JP6941481B2 - 植物抽出物を含む水溶化粉末 - Google Patents

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Description

本発明は、健康食品や保健機能食品(特定保健用食品、栄養機能食品)等の飲食品、医薬品、医薬部外品、又は化粧品等に使用することができる難水溶性成分を含む植物抽出物を含有する水溶化粉末、及びその製法に関する。
植物より抽出された生理活性物質が難水溶性である場合、該生理活性物質の飲料等の食品への添加は困難であるケースも少なくない。例えば、甘草又は甘草水抽出残渣から有機溶媒等によって抽出される甘草疎水性成分は、酸化防止作用、抗菌作用、酵素阻害作用、抗腫瘍作用、抗アレルギー作用、抗ウィルス作用等、多くの有用な作用を示すことが確認されている。しかし、この甘草疎水性成分は水に溶解せずそのままでは水系食品への添加が困難であるだけでなく、一般的な油にもほとんど溶解せず、さらには有機溶媒抽出物のままでは固結し易く着色する等、食品や飲料には利用し難い物性を有している。
それに対し、特許文献1では、炭素数が14以上の脂肪酸残基で構成されるポリグリセリン脂肪酸エステルを含有してなる甘草ポリフェノール含有水中油型乳化組成物が開示されているが、その製造には通常50MPa以上の高圧条件での均質化処理が必要である。また、特許文献2では、甘草抽出物や菊花抽出物等を油脂と特定のHLB値を有する2種のポリグリセリン脂肪酸エステルを含有する生理活性物質含有水溶化製剤が記載されているが、該製剤は粘ちょうな液体であって粉末ではないため、利用範囲が限られる。さらに、特許文献3では、甘草抽出物、油脂、水溶性高分子,乳化剤と糖類からなる乳化粉末も報告されているが、粉末化と水分散性を両立するために多くの成分を必要とする。
一方、例えば特許文献4では、植物抽出物にステビア抽出物、酵素処理ステビア抽出物、酵素処理ルチン、酵素処理ヘスペリジンのうちから選択される1種又は2種以上の可溶化剤を用いて水溶化を行い、水溶性の飲食物を得ている。しかしながら、植物抽出物に対する各可溶化剤の添加量が少ない場合、水分散した際に濁りが生じたり、保管中に沈殿が生じており、飲料へ添加する際に要求される分散性や分散安定性が十分ではない。
特許文献5では、難水溶性物質の可溶化方法として、酵素処理ヘスペリジン及び酵素処理ステビアから選ばれる少なくとも1種の酵素処理物と非イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤及びカチオン性界面活性剤からなる群より選ばれる少なくとも1種の界面活性剤を混合する方法が記載されている。しかしながら、実際に使用されている界面活性剤はドデシル硫酸ナトリウム、タウロコール酸ナトリウム、ドデシルメチルアンモニウムブロミド、Tween80等の、食品に使用できない若しくは使用制限のある界面活性剤であり、また、難水溶性物質として植物抽出物が挙げられていない事からその有効性は不明である。
WO2007/097412 WO2012/105551 WO2006/022187 特開2005−168458 特開2012−240949
上述したように、植物より抽出された生理活性物質が難水溶性である場合、従来の方法では、飲料へ添加する際に要求される分散性や分散安定性が十分で、かつ生理活性物質の含有量が高く、さらに飲料以外の食品以外にも使用しやすい形態という条件を十分に満たすものでは無かった。
本発明は、植物より抽出された難水溶性の生理活性物質を、生理活性物質が高含有でかつ、飲料へ添加する際には十分な水分散性と分散安定性を持つ粉末形態とする事を課題とする。
本発明者らは上記実情に鑑み鋭意研究を行った結果、植物より抽出された難水溶性の生理活性物質を含む有機溶媒抽出液と、酵素処理ステビア抽出物、酵素処理ルチン、酵素処理ヘスペリジンといった酵素処理物と特定の界面活性剤を含む水溶化液を混合し、混合液から溶媒を除去する事で簡単に安定な水溶化粉末を作製できること、さらに、得られた水溶化粉末は、水性媒質を接触させるだけでマイクロエマルションを形成する自己乳化型の製剤でもあることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、難水溶性成分を含有する植物抽出物(A)、酵素処理物(B)及びHLBが13以上の界面活性剤(C)を含有し、植物抽出物(A)に対する酵素処理物(B)の含有量が0.5〜120(重量比)、植物抽出物(A)に対するHLBが13以上の界面活性剤(C)の含有量が0.1〜15(重量比)である、植物抽出物含有水溶化粉末に関する。
好ましくは、酵素処理物(B)が、酵素処理ルチン、酵素処理ステビア、又は酵素処理ヘスペリジンである、植物抽出物含有水溶化粉末であり、また好ましくは、HLBが13以上の界面活性剤(C)が、ショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステルである、植物抽出物含有水溶化粉末であり、また好ましくは、植物抽出物が、甘草、菊花からなる群より選択される1種以上の植物の抽出物である、植物抽出物含有水溶化粉末である。
また、本発明は難水溶性成分を含有する植物抽出物(A)、酵素処理物(B)及びHLBが13以上の界面活性剤(C)を含有し、植物抽出物(A)に対する酵素処理物(B)の含有量が0.5〜120(重量比)、植物抽出物(A)に対するHLBが13以上の界面活性剤(C)の含有量が0.1〜15(重量比)である、植物抽出物含有水溶化粉末を水系溶媒に添加した後に、加熱処理及び/又は酸処理することを特徴とする、生理活性物質可溶化水溶液の製造方法にも関する。
本発明によれば、難水溶性成分を含有する植物抽出物の高濃度で安定な水溶化粉末を、簡便に製造することができる。また本発明の水溶化粉末は、水等の水性媒質中に容易に拡散して耐酸性や耐熱性に優れたマイクロエマルションを形成することができ、得られたマイクロエマルションは高い保存安定性を有する。また、粉末形態であることから、飲料や食品に展開が容易である。
以下に、本発明を詳しく説明する。
本発明の水溶化粉末は、難水溶性成分を含有する植物抽出物(A)、酵素処理物(B)及びHLBが13以上の界面活性剤(C)を含有し、植物抽出物(A)に対する酵素処理物(B)の含有量が0.5〜120(重量比)、植物抽出物(A)に対するHLBが13以上の界面活性剤(C)の含有量が0.1〜15(重量比)であることを特徴とする植物抽出物含有水溶化粉末である。
本発明の難水溶性成分を含有する植物抽出物(A)は、その成分として脂溶性或いは難水溶性の生理活性を有する植物抽出物であればとしては特に限定されず、一般に食用に用いられる植物やその加工品から有機溶媒を用いて抽出して得られる、疎水性の植物抽出物が使用できる。例えば、甘草、菊花、ウコン、シソ、クローブ、シナモン、ショウガ、レモングラス、ペパーミント、ドクダミ、ヨクイニン、米糠、コーンフラワー、フェンネル、クコ、サンショウ、キンレンカ、サンヤク、サンリョウ、キンカラン、アマチャヅル、ソクハクヨウ、ハクトウオウ、パセリ、オニオン、ナツメグ、ワイルドライス、グルテンフィード、コンニャク飛粉、パプリカ、ホースラディッシュ、レモン、唐辛子、ゴマ、スペアミント、マリーゴールド、松皮、ヘマトコッカス藻及び高菜等の植物、植物加工品を、エタノール、アセトン、ヘキサン等の有機溶媒を用いて抽出して得られる疎水性抽出物であり、活性成分として例えばポリフェノール類、テルペン類、カロテン類等を含有するものである。中でも好ましい植物抽出物は、甘草又は菊花の疎水性抽出物であり、より好ましくは、甘草エタノール抽出物又は菊花エタノール抽出物である。
本発明の水溶化粉末においては、上記のような植物抽出物に油脂を混合したものも使用する事ができる。ここで植物抽出物(A)と油脂の混合物は、視覚的に均一に混合し得るのが好ましい。但し、油脂を使用すると、分散性の良好な水溶化粉末を得るためにより多くの酵素処理物(B)を必要とする傾向があることから、植物抽出物(A)を油脂と混合することなく使用するのがより好ましい。
上記の植物抽出物(A)と混合される油脂としては、特に制限されないが、例えば、動植物からの天然油脂であってもよく、合成油脂や加工油脂であってもよい。より好ましくは、食品、化粧品又は医薬用に許容されるものである。植物油脂としては、例えば、ヤシ油、パーム油、パーム核油、アマニ油、つばき油、玄米胚芽油、菜種油、米油、落花生油、コーン油、小麦胚芽油、大豆油、エゴマ油、綿実油、ヒマワリ種子油、カポック油、月見草油、シア脂、サル脂、カカオ脂、ゴマ油、サフラワー油、オリーブ油、ザクロ油、ニガウリ油等を挙げることができ、動物油脂としては、例えば、豚脂、乳脂、魚油、牛脂等を挙げることができ、脂肪酸の炭素数が各々6〜12、好ましくは8〜12の中鎖脂肪酸トリグリセリド(MCT)、更には、これらを分別、水素添加、エステル交換等により加工した油脂(例えば、硬化油)、それらの部分グリセリドも挙げることができる。言うまでもなく、これらの混合物を使用しても良い。中でも、該植物抽出物を効率的に溶解できることと、加えて、取り扱い易さ、酸化安定性等の面から中鎖脂肪酸トリグリセリドが最も好ましい。
本発明の水溶化粉末において、植物抽出物(A)と油脂の混合割合は、植物抽出物中の生理活性物質の性質や使用する油脂の種類によって適宜選択される。例えば、植物抽出物(A)として甘草エタノール抽出物や菊花エタノール抽出物を使用し、油脂として中鎖脂肪酸トリグリセリドを使用する場合には、甘草エタノール抽出物又は菊花エタノール抽出物が10〜50重量%と、中鎖脂肪酸トリグリセリドが50〜90重量%の割合で使用するのが好ましく、甘草エタノール抽出物又は菊花エタノール抽出物が20〜40重量%と、中鎖脂肪酸トリグリセリドが60〜80重量%の割合であるのがより好ましい。
本発明の水溶化粉末において、難水溶性成分を含有する植物抽出物(A)の水溶化粉末中の含有量は特に限定されないが、通常0.1〜50重量%の範囲であり、1〜35重量%の範囲であるのが好ましく、5〜20重量%の範囲であるのが最も好ましい。難水溶性成分を含有する植物抽出物(A)の含有量が少なすぎると、所定量の生理活性物質を経口投与する際に、多量の組成物を摂取することが必要となり、一方、難水溶性成分を含有する植物抽出物(A)の含有量が多すぎると、水性媒体へ添加した場合の安定性が不十分となる。
本発明の水溶化粉末に使用される酵素処理物(B)としては、テルペノイド類や、フラボノイド等のポリフェノール類に糖転移酵素を用いて糖類を結合させた配糖体を意味する。本発明における酵素処理物(B)としては、上記糖転移酵素の処理によって得られる配糖体であれば特に限定されないが、酵素処理ポリフェノールが好ましく、そのより好ましい具体例として、酵素処理ステビア、酵素処理ヘスペリジン、酵素処理ルチンが挙げられる。
本発明において使用できる酵素処理ステビアとしては、ステビオサイド、レバウディオサイドA、レバウディオサイドC、ズルコサイドA、ルブソサイド、ステビオールサイド又はレバウディオサイドBから選ばれる1種又は2種以上のステビオール配糖体に糖供与体を加え、グルコース転移酵素を作用させて糖供与体からステビオール配糖体に糖(グルコース)を転移させる事により得られる酵素処理ステビアである事が好ましく、より好ましくは、ステビア抽出物にα-グルコシルトランスフェラーゼ等を用いてグルコースを付加して得られるものである。このような酵素処理ステビアは、常温で中性の水に対し、2000g/水L以上の溶解度を有する。この酵素処理ステビアは、その乾燥物中に、α−グルコシルステビオール配糖体及び未反応のステビオール配糖体の総量として80.0重量%以上を含み、α−グルコシルステビオ−ル配糖体65.0重量%以上を含む。なお、通常、酵素処理ステビアには未反応のステビアも含まれるため、酵素処理ステビアとは、ステビア抽出物とステビア抽出物にグルコースが付加した物質の混合物であってもよい。
本発明で使用される酵素処理ステビアとしては、酵素処理ステビア単独であってもよく、酵素処理ステビアと共に希釈剤、賦形剤等を用いてなる希釈品(液体、粉末、顆粒品等)でもよい。また、酵素処理ステビアとして、市販品を用いてもよい。そのような市販品としては、例えば、「αGスイートPX」、「αGスイートP」、「αGスイートPA」、「αGスイートH」(東洋精糖(株)製)等が挙げられる。
本発明において使用できる酵素処理ヘスペリジン(α−グルコシルヘスペリジン)は、例えば、下記式(I)に示すように、ヘスペリジンのルチノース単位中のグルコシル基に、α1→4結合により1個以上のグルコースが結合した化合物であり、常温で中性の水に対し、10g/水100g以上、好ましくは50g/水100g以上の溶解度を有する。このうち、グルコースが1個だけ結合したもの(下記式(I)中のnが0のもの)を、モノグルコシルヘスペリジンと呼ぶ。
Figure 0006941481
(上記式(I)中nは、0又は1以上の整数である。)
なお、上記式(I)において、ヘスペレチンがアグリコンであり、ヘスペリジンが難水溶性フラボノイド配糖体である。本発明では、酵素処理ヘスペリジンとして、ヘスペリジン、ヘスペレチン−7−グルコシド又はヘスペレチンに糖供与体を加え、グルコース転移酵素を作用させて糖供与体から糖(グルコース)を転移させることにより得られる酵素処理ヘスペリジンであることが好ましい。
例えば、α−グルコシル糖化合物(サイクロデキストリン、澱粉部分分解物等)の共存下で、ヘスペリジンに糖転移酵素、たとえばサイクロデキストリングルカノトランスフェラーゼ(CGTase, EC 2.4.1.19)やその他同様の作用を有する酵素を反応させることにより製造される。この酵素処理により、ヘスペリジン1分子あたり、1又は複数(2〜20程度)のグルコースが結合する。
また、モノグルコシルヘスペリジンは、2以上のグルコースが結合したα−グルコシルヘスペリジンに糖加水分解酵素、たとえばグルコアミラーゼ(EC 3.2.1.3)やその他同様の作用を有する酵素を反応させ、ルチノース単位中のグルコシル基に直接結合したグルコースを1個だけ残し、それ以外のα1→4結合したグルコースを切断することにより製造することもできる。
なお、酵素処理ヘスペリジンは、通常は、結合したグルコースの個数が異なるもの、すなわちモノグルコシルヘスペリジン及びそれ以外の酵素処理ヘスペリジンの集合体であり、また、一般的には上述のような酵素処理によって製造されるため、未反応のヘスペリジンやその他の誘導体との混合物として存在するものである。
本発明における水溶性の向上等の効果は、酵素処理ヘスペリジンがモノグルコシルヘスペリジンかそれ以外のものであるかにかかわらず発揮される。なお、α−グルコシルヘスペリジン中のモノグルコシルヘスペリジンの割合は、前述のグルコアミラーゼによる酵素処理の条件(反応時間等)等、当業者にとって公知の手法により調節することが可能である。
本発明では、酵素処理ヘスペリジンとして、「αGヘスペリジンH」、「αGヘスペリジンPA」(江崎グリコ(株)販売、東洋精糖(株)製造)等の市販品を用いても良い。
本発明で使用される酵素処理ルチンは、下記式( 2 ) で示されるように、ケルセチンをアグリコンとし、その3位の水酸基に、L−ラムノシル−( α 1 → 6 )−グルコースがβ−結合したフラボノール配糖体をいう。
Figure 0006941481
ルチンの溶解性を改善した誘導体であるα−グルコシル化ルチンも本発明の酵素処理ルチンに包含される。
また、本発明では、酵素処理ルチンとして市販のものを使用できる。例えば、東洋精糖株式会社製の「αGルチンP」TM等が使用できる。この「αGルチンP」は、上記ルチンに酵素グルコシダーゼ、トランスグルコシダーゼ等の転移作用によりデンプン、デキストリン等からグルコースをルチンのグルコース4 位に転移した水溶性ルチンであり、グルコース数の異なるα−グルコシルルチンの混合物である。
本発明において、難水溶性成分を含有する植物抽出物(A)が甘草のエタノール抽出物である場合には、酵素処理物(B)としては酵素処理ステビアがより好ましく、難水溶性成分を含有する植物抽出物(A)が菊花のエタノール抽出物である場合には、酵素処理物(B)としては酵素処理ルチンがより好ましい。
本発明の水溶化粉末において、酵素処理物(B)の水溶化粉末中の含有量は、植物抽出物(A)に対する重量比として、0.5〜120の範囲内、すなわち0.5〜120重量倍であれば特に限定されないが、0.5〜50重量倍であるのが好ましく、1〜30重量倍であるのがより好ましい。水溶化粉末中の植物抽出物(A)に対する酵素処理物(B)の含有量が0.5重量倍より少ない場合は、水性媒体へ添加した場合の水分散性が不安定となり沈殿が生じる、また120重量倍より多い場合は、所定量の生理活性物質を経口投与する際に、多量の組成物を摂取することが必要となる。なお、本発明における植物抽出物(A)の含有量は、抽出溶媒や必要に応じて混合して用いられる油脂の重量を含まない、固形重量分を意味する。
本発明の水溶化粉末に使用されるHLB値が13以上の界面活性剤(C)としては、HLBが13の界面活性剤であれば特に制限されず、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、レシチン類等が使用できる。その中でも、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステルが好ましく、モノエステル組成が60%以上のショ糖脂肪酸エステルがより好ましく、70%以上のショ糖脂肪酸エステルがさらに好ましい。
界面活性剤(C)としてショ糖脂肪酸エステルを使用する場合の構成脂肪酸は特に限定されず、脂肪酸としては、飽和又は不飽の、直鎖又は分岐を持つものが挙げられ、1種又は2種以上組み合わせて用いられる。脂肪酸の炭素数としては、炭素数6〜30であれば特に限定されないが、炭素数8〜22が好ましく、炭素数16〜18がより好ましい。飽和脂肪酸としては、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸等が挙げられる。また、不飽和脂肪酸としては、リノール酸、オレイン酸、リノレイン酸、エルカ酸、リシノール酸等が挙げられる。
本発明の水溶化粉末において、HLB値が13以上の界面活性剤(C)の水溶化粉末中の含有量は、植物抽出物(A)に対する重量比として、0.1〜15の範囲内すなわち0.1〜15重量倍であれば特に限定されないが、0.1〜5重量倍であるのが好ましく、0.5〜3重量倍であるのがより好ましい。水溶化粉末中の植物抽出物(A)に対する界面活性剤(C)の含有量が0.1重量倍より少ない場合は、水性媒体へ添加した場合の水分散性が不安定となり沈殿が生じる、また15重量倍より多い場合は、酸性の水性媒体へ添加した場合の水分散性が不安定となり沈殿が生じやすい。
本発明の水溶化粉末は、難水溶性成分を含有する植物抽出物(A)、酵素処理物(B)及びHLB値が13以上の界面活性剤(C)の他に、必要に応じてアルコール類、色素、凝集防止剤、吸収促進剤、増粘剤、増粘多糖類等の安定化剤、溶解補助剤、pH調整剤、酸化防止剤、香料等を含む事ができ、特に制限されない。
本発明の水溶化粉末は、難水溶性成分を含有する植物抽出物(A)、酵素処理物(B)及びHLB値が13以上の界面活性剤(C),必要に応じて上記他の添加成分を混合することで製造することができ、その製造方法は、特に制限されない。
本発明の水溶化粉末は、噴霧乾燥法等の特殊な装置を用いる方法を用いなくても、単に上記成分を物理的に混合するだけでも製造することが出来る。また、難水溶性成分を含有する植物抽出物(A)をエタノール等の有機溶媒に溶解させ、酵素処理物(B)及びHLB値が13以上の界面活性剤(C)を加えて攪拌した後に,減圧蒸留等で有機溶媒を除去するか、難水溶性成分を含有する植物抽出物(A)をエタノール等の有機溶媒に、酵素処理物(B)及びHLB値が13以上の界面活性剤(C)を水にそれぞれ溶解させた後に両者を混合し、その後減圧蒸留等で有機溶媒を除去する等の簡便な方法を用いることでも製造できる。さらに、難水溶性成分を含有する植物抽出物(A)としては、抽出に使用した有機溶媒を留去していないものをそのままあるいはさらに希釈して使用し、酵素処理物(B)及びHLB値が13以上の界面活性剤(C)と適宜混合した後に,抽出溶媒やその他溶媒を除去して粉末化しても良い。この場合、抽出液中の固形成分濃度から、水溶化粉末中の難水溶性成分を含有する植物抽出物(A)の含有量が所定範囲となるように混合割合を調整することが出来る。また、その他添加成分は上記製造工程の適切な箇所で添加しても良いし、得られた水溶化粉末に混合しても良い。
上記の通り、本発明では、難水溶性成分の水溶化粉末を、簡易かつ安価に製造することができる。
また、本発明の水溶化粉末は、水への分散性又は溶解性が良好なことから、水等の水性成分と混合することで、容易に、植物抽出物中の生理活性物質が可溶化された水溶液(生理活性物質可溶化水溶液)を調製することも出来る。
本発明の水溶化粉末と混合しうる水性成分としては、水そのものや、水に水溶性成分が溶解した水溶液、水とアルコール類の混合液(含水アルコール)が好ましく用いられる。アルコール類としては特に限定されず、エタノール、プロパノール、ブタノールの他、多価アルコールであってもよい。この場合の多価アルコールとしては、液糖等の糖類、グリセリン、ソルビトール等の糖アルコールが例示される。本発明では上記水生成分としては、水又は含水エタノールが好ましい。その他、ビタミンC等の水溶性ビタミン類、有機酸、アミノ酸、L−カルニチン、各種塩類等の水溶性成分も乳化に影響しない範囲で、水性成分に添加することも出来る。
本発明の水溶化粉末を用いて、生理活性物質可溶化水溶液を作製する際の水溶化粉末の添加量の上限は特に限定されないが、得られた水溶液の汎用性の観点から、通常は水等の水性成分100mlに対して本発明の水溶化粉末を20g以下、好ましくは10g以下、さらに好ましくは5g以下となるように混合する。本発明の水溶化粉末の添加量が20g以上となると、水溶化粉末が均一拡散せず、ハンドリングの悪い性状となる場合がある。また、本発明の水溶化粉末の添加量の下限も特に限定されないが、得られる水溶液に含まれる生理活性物質の有効量の観点から、通常は水等の水性成分100mlに対して本発明の水溶化粉末を10mg以上、好ましくは30mg以上、さらに好ましくは50mg以上混合する。
本発明の水溶化粉末は、水への溶解性が高いため、水又は水溶液等の水性成分中に均一に混合する際に、通常、マグネティックスターラーやプロペラ式撹拌機、軸流タービン式撹拌機、放射流タービン式撹拌機、アンカー式撹拌機等のインペラー式撹拌機で撹拌するだけで、容易に溶解する。特に乳化のために、撹拌式ホモミキサーや高圧ホモジナイザー等、公知の乳化機器を用いる必要はないが、さらに乳化を安定にするために、これら高圧乳化やホモジナイズ処理を行っても差し支えない。
本発明の水溶化粉末を用いて調製された生理活性物質可溶化水溶液は、耐熱性及び耐酸性に優れており、耐酸性や耐熱性が要求される用途、例えばドリンク剤等への応用に適している。さらに、そのままでは透明性や分散性が不十分な場合でも、加熱処理や酸処理、なかでも特に加熱処理を行なう事で、分散性や透明性を向上させることもでき、好ましい。すなわち、難水溶性成分を含有する植物抽出物(A)、酵素処理物(B)、HLBが13以上の界面活性剤(C)を含有し、植物抽出物(A)に対する酵素処理物(B)の含有量が0.5〜120(重量比)、植物抽出物(A)に対するHLBが13以上の界面活性剤(C)の含有量が0.1〜15(重量比)である植物抽出物含有水溶化粉末を水性成分に添加した後に、加熱処理及び/又は酸処理することを特徴とする、生理活性物質可溶化水溶液の製造方法も本発明の範疇である。
加熱処理を行う場合の、加熱温度等の条件は特に限定しないが、本発明の水溶化粉末を水性成分に混合後、該混合液を、通常80℃以上、好ましくは85℃以上、さらに好ましくは90℃以上に加温する事で、分散性や透明性が向上する。この場合の加熱時間は特に限定されないが、通常5〜30分間、より好ましくは10〜30分間、より好ましくは15〜30分間である。また、酸処理を行う場合の酸性度に関しては、通常pH5.0以下、このましくはpH4.0以下、さらに好ましくはpH3.0以下である。なお、酸性度を調整する方法としては、通常、本発明の水溶化粉末と水性成分の混合液に酸性物質を添加する事によって、得られる生理活性物質可溶化水溶液を所定のpHに調整する方法が一般的である。添加する酸性物質は、生理活性物質可溶化水溶液の使用用途により適宜選択すればよく、例えば飲料用途であれば食品添加物として認められる酸性物質(酢酸、リンゴ酸、アスコルビン酸、クエン酸、ソルビン酸、二酸化炭素等)等が好ましい。
本発明で得られた水溶化粉末は、水への溶解性が良好なことから、上記のように水等の水性成分に溶解して水溶液の形態とし、ドリンク剤や化粧品とすることも出来るし、そのまま一般食品や飼料等に混合することも可能である。特に常温で中性の水に対する溶解性が向上していることから、飲食時に水や任意の飲料に混合して摂取することも出来る。本発明の生理活性物質含有水溶化粉末は、一般食品、栄養機能食品、特定保健用食品、機能性表示食品、栄養補助剤、栄養剤、飲料等の食品;治療薬、予防薬、動物薬等の医薬品;化粧品、飼料等に使用できる。
次に本発明を実施例に基づいて更に詳細に説明するが、本発明はかかる実施例のみに限定されるものではない。
(製造例1)
菊の頭花を50℃に加温した93%エタノール水溶液に3時間浸潤し、抽出を行なった。その後、ろ過により残渣を除去して抽出液を取得し、得られた抽出液を減圧濃縮して溶媒を一部除去し、菊花エタノール抽出物(菊花由来固形分=20重量%)を得た。
難水溶性成分を含有する植物抽出物(A)として、製造例1で得られた菊花エタノール抽出物2000mg(固形分換算400mg)をエタノール60mLに、糖酵素処理物(B)として、酵素処理ルチン(東洋精糖株式会社製;商品名αGルチンP)2000mg、界面活性剤(C)として、ショ糖脂肪酸エステル(第一工業製薬株式会社製;商品名DKエステルSS、モノエステル体100%、HLB=19)400mgを蒸留水140mLに、それぞれ溶解させ、得られた水溶液とエタノール溶液を混合した後、エバポレーターを用いて減圧留去して溶媒を除き、水溶化粉末を得た。
難水溶性成分を含有する植物抽出物(A)として、製造例1で得られた菊花エタノール抽出物2000mg(固形分換算400mg)をエタノール60mLに、酵素処理物(B)として、酵素処理ルチン(東洋精糖株式会社製;商品名αGルチンP)2000mg、界面活性剤(C)として、ショ糖脂肪酸エステル(第一工業製薬株式会社製;商品名DKエステルSS、HLB=19)200mgを蒸留水140mLに、それぞれに溶解させ、得られた水溶液とエタノール溶液を混合した後、エバポレーターを用いて減圧留去して溶媒を除き、水溶化粉末を得た。
難水溶性成分を含有する植物抽出物(A)として、製造例1で得られた菊花エタノール抽出物2000mg(固形分換算400mg)をエタノール60mLに、酵素処理物(B)として、酵素処理ルチン(東洋精糖株式会社製;商品名αGルチンP)2000mg、界面活性剤(C)として、ショ糖脂肪酸エステル(第一工業製薬株式会社製;商品名DKエステルSS、HLB=19)40mgを蒸留水140mLに、それぞれ溶解させ、得られた水溶液とエタノール溶液を混合した後、エバポレーターを用いて減圧留去して溶媒を除き、水溶化粉末を得た。
難水溶性成分を含有する植物抽出物(A)として、製造例1で得られた菊花エタノール抽出物2800mg(固形分換算560mg)をエタノール60mLに、酵素処理物(B)として、酵素処理ルチン(東洋精糖株式会社製;商品名αGルチンPP)560mg、界面活性剤(C)として、ショ糖脂肪酸エステル(第一工業製薬株式会社製;商品名DKエステルSS、HLB=19)560mgを蒸留水140mLに、それぞれ溶解させ、得られた水溶液とエタノール溶液を混合した後、エバポレーターを用いて減圧留去して溶媒を除き、水溶化粉末を得た。
難水溶性成分を含有する植物抽出物(A)として、製造例1で得られた菊花エタノール抽出物(菊花由来固形分=20重量%)2800mg(固形分換算560mg)をエタノール60mLに、酵素処理物(B)として、酵素処理ルチン(東洋精糖株式会社製;商品名αGルチンP)2800mg、界面活性剤(C)として、ショ糖脂肪酸エステル(第一工業製薬株式会社製;商品名DKエステルF−140、モノエステル体60%、HLB=13)560mgを蒸留水140mLにそれぞれ溶解させ、得られた水溶液とエタノール溶液を混合した後、エバポレーターを用いて減圧留去して溶媒を除き、水溶化粉末を得た。
(比較例1)
難水溶性成分を含有する植物抽出物(A)として、製造例1で得られた菊花エタノール抽出物2800mg(固形分換算560mg)をエタノール60mLに、酵素処理物(B)として、酵素処理ルチン(東洋精糖株式会社製;商品名αGルチンP)2800mg、界面活性剤(C)として、ポリグリセリン脂肪酸エステル(坂本薬品工業株式会社製;商品名SYグリスターTS−3S、HLB=4.6)560mgを蒸留水140mLに、それぞれ溶解させ、得られた水溶液とエタノール溶液を混合した後、エバポレーターを用いて減圧留去して溶媒を除き、水溶化粉末を得た。
(比較例2)
難水溶性成分を含有する植物抽出物(A)として、製造例1で得られた菊花エタノール抽出物2800mg(固形分換算560mg)をエタノール60mLに、酵素処理物(B)として、酵素処理ルチン(東洋精糖株式会社製;商品名αGルチンP)2800mg、界面活性剤(C)として、ポリグリセリン脂肪酸エステル(坂本薬品工業株式会社製;商品名SYグリスターMS−3S、HLB=8.4)560mgを蒸留水140mLに、それぞれ溶解させ、得られた水溶液とエタノール溶液を混合した後、エバポレーターを用いて減圧留去して溶媒を除き、水溶化粉末を得た。
(比較例3)
難水溶性成分を含有する植物抽出物(A)として、製造例1で得られた菊花エタノール抽出物2800mg(固形分換算560mg)をエタノール60mLに、酵素処理物(B)として、酵素処理ルチン(東洋精糖株式会社製;商品名αGルチンPP)2800mg、界面活性剤(C)として、ポリグリセリン脂肪酸エステル(坂本薬品工業株式会社製;商品名SYグリスターMS−5S、HLB=11.6)560mgを蒸留水140mLに、それぞれ溶解させ、得られた水溶液とエタノール溶液を混合した後、エバポレーターを用いて減圧留去して溶媒を除き、水溶化粉末を得た。
(比較例4)
難水溶性成分を含有する植物抽出物(A)として、製造例1で得られた菊花エタノール抽出物2800mg(固形分換算560mg)をエタノール60mLに、酵素処理物(B)として、酵素処理ルチン(東洋精糖株式会社製;商品名αGルチンP)2800mgを蒸留水140mLに、それぞれ溶解させ、得られた水溶液とエタノール溶液を混合した後、エバポレーターを用いて減圧留去して溶媒を除き、水溶化粉末を得た。
実施例1〜5と比較例1〜4で得られた水溶化粉末を固形分含量が1mg/mlとなるように各々バイアル瓶に秤量し、蒸留水30mlを添加して均一分散させた。この分散液を内温が95℃に達するまで加熱して、熱処理液とした。
上記と同様の方法で、実施例1〜6と比較例1〜3で得られた水溶化粉末を用いて分散液を調整し、この分散液中にクエン酸を少量添加してpHを2.9に調整し、酸処理液とした。また、この酸処理液を内温が95℃に達するまで加熱して、酸・熱処理液とした。
得られた熱処理液及び酸処理液を目視で外観確認し、オイルリングや沈殿の有無を調べた。また、熱処理液を40℃/75%RHの恒温槽内で4週間保管し、その後、オイルリングや沈殿の有無を調べた。結果を表1にまとめた。
Figure 0006941481
(製造例2)
甘草の枝及び根を50℃に加温した93%エタノール水溶液に3時間浸潤し、抽出を行なった。その後、ろ過により残渣を除去して抽出液を取得し、得られた抽出液を減圧濃縮して溶媒を一部除去し、甘草エタノール抽出物(甘草由来固形分=10重量%)を得た。
難水溶性成分を含有する植物抽出物(A)として、製造例2で得られた甘草エタノール抽出物4000mg(固形分換算400mg)をエタノール100mLに、酵素処理物(B)として、酵素処理ステビア(東洋精糖株式会社製;商品名αGスイート)2000mg、界面活性剤(C)として、ショ糖脂肪酸エステル(第一工業製薬株式会社製;商品名DKエステルSS、HLB=19)400mgを蒸留水100mLに、それぞれ溶解させ、得られた水溶液とエタノール溶液を混合した後、エバポレーターを用いて減圧留去して溶媒を除き、水溶化粉末を得た。
難水溶性成分を含有する植物抽出物(A)として、製造例2で得られた甘草エタノール抽出物4000mg(固形分換算400mg)をエタノール100mLに、酵素処理物(B)として、酵素処理ステビア(東洋精糖株式会社製;商品名αGスイート)4000mg、界面活性剤(C)として、ショ糖脂肪酸エステル(第一工業製薬株式会社製;商品名DKエステルSS、HLB=19)400mgを蒸留水100mLに、それぞれ溶解させ、得られた水溶液とエタノール溶液を混合した後、エバポレーターを用いて減圧留去して溶媒を除き、水溶化粉末を得た。
難水溶性成分を含有する植物抽出物(A)として、製造例2で得られた甘草エタノール抽出物4000mg(固形分換算400mg)をエタノール100mLに、酵素処理物(B)として、酵素処理ステビア(東洋精糖株式会社製;商品名αGスイート)8000mg、界面活性剤(C)として、ショ糖脂肪酸エステル(第一工業製薬株式会社製;商品名DKエステルSS、HLB=19)400mgを蒸留水100mLに、それぞれ溶解させ、得られた水溶液とエタノール溶液を混合した後、エバポレーターを用いて減圧留去して溶媒を除き、水溶化粉末を得た。
(比較例5)
難水溶性成分を含有する植物抽出物(A)として、製造例2で得られた甘草エタノール抽出物4000mg(固形分換算400mg)をエタノール100mLに、酵素処理物(B)として、酵素処理ステビア(東洋精糖株式会社製;商品名αGスイート)2000mgを蒸留水100mLに、それぞれ溶解させ、得られた水溶液とエタノール溶液を混合した後、エバポレーターを用いて減圧留去して溶媒を除き、水溶化粉末を得た。
(比較例6)
難水溶性成分を含有する植物抽出物(A)として、製造例2で得られた甘草エタノール抽出物4000mg(固形分換算400mg)をエタノール100mLに、酵素処理物(B)として、酵素処理ステビア(東洋精糖株式会社製;商品名αGスイート)4000mgを蒸留水100mLに、それぞれ溶解させ、得られた水溶液とエタノール溶液を混合した後、エバポレーターを用いて減圧留去して溶媒を除き、水溶化粉末を得た。
(比較例7)
難水溶性成分を含有する植物抽出物(A)として、製造例2で得られた甘草エタノール抽出物4000mg(固形分換算400mg)をエタノール100mLに、酵素処理物(B)として、酵素処理ステビア(東洋精糖株式会社製;商品名αGスイート)8000mgを蒸留水100mLに、それぞれ溶解させ、得られた水溶液とエタノール溶液を混合した後、エバポレーターを用いて減圧留去して溶媒を除き、水溶化粉末を得た。
実施例7〜9と比較例5〜7で得られた水溶化粉末を固形分含量が約1mg/mlとなるように各々バイアル瓶に秤量し、蒸留水20mlを添加して均一分散させた。この分散液を内温が95℃に達するまで加熱して、熱処理液とした。
上記と同様の方法で、実施例7〜9と比較例5〜7で得られた水溶化粉末を用いて分散液を調整し、この分散液中にクエン酸を少量添加してpHを2.9に調整し、酸処理液とした。また、この酸処理液を内温が95℃に達するまで加熱して、酸・熱処理液とした。
得られた熱処理液及び酸処理液を目視で外観確認し、オイルリングや沈殿の有無を調べた。また、熱処理液を40℃/75%RHの恒温槽内で1週間保管し、その後、オイルリングや沈殿の有無を調べた。結果を表2にまとめた。
Figure 0006941481
酵素処理物(B)として、酵素処理ステビア(東洋精糖株式会社製;商品名αGスイート)20000mg、界面活性剤(C)として、ショ糖脂肪酸エステル(第一工業製薬株式会社製;商品名DKエステルSS、HLB=19)400mgを蒸留水1000mLに溶解させ、得られた水溶液と、難水溶性成分を含有する植物抽出物(A)として、甘草エタノール抽出物含有油脂(株式会社カネカ製;商品名「グラボノイド」、MCT=70重量%、甘草油性抽出物=30重量%)1333mg(固形分換算400mg)を混合した後、エバポレーターを用いて減圧留去して溶媒を除き、水溶化粉末を得た。
酵素処理物(B)として、酵素処理ステビア(東洋精糖株式会社製;商品名αGスイート)40000mg、界面活性剤(C)として、ショ糖脂肪酸エステル(第一工業製薬株式会社製;商品名DKエステルSS、HLB=19)400mgを蒸留水1000mLに溶解させ、得られた水溶液と、難水溶性成分を含有する植物抽出物(A)として、甘草エタノール抽出物含有油脂(株式会社カネカ製;商品名「グラボノイド」、MCT=70重量%、甘草油性抽出物=30重量%)1333mg(固形分換算40mg)を混合した後、エバポレーターを用いて減圧留去して溶媒を除き、水溶化粉末を得た。
(比較例8)
酵素処理物(B)として、酵素処理ステビア(東洋精糖株式会社製;商品名αGスイート)20000mgを蒸留水1000mLに溶解させ、得られた水溶液と、難水溶性成分を含有する植物抽出物(A)として、甘草エタノール抽出物含有油脂(株式会社カネカ製;商品名「グラボノイド」、MCT=70重量%、甘草油性抽出物=30重量%)1333mg(固形分換算400mg)を混合した後、エバポレーターを用いて減圧留去して溶媒を除き、水溶化粉末を得た。
(比較例9)
酵素処理物(B)として、酵素処理ステビア(東洋精糖株式会社製;商品名α Gスイート)40000mgを蒸留水2000mLに溶解させ、得られた水溶液と、難水溶性成分を含有する植物抽出物(A)として、甘草エタノール抽出物含有油脂(株式会社カネカ製;商品名「グラボノイド」、MCT=70重量%、甘草油性抽出物=30重量%)1333mg(固形分換算400mg)を混合した後、エバポレーターを用いて減圧留去して溶媒を除き、水溶化粉末を得た。
実施例11〜12と比較例8〜9で得られた水溶化粉末を固形分含量が1mg/mlとなるように各々バイアル瓶に秤量し、蒸留水3mlを添加して均一分散させた。この分散液を内温が95℃に達するまで加熱して、熱処理液とした。
得られた熱処理液及び酸処理液を目視で外観確認し、オイルリングや沈殿の有無を調べた。また、熱処理液を40℃/75%RHの恒温槽内で1週間保管し、その後、オイルリングや沈殿の有無を調べた。結果を表3にまとめた。
Figure 0006941481

Claims (11)

  1. 難水溶性成分を含有する植物抽出物(A)、酵素処理物(B)及びHLBが13以上の界面活性剤(C)を含有し、植物抽出物(A)に対する酵素処理物(B)の含有量が0.5〜120(重量比)、植物抽出物(A)に対するHLBが13以上の界面活性剤(C)の含有量が0.1〜15(重量比)であり、HLBが13以上の界面活性剤(C)が、ショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステルである、植物抽出物含有水溶化粉末。
  2. 酵素処理物(B)が、酵素処理ルチン、酵素処理ステビア、又は酵素処理ヘスペリジンである、請求項1記載の植物抽出物含有水溶化粉末。
  3. HLBが13以上の界面活性剤(C)が、モノエステル組成が60%以上のショ糖脂肪酸エステルである、請求項1又は2記載の植物抽出物含有水溶化粉末。
  4. 植物抽出物が、甘草、菊花からなる群より選択される1種以上の植物の抽出物である、請求項1〜3いずれか1項記載の植物抽出物含有水溶化粉末。
  5. 請求項1〜4いずれか1項記載の植物抽出物含有水溶化粉末が水性成分に分散又は溶解した水溶液。
  6. 水性成分が水又は含水エタノールである請求項5の水溶液。
  7. 難水溶性成分を含有する植物抽出物(A)、酵素処理物(B)及びHLBが13以上の界面活性剤(C)を含有し、植物抽出物(A)に対する酵素処理物(B)の含有量が0.5〜120(重量比)、植物抽出物(A)に対するHLBが13以上の界面活性剤(C)の含有量が0.1〜15(重量比)であり、HLBが13以上の界面活性剤(C)が、ショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステルである植物抽出物含有水溶化粉末を水性成分に添加した後に、加熱処理及び/又は酸処理することを特徴とする、生理活性物質可溶化水溶液の製造方法。
  8. 加熱処理が、植物抽出物含有水溶化粉末と水性成分の混合物を80℃以上に加熱することである請求項7に記載の水溶液の製造方法。
  9. 酸処理が、植物抽出物含有水溶化粉末と水性成分の混合物のpHを4.0以下に調整することである請求項7に記載の水溶液の製造方法。
  10. 水性成分が水又は含水エタノールである請求項7〜9いずれか1項記載の水溶液の製造方法。
  11. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の植物抽出物含有水溶化粉末、あるいは請求項5又は6記載の水溶液を含有する、食品、化粧品、医薬品又は飼料。
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