以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明において同一又は相当要素には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
図1に示されるように、組合せ計量装置1は、投入シュート2と、分散フィーダ3と、複数の放射フィーダ4と、複数のプールホッパ5と、複数の計量ホッパ6と、複数のブースターホッパ7と、集合シュート8と、タイミングホッパ9と、計量部11と、制御部20と、を備える。組合せ計量装置1は、搬送コンベア50によって供給される物品を目標計量値となるように計量して製袋包装機60に供給する。ここで、物品は、農産物、水産物、加工食品等のように、単体質量にばらつきのある物品である。なお、製袋包装機60は、フィルムを所定容量の袋に成形しつつ、組合せ計量装置1によって計量されて供給された物品を袋詰めする。
投入シュート2は、搬送コンベア50の搬送端50aの下方に配置される。投入シュート2は、搬送コンベア50の搬送端50aから落下した物品を受けて下方に排出する。
分散フィーダ3は、投入シュート2の下方に配置される。分散フィーダ3は、下方に向かって末広がりの円錐状の搬送面3aを有する。分散フィーダ3は、搬送面3aを振動させることで、投入シュート2から搬送面3aの頂部に排出された物品を搬送面3aの外縁に向かって均一に搬送する。
複数の放射フィーダ4は、分散フィーダ3の搬送面3aの外縁に沿って放射状に配置される。各放射フィーダ4は、搬送面3aの外縁の下方から外側に延在するトラフ4aを有する。各放射フィーダ4は、トラフ4aを振動させることで、搬送面3aの外縁から排出された物品をトラフ4aの先端部に向かって搬送する。
各プールホッパ5は、各放射フィーダ4のトラフ4aの先端部の下方に配置される。各プールホッパ5の底部には、開閉可能なゲート5aが設けられる。各プールホッパ5は、ゲート5aを閉じた状態で、対応するトラフ4aの先端部から排出された物品を一時的に貯留し、ゲート5aを開くことで、一時的に貯留した物品を下方に排出する。
各計量ホッパ6は、各プールホッパ5のゲート5aの下方に配置される。各計量ホッパ6の底部には、開閉可能なゲート6a及びゲート6bが設けられる。各計量ホッパ6は、ゲート6a及びゲート6bを閉じた状態で、対応するプールホッパ5から排出された物品を一時的に貯留し、ゲート6a又はゲート6bを開くことで、一時的に貯留した物品を下方に排出する。
各ブースターホッパ7は、各計量ホッパ6のゲート6aの直下(下方)に配置される。各ブースターホッパ7の底部には、開閉可能なゲート7aが設けられる。各ブースターホッパ7は、ゲート7aを閉じた状態で、対応する計量ホッパ6のゲート6a側から排出された物品を一時的に貯留し、ゲート7aを開くことで、一時的に貯留した物品を下方に排出する。
集合シュート8は、下方に向かって先細りの円錐台の内面8aを有する筒状に形成されている。集合シュート8は、内面8aが全ての計量ホッパ6及び全てのブースターホッパ7の下方に位置するように配置される。集合シュート8は、各計量ホッパ6のゲート6b側から排出された物品、及び各ブースターホッパ7から排出された物品を内面8aで受けて下方に排出する。
タイミングホッパ9は、集合シュート8の下方に配置される。タイミングホッパ9の底部には、開閉可能なゲート9aが設けられる。タイミングホッパ9は、ゲート9aを閉じた状態で、集合シュート8から排出された物品を一時的に貯留し、ゲート9aを開くことで、一時的に貯留した物品を製袋包装機60に排出する。
計量部11は、フレーム12に支持されたケース13内に配置される。計量部11は、複数のロードセル11aを有する。各ロードセル11aは、対応する計量ホッパ6を支持する。計量部11は、各計量ホッパ6に物品が一時的に貯留されている際に、当該物品の質量に応じた計量値を計量する。
制御部20は、ケース13内に配置される。制御部20は、組合せ計量装置1における各種動作を制御する機器であり、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等を備える信号処理装置である。制御部20は、分散フィーダ3及び各放射フィーダ4の搬送動作、各プールホッパ5のゲート5aの開閉動作、各計量ホッパ6のゲート6a及びゲート6bの開閉動作、各ブースターホッパ7のゲート7a開閉動作、並びに各タイミングホッパ9のゲート9a等、組合せ計量装置1の各部の動作を制御する。
制御部20は、計量部11によって計量された計量値と、当該計量値に対応する物品が貯留されている計量ホッパ6及び/又はブースターホッパ7とを対応付けて記憶する。具体的には、制御部20は、計量部11によって計量された物品が計量ホッパ6に貯留されている場合、計量部11によって計量された計量値と、当該計量値に対応する物品を貯留する計量ホッパ6とを対応付けて記憶する。計量部11によって計量された物品が当該計量ホッパ6に対応するブースターホッパ7に排出された場合、制御部20は、計量部11によって計量された物品の計量値と、当該計量ホッパ6に対応するブースターホッパ7とを対応付けて記憶する。
制御部20は、計量部11によって計量され且つ複数の計量ホッパ6及び/又はブースターホッパ7にそれぞれ対応付けられた複数の計量値から、合計値が目標値となるように計量値の組合せを計算する。具体的には、制御部20は、計量部11によって出力された複数の計量値から、目標値を下限値とする所定範囲内に合計値が収まるように計量値の組合せを計算する。そして、制御部20は、当該組合せに対応する計量ホッパ6及び/又はブースターホッパ7に物品を排出させる。
なお、投入シュート2、分散フィーダ3、複数の放射フィーダ4、複数のプールホッパ5及び複数の計量ホッパ6は、ケース13に直接的に又は間接的に支持される。複数のブースターホッパ7、集合シュート8及びタイミングホッパ9は、フレーム12に直接的に又は間接的に支持される。
続いて、制御部20の動作について詳細に説明する。制御部20は、計量ホッパ6を零点補正する。制御部20は、物品が収容されてない計量ホッパ6を零点補正する。具体的には、制御部20は、物品が収容されていない計量ホッパ6を支持するロードセル11aにより計量された計量値を、風袋重量として設定する。風袋重量は、物品が収容されていない計量ホッパ6及びその支持ブラケット等を含む重量である。計量部11は、ロードセル11aにより計量された値から風袋重量を差し引くことにより、物品の計量値を算出する。本実施形態では、制御部20は、1回のタイミングで1つの計量ホッパ6を零点補正する。制御部20は、通常、一定のサイクル(自動零点間隔)で各計量ホッパ6を零点補正する。
制御部20は、計量ホッパ6の零点補正に係る優先度に基づいて計量ホッパ6の零点補正を実施する。優先度は、計量ホッパ6における零点補正の実施回数、及び、所定条件に基づいて設定される。制御部20は、運転開始時には、計量ホッパ6を所定の順番で零点補正する。所定の順番は、例えば、複数の計量ホッパ6のそれぞれに設定された番号(例えば1、2、3、…)において小さい番号からの順番である。制御部20は、零点補正を前回実施してから現時点までに計量ホッパ6において零点補正が実施されていない間隔をカウントし、カウント数(非零点カウンター)に基づいて優先度を設定する。間隔は、例えば、計量サイクル数及び/又は時間である。制御部20は、カウント数が高い場合には、優先度が高くなるように優先度を設定する。すなわち、制御部20は、カウント数が最も高い計量ホッパ6の優先度が最も高くなるように、優先度を設定する。例えば、制御部20は、一の計量ホッパ6のカウント数が、上記一定のサイクルに計量ホッパ6の合計数を乗じた数を超えた場合には、前回に零点補正してから次回に零点補正するまでの間隔に関わらず、すぐに当該計量ホッパ6を零点補正する。
また、制御部20は、物品が存在し且つ次回の組合せ計算に物品の計量値が利用できるブースターホッパ7に対応する計量ホッパ6を零点補正する対象として抽出する。詳細には、制御部20は、物品が存在し且つ次回の組合せ計算に物品の計量値が利用できるブースターホッパ7が複数存在する場合には、予め設定された目標値に最も近い計量値の物品が存在するブースターホッパ7を抽出し、当該ブースターホッパ7に対応する計量ホッパ6を抽出する。制御部20は、記憶されている計量値及び組合せ計算に基づいて、物品が存在し且つ次回の組合せ計算に物品の計量値が利用できるブースターホッパ7を抽出する。制御部20は、抽出した計量ホッパ6の零点補正の優先度を高く設定する。
制御部20は、上述のように設定される優先度において、優先度が最も高い計量ホッパ6を零点補正する。具体的には、制御部20は、零点補正する対象として抽出した計量ホッパ6の優先度が現時点で最も高い場合には、当該計量ホッパ6を零点補正する。また、制御部20は、零点補正する対象として抽出した計量ホッパ6の優先度よりも、カウント数に基づいて設定された優先度が高い計量ホッパ6が他に存在する場合には、当該他の計量ホッパ6を零点補正する。或いは、制御部20は、零点補正する対象を抽出しなかった場合には、カウント数に基づく優先度が最も高い計量ホッパ6を零点補正する。
制御部20は、零点補正をした計量ホッパ6の優先度を低くする。また、制御部20は、零点補正する対象として抽出した計量ホッパ6の零点補正を実施しなかった場合には、当該計量ホッパ6の優先度を低く設定する。つまり、制御部20は、零点補正する対象として抽出した計量ホッパ6において高くした優先度を低くし、カウント数に基づく優先度のみを設定する。
続いて、図2を参照しながら、組合せ計量装置1の動作について説明する。
図2に示されるように、最初に、複数(本実施形態では14個)の計量ホッパ6のそれぞれについて、以下の第1処理(ステップS01〜ステップS03)を実施する。まず、自動零点間隔が、零点を取得していない(零点補正が行われていない)サイクル数よりも小さいか否かを判断する(ステップS01)。自動零点間隔が零点を取得していないサイクル数よりも小さいと判断した場合には、ステップS02に進む。一方、自動零点間隔が零点を取得していないサイクル数よりも小さいと判断しなかった場合には、第1処理を繰り返す。
ステップS02では、計量ホッパ6が物品を排出したか否かを判断する。計量ホッパ6を物品が排出したと判断した場合には、自動零点候補LV1に設定する(ステップS03)。なお、ここで言う自動零点候補LV1に設定するとは、上述の優先度を上げることに対応する。一方、計量ホッパ6が物品を排出したと判断しなかった場合には、第1処理を繰り返す。
続いて、以下の第2処理(ステップS04〜ステップ07)を実施する。第2処理は、第1処理において、自動零点候補LV1に設定された計量ホッパ6に対して実施される。まず、計量ホッパ6から排出された物品がブースターホッパ7に入るか否かを判断する(ステップS04)。計量ホッパ6から排出された物品がブースターホッパ7に入ると判断した場合には、自動零点候補LV2に設定する(ステップS05)。一方、計量ホッパ6から排出された物品がブースターホッパ7に入ると判断しなかった場合には、第2処理を繰り返す。
自動零点候補LV1に設定すると、ブースターホッパ7に排出される物品の重量が目標重量に近いか否かを判断する(ステップS06)。ブースターホッパ7に排出される物品の重量が目標重量に近いと判断した場合には、自動零点候補LV3に設定する(ステップS07)。一方、ブースターホッパ7に排出される物品の重量が目標重量に近いと判断しなかった場合には、第3処理を繰り返す。
続いて、以下の第3処理(ステップS08,S09)を実施する。第3処理は、第2処理において、自動零点候補LVがLV1以上で且つLV最大の計量ホッパ6に対して実施される。まず、上記第1処理及び第2処理により抽出された計量ホッパ6(以下、抽出された計量ホッパ6)の自動零点候補LVが、当該計量ホッパ6よりも先に抽出された零点補正の候補である計量ホッパ6(以下、先の計量ホッパ6)の自動零点候補LVよりも大きいか否かを判断する(ステップS08)。すなわち、抽出された計量ホッパ6のカウント数が、先の計量ホッパ6のカウント数よりも大きいか否かを判断する。抽出された計量ホッパ6の自動零点候補LVが先の計量ホッパ6の自動零点候補LVよりも大きいと判断した場合には、先の計量ホッパ6を零点補正する対象からクリアし、抽出した計量ホッパ6を零点補正する対象として決定する(ステップS09)。一方、抽出した計量ホッパ6の自動零点候補LVが先の計量ホッパ6の自動零点候補LVよりも大きいと判断しなかった場合には、第3処理を繰り返す。以上により、零点補正する計量ホッパ6を決定する。
以上説明したように、本実施形態に係る組合せ計量装置1では、物品が存在し且つ次回の組合せ計算に物品の計量値が利用できるブースターホッパ7に対応する計量ホッパ6を抽出する。これにより、抽出した計量ホッパ6の零点補正を実施したとしても、当該計量ホッパ6に対応するブースターホッパ7が組合せ計算に参加できる。そのため、組合せ計算に参加できるホッパが減少しない。したがって、組合せ計量装置1は、稼働率の向上が図れる。
本実施形態に係る組合せ計量装置1では、制御部20は、予め設定された目標値に最も近い計量値の物品が存在するブースターホッパ7に対応する計量ホッパ6を零点補正する対象として抽出する。目標値は、組合せ計算において利用され易い値に設定される。そのため、目標値に最も近い計量値の物品が存在するブースターホッパ7に対応する計量ホッパ6を抽出することにより、ブースターホッパ7に存在する物品が組合せ計算に利用され得る。
本実施形態に係る組合せ計量装置1では、制御部20は、計量ホッパ6の零点補正に係る優先度に基づいて計量ホッパ6の零点補正を実施している。制御部20は、零点補正する対象として抽出した計量ホッパ6の優先度を高くする。この構成では、優先度が最も高い計量ホッパ6の零点補正が優先して実施される。そのため、抽出した計量ホッパ6の優先度を高くすることにより、その時点で優先度が最も高い場合には、抽出した計量ホッパ6において零点補正が実施される。
本実施形態に係る組合せ計量装置1では、制御部20は、計量ホッパ6の零点補正の実施回数に基づいて優先度を設定しており、零点補正の実施回数が少ない計量ホッパ6の優先度を高くする。これにより、零点補正が実施されていない計量ホッパ6の零点補正が優先的に実施される。したがって、組合せ計量装置1では、計量精度の低下を抑制できる。
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明は必ずしも上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
上記実施形態では、制御部20が、予め設定された目標値に最も近い計量値の物品が存在するブースターホッパに対応する計量ホッパを零点補正する対象として抽出する形態を一例に説明した。しかし、制御部20は、組合せ計算の学習に基づく統計値に最も近い計量値の物品が存在するブースターホッパ7に対応する計量ホッパ6を零点補正する対象として抽出してもよい。学習に基づく統計値は、組合せ計算において多く利用される値である。そのため、統計値に最も近い計量値の物品が存在するブースターホッパ7に対応する計量ホッパ6を抽出することにより、ブースターホッパ7に存在する物品が組合せ計算に利用され得る。
上記実施形態では、制御部20が、計量ホッパ6の零点補正に係る優先度に基づいて計量ホッパ6の零点補正を実施する形態を一例に説明した。しかし、制御部20において計量ホッパ6の零点補正を実施する方法はこれに限定されない。例えば、制御部20は、零点補正する対象として抽出されていない計量ホッパ6における前回に零点補正されてから現時点までの間隔に基づき、零点補正する対象として抽出した計量ホッパ6に対して、零点補正する対象として抽出されていない計量ホッパ6を零点補正する対象として追加してもよい。また、制御部20は、前回に零点補正されてから現時点までの間隔が所定の基準を満たす場合、基準を満たす計量ホッパ6を零点補正してもよい。間隔は、例えば、計量サイクル数及び/又は時間である。
具体的には、制御部20は、上記実施形態と同様に、物品が存在し且つ次回の組合せ計算に物品の計量値が利用できるブースターホッパ7に対応する計量ホッパ6を零点補正する対象として抽出する(ステップ1)。また、制御部20は、ステップ1において抽出しなかった計量ホッパ6における前回に零点補正されてから現時点までの間隔が第1基準を満たすか否かを判断する。第1基準は、任意に或いは統計等から設定される。制御部20は、第1基準を満たすと判断した場合には、当該計量ホッパ6を零点補正の対象として追加する(ステップ2)。制御部20は、零点補正の対象とした計量ホッパ6を零点補正する。制御部20は、前回に零点補正されてから現時点までの間隔が第2基準を満たす計量ホッパ6が存在するか否かを判断する。第2基準は、第1基準よりも基準が高い(間隔が大きい)。制御部20は、第2基準を満たす計量ホッパ6が存在すると判断した場合には、当該計量ホッパ6を優先して零点補正する(ステップ3)。なお、ステップ3は、ステップ1の前又はステップ2の前に実施されてもよい。
上記方法によれば、前回に零点補正されてから現時点までの間隔が大きい場合には、零点補正する対象として抽出されていない計量ホッパ6を零点補正の対象とすることができる。そのため、計量ホッパ6において零点補正が長時間実施されないという状況を回避できるため、計量精度の低下を抑制できる。
上記実施形態では、分散フィーダ3及び複数の放射フィーダ4が振動によって物品を搬送する形態を一例に説明した。しかし、分散フィーダ3及び複数の放射フィーダ4は、物品を搬送することができる構成を有するものであればよい。また、上記実施形態では、組合せ計量装置1が分散フィーダ3を備え、放射フィーダ4が分散フィーダ3を中心に放射状に配置された円形配置の形態を一例に説明した。しかし、組合せ計量装置は、搬送部及び計量部のそれぞれが直線的に並んで配置された直線配置の形態であってもよい。
上記実施形態では、複数の計量ホッパ6及び複数のブースターホッパ7が環状に配置された形態を一例に説明した。しかし、複数の計量ホッパ6及び複数のブースターホッパ7は、マトリックス状に配置されたものであってもよい。
上記実施形態では、搬送部として放射フィーダ4を一例に説明したが、搬送部は、例えば、回転駆動可能なコイルユニット(スクリュー)、又は、ベルトコンベアによって物品を搬送する形態であってもよい。コイルユニットの場合には、制御部は、送力として、コイルユニットの回転数(rpm)等を制御する。また、ベルトコンベアの場合には、制御部は、ベルトを駆動させるローラの回転数等を制御する。