以下、本発明に係る調理器の表示装置について、添付図面を参照しながら好ましい実施形態を説明する。
先ず、調理器の一例である炊飯器の全体構成について、図1〜図4に基づいて説明すると、1は炊飯器であり、上方から見て前面と後面、左側面と右側面が対向する略矩形状をなし、上面が開口された炊飯器1の本体2と、本体2の上面開口部を開閉自在に覆う蓋体3とにより全体が構成される。本体2は上面を開口した鍋収容部4を有し、蓋体3を開けたときに、被調理物である水や米を収容する容器としての有底状の鍋5が、その鍋収容部4に着脱自在に収容される構成となっている。鍋収容部4は、椀状で樹脂製の内枠6や、金属製の内枠リング7などを組み合わせて構成され、全体が有底筒状に形成される。
鍋5は、熱伝導性の良いアルミニウムを主材8とし、フェライト系ステンレスなどの磁性金属板からなる発熱体9が、主材8の外面の側部下部から底部にかけて接合してある。鍋5の外側面に対向する内枠リング7の外面には、加熱手段の一例としてコードヒータを用いた胴ヒータ11を備えている。また、鍋5の側面下部から底面に対向する内枠6の外面には、鍋5の発熱体9を電磁誘導加熱する加熱手段として、加熱コイル12を備えている。
内枠6の底部中央部には、鍋温度検出手段としての鍋センサ14が、鍋5の外面底部と弾発的に接触するように配設される。本実施形態の鍋センサ14は、鍋5の温度を検知して加熱コイル12による鍋5の底部の加熱温度を主に温度管理する構成となっている。
蓋体3の前方上面には、蓋開ボタン15が露出状態で配設されており、この蓋開ボタン15を押すと、本体2と蓋体3との係合が解除され、本体2の上部後方に設けたヒンジバネ(図示せず)により、ヒンジ軸16を回転中心として蓋体3が自動的に開く構成となっている。また、蓋体3の後方上面には、鍋5内の被調理物から発生する蒸気を炊飯器1の外部に排出する蒸気口ユニット17が着脱可能に装着される。
蓋体3は、その上面外殻をなす外観部品としての外蓋19と、蓋体3の下面を形成する放熱板20と、外蓋19および放熱板20を結合させて、蓋体3の骨格を形成する蓋ベース材としての外蓋カバー21とを主たる構成要素としている。蓋体3の内部にあって、放熱板20の上面には、蓋加熱手段としての蓋ヒータ22が設けられる。この蓋ヒータ22は、コードヒータなどの電熱式ヒータや、電磁誘導加熱式による加熱コイルでもよい。
放熱板20の下側には、蓋体3の下部部材としての内蓋組立体23が着脱可能に設けられる。この内蓋組立体23は、鍋5の上方開口部とほぼ同径の円盤状を有する金属製の内蓋24と、鍋5と内蓋24との間をシールするための弾性部材からなる蓋パッキン25と、蓋パッキン25を内蓋24の外側全周に装着するための内蓋リング26と、鍋5の内圧力を調整する調圧部27とを備えている。環状に形成された蓋パッキン25は、蓋体3を閉じた蓋閉時に鍋5の上面に当接して、鍋5と内蓋24との間の隙間を塞ぎ、鍋5から発生する蒸気を密閉するものである。
蓋体3の略中央上面には、表示操作ユニット28が設けられる。表示操作ユニット28は、時間や時刻の他に、選択した炊飯コースや炊き分けを表示するLCD29や、現在の工程を表示するLED30や、炊飯を開始させたり、炊飯コースを選択させたりするスイッチ31を、蓋体3の内部に実装された基板32の上部に配設して構成される。
33は、表示操作ユニット28の上方を覆うようにして設けられた操作パネルである。この操作パネル33はボタン名などが表示され、電子部品であるLCD29、LED30、スイッチ31や基板32に、埃や水が付着することを防止している。また、基板32上に設けたスイッチ31とは別に、LCD29上に後述するタッチセンサー49を設けた場合は、LCD29の表示に合わせて直接タッチ操作することが可能となっている。表示操作ユニット28の詳細については、後程改めて説明する。
前記放熱板20には、蓋体3の特に内蓋24の温度を検知する蓋温度検知手段として、蓋ヒータ22による内蓋24の温度管理を行なうためのサーミスタ式の蓋センサ34が設けられている。また蓋体2の内部には、鍋5内で発生した蒸気を外部へ放出する通路として、蒸気口ユニット17と調圧部27とを連通する蒸気排出経路35が形成される。調圧部27には、鍋5の内部と蒸気口ユニット17との間の蒸気排出経路35を開閉する調圧弁36が設けられる。調圧弁36はボール状で、蓋体3の内部に設けたソレノイド37と連動し、鍋5内の蒸気を外部へ放出する場合には蒸気排出経路35を開放し、鍋5内を加圧または減圧状態にする場合には蒸気排出経路35を閉塞するように、ソレノイド37が調圧弁36を転動させる。そして加圧時には、加熱コイル12への高周波通電により鍋5内の被炊飯物が加熱され、鍋5の内圧が所定値に達すると、調圧弁36の自重に抗して蒸気排出経路35を開放することで、鍋5内の圧力を大気圧以上に維持する構成となっている。
なお、本実施形態の炊飯器は、蓋3を本体2に閉じた状態で、鍋5の内部を通常の大気圧よりも低くするための減圧手段38を設けている。減圧手段38は、鍋5を鍋収容体4に収容し、蓋3を閉じた後にソレノイド37を通電して、調圧弁36が蒸気排出経路35を塞いだ状態で、密閉した鍋5の内部圧力を低下させる。また、鍋5内部の圧力が大気圧よりも一定値下がった場合には、減圧手段38の動作源となる減圧ポンプ39の動作を停止し、鍋5内部を減圧状態に保っている。さらに、鍋5内部を減圧状態から外気と同じ圧力に戻す場合には、減圧ポンプ39の動作を停止し、減圧ポンプ39と鍋5の内部との間を連通する図示しない経路を開放する。つまり減圧手段38は、鍋5内部を減圧状態から外気と同じ圧力に戻す圧力戻し手段としての構成を兼用している。
その他、本体2の内部には、加熱制御手段40を含むユニット化された加熱基板組立41が配設される。加熱制御手段40は、後述する表示・操作制御手段46と組み合わせて炊飯器1の各部を電気的に制御するために、マイクロコンピュータ(マイコン)などを含んで構成され、ここでは鍋センサ14や蓋センサ34からの各温度検知信号と、スイッチ31からの操作信号とを受けて、炊飯時および保温時に鍋5を加熱する胴ヒータ11や加熱コイル12と、蓋体3を加熱する蓋ヒータ22を各々制御すると共に、LCD29やLED30の表示を制御し、さらにはソレノイド37と、減圧ポンプ39の動作を各々制御する。特に本実施形態の加熱制御手段40は、鍋センサ14の検知温度に基いて主に加熱コイル12を制御して鍋5の底部を温度管理し、蓋センサ34の検知温度に基いて主に蓋ヒータ22を制御して、被炊飯物に対向する内蓋24を温度管理するようになっている。
蓋体3に設けられた炊飯器1の表示装置となる表示操作ユニット28は、調理に関わる様々な情報を表示するLCD29を用いた表示部42と、炊飯を開始させたり、炊飯コ−スを選択させたりするためのスイッチ31からなる操作部43とを備えており、これらの下面には、LCD29やタクトスイッチ45などが具備された表示・操作制御手段46である制御PC(Printed Circuit:印刷回路)板47が配置される。制御PC板47は前述の基板32に相当するもので、パターン形成された制御PC板47に、操作や表示に関わる制御用IC(図示せず)等を実装することで、前述の加熱制御手段40と連携した表示・操作制御手段46が構成される。
表示部42となるLCD29は外蓋19の略中央に配置され、LCD29の表面となる上面には、LCD29に表示される複数の表示要素48の何れかを選択することで、炊飯コースや炊き分けの選択の他に、時刻の設定などを指先のタッチ操作で行なうタッチセンサー49が配置される。タッチセンサー49は制御PC板47に接続されることで、非押動型操作手段50であるタッチキーとして機能する。
表示部42上の非押動型操作手段50で行なう操作内容は、各種の炊飯コースの選択・設定や、特定の炊飯コースを選択した場合の炊き分けの選択・設定や、現在時刻及び予約時刻の設定などとし、切状態から炊飯を開始する炊飯キーや、炊飯や保温を停止して切状態にする切キーは具備せず、表示部42以外の箇所に、タッチでは操作することができないタクトスイッチ45などの押動型操作手段51で、炊飯キー52Aや切キー52Bを設置している。
また、炊飯や保温、予約など、炊飯器としての工程を表示するのにLED30を点灯させるキー52として、炊飯キー52A以外に、切状態から保温を開始したり、保温時に被炊飯物を再加熱したりする保温キー52Cや、予約時刻に被炊飯物を炊き上げる予約キー52Dなども、押動型操作手段51としていることで、LED30からの光が透過可能なランプ窓53を、エンボス加工部54に印刷で構造上容易に形成することができる。上下に撓むエンボス加工部54は、タクトスイッチ45に対向して、蓋体3の上面に露出する操作パネル33の適所に配設される。また、減圧手段38により鍋2の内部が減圧状態の時に、真空サイン用のランプ窓53Aを通して、特定のLED30が点灯照明される。そしてここでのキー52は、点灯したLED30で照明される炊飯キー52Aや、保温キー52Cや、予約キー52Dの他に、LED30で照明されない切キー52Bや、被炊飯物を早く炊くためのそくうまキー52Eにより構成され、前述した非押動型操作手段50のタッチキーと、押動型操作手段51のキー52とにより、操作部43となるスイッチ31が構成される。
押動型操作手段51は、エンボス加工された操作シート57の下方に、合成樹脂により形成された操作ボタン58と、制御PC板47に配置されたタクトスイッチ45で構成され、エンボス加工された操作シート57を操作パネル33の表面側に設けることで、蓋体3の外観面を形成している。
操作部43は蓋体3の上面前側に配置され、意匠やエンボス加工された操作シート57には、キー52に対応して各キーの名称などを印刷すると共に、LCD29が配置される表示部42上には、意匠の印刷が無い透明窓部60を形成している。この透明窓部60の下方にタッチセンサー49を配置し、LCD29に表示された炊飯コースなどの表示要素48上でタッチセンサー49に触れることで、タッチキーとしての操作を可能にしている。
操作ボタン58は、LCD29を保持しているLCDホルダー61と、LCD29の外周部までを覆う形状を有して、制御PC板47に固定される。その固定構造は限定されず、爪止めでもネジでも良い。各タクトスイッチ45の上方には、円柱形状の操作ボタン部58Aが、周囲より肉薄に形成されたアーム部58Bにより片持ちで支持されている。これらの操作ボタン部58Aやアーム部58Bは、操作ボタン58を構成するものであり、操作パネル33の上面側からエンボス加工部54を指で押す毎に、アーム部58Bが撓んで操作ボタン部58Aがタクトスイッチ45の可動部を押動し、タクトスイッチ45がオフからオンに切換わるようになっている。
制御PC板47は、操作ボタン58を介して操作パネル33と固定され、PPなどの合成樹脂により形成された外蓋下部材63は制御PC板47を支持しながら、外蓋35と爪嵌合やネジ止めにより固定される。なお、上述の表示部42や操作部43を含む表示操作ユニット28は、蓋体3の上面にではなく、炊飯器1の前面に設ける構成としてもよい。
前記加熱制御手段40は、加熱コイル12を駆動させる発熱素子としてのスイッチング素子65を備えており、このスイッチング素子65は加熱コイル12の発振と共に発熱する構成となっている。そのため、スイッチング素子65はアルミニウムのような熱伝導性の良い材料で構成された放熱器66に取付けられ、この放熱器66の下方または側部に、冷却手段たる電動の冷却ファン67が配置される。そして本実施形態では、冷却ファン67が駆動すると、本体1の側面に設けた吸気口(図示せず)から、本体1内部の冷却ファン67に冷風が取り込まれ、この冷風が放熱器66からの熱を奪って、排気口68から本体1の外部に排出される構成となっている。また図示しないが、加熱基板組立41には温度検知素子が搭載され、この温度検知素子によりスイッチング素子65周辺の温度が所定温度以上に達したと判断すると、炊飯器1のメンテナンスが必要である旨の表示を、制御手段である加熱制御手段40や表示・操作制御手段46がLCD29に行わせる構成となっている。
次に、図5を参照して、上記タッチセンサー49とその周辺の特徴を説明する。同図において、操作パネル33の下方に配置された非押動型操作手段50たるタッチセンサー49は、導電性ポリマーによる透明電極部49Aと、制御PC板47に接続する導電性のカーボン塗料による接点部49Bとを繋ぐ銀含有のパターン配線49Cを、絶縁シートとなるPETシート49Dに印刷した静電容量式タッチセンサーを使用している。ここでは、透明電極部49Aと接点部49Bとの間をパターン配線49Cで繋いだ構成要素が、タッチキーとしてタッチセンサー49に複数配設される。
タッチセンサー49のタッチ感度を良好にするために、タッチ操作される透明電極部49Aは可能な限り大きく、パターン配線49Cは可能な限り短くすることが望ましいとされている。しかし、近年は炊飯器1のコンパクト化に影響を受けて、タッチセンサー49を配置する表示部42を大きくすることもまた困難となっている。
この点について本実施形態では、複数の表示要素48にそれぞれ対応する透明電極部49Aを、表示部42の表示領域71内に略均等な面積で配置することで、どの透明電極部49Aであっても同等のタッチ範囲を有している。また、表示部42の表示領域71外周部で意匠が印刷されている範囲にも、それぞれの透明電極部49Aを拡大して配置することで、必要な静電容量を確保しつつも、表示部42のコンパクト化を無理なく図ることが可能になる。そして、透明電極部49Aは表示部42の表示領域71外周部に沿って配置され、パターン配線49Cを表示領域71内に配線しない構成を採用しており、その分、透明電極部49Aを表示領域71内に拡大して配置することで、さらに上述のコンパクト化を無理なく図ることが可能になる。
ここで、静電容量とは使用者が操作する際に透明電極部49Aの近傍に触れることで発生する抵抗値のことであり、タッチON時とタッチOFF時の抵抗値の差が多い方が、正確にタッチ操作の有無を認識できる。また、複数のタッチキーを同時に操作した際にも、誤操作判定の設定が容易になり、非押動型操作手段50としてのタッチ感度の維持・向上が図られる。
次に、図6および図7を参照して、上述したLCD29の特徴を説明する。LCD29は、ガラス板72に予め印刷された電極となる表示要素48に電流を流し、ガラス板72で封止された液晶(図示せず)に電圧を印加して、その表示要素48を黒色に点灯させることで、ガラス板72を液晶表示装置として機能させている。
表示部42上にタッチスイッチの操作部43が設けられる場合、表示要素48の視認性の他に、タッチスイッチの操作性も重要となってくる。しかも、表面に凹凸の無いタッチスイッチの場合は、必ずしも意図した部分をタッチすることができるとは限らない。そのため、タッチスイッチに対応する各表示要素48の範囲は可能な限り大きくすることが肝要となる反面、LCD29の画面に配置できる表示要素48の数にも制限が発生する。
そこで本実施例のLCD29は、表示要素48を印刷した基板となるガラス板72を複数重ねた多層表示装置を使用することで、表示要素48の使用数を確保している。また、それぞれの後述する選択表示要素48−2とそれぞれの透明電極部49Aはぴったり同じ形状ではなく、視野のズレや感度を考慮し、選択表示要素48−2の形状より透明電極部49Aの形状を大きくしている。そして、表示要素48の配置を調整することで、誤操作の防止および操作性の向上を実現している。
図6は、1層目のガラス板72Aの一例を示しており、図7は、2層目のガラス板72Bの一例を示している。ここでは二層のガラス板72として、第1層のガラス板72Aと第2層のガラス板72Bをそれぞれ示しているが、三層以上に積層したガラス板72であっても構わない。
本例の表示要素48は、その上部表面側に透明電極部49Aが設けられていない非選択表示要素48−1と、その上部表側に透明電極部49が設けられた選択表示要素48−2と、により大別される。これらの非選択表示要素48−1と選択表示要素48−2は、第1層のガラス板72Aに混在して配置される。また、第1層のガラス板72Aの裏面側に配置される第2層のガラス板72Bも、非選択表示要素48−1と選択表示要素48−2が混在して配置される。つまり、LCD29の各層に設けられた複数の表示要素48の中で、選択表示要素48−2だけが、その上部に重ねて配置した透明電極部49を利用して、タッチ操作できるようになっている。
具体的には、図6に示す第1層のガラス板72Aには、複数の非選択表示要素48−1として、現在時刻や予約時刻の他に、炊飯時の炊上がりまでの時間や保温時の経過時間を表示する時計用表示要素48−1Aと、炊飯や保温時に鍋5内部の圧力の状態を表示する圧力用表示要素48−1Bと、そくうまキー52Eが押動操作され、「そくうま」の炊飯コースが選択されたときに表示されるそくうま用表示要素48−1Cと、予約キー52Dが押動操作され、時計用表示要素48−1Aに表示される時刻が予約時刻に切替わると表示される予約設定用表示要素48−1Dが、それぞれ配置される。
また、第1層のガラス板72Aには、複数の選択表示要素48−2として、「白米」の炊飯コースの選択を可能にする白米選択用表示要素48−2Aと、「無洗米」の炊飯コースの選択を可能にする無洗米選択用表示要素48−2Bと、「玄米」の炊飯コースの選択を可能にする玄米選択用表示要素48−2Cと、「雑穀米」の炊飯コースの選択を可能にする雑穀米選択用表示要素48−2Dと、「麦ご飯」の炊飯コースの選択を可能にする麦ご飯選択用表示要素48−2Eと、「かまど名人」の炊飯コースの選択を可能にするかまど名人選択用表示要素48−2Fと、「甘み炊き」の炊飯コースの選択を可能にする甘み炊き選択用表示要素48−2Gと、「炊込み」の炊飯コースの選択を可能にする炊込み選択用表示要素48−2Hと、「おかゆ」の炊飯コースの選択を可能にするおかゆ選択用表示要素48−2Iと、「エコ炊飯」の炊飯コースの選択を可能にするエコ炊飯選択用表示要素48−2Jと、時計用表示要素48−1Aに表示される現在時刻や予約時刻の戻し調整を可能にする時刻戻し調整用表示要素48−2Kと、時計用表示要素48−1Aに表示される現在時刻や予約時刻の進み調整を可能にする時刻進み調整用表示要素48−2Lが、それぞれ配置される。
図7に示す第2層のガラス板72Bには、複数の非選択表示要素48−1として、例えばスイッチング素子65が所定温度以上に達したのを前述の温度検知素子が検知して、炊飯器1のメンテナンスが必要なときに表示されるメンテナンス用表示要素48−1Eと、「かまど名人」の炊飯コースで、選択したご飯の硬さを炊き分け状態として表示する炊き分け選択用表示要素48−1Fが、それぞれ配置される。炊き分け選択用表示要素48−1Fは、前記時計用表示要素48−1Aの下方に位置して、横方向に展開して配設される。
また、第2層のガラス板72Bには、複数の選択表示要素48−2として、時計合わせの選択を可能にする時計合わせ選択用表示要素48−2Mと、「玄米」専用となる「白米混合」の炊飯コースの選択を可能にする白米混合選択用表示要素48−2Nと、炊き分け選択用表示要素48−1Fに表示される炊き分け状態を、硬めに調整可能にする硬め調整用表示要素48−2Oと、炊き分け選択用表示要素48−1Fに表示される炊き分け状態を、柔らかめに調整可能にする柔らか目調整用表示要素48−2Pと、選択した時計合わせを図示しない記憶手段に記憶設定する決定用表示要素48−2Qと、選択した時計合わせを記憶設定せず、後述する初期の切表示の画面に戻るための戻る用表示要素48−2Rと、タッチ操作が可能な選択用表示要素48−2を点灯表示させるための選択用表示要素48−2Sが、それぞれ配置される。
上述した各表示要素48の中で、第1層のガラス板72Aに配置される白米選択用表示要素48−2Aと、無洗米選択用表示要素48−2Bと、玄米選択用表示要素48−2Cと、雑穀米選択用表示要素48−2Dと、麦ご飯選択用表示要素48−2Eは、炊飯コースの中で米の種類の選択を可能にするものであり、これらは何れも最初にタッチ操作で選択されやすいように、時計用表示要素48−1Aの上方に設けられる。一方、第1層のガラス板72Aに配置されるかまど名人選択用表示要素48−2Fと、甘み炊き選択用表示要素48−2Gと、炊込み選択用表示要素48−2Hと、おかゆ選択用表示要素48−2Iと、エコ炊飯選択用表示要素48−2Jと、第2層のガラス板72Bに配置される白米混合選択用表示要素48−2Nは、炊飯コースの中で米の炊き方の選択を可能にするものであり、これらは米の種類に続いてタッチ操作で選択されやすいように、時計用表示要素48−1Aの下方に設けられる。
また、本実施形態における多層のLCD29は、使用頻度の高い表示要素48の一群を第1層のガラス板72Aに配置し、他の表示要素48の一群を第2層のガラス板72B以降に配置している。これは、炊飯コースの選択時などに、第1層のガラス板72Aと他の階層のガラス板72Bとの間で、表示の入れ替わる回数を極力減らすことで、使用者への負担を軽減させるためである。
第1層のガラス板72Aに設けた表示要素48の一部は、第2層のガラス板72Bに設けた表示要素48と重なるように配置される。例えば、第1層のガラス板72Aの炊込み選択用表示要素48−2Hと、第2層のガラス板72Bの白米混合選択用表示要素48−2Nは、平面視で重なる位置に設けられているが、これらの表示要素48−2H,48−2Nが同時に点灯(点滅も含む)して表示されないように、表示・操作制御手段46がLCD29の表示を制御する。これは、第1層のガラス板72Aと第2層のガラス板72Bで重なり合う表示要素48の全てに適用される。
その一方で、第1層のガラス板72Aと第2層のガラス板72B以降で上下に重なり合う表示要素48を同時に表示させなければ、多層のガラス板72A,72Bで表示要素48の一部を同時に点灯して表示させることも可能にしている。
例えば第1層のガラス板72Aで、白米選択用表示要素48−2A上をタッチ操作して、米の種類を「白米」に選択した場合、次の炊き方の選択肢として、かまど名人選択用表示要素48−2Fと、甘み炊き選択用表示要素48−2Gと、炊込み選択用表示要素48−2Hと、おかゆ選択用表示要素48−2Iと、エコ炊飯選択用表示要素48−2Jの5種類が、同じ第1層のガラス板72Aに点灯表示される。それに対し、例えば第1層のガラス板72Aで、玄米選択用表示要素48−2C上をタッチ操作して、米の種類を「玄米」に選択した場合、次の炊き方の選択肢として、かまど名人選択用表示要素48−2Fと、甘み炊き選択用表示要素48−2Gと、おかゆ選択用表示要素48−2Iと、白米混合選択用表示要素48−2Nの4種類を点灯表示させる必要がある。しかし、第1層のガラス板72Aで既に横5つ分の表示要素48−2F,48−2G,48−2H,48−2I,48−2Jのスペースを使用している為、玄米専用となる白米混合選択用表示要素48−2Nを同列に配置することができない。
そこで本実施形態では、白米混合選択用表示要素48−2Nを第2層のガラス板72Bへ配置し、この白米混合選択用表示要素48−2Nと共に、第1層のガラス板72Aの中で、かまど名人選択用表示要素48−2Fと、甘み炊き選択用表示要素48−2Gと、おかゆ選択用表示要素48−2Iとを、同時に且つ同列で点灯表示させることを可能としている。このとき、白米混合選択用表示要素48−2Nと重なり合う第1層のガラス板72Aの炊込み選択用表示要素48−2Hは、表示が重なることによる視認性の低下を避けるために、消灯して表示しないようにしている。
時計合わせの場合も同様である。時計合わせの選択前には、第1層のガラス板72Aに配置される時計用表示要素48−1Aに、タイマ手段がカウントする現在時刻が時々刻々と点灯表示されると同時に、第2層のガラス板72Bに配置される時計合わせ選択用表示要素48−2Mが同時に点灯表示される。この状態から、時計合わせ選択用表示要素48−2M上を長時間タッチ操作(または予約キー52Dを押動操作)して、現在時刻または予約時刻の変更を可能にするモードを選択すると、時計合わせ選択用表示要素48−2Mに代わって、同じ位置に時刻戻し調整用表示要素48−2Kが表示される(時刻を表示する時計用表示要素48−1Aの左側には、時刻進み調整用表示要素48−2Lが表示される)。
また、後述の図10に示すように、例えば最初に白米選択用表示要素48−2A上をタッチ操作して、米の種類を「白米」に選択した後に、かまど名人選択用表示要素48−2F上をタッチ操作して、米の炊き方を「かまど名人」に選択した場合(つまり、「白米」と「かまど名人」を組み合わせた炊飯コースを選択した場合)は、第1層のガラス板72Aに配置される白米選択用表示要素48−2Aや、かまど名人選択用表示要素48−2Fと共に、炊飯時にご飯が炊き上がるまでの時間が時計用表示要素48−1Aに点灯表示され、さらに第2層のガラス板72Bに配置される炊き分け選択用表示要素48−1Fや、硬め調整用表示要素48−2Oや、柔らか目調整用表示要素48−2Pも同時に点灯表示される。このとき炊き分け選択用表示要素48−1Fは、現在設定または選択されているご飯の硬さを点滅表示する。こうして、どの層のガラス板72A,72Bであるのかに拘らず、複数の表示要素87を点灯および/または点滅させる構成となっている。
このように、本実施形態の表示部42となるLCD29は、複数の表示要素48を複数のガラス板72A,72Bによる階層別で表示する多層表示が可能な多層表示装置で構成される。そのため、1つの階層毎の表示要素48の数を減らし、限られたLCD29の表示範囲の中で、各表示要素48のサイズを大きくすることで、表示部42の視認性や、非押動型操作手段50へのタッチ操作時の操作性を向上させることができる。
またLCD29は、複数の表示要素48を階層とは関係無く表示させる構成としている。そのため、各階層の表示要素48を同一画面に表示させることが可能になり、LCD29としての機能の拡充を図ることができる。
本実施形態の全ての選択表示要素48−2には、同一の四角形(矩形)状の囲み部75が共通して設けられる。この囲み部75は、LCD29の上部で使用者がタッチ操作する領域を統一して明確に指示するものである。各々の選択表示要素48−2は、囲み部75の中に選択すべき文字や記号を配置して構成される。例えば、白米選択用表示要素48−2Aは、囲み部75の中に「白米」なる文字部76を配置して構成され、それが炊飯コースの米の種類として「白米」を選択させることを、使用者に文字で認識させることができる。
また、選択表示要素48−2に対応して、LCD29上でタッチ操作される増減キーは汎用性が高く、様々なシチュエーションで使用される。そこで本実施形態では、増減キーをタッチ操作する際の使用者の混乱を避けるために、時計用表示要素48−1Aの表示形態となる現在時刻や予約時刻を変更可能にするために、時計用表示要素48−1Aの左右両側に配置される時刻戻し調整用表示要素48−2Kおよび時刻進み調整用表示要素48−2Lと、炊き分け選択用表示要素48−1Fの表示形態となる炊き分け状態を変更可能にするために、炊き分け選択用表示要素48−1Fの一側下方に配置される硬め調整用表示要素48−2Oおよび柔らか目調整用表示要素48−2Pとを、別々に設けている。
さらに、本実施形態の時刻戻し調整用表示要素48−2Kは、囲み部75の中に「戻る」の文字部76と、下方向の矢印部77とを並べて配置して構成され、時刻進み調整用表示要素48−2Lは、囲み部75の中に「進む」の文字部76と、上方向の矢印部77とを並べて配置して構成される。このように、時刻の進み方向に合せた上方向の矢印部77を、時刻進み調整用表示要素48−2Lの囲み部75の中に配置させ、時刻の戻り方向に合せた下方向の矢印部77を、戻し調整用表示要素48−2Kの囲み部75の中に配置させることで、時計用表示要素48−1Aに表示される現在時刻や予約時刻を、使用者がLCD29上でタッチ操作により増減させる場合に、時刻調整に関する使用方法の迷いを解消することができ、炊飯器1としての操作性が向上する。
これに対して、炊き分け選択用表示要素48−1Fは、LCD29の横方向に延びて配置されることから、硬め調整用表示要素48−2Oは囲み部75の中に左方向の矢印部77を配置して構成され、柔らか目調整用表示要素48−2Pは囲み部75の中に右方向の矢印部77を配置して構成される。そのため、使用者がLCD29上でタッチ操作により、米の硬さの度合いを増減させる場合に、違和感なく好みの炊き分け状態を選択でき、やはり炊飯器1としての操作性が向上する。
なお、ここでいう「矢印部」の形状は、図示した鏃だけのものに限らず、線分の終端に鏃を設けたものでもよい。また、三角形状以外の鏃を「矢印部」としてもよい。
本実施形態では、表示・操作制御手段46に図示しない記憶手段を備え、炊飯キー52Aを押動操作すると、それまで選択された炊飯コースの米の種類や炊き方と、特定の炊飯コースでの炊上がり状態と、調整した予約時刻が記憶手段に設定記憶され、時刻戻し調整用表示要素48−2Kや時刻進み調整用表示要素48−2Lで時刻を調整した後に、決定用表示要素48−2Q上でタッチ操作を行なうと、その調整した現在時刻が記憶手段に設定記憶される。記憶手段に記憶保持された炊飯コースや炊き上がり状態の設定内容は、次の炊飯前に炊飯コースや炊き上がり状態を選択する際に読み出されて、LCD29に点滅状態で表示される。同様に、記憶手段に記憶保持された予約時刻の設定内容も、次の炊飯前に予約キー52Dを押動操作したときに読み出されて、LCD29に点滅状態で表示される。これにより、前回の設定内容を参考にして、次回の設定を短時間に行なうことが可能になる。
また本実施形態では、表示・操作制御手段46に図示しないタイマ手段を備え、このタイマ手段がカウントする現在時刻を、必要に応じてLCD29の時計用表示要素48−1Aに点灯表示する構成となっている。
次に、上記構成の炊飯器1について、その作用を図8〜図11に基づき説明する。炊飯器1を利用して炊飯を行なうには、鍋5内に被調理物として米および水を入れ、これを本体2の鍋収容部4にセットした後に、蓋体3を閉じる。それと前後して、炊飯器1の電源プラグをコンセントに差し込んで通電すると、炊飯器1は炊飯や保温が行われていない初期の切状態となる。図8は、このときの表示操作ユニット28の表示形態を示している。
初期の切状態では、予め設定記憶された炊飯コースが記憶手段から読み出され、前回の炊飯時に設定された例えば「白米」と「エコ炊飯」を組み合わせた炊飯コースに対応して、白米選択用表示要素48−2Aとエコ炊飯選択用表示要素48−2Jが、LCD29に点灯表示される。それと共に、現在時刻を表示する時計用表示要素48−1Aの他に、次にタッチ操作で現在時刻の調整を可能にする時計合わせ選択用表示要素48−2Mと、次にタッチ操作で別な炊飯コースの選択を可能にする選択用表示要素48−2Sが、LCD29に各々点灯表示され、それ以外の表示要素48は消灯する。また、全てのLED30も消灯する。ここで、LCD29上で何もタッチ操作を行わず、そのまま次に炊飯キー52を押動操作すれば、加熱手段となる加熱制御手段40と表示・操作制御手段46は、「白米」と「エコ炊飯」を組み合わせた炊飯コースの制御パターンに基づき、加熱コイル12や蓋ヒータ22やソレノイド37や減圧ポンプ39を各々制御して、鍋5に入れられた被調理物をご飯に炊き上げる炊飯動作が開始する。
一方、図8に示す初期の切状態で、「選択」なる文字部76を有する選択用表示要素48−2S上をタッチ操作すると、図9に示すように、LCD29の表示が炊飯コースの選択を可能にする炊飯コース選択画面に移行する。
このLCD29による炊飯コース選択画面では、選択可能なお米の種類として、白米選択用表示要素48−2Aと、無洗米選択用表示要素48−2Bと、玄米選択用表示要素48−2Cと、雑穀米選択用表示要素48−2Dと、麦ご飯選択用表示要素48−2Eが、現在時刻を表示する時計用表示要素48−1Aの上側に並べて同列に表示され、その中で現在選択されている白米選択用表示要素48−2Aだけが点滅して、その他の選択されていない表示要素48−2B〜48−2Eが点灯して表示される。また、現在選択された米の種類である「白米」について、選択可能な炊き方として、かまど名人選択用表示要素48−2Fと、甘み炊き選択用表示要素48−2Gと、炊込み選択用表示要素48−2Hと、おかゆ選択用表示要素48−2Iと、エコ炊飯選択用表示要素48−2Jが、現在時刻を表示する時計用表示要素48−1Aの下側に並べて同列に表示され、その中で現在選択されているエコ炊飯選択用表示要素48−2Jだけが点滅して、その他の選択されていない表示要素48−2F〜48−2Iが点灯して表示される。それ以外の表示要素48は消灯し、全てのLED30も消灯する。
ここで、LCD29の表示要素48−2B〜48−2E上の何れかをタッチ操作して、「白米」以外の米の種類を選択すると、その選択した米の種類について、選択可能な炊き方が、かまど名人選択用表示要素48−2Fと、甘み炊き選択用表示要素48−2Gと、炊込み選択用表示要素48−2Hと、おかゆ選択用表示要素48−2Iと、エコ炊飯選択用表示要素48−2Jと、白米混合選択用表示要素48−2Nの中から一乃至複数選択的に表示される。但し前述のように、上下に重なり合う炊込み選択用表示要素48−2Hと白米混合選択用表示要素48−2Nは、LCD29の視認性の低下を避けるために、どの米の種類を選択した場合でも、同時には表示されないようになっている。
また、米の種類を白米選択用表示要素48−2Aが点滅表示する「白米」に選択したまま、LCD29の表示要素48−2F〜48−2I上の何れかをタッチ操作すると、今度は「白米」の炊き方に関して、エコ炊飯選択用表示要素48−2Jが点滅表示する「エコ炊飯」から、タッチ操作に対応した別な炊き方に選択が切替わる。
図9に示す炊飯コース選択画面の切替わり直後は、前回の炊飯時に設定されていた「白米」で「エコ炊飯」となる炊飯コースが、対応する白米選択用表示要素48−2Aとエコ炊飯選択用表示要素48−2Jとにより、そのまま選択された状態として点滅表示される。
このように構成することで、前回の炊飯時に設定された炊飯コースの米の種類や炊き方を参考にして、そこから米の種類と炊き方に関する様々な炊飯コースを選択できる。また、炊飯コースに関する設定の変更が無ければ、図8に示す初期の切状態の画面から、そのまま炊飯キー52Aを押動すると炊飯動作が開始するため、選択の手間を省いて時間短縮ができる。
図9に示す炊飯コース選択画面で、米の種類を「白米」に選択したまま、炊き方の選択を「エコ炊飯」から「かまど名人」に変更するために、LCD29のかまど名人選択用表示要素48−2F上をタッチ操作すると、図10に示すように、LCD29の表示が炊き分け選択画面に移行する。なお、この炊き分け選択画面は、「白米」で「かまど名人」の炊飯コースを選択した場合だけでなく、「無洗米」で「かまど名人」の炊飯コースを選択した場合にも表示される。
図10に示す炊き分け選択画面では、選択した米の種類である「白米」に対応した白米選択用表示要素48−2Aや、選択した炊き方である「かまど名人」に対応したかまど名人選択用表示要素48−2Fに加えて、炊上がりのご飯の硬さを選択するための炊き分け選択用表示要素48−1Fが、時計用表示要素48−1Aの下部に表示され、その炊き分け選択用表示要素48−1Fの下部には、硬め調整用表示要素48−2Oと、柔らか目調整用表示要素48−2Pが並んで表示される。そして、炊き分け選択用表示要素48−1Fでは、前回の炊飯時に設定されていたご飯の硬さが、そのまま選択された状態として点滅表示される。それ以外の表示要素48は消灯し、全てのLED30も消灯する。
このように構成されることで、前回の炊飯時に設定されたご飯の硬さとなる炊き分けを参考にして、そこから所望するご飯の硬さを、硬め調整用表示要素48−2Oや柔らか目調整用表示要素48−2P上のタッチ操作で選択でき、この後に炊飯キー52Aを押動操作すれば、それまでに選択された炊飯コースや炊き分けが設定されて、炊飯動作を直ちに開始することができる。また、ご飯の炊き分けに関する設定の変更が無ければ、図10に示す炊き分け選択画面から、そのまま炊飯キー52Aを押動操作すると、やはりそれまでに選択された炊飯コースや炊き分けが設定されて炊飯動作が開始するため、選択の手間を省いて時間短縮ができる。
ここでの時計用表示要素48−1Aは、現在時刻ではなく、選択したご飯の硬さに応じた炊上がりまでの炊飯時間が目安として表示される。したがって、選択されたご飯の硬さの度合いを変更するために、硬め調整用表示要素48−2Oや柔らか目調整用表示要素48−2P上をタッチ操作すると、表示・操作制御手段46は新たに選択したご飯の硬さに対応して、炊き分け選択用表示要素48−1Fの点滅表示を左右に移動させ、また炊飯開始から炊上がりまでの炊飯時間を算出して、時計用表示要素48−1Aにその炊飯時間を表示させる。
図10に示す炊き分け選択画面から、予約キー52Dを押動操作すると、LCD29の表示は図11に示す予約炊飯設定画面に移行する。予約炊飯設定画面では、炊き分け選択画面で表示されていた白米選択用表示要素48−2Aや、かまど名人選択用表示要素48−2Fや、炊き分け選択用表示要素48−1Fや、硬め調整用表示要素48−2Oや、柔らか目調整用表示要素48−2Pに加えて、予約設定用表示要素48−1Dと、時刻戻し調整用表示要素48−2Kと、時刻進み調整用表示要素48−2LがLCD29に表示される。また、時計用表示要素48−1Aの表示が、炊き上がりまでの炊飯時間から、記憶手段から読み出された予約時刻に切替わり、その予約時刻が点滅状態で表示される。それ以外の表示要素48は消灯し、全てのLED30も消灯する。
このように構成されることで、前回の炊飯時に設定された予約時刻を参考にして、そこから所望する新たな予約時刻を、予約設定用表示要素48−1Dや時刻戻し調整用表示要素48−2K上のタッチ操作で増減調整でき、この後に炊飯キー52Aを押動操作すれば、それまでに選択された炊飯コースや炊き分けに加えて、新たな予約時刻が設定されて、予約時刻に被調理物が炊き上がるように炊飯動作を開始させることができる。また、予約時刻に関する設定の変更が無ければ、図11に示す炊き分け選択画面から、そのまま炊飯キー52Aを押動操作すると、やはりそれまでに選択された炊飯コースや炊き分けに加えて、元の予約時刻が設定されて、予約時刻に被調理物が炊き上がるように炊飯動作が開始するため、操作の手間を省いて時間短縮ができる。
また、加熱制御手段40は炊飯動作が開始して、加熱コイル12による鍋5内の被調理物への加熱制御が行われると、加熱基板組立41に搭載された温度検知素子からの検知信号を取り込み、その検知信号によりスイッチング素子65周辺の温度が所定温度以上に達したと判断すると、表示・操作制御手段46を介してLCD29のメンテナンス用表示要素48−1Eを点灯表示させる。これにより、炊飯器1の吸気口が塵などで塞がれて、そのゴミを除去するのに吸気口のお手入れが必要なことを、使用者に促すことができる。
以上のように、本実施形態では調理器の表示装置となる炊飯器1の表示操作ユニット28において、その表示操作ユニット28が表示部42と操作部43を有し、操作部43は、タッチ操作を感知する電極部として透明電極部49Aを備え、表示部42は、複数の表示要素48を有する液晶表示装置となるガラス板72A,72Bを複数重ねた多層表示装置としてのLCD29で構成され、表示部42の上部に操作部43を配置し、表示要素48は、何れも炊飯器1の情報を表示する非選択表示要素48−1と選択表示要素48−2とにより構成され、透明電極部49Aが、それぞれのガラス板72A,72Bに設けた選択表示要素48−2に重なるように配置されている。
この場合、表示部42のLCD29に設けられた表示要素48の中で、選択表示要素48−2だけが、その上部に重ねて配置した透明電極部49Aを利用してタッチ操作可能であるため、使用方法に迷いが生じることを抑制でき、またガラス板72A,72Bに配置できる表示要素48の数を確保しつつ、多層表示装置となるLCD29により、各表示要素48の範囲を可能な限り大きくすることができるため、誤操作を防止でき、また視認性や操作性を向上させることができる。
また本実施形態では、例えば第1層のガラス板72Aに配置される炊込み選択用表示要素48−2Hと、第2層のガラス板72Bに配置される白米混合選択用表示要素48−2Nのように、それぞれのガラス板72A,72Bで重なる位置に配設された表示要素48が複数同時に表示されないように、制御手段たる表示・操作制御手段46がLCD29の表示を制御する構成となっている。
こうした構成は、非選択表示要素48−1と選択表示要素48−2の何れにも適用され、同じ位置に配置された表示要素48において、表示が重なることによる視認性の低下を抑制できる。
また、本実施形態の非選択表示要素48−1は、一の液晶表示装置となる第1層のガラス板72Aに配置される第1非選択表示要素としての圧力用表示要素48−1Bと、他の前記液晶表示装置となる第2層のガラス板72Bに配置される第2非選択表示要素としての炊き分け選択用表示要素48−1Fとを有し、圧力用表示要素48−1Bと炊き分け選択用表示要素48−1Fが、上下に重ならない別な位置に設けられている。
このように、その上部でタッチ操作が行われない非選択表示要素48−1について、第1層のガラス板72Aに配置される圧力用表示要素48−1Bと、第2層のガラス板72Bに配置される炊き分け選択用表示要素48−1Fとを、重ね合わせずに表示させることができ、表示が重なることによる視認性の低下を抑制できる。
また、本実施形態の非選択表示要素48−1は、炊飯器1のメンテナンスが必要なときに表示されるメンテナンス用表示要素48−1Eを含んで構成される。
これにより、必要に応じて表示部42にメンテナンス用表示要素48−1Eを表示させることで、炊飯器1のお手入れなどを使用者に促すことができる。
また、本実施形態の非選択表示要素48−1は、第1層のガラス板72Aに配置される第1非選択表示要素としての時計用表示要素48−1Aと、第2層のガラス板72Bに配置される第2非選択表示要素としての炊き分け選択用表示要素48−1Fとを有し、選択表示要素48−2は、その上部に配設した透明電極部49Aをタッチ操作すると、時計用表示要素48−1Aの表示形態を変更可能にする第1選択表示要素としての時刻戻し調整用表示要素48−2Kおよび時刻進み調整用表示要素48−2Lと、これらの表示要素48−2K,48−2Lとは別な位置に設けられ、その上部に配設した透明電極部49Aをタッチ操作すると、炊き分け選択用表示要素48−1Fの表示形態を変更可能にする第2選択表示要素としての硬め調整用表示要素48−2Oおよび柔らか目調整用表示要素48−2Pとを有して、多層表示装置となるLCD29が構成される。
この場合、第1層のガラス板72Aに配置される時計用表示要素48−1Aの表示形態を変更する際に、その上部でタッチ操作が行われる時刻戻し調整用表示要素48−2Kや時刻進み調整用表示要素48−2Lと、第2層のガラス板72Bに配置される炊き分け選択用表示要素48−1Fの表示形態を変更する際に、その上部でタッチ操作が行われる硬め調整用表示要素48−2Oや柔らか目調整用表示要素48−2Pとを、別な位置に表示させることで、時計用表示要素48−1Aに表示される現在時刻や予約時刻の表示形態と、炊き分け選択用表示要素48−1Fに表示されるご飯の硬さに関する炊き分けの表示形態をそれぞれ変更するのに、同じ位置でタッチ操作が行われることによる使用方法の迷いを解消することができる。
また、本実施形態の選択表示要素48−2には、それぞれ同一の四角形状の囲み部75が統一して設けられている。
このようにすると、その上部でタッチ操作される選択表示要素48−2の形状を、四角形の囲み部75で統一して明確にすることで、炊飯器1としての操作性の向上を図ることができる。
また、本実施形態の非選択表示要素48−1は、現在時刻や予約時刻などの時刻を表示する時計用表示要素48−1を含み、選択表示要素48−2は、その上部に配設した透明電極部49Aをタッチ操作すると、時計用表示要素48−1に表示される時刻の調整を可能にする時刻調整用表示要素として、時刻戻し調整用表示要素48−2Kおよび時刻進み調整用表示要素48−2Lを含み、時刻戻し調整用表示要素48−2Kは下方向の矢印部77を囲み部75に囲んで構成され、時刻進み調整用表示要素48−2Lは、上方向の矢印部77を囲み部75に囲んで構成されている。
この場合、時刻戻し調整用表示要素48−2Kや時刻進み調整用表示要素48−2Lの上部をタッチ操作して、時計用表示要素48−1に表示される現在時刻や予約時刻などの時刻を増減させる場合に、時刻の戻り方向に合せた下方向の矢印部77を、時刻戻し調整用表示要素48−2Kの囲み部75の中に配置し、時刻の戻り方向に合せた上方向の矢印部77を、時刻進み調整用表示要素48−2Lの囲み部75の中に配置することで、時刻調整に関する使用方法の迷いを解消することができる。
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更可能である。本実施形態では炊飯器を例に挙げて説明したが、本願発明はこれに限定されず、例えばIH(誘導加熱)調理器、オーブンレンジなど、様々な調理器の表示装置に適用できる。したがって、明細書中の「炊飯」や「保温」という文言は、何れも「調理」と置き換えることができる。また操作部43として、静電容量式以外の各種方式によるタッチセンサー49を適用しても構わない。