JP2018118934A - カプセル用アントシアニン含有組成物及びカプセル剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】カプセル製造時の製剤性や内容物の保存安定性が良好であり、なお且つ、アントシアニンの製剤からの溶出性にも優れた、カプセル用アントシアニン含有組成物及びその組成物を用いたカプセル剤を提供する。【解決手段】アントシアニン含有素材と、油脂と、リゾレシチンと、植物ステロールとを含有するカプセル用アントシアニン含有組成物である。また、そのカプセル用アントシアニン含有組成物を内包するカプセル剤である。【選択図】なし

Description

本発明は、種々の生理機能を有するアントシアニンの摂取に利用可能なカプセル用アントシアニン含有組成物及びその組成物を用いたカプセル剤に関する。
一般に、植物体内に存在する抗酸化物質としてアントシアニン(anthocyanin)が知られている。アントシアニンはポリフェノールの一種であり、アントシアニジン(anthocyanidin)をアグリコンとする配糖体として構成されている。アントシアニンは、天然色素としても知られ、従来より食品、医薬品、化粧品等の分野で天然着色成分として利用されている。更には、アントシアニン自体の生理機能として、眼の網膜に存在する視物質であるロドプシンの再合成を促進する作用を有しており、視力の向上に効果があることが知られている。
アントシアニンは、ブルーベリー、ラズベリー等のベリー類に多く含有されており、それらを食することにより容易に摂取することができる。しかしながら、ベリー類等の素材を単に経口摂取したとしても、消化管からのアントシアニンの吸収率が非常に低いという問題があった。
このような課題に関し、例えば、下記特許文献1には、フィチン酸を有効成分とするアントシアニン吸収促進剤の発明が開示されている。また、例えば、下記特許文献2,3には、微細化やカプセル化等の製剤的なアプローチにより体内への吸収率を向上させたアントシアニン含有組成物の発明が開示されている。
特開2006−151922号公報 特許第4606444号公報 特許第5886457号公報
しかしながら、上記特許文献1に開示されるフィチン酸は、強いキレート作用を有し、体内のミネラル分の吸収を阻害する作用を有するため、大量に摂取することは好ましくない。また、上記特許文献2,3に開示される微細化やカプセル化等の製剤的なアプローチでは、アントシアニン含有素材の分散性や保存安定性の向上を目的として、ミツロウが基材として使用されている。しかしながら、本発明者らの研究によれば、そのミツロウが、アントシアニンの製剤からの溶出を阻害するという問題があった。
本発明の目的は、上記従来技術にかんがみ、カプセル製造時の製剤性や内容物の保存安定性が良好であり、なお且つ、アントシアニンの製剤からの溶出性にも優れた、カプセル用アントシアニン含有組成物を提供することにある。また、その組成物を用いたカプセル剤を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明者らが鋭意研究した結果、植物ステロールを用いることにより上記課題が解決されることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の第1は、アントシアニン含有素材と、油脂と、リゾレシチンと、植物ステロールとを含有することを特徴とするカプセル用アントシアニン含有組成物を提供するものである。
上記カプセル用アントシアニン含有組成物においては、前記アントシアニン含有素材は、ビルベリー、ブルーベリー、クランベリー、コケモモ、リンゴンベリー、ハックルベリー、ラズベリー、ブラックベリー、ローガンベリー、サーモンベリー、ボイセンベリー、イチゴ、クワ、エルダベリー、ハスカップ、ニワトコ、ハイビスカス、スグリ、クズベリー、アサイー、プルーン、サクランボ、リンゴ、マンゴー、シソ、有色イモ、赤キャベツ、赤ダイコン、ブドウ、紫トウモロコシ、紫タマネギ、ナス、有色米、黒豆、黒ゴマ、及び椿からなる群から選ばれる1種又は2種以上であることが好ましい。
上記カプセル用アントシアニン含有組成物においては、前記油脂は、魚油、植物油、及び中鎖脂肪酸からなる群から選ばれる1種又は2種以上であることが好ましい。
上記カプセル用アントシアニン含有組成物においては、前記植物ステロールは、β−シトステロ−ル、スチグマステロ−ル、カンペステロ−ル、ブラシカステロ−ル、7-エルゴステノール、イソフコステロール、7-スチグマステノール、及びアベナステロールからなる群から選ばれる1種又は2種以上であることが好ましい。
上記カプセル用アントシアニン含有組成物においては、前記植物ステロールの含有量が0.1〜10質量%であることが好ましい。その含有量が前記範囲未満であると、植物ステロールによる粘調基材としての機能を果たせなくなる場合がある。また、その含有量が前記範囲を超えると、粘性が増してアントシアニンの溶出性が悪くなり、カプセル剤への製剤化も困難になる場合がある。
上記カプセル用アントシアニン含有組成物においては、前記リゾレシチンの含有量が0.1〜20質量%であることが好ましい。その含有量が前記範囲未満であると、リゾレシチンによる分散剤としての機能を果たせなくなる場合がある。また、その含有量が前記範囲を超えると、粘性が増して、カプセル剤の製造に支障をきたす場合がある。
一方、本発明の第2は、上記カプセル用アントシアニン含有組成物を内包することを特徴とするカプセル剤を提供するものである。
上記カプセル剤においては、日本薬局方第16改正に記載されている崩壊試験法において、溶出試験第1液を用いて試験を行った場合、内容物の溶出開始から30分後のアントシアニンの溶出率が90%以上となるよう構成されたものであることが好ましい。
本発明によれば、カプセル製造時の製剤性や内容物の保存安定性が良好であり、なお且つ、アントシアニンの製剤からの溶出性にも優れた、カプセル用アントシアニン含有組成物が得られる。よって、例えば、アントシアニンを摂取するためのカプセル剤に内包させる素材として有用である。
試験例1において、各例のアントシアニン含有組成物を内包するカプセル剤について、溶出試験によって経過時間ごとの溶出率を調べた結果を示す図表である。 試験例2において、各例のアントシアニン含有組成物を内包するカプセル剤について、溶出試験によって経過時間ごとの溶出率を調べた結果を示す図表である。 試験例3において、各例のアントシアニン含有組成物を内包するカプセル剤について、溶出試験によって経過時間ごとの溶出率を調べた結果を示す図表である。
本発明のカプセル用アントシアニン含有組成物においては、アントシアニン含有素材を含有せしめる。
アントシアニンは、アントシアニジンをアグリコンとする配糖体として構成されているポリフェノールの一種であり、アグリコンであるアントシアニジン部位のB環のヒドロキシ基の数によりペラルゴジニン、シアニジン、デルフィニジンの少なくとも3系統に分類されるが、本発明においては、いずれであってもよい。植物体内においては、チロシン及びフェニルアラニンから、4−クマロイルCoA、テトラヒドロキシカルコン、及びナリンゲニンが関与するそれぞれの反応を経由して生合成される。植物体内では色素成分である場合が多く、また、抗酸化作用を発揮する場合が多い。
本発明に用いるアントシアニン含有素材としては、特にその由来等に制限はなく、例えば、アントシアニンの生合成品、化学合成品、天然素材から溶媒を用いて抽出された粗抽出物あるいはその粗抽出物からの精製物等を用いることができる。これらのうち、夾雑物を多く含み、後述するホモジェナイザーを用いた均質化処理が容易であることから、天然物からの粗抽出物が好ましく適用される。溶媒としては、水、有機溶媒、水/有機溶媒混合物、あるいは酸溶媒等を適宜選択して使用することができる。
アントシアニン含有素材として植物体に由来するものを用いる場合、その植物体としては、例えば、ビルベリー、ブルーベリー、クランベリー、コケモモ(カウベリー)、リンゴンベリー、ハックルベリー、ラズベリー、ブラックベリー、ローガンベリー、サーモンベリー、ボイセンベリー、イチゴ(ストロベリー)、クワ(マルベリー)、エルダベリー、ハスカップ、ニワトコ、ハイビスカス、スグリ(カシス:ブラックカーラント、レッドカーラント)、クズベリー、アサイー、プルーン、サクランボ、リンゴ、マンゴー、シソ、有色イモ(サツマイモ、ジャガイモ、ヤマイモ)、赤キャベツ、赤ダイコン、ブドウ、紫トウモロコシ、紫タマネギ、ナス、有色米、黒豆、黒ゴマ、椿等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中で、ビルベリーやブルーベリーは、アントシアニンの含有量が特に多いので、好ましく選択され得る。また、アントシアニンが色素成分であることから、上記植物体における適用部位としては、例えば、果実、種、葉、花、又はそれらを一部の構成とする部位などが好ましく選択され得る。
アントシアニン含有素材を天然素材から抽出処理して入手する場合、抽出処理に用いられる有機溶媒としては、特に限定されないが、例えばメタノール、エタノール、ブタノール、プロパノール、イソプロパノール等のアルコール類、グリセリン、氷酢酸等の極性溶媒、ヘキサン、酢酸エチル等の低極性溶媒等が挙げられる。これらの抽出溶媒は、単独で用いてもよいし、二種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中でアントシアニンの抽出効率、生体への適用性、抽出コスト等の観点からエタノールが好ましく用いられる。また、抽出溶媒に使用される酸溶媒としては、例えば、塩酸溶液、硫酸溶液等の無機酸溶液、酢酸溶液、ギ酸溶液、クエン酸等の有機酸溶液等が挙げられる。抽出溶媒を用いた抽出処理は、常温〜加温(例えば20〜100℃)下において、静置もしくは撹拌しながら行う。また、抽出時間は、アントシアニンを抽出溶媒中に十分に移行させるために、30分以上であることが好ましい。次に、固液分離処理を行い抽出溶媒に不溶な成分を分離する。得られた粗溶出液は、そのままアントシアニン含有素材として利用することが可能であるうえ、必要に応じて濃縮、乾燥又は水希釈した状態でアントシアニン含有素材として利用することも可能である。粗抽出液の濃縮及び乾燥には、公知の減圧濃縮、膜濃縮、凍結濃縮、真空乾燥、噴霧乾燥又は凍結乾燥が採用可能である。
以上のように得られた粗抽出物は、更にカラムクロマトグラフィーを用いて、アントシアニンを分離及び精製処理を行ってもよい。クロマトグラフィー担体としては、例えば、多孔質合成吸着樹脂、イオン交換樹脂、ゲルろ過クロマトグラフィー等が挙げられる。それらを適宜組み合わせて、公知の分離手段により精製することができる。なお、多孔質合成吸着樹脂は、樹脂内の細孔表面と被吸着物質間の物理的相互作用により、溶液中から種々の有機物を吸着及び分離することができる。
アントシアニン含有素材は、必要により一部又は全部が微細化処理されてもよい。微細化処理は、アントシアニン含有素材を均質化処理(ホモジェネート)することによりマイクロ単位又はナノ単位まで微細化することができる。アントシアニン含有素材を微細化することにより、アントシアニンの生体への吸収性を向上させることができる。微細化は、少なくとも一部にナノレベルからマイクロレベルの粒子を含有することが好ましく、少なくとも一部にナノレベルの粒子(ナノ化粒子)を含有することがより好ましい。微細化されたアントシアニン含有素材の平均粒径は、特に限定されないが、10nm〜100μmの範囲にあることが好ましく、100nm〜10μmの範囲にあることがより好ましい。一方、平均粒径が、100μm以下の場合、アントシアニンの体内への吸収性をより向上させることができる。平均粒径は、市販のレーザー回折・散乱式粒度分布測定器を用いて測定することができる。
微細化処理は、市販のホモジェナイザーを適宜採用することができる。例えば、高圧雰囲気下において、1又は2以上の小径穴と特定流路を有するノズル内を流体が高速移動することにより対象物を粉砕する高圧ホモジェナイザー、超音波を用いて対象物を粉砕する超音波粉砕機、高速撹拌処理により又は衝撃により対象物を粉砕する高速回転衝撃粉砕機、粉砕媒体を使用するボールミル又はビーズミル等が挙げられる。これらの中で、シャープな粒子径分布が得られ易い高圧ホモジェナイザーが好ましく用いられる。
高圧ホモジェナイザーは、液体の溶媒に溶解した粉砕対象物を微細化する湿式と、固体状の粒状体又は粉末体を更に微細化する乾式とに分けられる。好ましい態様においては、粒子をナノレベルまで微細化することがより容易な湿式が適用される。湿式の場合、高圧ホモジェナイザーに適用される処理溶液としては、例えば、溶媒として水を採用し、アントシアニン含有素材を0.1〜50質量%含有する水溶液が用いられる。高圧ホモジェナイザーにおいて、ノズルのタイプは特に限定されず、対向衝突型、貫通型、だまとり型のいずれを適用してもよい。
市販のホモジェナイザーを用いた微細化の処理条件としては、ホモジェナイザー、ノズルの種類、微細化処理前のアントシアニン含有素材の粒径等に応じて適宜決定される。また、平均粒径が所定の範囲内となるように、微細化処理は、1回又は2回以上繰り返される。
アントシアニン含有組成物中におけるアントシアニン含有素材の含有量は、好ましくは0.1〜99質量%、より好ましくは20〜80質量%、更に好ましくは30〜70質量%である。その含有量が少なすぎると、アントシアニン含有素材の配合量が少なくなる。一方、その含有量が多すぎると、カプセル成型性が劣る。
本発明のカプセル用アントシアニン含有組成物においては、油脂を含有せしめる。油脂が媒質となって、アントシアニン含有素材の分散性を向上させることができる。また、アントシアニン含有素材が微細化処理されたものである場合は、アントシアニンの再凝集を抑制し、ひいてはアントシアニンの体内への吸収性を向上させることができる。
油脂としては、その種類や由来等に特に制限はなく、例えば、魚油、植物油、中鎖脂肪酸等が挙げられる。魚油としては、例えば、スクワレン、ドコサヘキサエン酸(DHA)、エイコサペンタエン酸(EPA)等が挙げられる。植物油としては、大豆油、サフラワー(菜種)油、ひまわり油、パーム油、ごま油、亜麻仁油、ひまし油、オリーブ油、コーン油、綿実油、ピーナッツ油、グレープシード油、椿油、米胚芽油、小麦胚芽油等が挙げられる。中鎖脂肪酸は、炭素数が5〜12の脂肪酸を示し、より具体的には、吉草酸、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸等が挙げられる。油脂は、水素添加等により脂肪酸の不飽和基が飽和基に変換された硬化油であってもよい。これらは単独で用いられてもよいし、二種以上が組み合わされて用いられてもよい。これらの中で、サフラワー油や亜麻仁油はアントシアニン含有素材を分散させる能力に優れ、アントシアニンの体内への高い吸収性が期待できるので、より好ましい。これらは単独で用いられてもよいし、二種以上が組み合わされて用いられてもよい。
アントシアニン含有組成物中における油脂の含有量は、好ましくは1〜99質量%、より好ましくは20〜80質量%である。油脂の含有量が上記範囲内であれば、アントシアニン含有素材の分散性をより向上させることができる。また、アントシアニン含有素材が微細化処理されたものである場合は、アントシアニンの再凝集を更に抑制し、ひいてはアントシアニンの体内への吸収性を更により向上させることができる。一方、油脂の含有量が少なすぎると、アントシアニン含有素材を分散させるための媒質としての機能を果たせなくなる場合がある。また、油脂の含有量が多すぎると、必要量のアントシアニン含有組成物を配合できなくなる場合がある。
本発明のカプセル用アントシアニン含有組成物においては、乳化剤としてリゾレシチンを含有せしめる。リゾレシチンを配合することにより、得られる組成物あるいはその組成物を内包したカプセル剤に封入されたアントシアニンの水、特に消化液への溶出性を向上させることができる。また、得られる組成物やカプセル剤の保存安定性を向上させることができる。
リゾレシチンは、レシチンを、酵素等を使用して低分子化したものであればいずれも使用することができる。レシチンの由来としては特に限定されず、例えば大豆レシチン等の植物性レシチンや、例えば卵黄レシチン等の動物性レシチンなど、いずれの由来のものであっても使用することが可能である。これらは単独で用いられてもよいし、二種以上が組み合わされて用いられてもよい。
レシチンを分解する酵素としては、ホスホリパーゼを挙げることができる。ホスホリパーゼとしては、例えばホスホリパーゼA1、ホスホリパーゼA2、ホスホリパーゼB、ホスホリパーゼC、ホスホリパーゼD等を挙げることができる。これらは単独で用いられてもよいし、二種以上が組み合わされて用いられてもよい。ホスホリパーゼの中でもレシチンの2位脂肪酸エステル結合を加水分解するホスホリパーゼA2が好ましく用いられる。
リゾレシチンの形態としては、粉末状、液体状、ペースト状のどのような形態のものであってもよく、特に制限はないが、取り扱い性の観点からは、ペースト状のものを用いることが好ましい。
アントシアニン含有組成物中におけるリゾレシチンの含有量は、好ましくは0.1〜20質量%、より好ましくは0.5〜10質量%、更に好ましくは0.8〜8質量%である。リゾレシチンの含有量が上記範囲内であれば、得られる組成物あるいはその組成物を内包したカプセル剤に封入されたアントシアニンの水、特に消化液への溶出性を更に向上させることができる。また、得られる組成物やカプセル剤の保存安定性を更に向上させることができる。なお、リゾレシチンの含有量が多すぎると、粘性が増して、カプセル剤の製造に支障をきたす場合がある。一方、リゾレシチンの含有量が少なすぎると、アントシアニン含有素材を分散させるための分散剤としての機能を果たせなくなる場合がある。また、リゾレシチンの含有量が多すぎると、粘性が増して、カプセル剤の製造に支障をきたす場合がある。
本発明のカプセル用アントシアニン含有組成物においては、粘調基材として植物ステロールを含有せしめる。植物ステロールを配合することによりに、粉末状のアントシアニン含有素材をペースト状に成形し、特に上述した油脂中におけるアントシアニンの分散性及び安定性を向上させることができ、ひいては得られる組成物やカプセル剤の保存安定性を向上させることができる。また、カプセル剤を製造する際に、コロイドミル処理時の熱発生を抑制したり、カプセル充填機による連続生産性を向上したりして、その製剤性を向上させることができる。
植物ステロ−ルはフィトステロ−ル(phytosterol)とも呼ばれ、動物ステロ−ルであるコレステロ−ルと非常に似通った構造をしている。動物にはほとんどコレステロ−ルしか存在していないのに対し、植物にはβ−シトステロ−ル、スチグマステロ−ル、カンペステロ−ル、ブラシカステロ−ルをはじめとした種々の植物ステロ−ルが存在し、それらは単独で存在することは少なく、共存していることが多い。植物ステロ−ルは植物の種子に多く存在し、遊離型,脂肪酸エステル型、あるいは配糖体として存在している。また、キノコに含まれるエルゴステロ−ルや海藻に多いフコステロ−ルなど、特定の植物(または菌類)に特徴的に含まれるものもある。なお、本明細書において「植物ステロール」の用語は、これらステロール類を含む植物(または菌類)由来のステロール骨格を有する物質を広く包含する意味で用いられる。より典型的には、植物(または菌類)に多く見いだされるステロール類としては、例えば、β−シトステロ−ル、スチグマステロ−ル、カンペステロ−ル、ブラシカステロ−ル、7-エルゴステノール、イソフコステロール、7-スチグマステノール、アベナステロール等が挙げられる。また、大豆、ナタネ、トウモロコシ、ヒマワリ、ワタ等を由来とする植物ステロールが市販されているので、そのような市販品を用いてもよい。
植物ステロ−ルは、それが含まれている製剤の形態のものを用いてもよい。その形態としては、粉末状、液体状、ペースト状等であってよく、特に制限はないが、取り扱い性の観点からは、粉末状のものを用いることが好ましい。
アントシアニン含有組成物中における植物ステロールの含有量は、好ましくは0.1〜10質量%、より好ましくは0.5〜10質量%、更に好ましくは1〜8質量%である。植物ステロールの含有量が上記範囲内であれば、得られる組成物やカプセル剤の保存安定性をより向上させることができる。また、カプセル剤を製造する際に、コロイドミル処理時の熱発生を抑制したり、カプセル充填機による連続生産性を向上したりして、その製剤性をより向上させることができる。なお、植物ステロールの含有量が多すぎると、粘性が増してアントシアニンの溶出性が悪くなり、カプセル剤への製剤化も困難になる場合がある。一方、植物ステロールの含有量が少なすぎると、コロイドミル処理時の熱発生を抑制したり、カプセル充填機による連続生産性を向上したりする等の粘調基材としての機能を果たせなくなる場合がある。また、植物ステロールの含有量が多すぎると、粘性が増してアントシアニンの溶出性が悪くなり、カプセル剤への製剤化も困難になる場合がある。
以上に説明したとおり、本発明によれば、アントシアニン含有素材と油脂とリゾレシチンと植物ステロールとを含有することにより、カプセル製造時の製剤性や内容物の保存安定性が良好であり、なお且つ、アントシアニンの製剤からの溶出性にも優れた、カプセル用アントシアニン含有組成物を得ることができる。ここで、植物ステロールは、主にカプセル製造時の製剤性や内容物の保存安定性の向上に寄与し、リゾレシチンは、主にアントシアニンの製剤からの溶出性に寄与する。そして、これらが相互に打ち消し合うことなく効果的に作用する。なお、後述の実施例でも示されるように、この植物ステロールとリゾレシチンの組み合わせによる作用効果は、カプセル剤の製造の際の粘調基材として従来用いられていたミツロウとリゾレシチンの組み合わせでは奏しない作用効果である。ただし、本発明の作用効果を害しない範囲であれば、ミツロウを併用してもよいことは勿論である。
本発明のカプセル用アントシアニン含有組成物においては、その作用効果を阻害しない範囲内において、上記リゾレシチン以外にも、適宜分散剤を配合してもよい。分散剤は、微細化されたアントシアニン含有素材の再凝集を抑制し、生体摂取後のアントシアニンの吸収性をより向上させるために配合してもよい。なお、ここで「分散剤」とは、食品添加物として用いられる保護剤、乳化剤、及び界面活性剤も含むものとする。分散剤としては、例えば、レシチン、グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル等が挙げられる。これらは単独で用いられてもよいし、二種以上が組み合わされて用いられてもよい。ただし、生体適用性の観点から、レゾレシチン以外の分散剤の配合割合は、5質量%以下が好ましく、1質量%以下がより好ましく、配合しないことが更に好ましい。
本発明のカプセル用アントシアニン含有組成物においては、その他成分として、例えばマリーゴールド等のルテイン含有素材類、例えばレスベラトロール等のポリフェノール類、例えばアスタキサンチン、β-カロテン等のカロチノイド類、ビタミンB2、ビタミンB12、ビタミンC、ビタミンE、ヘスペリジン等のビタミン類、例えばGABA等のアミノ酸類、例えばヒアルロン酸等の多糖類、例えばコラーゲン、ラクトフェリン、ゼラチン等のタンパク質・ペプチド類、例えばグリセリン等、上記油脂以外の油溶性成分、例えばイチョウ葉エキス、サンタベリーエキス、サケ白子エキス等の各種動植物エキス類、例えばDNA等の核酸類、コエンザイムQ10、乳酸菌等を適宜配合してもよい。また、適宜必要に応じて、腐敗防止のための添加剤やアルコール類を配合してもよい。
本発明のカプセル用アントシアニン含有組成物は、上記に説明した各成分を所望の配合割合で混合して、各成分を溶解、分散、及び/又は均質化すること等により調製することができる。この場合、各成分を添加混合するタイミングに特に制限はなく、適宜所望のタイミングで行えばよい。例えば、アントシアニン含有素材として微細化処理をしたものを用いる場合、アントシアニン含有素材に対し、油脂、リゾレシチン、及び/又は植物ステロールは、微細化処理前に添加して微細化処理とともに混合してもよく、微細化処理後に添加混合してもよい。また、各全量の一部を微細化処理前に添加し、残りを微細化処理後に添加して、それぞれのタイミングにおいて逐次混合してもよい。
なお、上記植物ステロールの融点は、通常100〜120℃であるので、それらを他の成分と添加混合する前には、一旦その融点以上の温度に加熱溶解してから用いることが好ましい。また、すべての成分が添加混合された後には、各成分の溶解、分散、及び/又は均質化を確実にするため、あるいは粘調の目的で、更に微細分散化の処理(コロイドミル処理)を施すことが好ましい。微細分散化の処理の手段に特に制限はないが、例えば、コロイドミル機構を備えたマスコロイダー(砥石粉砕機)やマイコロイダー等の手段が好ましく用いられる。
本発明のカプセル用アントシアニン含有組成物の形態はペースト状が好ましく、カプセル剤の製造時における取り扱い性の観点からは、25℃にて粘度が30Pa・s以下であることが好ましく、20Pa・s以下であることがより好ましく、10Pa・s以下であることが更により好ましい。これによれば、カプセル剤の製造時における組成物の取り扱い性がより良好であるとともに、アントシアニンの水への分散性又は溶解性をより向上させることができる。
本発明のカプセル用アントシアニン含有組成物は、アントシアニンを効果的に摂取するためのカプセル剤に内包させる素材として有用である。そのカプセル剤の形態に特に制限はなく、公知の方法を適用して製造し得るソフトカプセル剤やハードカプセル剤のいずれに適用されてもよい。ソフトカプセル剤は、例えば、カプセル皮膜用組成物から形成した皮膜を、ロータリーダイ法等により、内容物を充填するとともにソフトカプセルを成形すること等により製造され得る。カプセルの素材としても、公知の材料を適用することができる。ソフトカプセルの素材としては、例えば、ゼラチン、グリセリン等が挙げられる。また、ハードカプセルの素材としては、例えば、ゼラチン、プルラン等の多糖類、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等のセルロース誘導体、デンプン等が挙げられる。これらのカプセル剤は、瓶詰め包装、PTP包装、パウチ等の包装形態で包装されてもよい。
本発明によるカプセル剤の溶出特性としては、特に制限されるわけではないが、日本薬局方第16改正に記載されている崩壊試験法において、溶出試験第1液を用いて試験を行った場合、内容物の溶出開始から30分後のアントシアニンの溶出率が90%以上となるよう構成されていることが好ましい。かかる構成により、カプセルからのアントシアニンの溶出速度を速め、ひいては生体における吸収速度の向上を図ることができる。なお、溶出率は、溶出試験第1液中において、アントシアニンの最大吸収波長(513.5nm)を指標として、全てのアントシアニンが試験液に分散又は溶解した時の吸光度を溶出率100%として求めることができる。
より具体的な構成として、ハードカプセル(例えば1号ハードカプセル)に300mg充填し、上記と同様の試験を行った場合、内容物の溶出開始から15分後のアントシアニンの溶出率は、75%以上となるよう構成されていることが好ましく、90%以上となることがより好ましい。ハードカプセルの膜厚は特に限定されないが、好ましくは0.08〜0.12mm、より好ましくは0.09〜0.11mmの範囲で構成することができる。
同様に、より具体的な構成として、ロータリーダイ式カプセル充填機(例えば金型:OVAL−6)を用いて、300mgを内包しながらソフトカプセルを作製し、上記と同様の試験を行った場合、内容物の溶出開始から15分後のアントシアニンの溶出率は、45%以上となるよう構成されていることが好ましく、60%以上となることがより好ましい。ソフトカプセルの膜厚は特に限定されないが、好ましくは0.7〜1.1mm、より好ましくは0.8〜1mmの範囲で構成することができる。
アントシアニンは、例えば、優れた抗酸化作用を有するとともに、眼の網膜に存在する視物質であるロドプシンの再合成を促進する作用(視力回復作用)を有する。したがって、本発明によるアントシアニン含有組成物やそれを内包させたカプセル剤は、そのような機能性を付した健康食品、サプリメント、特定保健用食品、機能性表示食品等として、あるいはそれらと組み合わせて、好適に使用され得る。また、抗酸化剤、視力回復剤等として、それらの効能及び効果を得ることを目的とした各種医薬品、医薬部外品等として、あるいはそれらと組み合わせて、好適に使用され得る。また、ヒトが摂取する経口用組成物として使用することができるのみならず、家畜やペット等の飼養動物の飼料、サプリメント、栄養補助食品、医薬品等としても、好適に使用され得る。
なお、本発明によるアントシアニン含有組成物をカプセル剤に内包させる際には、本発明の作用効果を害しない範囲であれば、必要に応じて適宜、当該アントシアニン含有組成物以外の他の素材をともに内包させてもよいことは勿論である。他の素材としては。ゲル化剤含有食品、糖類、香料、甘味料、基材、賦形剤、食品添加剤、副素材、増量剤等が挙げられる。
以下に実施例を挙げて本発明について更に具体的に説明する。なお、これらの実施例は本発明の範囲を限定するものではない。
<アントシアニン含有素材の調製>
ビルベリー果実を酸性水溶液で抽出処理し、濾過して粗抽出液を得た。次に、該粗抽出液を多孔質合成吸着樹脂に吸着させ、不要な成分を洗い流し、アントシアニン成分をエタノールで溶出させた。そして、溶出物を噴霧乾燥後、粉砕した物をビルベリーエキス末とした。ビルベリーエキス末は、アントシアニン含量36%以上(アントシアニジン含量25%以上)であった。
次に、ビルベリーエキス末30質量%を水に溶解し、湿式の高圧ホモジェナイザー(アルティマイザー:スギノマシン社製)を用いて、245MPaの高圧で、1回処理(1パス)を行った。そして、微細化処理後、凍結乾燥して粉砕・粉末化することにより微細化ビルベリーエキス末を得た。
(実施例1)
上記で調製した微細化ビルベリーエキス末をアントシアニン含有素材として用いて、そのアントシアニン含有素材を50質量%と、更に植物ステロール(粉末状、商品名「理研植物ステロール」、理研ビタミン株式会社製)4質量%、サフラワー油43質量%、及びリゾレシチン(ペースト状リゾレシチン、商品名「SLPペーストリゾ」、辻製油社製)3質量%の配合割合となるように、それらを加熱溶解したうえ混合し、除熱後、コロイドミル機構を備えたマスコロイダー(砥石粉砕機)にかけて微細分散化の処理(コロイドミル処理)を行なって、実施例1のアントシアニン含有組成物を調製した。
(比較例1)
実施例1の配合において、植物ステロール及びリゾレシチンを配合せず、サフラワー油の配合割合を50質量%に変更した以外は、同様の方法により、比較例1のアントシアニン含有組成物を調製した。
(比較例2)
比較例1の配合において、ミツロウを4質量%配合し、サフラワー油の配合割合を46質量%に変更した以外は、同様の方法により、比較例2のアントシアニン含有組成物を調製した。
(比較例3)
比較例1の配合において、リゾレシチンを3質量%配合し、サフラワー油の配合割合を47質量%に変更した以外は、同様の方法により、比較例3のアントシアニン含有組成物を調製した。
(比較例4)
比較例1の配合において、ミツロウ4質量%とリゾレシチン3質量%を配合し、サフラワー油の配合割合を43質量%に変更した以外は、同様の方法により、比較例4のアントシアニン含有組成物を調製した。
(比較例5)
比較例1の配合において、植物ステロールを4質量%配合し、サフラワー油の配合割合を46質量%に変更した以外は、同様の方法により、比較例5のアントシアニン含有組成物を調製した。
(実施例2)
実施例1の配合において、リゾレシチンを10質量%配合し、サフラワー油の配合割合を36質量%に変更した以外は、同様の方法により、実施例2のアントシアニン含有組成物を調製した。
(実施例3)
実施例1の配合において、リゾレシチンを20質量%配合し、サフラワー油の配合割合を26質量%に変更した以外は、同様の方法により、実施例3のアントシアニン含有組成物を調製した。
(実施例4)
実施例1の配合において、植物ステロールを0.5質量%配合し、サフラワー油の配合割合を46.5質量%に変更した以外は、同様の方法により、実施例4のアントシアニン含有組成物を調製した。
(実施例5)
実施例1の配合において、植物ステロールを10質量%配合し、サフラワー油の配合割合を37質量%に変更した以外は、同様の方法により、実施例5のアントシアニン含有組成物を調製した。
<カプセル剤の調製>
上記で調製した、実施例1、比較例1〜5のアントシアニン含有組成物を用いて、常法に従い、ソフトカプセルを調製した。具体的には、ソフトカプセルの皮膜としてゼラチン及びグリセリン等の各成分を混合してなるソフトカプセル用皮膜を使用し、金型としてOVAL−6を使用して、ロータリーダイ式カプセル充填機(三協社製)を用いて、300mgを内包しながら膜厚0.9mmのソフトカプセルを作製した。
[試験例1]
上記で調製した、実施例1、比較例1〜5のアントシアニン含有組成物を内包するカプセル剤について、その溶出性、製剤性(内容液)、製剤性(カプセル)、及び内容液の保存安定性を評価した。具体的には、以下に示す試験方法又は評価基準により評価を行なった。
<溶出試験>
溶出試験は、日本薬局方第16改正の一般試験法記載の6.09崩壊試験法に準じて行った。具体的には、試験液として溶出試験第1液(塩化ナトリウム2gを塩酸7mL及び水に溶かして1Lに調製(pH1.2))を使用し、また、崩壊試験機として富山産業社製NT−20HSを使用し、各例のカプセル剤1粒を試験液(900mL)に投入して、ガラス管内に補助盤を入れて試験を行った。所定時間経過後において、アントシアニンの最大吸収波長(513.5nm)における試験液の吸光度を測定し、全てのアントシアニンが試験液に溶解した場合の吸光度を溶出率100%として、溶出率(%)求めた。なお、各例において試験開始から6分後にカプセル皮膜が崩壊し、内容物の溶出が開始されたことを目視にて確認した。また、下記表には、内容物の溶出開始からの経過時間(分)も併せて記載した。
<評価項目/溶出性>
溶解試験の試験結果について、下記の基準で評価した。
(基準)
◎・・・溶出性がかなり優れている
○・・・溶出性が優れている
△・・・溶出性があまりよくない
×・・・溶出性が悪い
<評価項目/製剤性(内容液)>
コロイドミル処理時の熱発生について、下記の基準で評価した。
(基準)
○・・・ 45℃以下
△・・・ 45〜55℃
×・・・ 55℃以上
<評価項目/製剤性(カプセル)>
カプセル充填機による連続生産性について、下記の基準で評価した。
(基準)
○・・・ 連続生産可能
△・・・ 充填不良率が高いが連続生産可能
×・・・ カプセル化は可能だが連続生産不可
<評価項目/保存安定性>
各例のアントシアニン含有組成物を透明なバイアル瓶に適量充填し、40℃で48時間保存した。保存期間終了後、バイアル瓶の外観より、アントシアニン含有組成物の分離の有無を目視にて観察し、下記の基準で評価した。
(基準)
○・・・分離・沈殿なし
△・・・若干の油浮きみられる
×・・・強く分離している
表1には、上記評価基準による試験結果を各例の配合組成とともに示す。また、表2及び図1には、上記溶出試験における経過時間ごとの溶出率の結果を示す。
その結果、以下のことが明らかとなった。
(1)比較例1のカプセル剤では、アントシアニンの溶出性があまり芳しくなく、製剤性や内溶液の保存安定性についても良好とはいえなかった。
(2)比較例1と比較例2の対比にみられるように、ミツロウを配合することにより、内容液の保存安定性が向上し、製剤性についても若干改善した。しかしながら、アントシアニンの溶出性については、ミツロウを配合しない場合に比べて悪くなった。
(3)比較例1と比較例3の対比にみられるように、リゾレシチンを配合することにより、アントシアニンの溶出性が顕著に向上し、内容液の保存安定性が向上し、カプセル充填機による連続生産性が若干改善した。しかしながら、コロイドミル処理時の熱発生を抑えることはできなかった。
(4)比較例1と比較例4の対比にみられるように、ミツロウとリゾレシチンを配合することにより、製剤性や内容液の保存安定性が向上した。しかしながら、アントシアニンの溶出性の改善が充分には得られなかった。すなわち、比較例3にみられたリゾレシチンによる溶出性向上の効果をミツロウが打ち消してしまう結果となった。
(5)比較例1と比較例5の対比にみられるように、植物ステロールを配合することにより、比較例2の場合と同様に、製剤性や内容液の保存安定性が向上したものの、アントシアニンの溶出性については、植物ステロールを配合しない場合に比べて悪くなった。
(6)比較例1と実施例1の対比にみられるように、植物ステロールとリゾレシチンを配合することにより、アントシアニンの溶出性が顕著に向上し、コロイドミル処理時の熱発生が抑えられ、カプセル充填機による連続生産性が向上し、内容液の保存安定性も向上した。
[試験例2]
上記で調製した、実施例2、3のアントシアニン含有組成物を内包するカプセル剤について、試験例1と同様にして、その溶出性、製剤性(内容液)、製剤性(カプセル)、及び内容液の保存安定性を評価した。
表3には、上記評価基準による試験結果を各例の配合組成とともに示す。また、表4及び図2には、上記溶出試験における経過時間ごとの溶出率の結果を示す。なお、これらの結果は、試験例1において示した実施例1及び比較例5の結果とともに示した。
その結果、リゾレシチンの配合量としては、その配合割合が3〜20質量%の範囲で良好な結果が得られた。なお、本試験例には示されないが、リゾレシチンの配合量が多すぎると、粘性が増してカプセルの不良率が高くなる傾向があった。
[試験例3]
上記で調製した、実施例4、5のアントシアニン含有組成物を内包するカプセル剤について、試験例1と同様にして、その溶出性、製剤性(内容液)、製剤性(カプセル)、及び内容液の保存安定性を評価した。
表5には、上記評価基準による試験結果を各例の配合組成とともに示す。また、表6及び図3には、上記溶出試験における経過時間ごとの溶出率の結果を示す。なお、これらの結果は、試験例1において示した実施例1及び比較例3の結果とともに示した。
その結果、植物ステロールの配合量としては、その配合割合が0.5〜10質量%の範囲で良好な結果が得られた。なお、本試験例には示されないが、植物ステロールの配合量が多すぎると、粘性が増して溶出性が劣り、製剤化も困難になる傾向があった。

Claims (8)

  1. アントシアニン含有素材と、油脂と、リゾレシチンと、植物ステロールとを含有することを特徴とするカプセル用アントシアニン含有組成物。
  2. 前記アントシアニン含有素材は、ビルベリー、ブルーベリー、クランベリー、コケモモ、リンゴンベリー、ハックルベリー、ラズベリー、ブラックベリー、ローガンベリー、サーモンベリー、ボイセンベリー、イチゴ、クワ、エルダベリー、ハスカップ、ニワトコ、ハイビスカス、スグリ、クズベリー、アサイー、プルーン、サクランボ、リンゴ、マンゴー、シソ、有色イモ、赤キャベツ、赤ダイコン、ブドウ、紫トウモロコシ、紫タマネギ、ナス、有色米、黒豆、黒ゴマ、及び椿からなる群から選ばれる1種又は2種以上である、請求項1に記載のカプセル用アントシアニン含有組成物。
  3. 前記油脂は、魚油、植物油、及び中鎖脂肪酸からなる群から選ばれる1種又は2種以上である、請求項1又は2に記載のカプセル用アントシアニン含有組成物。
  4. 前記植物ステロールは、β−シトステロ−ル、スチグマステロ−ル、カンペステロ−ル、ブラシカステロ−ル、7-エルゴステノール、イソフコステロール、7-スチグマステノール、及びアベナステロールからなる群から選ばれる1種又は2種以上である、請求項1〜3のいずれか一項に記載のカプセル用アントシアニン含有組成物。
  5. 前記植物ステロールの含有量が0.1〜10質量%である、請求項1〜4のいずれか一項に記載のカプセル用アントシアニン含有組成物。
  6. 前記リゾレシチンの含有量が0.1〜20質量%である、請求項1〜5のいずれか一項に記載のカプセル用アントシアニン含有組成物。
  7. 請求項1〜6のいずれか一項に記載のカプセル用アントシアニン含有組成物を内包することを特徴とするカプセル剤。
  8. 日本薬局方第16改正に記載されている崩壊試験法において、溶出試験第1液を用いて試験を行った場合、内容物の溶出開始から30分後のアントシアニンの溶出率が90%以上となるよう構成されたものである、請求項7に記載のカプセル剤。

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