伝達装置の制御装置。
  2. 前記振動演算手段は、複数の振動周波数における前記振動強度を演算し、
    前記振動抑制制御手段は、前記複数の振動周波数ごとに前記振動強度と所定値との比較を行い、少なくとも何れかの振動周波数において前記振動強度が所定値を超えている場合、前記振動抑制対象で発生する振動が小さくなるように前記振動抑制対象を制御する、
    請求項1に記載の駆動力伝達装置の制御装置。
  3. 前記振動演算手段は、複数の振動周波数における前記振動強度を演算して合算し、
    前記振動抑制制御手段は、前記合算された前記振動強度が所定値を超えている場合、前記振動抑制対象で発生する振動が小さくなるように前記振動抑制対象を制御する、
    請求項1に記載の駆動力伝達装置の制御装置。
  4. 前記振動抑制対象として前記電磁弁を含み、
    前記記憶手段は、前記電磁弁に供給される制御電流と前記電磁弁から発生する振動の振動特性との関係を示す関係情報を記憶する、
    請求項1乃至3の何れか1項に記載の駆動力伝達装置の制御装置。
  5. 前記振動演算手段は、複数の前記振動抑制対象で発生する振動強度の総和である総振動強度を演算し、
    前記振動抑制制御手段は、前記振動演算手段で演算された前記総振動強度が所定値を超えている場合、当該総振動強度が小さくなるように前記振動抑制対象を制御する、
    請求項1乃至4の何れか1項に記載の駆動力伝達装置の制御装置。
  6. 前記振動演算手段は、前記総振動強度を複数の前記振動抑制対象に対応して予め定められた重み付け特性を反映させて演算する、
    請求項5に記載の駆動力伝達装置の制御装置。
  7. 前記振動抑制制御手段は、前記振動強度が小さくなるように前記電動モータを制御する際、前記電動モータの回転速度を上昇させることにより前記電動モータで発生する振動強度が小さくなる場合には、回転速度を上昇させるように前記電動モータを制御する、
    請求項1乃至6の何れか1項に記載の駆動力伝達装置の制御装置。
  8. 駆動力が入力される入力回転部材と、駆動力を出力する出力回転部材と、前記入力回転部材と前記出力回転部材との間に配置された摩擦クラッチと、前記摩擦クラッチを押圧するピストンと、前記ピストンに作用する油圧を調整する電磁弁と、前記電磁弁に供給する油圧を発生させる油圧ポンプと、前記油圧ポンプを駆動する電動モータと、を備えた駆動力伝達装置の制御方法であって、
    前記電磁弁及び前記電動モータのうち少なくとも何れか一方を含む振動抑制対象の制御状態と前記振動抑制対象から発生する振動の振動特性との関係を示す関係情報を参照して前記振動抑制対象で発生する振動強度を演算し、前記演算した振動強度が所定値を超えている場合、前記振動抑制対象で発生する振動強度が小さくなるように前記振動抑制対象を制御する、
    駆動力伝達装置の制御方法。
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