JP2018111666A - 遺伝子修復作用を呈するフマル酸誘導体 - Google Patents

遺伝子修復作用を呈するフマル酸誘導体 Download PDF

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Abstract

【課題】 遺伝子修復作用を呈するフマル酸誘導体を提供する。【解決手段】 フマル酸誘導体とはフマル酸2分子、イソラムネチン1分子とケイ素1分子から構成される両親媒性化合物である。その製造方法はナズナの葉及び米糠粉末に納豆本舗製の納豆菌を添加して発酵させた発酵液をベニコウジ菌で発酵する工程からなる。また、水溶性溶媒に溶解した場合、1.6ppmの水素ガスを発生する。得られるフマル酸誘導体は優れた遺伝子修復作用を呈し、細胞機能の改善に適する。この誘導体は化粧料、食品及び植物活性化剤として応用される。【選択図】 なし

Description

この発明は遺伝子修復作用を呈するフマル酸誘導体に関するものである。
遺伝子は日々の生活の中で障害を受けている。また、加齢に伴って遺伝子は酸化され、障害される。生体には傷ついた遺伝子を修復する遺伝子修復作用が備わっている。
遺伝子修復の働きには、数種類が認められている。たとえば、DNAポリメラーゼとリガーゼの組み合わせによる修復機能がある。また、活性酸素による塩基の障害に対してはOGG1、つまり、8ヒドロキシル−2−デオキシグアノシンの修復酵素である8−オキソグアニンDNAグリコシラーゼである。
さらに、DNAポリメラーゼを介したSOS修復機能も存在し、いろいろな遺伝子障害に対する修復機能が存在している。これらの遺伝子修復機能を活性化することは加齢や化学物質による遺伝子の障害を修復し、疾患を遺伝子から回復させることから好ましい。この遺伝子修復機能を活性化する研究が行われている。
遺伝子修復機能に関する発明としては、たとえば、標的DNAのインビボ除去による遺伝子修復があるものの、細胞レベルでの治療であり生体には応用が限られる(例えば、特許文献1参照。)。また、DNAの標的改変の発明ではベクターによる遺伝子の調整が記載されている(例えば、特許文献2参照。)。
特願2000−597444 特願2013−541944
既存の物質による遺伝子修復作用は軽度であり、産業上への利用が限定されるという課題があり、また、化学合成された物質では安全性に問題があり、利用が限られている。
そこで、副作用が弱く優れた遺伝子修復作用を呈する天然物が望まれている。
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明は下記の式(1)で示される遺伝子修復作用を呈するフマル酸誘導体に関するものである。
この発明は、以上のように構成されているため、次のような効果を奏する。
請求項1に記載のフマル酸誘導体は遺伝子修復作用に優れている。
以下、この発明を具体化した実施形態について詳細に説明する。
遺伝子修復作用を呈するフマル酸誘導体とは、下記の式(1)で示される構造からなるものである。
前記の式(1)のように遺伝子修復作用を呈するフマル酸誘導体はフマル酸の2分子、イソラムネチンの1分子及びケイ素(Si)の1元素から構成されている。
これらの分子及びその結合はすべて自然界に存在する天然型であり、各分子間はケイ素を介したイオン結合及び共有結合を介して結合している。
このフマル酸誘導体はフマル酸、イソラムネチン及びケイ素を原料として化学合成により得ることができる。しかし、その化学的な合成では原料の損失が多く、製造コストが高くなるため、産業への利用は限定される。
化学合成された純度の高いフマル酸誘導体は分析の標準品や微量な試供品を得るために用いられる。
このフマル酸誘導体の構造を解析することは有効成分の特定ができる点から好ましい。また、製品や製剤に利用して販売する際の有効成分の含有量の指標として利用できることから好ましい。
このフマル酸誘導体の構造解析の一例としてフマル酸を原材料として化学合成された高純度(純度95%以上)の標準品を用いて重水素化ジメチルスルホキシド中の200MHzのH−NMR(1H−NMR)により解析した場合、ピークの位置は6.17、6.24、6.25、6.32、6.48、6.62、9.72、9.86、9.87、9.94、10.15及び10.38ppmに認められる。
また、C−NMR(13C−NMR)により解析した場合、ピークの位置は94.5、94.7、95.9、97.3、99.3、99.4、123.5、123.9、124.6、125.4、138.6、143.5、144.0、147.5、147.7、152.9、156.2、156.5、160.5及び162.1ppmに認められる。
さらに、このフマル酸誘導体は高速液体クロマトグラフィーや質量分析装置で解析され、その構造が同定される。また、その化学式はC24H16O12Si1である。つまり、炭素元素24個、水素元素16個、酸素元素12個及びケイ素元素1個から構成されている。
この構成成分であるフマル酸は天然に存在している化合物である。フマル酸の化学式はC4H4O4である。もともと、フマル酸はTCA回路の構成成分である有機酸の一種であり、エネルギーの源となる他に、有機酸としてガスの発生源となり、細胞機能を亢進させる働きがある。
このフマル酸誘導体ではフマル酸とイソラムネチンの結合の間にケイ素分子1分子が結合した構造を呈している。2分子のフマル酸の構造は同一であるが、1分子はイソラムネチンの2位にエーテル結合している。もう一つはイソラムネチンの7位の水酸基とフマル酸のカルボキシル基がエステル結合している。
このフマル酸分子とケイ素の結合によりこのフマル酸誘導体は安定的に、かつ、吸収率と反応性が高くなる。つまり、ベンゼン環による疎水性と水酸基による水溶性が加わり、両親媒性を呈することにより吸収が高まる。腸管の吸収においてはフマル酸単体、ケイ素単体またはイソラムネチン単体に比して4倍程度の吸収が増加する。
この誘導体の構成分子であるイソラムネチン(isorhamnetin)はポリフェノールの一種であり、メチル化フラボノールに分類され、植物や野菜に幅広く分布している。その化学式はC16H12O7であり、分子量は316.26である。
イソラムネチンはフェノール性水酸基により抗酸化作用を呈し、物質を安定に維持して長時間作用させる働きがあることは好ましい。
もう一つの構成成分であるケイ素は原始番号14の元素であり、天然に存在する元素であり、二酸化ケイ素として安定化し、動物、ヒトや植物にも含まれる。ヒトでは爪、皮膚、髪をはじめ全身の臓器に存在している。特に、皮膚においては保湿作用を発揮している。
また、ケイ素は昆布、藻類、海藻、植物にも含有されており、植物ではスギナやナズナに多い。ケイ素の安全性は確認されている。
このフマル酸誘導体はフマル酸部分によるエネルギー産生作用及びイソラムネチン部分による抗酸化作用の他に、DNAの分子を加齢、酸化、活性酸素や紫外線から防御して遺伝子を保護する働きがある。また、遺伝子の安定化作用に寄与している。さらに、ラジカルスカベンジャー作用及び活性酸素消去作用を呈してラジカルや活性酸素を消去し、遺伝子の障害を軽減する。
さらに、フマル酸のカルボン酸部分は弱酸性に荷電していることから、耐酸性が強く、経口摂取された場合に、胃酸に対して抵抗性を示し、吸収率が高まることは、好ましい。また、弱酸性であるため、皮膚に塗布した場合、皮膚に対して刺激性がないことは好ましい。
また、このフマル酸誘導体は両親媒性であることにより核膜内に到達しやすく、障害された遺伝子に直接作用できることは好ましい。また、このフマル酸誘導体は疎水性的に核膜に浸透して障害された遺伝子の近傍に存在する遺伝子修復酵素を活性化する。標的になる遺伝子修復酵素はDNAポリメラーゼ及び8−オキソグアニンDNAグリコシラーゼまたは8−ヒドロキシルデオキシグアニンDNAグリコシターゼ(いずれもOGG1と略す)である。
DNAポリメラーゼによる遺伝子の修復はSOS修復といわれ、塩基の変化や付加体に働き、DNA鎖の切断と複製を行う工程からなる。このDNAポリメラーゼによる修復は1日に1万回以上行われているため、随時、この誘導体を利用し続けることが好ましい。
OGG1による遺伝子修復は8OHdGのような塩基の酸化体の排除と正常な塩基の組み込みを行う工程である。このフマル酸誘導体はこれらの遺伝子修復酵素の働きを行うこと及び遺伝子を酸化物質や活性酸素から防御する働きの2つの作用により遺伝子修復作用を呈する。遺伝子修復酵素作用には酵素活性の活性化と酵素のmRNA転写レベルでの活性化の両方による。
このフマル酸誘導体による遺伝子修復作用は核内に遺伝子が存在するすべての細胞に働き、遺伝子を修復する。また、活性酸素、フリーラジカル、紫外線、化学物質、医薬品の副作用、金属、加齢などすべての物質による遺伝子の障害に対応して遺伝子を修復させる。
また、このフマル酸誘導体は脂溶性と水溶性の両方の性質を呈することから動物の細胞膜及び植物や酵母の細胞壁を通過し、細胞内に吸収されやすい。また、水溶性溶媒と油溶性溶媒の両方に溶解することから幅広い溶媒を利用することができる点は好ましい。
さらに、皮膚の角質細胞膜も通過しやすく、角質層のバリア機能を維持することは皮膚の健康や美容の点から好ましい。また、このフマル酸誘導体は細胞膜を通過し、皮膚細胞内で遺伝子修復を活性化して細胞の再生や機能を促進することから好ましい。また、ミトコンドリア膜に対してもこのフマル酸誘導体は通過してミトコンドリアのエネルギー産生を高める。
植物に対してはこのフマル酸誘導体が植物の細胞壁と細胞膜を通過して植物細胞内に入り、障害された遺伝子の修復を促進し、花の開花や結実、葉の成長を促進して植物の寿命を延長することは好ましい。また、ケイ素部分は植物に働くミネラルとして成長を促進する。すなわち、このフマル酸誘導体には植物活性化剤としての働きがある。
また、このフマル酸誘導体は粉末にした場合、水溶性溶媒と反応すると水素ガスを発生し、活性酸素を消去する。水素ガスの発生量は1,6ppmの飽和濃度であり、溶解した1分から2時間程度発生する。水素ガスはヒドロキシラジカルを消去する働きがあり、優れた活性酸素消去作用が確認されている。
このフマル酸誘導体はヒトの皮膚細胞に対して遺伝子の修復に働く以外に、細胞の増殖、コラーゲンやエラスチン産生を促進することにより皮膚細胞機能を促進することは好ましい。
神経細胞においても細胞内の遺伝子修復を活性化する。神経細胞は認知症、アルツハイマー症などで活性酸素やアミロイドβたんぱく質による遺伝子の障害を受けやすく、遺伝子は修復されにくいという弱点がある。そのため、このフマル酸誘導体による遺伝子修復は神経の働きを回復させ、かつ、神経疾患の防御と回復の目的で好ましい。
また、神経終末からの神経伝達物質の放出を促進して神経伝達を高めることは好ましい。さらに、発生する水素ガスは低分子で血液脳関門を通過して障害された脳細胞を修復する。
運動神経細胞の神経末端からのアセチルコリンの放出を高めることにより筋肉の収縮を高めて神経と筋肉の活動性を増すことは好ましい。
また、このフマル酸誘導体は皮膚細胞の遺伝子修復作用を呈し、かつ、コラーゲンやエラスチンの遺伝子を防御してこれらの産生を高めることは好ましい。化粧料としての利用が高まることから好ましい。
このフマル酸誘導体は心筋梗塞においては冠状動脈の梗塞や虚血状態でも心筋細胞の遺伝子修復作用により心臓の活動を活性化して強心作用を発揮することは好ましい。また、同時に発生する水素ガスは心筋における虚血再灌流による活性酸素の障害を改善する。
特に、梗塞部位の血管においてはこのフマル酸誘導体は血管新生を促進し、血流の改善し、血圧を低下させる。
また、このフマル酸誘導体はアスリートの活動、一般人の運動時、また、筋肉を増強したい場合、筋肉細胞での脂肪の輸送を促進して遺伝子レベルでのエネルギー産生を活性化することから好ましい。また、筋肉の活動時にこの誘導体から発生する水素ガスが運動時の活性酸素を消去することから好ましい。
このフマル酸誘導体は生体内では腎臓や肝臓のエステラーゼにより分解され、尿中に排泄される。分解されて構成成分である安全性の高いフマル酸及びケイ素に分解される。したがって、このフマル酸誘導体は体内に蓄積されることはなく、分解も生体内酵素で行われ、分解物も天然物であることから安全性が高い。
さらに、フマル酸部分には植物の生育を促進する植物活性化作用があることからこのフマル酸誘導体にも植物の生育を促進できる点は産業上の利用の点から好ましい。
また、植物が細菌やウイルスに感染した場合、遺伝子が障害を受ける場合がある。このような遺伝子の障害に対して遺伝子修復を活性化することは好ましい。
このフマル酸誘導体は天然にも存在しており、ナズナなどの植物やワカメなどの海藻類にも極微量認められる。また、フランスカイガンショウ、ヒメマツタケなどの植物やキノコ類、オキアミやプラセンタなどの組織にも認められる。
このフマル酸誘導体を精製により上記の植物から抽出することは可能である。ただし、精製には大量の原料を必要とし、有機溶媒などを利用することから産業上への利用は制限される。
このフマル酸誘導体はナズナの葉を発酵法などにより製造させることは好ましい。発酵法としては米糠と混合して納豆菌やベニコウジ菌により発酵させて得る。用いる菌体は食用に利用できるものであるため、安全性が高い。
この製造方法は食経験があり、フマル酸誘導体の産生量も多いことから好ましい。
得られたフマル酸誘導体を医薬品素材として利用する場合、目的とするフマル酸誘導体を精製することは、目的とするフマル酸誘導体の純度が高まり、不純物を除去できる点から好ましい。
医薬品としては注射剤または経口剤または塗布剤などの非経口剤として利用され、医薬部外品としては錠剤、カプセル剤、ドリンク剤、石鹸、塗布剤、ゲル剤、歯磨き粉等に配合されて利用される。
経口剤としては錠剤、カプセル剤、散剤、シロップ剤、ドリンク剤等が挙げられる。前記の錠剤及びカプセル剤に混和される場合には、結合剤、賦形剤、膨化剤、滑沢剤、甘味剤、香味剤等とともに用いることができる。前記の錠剤はシェラックまたは砂糖などで被覆することもできる。
また、前記のカプセル剤の場合には、上記の材料にさらに油脂等の液体担体を含有させることができる。前記のシロップ剤及びドリンク剤の場合には、甘味剤、防腐剤、色素香味剤等を添加することができる。
非経口剤としては、軟膏剤、クリーム剤、水剤等の外用剤の他に、注射剤が挙げられる。外用剤の基材としては、ワセリン、パラフィン、油脂類、ラノリン、マクロゴールド等が用いられ、通常の方法によって軟膏剤やクリーム剤等とすることができる。
注射剤には、液剤があり、その他、凍結乾燥剤がある。これは使用時、注射用蒸留水や生理食塩液等に無菌的に溶解して用いられる。
食品製剤としては遺伝子修復作用を呈するため、エナジードリンクや強壮性の食品に利用される。神経活動を促進することから神経細胞の遺伝子の障害を介した神経のリハビリ用食品や学習時の食事などに利用される。また、美容食品にも利用される。保健機能食品として栄養機能食品や特定保健用食品に利用することは好ましい。
得られた食品製剤をイヌやネコなどのペットや家畜動物に利用する場合、筋肉の遺伝子の障害の回復、老化の抑制と運動能力の向上を目的とした飼料やペット用サプリメントとして利用される。
化粧料として常法に従って界面活性化剤、溶剤、増粘剤、賦形剤等とともに用いることができる。例えば、クリーム、毛髪用ジェル、洗顔剤、美容液、化粧水等の形態とすることができる。
化粧料の形態は任意であり、溶液状、クリーム状、ペースト状、ゲル状、ジェル状、固形状または粉末状として用いることができる。この誘導体は水溶性と油溶性の両方の溶媒に溶解することから幅広い化粧料に利用できる。すなわち、水溶液とオイルに溶解することができる。
ここで製造された化粧料は皮膚の障害された遺伝子の修復やコラーゲンやエラスチンなどの増加及び皮膚の健康維持の目的で利用される。
また、このフマル酸誘導体は遺伝子が障害された歯肉細胞の機能の維持を目的とした歯磨き剤、洗口液や歯磨きペーストなどに利用できる。
また、植物に対しては遺伝子の障害を回復させることにより葉の結実と収穫量の増加を目的とした植物活性化剤として利用することができる。
この植物活性化剤は高級で希少な蘭、胡蝶蘭、薔薇やマツバランなどの花の栽培促進の目的で利用でき、葉や野菜、穀類の栽培を安定化させる。植物工場における野菜や葉の栽培にも利用でき、栽培効率を上げることができる。
以下に、ナズナの葉を発酵する工程を特徴とし、ナズナの葉、米糠粉末と納豆本舗製の納豆菌を添加して発酵させた発酵液を紅麹本舗製のベニコウジ菌で発酵する工程からなる遺伝子修復作用を呈する前記の式(1)で示されるフマル酸誘導体の製造方法について説明する。
ここでいうフマル酸誘導体は前記の式(1)で示され、フマル酸の2分子、イソラムネチン1分子及びケイ素の1分子から構成されている。これらの結合はすべて天然型であり、物質の間は共有結合を介して結合している。
このフマル酸誘導体のフマル酸、イソラムネチン及びケイ素は天然に存在し、食経験も豊富であり、安全性が認められていることから好ましい。
この誘導体は皮膚、神経、骨、筋肉、肝臓や腎臓などにも働き、障害された遺伝子を修復させることにより、組織及び身体機能を回復させる。
この製造方法とはナズナの葉、米糠粉末と納豆本舗製の納豆菌を添加して発酵させた発酵液を紅麹本舗製のベニコウジ菌で発酵する工程からなる。
原料となる物質はナズナの葉、米糠粉末、納豆本舗製の納豆菌及び紅麹本舗製のベニコウジ菌である。ナズナの代わりに、ワカメなどの海藻類、フランスカイガンショウ、ヒメマツタケなどの植物やキノコ類、オキアミやプラセンタなどを利用することもできる。
ここでいうナズナとは学名Capsella Bursa−Pastoris、アブラナ科ナズナ属の越年草の植物で、別名はペンペングサやシャミセングサといわれる。日本各地、アジア各地に自生しており、その葉や花は食用として利用され、春の七草の一つでもある。また、民間薬として肝臓病、解熱、下痢、高血圧、便秘に利用されている。
使用するのはナズナの葉であり、茎を含有していても良い。
ナズナの葉は日本、アメリカ、アジア、その他の国で採取されたいずれのものでも良いが、品質が高く、価格の点から、日本産は品質が良いことから好ましい。たとえば、岩手県のきのこ店きのこやおいよでは減農薬で栽培されたナズナの葉を供給しており、品質が良いことから好ましい。
ナズナの葉は乾燥され、粉末化されることが好ましく、発酵の前にオートクレーブ滅菌されることは発酵をスムーズに行うることから好ましい。
3マイクロメーター以下の粒子サイズの粉末が発酵の工程を実施しやすくすることから好ましい。
原料となる米糠粉末は、日本産、中国産、アメリカ産、ロシア産などいずれの産地の米(学名Oryza Sativa)から採取された米糠でも利用できる。トレーサビリティーが確実であり、農薬の利用状況が把握でき、生産者が明確である日本産が好ましい。
このうち、有機栽培や無農薬で栽培された米糠は有害な農薬や金属を含有しないことから、さらに好ましい。
米糠は使用に際して、株式会社奈良機械製作所製の自由ミル、スーパー自由ミル、サンプルミル、ゴブリン、スーパークリーンミル、マイクロス、減圧乾燥機として東洋理工製の小型減圧乾燥機、株式会社マツイ製の小型減圧伝熱式乾燥機DPTH−40、エーキューエム九州テクノス株式会社製のクリーンドライVD−7、VD−20、中山技術研究所製DM−6などの粉砕機で粉砕される。これにより発酵の工程が効率的に進行されやすい。
さらに、ナズナの葉と米糠は粉砕後、オートクレーブなどにより滅菌されることは雑菌の繁殖を防御できることから好ましい。
用いる納豆本舗製の納豆菌は学名バチルス サブチリスで日本では納豆の製造に汎用され、食経験が豊富で有用な食用菌である。沖縄や鹿児島などの日本産、中国や台湾の東南アジア原産の菌種が用いられる。用いる納豆菌は納豆本舗製であり、高い発酵性を呈する。
この納豆菌はナズナの葉と米糠からなるフマル酸とケイ素の結合反応を促進する。
前記の発酵に関するそれぞれの添加量はナズナの葉の乾燥粉末1重量に対し、米糠粉末は0.01〜5重量及び納豆本舗製の納豆菌は0.001〜0.05重量が好ましい。納豆菌は発酵される前に、前培養することは、発酵の初発時間を短縮し、発酵時間が短縮されることから好ましい。
前記の発酵は清浄な培養用タンクで実施され、滅菌された水道水により前記の材料を混合することは好ましい。
また、この発酵は41〜44℃に加温され、発酵は2日間から10日間行われる。目的とするフマル酸誘導体をHPLCやTLCにより定量することならびに菌体の増殖性を確認することにより、発酵の工程管理を実施することは産生量が調整されることから好ましい。
前記の発酵は清浄な培養用タンクで実施され、滅菌された水道水により前記の材料を混合することは好ましい。
この発酵の工程によって生成されるフマル酸誘導体はその結合が不安定であり、分解されやすいことから次の紅麹本舗製のベニコウジ菌による発酵を行い、目的とするフマル酸誘導体の結合を安定化させる。
用いる紅麹本舗製のベニコウジ菌は学名Monascus purpureusの糸状菌であり、古くから日本、中国や台湾において紅酒や豆腐ようなどの発酵食品に利用されている。また、沖縄や鹿児島などの日本産、中国や台湾の東南アジア原産の菌種が用いられる。紅麹本舗製のベニコウジ菌は発酵効率に優れており、また、安全性も高い。
前記の発酵に関するそれぞれの添加量は前記の発酵物1重量に対してベニコウジ菌は0.0005〜0.05重量が好ましい。紅麹本舗製のベニコウジ菌は発酵される前に、前培養することは、発酵の初発時間を短縮し、発酵時間が短縮されることから好ましい。
前記の発酵は清浄な培養用タンクで実施され、滅菌された水道水により前記の材料を混合することは好ましい。
また、この発酵は40〜43℃に加温され、発酵は2日間から20日間行われる。この発酵の工程によってベニコウジ菌の酸化及び還元作用によりこのフマル酸誘導体の構造が安定化される。
前記の発酵物は含水エタノールで抽出されることは、生成物を効率良く回収し、菌を滅菌でき、次の工程が実施しやすいことから、好ましい。また、得られた発酵物を超音波処理することは、生成物が分離しやすいことから、好ましい。また、凍結乾燥などにより、濃縮することは、以下の工程が短時間に実施できることから好ましい。
前記の還元反応物から、目的とするフマル酸誘導体を分離し、精製することは純度の高い物質として摂取量を減少させることができる点から好ましい。この精製の方法としては、分離用の樹脂などの精製操作を利用することが好ましい。この精製は繰り返して実施され、または、組み合わせて実施することにより、純度の高い精製物が得られる。
例えば、分離用担体または樹脂により分離され、分取されることにより目的とするフマル酸誘導体が得られる。分離用担体または樹脂としては、表面が後述のようにコーティングされた、多孔性の多糖類、酸化珪素化合物、ポリアクリルアミド、ポリスチレン、ポリプロピレン、スチレン−ビニルベンゼン共重合体等が用いられる。0.1〜300μmの粒度を有するものが好ましく、粒度が細かい程、精度の高い分離が行なわれるが、分離時間が長い欠点がある。
例えば、逆相担体または樹脂として表面が疎水性化合物でコーティングされたものは、疎水性の高い物質の分離に利用される。陽イオン物質でコーティングされたものは陰イオン性に荷電した物質の分離に適している。また、陰イオン物質でコーティングされたものは陽イオン性に荷電した物質の分離に適している。特異的な抗体をコーティングした場合には、特異的な物質のみを分離するアフィニティ担体または樹脂として利用される。
アフィニティ担体または樹脂は、抗原抗体反応を利用して抗原の特異的な調製に利用される。分配性担体または樹脂は、シリカゲル(メルク社製)等のように、物質と分離用溶媒の間の分配係数に差異がある場合、それらの物質の単離に利用される。
これらのうち、製造コストを低減することができる点から、吸着性担体または樹脂、分配性担体または樹脂、分子篩用担体または樹脂及びイオン交換担体または樹脂が好ましい。さらに、分離用溶媒に対して分配係数の差異が大きい点から、逆相担体または樹脂及び分配性担体または樹脂はより好ましい。
分離用溶媒として有機溶媒を用いる場合には、有機溶媒に耐性を有する担体または樹脂が用いられる。また、医薬品製造または食品製造に利用される担体または樹脂は好ましい。
これらの点から吸着性担体としてダイヤイオン(三菱化学(株)社製)及びXAD−2またはXAD−4(ロームアンドハース社製)、分子篩用担体としてセファデックスLH−20(アマシャムファルマシア社製)、分配用担体としてシリカゲル、イオン交換担体としてIRA−410(ロームアンドハース社製)、逆相担体としてDM1020T(富士シリシア社製)がより好ましい。
これらのうち、ダイヤイオンAMP03、セファデックスLH−20及びDM1020Tはさらに好ましい。
得られた抽出物は、分離前に分離用担体または樹脂を膨潤化させるための溶媒に溶解される。その量は、分離効率の点から抽出物の重量に対して2〜42倍量が好ましく、4〜22倍量がより好ましい。分離の温度としては物質の安定性の点から10〜31℃が好ましく、12〜24℃がより好ましい。
分離用溶媒には、水、または、水を含有する低級アルコール、親水性溶媒、親油性溶媒が用いられる。低級アルコールとしては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールが用いられるが、食用として利用されているエタノールが好ましい。また、水溶性の溶媒に加えて油溶性の溶媒である植物油、魚油、ラードなどの動物性油脂に溶解できる。
セファデックスLH−20を用いる場合、分離用溶媒には低級アルコールが好ましい。シリカゲルを用いる場合、分離用溶媒にはクロロホルム、メタノール、酢酸またはそれらの混合液が好ましい。
ダイヤイオン及びDM1020Tを用いる場合、分離用溶媒はメタノール、エタノール等の低級アルコールまたは低級アルコールと水の混合液が好ましい。
フマル酸誘導体を含む画分を採取して乾燥または真空乾燥により溶媒を除去し、目的とするフマル酸誘導体を粉末または濃縮液として得ることは溶媒による影響を除外できることから好ましい。
また、最終抽出を食用油や化粧料に用いる油脂で実施することは、得られるフマル酸誘導体が安定に維持されることから好ましい。例えば、米糠油、米ぬか油、グレープシード油、オリーブ油、ホホバ油で抽出することは好ましい。
また、このフマル酸誘導体を粉末化することは防腐の目的から好ましい。
以下、前記実施形態を実施例及び試験例を用いて具体的に説明する。なお、これらは一例であり、素材、原料や検体の違いに応じて常識の範囲内で条件を変更させることが可能である。
岩手県で栽培されたナズナ(学名Capsella Bursa−Pastoris)のの葉をきのこ店きのこやおいよから購入して用いた。この葉を水道水で水洗後、天日で乾燥させ、粉砕機(株式会社奈良機械製作所製のスーパー自由ミル)にて粉砕し、ナズナの葉の乾燥粉砕物を1.0kg得た。なお、葉の他に一部、茎も含有していた。
また、北海道産の米糠(学名Oryza Sativa)をミキサー(クイジナート製)に供し、米糠の粉砕物1.0kgを得た。前記のナズナの葉と米糠の粉砕物をオートクレーブ(SDL−320、トミー製)に供し、121℃、20分間、滅菌した。
これらを清浄な発酵タンク(滅菌された発酵用丸形40リットルタンク、遠藤科学製)に入れ、滅菌された水道水5kgを添加し、攪拌した。
これとは別に、納豆本舗製の粉末納豆菌(学名Bacillus subtilis)の11gを上記の発酵タンクに供し、滅菌した米糠粉末と前培養させた発酵準備液を用意した。
前記の前培養した納豆菌の発酵準備液とナズナの葉の乾燥粉末と米糠とを入れた発酵タンクに添加し、攪拌後、41〜42℃の温度範囲で加温し、発酵させた。
発酵過程では通気によりバブリングと攪拌を行いつつ、発酵液のサンプリングを行い、7日間発酵させた。発酵終了後、発酵タンクより発酵物を取り出し、煮沸滅菌した。この発酵物を濾過布により濾過して、納豆菌による発酵液1.3kgを得た。この発酵液1kgに対して紅麹本舗製のベニコウジ菌(学名Monascus purpureus)の11gを添加して42〜43℃で7日間発酵させた。
この発酵物にエタノールを添加して発酵を停止した。さらに、煮沸滅菌した。これを濾過し、濾過液を目的とするフマル酸誘導体とした。これを検体1とした。
さらに、構造解析及び機能性の実験の目的で精製物を得た。つまり、前述の検体1のフマル酸誘導体の100gに6%エタノール含有精製水の2Lを添加し、これをダイヤイオン(AMP03型、三菱化学製)500gを6%エタノール液に懸濁して充填したガラス製カラム(遠藤科学製)に供した。
これに10Lの6%エタノール液を添加して清浄し、さらに、25%エタノール液を1L添加して洗浄した。また、60%エタノール液を1L添加して目的とするフマル酸誘導体を溶出させ、この溶出液を濃縮して精製した。この精製工程を3回実施し、最後に得られた精製されたフマル酸誘導体を減圧蒸留により、エタノール部分を除去し、水溶液とした。これを真空乾燥させ、フマル酸誘導体の精製物44gを得てこれを検体2とした。収率は約4.4%であり、天然物から製造するには十分な収量であり、この製造方法が優れた製法であることが確認された。
以下に、フマル酸誘導体の構造解析に関する試験方法及び結果について説明する。
(試験例1)
上記のように得られた検体2を重水素化ジメチルスルホキシド(シグマアルドリッチ製)に溶解し、質量分析器付き高速液体クロマトグラフィ(HPLC、島津製作所)で分析した。また、ケイ素については原子吸光装置(日立ハイテクサイエンス製)により定量した。検体2のフマル酸誘導体の純堂は、98.2%であり、検体1の純度は80.3%であった。
さらに、これを核磁気共鳴装置(200MHz、NMR、ブルカー製)で解析した結果、検体1と検体2からフマル酸の2分子とケイ素の1分子からなるフマル酸誘導体が検出された。
すなわち、検体2の重水素化ジメチルスルホキシド中のH−NMR測定の結果、ピークの位置は6.17、6.24、6.25、6.32、6.48、6.62、9.72、9.86、9.87、9.94、10.15及び10.38ppmに認められた。
また、検体2のC−NMR測定の結果、ピークの位置は94.5、94.7、95.9、97.3、99.3、99.4、123.5、123.9、124.6、125.4、138.6、143.5、144.0、147.5、147.7、152.9、156.2、156.5、160.5及び162.1ppmに認められた。
以下に、C−NMRの解析結果のチャートを示した。(横軸単位はppm、縦軸単位はピーク強度を示す。)
上記の解析結果から化学的に合成した標準品と同一構造を呈することが判明した。すなわち、検体2からフマル酸2分子、イソラムネチン1分子とケイ素の1分子が結合した目的とするフマル酸誘導体であると確認できた。また、検体2を粉末化した場合、水溶液に溶解した結果、水素ガスの発生がガスクロマトグラフィー(島津製作所製)により確認された。この場合の水素ガスの発生量は1.6ppmであった。
以下にヒト皮膚表皮細胞を用いた皮膚作用試験について述べる。なお、この試験方法は生化学的に成分の効果を検証できる再現性のある常法である。
(試験例2)
クラボウより購入したヒト由来表皮細胞(表皮由来、エピーダーセル)を用いた。培養液として5%牛胎児血清含有MEM培地(Sigma製)を用いて培養した1000個の細胞を35mm培養シャーレ(FALCON製)に播種し、5%炭酸ガス下、37℃で培養した。ここに紫外線照射装置(クオークテクノロジー製)により280nmの紫外線を1時間照射した。ここに、前記の検体1、検体2及び陽性対照としてEGF(フナコシ製、表皮成長因子)をいずれも10mg/mlの最終濃度で添加した。これを48時間培養して試験した。培養液を採取後、表皮細胞の生存率をトリパンブルー法により計数した。その後、表皮細胞の懸濁液を調製した。ここからmRNAを核酸抽出キット(フナコシ製)により抽出した。常法に従い、RT−PCR法によりDNAポリメラーゼ及び8−オキソグアニンDNAグリコシラーゼ(OGG1と略す)のmRNAを定量した。同時に、細胞懸濁液中の8−OHdG量をキット(日本老化制御研究所製)にて定量した。8−OHdGに特異的なモノクローナル抗体を使用したELISAキットである。なお、シャーレは5枚を用いてその平均値を算出した。溶媒を添加した溶媒対照群と比較した。
その結果、検体1の10mg/mlの添加によりヒト由来表皮細胞数は溶媒対照群に比して平均値として170%に増加した。また、検体2では222%に増加した。一方、EGFでは155%となった。この結果、検体1及び検体2の方がEGFよりも優れた細胞活性化作用を呈した。また、検体1とEGFを同時に添加した場合、細胞数は330%となり、検体1とEGFの相乗的な作用が確認された。
上記の細胞中のDNAポリメラーゼのmRNA発現量(コピー数)は溶媒対照群では12コピー、検体1処理群では166コピー、検体2処理群では477コピ−、EGF処理群では98コピーであった。
DNAポリメラーゼのmRNA発現量は検体1及び検体2で著しく、EGFより優っていた。これは検体1及び検体2による遺伝子修復酵素の活性化作用を示していた。なお、検体1及び検体2を添加した培養液では添加後1時間に1.6ppmの水素ガスの発生が確認された。
上記の細胞中のOGG1のmRNA発現量(コピー数)は溶媒対照群では18コピー、検体1処理群では117コピー、検体2処理群では690コピ−、EGF処理群では77コピーであった。
OGG1のmRNA発現量は検体1及び検体2で高く、EGFより優っていた。これは検体1及び検体2が遺伝子修復作用を有することを示していた。
上記の細胞中の8OHdG量は溶媒対照群では599ng、検体1処理群では79ng、検体2処理群では39ng、EGF処理群では482ngであった。
8OHdGは遺伝子が活性酸素により修飾された変異した状態であり、遺伝子の障害をあらわしている。検体1及び検体2でこの値が低く、EGFの働きより優っていた。これは検体1及び検体2による遺伝子修復作用を示していた。
一方、安全性試験の一環として人工皮膚であるEpiSkin(SkinEthic社製)を用いた皮膚刺激性実験では、検体1及び検体2の添加により刺激性は認められず、安全性が確認された。なお、この方法は細胞を用いる皮膚刺激性試験評価法として動物を使用しない方法として確立されている。
以下にヒト神経細胞の障害モデルを用いた障害に対する試験について述べる。なお、この試験方法は生化学的に成分の働きを検証できる再現性のある常法である。
(試験例3)
コスモバイオから購入したヒト神経細胞(Human Neurons(HN))を用いた。培養液として専用の培養液(神経細胞増殖培地)を用いて培養した1000個の細胞を35mm培養シャーレに播種し、5%炭酸ガス下、37℃で培養した。これに1%の神経毒であるアクリルアミド水溶液を添加して神経細胞を刺激した。
ここに、前記の実施例1で得られた検体1及び検体2、陽性対照としてNGF(フナコシ(株)、ヒトタイプ)をいずれも10mg/mlの最終濃度で添加した。これを48時間培養した。
培養終了後、細胞数を顕微鏡的に計数した。さらに、上記と同様の方法により、遺伝子修復の働きを検証した。すなわち、細胞の懸濁液を調製し、ここからmRNAを核酸抽出キット(フナコシ製)により抽出した。常法に従い、RT−PCR法によりDNAポリメラーゼ及び8−オキソグアニンDNAグリコシラーゼ(OGG1と略す)のmRNAを定量した。同時に、細胞懸濁液中の8−OHdG量をキット(日本老化制御研究所製)にて定量した。8−OHdGに特異的なモノクローナル抗体を使用したELISAキットである。
その結果、検体1の10mg/mlの添加により神経細胞数は溶媒対照群に比して平均値として144%に増加した。また、検体2では189%に増加した。一方、NGFでは137%となった。この結果、検体1及び検体2の方がNGFよりも優れた細胞活性化作用を呈した。また、検体1とNGFの併用により細胞数は330%となり、検体1とNGFの相乗作用が確認された。
上記の細胞中のDNAポリメラーゼのmRNA発現量(コピー数)は溶媒対照群では19コピー、検体1処理群では183コピー、検体2処理群では740コピ−、NGF処理群では90コピーであった。
DNAポリメラーゼのmRNA発現量は検体1及び検体2で高く、NGFより優っていた。これは検体1及び検体2による遺伝子修復酵素の活性化作用を示していた。
上記の細胞中のOGG1のmRNA発現量(コピー数)は溶媒対照群では22コピー、検体1処理群では106コピー、検体2処理群では377コピ−、NGF処理群では167コピーであった。
OGG1のmRNA発現量は検体1及び検体2で高く、NGFより優っていた。これは検体1及び検体2による遺伝子修復酵素の活性化作用を示していた。
上記の細胞中の8OHdG量は溶媒対照群では420ng、検体1処理群では98ng、検体2処理群では24ng、NGF処理群では166ngであった。
8OHdGは遺伝子が活性酸素により修飾された変異した状態であり、遺伝子の障害をあらわしている。検体1及び検体2でこの値が低く、NGFの働きに比して優れていた。これは検体1及び検体2による遺伝子修復作用を示していた。なお、検体1及び検体2を添加した培養液では添加後1時間に1.6ppmの水素ガスの発生が確認された。
本発明で得られるフマル酸誘導体は遺伝子修復作用を呈し、皮膚細胞や神経細胞などの細胞機能を増進させる。これにより国民のQOLを改善し、健康な労働人口を増加させ、かつ、医療費を削減できる。
本発明で得られるフマル酸誘導体は遺伝子修復作用を呈し、これにより皮膚の細胞を増加させ、化粧料としてシワやタルミなどの皮膚トラブルに悩む方の皮膚の改善に貢献して化粧品業界の発展に寄与する。
本発明で得られるフマル酸誘導体は発酵法により製造されることから機能性を有する食品として利用でき、食品産業や発酵業界の発展に寄与する。

Claims (1)

  1. 下記の式(1)で示される遺伝子修復作用を呈するフマル酸誘導体。
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