以下、本実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。図1は、本実施の形態に係る画像形成システム100の全体構成を概略的に示す図である。図2は、本実施の形態に係る画像形成システム100が備える画像形成装置2の制御系の主要部を示す。画像形成システム100は、図1において太線で示す長尺紙P、または所定の紙サイズにカットされた用紙(「カット紙」とも言う)Sを記録媒体として使用し、長尺紙Pまたは用紙S上に画像を形成するシステムである。ここで、長尺紙Pとは、その搬送方向において例えば、画像形成装置2の本体幅を超える長さを有する用紙である。本実施の形態では、長尺紙Pとして、離型材を塗布した基材の上に、裏面(離型材に対応する面)に糊を被覆した剥離シートを付着させたラベルロール紙が使用される。剥離シートは、表面に画像が形成された後、基材から剥がして目的物に貼り付けて使用される。以下の説明では、長尺紙Pをラベルロール紙Pと言う。また、本実施の形態では、カット紙である用紙Sとして、ラベル離型材を塗布した基材の上に、裏面に糊を被覆した剥離シートを付着させたラベル紙を使用することもできる。以下の説明では、かかるラベル紙としての用紙Sをラベル紙PSと言う。
図1に示すように、画像形成システム100は、長尺紙Pの搬送方向(以下、「用紙搬送方向」とも言う)に沿って上流側から、給紙装置1、画像形成装置2および排紙装置3が接続されて構成される。給紙装置1および排紙装置3は、ラベルロール紙P上に画像を形成する場合に使用される。
給紙装置1は、画像形成装置2へラベルロール紙Pを給紙する装置である。給紙装置1の筐体内では、図1に示すように、ロール状のラベルロール紙Pが支持軸に巻回されて回転可能に保持されている。給紙装置1は、支持軸に巻回されたラベルロール紙Pを、複数の搬送ローラー対(例えば、繰り出しローラー、給紙ローラー等)を経由して、一定の速度で画像形成装置2へ搬送する。給紙装置1の給紙動作は、画像形成装置2が備える制御部101によって制御される。
なお、給紙装置1において、ラベルロール紙Pは、必ずしもロール状に保持されている必要はなく、所定サイズ(例えば、210mm×1200mm)の複数のラベルロール紙Pが保持されていてもよい。
画像形成装置2は、電子写真プロセス技術を利用した中間転写方式のカラー画像形成装置である。すなわち、画像形成装置2は、感光体ドラム413上に形成されたY(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、K(ブラック)の各色トナー像を中間転写ベルト421に一次転写し、中間転写ベルト421上で4色のトナー像を重ね合わせた後、給紙装置1から給紙されたラベルロール紙P、または、給紙トレイユニット51a〜51cから送出された用紙S或いはラベル紙PSに二次転写することにより、画像を形成する。
また、画像形成装置2には、YMCKの4色に対応する感光体ドラム413を中間転写ベルト421の走行方向に直列配置し、中間転写ベルト421に一回の手順で各色トナー像を順次転写させるタンデム方式が採用されている。
図2に示すように、画像形成装置2は、画像読取部10、操作表示部20、画像処理部30、画像形成部40、用紙搬送部50、定着部60および制御部101を備える。
制御部101は、CPU(Central Processing Unit)102、ROM(Read Only Memory)103、RAM(Random Access Memory)104等を備える。CPU102は、ROM103から処理内容に応じたプログラムを読み出してRAM104に展開し、展開したプログラムと協働して画像形成装置2の各ブロック等の動作を集中制御する。このとき、記憶部72に格納されている各種データが参照される。記憶部72は、例えば不揮発性の半導体メモリ(いわゆるフラッシュメモリ)やハードディスクドライブで構成される。
制御部101は、通信部71を介して、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)等の通信ネットワークに接続された外部の装置(例えばパーソナルコンピューター)との間で各種データの送受信を行う。制御部101は、例えば、外部の装置から送信された画像データを受信し、この画像データ(入力画像データ)に基づいてラベルロール紙Pまたは用紙S或いはラベル紙PSに画像を形成させる。通信部71は、例えばLANカード等の通信制御カードで構成される。
画像読取部10は、ADF(Auto Document Feeder)と称される自動原稿給紙装置11および原稿画像走査装置12(スキャナー)等を備えて構成される。
自動原稿給紙装置11は、原稿トレイに載置された原稿Dを搬送機構により搬送して原稿画像走査装置12へ送り出す。自動原稿給紙装置11により、原稿トレイに載置された多数枚の原稿Dの画像(両面を含む)を連続して一挙に読み取ることが可能となる。
原稿画像走査装置12は、自動原稿給紙装置11からコンタクトガラス上に搬送された原稿又はコンタクトガラス上に載置された原稿を光学的に走査し、原稿からの反射光をCCD(Charge Coupled Device)センサー12aの受光面上に結像させ、原稿画像を読み取る。画像読取部10は、原稿画像走査装置12による読取結果に基づいて入力画像データを生成する。この入力画像データには、画像処理部30において所定の画像処理が施される。
操作表示部20は、例えばタッチパネル付の液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)で構成され、表示部21及び操作部22として機能する。表示部21は、制御部101から入力される表示制御信号に従って、各種の操作画面、画像の状態、各機能の動作状況等の表示を行う。操作部22は、テンキー、スタートキー等の各種操作キーを備え、ユーザーによる各種の入力操作を受け付けて、操作信号を制御部101に出力する。
画像処理部30は、入力画像データに対して、初期設定又はユーザー設定に応じたデジタル画像処理を行う回路等を備える。例えば、画像処理部30は、制御部101の制御下で、階調補正データ(階調補正テーブル)に基づいて階調補正を行う。また、画像処理部30は、入力画像データに対して、階調補正の他、色補正、シェーディング補正等の各種補正処理や、圧縮処理等を施す。これらの処理が施された画像データに基づいて、画像形成部40が制御される。
画像形成部40は、入力画像データに基づいて、Y成分、M成分、C成分、K成分の各有色トナーによる画像を形成するための画像形成ユニット41Y、41M、41C、41K、中間転写ユニット42等を備える。
Y成分、M成分、C成分、K成分用の画像形成ユニット41Y、41M、41C、41Kは、同様の構成を有する。図示および説明の便宜上、共通する構成要素は同一の符号で示し、それぞれを区別する場合には符号にY、M、C、又はKを添えて示すこととする。図1では、Y成分用の画像形成ユニット41Yの構成要素についてのみ符号が付され、その他の画像形成ユニット41M、41C、41Kの構成要素については符号が省略されている。
画像形成ユニット41は、露光装置411、現像装置412、感光体ドラム413、帯電装置414、およびドラムクリーニング装置415等を備える。
感光体ドラム413は、例えばドラム径が80mmのアルミニウム製の導電性円筒体(アルミ素管)の周面に、アンダーコート層(UCL:Under Coat Layer)、電荷発生層(CGL:Charge Generation Layer)、電荷輸送層(CTL:Charge Transport Layer)を順次積層した負帯電型の有機感光体(OPC:Organic Photo-conductor)である。電荷発生層は、電荷発生材料(例えばフタロシアニン顔料)を樹脂バインダー(例えばポリカーボネイト)に分散させた有機半導体からなり、露光装置411による露光により一対の正電荷と負電荷を発生する。電荷輸送層は、正孔輸送性材料(電子供与性含窒素化合物)を樹脂バインダー(例えばポリカーボネイト樹脂)に分散させたものからなり、電荷発生層で発生した正電荷を電荷輸送層の表面まで輸送する。
制御部101は、感光体ドラム413を回転させる駆動モーター(図示略)に供給される駆動電流を制御することにより、感光体ドラム413を一定の周速度で回転させる。
帯電装置414は、光導電性を有する感光体ドラム413の表面を一様に負極性に帯電させる。露光装置411は、例えば半導体レーザーで構成され、感光体ドラム413に対して各色成分の画像に対応するレーザー光を照射する。感光体ドラム413の電荷発生層で正電荷が発生し、電荷輸送層の表面まで輸送されることにより、感光体ドラム413の表面電荷(負電荷)が中和される。感光体ドラム413の表面には、周囲との電位差により各色成分の静電潜像が形成される。
現像装置412は、二成分現像方式の現像装置であり、感光体ドラム413の表面に各色成分のトナーを付着させることにより静電潜像を可視化してトナー像を形成する。
ドラムクリーニング装置415は、感光体ドラム413の表面に摺接されるドラムクリーニングブレード等を有し、一次転写後に感光体ドラム413の表面に残存する転写残トナーを除去する。
中間転写ユニット42は、中間転写ベルト421、一次転写ローラー422、複数の支持ローラー423、二次転写ローラー424およびベルトクリーニング装置426等を備える。
中間転写ベルト421は無端状ベルトで構成され、複数の支持ローラー423にループ状に張架される。複数の支持ローラー423のうちの少なくとも1つは駆動ローラーで構成され、その他は従動ローラーで構成される。例えば、K成分用の一次転写ローラー422よりもベルト走行方向下流側に配置されるローラー423Aが駆動ローラーであることが好ましい。これにより、一次転写部におけるベルトの走行速度を一定に保持しやすくなる。駆動ローラー423Aが回転することにより、中間転写ベルト421は矢印A方向に一定速度で走行する。
中間転写ベルト421は、導電性および弾性を有するベルトであり、表面に体積抵抗率が8〜11logΩ・cmである高抵抗層を有する。中間転写ベルト421は、制御部101からの制御信号によって回転駆動される。
一次転写ローラー422は、各色成分の感光体ドラム413に対向して、中間転写ベルト421の内周面側に配置される。中間転写ベルト421を挟んで、一次転写ローラー422が感光体ドラム413に圧接されることにより、感光体ドラム413から中間転写ベルト421へトナー像を転写するための一次転写ニップが形成される。
二次転写ローラー424は、駆動ローラー423Aのベルト走行方向下流側に配置されるバックアップローラー423Bに対向して、中間転写ベルト421の外周面側に配置される。中間転写ベルト421を挟んで、二次転写ローラー424がバックアップローラー423Bに圧接されることにより、中間転写ベルト421からラベルロール紙Pまたは用紙S或いはラベル紙PS(以下、これらをラベルロール紙P等と総称する。)へトナー像を転写するための二次転写ニップが形成される。
一次転写ニップを中間転写ベルト421が通過する際、感光体ドラム413上のトナー像が中間転写ベルト421に順次重ねて一次転写される。具体的には、一次転写ローラー422に一次転写バイアスを印加し、中間転写ベルト421の裏面側(一次転写ローラー422と当接する側)にトナーと逆極性の電荷を付与することにより、トナー像は中間転写ベルト421に静電的に転写される。
その後、ラベルロール紙P等が二次転写ニップを通過する際、中間転写ベルト421上のトナー像がラベルロール紙P等に二次転写される。具体的には、二次転写ローラー424に二次転写バイアスを印加し、ラベルロール紙Pまたは用紙Sの裏面側(二次転写ローラー424と当接する側)にトナーと逆極性の電荷を付与することにより、トナー像はラベルロール紙P等に静電的に転写される。トナー像が転写されたラベルロール紙P等は定着部60に向けて搬送される。
ベルトクリーニング装置426は、二次転写後に中間転写ベルト421の表面に残留する転写残トナーを除去する。なお、二次転写ローラー424に代えて、二次転写ローラーを含む複数の支持ローラーに、二次転写ベルトがループ状に張架された構成(いわゆるベルト式の二次転写ユニット)を採用してもよい。
定着部60は、ラベルロール紙P等の定着面(トナー像が形成されている面)側に配置される定着面側部材を有する上側定着部60A、ラベルロール紙P等の裏面(定着面と反対の面)側に配置される裏面側支持部材を有する下側定着部60B等を備える。定着面側部材に裏面側支持部材が圧接されることにより、ラベルロール紙P等を狭持して搬送する定着ニップが形成される。
定着部60は、トナー像が二次転写され、搬送されてきたラベルロール紙P等を定着ニップで加熱、加圧することにより、ラベルロール紙P等にトナー像を定着させる。定着部60は、定着器F内にユニットとして配置される。また、定着器Fには、エアを吹き付けることにより、定着面側部材又は裏面側支持部材からラベルロール紙等を分離させるエア分離ユニットが配置されていてもよい。
上側定着部60Aは、定着面側部材である無端状の定着ベルト61、加熱ローラー62および定着ローラー63を有する(ベルト加熱方式)。定着ベルト61は、加熱ローラー62と定着ローラー63とに所定のベルト張力(例えば、40N)で張架されている。
定着ベルト61は、例えば、基体として厚さ80μmのPI(ポリイミド)を用い、基体の外周面を弾性層として厚さ250μmの耐熱性のシリコンゴム(硬度JIS−A30°)で被覆し、さらに、表層(離型層)に厚さ70μmの耐熱性樹脂であるPFA(パーフルオロアルコキシ)のコーティングをしている。定着ベルト61の外径寸法は例えば100mmである。定着ベルト61は、トナー像が形成されたラベルロール紙P等に接触して、当該トナー像をラベルロール紙P等に定着温度(例えば、160〜200℃)で加熱定着する。ここで、定着温度とは、ラベルロール紙Pまたは用紙S上のトナーを溶融するのに必要な熱量を供給しうる温度であり、画像形成されるラベルロール紙P等の紙種等によって異なる。
加熱ローラー62は、加熱源(ハロゲンヒーター)を内蔵し、定着ベルト61を加熱する。加熱源によって加熱ローラー62が加熱され、その結果、定着ベルト61が加熱される。加熱源の温度は、定着ベルト61の温度が設定温度である180℃となるように制御部101によって制御される。加熱ローラー62の外径寸法は、例えば50mmである。
定着ローラー63は、例えばアルミニウム等からなる円柱状の芯金の外周面に、シリコンゴム等からなる弾性層(例えば厚さ:10mm)と、PTFE等のフッ素系樹脂からなる表層(例えば厚さ:70μm)とが順に積層形成された構成を有する。定着ローラー63の外径寸法は、例えば40mmである。定着ローラー63の駆動制御(例えば、回転のオン/オフ、周速度等)は、制御部101によって行われる。制御部101は、定着ローラー63を時計回り方向に回転させる。定着ローラー63が回転することにより、定着ベルト61および加熱ローラー62は、時計回り方向に従動回転する。
下側定着部60Bは、裏面側支持部材である加圧ローラー64を有する(ローラー加圧方式)。加圧ローラー64は、例えば鉄等からなる円柱状の芯金の外周面に、シリコンゴム等からなる弾性層と、PFAチューブからなる表層が順に積層形成された構成を有する。加圧ローラー64の外径寸法は、例えば40mmである。加圧ローラー64は、例えば図3に示すように、コイルばね641やカム642等を備えた圧接離間部640により、定着ベルト61を介して定着ローラー63に所定の定着荷重(例えば、1000N)で圧接される。圧接離間部640において、コイルばね641の一端は加圧ローラー64の軸に対向し、コイルばね641の他端はカム642の側面に対向する。圧接離間部640は、カム642の軸がステッピングモーター等の駆動源に連結され、カム642の位置を制御部101で制御することで、カム642の側面により押圧されるコイルばね641を通じて、定着ベルト61と加圧ローラー64とを互いに圧接または離間させる。このようにして、定着ベルト61と加圧ローラー64との間には、ラベルロール紙P等を狭持して搬送する定着ニップが形成される。加圧ローラー64の駆動制御(例えば、回転のオン/オフ、周速度等)および圧接離間部の駆動制御は、制御部101によって行われる。制御部101は、加圧ローラー64を反時計回り方向に回転させる。
用紙搬送部50は、給紙部51、排紙部52、及び搬送経路部53等を備える。給紙部51を構成する3つの給紙トレイユニット51a〜51cには、坪量やサイズ等に基づいて識別された用紙S(規格用紙、特殊用紙)やラベル紙PSが予め設定された種類毎に収容される。搬送経路部53は、レジストローラー対53aを含む複数の搬送ローラー対を有する。レジストローラー対53aが配設されたレジストローラー部は、用紙Sまたはラベルロール紙Pの傾きおよび片寄りを補正する。
給紙トレイユニット51a〜51cに収容されている用紙Sまたはラベル紙PSは、最上部から一枚ずつ送出され、搬送経路部53により画像形成部40に搬送される。画像形成部40においては、中間転写ベルト421のトナー像が用紙Sまたはラベル紙PSの一方の面に一括して二次転写され、定着部60において定着工程が施される。他方、給紙装置1から画像形成装置2へ給紙されたラベルロール紙Pは、搬送経路部53により画像形成部40に搬送される。そして、画像形成部40において、中間転写ベルト421のトナー像がラベルロール紙Pの一方の面に一括して二次転写され、定着部60において定着工程が施される。
このようにして画像形成されたラベルロール紙P等は、搬送ローラー対(排紙ローラー対)52aを備えた排紙部52により排紙装置3に搬送される。
排紙装置3は、画像形成装置2から搬送されてきたラベルロール紙Pを巻き取って収納する。排紙装置3の筐体内では、例えば、図1に示すように、ラベルロール紙Pが支持軸に巻回されてロール状に保持される。そのために、排紙装置3は、画像形成装置2から搬送されてきたラベルロール紙Pを、複数の搬送ローラー対(例えば、繰り出しローラー、排紙ローラー)を経由して、一定の速度で支持軸に巻き取る。排紙装置3の巻き取り動作は、画像形成装置2が備える制御部101によって制御される。
ところで、ラベルロール紙Pが定着ニップを通過する際、当該定着ニップによる加圧力が大きく、また、加熱によってラベルロール紙Pの糊が軟化するため、ラベルロール紙Pの端部から糊がはみ出てしまう場合があった。この場合、はみ出した糊が定着ニップを形成する定着部材(本実施の形態では、定着ベルト61および加圧ローラー64)に付着して当該定着部材を汚してしまうという問題があった。
この問題に対処するため、画像形成装置2では、ラベルロール紙Pの搬送方向に直交する幅方向における少なくとも一部(端部側)を押圧する押圧部を定着部60の上流に設け、かかる押圧部でラベルロール紙Pの端部側の糊をはみ出させて回収する構成としている。以下、図1及び図3以下を参照して、押圧部等の構成を説明する。
本実施の形態では、図1,図3,図4A及び図4Bに示すように、ラベルロール紙Pの用紙搬送方向(図3中の矢印B方向)において、定着部60および画像形成部40の上流側に、用紙搬送方向と直交する用紙幅方向におけるラベルロール紙Pの端部を押圧する端部押圧部80を設けている。端部押圧部80は、用紙搬送方向に直交する用紙幅方向におけるラベルロール紙Pの両端部(左端部および右端部)にそれぞれ設けられる(図8参照)。端部押圧部80は、ラベルロール紙Pの端部を上下方向から押圧する上下一対の押圧ローラー82,84を有する。
押圧ローラー82,84は、用紙幅方向におけるラベルロール紙Pの中央部側から端部側に向かって押圧力が小さくなるようにラベルロール紙Pの端部を押圧する。図4Aに示すように、押圧ローラー82,84の外径は、用紙幅方向におけるラベルロール紙Pの端部側(d1)より中央部側(d2)の方が大きい。この構成により、基材P1と剥離シートP3との間に位置する糊P2は、用紙幅方向におけるラベルロール紙Pの中央部側から端部側に押し込まれ、当該端部からはみ出る。はみ出した糊P2は、押圧ローラー82,84の外周面に付着する。押圧ローラー82,84の外周面に付着した糊P2は、当該外周面に当接するように設けられた除去部としてのスクレーパー92,94によって掻き取られる。
図4Bは、図4Aの右方向から見た、押圧ローラー82,84およびラベルロール紙Pの縦断面図である。図4Bに示すように、ラベルロール紙Pの端部からはみ出した糊P2は、押圧ローラー82,84の外周面に付着した後、スクレーパー92,94と押圧ローラー82,84の外周面との当接位置まで運ばれ掻き取られる。以上のように、糊P2は、用紙幅方向におけるラベルロール紙Pの端部側から押し出されるため、糊P2の量は当該端部側で少なくなる。その結果、ラベルロール紙Pが定着ニップを通過する際、ラベルロール紙Pの端部から糊P2がはみ出てしまうこと、ひいては、はみ出した糊によって定着部材を汚してしまうことを防止することができる。
ラベルロール紙Pの端部から糊P2がはみ出てしまうことをより効果的に防止する観点からは、ラベルロール紙Pの用紙搬送方向における端部押圧部80の下流側に設けられ、ラベルロール紙Pを狭持して搬送するニップ(例えば、定着ニップ)のラベルロール紙Pに対する押圧力は、端部押圧部80のラベルロール紙Pに対する押圧力より低いことが好ましい。言い換えると、端部押圧部80のラベルロール紙Pに対する押圧力は、下流側に設けられる定着ニップおよび各種のニップにおける押圧力よりも高いことが好ましい。
他方、糊を含まない用紙Sを搬送する場合には、端部押圧部80による用紙端部の押圧は不必要になる。このため、端部押圧部80の押圧ローラー82および84は、例えば図3に示すように、コイルばね801やカム802等を備えた圧接離間部800を通じて、ラベルロール紙Pに対して所定の荷重(例えば、1000Nを超える荷重)で圧接され、糊を含まない用紙Sに対しては離間するように制御される。
圧接離間部800は、上述した定着部60の圧接離間部640と同様の構成を有する。すなわち、圧接離間部800において、コイルばね801の一端は押圧ローラー82(84)の軸に対向し、コイルばね801の他端はカム802の側面に対向する。圧接離間部800は、カム802の軸がステッピングモーター等の駆動源に連結され、カム802の位置を制御部101で制御することで、カム802の側面により押圧されるコイルばね801を通じて、対向する押圧ローラー82と押圧ローラー84とを互いに圧接または離間させる。図3では上側の押圧ローラー82と下側の押圧ローラー84との両方に圧接離間部800を設けた構成を例示したが、押圧ローラー82と押圧ローラー84のいずれか一方に圧接離間部800を設ける構成としてもよい。
図5は、押圧ローラー82,84の構成の変形例を示している。図5に示すように、押圧ローラー82,84は、それぞれ、例えばアルミニウム等からなる芯金82A,84Aの外周面に、シリコンゴム等からなる弾性層82B,84Bが形成された構成を有する。芯金82A,84Aの外径は、用紙幅方向におけるラベルロール紙Pの端部側(d3)より中央部側(d4)の方が大きい。すなわち、押圧ローラー82,84の硬度は、用紙幅方向におけるラベルロール紙Pの端部側より中央部側の方が高い。この構成により、基材P1と剥離シートP3との間に位置する糊P2は、用紙幅方向におけるラベルロール紙Pの端部側から外部に押し出され、当該端部側で少なくなる。その結果、ラベルロール紙Pが定着ニップを通過する際、ラベルロール紙Pの端部から糊がはみ出てしまうこと、ひいては、はみ出した糊によって定着部材を汚してしまうことを防止することができる。
なお、押圧ローラー82,84の外周面に付着した糊P2を除去する除去部の構成としては、図6に示すように、クリーニングウェブ97,99を押圧ローラー82,84の外周面に当接させ、糊P2をクリーニングウェブ97,99で拭き取る(除去する)ようにしてもよい。押圧ローラー82,84の近傍には、クリーニングユニット96,98がそれぞれ設けられている。クリーニングユニット96は、紙または布等からなるクリーニングウェブ97をロール状に巻いた元巻部96Aと、元巻部96Aから繰り出されたクリーニングウェブ97を押圧ローラー82に圧接する押圧ローラー96Bと、クリーニング後のクリーニングウェブ97を巻き取る巻取部96Cとを有する。クリーニングユニット98は、紙または布等からなるクリーニングウェブ99をロール状に巻いた元巻部98Aと、元巻部98Aから繰り出されたクリーニングウェブ99を押圧ローラー84に圧接する押圧ローラー98Bと、クリーニング後のクリーニングウェブ99を巻き取る巻取部98Cとを有する。
ところで、上述のように、定着部60の上流でラベルロール紙Pの幅方向端部を押圧して予め端部側の糊を除去する構成では、用紙全域の糊の量によっては、定着部60で用紙の全域(全幅)が押圧されたときに用紙全域の糊が端部側に押し出されて用紙端部からはみ出す場合がある。具体的には、ラベルロール紙Pの用紙幅が大きくなるほど、用紙全幅における糊の総量が増えるので、ラベルロール紙Pの用紙幅が小さい場合に比べて、定着ニップで糊が端部側に押し出されて用紙端部からはみ出しやすくなる。また、ラベルロール紙Pにおける糊の厚みが大きくなるほど、用紙の単位面積当たりの糊の量が増えるので、ラベルロール紙Pにおける糊の厚みが小さい場合に比べて、定着ニップで糊が端部側に押し出されて用紙端部からはみ出しやすくなる。
このような実情に鑑みて、本実施の形態の画像形成装置2では、ラベルロール紙Pにおける剥離シートP3の糊P2の量に応じて、端部押圧部80により剥離シートP3を押圧する態様を変更する構成としている。具体的には、端部押圧部80の押圧ローラー82および84をそれぞれ軸方向に移動可能に構成するとともに、ラベルロール紙Pのサイズ(幅または厚さ)に応じて、押圧ローラー82,84で押圧するラベルロール紙Pの位置を、制御部101によって制御する。かかる構成及び制御の内容を、図7および図8を参照して説明する。
本実施の形態では、図7に示すように、押圧ローラー82,84の軸方向の距離を可変にする機構を備えている。図7を参照すると、押圧ローラー82(84)の軸83における用紙に対向する中央側にはコイルばね85が設けられており、かかるコイルばね85によって押圧ローラー82(84)を軸方向の外側に付勢している。
他方、押圧ローラー82(84)の軸83における外側(用紙と対向しない側)には、押圧ローラー82(84)の軸上の位置を規定するための位置決め部材86が設けられている。各位置決め部材86は、押圧ローラー82(84)の軸83にスライド移動可能に設けられ、位置決め部材86の一端側は押圧ローラー82(84)の外側の端部に当接する。また、位置決め部材86の他端側にはフランジ状の突起部86aが形成されている。
さらに、位置決め部材86の突起部86aには、カム87の側面が当接するように設けられている。本実施の形態では、カム87の軸87aにステッピングモーターなどの駆動源が連結され、かかる駆動源が制御部101により制御される。かかる構成において、押圧ローラー82(84)の軸方向の位置を移動させる場合、カム87の駆動源を制御部101で制御して、カム87を回転させて所望の位置で停止させる。かかる制御により、位置決め部材86を通じて押圧ローラー82(84)を軸方向の中央側に押し込んで移動させ或いは軸方向の外側に移動させて、用紙端部から押圧ローラー82,84の中央側端部までの距離Xを可変とすることができる。
次に、図8A〜図8Eを参照して、ラベルロール紙Pの糊P2の量に応じた端部押圧部80の押圧態様すなわち押圧ローラー82及び84の軸方向の位置の制御例について説明する。
図8A,図8Bは、第1の幅及び厚さを有するラベルロール紙Pを示し、図8C,図8Dは、第1の幅よりも小さい第2の幅と第1の厚さを有するラベルロール紙Pを示している。すなわち、図8A,図8Bに示すラベルロール紙Pと図8C,図8Dに示すラベルロール紙Pとでは、厚さが等しく、用紙搬送方向に直交する用紙の幅が異なっている。
これら各図に示す各ラベルロール紙Pを比べると、幅方向すなわち押圧ローラー82,84の軸方向における糊P2の量は、図8A及び図8Bに示す用紙の方が多いことが分かる。このため、押圧ローラー82,84によるラベルロール紙Pの押圧及び糊P2の排出を行わずに下流側の定着部60を通過させたと仮定した場合、定着部60の定着ニップで軸(幅)方向端部から糊が押し出される量は、図8A及び図8Bに示す用紙の方が多くなる。
したがって、定着部60の上流にある端部押圧部80で糊を除去する量は、図8A及び図8Bに示す幅が大きいラベルロール紙Pの方を、より多くする必要がある。言い換えると、ラベルロール紙Pの剥離シートP3の幅が大きいほど端部押圧部80による剥離シートP3の幅方向端部の押圧幅(図7に示す距離X)を大きくすることが望ましい。
このため、制御部101は、ラベルロール紙Pの用紙幅に応じて、用紙端部から押圧ローラー82,84の中央側端部までの距離Xを、X1>X2となるように設定する(図8A及び図8C参照)。本実施の形態では、制御部101は、ラベルロール紙Pの用紙幅を示す用紙情報を受け取ると、受け取った用紙情報からラベルロール紙Pの糊の量を算出し、該算出値に応じて、用紙端部から押圧ローラー82,84の中央側端部までの距離Xを決定して押圧ローラー82,84を移動するように制御する。
図8Eは、ラベルロール紙Pが第1の幅及び第1の厚さよりも厚い第2の厚さを有する場合を示している。すなわち、図8A,図8Bに示すラベルロール紙Pと、図8Eに示すラベルロール紙Pとでは、用紙搬送方向に直交する用紙の幅が等しく、厚さが異なる場合を示している。
これら各図に示す各ラベルロール紙Pを比べると、厚さ方向における糊P2の量は、図8Eに示す用紙の方が多いことが分かる。このため、押圧ローラー82,84によるラベルロール紙Pの押圧及び糊P2の排出を行わずに下流側の定着部60を通過させたと仮定した場合、定着部60の定着ニップで軸(幅)方向端部から糊が押し出される量は、図8Eに示す用紙の方が多くなる。
このため、制御部101は、ラベルロール紙Pの用紙の厚さに応じて、用紙端部から押圧ローラー82,84の中央側端部までの距離Xを、X3>X1となるように設定する(図8A及び図8E参照)。本実施の形態では、制御部101は、ラベルロール紙Pの用紙の厚さを示す用紙情報を受け取ると、受け取った用紙情報からラベルロール紙Pの糊の量を算出し、該算出値に応じて、用紙端部から押圧ローラー82,84の中央側端部までの距離Xを決定して押圧ローラー82,84を移動するように制御する。
表1に、ラベルロール紙Pの幅及び厚さに応じて制御部101が決定する距離Xの一例を示す。
このような用紙のサイズ(幅や厚さ)に関する用紙情報は、センサー等を用いて自動で検出する構成とすることができる。或いは、かかる用紙情報は、操作表示部20や図示しないPCなどの外部装置の表示部や入力部等(以下、表示部等という。)を介してユーザーが入力可能な構成としてもよい。用紙情報をユーザーが入力する場合、用紙のサイズや坪量の値を入力する入力画面を表示部等に表示する構成とすることができる。あるいは、不図示のテーブルに用紙の銘柄の情報と用紙サイズの情報を対応付けて登録しておき、用紙の銘柄の一覧を表示部等に表示するとともに、使用する用紙の銘柄をユーザーが選択可能とする構成としてもよい。
また、制御部101が決定した押圧幅(距離X)の値をユーザーが微調整できるように構成してもよい。この場合、例えば、制御部101が決定した押圧幅(距離X)の値を表示部等に表示するとともに、かかる押圧幅を増やす或いは減らす旨の押圧幅調整指示をユーザーが入力できるように表示部等に表示する。他にも例えば、制御部101が決定した押圧幅(距離X)を、用紙幅方向の左側または右側だけ増やす或いは減らす旨の押圧幅調整指示をユーザーが入力できるようにしてもよい。
ユーザーにより押圧幅調整指示が入力された場合、制御部101は、かかる押圧幅調整指示を加味して、決定された押圧幅(距離X)の値を増やす或いは減らすように、用紙端部から押圧ローラー82,84の中央側端部までの距離Xを制御する。なお、制御部101は、決定された押圧幅(距離X)の値を押圧幅調整指示により減らす場合、下流の定着ニップで糊P2が用紙からはみ出ない程度に減らすようにする。
他方、端部押圧部80の押圧力は上述のように定着ニップの押圧力よりも大きいことが望ましいが、押圧力が強くなると用紙が変形することがあるため、端部押圧部80の押圧力を弱めに設定し、距離Xを相対的に大きく設定した方が良い場合がある。このため、制御部101は、決定された押圧幅(距離X)の値を押圧幅調整指示により増やす場合、下流の定着ニップで糊P2が用紙からはみ出ない程度に、端部押圧部80の押圧力を弱く設定してもよい。
このように、本実施の形態によれば、用紙の種類によって端部押圧部80の位置を変える制御を行うことで、ラベルロール紙Pにおける糊P2の量の多い少ないに関わらず、定着ニップで用紙から糊がはみ出すことを防止でき、したがって定着部材が糊で汚れることを防止することが可能となる。
次に、図9〜図11を参照して、押圧部の他の構成例について説明する。
図7及び図8等では、画像形成する用紙がラベルロール紙Pである場合について説明した。これに対して、画像形成する用紙がカット紙であるラベル紙PSである場合、上述のように用紙の幅方向端部を押圧する構成では、定着部60で用紙全域を押圧される際に用紙の幅方向端部からの糊のはみ出しは防止できても、用紙の搬送方向後端から糊が押し出されてはみ出る、という問題が発生し得る。
具体的には、端部押圧部80でラベル紙PSの糊を幅方向の端部から外に押し出す(はみ出させる)構成では、定着ニップ通過時に、定着ニップの押圧力によって糊が用紙搬送方向の後方に延ばされるため、ラベル紙PSの搬送方向後端から糊が押し出されてはみ出し、はみ出した糊により定着部材が汚れる、という問題がある。
このような問題に対処するため、ラベル紙PSの用紙搬送方向において、定着部60および画像形成部40の上流側に、図9A及び図9Bに示すように、用紙搬送方向に直交する用紙幅方向におけるラベル紙PSの全幅を押圧する全幅押圧部80Aを設ける構成とする。全幅押圧部80Aは、ラベル紙PSの全幅を上下方向から押圧する上下一対の押圧ローラー82C,84Cを有する。本実施の形態では、押圧ローラー82C,84Cは、用紙搬送方向におけるレジストローラー対53aの上流側に設けられ、例えば上述した端部押圧部80の押圧ローラー82,84の近傍に配置される(図10B参照)。
図9Aに示すように、全幅押圧部80Aの押圧ローラー82C,84Cは、ラベル紙PSの搬送方向における全幅よりも長い幅を有している。全幅押圧部80Aは、押圧ローラー82Cおよび84Cの一方をモーターなどの駆動源によって回転駆動する構成としてもよい。
また、図9Bに示すように、全幅押圧部80Aの押圧ローラー82Cおよび84Cには、ラベル紙PSからはみ出した糊を除去する除去部としてのスクレーパー92A,94Aが、対応する押圧ローラー82C,84Cの表面に当接するように設けられている。スクレーパー92A,94Aは、対応する押圧ローラー82C,84Cと略等しい幅を有している(図10B参照)。
かかる構成を有する画像形成装置2では、ラベル紙PSに画像形成する場合、当該ラベル紙PSは、搬送方向における画像形成部40の上流側で、押圧ローラー82Cおよび84Cによって、上下から挟み込むように押圧されながら画像形成部40に向けて通紙される。このとき、基材P1と剥離シートP3の間にある糊P2は、用紙から押し出されて、ラベル紙PSの端部すなわち用紙搬送方向における左右両端および後端から押圧ローラー82C,84C上にはみ出る。そして、ラベル紙PSの用紙搬送方向における左右両端からはみ出た糊P2は、押圧ローラー82C,84Cの幅方向端部側に付着し、ラベル紙PSの用紙搬送方向における後端からはみ出た糊P2は、押圧ローラー82C,84Cの幅方向の略全体に亘って付着する。
このようにして、ラベル紙PSからはみ出して押圧ローラー82C,84C上に付着した糊P2は、押圧ローラー82C,84Cの表面に当接するスクレーパー92A,94Aによって掻き取られる。かかる動作により、糊P2の付着した押圧ローラー82C,84Cの表面がスクレーパー92A,94Aによって清掃される。
したがって、画像形成装置2によれば、ラベル紙PSの用紙搬送方向における左右両端および後端の糊P2の量が少なくなり、定着ニップによってラベル紙PS全体が押圧されて糊P2が端部(左右両端および後端)に寄せられても、用紙から糊P2がはみ出して定着部材を汚すことを防止することができる。
なお、押圧ローラー82C,84Cの外周面に付着した糊P2を除去する構成としては、図6で上述したようなクリーニングウェブ97,99を用いてもよい。
次に、図9を参照して、全幅押圧部80Aによる押圧力を切り替える制御について説明する。
上述のように、押圧ローラー82C,84Cをラベル紙PSの搬送方向における全幅よりも長い幅とし、ラベル紙PSの搬送方向における全幅を押圧する構成では、ラベル紙PSの全幅に亘って糊P2がはみ出され、はみ出した糊P2は押圧ローラー82C,84Cの略全幅に亘って付着し除去されることができる。
他方、このような構成では、ラベル紙PSに対する押圧ローラー82C,84Cの押圧態様(押圧力)を常に一定にすると、ラベル紙PSのサイズ(長さ、幅、厚さ)や単位面積あたりの糊P2の量などにより、全幅押圧部80Aによってはみ出される糊P2の量に過不足が生じる場合がある。具体的には、ラベル紙PSの搬送方向に沿った用紙長さが長くなるほど、用紙の搬送方向すなわち用紙全長における糊の総量が増えるので、ラベル紙PSの用紙長さが短い場合に比べて、定着ニップで糊が端部側に押し出されて用紙端部からはみ出し易い。また、ラベル紙PSにおける糊の厚みが大きいほど用紙の単位面積当たりの糊の量が増えるので、ラベル紙PSにおける糊の厚みが小さい場合に比べて、定着ニップで糊が端部側に押し出されて用紙端部からはみ出し易い。
ここで、全幅押圧部80Aによってはみ出される糊P2の量が過度に多くなった場合、ラベル紙PSのラベルとしての機能が低下し、剥離シートP3が対象物に貼り付かなくなる虞がある。他方、全幅押圧部80Aによってはみ出される糊P2の量が過少であった場合、上述のように定着ニップで糊P2がはみ出して定着部材を汚す虞がある。
そこで、本実施の形態では、ラベル紙PSに対する押圧ローラー82,84の押圧力を可変にする機構を設け、かかる押圧力を制御部101で制御する。具体的には、図3で上述した圧接離間部800を押圧ローラー82C,84Cに設けて、圧接離間部800のカム802を駆動する駆動源(例えばステッピングモーター)を制御部101で制御することで、押圧ローラー82C,84Cの押圧力をラベル紙PSの搬送中に切り替える。
ここで、制御部101は、ラベル紙PSの搬送方向後端側が押圧ローラー82C,84Cを通過するタイミング(図9Aおよび図9B参照)で、押圧ローラー82C,84Cの押圧力を切り替えるようにステッピングモーターを制御する。より具体的には、制御部101は、押圧ローラー82C,84Cによるラベル紙PSの搬送中に、ラベル紙PSの後端側における糊P2のはみ出す量を想定した位置で、押圧ローラー82C,84Cによる押圧力を、切り替え前の押圧力よりも大きくするように、ステッピングモーターを制御する。
かかる制御により、ラベル紙PSの搬送方向後端側で糊P2がより多くはみ出し、はみ出した糊P2が押圧ローラー82C,84Cに付着され、除去部(図9では不図示)で除去される。このように、用紙後端の糊P2を重点的にはみ出させるように押圧ローラー82C,84Cの押圧力を切り替える制御を行うことで、定着ニップでラベル紙PSの用紙後端側から糊P2がはみ出すことを一層良好に防止することが可能となる。
図9A及び図9Bは、ラベル紙PSの搬送方向における後端側で押圧ローラー82C,84Cの押圧力を上げるように押圧力を切り替える直前の状態を示している。ここで、押圧力を切り替えた後の押圧ローラー82C,84Cの押圧力は、定着ニップの押圧力よりも大きい設定にするのが望ましい。
押圧ローラー82C,84Cの押圧力は、押圧力を切り替える前さらにはラベル紙PSの搬送方向における先端から定着ニップの押圧力よりも大きい設定にしてもよいが、この場合、糊P2が過剰にはみ出してしまうことがある。したがって、上述のように、ラベル紙PSの搬送方向における後端側で、定着ニップの押圧力よりも大きくなるように押圧ローラー82C,84Cの押圧力を切り替えることが望ましい。また、ラベル紙PSの搬送方向における先端から押圧力を切り替える前までは、押圧ローラー82C,84Cの押圧力は、ゼロすなわち押圧解除状態から定着ニップよりも弱い押圧力のうちの任意の値を使用することができる。
加えて、本実施の形態では、ラベル紙PSにおける糊P2の量に応じて、全幅押圧部80Aにより押圧する態様を変更する制御を行うようにする。具体的には、ラベル紙PSのサイズ(長さまたは厚さ)に応じて、押圧ローラー82C,84Cによる押圧力の切り替え位置を、制御部101によって制御する。かかる制御の内容を、図9A〜図9Eを参照して説明する。
図9A,図9Bは、第1の長さ及び厚さを有するラベル紙PSを示し、図9C,図9Dは、第1の長さよりも短い第2の長さ及び第1の厚さを有するラベル紙PSを示している。すなわち、図9A,図9Bに示すラベル紙PSと図9C,図9Dに示すラベル紙PSとでは、厚さが等しく、用紙搬送方向に沿った用紙の長さが異なっている。
これら各図に示す各ラベル紙PSを比べると、用紙搬送方向すなわち押圧ローラー82C,84Cの軸方向と直交する用紙長さ方向における糊P2の量は、図9A及び図9Bに示す用紙の方が多いことが分かる。このため、押圧ローラー82C,84Cによるラベル紙PSの押圧及び糊P2の排出を行わずに下流側の定着部60を通過させたと仮定した場合、定着部60の定着ニップで押し出される糊の量は、図9A及び図9Bに示す用紙の方が多くなる。
したがって、定着部60の上流にある全幅押圧部80Aで糊を除去する量は、図9A及び図9Bに示す長さが長いラベル紙PSの方を、より多くする必要がある。言い換えると、ラベル紙PSの用紙長さが長いほど、全幅押圧部80Aでラベル紙PSへの押圧力を大きくするように切り替える位置、すなわち用紙の長さ方向後端からの距離(Y)を大きくすることが望ましい。
このため、制御部101は、ラベル紙PSの用紙長さに応じて、全幅押圧部80Aでの押圧力を大きくするように切り替える位置となる、用紙の長さ方向後端からの距離Yを、Y1>Y2となるように設定する(図9B及び図9D参照)。本実施の形態では、制御部101は、ラベル紙PSの用紙長さを示す用紙情報を受け取ると、受け取った用紙情報からラベル紙PSの糊の量を算出し、該算出値に応じて用紙の長さ方向後端からの距離Yを決定し、ラベル紙PSの搬送方向後端側が距離Yになるときに全幅押圧部80Aの押圧力を大きく切り替えるように制御する。具体的には、ラベル紙PSの搬送方向後端側の部位が後端からの距離Yに来るタイミングで、上述した圧接離間部800のカム802(図3参照)を駆動するステッピングモーターを制御部101で制御することで、押圧ローラー82C,84Cの押圧力を大きくするように切り替える。
図9Eは、ラベル紙PSが第1の長さ及び第1の厚さよりも厚い第2の厚さを有する場合を示している。すなわち、図9A,図9Bに示すラベル紙PSと、図9Eに示すラベル紙PSとでは、用紙搬送方向に沿った用紙の長さが等しく、厚さが異なる場合を示している。
これら各図に示す各ラベル紙PSを比べると、厚さ方向における糊P2の量は、図9Eに示す用紙の方が多いことが分かる。このため、押圧ローラー82C,84Cによるラベル紙PSの押圧及び糊P2の排出を行わずに下流側の定着部60を通過させたと仮定した場合、定着部60の定着ニップで糊が押し出される量は、図9Eに示す用紙の方が多くなる。
このため、制御部101は、ラベル紙PSの用紙の厚さに応じて、全幅押圧部80Aでラベル紙PSへの押圧力を大きくするように切り替える位置となる、用紙の長さ方向後端からの距離Yを、Y3>Y1となるように設定する(図9B及び図9E参照)。本実施の形態では、制御部101は、上述と同様に、ラベル紙PSの用紙の厚さを示す用紙情報を受け取ると、受け取った用紙情報からラベルロール紙Pの糊の量を算出し、該算出値に応じて用紙の長さ方向後端からの距離Yを決定し、ラベル紙PSの搬送方向後端側が距離Yになるときに全幅押圧部80Aの押圧力を大きく切り替えるように制御する。
表2に、ラベル紙PSの用紙の長さ及び厚さに応じて制御部101が決定する距離Yの一例を示す。
上述と同様に、このような用紙のサイズ(長さや厚さ)に関する用紙情報は、センサー等を用いて自動で検出する構成とすることができ、或いは、表示部等を介してユーザーが入力可能な構成としてもよい。
また、制御部101が決定した距離Yの値をユーザーが微調整できるように構成してもよい。この場合、例えば、制御部101が決定した距離Yの値を表示部等に表示するとともに、かかる距離Yの値を増やす或いは減らす旨の押圧位置調整指示をユーザーが入力できるように表示部等に表示する。ここで、押圧位置調整指示が入力された場合、制御部101は、かかる押圧位置調整指示を加味して、決定された距離Yの値を増やす或いは減らすように、押圧ローラー82C,84Cの押圧力を切り替える位置を制御する。なお、制御部101は、決定された距離Yの値を押圧位置調整指示により減らす場合、下流の定着ニップで糊P2が用紙からはみ出ない程度に減らすようにする。
他方、全幅押圧部80Aによる押圧力の最大値は、上述のように定着ニップの押圧力よりも大きいことが望ましいが、押圧力が強くなると用紙が変形することがあるため、全幅押圧部80Aの押圧力を弱めに設定し、距離Yを相対的に大きく設定した方が良い場合もあり得る。このため、制御部101は、決定された距離Yの値を押圧位置調整指示により増やす場合、下流の定着ニップで糊P2が用紙からはみ出ない程度に、全幅押圧部80Aの押圧力を弱く設定してもよい。
次に、図10A及び図10Bを参照して、押圧部の他の構成例について説明する。図10A中の斜線部分は、ラベル紙PSにおける糊P2を除去したい範囲P2aを示す。この例では、糊P2を除去したい範囲P2aは、図10Aに示すように、ラベル紙PSの用紙搬送方向における左右両端部および後端部を含む略U字状になっている。
このような範囲P2aの糊P2を除去する場合、押圧部は、図10Bに示すように、上述した押圧ローラー82C,84C(全幅押圧部80A)と押圧ローラー82,84(端部押圧部80)との両方を設けるとよい。端部押圧部80の各押圧ローラー82,84には上述と同様の構成の除去部(スクレーパーまたはクリーニングウェブ)が当接しており、簡明のため、かかる除去部の図示を省略している。
図10Bでは、用紙搬送方向において、全幅押圧部80Aを端部押圧部80の下流側に設ける配置としているが、この逆すなわち全幅押圧部80Aを端部押圧部80の上流側に設ける配置としてもよい。また、図10Bでは全幅押圧部80Aを端部押圧部80の近傍に設ける配置としているが、全幅押圧部80Aと端部押圧部80とを互いに離隔して配置してもよい。
かかる構成において、制御部101は、ラベル紙PSの用紙幅、用紙長さ、及び用紙の厚みを示す用紙情報を受け取ると、受け取った用紙情報からラベル紙PSの糊の量を算出し、該算出値に応じて、用紙端部から押圧ローラー82,84の中央側端部までの距離X(図10A参照)を決定して押圧ローラー82,84を移動するように制御する。また、制御部101は、ラベル紙PSの糊の量の算出値に応じて、用紙の長さ方向後端からの距離Y(図10A参照)を決定し、ラベル紙PSの搬送方向後端側が距離Yになるときに全幅押圧部80Aの押圧力を大きく切り替えるように制御する。
このような制御を行うことにより、ラベル紙PSの用紙搬送方向における左右両端部および後端部を含む略U字状の範囲P2aにおける糊P2がラベル紙PSからはみ出して除去されるので、定着ニップによりラベル紙PSの搬送方向における左右両端と後端から糊P2がはみ出すことを防止することができる。また、かかる構成によれば、ラベル紙PSの中央の領域における糊P2を残すことができ、ラベル紙PSから糊P2を過不足なく押し出すことが容易に実現できる。
図11A及び図11Bは、押圧部のさらに他の構成例を示している。図示の例では、上述した押圧ローラー82Cを用紙の上方側に配置するとともに、用紙の下方側に、独立して上下移動する押圧コロ88を用紙幅方向に複数設けることで、ラベルロール紙Pまたはラベル紙PSの用紙幅方向の任意の位置で押圧力を制御できるようにした構成例を示す。
図11Bを参照すると、押圧コロ88の回転軸が押圧コロホルダ89に固定され、押圧コロホルダ89は、不図示のレールによって押圧方向のみに往復移動可能に設けられるとともに、押圧ばね89aによって押圧方向に移動するように構成されている。また、押圧ばね89aの一端側にはカム89bが設けられ、かかるカム89bを駆動する駆動源(例えばステッピングモーター)を制御部101で制御することで、押圧コロ88の押圧力を切り替える。また、押圧コロ88の表面には、糊を除去する除去部としてのスクレーパー92Bが当接するように設けられている。
かかる構成によれば、ラベルロール紙Pまたはラベル紙PSのいずれでも糊P2の排出を好適に行うことができる。すなわち、ラベルロール紙Pまたはラベル紙PSの幅方向端部から距離Xまでの領域(図11A参照)を押圧して糊P2を排出する場合、制御部101は、当該距離X分の領域に位置する押圧コロ88の押圧力を高くするように制御する。他方、ラベル紙PSの搬送方向後端から距離Yの位置で押圧力を大きくするように切り替える場合、制御部101は、ラベル紙PSの搬送位置が当該距離Yに対応する位置に来たタイミングで、全ての押圧コロ88の押圧力を高く切り替えるように制御する。したがって、図11に示す構成の押圧部によれば、図10Aで上述したような略U字状の範囲P2aの糊除去を行うこともできる。
図12は、ラベルロール紙Pまたはラベル紙PSの他の構成例について示している。上述した各構成例は、基材P1と剥離シートP3とが同一形状の場合、すなわち剥離シートP3が基材P1の全面に配置されている構成のラベルロール紙Pまたはラベル紙PSについて説明した。
他方、ラベルロール紙Pやラベル紙PSは、図12に示すように、剥離シートP3が基材P1よりも小さい形状であり、基材P1の一部に配置されている構成のものもある。このような場合、全幅押圧部80Aの押圧力を切り替える位置の制御は、個々の剥離シートP3の後端を基準として行えばよい。また、端部押圧部80における端部の押圧幅Xの制御は、個々の剥離シートP3の幅方向の中央位置あるいは端部の位置を基準として行えばよい。この場合、上述した用紙情報として、剥離シートP3の幅及び長さを含めるようにすることが望ましい。
このように、上述した実施の形態では、定着部60の上流側に設けられ、ラベルロール紙Pまたはラベル紙PSにおける剥離シートP3の少なくとも端部を押圧する押圧部と、押圧部の押圧により用紙からはみ出した糊を除去する除去部と、剥離シートP3の糊の量に応じて、押圧部により剥離シートP3を押圧する態様を変更するように制御する制御部101と、を備える。かかる構成とすることにより、ラベルロール紙Pまたはラベル紙PSに含まれる糊P2で定着部材が汚れることを防止しつつ、当該用紙に定着処理を施す前段階で適正な量の糊P2を排出させることができる。
その他、上記実施の形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその要旨、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。