JP2018119846A - 熱伝導式ガスセンサ - Google Patents

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Abstract

【課題】感度の低下を抑制することができる熱伝導式ガスセンサを提供する。
【解決手段】ガスセンサ10は、メンブレン28の上方に設けられ、基板11に対して断熱されたヒータ15と、ヒータ15の近傍に配されたサーモパイル13と、基板11から延びるように形成されてヒータ15と熱的に接続された放熱体18と、基板11から延びるように形成された基板11と熱的に接続された吸熱体19と、を備え、放熱体18と吸熱体19との間隔が、被検出ガスの平均自由行程よりも狭く、測定環境の雰囲気ガスの平均自由工程よりも広い。
【選択図】図4

Description

本発明は、熱伝導式ガスセンサに関する。
水素やヘリウムなどのガス(被検出ガス)を検出するガスセンサとして、自身の温度変化(発熱)により抵抗値が変化し、放熱体が熱的に接続されたヒータを備えた熱伝導式ガスセンサがある。また、特許文献1には、測定ガス中の成分を分析するために、測定ガスの熱伝導度を検出する熱伝導度検出器が開示されている。この熱伝導度検出器では、抵抗器を発熱させ、抵抗器から測定ガスへの熱放散の度合いを計測することで、測定ガスの熱伝導度を測定する。また、特許文献2,3には、気体雰囲気の真空度を計測する真空度計測装置が開示されている。これらの真空度計測装置では、真空度に左右される気体の熱伝導度を計測(ヒータから気体への熱放散の度合いを計測)することで、気体の真空度を計測する。
特許文献1〜3に開示された技術では、いずれもヒータ(抵抗器)を含むシリコン基板(SOI基板)と、ヒートシンクとして機能するシリコン基板(SOI基板)と、を別個に形成したうえで、ヒータとヒートシンクとが狭い間隔で対向するように、2つのシリコン基板(SOI基板)を接合している。
特開平11−118749号公報 特開平7−325002号公報 特開2007−147344号公報
しかし、上記従来のセンサでは、2つのシリコン基板(SOI基板)を接合する構成であることから、ヒータとヒートシンクとの間を高い精度設定することが難しい一方で、ヒータとヒートシンクとの接触を避ける必要がある。このため、ヒータとヒートシンクとの間には、ある程度の間隔を設定することが必要となり、結果として、感度が低いという問題がある。
本発明が解決しようとする課題は、感度の低下を抑制することができる熱伝導式ガスセンサを提供することである。
上記問題を解決するために、本発明の一態様は、ヒートシンクと、前記ヒートシンクに設けられた断熱部と、前記断熱部に設けられ、前記ヒートシンクと断熱されたヒータと、前記断熱部において前記ヒータの近傍に配された測温部と、前記断熱部から延びるように形成されて前記ヒータと熱的に接続された放熱体と、前記ヒートシンクから延びるように形成されて前記ヒートシンクと熱的に接続された吸熱体と、を備え、前記放熱体と前記吸熱体との間隔が、被検出ガスの平均自由行程よりも狭く、測定環境の雰囲気ガスの平均自由工程よりも広いことを特徴とする熱伝導式ガスセンサである。
本発明に係る熱伝導式ガスセンサによれば、感度の低下を抑制することができる。
第1実施形態に係るガスセンサモジュールの断面図である。 第1実施形態に係るガスセンサモジュールの平面図である。 (a)は、第1実施形態に係るガスセンサの平面図、(b)は、その一部拡大図である。 (a)は、A1−A1線断面図及びその一部拡大図、(b)は、図3(a)のB1−B1線断面図である。 第1実施形態に係るガスセンサの製造過程の一工程を示す図であり、(a)は平面図、(b)は(a)のC1−C1線断面図、(c)は(a)のD1−D1線断面図である。 図5に続く製造過程の一工程を示す図であり、(a)は平面図、(b)は(a)のE1−E1線断面図、(c)は(a)のF1−F1線断面図である。 図6に続く製造過程の一工程を示す図であり、(a)はE1−E1線断面相当の図、(b)はF1−F1線断面相当の図である。 図7に続く製造過程の一工程を示す図であり、(a)はE1−E1線断面相当の図、(b)はF1−F1線断面相当の図である。 第2実施形態に係るガスセンサモジュールの断面図である。 第2実施形態に係るガスセンサモジュールの平面図である。 第2実施形態に係るガスセンサの平面図である。 (a)は、図11のA2−A2線断面図、(b)は、図11のB2−B2線断面図、(c)は、図11のC2−C2線断面図である。 第2実施形態に係るガスセンサの製造過程の一工程を示す図であり、(a)は、A2−A2線断面相当の図、(b)は、B2−B2線断面相当の図、(c)は、C2−C2線断面相当の図である。 図13に続く製造過程の一工程を示す図であり、(a)は、A2−A2線断面相当の図、(b)は、B2−B2線断面相当の図、(c)は、C2−C2線断面相当の図である。 図14に続く製造過程の一工程を示す図であり、(a)は、A2−A2線断面相当の図、(b)は、B2−B2線断面相当の図、(c)は、C2−C2線断面相当の図である。 図15に続く製造過程の一工程を示す図であり、(a)は、A2−A2線断面相当の図、(b)は、B2−B2線断面相当の図、(c)は、C2−C2線断面相当の図である。 (a)は、第3実施形態に係るガスセンサモジュールの断面図、(b)は、(a)のX3部分の拡大図、(c)は、(a)のY3部分の拡大図である。 第3実施形態に係るガスセンサの平面図である。 (a)は、第3実施形態に係るガスセンサの製造過程の一工程を示す図18(a)のA3−A3線断面相当の図、(b)は、(a)に続く製造過程の一工程を示す図18(a)のA3−A3線断面相当の図、(c)は、(b)に続く製造過程の一工程を示す図18(a)のA3−A3線断面相当の図である。 (a)は、図19(c)に続く製造過程の一工程を示すA3−A3線断面相当の図、(b)は、(a)のx4部分の拡大図である。 図20に続く製造過程の一工程を示すA3−A3線断面相当の図である。 図21に続く製造過程の一工程を示すA3−A3線断面相当の図である。 図22に続く製造過程の一工程を示すA3−A3線断面相当の図である。 図23に続く製造過程の一工程を示すA3−A3線断面相当の図である。 図24に続く製造過程の一工程を示すA3−A3線断面相当の図である。 (a)は、微細凹部絶縁膜エッチング前の図25のZ3部分の拡大図、(b)は、微細凹部絶縁膜エッチング後の図25のZ3部分の拡大図である。 第4実施形態に係るガスセンサモジュールの断面図である。 第4実施形態に係るガスセンサの平面図である。 (a)は、図28のA4−A4線断面図、(b)は、図28のB4−B4線断面図である。 第4実施形態に係るガスセンサの製造過程の一工程を示すA4−A4線断面相当の図である。 図30に続く製造過程の一工程を示すA4−A4線断面相当の図である。 図31に続く製造過程の一工程を示すA4−A4線断面相当の図である。 図31に続く製造過程の一工程を示すB4−B4線断面相当の図である。 (a)は、変形例に係るガスセンサの正断面図、(b)は、その側断面図である。
以下、本発明を適用したガスセンサの実施形態について説明する。以下の各実施形態において、共通する要素、部材等について、同一の符号を付し、その説明を省略または簡略化することがある。なお、ガスセンサの検出対象となる被検出ガスは、特に限定されず、例えば、水素などの可燃性ガスであってもよいし、ヘリウムなどの不活性ガスであってもよい。
[第1実施形態]
本発明の第1実施形態について説明する。図1及び図2に示すように、第1実施形態に係るガスセンサ10は、ガスセンサモジュール1の一部として設けられている。ガスセンサモジュール1は、ガスセンサ10及びパッケージ30を備えている。パッケージ30は、板状のパッケージ本体31と、パッケージ本体31に取り付けられるパッケージ蓋32とを備えており、パッケージ蓋32によってパッケージ本体31の上方を閉塞する箱型を成している。パッケージ蓋32は、通気性を有しており、例えば、ステンレスや真鍮からなる焼結金属、ステンレス金網、あるいは多孔質セラミックからなる。パッケージ蓋32は、フィルタとして機能し、水素などの被検出ガスを含むエアを通過する一方で埃や塵など異物を捕捉して除去する。
パッケージ30には、ガスセンサ10が収容されている。ガスセンサ10は、ダイボンド材36によってパッケージ本体31の上面に固定されている。パッケージ本体31には、貫通孔31Aが形成されており、電極33(グランド端子33A、電圧印加端子33B、及び出力端子33C)が貫通している。貫通孔31Aと電極33との間の空間は封止材34で封止されている。パッケージ本体31上には、図示しない配線が設けられており、この配線とガスセンサ10とは、電極33を介してワイヤ35によって接続されている。
本実施形態に係るガスセンサ10は、ガスの熱伝導度の差による発熱体の温度変化を測定することによってガスを検知する、いわゆる熱伝導式ガスセンサである。図1及び図4に示すように、ガスセンサ10は、基板11を備えている。基板11は、例えばSiによって構成されている。図4(a),(b)に示すように、基板11の上層には、下層絶縁膜12が設けられている。下層絶縁膜12は、第1下層絶縁膜12A、第2下層絶縁膜12B、及び第3下層絶縁膜12Cを備えている。第1下層絶縁膜12Aは、例えばSiOによって構成されている。第2下層絶縁膜12Bは、例えばSiによって構成されている。第3下層絶縁膜12Cは、例えばSiOによって構成されている。
下層絶縁膜12の上部には、サーモパイル13、均熱部14、及びヒータ15が設けられている。サーモパイル13は、第1熱電素子13Aと第2熱電素子13Bとを備えて構成された測温部である。第1熱電素子13Aと均熱部14は、いずれも例えば多結晶シリコンで構成されており、下層絶縁膜12の表面に取り付けられている。第1熱電素子13Aは、均熱部14の周囲に配置されている。
下層絶縁膜12の上層には、上層絶縁膜16が形成されている。上層絶縁膜16は、第1上層絶縁膜16A、第2上層絶縁膜16B、及び第3上層絶縁膜16Cを備えている。第1上層絶縁膜16A、第2上層絶縁膜16B、及び第3上層絶縁膜16Cは、いずれも例えばSiOによって構成されている。上層絶縁膜16の内側には、導電膜17が設けられている。導電膜17は、サーモパイル13やヒータ15をパッケージ30の電極に接続するための配線、サーモパイル13における第1熱電素子13Aと第2熱電素子13Bとを接続する配線などを構成している。導電膜17は、例えば白金によって構成されている。また、上層絶縁膜16には、複数の露出孔が形成されている。導電膜17の一部は、露出孔を介して露出している。
下層絶縁膜12及び下層絶縁膜12の表面に取り付けられた第1熱電素子13Aと均熱部14は、上層絶縁膜16によって覆われている。上層絶縁膜16の上部には、第2熱電素子13Bとヒータ15とが設けられている。第2熱電素子13Bとヒータ15は、第1上層絶縁膜16Aの表面に取り付けられており、いずれも例えば多結晶シリコンで構成されている。ヒータ15は、均熱部14の直上位置に配置されている。第2熱電素子13Bは、ヒータ15の周囲であって、第1熱電素子13Aの直上位置に配置されている。サーモパイル13における第1熱電素子13Aと第2熱電素子13Bとは、図4(a)に示すように直列に接続されている。ヒータ15は、基板11に対して断熱されている。サーモパイル13の温接点は、ヒータ15の近傍に配されている。
第1上層絶縁膜16A及び第1上層絶縁膜16Aの表面に取り付けられたヒータ15と第2熱電素子13Bとは、第2上層絶縁膜16Bで覆われている。また、ヒータ15の上方には、放熱体18及び吸熱体19が形成されている。放熱体18は、板状や柱状を成しており、ヒータ15から延びるように形成されヒータ15と熱的に接続されている。吸熱体19は、基板11から延びるように形成され基板11と熱的に接続されている。基板11は、ヒートシンクとして機能し、吸熱体19からの放熱を促進する。
図3(a)(b)に示すように、放熱体18は、左放熱体21、中放熱体22、及び右放熱体23を備えている。また、吸熱体19は、左吸熱体24及び右吸熱体25を備えている。左放熱体21、左吸熱体24、中放熱体22、右吸熱体25、及び右放熱体23は、板状や柱状をなしており、この順で互いに略平行に配置されている。したがって、左吸熱体24は、左放熱体21と中放熱体22の間に配置され、右吸熱体25は中放熱体22と右放熱体23の間に配置されている。なお、感度を向上させるために放熱体18、吸熱体19の数を増やしてもよく、小型化や低コスト化するために放熱体18、吸熱体19の数を減らしてもよい。
図4(a)に示すように、放熱体18は、第1放熱体である下段放熱体18Aと第2放熱体である上段放熱体18Bを備えている。下段放熱体18Aは、ヒータ15上に立設されており、上段放熱体18Bは、下段放熱体18A上に立設されている。放熱体18は、下段放熱体18Aにおいてヒータ15と接触している。下段放熱体18Aと上段放熱体18Bとの平面視した形状はそれぞれ略同一であり、図3(a)(b)に示すように、ガスセンサ10を上方から見た場合に、下段放熱体18Aは、上段放熱体18Bに隠されて視認できないようになっている。また、上段放熱体18Bは、下段放熱体18Aとは異なる材料からなる。
吸熱体19は、第1吸熱体である下段吸熱体19A及び第2吸熱体である上段吸熱体19Bを備えている。図4(b)に示すように、下段吸熱体19Aは、下層絶縁膜12に形成された剥取り部12Dを介して基板11に接続されている。下段吸熱体19Aは、ヒータ15を挟んで形成された一対の剥取り部12Dにそれぞれ設けられ、ヒータ15を跨いで設けられている。このため、吸熱体19は、ヒータ15から離間してヒータ15とは非接触とされている。上段吸熱体19Bは、下段吸熱体19A上に設けられている。下段吸熱体19Aと上段吸熱体19Bとの平面視した形状はそれぞれ略同一であり、図3(a)(b)に示すようにガスセンサ10を上方から見た場合に、図4に示す下段吸熱体19Aは、上段吸熱体19Bに隠されて視認できないようになっている。また、上段吸熱体19Bは、下段吸熱体19Aとは異なる材料からなる。
図4(a)に示すように、放熱体18における左放熱体21は、左下段放熱体21A及び左上段放熱体21Bを備えている。同様に、中放熱体22は、中下段放熱体22A及び中上段放熱体22Bを備えており、右放熱体23は、右下段放熱体23A及び右上段放熱体23Bを備えている、また、吸熱体19における左吸熱体24は、左下段吸熱体24A及び左上段吸熱体24Bを備えており、右吸熱体25は、右下段吸熱体25A及び右上段吸熱体25Bを備えている。
図3(b)に示すように、左放熱体21の右側辺(内側辺)21R及び右放熱体23の左側辺(内側辺)23Lには、それぞれ凹凸部が形成されている。また、左吸熱体24の左側辺24L及び右側辺24Rには凹凸部が形成されており、中放熱体22の左側辺22L及び右側辺22R、右吸熱体25の左側辺25L及び右側辺25Rにもそれぞれ凹凸部が形成されている。
左放熱体21の右側辺21Rに形成された凹凸部における凸部は、左吸熱体24の左側に形成された凹凸部における凹部に挿入されるように配置されている。また、左放熱体21の右側辺21Rに形成された凹凸部における凹部には、左吸熱体24の左側に形成された凹凸部における凸部に挿入されるように配置されている。こうして、左放熱体21と左吸熱体24とは、一定の間隔をあけて離間して配置されている。放熱体18及び吸熱体19における凹凸部の凸部が、吸熱体19及び放熱体18における凹凸部の凹部に挿入されている。
同様にして、隣り合う放熱体と吸熱体、具体的には、左吸熱体24と中放熱体22、中放熱体22と右吸熱体25、及び右吸熱体25と右放熱体23とは、一定の間隔をあけて離間して配置されている。隣り合う放熱体と吸熱体との間隔h11は、被検出ガスの平均自由行程よりも短く(狭く)、測定環境の雰囲気ガスの平均自由工程より長い(広い)距離とされている。測定環境には、例えば温度、気圧などが含まれる。この実施形態では、被検出ガスを水素(H)としている。水素の平均自由行程は、300K、1気圧の下で0.122μmである。このため、隣り合う放熱体と吸熱体との間隔h11は、0.1μmとされている。
平均自由行程は、被検出ガスごとに求められ、温度、気圧に応じて変動する。以下に、300K、400K、及び700Kの温度下におけるヘリウム(He)、水素(H)、空気(Air)、窒素(N)、酸素(O)、二酸化炭素(CO)、及び水(HO)の各平均自由行程について、1気圧、0.5気圧0.1気圧、0.01気圧の条件ごとに示す。これらの平均自由行程を参照することによって、放熱体と吸熱体との間隔h11が定められる。
Figure 2018119846
例えば、大気圧(101325Pa)の二酸化炭素(CO)雰囲気下で被検出ガスをヘリウム(He)とし、ワーク(被検査物)内に充填して漏れ検出を行うことを想定したガスセンサでは、放熱体18と吸熱体19との間隔h11をヘリウム(He)の平均自由工程0.198μmより短く(狭く)、二酸化炭素(CO)の平均自由工程0.0447μmより長い(広い)、例えば0.1μmとすればよい。なお、コストを下げるために、測定雰囲気ガスとして二酸化炭素(CO)雰囲気下で漏れ検出を行う代わりに、例えば、空気(Air)雰囲気下で漏れ検出を行ってもよい。また、0.01気圧(1013Pa)の窒素(N)雰囲気下で被検出ガスを水素(H)とし、ワーク(被検査物)に充填して漏れ検出を行うことを想定したガスセンサでは、放熱体18と吸熱体19との間隔h11を水素(H)の平均自由工程12.2μmより短く(狭く)、窒素(N)の平均自由工程6.53μmより長い(広い)、例えば9μmとすればよい。なお、安全性を高めるために、水素(H)単一ガスの代わりに、例えば、非可燃性である水素(H)5%、窒素(N)95%の混合ガスをワーク(被検査物)に充填してもよい。その他、被検出ガスの測定環境に応じて、放熱体18と吸熱体19との間隔h11を0.1μm、1μm、0.5μm、1μm、5μm等、適宜の長さに設計してもよい。
図3及び図4に示すように、基板11における下側には、断面略台形の空洞部11Aが設けられている。ヒータ15、放熱体18、及び吸熱体19は、空洞部11Aの上側に位置している。空洞部11Aは、基板11上の熱を断熱している。基板11における下面側では、空洞部11Aを除いた位置にマスク層26が形成されている。マスク層26は、第1マスク膜26A及び第2マスク膜26Bを備えている。第1マスク膜26Aは、例えばSiOによって構成されている。第2マスク膜26Bは、例えばSiによって構成されている。空洞部11Aからは、下層絶縁膜12の一部(メンブレン28)が露出している。上層絶縁膜16、メンブレン28、及び基板11の空洞部11Aによって断熱部が構成されている。これらの上層絶縁膜16、メンブレン28、及び基板11の空洞部11Aは、いずれも基板11に設けられている。また、ヒータ15は、断熱部に設けられている。
次に、第1実施形態に係るガスセンサ10の製造手順について説明する。第1実施形態に係るガスセンサ10は、基板11上で成膜とエッチングとを繰り返すMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)プロセスを実行することによって各種素子を形成して製造される。ガスセンサ10を製造する際には、はじめに、図5(b),(c)に示すように、基板11の上面に下層絶縁膜12を形成し、下面にマスク層26を形成する。下層絶縁膜12及びマスク層26を形成する際には、まず、例えば、基板11を1100℃の温度の酸素雰囲気中に曝して酸化することにより、SiOを例えば厚さ0.2μmに形成し、第1下層絶縁膜12A及び第1マスク膜26Aを形成する。SiO(厚さ0.2μm)からなる第1下層絶縁膜12A及び第1マスク膜26Aは、例えば基板11表面上にプラズマCVD法にて成膜することにより基板11の両面に形成してもよい。
次に、第1下層絶縁膜12Aの上面及び第1マスク膜26Aの下面に、例えば厚さ0.3μmのSiをLP−CVDによって形成して第2下層絶縁膜12B及び第2マスク膜26Bを形成する。続いて、第2下層絶縁膜12Bの上面に第3下層絶縁膜12Cとして、例えば厚さ0.2μmのSiOをプラズマCVDで形成する。下層絶縁膜12に代えて、例えばSiONからなる1層の下層絶縁膜を設けてもよい。
次に、第3下層絶縁膜12Cの上面及び第2マスク膜26Bの下面に第1半導体膜29Aを形成する。第1半導体膜29Aは、例えばSiHガスとNガスを用いて、650℃の条件下において多結晶シリコンを減圧CVD法によって0.4μmの膜厚で形成し、リン等の不純物をイオン注入法等によって多結晶シリコン膜に導入し、所定の抵抗値を得られるように調整する。例えば、1cm当り1×1020個のイオンを注入する。
イオン注入を行った後、1000℃のランプアニールを行ってイオンを活性化させる。こうして第1半導体膜29Aを形成する。なお、イオン注入に代わりに拡散炉においてリン等の不純物を熱拡散してもよい。また、イオン注入や拡散炉における不純物の熱拡散を行う代わりに、SiH及びPHガスを用いてCVDを行うことにより、リンドープされた多結晶シリコンを成膜してもよい。第1半導体膜29Aは、多結晶シリコンの代わりに、鉄シリサイド、SiGe、ビスマスアンチモン等をスパッタ法等によって成膜してもよい。
第3下層絶縁膜12Cの上面及び第2マスク膜26Bの下面に第1半導体膜29Aを形成したら、フォトリソグラフィ技術を用いたパターニングを行い、第1半導体膜29Aの上面に形成した第1半導体膜29Aを所望の形状に加工することにより、第1熱電素子13Aと均熱部14を形成する。パターニングでは、例えば、第3下層絶縁膜12Cの上面フォトレジストを1μmの厚さでスピンコートにより塗布した後、プリベークする。次に、所望のパターンが形成されたフォトマスクを用いて、アライナー、ステッパー等の露光装置で露光した後、現像及びポストベークを行い、所望のパターン形状のフォトレジストを第1半導体膜29A上に形成する。そのフォトレジストをマスクにして、第1半導体膜29Aをエッチングする。第1半導体膜29Aのエッチングは、例えば、CFガスを用いたプラズマエッチングにて行う。エッチング後、フォトレジストパターンは、酸素プラズマを用いてアッシャーで除去する。アッシャーを用いたドライエッチングの代わりに、硫酸、有機溶剤、フォトレジスト用剥離液等の薬品を用いたウェットエッチングを用いてもよい。
第1半導体膜29Aのエッチングを行い、第1熱電素子13Aと均熱部14を形成したら、第1熱電素子13A、均熱部14、及び第3下層絶縁膜12Cの上に、第1上層絶縁膜16Aを形成する。第1上層絶縁膜16Aとしては、例えばプラズマCVD法を用いて、SiOを例えば0.3μmの厚さで成膜する。
次に、第1上層絶縁膜16Aの上面に第2半導体膜29Bを形成する。第2半導体膜29Bは、例えばSiHガスとNガスを用いて、650℃の条件下において多結晶シリコンを減圧CVD法によって0.4μmの膜厚で形成し、ボロン等の不純物をイオン注入法等によって多結晶シリコン膜に導入し、所定の抵抗値を得られるように調整する。例えば、1cm当り1×1020個のイオンを注入する。イオン注入後1000℃のランプアニールを行ってイオンを活性化させる。イオン注入の代わりに、拡散炉にてボロン等の不純物を熱拡散してもよい。イオン注入や熱拡散を行う代わりに、SiH及びBFガスを用いてCVDを行うことにより、ボロンドープされた多結晶シリコンを成膜してもよい。多結晶シリコンの代わりに、減圧CVD法、プラズマCBD法、スパッタ法+アニールにより、ボロンドープされた多結晶SiGeを成膜してもよい。
その後、第1熱電素子13Aと均熱部14を形成したときと同様にしてフォトレジストを第2半導体膜29B上に形成する。そのフォトレジストをマスクにして、第2半導体膜29Bをエッチングして、第1熱電素子13Aと均熱部14上に第1上層絶縁膜16Aを介して第2熱電素子13B及びヒータ15を形成する。
次に、第2熱電素子13B、ヒータ15、及び第1上層絶縁膜16Aの上面に、第2上層絶縁膜16Bを形成する。第2上層絶縁膜16Bとしては、プラズマCVD法を用いて、SiOを例えば0.3μmの厚さに成膜する。次いで、フォトリソグラフィ技術を用いて、SiOからなる第1上層絶縁膜16A及び第2上層絶縁膜16Bに、所望の形状のコンタクトホール16Hのパターンを形成し、第1熱電素子13A、第2熱電素子13B、及びヒータ15の一部を露出させる。ここでは、例えばフォトレジストを1μmの厚さでスピンコートにより塗布し、プリベークする。コンタクトホール16Hの最下層に剥ぎ取り部12Dが形成される。次に、所望のパターンが形成されたフォトマスクを用いて、アライナー、ステッパー等の露光装置で露光した後、現像及びポストベークを行い、図示しないフォトレジストパターンを第2上層絶縁膜16B上に形成する。このフォトレジストパターンをマスクにして、第2上層絶縁膜16B及び第1上層絶縁膜16Aをエッチングする。第2上層絶縁膜16B及び第1上層絶縁膜16Aのエッチングは、例えば、CHFガスを用いた反応性イオンエッチングにて行う。エッチング後、フォトレジストは、酸素プラズマを用いてアッシャーで除去する。アッシャーを用いたドライエッチングの代わりに、有機溶剤、フォトレジスト用剥離液等の薬品を用いたウェットエッチングを用いてもよい。
コンタクトホール16Hを形成したら、図6に示すように、コンタクトホール16H内及び第2上層絶縁膜16B上に導電膜17、下段放熱体18A、及び下段吸熱体19Aを形成する。導電膜17、下段放熱体18A、及び下段吸熱体19Aは、例えばスパッタ法を用いて白金(Pt)をスパッタリングすることによって成膜された導電膜層を所望の形状にパターニングすることによって形成する。パターニングは、フォトリソグラフィ技術を用いて行う。
導電膜17、下段放熱体18A、及び下段吸熱体19Aを形成するにあたり、ここでは、例えばフォトレジストを2μmの厚さでスピンコートにより塗布し、プリベークする。次に、所望のパターンが形成されたフォトマスクを用いて、アライナー又はステッパーで露光した後、現像及びポストベークを行い、所望のパターン形状のフォトレジストを導電膜層上に形成する。このフォトレジストをマスクにして、白金(Pt)からなる導電膜層をArイオンミリング法にてエッチングする。導電膜層は、白金(Pt)の代わりにアルミニウム、チタン等の金属やAlSiCu等の合金を用いて形成してもよい。エッチング後、フォトレジストは、酸素プラズマを用いてアッシャーで除去する。アッシャーを用いたドライエッチングの代わりに、有機溶剤、フォトレジスト用剥離液等の薬品を用いたウェットエッチングを用いてもよい。
導電膜17、下段放熱体18A、及び下段吸熱体19Aを形成する過程において、第1熱電素子13Aと第2熱電素子13Bが直列接続されてサーモパイル13が完成する。また、下段放熱体18Aと下段吸熱体19Aとは、互いに平面視して凹凸形状を成しており、狭ギャップ、具体的には、被検出ガスの平均自由行程よりも狭いギャップで対向して形成されている。下段放熱体18Aは、ヒータ15の上方に形成されたコンタクトホール16H(図5参照)内に形成された導電膜層を含んで構成される。このため、下段放熱体18Aはヒータ15に接触して形成される。下段吸熱体19Aは、下層絶縁膜12に形成された剥取り部12D内に形成された導電膜層を含んで構成される。このため、下段吸熱体19Aは、基板11に接触して形成される。
それから、下段放熱体18A、及び下段吸熱体19Aの上に上段放熱体18B及び上段吸熱体19Bをそれぞれ形成する。上段放熱体18B及び上段吸熱体19Bとしては、図示しないフォトレジストをマスクにしてめっき法を用いて、銅(Cu)を2μm成膜する。なお、スパッタ法を用いて、アルミニウム(Al)又はアルミニウム(Al)合金を成膜後、図示しないフォトレジストをマスクにして反応性イオンエッチングを行ってもよい。 めっき終了後、あるいは、エッチング後、フォトレジストは、酸素プラズマを用いてアッシャーで除去する。アッシャーを用いたドライエッチングの代わりに、有機溶剤、フォトレジスト用剥離液等の薬品を用いたウェットエッチングを用いてもよい。なお、上段放熱体18B及び上段吸熱体19Bの形成を省略してもよい。
続いて、導電膜17及び第2上層絶縁膜16Bの上に、図7に示す第3上層絶縁膜16Cを形成する。第3上層絶縁膜16Cとしては、プラズマCVD法を用いて、SiOを例えば0.3μmの厚さで成膜する。なお、第3上層絶縁膜16Cとしては、プラズマCVD法を用いて、SiOの代わりにSiOを成膜してもよい。
次いで、フォトリソグラフィ技術を用いて、SiO2からなる第3上層絶縁膜16Cに所望の形状の露出孔を形成し、導電膜17の一部を露出させる。例えば、フォトレジストを1μmの厚さでスピンコートにより塗布した後、プリベークする。次に、所望のパターンが形成されたフォトマスクを用いて、アライナー、ステッパー等の露光機で露光した後、現像及びポストベークを行い、フォトレジストパターンを第3上層絶縁膜16C上に形成する。このフォトレジストパターンをマスクにして、第3上層絶縁膜16Cをエッチングする。第3上層絶縁膜16Cのエッチングは、例えば、CHFガスを用いた反応性イオンエッチングにて行う。エッチング後、フォトレジストは、酸素プラズマを用いてアッシャーで除去する。アッシャーを用いたドライエッチングの代わりに、有機溶剤、フォトレジスト用剥離液等の薬品を用いたウェットエッチングを用いてもよい。
それから、図8に示すように、放熱体18及び吸熱体19の直下における第2上層絶縁膜16Bをエッチングする。放熱体18の直下における第2上層絶縁膜16Bをエッチングすることにより、放熱体18と基板11との間における熱の伝達が遮断される。吸熱体19の直下における第2上層絶縁膜16Bをエッチングすることにより、当該部分における吸熱体19と基板11との間の熱の伝達が遮断されるが、剥取り部12Dに形成された吸熱体19と基板11との間で熱伝達が行われる。こうして、ガスセンサ10における基板11の上側部分が完成する。
最後に、基板11の下側部分を作成する。基板11の下側では、図4に示すように、基板11を下側(裏面側)からエッチングして空洞部11Aを形成し、メンブレン28を露出させる。例えば、図示しないフォトレジストをマスクにして、基板11の裏面に形成された第1マスク膜26A及び第2マスク膜26BをSFガスを用いた等方性ドライエッチングあるいはCFガスを用いた異方性ドライエッチングにて除去した後、基板11の下面(裏面)の第1マスク膜26A及び第2マスク膜26Bをエッチングする。エッチング終了後、フォトレジストを除去する。第1マスク膜26A及び第2マスク膜26Bをマスクにして、TMAHまたはKOHを用いて基板11を結晶異方性エッチングして、メンブレン28を露出させる。こうして、図3及び図4に示すガスセンサ10が製造される。
本実施形態に係るガスセンサ10は、基板11に対してヒータ15が断熱され、ヒータ15に熱的に接続された放熱体18を設けて構成されており、ヒータ15から放熱体18を介して被検出雰囲気中に拡散される熱の大きさに基づいて、サーモパイル13を用いて被検出ガスの濃度を検出する。サーモパイル13は、ヒータ15の近傍に設けられているので、サーモパイル13の温接点(第1熱電素子13A及び第2熱電素子13Bのうちヒータ15の近くに位置する端部)は、略ヒータ15の温度となる。またサーモパイル13の冷接点(第1熱電素子13A及び第2熱電素子13Bのうちヒータ15から離れて位置する端部)は、基板11上にあり、略基板11の温度に保たれている。
ヒータ15から被検出ガスを含むエアへの放熱量は、ヒータ15を取り巻く被検出ガスを含むエアの組成(被検出ガスの濃度)に左右されるため、サーモパイル13は、温接点と冷接点との温度差により熱起電力を発生する。この起電力の大きさから被検出ガスの濃度を推定することができる。
ここで、ガスセンサ10においては、放熱体18から放出される熱は、ヒートシンクとなる基板11に熱的に接続された吸熱体19に吸収される。図3(b)に示す放熱体18と吸熱体19との間隔h11が、被検出ガスの平均自由行程よりも短く(狭く)、測定環境の雰囲気ガスの平均自由工程より長く(広く)されている。このため、放熱体18と吸熱体19とに対する被検出ガスの衝突回数を多くすることができる。したがって、被検ガスが存在すると放熱体18からの熱を吸熱体19に効率よく伝達することができるので、ガスセンサ10の高感度化を図ることができる。
また、放熱体18と吸熱体19とを設けていることから、放熱体18と吸熱体19との面積をメンブレン28の面積よりも広く設計することができる。したがって、ガスセンサ10の高感度化及び小型化を図ることができる。また、放熱体18と吸熱体19との間に隙間が形成されているので、ガスセンサ10の高速応答化に寄与することができる。
また、放熱体18と吸熱体19とは、MEMS技術によって形成されている。このため、数μmといった微小なオーダーであっても、精度よく形成することができる。したがって、放熱体18と吸熱体19との間隔h11が、被検出ガスの平均自由行程よりも狭くなるように放熱体18と吸熱体19を形成することができる。したがって、ガスセンサ10の高感度化、小型化、及び高歩留まり化を図ることができる。
また、放熱体18と吸熱体19とには、凹凸部が形成されており、放熱体18及び吸熱体19における凹凸部の凸部が、吸熱体19及び放熱体18における凹凸部の凹部に挿入されている。このため、放熱体18と吸熱体19との間で向かい合う面積を大きくすることができ、熱交換率を高めることができる。したがって、ガスセンサ10の高感度化を図ることができる。
また、放熱体18は、左放熱体21、中放熱体22、右放熱体23の3本を備え、吸熱体19は、左吸熱体24及び右吸熱体25の2本を備えている。このため、放熱体18と吸熱体19との間で向かい合う面積を大きくすることができ、熱交換率を高めることができる。したがって、ガスセンサ10の高感度化を図ることができる。
また、放熱体18の下段放熱体18Aと上段放熱体18B、及び吸熱体19の下段吸熱体19Aと上段吸熱体19Bとは、それぞれ異なる材料からなる。このため、被検出ガスの種類等の条件に応じて適切な放熱体と吸熱体とを個別に選定することができる。なお、本実施形態では、下段放熱体18Aと下段吸熱体19A、上段放熱体18Bと上段吸熱体19Bは、いずれも同一の材料で構成されているが、これらが異なる材料で構成されていてもよい。
[第2実施形態]
次に、第2実施形態について説明する。図9及び図10に示す第2実施形態に係るガスセンサモジュール2は、上記第1実施形態に係るガスセンサモジュール1と比較して、パッケージの態様及びガスセンサの構造が主な相違点となっている。以下、これらの相違点を中心として、第2実施形態に係るガスセンサモジュールについて説明する。
図9及び図10に示すように、第2実施形態に係るガスセンサモジュール2は、ガスセンサ40及びパッケージ60を備えている。パッケージ60は、上方が開口する箱型のパッケージ本体61と、パッケージ本体61に取り付けられるパッケージ蓋62とを備えており、パッケージ蓋62によってパッケージ本体61の開口を閉塞している。パッケージ蓋62は、通気性を有しており、例えば、ステンレスや真鍮からなる焼結金属、ステンレス金網、あるいは多孔質セラミックからなる。パッケージ蓋62は、フィルタとして機能し、水素などの被検出ガスを含むエアを通過する一方で埃や塵など異物を捕捉して除去する。
パッケージ60には、ガスセンサ40が収容されている。ガスセンサ40は、ダイボンド材63によってパッケージ本体61の底板上面に固定されている。パッケージ本体61の底板裏(下面)には、電極板64が取り付けられている。パッケージ本体61における側壁には、平面視して矩形の段差部61Aが設けられている。図10に示すように、段差部61Aには、第1電極パッド65A〜第5電極パッド65Eが設けられている。
第1電極パッド65A及び第3電極パッド65Cは、加熱ヒータ印加電圧用電極パッドであり、第2電極パッド65Bは、グランド用電極パッドである。第4電極パッド65Dは、参照素子出力電圧パッドであり、第5電極パッド65Eは、検出素子出力電圧パッドである。第1電極パッド65A〜第3電極パッド65Cは、段差部61Aの三辺の各中央位置にそれぞれ配置されている。また、第4電極パッド65D及び第5電極パッド65Eは、段差部61Aの残り一辺に並設されている。これらの第1電極パッド65A〜第5電極パッド65Eは、パッケージ本体61を貫通する図示しない電極を介して電極板64に電気的に接続されている。第1電極パッド65A〜第5電極パッド65Eは、ワイヤ66を介してガスセンサ40に設けられた導電膜48に電気的に接続されている。
図11及び図12に示すように、ガスセンサ40は、基板41と基板41の上に形成された下層絶縁膜42を備えている。下層絶縁膜42は、基板41上に設けられた第1下層絶縁膜42Aと、第1下層絶縁膜42Aの上に設けられた第2下層絶縁膜42Bと、第2下層絶縁膜42Bの上に設けられた第3下層絶縁膜42Cを備えて構成されている。第1下層絶縁膜42Aは、例えばSiOによって構成されている。第2下層絶縁膜42Bは、例えばSiによって構成されている。第3下層絶縁膜42Cは、例えばSiOによって構成されている。
下層絶縁膜42の上には、検出用サーモパイル43、検出用ヒータ44、参照用サーモパイル45、及び参照用ヒータ46が設けられている。検出用サーモパイル43は、検出用第1熱電素子43Aと検出用第2熱電素子43Bとを備えている。検出用第1熱電素子43Aは、検出用ヒータ44と共通の材料によって下層絶縁膜42の上に形成されている。また、検出用第1熱電素子43Aの上に検出用第2熱電素子43Bが設けられている。検出用第1熱電素子43Aは、検出用ヒータ44を囲んで設けられており、検出用サーモパイル43の温接点は、検出用ヒータ44の近傍に配されている。
参照用サーモパイル45は、参照用第1熱電素子45Aと参照用第2熱電素子45Bとを備えている。参照用第1熱電素子45Aは、参照用ヒータ46と共通の材料によって下層絶縁膜42の上に形成されている。また、参照用第1熱電素子45Aの上に参照用第2熱電素子45Bが設けられている。参照用第1熱電素子45Aは、参照用ヒータ46を囲んで設けられており、参照用サーモパイル45の温接点は、参照用ヒータ46の近傍に配されている。
下層絶縁膜42の上層には、上層絶縁膜47が形成されている。上層絶縁膜47は、第1上層絶縁膜47A、第2上層絶縁膜47B、及び第3上層絶縁膜47Cを備えている。第1上層絶縁膜47A、第2上層絶縁膜47B、及び第3上層絶縁膜47Cは、いずれも例えばSiOによって構成されている。上層絶縁膜47の内側には、導電膜48が設けられている。導電膜48は、サーモパイル43,45やヒータ44,46をパッケージ60の電極に接続するための配線、サーモパイル43,45における第1熱電素子43A,45Aと第2熱電素子43B,45Bとを接続する配線などを構成している。導電膜48は、例えば白金によって構成されている。検出用ヒータ44の上方には検出用放熱体51及び検出用吸熱体52が設けられ、参照用ヒータ46の上方には参照用放熱体53、及び参照用吸熱体54が設けられている。
図11及び図12(a)に示すように、検出用放熱体51は、検出用ヒータ44に立設された複数、本実施形態では3枚の第1板状体51A、第2板状体51B、及び第3板状体51Cを備えている。第1板状体51A、第2板状体51B、及び第3板状体51Cは、図12(a)の奥行き方向に沿って延在し、互いに平行となるように略等間隔を置いて配置されている。検出用ヒータ44の上方には、検出用ヒータ44及び検出用放熱体51を覆って検出用吸熱体52が設けられている。検出用吸熱体52は、図12(c)に示すように、脚部52Aと、脚部52Aに接続された傘部52Bとを備えている。傘部52Bには、複数の孔部52Cが形成されている。孔部52Cは、平面視して、4×10列と6×1列に形成されている。これらの孔部52Cのうち、隣接する孔部52Cは、互いに略等間隔で配置されている。
傘部52Bは、検出用放熱体51の直上に間隔をあけて配置されている。傘部52Bの下面には、第1検出用突出吸熱体52E1及び第2検出用突出吸熱体52E2が設けられている。第1検出用突出吸熱体52E1は、検出用放熱体51の第1板状体51Aと第2板状体51Bの間に配された板状体である。同様に、第2検出用突出吸熱体52E2は、検出用放熱体51の第2板状体51Bと第3板状体51Cとの間に配された板状体である。検出用放熱体51における第1板状体51A、第2板状体51B、及び第3板状体51Cと、検出用吸熱体52における第1検出用突出吸熱体52E1,第2検出用突出吸熱体52E2は、互いに略平行に配置されている。傘部52Bの孔部52Cは、第1検出用突出吸熱体52E1、第2検出用突出吸熱体52E2の配列方向において、検出用突出吸熱体52E1、第2検出用突出吸熱体52E2を挟み込む位置に形成されている。
図12(a)に示すように、検出用ヒータ44と検出用吸熱体52における第1検出用突出吸熱体52E1の間隔h21は、被検出ガスの平均自由行程よりも短く(狭く)、測定環境の雰囲気ガスの平均自由工程より長い(広い)距離とされている。また、検出用ヒータ44と第2検出用突出吸熱体52E2の間隔は、検出用ヒータ44と第1検出用突出吸熱体52E1の間隔と同一である。
検出用放熱体51における第1板状体51Aと、検出用吸熱体52の第1検出用突出吸熱体52E1の間隔h22は、被検出ガスの平均自由行程よりも短く(狭く)、測定環境の雰囲気ガスの平均自由工程より長い(広い)距離とされている。言い換えると、第1板状体51Aと第1検出用突出吸熱体52E1とは、被検出ガスの平均自由行程よりも短く(狭く)、測定環境の雰囲気ガスの平均自由工程より長い(広い)ギャップで対向して形成されている。第1検出用突出吸熱体52E1と第2板状体51Bの間隔、第2板状体51Bと第2検出用突出吸熱体52E2の間隔、及び第2検出用突出吸熱体52E2と第3板状体51Cの間隔は、第1板状体51Aと第1検出用突出吸熱体52E1の間隔と同一である。
図11及び図12(b)に示すように、参照用放熱体53は、参照用ヒータ46に立設された複数、本実施形態では2枚の第1板状体53A及び第2板状体53Bを備えている。第1板状体53A及び第2板状体53Bは、図12(b)の奥行き方向に沿って延在し、互いに平行となるように略等間隔を置いて配置されている。参照用ヒータ46の上方には、参照用ヒータ46及び参照用放熱体53を覆って参照用吸熱体54が設けられている。参照用吸熱体54は、検出用吸熱体52と同様、脚部54Aと、脚部54Aに接続された傘部54Bとを備えている(図12(c)参照)。傘部54Bには、複数の孔部54Cが形成されている。孔部54Cは、平面視して、2×10列と3×1列に形成されている。これらの孔部54Cのうち、奥行き方向に隣接する孔部54Cは、互いに略等間隔で配置されている。また、幅方向に隣接する孔部54Cの間隔は、奥行き方向に隣接する孔部54Cの幅よりも広くされている。幅方向に隣接する孔部54Cの間隔は、検出用吸熱体52における隣接する孔部52Cの間隔と略同一とされている。
傘部54Bは、参照用放熱体53の直上に間隔をあけて配されている。参照用突出吸熱体54Eは、参照用放熱体53の第1板状体53Aと第2板状体53Bの間に配された板状体である。参照用放熱体53における第1板状体53A及び第2板状体53Bと、参照用吸熱体54における参照用突出吸熱体54Eは、互いに略平行に配置されている。
図12(b)に示すように、参照用ヒータ46と参照用吸熱体54における参照用突出吸熱体54Eの間隔h24は、被検出ガスの平均自由行程よりも長い(広い)距離とされている。
参照用放熱体53における第1板状体53Aと、参照用吸熱体54の参照用突出吸熱体54Eの間隔h25は、被検出ガスの平均自由行程よりも長い(広い)距離とされている。参照用突出吸熱体54Eと第2板状体53Bの間隔は、第1板状体53Aと参照用突出吸熱体54Eの間隔と同一である。
基板41における下側には、断面略矩形の空洞部41Aが設けられている。ヒータ44,46、放熱体51,53、及び吸熱体52,54は、空洞部41Aの上側に位置している。空洞部41Aは、基板41上の熱を断熱している。空洞部41Aからは、下層絶縁膜42の一部(メンブレン49)が露出している。上層絶縁膜47、メンブレン49、及び基板41の空洞部41Aによって断熱部が構成されている。これらの上層絶縁膜47、メンブレン49、及び基板41の空洞部41Aは、いずれも基板41に設けられている。また、ヒータ44,46は、断熱部に設けられている。図11、図12(c)に示すように、本実施形態では、空洞部41Aが検出用ヒータ44等の直下と参照用ヒータ46等の直下とで二つに分けて形成されているが、これに限ることはない。
次に、第2実施形態に係るガスセンサの製造手順について説明する。第2実施形態に係るガスセンサ40は、第1実施形態と同様にMEMS技術によって製造される。第2実施形態に係るガスセンサ40を製造する際には、図13(a)〜(c)に示すように、はじめに、基板41の上面に下層絶縁膜42を形成し、下面にマスク層67を形成する。下層絶縁膜42及びマスク層67は、第1実施形態における下層絶縁膜12及びマスク層26と同様にして形成することができる。
続いて、フォトリソグラフィ技術を用いて、多結晶シリコン等からなる半導体膜68Aをパターニングして、所望の形状の第1熱電素子43A,45A、ヒータ44,46のパターンを得る。例えば、フォトレジストを1ミクロンの厚さでスピンコートにより塗布した後プリベークする。所望のパターンが形成されたフォトマスクを用いて、アライナー、ステッパー等の露光装置で露光した後、現像及びポストベークを行い、所望のパターン形状のフォトレジストを半導体膜68A上に形成する。このフォトレジストのパターンをマスクにして、多結晶シリコンからなる半導体膜68Aをエッチングする。半導体膜68Aのエッチングは、例えば、CFガスを用いたプラズマエッチングにて行う。
エッチング後、フォトレジストパターンは、酸素プラズマを用いてアッシング装置(所謂アッシャー)で除去する。アッシャーを用いたドライエッチングの代わりに、硫酸、有機溶剤、フォトレジスト用剥離液等の薬品を用いたウェットエッチングを用いてもよい。なお、ヒータ44,46は多結晶シリコン等の半導体の代わりに、白金(Pt)等の金属やニクロム(NiCr)等の合金で形成してもよい。
第1熱電素子43A,45A及びヒータ44,46を形成したら、第1熱電素子43A,45A、ヒータ44,46、及び下層絶縁膜42上に第1上層絶縁膜47Aを成膜する。第1上層絶縁膜47Aとしては、プラズマCVD法を用いて、シリコン酸化膜(SiO)を0.3μmの厚さで成膜する。
続いて、第1上層絶縁膜47Aの上に半導体膜68Bを成膜する。半導体膜68Bとしては、例えば、SiHガスとNガスを用いて、650℃の条件で多結晶シリコンを減圧CVD法で0.4μmの膜厚で形成し、ボロン等の不純物をイオン注入法等により多結晶シリコン膜へ導入して所定の抵抗値が得られるように調整する。例えば、1×1020個/cmイオン注入する。イオン注入後1000℃のランプアニールを行ってイオンを活性化させる。イオン注入の代わりに、拡散炉にてボロン等の不純物を熱拡散してもよい。イオン注入や熱拡散を行う代わりに、SiH及びBFガスを用いてCVDを行うことにより、ボロンドープされた多結晶シリコンを製膜してもよい。多結晶シリコンの代わりに、減圧CVD法、プラズマCVD法、スパッタ法+アニールにより、ボロンドープされた多結晶SiGeを成膜してもよい。
半導体膜68Bを成膜したら、第2熱電素子43B,45Bを形成する。第2熱電素子43B,45Bを形成するにあたり、第1上層絶縁膜47A上に多結晶シリコンからなる半導体膜68Bを形成し、その半導体膜68Bの上に所望パターンのフォトレジストを形成する。このフォトレジストをマスクにして半導体膜68Bをエッチングして、第2熱電素子43B,45Bを形成する。
それから、第2熱電素子43B,45B、ヒータ44,46、及び第1上層絶縁膜47Aの上に第2上層絶縁膜47Bを成膜する。第2上層絶縁膜47Bとしては、プラズマCVD法を用いて、シリコン酸化膜(SiO)を1.5μmの厚さで成膜する。さらに、CMP(化学的機械研磨)あるいはエッチバックを行い、第2上層絶縁膜47Bを平坦化する。なお、CMPあるいはエッチバック等による平坦化工程は省略してもよい。次いで、フォトリソグラフィ技術を用いて、シリコン酸化膜(SiO)からなる第2上層絶縁膜47B及び第1上層絶縁膜47Aに、所望の形状の第1コンタクトホール47H1を形成し、第1熱電素子43A,45A及び第2熱電素子43B,45Bの一部を露出し、さらにヒータ44,46上に深さの異なる第1コンタクトホール47H1を形成する。第1コンタクトホール47H1としては、ヒータ44,46表面を露出するものと、ヒータ44,46の表面を露出せず、例えば、第1上層絶縁膜47Aの厚さを残したものとを形成する。第1コンタクトホール47H1を形成する際は、例えば、ハーフトーンマスク法にて階段形状のフォトレジストを形成後、RIE(反応性イオンエッチング)法によりフォトレジスト形状を縦方向(基板41に対する各層の積層方向)方向に拡張する。なお、フォトレジスト形成と基板41に対するエッチングを複数回繰り返してもよい。
こうして、第1コンタクトホール47H1を形成したら、図14に示すように、アルミニウム(Al)を所望の形状にパターニングして導電膜層を形成し、この導電膜層をエッチングすることによって導電膜48、放熱体51,53を形成するとともに、吸熱体52,54の一部を形成する。ここでは、検出用吸熱体52のうちの脚部52A(図11参照)及び検出用突出吸熱体52E1,52E2、参照用吸熱体54のうちの脚部54A(図11参照)及び参照用突出吸熱体54Eを形成する。
例えば、スパッタ法を用いてアルミニウム(Al)を1μmの厚さで成膜して導電膜層を形成後、フォトレジストをマスクにして、反応性イオンエッチングを行うことにより、所望の導電膜48、放熱体51,53、及び吸熱体52,54の一部を得ることができる。アルミニウム(Al)の表面にチタン(Ti)やタンタル(Ta)等からなる密着層や、窒化チタン(TiN)や窒化タンタル(TaN)等からなるバリアメタル層を積層させてもよい。これにより、第1熱電素子43A,45Aと第2熱電素子43B,45Bは直列接続され、検出用サーモパイル43及び参照用サーモパイル45が形成される。アルミニウムの代わりに、銅(Cu)、銀(Ag)、金(Au)、クロム(Cr)、タングステン(W)、ベリリュウム(Be)等の金属やアルミニウムシリコン銅(AlSiCu)等の合金、用いてもよい。
それから、図15に示すように、第3上層絶縁膜47Cを成膜する。第3上層絶縁膜47Cとしては、プラズマCVD法を用いて、シリコン酸化膜(SiO)を0.6μmの厚さで成膜する。なお、第3上層絶縁膜47Cとしては、プラズマCVD法を用いて、シリコン酸化膜(SiO)の代わりにアルミナ(Ai)や窒化アルミニウム(AlN)を成膜してもよい。次いで、フォトリソグラフィ技術を用いて、シリコン酸化膜(SiO)からなる第3上層絶縁膜47Cに所望の形状の第2コンタクトホール47H2及び第3コンタクトホール47H3を形成する。第2コンタクトホール47H2では、基板41が露出し、第3コンタクトホール47H3では、導電膜48の一部を露出する。例えば、フォトレジストを1μmの厚さでスピンコートにより塗布した後、プリベークする。所望のパターンが形成されたフォトマスクを用いて、アライナー、ステッパー等の露光機で露光した後、現像及びポストベークを行い、図示しないフォトレジストパターンを第3上層絶縁膜47C上に形成する。それから、フォトレジストパターンをマスクにして、シリコン酸化膜(SiO)からなる第3上層絶縁膜47Cをエッチングする。第3上層絶縁膜47Cのエッチングは、例えば、CHFガスを用いた反応性イオンエッチングにて行う。エッチング後、フォトレジストは、酸素プラズマを用いてアッシャーで除去する。アッシャーを用いたドライエッチングの代わりに、有機溶剤、フォトレジスト用剥離液等の薬品を用いたウェットエッチングを用いてもよい。なお、ヒータ44,46からの対流による放熱性を高めるためには、第3上層絶縁膜47Cにおいて、導電膜48の直上の膜厚と、導電膜48の側面上の膜厚とが略等しくなる、いわゆる等方的な成膜を行うことが好ましい。これらの膜厚は、被検出ガス及び雰囲気ガスの平均自由行程と、検査チャンバー内の測定圧力により決定すればよい。
続いて、アルミニウム(Al)からなる導電膜層を所望の形状にパターニングして、吸熱体52,54における孔部52C,54Cを有する傘部52B,54Bを形成する。孔部52C,54Cを有する傘部52B,54Bを形成するにあたっては、例えば、スパッタ法を用いてアルミニウム(Al)を1μmの厚さで成膜して導電膜層を形成した後、フォトレジスト(図示せず)をマスクにして、反応性イオンエッチングを行う。こうして、傘部52B,54Bを得ることができる。アルミニウム(Al)の表面にチタン(Ti)やタンタル(Ta)等からなる密着層や、窒化チタン(TiN)や窒化タンタル(TaN)等からなるバリアメタル層を積層させてもよい。アルミニウムの代わりに、銅(Cu)、銀(Ag)、金(Au)、クロム(Cr)、タングステン(W)、ベリリュウム(Be)等の金属やアルミニウムシリコン銅(AiSiCu)等の合金、用いてもよい。ドライエッチングが困難な銅(Cu)の微細パターニングには、メッキ法とCMP法を組み合わせるのが好ましい。
それから、図16に示すように、第3上層絶縁膜47Cにおける吸熱体52,54の直上を除いた位置を覆うフォトレジスト69を形成し、このフォトレジスト69をマスクにして、吸熱体52,54の直下の第3上層絶縁膜47Cを異方的にエッチングする。例えば、フォトレジスト69を1μmの厚さでスピンコートにより塗布した後、プリベークする。次に、所望のパターンが形成されたフォトマスクを用いてアライナー、ステッパー等の露光機で露光した後、現像及びポストベークを行い、フォトレジスト69を第3上層絶縁膜47Cにおける吸熱体52,54の直上を除いた位置及び導電膜48上に形成する。このフォトレジスト69をマスクにして、シリコン酸化膜(SiO)からなる第3上層絶縁膜47C、第2上層絶縁膜47B、及び第1上層絶縁膜47Aをエッチングする。第3上層絶縁膜47C、第2上層絶縁膜47B、及び第1上層絶縁膜47Aのエッチングは、例えば、CHFガスを用いた反応性イオンエッチング(RIE)にて行う。
続いてフォトレジスト69をマスクにして、吸熱体52,54の直下の第3上層絶縁膜47Cを等方的にエッチングする。SiOからなる第3上層絶縁膜47Cのエッチングは、例えば、CFあるいはCHF等のガスを用いたプラズマドライエッチングを用いて行う。プラズマドライエッチングの代わりにウェットエッチング(例えば、林純薬工業株式会社 「PureEtch ZE」等を使用)を行ってもよい。エッチング後、フォトレジスト69は、酸素プラズマを用いてアッシング装置(いわゆるアッシャー)で除去する。アッシャーを用いたドライエッチングの代わりに、有機溶剤、フォトレジスト用剥離液等の薬品を用いたウェットエッチングを用いてもよい。
その後、基板41の厚さを薄くする作業を行う。例えば、基板41の裏面から研削及び研磨を行い、基板41の厚さを625μmから300μmへ薄くした後、図12に示すように、基板41を裏面からエッチングして空洞部41Aを形成する。例えば、基板41の裏面上に厚さ10μmのフォトレジストを塗布、露光、現像して所望の開口形状のパターンを形成する。このフォトレジストをマスクにして、基板41をエッチングし、空洞部41Aを形成し、下層絶縁膜42の表面(裏面)を露出する。例えば、基板41のエッチングは、パッシベーション(Cプラズマ)とエッチング(SFプラズマ)のステップを短く交互に繰り返す、いわゆるボッシュプロセスで行う。エッチング終了後、酸素プラズマアッシャーを用いてフォトレジストを除去する。アッシャーを用いたドライエッチングの代わりに、硫酸、有機溶剤、フォトレジスト用剥離液等の薬品を用いたウェットエッチングを用いてもよい。なお、基板41のエッチングの工程を行う前に、基板41の表面を保護フィルムやフォトレジストにて保護してもよい。なお、研削、研磨工程を省略することも可能である。例えば厚さ300μmの基板41を使用する場合には、研削、研磨工程は不要となるが、基板41の裏面上の半導体膜や絶縁膜等を形成し、フォトレジストをマスクにして、エッチングする必要がある。また、空洞部41Aの形成をドライエッチングで行う代わりにSi結晶異方性ウェットエッチングを用いてもよい。なお、基板41を裏面からエッチングする前、ウエハ表面に保護膜を塗布、ベークし、エッチング終了後に保護膜を除去してもよい。こうして、図11及び図12に示すように、ガスセンサ40が製造される。
本実施形態に係るガスセンサ40においては、検出用サーモパイル43における温接点と冷接点との差によって生じる起電力の大きさから被検出ガスの濃度を推定することができる。ガスセンサ40においては、検出用放熱体51から放出される熱は、ヒートシンクとなる基板41に熱的に接続された検出用吸熱体52に吸収される。検出用放熱体51と検出用吸熱体52とが隣接する位置の間隔に相当する第1板状体51Aと第1検出用突出吸熱体52E1の間隔h22は、被検出ガスの平均自由行程よりも短く(狭く)、測定環境の雰囲気ガスの平均自由工程より長い(広い)距離とされている。このため、検出用放熱体51と検出用吸熱体52に対する被検出ガスの衝突回数を多くすることができる。したがって、被検出ガスが存在すると検出用放熱体51からの熱を検出用吸熱体52に効率よく伝達することができるので、ガスセンサ40の高感度化を図ることができる。
また、本実施形態に係るガスセンサ40では、検出用サーモパイル43及び検出用ヒータ44を備えるとともに、参照用サーモパイル45及び参照用ヒータ46を備えている。ここで、検出用ヒータ44と検出用吸熱体52における第1検出用突出吸熱体52E1の間隔h21は、被検出ガスの平均自由行程よりも短く(狭く)、測定環境の雰囲気ガスの平均自由工程よりも長い(広い)距離とされている。一方、参照用ヒータ46と参照用吸熱体54における参照用突出吸熱体54Eの間隔h24は、被検出ガスの平均自由行程よりも長い(広い)距離とされている。また、参照用放熱体53における第1板状体53Aと、参照用吸熱体54の参照用突出吸熱体54Eの間隔h25は、被検出ガスの平均自由行程よりも長い(広い)距離とされている。このため、検出用ヒータ44から被検出ガスへ伝達される伝熱量は、参照用ヒータ46から被検出ガスへ伝達される伝熱量よりも大幅に増大する。さらには、検出用放熱体51と検出用吸熱体52との間における伝熱量は、参照用放熱体53と参照用吸熱体54との間における伝熱量よりも大きくされている。さらには、検出用ヒータ44及び検出用吸熱体52を用いた被検出ガスの検出結果と、参照用ヒータ46と参照用吸熱体54を用いた被検出ガスの検出結果を比較して被検出ガスを検出している。したがって、被検出ガスの濃度の感度、応答性を大幅に向上させることができる。
なお、複数の圧力に対応するために、検出用サーモパイル43、検出用ヒータ44、参照用サーモパイル45、及び参照用ヒータ46は、複数設けられていてもよい。
[第3実施形態]
次に、第3実施形態について説明する。図17(a)及び図18に示す第3実施形態に係るガスセンサモジュール3は、上記第1実施形態に係るガスセンサモジュール1と比較して、パッケージの態様及びガスセンサの構造が主な相違点となっている。以下、これらの相違点を中心として、第3実施形態に係るガスセンサモジュールについて説明する。
図17に示すように、第3実施形態に係るガスセンサモジュール3は、ガスセンサ70及びパッケージ90を備えている。パッケージ90は、上方が開口する箱型のパッケージ本体91と、パッケージ本体91に取り付けられるパッケージ蓋92とを備えており、パッケージ蓋92によってパッケージ本体91の開口を閉塞している。パッケージ蓋92は、通気性を有しており、例えば、ステンレスや真鍮からなる焼結金属、ステンレス金網、あるいは多孔質セラミックからなる。パッケージ蓋92は、フィルタとして機能し、水素などの被検出ガスを含むエアを通過する一方で埃や塵など異物を捕捉して除去する。
パッケージ90には、ガスセンサ70が収容されている。ガスセンサ70は、はんだボール94によってパッケージ本体91の上面に固定されている。パッケージ本体91の上面には、電極板93が配されており、電極板93には導電性のはんだボール94が設けられている。電極板93とガスセンサ70とは、はんだボール94を介して電気的に接続されている。また、パッケージ本体91の下面に外側電極板95が設けられている。外側電極板95は、電極板93に対して、図示しない配線を介して電気的に接続されている。
本実施形態に係るガスセンサ70は、上記第1実施形態のガスセンサ10と同様、いわゆる熱伝導式ガスセンサである。図17に示すように、ガスセンサ70は、基板71を備えている。基板71は、例えばSiによって構成されている。基板71の下層には、上層絶縁膜72が設けられている。上層絶縁膜72は、第1上層絶縁膜72A、第2上層絶縁膜72B、及び第3上層絶縁膜72Cを備えている。第1上層絶縁膜72Aは、例えばSiOによって構成されている。第2上層絶縁膜72Bは、例えばSiによって構成されている。第3上層絶縁膜72Cは、例えばSiOによって構成されている。
上層絶縁膜72の下部には、サーモパイル73及びヒータ75が設けられている。サーモパイル73は、第1熱電素子73Aと第2熱電素子73Bとを備えて構成されている。第1熱電素子73A及びヒータ75は、いずれも例えば多結晶シリコンで構成されており、上層絶縁膜72の下面に取り付けられている。第1熱電素子73Aは、ヒータ75の周囲に配置されている。
上層絶縁膜72の下層には、下層絶縁膜76が形成されている。下層絶縁膜76は、第1下層絶縁膜76A、第2下層絶縁膜76B、及び第3下層絶縁膜76Cを備えている。第1下層絶縁膜76A、第2下層絶縁膜76B、及び第3下層絶縁膜76Cは、いずれも例えばSiOによって構成されている。下層絶縁膜76には、露出孔が形成されており、露出孔を介して導電膜77が外部の電極などと接続可能とされている。導電膜77は、例えば白金によって構成されている。
上層絶縁膜72及び上層絶縁膜72の裏面に取り付けられた第1熱電素子73Aは、下層絶縁膜76によって覆われている。下層絶縁膜76の下部には、第2熱電素子73Bが設けられている。第2熱電素子73Bは、第1下層絶縁膜76Aの裏面に取り付けられており、例えば多結晶シリコンで構成されている。第2熱電素子73Bは、ヒータ75の周囲であって、第1熱電素子73Aの直下位置に配置されている。サーモパイル73における第1熱電素子73Aと第2熱電素子73Bとは、直列に接続されている。サーモパイル73の温接点は、ヒータ75の近傍に配されている。
第1下層絶縁膜76A及び第1下層絶縁膜76Aの表面に取り付けられた第2熱電素子73Bは、第2下層絶縁膜76Bで覆われている。ヒータ75には、放熱体78がヒータ75の表面に接触して形成されている。放熱体78は、柱状(ピン状)なし、突出部となる6本の柱状体78A,78A…を有しており、上層絶縁膜72を貫通して上層絶縁膜72における第1上層絶縁膜72Aから突出するように延びている。このため、放熱体78は、ガスセンサ70の表面に露出している。放熱体78は、基板71の上面の高さ位置よりもやや下方位置まで延在している。複数の柱状体78A,78A…は、ヒータ75から離れる方向に延び、互いに間隔をあけて配されてヒータ75上に立設されており、図18に示すように、縦横に2×3列で整列している。
基板71における上側には、空洞部71Aが設けられている。空洞部71Aは、断面略矩形状をなしており、サーモパイル73及びヒータ75は、空洞部71Aの下方に位置している。放熱体78は、上層絶縁膜72から上方に突出して空洞部71Aに位置している。空洞部71Aは、基板71上の熱を断熱している。基板71における上面側では、空洞部71Aを除いた位置にマスク層79が形成されている。マスク層79は、第1マスク膜79A、第2マスク膜79B、及び第3マスク膜79Cを備えている。第1マスク膜79A及び第3マスク膜79Cは、例えばSiOによって構成されている。第2マスク膜79Bは、例えばSiによって構成されている。空洞部71Aからは、上層絶縁膜72の一部(メンブレン80)が露出している。下層絶縁膜76、メンブレン80、及び基板71の空洞部71Aによって断熱部が構成されており、断熱部にヒータ75が設けられている。
基板71における空洞部71Aには、吸熱体81が設けられている。吸熱体81は、吸熱体枠体82と、網状体83と、吸熱体本体84とを備えている。吸熱体枠体82は、基板71における空洞部71Aに沿って形成され、中抜きの矩形状をなしており、断面略ロ字形状の柱状体をなしている。このため、吸熱体枠体82は、基板71に接触し、ヒータ75とは接触していない。吸熱体枠体82の上方開口部に網状体83が設けられている。網状体83は、薄板が格子状に配置された構造を成しており、網状体83を介して吸熱体枠体82(空洞部41A)の内側に外気が流入可能とされている。網状体83は、吸熱体枠体82と一体に形成されている。
網状体83には、吸熱体本体84が上方から吊り下げられている。吸熱体本体84は、図18に示すように、放熱体78の6本の柱状体78Aをそれぞれ取り囲むように配置された17本の棒状体84A,84A…を備えている。隣接する放熱体78の柱状体78Aと吸熱体81の棒状体84Aとの間隔h31は、被検出ガスの平均自由行程よりも短く(狭く)、測定環境の雰囲気ガスの平均自由工程よりも長い(広い)距離とされている。
次に、第3実施形態に係るガスセンサの製造手順について説明する。第3実施形態に係るガスセンサ70は、第1実施形態と同様にMEMS技術によって製造される。第3実施形態に係るガスセンサ70を製造する際には、図19(a)に示すように、基板71の上面に、上記第1実施形態と同様のSiO層、Si層、及びSiO層を形成し、基板71の下面に、上記第1実施形態と同様のSiO層及びSi層を形成し、さらにその下層にSiO層を形成する。なお、第3実施形態に係るガスセンサ70の製造工程では、途中で基板71を天地入れ替える天地入替工程がある。この天地入替工程後は、基板71の上面が裏面になり、基板71の下面が表面となる。
基板71の上面に形成されたSiO層、Si層、及びSiO層は、それぞれ上層絶縁膜72の第1上層絶縁膜72A、第2上層絶縁膜72B、及び第3上層絶縁膜72Cとなる。また、基板71の下面に形成されたSiO層、Si層、及びSiO層は、それぞれマスク層79の第1マスク膜79A、第2マスク膜79B、及び第3マスク膜79Cとなる。なお、厚さ0.2μmのSiO層は、基板71の表面または裏面上にプラズマCVD法にて成膜することにより基板71の両面に形成してもよい。なお、上層絶縁膜72に代えて、SiONからなる1層の上層絶縁膜を設けてもよい。
次に、基板71を裏面(上面)からエッチングして微細凹部85を形成し、第1マスク膜79Aを露出させる。例えば、基板71の裏面上に厚さ10μmのフォトレジストを塗布、露光、現像して所望の開口形状のパターンを形成する。このフォトレジストをマスクにして、基板71をエッチングして微細凹部85を形成し、第1マスク膜79A(SiO)の表面を露出する。例えば、基板71のエッチングは、例えば、パッシベーション(Cプラズマ)とエッチング(SFプラズマ)のステップを短く交互に繰り返す、いわゆるボッシュプロセスで行う。なお、上層絶縁膜72を露出させず、基板71の途中までエッチングを行ってもよい。
続いて、微細凹部85の内壁に微細凹部絶縁膜85Aを形成する。微細凹部絶縁膜85Aは、例えば、基板71の熱酸化を行い、Siからなる基板71表面にSiOを成長させて形成する。微細凹部絶縁膜85Aの厚さは、例えば0.1μmの厚さとする。
それから、図19(b)に示すように、上層絶縁膜72及び微細凹部85の内壁に形成された微細凹部絶縁膜85Aの上に第1放熱膜86Aを形成する。第1放熱膜86Aは、例えば、SiHガスとPHガスを用いて、650℃の条件でリンドープされた多結晶シリコンを減圧CVD法で0.4μmの膜厚で形成し、リン等の不純物をイオン注入法等により多結晶シリコン膜に導入して所定の抵抗値が得られるように調整する。SiHガスとPHガスを用いて、650℃の条件でリンドープされた多結晶シリコンを減圧CVD法で形成する代わりに、SiHガスとPHガスを用いて、650℃の条件でノンドープの多結晶シリコンを減圧CVD法で0.4μmの膜厚で形成し、リン等の不純物をイオン注入法等により多結晶シリコン膜に導入して所定の抵抗値が得られるように調整してもよい。例えば、1×1020個/cmイオン注入する。イオン注入後1000℃のランプアニールを行ってイオンを活性化させる。イオン注入の代わりに、拡散炉にてリン等の不純物を熱拡散してもよい。なお、第1放熱膜86Aは、多結晶シリコンの代わりに、鉄シリサイド、SiGe、ビスマスアンチモン等をスパッタ法等によって成膜してもよい。
続いて、フォトリソグラフィ技術を用いて、多結晶シリコン等からなる第1放熱膜86Aをパターニングして、図19(c)に示すように、所望の形状の第1熱電素子73A及びヒータ75を得る。例えば、フォトレジストを1μmの厚さでスピンコートにより塗布した後プリベークする。それから、所望のパターンが形成されたフォトマスクを用いて、アライナー、ステッパー等の露光装置で露光した後、現像及びポストベークを行い、所望のパターン形状のフォトレジストを第1放熱膜86A上に形成する。このフォトレジストをマスクにして、第1放熱膜86Aをエッチングする。第1放熱膜86Aのエッチングは、例えば、CFガスを用いたプラズマエッチングにて行う。エッチング後、フォトレジストパターンは、酸素プラズマを用いてアッシャーで除去する。アッシャーを用いたドライエッチングの代わりに、硫酸、有機溶剤、フォトレジスト用剥離液等の薬品を用いたウェットエッチングを用いてもよい。また、微細凹部85内に導入された多結晶シリコン等によって、放熱体78の柱状体78Aが形成される(図20(b)参照)。
それから、第1熱電素子73A、ヒータ75及び上層絶縁膜72を覆うように第1下層絶縁膜76Aをウエハ表面上に成膜する。第1下層絶縁膜76Aとしては、例えば、プラズマCVD法を用いて、シリコン酸化膜(SiO)を0.3μmの厚さで成膜する。
その後、第1下層絶縁膜76Aの上に半導体膜87を成膜する。半導体膜87としては、例えば、SiHとNガスを用いて、650℃の条件で多結晶シリコンを減圧CVD法で0.4μmの膜厚で形成し、ボロン等の不純物をイオン注入法等により多結晶シリコン膜導入して所定の抵抗値が得られるように調整する。例えば、1×1020個/cmイオン注入する。イオン注入後1000℃のランプアニールを行ってイオンを活性化させる。イオン注入の代わりに、拡散炉にてボロン等の不純物を熱拡散してもよい。イオン注入や熱拡散を行う代わりに、SiH及びBFガスを用いてCVDを行うことにより、ボロンドープされた多結晶シリコンを製膜してもよい。多結晶シリコンの代わりに、減圧CVD法、プラズマCVD法、スパッタ法+アニールにより、ボロンドープされた多結晶SiGeを成膜してもよい。それから、図示しないフォトレジストをマスクにして半導体膜87をエッチングして、第1熱電素子73A上に第1下層絶縁膜76Aを介して、第2熱電素子73Bを形成する。
続いて、第2熱電素子73B及び第1下層絶縁膜76Aを覆うようにして上に第2下層絶縁膜76Bをウエハ表面上に成膜する。第2下層絶縁膜76Bとしては、例えば、プラズマCVD法を用いて、シリコン酸化膜(SiO)を0.3μmの厚さで成膜する。次いで、フォトリソグラフィ技術を用いて、シリコン酸化膜(SiO)からなる第2下層絶縁膜76Bに、所望の形状の第1コンタクトホール76H1を形成し、第1熱電素子73A、ヒータ75、及び第2熱電素子73Bの一部を露出する。例えば、フォトレジストを1μmの厚さでスピンコートにより塗布・プリベークする。次に、所望のパターンが形成されたフォトマスクを用いて、アライナー、ステッパー等の露光装置で露光した後、現像及びポストベークを行い、図示しないフォトレジストパターンを第2下層絶縁膜76Bの上に形成する。このフォトレジストパターンをマスクにして、シリコン酸化膜(SiO)からなる第2下層絶縁膜76Bをエッチングする。第2下層絶縁膜76Bのエッチングは、例えば、CHFガスを用いた反応性イオンエッチングにて行う。エッチング後、フォトレジストは、酸素プラズマを用いてアッシング装置(いわゆるアッシャー)で除去する。アッシャーを用いたドライエッチングの代わりに、有機溶剤、フォトレジスト用剥離液等の薬品を用いたウェットエッチングを用いてもよい。
それから、白金(Pt)からなる導電膜層を所望の形状にパターニングして、導電膜77を形成する。ヒータ75と導電膜77が接続され、また、第1熱電素子73Aと第2熱電素子73Bは直列接続される。導電膜層を形成する際には、白金(Pt)の代わりにアルミニウム、チタン、銅、金等の金属やAlSiCu等の合金を用いてもよい。続いて、第2下層絶縁膜76Bおよび導電膜77の上面に第3下層絶縁膜76Cとして、例えば厚さ0.2μmのSiOをプラズマCVDで形成する(図20(a)参照)。
その後、基板71の天地を入れ替える天地入替工程を経て、基板71の上面(裏面)におけるマスク層79の上に図示しない第1フォトレジストを形成する。この第1フォトレジストをマスクにして、基板71裏面のマスク層79を反応性イオンエッチング(RIE)によってエッチングする。エッチングが終了した後、第1フォトレジストを除去する。
続いて、図20(a)に示すように、基板71の上面(裏面)におけるマスク層79の上に第2フォトレジスト89Aを形成する。この第2フォトレジスト89Aをマスクにして、シリコンからなる基板71をエッチングし、第1空洞部71B〜第5空洞部71Fを形成し、第1空洞部71Bおよび第5空洞部71Fは、第1上層絶縁膜72A(SiO)の表面を露出する。第3空洞部71Dは、放熱体78における柱状体78A,78A…の間に形成され、第2空洞部71C及び第4空洞部71Eは、放熱体78に近接した外側に形成される。第1空洞部71B及び第5空洞部71Fは、さらにその外側に形成される。第1空洞部71Bの幅W1と第5空洞部71Fの幅W5は略同一とされている。第2空洞部71Cの幅W2と第3空洞部71Dの幅W3と第4空洞部71Eの幅W4は略同一とされている。第1空洞部71Bの幅W1及び第5空洞部71Fの幅W5は、第2空洞部71Cの幅W2と第3空洞部71Dの幅W3と第4空洞部71Eの幅W4よりも長くされている。
基板71のエッチングは、例えば、パッシベーション(Cプラズマ)とエッチング(SFプラズマ)のステップを短く交互に繰り返す、いわゆるボッシュプロセスによって行う。エッチング終了後、酸素プラズマアッシャーを用いて第2フォトレジスト89Aの除去を行う。アッシャーを用いたドライエッチングの代わりに、硫酸、有機溶剤、フォトレジスト用剥離液等の薬品を用いたウェットエッチングを用いてもよい。なお、エッチングの工程を行う前に、基板71の表面を保護フィルムやフォトレジストにて保護してもよい。
第1空洞部71Bの幅W1及び第5空洞部71Fの幅W5は、第2空洞部71Cの幅W2と第3空洞部71Dの幅W3と第4空洞部71Eの幅W4よりも長くされていることにより、マイクロローディング効果により、第2空洞部71C、第3空洞部71D、及び第4空洞部71Eは、第1空洞部71B及び第5空洞部71Fよりもエッチング速度が遅くなる。このため、第2空洞部71C、第3空洞部71D、及び第4空洞部71Eの底部に、基板71がわずかに残存する部分を生じさせることができる。したがって、第2空洞部71C、第3空洞部71D、及び第4空洞部71Eは、第1空洞部71B及び第5空洞部71Fよりもエッチング深さが浅くなっている。なお、「マイクロローディング効果」を利用する代わりに、フォトリソグラフィを2回に分けることによりエッチング深さを変えてもよい。
こうして基板11に形成された第1空洞部71B〜第5空洞部71Fに対して、図21に示すように、第2放熱膜86Bを成膜する。第2放熱膜86Bは、めっき法を用いて銅(Cu)を2μm成膜する。続いて、CMP(化学機械的研磨)法を用いて、銅(Cu)からなる第2放熱膜86Bをエッチングして、図22に示すように、マスク層79の表面を露出させる。こうして、吸熱体81の吸熱体枠体82、網状体83、及び吸熱体本体84を形成する。
その後、図23に示すように、吸熱体81における網状体83の上部を除いた位置にフォトレジスト89C,89Dをマスクする。それから、基板71の下面に形成され、フォトレジスト89C,89Dにマスクされていない領域におけるマスク層79をエッチングする。なお、フォトレジスト89Cに比べ、フォトレジスト89Dの膜厚を薄くする。厚さの異なるフォトレジスト89C,89Dは、ハーフトーンマスクを用いることにより、1度のフォトリソグラフィで形成可能であるが、複数回のフォトリソグラフィで形成してもよい。
さらに、Oガスを用いた反応性イオンエッチングを行い、フォトレジスト89C,89Dをエッチングする。その後、フォトレジスト89Dが消失し、フォトレジスト89Dの直下のマスク層79が露出したところで反応性イオンエッチングを終了する。続いて、図24に示すように、フォトレジスト89C、網状体83、マスク層79をマスクにして、シリコンからなる基板71を異方的にエッチングする。ここでのエッチングは、例えば、パッシベーション(Cプラズマ)とエッチング(SFプラズマ)のステップを短く交互に繰り返す、いわゆるボッシュプロセスで行う。基板71の異方的エッチングの条件は、エッチング終了時において、フォトレジスト89Cの膜厚及び基板71の異方性エッチング条件を以下の3通りのいずれかに定めておく。
(1)マスク層79が消失し、かつ、上層絶縁膜72の一部を残存させる。
(2)エッチング終了時にフォトレジスト89Cを残存させる。
(3)銅(Cu)などの金属(あるいは合金)からなる網状体83が十分な膜厚(例えば5μm以上)となるように残存させる。
なお、基板71の異方性エッチング条件では、エッチング終了時にマスク層79が残存する場合には、フォトレジスト89Dを消失させる工程の後に、例えば、CHFガスを用いた反応性イオンエッチングを行い、マスク層79を薄くしてから、基板71を異方的にエッチングする工程を行う。
その後、図25及び図26に示すように、シリコンからなる基板71を等方的にエッチングする。ここでは、例えば、SFガスを用いた等方性ドライエッチングを行った後、SiOからなる第1マスク膜79A及び微細凹部85に形成された微細凹部絶縁膜85Aは、緩衝フッ酸を用いてエッチングする。緩衝フッ酸を用いる代わりに希フッ酸を用いてもよい。基板71の表面側を保護するための保護膜をコーティングしておいてもよい。基板71をエッチングした際には、図26(a)に示すように、柱状体78Aに微細凹部絶縁膜85Aが残存しているので、放熱体78の柱状体78Aと吸熱体81の棒状体との間隔は、間隔h32となる。また、微細凹部85に形成された微細凹部絶縁膜85Aをエッチングした後は、図26(b)に示すように、放熱体78の柱状体78Aと吸熱体81の棒状体との間隔は、間隔h32よりも広い間隔h31となる。こうして、図17及び図18に示すガスセンサ70が製造される。
本実施形態に係るガスセンサ70においては、サーモパイル73における温接点と冷接点との差によって生じる起電力の大きさから被検出ガスの濃度を推定することができる。ガスセンサ70においては、放熱体78から放出される熱は、ヒートシンクとなる基板71に熱的に接続された吸熱体81に吸収される。隣接する放熱体78の柱状体78Aと吸熱体81の棒状体84Aとの間隔h31は、被検出ガスの平均自由行程よりも短く(狭く)、測定環境の雰囲気ガスの平均自由工程よりも長い(広い)距離とされている。このため、放熱体78から放出される熱は、基板71に熱的に接続された吸熱体81に吸収される。隣接する放熱体78の柱状体78Aと吸熱体81の棒状体84Aとの間における放熱体78の柱状体78Aと吸熱体81の棒状体84Aとに対する被検出ガスの衝突回数を多くすることができる。したがって、被検出ガスが存在すると放熱体78の柱状体78Aからの熱を吸熱体81の棒状体84Aに効率よく伝達することができるので、ガスセンサ70の高感度化を図ることができる。
また、ガスセンサ70では、ヒータ75に立設された放熱体78の柱状体78Aと、上方から吊り下げられた吸熱体本体84の棒状体84Aとが設けられている。このため、例えば棒状体84Aを柱状体78Aの近傍位置に配置しながら、吸熱体81とヒートシンクとなる基板71の配置位置をヒータ75の位置によらずに決めることができる。したがって、ガスセンサ70を設計する際の自由度を高くすることができる。
また、ガスセンサ70では、放熱体78及び吸熱体81が基板71の空洞部71A内に設けられ、いわば基板71の厚みを利用して設けられている。したがって、放熱体78や吸熱体81の長さ(高さ)におけるチップ内、ウエハ内、ロット間のばらつきを低減することができる。また、ガスセンサ70の製造工程における放熱体78、吸熱体81の損傷を抑制することができる。
[第4実施形態]
次に、第4実施形態について説明する。図27に示す第4実施形態に係るガスセンサモジュール4は、上記第1実施形態に係るガスセンサモジュール1と比較して、ガスセンサの構造が主な相違点となっている。以下、この相違点を中心として、第4実施形態に係るガスセンサモジュールについて説明する。
図27に示すように、第4実施形態に係るガスセンサモジュール4は、ガスセンサ100及びパッケージ30を備えている。パッケージ30は、図1等に示す第1実施形態と同様に、パッケージ本体31、パッケージ蓋32、電極33、及び封止材34等を備えている。ガスセンサ100は、ダイボンド材36によってパッケージ本体31の上面に固定されている。
ガスセンサ100は上記第1実施形態のガスセンサ10と同様、いわゆる熱伝導式ガスセンサである。ガスセンサ100は、図29にも示すように、基板101を備えている。基板101は、例えばSiによって構成されている。図27及び図29に示すように、基板101の上層には、下層絶縁膜102が設けられている。下層絶縁膜102は、第1下層絶縁膜102A、第2下層絶縁膜102B、及び第3下層絶縁膜102Cを備えている。第1下層絶縁膜102Aは、例えばSiOによって構成されている。第2下層絶縁膜102Bは、例えばSiによって構成されている。第3下層絶縁膜102Cは、例えばSiOによって構成されている。
下層絶縁膜102の上部には、サーモパイル103、均熱部104、及びヒータ105が設けられている。サーモパイル103は、第1熱電素子103Aと第2熱電素子103Bとを備えて構成された測温部である。第1熱電素子103Aと均熱部104は、いずれも例えば多結晶シリコンで構成されており、下層絶縁膜102の表面に取り付けられている。第1熱電素子103Aは、均熱部104の周囲に配置されている。
下層絶縁膜102の上層には、上層絶縁膜106が形成されている。上層絶縁膜106は、第1上層絶縁膜106A及び第2上層絶縁膜106Bを備えている。第1上層絶縁膜106A及び第2上層絶縁膜106B、いずれも例えばSiOによって構成されている。上層絶縁膜106の内側には、導電膜107が設けられている。導電膜107は、サーモパイル103やヒータ105をパッケージ30の電極に接続するための配線、サーモパイル103における第1熱電素子103Aと第2熱電素子103Bとを接続する配線などを構成している。導電膜107は、例えば白金によって構成されている。
下層絶縁膜102及び下層絶縁膜102の表面に取り付けられた第1熱電素子103Aと均熱部104は、上層絶縁膜106によって覆われている。上層絶縁膜106の上部には、第2熱電素子103Bとヒータ105とが設けられている。第2熱電素子103Bとヒータ105は、第1上層絶縁膜106Aの表面に取り付けられており、いずれも例えば多結晶シリコンで構成されている。ヒータ105は、均熱部104の直上位置に配置されている。第2熱電素子103Bは、ヒータ105の周囲であって、第1熱電素子103Aの直上位置に配置されている。サーモパイル103における第1熱電素子103Aと第2熱電素子103Bとは直列に接続されている。ヒータ105は、基板101に対して断熱されている。サーモパイル103の温接点は、ヒータ105の近傍に配されている。
第1上層絶縁膜106A及び第1上層絶縁膜106Aの表面に取り付けられたヒータ105と第2熱電素子103Bとは、第2上層絶縁膜106Bで覆われている。また、サーモパイル103及びヒータ105の上方には、放熱体108及び吸熱体109が形成されている。放熱体108は、ヒータ105から延びるように形成された柱状脚部108Aと、柱状脚部108Aに支持される放熱天板部108Bとを備えている。放熱天板部108Bは、柱状脚部108Aに固定されて略水平に配置されており、放熱体108は、ヒータ105に接触してヒータ105と熱的に接続されている。
吸熱体109は、支持脚部109Aと、支持脚部109Aに支持される吸熱天板部109Bとを備えている。支持脚部109Aは、図28に示すように、平面視して横長の矩形状を成しており、図28の上部と下部に配置され、吸熱天板部109Bを支持している。支持脚部109Aは、図29(b)に示すように、基板101上に直接立設され、基板101と接触して基板101と熱的に接続されている。
吸熱体109における吸熱天板部109Bは、略水平に配置された板状体であり、吸熱天板部109Bは、平面視してマトリクス状に配置された複数の貫通孔109B1,109B1…を有している。また、放熱天板部108Bにも、平面視してマトリクス状に配置された複数の貫通孔108B1,108B1…が形成されている。放熱天板部108Bと、吸熱天板部109Bとは、略同一形状をなしており、平面視して放熱天板部108Bが吸熱天板部109Bに被覆されて視認できない関係となっている。また、放熱体108における貫通孔108B1,108B1…と、吸熱体109における貫通孔109B1,109B1…とは、図29に示すように、平面視して互いに重なる位置に配置されてもよいし、例えば重ならなくてもよい。
放熱天板部108Bと、吸熱天板部109Bとの間隔h41は、被検出ガスの平均自由行程よりも短く(狭く)、測定環境の雰囲気ガスの平均自由工程よりも長い(広い)距離とされている。放熱天板部108Bと吸熱天板部109Bの側方には、3本の立体電極33Sが立設されている。立体電極33Sは、図29(a)に示すように、導電膜107に接触して立設されている。立体電極33Sには、図27に示すように、例えばワイヤ35を介してパッケージ30の電極33に電気的に接続されている。
基板101における下側には、断面略台形の空洞部101Aが設けられている。ヒータ105、放熱天板部108B、及び吸熱天板部109Bは、空洞部101Aの上側に位置している。空洞部101Aは、基板101上の熱を断熱している。基板101における下面側では、空洞部101Aを除いた位置にマスク層111が形成されている。マスク層111は、第1マスク膜111A及び第2マスク膜111Bを備えている。第1マスク膜111Aは、例えばSiOによって構成されている。第2マスク膜111Bは、例えばSiによって構成されている。空洞部101Aからは、下層絶縁膜102の一部(メンブレン112)が露出している。上層絶縁膜106、メンブレン112、及び基板101の空洞部101Aによって断熱部が構成されている。これらの上層絶縁膜106、メンブレン112、及び基板101の空洞部101Aは、いずれも基板101に設けられている。また、ヒータ105は、断熱部に設けられている。
次に、第4実施形態に係るガスセンサの製造手順について説明する。第4実施形態に係るガスセンサ100は、第1実施形態と同様にMEMS技術によって製造される。第4実施形態に係るガスセンサ100を製造する際には第1実施形態におけるガスセンサ10の基板11に下層絶縁膜12、マスク層26、サーモパイル13、均熱部14、ヒータ15、第1上層絶縁膜16A、第2上層絶縁膜16Bを形成する工程と同様の工程によって、図30に示すように、基板101に下層絶縁膜102、マスク層111、サーモパイル103、均熱部104、ヒータ105、及び上層絶縁膜106を形成する。
続いて、スパッタ法を用いて、白金(Pt)からなる導電膜層を上層絶縁膜106の上に成膜する。それから、フォトリソグラフィ技術を用いて、白金(Pt)からなる導電膜層を所望の形状にパターニングして、導電膜107を形成する。また、形成された導電膜107によって第1熱電素子103Aと第2熱電素子103Bは直列接続され、サーモパイル103が完成する。
ここでは、例えば、フォトレジストを2μmの厚さでスピンコートにより塗布・プリベークする。続いて、所望のパターンが形成されたフォトマスクを用いて、アライナー又はステッパーで露光した後、現像・ポストベークを行い、所望のパターン形状のフォトレジストを導電膜層上に形成する。このフォトレジストをマスクにして、白金(Pt)からなる導電膜層をArイオンミリング法にてエッチングする。白金(Pt)の代わりにアルミニウム、チタン等の金属やアルミニウムシリコン銅(AlSiCu)等の合金を用いてもよい。エッチング後、フォトレジストは、酸素プラズマを用いてアッシャーで除去する。アッシャーを用いたドライエッチングの代わりに、有機溶剤、フォトレジスト用剥離液等の薬品を用いたウェットエッチングを用いてもよい。
それから、上層絶縁膜106及び導電膜107上に第1犠牲膜113を成膜する。第1犠牲膜113としては、プラズマCVD法を用いて、シリコン酸化膜(SiO)を1.5μmの厚さで成膜する。なお、第1犠牲膜113としては、プラズマCVD法を用いて、シリコン酸化膜(SiO)の代わりにアルミナ(Al)や窒化アルミニウム(AlN)を成膜してもよい。次いで、フォトリソグラフィ技術を用いて、シリコン酸化膜(SiO)からなる第1犠牲膜113に所望の形状の放熱体用凹部パターン113Aを形成する。例えば、フォトレジストを1μmの厚さでスピンコートにより塗布した後、プリベークする。それから、所望のパターンが形成されたフォトマスクを用いて、アライナー、ステッパー等の露光機で露光した後、現像及びポストベークを行い、フォトレジストパターンを第1犠牲膜113上に形成する。このフォトレジストパターンをマスクにして、シリコン酸化膜(SiO)からなる第1犠牲膜113をエッチングする。第1犠牲膜113のエッチングは、例えば、CHFガスを用いた反応性イオンエッチングにて行う。エッチング後、フォトレジストは、酸素プラズマを用いてアッシャーで除去する。アッシャーを用いたドライエッチングの代わりに、有機溶剤、フォトレジスト用剥離液等の薬品を用いたウェットエッチングを用いてもよい。
その後、メッキ法を用いて、銅(Cu)からなる導電膜層を第1犠牲膜113上に成膜する。続いて、CMP技術を用いて、図31に示すように、銅(Cu)からなる導電膜層を放熱体用凹部パターン113Aに残存させて、放熱体用凹部パターン113Aの内側に放熱体108を形成する。
それから、図32及び図33に示すように、第1犠牲膜113および放熱体108上に第2犠牲膜114を成膜する。第2犠牲膜114としては、プラズマCVD法を用いて、シリコン酸化膜(SiO)を0.6μmの厚さで成膜する。なお、第2犠牲膜114としては、プラズマCVD法を用いて、シリコン酸化膜(SiO)の代わりにアルミナ(Al)や窒化アルミニウム(AlN)を成膜してもよい。次いで、フォトリソグラフィ技術を用いて、シリコン酸化膜(SiO)からなる第2犠牲膜114に所望の形状の吸熱体用凹部パターン114A、第1コンタクトホール114B及び第2コンタクトホール114Cを形成する。ここでは、例えば、フォトレジストを1μmの厚さでスピンコートにより塗布した後、プリベークする。所望のパターンが形成されたフォトマスクを用いて、アライナー、ステッパー等の露光機で露光した後、現像及びポストベークを行い、フォトレジストパターンを第2犠牲膜114上に形成する。このフォトレジストパターンをマスクにして、シリコン酸化膜(SiO)からなる第2犠牲膜114をエッチングする。第2犠牲膜114のエッチングは、例えば、CHFガスを用いた反応性イオンエッチングにて行う。エッチング後、フォトレジストは、酸素プラズマを用いてアッシャーで除去する。アッシャーを用いたドライエッチングの代わりに、有機溶剤、フォトレジスト用剥離液等の薬品を用いたウェットエッチングを用いてもよい。また、第1コンタクトホール114Bを形成する際には、第2犠牲膜114とともに第1犠牲膜113もエッチングする。第2コンタクトホール114Cを形成する際には、第2犠牲膜114とともに第1犠牲膜113、上層絶縁膜106、及び下層絶縁膜102もエッチングする。
その後、メッキ法を用いて、銅(Cu)からなる導電膜層を第2犠牲膜114上に成膜する。続いて、CMP技術を用いて、図32及び図33に示すように、銅(Cu)からなる導電膜層を吸熱体用凹部パターン114A、第1コンタクトホール114B及び第2コンタクトホール114Cに残存させて、吸熱体用凹部パターン114A、第1コンタクトホール114B及び第2コンタクトホール114Cの内側に吸熱天板部109B、立体電極33S、及び支持脚部109Aを形成する。それから、緩衝フッ酸を用いて、シリコン酸化膜(SiO2)からなる第1犠牲膜113及び第2犠牲膜114をエッチングする。これにより、図29に示すように、放熱体108と吸熱体109が狭ギャップ(距離h41)だけ離間して対向して形成される。
その後、基板101を裏面からエッチングして空洞部101Aを形成し、下層絶縁膜102を露出させる。例えば、図示しないフォトレジストをマスクにして、基板101の裏面のマスク層111をエッチングする。エッチング終了後、フォトレジストを除去する。それから、マスク層111をマスクにして、TMAH又はKOHを用いて基板101を結晶異方性エッチングして、下層絶縁膜102の一部を露出させる。こうして、図28及び図29に示すガスセンサ100が製造される。
本実施形態に係るガスセンサ100は、サーモパイル103における温接点と冷接点との差によって生じる起電力の大きさから被検出ガスの濃度を推定することができる。ガスセンサ100においては、放熱体108から放出される熱は、ヒートシンクとなる基板101に熱的に接続された吸熱体109に吸収される。隣接する放熱天板部108Bと吸熱天板部109Bとの間隔h41は、被検出ガスの平均自由行程よりも短く(狭く)、測定環境の雰囲気ガスの平均自由工程よりも長い(広い)距離とされている。このため、放熱体108から放出される熱は、基板101に熱的に接続された吸熱体109に吸収される。隣接する放熱天板部108Bと吸熱天板部109Bに対する被検出ガスの衝突回数を多くすることができる。したがって、被検出ガスが存在すると放熱体108からの熱を吸熱体109に効率よく伝達することができるので、ガスセンサ100の高感度化を図ることができる。
また、ガスセンサ100では、放熱天板部108Bと吸熱天板部109Bがいずれも略水平に配置されている。このため、放熱天板部108Bと吸熱天板部109Bとが向き合う面の面積を大きくとることができる。したがって、放熱体108からの熱を吸熱体109に効率よく伝達することができる。また、放熱天板部108Bと吸熱天板部109Bには、それぞれ多数の貫通孔108B1,108B1…、貫通孔109B1,109B1…が形成されている。このため、放熱天板部108Bと吸熱天板部109Bとの間に被検出ガスが流入しやすくなるようにすることができる。
[第4実施形態の変形例]
次に、第4実施形態の変形例(以下単に「変形例」という)について説明する。図34に示すように、変形例に係るガスセンサ110は、第4実施形態に係るガスセンサ100と比較して、吸熱体の構造が主に異なっている。以下、吸熱体の構造を中心として変形例に係るガスセンサについて説明する。
図34に示すように、ガスセンサ110における吸熱体120は、支持脚部121を備えている。支持脚部121Aは、基板101に立設されている。支持脚部121には、第1吸熱天板部122及び第2吸熱天板部123が支持されている。第1吸熱天板部122と第2吸熱天板部123は、いずれも略水平に配置されている。
また、第1吸熱天板部122と第2吸熱天板部123の間に放熱体108の放熱天板部108Bが配置されており、放熱天板部108Bは、第1吸熱天板部122と第2吸熱天板部123の間に挟み込まれる位置に配置されている。第1吸熱天板部122及び放熱天板部108Bとの間隔h51と、放熱天板部108B及び第2吸熱天板部123との間隔h52は、いずれも同じ幅であり、被検出ガスの平均自由行程よりも短く(狭く)測定環境の雰囲気ガスの平均自由工程よりも長い(広い)距離とされている。第1吸熱天板部122と第2吸熱天板部123は、略同一形状を成しており、平面視して第1吸熱天板部122が第2吸熱天板部123に覆われて視認できない関係となっている。また、平面視して放熱天板部108Bが第2吸熱天板部123に覆われて視認できない関係となっている。
第1吸熱天板部122と第2吸熱天板部123には、それぞれ複数の貫通孔122A,122A…、123A,123A…が設けられている。これらの貫通孔122A,122A…、123A,123A…は、図34に示すように、平面視して放熱天板部108Bに設けられた貫通孔108B1,108B1…と重なる位置に配置されてもよいし、例えば重ならなくもよい。
変形例に係るガスセンサ110においては、第1吸熱天板部122及び放熱天板部108Bとの間隔h51と、放熱天板部108B及び第2吸熱天板部123との間隔h52は、いずれも被検出ガスの平均自由行程よりも短く(狭く)、測定環境の雰囲気ガスの平均自由工程よりも長い(広い)距離とされている。このため放熱体108と吸熱体120に対する被検出ガスの衝突回数を多くすることができる。したがって、被検出ガスが存在すると放熱体108からの熱を吸熱体120に効率よく伝達することができるので、ガスセンサ110の高感度化を図ることができる。
また、吸熱体120は、2枚の吸熱天板部122,123を備えており、いずれも放熱天板部108Bの近傍に配置されている。このため、放熱体108と吸熱体120とが向き合う面の面積を大きくとることができる。したがって、放熱体108からの熱を吸熱体109に効率よく伝達することができる。
なお、上記の変形例では、放熱天板部108Bを1枚、吸熱天板部122,123を2枚設けたが、複数の放熱天板部、さらにはより多くの吸熱天板部を設けてもよい。この場合、放熱天板部と吸熱天板部を交互に設けてもよい。あるいは、放熱天板部及び吸熱天板部を垂直方向に沿って立設し、複数の板状体を放熱体と吸熱体とに交互に並べて設けるようにしてもよい。
以上、本発明の実施形態について、図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。例えば、上記第1実施形態〜第4実施形態、あるいはその変形例に含まれる要素を他の実施形態に含まれる要素と代えてもよいし、他の実施形態に含まれる要素と組み合わせてもよい。
また、上記実施形態では、温度計測を行うために、サーモパイルを用いているが、抵抗体や赤外線検出素子などを他の温度計測素子によって温度計測を行ってもよい。また、断熱部を形成するに当たり、Low−K材料を用いたいわゆるLow−K膜を用いてもよい。また、吸引ポンプなどを用いてパッケージ内に被検知ガスを含むエアを吸引するようにしてもよい。吸引ポンプなどを用いてパッケージ内に被検知ガスを含むエアを吸引することにより、パッケージ内を減圧することができる。
1〜4…ガスセンサモジュール、10,40,70,100,110…ガスセンサ、11,41,71,101…基板(ヒートシンク)、11A,41A,71A,101A…空洞部、12,42,76,102…下層絶縁膜、13,73,103…サーモパイル(測温部)、13A,73A…第1熱電素子、13B,73B…第2熱電素子、15,75,105…ヒータ、16,47,72,106…上層絶縁膜、17,48,77,107…導電膜、18,78,108…放熱体、18A…下段放熱体、18B…上段放熱体、19,81,109,120…吸熱体、19A…下段吸熱体、19B…上段吸熱体、21R右側辺(凹凸部)、23L…左側辺(凹凸部)、28,49,80,112…メンブレン、30,60,90…パッケージ、31,61,91…パッケージ本体、32,62,92…パッケージ蓋、43…検出用サーモパイル、44…検出用ヒータ、45…参照用サーモパイル、46…参照用ヒータ、51…検出用放熱体、51A…第1板状体、51B…第2板状体、51C…第3板状体、52…検出用吸熱体、52A…脚部、52B…傘部、52C…孔部、52E1…第1検出用突出吸熱体、52E2…第2検出用突出吸熱体、53…参照用放熱体、54…参照用吸熱体、78A…柱状体、82…吸熱体枠体、83…網状体、84…吸熱体本体、84A…棒状体、108A…柱状脚部、108B…放熱天板部、109…吸熱体、109A…支持脚部、109B…吸熱天板部、109B1…貫通孔、120A…支持脚部、121…支持脚部、122…第1吸熱天板部、122A…貫通孔、123…第2吸熱天板部

Claims (7)

  1. ヒートシンクと、
    前記ヒートシンクに設けられた断熱部と、
    前記断熱部に設けられ、前記ヒートシンクと断熱されたヒータと、
    前記断熱部において前記ヒータの近傍に配された測温部と、
    前記断熱部から延びるように形成されて前記ヒータと熱的に接続された放熱体と、
    前記ヒートシンクから延びるように形成されて前記ヒートシンクと熱的に接続された吸熱体と、を備え、
    前記放熱体と前記吸熱体との間隔が、被検出ガスの平均自由行程よりも狭く、測定環境の雰囲気ガスの平均自由工程よりも広いことを特徴とする熱伝導式ガスセンサ。
  2. 前記放熱体及び前記吸熱体にそれぞれ凹凸部が形成されており、
    前記放熱体及び前記吸熱体における前記凹凸部の凸部が、前記吸熱体及び前記放熱体における前記凹凸部の凹部に挿入されている請求項1に記載の熱伝導式ガスセンサ。
  3. 前記放熱体及び前記吸熱体の少なくとも一方が、互いに間隔をあけて配された複数の柱状体を備える請求項1または2に記載の熱伝導式ガスセンサ。
  4. 前記断熱部から延びるように形成されて前記ヒータと熱的に接続された参照用放熱体と、
    前記ヒートシンクから延びるように形成されて前記ヒートシンクと熱的に接続された参照用吸熱体と、を備え、
    前記参照用放熱体と前記参照用吸熱体との間隔が、被検出ガスの平均自由行程よりも広い請求項1〜3のうちのいずれか1項に記載の熱伝導式ガスセンサ。
  5. 前記断熱部が設けられた基板を有し、
    前記断熱部は、前記基板に形成された空洞部を含み、
    前記放熱体が前記空洞部に位置している請求項1〜4のうちのいずれか1項に記載の熱伝導式ガスセンサ。
  6. 前記放熱体が、前記ヒータと前記吸熱体に挟み込まれる位置に配置されている請求項1〜5のうちのいずれか1項に記載の熱伝導式ガスセンサ。
  7. 前記放熱体と前記吸熱体との間隔が、9μm以下である請求項1〜6のうちのいずれか1項に記載の熱伝導式ガスセンサ。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN110794007A (zh) * 2019-10-29 2020-02-14 上海集成电路研发中心有限公司 一种气体传感器结构及其制造方法
CN115127630A (zh) * 2022-09-02 2022-09-30 无锡芯感智半导体有限公司 一种双轴多向mems热式流量传感器的制备方法

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