JP2018111970A - 免震構造物 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、地震時に、張出し部から柱部材に作用する曲げモーメントを低減しつつ、柱部材の施工性を向上することを目的とする。【解決手段】免震構造物10は、平地面60Aに設けられる基礎12と、基礎12に設けられる積層ゴム支承14と、積層ゴム支承14を介して基礎12に支持される構造物本体16と、構造物本体16から、平地面60Aよりも高い位置にある傾斜地面70A上へ張り出す張出し部20と、傾斜地面70A上に設けられる柱部材30と、柱部材30の柱頭部30Uに設けられ、張出し部20を支持する滑り支承40と、を備える。【選択図】図1

Description

本発明は、免震構造物に関する。
基礎免震と、中間層免震とが併用された免震構造物が知られている(例えば、特許文献1参照)。
また、下部構造体の柱の柱頭部に、滑り支承を介して上部構造体が支持される免震構造物が知られている(例えば、特許文献2参照)。この滑り支承では、滑り板が上部構造体に設けられ、滑り材が柱の柱頭部に設けられている。
特開2004−316285号公報 特開2008−280718号公報
ところで、平地に建てられる免震構造物本体と、免震構造物本体から上り傾斜地側へ張り出す張出し部とを備える免震構造物において、張出し部を免震装置を介して柱部材に支持させることが考えられる。
しかしながら、この場合、地震時に、張出し部から柱部材に作用する曲げモーメントが大きくなる可能性がある。
この対策として、例えば、上り傾斜地を掘削し、免震構造物本体用の基礎と柱部材用の基礎とを基礎梁等で接続し、柱部材用の基礎の耐力等を高めることが考えられる。
しかしながら、傾斜地の掘削や基礎梁等の施工には、手間がかかる。
本発明は、上記の事実を考慮し、地震時に、張出し部から柱部材に作用する曲げモーメントを低減しつつ、柱部材の施工性を向上することを目的とする。
請求項1に記載の免震構造物は、第一地面に設けられる基礎と、前記基礎に設けられる積層ゴム支承と、前記積層ゴム支承を介して前記基礎に支持される構造物本体と、前記構造物本体から、前記第一地面よりも高い位置にある第二地面上へ張り出す張出し部と、前記第二地面上に設けられる柱部材と、前記柱部材の柱頭部に設けられ、前記張出し部を支持する滑り支承と、を備える。
請求項1に係る免震構造物によれば、第一地面には、基礎が設けられる。この基礎には、積層ゴム支承を介して構造物本体が支持される。また、構造物本体には、張出し部が設けられる。張出し部は、構造物本体から、第一地面よりも高い位置にある第二地面上へ張り出す。第二地面には、柱部材が設けられている。この柱部材の柱頭部に設けられた滑り支承によって、張出し部が支持される。
ここで、張出し部が積層ゴム支承を介して柱部材に支持される場合は、張出し部と柱部材とが積層ゴム支承を介して連結される。そのため、地震時に、張出し部から積層ゴム支承を介して柱部材に伝達される曲げモーメントが大きくなり易い。
これに対して本発明の張出し部は、滑り支承を介して柱部材の柱頭部に支持される。これにより、地震時に、柱部材の柱頭部に対して張出し部がスライドするため、張出し部から滑り支承を介して柱部材に伝達される曲げモーメントが小さくなる。
したがって、本発明では、張出し部が積層ゴム支承を介して柱部材に支持される場合と比較して、地震時に、張出し部から柱部材に作用する曲げモーメントが低減される。この結果、本発明では、第二地面を掘削し、構造物本体用の基礎と柱部材用の基礎とを基礎梁等で接続する必要がない。したがって、柱部材の施工性が向上する。
このように本発明では、地震時に、張出し部から柱部材に作用する曲げモーメントを低減しつつ、柱部材の施工性を向上することができる。
また、前述したように、構造物本体は、積層ゴム支承を介して基礎に支持される。一方、張出し部は、滑り支承を介して柱部材の柱頭部に支持される。そのため、張出し部に作用する地震力は、主として、構造物本体から積層ゴム支承を介して基礎に伝達される。したがって、張出し部から柱部材に作用する曲げモーメントを低減しつつ、張出し部の耐震性能を高めることができる。
さらに、第二地面に柱部材を設けることにより、第一地面に柱部材を設ける場合と比較して、柱部材の高さ(材軸長さ)が低くなる。したがって、柱部材の曲げ耐力を高めることができる。
請求項2に記載の免震構造物は、請求項1に記載の免震構造物において、前記第二地面は、前記第一地面に対して上り勾配となる傾斜地面とされ、前記柱部材は、前記傾斜地面に設けられ、前記基礎と別体とされた柱部材用基礎に支持される。
請求項2に係る免震構造物によれば、第二地面は、第一地面に対して上り勾配となる傾斜地面とされる。この傾斜地面には、柱部材用基礎が設けられており、この柱部材用基礎によって柱部材が支持される。
このように傾斜地面に、柱部材及び柱部材用基礎を設けることにより、第一地面に柱部材及び柱部材用基礎を設ける場合と比較して、柱部材の高さを容易に低くすることができる。したがって、柱部材の曲げ耐力を容易に高めることができる。
請求項3に記載の免震構造物は、請求項1又は請求項2に記載の免震構造物において、前記滑り支承は、前記張出し部に設けられる滑り板と、前記柱部材の前記柱頭部に設けられ、前記滑り板をスライド可能に支持する滑り材と、を有する。
請求項3に係る免震構造物によれば、張出し部を支持する滑り支承は、滑り板及び滑り材を有する。滑り板は、張出し部に設けられる。一方、滑り材は、柱部材の柱頭部に設けられ、滑り板をスライド可能に支持する。
ここで、本発明とは逆に、滑り板が柱部材の柱頭部に設けられ、滑り材が張出し部に設けられる場合、地震時に滑り板に対して滑り材がスライドすると、滑り材から滑り板を介して柱部材の柱頭部に入力される張出し部の鉛直荷重の入力位置が変化する。これにより、地震時に、張出し部から柱部材に作用する曲げモーメントが大きくなる可能性がある。
これに対して本発明では、滑り板が張出し部に設けられ、滑り材が柱部材の柱頭部に設けられる。そのため、地震時に滑り材に対して滑り板がスライドしても、滑り板から滑り材を介して柱部材の柱頭部に入力される張出し部の鉛直荷重の入力位置が変化し難くなる。したがって、本発明では、滑り板が柱部材の柱頭部に設けられ、滑り材が張出し部に設けられる場合と比較して、地震時に、張出し部から柱部材に作用する曲げモーメントを低減することができる。
以上説明したように、本発明に係る免震構造物によれば、地震時に、張出し部から柱部材に作用する曲げモーメントを低減しつつ、柱部材の施工性を向上することができる。
一実施形態に係る免震構造物を示す立面図である。 (A)及び(B)は、滑り支承を示す図1の一部拡大立面図である。 比較例に係る滑り支承を示す図2に相当する一部拡大立面図である。 一実施形態に係る免震構造物の変形例を示す図1に相当する立面図である。 一実施形態に係る免震構造物の変形例を示す図2(A)に相当する一部拡大立面図である。
以下、図面を参照しながら、一実施形態に係る免震構造物について説明する。
(免震構造物)
図1には、本実施形態に係る免震構造物10が示されている。免震構造物10は、地盤Gの平地60と傾斜地70とに亘って設けられている。この免震構造物10は、基礎12と、複数の積層ゴム支承14と、構造物本体16とを備えている。
(基礎)
基礎12は、例えば、鉄筋コンクリート造の耐圧盤とされる。この基礎12は、平地60を掘削(根切り)して形成した平地面(根切り底)60A上に設けられている。
なお、基礎12は、耐圧盤に限らず、その構造は適宜変更可能である。また、平地面60Aは、第一地面の一例である。
(積層ゴム支承)
複数の積層ゴム支承14は、基礎12の上面12Uに設置されている。また、複数の積層ゴム支承14は、水平二方向に配列されている。これらの積層ゴム支承14によって、構造物本体16が支持されている。
なお、基礎12と構造物本体16との間には、複数の積層ゴム支承14が設置される免震層18が形成されている。また、積層ゴム支承14は、免震装置の一例である。
(構造物本体)
構造物本体16は、複数階(複数層)を有している。この構造物本体16は、複数の積層ゴム支承14によって、基礎12に対して水平方向に変位可能に支持されている。この構造物本体16の一方側の側面16Sには、張出し部20が設けられている。
(張出し部)
張出し部20は、例えば、柱及び梁によって形成される架構を内部に有している。この張出し部20は、構造物本体16の所定階(例えば二階以上)から、傾斜地70の傾斜地面70A上へ張り出している。
傾斜地面70Aは、平地面60Aに対して上り勾配とされており、平地面60Aよりも高い位置に存在している。そのため、張出し部20は、傾斜地面70Aを避けるように、構造物本体16の上部から傾斜地面70A側へ張り出している。この張出し部20は、複数の柱部材30によって支持されている。なお、傾斜地面70Aは、第二地面の一例である。
(柱部材)
柱部材30は、張出し部20の張出し方向(矢印H方向)の先端部20T側の下側に配置されている。なお、図示を省略するが、柱部材30は、図1の紙面奥行方向に複数設けられている。各柱部材30は、傾斜地70に設けられた柱部材用基礎32上に立てられ、当該柱部材用基礎32に支持されている。
なお、張出し部20は、少なくとも1本の柱部材30によって支持することができる。また、柱部材30の配置は、適宜変更可能である。
(柱部材用基礎)
柱部材用基礎32は、基礎12から離れた位置に設けられており、当該基礎12とは別体とされている。なお、柱部材用基礎32は、例えば、柱部材30ごとに設けられる独立基礎であっても良いし、複数の柱部材30に亘る連続基礎(布基礎)等であっても良い。
(滑り支承)
柱部材30の柱頭部30Uには、滑り支承40が設けられている。つまり、免震構造物10では、積層ゴム支承14及び滑り支承40が併用されている。また、柱部材30には、柱頭免震構造が適用されている。この滑り支承40によって、張出し部20の先端部20T側が支持されている。換言すると、張出し部20は、滑り支承40を介して柱部材30の柱頭部30Uに支持されている。これにより、張出し部20は、柱部材30に対して水平方向に変位可能とされている。
(滑り板)
図2(A)及び図2(B)に示されるように、滑り支承40は、滑り板42及び滑り材44を有している。滑り板42は、張出し部20に設けられている。具体的には、張出し部20を構成する柱24の柱脚部には、ベースプレート26が設けられている。ベースプレート26は、複数の補強リブ28によって適宜補強されている。このベースプレート26の下面に、滑り板42が設けられている。なお、張出し部20の柱24には、梁29が接合されている。
滑り板42は、板状に形成されており、ベースプレート26の下面に重ねられた状態で接合されている。また、滑り板42の下面は、後述する滑り材44がスライドする滑り面42Lとされている。さらに、滑り面42Lは、滑り材44の支持面44Uよりも広くされている。この滑り面42Lは、ステンレスやテフロン(登録商標)等の低摩擦材料で形成される。
(滑り材)
滑り材44は、柱部材30の柱頭部30Uに設けられている。滑り材44は、滑り板42の滑り面42Lを支持する支持面44Uを有している。この支持面44Uは、例えば、ステンレスやテフロン(登録商標)等の低摩擦材料によって形成される。これにより、滑り材44の支持面44U上を、滑り板42の滑り面42Lがスライド可能とされている。
なお、滑り支承40では、滑り板42の滑り面42L及び滑り材44の支持面44Uの少なくとも一方を低摩擦材料によって形成することができる。また、図2(A)及び図2(B)に示される符号Cは、柱部材30の中心軸(材軸)を示している。
(作用)
次に、本実施形態の作用について説明する。
図1に示されるように、本実施形態に係る免震構造物10によれば、地盤Gの平地面60Aには、基礎12が設けられている。この基礎12には、複数の積層ゴム支承14を介して構造物本体16が支持されている。また、構造物本体16には、張出し部20が設けられている。張出し部20は、構造物本体16から傾斜地面70A上に張り出している。傾斜地面70Aには、柱部材30が設けられている。この柱部材30の柱頭部30Uに設けられた滑り支承40によって、張出し部20が支持されている。
ここで、張出し部20は、傾斜地面70Aを避けるように、構造物本体16の上部から傾斜地面70A上へ張り出している。これにより、傾斜地面70Aを掘削する必要がないため、施工コストを圧縮することができる。
また、構造物本体16は、複数の積層ゴム支承14を介して基礎12に支持されている。一方、張出し部20は、滑り支承40を介して柱部材30の柱頭部30Uに支持されている。これにより、地震時には、構造物本体16が基礎12に対して水平方向に変位するとともに、張出し部20が柱部材30に対して水平方向に変位する。したがって、地震時に、構造物本体16及び張出し部20に作用する地震力Q1,Q2が低減される。
ここで、比較例として、例えば、張出し部20が滑り支承40ではなく、積層ゴム支承を介して柱部材30の柱頭部30Uに支持される場合は、張出し部20と柱部材30とが積層ゴム支承を介して連結される。そのため、地震時に、張出し部20から積層ゴム支承を介して柱部材30に伝達される曲げモーメントが大きくなり易い。そして、張出し部20から柱部材30に伝達される曲げモーメントが大きくなると、柱部材30の必要断面積が大きくなったり、柱部材30に対する補強が増加したりする。
また、張出し部20から柱部材30に伝達される曲げモーメントが大きくなると、柱部材30を支持する柱部材用基礎32の必要耐力等が大きくなる。この場合、例えば、図1に二点鎖線で示されるように、傾斜地70を掘削し、柱部材用基礎32と構造物本体16用の基礎12とを基礎梁等で接続することにより、柱部材用基礎32の必要耐力等を高めることが考えられる。しかしながら、傾斜地70の掘削や、基礎梁等の施工には、手間がかかる。
これに対して本実施形態の張出し部20は、前述したように、滑り支承40を介して柱部材30の柱頭部30Uに支持されている。これにより、地震時に、張出し部20が柱部材30の柱頭部30Uに対してスライドするため、張出し部20から滑り支承40を介して柱部材30の柱頭部30Uに伝達される曲げモーメントが小さくなる。
したがって、本実施形態では、張出し部20が積層ゴム支承を介して柱部材30の柱頭部30Uに支持される場合と比較して、地震時に、張出し部20から柱部材30に作用する曲げモーメントを低減することができる。
この結果、柱部材30の必要断面積を小さくしたり、柱部材30に対する補強等を軽減したりすることができる。したがって、柱部材30の施工コストを削減することができる。
また、張出し部20から柱部材30に作用する曲げモーメントを低減することにより、柱部材30を支持する柱部材用基礎32の必要耐力等を下げることができる。そのため、傾斜地面70Aを掘削し、柱部材用基礎32と構造物本体16用の基礎12とを基礎梁等で接続する必要がない。つまり、本実施形態では、柱部材用基礎32と構造物本体16用の基礎12とを別体にすることができる。したがって、傾斜地面70Aの掘削量が低減されるとともに、柱部材用基礎32の施工の手間が低減される。
このように本実施形態では、地震時に、張出し部20から柱部材30に作用する曲げモーメントを低減しつつ、柱部材30及び柱部材用基礎32の施工性を向上することができる。
また、図1に示されるように、構造物本体16は、複数の積層ゴム支承14を介して基礎12に支持されている。これにより、地震時に、構造物本体16に作用する地震力Q1は、主として、複数の積層ゴム支承14を介して基礎12に伝達される。
一方、構造物本体16から張り出す張出し部20は、滑り支承40を介して柱部材30の柱頭部30Uに支持されている。そのため、地震時に、張出し部20に作用する地震力Q2は、主として、構造物本体16から複数の積層ゴム支承14を介して基礎12に伝達される。したがって、地震時に、張出し部20から柱部材30に作用する曲げモーメントを低減しつつ、張出し部20の耐震性能を高めることができる。
さらに、傾斜地面70Aに柱部材30を設けることにより、平地面60Aに柱部材30を設ける場合と比較して、柱部材30の高さ(材軸長さ)を容易に低くすることができる。したがって、柱部材30の曲げ耐力を容易に高めることができる。
また、図2(A)に示されるように、本実施形態の滑り支承40では、滑り板42が張出し部20に設けられ、滑り材44が柱部材30の柱頭部30Uに設けられている。ここで、図3(A)には、比較例に係る滑り支承100が示されている。この滑り支承100では、本実施形態とは逆に、滑り板42が柱部材30の柱頭部30Uに設けられ、滑り材44が張出し部20に設けられている。
この場合、図3(B)に示されるように、地震時に滑り板42に対して滑り材44が水平方向にスライドすると、滑り材44から滑り板42を介して柱部材30の柱頭部30Uに入力される張出し部20の鉛直荷重Nの入力位置が変化する。これにより、地震時に、張出し部20から柱部材30に作用する曲げモーメントMが大きくなる可能性がある。
これに対して本実施形態では、図2(A)に示されるように、滑り板42が張出し部20に設けられ、滑り材44が柱部材30の柱頭部30Uに設けられている。これにより、図2(B)に示されるように、地震時に滑り材44に対して滑り板42が水平方向にスライドしても、滑り板42から滑り材44を介して柱部材30の柱頭部30Uに入力される張出し部20の鉛直荷重Nの入力位置が変化し難くなる。
したがって、本実施形態では、比較例に係る滑り支承100と比較して、地震時に、張出し部20から柱部材30に作用する曲げモーメントM(図3(b)参照)を低減することができる。
(変形例)
次に、上記実施形態の変形例について説明する。
上記実施形態の張出し部20は、構造物本体16から傾斜地面70A上へ張り出しているが、上記実施形態はこれに限らない。例えば、図4に示されるように、張出し部20は、構造物本体16から平地90の平地面90A上へ張り出しても良い。
具体的には、免震構造物80の基礎12は、地盤Gの平地60を掘削して形成した地下空間82の平地面(底面)82A上に設けられている。この基礎12には、複数の積層ゴム支承14を介して構造物本体16が支持されている。なお、平地面82Aは、第一地面の一例である。
構造物本体16は、地下に配置される地下階16Lと、地上に配置される地上階16Uとを有している。この構造物本体16の地上階16Uには、張出し部20が設けられている。張出し部20は、構造物本体16の地上階16Uから、地下空間82の外側にある平地面90A上に張り出している。
平地面90Aは、地下空間82の平地面82Aよりも高い位置に配置されている。また、平地面90Aには、柱部材30、及び柱部材30を支持する柱部材用基礎32が設けられている。この柱部材30の柱頭部30Uに設けられた滑り支承40によって、張出し部20が支持されている。なお、平地面90Aは、第二地面の一例である。
このように張出し部20は、地下空間82の平地面82Aよりも高い位置にある平地面90A上に張り出すようにしても良い。この場合も、上記実施形態と同様に、地震時に、張出し部20から柱部材30に作用する曲げモーメントを低減しつつ、柱部材30の施工性を向上することができる。
また、上記実施形態では、傾斜地面70Aが掘削されないが、傾斜地面70Aは、平地面60A以下にならない範囲内で掘削しても良い。この場合、掘削した傾斜地面70Aには、例えば、柱部材用基礎32と構造物本体16用の基礎12とを接続する基礎梁等を設けても良い。
次に、滑り支承40の取付構造は、上記したものに限らず、適宜変更可能である。例えば、図5に示されるように、張出し部20に設けられた鉄筋コンクリート造又は鉄骨鉄筋コンクリート造のフーチング50の下面に滑り板42を設けても良い(固定しても良い)。また、滑り材44を支持する柱部材30の柱頭部30Uには、張出し部34を設けても良い。
なお、滑り支承40上の梁29には、ハンチを設けても良いし、設けなくても良い。
次に、上記実施形態の滑り支承40では、滑り板42が張出し部20に設けられ、滑り材44が柱部材30の柱頭部30Uに設けられるが、これとは逆に、滑り板を柱部材30の柱頭部30Uに設け、滑り材を張出し部20に設けても良い。
また、柱部材30は、鉄筋コンクリート造や、鉄骨鉄筋コンクリート造、S造、CFT造等であっても良い。
また、上記実施形態では、構造物本体16が複数の積層ゴム支承14を介して基礎12に支持されるが、上記実施形態はこれに限らない。構造物本体16を支持する免震装置のうち、少なくとも一つの免震装置が積層ゴム支承であれば良く、他の免震装置は、滑り支承や、転がり支承等であっても良い。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明はこうした実施形態に限定されるものでなく、一実施形態及び各種の変形例を適宜組み合わせて用いても良いし、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得ることは勿論である。
10 免震構造物
12 基礎
14 積層ゴム支承
16 構造物本体
20 張出し部
30 柱部材
30U 柱頭部
32 柱部材用基礎
40 滑り支承
42 滑り板
44 滑り材
60A 平地面(第一地面)
70A 傾斜地面(第二地面)
80 免震構造物
82A 平地面(第一地面)
90A 平地面(第二地面)

Claims (3)

  1. 第一地面に設けられる基礎と、
    前記基礎に設けられる積層ゴム支承と、
    前記積層ゴム支承を介して前記基礎に支持される構造物本体と、
    前記構造物本体から、前記第一地面よりも高い位置にある第二地面上へ張り出す張出し部と、
    前記第二地面上に設けられる柱部材と、
    前記柱部材の柱頭部に設けられ、前記張出し部を支持する滑り支承と、
    を備える免震構造物。
  2. 前記第二地面は、前記第一地面に対して上り勾配となる傾斜地面とされ、
    前記柱部材は、前記傾斜地面に設けられ、前記基礎と別体とされた柱部材用基礎に支持される、
    請求項1に記載の免震構造物。
  3. 前記滑り支承は、
    前記張出し部に設けられる滑り板と、
    前記柱部材の前記柱頭部に設けられ、前記滑り板をスライド可能に支持する滑り材と、
    を有する、
    請求項1又は請求項2に記載の免震構造物。
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