以下、本発明の炊飯器に係る一実施例について、添付図面を参照して説明する。
先ず、図1に基づき全体の構成を説明すると、1は米や水などの被炊飯物を収容する有底筒状の内釜である。この内釜1は、熱伝導性のよいアルミニウムを主材とし、フェライト系ステンレスなどの磁性金属板からなる発熱体2が外面の側面下部から底部にかけて接合してある。内釜1の側面中央から上部に発熱体2を設けないのは、内釜1の軽量化を図るためである。
炊飯器の外郭をなす本体3は、その上部と上側面部を構成する上枠4と、側底面部を構成する外枠5とを主な構成要素とする。その際、上枠4や外枠5は、PPやABSポリカなどの合成樹脂で形成されている。
上枠4の上面には、ステンレスなどの金属板で形成されたクリーンフレーム6が設けられている。一方、本体3の中央部には、凹状の内釜収容部7が上枠4と一体化で形成されており、内釜収容部7の外周囲には後述する加熱コイル18を除いて、加熱手段を設けない構成としている。内釜収容部7の底部は、PETなどの合成樹脂で形成した内枠8で形成してある。
内釜収容部7の上端にはコードヒータ9を備えてあり、コードヒータ9は熱伝導がよいアルミ板などの金属板部10で覆われている。本実施例では、放熱部となる金属板部10が、後述する蓋体16と本体3との隙間11に対向する位置と、内釜1の側面1Aに対向する位置に備えてあり、これらのコードヒータ9と金属板部10により、発熱手段としてのフランジヒータ12を構成している。
フランジヒータ12には、内釜1の略中央部から外周方向全周に延出させた内釜リング部13の下面13Aが載置し、内釜1が吊られた状態で内釜収容部7に収容される。従って、この状態では内釜1と内釜収容部7の上端における隙間がほとんど無い構成になる。但し、フランジヒータ12の金属板部10の幅を平面視で部分的に狭くし、内釜リング部13の下面13Aとの接触面積を減らすことで、内釜リング部13に部分的な持ち手部14を形成して、内釜リング部13の下面13Aの指での支持を可能にしている。さらに、内釜リング部13の下部に位置する内釜収容部7の段部7Aは、発熱部となるコードヒータ9を覆うように、外形がコードヒータ9と同等以上の大きさに形成される。
フランジヒータ12は、炊飯時と保温時に内釜リング部13および内釜1の側面1Aを加熱すると共に、蓋体16と本体3との隙間11空間及び内釜1と内釜収容部7との隙間15空間に金属板部10から熱放射して、内釜1の冷えを抑制し、加熱により発生する水分が、内釜1の上部内面1Bへ結露するのを防止する構成となっている。
内枠8外面の、発熱体2に対向する内枠8の側面下部と底部には、内釜1を電誘導加熱する加熱手段として、加熱コイル18が配置される。また、内釜1の底部外面にはサーミスタ式の内釜温度センサー19が当接し、これが内釜1の底部温度を検知して、加熱コイル18による内釜1の底部の加熱温度を主に温度管理するようになっている。
そして炊飯時と保温時には、内釜1を加熱手段で加熱するが、保温時は、内釜1の外底面に接触させた内釜温度センサー19の検出温度に応じて、加熱手段となる加熱コイル18を加熱調節し、内釜1を一定温度に保持する。また炊飯後、内釜1内のご飯の温度が保温温度に低下するまで(約100℃→約73℃)、及び保温安定時(約73℃)に、発熱手段となるコードヒータ9を発熱させ、蓋体16と本体3との隙間11空間に金属板部10から熱放射して、隙間11からの外気の侵入による冷えを抑制すると共に、内釜1を加熱する。さらに保温時に、内釜1内のご飯を再加熱するあつあつ再加熱を実行している期間にも内釜1を加熱し、加熱により発生する水分が、内釜1の上部内面1Bへ結露するのを防止する構成になっている。
16は、本体3の上部に回動可能に設けられ、本体3と共に炊飯器の外郭をなす蓋体である。内釜1の上方開口部を覆う蓋体16には、蓋体16の特に後述する内蓋41の温度を検知するサーミスタ式の蓋温度センサー20と、コードヒータなどの蓋加熱手段21が備えてあり、主に蓋加熱手段21による内蓋41の温度管理を行なうようになっている。また、内釜リング部13の上方にあって、内釜1の外側面に対向する蓋体16の内側面部には、蓋加熱手段21とは別のコードヒータ22が備えられている。コードヒータ22は、ステンレスやアルミニウムなどの金属板からなる内蓋リング23にアルミ箔テープなどにより固定され、蓋側面加熱手段としての内蓋リングヒータ24を構成している。
17は、炊飯時と保温時に内釜温度センサー19と蓋温度センサー20の温度検知にて、内釜1の底面、下部側面、及び上部側面への加熱と、蓋体16の下面及び側面への加熱を、それぞれ温度制御して行なうための加熱制御手段である。加熱制御手段17は、内釜温度センサー19や蓋温度センサー20からの検知信号を受信し、加熱手段たる加熱コイル18、フランジヒータ12、内蓋リングヒータ24、蓋加熱手段21を加熱調節するものである。
加熱制御手段17には、加熱コイル18を駆動させる素子25が備え付けられている。加熱コイル18を駆動する素子25は、加熱コイル18の発振と共に加熱される。加熱コイル18を駆動する素子25は使用条件温度を持つので、一定温度以下で駆動させる必要がある。その為、素子25はアルミニウムのような熱伝導性のよい材料で構成された放熱器26に取付けられ、冷却手段たる冷却ファン27から発する風により冷却して、使用条件温度内で駆動するようになっている。冷却ファン27は、加熱制御手段17に取付けられた放熱器26の下方、又は側部に配置されている。
製品となる炊飯器の底部又は側部には、冷却ファン27から発して放熱器26により温かくなった風を外部へ排出する孔40が設けられている。加熱制御手段17は、製品内に収納されるが、内釜1に対してどの位置に配置してもよく、また孔40もどの位置に配置してもよい。しかし、近年製品の小型化設計が求められている背景もあり、加熱制御手段17や冷却ファン27と、風を排出する孔40とは、内釜1を挟んで略反対位置に配置される。
蓋体16の上面部前方には、表示操作ユニット28が設けられる。表示操作ユニット28は、時間や選択した炊飯コ−スを表示するLCD29や、現在の工程を表示するLED30(図4及び図5を参照)の他に、炊飯を開始させたり、炊飯コ−スを選択させたりするスイッチ31(図4及び図5を参照)を、蓋体16の内部に装備した基板32の上部に配置して構成される。
表示操作ユニット28の上方には、ボタン名を表示したりする為に操作パネル33が配置されている。この操作パネル33は、電子部品であるLCD29や、LED30や、スイッチ31や、基板32に、ほこりや水が付着することも防止している。
また操作パネル33にも、基板32上のスイッチ31とは別のスイッチ31による操作手段が設けられており、LCD29の表示に合わせ、直接タッチ操作することが可能となっている。
本実施例では、スイッチ31への操作により炊飯開始を指示すると、内釜1内の米に対する吸水を促進させるために、内釜温度センサー19による内釜1の底部の温度検知に基づいて、加熱コイル18とコードヒータ9で内釜1の底部と側面部をそれぞれ加熱し、約45〜60℃に水温を15〜20分間保持し浸し炊きを行なう。その後、加熱コイル18からの加熱量を増やして内釜1を強加熱し、内釜1内の被炊飯物を沸騰まで加熱する。この沸騰加熱時に、内釜温度センサー19や蓋温度センサー20からの検知温度に基づいて、内釜1の底部温度が90℃以上になり、蓋体16の温度が90℃以上で安定(温度上昇率検知)したら沸騰を検知し、加熱量を低減した沸騰継続加熱にする。この沸騰検知において、内釜温度センサー19と蓋温度センサー20とにより、内釜1の底部および蓋体16がいずれも90℃以上になったことを確認でき、完全に内釜1の内部が沸騰したことを精度よく検知可能になる。
また、内釜1の底部と蓋体16のいずれかが120℃以上の通常ではあり得ない温度になったら異常と判断し、炊飯加熱における加熱量を低減して、全ての動作を停止する切状態にするか、後述するむらしに移行するか、保温を行ない、異常加熱を防止する。また、内釜1の底部と蓋体16のいずれかが90℃以上になって所定時間経過(例えば5分)しているのに、それ以外の内釜1の底部と蓋体16のいずれかが90℃未満の低い温度の場合、内釜温度センサー19と蓋温度センサー20のいずれかが何らかの理由で温度検知精度が悪化している(汚れ、傾き、接触不良など)と判断し、炊飯加熱における加熱量を低減して、全ての動作を停止する切状態にするか、後述するむらしに移行するか、保温を行ない、異常加熱を防止する。
沸騰継続になると、蓋加熱手段21や内蓋リングヒータ24で蓋体16の特に内蓋41への加熱を開始する。蓋体16の加熱は、蓋体16の温度が100〜110℃になるように、蓋温度センサー20の検知温度により管理される。また、内釜1の底部が所定の温度上昇になったら炊き上げを検知し、むらしに以降する。むらし中は蓋体16の温度管理にて、内釜1の上部内面1Bへのつゆ付き防止し、内釜1の底部の温度は、ご飯が焦げない程度に高温を保持(98〜100℃)するように温度管理する。そして、15〜20分のむらしが終了したら、保温に移行する。
保温では、加熱コイル18にて内釜1の底部と側面下部を加熱しながら、蓋加熱手段21にて蓋体16の下面となる内蓋41をご飯の温度よりわずかに高く加熱し、さらに内釜1の側面をフランジヒータ12と内蓋リングヒータ24でご飯が乾燥せず、かつ、つゆが多量に付着しないように温度管理する。内釜1内のご飯は、70〜76℃に温度保持するが、保温時も2つのセンサーが相互に異常に高かったり、低かったりした場合は異常を検知し、異常加熱を防止する。以上の動作を、加熱制御手段17が行うように構成される。
上枠4の後方には、蓋体16と連結するヒンジ部34が設けられる。このヒンジ部34には、ねじりコイルバネ等で形成したヒンジバネ(図示せず)が収納される。蓋体16の前方上面には、蓋開ボタン35が露出状態で配設されており、この蓋開ボタン35を押すと、蓋体16と本体3との係合が解除され、ヒンジ部34を回動中心として蓋体16が自動的に開く構成となっている。
蓋体16は外観部品となる外蓋37と、外蓋37の下方を形成する外蓋カバー38から構成される。外蓋カバー38にはステンレスやアルミニウムをアルマイトした金属製の放熱板39を設け、放熱板39には蓋加熱手段21を設けてある。蓋加熱手段21はコードヒータなどの電熱式ヒーターでも、電磁誘導加熱式でもよい。
放熱板39の外側には、ステンレスやアルミニウムをアルマイトした金属製の内蓋41を設ける。蓋体16の下面を形成する内蓋41の外側には、内釜1と内蓋41の隙間を塞ぐシリコーンゴムやフッ素ゴムなどの弾性部材からなりシール部材となる蓋パッキン42が備えてあり、蓋パッキン42は内釜1の上面1Cに当接している。
内蓋41と蓋パッキン42はパッキンベース43で一体化され、これらの内蓋組立ユニット44が外蓋カバー38の内面に着脱可能に備えられる。
外蓋カバー38の後方には、ヒンジ部34に設けた孔34Aと対向するように、外蓋カバー38にも孔38A(図2を参照)が設けられる。ヒンジ部34に設けられたヒンジシャフト46は、これらの孔34A,38Aを連通することで、本体3と蓋体16とを開閉自在に軸支する。前述のヒンジバネは外蓋カバー38に引掛けられ、蓋体16を常時開方向へ付勢している。
蓋体16の回動中心となるヒンジシャフト46の略反対側には、蓋開ボタン35に連動するクランプ47が配置される。クランプ47はクランプシャフト48で外蓋カバー38に軸支され、クランプシャフト48を中心として回転自在に設けられる。図示しないが、上枠4のヒンジ部34と略反対側には、クランプ47と係合するクランプ受けが設けられる。
クランプ47はステンレス等の金属部品で形成し、本体3の内方に延出する係合部47A(図2を参照)はほぼL字形状とする。そうすることで、クランプ47を合成樹脂で構成する場合と比べ、強度の強いクランプ受けとの係合を得ることができる。また炊飯器の正面から見て、クランプ47の中央から左右のほぼ均等位置に係合部47Aを設ける。蓋体16に設けたクランプ47は、クランプシャフト48を中心軸として回転し、本体3に設けたクランプ受けと係合する。このクランプ47とクランプ受けとの係合により、本体3と蓋体16は閉状態を保持している。クランプ受けはステンレス等の金属部品で形成する。そうすることで、クランプ受けを合成樹脂で構成する場合と比べ、強度の強いクランプ47との係合を得ることができる。反対に、蓋体16を開く場合には、蓋開ボタン35を押動操作してクランプ47を逆方向に回転させ、クランプ47とクランプ受けとの係合を解除する。
内蓋組立ユニット44には、内釜1の内圧力を調整する調圧部51が配設される。調圧部51は、調圧弁54と調圧弁ホルダー55と調圧弁カバー56とにより主に構成される。調圧弁54は、耐食性に優れた材料である程度の重量を有する部品であればよく、例えばオーステナイト系のステンレス球で構成される。
調圧弁54は、調圧弁ホルダー55で保持される。調圧弁ホルダー55には、調圧弁54の下方に位置して、内釜1の内部と蓋体16の外部とを連通する調圧孔57を設けてある。つまり、内釜1内の被炊飯物から発生する蒸気は、この調圧孔57を通過すると外気へ放出されることになる。調圧弁54は調圧孔57を塞ぐように保持されており、調圧孔57の開口面積と調圧弁54の重量により、内釜1内の圧力を調整することができる。
調圧弁ホルダー55で調圧弁54を保持し、それらの上方から調圧弁カバー56を被せる。調圧弁ホルダー55を内蓋41の孔41Aに差込み、内蓋41の下側に突出した調圧弁ホルダー55の取付け部を、調圧弁ホルダー支持部材58で保持することにより、内蓋41に装着された調圧部51を構成する。調圧弁カバー56は、調圧弁54の移動範囲を規制するためのもので、調圧孔57から放出する蒸気を蒸気口67に導く複数の孔56Bが設けられている。また内蓋41は、調圧弁ホルダー55と調圧弁カバー56とで挟持されるので、孔41Aは露出しない。
外蓋カバー38には、ソレノイド59を駆動源として可動するフレーム60と調圧パッキン61がそれぞれ配設される。調圧パッキン61は、外蓋カバー38に設けた取付け孔62の内径に嵌合させるのに、凹字形状を成す取付け部63を設けてある。
フレーム60は常時、調圧弁54を押して調圧孔57を開放する位置にあり、内釜1の内部を非加圧状態としている。この時のフレーム60の位置を、第1のフレーム位置とする。こうすることで、蓋体16の開閉時は、内釜1内の負圧の影響を受けることなくスムーズな動作を得られる。なお、フレーム60の調圧弁54を操作する突出した部分を、調圧弁操作部64とし、フレーム60の調圧弁操作部64の略反対側には、クランプ動作規制部65を設けておく。第1のフレーム位置では、クランプ47の回動を規制しない位置にクランプ動作規制部65が移動する。
炊飯を開始すると、フレーム60は第1のフレーム位置から第2のフレーム位置へ移動する。この時、フレーム60の調圧弁操作部64は調圧弁54から離れて、調圧弁54の押しを解除し、それにより調圧弁54は調圧孔57を閉塞する。また、フレーム60のクランプ動作規制部65はクランプ47の下方に潜り込む。フレーム60は下方に潜り込まなくても、クランプ47の動作を規制する位置や形状であれば構わない。こうすることで、第2のフレーム位置ではクランプ47の回動が規制され、蓋開ボタン35を押動操作しようとしても、クランプ47とクランプ受けとの係合がロックされるので、蓋体16が開かないようになる。
蓋体16の上面後方部には、炊飯時に内釜1内で発生した蒸気を機外へ排出する蒸気口67が設けられる。炊飯時に内釜1内の被炊飯物から発生する蒸気は、調圧孔57が開放した状態で内蓋41の調圧部51から排出され、蓋体16の内部で外蓋カバー38に設けられた蒸気通路68を通って、蒸気口67から機外へ排出する構成となっている。
蒸気口67は蓋体16から着脱可能に構成されており、シリコーンゴム等の弾性部材により形成された蒸気口パッキン69に挿入することで保持される。蒸気口パッキン69は外蓋37と外蓋カバー38により挟持されることで、外蓋37、外蓋カバー38、及び蒸気口67を密着させ、蓋体16内部への蒸気漏れも防止している。
次に、本発明の特徴となる構造について、図2〜図5を併せて参照しながら、より詳細に説明する。
外蓋37に設けられた表示操作ユニット28は、時間や選択した炊飯コ−スなどを表示するLCD29を用いた表示部81と、炊飯を開始させたり、炊飯コ−スを選択させたりするためのスイッチ31からなる操作部82とを備えており、これらの下面には、LCD29やタクトスイッチ84等が具備された表示・操作制御手段85である制御PC(Printed Circuit:印刷回路)板86が配置される。制御PC板86は前述の基板32に相当するもので、パターン形成された制御PC板86に、操作や表示に関わる制御用IC(図示せず)等を実装することで、表示・操作制御手段85が構成される。
表示部81となるLCD29は外蓋37の略中央に配置され、LCD29の表面となる上面には、LCD29に表示される表示要素87を選択することで、炊飯コースや時刻設定などを指先のタッチ操作で行なうタッチセンサー88が配置される。タッチセンサー88は制御PC板86に接続されることで、非押動型操作手段89であるタッチキーとして機能する。
表示部81上の非押動型操作手段89で行なう操作内容は、各種炊飯コースの選択、設定や、時刻及び予約時間の設定などとし、切状態から炊飯を開始するスタートキーや、炊飯や保温を停止して切状態にする切キーは具備せず、表示部81以外の箇所に、タッチでは操作することができないタクトスイッチ84などの押動型操作手段90で、スタートキー91Aや切キー91Bを設置している。
また、炊飯や保温、予約など、炊飯器としての工程を表示するのにLED30を点灯させるキー91として、スタートキー91A以外に、切状態から保温を開始したり、保温時に被炊飯物を再加熱したりする保温キー91Cや、予約時刻に被調理物を炊き上げる予約キー91Dなども、押動型操作手段90としていることで、LED30からの光が透過可能なランプ窓92を、エンボス加工部93に印刷で構造上容易に形成することができる。上下に撓むエンボス加工部93は、タクトスイッチ84に対向して、蓋体16の上面に露出する操作パネル33の適所に配設される。また、ここでのキー91は、点灯したLED30で照明されるスタートキー91Aや、保温キー91Cや、予約キー91Dの他に、LED30で照明されない切キー91Bや、被炊飯物を早く炊くためのそくうまキー91Eにより構成され、前述した非押動型操作手段89のタッチキーと、押動型操作手段90のキー91とにより、操作部82となるスイッチ31が構成される。
押動型操作手段90は、エンボス加工された操作シート96の下方に、合成樹脂により形成された操作ボタン97と、制御PC板86に配置されたタクトスイッチ84で構成され、エンボス加工された操作シート96は、操作パネル33の表面側に設けられて蓋体16の外観面を形成している。したがって、操作シート96の表面側からエンボス加工部93を押すと、エンボス加工部93の反転により軽快な操作感を得ると同時に、操作シート96の表面に触れるだけで、押動型操作手段90として操作されるキー91の存在を知ることができる。
操作部82は蓋体16の上面前側に配置され、意匠やエンボス加工された操作シート96には、キー91に対応して各キーの名称などを印刷すると共に、LCD29が配置される表示部81上には意匠の印刷が無い透明窓部99を形成している。この透明窓部99の下方にタッチセンサー88を配置し、LCD29に表示された炊飯コースなどの表示要素87上でタッチセンサー88に触れることで、タッチキーとしての操作を可能にしている。
操作ボタン97は、LCD29を保持しているLCDホルダー101と、LCD29の外周部までを覆う形状を有して、制御PC板86に固定される。その固定構造は限定されず、爪止めでもネジでも良い。各タクトスイッチ84の上方には、円柱形状の操作ボタン部97Aが、周囲より肉薄に形成されたアーム部97Bにより片持ちで支持されている。これらの操作ボタン部97Aやアーム部97Bは、操作ボタン97を構成するものであり、操作パネル33の上面側からエンボス加工部93を指で押す毎に、アーム部97Bが撓んで操作ボタン部97Aがタクトスイッチ84の可動部を押動し、タクトスイッチ84がオフからオンに切換わる。
制御PC板86は、操作ボタン97を介して操作パネル33と固定され、PPなどの合成樹脂により形成された外蓋下部材102は制御PC板86を支持しながら、外蓋37と爪嵌合やネジ止めにより固定される。そして、外蓋37と外蓋下部材102とにより、蓋体16の内部に制御PC板86を収納するための制御PC板収納部103を構成している。外蓋37と外蓋下部材102との間には、単発泡の弾性部材からなる防湿パッキン104が挟持され、制御PC板収納部103への蒸気侵入を防止している。
なお、上述の表示部81や操作部82を含む表示操作ユニット28は、蓋体16の上面にではなく、本体3の前面に設ける構成としてもよい。何れにせよ、本実施例では操作部82として、タッチ操作ではなく押動操作される押動型操作手段89と、押動操作ではなくタッチ操作される非押動型操作手段90の両方を備えることで、炊飯器としての操作性を向上することができる。また、タッチセンサー88を利用したタッチキーによる非押動型操作手段90は、表示部81となるLCD29の上面にのみ限定して配置し、それ以外の箇所には配置しないようにすることで、非押動型操作手段90の数を必要最小限にしてコストを抑制し、押動型操作手段89との併用であってもコンパクト化を実現できる。さらに、非押動型操作手段90を蓋体16の中央付近にのみ位置する表示部81に合せて配置することで、タッチ操作する部位が表示部81であると自ずと理解でき、誤操作を防止することが可能となる。
以上のように、本実施例の炊飯器は、被炊飯物を入れる有底筒状の内釜1と、内釜1を加熱する加熱手段としてのフランジヒータ12や加熱コイル18とを覆う本体3と、内釜1の上方開口部を覆う蓋体16とにより構成され、本体3と蓋体16はヒンジ軸となるヒンジシャフト46で軸支され、このヒンジシャフト46を中心にして、蓋体16を本体3に対し開閉自在に設け、またヒンジシャフト46の略反対側には本体3と蓋体16との閉状態を保持する為の係合手段としてクランプ47が設けられ、蓋体16の上面もしくは本体3の前面に表示部81となるLCD29と、操作部82となるスイッチ31とを有している。そして、ここでは特に押動型操作手段89と非押動型操作手段90の両方を操作部82として具備しており、非押動型操作手段90は表示部81となるLCD29の上面のみに配置されている。
この場合、押動型操作手段89と非押動型操作手段90との併用により、炊飯器としての操作性を向上することができ、非押動型操作手段90を必要最小限に設けてコストを抑制すると共に、製品のコンパクト化を図ることが可能になる。さらに、非押動型操作手段90を表示部81の上面にのみ配置することで、誤操作の防止を図ることができる。
次に、図6をさらに参照して、上記タッチセンサー88とその周辺の特徴を説明する。同図において、操作パネル33の下方に配置された非押動型操作手段89たるタッチセンサー88は、導電性ポリマーによる透明電極部88Aと、制御PC板96に接続する導電性のカーボン塗料による接点部88Bとを繋ぐ銀含有のパターン配線88Cを、絶縁シートとなるPETシート88Dに印刷した静電容量式タッチセンサーを使用している。ここでは、透明電極部88Aと接点部88Bとの間をパターン配線88Cで繋いだ構成要素が、タッチキーとしてタッチセンサー88に複数配設される。
タッチセンサー88のタッチ感度を良好にするために、透明電極部88Aは可能な限り大きく、パターン配線88Cは可能な限り短くすることが望ましいとされている。しかし、近年は炊飯器のコンパクト化に影響を受けて、タッチセンサー88を配置する表示部81を大きくすることもまた困難となっている。
この点について本実施例では、複数の表示要素87にそれぞれ対応する透明電極部88Aを、表示部81の表示領域111内に略均等な面積で配置することで、どの透明電極部88Aであっても同等のタッチ範囲を有している。また、表示部81の表示領域111外周部で意匠が印刷されている範囲にも、それぞれの透明電極部88Aを拡大して配置することで、必要な静電容量を確保しつつも、表示部81のコンパクト化を無理なく図ることが可能になる。
静電容量とは、使用者が操作する際に透明電極部88Aの近傍に触れることで発生する抵抗値のことであり、タッチON時とタッチOFF時の抵抗値の差が多い方が、正確にタッチ操作の有無を認識できる。また、複数のタッチキーを同時に操作した際にも、誤操作判定の設定が容易になり、非押動型操作手段89としてのタッチ感度の維持・向上が図られる。
以上のように、本実施例の非押動型操作手段89となるタッチセンサー88は、透明電極部88Aに導電性配線となるパターン配線88Cを繋げてなる静電容量式操作手段として構成され、透明電極部88Aを表示部81の範囲となる表示領域111よりも大きく形成している。
このように、タッチ操作する目安となる表示部81の表示領域111内だけでなく、表示領域111外にも透明電極部88Aを拡大して配置することで、静電容量式操作手段として必要な静電容量を確保し、タッチ感度の維持・向上と表示部81のコンパクト化を図ることができる。
図7は、図6で示したタッチセンサー88を単体で示している。同図中、「面積」に続く数値は、透明電極部88Aの面積を各々示しており、「長さ」に続く数値は、透明電極部88Aに繋がるパターン配線88Cの長さを各々示している。また図8は、透明電極部88Aに対する表示部81の表示領域111や、後述するカモフラージュ印刷部114の位置関係を示している。さらに図9は、図7に示すタッチセンサー88のA−A線断面を示している。
これらの各図において、各々の透明電極88Aは表示部81の表示領域111内に略均等な面積で配置され、どの透明電極部88Aであっても同等のタッチ範囲を有している。しかし、表示部81の外周部となる表示領域111外には、個々のパターン配線88Cの距離に応じて透明電極部88Aの拡大した面積を変える補充措置がなされている。
全ての透明電極部88Aに面積の補充を行えば、表示部81の表示領域111外で透明電極部88Aの占有する面積が拡がって、表示部81のコンパクト化の妨げともなる。また接点部88Bから比較的近く、パターン配線88Cの長さが比較的短い透明電極部88Aは、感度変化の影響が少ない。そこで、本例では複数の透明電極部88Aの中で、パターン配線88Cの長さが一定の距離を超えた透明電極部88Aについて、パターン配線88Cの距離に比例して、表示部81の表示領域111外で、拡大した透明電極部88Aの面積が増加して変わるように構成される。
具体的には、本例では全てのパターン配線88Cの長さの平均値を50%とした場合に、前述の一定の距離として40%を超えた長さ(図7に示す例では、全てのパターン配線88Cの長さの平均値が113.8mmなので、91.0mmを超えた長さ)のパターン配線88Cに接続する透明電極部88Aについて、表示部81の表示領域111外で、拡大した透明電極部88Aの面積の補充を開始し、それ以外の透明電極部88Aについては面積の補充を行なわずに、最小限の面積だけを拡大させるように設計されている。その結果、表示部81の表示領域111内で、各々の透明電極部88A間で静電容量を略一定にしつつも、表示部81の表示領域111外で、透明電極部88Aの拡大した面積が、パターン配線88Cの長さが一定の距離を超えたものについて、その長さに比例して大きくなるように補充することで、どの透明電極部88Aでも望ましいタッチ感度を維持したまま、表示部81のコンパクト化を図ることが可能となる。
また、操作パネル33の下方に配置された非押動型操作手段89たるタッチセンサー88は、導電性ポリマーによる透明電極部88Aと、制御PC板96に接続する導電性のカーボン塗料による接点部88Bとを繋ぐ銀含有のパターン配線88Cを、絶縁シートとなるPETシート88Dに印刷した上に、これらを保護する目的で透明な塗料によりオーバーコート88Eを施した、静電容量式タッチセンサーを使用している。ここでも、透明電極部88Aと接点部88Bとの間をパターン配線88Cで繋いだ構成要素が、タッチキーとしてタッチセンサー88に複数配設される。
接点部88Bはタッチセンサー88の本体から延出させた位置で形成することにより、制御PC板86に配置されたFPCアクチュエータ112(図4及び図5を参照)への接続を容易に行えるように構成されている。
静電容量式のタッチセンサー88に使用される導電性ポリマーには特有の色調を有しており、その色は薄青色となっている。その導電性ポリマーにより形成される透明電極部88Aは、表示部81上の透明窓部99から目視で確認することができる色調の濃度で形成される。そのため、LCD29の表示要素87と透明電極部88Aの範囲が必ずしも一致しない場合、透明電極部88Aの存在する箇所と、透明電極部88Aの存在しない箇所で、表示要素87の見え方も変わってしまい、使用者が違和感を覚える場合がある。
そこでここでは、透明電極部88Aが形成されるPETシート88Dの印刷面88Fとは反対側の反対面88Gで、透明電極部88A以外の範囲に、透明電極部88Aと同じ材質の導電性ポリマーを、カモフラージュ印刷部114として印刷形成している。このカモフラージュ印刷部114に導電性ポリマーを使用する理由は、色調が全く同じになるためである。また、この時のカモフラージュ印刷には配線パターンの印刷は行なわず、導電性を有するカモフラージュ印刷部114が電気的にどこにも接続されないようにする。これにより、透明電極部88Aの存在しない箇所は、カモフラージュ印刷部114により透明電極部88Aと同様の色調になり、表示部81上に配置される透明電極部88Aを外観から識別し難くして、外観品位を向上することができる。
また、カモフラージュ印刷部114として、導電性ポリマーや金属粒子、カーボンを含有せず、電気的影響を受けない顔料を使用し、透明電極部98Aと略同色に着色した非導電性塗料を、PETシート88Dの反対面88Gに形成してもよい。この場合も、表示部81上に配置される透明電極部88Aを外観から識別し難くして、外観品位を向上することができ、併せてカモフラージュ印刷部114によるノイズの発生を防止して、タッチ感度の低下を抑制することができる。
以上のように、本例の静電容量式操作手段となるタッチセンサー88は、透明電極部88Aを複数有し、その中でパターン配線88Cが一定の距離を超えた透明電極部88Aは、パターン配線88Cの距離と比例して、表示部81の表示領域111外で面積を変えるように構成されている。
そのため、各々の透明電極部88A間の静電容量を略一定にし、どの透明電極部88Aでもタッチ感度を維持したまま、表示部81のコンパクト化を図ることができる。
また、静電容量式操作手段となるタッチセンサー88は、有色の透明電極部88A以外の範囲に、透明電極部88Aと類似色によるカモフラージュ印刷部114が形成されている。ここでいう類似色は、透明電極部88Aと同色であることも含み、カモフラージュ印刷部114を透明電極部88Aと同じ材質にすることで実現する。
透明電極部88A以外の範囲に、透明電極部88Aと類似色のカモフラージュ印刷部114を形成することで、表示部81上に配置される透明電極部88Aを外観から識別し難くすることができ、外観品位を向上することができる。
さらに、ここでのカモフラージュ印刷部114は、電気的影響(ノイズの発生)を受けない非導電性の塗料で構成される。これにより、カモフラージュ印刷部114によるノイズの発生を防止して、タッチ感度の低下を抑制することができる。
図10は、図8とは別な形状のカモフラージュ印刷部114を印刷形成したタッチセンサー88の例を示している。
同図において、透明電極部88Aの反対面88Gで、透明電極部88A以外の範囲に施すカモフラージュ印刷部114は、透明電極部88Aの外周と0〜0.5mm重ねて印刷形成される。これは、同じ色でも隙間を設けてカモフラージュ印刷部114を形成した場合と、隙間を設けずに僅かにラップさせてカモフラージュ印刷部114を形成した場合では、前者は透明電極部88Aよりも色の薄い透明のラインが、後者は透明電極部88Aよりも色の濃いラインが発生するが、元の色に対し色調が近い濃いラインの方が目立たないためである。また、透明電極部88Aとカモフラージュ印刷部114との重なり寸法を、0〜0.5mmの範囲とすることで、これらの透明電極部88Aとカモフラージュ印刷部114をPETシート88Dに印刷形成する際に、多少の位置ズレが生じた場合であっても、透明電極部88Aとカモフラージュ印刷部114との間の印刷の無い隙間を生じさせないようにすることができる。
その他、図10に示すタッチセンサー88の詳細構成や作用効果は、上述のタッチセンサー88と共通するので、重複する説明は省略する。
以上のように、本例の透明電極部88Aとカモフラージュ印刷部114は、0〜0.5mm重ねて形成されることから、透明電極部88Aとカモフラージュ印刷部114に位置ズレが生じた場合でも、色の違いが目立つ印刷の無い範囲が発生せず、カモフラージュ印刷部114によるカモフラージュ効果を維持することができる。
次に、図11及び図12を参照して、操作パネル33とその周辺の特徴を説明する。
蓋体16の上面部をなす操作パネル33は、厚さ1.5〜2.5mmの高透明度を有するメタクリル樹脂などで板状とした樹脂材に対し、表面となる外観面とは逆の裏面に、塗装やシルク印刷で意匠や操作キー及び炊飯コースなどの名称を表記し、外形を切断することで任意の形状に形成される。
操作パネル33は、熱プレスにより平板状から曲面状へ変形させることも可能であり、蓋体16のデザインに応じて加工を行なう。操作パネル33の材厚が1.5mm以下の場合は、外蓋37の上面に操作パネル33を変形させながら貼付けることも可能だが、操作パネル33の反発力に耐える強力な固定手段が必要となる。
また、母材外形の切断加工時には、その切断面の面取りの他に、押動型操作手段89を構成するタクトスイッチ84や、蒸気口67の取付け部も同時に加工することで、操作パネル33として各部形状の誤差を抑制し、加工に必要な時間も短縮している。
こうして完成した操作パネル33の印刷面33Aには、前述の塗装やシルク印刷による印刷部が形成され、さらに上述したタッチセンサー88が貼り付けられている。この時に操作パネル33とタッチセンサー88との間に異物が入り込み、それが透明窓部99に現れると外観検査で不合格となるため、クリーンルームでの作業が望ましい。また、異物の他に空気が入り込み気泡となる場合もある。これは外観以外にタッチ感度にも影響を及ぼすため、温度と熱による脱気処理(オートクレーブ)を行なう。
上記により、操作パネル33の外観には透明な樹脂層116が形成される。樹脂層116は、使用者の指が触れる操作パネル33の露出表面となる外観面33Bと、この外観面33Bとは反対側の操作パネル33の裏面となる印刷面33Aとの間に形成され、操作パネル33の外観面33Bと意匠の印刷部が形成された印刷面33Aとの間に距離を設けることで、外観面33B側から印刷部を見たときの奥行感が生じ、高級感を得ることができている。
なお、本図に示す例では、印刷部を形成した部位に操作シート96を配設せず、それ以外の部位にエンボス加工された操作シート96を配設して、エンボス加工部93の直下にタクトスイッチ84を配置することで、上述した押動型操作手段89と非押動型操作手段90の両方を備えた炊飯器を提供できる。また、操作パネル33はアクリルなどの透明又は半透明の樹脂材で形成されればよい。
以上のように、本図での静電容量式操作手段となるタッチセンサー88は、操作パネル33の裏面となる印刷面33Aに貼付けられており、この操作パネル33の印刷面33Aは、透明又は半透明からなる板状の樹脂材の裏面に、意匠などの印刷部を形成して構成される。
したがって、操作パネル33の外面となる外観面33A側から、意匠の印刷部を形成した印刷面33Bとの間に透明又は半透明の樹脂層を構成することで、外観面33B側から印刷部を見たときの奥行感をえることができ、炊飯器としての外観品位を向上することができる。
次に、図13及び図14を参照して、操作パネル33とその周辺に関する別な例の特徴を説明する。
同図において、本例での操作パネル33は、188μm前後の厚みを有するPETシートに意匠を印刷した操作シート96と図示しない成型機にセットし、ABSなどの透明樹脂を射出することで、厚さ2.2〜2.7mmのインサートパネル117で操作シート96と一体に形成している。
こうして完成したインサートパネル117は、操作パネル33の裏面に、上述したタッチセンサー88が貼付けられている。この時に操作パネル33とタッチセンサー88と間に異物が入り込み、それが透明窓部99に現れると外観検査で不合格となるため、クリーンルームでの作業が望ましい。また、異物の他に空気が入り込み気泡となる場合もある。これは外観以外にタッチ感度にも影響を及ぼす為、温度と熱による脱気処理(オートクレーブ)を行なう。
インサートパネル117は、意匠を印刷した操作シート96が操作パネル33の表面に構成される。そのため、図11に示すような奥行感は得られない反面、押動型操作手段90で使用者が押動操作するエンボス加工部93の形状も、操作シート96に操作パネル33をインサート成形する際に同時に形成されるため、大幅なコストメリットがある。
また、操作パネル33の裏面に配置されるタッチセンサー88は、インサートパネル117の成形直後もしくは同時に、操作パネル33と一体に成形されている。これによりインサートパネル117を成形した後の梱包、保管、移動など、操作パネル33とタッチセンサー88との間から異物が付着する機会を省いて、透明窓部99に異物が入り込む外観不良を削減できると共に、タッチセンサー88の貼付けと脱気処理などの後工程も廃止できる。
タッチセンサー88は、オーバーコート88Eの上面に感熱式の接着材88H(図9を参照)が印刷形成される。この接着材88Hは、インサートパネル117の成形直後に100℃前後の熱で融着する温度に設定されており、製品の使用状態の温度では融着が剥がれることは無い。また、操作シート96と同時にインサート成型する場合は、接着材88Hの融着温度を更に高く設定することで、更に信頼性と高めることができる。
その他、タッチセンサー88を含めた炊飯器の構成や作用効果は、上述した各例と共通する。
以上のように、本例での静電容量式操作手段となるタッチセンサー88は、操作パネル33の裏面に貼付けられており、この操作パネル33は、意匠などの印刷を施した操作シート96が一体に成形されている。
この場合、押動型操作手段89に必要なエンボス形状の操作シート96を、操作パネル33と同時に一体でインサート成形可能にすることで、押動型操作手段89と非押動型操作手段90の併用を容易とし、コストを抑制することができる。
また本例では、操作パネル33の裏面に、静電容量式操作手段となるタッチセンサー88が一体に成形されており、操作シート96をインサート成形する操作パネル33の製作過程で、タッチセンサー88も操作パネル33と一体にインサート成形することで、外観不良と後工程を削減して、コストを削減することができる。
次に、図15と図16を参照して、上述した表示部81の特徴を説明する。
表示操作ユニット28は、時間や選択した炊飯コ−スを表示するLCD29や、現在の工程を表示するLED30の他に、炊飯を開始させたり、炊飯コ−スを選択させたりするためのタクトスイッチ84が、基板32の上部に配置されている。
LCD29は、PC(polycarbonate:ポリカーボネート)などの合成樹脂により形成されたLCDホルダー101で保持される。このLCDホルダー101には、LED118が配置された照明用基板119と、LED118が照射する光をLCD29全体に行き渡らせるための導光板120が、LCD29の直下に配置してある。LCDホルダー101は導光板120の光を更に内部反射させる為、白色に着色されている。これがバックライトLCDユニット121であり、バックライトLCDユニット121は液晶表示装置となるLCD29の照明機能として、光源となるLED118を備えた照明用基板119と、導光板120とを、LCDホルダー101に備えて構成される。
表示部81に静電容量式のタッチセンサー88を具備した場合、淡青色の透明電極部88Aとその存在をカモフラージュするカモフラージュ印刷部114とにより、透明窓部99を通しての表示部81の明度が若干ではあるが低下する。バックライトLCDユニット121は、本体3に電源を供給する電源プラグ122を、図示しないコンセントに差込んだ場合や、タッチセンサー88或いはキー91を操作した場合や、蓋体16を開閉操作した場合に、LED118を一定時間点灯させてLCD29を背面から照射することで、使用者への視認性を向上させている。
以上のように本実施例では、バックライトLCDユニット121による照明機能部を有する液晶表示装置としてのLCD81を、表示部81に用いており、表示部81の明度低下をバックライトLCDユニット121の照明機能で補うことができるため、有色の透明電極部88Aとカモフラージュ印刷部141による視認性の低下を防止できる。
次に、図17と図18を参照して、上述したLCD29の特徴を説明する。
LCD29は、ガラス板123に予め印刷された電極となる表示要素87に電流を流し、ガラス板123で封止された液晶(図示せず)に電圧を印加して、その表示要素87を黒色に点灯させることで、液晶表示装置として機能している。
表示部81上にタッチスイッチの操作部82が設けられる場合、表示要素87の視認性の他に、タッチスイッチの操作性も重要となってくる。しかも、表面に凹凸の無いタッチスイッチの場合は、必ずしも意図した部分をタッチすることができるとは限らない。そのため、タッチスイッチに対応する各表示要素87の範囲は可能な限り大きくすることが肝要となる反面、LCD29の画面に配置できる表示要素87の数にも制限が発生する。
そこで本実施例のLCD29は、表示要素87を印刷した基板となるガラス板123を複数重ねた多層LCDを使用することで、表示要素87の使用数を確保している。
例えば、表示部81上でタッチ操作されるUPキーやDOWNキーは汎用性が高いため、様々な選択シチュエーションで兼用キーとして使用されている。図17は、多層LCDの1層目のガラス板123Aの実施例であり、図18は、2層目のガラス板123Bの実施例である。1層目のガラス板123Aには、時刻表示用の表示要素87Aと、その左右に時刻調整用のUPキーに対応した表示要素87Bや、DOWNキーに対応した表示要素87Cが配置されている。2層目のガラス板123Bには、統計表示の下部(前方)に、炊飯するご飯の硬さを選択する炊き分け選択用の表示要素87Dが横方向に展開されている。
時刻設定時は、時刻表示用の表示要素87Aの左右にある時刻調整用の表示要素87B,87Cを目安に、UPキーやDOWNキーでの調整を問題無く行なうことができる。しかし、仮に2層目のガラス板123Bが存在せず、1層のガラス板123Aに全ての表示要素87を印刷したLCD29を用いた場合、時刻表示用の表示要素87Aの下段に炊き分け選択用の表示要素87Dが配置されると、炊き分け変更時にUPキーやDOWNキーをタッチ操作する際に、使用者自身の手でその表示要素87Dを隠してしまう。
そこで、複数の積層したガラス板123により、複数の表示要素87を階層別で表示する多層表示を可能としたLCD29を使用して、2層目のガラス板123Bに炊き分け選択用の表示要素87Dを形成すると共に、その表示要素87Dの下部に、時刻調整用の表示要素87B,87Cとは別な専用の炊き分け変更用の進むキーに対応した表示要素87Eと、戻るキーに対応した表示要素87Fを並べて形成している。また、炊き分け変更に専用のキーとすることで、横方向に展開している炊き分け選択用の表示要素87Dに合わせた表示とするこができ、炊飯器としての操作性を向上させている。
本実施例における多層のLCD29は、使用頻度の高い表示要素87の一群を1層目のガラス板123Aに配置し、他の表示要素87の一群を2層目のガラス板123B以降に配置している。これは、お米の種類や炊飯コースなどの選択時に、1層目のガラス板123Aと他の階層との間で表示の入れ替わる回数を極力減らすことで、使用者への負担を軽減させるためである。
また、1層目のガラス板123Aと2層目のガラス板123B以降の表示要素87の一部を、同時に表示することも可能にしている。例えば1層目のガラス板123Aで、「白米」の表示要素87G上をタッチ操作して白米炊飯を選択した場合、次の選択肢として、「かまど名人」の表示要素87Hと、「甘み名人」の表示要素87Iと、「炊込み」の表示要素87Jと、「おかゆ」の表示要素87Kと、「エコ炊飯」の表示要素87Lの5種類が、1層目のガラス板123Aに表示される。それに対し、例えば1層目のガラス板123Aで、「玄米」の表示要素87M上をタッチ操作して玄米炊飯を選択した場合、次の選択肢として、「かまど名人」の表示要素87Hと、「甘み名人」の表示要素87Iと、「おかゆ」の表示要素87Kと、「白米混合」の表示要素87Nの4種類を表示させる必要がある。しかし、1層目のガラス板123Aで既に横5つ分の表示要素87H,87I,87J,87K,87Lのスペースを使用している為、玄米専用となる「白米混合」選択用の表示要素87Nを同列に配置することができない。
そこで本実施例では、玄米専用となる「白米混合」の表示要素87Nを2層目のガラス板123Bへ配置し、この「白米混合」の表示要素87Nと共に、1層目のガラス板123Aの中で、「かまど名人」の表示要素87Hと、「甘み名人」の表示要素87Iと、「おかゆ」の表示要素87Kとを、同時に且つ同列で表示させることを可能としている。
時刻合わせの場合も同様である。まず図19に示すように、時計合わせの選択前には、1層目のガラス板123Aに形成されている時刻表示用の表示要素87Aと、2層目のガラス板123Aに形成されている「時計合わせ」選択用の表示要素87Oが同時に表示される。この状態から「時計合わせ」選択用の表示要素87O上を長時間タッチ操作(または予約キー91Dを押動操作)して、時刻及び予約時間の設定を変更するモードを選択すると、図20に示すように、「時計合わせ」選択用の表示要素87Oに代わって、同じ位置にUPキーに対応した表示要素87Bが表示される(時刻表示用の表示要素87Aの左側には、DOWNキーに対応した表示要素87Cが表示される)。
また図21に示すように、前述した炊き分け変更時には、1層目のガラス板123Aに形成されている「白米」の表示要素87Gや、「かまど名人」の表示要素87Hと、2層目のガラス板123Aに形成されている炊き分け選択用の表示要素87Dや、進むキーに対応した表示要素87Eや、戻るキーに対応した表示要素87Fが同時に表示される。こうして、どの層のガラス板123A,123Bであるのかに拘らず、複数の表示要素87の組合せが構成されている。
このように、本実施例の液晶表示装置となるLCD29は、複数の表示要素87を階層別で表示する多層表示が可能な多層表示装置で構成される。そのため、1つの階層毎の表示要素87の数を減らし、限られたLCD29の表示範囲の中で、各表示要素87のサイズを大きくすることで、表示部81の視認性や、被押動型操作手段90へのタッチ操作時の操作性を向上させることができる。
また、本実施例のLCD29は、複数の表示要素87を階層とは関係無く表示させる構成としている。そのため、各階層の表示要素87を同一画面に表示させることが可能になり、LCD29としての機能の拡充を図ることができる。
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更可能である。実施例中で例示した数値などはあくまでも一例にすぎず、炊飯器の仕様などに応じて適宜変更して構わない。