JP2018116817A - リチウムイオン二次電池用正極活物質およびその製造方法ならびにリチウムイオン二次電池 - Google Patents

リチウムイオン二次電池用正極活物質およびその製造方法ならびにリチウムイオン二次電池 Download PDF

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源衛 中嶋
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章 軍司
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Abstract

【課題】従来よりも高い電極密度の正極を得ることが可能なリチウムイオン二次電池用正極活物質を提供する。【解決手段】層状構造の結晶構造を有し、特定の組成式で表されるリチウム遷移金属複合酸化物からなるリチウムイオン二次電池用正極活物質である。正極活物質は、粒度分布の極大ピークが10μm以上の第1活物質粒子群と、粒度分布の極大ピークが3μm以下の第2活物質粒子群とを含み、粒度分布が2以上の極大ピークを有している。第1活物質粒子群は、短径DSと長径DLが不等式DS/DL≧0.8を満たす球状粒子を主体とし、第2活物質粒子群は、短径DSと長径DLが不等式DS/DL<0.8を満たす不定形粒子を主体とする。【選択図】図1

Description

本発明は、リチウムイオン二次電池用正極活物質およびその製造方法ならびにリチウムイオン二次電池に関する。
従来から、負極と、リチウムおよび遷移金属からなる複合酸化物を正極活物質として塗布成形した正極と、その間にセパレータを配し、非水電解質を充填したリチウム二次電池の正極活物質が知られている(下記特許文献1を参照)。特許文献1に記載された正極活物質は、遷移金属化合物とリチウム化合物と水とを所定割合で混合してスラリーを作製し、このスラリーを、4流体ノズルを備えた噴霧乾燥装置を用いて噴霧乾燥し、焼成することにより得られた球状粒子である。この球状粒子の平均粒径は、1〜20μmで、かつ最大粒径が50μm以下であり、その粒度分布に複数のピ−クを持つ。
また、特定のリチウム複合酸化物粒子から構成され、該リチウム複合酸化物粒子の平均粒子径が0.1〜50μmの範囲内にあり、該リチウム複合酸化物粒子の粒度分布にピークが2個以上存在する正極活物質が開示されている(下記特許文献2を参照)。特許文献2に記載された正極活物質は、リチウム複合酸化物粒子の粒度分布の粒径の大きい方のピークと、粒径の小さい方のピークの粒径比が1.4以上である。また、平均粒子径の大きい方のリチウム複合酸化物の配合割合が70〜80質量%であり、平均粒子径の小さい方のリチウム複合酸化物粒子の配合割合が20〜30質量%である。
また、特定の化合物からなる群から選択される一つ以上の大粒径活物質、および他の特定の化学式の化合物および炭素系物質からなる群から選択される一つ以上の小粒径活物質を含む複合正極活物質が開示されている(下記特許文献3を参照)。特許文献3に記載された複合正極活物質は、大粒径活物質に対する小粒径活物質の平均粒径D50の比が6:1ないし100:1である。
また、リチウム含有遷移金属化合物粉体Aと、層状構造を有し、Liおよび遷移金属としてNiとCoを含有するリチウム含有遷移金属複合酸化物粉体Bとを混合してなるリチウム二次電池用正極活物質材料が開示されている(下記特許文献4を参照)。特許文献4に記載されたリチウム含有遷移金属化合物粉体Aは、スラリー調製工程と、噴霧乾燥工程と、焼成工程とを少なくとも含む製造方法により得られる。
前記スラリー調製工程では、リチウム化合物と、Mn、Ni、およびCoを含む1種類以上の遷移金属化合物と、焼成時の粒成長および焼結を抑制する添加剤とを、液体媒体中で粉砕し、これらを均一に分散させたスラリーを得る。前記噴霧乾燥工程では、得られたスラリーを噴霧乾燥して噴霧乾燥粉体を得る。前記焼成工程では、得られた噴霧乾燥粉体を焼成する。
特開2009−4386号公報 特開2006−318926号公報 特開2006−228733号公報 特開2009−32647号公報
たとえば、リチウムイオン二次電池の高性能化にともなって、従来よりも高い電極密度の正極を得ることが可能なリチウムイオン二次電池用の正極活物質が求められている。本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、従来よりも高い電極密度の正極を得ることが可能なリチウムイオン二次電池用正極活物質およびその製造方法、ならびにその正極活物質を含む正極を備えたリチウムイオン二次電池を提供することを目的とする。
前記目的を達成すべく、本発明のリチウムイオン二次電池用正極活物質は、層状構造の結晶構造を有し、下記組成式(1)で表されるリチウム遷移金属複合酸化物からなるリチウムイオン二次電池用正極活物質であって、粒度分布が2以上の極大ピークを有し、前記極大ピークが10μm以上の第1活物質粒子群と、前記極大ピークが3μm以下の第2活物質粒子群とを含み、前記第1活物質粒子群は、短径Dと長径Dが不等式D/D≧0.8を満たす球状粒子を主体とし、第2活物質粒子群は、短径Dと長径Dが不等式D/D<0.8を満たす不定形粒子を主体とすることを特徴とする。
Li1+aNiMnCo2+α …(1)
ただし、前記組成式(1)において、Mは、Mg、Al、Ti、Zr、MoおよびNbからなる群より選択される少なくとも1種の元素であり、a、b、c、d、eおよびαは、それぞれ、−0.1≦a≦0.2、0.7<b<1.0、0≦c<0.3、0≦d<0.3、0≦e≦0.3、b+c+d+e=1、−0.2≦α≦0.2を満たす数である。
本発明によれば、従来よりも高い電極密度の正極を得ることが可能になるリチウムイオン二次電池用正極活物質およびその製造方法ならびにその正極活物質を備えたリチウムイオン二次電池を提供することができる。
リチウムイオン二次電池用正極活物質の粒度分布の一例を示すグラフ。 第1活物質粒子群を構成する球状粒子の一例を示す電子顕微鏡写真。 第2活物質粒子群を構成する不定形粒子の一例を示す電子顕微鏡写真。 第3活物質粒子群を構成する球状粒子の一例を示す電子顕微鏡写真。 リチウムイオン二次電池用正極活物質の製造方法の一例を示すフロー図。 図5に示す第1造粒工程に用いられる噴霧乾燥装置の一例を示す模式図。 変形例1のリチウムイオン二次電池用正極活物質の製造方法のフロー図。 変形例2のリチウムイオン二次電池用正極活物質の製造方法のフロー図。 変形例3のリチウムイオン二次電池用正極活物質の製造方法のフロー図。 変形例4のリチウムイオン二次電池用正極活物質の製造方法のフロー図。 変形例5のリチウムイオン二次電池用正極活物質の製造方法のフロー図。 リチウムイオン二次電池の一例を示す模式的な部分断面図。
以下、図面を参照して本発明のリチウムイオン二次電池用正極活物質およびその製造方法ならびにリチウムイオン二次電池の実施の形態を説明する。
[リチウムイオン二次電池用正極活物質]
本発明の実施形態に係るリチウムイオン二次電池用正極活物質は、層状構造の結晶構造を有し、下記組成式(1)で表されるリチウム遷移金属複合酸化物からなるリチウムイオン二次電池用正極活物質である。
Li1+aNiMnCo2+α …(1)
ただし、前記組成式(1)において、Mは、Mg、Al、Ti、Zr、MoおよびNbからなる群より選択される少なくとも1種の元素であり、a、b、c、d、eおよびαは、それぞれ、−0.1≦a≦0.2、0.7<b<1.0、0≦c<0.3、0≦d<0.3、0≦e≦0.3、b+c+d+e=1、−0.2≦α≦0.2を満たす数である。
図1は、横軸を粒子径[μm]とし、縦軸を頻度[%]として、本実施形態のリチウムイオン二次電池用正極活物質の粒度分布の一例を示すグラフである。
本実施形態のリチウムイオン二次電池用正極活物質は、粒度分布の極大ピークが10μm以上の第1活物質粒子群と、粒度分布の極大ピークが3μm以下の第2活物質粒子群とを含み、粒度分布が2以上の極大ピークを有している。このようにリチウムイオン二次電池用正極活物質の粒度分布が2以上の極大ピークを有することで、正極活物質を用いて正極を構成する際に、第1活物質粒子群の粒子間の空隙に第2の活物質粒子群が充填される構造となり、高い電極密度の正極を構成しやすくなる。第1活物質粒子群は、短径Dと長径Dが不等式D/D≧0.8を満たす球状粒子Ps(図2参照)を主体としている。第2活物質粒子群は、短径Dと長径Dが不等式D/D<0.8を満たす不定形粒子Pa(図3参照)を主体としている。
ここで、リチウムイオン二次電池用正極活物質、ならびに第1活物質粒子群および第2活物質粒子群の粒度分布は、たとえばレーザー回折/散乱式粒度分布測定装置によって測定することができる。また、粒度分布の極大ピークとは、たとえば、横軸を粒子径[μm]、縦軸を頻度[%]とする体積基準の粒度分布のグラフの極大値における粒子径である。
図1に示す例において、リチウムイオン二次電池用正極活物質は、粒度分布の極大ピークが21μmである第1活物質粒子群と、粒度分布の極大ピークが2.7μmである第2活物質粒子群とを含んでいる。その結果、リチウムイオン二次電池用正極活物質の粒度分布は、粒子径2.7μmと21μmにおける2つの極大ピークを有している。
このように、図1に示す例において、リチウムイオン二次電池用正極活物質の粒度分布の2以上の極大ピークは、少なくとも一つ以上の極大ピークが10μm以上であり、少なくとも一つ以上の極大ピークが3μm以下である。なお、粒度分布に複数の10μm以上の極大ピークが存在する場合、最も頻度の大きな極大ピークを第1活物質粒子群とすることができる。また、粒度分布に複数の3μm以下の極大ピークが存在する場合、最も頻度の大きな極大ピークを第2活物質粒子群とすることができる。
図2は、第1活物質粒子群を構成する球状粒子Psの一例を示す電子顕微鏡写真である。図3は、第2活物質粒子群を構成する不定形粒子Paの一例を示す電子顕微鏡写真である。第1活物質粒子群および第2活物質粒子群が、それぞれ、球状粒子Psおよび不定形粒子Paを主体とするとは、たとえば次の条件を満たすことを意味する。
すなわち、第1活物質粒子群の任意の領域を走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope:SEM)によって観察したときに、長径Dと短径Dとの比D/Dが0.8以上(D/D≧0.8)である粒子が当該領域における粒子の全個数の50%以上の個数で観察される場合である。この場合、第1活物質粒子群は、球状粒子Psが主体である。このように、粒度分布の極大ピークが10μm以上の第1活物質粒子群の主体が球状粒子Psであることにより、粒子の流動性に優れ、理想的な充填状態になりやすい。
同様に、第2活物質粒子群の任意の領域をSEMによって観察したときに、長径Dと短径Dとの比D/Dが0.8未満(D/D<0.8)である粒子が、当該領域において観察された粒子の全個数の50%以上の個数で観察される場合である。この場合、第2活物質粒子群は、不定形粒子Paが主体である。このように、粒度分布の極大ピークが3μm以下の第2活物質粒子群の主体が不定形粒子Paであることにより、嵩密度を高くすることができる。一方、粒度分布の極大ピークが3μm以下の第2活物質粒子群の主体が球状粒子である場合には、粒子間に空隙ができやすく、嵩密度が低くなりやすい。
本実施形態のリチウムイオン二次電池用正極活物質は、これら流動性に優れる第1活物質粒子群と、嵩密度を高くすることができる第2活物質粒子群とを含むことで、正極を従来よりも高密度化させることが可能になる。
図2に示すように、第1活物質粒子群を構成する球状粒子Psは、複数の一次粒子が凝集して一体化した二次粒子であり、長径Dまたは短径Dに対する粒子表面の凹凸が極めて小さく、比較的に滑らかな球面状の表面を有している。なお、第1活物質粒子群は、単一の一次粒子からなる球状粒子Psを含んでもよい。球状粒子Psの表面の凹凸の高さは、たとえば短径Dの5%以下であり、たとえば短径Dの1%以下である。ここで、球状粒子Psの長径Dおよび短径Dとは、それぞれ、SEMによって観察された画像における当該球状粒子Psの最大寸法および最小寸法である。
図3に示すように、第2活物質粒子群を構成する不定形粒子Paは、複数の一次粒子が凝集して一体化した二次粒子であり、長径Dまたは短径Dに対する粒子表面の凹凸が大きく、複数の一次粒子の塊が繋がった不規則な形状を有している。なお、第2活物質粒子群は、単一の一次粒子からなる不定形粒子Paを含んでもよい。不定形粒子Paの表面の凹凸の高さは、たとえば短径Dの5%超であり、たとえば短径Dの10%以上である。ここで、不定形粒子Paの長径Dおよび短径Dとは、それぞれ、SEMによって観察された画像における当該不定形粒子Paの最大寸法および最小寸法である。
リチウムイオン二次電池用正極活物質は、図1に示すように、粒度分布の極大ピークが4μm以上、10μm未満の第3活物質粒子群をさらに含むことができる。この場合、リチウムイオン二次電池用正極活物質の粒度分布は、3以上の極大ピークを有することになる。第3活物質粒子群は、第1活物質粒子群と同様に、短径Dと長径Dが不等式D/D≧0.8を満たす球状粒子Psを主体としている。第3活物質粒子群の粒度分布も、たとえば、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置によって測定することができる。
リチウムイオン二次電池用正極活物質は、第1活物質粒子群および第2活物質粒子群に加えて、図1に示すように、たとえば粒度分布の極大ピークが5.3μmである第3活物質粒子群を含むことができる。この場合、リチウムイオン二次電池用正極活物質の粒度分布は、粒子径2.7μmと21μmと5.3μmにおける3つの極大ピークを有することになる。なお、リチウムイオン二次電池用正極活物質は、さらに粒度分布の極大ピークを異なる粒子径において有する他の活物質粒子群を含んでもよく、4つ以上の極大ピークを有していてもよい。
このように、第3活物質粒子群の粒度分布の極大ピークが4μm以上、10μm未満であることにより、第1活物質粒子群の粒子間の空隙を、第2活物質粒子群の粒子と第3活物質粒子群の粒子によって効率的に充填できるようになる。したがって、リチウムイオン二次電池用正極活物質が第3活物質粒子群を含む場合には、正極をより高密度化することが可能になる。
図4は、第3活物質粒子群を構成する球状粒子Psの一例を示す電子顕微鏡写真である。第3活物質粒子群を構成する球状粒子Psは、複数の一次粒子が凝集して一体化した二次粒子であり、長径Dまたは短径Dに対する粒子表面の凹凸が極めて小さく、比較的に滑らかな球面状の表面を有している。第3活物質粒子群は、球状粒子Psを主体として構成されているため、第1活物質粒子群と同様に高い流動性を有し、理想的な充填状態になりやすい。なお、第3活物質粒子群は、単一の一次粒子からなる球状粒子Psを含んでもよい。ここで、球状粒子Psの長径Dおよび短径Dとは、それぞれ、SEMによって観察された画像における当該球状粒子Psの最大寸法および最小寸法である。
図1に示す例において、リチウムイオン二次電池用正極活物質に含まれる第1活物質粒子群は、粒度分布の極大ピークの強度X1がおおむね19%である。また、図1に示す例において、リチウムイオン二次電池用正極活物質に含まれる第2活物質粒子群は、粒度分布の極大ピークの強度X2がおおむね14%である。よって、これら第1活物質粒子群と第2活物質粒子群のピーク強度の比X2/X1は、おおむね0.73である。しかし、リチウムイオン二次電池の正極における電極密度の高密度化の観点から、第1活物質粒子群と第2活物質粒子群の粒度分布の極大ピークの強度の比X2/X1は、0.3以下であることが望ましい。このような条件を満たすことで、第1活物質粒子群の粒子間の空隙に第2活物質粒子群の粒子を効率よく充填することが可能になる。
[リチウムイオン二次電池用正極活物質の製造方法]
以下、本発明のリチウムイオン二次電池用正極活物質の製造方法の一実施形態について、前述のリチウムイオン二次電池用正極活物質の製造方法を例に挙げて説明する。
図5は、本実施形態のリチウムイオン二次電池用正極活物質の製造方法Mに含まれる工程を示すフロー図である。本実施形態のリチウムイオン二次電池用正極活物質の製造方法Mは、前述のように、層状構造の結晶構造を有し、前記組成式(1)で表されるリチウム遷移金属複合酸化物からなるリチウムイオン二次電池用正極活物質の製造方法である。本実施形態のリチウムイオン二次電池用正極活物質の製造方法Mは、主に、粉砕混合工程S1と、第1造粒工程S2aと、第2造粒工程S2bと、焼成工程S3とを含んでいる。
(粉砕混合工程)
粉砕混合工程S1は、Li(リチウム)を含む化合物と、前記組成式(1)のLi以外の各金属元素をそれぞれ含む複数の化合物とを粉砕混合してスラリー状の混合物を得る工程である。粉砕混合工程S1では、たとえばLi以外の金属元素を含む出発原料と、炭酸リチウムを80質量%以上含むリチウム原料とを粉砕混合してスラリー状の混合物を得る。
Li以外の金属元素(Ni、Mn、CoおよびM)を含む原料としては、当該金属元素の炭酸塩、水酸化物、オキシ水酸化物、酢酸塩、クエン酸塩、酸化物等、金属元素とC、H、O、Nで構成された化合物から適宜選択することができる。粉砕のし易さおよび熱分解後のガス放出量の観点から、炭酸塩および水酸化物が特に望ましい。
粉砕混合工程S1では、前記組成式(1)に対応する所定の元素組成となる比率で秤量した出発原料を混合して原料粉末が調製される。出発原料としては、Liを含む化合物(Li含有原料)のほか、Niを含む化合物(Ni含有原料)、Mnを含む化合物(Mn含有原料)、Coを含む化合物(Co含有原料)、およびMを含む化合物(M含有原料)を用いることができる。
Li含有原料としては、たとえば炭酸リチウムを用いることができる。炭酸リチウムは、酢酸リチウム、硝酸リチウム、水酸化リチウム、塩化リチウム、硫酸リチウム等、他のLi含有化合物と比較して、供給安定性に優れ、コストが低く、弱アルカリであることから製造装置へのダメージが少なく、工業利用性および実用性に優れている。
Ni含有原料、Mn含有原料およびCo含有原料としては、たとえば、Ni、MnおよびCoのそれぞれの酸化物、水酸化物、炭酸塩、硫酸塩、または酢酸塩等を用いることができる。Ni含有原料、Mn含有原料およびCo含有原料としては、特に、酸化物、水酸化物、または炭酸塩を用いることが好ましい。また、M含有化合物としては、たとえば、Mの酢酸塩、硝酸塩、炭酸塩、硫酸塩、酸化物、または水酸化物等を用いることができ、特に、Mの炭酸塩、酸化物、または水酸化物を用いることが好ましい。
粉砕混合工程S1では、前述の出発原料を、たとえば粉砕機によって粉砕して混合することができる。これにより、均一に混合された粉末状の固体混合物を調製することができる。出発原料としての化合物を粉砕する粉砕機としては、ボールミル、ジェットミル、ロッドミル、サンドミル等の精密粉砕機を用いることができる。粉砕方法としては、水等の液体中で出発原料を粉砕する湿式法と、液体を使用せずに出発原料を粉砕する乾式法のいずれかを採用することができる。粒子径の小さな粉砕混合粉を調製する観点から、湿式法が望ましい。すなわち、粉砕混合工程S1では、湿式法によって出発原料を粉砕してスラリー状の混合物を得ることができる。
(第1造粒工程)
図6は、第1造粒工程S2aに用いられる噴霧乾燥装置SDの一例を示す模式図である。噴霧乾燥装置SDは、たとえばノズル式やディスク式等、種々の噴霧乾燥方法を採用することができる。たとえば、ノズル式の噴霧乾燥方法では、比較的に粒子径の小さな二次粒子を造粒することができ、ディスク式の噴霧乾燥方法では、比較的に粒子径の大きな二次粒子を造粒することができる。
たとえば、噴霧乾燥装置SDに供給するスラリー状の混合物RMの濃度を制御することによって、造粒される二次粒子の粒子径を制御することができる。さらに、ノズル式の噴霧乾燥方法では、たとえば噴霧圧を制御することによって、また、ディスク式の噴霧乾燥方法では、ディスクの回転数を制御することによって、造粒される二次粒子の粒子径を制御することができる。
第1造粒工程S2aは、粉砕混合工程S1で得られたスラリー状の混合物RMを、たとえば噴霧乾燥装置SDによって噴霧乾燥させることで、当該混合物RMを構成する複数の一次粒子を凝集させ、球状粒子Psを主体とする第1活物質粒子前駆体を造粒する工程である。第1活物質粒子前駆体は、一次粒子が凝集した二次粒子であり、粒度分布の極大ピークが10μm以上で短径Dと長径Dが不等式D/D≧0.8を満たす球状粒子である。
具体的には、第1造粒工程S2aでは、粉砕混合工程S1で得られたスラリー状の混合物RMと空気Aを噴霧乾燥装置SDに供給し、噴霧乾燥装置SDの蒸発器EVに混合物RMを噴霧する。蒸発器EVの内部に噴霧された混合物RMは、蒸発器EV内の高温の空気Aによって水分が瞬時に蒸発し、当該混合物RMを構成する複数の一次粒子が凝集した二次粒子が造粒される。蒸発器EVで造粒された二次粒子は、前述の球状粒子を主体とする第1活物質粒子前駆体を含んでいる。
蒸発器EVで造粒された二次粒子は、蒸発器EVに接続された配管P1を介してサイクロンCYに投入される。第1造粒工程S2aでは、サイクロンCYに投入された二次粒子の一部を、サイクロンCYの下方に接続された捕集容器C1によって捕集することで、前述の球状粒子を主体とする第1活物質粒子前駆体を得ることができる。
(第2造粒工程)
第2造粒工程S2bは、粉砕混合工程S1で得られたスラリー状の混合物RMを、たとえば噴霧乾燥装置SDによって噴霧乾燥させることで、当該混合物RMを構成する複数の一次粒子を凝集させ、不定形粒子を主体とする第2活物質粒子前駆体を造粒し、バグフィルターBFで捕集する工程である。第2活物質粒子前駆体は、スラリー状の混合物RMを構成する一次粒子が凝集した二次粒子であり、粒度分布の極大ピークが3μm以下で短径Dと長径Dが不等式D/D<0.8を満たす不定形粒子である。
具体的には、第2造粒工程S2bでは、第1造粒工程S2aと同様にスラリー状の混合物RMが蒸発器EVの内部に噴霧され、当該混合物RMを構成する複数の一次粒子が凝集した二次粒子が造粒される。蒸発器EVで造粒された二次粒子は、前述の不定形粒子を主体とする第2活物質粒子前駆体を含んでいる可能性がある。また、第2造粒工程S2bでは、蒸発器EVで造粒され、蒸発器EVに接続された配管P1を介してサイクロンCYに投入された二次粒子の一部を、サイクロンCYの上部に接続された配管P2を介してバグフィルターBFに投入して捕集する。これにより、前述の不定形粒子を主体とする第2活物質粒子前駆体を得ることができる。
このように、第2造粒工程S2bでは、蒸発器EVで造粒された二次粒子は、蒸発器EVから排出されてサイクロンCYに投入され、さらにサイクロンCYの上部から排出されて、バグフィルターBFによって捕集される。その過程で、二次粒子の一部は、たとえばサイクロンCYの遠心力によって破損し、前述の不定形粒子を主体とする第2活物質粒子前駆体になる可能性がある。また、バグフィルターBFは、噴霧乾燥装置SDの最も下流側で粒子を捕集するため、比較的に軽く、嵩密度が低く、粒子径の小さい粒子が捕集される。
以上のように、本実施形態のリチウムイオン二次電池用正極活物質の製造方法Mでは、第1造粒工程S2aおよび第2造粒工程S2bを、噴霧乾燥装置SDを用いて並行して行うことができる。すなわち、噴霧乾燥装置SDは、噴霧乾燥によって造粒した粒子を捕集する位置によって粒子の形状が異なる。サイクロンCYでは、たとえばレーザー回折/散乱式粒度分布測定装置によって測定した体積基準の粒度分布の極大ピークが4μm以上の粒子径となる球状粒子が得られる。一方、バグフィルターBFでは、たとえばレーザー回折/散乱式粒度分布測定装置によって測定した体積基準の粒度分布の極大ピークが3μm以下の粒子径となる不定形粒子が得られる。
(焼成工程)
焼成工程S3は、前述の第1造粒工程S2aで得られた第1活物質粒子前駆体と、前述の第2造粒工程S2bで得られた第2活物質粒子前駆体を、650℃以上、900℃以下で焼成する工程である。すなわち、焼成工程S3は、第1活物質粒子前駆体と第2活物質粒子前駆体を焼成して前記組成式(1)で表されるリチウム複合化合物を得る工程である。焼成工程S3において、第1活物質粒子前駆体と第2活物質粒子前駆体の焼成は、後述する変形例1のように、これらを混合して同時に焼成してもよいし、後述する変形例2のように、これらを個別に焼成した後に混合してもよい。焼成工程S3は、たとえば、第1熱処理工程と、第2熱処理工程と、第3熱処理工程と、を有することができる。
第1熱処理工程では、第1活物質粒子前駆体および第2活物質粒子前駆体を200℃以上かつ400℃以下の熱処理温度で0.5時間以上かつ5時間以下にわたって熱処理することで第1熱処理済前駆体を得る。第1熱処理工程は、第1活物質粒子前駆体および第2活物質粒子前駆体から、正極活物質の合成反応を妨げる水分などの気化成分を除去することを主な目的として行われる。すなわち、第1熱処理工程は、第1活物質粒子前駆体と第2活物質粒子前駆体の水分を除去する脱水のための熱処理工程である。
第1熱処理工程では、熱処理される第1活物質粒子前駆体および第2活物質粒子前駆体に含まれる気化成分、たとえば、水分、不純物、熱分解に伴う揮発成分等が、気化、燃焼、揮発するなどしてガスが発生する。また、第1熱処理工程では、熱処理される第1活物質粒子前駆体および第2活物質粒子前駆体が炭酸リチウム等の炭酸塩を含むため、炭酸塩の熱分解に伴う炭酸ガスも発生する。
第1熱処理工程において、熱処理温度が200℃未満であると、不純物の燃焼反応や出発原料の熱分解反応が不十分となる場合がある。また、第1熱処理工程において熱処理温度が400℃を超えると、熱処理によって第1活物質粒子前駆体および第2活物質粒子前駆体から発生したガスを含む雰囲気下で、前記組成式(1)で表されるリチウム複合化合物の層状構造が形成されてしまうおそれがある。したがって、第1熱処理工程において、200℃以上かつ400℃以下の熱処理温度で第1活物質粒子前駆体および第2活物質粒子前駆体を熱処理することで、水分などの気化成分が十分に除去され、かつ、未だ層状構造が形成されていない第1熱処理済前駆体を得ることができる。
また、第1熱処理工程において、熱処理温度が250℃以上かつ400℃以下、より好ましくは250℃以上かつ380℃以下の範囲内であれば、水分などの気化成分の除去効果と層状構造の形成を抑制する効果とをより向上させることができる。また、第1熱処理工程における熱処理時間は、たとえば、熱処理温度、気化成分の除去の度合い、層状構造の形成の抑制の度合い等に応じて、適宜変更することができる。
第1熱処理工程では、熱処理される第1活物質粒子前駆体および第2活物質粒子前駆体から発生するガスの排気を目的として、雰囲気ガスの気流下やポンプによる排気下で熱処理することが好ましい。雰囲気ガスの1分間あたりの流量またはポンプによる1分間あたりの排気量は、第1活物質粒子前駆体および第2活物質粒子前駆体から発生するガスの体積よりも多いことが好ましい。第1熱処理工程で熱処理される第1活物質粒子前駆体および第2活物質粒子前駆体から発生するガスの体積は、たとえば、これらの前駆体に含まれる出発原料の質量と気化成分の比率等に基づいて算出することができる。
また、第1熱処理工程は、大気圧以下の減圧下で行ってもよい。また、第1熱処理工程は、酸化反応を主な目的としていないため、第1熱処理工程の酸化性雰囲気は大気であってもよい。第1熱処理工程の酸化性雰囲気として大気を用いることで、熱処理装置の構成を簡略化し、雰囲気の供給を容易にして、正極活物質の生産性を向上させて製造コストを低減することができる。また、第1熱処理工程の熱処理の雰囲気は、酸化性雰囲気に限られず、たとえば不活性ガス等の非酸化性雰囲気であってもよい。
焼成工程S3では、前述の第1熱処理工程の終了後に第2熱処理工程を行うことができる。この場合、第1熱処理工程の終了後に、第1熱処理工程で用いた酸化性雰囲気を排気し、新たな酸化性雰囲気を導入して第2熱処理済前駆体の形成処理を行うようにしてもよい。このようにガス置換を行うことにより、第1熱処理工程の熱処理で出発原料の第1活物質粒子前駆体および第2活物質粒子前駆体から発生したガスが、第2熱処理工程に影響を及ぼすことを防止できる。また、第1熱処理工程の後に、第1熱処理済前駆体を熱処理装置から一旦取り出して、再び熱処理装置内に入れるようにしてもよい。また、第1熱処理工程の熱処理時または熱処理後に排気を行う場合には、第1熱処理工程と第2熱処理工程とを連続的に行ってもよい。
第2熱処理工程では、第1熱処理工程で得られた第1熱処理済前駆体を、450℃以上かつ800℃以下の熱処理温度で0.5時間以上かつ50時間以下にわたって酸化性雰囲気下で熱処理し、炭酸リチウムの92質量%以上を反応させて第2熱処理済前駆体を得る。第2熱処理工程は、第1熱処理済前駆体中の炭酸リチウムをリチウム酸化物にすること、また、炭酸リチウムと遷移金属とを反応させ、組成式LiM´O(M´は、Ni、Co、Mn等の元素を示す。)で表される層状構造の化合物を合成し、炭酸成分を除去することを主な目的として行われる。すなわち、第2熱処理工程は、第1熱処理済前駆体中の炭酸成分の除去を行う熱処理工程である。
前記組成式(1)中のNiの含有率を示すbの範囲が0.7以上、1.0未満であるNi高濃度の正極活物質に高容量を発現させるためには、焼成工程S3においてNiの価数を2価から3価へ酸化させる必要がある。2価のNiは、層状構造LiM´Oにおいて容易にLi位置を占有してしまい、正極活物質の容量を低下させる原因となる。そのため、焼成工程S3において、第1活物質粒子前駆体および第2活物質粒子前駆体を酸化性雰囲気下で焼成し、Niの酸化数をNi2+からNi3+へ変化させる。また、炭酸ガスは下記反応式(2)の反応の進行を阻害してしまい、正極活物質の容量を低下させる原因となる。そのため、焼成工程S3において、炭酸ガスを可能な限り含まない雰囲気で焼成することが好ましい。
LiCO+2M´O+0.5O→2LiM´O+CO…(2)
第2熱処理工程では、第3熱処理工程でのNi酸化反応を促進させるために、主な炭酸ガス源である炭酸リチウムを分解させ、第3熱処理工程における炭酸ガスの発生量を可能な限り低減する。前記反応式(2)の反応を促進させるために、第2熱処理工程の熱処理の雰囲気は、酸素を含む酸化性雰囲気であり、酸素濃度が80%以上であることが好ましく、酸素濃度が90%以上であることがより好ましく、酸素濃度が95%以上であることがさらに好ましく、酸素濃度が100%であることがさらにより好ましい。また、前記反応式(2)の反応を逐次進行させるためには、第2熱処理工程の熱処理時に酸素を連続的に供給することが好ましく、酸化性雰囲気ガスの気流下で熱処理を行うことが好ましい。
第2熱処理工程では、第3熱処理工程における第2熱処理済前駆体のNi酸化反応を円滑に進行させるために、出発原料に由来する残渣を十分に低減する必要がある。したがって、第2熱処理工程では、前記組成式(1)の金属成分比になるように原料を秤量し、混合して造粒した第1活物質粒子前駆体および第2活物質粒子前駆体に含まれる炭酸リチウムのうち92質量%以上を反応させる。第2熱処理工程で、各活物質粒子前駆体に含まれる炭酸リチウムのうち92質量%以上を反応させることによって、第3熱処理工程での炭酸ガス発生量を低減することができ、前記反応式(2)の反応とNiの酸化反応とを促進することができる。
さらに、第2熱処理工程において、第1活物質粒子前駆体および第2活物質粒子前駆体に含まれる炭酸リチウムの92質量%以上を反応させることで、第3熱処理工程において、融解して液相になる炭酸リチウムの液相化量が低減されて結晶粒の成長が抑制され、高温での焼成が可能となる。その結果、充放電サイクル特性が良好な正極活物質が得られる。また、第2熱処理工程では、第1活物質粒子前駆体および第2活物質粒子前駆体に含まれる炭酸リチウムのうち97質量%以上を反応させることが好ましい。第2熱処理工程において、第1活物質粒子前駆体および第2活物質粒子前駆体に含まれる炭酸リチウムの97質量%以上を反応させることで、第3熱処理工程において、炭酸ガス発生量をより低減することができ、充放電サイクル特性がより良好な正極活物質を得ることができる。
正極活物質に含まれるリチウムの出発原料の一部に、炭酸リチウム以外のリチウム塩を用いる場合は、第2熱処理済前駆体中のリチウム成分のうち、炭酸リチウムとして存在するリチウムの割合は、7モル%未満であることが好ましい。これにより、第3熱処理工程において、炭酸ガス発生量を低減することができ、前記反応式(2)の反応とNiの酸化反応を促進することができる。この場合、さらに第3熱処理工程において、炭酸リチウムの液相化量が低減されて結晶粒の成長が抑制され、高温での焼成が可能になり、充放電サイクル特性が良好な正極活物質を得ることができる。
また、正極活物質に含まれるリチウムの出発原料の一部に、炭酸リチウム以外のリチウム塩を用いる場合、第2熱処理済前駆体中のリチウム成分のうち、炭酸リチウムとして存在するリチウムの割合は、3モル%未満であることがより好ましい。これにより、第3熱処理工程において、炭酸ガス発生量をより低減することができ、充放電サイクル特性がより良好な正極活物質を得ることができる。
なお、第2熱処理工程の熱処理温度が450℃未満であると、第1熱処理済前駆体を熱処理して層状構造を有する第2熱処理済前駆体を形成する際に、層状構造の形成反応の進行が著しく遅くなり、炭酸リチウムが過剰に残留してしまう。一方、第2熱処理工程の熱処理温度が800℃を超えると、粒成長が過剰に進行してしまい、高容量な正極活物質が得られない。また、第2熱処理工程の熱処理温度を550℃以上とすることで炭酸リチウムをより反応させることができる。
また、前記反応式(2)中のM´がMnであり、前記組成式(1)中のcが0より大きく0.075より小さい場合は600℃以上とすることが好ましくcが0.075以上の場合は550℃以上とすることが好ましい。Mnの比率が高いと、LiM´O中のNiの平均価数を小さくでき、Niの酸化反応が十分に進行しなくても、上記反応式(2)に示す反応が進行し、反応温度が低温化するため、第2熱処理工程における炭酸リチウムの反応が促進される。そのため、前記反応式(2)中のM´がMnであり、前記組成式(1)中のcが0より大きく0.075より小さい場合は600℃以上、cが0.075以上の場合は550℃以上とすることで、第1活物質粒子前駆体および第2活物質粒子前駆体に含まれる炭酸リチウムのうち92質量%以上を反応させることができて好ましい。一方、第2熱処理工程の熱処理温度を700℃以下とすることで、液相が生じるのを抑制でき、結晶粒の成長抑制効果をより向上させることができる。
また、第2熱処理工程の熱処理の温度範囲で、第1熱処理済前駆体を十分に酸素と反応させるためには、熱処理の時間を0.5時間以上かつ50時間以下とすることができる。生産性を向上させる観点からは、第2熱処理工程の熱処理の時間を、2時間以上かつ15時間以下とすることがより好ましい。
焼成工程S3では、第2熱処理工程の終了後に第3熱処理工程を行うことができる。この場合、第2熱処理工程の終了後に、第2熱処理工程で用いた酸化性雰囲気を排出し、新たな酸化性雰囲気を導入して第3熱処理工程を行うようにしてもよい。これにより、第2熱処理工程の熱処理で発生したガスが、第3熱処理工程に影響を及ぼすことを防止できる。また、第2熱処理工程の終了後に第2熱処理済前駆体を熱処理装置から一旦取り出して、再び熱処理装置内に入れるようにしてもよい。また、第2熱処理工程の熱処理時または熱処理後に排気を行う場合には、第2熱処理工程と第3熱処理工程とを連続的に行ってもよい。また、第2熱処理工程および第3熱処理工程では、たとえば連続搬送炉やロータリーキルンを用いることができる。
第3熱処理工程では、第2熱処理工程で得られた第2熱処理済前駆体を、755℃以上かつ900℃以下の熱処理温度で0.5時間以上かつ50時間以下にわたって酸化性雰囲気下で熱処理することでリチウム複合化合物を得る。この第3熱処理工程で得られたリチウム複合化合物によって、本実施形態のリチウムイオン二次電池用正極活物質が構成される。第3熱処理工程は、第2熱処理工程で得られた第2熱処理済前駆体中のNiを2価から3価へ酸化させるNi酸化反応を十分に進行させるとともに、熱処理によって得られるリチウム複合化合物が電極性能を発現するために、結晶粒を成長させることを主な目的として行われる。すなわち、第3熱処理工程は、第2熱処理済前駆体中のNi酸化反応と結晶粒成長を行う熱処理工程である。
第3熱処理工程における第2熱処理済前駆体中のNi酸化反応を十分に進行させるために、第3熱処理工程の熱処理の雰囲気は、酸素を含む酸化性雰囲気である。第3熱処理工程における酸化性雰囲気は、酸素濃度が80%以上であることが好ましく、酸素濃度が90%以上であることがより好ましく、酸素濃度が95%以上であることがさらに好ましく、酸素濃度が100%であることがさらにより好ましい。
なお、第3熱処理工程の熱処理温度は、755℃未満であると第2熱処理済前駆体の結晶化の進行が困難になる場合があり、900℃を超えると第2熱処理済前駆体の層状構造の分解を抑制できずに2価のNiが生成され、得られるリチウム複合化合物の容量が低下してしまう。したがって、第3熱処理工程の熱処理温度を755℃以上かつ900℃以下にすることで、第2熱処理済前駆体の粒成長を促進させ、かつ層状構造の分解を抑制して、得られるリチウム複合化合物の容量を向上させることができる。なお、第3熱処理工程の熱処理温度を、800℃より高くして、より好ましくは840℃以上かつ890℃以下にすることで、粒成長の促進効果と層状構造の分解抑制効果をより向上させることができる。
また、第3熱処理工程において、酸素分圧が低いと、Ni酸化反応を促進させるために熱が必要となる。したがって、第3熱処理工程において第2熱処理済前駆体への酸素供給が不十分である場合、熱処理温度を上昇させる必要がある。熱処理温度を上昇させると、得られるリチウム複合化合物において層状構造の分解が不可避となり、正極活物質の良好な電極特性を得ることができなくなる。したがって、第3熱処理工程において第2熱処理済前駆体への酸素供給を十分に行うために、第3熱処理工程の熱処理の時間は、0.5時間以上かつ50時間以下とすることができる。正極活物質の生産性を向上させる観点から、第3熱処理工程の熱処理の時間は、0.5時間以上かつ15時間以下であることが好ましい。
以上説明したように、本実施形態のリチウムイオン二次電池用正極活物質の製造方法Mによれば、層状構造の結晶構造を有し、前記組成式(1)で表されるリチウム遷移金属複合酸化物からなるリチウムイオン二次電池用正極活物質を製造することができる。そして、製造されたリチウムイオン二次電池用正極活物質は、粒度分布の極大ピークが10μm以上の第1活物質粒子群と、粒度分布の極大ピークが3μm以下の第2活物質粒子群とを含み、粒度分布が2以上の極大ピークを有している。さらに、第1活物質粒子群は、短径Dと長径Dが不等式D/D≧0.8を満たす球状粒子Psを主体とし、第2活物質粒子群は、短径Dと長径Dが不等式D/D<0.8を満たす不定形粒子Paを主体としている。
なお、本発明に係るリチウムイオン二次電池用正極活物質の製造方法は、前述の実施形態に限定されない。以下、前述の実施形態に係るリチウムイオン二次電池用正極活物質の製造方法Mの変形例について説明する。なお、各変形例において、前述の実施形態に係るリチウムイオン二次電池用正極活物質の製造方法Mと同一の工程には、同一の符号を付して説明を省略する。
[リチウムイオン二次電池用正極活物質の製造方法:変形例1]
図7は、前述の実施形態に係るリチウムイオン二次電池用正極活物質の製造方法Mの変形例1に含まれる工程を示すフロー図である。変形例1のリチウムイオン二次電池用正極活物質の製造方法M1は、焼成工程S3より前に、第1活物質粒子前駆体と第2活物質粒子前駆体とを混合して2種粒子混合体を得る前駆体混合工程S4を有している。この場合、前駆体混合工程S4によって得られた2種粒子混合体を、焼成工程S3において焼成することで、第1活物質粒子前駆体と第2活物質粒子前駆体とを一括して焼成することができる。そのため、焼成装置を共通化することができ、正極活物質の生産性を向上させ、装置コストを低減することができる。
[リチウムイオン二次電池用正極活物質の製造方法:変形例2]
図8は、前述の実施形態に係るリチウムイオン二次電池用正極活物質の製造方法Mの変形例2に含まれる工程を示すフロー図である。変形例2のリチウムイオン二次電池用正極活物質の製造方法M2は、焼成工程S3において、第1活物質粒子前駆体と第2活物質粒子前駆体を個別に焼成して第1活物質粒子と第2活物質粒子を個別に得る。
具体的には、本変形例の製造方法M2において、焼成工程S3は、第1焼成工程S3aと、第2焼成工程S3bとを含むことができる。第1焼成工程S3aは、第1造粒工程S2aで得られた第1活物質粒子前駆体を第1の焼成条件で焼成して第1活物質粒子群を得る工程である。第2焼成工程S3bは、第2造粒工程S2bで得られた第2活物質粒子前駆体を第2の焼成条件で焼成して第2活物質粒子群を得る工程である。
また、変形例2のリチウムイオン二次電池用正極活物質の製造方法M2は、焼成工程S3より後に、第1活物質粒子群と第2活物質粒子群を混合する焼成体混合工程S5を有している。これにより、焼成工程S3において、第1活物質粒子前駆体と第2活物質粒子前駆体をそれぞれに最適な条件で個別に熱処理することが可能になり、より理想的な特性を備えた第1活物質粒子群と第2活物質粒子群を得ることが可能になる。
[リチウムイオン二次電池用正極活物質の製造方法:変形例3]
図9は、前述の実施形態に係るリチウムイオン二次電池用正極活物質の製造方法Mの変形例3に含まれる工程を示すフロー図である。変形例3のリチウムイオン二次電池用正極活物質の製造方法M3は、粉砕混合工程S1より後で、焼成工程S3より前に、第1造粒工程S2aおよび第2造粒工程S2bに加えて、第3造粒工程S2cをさらに含んでいる。以下、変形例3のリチウムイオン二次電池用正極活物質の製造方法M3における第3造粒工程S2cおよびその後の焼成工程S3について詳細に説明する。
(第3造粒工程)
第3造粒工程S2cは、第1造粒工程S2aと同様に、粉砕混合工程S1で得られたスラリー状の混合物RMを、たとえば噴霧乾燥装置SDによって噴霧乾燥させることで、当該混合物RMを構成する複数の一次粒子を凝集させ、球状粒子Psが主体である第3活物質粒子前駆体を造粒する工程である。ただし、第3造粒工程S2cでは、第1造粒工程S2aと異なり、粒度分布の極大ピークが4μm以上、10μm未満で、かつ短径Dと長径Dが不等式D/D≧0.8を満たす球状粒子Psが主体である第3活物質粒子前駆体を造粒する。
第3造粒工程S2cは、図6に示す噴霧乾燥装置SDを用いて、第1造粒工程S2aおよび第2造粒工程S2bと並行して行うことが可能である。すなわち、第1造粒工程S2a、第2造粒工程S2b、および第3造粒工程S2cは、ひとつの噴霧乾燥装置SDを用いて並行して行うことができる。具体的には、粉砕混合工程S1で得られたスラリー状の混合物RMと空気Aを噴霧乾燥装置SDに供給し、噴霧乾燥装置SDの蒸発器EVに混合物RMを噴霧する。
これにより、蒸発器EVの内部に噴霧された混合物RMは、蒸発器EV内の高温の空気Aによって水分が瞬時に蒸発し、当該混合物RMを構成する複数の一次粒子が凝集した二次粒子が造粒される。蒸発器EVで造粒された二次粒子は、たとえば、前述の球状粒子Psを主体とする第1活物質粒子前駆体および第3活物質粒子前駆体、ならびに前述の不定形粒子Paを主体とする第2活物質粒子前駆体を含んでいる。
蒸発器EVで造粒された二次粒子は、蒸発器EVに接続された配管P1を介してサイクロンCYに投入される。サイクロンCYに投入された二次粒子の一部を、サイクロンCYの下方に接続された捕集容器C1によって捕集することで、前述の球状粒子Psを主体とする第1活物質粒子前駆体および第3活物質粒子前駆体を得ることができる。さらに、サイクロンCYに投入された二次粒子の一部を、サイクロンCYの上部に接続された配管P2を介してバグフィルターBFに投入して捕集する。これにより、前述の不定形粒子Paを主体とする第2活物質粒子前駆体を得ることができる。
このように、本変形例のリチウムイオン二次電池用正極活物質の製造方法M3では、第3活物質粒子前駆体を造粒する第3造粒工程S2cは、第1活物質粒子前駆体および第2活物質粒子前駆体を造粒する第1造粒工程S2aおよび第2造粒工程S2bと並行して行うことができる。
なお、粒径の異なる第1活物質粒子前駆体と第3活物質粒子前駆体は、たとえば、前述のようにノズル式、ディスク式など、異なる方式の噴霧装置を用いることによって得ることができる。また、同一の噴霧装置を用いて、噴霧条件を変化させることによって、粒径の異なる第1活物質粒子前駆体と第3活物質粒子前駆体を得ることができる。さらに、たとえばサイクロンCYによって粒径の異なる第1活物質粒子前駆体と第3活物質粒子前駆体を分級して分離してもよい。
(焼成工程)
本変形例のリチウムイオン二次電池用正極活物質の製造方法M3では、焼成工程S3において、第1活物質粒子前駆体と第2活物質粒子前駆体と第3活物質粒子前駆体を650℃以上、900℃以下で焼成する。
なお、本変形例のリチウムイオン二次電池用正極活物質の製造方法M3では、図7に示す変形例1の製造方法M1と同様に、焼成工程S3より前に、第1活物質粒子前駆体と第2活物質粒子前駆体と第3活物質粒子前駆体とを混合し、3種粒子混合体を得る前駆体混合工程S4を有してもよい。この場合、焼成工程S3において3種粒子混合体を焼成することで、第1活物質粒子前駆体と第2活物質粒子前駆体と前記第3活物質粒子前駆体を一括して焼成することができる。したがって、焼成装置を共通化することができ、正極活物質の生産性を向上させ、装置コストを低減することができる。
また、本変形例のリチウムイオン二次電池用正極活物質の製造方法M3では、図8に示す変形例2の製造方法M2と同様に、焼成工程S3において、第1活物質粒子前駆体と第2活物質粒子前駆体と第3活物質粒子前駆体とを個別に焼成して第1活物質粒子と第2活物質粒子と第3活物質粒子とを個別に得ることができる。この場合、本変形例のリチウムイオン二次電池用正極活物質の製造方法M3は、図8に示す変形例2の製造方法M2と同様に、焼成工程S3より後に、第1活物質粒子群と第2活物質粒子群と第3活物質粒子群を混合する焼成体混合工程S5を有することができる。
これにより、焼成工程S3において、第1活物質粒子前駆体と第2活物質粒子前駆体と第3活物質粒子前駆体とをそれぞれに最適な条件で個別に熱処理することが可能になり、より理想的な特性を備えた第1活物質粒子群と第2活物質粒子群と第3活物質粒子群とを得ることが可能になる。
[リチウムイオン二次電池用正極活物質の製造方法:変形例4]
図10は、前述の実施形態に係るリチウムイオン二次電池用正極活物質の製造方法Mの変形例4に含まれる工程を示すフロー図である。変形例4のリチウムイオン二次電池用正極活物質の製造方法M4は、図9に示す変形例3の製造方法M3と同様に、第1造粒工程S2a、第2造粒工程S2b、および第3造粒工程S2cを含んでいる。
また、本変形例の製造方法M4は、図7に示す変形例1の製造方法M1と同様に、焼成工程S3の前に、前駆体混合工程S4を含んでいる。また、本変形例の製造方法M4において、焼成工程S3は、図8に示す変形例2の製造方法M2と同様に、第1焼成工程S3aと第2焼成工程S3bを含み、焼成工程S3の後に、焼成体混合工程S5を含んでいる。以下、本変形例の製造方法M4における前駆体混合工程S4、焼成工程S3、および焼成体混合工程S5について詳細に説明する。
本変形例の製造方法M4では、前駆体混合工程S4において、第1造粒工程S2aで得られた第1活物質粒子前駆体と、第2造粒工程S2bで得られた第2活物質粒子前駆体と、第3造粒工程S2cで得られた第3活物質粒子前駆体の3種から選択される、いずれか2種を混合して焼成することができる。たとえば、前駆体混合工程S4において、含有する粒子の粒径の範囲が近く、ともに球状粒子を主体とする第1活物質粒子前駆体と第3活物質粒子前駆体とを混合して2種粒子混合体を得ることができる。
また、本変形例の製造方法M4では、焼成工程S3の第1焼成工程S3aにおいて、第1活物質粒子前駆体と第3活物質粒子前駆体とを混合した2種粒子混合体を、第1の条件で焼成して、第1活物質粒子群と第3活物質粒子群との混合焼成体を得ることができる。また、焼成工程S3の第2焼成工程S3bにおいて、第2活物質粒子前駆体を第2の条件で焼成して、第2活物質粒子群を得ることができる。
さらに、本変形例の製造方法M4では、焼成体混合工程S5において、焼成された第1活物質粒子群と第3活物質粒子群の混合焼成体と、第2活物質粒子群と混合することができる。このような方法により、各活物質前駆体粒子の粒径に応じた最適な条件で熱処理でき、かつ、焼成装置を共通化することができ、正極活物質の生産性を向上させ、装置コストを低減することができる。
[リチウムイオン二次電池用正極活物質の製造方法:変形例5]
図11は、前述の実施形態に係るリチウムイオン二次電池用正極活物質の製造方法Mの変形例5に含まれる工程を示すフロー図である。変形例5のリチウムイオン二次電池用正極活物質の製造方法M5は、図10に示す変形例4の製造方法M4と同様に、前駆体混合工程S4、第1焼成工程S3a、第2焼成工程S3b、および焼成体混合工程S5を含んでいる。
ただし、本変形例の製造方法M5は、前駆体混合工程S4において混合する対象、第1焼成工程S3aおよび第2焼成工程S3bのそれぞれにおいて焼成する対象、ならびに焼成体混合工程S5で混合する対象が、前述の変形例4の製造方法M4と異なっている。以下、本変形例の製造方法M5における前駆体混合工程S4、焼成工程S3、および焼成体混合工程S5について詳細に説明する。
本変形例の製造方法M5では、前駆体混合工程S4において、第1活物質粒子前駆体と第2活物質粒子前駆体と第3活物質粒子前駆体の3種から選択されるいずれか2種を混合して焼成することができる。たとえば、前駆体混合工程S4において、第2造粒工程S2bおよび第3造粒工程S2cによって得られ、含有する粒子の粒径の範囲が近い第2活物質粒子前駆体と第3活物質粒子前駆体を混合して2種粒子混合体を得ることができる。
また、本変形例の製造方法M5では、焼成工程S3の第1焼成工程S3aにおいて、第1造粒工程S2aで得られた第1活物質粒子前駆体を第1の条件で焼成して、第1活物質粒子群を得ることができる。また、焼成工程S3の第2焼成工程S3bにおいて、第2造粒工程S2bで得られた第2活物質粒子前駆体と第3造粒工程S2cで得られた第3活物質粒子前駆体とを混合した2種粒子混合体を第2の条件で焼成して、第2活物質粒子群と第3活物質粒子群との混合焼成体を得ることができる。
さらに、本変形例の製造方法M5では、焼成体混合工程S5において、第1活物質粒子群と、第2活物質粒子群と第3活物質粒子群の混合焼成体とを混合することができる。このような方法により、各活物質前駆体粒子の粒径に応じた最適な条件で熱処理でき、かつ、焼成装置を共通化することができ、正極活物質の生産性を向上させ、装置コストを低減することができる。
[リチウムイオン二次電池]
以下、前述の実施形態およびその変形例によって説明した本発明のリチウムイオン二次電池用正極活物質を正極に含むリチウムイオン二次電池の一実施形態について説明する。
図12は、本発明の実施形態に係る二次電池100の概略構成を示す部分断面図である。詳細は後述するが、本実施形態の二次電池100は、前述のリチウムイオン二次電池用正極活物質を含む正極111を備えることを最大の特徴としている。
本実施形態の二次電池100は、たとえば、円筒形のリチウムイオン二次電池であり、非水電解液を収容する有底円筒状の電池缶101と、電池缶101内に収容される捲回電極群110と、電池缶101の上部開口を封止する円板状の電池蓋102と、を備えている。電池缶101と電池蓋102は、たとえば、アルミニウム等の金属材料により製作され、絶縁性を有する樹脂材料からなるシール材106を介して電池蓋102が電池缶101にかしめ等によって固定されることで、電池缶101が電池蓋102によって封止されるとともに互いに電気的に絶縁されている。なお、二次電池100の形状は、円筒形に限られず、扁平形、角形、コイン形、ボタン形、ラミネートシート形等、他の任意の形状を採用することができる。
捲回電極群110は、長尺帯状のセパレータ113を介して対向させた長尺帯状の正極111と負極112とを捲回中心軸周りに捲回することによって製作されている。捲回電極群110は、正極集電体111aが正極リード片103を介して電池蓋102と電気的に接続され、負極集電体112aが負極リード片104を介して電池缶101の底部と電気的に接続されている。捲回電極群110と電池蓋102の間および捲回電極群110と電池缶101の底部との間には、短絡を防止する絶縁板105が配置されている。正極リード片103および負極リード片104は、それぞれ正極集電体111aおよび負極集電体112aと同様の材料によって製作された電流引出用の部材であり、それぞれ正極集電体111aおよび負極集電体112aにスポット溶接または超音波圧接等によって接合されている。
本実施形態の正極111は、正極集電体111aと、正極集電体111aの表面に形成された正極合剤層111bと、を備えている。正極集電体111aとしては、たとえば、アルミニウムまたはアルミニウム合金等の金属箔、エキスパンドメタル、パンチングメタル等を用いることができる。金属箔は、たとえば、8μm以上かつ30μm以下程度の厚さにすることができる。正極合剤層111bは、前述のリチウムイオン二次電池用正極活物質を含んでいる。また、正極合剤層111bは、導電材、結着剤等を含んでいてもよい。
負極112は、負極集電体112aと、負極集電体112aの表面に形成された負極合剤層112bとを備えている。負極集電体112aとしては、銅または銅合金、ニッケルまたはニッケル合金等の金属箔、エキスパンドメタル、パンチングメタル等を用いることができる。金属箔は、たとえば、5μm以上かつ20μm以下程度の厚さにすることができる。負極合剤層112bは、一般的なリチウムイオン二次電池に用いられている負極活物質を含んでいる。また、負極合剤層112bは、導電材、結着剤等を含んでいてもよい。負極112は、放電電位が低いことが好ましい。
負極活物質としては、たとえば、炭素材料、金属材料、金属酸化物材料等の一種以上を用いることができる。炭素材料としては、天然黒鉛、人造黒鉛等の黒鉛類や、コークス、ピッチ等の炭化物類や、非晶質炭素や、炭素繊維等を用いることができる。また、金属材料としては、リチウム、シリコン、スズ、アルミニウム、インジウム、ガリウム、マグネシウムやこれらの合金、金属酸化物材料としては、スズ、ケイ、リチウム、チタン素等を含む金属酸化物を用いることができる。
セパレータ113の材料は、正極111と負極112とを隔てて短絡を防止することができる絶縁性と、リチウムイオン(Li)が通過するイオン伝導性を有し、電解液に溶解しない材料であれば、特に限定されない。たとえば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン−ポリプロピレン共重合体等のポリオレフィン系樹脂、ポリアミド樹脂、アラミド樹脂等の微孔性フィルムや不織布等をセパレータ113として用いることができる。
正極111および負極112は、たとえば、合剤調製工程、合剤塗工工程、および成形工程を経て製造することができる。合剤調製工程では、たとえば、プラネタリーミキサ、ディスパーミキサ、自転・公転ミキサ等の撹拌手段を用いて、前述のリチウムイオン二次電池用正極活物質または負極活物質を、たとえば、導電材、結着剤を含む溶液とともに撹拌および均質化して合剤スラリーを調製する。
導電材としては、一般的なリチウムイオン二次電池に用いられている導電材を用いることができる。具体的には、たとえば、黒鉛粉末、アセチレンブラック、ファーネスブラック、サーマルブラック、チャンネルブラック等の炭素粒子や炭素繊維等を導電材として用いることができる。導電材は、たとえば、合剤全体の質量に対して1質量%以上かつ10質量%以下程度となる量を用いることができる。
結着剤としては、一般的なリチウムイオン二次電池に用いられている結着剤を用いることができる。具体的には、たとえば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン、ポリヘキサフルオロプロピレン、スチレン−ブタジエンゴム、カルボキシメチルセルロース、ポリアクリロニトリル、変性ポリアクリロニトリル等を結着剤として用いることができる。結着剤は、たとえば、合剤全体の質量に対して1質量%以上かつ10質量%以下程度、より好ましくは合剤全体の質量に対して5質量%程度となる量を用いることができる。
溶液の溶媒としては、結着剤の種類に応じて、N−メチルピロリドン、水、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフラン等から選択することができる。
合剤塗工工程では、まず、合剤調製工程で調整した前述のリチウムイオン二次電池用正極活物質を含む合剤スラリーと負極活物質を含む合剤スラリーを、たとえば、バーコーター、ドクターブレード、ロール転写機等の塗工手段によって、それぞれ正極集電体111aと負極集電体112aの表面に塗布する。次に、合剤スラリーを塗布した正極集電体111aと負極集電体112aとをそれぞれ熱処理することで、合剤スラリーに含まれる溶液の溶媒を揮発または蒸発させて除去し、正極集電体111aと負極集電体112aの表面に、それぞれ正極合剤層111bと負極合剤層112bを形成する。
成形工程では、まず、正極集電体111aの表面に形成された正極合剤層111bと、負極集電体112aの表面に形成された負極合剤層112bとを、たとえば、ロールプレス等の加圧手段を用いて、それぞれ熱プレスによって加圧成形する。これにより、合剤の充填性を高め、正極合剤層111bを、たとえば、15μm以上かつ300μm以下程度の厚さにして、負極合剤層112bを、たとえば、10μm以上かつ150μm以下程度の厚さにすることができる。
ここで、本実施形態の二次電池100は、正極合剤層111bが前述のリチウムイオン二次電池用正極活物質を含んでいる。そのため、熱プレスによって正極合剤層111bを加圧成形して正極111を作製する成形工程において、正極合剤層111bを高密度化することができる。
具体的には、正極合剤層111bに含まれるリチウムイオン二次電池用正極活物質は、前述のように、粒度分布の極大ピークが10μm以上の第1活物質粒子群と、粒度分布の極大ピークが3μm以下の第2活物質粒子群とを含み、粒度分布が2以上の極大ピークを有している。また、第1活物質粒子群は、短径Dと長径Dが不等式D/D≧0.8を満たす球状粒子Psを主体とし、第2活物質粒子群は、短径Dと長径DLが不等式D/D<0.8を満たす不定形粒子Paを主体としている。そのため、成形工程において、粒子径の大きい第1活物質粒子群の球状粒子Psの空隙に、粒子径の小さい第2活物質粒子群の不定形粒子Paが充填され、正極合剤層111bが高密度化する。
ここで、第1活物質粒子群の球状粒子Psの間には空隙が発生しやすいが、その空隙に粒子径が小さく、粒子間に空隙が生じにくい第2活物質粒子群の不定形粒子Paが充填されることで、空隙に球状粒子Psが充填される場合よりも正極合剤層111bの高密度化が可能になる。すなわち、第2活物質粒子群を構成する不定形粒子Paは、球状粒子Psと比較して粒子間の空隙が少なく嵩密度が高いため、第1活物質粒子群を構成する球状粒子Psの間に球状粒子Psを充填する場合よりも正極合剤層111bの高密度化が可能になる。
したがって、前述のリチウムイオン二次電池用正極材料によれば、従来よりも高い電極密度の正極111を得ることが可能になる。より具体的には、前述のリチウムイオン二次電池用正極材料を用いることで正極111は、たとえば3.4g/cm以上の電極密度を有することができる。よって、前述のリチウムイオン二次電池用正極材料を正極111に含む二次電池100によれば、二次電池100の高エネルギー密度化と高サイクル特性を両立させることが可能になる。なお、正極111の重量と正極集電体111aの重量との差分を、正極合剤層111bの体積で除した値を、正極111の電極密度と定義することができる。
なお、熱プレスによって正極合剤層111bを加圧成形して正極を作製する成形工程において、前述のリチウムイオン二次電池用正極活物質の粒子形状が変形する場合がある。具体的には、第1活物質粒子群は、短径Dと長径Dが不等式D/D≧0.8を満たす球状粒子Psを主体としている。しかし、熱プレスによって、第1活物質粒子群を構成する球状粒子Psが変形し、短径Dと長径Dの比D/Dが0.8未満になる場合がある。このような球状粒子Psの変形は、前述のような成形工程における正極合剤層111bの高密度化において、特に問題を生じさせることはない。
また、前述のように、正極合剤層111bに含まれるリチウムイオン二次電池用正極材料は、粒度分布の極大ピークが4μm以上、10μm未満の粒子径である第3活物質粒子群をさらに含み、粒度分布が3以上の極大ピークを有していてもよい。第3活物質粒子群は、短径Dと長径Dが不等式D/D≧0.8を満たす球状粒子を主体としている。
第1活物質粒子群の球状粒子Psよりも粒子径が小さい第3活物質粒子群の球状粒子Psは、第1活物質粒子群の球状粒子Psの間に充填される。また、第3活物質粒子群の球状粒子Psの間の空隙には、第2活物質粒子群の不定形粒子Paが充填される。したがって、第1活物質粒子群を構成する球状粒子Psの間に第3活物質粒子群の球状粒子Psのみを充填する場合よりも、正極合剤層111bの高密度化が可能になる。
また、第1活物質粒子群の粒度分布の極大ピークの強度X1と前記第2活物質粒子群の粒度分布の極大ピークの強度X2との比X2/X1が0.3以下である場合には、第1活物質粒子群を構成する球状粒子Psの間に第2活物質粒子群の不定形粒子Paを過不足なく充填することができる。したがって、正極合剤層111bのさらなる高密度化が可能になる。
成形工程の終了後、正極集電体111aおよび正極合剤層111bと、負極集電体112aおよび負極合剤層112bとを、それぞれ長尺帯状に裁断することによって、正極111と負極112を製造することができる。以上のように製造された正極111および負極112は、セパレータ113を介して対向した状態で捲回中心軸周りに捲回されて捲回電極群110とされる。
捲回電極群110は、負極集電体112aが負極リード片104を介して電池缶101の底部に接続され、正極集電体111aが正極リード片103を介して電池蓋102に接続され、絶縁板105等によって電池缶101および電池蓋102と短絡が防止されて電池缶101に収容される。その後、電池缶101に非水電解液を注入し、シール材106を介して電池蓋102を電池缶101に固定し、電池缶101を密封することで、二次電池100を製造することができる。
電池缶101に注入する非水電解液としては、LiPFやLiBF等のLi塩をエチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)等の環状カーボネートやジメチルカーボネート(DMC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、ジエチルカーボネート(DEC)等の鎖状カーボネートに溶解させたものを使用することができる。
以上の構成を有する二次電池100は、電池蓋102を正極外部端子、電池缶101の底部を負極外部端子として、外部から供給された電力を捲回電極群110に蓄積するとともに、捲回電極群110に蓄積した電力を外部の装置等に供給することができる。
以上、図面を用いて本発明の実施の形態を詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における設計変更等があっても、それらは本発明に含まれるものである。
[実施例]
以下、本発明に基づく実施例と、比較対象としての比較例について説明する。
(実施例1)
出発原料として炭酸リチウム、水酸化ニッケル、炭酸コバルト、炭酸マンガンおよび酸化チタンを、それぞれ、Li:Ni:Co:Mn:Ti=1.04:0.80:0.15:0.04:0.01のモル比となるように秤量した。Liは焼成工程において一部揮発するため、所望の比率より多く秤量した。これら出発原料の混合物に固形分比が20質量%となるように純水を加え、粉砕機で十分に粉砕するとともに湿式混合して原料スラリーを調製した(粉砕混合工程S1)。得られた原料スラリーの濃度(原料スラリー中の原料混合物の濃度)は20質量%であった。
次に、ディスク式の噴霧乾燥装置を用いて第1活物質粒子前駆体を作製した。まず、原料スラリーの濃度を15質量%に調整し、得られた原料スラリーを45kg/時間で供給しながら噴霧乾燥を行った(第1造粒工程S2a)。ディスク回転数は28000rpmとした。また、ノズル式の噴霧乾燥装置を用いて第2活物質粒子前駆体を作製した。原料スラリーの濃度を15質量%に調整し、得られた原料スラリーを3kg/時間で供給しながら噴霧乾燥を行い、バグフィルターで捕集された第2活物質粒子前駆体を得た(第2造粒工程S2b)。ノズル式の噴霧乾燥装置において、ノズルの噴霧圧は0.3MPaとした。
得られた第1活物質粒子前駆体と第2活物質粒子前駆体を、それぞれ、80:10の重量比となるよう秤量し、混合機で均一に混合した後、大気雰囲気で360℃の熱処理温度で1時間にわたって第1熱処理工程を行い、粉末状の第1熱処理済前駆体を得た。次に、得られた第1熱処理済前駆体を、炉内酸素濃度90%以上の雰囲気の連続搬送炉を用いて、酸素気流中で600℃の熱処理温度で10時間にわたって第2熱処理を行い、粉末状の第2熱処理済前駆体を得た。さらに、得られた第2熱処理済前駆体を、炉内酸素濃度90%以上の雰囲気の連続搬送炉を用いて、酸化気流中で800℃の熱処理温度で10時間にわたって第3熱処理を行った。これにより第1活物質粒子前駆体と第2活物質粒子前駆体の焼成粉を得た(焼成工程S3)。
得られた第1活物質粒子前駆体と第2活物質粒子前駆体の焼成粉の粒度分布をレーザー回折/散乱式粒度分布測定装置によって測定した。粒度分布測定は、株式会社堀場製作所製の粒度分布測定器LA−920を用いた。焼成粉の分散媒体としてヘキサメタリン酸ナトリウムを0.2mass%溶解させたイオン交換水を用い、超音波を5分間照射して撹拌した。屈折率は、1.60−0.00iとした。測定の結果、実施例1の第1活物質粒子群の粒度分布の極大ピークにおける粒子径は15μmであり、実施例1の第2活物質粒子群の粒度分布の極大ピークにおける粒子径は2.7μmであった。また、実施例1の第1活物質粒子群の粒度分布の極大ピークの強度X1と実施例1の第2活物質粒子群の粒度分布の極大ピークの強度X2との比X2/X1は、0.25であった。
次に、ICP発光分光分析法(Inductively Coupled Plasma Atomic Emission Spectroscopy:ICP−AES)を用いた測定装置であるパーキンエルマー社製のOPTIMA8300によって、実施例1の第1活物質粒子群と第2活物質粒子群のLi、Ni、Co、MnおよびTiの組成をそれぞれ測定した。その結果、実施例1の第1活物質粒子群と第2活物質粒子群のLi:Ni:Co:Mn:Tiは、ともに1.01:0.80:0.15:0.04:0.01であった。したがって、得られた実施例1の第1活物質粒子群と第2活物質粒子群の組成は、ともにLi1.01Ni0.80Co0.15Mn0.04Ti0.01であることがわかった。
次に、実施例1の第1活物質粒子群と第2活物質粒子群を、それぞれ、80:20の重量比となるよう秤量し、混合機で均一に混合して実施例1のリチウム二次電池用正極活物質とした。さらに、実施例1の正極活物質の粒度分布をレーザー回折/散乱式粒度分布測定装置によって測定した。実施例1の正極活物質の粒度分布は、実施例1の第1活物質粒子群の粒度分布の極大ピークと、実施例1の第2活物質粒子群の粒度分布の極大ピークに対応する、2つの極大ピークを有していた。
(実施例2)
実施例1の第1活物質粒子群および第2活物質粒子群と同様に、実施例2の第1活物質粒子群および第2活物質粒子群を作製した。ただし、実施例2の第1活物質粒子群は、第1造粒工程S2aにおいて、原料スラリーの濃度を10質量%に調整し、原料スラリーを45kg/時間で供給し、ディスク式の噴霧乾燥装置のディスク回転数を28000rpmとした。その結果、実施例2の第1活物質粒子群の粒度分布の極大ピークにおける粒子径は10μmとなった。また、実施例2の第1活物質粒子群の粒度分布の極大ピークの強度X1と実施例2の第2活物質粒子群の粒度分布の極大ピークの強度X2との比X2/X1は、0.33であった。
また、実施例1の第1活物質粒子群および第2活物質粒子群と同様に、実施例2の第1活物質粒子群および第2活物質粒子群の組成を測定したところ、実施例1の第1活物質粒子群および第2活物質粒子群の組成と同様であった。次に、実施例2の第1活物質粒子群と第2活物質粒子群を、それぞれ、75:25の重量比となるよう秤量し、混合機で均一に混合して実施例2のリチウム二次電池用正極活物質を得た。
(実施例3)
実施例1の第1活物質粒子群および第2活物質粒子群と同様に、実施例2の第1活物質粒子群および第2活物質粒子群を作製した。ただし、実施例3の第2活物質粒子群は、第2造粒工程S2bにおいて、原料スラリーの濃度を10質量%に調整し、ノズル式の噴霧乾燥装置に対する原料スラリーの供給量を3kg/時間とした。その結果、実施例3の第2活物質粒子群の粒度分布の極大ピークにおける粒子径は2.1μmとなった。また、実施例3の第1活物質粒子群の粒度分布の極大ピークの強度X1と実施例2の第2活物質粒子群の粒度分布の極大ピークの強度X2との比X2/X1は、0.19であった。
さらに、実施例1の第1活物質粒子群と同様に、実施例3の第3活物質粒子群を作製した。ただし、実施例3の第3活物質粒子群は、第3造粒工程S2cにおいて、原料スラリーの濃度を10質量%に調整し、ノズル式の噴霧乾燥装置に対する原料スラリーの供給量を3kg/時間とした。その結果、実施例3の第3活物質粒子群の粒度分布の極大ピークにおける粒子径は4.1μmとなった。
また、実施例1の第1活物質粒子群および第2活物質粒子群と同様に、実施例3の第1活物質粒子群、第2活物質粒子群、および第3活物質粒子群の組成を測定したところ、実施例1の第1活物質粒子群および第2活物質粒子群の組成と同様であった。次に、実施例3の第1活物質粒子群、第2活物質粒子群、および第3活物質粒子群を、それぞれ、80:15:5の重量比となるよう秤量し、混合機で均一に混合して実施例3のリチウム二次電池用正極活物質を得た。
さらに、実施例3の正極活物質の粒度分布をレーザー回折/散乱式粒度分布測定装置によって測定した。実施例3の正極活物質の粒度分布は、実施例3の第1活物質粒子群の粒度分布の極大ピークと、実施例3の第2活物質粒子群の粒度分布の極大ピークと、実施例3の第3活物質粒子群の粒度分布の極大ピークに対応する、3つの極大ピークを有していた。
(実施例4)
実施例1の第1活物質粒子群および第2活物質粒子群と同様に、実施例4の第1活物質粒子群および第2活物質粒子群を作製した。ただし、実施例4の第1活物質粒子群は、第1造粒工程S2aにおいて、原料スラリーの濃度を20質量%に調整し、原料スラリーを45kg/時間で供給し、ディスク式の噴霧乾燥装置のディスク回転数を28000rpmとした。その結果、実施例4の第1活物質粒子群の粒度分布の極大ピークにおける粒子径は22μmとなった。また、実施例4の第1活物質粒子群の粒度分布の極大ピークの強度X1と実施例4の第2活物質粒子群の粒度分布の極大ピークの強度X2との比X2/X1は、0.33であった。
また、実施例1の第1活物質粒子群および第2活物質粒子群と同様に、実施例4の第1活物質粒子群および第2活物質粒子群の組成を測定したところ、実施例1の第1活物質粒子群および第2活物質粒子群の組成と同様であった。次に、実施例4の第1活物質粒子群と第2活物質粒子群を、それぞれ、75:25の重量比となるよう秤量し、混合機で均一に混合して実施例4のリチウム二次電池用正極活物質を得た。
(実施例5)
実施例4の第1活物質粒子群と同様に実施例5の第1活物質粒子群を作成し、実施例1の第2活物質粒子群と同様に実施例5の第2活物質粒子群を作成し、実施例3の第3活物質粒子群と同様に実施例5の第3活物質粒子群を作製した。その結果、実施例5の第1活物質粒子群、第2活物質粒子群、および第3活物質粒子群の粒度分布の極大ピークにおける粒子径は、それぞれ、22μm、2.1μm、および4.1μmとなった。また、実施例5の第1活物質粒子群の粒度分布の極大ピークの強度X1と実施例5の第2活物質粒子群の粒度分布の極大ピークの強度X2との比X2/X1は、0.36であった。
また、実施例1の第1活物質粒子群および第2活物質粒子群と同様に、実施例5の第1活物質粒子群、第2活物質粒子群、および第3活物質粒子群の組成を測定したところ、実施例1の第1活物質粒子群および第2活物質粒子群の組成と同様であった。次に、実施例5の第1活物質粒子群、第2活物質粒子群、および第3活物質粒子群を、それぞれ、70:25:5の重量比となるよう秤量し、混合機で均一に混合して実施例5のリチウム二次電池用正極活物質を得た。さらに、実施例5の正極活物質の粒度分布をレーザー回折/散乱式粒度分布測定装置によって測定したところ、実施例3の正極活物質と同様に、3つの極大ピークを有していた。
(実施例6)
実施例1の第1活物質粒子群および第2活物質粒子群と同様に、実施例6の第1活物質粒子群および第2活物質粒子群を作製した。ただし、実施例6の第1活物質粒子群は、粉砕混合工程S1において、出発原料として炭酸リチウム、水酸化ニッケル、炭酸コバルト、水酸化アルミニウムを、それぞれ、Li:Ni:Co:Al=1.04:0.82:0.15:0.03のモル比となるように秤量した。
また、実施例6の第1活物質粒子群は、第1造粒工程S2aにおいて、原料スラリーの濃度を15質量%に調整し、原料スラリーを30kg/時間で供給し、ディスク式の噴霧乾燥装置のディスク回転数を28000rpmとした。その結果、実施例6の第1活物質粒子群の粒度分布の極大ピークにおける粒子径は13μmとなった。また、実施例6の第1活物質粒子群の粒度分布の極大ピークの強度X1と実施例6の第2活物質粒子群の粒度分布の極大ピークの強度X2との比X2/X1は、0.18であった。
また、実施例1の第1活物質粒子群および第2活物質粒子群と同様に、実施例6の第1活物質粒子群および第2活物質粒子群の組成を測定した。実施例6の第1活物質粒子群の組成は、Li1.01Ni0.82CO0.15Al0.03であったが、実施例6の第2活物質粒子群の組成は、実施例1の第1活物質粒子群および第2活物質粒子群の組成と同様であった。次に、実施例6の第1活物質粒子群と第2活物質粒子群を、それぞれ、85:15の重量比となるよう秤量し、混合機で均一に混合して実施例6のリチウム二次電池用正極活物質を得た。
(実施例7)
実施例1の第1活物質粒子群および第2活物質粒子群と同様に、実施例7の第1活物質粒子群および第2活物質粒子群を作製した。ただし、実施例7の第1活物質粒子群は、焼成工程S3の第3熱処理工程後に水洗を行った。その結果、実施例7の第1活物質粒子群の粒度分布の極大ピークにおける粒子径は14μmとなった。また、実施例7の第1活物質粒子群の粒度分布の極大ピークの強度X1と実施例7の第2活物質粒子群の粒度分布の極大ピークの強度X2との比X2/X1は、0.11であった。
また、実施例1の第1活物質粒子群および第2活物質粒子群と同様に、実施例7の第1活物質粒子群および第2活物質粒子群の組成を測定した。実施例7の第1活物質粒子群の組成は、Li0.97Ni0.80CO0.15Mn0.04Ti0.01であったが、実施例7の第2活物質粒子群の組成は、実施例1の第1活物質粒子群および第2活物質粒子群の組成と同様であった。次に、実施例7の第1活物質粒子群と第2活物質粒子群を、それぞれ、90:10の重量比となるよう秤量し、混合機で均一に混合して実施例7のリチウム二次電池用正極活物質を得た。
(実施例8)
実施例1の第1活物質粒子群および第2活物質粒子群と同様に、実施例8の第1活物質粒子群および第2活物質粒子群を作製した。ただし、実施例8の第1活物質粒子群は、粉砕混合工程S1において、出発原料として炭酸リチウム、水酸化ニッケル、炭酸コバルト、および炭酸マンガンを、それぞれ、Li:Ni:Co:Mn=1.04:0.79:0.15:0.05のモル比となるように秤量した。
また、実施例8の第1活物質粒子群は、第1造粒工程S2aにおいて、原料スラリーの濃度を15質量%に調整し、原料スラリーを30kg/時間で供給し、ディスク式の噴霧乾燥装置のディスク回転数を28000rpmとした。その結果、実施例8の第1活物質粒子群の粒度分布の極大ピークにおける粒子径は13μmとなった。また、実施例8の第1活物質粒子群の粒度分布の極大ピークの強度X1と実施例8の第2活物質粒子群の粒度分布の極大ピークの強度X2との比X2/X1は、0.43であった。
また、実施例1の第1活物質粒子群および第2活物質粒子群と同様に、実施例8の第1活物質粒子群および第2活物質粒子群の組成を測定した。実施例8の第1活物質粒子群の組成は、Li1.01Ni0.80CO0.15Mn0.05であったが、実施例8の第2活物質粒子群の組成は、実施例1の第1活物質粒子群および第2活物質粒子群の組成と同様であった。次に、実施例8の第1活物質粒子群と第2活物質粒子群を、それぞれ、70:30の重量比となるよう秤量し、混合機で均一に混合して実施例8のリチウム二次電池用正極活物質を得た。
(実施例9)
実施例1の第1活物質粒子群および第2活物質粒子群と同様に、実施例9の第1活物質粒子群および第2活物質粒子群を作製した。ただし、実施例9の第2活物質粒子群は、粉砕混合工程S1において、出発原料として炭酸リチウム、水酸化ニッケル、炭酸コバルト、および炭酸マンガンを、それぞれ、Li:Ni:Co:Mn=1.04:0.82:0.15:0.03のモル比となるように秤量した。
また、実施例9の第2活物質粒子群は、第2造粒工程S2bにおいて、原料スラリーの濃度を15質量%に調整し、ノズル式の噴霧乾燥装置に対する原料スラリーの供給量を3kg/時間とした。その結果、実施例9の第2活物質粒子群の粒度分布の極大ピークにおける粒子径は2.4μmとなった。また、実施例9の第1活物質粒子群の粒度分布の極大ピークの強度X1と実施例9の第2活物質粒子群の粒度分布の極大ピークの強度X2との比X2/X1は、0.11であった。
また、実施例1の第1活物質粒子群および第2活物質粒子群と同様に、実施例9の第1活物質粒子群および第2活物質粒子群の組成を測定した。実施例9の第2活物質粒子群の組成は、Li1.01Ni0.82CO0.15Mn0.03であったが、実施例9の第1活物質粒子群の組成は、実施例1の第1活物質粒子群および第2活物質粒子群の組成と同様であった。次に、実施例9の第1活物質粒子群と第2活物質粒子群を、それぞれ、90:10の重量比となるよう秤量し、混合機で均一に混合して実施例9のリチウム二次電池用正極活物質を得た。
(実施例10)
実施例1の第1活物質粒子群および第2活物質粒子群と同様に、実施例10の第1活物質粒子群および第2活物質粒子群を作製した。ただし、実施例10の第2活物質粒子群は、第2造粒工程S2bにおいて、原料スラリーの濃度を7質量%に調整し、原ノズル式の噴霧乾燥装置に対する原料スラリーの供給量を3kg/時間とした。その結果、実施例10の第2活物質粒子群の粒度分布の極大ピークにおける粒子径は1.8μmとなった。また、実施例10の第1活物質粒子群の粒度分布の極大ピークの強度X1と実施例10の第2活物質粒子群の粒度分布の極大ピークの強度X2との比X2/X1は、0.54であった。
また、実施例1の第1活物質粒子群および第2活物質粒子群と同様に、実施例10の第1活物質粒子群および第2活物質粒子群の組成を測定した。実施例10の第1活物質粒子群および第2活物質粒子群の組成は、実施例1の第1活物質粒子群および第2活物質粒子群の組成と同様であった。次に、実施例10の第1活物質粒子群と第2活物質粒子群を、それぞれ、65:35の重量比となるよう秤量し、混合機で均一に混合して実施例10のリチウム二次電池用正極活物質を得た。
(実施例11)
実施例1の第1活物質粒子群と同様に実施例11の第1活物質粒子群を作製し、実施例3の第2活物質粒子群と同様に第2活物質粒子群を作製した。ただし、実施例11の第1活物質粒子群は、粉砕混合工程S1において、出発原料として炭酸リチウム、水酸化ニッケル、炭酸コバルト、および炭酸マンガンを、それぞれ、Li:Ni:Co:Mn=1.04:0.60:0.20:0.20のモル比となるように秤量した。
また、実施例11の第1活物質粒子群は、第1造粒工程S2aにおいて、原料スラリーの濃度を15質量%に調整し、原料スラリーを45kg/時間で供給し、ディスク式の噴霧乾燥装置のディスク回転数を28000rpmとした。その結果、実施例11の第1活物質粒子群の粒度分布の極大ピークにおける粒子径は18μmとなった。また、実施例11の第1活物質粒子群の粒度分布の極大ピークの強度X1と実施例11の第2活物質粒子群の粒度分布の極大ピークの強度X2との比X2/X1は、0.25であった。
また、実施例1の第1活物質粒子群および第2活物質粒子群と同様に、実施例11の第1活物質粒子群および第2活物質粒子群の組成を測定した。実施例11の第1活物質粒子群の組成は、Li1.01Ni0.60Co0.20Mn0.20であったが、実施例11の第2活物質粒子群の組成は、実施例1の第1活物質粒子群および第2活物質粒子群の組成と同様であった。次に、実施例11の第1活物質粒子群と第2活物質粒子群を、それぞれ、80:20の重量比となるよう秤量し、混合機で均一に混合して実施例11のリチウムイオン二次電池用正極活物質を得た。
実施例1から実施例11のリチウム二次電池用正極活物質の第1活物質粒子群と第2活物質粒子群の組成、極大ピーク、重量比、および極大ピークの強度の比X2/X1を以下の表1に示す。
Figure 2018116817
(比較例1)
実施例3の第3活物質粒子群と同様に比較例1の第1活物質粒子群を作製し、実施例3の第2活物質粒子群と同様に比較例1の第2活物質粒子群を作製した。その結果、比較例1の第1活物質粒子群の粒度分布の極大ピークにおける粒子径は4.1μmとなり、比較例1の第2活物質粒子群の粒度分布の極大ピークにおける粒子径は2.1μmとなった。また、比較例1の第1活物質粒子群の粒度分布の極大ピークの強度X1と比較例1の第2活物質粒子群の粒度分布の極大ピークの強度X2との比X2/X1は、0.25であった。
また、実施例1の第1活物質粒子群および第2活物質粒子群と同様に、比較例1の第1活物質粒子群および第2活物質粒子群の組成を測定した。その結果、比較例1の第1活物質粒子群および第2活物質粒子群の組成は、実施例1の第1活物質粒子群および第2活物質粒子群の組成と同様であった。次に、比較例1の第1活物質粒子群と第2活物質粒子群を、それぞれ、80:20の重量比となるよう秤量し、混合機で均一に混合して比較例1のリチウム二次電池用正極活物質を得た。
(比較例2)
実施例1の第1活物質粒子群と同様に比較例2の第1活物質粒子群を作製し、実施例3の第3活物質粒子群と同様に比較例2の第3活物質粒子群を作製した。その結果、比較例2の第1活物質粒子群の粒度分布の極大ピークにおける粒子径は15μmとなり、比較例2の第3活物質粒子群の粒度分布の極大ピークにおける粒子径は4.1μmとなった。また、比較例2では、第2活物質粒子群が存在しないため、比較例2の第1活物質粒子群の粒度分布の極大ピークの強度X1と第2活物質粒子群の粒度分布の極大ピークの強度X2との比X2/X1は、0とした。
また、実施例1の第1活物質粒子群および第2活物質粒子群と同様に、比較例2の第1活物質粒子群および第3活物質粒子群の組成を測定した。その結果、比較例2の第1活物質粒子群および第3活物質粒子群の組成は、実施例1の第1活物質粒子群および第2活物質粒子群の組成と同様であった。次に、比較例2の第1活物質粒子群と第3活物質粒子群を、それぞれ、80:20の重量比となるよう秤量し、混合機で均一に混合して比較例2のリチウム二次電池用正極活物質を得た。
(比較例3)
実施例1の第1活物質粒子群と同様に比較例3の第1活物質粒子群を作製して、比較例3のリチウムイオン二次電池用正極活物質を得た。比較例3では、第2活物質粒子群が存在しないため、比較例3の第1活物質粒子群の粒度分布の極大ピークの強度X1と第2活物質粒子群の粒度分布の極大ピークの強度X2との比X2/X1は、0とした。また、実施例1の第1活物質粒子群および第2活物質粒子群と同様に、比較例3の第1活物質粒子群の組成を測定した。その結果、比較例3の第1活物質粒子群の組成は、実施例1の第1活物質粒子群および第2活物質粒子群の組成と同様であった。
(比較例4)
実施例1の第2活物質粒子群と同様に比較例4の第2活物質粒子群を作製して、比較例4のリチウム二次電池用正極活物質を得た。比較例4では、第1活物質粒子群が存在しないため、第1活物質粒子群の粒度分布の極大ピークの強度X1と比較例4の第2活物質粒子群の粒度分布の極大ピークの強度X2との比X2/X1は、算出不能とした。また、実施例1の第1活物質粒子群および第2活物質粒子群と同様に、比較例4の第2活物質粒子群の組成を測定した。その結果、比較例4の第2活物質粒子群の組成は、実施例1の第1活物質粒子群および第2活物質粒子群の組成と同様であった。
(比較例5)
実施例1の第2活物質粒子群と同様に比較例5の第2活物質粒子群を作製して、比較例5のリチウム二次電池用正極活物質を得た。ただし、比較例5の第2活物質粒子群は、粉砕混合工程S1において、出発原料として炭酸リチウム、水酸化ニッケル、炭酸コバルト、および水酸化アルミニウムを、それぞれ、Li:Ni:Co:Al=1.04:0.82:0.15:0.03のモル比となるように秤量した。
また、比較例5の第2活物質粒子群は、第2造粒工程S2bにおいて、原料スラリーの濃度を15質量%に調整し、ノズル式の噴霧乾燥装置に対する原料スラリーの供給量を3kg/時間とした。その結果、比較例5の第2活物質粒子群の粒度分布の極大ピークにおける粒子径は4.1μmとなった。また、比較例5では、第1活物質粒子群が存在しないため、第1活物質粒子群の粒度分布の極大ピークの強度X1と比較例5の第2活物質粒子群の粒度分布の極大ピークの強度X2との比X2/X1は、算出不能とした。
比較例1から比較例5のリチウム二次電池用正極活物質の第1活物質粒子群と第2活物質粒子群の組成、極大ピーク、重量比、および極大ピークの強度の比X2/X1を以下の表2に示す。
Figure 2018116817
次に、実施例1の正極活物質を用い、前述の実施形態で説明した合剤調製工程、合剤塗工工程、および成形工程を経て、リチウムイオン二次電池用の正極を作製した。具体的には、合剤調製工程において、実施例1の正極活物質と、炭素系の導電材と、あらかじめN−メチル−2−ピロリドン(NMP)に溶解させた結着剤とを、それぞれ94:4.5:1.5の重量比で混合した。
そして、均一に混合された合剤スラリーを、合剤塗工工程において、厚さ20μmのアルミニウム箔の正極集電体上に10mg/cmの塗布量となるように塗布した。その後、正極集電体上に均一に塗布された合剤スラリーを120℃で熱処理し、合剤スラリーに含まれる溶液の溶媒を揮発または蒸発させて除去し、正極集電体の表面に、正極合剤層を形成した。その後、成形工程において、熱プレスによって正極合剤層を加圧成形して正極を作製した。作製した正極の電極密度、すなわち正極合剤層の密度を測定したところ、3.5g/cmであった。
次に、負極活物質として黒鉛を用い、前述の実施形態で説明した合剤調製工程、合剤塗工工程、および成形工程を経て、リチウムイオン二次電池用の負極を作製した。具体的には、合剤調製工程において、黒鉛と、あらかじめNMPに溶解させた結着剤とを、それぞれ98:2の重量比で混合した。
そして、均一に混合された合剤スラリーを、合剤塗工工程において、厚さ10μmの銅箔の負極集電体上に6.5mg/cmの塗布量となるように塗布した。その後、負極集電体上に均一に塗布された合剤スラリーを100℃で熱処理し、合剤スラリーに含まれる溶液の溶媒を揮発または蒸発させて除去し、負極集電体の表面に、負極合剤層を形成した。その後、成形工程において、熱プレスによって負極合剤層を加圧成形して負極を作製した。
次に、作製した正極と負極とを用い、実施例1のリチウムイオン二次電池を製作した。具体的には、正極を直径15mmの円形状に打ち抜き、負極を直径16mmの円形状に打ち抜き、厚さ30μmのPP(ポリプロピレン)製のイオン伝導性および絶縁性を有する多孔質セパレータを介して非水電解液中で対向させた。非水電解液(電解質)としては、有機溶媒のエチレンカーボネート(EC)、ジメチルカーボネート(DMC)を体積比3:7で混合したものに、六フッ化リン酸リチウム(LiPF)を1mol/L溶解させたものを用いた。
次に、作製した実施例1の二次電池を、25℃環境下で、正極材料重量基準40A/kg、上限電位4.3Vの定電流/定電位充電で充電した後、正極材料重量基準40A/kgの定電流で下限電位2.7Vまで放電し、放電容量を測定することによって初期容量の測定を行った。実施例1の二次電池の電池容量は、651mAh/cmであった。
また、実施例1の二次電池の充放電サイクルに伴う抵抗上昇率の測定は、以下の手順で行った。まず、実施例1の二次電池を、正極材料重量基準40A/kgで充放電した後、300A/kg、10s放電での直流抵抗を測定した。その後、実施例1の二次電池を、50℃の恒温槽内で、200Ah/kgでの定電流/定電位によって充電し、400Ah/kgの定電流で放電するサイクルを100サイクル行った。その後、再び25℃環境下で実施例1の二次電池の直流抵抗を測定し、充放電サイクルに伴う二次電池の抵抗変化を算出し、実施例1の二次電池の100サイクル後の抵抗増加率、すなわち(100サイクル後の直流抵抗)/(1サイクル後の直流抵抗)を求めた。実施例1の二次電池の抵抗増加率は、15%であった。
また、実施例1の二次電池と同様に、実施例2から実施例11および比較例1から比較例5の正極活物質を用いて、実施例2から実施例11および比較例1から比較例5の二次電池を作製した。そして、作成した実施例2から実施例11および比較例1から比較例5の二次電池において、実施例1の二次電池と同様に、電極密度、電池容量、および抵抗増加率を測定した。実施例1から実施例11および比較例1から比較例5の二次電池の電極密度、電池容量、および抵抗増加率を以下の表3に示す。
Figure 2018116817
表3に示すように、実施例1から実施例11の二次電池では、正極の電極密度が3.4g/cm以上の高い値であったのに対し、比較例1から比較例5の二次電池では、正極の電極密度が3.2g/cm以下の低い値であった。また、実施例1から実施例11の二次電池では、電池容量が601mAh/cm以上の高い値であったのに対し、比較例1から比較例5の二次電池では589mAh/cm以下の低い値であった。また、実施施例1から実施例11の二次電池では、実施例8の二次電池を除いて抵抗上昇率が16%以下の低い値であったのに対し、比較例1から比較例5の二次電池では、比較例2の二次電池を除いて抵抗上昇率が25%以上の高い値であった。
:長径
:短径
M:リチウムイオン二次電池用正極活物質の製造方法
M1:リチウムイオン二次電池用正極活物質の製造方法
M2:リチウムイオン二次電池用正極活物質の製造方法
M3:リチウムイオン二次電池用正極活物質の製造方法
Pa:不定形粒子
Ps:球状粒子
S1:粉砕混合工程
S2a:第1造粒工程
S2b:第2造粒工程
S2c:第3造粒工程
S3:焼成工程
S4:前駆体混合工程
S5:焼成体混合工程
SD:噴霧乾燥装置
100:リチウムイオン二次電池
111:正極

Claims (15)

  1. 層状構造の結晶構造を有し、下記組成式(1)で表されるリチウム遷移金属複合酸化物からなるリチウムイオン二次電池用正極活物質であって、
    粒度分布が2以上の極大ピークを有し、前記極大ピークが10μm以上の第1活物質粒子群と、前記極大ピークが3μm以下の第2活物質粒子群とを含み、
    前記第1活物質粒子群は、短径Dと長径Dが不等式D/D≧0.8を満たす球状粒子を主体とし、第2活物質粒子群は、短径Dと長径Dが不等式D/D<0.8を満たす不定形粒子を主体とすることを特徴とするリチウムイオン二次電池用正極活物質。
    Li1+aNiMnCo2+α …(1)
    ただし、前記組成式(1)において、Mは、Mg、Al、Ti、Zr、MoおよびNbからなる群より選択される少なくとも1種の元素であり、a、b、c、d、eおよびαは、それぞれ、−0.1≦a≦0.2、0.7<b<1.0、0≦c<0.3、0≦d<0.3、0≦e≦0.3、b+c+d+e=1、−0.2≦α≦0.2を満たす数である。
  2. 粒度分布の極大ピークが4μm以上、10μm未満の第3活物質粒子群をさらに含み、粒度分布が3以上の極大ピークを有し、
    前記第3活物質粒子群は、短径Dと長径Dが不等式D/D≧0.8を満たす球状粒子を主体とすることを特徴とする請求項1に記載のリチウムイオン二次電池用正極活物質。
  3. 前記第1活物質粒子群の前記粒度分布の極大ピークの強度X1と前記第2活物質粒子群の前記粒度分布の極大ピークの強度X2との比X2/X1が0.3以下であることを特徴とする請求項1または2に記載のリチウムイオン二次電池用正極活物質。
  4. 層状構造の結晶構造を有し、下記組成式(1)で表されるリチウム遷移金属複合酸化物からなるリチウムイオン二次電池用正極活物質の製造方法であって、
    Liを含む化合物と、下記組成式(1)のLi以外の各金属元素をそれぞれ含む複数の化合物とを粉砕混合してスラリー状の混合物を得る粉砕混合工程と、
    前記混合物を噴霧乾燥させて前記混合物を構成する複数の一次粒子を凝集させ、粒度分布の極大ピークが10μm以上で短径Dと長径Dが不等式D/D≧0.8を満たす球状粒子を主体とする第1活物質粒子前駆体を造粒する第1造粒工程と、
    前記混合物を噴霧乾燥させて前記混合物を構成する複数の一次粒子を凝集させ、粒度分布の極大ピークが3μm以下で短径Dと長径Dが不等式D/D<0.8を満たす不定形粒子を主体とする第2活物質粒子前駆体を造粒してバグフィルターで捕集する第2造粒工程と、
    前記第1活物質粒子前駆体と前記第2活物質粒子前駆体を650℃以上、900℃以下で焼成する焼成工程と、
    を含むことを特徴とするリチウムイオン二次電池用正極活物質の製造方法。
    Li1+aNiMnCo2+α …(1)
    ただし、前記組成式(1)において、Mは、Mg、Al、Ti、Zr、MoおよびNbからなる群より選択される少なくとも1種の元素であり、a、b、c、d、eおよびαは、それぞれ、−0.1≦a≦0.2、0.7<b<1.0、0≦c<0.3、0≦d<0.3、0≦e≦0.3、b+c+d+e=1、−0.2≦α≦0.2を満たす数である。
  5. 前記焼成工程より前に、前記第1活物質粒子前駆体と前記第2活物質粒子前駆体とを混合して2種粒子混合体を得る前駆体混合工程を有し、
    前記焼成工程において、前記2種粒子混合体を焼成することで前記第1活物質粒子前駆体と前記第2活物質粒子前駆体とを焼成することを特徴とする請求項4に記載のリチウムイオン二次電池用正極活物質の製造方法。
  6. 前記焼成工程において、前記第1活物質粒子前駆体と前記第2活物質粒子前駆体を個別に焼成して第1活物質粒子群と第2活物質粒子群を個別に得るとともに、
    前記焼成工程より後に、前記第1活物質粒子群と前記第2活物質粒子群を混合する焼成体混合工程を有することを特徴とする請求項4に記載のリチウムイオン二次電池用正極活物質の製造方法。
  7. 前記第1造粒工程および前記第2造粒工程は、噴霧乾燥装置を用いて並行して行われることを特徴とする請求項4から請求項6のいずれか一項に記載のリチウムイオン二次電池用正極活物質の製造方法。
  8. 前記焼成工程より前に、前記混合物を噴霧乾燥させて前記混合物を構成する複数の一次粒子を凝集させ、粒度分布の極大ピークが4μm以上、10μm未満で、かつ短径Dと長径Dが不等式D/D≧0.8を満たす球状粒子が主体である第3活物質粒子前駆体を造粒する第3造粒工程をさらに含み、
    前記焼成工程において、前記第1活物質粒子前駆体と前記第2活物質粒子前駆体と前記第3活物質粒子前駆体を650℃以上、900℃以下で焼成することを特徴とする請求項4に記載のリチウムイオン二次電池用正極活物質の製造方法。
  9. 前記焼成工程より前に、前記第1活物質粒子前駆体と前記第2活物質粒子前駆体と前記第3活物質粒子前駆体とを混合し、3種粒子混合体を得る前駆体混合工程を有し、
    前記焼成工程において、前記3種粒子混合体を焼成することで第1活物質粒子群と第2活物質粒子群と第3活物質粒子群を得ることを特徴とする請求項8に記載のリチウムイオン二次電池用正極活物質の製造方法。
  10. 前記焼成工程において、前記第1活物質粒子前駆体と前記第2活物質粒子前駆体と前記第3活物質粒子前駆体とを個別に焼成して第1活物質粒子群と第2活物質粒子群と第3活物質粒子群とを個別に得るとともに、
    前記焼成工程より後に、前記第1活物質粒子群と前記第2活物質粒子群と前記第3活物質粒子群を混合する焼成体混合工程を有することを特徴とする請求項8に記載のリチウムイオン二次電池用正極活物質の製造方法。
  11. 前記焼成工程より前に、前記第1活物質粒子前駆体と前記第3活物質粒子前駆体とを混合し、2種粒子混合体を得る前駆体混合工程を有し、
    前記焼成工程において、前記2種粒子混合体と前記第2活物質粒子前駆体とを個別に焼成して第1活物質粒子群と第3活物質粒子群の混合焼成体と、第2活物質粒子群とを個別に得るとともに、
    前記焼成工程より後に、前記混合焼成体と前記第2活物質粒子群とを混合する焼成体混合工程を有することを特徴とする請求項8に記載のリチウムイオン二次電池用正極活物質の製造方法。
  12. 前記焼成工程より前に、前記第2活物質粒子前駆体と第3活物質粒子前駆体とを混合し、2種粒子混合体を得る前駆体混合工程を有し、
    前記焼成工程において、前記第1活物質粒子前駆体と前記2種粒子混合体とを個別に焼成して、第1活物質粒子群と、第2活物質粒子群と第3活物質粒子群の混合焼成体とを得るとともに、
    前記焼成工程より後に、前記第1活物質粒子群と前記混合焼成体とを混合する焼成体混合工程を有することを特徴とする請求項8に記載のリチウムイオン二次電池用正極活物質の製造方法。
  13. 前記第1造粒工程、前記第2造粒工程、および前記第3造粒工程は、噴霧乾燥装置を用いて並行して行われることを特徴とする請求項8から請求項12のいずれか一項に記載のリチウムイオン二次電池用正極活物質の製造方法。
  14. 請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のリチウムイオン二次電池用正極活物質を正極に含むリチウムイオン二次電池。
  15. 前記正極は、3.4g/cm以上の電極密度を有することを特徴とする請求項14に記載のリチウムイオン二次電池。
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