以下、本実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。図1は、本実施の形態に係る画像形成装置1の全体構成を概略的に示す図である。図2は、本実施の形態に係る画像形成装置1の制御系の主要部を示す図である。画像形成装置1は、所定の紙サイズにカットされた用紙(カット紙)を記録媒体として使用する。特に、用紙として、離型材を塗布した基材の上に、裏面(離型材に対応する面)に糊を被覆した剥離シートを付着させたラベル紙が使用される。剥離シートは、表面に画像が形成された後、基材から剥がして目的物に貼り付けて使用される。以下の説明では、ラベル紙およびラベル紙以外のカット紙を用紙S(または単に用紙)として総称し、ラベル紙の説明をする際にはラベル紙Pと称する。
図1に示すように、画像形成装置1は、電子写真プロセス技術を利用した中間転写方式のカラー画像形成装置である。すなわち、画像形成装置1は、感光体ドラム413上に形成されたY(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、K(ブラック)の各色トナー像を中間転写ベルト421に一次転写し、中間転写ベルト421上で4色のトナー像を重ね合わせた後、給紙トレイユニット51a〜51cから送出された用紙Sに二次転写することにより、画像を形成する。
また、画像形成装置1には、YMCKの4色に対応する感光体ドラム413を中間転写ベルト421の走行方向に直列配置し、中間転写ベルト421に一回の手順で各色トナー像を順次転写させるタンデム方式が採用されている。
図2に示すように、画像形成装置1は、画像読取部10、操作表示部20、画像処理部30、画像形成部40、用紙搬送部50、定着部60および制御部101を備える。
制御部101は、CPU(Central Processing Unit)102、ROM(Read Only Memory)103、RAM(Random Access Memory)104等を備える。CPU102は、ROM103から処理内容に応じたプログラムを読み出してRAM104に展開し、展開したプログラムと協働して画像形成装置1の各ブロック等の動作を集中制御する。このとき、記憶部72に格納されている各種データが参照される。記憶部72は、例えば不揮発性の半導体メモリ(いわゆるフラッシュメモリ)やハードディスクドライブで構成される。
制御部101は、通信部71を介して、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)等の通信ネットワークに接続された外部の装置(例えばパーソナルコンピューター)との間で各種データの送受信を行う。制御部101は、例えば、外部の装置から送信された画像データ(入力画像データ)を受信し、この画像データに基づいて用紙Sに画像を形成させる。通信部71は、例えばLANカード等の通信制御カードで構成される。
図1に示すように、画像読取部10は、ADF(Auto Document Feeder)と称される自動原稿給紙装置11および原稿画像走査装置12(スキャナー)等を備えて構成される。
自動原稿給紙装置11は、原稿トレイに載置された原稿Dを搬送機構により搬送して原稿画像走査装置12へ送り出す。自動原稿給紙装置11により、原稿トレイに載置された多数枚の原稿Dの画像(両面を含む)を連続して一挙に読み取ることが可能となる。
原稿画像走査装置12は、自動原稿給紙装置11からコンタクトガラス上に搬送された原稿又はコンタクトガラス上に載置された原稿を光学的に走査し、原稿からの反射光をCCD(Charge Coupled Device)センサー12aの受光面上に結像させ、原稿画像を読み取る。画像読取部10は、原稿画像走査装置12による読取結果に基づいて入力画像データを生成する。この入力画像データには、画像処理部30において所定の画像処理が施される。
図2に示すように、操作表示部20は、例えばタッチパネル付の液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)で構成され、表示部21及び操作部22として機能する。表示部21は、制御部101から入力される表示制御信号に従って、各種操作画面、画像の状態、各機能の動作状況等の表示を行う。操作部22は、テンキー、スタートキー等の各種操作キーを備え、ユーザーによる各種入力操作を受け付けて、操作信号を制御部101に出力する。
画像処理部30は、入力画像データに対して、初期設定又はユーザー設定に応じたデジタル画像処理を行う回路等を備える。例えば、画像処理部30は、制御部101の制御下で、階調補正データ(階調補正テーブル)に基づいて階調補正を行う。また、画像処理部30は、入力画像データに対して、階調補正の他、色補正、シェーディング補正等の各種補正処理や、圧縮処理等を施す。これらの処理が施された画像データに基づいて、画像形成部40が制御される。
図1に示すように、画像形成部40は、入力画像データに基づいて、Y成分、M成分、C成分、K成分の各有色トナーによる画像を形成するための画像形成ユニット41Y、41M、41C、41K、中間転写ユニット42等を備える。
Y成分、M成分、C成分、K成分用の画像形成ユニット41Y、41M、41C、41Kは、同様の構成を有する。図示及び説明の便宜上、共通する構成要素は同一の符号で示し、それぞれを区別する場合には符号にY、M、C、又はKを添えて示すこととする。図1では、Y成分用の画像形成ユニット41Yの構成要素についてのみ符号が付され、その他の画像形成ユニット41M、41C、41Kの構成要素については符号が省略されている。
画像形成ユニット41は、露光装置411、現像装置412、感光体ドラム413、帯電装置414、及びドラムクリーニング装置415等を備える。
感光体ドラム413は、例えばドラム状の金属基体の外周面に、有機光導電体を含有させた樹脂よりなる感光層が形成された有機感光体よりなる。
制御部101は、感光体ドラム413を回転させる駆動モーター(図示略)に供給される駆動電流を制御することにより、感光体ドラム413を一定の周速度で回転させる。
帯電装置414は、例えば帯電チャージャーであり、コロナ放電を発生させることにより、光導電性を有する感光体ドラム413の表面を一様に負極性に帯電させる。
露光装置411は、例えば半導体レーザーで構成され、感光体ドラム413に対して各色成分の画像に対応するレーザー光を照射する。その結果、感光体ドラム413の表面のうちレーザー光が照射された画像領域には、背景領域との電位差により各色成分の静電潜像が形成される。
現像装置412は、二成分逆転方式の現像装置であり、感光体ドラム413の表面に各色成分の現像剤を付着させることにより静電潜像を可視化してトナー像を形成する。
現像装置412には、例えば帯電装置414の帯電極性と同極性の直流現像バイアス、または交流電圧に帯電装置414の帯電極性と同極性の直流電圧が重畳された現像バイアスが印加される。その結果、露光装置411によって形成された静電潜像にトナーを付着させる反転現像が行われる。
ドラムクリーニング装置415は、感光体ドラム413の表面に当接され、弾性体よりなる平板状のドラムクリーニングブレード等を有し、中間転写ベルト421に転写されずに感光体ドラム413の表面に残留するトナーを除去する。
中間転写ユニット42は、中間転写ベルト421、一次転写ローラー422、複数の支持ローラー423、二次転写ローラー424、及びベルトクリーニング装置426等を備える。
中間転写ベルト421は無端状ベルトで構成され、複数の支持ローラー423にループ状に張架される。複数の支持ローラー423のうちの少なくとも1つは駆動ローラーで構成され、その他は従動ローラーで構成される。例えば、K成分用の一次転写ローラー422よりもベルト走行方向下流側に配置されるローラー423Aが駆動ローラーであることが好ましい。これにより、一次転写部におけるベルトの走行速度を一定に保持しやすくなる。駆動ローラー423Aが回転することにより、中間転写ベルト421は矢印A方向に一定速度で走行する。
中間転写ベルト421は、導電性および弾性を有するベルトであり、表面に高抵抗層を有する。中間転写ベルト421は、制御部101からの制御信号によって回転駆動される。
一次転写ローラー422は、各色成分の感光体ドラム413に対向して、中間転写ベルト421の内周面側に配置される。中間転写ベルト421を挟んで、一次転写ローラー422が感光体ドラム413に圧接されることにより、感光体ドラム413から中間転写ベルト421へトナー像を転写するための一次転写ニップが形成される。
二次転写ローラー424は、駆動ローラー423Aのベルト走行方向下流側に配置されるバックアップローラー423Bに対向して、中間転写ベルト421の外周面側に配置される。中間転写ベルト421を挟んで、二次転写ローラー424がバックアップローラー423Bに圧接されることにより、中間転写ベルト421から用紙Sへトナー像を転写するための二次転写ニップが形成される。
一次転写ニップを中間転写ベルト421が通過する際、感光体ドラム413上のトナー像が中間転写ベルト421に順次重ねて一次転写される。具体的には、一次転写ローラー422に一次転写バイアスを印加し、中間転写ベルト421の裏面側、つまり一次転写ローラー422と当接する側にトナーと逆極性の電荷を付与することにより、トナー像は中間転写ベルト421に静電的に転写される。
その後、用紙Sが二次転写ニップを通過する際、中間転写ベルト421上のトナー像が用紙Sに二次転写される。具体的には、二次転写ローラー424に二次転写バイアスを印加し、用紙Sの裏面側、つまり二次転写ローラー424と当接する側にトナーと逆極性の電荷を付与することにより、トナー像は用紙Sに静電的に転写される。トナー像が転写された用紙Sは定着部60に向けて搬送される。
ベルトクリーニング装置426は、二次転写後に中間転写ベルト421の表面に残留する転写残トナーを除去する。
定着部60は、用紙Sの定着面、すなわちトナー像が形成されている面側に配置される定着面側部材を有する上側定着部60A、用紙Sの裏面すなわち定着面の反対の面側に配置される裏面側支持部材を有する下側定着部60B、および加熱源等を備える。定着面側部材に裏面側支持部材が圧接されることにより、用紙Sを挟持して搬送する定着ニップが形成される。
定着部60は、トナー像が二次転写され、搬送されてきた用紙Sを定着ニップで加熱、加圧することにより、用紙Sにトナー像を定着させる。定着部60は、定着器F内にユニットとして配置される。
上側定着部60Aは、定着面側部材である無端状の定着ベルト61、加熱ローラー62および定着ローラー63を有する。定着ベルト61は、加熱ローラー62と定着ローラー63とによって張架されている。
下側定着部60Bは、裏面側支持部材である加圧ローラー64を有する。加圧ローラー64は、定着ベルト61との間で用紙Sを挟持して搬送する定着ニップを形成している。
用紙搬送部50は、給紙部51、排紙部52、及び搬送経路部53等を備える。給紙部51を構成する3つの給紙トレイユニット51a〜51cには、坪量やサイズ等に基づいて識別された用紙S(規格用紙、特殊用紙)が予め設定された種類毎に収容される。搬送経路部53は、レジストローラー対53aを含む複数の搬送ローラー対を有する。レジストローラー対53aが配設されたレジストローラー部は、用紙Sの傾きおよび片寄りを補正する。
給紙トレイユニット51a〜51cに収容されている用紙Sは、最上部から一枚ずつ送出され、搬送経路部53により画像形成部40に搬送される。画像形成部40においては、中間転写ベルト421のトナー像が用紙Sの一方の面に一括して二次転写され、定着部60において定着工程が施される。画像形成された用紙Sは、排紙ローラー52aを備えた排紙部52により機外に排紙される。
ところで、記録媒体としてラベル紙Pを使用する場合、かかるラベル紙Pが定着ニップを通過する際、当該定着ニップによる加圧力が大きく、また、加熱によってラベル紙Pの糊が軟化するため、ラベル紙Pの端部すなわち左右両端および後端から糊がはみ出てしまう場合があった。この場合、はみ出した糊が定着ニップを形成する定着部材(本実施の形態では、定着ベルト61および加圧ローラー64)に付着して当該定着部材を汚してしまうという問題があった。
かかる問題に対し、上述のように、定着部60の上流でラベル紙Pの幅方向端部を押圧する構成では、定着部60で用紙全域を押圧される際にラベル紙Pの幅方向端部からの糊のはみ出しは防止できても、ラベル紙Pの搬送方向後端から糊が押し出されてはみ出る、という問題が発生し得る。
具体的には、端部押圧部でラベル紙Pの糊を幅方向の中央側に押し込む構成、端部押圧部でラベル紙Pの糊を幅方向の端部から外に押し出す(はみ出させる)構成のいずれの場合も、定着ニップ通過時に、定着部材によってラベル紙Pの搬送方向後端から糊が押し出されてはみ出し、はみ出した糊により定着部材が汚れる、という問題があった。
そこで、本実施の形態では、図1,図3および図4に示すように、ラベル紙Pの用紙搬送方向(図3中の矢印B方向)において、定着部60および画像形成部40の上流側に、用紙搬送方向に直交する用紙幅方向における剥離シートの全幅を押圧する押圧部80を設けている。図3および図4(図4Aおよび図4B)に示すように、押圧部80は、ラベル紙Pの全幅を上下方向から押圧する上下一対の押圧ローラー82,84を有する。本実施の形態では、押圧ローラー82,84は、用紙搬送方向におけるレジストローラー対53aの上流側に設けられており(図1参照)、図3ではレジストローラー対53aの図示が省略されている。
図4Aに示すように、押圧ローラー82,84は、ラベル紙Pの搬送方向における全幅よりも長い幅を有している。押圧ローラー82および84の一方は、図示しないモーターなどの駆動源によって回転駆動される。
また、押圧ローラー82および84には、ラベル紙Pからはみ出した糊を除去する除去部としてのスクレーパー92,94が、対応する押圧ローラー82,84の表面に当接するように設けられている。スクレーパー92,94は、対応する押圧ローラー82,84と略等しい幅を有している(図4A参照)。
かかる構成を有する画像形成装置1では、ラベル紙Pに画像形成する場合、当該ラベル紙Pは、搬送方向における画像形成部40の上流側で、押圧ローラー82および84によって、上下から挟み込むように押圧されながら画像形成部40に向けて通紙される。このとき、図4Aに示すように、基材P1と剥離シートP3の間にある糊P2は、用紙から押し出されて、ラベル紙Pの端部すなわち用紙搬送方向における左右両端および後端から押圧ローラー82,84上にはみ出る。具体的には、ラベル紙Pの用紙搬送方向における左右両端からはみ出た糊P2は、押圧ローラー82,84の幅方向端部側に付着し、ラベル紙Pの用紙搬送方向における後端からはみ出た糊P2は、押圧ローラー82,84の幅方向の略全体に亘って付着する。
このようにして、ラベル紙Pからはみ出して押圧ローラー82,84上に付着した糊P2は、押圧ローラー82,84の表面に当接するスクレーパー92,94によって掻き取られる。かかる動作により、糊P2の付着した押圧ローラー82,84の表面がスクレーパー92,94によって清掃される。
したがって、画像形成装置1によれば、ラベル紙Pの用紙搬送方向における左右両端および後端の糊P2の量が少なくなり、定着ニップによってラベル紙P全体が押圧されて糊P2が端部(左右両端および後端)に寄せられても、用紙から糊P2がはみ出して定着部材を汚すことを防止することができる。
なお、押圧ローラー82,84の外周面に付着した糊P2を除去する構成としては、図5に示すように、クリーニングウェブ97,99を押圧ローラー82,84の外周面に当接させ、糊P2をクリーニングウェブ97,99で拭き取る(除去する)ようにしてもよい。押圧ローラー82,84の近傍には、クリーニングユニット96,98がそれぞれ設けられている。クリーニングユニット96は、紙または布等からなるクリーニングウェブ97をロール状に巻いた元巻部96Aと、元巻部96Aから繰り出されたクリーニングウェブ97を押圧ローラー82に圧接する押圧ローラー96Bと、クリーニング後のクリーニングウェブ97を巻き取る巻取部96Cとを有する。クリーニングユニット98は、紙または布等からなるクリーニングウェブ99をロール状に巻いた元巻部98Aと、元巻部98Aから繰り出されたクリーニングウェブ99を押圧ローラー84に圧接する押圧ローラー98Bと、クリーニング後のクリーニングウェブ99を巻き取る巻取部98Cとを有する。
押圧ローラー82,84は、図4に示す例では、円柱形状であり、言い換えると軸に並行に真っ直ぐに伸びる外形を有する。
他方、押圧ローラー82,84は、図6Aに示すように、クラウン形状とする、すなわち、軸方向中央の外径が軸方向端部の外径より大きくなる外形としてもよい。このような形状とすることにより、押圧ローラー82,84の押圧力は、図6A中に矢印で示すように、ラベル紙Pの中央部側から端部側に向かって小さくなり、糊P2を軸方向中心から外側に向かって押し出す力が働くため、糊P2をより多くはみ出させることができる。
図6Bに、押圧ローラー82,84の他の構成例を示す。図6Bでは押圧ローラー82側だけ示しているが、押圧ローラー84も同一の構成であり、以下は押圧ローラー82の構成を説明する。図6Bに示すように、押圧ローラー82は、例えばアルミニウム等からなる芯金82Aの外周面に、シリコンゴム等からなる弾性層82Bが形成されることにより、軸に並行に真っ直ぐに伸びる円柱状の外形を有する。
ここで、芯金82Aは、図6Aで説明したクラウン形状、すなわち軸方向中央の外径が軸方向端部の外径より大きくなる形状である。他方、弾性層82Bは、軸方向中央の外径が軸方向端部の外径より小さくなる形状である。このような形状とすることにより、押圧ローラー82,84の押圧力は、図6Aの場合と同様に、ラベル紙Pの幅方向中央部側から端部側に向かって小さくなり、糊P2を軸方向中心から外側に向かって押し出す力が働くため、糊P2をより多くはみ出させることができる。
図示しないが、押圧ローラー82の他の構成例として、芯金82Aを軸に並行に真っ直ぐに伸びる円柱形状とし(図4参照)、弾性層82Bの外形も軸に並行に真っ直ぐに伸びる形状とし、弾性層82Bの硬度を、軸方向中央側が高く軸方向の端側になるほど低い構成としてもよい。このような構成の場合も、押圧ローラー82,84の押圧力は、ラベル紙Pの中央部側から端部側に向かって小さくなり、糊P2を軸方向中心から外側に向かって押し出す力が働くため、糊P2をより多くはみ出させることができる。
次に、図7を参照して、ラベル紙Pに対する押圧部80の押圧力を制御する構成について説明する。上述のように、押圧ローラー82,84をラベル紙Pの搬送方向における全幅よりも長い幅とし、ラベル紙Pの搬送方向における全幅を押圧する本実施の形態では、ラベル紙Pの全幅に亘って糊P2がはみ出され、はみ出した糊P2は押圧ローラー82,84の略全幅に亘って付着し除去されることができる。
他方、このような構成では、ラベル紙Pに対する押圧ローラー82,84の押圧力を常に一定にすると、ラベル紙Pのサイズ(長さ、幅、厚さ)や単位面積あたりの糊P2の量などにより、押圧部80によってはみ出される糊P2の量に過不足が生じる場合がある。ここで、押圧部80によってはみ出される糊P2の量が過度に多くなった場合、ラベル紙Pのラベルとしての機能が低下し、剥離シートP3が対象物に貼り付かなくなる虞がある。他方、押圧部80によってはみ出される糊P2の量が過少であった場合、上述のように定着ニップで糊P2がはみ出して定着部材を汚す虞がある。
そこで、本実施の形態では、ラベル紙Pに対する押圧ローラー82,84の押圧力を可変にする機構を設け、かかる押圧力を制御部101で制御する。具体的には、ステッピングモーターやカム等からなり、定着部60の定着部材に設けられている公知の荷重可変機構(特開2003−287932号公報等参照)を押圧ローラー82,84にも配置し、かかるステッピングモーターを制御部101で制御することで、押圧ローラー82,84の押圧力を調整することができる。
制御部101は、ラベル紙Pの搬送方向後端側が押圧ローラー82,84を通過するタイミング(図7Aおよび図7B参照)で、押圧ローラー82,84の押圧力を切り替えるようにステッピングモーターを制御する。より具体的には、制御部101は、押圧ローラー82,84によるラベル紙Pの搬送中に、ラベル紙Pの後端側における糊P2のはみ出す量を想定した位置で、押圧ローラー82,84による押圧力を、切り替え前の押圧力よりも大きくするように、ステッピングモーターを制御する。
かかる制御により、ラベル紙Pの搬送方向後端側で糊P2がより多くはみ出し、はみ出した糊P2が押圧部80に付着され、除去部(図7Bでは不図示)で除去される。このように、用紙後端の糊P2を重点的にはみ出させるように押圧ローラー82,84の押圧力を切り替える制御を行うことで、定着ニップでラベル紙Pの用紙後端側から糊P2がはみ出すことを一層良好に防止することが可能となる。
図7Bは、ラベル紙Pの搬送方向における後端側で押圧ローラー82,84の押圧力を上げるように押圧力を切り替えた状態を示している。ここで、押圧力を切り替えた後の押圧ローラー82,84の押圧力は、定着ニップの押圧力よりも大きい設定にするのが望ましい。
押圧ローラー82,84の押圧力は、押圧力を切り替える前さらにはラベル紙Pの搬送方向における先端から定着ニップの押圧力よりも大きい設定にしてもよいが、この場合、糊P2が過剰にはみ出してしまうことがある。したがって、上述のように、ラベル紙Pの搬送方向における後端側で、定着ニップの押圧力よりも大きくなるように押圧ローラー82,84の押圧力を切り替えることが望ましい。また、ラベル紙Pの搬送方向における先端から押圧力を切り替える前までは、押圧ローラー82,84の押圧力は、ゼロすなわち押圧解除状態から定着ニップよりも弱い押圧力のうちの任意の値を使用することができる。
押圧力を切り替える構成に関し、図7では、円柱形の外形を有する押圧ローラー82,84の構成を例に説明したが、図6で説明したクラウン形状の押圧ローラー82,84を使用することもできる。
次に、図8を参照して、押圧部の他の構成例について説明する。図8A中の斜線部分は、ラベル紙Pにおける糊P2を除去したい範囲P2aを示す。この例では、糊P2を除去したい範囲P2aは、図8Aに示すように、ラベル紙Pの用紙搬送方向における左右両端部および後端部を含む略U字状に設定されている。
このような範囲P2aの糊P2を除去する場合、押圧部は、図8Bに示すように、上述した押圧ローラー82,84に加えて、用紙端部の糊をはみ出させる端部押圧部85を設けるとよい。
ここで、端部押圧部85は、用紙幅方向におけるラベル紙Pの両端部(左端部および右端部)に、ラベル紙Pの端部を上下方向から押圧する上下一対の端部押圧ローラーが設けられる。図8Bでは上側の端部押圧ローラー85L,85Rのみが示されており、下側の端部押圧ローラーも同様の構成である。図示のように、上側の端部押圧ローラー85L,85Rの外径は、用紙幅方向におけるラベル紙Pの端部側より中央部側の方が小さい。同様に、下側の端部押圧ローラーの外径も、用紙幅方向におけるラベル紙Pの端部側より中央部側の方が小さい。
また、端部押圧部85の各端部押圧ローラーには上述と同様の構成の除去部(スクレーパーまたはクリーニングウェブ)が当接しており、簡明のため、かかる除去部の図示を省略している。上側の端部押圧ローラー85L,85Rまたは下側の端部押圧ローラーの一方は、図示しないモーターなどの駆動源によって回転駆動される。
端部押圧部85の各端部押圧ローラーは、図8Bに示す例では用紙搬送方向における押圧ローラー82,84の上流側に設けられている。他の例として、端部押圧部85の各端部押圧ローラーは、用紙搬送方向における押圧ローラー82,84の下流側に設けられる構成としてもよい。
このような構成とされた端部押圧部85の各端部押圧ローラーは、用紙幅方向におけるラベル紙Pの中央部側から端部側に向かって押圧力が小さくなるようにラベル紙Pの端部を押圧する。かかる押圧により、基材P1と剥離シートP3との間に位置する糊P2は、用紙幅方向におけるラベル紙Pの中央部側から端部側に押し込まれ、当該端部からはみ出る。はみ出した糊P2は、端部押圧ローラー85L,85Rの外周面に付着し、付着された糊P2は、当該外周面に当接するように設けられた除去部(スクレーパーなど)によって除去される。
他方、図7で説明したように、ラベル紙Pに対する押圧ローラー82,84の押圧力は、制御部101によって制御される。すなわち、制御部101は、ラベル紙Pの搬送中における糊P2のはみ出す量を想定した位置で、押圧ローラー82,84による圧力を切り替える(押圧力を上げる)ことで、用紙後端側で糊P2をより多くはみ出させ、はみ出した糊P2を押圧部80に付着させ、除去部(図8Bでは不図示)で除去する。
このような構成とすることにより、ラベル紙Pの用紙搬送方向における左右両端部および後端部を含む略U字状に設定された範囲P2aにおける糊P2がラベル紙Pからはみ出して除去されるので、定着ニップによりラベル紙Pの搬送方向における左右両端部と後端から糊Pがはみ出すことを防止することができる。また、かかる構成によれば、ラベル紙Pの中央の領域における糊P2を残すことができ、ラベル紙Pから糊P2を過不足なく押し出すことが容易に実現できる。
図9は、ラベル紙Pの他の構成例について示している。図4から図8では、基材P1と剥離シートP3とが同一形状の場合、すなわち剥離シートP3が基材P1の全面に配置されている構成のラベル紙Pについて例示した。
他方、ラベル紙Pは、図9に示すように、剥離シートP3が基材P1よりも小さい形状であり、基材P1の一部に配置されている構成のものもある。図9に例示するラベル紙Pは、基材P1上に2つの剥離シートP3が予め定められた位置に配置されている。このような場合、押圧部80の押圧力を切り替える位置の制御は、個々の剥離シートP3の後端を基準として行えばよい。
以上、詳細に説明したように、画像形成装置1によれば、カット紙であるラベル紙Pに定着処理を施す際、当該ラベル紙Pに含まれる糊P2で定着部材が汚れることを防止することができる。
上述した実施の形態では、押圧部80として、ラベル紙Pを押圧した場合、用紙幅方向における中央側から端部側に向かって押圧力が小さくなる構成を例示した。他の例として、この逆の場合、すなわち、ラベル紙Pを押圧した場合、用紙幅方向における中央側から端部側に向かって押圧力が大きくなる構成としてもよい。この場合、例えば押圧ローラー82,84を逆クラウン形状のものとすればよい。
その他、上記実施の形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその要旨、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。