JP2018118395A - 多層フィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】プラスチックフィルムを包装材として使用した場合に内部で発生する酸化分解生成物の量を、極めて低減することができる包装用多層フィルムを提供することを目的とする。【解決手段】本発明は、酸素バリア層、酸素吸収層、および熱可塑性樹脂層を含む積層構造の多層フィルムであって、酸素吸収層及び/又は熱可塑性樹脂層にゼオライトが分散しており、ゼオライトの交換カチオンはアルカリ金属及びアルカリ土類金属からなる群より選ばれ、酸素吸収層が、テトラヒドロフタル酸若しくはその誘導体又はテトラヒドロ無水フタル酸若しくはその誘導体を原料とする酸素吸収性樹脂を含む、多層フィルムを提供する。【選択図】なし

Description

本発明は、高い酸素吸収性を有し、かつ酸化分解物の発生の少ない多層フィルムに関する。
近年、包装容器としては、軽量で透明且つ易成形性等の利点を有するため、各種プラスチック容器が使用されている。プラスチック容器は、金属容器やガラス容器と比べると、酸素バリア性が劣るため、容器内に充填された内容物の化学的酸化や好気性菌による品質低下が問題になる。これを防止するために、プラスチック容器の中には容器壁を多層構造とし、少なくとも一層を酸素バリア性に優れている樹脂、例えば、エチレン−ビニルアルコール共重合体の層を設けているものがある。さらには、容器内部に残存する酸素及び容器外部から侵入してくる酸素を除去するために、酸素吸収層を設けた容器がある。
樹脂系の酸素吸収性材料として、炭素−炭素不飽和結合を有する樹脂(特許文献1〜3参照)が提案されているが、酸素吸収に伴う分子鎖切断により例えばケトン、アルデヒド、酸、アルコールなどの低分子量の酸化分解生成物が臭気成分として発生するという問題があった。食品や医薬品、工業製品などの包装材として使用した際に、その容器内部で発生する酸化分解生成物の量を少なくすることができる、酸素吸収性プラスチック多層構造体が開発されている(特許文献4〜6参照)。
特開2001−39475号公報 特表平8−502306号公報 特許3183704号公報 特許第3529139号公報 特許第5024718号公報 特許第5130713号公報
しかしながら、どのような環境下においても、また、どのような用途においても高性能の包装材として使用し得る酸素吸収性プラスチック多層構造体の開発が依然として求められている。例えば、微量の酸化分解生成物であっても使用用途や内容品によってはフレーバーや品質に対して影響を与える可能性がある。
したがって、本発明は、従来のプラスチック多層構造体を包装材として使用した場合に容器内部で発生し、内容物に影響し得る酸化分解生成物の量を、極めて低減することができる新規の多層フィルムを提供することを目的とする。
本発明者らは鋭意研究の結果、酸素バリア層、テトラヒドロフタル酸若しくはその誘導体又はテトラヒドロ無水フタル酸若しくはその誘導体を原料とする酸素吸収性樹脂を含む酸素吸収層、および熱可塑性樹脂層を含む積層構造の多層フィルムにおいて、内側のヒートシールとして機能する熱可塑性樹脂層及び/又は酸素吸収層にゼオライトを分散させることによって、高い酸素吸収性能を保ちつつ、酸化分解生成物の量を著しく低減できることを発見し、本発明を完成させた。
すなわち本発明は、酸素バリア層、酸素吸収層、および熱可塑性樹脂層を含む積層構造の多層フィルムであって、酸素吸収層及び/又は熱可塑性樹脂層にゼオライトが分散しており、ゼオライトの交換カチオンはアルカリ金属及びアルカリ土類金属からなる群より選ばれ、酸素吸収層が、テトラヒドロフタル酸若しくはその誘導体又はテトラヒドロ無水フタル酸若しくはその誘導体を原料とする酸素吸収性樹脂を含む、多層フィルムに関する。
また、本発明において、前記ゼオライトのシリカ/アルミナ比は20以上であることが好ましい。また、本発明において、前記ゼオライトがZSM−5型ゼオライトであることが好ましい。また、本発明において、前記熱可塑性樹脂層が低密度ポリエチレンを含むことが好ましい。また、本発明において、前記酸素吸収層が、テトラヒドロフタル酸若しくはその誘導体又はテトラヒドロ無水フタル酸若しくはその誘導体に由来する構造単位を含む酸素吸収性ポリエステル樹脂を含むことが好ましい。また、本発明において、前記酸素吸収層が、酸素吸収性ポリエステル樹脂とイソシアネート系硬化剤とを含む酸素吸収性接着剤層であることが好ましい。
本発明は、従来のプラスチック多層構造体を包装材として使用した場合に内部で発生し、内容物の性能などに影響し得る酸化分解生成物の量を、極めて低減することができる新規の多層フィルムを提供できる。
本発明に係る多層フィルムは、酸素バリア層、テトラヒドロフタル酸若しくはその誘導体又はテトラヒドロ無水フタル酸若しくはその誘導体を原料とする酸素吸収性樹脂を含む酸素吸収層、および熱可塑性樹脂層を含む積層構造を有し、かつ、酸素吸収層及び/又は熱可塑性樹脂層にゼオライトが分散している構造を有する。本発明において、ゼオライトは酸素吸収層及び熱可塑性樹脂層の双方に分散していることが一番好ましいが、少なくとも熱可塑性樹脂層にゼオライトが分散している構造であることが好ましい。
また、本発明に係る多層フィルムは、酸素バリア層、酸素吸収層及び熱可塑性樹脂層以外の層を含む積層体であってもよい。
本発明に係る多層フィルムは、ゼオライトが該多層フィルムから出てくる酸化分解生成物を捕捉することによって、当該酸化分解生成物の量を極めて少なくすることができ、長期保管や水分を含む内容物などの品質を変化させることなく保管できるとの利点がある。
ここで、本明細書において「酸化分解生成物」の量は、GC/MS(ガスクロマトグラフィー質量分析法)での含酸素有機化合物、例えばケトン、アルデヒド、酸、アルコール等のTIC(トータルイオンクロマトグラム)総面積値で評価することができる。
以下、本発明における各層及び構成要素について詳しく説明する。
<酸素バリア層>
酸素バリア層としては、酸素や水蒸気の透過を防ぐ役割を有する材料からなるものであれば特に限定されないが、例えば、アルミニウム箔及び二軸延伸ポリエステルフィルム(例えば二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム)のいずれか、又はこれらのラミネートフィルムでありうる。
その他、酸素バリア層としては、シリカ、アルミナ等の金属酸化物或いは金属の蒸着薄膜や、ポリビニルアルコール系樹脂、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリアクリル酸系樹脂或いは塩化ビニリデン系樹脂等のガスバリア性有機材料を主剤とするバリアコーティング層を有する二軸延伸ポリエステルフィルム、二軸延伸ナイロンフィルム或いは二軸延伸ポリプロピレンフィルム等を好適に使用できる。
また、酸素バリア層としては、有機素材と無機素材からなるハイブリッドバリア剤をコーティングした二軸延伸ポリエステルフィルム、二軸延伸ナイロンフィルムも好適に使用できる。また、エチレン−ビニルアルコール共重合体フィルム、ポリメタキシリレンアジパミドフィルム、ポリ塩化ビニリデン系フィルムやアルミニウム箔等の金属箔であってもよい。また、酸素バリア層として、同種の層や2種以上の異種層の積層体を使用することもできる。
酸素バリア性樹脂の他の例としては、ポリメタキシリデンアジパミド(MXD6)等のポリアミド樹脂、ポリグリコール酸等のポリエステル樹脂等を用いることができる。
酸素バリア層の厚みは3〜50μmとするのが好ましく、12〜25μmとするのがより好ましい。
<酸素吸収層>
酸素吸収層は、テトラヒドロフタル酸若しくはその誘導体又はテトラヒドロ無水フタル酸若しくはその誘導体を原料とする酸素吸収性樹脂を含み、テトラヒドロフタル酸若しくはその誘導体又はテトラヒドロ無水フタル酸若しくはその誘導体に由来する構造単位を含む酸素吸収性ポリエステル樹脂(A)を含むことが好ましい。
テトラヒドロフタル酸若しくはその誘導体又はテトラヒドロ無水フタル酸若しくはその誘導体として特に好ましくは、4−メチル−Δ3−テトラヒドロフタル酸若しくは4−メチル−Δ3−テトラヒドロ無水フタル酸、cis−3−メチル−Δ4−テトラヒドロフタル酸若しくはcis−3−メチル−Δ4−テトラヒドロ無水フタル酸である。これらのテトラヒドロフタル酸若しくはその誘導体又はテトラヒドロ無水フタル酸若しくはその誘導体は、酸素との反応性が非常に高いため、本発明の酸素吸収性接着剤用樹脂の原料として好適に使用できる。また、これらのテトラヒドロフタル酸若しくはその誘導体又はテトラヒドロ無水フタル酸若しくはその誘導体は、イソプレンおよびトランス−ピペリレンを主成分とするナフサのC5留分を無水マレイン酸と反応させた4−メチル−Δ4−テトラヒドロ無水フタル酸を含む異性体混合物を、構造異性化することにより得ることが出来、工業的に製造されている。
テトラヒドロフタル酸若しくはその誘導体又はテトラヒドロ無水フタル酸若しくはその誘導体を原料として酸素吸収性ポリエステル樹脂(A)を重合する際、ジカルボン酸およびジカルボン酸無水物はメチルエステル等にエステル化されていてもよい。
酸素吸収性ポリエステル樹脂(A)は、テトラヒドロフタル酸若しくはその誘導体又はテトラヒドロ無水フタル酸若しくはその誘導体とジオール成分との反応により製造することができる。ジオール成分としては、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、2−フェニルプロパンジオール、2−(4―ヒドロキシフェニル)エチルアルコール、α,α―ジヒドロキシ−1,3−ジイソプロピルベンゼン、o−キシレングリコール、m−キシレングリコール、p−キシレングリコール、α,α―ジヒドロキシ−1,4−ジイソプロピルベンゼン、ヒドロキノン、4,4−ジヒドロキシジフェニル、ナフタレンジオール、又はこれらの誘導体等が挙げられる。好ましくは、脂肪族ジオール、例えばジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,4−ブタンジオールであり、さらに好ましくは、1,4−ブタンジオールである。1,4−ブタンジオールを用いた場合は、樹脂の酸素吸収性能が高く、更に酸化の過程で生じる分解物の量も少ない。
これらは、単独、又は、2種類以上を組み合わせて使用できる。
酸素吸収性ポリエステル樹脂(A)には、テトラヒドロフタル酸若しくはその誘導体又はテトラヒドロ無水フタル酸若しくはその誘導体の他に、芳香族ジカルボン酸や脂肪族ジカルボン酸、脂肪族ヒドロキシカルボン酸など、他の酸成分及びその誘導体を原料として含んでもよい。
芳香族ジカルボン酸及びその誘導体としては、フタル酸、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸などのベンゼンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸などのナフタレンジカルボン酸、アントラセンジカルボン酸、スルホイソフタル酸、スルホイソフタル酸ナトリウム、又はこれらの誘導体等が挙げられる。これらの中でもフタル酸、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸が好ましい。
脂肪族ジカルボン酸及びその誘導体としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、3,3−ジメチルペンタン二酸、又はこれらの誘導体等が挙げられる。これらの中でも、アジピン酸、コハク酸が好ましく、特にコハク酸が好ましい。また、脂環構造を有するヘキサヒドロフタル酸やダイマー酸およびその誘導体も挙げられる。
脂肪族ヒドロキシカルボン酸及びその誘導体としては、グリコール酸、乳酸、ヒドロキシピバリン酸、ヒドロキシカプロン酸、ヒドロキシヘキサン酸、又はこれらの誘導体が挙げられる。
これらの酸成分は、例えばテレフタル酸ジメチルやビス−2−ヒドロキシジエチルテレフタレートのようにエステル化されていてもよい。また、無水フタル酸や無水コハク酸のように酸無水物であってもよい。これらは、単独、又は、2種類以上を組み合わせて使用できる。前記他の酸成分を共重合させることによって、得られるポリエステルのガラス転移温度を容易に制御することができ、酸素吸収性能を向上させることが出来る。さらにはポリエステル樹脂の結晶性を制御することにより有機溶剤への溶解性を向上させることも出来る。
また、テトラヒドロフタル酸若しくはその誘導体又はテトラヒドロ無水フタル酸若しくはその誘導体は重合中の熱によりラジカル架橋反応を起こしやすいため、前記他の酸成分によってポリエステル中に含まれるテトラヒドロフタル酸若しくはその誘導体又はテトラヒドロ無水フタル酸若しくはその誘導体の組成比が減少すると、重合中のゲル化が抑制され高分子量の樹脂を安定的に得ることが出来る。
酸素吸収性ポリエステル樹脂(A)は、さらに多価アルコール、多価カルボン酸、又はそれらの誘導体等に由来する構造単位を含んでもよい。多価アルコール及び多価カルボン酸を導入し分岐構造を制御することにより、溶融粘度特性や溶媒に溶解したポリエステルの溶液粘度特性を調整できる。
多価アルコール及びその誘導体としては、1,2,3−プロパントリオール、ソルビトール、1,3,5−ペンタントリオール、1,5,8−ヘプタントリオール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、3,5−ジヒドロキシベンジルアルコール、グリセリン又はこれらの誘導体が挙げられる。
多価カルボン酸及びその誘導体としては、1,2,3−プロパントリカルボン酸、メソ−ブタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸、クエン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、又はこれらの誘導体が挙げられる。
また、多価アルコールや多価カルボン酸等の3官能以上の官能基を有する成分を共重合させる場合は全酸成分に対し5モル%以内にすることが好ましい。
テトラヒドロフタル酸誘導体又はテトラヒドロ無水フタル酸誘導体と、1,4−ブタンジオールと、コハク酸又は無水コハク酸とを共重合することにより得ることができるポリエステルは、酸素吸収性ポリエステル樹脂(A)として好ましい。
この場合、酸素吸収性ポリエステル樹脂(A)中に含まれるテトラヒドロフタル酸若しくはその誘導体又はテトラヒドロ無水フタル酸若しくはその誘導体に由来する構造単位は、全酸成分に対する割合の70〜95モル%であり、好ましくは75〜95モル%、より好ましくは80〜95モル%である。また、コハク酸又は無水コハク酸に由来する構造単位は、全酸成分に対する割合の0〜15モル%であり、好ましくは0〜12.5モル%、より好ましくは0〜10モル%である。このような組成比にすることにより、酸素吸収性能および接着性に優れ、かつ有機溶剤への溶解性に優れた酸素吸収性接着剤用樹脂を得ることが出来る。
さらに、本発明の酸素吸収層は、飽和ポリエステル樹脂(B)を含むことがより好ましい。飽和ポリエステル樹脂(B)は、実質的に炭素−炭素二重結合基を含まないポリエステル樹脂であって、例えば、ジカルボン酸成分とジオール成分、ヒドロキシカルボン酸成分の重縮合によって得ることができる。本発明の飽和ポリエステル樹脂(B)は、ヨウ素価が3g/100g以下のポリエステル、特に1g/100g以下のポリエステルである。なお、ヨウ素価の測定方法はJIS K 0070に準ずる。飽和ポリエステル樹脂(B)のヨウ素価が3g/100gを超える場合には、酸素吸収性接着剤樹脂組成物の酸素吸収反応に伴い低分子量の分解成分が生じ易くなるため好ましくない。
ジカルボン酸成分としては、上述の酸素吸収性ポリエステル樹脂(A)の成分として記載した脂肪族ジカルボン酸や芳香族ジカルボン酸、ヘキサヒドロフタル酸、ダイマー酸、又はこれらの誘導体等が挙げられる。これらは、単独、又は、2種類以上を組み合わせて使用できる。
ジオール成分としては、上述の酸素吸収性ポリエステル樹脂(A)の成分として記載したジオールが挙げられる。これらは、単独、又は、2種類以上を組み合わせて使用できる。
ヒドロキシカルボン酸成分としては、酸素吸収性ポリエステル樹脂(A)の成分として記載した脂肪族ヒドロキシカルボン酸等が挙げられる。
飽和ポリエステル樹脂(B)の末端官能基が水酸基である場合には、イソシアネート系硬化剤等の硬化剤により酸素吸収性ポリエステル樹脂(A)とともに硬化が進行し、接着剤の凝集力が高くなるため好ましい。また、n−ブタノールや2−エチルヘキサノール等のモノアルコール、脂肪酸等により飽和ポリエステル樹脂(B)をアルキル基末端変性することも好ましい。
本発明で使用する酸素吸収性ポリエステル樹脂(A)及び飽和ポリエステル樹脂(B)は当業者に公知の任意のポリエステルの重縮合方法により得ることが出来る。例えば、界面重縮合、溶液重縮合、溶融重縮合及び固相重縮合である。
本発明で使用する酸素吸収性ポリエステル樹脂(A)及び飽和ポリエステル樹脂(B)を合成する場合に、重合触媒は必ずしも必要としないが、例えばチタン系、ゲルマニウム系、アンチモン系、スズ系、アルミニウム系等の通常のポリエステル重合触媒が使用可能である。また、含窒素塩基性化合物、ホウ酸及びホウ酸エステル、有機スルホン酸系化合物等の公知の重合触媒を使用することもできる。
さらに、重合の際には、リン化合物等の着色防止剤や酸化防止剤等の各種添加剤を添加することもできる。酸化防止剤を添加することにより、重合中やその後の加工中の酸素吸収を抑制できるため、酸素吸収性樹脂の性能低下やゲル化を抑えることができる。
本発明で使用する酸素吸収性ポリエステル樹脂(A)の数平均分子量は、好ましくは500〜100000であり、より好ましくは2000〜10000である。また、好ましい重量平均分子量は5000〜200000、より好ましくは10000〜100000であり、さらに好ましくは20000〜70000である。分子量が上記の範囲より低い場合は樹脂の凝集力すなわち耐クリープ性が低下し、高い場合は有機溶剤への溶解性の低下や溶液粘度の上昇による塗工性の低下が生じるため好ましくない。
飽和ポリエステル樹脂(B)の数平均分子量は、好ましくは500〜100000であり、より好ましくは500〜10000である。また、好ましい重量平均分子量は1000〜100000、より好ましくは1000〜70000であり、さらに好ましくは1000〜50000である。分子量が上記の範囲より低い場合は凝集力が著しく低下し、高い場合は酸素吸収性ポリエステル樹脂(A)との相溶性低下や溶液粘度上昇による塗工性の低下が生じるため好ましくない。酸素吸収性ポリエステル樹脂(A)及び飽和ポリエステル樹脂(B)がそれぞれ上記範囲内の分子量の場合には、凝集力、接着性及び有機溶剤への溶解性に優れ、接着剤溶液として好適な粘度特性を有する酸素吸収性接着剤樹脂組成物を得ることが出来る。
本発明の多層フィルムの酸素吸収性接着剤層中の、酸素吸収性ポリエステル樹脂(A)と飽和ポリエステル樹脂(B)の比率A/Bは、好ましくは0.6〜9であり、より好ましくは1〜9であり、さらに好ましくは2〜9である。比率A/Bをこのような範囲とすることにより、優れた酸素吸収性能を発現しつつ、酸素吸収前後にわたって強いラミネート強度を維持することができる。
また、本発明の多層フィルムの酸素吸収性接着剤層には、酸素吸収反応を促進させるために遷移金属触媒を添加してもよい。遷移金属触媒としては、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅の遷移金属と有機酸からなる遷移金属塩が挙げられる。本発明の多層フィルムの酸素吸収性接着剤層中の遷移金属触媒の量は金属換算量で、好ましくは1ppm〜1000ppmであり、より好ましくは10ppm〜500ppmであり、さらに好ましくは50ppm〜200ppmである。
≪酸素吸収性接着剤層≫
本発明の多層フィルムにおいて、酸素吸収層は、酸素吸収性ポリエステル樹脂(A)とイソシアネート系硬化剤とを含む酸素吸収性接着剤層であることが好ましい。酸素吸収性接着剤層は、好ましくは酸素吸収性ポリエステル樹脂(A)と任意の成分である飽和ポリエステル樹脂(B)からなる主剤に脂肪族及び/又は脂環族イソシアネート系硬化剤などのイソシアネート系硬化剤を配合し、硬化して使用する酸素吸収性接着剤樹脂組成物を含む。イソシアネート系硬化剤を配合した場合、接着強度及び凝集力が高くなり、また、室温付近の低温でキュアが可能となる。脂肪族イソシアネート系硬化剤としては、例えば、キシリレンジイソシアネート(XDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、リジンジイソシアネート、リジンメチルエステルジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、n−ペンタン−1,4−ジイソシアネート等が挙げられる。脂環族イソシアネート系硬化剤としては、例えば、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、メチルシクロヘキシルジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート等が挙げられる。これらの中でも、脂肪族イソシアネート系硬化剤としては、XDI及びHDIが好ましく、脂環族イソシアネート系硬化剤としては、IPDIが好ましい。特に好ましくはXDIである。XDIを使用することにより、本発明の多層フィルムの酸素吸収性接着剤層は最も優れた酸素吸収性能を発揮する。また、IPDIとXDI、IPDIとHDI等を組み合わせて使用することも好ましい。芳香族イソシアネート系硬化剤を使用することも出来るが、芳香族イソシアネート系硬化剤は樹脂の接着性及び凝集力を向上させるものの、酸素吸収性能を著しく低下させることがあるため好ましくない。この理由として、芳香族イソシアネート系硬化剤が、主剤であるポリエステル末端の水酸基と反応して形成された芳香族ウレタン部位が、酸化防止剤である芳香族アミンと同様の働きで、ラジカルを失活/安定化させるためであることが考えられる。
これらのイソシアネート系硬化剤は、アダクトやイソシアヌレート、ビュレット体等、分子量を増大させたポリイソシアネート化合物として使用されることが好ましい。
また、これらのイソシアネート系硬化剤は単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
イソシアネート系硬化剤成分は、主剤である酸素吸収性接着剤樹脂組成物に対して、固形分重量部で3phr〜30phr添加することが好ましく、より好ましくは3phr〜20phr、さらに好ましくは3phr〜15phrである。添加量が少なすぎると、接着性及び凝集力が不十分となり、多すぎると、樹脂組成物単位重量中に含まれる酸素吸収成分の配合量が少なくなり、酸素吸収性能が不十分となる。また、硬化により樹脂の運動性が著しく低下した場合、酸素吸収反応が進行しにくくなり、酸素吸収性能は低下する。
本発明の多層フィルムの酸素吸収性接着剤層には、本発明の目的を損なわない範囲で必要に応じてシランカップリング剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、加水分解防止剤、防カビ剤、硬化触媒、増粘剤、可塑剤、顔料、充填剤、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂等の各種添加剤を添加することができる。
本発明の多層フィルムの酸素吸収性接着剤層を構成する酸素吸収性接着剤樹脂組成物は、通常のドライラミネート用接着剤と同様に複数のフィルムを積層する目的で使用することができる。この場合、外層側から酸素バリア層/酸素吸収性接着剤層/熱可塑性樹脂層の積層構成となり、外部から透過進入する酸素を酸素バリア層により遮断することにより、容器外酸素による酸素吸収性能の低下を抑えると共に、酸素吸収性接着剤層が熱可塑性樹脂層を介して容器内部の酸素を速やかに吸収できるため好ましい。
酸素吸収層の厚みは特に限定されないが、好ましくは1〜50μmであり、より好ましくは2〜10μmであり、接着剤用途の理由から2〜6μmとするのが特に好ましい。
<熱可塑性樹脂層>
本発明で用いる熱可塑性樹脂層を形成するために用いる熱可塑性樹脂としては、ポリオレフィン系樹脂やポリエステル樹脂などがあげられる。このうちポリオレフィン系樹脂としては、低密度ポリエチレン(LDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、線状超低密度ポリエチレン(LVLDPE)、ポリプロピレン(PP)、エチレン−プロピレン共重合体、ポリブテン−1、エチレン−ブテン−1共重合体、プロピレン−ブテン−1共重合体、エチレン−プロピレン−ブテン−1共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、イオン架橋オレフィン共重合体(アイオノマー)又はこれらのブレンド物等が好ましく、特に包装用フィルムのヒートシール層に用いる場合には、ヒートシール性に優れるLDPEやLLDPEが特に好ましい。
熱可塑性ポリエステル樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、若しくはこれらの共重合ポリエステル、又はこれらのブレンド物等が好ましい。また、イソフタル酸変性したポリエステル樹脂では結晶性が低くなりヒートシール可能となることから好ましい。
熱可塑性樹脂層の厚みは10〜100μmとするのが好ましく、より好ましくは12〜80μmであり、15〜50μmとするのが特に好ましい。
<ゼオライト>
本発明で用いるゼオライトの交換カチオンとしては、アルカリ金属及びアルカリ土類金属からなる群から選ばれ、ナトリウム、リチウム、カリウムなどのアルカリ金属、カルシウム、マグネシウムなどのアルカリ土類金属の一種又は2種以上の混合物であるのがよく、特にナトリウムであるのが好ましい。交換カチオンの実質的に100%が上記カチオンとなっているのが特に好ましいが、本発明の効果を損ねない範囲で水素カチオンを有するゼオライトを併用しても良い。このようなゼオライトとしては、シリカ/アルミナ比(モル比)が、20以上のものが好ましく、より好ましくは30以上、最も好ましくは80以上であるハイシリカ型ゼオライトである。上記ハイシリカゼオライトは、実施例において述べるように、本発明の酸化分解生成物の捕捉に対して極めて有効であり、更にシリカ/アルミナ比が低いゼオライトが吸着性を低下させてしまうような高湿度条件において逆に酸化分解生成物の捕捉性能が向上するという性質を有しており、水分を含む内容品を包装する包装体に使用した場合、特に有効である。
このようなハイシリカ型ゼオライトとしては、ZSM−5型ゼオライト、ZSM−11型ゼオライト、ZSM−12型ゼオライトやY型ゼオライトなどを用いることができ、ZSM−5型ゼオライトが特に好ましい。本発明で用いるゼオライトとしては、平均粒径が0.1〜100μmであるのが好ましく、0.1〜10μmであることがより好ましい。
熱可塑性樹脂層及び酸素吸収層へのゼオライトの添加量は、酸化分解生成物を効率良く補足しつつ視認性を確保する理由から1,000〜50,000ppmとするのが好ましく、2,000〜30,000ppmとするのがより好ましく、3,000〜20,000ppmとするのが特に好ましい。
<その他の構成要件>
さらに、本発明の多層フィルムは、上述したように、酸素バリア層、酸素吸収層、および熱可塑性樹脂層をそれぞれ独立して複数含む積層体であってもよく、本発明の積層体を構成する各樹脂層間に必要により接着剤樹脂を介在させることもできる。
このような接着剤樹脂としては、例えば、エチレン−アクリル酸共重合体、イオン架橋オレフィン共重合体、無水マレイン酸グラフトポリエチレン、無水マレイン酸グラフトポリプロピレン、アクリル酸グラフトポリオレフイン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、共重合ポリエステル、共重合ポリアミド等があり、これらを二種以上の組み合わせたものでもよい。
これらの接着剤樹脂は、同時押出又はサンドイッチラミネーション等による積層に有用である。また、予め形成されたガスバリア性樹脂フィルムと耐湿性樹脂フィルムとの接着積層には、イソシアネート系又はエポキシ系等の熱硬化型接着剤樹脂も使用される。
本発明の多層フィルムを構成する各層には、各種添加剤、例えば、充填剤、着色剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、酸化防止剤、老化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、金属セッケンやワックス等の滑剤、改質用樹脂又はゴム等の添加剤などを必要に応じて、それ自体公知の処方に従って添加することができる。
<多層フィルムの製造方法>
包装材の製造には、それ自体公知の押出成形法を用いることができる。例えば、樹脂の種類に応じた数の押出機を用いて、多層多重ダイを用いて押出成形を行うことで多層フィルムが成形できる。さらに、押出コート法や、サンドイッチラミネーションを用いることができ、また、予め形成されたフィルムのドライラミネーション法によって多層フィルムを製造することもできる。
多層フィルムは、三方又は四方シールの通常のパウチ類、ガセット付パウチ類、スタンディングパウチ類、ピローパウチ類などに製袋することにより包装袋とすることができる。製袋は公知の製袋法で行うことができる。
その他、シート、ボトル、カップ、キャップ、チューブ形成用パリソン又はパイプ、ボトル又はチューブ成形用プリフォーム等の多層フィルムを成形してもよい。さらに、フィルム又はシートを、真空成形、圧空成形、張出成形、プラグアシスト成形等の手段に付することにより、カップ状、トレイ状等の包装容器が得てもよい。
<多層フィルムにて包装される内容物>
本発明の多層フィルムは、酸素を有効に遮断するので、包装材又は包装容器に好ましく使用できる。この多層フィルムは長期間酸素を吸収でき、かつ、酸化分解生成物(ケトン、アルデヒド、酸、アルコール等)の量を極めて少なくすることができるため、酸素の影響を受けやすい食品や医薬品、化粧品の他にも、工業製品等を包装するのに適している。本発明の多層フィルムで部品等を包装する場合においては、内部に入れるのが必須であった乾燥剤や脱酸素剤が不要になるという利点もある。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明は、これら実施例により何ら限定されるものでなく、本発明の範囲を逸脱しない範囲で適宜変更させてもよい。
各値は以下の方法により得られたものである。
(1)数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)の測定
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC、東ソー社製;HLC−8120型GPC)により、ポリスチレン換算で測定した。溶媒にはクロロホルムを使用した。
(2)酸化分解物量の分析
GC/MS(SHIMADZU社製、GC−2010)を用いて、保持時間5.0分〜20.0分の間に検出された含酸素化合物のTIC(トータルイオンクロマトグラム)総面積値を用いて、減少率で比較評価した。
分析条件:カラム:DB-624(60m×0.25mm×1.4μm),カラム温度:初期40℃で10分保持し10℃/分で昇温。到達温度250℃に達したら5分保持、カラム流量:1.88ml/分、キャリアガス:ヘリウム、イオン化法:EI,イオン源温度:200℃、検出:MSスキャン(m/z 26.0−550)
実施例1
[酸素吸収性接着剤の調製]
攪拌装置、窒素導入管、Dean−Stark型水分離器を備えた3Lのセパラブルフラスコに、酸成分としてメチルテトラヒドロ無水フタル酸異性体混合物(日立化成;HN−2200)をモル比0.9、その他酸成分として無水コハク酸をモル比0.1、ジオール成分として1,4−ブタンジオールをモル比1.3、重合触媒としてイソプロピルチタナートを300ppm仕込み、窒素雰囲気中150℃〜200℃で生成する水を除きながら約6時間反応させた。引き続いて0.1kPaの減圧下、200〜220℃で約3時間重合を行い、酸素吸収性ポリエステル樹脂(A)を得た。酸素吸収性ポリエステル樹脂(A)のMnは5200であり、Mwは54600であった。
得られた酸素吸収性ポリエステル樹脂(A)に、飽和ポリエステル樹脂(B)(ポリサイザーW4010 DIC社製)を固形分重量比A/Bが4.0となるように混合し、その混合物の固形分に対してイソシアネート系硬化剤として、固形分換算で7phr(parts per hundred resin)となるようにHDI/IPDI系硬化剤(KL−75 DICグラフィックス社製)を混合し、さらに触媒として、ネオデカン酸コバルトを全固形分に対する金属換算量で80ppmになるように添加し、酢酸エチルに溶解して酸素吸収性接着剤の酢酸エチル溶液を調製した。
[多層フィルムの作製]
酸素バリア層として、厚み12μmの透明蒸着二軸延伸ポリエステルフィルム(GX−P−F、凸版印刷社製)、熱可塑性樹脂層として厚み40μmの低密度ポリエチレンフィルム(密度0.920g/cm3)にゼオライトを5000ppm分散させたものを用いた。上述の酸素吸収性接着剤の酢酸エチル溶液を用いて、接着剤の塗布量が5g/m2になるようにドライラミネートし、さらに、35℃窒素雰囲気下で5日間保管して3種類の多層フィルムを得た。
本実施例では、表1で示すゼオライトを用いた。
Figure 2018118395
上述の酸素吸収性多層フィルムを用いて内面積が218cm2のパウチを作製し、ヘッドスペース量が40ccになるように空気を封入し密封した。作製したパウチを22℃環境下で14日保存した後、パウチ内のガス成分に含まれる酸化分解物量をGC/MSで分析した。含酸素化合物のTIC総面積値減少率を表2に示す。なお、実施例1のTIC総面積値減少率は、熱可塑性樹脂層にゼオライトを分散させなかったこと以外は全て実施例1と同様に行った態様(比較例)におけるTIC総面積値を基準として算出した。
実施例2
熱可塑性樹脂層として厚み40μmの低密度ポリエチレンフィルム(密度0.920g/cm3)にゼオライトを10000ppm分散させたものを用いた以外は全て実施例1と同様に行った。含酸素化合物のTIC総面積値減少率を表2に示す。なお、実施例2のTIC総面積値減少率も実施例1の場合と同様に算出した。
Figure 2018118395
表2に示すように、熱可塑性樹脂層にゼオライトを添加した場合には、酸素吸収に伴い発生した含酸素化合物を減少させることができた。
今回開示された実施形態及び実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。

Claims (6)

  1. 酸素バリア層、酸素吸収層、および熱可塑性樹脂層を含む積層構造の多層フィルムであって、
    酸素吸収層及び/又は熱可塑性樹脂層にゼオライトが分散しており、ゼオライトの交換カチオンはアルカリ金属及びアルカリ土類金属からなる群より選ばれ、
    酸素吸収層が、テトラヒドロフタル酸若しくはその誘導体又はテトラヒドロ無水フタル酸若しくはその誘導体を原料とする酸素吸収性樹脂を含む、多層フィルム。
  2. 前記ゼオライトのシリカ/アルミナ比が20以上である、請求項1に記載の多層フィルム。
  3. 前記ゼオライトがZSM−5型ゼオライトである、請求項1又は2に記載の多層フィルム。
  4. 前記熱可塑性樹脂層が低密度ポリエチレンを含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の多層フィルム。
  5. 前記酸素吸収層が、テトラヒドロフタル酸若しくはその誘導体又はテトラヒドロ無水フタル酸若しくはその誘導体に由来する構造単位を含む酸素吸収性ポリエステル樹脂を含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の多層フィルム。
  6. 前記酸素吸収層が、酸素吸収性ポリエステル樹脂とイソシアネート系硬化剤とを含む酸素吸収性接着剤層である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の多層フィルム。
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