一般的に上記学習制御によって更新されるパラメータは、様々な状態の履歴データを取得して学習深度を深めることが重要となる。これは、学習深度を深めることができれば、制御精度を向上させられるからである。そのため、組合せ計量装置の搬送制御に上記学習制御を適用させ、その制御精度を向上させる場合、使用者は、例えば、組合せ計量装置を様々な状態にて動作させる必要がある。言い換えると、組合せ計量装置に設定される設定値をばらつかせる必要がある。
しかしながら、外部から組合せ計量装置に対する物品の供給が安定している場合、例えば、組合せ計量装置の状態は、ほぼ一定となってしまう。従って、多くの履歴データを取得した場合であっても、その履歴データは、同じような状態で動作した履歴データとなる。つまり、組合せ計量装置における設定値は、ばらつきがなく値としてまとまったものとなる。この結果、上記学習制御における学習深度は深まらない。よって、組合せ計量装置の搬送に係る制御精度は向上しない。
本発明は、制御精度の向上を図れる組合せ計量装置用の制御装置、組合せ計量装置及び組合せ計量装置システムを提供することを目的とする。
本発明の組合せ計量装置用の制御装置は、外部から供給される物品を搬送する搬送部と、搬送部によって搬送された物品を一時的に貯留する複数のホッパと、ホッパに貯留された物品を計量する計量部と、を備える組合せ計量装置用の制御装置であって、複数のホッパに貯留された物品の各計量値から、合計値が予め設定される目標計量値となるように計量値の組合せを選択し、当該組合せに対応するホッパから物品を排出させる制御部と、過去に組合せ計量装置に適用された物品のホッパへの供給動作に関する設定情報のうち、第1から第nまでの設定情報が関連付けられた複数の履歴情報を蓄積する蓄積部と、を備え、制御部は、複数の履歴情報に基づき学習パラメータを設定し、少なくとも、学習パラメータと、ホッパに対して設定される物品の目標供給量と、に従って送力を決定し、当該決定した送力により搬送部を制御し、蓄積部に蓄積される履歴情報間における第1から第nまでの設定情報のばらつきに応じて、物品の外部からの供給量及び/又は目標供給量を変動させる変動制御を実行する。
この構成の組合せ計量装置用の制御装置は、物品の外部からの供給量及び/又は目標供給量を変動させる変動制御が実行されることにより、蓄積部に蓄積される第1から第nまでの設定情報のそれぞれのばらつきの程度が大きくなる。例えば、蓄積部に蓄積された第1から第nまでの設定情報のそれぞれのばらつきが小さい場合に上記変動制御が実行されれば、変動制御がなされる前までに蓄積部に蓄積された設定情報のそれぞれよりのばらつきの程度よりも、その程度が広がる。蓄積部に蓄積された設定情報のそれぞれのばらつきの程度が広がれば、搬送部の送力を決定する際に利用する学習パラメータを、様々な状態の設定情報が関連付けられた履歴データから決定することができるので、早期に学習深度が深められる。この結果、当該学習パラメータの精度が高められ、制御精度の向上を図ることができる。
本発明の組合せ計量装置用の制御装置は、蓄積部に蓄積される履歴情報間における第1から第nまで設定情報のそれぞれの時間的変動の程度によって、変動制御の開始を判断してもよい。
この構成の組合せ計量装置用の制御装置における制御部は、蓄積部に蓄積される履歴情報間における第1から第nまでの設定情報のそれぞれの時間的変動の程度が小さいとき、すなわち、同じような状態の設定情報が関連付けられた履歴データしか取得できない状況を適切に判断できる。
本発明の組合せ計量装置用の制御装置における制御部は、一定期間内に連続して得られる複数の履歴情報に含まれる第1から第nまでの設定情報のそれぞれが、所定の範囲内に含まれる場合、上記変動制御を開始してもよい。
この構成の組合せ計量装置用の制御装置における制御部は、蓄積部に蓄積される履歴情報間における第1から第nまでの設定情報のそれぞれの時間的変動の程度が小さいとき、すなわち、同じような状態の設定情報が関連付けられた履歴データしか取得できない状況を適切にまた容易に判断できる。
本発明の組合せ計量装置用の制御装置では、制御部は、一定時間内に連続して得られる複数の履歴情報に含まれる第1から第nまでの設定情報の一部の情報が、設定情報に設定される基準範囲に含まれる値以外となる場合、変動制御を終了してもよい。
この構成の組合せ計量装置用の制御装置では、制御精度の向上が図れ、また、物品の急激な供給量の変化等にも適切に対応することができる。
本発明の組合せ計量装置用の制御装置の蓄積部に蓄積される設定情報には、搬送部上に載置された物品の層厚が含まれてもよい。
この構成の組合せ計量装置用の制御装置は、ホッパへの供給動作に関する設定情報の一つが容易に取得される。
本発明の組合せ計量装置用の制御装置の制御部は、目標供給量を変動させることにより、搬送部における物品の送力に関する設定情報を変動させてもよい。
この構成の組合せ計量装置用の制御装置は、容易な制御で上記送力を変動できる。
本発明の組合せ計量装置用の制御装置の制御部は、各ホッパへの目標供給量を互いに異ならせるスラント制御におけるスラント幅を変動させる、又は組み合わせの指標となる選択ホッパ数の目標値を変動させることにより、目標供給量を変動させてもよい。
この構成の組合せ計量装置用の制御装置は、組合せ計量の精度を高めるための制御を利用して、目標供給量を容易に変更できる。
本発明の組合せ計量装置は、外部から供給される物品を搬送する搬送部と、外部から搬送部上に供給された物品の供給量を取得する取得部と、搬送部によって搬送された物品を一時的に貯留する複数のホッパと、ホッパに貯留された物品を計量する計量部と、上記の組合せ計量装置用の制御装置と、を備える。
この構成の組合せ計量装置は、物品の外部からの供給量及び/又は目標供給量を変動させる変動制御が実行されることにより、蓄積部に蓄積される第1から第nまでの設定情報のそれぞれのばらつきの程度が大きくなる。例えば、蓄積部に蓄積された第1から第nまでの設定情報のそれぞれのばらつきが小さい場合に上記変動制御が実行されれば、変動制御がなされる前までに蓄積部に蓄積された設定情報のそれぞれよりのばらつきの程度よりも、その程度が広がる。蓄積部に蓄積された設定情報のそれぞれのばらつきの程度が広がれば、搬送部の送力を決定する際に利用する学習パラメータを、様々な状態の設定情報が関連付けられた履歴データから決定することができるようになり、早期に学習深度が深められる。この結果、当該学習パラメータの精度が高められ、制御精度の向上を図ることができる。
本発明の組合せ計量装置システムは、少なくとも一台の組合せ計量装置と、上記組合せ計量装置に接続される、組合せ計量装置用の制御装置と、を備え、組合せ計量装置は、外部から供給される物品を搬送する搬送部と、外部から搬送部上に供給された物品の供給量を取得する取得部と、搬送部によって搬送された物品を一時的に貯留する複数のホッパと、ホッパに貯留された物品を計量する計量部と、を有している。
この構成の組合せ計量装置システムでは、物品の外部からの供給量及び/又は目標供給量を変動させる変動制御が実行されることにより、蓄積部に蓄積される第1から第nまでの設定情報のそれぞれのばらつきの程度が大きくなる。例えば、蓄積部に蓄積された第1から第nまでの設定情報のそれぞれのばらつきが小さい場合に上記変動制御が実行されれば、変動制御がなされる前までに蓄積部に蓄積された設定情報のそれぞれよりのばらつきの程度よりも、その程度が広がる。蓄積部に蓄積された設定情報のそれぞれのばらつきの程度が広がれば、搬送部の送力を決定する際に利用する学習パラメータを、様々な状態の設定情報が関連付けられた履歴データから決定することができるようになり、早期に学習深度が深められる。この結果、当該学習パラメータの精度が高められ、制御精度の向上を図ることができる。
本発明によれば、制御精度の向上が図れる。
以下、図面を参照して一実施形態について説明する。図面の説明において、同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。図面の寸法比率は、説明のものと必ずしも一致していない。
図1に示されるように、組合せ計量装置1は、投入シュート2と、分散フィーダ(搬送部)3と、複数の放射フィーダ(搬送部)4と、測距センサ45と、複数のプールホッパ5と、複数の計量ホッパ(ホッパ)6と、複数のブースタホッパ(ホッパ)7と、集合シュート8と、タイミングホッパ9と、計量部11と、制御装置(組合せ計量装置用の制御装置)20と、を備える。組合せ計量装置1は、搬送コンベア50によって供給される物品Aを目標計量値となるように計量して製袋包装機60に供給する。ここで、物品Aは、例えば農産物、水産物、加工食品等のように、単体質量にばらつきのある物品である。なお、製袋包装機60は、フィルムを所定容量の袋に成形しつつ、組合せ計量装置1によって計量されて供給された物品Aを袋詰めする。
投入シュート2は、搬送コンベア50の搬送端50aの下方に配置される。投入シュート2は、搬送コンベア50の搬送端50aから落下した物品Aを受けて下方に排出する。
分散フィーダ3は、投入シュート2の下方に配置される。分散フィーダ3は、下方に向かって末広がりの円錐状の搬送面3aを有する。分散フィーダ3は、搬送面3aを振動させる。この作用により、分散フィーダ3は、投入シュート2から搬送面3aの頂部に排出された物品Aを搬送面3aの外縁に向かって均一に搬送する。
複数の放射フィーダ4は、分散フィーダ3の搬送面3aの外縁に沿って放射状に配置される。各放射フィーダ4は、搬送面3aの外縁の下方から外側に延在するトラフ4aを有する。各放射フィーダ4は、トラフ4aを振動させることで、搬送面3aの外縁から排出された物品Aをトラフ4aの先端部に向かって搬送する。
各放射フィーダ4の上方には、各放射フィーダ4に対応して、測距センサ45がそれぞれ配置される。測距センサ45は、当該測距センサ45と放射フィーダ4上の物品Aとの間の距離を検出する。測距センサ45は、例えば、物品Aに向かって光を照射し、物品Aで反射された光を受光することにより、測距センサ45と物品Aとの間の距離を得る。図2に示されるように、測距センサ45は、放射フィーダ4の排出端近傍に位置する物品Aとの間の距離を検出する。測距センサ45は、検出した物品Aとの距離を示す検出信号を制御装置20に出力する。制御装置20では、放射フィーダ4のトラフ4aの底面から測距センサ45までの距離と、検出信号が示す距離との差に基づいて、物品Aの層厚Sに変換する。
各プールホッパ5は、各放射フィーダ4のトラフ4aの先端部の下方に配置される。各プールホッパ5は、その底部に対して、開閉可能なゲート5aを有する。各プールホッパ5は、ゲート5aを閉じることにより、対応するトラフ4aの先端部から排出された物品Aを一時的に貯留する。さらに、各プールホッパ5は、ゲート5aを開くことで、一時的に貯留した物品Aを下方に排出する。
各計量ホッパ6は、各プールホッパ5のゲート5aの下方に配置される。各計量ホッパ6は、その底部に対して、開閉可能なゲート6a及びゲート6bを有する。各計量ホッパ6は、ゲート6a及びゲート6bを閉じた状態で、対応するプールホッパ5から排出された物品Aを一時的に貯留し、ゲート6a又はゲート6bを開くことで、一時的に貯留した物品Aを下方に排出する。
各ブースタホッパ7は、各計量ホッパ6のゲート6aの下方に配置される。各ブースタホッパ7は、その底部に対して、開閉可能なゲート7aを有する。各ブースタホッパ7は、ゲート7aを閉じることにより、対応する計量ホッパ6のゲート6a側から排出された物品Aを一時的に貯留する。さらに、各ブースタホッパ7は、ゲート7aを開くことで、一時的に貯留した物品Aを下方に排出する。
集合シュート8は、下方に向かって先細りの円錐台の内面8aを有する筒状に形成される。集合シュート8は、内面8aが全ての計量ホッパ6及び全てのブースタホッパ7の下方に位置するように配置される。集合シュート8は、各計量ホッパ6のゲート6b側から排出された物品A、及び各ブースタホッパ7から排出された物品Aを内面8aで受けて下方に排出する。
タイミングホッパ9は、集合シュート8の下方に配置される。タイミングホッパ9は、その底部に対して、開閉可能なゲート9aを有する。タイミングホッパ9は、ゲート9aを閉じた状態で、集合シュート8から排出された物品Aを一時的に貯留し、ゲート9aを開くことで、一時的に貯留した物品Aを製袋包装機60に排出する。
なお、投入シュート2、分散フィーダ3、複数の放射フィーダ4、複数のプールホッパ5及び複数の計量ホッパ6は、ケース13に直接的に又は間接的に支持される。測距センサ45、複数のブースタホッパ7、集合シュート8及びタイミングホッパ9は、フレーム12に直接的に又は間接的に支持される。
計量部11は、フレーム12に支持されたケース13内に配置される。計量部11は、複数のロードセル11aを有する。各ロードセル11aは、対応する計量ホッパ6を支持する。計量部11は、各計量ホッパ6に物品Aが一時的に貯留される際に、当該物品Aの質量に応じた計量値を計量する。
制御装置20は、ケース13内に配置される。制御装置20は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、及びRAM(Random Access Memory)等からなる制御部20Aと蓄積部20Bとを有する。制御部20Aは、組合せ計量装置1の各部の動作を制御する。具体的に制御部20Aは、分散フィーダ3及び放射フィーダ4の搬送動作、各プールホッパ5のゲート5aの開閉動作、各計量ホッパ6のゲート6a及びゲート6bの開閉動作、各ブースタホッパ7のゲート7aの開閉動作、並びに各タイミングホッパ9のゲート9aの開閉動作等を制御する。
制御部20Aは、計量部11によって計量された計量値と、当該計量値に対応する物品Aが貯留される計量ホッパ6及び/又はブースタホッパ7とを対応付けて記憶する。具体的には、制御部20Aは、計量部11によって計量された物品Aが計量ホッパ6に貯留される場合、計量部11によって計量された計量値と、当該計量値に対応する物品Aを貯留する計量ホッパ6とを対応付けて記憶する。計量部11によって計量された物品Aが当該計量ホッパ6に対応するブースタホッパ7に排出された場合、制御部20Aは、計量部11によって計量された物品Aの計量値と、当該計量ホッパ6に対応するブースタホッパ7とを対応付けて記憶する。
制御部20Aは、計量部11によって計量され且つ計量ホッパ6及び/又はブースタホッパ7に対応付けられた複数の計量値から、合計値が目標計量値となるように計量値の組合せを選択する。具体的には、制御部20Aは、計量部11によって出力された複数の計量値から、目標計量値を下限値とする所定範囲内に合計値が収まるように計量値の組合せを選択する。そして、制御部20Aは、当該組合せに対応する計量ホッパ6及び/又はブースタホッパ7から物品Aを排出させる。
組合せ計量装置1には、これらの動作を制御する際のパラメータが設定される。当該パラメータには、放射フィーダ(搬送部)4の送力を決定する際に利用する学習パラメータが含まれる。学習パラメータは、過去に組合せ計量装置1に適用された物品Aのプールホッパ(ホッパ)5への供給動作に関する設定情報のうち、例えば、層厚S、実際の供給量W1及び送力P等の設定情報(第1から第nまでの設定情報に相当)が関連付けられた複数の履歴情報に基づき決定される。組合せ計量装置1は、第1から第3までの設定情報として、例えば、それぞれ層厚S、実際の供給量W1及び送力Pを記憶する。ここで、設定情報は、組合せ計量装置1に過去に設定されたパラメータを意味するものとなる。
図5は、複数の履歴情報の構成を示すテーブルの一例である。履歴情報は、第1から第nまでの設定情報が互いに関連付けられた状態で記憶されている。上記における設定情報は、上記の構成に限定されるものではなく、放射フィーダ4が動作する動作時間、分散フィーダ3が動作する動作時間又は分散フィーダ3の動作強度等を含むものであっても構わない。なお、学習パラメータの詳細な決定方法については後述する。
上記履歴情報は、ケース13内に配置され、制御部20Aと互いに通信可能な蓄積部20Bに蓄積される。蓄積部20Bの例は、mSATA規格のSSD(Solid State Drive)など)又はハードディスク等である。
制御部20Aは、少なくとも、学習パラメータと、プールホッパ5(計量ホッパ6)に対して設定される物品Aの目標供給量Wと、に従って決定される送力Pを利用することにより放射フィーダ4を制御する。上記搬送制御について詳細に説明する。
図3に示されるように、層厚Sが厚いほど、プールホッパ5(計量ホッパ6)に供給される供給量W1が多くなる傾向がある。そこで、制御部20Aは、測距センサ45により取得されるトラフ4a上の物品Aの層厚S(図2参照)の変化に応じて放射フィーダ4の送力Pを制御する。更に詳細には、制御部20Aは、物品Aの層厚Sと、放射フィーダ4の目標供給量Wと、放射フィーダ4の送力Pと、の関係である下記の式(1)に基づいて、放射フィーダ4の送力Pを制御する。
P=B×W/S+C …(1)
送力Pは、放射フィーダ4の振動の振幅である。送力Pの値が小さい場合には、振幅は、小さくなる。そのため、放射フィーダ4から計量ホッパ6(プールホッパ5)に供給される物品Aの供給量W1は少なくなる。送力Pの値が大きい場合には、振幅は大きくなる。そのため、放射フィーダ4から計量ホッパ6に供給される物品Aの供給量W1は多くなる。図2に示されるように、層厚Sは、放射フィーダ4の排出端近傍における、放射フィーダ4のトラフ4aの底面と物品Aの上部との間の距離である。供給量W1は、放射フィーダ4からプールホッパ5を介して計量ホッパ6に供給される物品Aの量である。
上記式(1)において、「B」及び「C」のそれぞれは、係数であり、上記学習パラメータである。係数B及び係数Cは、組合せ計量装置1の初期状態においては、例えば、組合せ計量装置1の構成に応じて、経験的に求められた値が初期値として与えられている。係数B及び係数Cは、放射フィーダ4の形状及び/又は物品Aの種類に応じて変更可能な値である。
制御部20Aは、統計的な学習制御によって上記係数B及び係数Cを更新する。具体的に制御部20Aは、過去から継続的に取得し、蓄積部20Bに蓄積される層厚S、供給量W1及び送力Pに関する情報に基づき、上記係数B及び係数Cを逐次算出する。ここで、係数B及び係数Cは、自装置において過去に設定された第1の設定情報から第nまでの設定情報に基づき生成される変化傾向である。制御部20Aは、予め定められた目標供給量Wとなるように層厚Sに応じて送力Pを制御した際の、実際の供給量W1を少なくとも含む履歴情報を、蓄積部20Bに記憶させる。この場合、制御部20Aは、履歴情報に含まれる第1の設定情報として層厚S、第2の設定情報として実際の供給量W1及び第3の設定情報として送力Pを蓄積部20Bに蓄積させる。なお、制御部20Aは、送力Pと、供給量W1を層厚Sによって除した値(供給量W1/層厚S)と、放射フィーダ4の動作時間tを関連付けて記憶させても構わない(図5参照)。制御部20Aは、このような履歴情報に基づいて、係数B及び係数Cを更新する。
このように記憶させた複数の履歴情報に基づき、制御部20Aは、学習パラメータである係数B及び係数Cを算出する。この場合、制御部20Aは、層厚S、供給量W1及び送力Pに対して上記式(1)に示す関係が成立すると仮定して係数B及び係数Cを算出する。具体的に制御部20Aは、新たな係数B及び係数Cを、例えば、放射フィーダ4の動作時間t毎に、これまでに取得した履歴情報に基づき最小二乗法等により導出する。また、新たな係数B及び係数Cを導出する際には、個々の履歴情報に重み(新たな係数B及び係数Cを決定する際の影響力の大きさ)を設定できる。例えば、現在の時刻に対して近い情報については、その重みは高くなる。この係数B及び係数Cは、現在または将来における送力Pを決定する際に利用される。
ここで、本実施形態の制御部20Aは、蓄積部20Bに蓄積される履歴情報間における層厚S(設定情報)のばらつきに応じて、目標供給量Wを変動させる。これにより、制御部20Aは、蓄積部20Bに蓄積される履歴情報をばらつかせる。具体的には、制御部20Aは、蓄積部20Bに蓄積される履歴情報間における設定情報の時間的変動の程度によって、変動制御の開始の有無を判断する。更に具体的には、制御部20Aは、一定期間内に連続して得られる複数の履歴情報に含まれる層厚Sが所定の範囲内に含まれる場合、変動制御を開始する。例えば、履歴情報に含まれる複数の層厚Sのうち、時間的に連続する2つの層厚Sの変化率が±5%以内を上記所定の範囲内としても構わない。また、係数B及び係数Cを最小二乗法等により導出した際の相関係数が予め設定する閾値未満である場合、変動制御を開始してもよい。
制御部20Aは、目標供給量Wを変動させることにより、放射フィーダ4における物品Aの送力P(送力に関する設定情報)を変動させる。目標供給量Wの変動は、例えば、各計量ホッパ6(プールホッパ5)への目標供給量Wを互いに異ならせるスラント制御におけるスラント幅を変動させる、又は組み合わせの指標となる選択ホッパ数の目標値を変動させる。ここで、スラント幅とは、各計量ホッパ6(プールホッパ5)に設定される目標供給量の差である。つまり、スラント幅が大きい場合、各計量ホッパ6(プールホッパ5)の目標供給量は、スラント幅が小さい場合と比較して、ばらついていることとなる。上記においてスラント幅を変動させる場合、例えば、スラント幅を現状の値を基準値として、2%間隔でー6%から+6%まで変動させる。一方、選択ホッパ数の目標値を変動させる場合、例えば、選択ホッパ数の目標値を現状の値を基準値として、0.05間隔でー0.15から+0.15まで変動させる。
制御部20Aは、一定時間内に連続して得られる複数の履歴情報に含まれる前記第1から第nまでの設定情報の一部の情報が、前記設定情報に設定される基準範囲に含まれる値以外となる場合、変動制御を終了する。また、係数B及び係数Cを最小二乗法等により導出した際の相関係数が予め設定する閾値以上となった場合、変動制御を終了してもよい。
以上説明したように、上記実施形態の組合せ計量装置1は、目標供給量Wを変動させる変動制御が実行されることにより、蓄積部20Bに蓄積される、層厚S、実際の供給量W1及び送力P等の設定情報が関連付けられた複数の履歴情報のそれぞれのばらつきの程度が大きくなる。例えば、蓄積部20Bに蓄積された上記履歴情報のばらつきが小さい場合に上記変動制御が実行されれば、変動制御がなされる前までに蓄積部20Bに蓄積された履歴情報のばらつきの程度(図4(B)参照)よりも、その程度が広がる(例えば、図4(A)参照)。すなわち、当該変動制御は、図4(B)に示されるような、所定の送力Pを中心とする狭い範囲に集中する履歴情報を、図4(A)に示されるような分布状況に広げられる。蓄積部20Bに蓄積された履歴情報のばらつきの程度が広がれば、放射フィーダ4の送力を決定する際に利用する学習パラメータ(係数B及び係数C)を、様々な状態の設定情報が関連付けられた履歴データから決定することができるので、早期に学習深度が深められる。この結果、当該学習パラメータの精度が高められ、制御精度の向上を図ることができる。なお、図4(A)及び図4(B)における直線f(係数B及び係数Cを最小二乗法等により導出した際の相関係数に基づいて設定される直線)は、物品Aの層厚Sと、放射フィーダ4の目標供給量Wと、放射フィーダ4の送力Pと、の関係である上記式(1)を示す。
上記実施形態の組合せ計量装置1の制御部20Aは、蓄積部20Bに蓄積される履歴情報間における設定情報のそれぞれの時間的変動の程度によって、変動制御の開始を判断する。これにより、制御部20Aは、蓄積部20Bに蓄積される履歴情報間における設定情報のそれぞれの時間的変動の程度が小さいとき、すなわち、図4(B)に示されるような、同じような状態の設定情報が関連付けられた履歴データしか取得できない状況を適切に判断できる。
以上、一実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限られるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
例えば、本発明の組合せ計量装置用の制御装置は、上記組合せ計量装置1に備わる制御部20Aの全部又は一部の機能と、蓄積部20Bとが、図6に示されるように、組合せ計量装置1とは独立した管理サーバ80として構成されてもよい。そして、当該管理サーバ80と一又は複数の組合せ計量装置1とが有線又は無線LAN(Local Area Network)70を介して互いに通信可能に接続された組合せ計量装置システム100では、上記実施形態の組合せ計量装置1に備わる全部又は一部の機能がLAN70を介して提供される。当該管理サーバ80について説明する。管理サーバ80は、ディスプレイ(図示せず)と、通信部81と、制御部82と、蓄積部83と、を主に備えている。
通信部81は、一又は複数の組合せ計量装置1との通信を可能にする。通信部81は、例えば、LANインタフェイスである。制御部82は、複数の組合せ計量装置1において設定される組合せ計量に関するパラメータを制御する機器であり、上記組合せ計量装置1に備わる制御部20Aの全部又は一部の機能を実行する。この制御部82は、CPU(Central Processing Unit)と、主記憶装置としてのROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)と、補助記憶装置としてのハードディスク又はmSATA規格のSSD(Solid State Drive)等で構成される。蓄積部83は、制御部82と互いに通信可能であり、mSATA規格のSSD(Solid State Drive)又はハードディスク等である。
以上に説明した組合せ計量装置システム100においても、管理サーバ80の制御部82が、各組合せ計量装置1におけるそれぞれの目標供給量Wを変動させる変動制御を実行する。制御部82によって変動制御が実行された各組合せ計量装置1では、層厚S、実際の供給量W1及び送力P等の設定情報が関連付けられた複数の履歴情報のそれぞれのばらつきの程度が大きくなる。この結果、当該学習パラメータの精度が高められ、制御精度の向上を図ることができる。
また、上記実施形態では、層厚Sを取得する手段として光学式の測距センサ45を一例に説明したが、例えば、放射フィーダ4に設置されるロードセル、カメラ等であってもよい。上記実施形態の組合せ計量装置1では、これらの手段から情報を取得可能なインタフェイス(取得部)を備えておればよい。
上記実施形態又は変形例では、制御部20A(82)が実行する変動制御の例として、目標供給量Wを変動させる例を挙げて説明したが、これに代えて、又は加えて物品Aの外部からの供給量を変動させてもよい。この場合、制御部20A(82)は、搬送コンベア50における搬送量(供給量)を変動させることにより、上記変動制御を実行する。
上記実施形態又は変形例では、測距センサ45が各放射フィーダ4に対応して1個ずつ設けられている形態を一例に説明したが、測距センサ45は、放射フィーダ4の搬送方向に沿って複数設けられていてもよい。これにより、複数箇所の物品Aの層厚Sを検知できる。そのため、放射フィーダ4にて搬送される物品Aの全体的な状態に基づいて、放射フィーダ4を制御できる。
上記実施形態又は変形例では、搬送部の例として、上述した分散フィーダ3及び複数の放射フィーダ4を挙げて説明したが、これに限定されず、物品Aを搬送できる構成を有するものであればよい。例えば、回転駆動可能なコイルユニット(スクリュー)、又は、ベルトコンベアが配置されてもよい。コイルユニットの場合には、制御部20A,82は、送力Pとして、コイルユニットの回転数(rpm)等を制御する。また、ベルトコンベアの場合には、制御部20A,82は、ベルトを駆動させるローラの回転数等を制御する。
上記実施形態又は変形例では、複数のホッパの例として、環状に配置された複数の計量ホッパ6及び複数のブースタホッパ7を例に挙げて説明したが、これに限定されず、マトリックス状に配置されてもよい。また、複数のホッパとして、複数のブースタホッパ7を備えない構成としてもよい。